JP2004158240A - 正極および電池、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】厚みを厚くしても高い負荷特性を得ることができる正極および電池、並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】正極合剤層12は、粒子状の正極活物質と、粒子状の結着剤と、粒子状の導電剤とを含んでおり、これら粉体の凝集力により形成された貫通孔12Aを有している。貫通孔12Aは、粒子径1μm未満の粒子12Bを固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲で含む正極合剤スラリーを用い、粉体の凝集力を利用して形成されたものである。正極合剤層12は、貫通孔12Aによりイオンが移動しやすくなり、厚みを厚くしても、高い負荷特性を得ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】正極合剤層12は、粒子状の正極活物質と、粒子状の結着剤と、粒子状の導電剤とを含んでおり、これら粉体の凝集力により形成された貫通孔12Aを有している。貫通孔12Aは、粒子径1μm未満の粒子12Bを固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲で含む正極合剤スラリーを用い、粉体の凝集力を利用して形成されたものである。正極合剤層12は、貫通孔12Aによりイオンが移動しやすくなり、厚みを厚くしても、高い負荷特性を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極合剤層を備えた正極、およびそれを用いた電池、並びにそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯用電子機器の発展、進歩は目覚しく、リチウムイオン電池の発売以来、リチウムイオン電池を用いる携帯電話あるいはノート型PCなどでは、急速な小型化および多機能化が進められている。このような多機能化の流れは今後も続くと予想され、機器の消費電力は、将来は現在の2倍から3倍になるものと考えられている。よって、これまでと同じ駆動時間を得るためには2倍から3倍の体積エネルギー密度を有する電池を開発する必要がある。その際、大きな問題となるのが電池の負荷特性である。
【0003】
電池容量を向上させる方法のうち、最も一般的なのは、電極の厚みを厚くして活物質が占める体積を増やすことである。しかし、電極を厚くするとイオンが移動する距離が伸びるので、負荷特性が悪くなり、結果的に放出される容量が減り、目的を達成することができない。そこで、負極に貫通孔を設けるということが考えられる。これまでも、電極に貫通孔を設けることは検討されており、例えば、電極集電体に貫通孔を設けたもの(例えば、特許文献1あるいは特許文献2参照。)、または電極集電体と電極合剤層とを共に打ち抜く貫通孔を設けたもの(例えば、特許文献3あるいは特許文献4参照。)がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−243450号公報
【特許文献2】
特開平10−241699号公報
【特許文献3】
特開2001−76761号公報
【特許文献4】
特開2000−340265号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電極集電体に貫通孔を設ける場合には、電極合剤層によりその貫通孔が埋められてしまうので、電極内におけるイオンの移動速度を向上させることは難しいという問題があった。また、電極集電体および電極合剤層を共に貫通する貫通孔を設ける場合には、電極内におけるイオンの移動速度の向上はある程度期待できるが、電極集電体の面積が狭くなるので、抵抗が増大してしまい、負荷特性を十分に向上させることは難しいという問題があった。更に、電極集電体の強度の低下や、あるいは電極に貫通孔を設けるための工程および設備が必要となるなどの他の問題もあった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、厚みを厚くしても高い負荷特性を得ることができる正極および電池、並びにそれらの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による正極は、粉体の凝集力により形成された貫通孔を有する正極合剤層を備えたものである。
【0008】
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、正極は、粉体の凝集力により形成された貫通孔を有する正極合剤層を備えたものである。
【0009】
本発明による正極の製造方法は、正極合剤層を備えた正極を製造するものであって、粒子径1μm未満の粒子を固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを塗布することにより正極合剤層を形成するものである。
【0010】
本発明による電池の製造方法は、正極および負極と共に電解質を備え、正極が正極合剤層を有する電池を製造するものであって、正極合剤層を、粒子径1μm未満の粒子を固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを塗布することにより形成するものである。
【0011】
本発明による正極および電池では、正極合剤層が粉体の凝集力により形成された微小な貫通孔を有するので、抵抗を高くすることなく、正極合剤層におけるイオンの移動しやすさが向上し、厚みを厚くしても高い負荷特性が得られる。
【0012】
本発明による正極の製造方法および電池の製造方法では、粒子径1μm未満の粒子を所定の範囲内で含む正極合剤スラリーを用いているので、粉体の凝集力により容易に微小な貫通孔が形成される。よって、本発明の電極および電池を容易に得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る正極10の構成を模式的に表したものである。正極10は、例えば、一対の対向面を有する正極集電体11と、正極集電体11の片面に設けられた正極合剤層12とを有している。なお、図示しないが、正極集電体11の両面に正極合剤層12を設けるようにしてもよい。
【0015】
正極集電体11は、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有することが好ましく、例えば、アルミニウム(Al),ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどの金属箔により構成されている。
【0016】
正極合剤層12は、例えば、粒子状の正極活物質と、粒子状の結着剤と、必要に応じて粒子状の導電剤とを含んでいる。正極活物質としては、例えば、金属酸化物,金属硫化物,金属窒化物あるいは特定の高分子材料などのリチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な正極材料が挙げられ、目的に応じてそれらのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。なお、正極活物質は、合成時に放出可能なリチウムを含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0017】
金属酸化物としては、例えば、LiMIO2 を主体とするリチウム複合酸化物、LiMIIPO4 を主体とするリン酸化合物、Li4 Ti5 O12などのチタン酸化合物、LiV2 O5 あるいはV2 O5 などのバナジン酸化合物が挙げられる。特にリチウム複合酸化物は高電圧を発生可能であり、エネルギー密度を高くすることができるので好ましい。なお、上記組成式において、MIおよびMIIは1種類以上の遷移金属を表し、特にコバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。また、MIおよびMIIの一部がリチウム,アルミニウムあるいはマグネシウム(Mg)などの非遷移金属に置き換えられているものも好適に用いられる。
【0018】
このようなリチウム複合酸化物およびリン酸化合物の具体例としては、LiCoO2 ,LiNiO2 ,LiCox Niy OK ,LiNix Mny OK ,LiCox Niy Mnz OK ,LiFex Mny PO4 あるいはスピネル型構造を有するLiMn2 O4 などが挙げられる。なお、上記組成式においてx,y,zおよびKは任意の数値である。また、上記組成式は化学量論組成のものを代表して示しており、化学量論組成でなくてもよい。これは以下に示す組成式についても同様である。
【0019】
金属硫化物としてはTiS2 あるいはMoS2 などが挙げられ、金属窒化物としてはLiCox Ny (xおよびyは任意の数値である。)などが挙げられ、高分子材料としてはポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
【0020】
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデンなどの一般的な材料を用いることが可能である。導電剤としては、例えば、カーボンブラックあるいはグラファイトなどの炭素材料、銅(Cu),ニッケル,アルミニウム,銀(Ag)などの金属粉末あるいは金属繊維、酸化亜鉛あるいはチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー、または酸化チタンなどの導電性金属酸化物が挙げられる。
【0021】
正極合剤層12は、また、粉体の凝集力により形成された貫通孔12Aを有している。貫通孔12Aは、後述する製造方法において説明するように、例えば、粒子径1μm未満の粒子12Bと、粒子径1μm以上の粒子12Cとを含む正極合剤スラリーを用い、粉体の凝集力を利用して形成されたものである。
