JP2004158685A - 多結晶シリコン薄膜およびその製法 - Google Patents
多結晶シリコン薄膜およびその製法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】電気特性に優れたポリシリコン膜を得る。比較的に薄い膜厚で、大きな粒径のポリシリコン膜を得る。
【解決手段】成膜速度の変調、原料ガス組成の変調、成長とエッチングの交互操作などを組合わせて、膜厚1000Åの時の平均粒径が100Å以上の、ポリシリコン膜を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】成膜速度の変調、原料ガス組成の変調、成長とエッチングの交互操作などを組合わせて、膜厚1000Åの時の平均粒径が100Å以上の、ポリシリコン膜を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多結晶薄膜に係わり、より詳しくは薄膜トランジスタや太陽電池の半導体層として用いられる多結晶シリコン(ポリシリコン)薄膜の構造及び製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリシリコン薄膜は、数Å〜数μmの微細な結晶粒が多数結合した状態で、その形成方法には、固相成長法、レーザーアニール法、気相成長法などがある。固相成長法は基板上にまずアモルファスシリコンを堆積した後、長時間加熱アニールして固相反応でポリシリコンを形成させるものである。レーザーアニール法は、高出力レーザーによって短時間にこのアニールを行うものである。一方、気相成長法によるポリシリコンの形成は、古くは熱CVD法が用いられてきたが、低温でガラス上に成長する手法として、特開平2−202018や特開平3−250624が開示されている。これは、SiH4 などの原料ガスに、FやClなどのハロゲンを含んだガスを添加して、プラズマや光のエネルギーを加えて分解反応させ、基板上にポリシリコンを直接堆積するものである。これは、アニール工程を用いないので、コストやスループットの面から有利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の製法によって得られたポリシリコン膜は、表面の結晶粒径は比較的大きいが、堆積初期の結晶核成長を制御していないため、基板界面近傍の結晶粒が著しく小さくなっていた。膜下部の界面の結晶粒が小さいと、界面近傍で電荷を輸送するボトムゲート型のトランジスタの電気特性が非常に悪くなるというような問題点があった。また、トップゲート型トランジスタにおいても、ポリシリコンの粒径を大きくしようとすると、半導体層を厚くしなければならない。これを液晶表示素子に応用する際に、ゲート絶縁膜と積層で補助容量を形成すると、容量が減少し補助容量の面積を大きくせねばならず、素子面積が拡大して開口率が低下するという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記のような問題点は、本発明で被堆積物界面から1000Å厚までの多結晶の平均粒径が、100Å以上であることを特徴とするポリシリコン薄膜を提供することで解決される。前記ポリシリコン膜のプロセス温度は、500℃以下であって、膜厚と共に成長速度を大きくしていくことを特徴としている。前記ポリシリコン膜は、成膜初期で膜成長を一旦止めて、膜をエッチングし、被堆積物表面の微小核の密度を減少させてから再成長する成膜方法によって達成された。前記ポリシリコン膜は、膜厚と共に膜中に含まれるハロゲン濃度を減少させていくことによって達成された。
【0005】
(作用)
以下に本発明による、ポリシリコン膜の作用を説明する。
【0006】
本発明によれば、被堆積物界面から1000Å厚までの多結晶の平均粒径が、100Å以上であることを特徴とするポリシリコン薄膜によって、ボトムゲート型のトランジスタでは電気特性が大幅に改善される。また、トップゲート型トランジスタにおいても半導体層を薄くすることが可能になり、液晶用素子の設計の自由度が広がる。
【0007】
[実験1]
以下に、本発明に係わるポリシリコン膜の粒径評価法について述べる。
【0008】
膜厚を1000Åに統一したポリシリコン膜について、ラマン分光法で測定しZ IqbalとS Veprekの解析方法(Solid State Phys 15(1982)p.377−392)で、そのピークシフト値から粒径の見積もりを行った。
【0009】
成膜方法は、プラズマCVD法で、主要な作製パラメータは次のようであった。
【0010】
図2は、堆積速度と粒径の関係を示したものである。ある程度の粒径までは、堆積速度が小さいほど粒径が大きくなる傾向がある。堆積速度が0.4Å/sec以下である時、平均粒径が100Å以上になっていることが判る。
【0011】
しかし、この堆積速度は、工業的には非常に遅く量産向きではない。一般に多結晶薄膜のCVD法による堆積では、堆積初期の多結晶の粒径が小さくなり、膜厚とともに粒径が大きくなる傾向がある。そこで、堆積条件を変えて、堆積速度を(1)0.3Å/sec(2)1Å/secの2段階に変化させてポリシリコンの成膜を行った。図3は堆積速度0.3Å/secの条件で堆積した膜厚と、平均粒径の関係を示したものである。(トータル膜厚は1000Åである)堆積初期の200Åまでを、0.3Å/secの条件で成長したものが、平均粒径100Å以上になっていることが判る。
【0012】
[実験2]
堆積初期の結晶性を改善する方法として、原料ガスにハロゲン系ガスを高濃度に添加する方法を試みた。ハロゲン系ガスの濃度が高いと結晶性は良くなるが、成長速度が低下したり、膜応力が増加して膜ハガレが発生する。
【0013】
SiH4 /SiF4 =10/700
基板サイズ 300×300mm
基板温度 400℃
RFパワー 1.5W/cm2
圧力 0.8torr
以上の条件で成長したところ、堆積速度は0.3Å/secで、1000Åの膜厚で膜ハガレが発生した。
【0014】
(2−a)
そこで、成長初期にハロゲン系添加ガス(SiF4 や、HCl、HF、SiH2 Cl2 など)の濃度を相対的に高くして、膜成長に伴って濃度を低下させた。
【0015】
