JP2004158900A - 多出力発振器およびそれを用いた電子装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の緩衝増幅回路を有しながらも部品点数をさらに削減することによって小型化と低価格化を実現することのできる多出力発振器およびそれを用いた電子装置を提供する。
【解決手段】発振用のトランジスタQ1、そのベースとグランドとの間に接続された水晶振動子、トランジスタQ1のベース・エミッタ間に接続されたコンデンサC1、トランジスタQ1のエミッタとグランドとの間に接続されたコンデンサC2を含むコルピッツ発振回路2と、増幅用のトランジスタQ2、Q3、それらのベースを高周波的に接地するコンデンサC3を含むとともに、トランジスタQ2、Q3のエミッタがトランジスタQ1のコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路3を備え、トランジスタQ2、Q3の各コレクタから発振信号が出力される。
【効果】部品点数が少なくなるために多出力発振器の小型化と低価格化を図ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】発振用のトランジスタQ1、そのベースとグランドとの間に接続された水晶振動子、トランジスタQ1のベース・エミッタ間に接続されたコンデンサC1、トランジスタQ1のエミッタとグランドとの間に接続されたコンデンサC2を含むコルピッツ発振回路2と、増幅用のトランジスタQ2、Q3、それらのベースを高周波的に接地するコンデンサC3を含むとともに、トランジスタQ2、Q3のエミッタがトランジスタQ1のコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路3を備え、トランジスタQ2、Q3の各コレクタから発振信号が出力される。
【効果】部品点数が少なくなるために多出力発振器の小型化と低価格化を図ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多出力発振器および電子装置、例えば携帯電話機のRF回路に含まれるPLL回路部分の基準信号源として用いられるとともに携帯電話機に含まれるMPUのクロック信号源としても用いられる多出力発振器およびそれを用いた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の携帯電話機においては、局部発振器の周波数安定化のための基準信号源を備えている。基準信号源としては、例えば水晶振動子を共振子として利用し、発振回路と緩衝増幅回路から構成される発振器が広く知られている。その一方で、携帯電話機には各種機能を実現するためにMPUが搭載されている。MPUの動作のためにはクロック信号が必要である。そこで、基準信号源として用いられる発振器の出力をMPUのためのクロック信号としても利用することが考えられている。その際、1つの発振回路の出力を2つの用途のために単純に分割する方式では信号レベルが低下する。そこで、2つの用途に十分な出力の発振信号を得るために、1つの発振回路に対して複数の緩衝増幅回路を備えて、各緩衝増幅回路からそれぞれ発振信号を取り出すような多出力発振器が考えられている。
【0003】
多出力発振器としては、1つの発振用のトランジスタを用いたコルピッツ発振回路の発振信号をエミッタから取り出し、2つの緩衝増幅用のトランジスタを用いた差動式の緩衝増幅回路の一方のトランジスタのベースに結合コンデンサを介して印加して、2つの緩衝増幅用のトランジスタのコレクタからそれぞれ発振信号を得ることのできるものがある。(例えば特許文献1、図2参照)
特許文献1においては、2つの緩衝増幅用のトランジスタを2段の緩衝増幅回路として利用するものであるが、この回路においてトランジスタTr3のコレクタ電圧をトランジスタTr2のベースに印加せずに外部に取り出せば、2出力の発振器になる。あるいは、緩衝増幅回路を差動型にせず、コルピッツ発振回路の発振信号を2つの緩衝増幅用のトランジスタの両方のベースに印加するような構成も考えられる。なお、1つの発振回路に対して複数の緩衝増幅回路を設けた多出力発振器の特許文献は見つかっていない。
【0004】
【特許文献1】
実開平5−57913号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の回路においては、例えばコルピッツ発振回路の出力を2つの緩衝増幅回路のベースに印加する構成を取っているために、それぞれ結合コンデンサを必要とするなどして部品点数が多くなる。部品点数が多いと発振器の小型化が困難になるという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は上記の問題点を解決することを目的とするもので、複数の緩衝増幅回路を有しながらも部品点数をさらに削減することによって小型化と低価格化を実現することのできる多出力発振器およびそれを用いた電子装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の多出力発振器は、発振用の第1のトランジスタ、該第1のトランジスタのベースと接地点との間に接続されたインダクタンス手段、前記第1のトランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段、前記第1のトランジスタのエミッタと接地点との間に接続された第2の容量手段を含むコルピッツ発振回路と、増幅用の複数の第2のトランジスタ、および該複数の第2のトランジスタのベースを高周波的に接地する第3の容量手段を含むとともに、前記複数の第2のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路と、を備え、前記複数の第2のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の多出力発振器は、発振用の第1のトランジスタ、該第1のトランジスタのベースと接地点との間に接続されたインダクタンス手段、前記第1のトランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段、前記第1のトランジスタのエミッタと接地点との間に接続された第2の容量手段を含むコルピッツ発振回路と、増幅用の複数の第3のトランジスタ、および該複数の第3のトランジスタのベースを高周波的に接地する第4の容量手段を含むとともに、前記複数の第3のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのエミッタに接続されることによって両者がカスケード接続された第2の緩衝増幅回路と、を備え、前記複数の第3のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の多出力発振器は、発振用の第1のトランジスタ、該第1のトランジスタのベースと接地点との間に接続されたインダクタンス手段、前記第1のトランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段、前記第1のトランジスタのエミッタと接地点との間に接続された第2の容量手段を含むコルピッツ発振回路と、増幅用の1つ以上の第2のトランジスタ、および該1つ以上の第2のトランジスタのベースを高周波的に接地する第3の容量手段を含むとともに、前記1つ以上の第2のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路と、増幅用の1つ以上の第3のトランジスタ、および該1つ以上の第3のトランジスタのベースを高周波的に接地する第4の容量手段を含むとともに、前記1つ以上の第3のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのエミッタに接続されることによって両者がカスケード接続された第2の緩衝増幅回路と、を備え、前記1つ以上の第2のトランジスタおよび前記1つ以上の第3のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることを特徴とする。
【0010】
そして、本発明の電子装置は、上記のいずれかの多出力発振器を用いたことを特徴とする。
【0011】
このように構成することにより、本発明の多出力発振器においては、部品点数の削減による小型化と低価格化を実現することができる。
【0012】
また、本発明の電子装置においても、本発明の発振器を用いることによって、小型化と低価格化を実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の多出力発振器の一実施例の回路図を示す。図1において、多出力発振器1は、コルピッツ発振回路2と第1の緩衝増幅回路3から構成されている。
【0014】
コルピッツ発振回路2は、発振用の第1のトランジスタであるNPN型のトランジスタQ1、トランジスタQ1のベースとグランド(接地点)との間に接続されたインダクタンス手段である水晶振動子X1、トランジスタQ1のベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段であるコンデンサC1、トランジスタQ1のエミッタとグランド(接地点)との間に接続された第2の容量手段であるコンデンサC2、トランジスタQ1のエミッタとグランドとの間に接続されたバイアス用の抵抗R1、トランジスタQ1のコレクタ・ベース間に接続されたベースバイアス用の抵抗R2から構成されている。
【0015】
第1の緩衝増幅回路3は、増幅用の第2のトランジスタであるNPN型のトランジスタQ2およびQ3、コンデンサC3、C4およびC5、抵抗R3、R4およびR5から構成されている。ここではトランジスタQ2およびQ3のタイプはトランジスタQ1と同じでなければならない。トランジスタQ2およびQ3のベースは互いに接続されるとともに第3の容量手段であるコンデンサC3を介してグランド(接地点)に接続されることによって高周波的に接地されている。抵抗R3およびR4は、それぞれ正の電源端子+VccとトランジスタQ2およびQ3のコレクタとの間に接続されている。抵抗R5は電源端子+VccとトランジスタQ2およびQ3の互いに接続されたベースとの間に接続されている。トランジスタQ2およびQ3のエミッタは互いに接続されるとともに、コルピッツ発振回路2のトランジスタQ1のコレクタに接続されている。そのため、トランジスタQ2とQ1、トランジスタQ3とQ1はそれぞれカスケード接続されていることになる。そして、トランジスタQ2およびQ3のコレクタは、それぞれコンデンサC4およびC5を介して出力端子P1およびP2に接続されている。なお、コルピッツ発振回路2の抵抗R2はトランジスタQ1のベースと第1の緩衝増幅回路3のトランジスタQ2のベースとの間に接続されていても良いし、トランジスタQ1のベースと電源端子+Vccの間に接続されていても良い。
【0016】
このように構成された多出力発振器1において、トランジスタQ1のコレクタはトランジスタQ2やQ3のエミッタに接続されることによって擬似的に接地されるため、トランジスタQ1は実質的にコレクタ接地になる。そのため、高周波的には水晶振動子X1はトランジスタQ1のコレクタ・ベース間に接続されることになり、コンデンサC2はトランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間に接続されることになるため、トランジスタQ1と水晶振動子X1とコンデンサC1およびC2で実質的にコルピッツ発振回路が形成されることになる。そこで、本発明においては、これらに抵抗R1およびR2を加えた回路全体をコルピッツ発振回路2と称している。
【0017】
コルピッツ発振回路2の発振信号はトランジスタQ1のコレクタから出力される。トランジスタQ1のコレクタは擬似的な接地であって完全な接地ではないためにこのようなことが可能になる。トランジスタQ1のコレクタから出力された発振信号はトランジスタQ2およびQ3のエミッタに入力される。トランジスタQ2およびQ3のベースはともにコンデンサC3によって高周波的に接地されているため、ベース接地、エミッタ入力の2つの緩衝増幅回路として動作する。2つの緩衝増幅回路の出力はトランジスタQ2およびQ3のコレクタから出力され、それぞれコンデンサC4およびC5を介して出力端子P1およびP2から出力される。
【0018】
多出力発振器1において、2つ目の出力端子である出力端子P2から発振信号を出力するためのみに必要な構成要素は第1の緩衝増幅回路3のトランジスタQ3、抵抗R4、およびコンデンサC5である。コンデンサC3と抵抗R5はトランジスタQ3のベース接地およびベースバイアスのために用いられるが、トランジスタQ2のベース接地およびベースバイアスのためにも用いられており、多出力構成でなくても必要な構成要素である。したがって、多出力発振器1において2つ目の信号出力のために追加しなければならなかった構成要素はトランジスタQ3、抵抗R4、およびコンデンサC5の3点だけである。なお、通常、緩衝増幅回路を1つ余分に追加しようとすると、信号のカップリングのためにコンデンサが必要になることが普通であるが、多出力発振器1においてはコルピッツ発振回路と緩衝増幅回路のトランジスタのカスケード接続部分を信号経路として用いているためにカップリングのためのコンデンサも必要としない。このように、多出力発振器1においてはわずかに3つの構成要素を追加するだけで、1出力から2出力に変更することができる。
【0019】
なお、多出力発振器1においては2出力構成となっているが、出力をさらに増やすことも容易で、その場合にも1出力から2出力に変更するときに必要な3つの構成要素を増加する出力の分だけ追加するだけでよい。緩衝増幅用のトランジスタのベース接地およびベースバイアスのためのコンデンサC3と抵抗R5は出力数が増えても共通に利用できる。