【0022】
図2に正極合剤層12を表面から見た顕微鏡写真を示すと共に、図3に図2の粒子構造をハッチングにより分別して示す。図2において焦点がずれている領域、すなわち図3において網かけで示した領域が貫通孔12Aであり、図2において焦点があっている領域、すなわち図3において斜線で示した領域が、正極活物質などの粒子径1μm以上の粒子12Cと粒子径1μm未満の粒子12Bとを含む混合粒子である。図2からは、貫通孔12Aが粉体の凝集により形成されたものであることが分かる。
【0023】
貫通孔21Aは、正極合剤層12の側から見ると負極集電体11が見えるように、正極集電体11に対して垂直方向に正極合剤層12を貫通している。貫通孔21Aの大きさは実態顕微鏡で確認できる程度に微小であり、例えば、水銀圧入法により測定される空孔径で10μm以上のものもある。このような貫通孔12Aにより、正極合剤層12の内部ではイオンが移動しやすくなり、イオンの移動速度を向上させることができるようになっている。
【0024】
正極合剤層12における水銀圧入法により測定される空孔のうち、10%以上70%以下の空孔体積が、空孔径10μm以上100μm以下のものであることが好ましい。空孔径10μm以上の空孔の体積割合が少ないと、貫通孔12Aの数が少なくなるかあるいは存在しなくなり、負荷特性が低下してしまうからであり、体積割合が多いと、正極合剤層12の密度が低下して、やはり負荷特性が低下してしまうからである。なお、空孔径が100μm以上の空孔は、水銀圧入法では誤差が大きいので、水銀圧入法の測定対象外としている。
【0025】
正極10は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0026】
図4ないし図10は、その各製造工程を表すものである。まず、粒子状の正極活物質と、粒子状の結着剤と、必要に応じて粒子状の導電剤とを、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散し、ペースト状の正極合剤スラリーとする。その際、正極合剤スラリーの固形分には、粒子径1μm未満の粒子12Bと、粒子径1μm以上の粒子12Cとが含まれるようにする。
【0027】
なお、正極活物質は、一般に、粒子径が1μmから30μmの範囲内に分布を持つものが多い。よって、導電剤に粒子径1μm未満の粒子13Bを含むものを用いる。特に、炭素材料の粒子13Bを用いることが好ましい。導電性が高く、電池特性を向上させることができるからである。なお、結着剤は分散媒に溶解する場合が多く、溶解する場合、結着剤は正極合剤スラリーの固形分に含まれない。
【0028】
正極合剤スラリーにおける粒子径1μm未満の粒子13Bの割合は、固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内とすることが好ましい。この範囲内において、貫通孔12Aを適切に形成することができるからである。
【0029】
次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体11に塗布し、分散媒を乾燥させる。分散媒が存在するうちは、図4に示したように、各粒子12B,12Cはそれぞれ均一に分布しているが、乾燥時には、分散媒が蒸散してなくなった部分に液体架橋が形成され、空間を分散媒で埋めようとする毛管力が働く。この毛管力はサクションポテンシャルと呼ばれ、下記の数1で表される(三輪茂雄著、「粉体工学通論」、日刊工業新聞社出版、1981年 参照 )。
【0030】
【数1】
P=(12.9σ/r)−(4.83σ/r)
【0031】
数1において、σは表面張力、r は粒子半径である。すなわち、粒子半径rが小さい粒子12Bは、この毛管力を強める働きをする。よって、この毛管力が駆動力になり、図5に示したように、懸濁液に粒子12B,12Cが凝集しようとする流れが発生する。これにより懸濁液が矢印Xで示したように凝集していき、図6に示したように、高粘度で小さな液滴が形成され、その間に貫通孔12Aが形成される。乾燥後の塗膜は、正極集電体11の上に微小な球が並んでいるような状態になる。
【0032】
図7に乾燥後の塗膜を表面から見た顕微鏡写真を示すと共に、図8に図7の粒子構造をハッチングにより分別して示す。図7において焦点がずれている領域、すなわち図8において網かけで示した領域が貫通孔12Aであり、図7において焦点があっている領域、すなわち図8において斜線で示した領域が粒子12B,12Cである。図7からは、粒子12B,12Cが固まりとなり、その間に貫通孔12Aが形成されている様子が見られる。
【0033】
続いて、乾燥後の塗膜をカレンダープレスする。その際、乾燥後の塗膜において粒子12B,12Cの固まりの間に形成された貫通孔12Aが、プレスによって変形し埋められ、クラック状となって残る。
【0034】
図9にプレス後の塗膜を表面から見た顕微鏡写真を示すと共に、図10に図9の粒子構造をハッチングにより分別して示す。図9においてクラック状の暗い領域、すなわち図10において網かけで示した領域が貫通孔12Aであり、図9において比較的明るい領域、すなわち図10において斜線で示した領域が粒子12B,12Cである。図9からは、粒子12B,12Cが固まりとなり、その間に貫通孔12Aがクラック状となって広がっている様子が見られる。これにより、図1および図2に示したように、粉体の凝集力により形成された貫通孔12Aを有する正極10が作製される。
【0035】
この正極10は、例えば、次のようにして電池に用いられる。
【0036】
図11は本実施の形態に係る正極10を用いた二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池はいわゆるコイン型といわれるものであり、外装缶21内に収容された正極10と外装カップ22内に収容された円板状の負極23とが、セパレータ24を介して積層されている。外装缶21および外装カップ22の内部は液状の電解質である電解液25により満たされており、外装缶21および外装カップ22の周縁部は絶縁ガスケット26を介してかしめられることにより密閉されている。外装缶21および外装カップ22は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウムなどの金属によりそれぞれ構成されている。
【0037】
負極23は、例えば、負極集電体23Aと、負極集電体23Aに設けられた負極合剤層23Bとを有している。負極集電体23Aは、例えば、銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属箔により構成されている。負極合剤層23Bは、例えば、負極活物質としてリチウム金属、リチウム合金、あるいはリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のうちのいずれか1種または2種以上を含有しており、必要に応じて、導電剤および結着剤と共に構成されている。
【0038】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素質材料,酸化物,硫化物,合金(金属間化合物など),ケイ素(Si),ケイ素化合物あるいは導電性ポリマが挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。このうち炭素質材料としては、例えば、黒鉛,難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化性炭素が挙げられる。酸化物としては、例えば、スピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物(Li4 Ti5 O12),酸化タングステン(WO2 ),酸化ニオブ(Nb2 O5 )あるいは酸化スズ(SnO)が挙げられる。合金としては、例えば、スズ−アンチモン合金(Sn−Sb),アルミニウム−アンチモン合金(Al−Sb),ガリウム−アンチモン合金(Ga−Sb)あるいは銅−スズ合金(Cu−Sn)が挙げられる。導電性ポリマとしては、例えば、ポリアセチレンあるいはポリピロールが挙げられる。
【0039】
中でも、炭素質材料などのリチウム金属に対する電位が低いものを用いるようにすれば、電池電圧を高くすることができるので好ましい。また、合金,ケイ素あるいはケイ素化合物などを用いるようにすれば、容量を大きくすることができるので好ましい。
【0040】
セパレータ24は、正極10と負極23とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ24は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていても良い。
【0041】
電解液25は、溶媒に電解質塩としてリチウム塩を溶解させたものであり、リチウム塩が電離することによりイオン伝導性を示すようになっている。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 ),過塩素酸リチウム(LiClO4 ),六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 ),四フッ化ホウ素リチウム(LiBF4 ),トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )あるいはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )2 )などが適当であり、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。
【0042】
溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γーブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソラン、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートあるいはジプロピルカーボネートなどの非水溶媒が好ましく、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。
【0043】
このような構成を有する二次電池は、例えば次のようにして製造することができる。
【0044】
まず、例えば、上述したようにして正極10を作製する。次いで、例えば、負極活物質と、必要に応じて導電剤および結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとしたのち、負極集電体23Aに塗布し乾燥させ、カレンダープレスなどにより圧縮成型して負極合剤層23Bを形成し、負極23を作製する。
【0045】
続いて、外装缶21に正極10およびセパレータ24をこの順に置き、セパレータ24の上から電解液25を注ぎ、負極23を入れた外装カップ22を被せてガスケット26を介してかしめる。これにより、図11に示した二次電池が形成される。
【0046】
この二次電池は次のように作用する。
【0047】
この二次電池では、充電を行うと、正極合剤層12からリチウムイオンが放出され、電解液25を介して負極合剤層23Bに吸蔵される。次いで、放電を行うと、負極合剤層23Bからリチウムイオンが放出され、電解液25を介して、正極合剤層12に吸蔵される。その際、正極合剤層12には、貫通孔12Aが設けられているので、イオンの移動が容易となり、正極合剤層12の厚みを厚くしても、高い負荷特性が得られる。
【0048】
このように本実施の形態によれば、正極合剤層12が、粉体の凝集力により形成された貫通孔12Aを有するようにしたので、イオンの移動を容易とすることができ、負荷特性を向上させることができる。また、抵抗の増大および強度の低下などの問題も生じない。よって、正極合剤層12の厚みを厚くすることができ、より高エネルギー密度化を図ることができる。更に、粉体の凝集力を利用するので、新たな装置が必要なく簡単に製造することができる。
【0049】
特に、正極合剤層12における水銀圧入法により測定される空孔のうち、10%以上70%以下の空孔体積が、空孔径10μm以上100μm以下のものであるようにすれば、貫通孔12Aおよび正極合剤層12の密度を共に良好な範囲内とすることができ、負荷特性をより向上させることができる。
【0050】
また、粒子径1μm未満の粒子12Bを固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを用いるようにすれば、貫通孔12Aを適切に形成することができ、負荷特性をより向上させることができる。
【0051】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0052】
(実施例1−1〜1−9)
図11に示したようなコイン型の二次電池を作製した。まず、正極活物質であるLiCoO2 粉末と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末と、導電剤である炭素粉末とを、分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散し、正極合剤スラリーを作製した。その際、炭素粉末には、平均粒子径0.5μm、d5 0.3μm、d950.7μmのものと、平均粒子径6μm、d5 3μm、d959μmのものとを用意し、必要に応じて混合して用いた。なお、d5 は5体積%の粒径分布を表し、d95は95体積%の粒径分布を表す。
【0053】
また、正極合剤スラリーの固形分における混合割合を、LiCoO2 粉末がA質量%、PVdF粉末が3質量%、平均粒子径0.5μm炭素粉末がB質量%、平均粒子径6μm炭素粉末がC質量%となるように調整し、A,BおよびCの値を実施例1−1〜1−9で表1に示したようにそれぞれ変化させた。なお、実施例1−1〜1−9の各正極合剤スラリー含まれる粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合は、それぞれ表1に示した通りであった。この粒子径1μm未満の粒子12Bの体積割合は、下記の数2に従い求めた。
【0054】
【表1】
【0055】
【数2】
【0056】
次いで、この正極合剤スラリーを厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体11の上にたらし、バーコーターで300μmの厚みにすりきって、塗膜を作成した。続いて、この塗膜を100℃のオーブンで乾燥させたのち、カレンダープレスをかけて厚み100μmの正極10を得た。その際、加える圧力を調整し、実施例1−1〜1−9で正極合剤層12の空孔率および密度などを変化させた。そののち、この正極10を直径15mmの円板状に打ち抜いた。
【0057】
得られた実施例1−1〜1−9の各正極10について、正極10の質量、正極合剤層12の空孔率、貫通孔12Aの有無、正極合剤層12の密度、および正極合剤層12の水銀圧入法により測定される空孔のうち空孔径が10μm以上のものの体積割合をそれぞれ調べた。それらの結果も表1に合わせて示す。正極合剤層12の空孔率は、水銀圧入法により測定した空孔体積を、正極合剤層12の見かけ体積((正極10の厚み−正極集電体11の厚み)×正極12の投影面積)で割り算出した。貫通孔12Aの有無は、顕微鏡により目視で観察した。また、図12に正極合剤層12における空孔径と空孔体積との関係を実施例1−4について代表して示す。図12から、実施例1−4では、空孔径10μm以上の空孔が存在していることが分かる。
【0058】
また、負極活物質である黒鉛粉末と、結着剤であるPVdF粉末とを、黒鉛粉末:PVdF粉末=90:10の質量比で秤量し、これを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散し、負極合剤スラリーを作製した。次いで、この負極合剤スラリーを厚み20μmの銅箔よりなる負極集電体23Aにたらし、バーコーターで300μmの厚みにすりきって、塗膜を作成した。続いて、この塗膜を100℃のオーブンで乾燥させたのち、空孔率が30%になるようにカレンダープレスをかけて厚み100μmの負極23を得た。そののち、この負極23を直径16mmの円板状に打ち抜いた。
【0059】
そののち、外装缶21、図示しない銅製のスペーサ、正極10および厚み25μmのポリエチレン製微多孔膜のセパレータ24をこの順に積層し、炭酸エチレンと炭酸ジメチルの質量比1 :1 混合溶液に六フッ化リン酸リチウムを1mol/kg加えて作成した電解液を100μl滴下した。次いで、この上にガスケット26、負極23および外装カップ22を積層し、嵌合して20mm×16mmのコイン型二次電池を得た。
【0060】
また、本実施例に対する比較例1−1〜1−5として、正極合剤スラリーの固形分における混合割合(A質量%、B質量%、C質量%)を表1に示したように変化させて、正極合剤スラリー含まれる粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合を変化させると共に、圧縮成形の際の圧力を変化させて、正極合剤層の空孔率および密度などを変化させたことを除き、実施例1−1〜1−9と同様にして二次電池を作製した。比較例1−1〜1−15についても、実施例1−1〜1−9と同様にして、正極合剤スラリー含まれる粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合、正極合剤層の空孔率、貫通孔の有無などを調べた。それらについても表1に合わせて示す。また、図12に正極合剤層における空孔径と空孔体積との関係を比較例1−1について示す。図12から、比較例1−1では、空孔径10μm以上の空孔はほとんど存在しておらず、すなわち空孔径10μm以上の空孔は、貫通孔12Aによるものであると考えられる。
【0061】
得られた実施例1−1〜1−9および比較例1−1〜1−5の二次電池について、入力容量/1h=1Cとした電流単位を用いて、0.2Cで定電流充電をし、電圧が4.2Vに達したら、4.2Vの定電圧充電を0.03Cになるまで行った。次いで、0.2Cと、1Cとの2つの負荷で放電を行い、それぞれの放電容量を測定した。それらの結果から、1Cでの負荷特性、すなわち(1Cでの放電容量(mAh)/0.2Cでの放電容量(mAh))×100を算出した。それらの結果を表1に示す。
【0062】
表1から分かるように、正極合剤層12が貫通孔12Aを有する実施例1−1〜1−9によれば、貫通孔を有さない比較例1−1〜1−5よりも負荷特性を向上させることができた。すなわち、正極合剤層12が貫通孔12Aを有するようにすれば、正極12の厚みを100μm程度と厚くすることができ、より高エネルギー密度化を図れることが分かった。
【0063】
また、図13に、正極合剤スラリーの粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合と、負荷特性との関係を示す。図13から分かるように、粒子径1μm未満の粒子12Bが固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内におて、より高い負荷特性が得られた。すなわち、正極合剤スラリーにおける粒子径1μm未満の粒子12Bを固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内とするようにすれば、より高い効果を得られることが分かった。
【0064】
更に、図14に、正極合剤層12における水銀圧入法により得られる空孔の空孔径10μm以上のものの体積割合と、負荷特性との関係を示す。図14から分かるように、空孔径10μm以上の空孔の体積割合が10体積%以上70体積%以下の範囲内において、より高い負荷特性が得られた。すなわち、正極合剤層12における水銀圧入法により測定される空孔のうち、10%以上70%以下の空孔体積が、空孔径10μm以上100μm以下のものとなるようにすれば、より高い効果を得られることが分かった。