SiH4 とSiF4 を用いてガス組成を
(1)SiH4 /SiF4 =10/700 堆積速度 0.3Å/sec
(2)SiH4 /SiF4 =30/700 堆積速度 1.2Å/sec
と2段階で変化させた。図4は成膜条件と結晶性の関係を示したものである。横軸は、トータル膜厚1000Åの内で、条件(1)で成膜した初期膜厚の割合を示したもので、縦軸は平均粒径を表している。SiF4 の組成比の大きい(1)の条件で成長する割合を大きくすると、結晶性が向上している。
【0016】
(2−b)
さらに、ガス組成の割合を3段階で変化させた。
(1)SiH4 /SiF4 =10/700 堆積速度 0.3Å/sec
(2)SiH4 /SiF4 =30/700 堆積速度 1.2Å/sec
(3)SiH4 /SiF4 =40/200 堆積速度 1.9Å/sec
図5は成膜条件と結晶性の関係を示したものである。同様にSiF4 の組成比の大きい(1)の条件で成長する割合を大きくすると、結晶性が向上している。また、前述の(2−a)と比べてみると、トータルの成長速度が大きくても同様の結晶性が得られている。原料ガス中のハロゲンガスの濃度を低下させていくことは、結晶性と生産性の双方に効果があることが判った。
【0017】
図6は実験(2−b)のサンプルの一つをSIMS(二次イオン質量分析)法による組成分析のプロファイルである。膜中のF濃度が、基板界面で高く、膜厚が厚くなると低下していることを示している。
【0018】
(2−c)
同様にSiH4 とHClとH2 を用いてガス組成を
(1)SiH4 /HCl/H2 =20/10/500
(2)SiH4 /HCl/H2 =40/2/500
と2段階で変化させた。図7は成膜条件と結晶性の関係を示したものである。横軸は、トータル膜厚1000Åの内で、条件(1)で成膜した初期膜厚の割合を示したもので、縦軸は平均粒径を表している。HClの組成比の大きい(1)の条件で成長する割合を大きくすると、結晶性が向上している。
【0019】
[実験3]
次に堆積初期の膜を気相中でエッチングして、微細な多結晶を除去して粒径の大きなものだけを残し、更に堆積を続けるという方法を試みた。
【0020】
まず、前述のCVDで堆積速度1Å/secで堆積80Åのポリシリコンを堆積した(この条件で1000Åのポリシリコンを堆積すると、平均粒径は30Åとなる)。次に、エッチングガスを導入し気相でエッチングして、さらに同様に堆積速度1Å/secで1000Åの膜厚までポリシリコンを再成長させて、ラマン分光法を使って平均粒径の評価を行った。エッチングには、Arで3%に希釈したNF3 を用いた。図8はエッチングする時の膜厚と、再成長後の粒径の関係を示したものである。エッチングをかけるまえの膜厚が150Å以下の時、再成長後の平均粒径が100Å以上になっていることが判る。
【0021】
[実験4]
さらに、堆積初期のエッチングを複数回繰り返すことにより、結晶性の改善を試みた。堆積速度に換算して50Åの膜厚ごとに、前述の気相エッチングを繰り返して、できた膜の平均粒径を測った(最終膜厚は1000Å。堆積速度は、1Å/secであった)。図9は、エッチングの回数と、粒径の関係を示したものである。これらの結果から、エッチング回数が5回くらいまで、堆積初期のエッチングが最終膜の粒径を大きくするのに有効であることが判った。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による実施態様例を示すポリシリコン膜の断面の模式図である。図10は、従来の方法で作製されたポリシリコン膜の断面を示したものである。本発明においては、基板界面近傍の結晶粒径が著しく大きくなっている。
【0023】
以下に本発明によるポリシリコン膜の堆積方法の実施態様の一例を述べる。高融点ガラス、石英やセラミックなどを基板として用いる。その上に、Mo、Ni、Ta、Cu、Alなどでゲート配線をパターニングして、さらにSiO2 やSiNx、TaOxなどの絶縁膜で覆っても良い。この基板を、プラズマCVD装置の中に設置し、真空に排気して加熱する。この時の基板温度は、一般には150℃〜500℃、好ましくは200℃〜480℃、最適には250℃〜450℃である。次に、Siを含む原料ガスに場合によっては希釈ガスを添加したものを導入し、高周波等によって分解し、ポリシリコン膜を堆積する。Siを含む原料ガスは、例えばSiH4 、Si2 H6 、SiF4 、SiCl2 H2 、SiCl4 などで、それらの混合ガスでも良い。希釈ガスとしては、H2 やHe、Arなどの不活性ガスなどが適用可能である。本発明においては、ポリシリコンの成膜速度を変化させることを特徴としている。ポリシリコンの膜厚が100Åになるまでの成膜速度は、一般には1.5Å/sec以下、好ましくは1.0Å/sec以下、最適には0.5Å/sec以下である。膜厚が100〜300Åまでの成膜速度は、一般には5.0Å/sec以下、好ましくは3.0Å/sec以下、最適には2.0Å/sec以下である。膜厚が300Å以上の成膜速度は、一般には8.0Å/sec以下、好ましくは5.0Å/sec以下、最適には3.0Å/sec以下である。
【0024】
本発明の他の実施態様例として、原料ガス中のハロゲン含有ガスの添加量を膜厚の増加と共に減少させる手法がある。
【0025】
また、他の態様例では、堆積初期に成長を止めて気相でエッチングをしてから再成長をする手法がある。エッチングをかける際の膜厚は、一般には300Å以下、好ましくは250Å以下、最適には100Å以下である。さらに、エッチングと堆積を繰り返しても良い。エッチングから次のエッチングまでの堆積膜厚は、一般には300Å以下、好ましくは200Å以下、最適には100Å以下である。
【0026】
(実施例1)
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0027】
厚さ1mm、300×300mmの低アルカリガラス基板(旭硝子AN635)に、プラズマCVD法によりポリシリコン膜を1000Å堆積した。堆積条件は、膜厚の増加にともなって、以下のように2段階に変化させた。
【0028】
(1)膜厚300Åまで
SiH4 5sccm
H2 3000sccm