【0020】
このように、本発明の多出力発振器1においては、少ない構成要素の追加で出力数の増加が可能になる。
【0021】
なお、多出力発振器1においては3つのトランジスタのタイプをNPN型としたが、電源を負にして3つのトランジスタのタイプをPNP型にしてもほとんど同様の構成で多出力発振器が実現でき、同様の効果を奏することができる。
【0022】
図2に、本発明の多出力発振器の別の実施例の回路図を示す。図2において、多出力発振器10は、コルピッツ発振回路11と第2の緩衝増幅回路12から構成されている。
【0023】
コルピッツ発振回路11は、発振用の第1のトランジスタであるNPN型のトランジスタQ1、トランジスタQ1のベースとグランドとの間に接続されたインダクタンス手段である水晶振動子X1、トランジスタQ1のベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段であるコンデンサC1、トランジスタQ1のエミッタとグランドとの間に接続された第2の容量手段であるコンデンサC2、トランジスタQ1のエミッタに接続されたバイアス用の抵抗R1、トランジスタQ1のコレクタ・ベース間に接続されたベースバイアス用の抵抗R2、およびトランジスタQ1のコレクタとグランド(接地点)との間に接続されたコンデンサC6から構成されている。なお、コルピッツ発振回路11におけるコルピッツ発振回路2との違いは、トランジスタQ1のコレクタとグランドとの間に接続されたコンデンサC6が増えた点だけである。
【0024】
第2の緩衝増幅回路12は、増幅用の第3のトランジスタであるPNP型のトランジスタQ4およびQ5、コンデンサC7、C8およびC9、抵抗R6、R7およびR8から構成されている。ここではトランジスタQ4およびQ5のタイプはトランジスタQ1とは逆でなければならない。トランジスタQ4およびQ5のベースは互いに接続されるとともに第4の容量手段であるコンデンサC7を介してグランド(接地点)に接続されることによって高周波的に接地されている。抵抗R6およびR7は、それぞれトランジスタQ4およびQ5のコレクタとグランドとの間に接続されている。抵抗R8はトランジスタQ4およびQ5の互いに接続されたベースとグランドとの間に接続されている。トランジスタQ4およびQ5のエミッタは互いに接続されるとともに、抵抗R1を介してコルピッツ発振回路11のトランジスタQ1のエミッタに接続されている。そのため、トランジスタQ1とQ4、トランジスタQ1とQ5はそれぞれカスケード接続されていることになる。そして、トランジスタQ4およびQ5のコレクタは、それぞれコンデンサC8およびC9を介して出力端子P3およびP4に接続されている。
【0025】
このように構成された多出力発振器10において、コルピッツ発振回路11はトランジスタQ1のコレクタがコンデンサC6を介して高周波的に接地されるために、コルピッツ発振回路2とは異なり純粋なコルピッツ発振回路となる。
【0026】
コルピッツ発振回路11の発振信号はトランジスタQ1のエミッタから出力され、抵抗R1を介してトランジスタQ4およびQ5のエミッタに入力される。トランジスタQ4およびQ5のベースはともにコンデンサC7によって高周波的に接地されているため、ベース接地、エミッタ入力の2つの緩衝増幅回路として動作する。2つの緩衝増幅回路の出力はトランジスタQ4およびQ5のコレクタから出力され、それぞれコンデンサC8およびC9を介して出力端子P3およびP4から出力される。
【0027】
なお、コルピッツ発振回路11の場合にはコルピッツ発振回路1の場合とは異なり、トランジスタQ1のエミッタは抵抗R1を介して第2の緩衝増幅回路12に接続されている。したがって、第2の緩衝増幅回路12をコルピッツ発振回路2における抵抗R1の代わりに利用することもできる。そして、その場合には抵抗R1を省略しても構わず、部品点数の削減を図ることができる。
【0028】
多出力発振器10においても、多出力発振器1の場合と同様に、2つ目の出力端子である出力端子P4から発振信号を出力するために追加しなければならなかった構成要素はトランジスタQ5、抵抗R7、およびコンデンサC9の3点だけである。また、多出力発振器10においても2つのトランジスタのカスケード接続部分を信号経路として用いているためにカップリングのためのコンデンサを必要としない。このように、多出力発振器10においてもわずかに3つの構成要素を追加するだけで、1出力から2出力に変更することができる。
【0029】
もちろん、出力をさらに増やすことも容易で、その場合にも1出力から2出力に変更するときに必要な3つの構成要素を増加する出力の分だけ追加するだけでよい。緩衝増幅用のトランジスタのベース接地およびベースバイアスのためのコンデンサC7と抵抗R8は出力数が増えても共通に利用できる。
【0030】
このように、本発明の多出力発振器10においては、少ない構成要素の追加で出力数の増加が可能になる。
【0031】
なお、多出力発振器10においてはコルピッツ発振回路11のトランジスタのタイプをNPN型とし、緩衝増幅回路12の2つのトランジスタのタイプをPNP型としたが、電源を負にして3つのトランジスタのタイプをそれぞれ逆にしてもほとんど同様の構成で多出力発振器が実現でき、同様の効果を奏することができる。
【0032】
図3に、本発明の多出力発振器のさらに別の実施例の回路図を示す。図3において、図1および図2と同一もしくは同等の部分には同じ記号を付し、その説明を省略する。
【0033】
図3において、多出力発振器20は、図1に示した多出力発振器1と図2に示した多出力発振器10を合成した構成になっている。すなわち、多出力発振器1におけるコルピッツ発振回路2のトランジスタQ1のエミッタを、抵抗R1を介してグランドに接続する代わりに多出力発振器10における第2の緩衝増幅回路12に接続して構成している。
【0034】
このように構成された多出力発振器20においては、多出力発振器1と多出力発振器10の両方の機能を備えており、4出力の発振器となっている。そして、少ない構成要素の追加で出力数を増やすことができるという多出力発振器1や10と同様の効果を備えている。もちろん、多出力発振器10の場合と同様に抵抗R1を省略して部品点数の削減を図ることもできる。
【0035】
また、多出力発振器30においては、コルピッツ発振回路2から緩衝増幅回路3への発振信号の出力点はトランジスタQ1のコレクタであり、緩衝増幅回路12への発振信号の出力点はトランジスタのエミッタであり、コルピッツ発振回路の異なる2カ所から発振出力が取り出される構成になっている。そのため、緩衝増幅回路3の2つの出力と緩衝増幅回路12の2つの出力との間のアイソレーションが良くなる。また、トランジスタ間のカスケード接続部分を信号経路として用いているためにカップリングのためのコンデンサを必要としない。また、3段のトランジスタを直列に接続しているために電源の利用効率が高い。