【0065】
(実施例1−10,1−11)
導電剤および正極合剤スラリーの固形分における混合割合(A質量%、B質量%、C質量%)を表2に示したように変化させると共に、圧縮成形の際の圧力を変化させて、正極合剤層の空孔率および密度などを変化させたことを除き、実施例1−1〜1−9と同様にして二次電池を作製した。なお、導電剤として、実施例1−10では、平均粒子径0.5μm、d5 0.3μm、d950.7μmの酸化チタン(TiO2 )粉末を用い、実施例1−11では、平均粒子径0.5μm、d5 0.2μm、d950.8μmの酸化アルミニウム(Al2 O3 )粉末を用いた。実施例1−10,1−11についても、実施例1−1〜1−9と同様にして、正極合剤スラリー含まれる粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合、正極合剤層の空孔率、貫通孔の有無などを調べた。それらについても表2に合わせて示す。
【0066】
【表2】
【0067】
得られた実施例1−11,1−12の二次電池についても、実施例1−1〜1−9と同様にして、負荷特性を算出した。それらの結果を実施例1−4および比較例1−1の結果と共に表2に示す。
【0068】
表2から分かるように、実施例1−11,1−12についても、実施例1−1〜1−9と同様に、比較例1−1よりも高い負荷特性が得られた。すなわち、導電剤として、あるいは正極合剤スラリーにおける粒子径1μm未満の粒子として、炭素材料以外のものを用いても、同様の結果を得られることが分かった。
【0069】
(実施例2−1,3−1,4−1)
正極活物質および正極合剤スラリーの固形分における混合割合(A質量%、B質量%、C質量%)を表3ないし表5に示したように変化させると共に、圧縮成形の際の圧力を変化させて、正極合剤層の空孔率および密度などを変化させたことを除き、実施例1−1〜1−9と同様にして二次電池を作製した。なお、正極活物質として、実施例2−1ではLiMn2 O4 粉末を用い、実施例3−1ではLiNiO2 粉末を用い、実施例4−1ではLiFePO4 粉末を用いた。また、比較例2−1,3−1,4−1として、正極合剤スラリーの固形分における混合割合(A質量%、B質量%、C質量%)を表3ないし表5に示したように変化させると共に、圧縮成形の際の圧力を変化させて、正極合剤層の空孔率および密度などを変化させたことを除き、対応する実施例2−1,3−1,4−1と同様にして二次電池を作製した。
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
実施例2−1,3−1,4−1および比較例2−1,3−1,4−1についても、実施例1−1〜1−9と同様にして、正極合剤スラリー含まれる粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合、正極合剤層の空孔率、貫通孔の有無などを調べた。それらについても表3ないし表5に合わせて示す。
【0074】
得られた実施例2−1,3−1,4−1および比較例2−1,3−1,4−1の二次電池についても、実施例1−1〜1−9と同様にして、負荷特性を算出した。それらの結果を表3ないし表5に示す。
【0075】
表2ないし表5から分かるように、実施例2−1,3−1,4−1についても、実施例1−1〜1−9と同様に、比較例2−1,3−1,4−1よりも高い負荷特性が得られた。すなわち、正極活物質の種類によらず、正極合剤層12に貫通孔12Aを有するようにすれば、負荷特性を向上させることができることが分かった。
【0076】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状電解質、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子電解質、イオン伝導性セラミックス,イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質、溶融塩電解質、またはこれらを混合したものが挙げられる。
【0077】
なお、ゲル状電解質の高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデンあるいはその重合体、またはポリアクリロニトリルあるいはその重合体などが挙げられる。また、高分子電解質としては、ポリエチレンオキサイドにLiSO3 CF3 を分散させたもの、あるいはアイオノマーを用いたものなどが挙げられる。更に、無機固体電解質としては、β”−アルミナ,窒化リチウム,NASiCON型化合物(「HIGH CONDUCTIVITY SOLID IONIC CONDUCTORS−RECENT TRENDS AND APPLICATIONS 」TAKEHIKO TAKAHASHI編 WORLD SCIENTIFIC 社,SINGAPORE ,1989参照)あるいはLISICON型化合物(HIGH CONDUCTIVITY SOLID IONIC CONDUCTORS−RECENT TRENDS AND APPLICATIONS 」TAKEHIKO TAKAHASHI編 WORLD SCIENTIFIC 社,SINGAPORE ,1989参照)などが挙げられる。
【0078】
また、上記実施の形態および実施例では、コイン型の二次電池を具体的に挙げて説明したが、本発明は他の構造を有する円筒型や、ボタン型あるいは角型など他の形状を有する二次電池、または巻回構造などの他の構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。更に、一次電池などの他の電池についても同様に適用することができる。
【0079】
更に、電極反応種としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合、またはこれら以外の他のものを用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、正極活物質、負極活物質、非水溶媒、あるいは電解質塩などは、その軽金属に応じて選択される。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の正極、または請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の電池によれば、正極合剤層が、粉体の凝集力により形成された貫通孔を有するようにしたので、イオンの移動を容易とすることができ、負荷特性を向上させることができる。また、抵抗の増大および強度の低下などの問題も生じない。よって、正極合剤層の厚みを厚くすることができ、より高エネルギー密度化を図ることができる。更に、粉体の凝集力を利用するので、新たな装置が必要なく簡単に製造することができる。
【0081】
特に、請求項2記載の正極、または請求項6記載の電池によれば、正極合剤層における水銀圧入法により測定される空孔のうち、10%以上70%以下の空孔体積が、空孔径10μm以上100μm以下のものであるようにしたので、貫通孔および正極合剤層の密度を共に良好な範囲内とすることができ、負荷特性をより向上させることができる。
【0082】
また、請求項3記載の正極、または請求項7記載の電池、または請求項9あるいは請求項10記載の正極の製造方法、または請求項11あるいは請求項12記載の電池の製造方法によれば、粒子径1μm未満の粒子を固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを用いるようにしたので、貫通孔を適切に形成することができ、負荷特性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る正極を表す構成図である。
【図2】図1に示した正極の正極活物質層の粒子構造を表す顕微鏡写真である。
【図3】図2に示した粒子構造をハッチングにより分別して表す説明図である。
【図4】図1に示した正極の一製造工程を表す構成図である。
【図5】図4に続く製造工程を表す構成図である。
【図6】図5に続く製造工程を表す構成図である。
【図7】図6に示した乾燥後の塗膜の粒子構造を表す顕微鏡写真である。
【図8】図7に示した粒子構造をハッチングにより分別して表す説明図である。
【図9】図7に示した塗膜をプレスした後の粒子構造を表す顕微鏡写真である。
【図10】図9に示した粒子構造をハッチングにより分別して表す説明図である。
【図11】図1に示した正極を用いた二次電池の構成表す断面図である。
【図12】正極合剤層における空孔径と空孔体積との関係を、実施例1−4と比較例1−1とを比較して表す特性図である。
【図13】正極合剤スラリーの粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合と負荷特性との関係を表す特性図である。
【図14】正極合剤層における水銀圧入法により得られる空孔の空孔径10μm以上のものの体積割合と負荷特性との関係を表す特性図である。
【符号の説明】
10…正極、11…正極集電体、12…正極活物質層、12A…貫通孔、12B,12C…粒子、21…外装缶、22…外装カップ、23…負極、23A…負極集電体、23B…負極合剤層、24…セパレータ、25…電解液、26…ガスケット。
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極合剤層を備えた正極、およびそれを用いた電池、並びにそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の携帯用電子機器の発展、進歩は目覚しく、リチウムイオン電池の発売以来、リチウムイオン電池を用いる携帯電話あるいはノート型PCなどでは、急速な小型化および多機能化が進められている。このような多機能化の流れは今後も続くと予想され、機器の消費電力は、将来は現在の2倍から3倍になるものと考えられている。よって、これまでと同じ駆動時間を得るためには2倍から3倍の体積エネルギー密度を有する電池を開発する必要がある。その際、大きな問題となるのが電池の負荷特性である。