圧力 0.5torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 0.31Å/sec]
(2)膜厚1000Åまで
SiH4 30sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.54Å/sec]
堆積された膜を、波長514.5nmのArレーザーを使ってラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ110Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、105Åであった。
【0029】
(比較例1)
以下に、比較例を説明する。
【0030】
実施例1と同様に、プラズマCVD法によりポリシリコン膜を1000Å堆積した。堆積条件は、膜厚による変化をさせず、実施例1(2)を用いた。
【0031】
*堆積条件(膜厚1000Åにおいて一定)
SiH4 30sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.54Å/sec]
堆積された膜を、ラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ40Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、45Åであった。
【0032】
(実施例2)
以下に、本発明を他の実施例を説明する。
【0033】
実施例1と同様に厚さ1mm、300×300mmの低アルカリガラス基板(旭硝子AN635)に、プラズマCVD法によりポリシリコン膜を1000Å堆積した。堆積条件は、膜厚の増加にともなって、以下のように3段階に変化させた。
【0034】
(1)膜厚200Åまで
SiH4 3sccm
H2 3000sccm
圧力 0.5torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 0.23Å/sec]
(2)膜厚600Åまで
SiH4 20sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.32Å/sec]
(3)膜厚1000Åまで
SiH4 30sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.54Å/sec]
堆積された膜を、波長514.5nmのArレーザーを使ってラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ120Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、110Åであった。
【0035】
(実施例3)
以下に、本発明の他の実施例を説明する。
【0036】
実施例1と同様に、プラズマCVD法によりポリシリコン膜を1000Å堆積した。堆積条件は、膜厚の増加にともなって、以下のように3段階に変化させた。
【0037】
(1)膜厚300Åまで
SiF4 200sccm
SiH4 5sccm
H2 1000sccm
圧力 0.5torr
RFパワー 600W
基板温度 420℃
[堆積速度 0.31Å/sec]
(2)膜厚600Åまで
SiF4 100sccm
SiH4 10sccm
H2 1000sccm
圧力 0.5torr
RFパワー 600W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.48Å/sec]
(3)膜厚1000Åまで
SiH4 30sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 600W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.54Å/sec]
堆積された膜を、ラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ100Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、110Åであった。一方、膜中のF濃度をSIMS分析で測定したところ、基板近傍で1×10exp21atom/cm3 、膜厚500Åのところで、5×10exp20atom/cm3 、膜厚900Åのところで、2×10exp20atom/cm3 であった。
【0038】
(実施例4)
以下に、本発明の他の実施例を説明する。
【0039】
実施例1と同様の基板に、堆積の途中で気相エッチングを加えて再成長するという手法で、ポリシリコン膜を1000Å堆積した。
【0040】
まず下記の堆積条件で、膜厚の100Åのポリシリコン膜を堆積した。
【0041】
(1)初期膜の堆積条件
SiH4 20sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
次に以下の条件で膜のエッチングを行った。
【0042】
(2)エッチング条件
NF3 100sccm
Ar 900sccm
圧力 0.1torr
RFパワー 100W
エッチング時間 20秒
さらに第二の条件で、1000Åまでポリシリコン膜を堆積した。
【0043】
(3)第二の堆積条件
SiH4 50sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
堆積された膜を、ラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ120Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、115Åであった。
【0044】
(実施例5)
以下に、本発明の他の実施例を説明する。
【0045】
実施例1と同様の基板に、堆積の途中で気相エッチングと堆積を繰り返するという手法で、ポリシリコン膜を1000Å堆積した。
【0046】
まず下記の堆積条件で、膜厚の100Åのポリシリコン膜を堆積した。
【0047】
(1)初期膜の堆積条件
SiH4 20sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