【0036】
ところで、多出力発振器20においては4出力となっているが、第1の緩衝増幅回路と第2の緩衝増幅回路の両方を含む場合には、いずれの緩衝増幅回路も1出力しかなくても多出力発振器を構成することができる。このような多出力発振器について次に説明する。
【0037】
図4に、上述のような本発明の多出力発振器のさらに別の実施例の回路図を示す。図4において、第1の緩衝増幅回路31は、図1における第1の緩衝増幅回路3からトランジスタQ3、抵抗R4、およびコンデンサC5を削除して1出力構成にしたものである。また、第2の緩衝増幅回路32は、図2における第2の緩衝増幅回路12からトランジスタQ5、抵抗R7、およびコンデンサC9を削除して1出力構成にしたものである。したがって、トランジスタQ2、Q1、Q4がカスケード接続されていることになる。
【0038】
このように構成された多出力発振器30においては、同じ2出力の発振器である多出力発振器1や多出力発振器10に比べると部品点数の削減効果は少ないが、トランジスタ間のカスケード接続部分を信号経路として用いているためにカップリングのためのコンデンサを必要としない。また、全てのトランジスタを直列に接続しているために電源の利用効率が高い。また、2つの緩衝増幅回路31および32とコルピッツ発振回路2との接続点が異なっているために、2つの出力間のアイソレーションが良くなる。
【0039】
なお、多出力発振器30においても、多出力発振器10や20の場合と同様にコルピッツ発振回路2の抵抗R1を省略して部品点数の削減を図ることができる。
【0040】
また、上記の各実施例においては、コルピッツ発振回路のインダクタンス手段として水晶振動子を用いているが、これに限るものではなく他の圧電振動子や巻き線コイル、ストリップ線路共振器など、実質的にインダクタンスを有するものであれば何でもインダクタンス手段とすることができる。また、容量手段に関しても、個別素子としてのコンデンサに限るものではなく、実装基板の中に形成された2つの電極間の静電容量や何らかの半導体素子の接合容量など、静電容量を有するものであればなんでも容量手段とすることができる。
【0041】
図5に、本発明の電子装置の一実施例の斜視図を示す。図5において、電子装置の1つである携帯電話機100は、筐体101と、その中に配置されたプリント基板102と、プリント基板102上に基準信号源として実装された本発明の多出力発振器1を備えている。
【0042】
このように構成された携帯電話機100においては、本発明の多出力発振器1を用いているため、発振器の数を減らして小型化と低価格化を実現することができる。
【0043】
なお、図5においては電子装置として携帯電話機を示したが、電子装置としては携帯電話機に限るものではなく、本発明の多出力発振器を用いたものであれば何でも構わないものである。
【0044】
【発明の効果】
本発明の多出力発振器によれば、発振用の第1のトランジスタを含むコルピッツ発振回路と、増幅用の複数の第2のトランジスタおよび第2のトランジスタのベースを高周波的に接地する第3の容量手段を含むとともに第2のトランジスタのエミッタが第1のトランジスタのコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路とを備え、第2のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることによって、部品点数の削減による小型化と低価格化を実現することができる。
【0045】
また、発振用の第1のトランジスタを含むコルピッツ発振回路と、増幅用の複数の第3のトランジスタおよび第3のトランジスタのベースを高周波的に接地する第4の容量手段を含むとともに第3のトランジスタのエミッタが第1のトランジスタのエミッタに接続されることによって両者がカスケード接続された第2の緩衝増幅回路とを備え、第3のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることによって、部品点数の削減による小型化と低価格化を実現することができる。
【0046】
また、発振用の第1のトランジスタを含むコルピッツ発振回路と、増幅用の1つ以上の第2のトランジスタおよび第2のトランジスタのベースを高周波的に接地する第3の容量手段を含むとともに第2のトランジスタのエミッタが第1のトランジスタのコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路と、増幅用の1つ以上の第3のトランジスタおよび第3のトランジスタのベースを高周波的に接地する第4の容量手段を含むとともに第3のトランジスタのエミッタが第1のトランジスタのエミッタに接続されることによって両者がカスケード接続された第2の緩衝増幅回路とを備え、第2のトランジスタおよび第3のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることによって、部品点数の削減による小型化と低価格化を実現することができる。
【0047】
また、本発明の電子装置によれば、本発明の多出力発振器を用いることによって、発振器数の削減による小型化と低価格化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多出力発振器の一実施例を示す回路図である。
【図2】本発明の多出力発振器の別の実施例を示す回路図である。
【図3】本発明の多出力発振器のさらに別の実施例を示す回路図である。
【図4】本発明の多出力発振器のさらに別の実施例を示す回路図である。
【図5】本発明の電子装置の一実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、10、20、30…多出力発振器
2、11…コルピッツ発振回路
3、31…第1の緩衝増幅回路
12、32…第2の緩衝増幅回路
X1…水晶振動子(インダクタンス手段)
Q1…トランジスタ(第1のトランジスタ)
Q2、Q3…トランジスタ(第2のトランジスタ)
Q4、Q5…トランジスタ(第2のトランジスタ)
C1…コンデンサ(第1の容量手段)
C2…コンデンサ(第2の容量手段)
C3…コンデンサ(第3の容量手段)
100…携帯電話機
【発明の属する技術分野】
本発明は、多出力発振器および電子装置、例えば携帯電話機のRF回路に含まれるPLL回路部分の基準信号源として用いられるとともに携帯電話機に含まれるMPUのクロック信号源としても用いられる多出力発振器およびそれを用いた電子装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の携帯電話機においては、局部発振器の周波数安定化のための基準信号源を備えている。基準信号源としては、例えば水晶振動子を共振子として利用し、発振回路と緩衝増幅回路から構成される発振器が広く知られている。その一方で、携帯電話機には各種機能を実現するためにMPUが搭載されている。MPUの動作のためにはクロック信号が必要である。そこで、基準信号源として用いられる発振器の出力をMPUのためのクロック信号としても利用することが考えられている。その際、1つの発振回路の出力を2つの用途のために単純に分割する方式では信号レベルが低下する。そこで、2つの用途に十分な出力の発振信号を得るために、1つの発振回路に対して複数の緩衝増幅回路を備えて、各緩衝増幅回路からそれぞれ発振信号を取り出すような多出力発振器が考えられている。
