JP2004158213A - 非水電解質二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】充放電サイクル寿命が向上された非水電解質二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、1,3−プロペンスルトン、プロパンスルトン、1,4−ブチレンスルトン、スルフォラン、フェニルエチルカーボネート、カテコールカーボネート、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有する非水電解質と、正極と、負極とを備える非水電解質二次電池の製造方法であって、定電流充電後、前記定電流充電により得られた電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程を少なくとも初充電において行うことを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、1,3−プロペンスルトン、プロパンスルトン、1,4−ブチレンスルトン、スルフォラン、フェニルエチルカーボネート、カテコールカーボネート、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有する非水電解質と、正極と、負極とを備える非水電解質二次電池の製造方法であって、定電流充電後、前記定電流充電により得られた電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程を少なくとも初充電において行うことを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、初充電工程を改良した非水電解質二次電池の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池を充電状態(特に高温状態)で放置した場合、溶媒の分解および電極表面皮膜の形成に伴う界面抵抗の増加により、充放電サイクル特性の低下がおこる。これまで、特開2001−37093号公報に、所定の直流電圧に重畳して直流電圧に比べて微弱な交流高周波電圧を印加することにより、交流高周波電圧がリチウムイオンを振動させ、負極と電解液との界面に長時間停滞するのを防止し、溶媒和されないリチウムイオンと電解液との反応を抑制することが提案されている。
【0003】
この公報のように、交流高周波電圧を印加しながらの定電圧充電のみで充電工程を行うと、溶媒和されないリチウムイオンと電解液との反応が抑制されて不活性皮膜の生成が抑えられる反面、負極表面への保護皮膜形成反応も阻害されるため、負極と非水電解質との反応が継続的に生じ、長寿命を得られないという問題点がある。
【0004】
一方、特開2000−133320号公報には、充電時に電池電圧が設定した充電電圧に達するまでは定電流で充電を行い、設定電圧に到達後、開回路電圧もしくは閉回路電圧が設定値に達するまで周期的に充電電流を加える充電方法により、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル寿命を向上させることが記載されている。
【0005】
しかしながら、前記公報に記載された方法によると、周期的に充電電流を加える際に電圧値が継続的に変化しているため、保護皮膜形成反応に優位な電圧を維持することができず、保護皮膜の形成が不十分になるという問題点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−37093号公報(特許請求の範囲、段落[0008]、段落[0013])
【0007】
【特許文献2】
特開2000−133320号公報(特許請求の範囲、段落[0022])
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、充放電サイクル寿命が向上された非水電解質二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法は、エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、1,3−プロペンスルトン、プロパンスルトン、1,4−ブチレンスルトン、スルフォラン、フェニルエチルカーボネート、カテコールカーボネート、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有する非水電解質と、正極と、負極とを備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
定電流充電後、前記定電流充電により得られた電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程を少なくとも初充電において行うことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法は、エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、1,3−プロペンスルトン、プロパンスルトン、1,4−ブチレンスルトン、スルフォラン、フェニルエチルカーボネート、カテコールカーボネート、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の添加剤を含有する非水電解質と、正極と、負極とを備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
設定電圧まで定電流充電後、前記設定電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程を少なくとも初充電において行うことを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、定電流充電を行なうことにより負極表面に一旦保護皮膜を形成した後、定電流充電により達した電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する初充電工程を行うことによって、保護皮膜の一部を非水電解質中に再溶解させる反応と、溶解した添加剤を負極表面へ再析出させる反応とを繰り返すことで負極表面に保護皮膜を再形成することができる。その結果、保護皮膜の緻密性を高めて負極表面に保護皮膜を均一に形成することができると共に、保護皮膜の安定性を高くすることができるため、負極と非水電解質との継続的な反応が抑制されて負極の界面抵抗の上昇が抑えられ、充放電サイクル寿命を向上することができる。
【0012】
まず、本発明の方法で初充電が施される非水電解質二次電池について説明する。この非水電解質二次電池は、以下に説明する正極と負極と非水電解質とを備えるものである。
【0013】
1)正極
この正極は、集電体と、集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質を含む正極層とを含む。
【0014】
前記正極層は、正極活物質、結着剤及び導電剤を含む。
【0015】