【0003】
電池容量を向上させる方法のうち、最も一般的なのは、電極の厚みを厚くして活物質が占める体積を増やすことである。しかし、電極を厚くするとイオンが移動する距離が伸びるので、負荷特性が悪くなり、結果的に放出される容量が減り、目的を達成することができない。そこで、負極に貫通孔を設けるということが考えられる。これまでも、電極に貫通孔を設けることは検討されており、例えば、電極集電体に貫通孔を設けたもの(例えば、特許文献1あるいは特許文献2参照。)、または電極集電体と電極合剤層とを共に打ち抜く貫通孔を設けたもの(例えば、特許文献3あるいは特許文献4参照。)がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−243450号公報
【特許文献2】
特開平10−241699号公報
【特許文献3】
特開2001−76761号公報
【特許文献4】
特開2000−340265号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電極集電体に貫通孔を設ける場合には、電極合剤層によりその貫通孔が埋められてしまうので、電極内におけるイオンの移動速度を向上させることは難しいという問題があった。また、電極集電体および電極合剤層を共に貫通する貫通孔を設ける場合には、電極内におけるイオンの移動速度の向上はある程度期待できるが、電極集電体の面積が狭くなるので、抵抗が増大してしまい、負荷特性を十分に向上させることは難しいという問題があった。更に、電極集電体の強度の低下や、あるいは電極に貫通孔を設けるための工程および設備が必要となるなどの他の問題もあった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、厚みを厚くしても高い負荷特性を得ることができる正極および電池、並びにそれらの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による正極は、粉体の凝集力により形成された貫通孔を有する正極合剤層を備えたものである。
【0008】
本発明による電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、正極は、粉体の凝集力により形成された貫通孔を有する正極合剤層を備えたものである。
【0009】
本発明による正極の製造方法は、正極合剤層を備えた正極を製造するものであって、粒子径1μm未満の粒子を固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを塗布することにより正極合剤層を形成するものである。
【0010】
本発明による電池の製造方法は、正極および負極と共に電解質を備え、正極が正極合剤層を有する電池を製造するものであって、正極合剤層を、粒子径1μm未満の粒子を固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを塗布することにより形成するものである。
【0011】
本発明による正極および電池では、正極合剤層が粉体の凝集力により形成された微小な貫通孔を有するので、抵抗を高くすることなく、正極合剤層におけるイオンの移動しやすさが向上し、厚みを厚くしても高い負荷特性が得られる。
【0012】
本発明による正極の製造方法および電池の製造方法では、粒子径1μm未満の粒子を所定の範囲内で含む正極合剤スラリーを用いているので、粉体の凝集力により容易に微小な貫通孔が形成される。よって、本発明の電極および電池を容易に得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る正極10の構成を模式的に表したものである。正極10は、例えば、一対の対向面を有する正極集電体11と、正極集電体11の片面に設けられた正極合剤層12とを有している。なお、図示しないが、正極集電体11の両面に正極合剤層12を設けるようにしてもよい。
【0015】
正極集電体11は、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有することが好ましく、例えば、アルミニウム(Al),ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどの金属箔により構成されている。
【0016】
正極合剤層12は、例えば、粒子状の正極活物質と、粒子状の結着剤と、必要に応じて粒子状の導電剤とを含んでいる。正極活物質としては、例えば、金属酸化物,金属硫化物,金属窒化物あるいは特定の高分子材料などのリチウム(Li)を吸蔵および放出することが可能な正極材料が挙げられ、目的に応じてそれらのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。なお、正極活物質は、合成時に放出可能なリチウムを含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0017】
金属酸化物としては、例えば、LiMIO2 を主体とするリチウム複合酸化物、LiMIIPO4 を主体とするリン酸化合物、Li4 Ti5 O12などのチタン酸化合物、LiV2 O5 あるいはV2 O5 などのバナジン酸化合物が挙げられる。特にリチウム複合酸化物は高電圧を発生可能であり、エネルギー密度を高くすることができるので好ましい。なお、上記組成式において、MIおよびMIIは1種類以上の遷移金属を表し、特にコバルト(Co),ニッケル,マンガン(Mn)および鉄(Fe)からなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。また、MIおよびMIIの一部がリチウム,アルミニウムあるいはマグネシウム(Mg)などの非遷移金属に置き換えられているものも好適に用いられる。
【0018】
このようなリチウム複合酸化物およびリン酸化合物の具体例としては、LiCoO2 ,LiNiO2 ,LiCox Niy OK ,LiNix Mny OK ,LiCox Niy Mnz OK ,LiFex Mny PO4 あるいはスピネル型構造を有するLiMn2 O4 などが挙げられる。なお、上記組成式においてx,y,zおよびKは任意の数値である。また、上記組成式は化学量論組成のものを代表して示しており、化学量論組成でなくてもよい。これは以下に示す組成式についても同様である。
【0019】
金属硫化物としてはTiS2 あるいはMoS2 などが挙げられ、金属窒化物としてはLiCox Ny (xおよびyは任意の数値である。)などが挙げられ、高分子材料としてはポリアニリンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
【0020】
結着剤としては、ポリフッ化ビニリデンなどの一般的な材料を用いることが可能である。導電剤としては、例えば、カーボンブラックあるいはグラファイトなどの炭素材料、銅(Cu),ニッケル,アルミニウム,銀(Ag)などの金属粉末あるいは金属繊維、酸化亜鉛あるいはチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー、または酸化チタンなどの導電性金属酸化物が挙げられる。
【0021】
正極合剤層12は、また、粉体の凝集力により形成された貫通孔12Aを有している。貫通孔12Aは、後述する製造方法において説明するように、例えば、粒子径1μm未満の粒子12Bと、粒子径1μm以上の粒子12Cとを含む正極合剤スラリーを用い、粉体の凝集力を利用して形成されたものである。
【0022】
図2に正極合剤層12を表面から見た顕微鏡写真を示すと共に、図3に図2の粒子構造をハッチングにより分別して示す。図2において焦点がずれている領域、すなわち図3において網かけで示した領域が貫通孔12Aであり、図2において焦点があっている領域、すなわち図3において斜線で示した領域が、正極活物質などの粒子径1μm以上の粒子12Cと粒子径1μm未満の粒子12Bとを含む混合粒子である。図2からは、貫通孔12Aが粉体の凝集により形成されたものであることが分かる。
【0023】
貫通孔21Aは、正極合剤層12の側から見ると負極集電体11が見えるように、正極集電体11に対して垂直方向に正極合剤層12を貫通している。貫通孔21Aの大きさは実態顕微鏡で確認できる程度に微小であり、例えば、水銀圧入法により測定される空孔径で10μm以上のものもある。このような貫通孔12Aにより、正極合剤層12の内部ではイオンが移動しやすくなり、イオンの移動速度を向上させることができるようになっている。
【0024】
正極合剤層12における水銀圧入法により測定される空孔のうち、10%以上70%以下の空孔体積が、空孔径10μm以上100μm以下のものであることが好ましい。空孔径10μm以上の空孔の体積割合が少ないと、貫通孔12Aの数が少なくなるかあるいは存在しなくなり、負荷特性が低下してしまうからであり、体積割合が多いと、正極合剤層12の密度が低下して、やはり負荷特性が低下してしまうからである。なお、空孔径が100μm以上の空孔は、水銀圧入法では誤差が大きいので、水銀圧入法の測定対象外としている。
【0025】
正極10は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0026】
図4ないし図10は、その各製造工程を表すものである。まず、粒子状の正極活物質と、粒子状の結着剤と、必要に応じて粒子状の導電剤とを、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散し、ペースト状の正極合剤スラリーとする。その際、正極合剤スラリーの固形分には、粒子径1μm未満の粒子12Bと、粒子径1μm以上の粒子12Cとが含まれるようにする。