【0003】
多出力発振器としては、1つの発振用のトランジスタを用いたコルピッツ発振回路の発振信号をエミッタから取り出し、2つの緩衝増幅用のトランジスタを用いた差動式の緩衝増幅回路の一方のトランジスタのベースに結合コンデンサを介して印加して、2つの緩衝増幅用のトランジスタのコレクタからそれぞれ発振信号を得ることのできるものがある。(例えば特許文献1、図2参照)
特許文献1においては、2つの緩衝増幅用のトランジスタを2段の緩衝増幅回路として利用するものであるが、この回路においてトランジスタTr3のコレクタ電圧をトランジスタTr2のベースに印加せずに外部に取り出せば、2出力の発振器になる。あるいは、緩衝増幅回路を差動型にせず、コルピッツ発振回路の発振信号を2つの緩衝増幅用のトランジスタの両方のベースに印加するような構成も考えられる。なお、1つの発振回路に対して複数の緩衝増幅回路を設けた多出力発振器の特許文献は見つかっていない。
【0004】
【特許文献1】
実開平5−57913号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の回路においては、例えばコルピッツ発振回路の出力を2つの緩衝増幅回路のベースに印加する構成を取っているために、それぞれ結合コンデンサを必要とするなどして部品点数が多くなる。部品点数が多いと発振器の小型化が困難になるという問題が生じる。
【0006】
そこで、本発明は上記の問題点を解決することを目的とするもので、複数の緩衝増幅回路を有しながらも部品点数をさらに削減することによって小型化と低価格化を実現することのできる多出力発振器およびそれを用いた電子装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の多出力発振器は、発振用の第1のトランジスタ、該第1のトランジスタのベースと接地点との間に接続されたインダクタンス手段、前記第1のトランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段、前記第1のトランジスタのエミッタと接地点との間に接続された第2の容量手段を含むコルピッツ発振回路と、増幅用の複数の第2のトランジスタ、および該複数の第2のトランジスタのベースを高周波的に接地する第3の容量手段を含むとともに、前記複数の第2のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路と、を備え、前記複数の第2のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の多出力発振器は、発振用の第1のトランジスタ、該第1のトランジスタのベースと接地点との間に接続されたインダクタンス手段、前記第1のトランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段、前記第1のトランジスタのエミッタと接地点との間に接続された第2の容量手段を含むコルピッツ発振回路と、増幅用の複数の第3のトランジスタ、および該複数の第3のトランジスタのベースを高周波的に接地する第4の容量手段を含むとともに、前記複数の第3のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのエミッタに接続されることによって両者がカスケード接続された第2の緩衝増幅回路と、を備え、前記複数の第3のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の多出力発振器は、発振用の第1のトランジスタ、該第1のトランジスタのベースと接地点との間に接続されたインダクタンス手段、前記第1のトランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段、前記第1のトランジスタのエミッタと接地点との間に接続された第2の容量手段を含むコルピッツ発振回路と、増幅用の1つ以上の第2のトランジスタ、および該1つ以上の第2のトランジスタのベースを高周波的に接地する第3の容量手段を含むとともに、前記1つ以上の第2のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路と、増幅用の1つ以上の第3のトランジスタ、および該1つ以上の第3のトランジスタのベースを高周波的に接地する第4の容量手段を含むとともに、前記1つ以上の第3のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのエミッタに接続されることによって両者がカスケード接続された第2の緩衝増幅回路と、を備え、前記1つ以上の第2のトランジスタおよび前記1つ以上の第3のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることを特徴とする。
【0010】
そして、本発明の電子装置は、上記のいずれかの多出力発振器を用いたことを特徴とする。
【0011】
このように構成することにより、本発明の多出力発振器においては、部品点数の削減による小型化と低価格化を実現することができる。
【0012】
また、本発明の電子装置においても、本発明の発振器を用いることによって、小型化と低価格化を実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の多出力発振器の一実施例の回路図を示す。図1において、多出力発振器1は、コルピッツ発振回路2と第1の緩衝増幅回路3から構成されている。
【0014】
コルピッツ発振回路2は、発振用の第1のトランジスタであるNPN型のトランジスタQ1、トランジスタQ1のベースとグランド(接地点)との間に接続されたインダクタンス手段である水晶振動子X1、トランジスタQ1のベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段であるコンデンサC1、トランジスタQ1のエミッタとグランド(接地点)との間に接続された第2の容量手段であるコンデンサC2、トランジスタQ1のエミッタとグランドとの間に接続されたバイアス用の抵抗R1、トランジスタQ1のコレクタ・ベース間に接続されたベースバイアス用の抵抗R2から構成されている。
【0015】