前記正極活物質としては、種々の酸化物、例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウム含有鉄酸化物、リチウムを含むバナジウム酸化物や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどのカルコゲン化合物などを挙げることができる。中でも、リチウム含有コバルト酸化物(例えば、LiCoO2 )、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えば、LiNi0.8 Co0.2 O2 )、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiMn2 O4 、LiMnO2 )を用いると、高電圧が得られるために好ましい。なお、正極活物質としては、1種類の酸化物を単独で使用しても、あるいは2種類以上の酸化物を混合して使用しても良い。
【0016】
前記導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0017】
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエーテルサルフォン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
【0018】
前記正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
【0019】
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、アルミニウム、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
【0020】
前記正極は、例えば、正極活物質に導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製される。
【0021】
2)負極
前記負極は、集電体と、集電体の片面もしくは両面に担持される負極層とを含む。
【0022】
前記負極層は、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質及び結着剤を含む。
【0023】
前記負極活物質としては、例えば、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素、熱分解気相炭素質物、樹脂焼成体などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料; 熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ系炭素、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体など(特に、メソフェーズピッチ系炭素繊維が容量や充放電サイクル特性が高くなり好ましい)に500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料; 二硫化チタン、二硫化モリブデン、セレン化ニオブ等のカルコゲン化合物; アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、リチウム、リチウム合金等の軽金属; 等を挙げることができる。中でも、(002)面の面間隔d002が0.34nm以下である黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ましい。このような黒鉛質材料を負極活物質として含む負極を備えた非水電解質二次電池は、電池容量および大電流放電特性を大幅に向上することができる。前記面間隔d002 は、0.337nm以下であることが更に好ましい。
【0024】
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。
【0025】
前記負極活物質及び前記結着剤の配合割合は、炭素質物90〜98重量%、結着剤2〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0026】
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
【0027】
前記負極は、例えば、負極活物質と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製される。
【0028】
上記正極と負極を用いて電極群を形成する。この電極群は、例えば、(i)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて偏平形状または渦巻き状に捲回するか、(ii)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮するか、(iii)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて1回以上折り曲げるか、あるいは(iv)正極と負極とをその間にセパレータを介在させながら積層する方法により作製される。
【0029】
電極群には、プレスを施さなくても良いが、正極、負極及びセパレータの一体化強度を高めるためにプレスを施しても良い。また、プレス時に加熱を施すことも可能である。
【0030】
電極群には、正極、負極及びセパレータの一体化強度を高めるために、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリエチレンオキサイド(PEO)のような接着性高分子を含有させることができる。
【0031】
セパレータとしては、微多孔性の膜、織布、不織布、これらのうち同一材または異種材の積層物等を用いることができる。セパレータを形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合ポリマー、エチレン−ブテン共重合ポリマー等を挙げることができる。セパレータの形成材料としては、前述した種類の中から選ばれる1種類または2種類以上を用いることができる。
【0032】
3)非水電解質
非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に混合される添加剤と、非水溶媒と添加剤の混合溶媒に溶解される電解質(例えば、リチウム塩)とを含むことが望ましい。この非水電解質の形態は、液体状(非水電解液)やゲル状にすることができる。
【0033】
添加剤としては、エチレンサルファイト(ES)、プロピレンサルファイト(PS)、1,3−プロペンスルトン(PRS)、プロパンスルトン、1,4−ブチレンスルトン(BTS)、スルフォラン、フェニルエチルカーボネート(phEC)、カテコールカーボネート、ビニレンカーボネート(VC)及びビニルエチレンカーボネート(VEC)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類が用いられる。中でも、ビニレンカーボネート(VC)を必須成分とした2種類以上の添加剤を使用するのは、負極表面のリチウムイオン透過性を損なわずに保護皮膜の緻密性を高くすることができるため、望ましい。VCと組合わせる他の溶媒としては、エチレンサルファイト及びビニルエチレンカーボネートのうち少なくとも一方を使用することが望ましい。また、1,3−プロペンスルトン(PRS)、プロパンスルトン及び1,4−ブチレンスルトン(BTS)の中でも、PRS、プロパンスルトンが好ましく、最も好ましいのはPRSである。
【0034】
非水溶媒中の添加剤の配合量は、10重量%以下にすることが好ましい。配合量が10重量%を超えると、負極表面に保護皮膜が過剰に形成されて内部抵抗が高くなる恐れがあるからである。配合量のより好ましい範囲は、0.01重量%〜3重量%である。
【0035】
