JP2004158353A - 透明導電膜付基板、透明導電膜付基板の製造方法、及び透明導電膜付基板を有するエレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

透明導電膜付基板、透明導電膜付基板の製造方法、及び透明導電膜付基板を有するエレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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Shiyougo Kiyota
正悟 清田
Shunji Wada
俊司 和田
Toshiyuki Sato
俊行 佐藤
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Abstract

【課題】非発光点の発現を抑え、耐久性と歩留まりを向上させることができ、製造コストを低減することができる透明導電膜付基板、透明導電膜付基板の製造方法、及び透明導電膜付基板を有するエレクトロルミネッセンス素子を提供すること。
【解決手段】有機EL素子11は、透明導電膜付基板としてのITO膜付基板15を有している。このITO膜付基板15では、透明基板の表面に透明導電膜としてのITO膜14が成膜されている。ITO膜付基板15の透明基板として無アルカリガラス基板12を用いている。このため、ガラス中のアルカリ成分が、無アルカリガラス基板12に形成されるITO膜14や有機EL素子11の中(正孔輸送層16や発光層17の中)へと拡散して、それらの特性に影響を及ぼすことがない。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電膜付基板、透明導電膜付基板の製造方法、及び透明導電膜付基板を有するエレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセンス素子(Electroluminescence:以下「EL」と言う)素子は、平面光源や、次世代のフラットパネルディスプレイ(有機ELディスプレイ)などとして注目されている。有機EL素子には通常、ガラス等の透明基板が用いられている。従来の有機EL素子として、ガラス基板上に透明導電膜を形成した透明導電膜付基板を有するものが知られている(例えば、特許文献1の図1参照)。
【0003】
図3は従来の有機EL素子の構成を示している。この有機EL素子1は、ガラス基板(透明基板)2、SiO膜(酸化珪素膜)3、およびSiO膜3の表面に成膜された酸化インジウム錫(Indium Tin Oxide:以下「ITO」と言う)膜(透明導電膜)4からなるITO膜付基板(透明導電膜付基板)5を有している。ガラス基板2は、ソーダライム等からなり、表面が湿式研磨されている。また、SiO膜(酸化珪素膜)3は、ガラス基板2の表面に、アルカリパッシベーションのために成膜されている。
【0004】
また、有機EL素子1はITO膜付基板5の表面に成膜され発光層7に効率よく正孔を注入するための正孔輸送層6と、この正孔輸送層6の表面に成膜され、発光層7に電子を注入するための金属薄膜層8とで構成されている。
【0005】
この有機EL素子1では、陽極であるITO膜4と陰極である金属薄膜層8との間に、可変直流電源により直流電圧が印加されると、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とがそれぞれ、正孔輸送層6又は金属薄膜層8を介して発光層7に到達する。これにより、この発光層7でこれら正孔と電子とが再結合することにより発光する。
【0006】
このような従来の有機EL素子では一般に、陽極基板であるITO膜付基板5の表面高低差(表面凹凸)が大きいと、その凸部(突起)に集中して電界がかかり、素子が破壊して非発光点(素子上で発光しない点)が発生したり、該凸部が陰極と短絡して非発光点を発生する場合がある。これらの現象が起こると、有機EL素子1の耐久性は著しく低下してしまう。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−7762号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記特許文献1に記載した従来技術および図3に示す従来技術の有機EL素子1では、次のような問題点がある。
【0009】
(1)ガラス基板2の表面に、アルカリパッシベーションの目的でSiO膜3を成膜する工程が必要となるため、製造コストが増大してしまう。
(2)SiO膜3の成膜にはマグネトロンスパッタ法(以下単に「スパッタ法」と言う)が用いられている。このスパッタ法では、成膜時のグロー放電状態に異常が生じると、膜材料の成分が異常に成長した粒子(異常粒子)が形成され、膜表面に固着して凸状部をなす場合がある。この凸状部が上述した非発光点を発生する要因になり、有機EL素子の耐久性が著しく低下するおそれがあり、歩留まりが低下するという問題があった。
【0010】
本発明の目的は、非発光点の発現を抑え、耐久性と歩留まりを向上させることができ、製造コストを低減することができる透明導電膜付基板、透明導電膜付基板の製造方法、及び透明導電膜付基板を有するエレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、透明基板の少なくとも一方の表面に透明導電膜が形成されている透明導電膜付基板であって、前記透明基板は実質的にアルカリ金属酸化物を含まない無アルカリガラス基板であることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、透明基板として無アルカリガラス基板を用いるため、本発明を有機EL素子に適用する場合、ガラス中のアルカリ成分が、透明導電膜や有機EL素子の中へと拡散して、それらの特性に影響を及ぼすことがない。従って、従来アルカリパッシベーションの目的で実施しているガラス基板表面へのSiO膜の成膜工程を省略することができる。また、SiO膜の成膜時に発生する基板表面への異常粒子の固着がなくなる。これにより、透明導電膜を形成した後の透明導電膜付基板表面上の凸部の発生数を減少させることができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の透明導電膜付基板において、前記透明導電膜は酸化インジウム錫膜であることを要旨とする。
この構成によれば、透明導電膜が電気抵抗値の低い酸化インジウム錫膜(ITO膜)であるため、成膜する膜の厚味を薄くすることができる。従って、ITO膜の成膜の際に、異常粒子の発生を抑えることが容易になるため、ITO膜を形成した後の基板表面上の凸部の発生数を減少させることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、透明基板の少なくとも一方の表面に透明導電膜が形成されている透明導電膜付基板の製造方法であって、前記透明基板は実質的にアルカリ金属酸化物を含まない無アルカリガラス基板であることを要旨とする。
【0015】
この構成によれば、請求項1に記載の発明と同様に、透明導電膜を形成した後の透明導電膜付基板表面上の凸部の発生数を減少させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の透明導電膜付基板の製造方法において、前記無アルカリガラス基板をダウンドロー法で製造することを要旨とする。
【0016】
上述した従来の有機EL素子では、透明基板としてのガラス基板2(図3参照)は、通常、製造時に発生するうねり等を除去するために、表面が研磨剤を用いて研磨パッド等により研磨されている。従ってガラス基板2の表面には、研磨剤や研磨クズ等の異物によるキズが発生したり、研磨剤が残存したりする。このようなキズ入りガラス基板や研磨剤が残存したガラス基板2にITO膜4が成膜されると、キズや研磨剤がITO膜4の表面の平滑性に影響して、局所的な凸部を発生させてしまう。これに対し、この構成によれば、基板がダウンドロー法で製造されているため基板の表面のうねりやキズ、異物付着などによる凸部の発生が少ない。従って、無アルカリガラス基板を使って有機EL素子を作製する場合に、同ガラス基板表面を研磨する工程を省略することができるため、同ガラス表面に研磨キズが残らない。これにより、透明導電膜を形成した後の透明導電膜付基板表面上の凸部の発生数をさらに減少させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の透明導電膜付基板の製造方法において、前記透明導電膜をイオンプレーティング法で成膜することを要旨とする。
【0018】