【0027】
なお、正極活物質は、一般に、粒子径が1μmから30μmの範囲内に分布を持つものが多い。よって、導電剤に粒子径1μm未満の粒子13Bを含むものを用いる。特に、炭素材料の粒子13Bを用いることが好ましい。導電性が高く、電池特性を向上させることができるからである。なお、結着剤は分散媒に溶解する場合が多く、溶解する場合、結着剤は正極合剤スラリーの固形分に含まれない。
【0028】
正極合剤スラリーにおける粒子径1μm未満の粒子13Bの割合は、固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内とすることが好ましい。この範囲内において、貫通孔12Aを適切に形成することができるからである。
【0029】
次いで、この正極合剤スラリーを正極集電体11に塗布し、分散媒を乾燥させる。分散媒が存在するうちは、図4に示したように、各粒子12B,12Cはそれぞれ均一に分布しているが、乾燥時には、分散媒が蒸散してなくなった部分に液体架橋が形成され、空間を分散媒で埋めようとする毛管力が働く。この毛管力はサクションポテンシャルと呼ばれ、下記の数1で表される(三輪茂雄著、「粉体工学通論」、日刊工業新聞社出版、1981年 参照 )。
【0030】
【数1】
P=(12.9σ/r)−(4.83σ/r)
【0031】
数1において、σは表面張力、r は粒子半径である。すなわち、粒子半径rが小さい粒子12Bは、この毛管力を強める働きをする。よって、この毛管力が駆動力になり、図5に示したように、懸濁液に粒子12B,12Cが凝集しようとする流れが発生する。これにより懸濁液が矢印Xで示したように凝集していき、図6に示したように、高粘度で小さな液滴が形成され、その間に貫通孔12Aが形成される。乾燥後の塗膜は、正極集電体11の上に微小な球が並んでいるような状態になる。
【0032】
図7に乾燥後の塗膜を表面から見た顕微鏡写真を示すと共に、図8に図7の粒子構造をハッチングにより分別して示す。図7において焦点がずれている領域、すなわち図8において網かけで示した領域が貫通孔12Aであり、図7において焦点があっている領域、すなわち図8において斜線で示した領域が粒子12B,12Cである。図7からは、粒子12B,12Cが固まりとなり、その間に貫通孔12Aが形成されている様子が見られる。
【0033】
続いて、乾燥後の塗膜をカレンダープレスする。その際、乾燥後の塗膜において粒子12B,12Cの固まりの間に形成された貫通孔12Aが、プレスによって変形し埋められ、クラック状となって残る。
【0034】
図9にプレス後の塗膜を表面から見た顕微鏡写真を示すと共に、図10に図9の粒子構造をハッチングにより分別して示す。図9においてクラック状の暗い領域、すなわち図10において網かけで示した領域が貫通孔12Aであり、図9において比較的明るい領域、すなわち図10において斜線で示した領域が粒子12B,12Cである。図9からは、粒子12B,12Cが固まりとなり、その間に貫通孔12Aがクラック状となって広がっている様子が見られる。これにより、図1および図2に示したように、粉体の凝集力により形成された貫通孔12Aを有する正極10が作製される。
【0035】
この正極10は、例えば、次のようにして電池に用いられる。
【0036】
図11は本実施の形態に係る正極10を用いた二次電池の断面構造を表すものである。この二次電池はいわゆるコイン型といわれるものであり、外装缶21内に収容された正極10と外装カップ22内に収容された円板状の負極23とが、セパレータ24を介して積層されている。外装缶21および外装カップ22の内部は液状の電解質である電解液25により満たされており、外装缶21および外装カップ22の周縁部は絶縁ガスケット26を介してかしめられることにより密閉されている。外装缶21および外装カップ22は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウムなどの金属によりそれぞれ構成されている。
【0037】
負極23は、例えば、負極集電体23Aと、負極集電体23Aに設けられた負極合剤層23Bとを有している。負極集電体23Aは、例えば、銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属箔により構成されている。負極合剤層23Bは、例えば、負極活物質としてリチウム金属、リチウム合金、あるいはリチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料のうちのいずれか1種または2種以上を含有しており、必要に応じて、導電剤および結着剤と共に構成されている。
【0038】
リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料としては、例えば、炭素質材料,酸化物,硫化物,合金(金属間化合物など),ケイ素(Si),ケイ素化合物あるいは導電性ポリマが挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。このうち炭素質材料としては、例えば、黒鉛,難黒鉛化性炭素あるいは易黒鉛化性炭素が挙げられる。酸化物としては、例えば、スピネル構造を有するリチウムチタン複合酸化物(Li4 Ti5 O12),酸化タングステン(WO2 ),酸化ニオブ(Nb2 O5 )あるいは酸化スズ(SnO)が挙げられる。合金としては、例えば、スズ−アンチモン合金(Sn−Sb),アルミニウム−アンチモン合金(Al−Sb),ガリウム−アンチモン合金(Ga−Sb)あるいは銅−スズ合金(Cu−Sn)が挙げられる。導電性ポリマとしては、例えば、ポリアセチレンあるいはポリピロールが挙げられる。
【0039】
中でも、炭素質材料などのリチウム金属に対する電位が低いものを用いるようにすれば、電池電圧を高くすることができるので好ましい。また、合金,ケイ素あるいはケイ素化合物などを用いるようにすれば、容量を大きくすることができるので好ましい。
【0040】
セパレータ24は、正極10と負極23とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。セパレータ24は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン,ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどよりなる合成樹脂製の多孔質膜、またはセラミック製の不織布などの無機材料よりなる多孔質膜により構成されており、これらの2種以上の多孔質膜を積層した構造とされていても良い。
【0041】
電解液25は、溶媒に電解質塩としてリチウム塩を溶解させたものであり、リチウム塩が電離することによりイオン伝導性を示すようになっている。リチウム塩としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 ),過塩素酸リチウム(LiClO4 ),六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 ),四フッ化ホウ素リチウム(LiBF4 ),トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )あるいはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )2 )などが適当であり、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。
【0042】
溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、γーブチロラクトン、スルホラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、3−メチル−1,3−ジオキソラン、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートあるいはジプロピルカーボネートなどの非水溶媒が好ましく、これらのうちのいずれか1種または2種以上が混合して用いられる。
【0043】
このような構成を有する二次電池は、例えば次のようにして製造することができる。
【0044】
まず、例えば、上述したようにして正極10を作製する。次いで、例えば、負極活物質と、必要に応じて導電剤および結着剤とを混合して負極合剤を調製し、N−メチル−2−ピロリドンなどの分散媒に分散させてペースト状の負極合剤スラリーとしたのち、負極集電体23Aに塗布し乾燥させ、カレンダープレスなどにより圧縮成型して負極合剤層23Bを形成し、負極23を作製する。
【0045】
続いて、外装缶21に正極10およびセパレータ24をこの順に置き、セパレータ24の上から電解液25を注ぎ、負極23を入れた外装カップ22を被せてガスケット26を介してかしめる。これにより、図11に示した二次電池が形成される。
【0046】
この二次電池は次のように作用する。
【0047】
この二次電池では、充電を行うと、正極合剤層12からリチウムイオンが放出され、電解液25を介して負極合剤層23Bに吸蔵される。次いで、放電を行うと、負極合剤層23Bからリチウムイオンが放出され、電解液25を介して、正極合剤層12に吸蔵される。その際、正極合剤層12には、貫通孔12Aが設けられているので、イオンの移動が容易となり、正極合剤層12の厚みを厚くしても、高い負荷特性が得られる。
【0048】
このように本実施の形態によれば、正極合剤層12が、粉体の凝集力により形成された貫通孔12Aを有するようにしたので、イオンの移動を容易とすることができ、負荷特性を向上させることができる。また、抵抗の増大および強度の低下などの問題も生じない。よって、正極合剤層12の厚みを厚くすることができ、より高エネルギー密度化を図ることができる。更に、粉体の凝集力を利用するので、新たな装置が必要なく簡単に製造することができる。