非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネートや、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル、テトラメチルスルフォラン、ジメチルスルフォキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミドやこれらの誘導体、あるいは上記の非水溶媒のうち2種類以上の混合溶媒が使用可能であり、特に限定されるものではない。さらに、これらの非水溶媒に、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートや、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸メチル、トルエン、キシレン等の非水溶媒を混合し、非水電解液の粘度を下げることも有効である。
【0036】
非水溶媒のうち好ましいのは、γ−ブチロラクトンと、環状カーボネートとを含むものである。このような非水溶媒は、二次電池の高温貯蔵特性及び充放電サイクル寿命を向上することができるからである。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等を挙げることができる。特にECは、リチウムイオンとGBLとの反応を抑える効果が大きいので好ましい。なお、環状カーボネートの種類は、1種類でも良いし、2種類以上にすることも可能である。
【0037】
前記非水溶媒に溶解される電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )2 )、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミドリチウム(LiN(C2F5SO2)2)などのリチウム塩を挙げることができる。使用する電解質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0038】
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.5モル/Lとすることが望ましい。
【0039】
次いで、初充電工程について説明する。
【0040】
初充電工程では、設定電圧まで定電流充電後、前記設定電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程が行われる。
【0041】
設定電圧は、4V〜4.4V(閉回路)の範囲内にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。設定電圧を4V未満にすると、十分な保護被膜が形成されない恐れがあり、また、高容量を得られない可能性がある。さらに、充電時間が長くなる恐れもある。一方、設定電圧が4.4Vを超えると、正極あるいは負極の分解反応もしくは非水溶媒の分解反応を生じる恐れがある。設定電圧のより好ましい範囲は、4.1〜4.3Vである。
【0042】
前記設定電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加することによって、負極表面において保護皮膜再溶解反応と保護皮膜再析出反応とを繰り返すことで保護皮膜を再形成することができる。この際、交流電圧のみ印加すると、保護被膜形成反応に優位な電圧を維持することができないため、被膜の緻密性が低下し、負極と非水電解質の継続的な反応によって内部抵抗が増大する。また、直流電圧に加えて交流電圧を印加しても、この交流電圧の振幅が10mVを超えると、保護皮膜溶解反応で多量の添加剤が非水電解質中に溶解し、一方、保護皮膜形成反応では膜形成が急激に生じるため、保護皮膜の形成むらが大きくなる。保護皮膜の緻密性を高くして充放電サイクル寿命をより向上させるためには、交流電圧の振幅を2mV〜5mVの範囲内にすることがより好ましい。
【0043】
交流電圧の周波数は、100Hz以上の範囲内にすることが望ましい。これにより、長寿命を得ることができる。さらに好ましい範囲は、1kHz〜10kHzである。
【0044】
初充電工程は、温度を10〜50℃に保持しながら行うことが望ましい。これは、充電温度が低すぎると、非水電解質の粘度が増加するために皮膜形成反応が不均一に生じ易く、一方、充電温度が高すぎると、保護皮膜形成反応が急激に生じるためにリチウムイオン透過性の低い皮膜が得られる恐れがあるからである。さらに好ましい範囲は、20℃〜45℃である。
【0045】
保護皮膜の均一性と安定性をさらに高くするために、2サイクル目(初充電を1サイクル目とする)以降から10サイクル目(より好ましくは2〜3サイクル)までの充電工程において、設定電圧まで定電流充電後、前記設定電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程(以下、パルス充電工程と称す)を行なうことが望ましい。このパルス充電工程を11サイクル目より後の充電工程でも行うことは可能であるが、11サイクル目以降では保護皮膜の安定性が十分に高くなっているため、サイクル寿命向上の効果がほとんど望めないばかりか、コストの増加を招く恐れがある。
【0046】
2サイクル目以降に行われるパルス充電工程は、初充電工程において説明したのと同様な条件で行うことができる。なお、交流電圧の振幅は10mV以下であれば、初充電工程と2サイクル目以降とで異なっていても良い。また、定電流充電条件(充電電流、充電時間等)や、直流電圧値についても、初充電工程と2サイクル目以降とで異なっていても良い。
【0047】
本発明においては、初充電前に、エージングを行うことができる。なお、エージング温度は、10℃〜50℃の範囲内にすることが望ましい。
【0048】
本発明に係る方法で製造される非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を図1〜図2を参照して詳細に説明する。
【0049】
図1は、本発明に係わる非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を示す斜視図、図2は図1の薄型リチウムイオン二次電池を短辺方向に沿って切断した部分断面図である。
【0050】
図1に示すように、矩形のカップ状をなす容器本体1内には、電極群2が収納されている。電極群2は、正極3と、負極4と、正極3と負極4の間に配置されるセパレータ5を含む積層物が偏平形状に捲回された構造を有する。非水電解質は、電極群2に保持されている。容器本体1の縁の一部は幅広になっており、蓋板6として機能する。容器本体1と蓋板6は、それぞれ、ラミネートフィルムから構成される。このラミネートフィルムは、外部保護層7と、熱可塑性樹脂を含有する内部保護層8と、外部保護層7と内部保護層8の間に配置される金属層9とを含む。容器本体1には蓋体6が内部保護層8の熱可塑性樹脂を用いてヒートシールによって固定され、それにより容器内に電極群2が密封される。正極3には正極タブ10が接続され、負極4には負極タブ11が接続され、それぞれ容器の外部に引き出されて、正極端子及び負極端子の役割を果たす。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0052】
(実施例1)
<正極の作製>
リチウムコバルト酸化物粉末91重量部、グラファイト6重量部及びポリフッ化ビニリデン3重量部を混合し、これをN―メチル−2−ピロリドンに分散させ、スラリーを調製した。前記スラリーをアルミニウム箔に塗布した後、プレスすることにより正極を作製した。
【0053】
<負極の作製>