上述した従来の有機EL素子(図3参照)では、SiO膜3やITO膜4の成膜にはマグネトロンスパッタ法(以下単に「スパッタ法」と言う)が用いられている。このスパッタ法では、成膜時のグロー放電状態に異常が生じると、膜材料の成分が異常に成長した粒子(異常粒子)が形成され、膜表面に固着して凸状部をなす場合がある。これに対し、この構成によれば、透明導電膜はイオンプレーティング法で成膜されているため、成膜中のプラズマの異常放電発生を少なくすることができる。従って、透明導電膜の成膜の際に、異常粒子の発生を抑えることが容易になるため、透明導電膜を形成した後の基板表面上の凸部の発生数を減少させることができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項1又は2に記載の透明導電膜付基板を有するエレクトロルミネッセンス素子を要旨とする。
この構成によれば、エレクトロルミネッセンス素子の非発光点が生じにくい。従って、エレクトロルミネッセンス素子の耐久性が改善され、素子の寿命が延びる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項3又は4に記載の透明導電膜付基板の製造方法で製造された透明導電膜付基板を有するエレクトロルミネッセンス素子を要旨とする。
【0021】
この構成によれば、エレクトロルミネッセンス素子の非発光点が生じにくい。従って、エレクトロルミネッセンス素子の耐久性が改善され、素子の寿命が延びる。
【0022】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明を有機EL素子に具体化した一実施形態を図1に基づいて説明する。
【0023】
図1は一実施形態の有機EL素子の構成を示す概略断面図である。
図1に示すように、有機EL素子11は、透明導電膜付基板としてのITO膜付基板15を有している。このITO膜付基板15は、透明基板としての無アルカリガラス基板(以下単に「ガラス基板」という)12の表面に透明導電膜としてのITO膜14が成膜されたものである。
【0024】
また、有機EL素子11は、ITO膜14の表面に成膜され発光層17に効率よく正孔を注入するための正孔輸送層16と、この正孔輸送層16の表面に成膜され、発光層17に電子を注入するための金属薄膜層18とを有している。
【0025】
<ガラス基板12>
本実施形態のITO膜付基板15は、その透明基板が、実質的にアルカリ金属酸化物を含まない無アルカリガラス基板12である点に特徴がある。ここにいう「実質的にアルカリ金属酸化物を含まない無アルカリガラス」とは、LiOやNaO、KOなどのアルカリ金属の酸化物を実質的に含有しない、すなわちそれらの酸化物がガラス成分の分析装置による分析によって検出されないガラスであることを意味する。
【0026】
本実施形態では、ガラス基板12のガラスは、酸化物に換算した重量百分率で表示して、SiO 60%、B 10%、Al 15%、BaO5%、RO(Ba以外のアルカリ希土類) 9%、As 1%の組成を有している。このガラス基板12では、ガラス中のアルカリ成分が、ガラス基板12表面に形成されるITO膜14や有機EL素子を構成する正孔輸送層16や発光層17の中へと拡散して、それらの特性に影響を及ぼすことがない。従って本実施形態では、従来アルカリパッシベーションの目的で実施していたガラス基板12表面へのSiO膜などの成膜工程を省略している。
【0027】
また、ガラス基板12はダウンドロー法により製造されている。
ダウンドロー法では、所定の組成になるように原料を調合して、熔解槽に投入する。熔解されたガラスは、熔解槽から連続的に成形面に沿って供給され、成形面の下方で両側のガラスを融着させてから、ガラスの周辺部をローラー等によって、下方に引っ張ることによってシート状に形成される。
【0028】
<ITO膜14>
本実施形態では、ガラス基板12はアルカリ洗剤を用いたディップ式の超音波洗浄装置によって洗浄された後、温風乾燥され、イオンプレーティング成膜装置によってITO膜14が成膜される。
【0029】
図2は、図1のITO膜付基板15の製造に使用されるイオンプレーティング装置の内部構成を示す概略構成図である。
図2に示すように、無アルカリガラス基板12は成膜室となる真空容器13に基板キャリア(図示しない)に固定された状態で導入される。この真空容器13の一方の壁面には排気口19が設けられ、他方の壁面には筒状部20が設けられている。そして当該筒状部20には圧力勾配型のプラズマガン22が装着されるとともに当該筒状部20の周囲には収束コイル21が配置されている。