第1の緩衝増幅回路3は、増幅用の第2のトランジスタであるNPN型のトランジスタQ2およびQ3、コンデンサC3、C4およびC5、抵抗R3、R4およびR5から構成されている。ここではトランジスタQ2およびQ3のタイプはトランジスタQ1と同じでなければならない。トランジスタQ2およびQ3のベースは互いに接続されるとともに第3の容量手段であるコンデンサC3を介してグランド(接地点)に接続されることによって高周波的に接地されている。抵抗R3およびR4は、それぞれ正の電源端子+VccとトランジスタQ2およびQ3のコレクタとの間に接続されている。抵抗R5は電源端子+VccとトランジスタQ2およびQ3の互いに接続されたベースとの間に接続されている。トランジスタQ2およびQ3のエミッタは互いに接続されるとともに、コルピッツ発振回路2のトランジスタQ1のコレクタに接続されている。そのため、トランジスタQ2とQ1、トランジスタQ3とQ1はそれぞれカスケード接続されていることになる。そして、トランジスタQ2およびQ3のコレクタは、それぞれコンデンサC4およびC5を介して出力端子P1およびP2に接続されている。なお、コルピッツ発振回路2の抵抗R2はトランジスタQ1のベースと第1の緩衝増幅回路3のトランジスタQ2のベースとの間に接続されていても良いし、トランジスタQ1のベースと電源端子+Vccの間に接続されていても良い。
【0016】
このように構成された多出力発振器1において、トランジスタQ1のコレクタはトランジスタQ2やQ3のエミッタに接続されることによって擬似的に接地されるため、トランジスタQ1は実質的にコレクタ接地になる。そのため、高周波的には水晶振動子X1はトランジスタQ1のコレクタ・ベース間に接続されることになり、コンデンサC2はトランジスタQ1のコレクタ・エミッタ間に接続されることになるため、トランジスタQ1と水晶振動子X1とコンデンサC1およびC2で実質的にコルピッツ発振回路が形成されることになる。そこで、本発明においては、これらに抵抗R1およびR2を加えた回路全体をコルピッツ発振回路2と称している。
【0017】
コルピッツ発振回路2の発振信号はトランジスタQ1のコレクタから出力される。トランジスタQ1のコレクタは擬似的な接地であって完全な接地ではないためにこのようなことが可能になる。トランジスタQ1のコレクタから出力された発振信号はトランジスタQ2およびQ3のエミッタに入力される。トランジスタQ2およびQ3のベースはともにコンデンサC3によって高周波的に接地されているため、ベース接地、エミッタ入力の2つの緩衝増幅回路として動作する。2つの緩衝増幅回路の出力はトランジスタQ2およびQ3のコレクタから出力され、それぞれコンデンサC4およびC5を介して出力端子P1およびP2から出力される。
【0018】
多出力発振器1において、2つ目の出力端子である出力端子P2から発振信号を出力するためのみに必要な構成要素は第1の緩衝増幅回路3のトランジスタQ3、抵抗R4、およびコンデンサC5である。コンデンサC3と抵抗R5はトランジスタQ3のベース接地およびベースバイアスのために用いられるが、トランジスタQ2のベース接地およびベースバイアスのためにも用いられており、多出力構成でなくても必要な構成要素である。したがって、多出力発振器1において2つ目の信号出力のために追加しなければならなかった構成要素はトランジスタQ3、抵抗R4、およびコンデンサC5の3点だけである。なお、通常、緩衝増幅回路を1つ余分に追加しようとすると、信号のカップリングのためにコンデンサが必要になることが普通であるが、多出力発振器1においてはコルピッツ発振回路と緩衝増幅回路のトランジスタのカスケード接続部分を信号経路として用いているためにカップリングのためのコンデンサも必要としない。このように、多出力発振器1においてはわずかに3つの構成要素を追加するだけで、1出力から2出力に変更することができる。
【0019】
なお、多出力発振器1においては2出力構成となっているが、出力をさらに増やすことも容易で、その場合にも1出力から2出力に変更するときに必要な3つの構成要素を増加する出力の分だけ追加するだけでよい。緩衝増幅用のトランジスタのベース接地およびベースバイアスのためのコンデンサC3と抵抗R5は出力数が増えても共通に利用できる。
【0020】
このように、本発明の多出力発振器1においては、少ない構成要素の追加で出力数の増加が可能になる。
【0021】
なお、多出力発振器1においては3つのトランジスタのタイプをNPN型としたが、電源を負にして3つのトランジスタのタイプをPNP型にしてもほとんど同様の構成で多出力発振器が実現でき、同様の効果を奏することができる。
【0022】
図2に、本発明の多出力発振器の別の実施例の回路図を示す。図2において、多出力発振器10は、コルピッツ発振回路11と第2の緩衝増幅回路12から構成されている。
【0023】
コルピッツ発振回路11は、発振用の第1のトランジスタであるNPN型のトランジスタQ1、トランジスタQ1のベースとグランドとの間に接続されたインダクタンス手段である水晶振動子X1、トランジスタQ1のベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段であるコンデンサC1、トランジスタQ1のエミッタとグランドとの間に接続された第2の容量手段であるコンデンサC2、トランジスタQ1のエミッタに接続されたバイアス用の抵抗R1、トランジスタQ1のコレクタ・ベース間に接続されたベースバイアス用の抵抗R2、およびトランジスタQ1のコレクタとグランド(接地点)との間に接続されたコンデンサC6から構成されている。なお、コルピッツ発振回路11におけるコルピッツ発振回路2との違いは、トランジスタQ1のコレクタとグランドとの間に接続されたコンデンサC6が増えた点だけである。
【0024】
第2の緩衝増幅回路12は、増幅用の第3のトランジスタであるPNP型のトランジスタQ4およびQ5、コンデンサC7、C8およびC9、抵抗R6、R7およびR8から構成されている。ここではトランジスタQ4およびQ5のタイプはトランジスタQ1とは逆でなければならない。トランジスタQ4およびQ5のベースは互いに接続されるとともに第4の容量手段であるコンデンサC7を介してグランド(接地点)に接続されることによって高周波的に接地されている。抵抗R6およびR7は、それぞれトランジスタQ4およびQ5のコレクタとグランドとの間に接続されている。抵抗R8はトランジスタQ4およびQ5の互いに接続されたベースとグランドとの間に接続されている。トランジスタQ4およびQ5のエミッタは互いに接続されるとともに、抵抗R1を介してコルピッツ発振回路11のトランジスタQ1のエミッタに接続されている。そのため、トランジスタQ1とQ4、トランジスタQ1とQ5はそれぞれカスケード接続されていることになる。そして、トランジスタQ4およびQ5のコレクタは、それぞれコンデンサC8およびC9を介して出力端子P3およびP4に接続されている。
【0025】