【0049】
特に、正極合剤層12における水銀圧入法により測定される空孔のうち、10%以上70%以下の空孔体積が、空孔径10μm以上100μm以下のものであるようにすれば、貫通孔12Aおよび正極合剤層12の密度を共に良好な範囲内とすることができ、負荷特性をより向上させることができる。
【0050】
また、粒子径1μm未満の粒子12Bを固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを用いるようにすれば、貫通孔12Aを適切に形成することができ、負荷特性をより向上させることができる。
【0051】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0052】
(実施例1−1〜1−9)
図11に示したようなコイン型の二次電池を作製した。まず、正極活物質であるLiCoO2 粉末と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)粉末と、導電剤である炭素粉末とを、分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散し、正極合剤スラリーを作製した。その際、炭素粉末には、平均粒子径0.5μm、d5 0.3μm、d950.7μmのものと、平均粒子径6μm、d5 3μm、d959μmのものとを用意し、必要に応じて混合して用いた。なお、d5 は5体積%の粒径分布を表し、d95は95体積%の粒径分布を表す。
【0053】
また、正極合剤スラリーの固形分における混合割合を、LiCoO2 粉末がA質量%、PVdF粉末が3質量%、平均粒子径0.5μm炭素粉末がB質量%、平均粒子径6μm炭素粉末がC質量%となるように調整し、A,BおよびCの値を実施例1−1〜1−9で表1に示したようにそれぞれ変化させた。なお、実施例1−1〜1−9の各正極合剤スラリー含まれる粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合は、それぞれ表1に示した通りであった。この粒子径1μm未満の粒子12Bの体積割合は、下記の数2に従い求めた。
【0054】
【表1】
【0055】
【数2】
【0056】
次いで、この正極合剤スラリーを厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体11の上にたらし、バーコーターで300μmの厚みにすりきって、塗膜を作成した。続いて、この塗膜を100℃のオーブンで乾燥させたのち、カレンダープレスをかけて厚み100μmの正極10を得た。その際、加える圧力を調整し、実施例1−1〜1−9で正極合剤層12の空孔率および密度などを変化させた。そののち、この正極10を直径15mmの円板状に打ち抜いた。
【0057】
得られた実施例1−1〜1−9の各正極10について、正極10の質量、正極合剤層12の空孔率、貫通孔12Aの有無、正極合剤層12の密度、および正極合剤層12の水銀圧入法により測定される空孔のうち空孔径が10μm以上のものの体積割合をそれぞれ調べた。それらの結果も表1に合わせて示す。正極合剤層12の空孔率は、水銀圧入法により測定した空孔体積を、正極合剤層12の見かけ体積((正極10の厚み−正極集電体11の厚み)×正極12の投影面積)で割り算出した。貫通孔12Aの有無は、顕微鏡により目視で観察した。また、図12に正極合剤層12における空孔径と空孔体積との関係を実施例1−4について代表して示す。図12から、実施例1−4では、空孔径10μm以上の空孔が存在していることが分かる。
【0058】
また、負極活物質である黒鉛粉末と、結着剤であるPVdF粉末とを、黒鉛粉末:PVdF粉末=90:10の質量比で秤量し、これを分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散し、負極合剤スラリーを作製した。次いで、この負極合剤スラリーを厚み20μmの銅箔よりなる負極集電体23Aにたらし、バーコーターで300μmの厚みにすりきって、塗膜を作成した。続いて、この塗膜を100℃のオーブンで乾燥させたのち、空孔率が30%になるようにカレンダープレスをかけて厚み100μmの負極23を得た。そののち、この負極23を直径16mmの円板状に打ち抜いた。
【0059】
そののち、外装缶21、図示しない銅製のスペーサ、正極10および厚み25μmのポリエチレン製微多孔膜のセパレータ24をこの順に積層し、炭酸エチレンと炭酸ジメチルの質量比1 :1 混合溶液に六フッ化リン酸リチウムを1mol/kg加えて作成した電解液を100μl滴下した。次いで、この上にガスケット26、負極23および外装カップ22を積層し、嵌合して20mm×16mmのコイン型二次電池を得た。
【0060】
また、本実施例に対する比較例1−1〜1−5として、正極合剤スラリーの固形分における混合割合(A質量%、B質量%、C質量%)を表1に示したように変化させて、正極合剤スラリー含まれる粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合を変化させると共に、圧縮成形の際の圧力を変化させて、正極合剤層の空孔率および密度などを変化させたことを除き、実施例1−1〜1−9と同様にして二次電池を作製した。比較例1−1〜1−15についても、実施例1−1〜1−9と同様にして、正極合剤スラリー含まれる粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合、正極合剤層の空孔率、貫通孔の有無などを調べた。それらについても表1に合わせて示す。また、図12に正極合剤層における空孔径と空孔体積との関係を比較例1−1について示す。図12から、比較例1−1では、空孔径10μm以上の空孔はほとんど存在しておらず、すなわち空孔径10μm以上の空孔は、貫通孔12Aによるものであると考えられる。
【0061】
得られた実施例1−1〜1−9および比較例1−1〜1−5の二次電池について、入力容量/1h=1Cとした電流単位を用いて、0.2Cで定電流充電をし、電圧が4.2Vに達したら、4.2Vの定電圧充電を0.03Cになるまで行った。次いで、0.2Cと、1Cとの2つの負荷で放電を行い、それぞれの放電容量を測定した。それらの結果から、1Cでの負荷特性、すなわち(1Cでの放電容量(mAh)/0.2Cでの放電容量(mAh))×100を算出した。それらの結果を表1に示す。
【0062】
表1から分かるように、正極合剤層12が貫通孔12Aを有する実施例1−1〜1−9によれば、貫通孔を有さない比較例1−1〜1−5よりも負荷特性を向上させることができた。すなわち、正極合剤層12が貫通孔12Aを有するようにすれば、正極12の厚みを100μm程度と厚くすることができ、より高エネルギー密度化を図れることが分かった。
【0063】
また、図13に、正極合剤スラリーの粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合と、負荷特性との関係を示す。図13から分かるように、粒子径1μm未満の粒子12Bが固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内におて、より高い負荷特性が得られた。すなわち、正極合剤スラリーにおける粒子径1μm未満の粒子12Bを固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内とするようにすれば、より高い効果を得られることが分かった。
【0064】
更に、図14に、正極合剤層12における水銀圧入法により得られる空孔の空孔径10μm以上のものの体積割合と、負荷特性との関係を示す。図14から分かるように、空孔径10μm以上の空孔の体積割合が10体積%以上70体積%以下の範囲内において、より高い負荷特性が得られた。すなわち、正極合剤層12における水銀圧入法により測定される空孔のうち、10%以上70%以下の空孔体積が、空孔径10μm以上100μm以下のものとなるようにすれば、より高い効果を得られることが分かった。
【0065】
(実施例1−10,1−11)
導電剤および正極合剤スラリーの固形分における混合割合(A質量%、B質量%、C質量%)を表2に示したように変化させると共に、圧縮成形の際の圧力を変化させて、正極合剤層の空孔率および密度などを変化させたことを除き、実施例1−1〜1−9と同様にして二次電池を作製した。なお、導電剤として、実施例1−10では、平均粒子径0.5μm、d5 0.3μm、d950.7μmの酸化チタン(TiO2 )粉末を用い、実施例1−11では、平均粒子径0.5μm、d5 0.2μm、d950.8μmの酸化アルミニウム(Al2 O3 )粉末を用いた。実施例1−10,1−11についても、実施例1−1〜1−9と同様にして、正極合剤スラリー含まれる粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合、正極合剤層の空孔率、貫通孔の有無などを調べた。それらについても表2に合わせて示す。
【0066】
【表2】
【0067】
得られた実施例1−11,1−12の二次電池についても、実施例1−1〜1−9と同様にして、負荷特性を算出した。それらの結果を実施例1−4および比較例1−1の結果と共に表2に示す。
【0068】
表2から分かるように、実施例1−11,1−12についても、実施例1−1〜1−9と同様に、比較例1−1よりも高い負荷特性が得られた。すなわち、導電剤として、あるいは正極合剤スラリーにおける粒子径1μm未満の粒子として、炭素材料以外のものを用いても、同様の結果を得られることが分かった。
【0069】
(実施例2−1,3−1,4−1)