【0030】
プラズマガン22は、電磁石コイル23が内蔵されて筒状部20に接続された第2の中間電極24と、環状永久磁石25が内蔵されて第2の中間電極24と並設された第1の中間電極26と、陰極27と、陰極27と第1の中間電極26との間に介在された円筒状のガラス管28とを備えている。
【0031】
電磁石コイル23は電源29により励磁され、収束コイル21は電源30により励磁される。なお、電源29及び電源30は、共に可変電源とされている。
第2の中間電極24及び第1の中間電極26は、それぞれ垂下抵抗器31、32を介して可変電圧型の主電源33の一端(正側)に接続され、当該主電源33の他端(負側)は陰極27に接続されている。また、主電源33にはスイッチ36を介して補助放電電源34及び垂下抵抗器35が並列接続されている。
【0032】
また、ガラス管28の内部には陰極27に固着されたMo(モリブデン)からなる円筒部材37と、Ta(タンタル)からなるパイプ38と、当該パイプ38の先方にあって円筒部材37に固着されたLaBからなる円盤状部材39とが設けられている。放電ガス(例えば、所定量の酸素を含有したArガス)が、図2で矢印Bで示す方向からパイプ38を介してプラズマガン22の内部に供給される。
【0033】
真空容器13の底部には、タブレット(被蒸発物質)としてのITO焼結体40を収容する主ハース41が設置され、また当該主ハース41には補助ハース42が周設されている。主ハース41は、熱伝導率の良好な導電材料、例えば銅で形成されると共に前記プラズマガン22からのプラズマビームが入射する凹部を有し、さらに主電源33の正側に接続されて陽極を形成し、プラズマビームを吸引する。
【0034】
補助ハース42は、主ハース41と同様に熱伝導率の良好な導電材料で形成されており、また、内部に環状永久磁石43及び電磁石44が収容されている。当該電磁石44は可変電源であるハースコイル電源45により励磁される。すなわち、補助ハース42は、主ハース41を囲む環状容器内に環状永久磁石43と電磁石44とを同軸上に積層して配設されている。当該電磁石44は、ハースコイル電源45に接続され、環状永久磁石43によって形成される磁界と電磁石44によって形成される磁界とが重畳するように構成されている。
【0035】
この場合、環状永久磁石43により発生する中心側の磁界の向きと電磁石44の中心側の磁界の向きとが同一方向とされ、ハースコイル電源45の電圧を変化させることにより、電磁石44に供給される電流を変化可能にしている。
【0036】
また、補助ハース42も垂下抵抗器46を介して主ハース41と同様、主電源33の正側に接続されて陽極を構成している。
なお、真空容器13の上部には加熱ヒータ47が配設され、当該加熱ヒータ47により、ガラス基板12は所定温度(本実施形態では200℃)に加熱される。
【0037】
このように構成されたイオンプレーティング装置においては、酸化錫(SnO)の含有率が4〜6質量パーセントとされたITO焼結体40を主ハース41の凹部に収容してある。このイオンプレーティング装置は、プラズマガン22の陰極27側から放電ガスがパイプ38に供給されると、主ハース41との間で放電が生じ、これによりプラズマビームが生成されるようになっている。このプラズマビームは、環状永久磁石25及び電磁石コイル23により収束され、収束コイル21と補助ハース42内の環状永久磁石43及び電磁石44により決定される磁界に案内されて主ハース41に到達する。
【0038】
そして、主ハース41に収容されているITO焼結体40はプラズマビームにより加熱されて蒸発し、蒸発粒子となって飛散する。この蒸発粒子はプラズマビームによってイオン化され、加熱ヒータ4により加熱されているガラス基板12に到達し、ガラス基板表面にITO膜14を形成する。
【0039】
イオンプレーティング装置では、スパッタ装置などの他の真空成膜装置と比べて、より低い印加電圧で放電を生じさせているので、成膜中のプラズマの異常放電発生を少なくすることができる。このため、ITO膜の成膜の際に、異常粒子の発生を抑えることが容易になるという利点がある。
【0040】
<有機層>