次に以下の条件で膜のエッチングを行った。
【0048】
(2)エッチング条件
NF3 100sccm
Ar 900sccm
圧力 0.1torr
RFパワー 100W
エッチング時間 20秒
これを3回繰り返して、さらに第二の条件で、1000Åまでポリシリコン膜を堆積した。
【0049】
(3)第二の堆積条件
SiH4 50sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
堆積された膜を、ラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ140Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、125Åであった。
【0050】
(実施例6)
実施例1と比較例1の条件で作製した薄膜に、水素プラズマを使って結晶粒界のパッシベーションを行った。処理条件は以下のようであった。
【0051】
圧力 1.3torr
RFパワー 0.5W/cm2
基板温度 280℃
時間 300秒
処理した基板を10mm□に切って、Hall測定を行ったところHall移動度は
*実施例1のサンプル 15cm2 /VS
*比較例1のサンプル 3cm2 /VS
であった。
【0052】
(実施例7)
実施例1の作製条件を半導体層の堆積条件に用いて、図11に示すようなボトムゲート型のTFTを作製した。ゲートメタルはCr1000Å、ゲート絶縁膜はSiO2 2000Å、Si層は1000Å、n+Siは500Å、ソースドレインはTi300Å/Al 6000Å/Ti500Åとした。素子プロセスの最後に、実施例6の条件で水素プラズマ処理を行った。移動度を測定したところ、10cm2 /VSであった。
【0053】
(比較例2)
比較例1の作製条件を半導体層の堆積条件に用いて、実施例7と同じ構成のTFTを作製した。同様に素子プロセスの最後に、実施例6の条件で水素プラズマ処理を行った。移動度を測定したところ、1cm2 /VSであった。
【0054】
(実施例8)
実施例1の作製条件を半導体層の堆積条件に用いて、図12に示すようなトップゲート型のTFTを作製した。ソースドレインメタルはCr500Å、n+Siは500Å、Si層は2000Å、ゲート絶縁膜SiNx 2000Å、ゲートメタルはTi300Å/Al 8000Å/Ti500Åとした。素子プロセスの最後に、実施例6の条件で水素プラズマ処理を行った。移動度を測定したところ、21cm2 /VSであった。
【0055】
(比較例3)
比較例1の作製条件を半導体層の堆積条件に用いて、実施例8と同じ構成のTFTを作製した。同様に素子プロセスの最後に、実施例6の条件で水素プラズマ処理を行った。移動度を測定したところ、9cm2 /VSであった。
【0056】
(比較例4)
比較例3のトップゲート型TFTで、Si半導体層の厚みを5000Åにしたところ、移動度19cm2 /VSが得られた。
【0057】
(実施例9)
図13は本発明のTFTを用いた液晶ディスプレイの断面の一部を示したものである。TFTは実施例8と同様の構成で作製した。TFTの上にアクリル性平坦化膜603(JSR製 PC403)を2μm堆積し、コンタクトホール610を形成した後ITO604 900Å画素電極を形成した。その上に、ポリイミド配向膜605(住友ベークライト製 CRD6)100Åを塗布した。
【0058】
対向基板には、全面にITO607を700Å形成した上に、ポリイミド配向膜608を100Å塗布し両方の基板のラビング方向が互いに反平行になるようにラビングした。スペーサーとして平均粒径2μmのシリカビーズ606を散布し張り合わせ、以下に示す液晶組成物611を調整し等方相の温度で注入した。
【外1】
【0059】
【外2】
【0060】
これをカイラルスメティック液晶相を示す温度まで冷却し、この際Ch−SmC*相転移前後において−5Vのオフセット電圧を印加して冷却を行う処理をした。
【0061】
画素サイズは300μm×100μm、TFTサイズはL/W=6μm/20μmであった。液晶の自発分極が1.2nCあり、セルギャップ2μmと狭いために負荷容量が大きいにも関わらず、この液晶素子を動作したところ、50μsecの応答速度で動作した。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、被堆積物界面から1000Å厚までの多結晶の平均粒径が、100Å以上であるポリシリコン薄膜を用いることで、ボトムゲート型TFTの電気特性が大幅に改善された。また、トップゲート型トランジスタにおいても半導体層を薄くしても高移動度が得られた。このことによって液晶表示素子に応用する際に、素子段差を小さく設計できるので、歩留まりや液晶配向性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポリシリコンの断面概念図。
【図2】堆積速度と平均粒径の関係を示す図。
【図3】堆積速度を変調させた時の平均粒径の関係を示す図。
【図4】ガス組成を変調させた時の平均粒径の関係を示す図。
【図5】ガス組成を変調させた時の平均粒径の関係を示す図。
【図6】ガス組成を変調させた時の膜中のF濃度分布。
【図7】ガス組成を変調させた時の平均粒径の関係を示す図。
【図8】エッチング処理を行ったポリシリコンの初期膜の厚さと、得られた膜の平均粒径の関係。
【図9】エッチングと堆積の繰り返し回数と、得られた膜の平均粒径の関係。
【図10】従来のポリシリコンの断面構造。
【図11】ボトムゲート型TFT。
【図12】トップゲート型TFT。
【図13】TFTを用いたディスプレイの断面の一部を示す図。
【符号の説明】
101 ガラス基板
102 ゲート
103 ゲート絶縁膜
104 Si半導体層
105 n+Si
106 ソースドレイン
201 ガラス基板
202 ソースドレイン電極
203 n+Si
204 Si半導体層
205 ゲート絶縁膜
206 ゲート
601 ガラス基板
602 TFT
603 平坦化膜
604 ITO電極
605 配向膜
606 スペーサー
607 ITO電極
608 配向膜
609 シール剤
610 コンタクトホール
611 液晶
【発明の属する技術分野】