炭素系材料としてメソフェーズピッチ系炭素繊維の粉末を93重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン7重量部と、溶媒としてN―メチル−2−ピロリドンとを混合し、スラリーを調製した。前記スラリーを銅箔に塗布した後、プレスすることにより負極を作製した。
【0054】
<セパレータ>
厚さ25μm、多孔度が50%のポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを用意した。
<非水電解質の調製>
非水溶媒であるエチレンカーボネートとγ―ブチロラクトンを体積比率が33:67になるようにして混合した後、支持電解質として四フッ化ホウ酸リチウムを1.5モル/Lになるように溶解し、混合溶媒電解液を調製した。得られた混合溶媒電解液99重量部(99重量%)と添加剤としてのエチレンサルファイト(ES)1重量部(1重量%)とを混合し、液状の非水電解質(非水電解液)を調製した。
【0055】
<電極群の作製>
前記正極及び前記負極をその間に前記セパレータを介して渦巻状に捲回し、得られた捲回物を扁平状に加圧プレス成形することにより非水電解質未含浸の電極群を得た。両面をポリプロピレンで覆ったアルミニウム箔を袋状に加工した容器内に電極群を収納した。
【0056】
<非水電解質二次電池の作製>
容器内の電極群に80℃で12時間真空乾燥を施して電極群中の水分を除去した後、前記非水電解質を注入し、設計容量520mAhの非水電解質二次電池を組立てた。
【0057】
<初充電工程>
0.2C(104mA)で4.2V(閉回路)まで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流電圧に加えて周波数1kHz、最大振幅5mVの正弦波パルス電圧を印加し、合計9時間の充電を45℃において行なった。
【0058】
<充電(2サイクル目以降)工程>
1C(520mA)で4.2Vまで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流定電圧を印加し、合計3時間の充電を行なった。また、放電は、1.0Cで3.0Vまで行った。この条件での充放電サイクルを25℃において繰り返し行い、100サイクル目及び300サイクル目の抵抗値を測定し、その結果を下記表1に示す。また、1サイクル目の放電容量を100として100サイクル目及び300サイクル目の容量維持率を表し、その結果を下記表1に示す。
【0059】
(実施例2)
前述した実施例1で説明したのと同様にして電池の組立て及び初充電を行なった。2サイクル目から3サイクル目までの充電工程では、1C(520mA)で4.2V(閉回路)まで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流電圧に加えて周波数1kHz、最大振幅5mVの正弦波パルス電圧を印加し、合計3時間の充電を45℃において行なった。また、各サイクルで放電は、1.0Cで3.0Vまで行った。
【0060】
4サイクル目以降の充電工程を1C(520mA)で4.2Vまで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流定電圧を印加して合計3時間行う充電に変更した。また、放電条件は、変更しなかった。100サイクル目及び300サイクル目の抵抗値を測定し、その結果を下記表1に示す。また、1サイクル目の放電容量を100として100サイクル目及び300サイクル目の容量維持率を表し、その結果を下記表1に示す。
【0061】
(実施例3)
添加剤として、エチレンサルファイト(ES)に代わりにビニルエチレンカーボネート(VEC)を1重量部(1重量%)用いた以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0062】
(実施例4)
添加剤として、エチレンサルファイト(ES)を1重量部(重量%)とビニレンカーボネート(VC)を0.5重量部(重量%)とを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0063】
(実施例5)
添加剤として、ビニルエチレンカーボネート(VEC)を0.5重量部(重量%)とビニレンカーボネート(VC)を0.5重量部(重量%)とを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0064】
(実施例6)
添加剤として、1,3−プロペンスルトン(PRS)を1重量部(重量%)とビニレンカーボネート(VC)を1重量部(重量%)とを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0065】
(比較例1)
初充電工程において、0.2C(104mA)で4.2Vまで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流定電圧を印加し、合計9時間の充電を行なったこと以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0066】
(比較例2)
非水電解質中にエチレンサルファイトを含まないこと以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0067】
(比較例3)
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1で混合した非水溶媒に、LiPF6を1mol/L溶解させて液状の非水電解質を得た。この非水電解質を用いること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0068】
(比較例4)
正弦波パルス電圧の最大振幅を20mVにすること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0069】
(比較例5)
前述した実施例1で説明したのと同様にして電池の組立てを行なった。
【0070】
初充電工程では、0.2C(104mA)で4.2Vまで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流定電圧を印加し、合計9時間の充電を45℃において行なった。
【0071】
また、2サイクル目から3サイクル目までの充電工程では、1C(520mA)で4.2Vまで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流電圧に加えて周波数1kHz、最大振幅5mVの正弦波パルス電圧を印加し、合計3時間の充電を25℃において行なった。また、各サイクルでの放電は、1.0Cで3.0Vまで行った。
【0072】
4サイクル目以降の充放電を前述した実施例2で説明したのと同様にして行い、100サイクル目及び300サイクル目の抵抗値と容量維持率を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0073】
【表1】
表1から明らかなように、適当な添加剤を非水電解質中に含む状態で、定電流充電後、直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加しながら初充電が行われる実施例1〜6の二次電池は、100サイクル後及び300サイクル後の内部抵抗が低く、かつ100サイクル後及び300サイクル後の容量維持率が高いことがわかる。これは、電極表面に形成された保護皮膜の安定性が高くなったためであると考えられる。
【0074】