本実施形態ではITO膜付基板15は真空蒸着装置内に配され、1.3×10−4Pa以下の圧力になるまで排気した後、正孔輸送層16であるトリフェニルジアミン(TPD)と発光層17であるキノリノールアルミニウム錯体(Alq3)が成膜されている。さらに、これらの有機層上に金属薄膜層18であるMgAg合金膜(Mg:Ag=10:1)が陰極として成膜されている。
【0041】
このようにして有機層および陰極が形成されたITO膜付基板15は、大気に曝されることなく、真空チャンバ内に窒素ガスが導入された状態でガラス基板とエポキシ樹脂で固められて封止される。こうして有機EL素子11が作製される。
【0042】
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)ITO膜付基板15(透明導電膜付基板)の透明基板として無アルカリガラス基板12を用いている。このため、ガラス中のアルカリ成分が、同ガラス基板12に形成されるITO膜14(透明導電膜)や有機EL素子11の中(有機EL素子11を構成する正孔輸送層16や発光層17の中)へと拡散して、それらの特性に影響を及ぼすことがない。従って、従来アルカリパッシベーションの目的でガラス基板12表面に成膜しているSiO膜が不要になる。このため、SiO膜の成膜時に発生するITO膜付基板15表面への異常粒子の固着がなくなる。これにより、ITO膜14(透明導電膜)を形成した後のITO膜付基板15(透明導電膜付基板)表面上の凸部の発生数を減少させることができる。従って、ITO膜付基板15を使った有機EL素子11では、非発光点の発現を抑えることができ、有機EL素子11の耐久性と歩留まりを向上させることができ、製造コストを低減することができる。
【0043】
(2)従来アルカリパッシベーションの目的で実施しているガラス基板12表面へのSiO膜などの成膜工程を省略することができるので、ITO膜付基板15及び同基板を使って作製される有機EL素子11の製造コストを低減することができる。
【0044】
(3)ITO膜14(透明導電膜)が電気抵抗値の低い酸化インジウム錫膜(ITO膜)であるため、ITO膜14を成膜する膜の厚味を薄くすることができる。従って、ITO膜14の成膜の際に、異常粒子の発生を抑えることが容易になるため、ITO膜を形成した後のITO膜付基板15表面上の凸部の発生数を減少させることができる。これによっても、ITO膜付基板15を使った有機EL素子11では、非発光点の発現を抑えることができる。
【0045】
(4)ダウンドロー法によって得られた無アルカリガラス基板12は、成形時に両表面が自由表面として形成され、他方、成形型に接したガラス面は融着されているので、基板表面にうねりが少なく、平滑性と平坦性に優れているという利点を有している。従って、無アルカリガラス基板12をあらためて研磨する必要がない。
【0046】
つまり、無アルカリガラス基板12がダウンドロー法で製造されているため、同ガラス基板の表面のうねりやキズ、異物付着などによる凸部の発生が少ない。従って、無アルカリガラス基板12を使って有機EL素子を作製する場合に、同ガラス基板表面を研磨する工程を省略することができるため、同ガラス基板表面に研磨キズが残らない。このため、透明導電膜を形成した後の基板表面上の凸部の発生数をさらに減少させることができる。これによっても、ITO膜付基板15を使った有機EL素子11では、非発光点の発現を抑えることができる。
【0047】
(5)ダウンドロー法では、無アルカリガラス基板12が成形される際に下方に、すなわち水平面に対して垂直な方向に引っ張られているため、同ガラス基板表面への異物付着が少ないという利点も有している。
【0048】
(6)ITO膜付基板15はイオンプレーティング法で成膜されているため、成膜中のプラズマの異常放電発生を少なくすることができる。従って、ITO膜付基板15の成膜の際に、異常粒子の発生を抑えることが容易になるため、ITO膜14透明導電膜を形成した後のITO膜付基板15表面上の凸部の発生数を減少させることができる。これによっても、透明導電膜を形成した後の基板表面上の凸部の発生数を減少させることができる。
【0049】
[実施例]
<実施例1>
本実施例では、ITO膜付基板15(透明導電膜付基板)の透明基板として無アルカリガラス基板12を使うと共に、ITO膜14をイオンプレーティング法で成膜したものである。このように作製したITO膜付基板15を使って作製した有機EL素子11の歩留まりは、86%であった。
【0050】
<実施例2>