本発明は多結晶薄膜に係わり、より詳しくは薄膜トランジスタや太陽電池の半導体層として用いられる多結晶シリコン(ポリシリコン)薄膜の構造及び製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリシリコン薄膜は、数Å〜数μmの微細な結晶粒が多数結合した状態で、その形成方法には、固相成長法、レーザーアニール法、気相成長法などがある。固相成長法は基板上にまずアモルファスシリコンを堆積した後、長時間加熱アニールして固相反応でポリシリコンを形成させるものである。レーザーアニール法は、高出力レーザーによって短時間にこのアニールを行うものである。一方、気相成長法によるポリシリコンの形成は、古くは熱CVD法が用いられてきたが、低温でガラス上に成長する手法として、特開平2−202018や特開平3−250624が開示されている。これは、SiH4 などの原料ガスに、FやClなどのハロゲンを含んだガスを添加して、プラズマや光のエネルギーを加えて分解反応させ、基板上にポリシリコンを直接堆積するものである。これは、アニール工程を用いないので、コストやスループットの面から有利である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の製法によって得られたポリシリコン膜は、表面の結晶粒径は比較的大きいが、堆積初期の結晶核成長を制御していないため、基板界面近傍の結晶粒が著しく小さくなっていた。膜下部の界面の結晶粒が小さいと、界面近傍で電荷を輸送するボトムゲート型のトランジスタの電気特性が非常に悪くなるというような問題点があった。また、トップゲート型トランジスタにおいても、ポリシリコンの粒径を大きくしようとすると、半導体層を厚くしなければならない。これを液晶表示素子に応用する際に、ゲート絶縁膜と積層で補助容量を形成すると、容量が減少し補助容量の面積を大きくせねばならず、素子面積が拡大して開口率が低下するという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記のような問題点は、本発明で被堆積物界面から1000Å厚までの多結晶の平均粒径が、100Å以上であることを特徴とするポリシリコン薄膜を提供することで解決される。前記ポリシリコン膜のプロセス温度は、500℃以下であって、膜厚と共に成長速度を大きくしていくことを特徴としている。前記ポリシリコン膜は、成膜初期で膜成長を一旦止めて、膜をエッチングし、被堆積物表面の微小核の密度を減少させてから再成長する成膜方法によって達成された。前記ポリシリコン膜は、膜厚と共に膜中に含まれるハロゲン濃度を減少させていくことによって達成された。
【0005】
(作用)
以下に本発明による、ポリシリコン膜の作用を説明する。
【0006】
本発明によれば、被堆積物界面から1000Å厚までの多結晶の平均粒径が、100Å以上であることを特徴とするポリシリコン薄膜によって、ボトムゲート型のトランジスタでは電気特性が大幅に改善される。また、トップゲート型トランジスタにおいても半導体層を薄くすることが可能になり、液晶用素子の設計の自由度が広がる。
【0007】
[実験1]
以下に、本発明に係わるポリシリコン膜の粒径評価法について述べる。
【0008】
膜厚を1000Åに統一したポリシリコン膜について、ラマン分光法で測定しZ IqbalとS Veprekの解析方法(Solid State Phys 15(1982)p.377−392)で、そのピークシフト値から粒径の見積もりを行った。
【0009】
成膜方法は、プラズマCVD法で、主要な作製パラメータは次のようであった。
【0010】
図2は、堆積速度と粒径の関係を示したものである。ある程度の粒径までは、堆積速度が小さいほど粒径が大きくなる傾向がある。堆積速度が0.4Å/sec以下である時、平均粒径が100Å以上になっていることが判る。
【0011】
しかし、この堆積速度は、工業的には非常に遅く量産向きではない。一般に多結晶薄膜のCVD法による堆積では、堆積初期の多結晶の粒径が小さくなり、膜厚とともに粒径が大きくなる傾向がある。そこで、堆積条件を変えて、堆積速度を(1)0.3Å/sec(2)1Å/secの2段階に変化させてポリシリコンの成膜を行った。図3は堆積速度0.3Å/secの条件で堆積した膜厚と、平均粒径の関係を示したものである。(トータル膜厚は1000Åである)堆積初期の200Åまでを、0.3Å/secの条件で成長したものが、平均粒径100Å以上になっていることが判る。
【0012】
[実験2]
堆積初期の結晶性を改善する方法として、原料ガスにハロゲン系ガスを高濃度に添加する方法を試みた。ハロゲン系ガスの濃度が高いと結晶性は良くなるが、成長速度が低下したり、膜応力が増加して膜ハガレが発生する。
【0013】
SiH4 /SiF4 =10/700
基板サイズ 300×300mm
基板温度 400℃
RFパワー 1.5W/cm2
圧力 0.8torr
以上の条件で成長したところ、堆積速度は0.3Å/secで、1000Åの膜厚で膜ハガレが発生した。
【0014】
(2−a)
そこで、成長初期にハロゲン系添加ガス(SiF4 や、HCl、HF、SiH2 Cl2 など)の濃度を相対的に高くして、膜成長に伴って濃度を低下させた。
【0015】
SiH4 とSiF4 を用いてガス組成を
(1)SiH4 /SiF4 =10/700 堆積速度 0.3Å/sec
(2)SiH4 /SiF4 =30/700 堆積速度 1.2Å/sec
と2段階で変化させた。図4は成膜条件と結晶性の関係を示したものである。横軸は、トータル膜厚1000Åの内で、条件(1)で成膜した初期膜厚の割合を示したもので、縦軸は平均粒径を表している。SiF4 の組成比の大きい(1)の条件で成長する割合を大きくすると、結晶性が向上している。
【0016】
(2−b)
さらに、ガス組成の割合を3段階で変化させた。
(1)SiH4 /SiF4 =10/700 堆積速度 0.3Å/sec
(2)SiH4 /SiF4 =30/700 堆積速度 1.2Å/sec
(3)SiH4 /SiF4 =40/200 堆積速度 1.9Å/sec