これに対し、交流電圧を印加しないあるいは適当な添加剤を含まない比較例1〜3の二次電池は、実施例1〜4に比べて内部抵抗が高く、かつ容量維持率が低いことがわかる。また、交流電圧の振幅が大きい比較例4の二次電池は、100サイクル以降に急激に内部抵抗が増加し、かつ容量維持率が低下することがわかる。一方、比較例5の結果から、初充電では交流電圧を印加せず、初充電以降で交流電圧を印加する充電を行うと、100サイクル以降に急激に内部抵抗が増加して300サイクル目の容量維持率が著しく低下することが理解できる。
【0075】
なお、本発明は、上記の実施例に止まるものではなく、他の種類の正極・負極・セパレータ・容器の組合わせにおいても同様に適用可能である。また、上記の実施例のようなラミネートフィルムから容器を形成した非水電解質二次電池以外にも、円筒形や角形の金属容器を有する二次電池(例えば、円筒形非水電解質二次電池、角形非水電解質二次電池)においても本発明は適用可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、充放電サイクル寿命が向上された非水電解質二次電池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる方法で製造される非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を示す斜視図。
【図2】図1の薄型リチウムイオン二次電池を短辺方向に沿って切断した部分断面図。
【符号の説明】
1…容器本体、
2…電極群、
3…正極、
4…負極、
5…セパレータ、
6…蓋板、
7…外部保護層、
8…内部保護層、
9…金属層、
10…正極端子、
11…負極端子。
【発明の属する技術分野】
本発明は、初充電工程を改良した非水電解質二次電池の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウム二次電池を充電状態(特に高温状態)で放置した場合、溶媒の分解および電極表面皮膜の形成に伴う界面抵抗の増加により、充放電サイクル特性の低下がおこる。これまで、特開2001−37093号公報に、所定の直流電圧に重畳して直流電圧に比べて微弱な交流高周波電圧を印加することにより、交流高周波電圧がリチウムイオンを振動させ、負極と電解液との界面に長時間停滞するのを防止し、溶媒和されないリチウムイオンと電解液との反応を抑制することが提案されている。
【0003】
この公報のように、交流高周波電圧を印加しながらの定電圧充電のみで充電工程を行うと、溶媒和されないリチウムイオンと電解液との反応が抑制されて不活性皮膜の生成が抑えられる反面、負極表面への保護皮膜形成反応も阻害されるため、負極と非水電解質との反応が継続的に生じ、長寿命を得られないという問題点がある。
【0004】
一方、特開2000−133320号公報には、充電時に電池電圧が設定した充電電圧に達するまでは定電流で充電を行い、設定電圧に到達後、開回路電圧もしくは閉回路電圧が設定値に達するまで周期的に充電電流を加える充電方法により、リチウムイオン二次電池の充放電サイクル寿命を向上させることが記載されている。
【0005】
しかしながら、前記公報に記載された方法によると、周期的に充電電流を加える際に電圧値が継続的に変化しているため、保護皮膜形成反応に優位な電圧を維持することができず、保護皮膜の形成が不十分になるという問題点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−37093号公報(特許請求の範囲、段落[0008]、段落[0013])
【0007】
【特許文献2】
特開2000−133320号公報(特許請求の範囲、段落[0022])
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、充放電サイクル寿命が向上された非水電解質二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法は、エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、1,3−プロペンスルトン、プロパンスルトン、1,4−ブチレンスルトン、スルフォラン、フェニルエチルカーボネート、カテコールカーボネート、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有する非水電解質と、正極と、負極とを備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
定電流充電後、前記定電流充電により得られた電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程を少なくとも初充電において行うことを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る非水電解質二次電池の製造方法は、エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、1,3−プロペンスルトン、プロパンスルトン、1,4−ブチレンスルトン、スルフォラン、フェニルエチルカーボネート、カテコールカーボネート、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種類の添加剤を含有する非水電解質と、正極と、負極とを備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
設定電圧まで定電流充電後、前記設定電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程を少なくとも初充電において行うことを特徴とするものである。
【0011】
本発明では、定電流充電を行なうことにより負極表面に一旦保護皮膜を形成した後、定電流充電により達した電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する初充電工程を行うことによって、保護皮膜の一部を非水電解質中に再溶解させる反応と、溶解した添加剤を負極表面へ再析出させる反応とを繰り返すことで負極表面に保護皮膜を再形成することができる。その結果、保護皮膜の緻密性を高めて負極表面に保護皮膜を均一に形成することができると共に、保護皮膜の安定性を高くすることができるため、負極と非水電解質との継続的な反応が抑制されて負極の界面抵抗の上昇が抑えられ、充放電サイクル寿命を向上することができる。
【0012】
まず、本発明の方法で初充電が施される非水電解質二次電池について説明する。この非水電解質二次電池は、以下に説明する正極と負極と非水電解質とを備えるものである。
【0013】
1)正極
この正極は、集電体と、集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質を含む正極層とを含む。
【0014】
前記正極層は、正極活物質、結着剤及び導電剤を含む。
【0015】
前記正極活物質としては、種々の酸化物、例えば二酸化マンガン、リチウムマンガン複合酸化物、リチウム含有ニッケル酸化物、リチウム含有コバルト酸化物、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物、リチウム含有鉄酸化物、リチウムを含むバナジウム酸化物や、二硫化チタン、二硫化モリブデンなどのカルコゲン化合物などを挙げることができる。中でも、リチウム含有コバルト酸化物(例えば、LiCoO2 )、リチウム含有ニッケルコバルト酸化物(例えば、LiNi0.8 Co0.2 O2 )、リチウムマンガン複合酸化物(例えば、LiMn2 O4 、LiMnO2 )を用いると、高電圧が得られるために好ましい。なお、正極活物質としては、1種類の酸化物を単独で使用しても、あるいは2種類以上の酸化物を混合して使用しても良い。