このように構成された多出力発振器10において、コルピッツ発振回路11はトランジスタQ1のコレクタがコンデンサC6を介して高周波的に接地されるために、コルピッツ発振回路2とは異なり純粋なコルピッツ発振回路となる。
【0026】
コルピッツ発振回路11の発振信号はトランジスタQ1のエミッタから出力され、抵抗R1を介してトランジスタQ4およびQ5のエミッタに入力される。トランジスタQ4およびQ5のベースはともにコンデンサC7によって高周波的に接地されているため、ベース接地、エミッタ入力の2つの緩衝増幅回路として動作する。2つの緩衝増幅回路の出力はトランジスタQ4およびQ5のコレクタから出力され、それぞれコンデンサC8およびC9を介して出力端子P3およびP4から出力される。
【0027】
なお、コルピッツ発振回路11の場合にはコルピッツ発振回路1の場合とは異なり、トランジスタQ1のエミッタは抵抗R1を介して第2の緩衝増幅回路12に接続されている。したがって、第2の緩衝増幅回路12をコルピッツ発振回路2における抵抗R1の代わりに利用することもできる。そして、その場合には抵抗R1を省略しても構わず、部品点数の削減を図ることができる。
【0028】
多出力発振器10においても、多出力発振器1の場合と同様に、2つ目の出力端子である出力端子P4から発振信号を出力するために追加しなければならなかった構成要素はトランジスタQ5、抵抗R7、およびコンデンサC9の3点だけである。また、多出力発振器10においても2つのトランジスタのカスケード接続部分を信号経路として用いているためにカップリングのためのコンデンサを必要としない。このように、多出力発振器10においてもわずかに3つの構成要素を追加するだけで、1出力から2出力に変更することができる。
【0029】
もちろん、出力をさらに増やすことも容易で、その場合にも1出力から2出力に変更するときに必要な3つの構成要素を増加する出力の分だけ追加するだけでよい。緩衝増幅用のトランジスタのベース接地およびベースバイアスのためのコンデンサC7と抵抗R8は出力数が増えても共通に利用できる。
【0030】
このように、本発明の多出力発振器10においては、少ない構成要素の追加で出力数の増加が可能になる。
【0031】
なお、多出力発振器10においてはコルピッツ発振回路11のトランジスタのタイプをNPN型とし、緩衝増幅回路12の2つのトランジスタのタイプをPNP型としたが、電源を負にして3つのトランジスタのタイプをそれぞれ逆にしてもほとんど同様の構成で多出力発振器が実現でき、同様の効果を奏することができる。
【0032】
図3に、本発明の多出力発振器のさらに別の実施例の回路図を示す。図3において、図1および図2と同一もしくは同等の部分には同じ記号を付し、その説明を省略する。
【0033】
図3において、多出力発振器20は、図1に示した多出力発振器1と図2に示した多出力発振器10を合成した構成になっている。すなわち、多出力発振器1におけるコルピッツ発振回路2のトランジスタQ1のエミッタを、抵抗R1を介してグランドに接続する代わりに多出力発振器10における第2の緩衝増幅回路12に接続して構成している。
【0034】
このように構成された多出力発振器20においては、多出力発振器1と多出力発振器10の両方の機能を備えており、4出力の発振器となっている。そして、少ない構成要素の追加で出力数を増やすことができるという多出力発振器1や10と同様の効果を備えている。もちろん、多出力発振器10の場合と同様に抵抗R1を省略して部品点数の削減を図ることもできる。
【0035】
また、多出力発振器30においては、コルピッツ発振回路2から緩衝増幅回路3への発振信号の出力点はトランジスタQ1のコレクタであり、緩衝増幅回路12への発振信号の出力点はトランジスタのエミッタであり、コルピッツ発振回路の異なる2カ所から発振出力が取り出される構成になっている。そのため、緩衝増幅回路3の2つの出力と緩衝増幅回路12の2つの出力との間のアイソレーションが良くなる。また、トランジスタ間のカスケード接続部分を信号経路として用いているためにカップリングのためのコンデンサを必要としない。また、3段のトランジスタを直列に接続しているために電源の利用効率が高い。
【0036】
ところで、多出力発振器20においては4出力となっているが、第1の緩衝増幅回路と第2の緩衝増幅回路の両方を含む場合には、いずれの緩衝増幅回路も1出力しかなくても多出力発振器を構成することができる。このような多出力発振器について次に説明する。
【0037】
図4に、上述のような本発明の多出力発振器のさらに別の実施例の回路図を示す。図4において、第1の緩衝増幅回路31は、図1における第1の緩衝増幅回路3からトランジスタQ3、抵抗R4、およびコンデンサC5を削除して1出力構成にしたものである。また、第2の緩衝増幅回路32は、図2における第2の緩衝増幅回路12からトランジスタQ5、抵抗R7、およびコンデンサC9を削除して1出力構成にしたものである。したがって、トランジスタQ2、Q1、Q4がカスケード接続されていることになる。
【0038】
このように構成された多出力発振器30においては、同じ2出力の発振器である多出力発振器1や多出力発振器10に比べると部品点数の削減効果は少ないが、トランジスタ間のカスケード接続部分を信号経路として用いているためにカップリングのためのコンデンサを必要としない。また、全てのトランジスタを直列に接続しているために電源の利用効率が高い。また、2つの緩衝増幅回路31および32とコルピッツ発振回路2との接続点が異なっているために、2つの出力間のアイソレーションが良くなる。
【0039】
なお、多出力発振器30においても、多出力発振器10や20の場合と同様にコルピッツ発振回路2の抵抗R1を省略して部品点数の削減を図ることができる。
【0040】
また、上記の各実施例においては、コルピッツ発振回路のインダクタンス手段として水晶振動子を用いているが、これに限るものではなく他の圧電振動子や巻き線コイル、ストリップ線路共振器など、実質的にインダクタンスを有するものであれば何でもインダクタンス手段とすることができる。また、容量手段に関しても、個別素子としてのコンデンサに限るものではなく、実装基板の中に形成された2つの電極間の静電容量や何らかの半導体素子の接合容量など、静電容量を有するものであればなんでも容量手段とすることができる。
【0041】
図5に、本発明の電子装置の一実施例の斜視図を示す。図5において、電子装置の1つである携帯電話機100は、筐体101と、その中に配置されたプリント基板102と、プリント基板102上に基準信号源として実装された本発明の多出力発振器1を備えている。
【0042】
このように構成された携帯電話機100においては、本発明の多出力発振器1を用いているため、発振器の数を減らして小型化と低価格化を実現することができる。
【0043】
なお、図5においては電子装置として携帯電話機を示したが、電子装置としては携帯電話機に限るものではなく、本発明の多出力発振器を用いたものであれば何でも構わないものである。