図5は成膜条件と結晶性の関係を示したものである。同様にSiF4 の組成比の大きい(1)の条件で成長する割合を大きくすると、結晶性が向上している。また、前述の(2−a)と比べてみると、トータルの成長速度が大きくても同様の結晶性が得られている。原料ガス中のハロゲンガスの濃度を低下させていくことは、結晶性と生産性の双方に効果があることが判った。
【0017】
図6は実験(2−b)のサンプルの一つをSIMS(二次イオン質量分析)法による組成分析のプロファイルである。膜中のF濃度が、基板界面で高く、膜厚が厚くなると低下していることを示している。
【0018】
(2−c)
同様にSiH4 とHClとH2 を用いてガス組成を
(1)SiH4 /HCl/H2 =20/10/500
(2)SiH4 /HCl/H2 =40/2/500
と2段階で変化させた。図7は成膜条件と結晶性の関係を示したものである。横軸は、トータル膜厚1000Åの内で、条件(1)で成膜した初期膜厚の割合を示したもので、縦軸は平均粒径を表している。HClの組成比の大きい(1)の条件で成長する割合を大きくすると、結晶性が向上している。
【0019】
[実験3]
次に堆積初期の膜を気相中でエッチングして、微細な多結晶を除去して粒径の大きなものだけを残し、更に堆積を続けるという方法を試みた。
【0020】
まず、前述のCVDで堆積速度1Å/secで堆積80Åのポリシリコンを堆積した(この条件で1000Åのポリシリコンを堆積すると、平均粒径は30Åとなる)。次に、エッチングガスを導入し気相でエッチングして、さらに同様に堆積速度1Å/secで1000Åの膜厚までポリシリコンを再成長させて、ラマン分光法を使って平均粒径の評価を行った。エッチングには、Arで3%に希釈したNF3 を用いた。図8はエッチングする時の膜厚と、再成長後の粒径の関係を示したものである。エッチングをかけるまえの膜厚が150Å以下の時、再成長後の平均粒径が100Å以上になっていることが判る。
【0021】
[実験4]
さらに、堆積初期のエッチングを複数回繰り返すことにより、結晶性の改善を試みた。堆積速度に換算して50Åの膜厚ごとに、前述の気相エッチングを繰り返して、できた膜の平均粒径を測った(最終膜厚は1000Å。堆積速度は、1Å/secであった)。図9は、エッチングの回数と、粒径の関係を示したものである。これらの結果から、エッチング回数が5回くらいまで、堆積初期のエッチングが最終膜の粒径を大きくするのに有効であることが判った。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による実施態様例を示すポリシリコン膜の断面の模式図である。図10は、従来の方法で作製されたポリシリコン膜の断面を示したものである。本発明においては、基板界面近傍の結晶粒径が著しく大きくなっている。
【0023】
以下に本発明によるポリシリコン膜の堆積方法の実施態様の一例を述べる。高融点ガラス、石英やセラミックなどを基板として用いる。その上に、Mo、Ni、Ta、Cu、Alなどでゲート配線をパターニングして、さらにSiO2 やSiNx、TaOxなどの絶縁膜で覆っても良い。この基板を、プラズマCVD装置の中に設置し、真空に排気して加熱する。この時の基板温度は、一般には150℃〜500℃、好ましくは200℃〜480℃、最適には250℃〜450℃である。次に、Siを含む原料ガスに場合によっては希釈ガスを添加したものを導入し、高周波等によって分解し、ポリシリコン膜を堆積する。Siを含む原料ガスは、例えばSiH4 、Si2 H6 、SiF4 、SiCl2 H2 、SiCl4 などで、それらの混合ガスでも良い。希釈ガスとしては、H2 やHe、Arなどの不活性ガスなどが適用可能である。本発明においては、ポリシリコンの成膜速度を変化させることを特徴としている。ポリシリコンの膜厚が100Åになるまでの成膜速度は、一般には1.5Å/sec以下、好ましくは1.0Å/sec以下、最適には0.5Å/sec以下である。膜厚が100〜300Åまでの成膜速度は、一般には5.0Å/sec以下、好ましくは3.0Å/sec以下、最適には2.0Å/sec以下である。膜厚が300Å以上の成膜速度は、一般には8.0Å/sec以下、好ましくは5.0Å/sec以下、最適には3.0Å/sec以下である。
【0024】
本発明の他の実施態様例として、原料ガス中のハロゲン含有ガスの添加量を膜厚の増加と共に減少させる手法がある。
【0025】
また、他の態様例では、堆積初期に成長を止めて気相でエッチングをしてから再成長をする手法がある。エッチングをかける際の膜厚は、一般には300Å以下、好ましくは250Å以下、最適には100Å以下である。さらに、エッチングと堆積を繰り返しても良い。エッチングから次のエッチングまでの堆積膜厚は、一般には300Å以下、好ましくは200Å以下、最適には100Å以下である。
【0026】
(実施例1)
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
【0027】
厚さ1mm、300×300mmの低アルカリガラス基板(旭硝子AN635)に、プラズマCVD法によりポリシリコン膜を1000Å堆積した。堆積条件は、膜厚の増加にともなって、以下のように2段階に変化させた。
【0028】
(1)膜厚300Åまで
SiH4 5sccm
H2 3000sccm
圧力 0.5torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 0.31Å/sec]
(2)膜厚1000Åまで
SiH4 30sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.54Å/sec]
堆積された膜を、波長514.5nmのArレーザーを使ってラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ110Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、105Åであった。
【0029】
(比較例1)
以下に、比較例を説明する。
【0030】
実施例1と同様に、プラズマCVD法によりポリシリコン膜を1000Å堆積した。堆積条件は、膜厚による変化をさせず、実施例1(2)を用いた。
【0031】