【0016】
前記導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0017】
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエーテルサルフォン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
【0018】
前記正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
【0019】
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、アルミニウム、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
【0020】
前記正極は、例えば、正極活物質に導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製される。
【0021】
2)負極
前記負極は、集電体と、集電体の片面もしくは両面に担持される負極層とを含む。
【0022】
前記負極層は、リチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質及び結着剤を含む。
【0023】
前記負極活物質としては、例えば、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素、熱分解気相炭素質物、樹脂焼成体などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料; 熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ系炭素、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体など(特に、メソフェーズピッチ系炭素繊維が容量や充放電サイクル特性が高くなり好ましい)に500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料; 二硫化チタン、二硫化モリブデン、セレン化ニオブ等のカルコゲン化合物; アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、リチウム、リチウム合金等の軽金属; 等を挙げることができる。中でも、(002)面の面間隔d002が0.34nm以下である黒鉛結晶を有する黒鉛質材料を用いるのが好ましい。このような黒鉛質材料を負極活物質として含む負極を備えた非水電解質二次電池は、電池容量および大電流放電特性を大幅に向上することができる。前記面間隔d002 は、0.337nm以下であることが更に好ましい。
【0024】
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を用いることができる。
【0025】
前記負極活物質及び前記結着剤の配合割合は、炭素質物90〜98重量%、結着剤2〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0026】
前記集電体としては、多孔質構造の導電性基板か、あるいは無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。
【0027】
前記負極は、例えば、負極活物質と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製される。
【0028】
上記正極と負極を用いて電極群を形成する。この電極群は、例えば、(i)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて偏平形状または渦巻き状に捲回するか、(ii)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて渦巻き状に捲回した後、径方向に圧縮するか、(iii)正極及び負極をその間にセパレータを介在させて1回以上折り曲げるか、あるいは(iv)正極と負極とをその間にセパレータを介在させながら積層する方法により作製される。
【0029】
電極群には、プレスを施さなくても良いが、正極、負極及びセパレータの一体化強度を高めるためにプレスを施しても良い。また、プレス時に加熱を施すことも可能である。
【0030】
電極群には、正極、負極及びセパレータの一体化強度を高めるために、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリ塩化ビニル(PVC)またはポリエチレンオキサイド(PEO)のような接着性高分子を含有させることができる。
【0031】
セパレータとしては、微多孔性の膜、織布、不織布、これらのうち同一材または異種材の積層物等を用いることができる。セパレータを形成する材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合ポリマー、エチレン−ブテン共重合ポリマー等を挙げることができる。セパレータの形成材料としては、前述した種類の中から選ばれる1種類または2種類以上を用いることができる。
【0032】
3)非水電解質
非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に混合される添加剤と、非水溶媒と添加剤の混合溶媒に溶解される電解質(例えば、リチウム塩)とを含むことが望ましい。この非水電解質の形態は、液体状(非水電解液)やゲル状にすることができる。
【0033】
添加剤としては、エチレンサルファイト(ES)、プロピレンサルファイト(PS)、1,3−プロペンスルトン(PRS)、プロパンスルトン、1,4−ブチレンスルトン(BTS)、スルフォラン、フェニルエチルカーボネート(phEC)、カテコールカーボネート、ビニレンカーボネート(VC)及びビニルエチレンカーボネート(VEC)よりなる群から選ばれる少なくとも1種類が用いられる。中でも、ビニレンカーボネート(VC)を必須成分とした2種類以上の添加剤を使用するのは、負極表面のリチウムイオン透過性を損なわずに保護皮膜の緻密性を高くすることができるため、望ましい。VCと組合わせる他の溶媒としては、エチレンサルファイト及びビニルエチレンカーボネートのうち少なくとも一方を使用することが望ましい。また、1,3−プロペンスルトン(PRS)、プロパンスルトン及び1,4−ブチレンスルトン(BTS)の中でも、PRS、プロパンスルトンが好ましく、最も好ましいのはPRSである。
【0034】
非水溶媒中の添加剤の配合量は、10重量%以下にすることが好ましい。配合量が10重量%を超えると、負極表面に保護皮膜が過剰に形成されて内部抵抗が高くなる恐れがあるからである。配合量のより好ましい範囲は、0.01重量%〜3重量%である。
【0035】
非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどの環状カーボネートや、γ−ブチロラクトンなどの環状エステル、テトラメチルスルフォラン、ジメチルスルフォキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミドやこれらの誘導体、あるいは上記の非水溶媒のうち2種類以上の混合溶媒が使用可能であり、特に限定されるものではない。さらに、これらの非水溶媒に、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートや、アセトニトリル、酢酸エチル、酢酸メチル、トルエン、キシレン等の非水溶媒を混合し、非水電解液の粘度を下げることも有効である。