本実施例では、ITO膜付基板15の透明基板として無アルカリガラス基板12を使うと共に、ITO膜14をマグネトロンスパッタ法で成膜したものである。このように作製したITO膜付基板15を使って作製した有機EL素子11の歩留まりは、79%であった。
【0051】
<比較例>
本比較例では、ITO膜付基板15(透明導電膜付基板)の透明基板として、ソーダライム等からなる表面が湿式研磨されたガラス基板を使っている。また、このガラス基板の表面には、アルカリパッシベーションのためのSiO膜がマグネトロンスパッタ法で成膜され、SiO膜の表面には、ITO膜がマグネトロンスパッタ法で成膜されている。さらに、ITO膜を研磨してある。このように作製したITO膜付基板15を使って作製した有機EL素子11の歩留まりは、58%であった。
【0052】
上記実施例1及び2によれば、有機EL素子の非発光点の発現を、比較例よりも抑えることができる。
[ 変形例]
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
【0053】
・上記一実施形態では、本発明を有機EL素子に適用した例について説明したが、本発明は有機ELに限らず、無機EL素子にも適用可能である。
・上記一実施形態では、ITO膜14(透明導電膜)が無アルカリガラス基板12(透明基板)の一方の表面に成膜されているITO膜付基板15(透明導電膜付基板)について説明したが、同ガラス基板12の両方の表面にITO膜14が成膜されているITO膜付基板にも本発明は適用可能である。
【0054】
・上記一実施形態では、実質的にアルカリ金属酸化物を含まない無アルカリガラス基板12の組成を一例として示してあるが、本発明はその組成に限定されず、実質的にアルカリ金属酸化物を含まない無アルカリガラスに広く適用可能である。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1、3、6及び7に係る発明によれば、透明導電膜を形成した後の透明導電膜付基板表面上の凸部の発生数を減少させることができる。従って、非発光点の発現を抑え、耐久性と歩留まりを向上させることができる。
【0056】
【発明の効果】
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の有機EL素子の概略構成を示す断面図。
【図2】イオンプレーティング成膜装置を示す概略構成図。
【図3】従来の有機EL素子の概略構成を示す断面図。
【符号の説明】
11…有機EL素子、12…透明基板としての無アルカリガラス基板、14…透明導電膜としてのITO膜、15…透明導電膜付基板としてのITO膜付基板、16…正孔輸送層、17…発光層、18…金属薄膜層。

Claims (7)

  1. 透明基板の少なくとも一方の表面に透明導電膜が形成されている透明導電膜付基板であって、
    前記透明基板は実質的にアルカリ金属酸化物を含まない無アルカリガラス基板であることを特徴とする透明導電膜付基板。
  2. 請求項1に記載の透明導電膜付基板において、
    前記透明導電膜は酸化インジウム錫膜であることを特徴とする透明導電膜付基板。
  3. 透明基板の少なくとも一方の表面に透明導電膜が形成されている透明導電膜付基板の製造方法であって、
    前記透明基板は実質的にアルカリ金属酸化物を含まない無アルカリガラス基板であることを特徴とする透明導電膜付基板の製造方法。
  4. 請求項3に記載の透明導電膜付基板の製造方法において、
    前記無アルカリガラス基板をダウンドロー法で製造することを特徴とする透明導電膜付基板の製造方法。
  5. 請求項3又は4に記載の透明導電膜付基板の製造方法において、
    前記透明導電膜をイオンプレーティング法で成膜することを特徴とする透明導電膜付基板の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載の透明導電膜付基板を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
  7. 請求項3又は4に記載の透明導電膜付基板の製造方法で製造された透明導電膜付基板を有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
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