*堆積条件(膜厚1000Åにおいて一定)
SiH4 30sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.54Å/sec]
堆積された膜を、ラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ40Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、45Åであった。
【0032】
(実施例2)
以下に、本発明を他の実施例を説明する。
【0033】
実施例1と同様に厚さ1mm、300×300mmの低アルカリガラス基板(旭硝子AN635)に、プラズマCVD法によりポリシリコン膜を1000Å堆積した。堆積条件は、膜厚の増加にともなって、以下のように3段階に変化させた。
【0034】
(1)膜厚200Åまで
SiH4 3sccm
H2 3000sccm
圧力 0.5torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 0.23Å/sec]
(2)膜厚600Åまで
SiH4 20sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.32Å/sec]
(3)膜厚1000Åまで
SiH4 30sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.54Å/sec]
堆積された膜を、波長514.5nmのArレーザーを使ってラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ120Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、110Åであった。
【0035】
(実施例3)
以下に、本発明の他の実施例を説明する。
【0036】
実施例1と同様に、プラズマCVD法によりポリシリコン膜を1000Å堆積した。堆積条件は、膜厚の増加にともなって、以下のように3段階に変化させた。
【0037】
(1)膜厚300Åまで
SiF4 200sccm
SiH4 5sccm
H2 1000sccm
圧力 0.5torr
RFパワー 600W
基板温度 420℃
[堆積速度 0.31Å/sec]
(2)膜厚600Åまで
SiF4 100sccm
SiH4 10sccm
H2 1000sccm
圧力 0.5torr
RFパワー 600W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.48Å/sec]
(3)膜厚1000Åまで
SiH4 30sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 600W
基板温度 420℃
[堆積速度 1.54Å/sec]
堆積された膜を、ラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ100Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、110Åであった。一方、膜中のF濃度をSIMS分析で測定したところ、基板近傍で1×10exp21atom/cm3 、膜厚500Åのところで、5×10exp20atom/cm3 、膜厚900Åのところで、2×10exp20atom/cm3 であった。
【0038】
(実施例4)
以下に、本発明の他の実施例を説明する。
【0039】
実施例1と同様の基板に、堆積の途中で気相エッチングを加えて再成長するという手法で、ポリシリコン膜を1000Å堆積した。
【0040】
まず下記の堆積条件で、膜厚の100Åのポリシリコン膜を堆積した。
【0041】
(1)初期膜の堆積条件
SiH4 20sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
次に以下の条件で膜のエッチングを行った。
【0042】
(2)エッチング条件
NF3 100sccm
Ar 900sccm
圧力 0.1torr
RFパワー 100W
エッチング時間 20秒
さらに第二の条件で、1000Åまでポリシリコン膜を堆積した。
【0043】
(3)第二の堆積条件
SiH4 50sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
堆積された膜を、ラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ120Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、115Åであった。
【0044】
(実施例5)
以下に、本発明の他の実施例を説明する。
【0045】
実施例1と同様の基板に、堆積の途中で気相エッチングと堆積を繰り返するという手法で、ポリシリコン膜を1000Å堆積した。
【0046】
まず下記の堆積条件で、膜厚の100Åのポリシリコン膜を堆積した。
【0047】
(1)初期膜の堆積条件
SiH4 20sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
次に以下の条件で膜のエッチングを行った。
【0048】
(2)エッチング条件
NF3 100sccm
Ar 900sccm
圧力 0.1torr
RFパワー 100W
エッチング時間 20秒
これを3回繰り返して、さらに第二の条件で、1000Åまでポリシリコン膜を堆積した。
【0049】
(3)第二の堆積条件
SiH4 50sccm
H2 3000sccm
圧力 0.7torr
RFパワー 800W
基板温度 420℃
堆積された膜を、ラマン分光分析を行って、平均粒径の評価を行ったところ140Åであった。また、X線回折法で回折ピークを測定しScherrerの方法で、その半値幅から粒径の見積もりを行ったところ、125Åであった。
【0050】
(実施例6)
実施例1と比較例1の条件で作製した薄膜に、水素プラズマを使って結晶粒界のパッシベーションを行った。処理条件は以下のようであった。
【0051】
圧力 1.3torr
RFパワー 0.5W/cm2
基板温度 280℃