【0036】
非水溶媒のうち好ましいのは、γ−ブチロラクトンと、環状カーボネートとを含むものである。このような非水溶媒は、二次電池の高温貯蔵特性及び充放電サイクル寿命を向上することができるからである。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等を挙げることができる。特にECは、リチウムイオンとGBLとの反応を抑える効果が大きいので好ましい。なお、環状カーボネートの種類は、1種類でも良いし、2種類以上にすることも可能である。
【0037】
前記非水溶媒に溶解される電解質としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4 )、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6 )、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3 SO3 )、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3 SO2 )2 )、ビスペンタフルオロエチルスルホニルイミドリチウム(LiN(C2F5SO2)2)などのリチウム塩を挙げることができる。使用する電解質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0038】
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.5モル/Lとすることが望ましい。
【0039】
次いで、初充電工程について説明する。
【0040】
初充電工程では、設定電圧まで定電流充電後、前記設定電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程が行われる。
【0041】
設定電圧は、4V〜4.4V(閉回路)の範囲内にすることが望ましい。これは以下に説明する理由によるものである。設定電圧を4V未満にすると、十分な保護被膜が形成されない恐れがあり、また、高容量を得られない可能性がある。さらに、充電時間が長くなる恐れもある。一方、設定電圧が4.4Vを超えると、正極あるいは負極の分解反応もしくは非水溶媒の分解反応を生じる恐れがある。設定電圧のより好ましい範囲は、4.1〜4.3Vである。
【0042】
前記設定電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加することによって、負極表面において保護皮膜再溶解反応と保護皮膜再析出反応とを繰り返すことで保護皮膜を再形成することができる。この際、交流電圧のみ印加すると、保護被膜形成反応に優位な電圧を維持することができないため、被膜の緻密性が低下し、負極と非水電解質の継続的な反応によって内部抵抗が増大する。また、直流電圧に加えて交流電圧を印加しても、この交流電圧の振幅が10mVを超えると、保護皮膜溶解反応で多量の添加剤が非水電解質中に溶解し、一方、保護皮膜形成反応では膜形成が急激に生じるため、保護皮膜の形成むらが大きくなる。保護皮膜の緻密性を高くして充放電サイクル寿命をより向上させるためには、交流電圧の振幅を2mV〜5mVの範囲内にすることがより好ましい。
【0043】
交流電圧の周波数は、100Hz以上の範囲内にすることが望ましい。これにより、長寿命を得ることができる。さらに好ましい範囲は、1kHz〜10kHzである。
【0044】
初充電工程は、温度を10〜50℃に保持しながら行うことが望ましい。これは、充電温度が低すぎると、非水電解質の粘度が増加するために皮膜形成反応が不均一に生じ易く、一方、充電温度が高すぎると、保護皮膜形成反応が急激に生じるためにリチウムイオン透過性の低い皮膜が得られる恐れがあるからである。さらに好ましい範囲は、20℃〜45℃である。
【0045】
保護皮膜の均一性と安定性をさらに高くするために、2サイクル目(初充電を1サイクル目とする)以降から10サイクル目(より好ましくは2〜3サイクル)までの充電工程において、設定電圧まで定電流充電後、前記設定電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程(以下、パルス充電工程と称す)を行なうことが望ましい。このパルス充電工程を11サイクル目より後の充電工程でも行うことは可能であるが、11サイクル目以降では保護皮膜の安定性が十分に高くなっているため、サイクル寿命向上の効果がほとんど望めないばかりか、コストの増加を招く恐れがある。
【0046】
2サイクル目以降に行われるパルス充電工程は、初充電工程において説明したのと同様な条件で行うことができる。なお、交流電圧の振幅は10mV以下であれば、初充電工程と2サイクル目以降とで異なっていても良い。また、定電流充電条件(充電電流、充電時間等)や、直流電圧値についても、初充電工程と2サイクル目以降とで異なっていても良い。
【0047】
本発明においては、初充電前に、エージングを行うことができる。なお、エージング温度は、10℃〜50℃の範囲内にすることが望ましい。
【0048】
本発明に係る方法で製造される非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を図1〜図2を参照して詳細に説明する。
【0049】
図1は、本発明に係わる非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を示す斜視図、図2は図1の薄型リチウムイオン二次電池を短辺方向に沿って切断した部分断面図である。
【0050】
図1に示すように、矩形のカップ状をなす容器本体1内には、電極群2が収納されている。電極群2は、正極3と、負極4と、正極3と負極4の間に配置されるセパレータ5を含む積層物が偏平形状に捲回された構造を有する。非水電解質は、電極群2に保持されている。容器本体1の縁の一部は幅広になっており、蓋板6として機能する。容器本体1と蓋板6は、それぞれ、ラミネートフィルムから構成される。このラミネートフィルムは、外部保護層7と、熱可塑性樹脂を含有する内部保護層8と、外部保護層7と内部保護層8の間に配置される金属層9とを含む。容器本体1には蓋体6が内部保護層8の熱可塑性樹脂を用いてヒートシールによって固定され、それにより容器内に電極群2が密封される。正極3には正極タブ10が接続され、負極4には負極タブ11が接続され、それぞれ容器の外部に引き出されて、正極端子及び負極端子の役割を果たす。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0052】
(実施例1)
<正極の作製>
リチウムコバルト酸化物粉末91重量部、グラファイト6重量部及びポリフッ化ビニリデン3重量部を混合し、これをN―メチル−2−ピロリドンに分散させ、スラリーを調製した。前記スラリーをアルミニウム箔に塗布した後、プレスすることにより正極を作製した。
【0053】
<負極の作製>
炭素系材料としてメソフェーズピッチ系炭素繊維の粉末を93重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン7重量部と、溶媒としてN―メチル−2−ピロリドンとを混合し、スラリーを調製した。前記スラリーを銅箔に塗布した後、プレスすることにより負極を作製した。