【0044】
【発明の効果】
本発明の多出力発振器によれば、発振用の第1のトランジスタを含むコルピッツ発振回路と、増幅用の複数の第2のトランジスタおよび第2のトランジスタのベースを高周波的に接地する第3の容量手段を含むとともに第2のトランジスタのエミッタが第1のトランジスタのコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路とを備え、第2のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることによって、部品点数の削減による小型化と低価格化を実現することができる。
【0045】
また、発振用の第1のトランジスタを含むコルピッツ発振回路と、増幅用の複数の第3のトランジスタおよび第3のトランジスタのベースを高周波的に接地する第4の容量手段を含むとともに第3のトランジスタのエミッタが第1のトランジスタのエミッタに接続されることによって両者がカスケード接続された第2の緩衝増幅回路とを備え、第3のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることによって、部品点数の削減による小型化と低価格化を実現することができる。
【0046】
また、発振用の第1のトランジスタを含むコルピッツ発振回路と、増幅用の1つ以上の第2のトランジスタおよび第2のトランジスタのベースを高周波的に接地する第3の容量手段を含むとともに第2のトランジスタのエミッタが第1のトランジスタのコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路と、増幅用の1つ以上の第3のトランジスタおよび第3のトランジスタのベースを高周波的に接地する第4の容量手段を含むとともに第3のトランジスタのエミッタが第1のトランジスタのエミッタに接続されることによって両者がカスケード接続された第2の緩衝増幅回路とを備え、第2のトランジスタおよび第3のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることによって、部品点数の削減による小型化と低価格化を実現することができる。
【0047】
また、本発明の電子装置によれば、本発明の多出力発振器を用いることによって、発振器数の削減による小型化と低価格化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多出力発振器の一実施例を示す回路図である。
【図2】本発明の多出力発振器の別の実施例を示す回路図である。
【図3】本発明の多出力発振器のさらに別の実施例を示す回路図である。
【図4】本発明の多出力発振器のさらに別の実施例を示す回路図である。
【図5】本発明の電子装置の一実施例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、10、20、30…多出力発振器
2、11…コルピッツ発振回路
3、31…第1の緩衝増幅回路
12、32…第2の緩衝増幅回路
X1…水晶振動子(インダクタンス手段)
Q1…トランジスタ(第1のトランジスタ)
Q2、Q3…トランジスタ(第2のトランジスタ)
Q4、Q5…トランジスタ(第2のトランジスタ)
C1…コンデンサ(第1の容量手段)
C2…コンデンサ(第2の容量手段)
C3…コンデンサ(第3の容量手段)
100…携帯電話機
Claims (4)
- 発振用の第1のトランジスタ、該第1のトランジスタのベースと接地点との間に接続されたインダクタンス手段、前記第1のトランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段、前記第1のトランジスタのエミッタと接地点との間に接続された第2の容量手段を含むコルピッツ発振回路と、
増幅用の複数の第2のトランジスタ、および該複数の第2のトランジスタのベースを高周波的に接地する第3の容量手段を含むとともに、前記複数の第2のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路と、
を備え、前記複数の第2のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることを特徴とする多出力発振器。 - 発振用の第1のトランジスタ、該第1のトランジスタのベースと接地点との間に接続されたインダクタンス手段、前記第1のトランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段、前記第1のトランジスタのエミッタと接地点との間に接続された第2の容量手段を含むコルピッツ発振回路と、
増幅用の複数の第3のトランジスタ、および該複数の第3のトランジスタのベースを高周波的に接地する第4の容量手段を含むとともに、前記複数の第3のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのエミッタに接続されることによって両者がカスケード接続された第2の緩衝増幅回路と、
を備え、前記複数の第3のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることを特徴とする多出力発振器。 - 発振用の第1のトランジスタ、該第1のトランジスタのベースと接地点との間に接続されたインダクタンス手段、前記第1のトランジスタのベース・エミッタ間に接続された第1の容量手段、前記第1のトランジスタのエミッタと接地点との間に接続された第2の容量手段を含むコルピッツ発振回路と、
増幅用の1つ以上の第2のトランジスタ、および該1つ以上の第2のトランジスタのベースを高周波的に接地する第3の容量手段を含むとともに、前記1つ以上の第2のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのコレクタに接続されることによって両者がカスケード接続された第1の緩衝増幅回路と、
増幅用の1つ以上の第3のトランジスタ、および該1つ以上の第3のトランジスタのベースを高周波的に接地する第4の容量手段を含むとともに、前記1つ以上の第3のトランジスタのエミッタが前記第1のトランジスタのエミッタに接続されることによって両者がカスケード接続された第2の緩衝増幅回路と、
を備え、前記1つ以上の第2のトランジスタおよび前記1つ以上の第3のトランジスタの各コレクタから発振信号が出力されることを特徴とする多出力発振器。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の多出力発振器を用いたことを特徴とする電子装置。
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2002
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