正極活物質および正極合剤スラリーの固形分における混合割合(A質量%、B質量%、C質量%)を表3ないし表5に示したように変化させると共に、圧縮成形の際の圧力を変化させて、正極合剤層の空孔率および密度などを変化させたことを除き、実施例1−1〜1−9と同様にして二次電池を作製した。なお、正極活物質として、実施例2−1ではLiMn2 O4 粉末を用い、実施例3−1ではLiNiO2 粉末を用い、実施例4−1ではLiFePO4 粉末を用いた。また、比較例2−1,3−1,4−1として、正極合剤スラリーの固形分における混合割合(A質量%、B質量%、C質量%)を表3ないし表5に示したように変化させると共に、圧縮成形の際の圧力を変化させて、正極合剤層の空孔率および密度などを変化させたことを除き、対応する実施例2−1,3−1,4−1と同様にして二次電池を作製した。
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】
実施例2−1,3−1,4−1および比較例2−1,3−1,4−1についても、実施例1−1〜1−9と同様にして、正極合剤スラリー含まれる粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合、正極合剤層の空孔率、貫通孔の有無などを調べた。それらについても表3ないし表5に合わせて示す。
【0074】
得られた実施例2−1,3−1,4−1および比較例2−1,3−1,4−1の二次電池についても、実施例1−1〜1−9と同様にして、負荷特性を算出した。それらの結果を表3ないし表5に示す。
【0075】
表2ないし表5から分かるように、実施例2−1,3−1,4−1についても、実施例1−1〜1−9と同様に、比較例2−1,3−1,4−1よりも高い負荷特性が得られた。すなわち、正極活物質の種類によらず、正極合剤層12に貫通孔12Aを有するようにすれば、負荷特性を向上させることができることが分かった。
【0076】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、例えば、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状電解質、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子電解質、イオン伝導性セラミックス,イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質、溶融塩電解質、またはこれらを混合したものが挙げられる。
【0077】
なお、ゲル状電解質の高分子化合物としては、ポリフッ化ビニリデンあるいはその重合体、またはポリアクリロニトリルあるいはその重合体などが挙げられる。また、高分子電解質としては、ポリエチレンオキサイドにLiSO3 CF3 を分散させたもの、あるいはアイオノマーを用いたものなどが挙げられる。更に、無機固体電解質としては、β”−アルミナ,窒化リチウム,NASiCON型化合物(「HIGH CONDUCTIVITY SOLID IONIC CONDUCTORS−RECENT TRENDS AND APPLICATIONS 」TAKEHIKO TAKAHASHI編 WORLD SCIENTIFIC 社,SINGAPORE ,1989参照)あるいはLISICON型化合物(HIGH CONDUCTIVITY SOLID IONIC CONDUCTORS−RECENT TRENDS AND APPLICATIONS 」TAKEHIKO TAKAHASHI編 WORLD SCIENTIFIC 社,SINGAPORE ,1989参照)などが挙げられる。
【0078】
また、上記実施の形態および実施例では、コイン型の二次電池を具体的に挙げて説明したが、本発明は他の構造を有する円筒型や、ボタン型あるいは角型など他の形状を有する二次電池、または巻回構造などの他の構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。更に、一次電池などの他の電池についても同様に適用することができる。
【0079】
更に、電極反応種としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属、またはリチウムあるいはこれらの合金を用いる場合、またはこれら以外の他のものを用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その際、正極活物質、負極活物質、非水溶媒、あるいは電解質塩などは、その軽金属に応じて選択される。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の正極、または請求項5ないし請求項8のいずれか1項に記載の電池によれば、正極合剤層が、粉体の凝集力により形成された貫通孔を有するようにしたので、イオンの移動を容易とすることができ、負荷特性を向上させることができる。また、抵抗の増大および強度の低下などの問題も生じない。よって、正極合剤層の厚みを厚くすることができ、より高エネルギー密度化を図ることができる。更に、粉体の凝集力を利用するので、新たな装置が必要なく簡単に製造することができる。
【0081】
特に、請求項2記載の正極、または請求項6記載の電池によれば、正極合剤層における水銀圧入法により測定される空孔のうち、10%以上70%以下の空孔体積が、空孔径10μm以上100μm以下のものであるようにしたので、貫通孔および正極合剤層の密度を共に良好な範囲内とすることができ、負荷特性をより向上させることができる。
【0082】
また、請求項3記載の正極、または請求項7記載の電池、または請求項9あるいは請求項10記載の正極の製造方法、または請求項11あるいは請求項12記載の電池の製造方法によれば、粒子径1μm未満の粒子を固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを用いるようにしたので、貫通孔を適切に形成することができ、負荷特性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る正極を表す構成図である。
【図2】図1に示した正極の正極活物質層の粒子構造を表す顕微鏡写真である。
【図3】図2に示した粒子構造をハッチングにより分別して表す説明図である。
【図4】図1に示した正極の一製造工程を表す構成図である。
【図5】図4に続く製造工程を表す構成図である。
【図6】図5に続く製造工程を表す構成図である。
【図7】図6に示した乾燥後の塗膜の粒子構造を表す顕微鏡写真である。
【図8】図7に示した粒子構造をハッチングにより分別して表す説明図である。
【図9】図7に示した塗膜をプレスした後の粒子構造を表す顕微鏡写真である。
【図10】図9に示した粒子構造をハッチングにより分別して表す説明図である。
【図11】図1に示した正極を用いた二次電池の構成表す断面図である。
【図12】正極合剤層における空孔径と空孔体積との関係を、実施例1−4と比較例1−1とを比較して表す特性図である。
【図13】正極合剤スラリーの粒子径1μm未満の粒子12Bの固形分における体積割合と負荷特性との関係を表す特性図である。
【図14】正極合剤層における水銀圧入法により得られる空孔の空孔径10μm以上のものの体積割合と負荷特性との関係を表す特性図である。
【符号の説明】
10…正極、11…正極集電体、12…正極活物質層、12A…貫通孔、12B,12C…粒子、21…外装缶、22…外装カップ、23…負極、23A…負極集電体、23B…負極合剤層、24…セパレータ、25…電解液、26…ガスケット。
Claims (12)
- 粉体の凝集力により形成された貫通孔を有する正極合剤層を備えたことを特徴とする正極。
- 前記正極合剤層は、水銀圧入法により測定される空孔のうち、10%以上70%以下の空孔体積が、空孔径10μm以上100μm以下のものであることを特徴とする請求項1記載の正極。
- 前記正極合剤層は、粒子径1μm未満の粒子を固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを塗布することにより形成されたことを特徴とする請求項1記載の正極。
- 前記正極合剤層は、粒子径1μm未満の炭素材料の粒子を含む正極合剤スラリーを塗布することにより形成されたことを特徴とする請求項3記載の正極。
- 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記正極は、粉体の凝集力により形成された貫通孔を有する正極合剤層を備えたことを特徴とする電池。 - 前記正極合剤層は、水銀圧入法により測定される空孔のうち、10%以上70%以下の空孔体積が、空孔径10μm以上100μm以下のものであることを特徴とする請求項5記載の電池。
- 前記正極合剤層は、粒子径1μm未満の粒子を固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを塗布することにより形成されたことを特徴とする請求項5記載の電池。
- 前記正極合剤層は、粒子径1μm未満の炭素材料の粒子を含む正極合剤スラリーを塗布することにより形成されたことを特徴とする請求項7記載の電池。
- 正極合剤層を備えた正極の製造方法であって、
粒子径1μm未満の粒子を固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを塗布することにより正極合剤層を形成することを特徴とする正極の製造方法。 - 粒子径1μm未満の炭素材料の粒子を含む正極合剤スラリーを塗布することにより正極合剤層を形成することを特徴とする請求項9記載の正極の製造方法。
- 正極および負極と共に電解質を備え、前記正極が正極合剤層を有する電池の製造方法であって、
前記正極合剤層を、粒子径1μm未満の粒子を固形分の8体積%以上15体積%以下の範囲内で含む正極合剤スラリーを塗布することにより形成することを特徴とする電池の製造方法。 - 前記正極合剤層を、粒子径1μm未満の炭素材料の粒子を含む正極合剤スラリーを塗布することにより形成することを特徴とする請求項11記載の電池の製造方法。
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