時間 300秒
処理した基板を10mm□に切って、Hall測定を行ったところHall移動度は
*実施例1のサンプル 15cm2 /VS
*比較例1のサンプル 3cm2 /VS
であった。
【0052】
(実施例7)
実施例1の作製条件を半導体層の堆積条件に用いて、図11に示すようなボトムゲート型のTFTを作製した。ゲートメタルはCr1000Å、ゲート絶縁膜はSiO2 2000Å、Si層は1000Å、n+Siは500Å、ソースドレインはTi300Å/Al 6000Å/Ti500Åとした。素子プロセスの最後に、実施例6の条件で水素プラズマ処理を行った。移動度を測定したところ、10cm2 /VSであった。
【0053】
(比較例2)
比較例1の作製条件を半導体層の堆積条件に用いて、実施例7と同じ構成のTFTを作製した。同様に素子プロセスの最後に、実施例6の条件で水素プラズマ処理を行った。移動度を測定したところ、1cm2 /VSであった。
【0054】
(実施例8)
実施例1の作製条件を半導体層の堆積条件に用いて、図12に示すようなトップゲート型のTFTを作製した。ソースドレインメタルはCr500Å、n+Siは500Å、Si層は2000Å、ゲート絶縁膜SiNx 2000Å、ゲートメタルはTi300Å/Al 8000Å/Ti500Åとした。素子プロセスの最後に、実施例6の条件で水素プラズマ処理を行った。移動度を測定したところ、21cm2 /VSであった。
【0055】
(比較例3)
比較例1の作製条件を半導体層の堆積条件に用いて、実施例8と同じ構成のTFTを作製した。同様に素子プロセスの最後に、実施例6の条件で水素プラズマ処理を行った。移動度を測定したところ、9cm2 /VSであった。
【0056】
(比較例4)
比較例3のトップゲート型TFTで、Si半導体層の厚みを5000Åにしたところ、移動度19cm2 /VSが得られた。
【0057】
(実施例9)
図13は本発明のTFTを用いた液晶ディスプレイの断面の一部を示したものである。TFTは実施例8と同様の構成で作製した。TFTの上にアクリル性平坦化膜603(JSR製 PC403)を2μm堆積し、コンタクトホール610を形成した後ITO604 900Å画素電極を形成した。その上に、ポリイミド配向膜605(住友ベークライト製 CRD6)100Åを塗布した。
【0058】
対向基板には、全面にITO607を700Å形成した上に、ポリイミド配向膜608を100Å塗布し両方の基板のラビング方向が互いに反平行になるようにラビングした。スペーサーとして平均粒径2μmのシリカビーズ606を散布し張り合わせ、以下に示す液晶組成物611を調整し等方相の温度で注入した。
【外1】
【0059】
【外2】
【0060】
これをカイラルスメティック液晶相を示す温度まで冷却し、この際Ch−SmC*相転移前後において−5Vのオフセット電圧を印加して冷却を行う処理をした。
【0061】
画素サイズは300μm×100μm、TFTサイズはL/W=6μm/20μmであった。液晶の自発分極が1.2nCあり、セルギャップ2μmと狭いために負荷容量が大きいにも関わらず、この液晶素子を動作したところ、50μsecの応答速度で動作した。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、被堆積物界面から1000Å厚までの多結晶の平均粒径が、100Å以上であるポリシリコン薄膜を用いることで、ボトムゲート型TFTの電気特性が大幅に改善された。また、トップゲート型トランジスタにおいても半導体層を薄くしても高移動度が得られた。このことによって液晶表示素子に応用する際に、素子段差を小さく設計できるので、歩留まりや液晶配向性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポリシリコンの断面概念図。
【図2】堆積速度と平均粒径の関係を示す図。
【図3】堆積速度を変調させた時の平均粒径の関係を示す図。
【図4】ガス組成を変調させた時の平均粒径の関係を示す図。
【図5】ガス組成を変調させた時の平均粒径の関係を示す図。
【図6】ガス組成を変調させた時の膜中のF濃度分布。
【図7】ガス組成を変調させた時の平均粒径の関係を示す図。
【図8】エッチング処理を行ったポリシリコンの初期膜の厚さと、得られた膜の平均粒径の関係。
【図9】エッチングと堆積の繰り返し回数と、得られた膜の平均粒径の関係。
【図10】従来のポリシリコンの断面構造。
【図11】ボトムゲート型TFT。
【図12】トップゲート型TFT。
【図13】TFTを用いたディスプレイの断面の一部を示す図。
【符号の説明】
101 ガラス基板
102 ゲート
103 ゲート絶縁膜
104 Si半導体層
105 n+Si
106 ソースドレイン
201 ガラス基板
202 ソースドレイン電極
203 n+Si
204 Si半導体層
205 ゲート絶縁膜
206 ゲート
601 ガラス基板
602 TFT
603 平坦化膜
604 ITO電極
605 配向膜
606 スペーサー
607 ITO電極
608 配向膜
609 シール剤
610 コンタクトホール
611 液晶
Claims (8)
- 被堆積物界面から1000Å厚までの多結晶の平均粒径が、100Å以上であることを特徴とする多結晶シリコン薄膜。
- 前記被堆積物は融点が700℃以下のガラスであることを特徴とする請求項1記載のポリシリコン薄膜。
- 膜厚と共に膜中に含まれるハロゲン濃度が減少していくことを特徴とする請求項1記載のポリシリコン薄膜。
- プロセス温度が500℃以下であることを特徴とする請求項1記載のポリシリコン薄膜の製造方法。
- 堆積速度が0.4Å/sec以下であることを特徴とする請求項1記載のポリシリコン薄膜の製造方法。
- 膜厚と共に成長速度を大きくしていくことを特徴とする、前記ポリシリコン薄膜の製造方法。
- 成膜初期で膜成長を一旦止めて、膜をエッチングし、それから再成長することを特徴とする請求項1記載のポリシリコン薄膜の成長方法。
- 膜成長を停止する膜厚が、200Å以下であることを特徴とする請求項7記載のポリシリコン薄膜の成膜方法。
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