【0054】
<セパレータ>
厚さ25μm、多孔度が50%のポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータを用意した。
<非水電解質の調製>
非水溶媒であるエチレンカーボネートとγ―ブチロラクトンを体積比率が33:67になるようにして混合した後、支持電解質として四フッ化ホウ酸リチウムを1.5モル/Lになるように溶解し、混合溶媒電解液を調製した。得られた混合溶媒電解液99重量部(99重量%)と添加剤としてのエチレンサルファイト(ES)1重量部(1重量%)とを混合し、液状の非水電解質(非水電解液)を調製した。
【0055】
<電極群の作製>
前記正極及び前記負極をその間に前記セパレータを介して渦巻状に捲回し、得られた捲回物を扁平状に加圧プレス成形することにより非水電解質未含浸の電極群を得た。両面をポリプロピレンで覆ったアルミニウム箔を袋状に加工した容器内に電極群を収納した。
【0056】
<非水電解質二次電池の作製>
容器内の電極群に80℃で12時間真空乾燥を施して電極群中の水分を除去した後、前記非水電解質を注入し、設計容量520mAhの非水電解質二次電池を組立てた。
【0057】
<初充電工程>
0.2C(104mA)で4.2V(閉回路)まで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流電圧に加えて周波数1kHz、最大振幅5mVの正弦波パルス電圧を印加し、合計9時間の充電を45℃において行なった。
【0058】
<充電(2サイクル目以降)工程>
1C(520mA)で4.2Vまで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流定電圧を印加し、合計3時間の充電を行なった。また、放電は、1.0Cで3.0Vまで行った。この条件での充放電サイクルを25℃において繰り返し行い、100サイクル目及び300サイクル目の抵抗値を測定し、その結果を下記表1に示す。また、1サイクル目の放電容量を100として100サイクル目及び300サイクル目の容量維持率を表し、その結果を下記表1に示す。
【0059】
(実施例2)
前述した実施例1で説明したのと同様にして電池の組立て及び初充電を行なった。2サイクル目から3サイクル目までの充電工程では、1C(520mA)で4.2V(閉回路)まで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流電圧に加えて周波数1kHz、最大振幅5mVの正弦波パルス電圧を印加し、合計3時間の充電を45℃において行なった。また、各サイクルで放電は、1.0Cで3.0Vまで行った。
【0060】
4サイクル目以降の充電工程を1C(520mA)で4.2Vまで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流定電圧を印加して合計3時間行う充電に変更した。また、放電条件は、変更しなかった。100サイクル目及び300サイクル目の抵抗値を測定し、その結果を下記表1に示す。また、1サイクル目の放電容量を100として100サイクル目及び300サイクル目の容量維持率を表し、その結果を下記表1に示す。
【0061】
(実施例3)
添加剤として、エチレンサルファイト(ES)に代わりにビニルエチレンカーボネート(VEC)を1重量部(1重量%)用いた以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0062】
(実施例4)
添加剤として、エチレンサルファイト(ES)を1重量部(重量%)とビニレンカーボネート(VC)を0.5重量部(重量%)とを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0063】
(実施例5)
添加剤として、ビニルエチレンカーボネート(VEC)を0.5重量部(重量%)とビニレンカーボネート(VC)を0.5重量部(重量%)とを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0064】
(実施例6)
添加剤として、1,3−プロペンスルトン(PRS)を1重量部(重量%)とビニレンカーボネート(VC)を1重量部(重量%)とを用いた以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0065】
(比較例1)
初充電工程において、0.2C(104mA)で4.2Vまで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流定電圧を印加し、合計9時間の充電を行なったこと以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0066】
(比較例2)
非水電解質中にエチレンサルファイトを含まないこと以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0067】
(比較例3)
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比1:1で混合した非水溶媒に、LiPF6を1mol/L溶解させて液状の非水電解質を得た。この非水電解質を用いること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0068】
(比較例4)
正弦波パルス電圧の最大振幅を20mVにすること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造してサイクル試験を行った。
【0069】
(比較例5)
前述した実施例1で説明したのと同様にして電池の組立てを行なった。
【0070】
初充電工程では、0.2C(104mA)で4.2Vまで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流定電圧を印加し、合計9時間の充電を45℃において行なった。
【0071】
また、2サイクル目から3サイクル目までの充電工程では、1C(520mA)で4.2Vまで定電流充電を行なった後、4.2Vの直流電圧に加えて周波数1kHz、最大振幅5mVの正弦波パルス電圧を印加し、合計3時間の充電を25℃において行なった。また、各サイクルでの放電は、1.0Cで3.0Vまで行った。
【0072】
4サイクル目以降の充放電を前述した実施例2で説明したのと同様にして行い、100サイクル目及び300サイクル目の抵抗値と容量維持率を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0073】
【表1】
表1から明らかなように、適当な添加剤を非水電解質中に含む状態で、定電流充電後、直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加しながら初充電が行われる実施例1〜6の二次電池は、100サイクル後及び300サイクル後の内部抵抗が低く、かつ100サイクル後及び300サイクル後の容量維持率が高いことがわかる。これは、電極表面に形成された保護皮膜の安定性が高くなったためであると考えられる。
【0074】
これに対し、交流電圧を印加しないあるいは適当な添加剤を含まない比較例1〜3の二次電池は、実施例1〜4に比べて内部抵抗が高く、かつ容量維持率が低いことがわかる。また、交流電圧の振幅が大きい比較例4の二次電池は、100サイクル以降に急激に内部抵抗が増加し、かつ容量維持率が低下することがわかる。一方、比較例5の結果から、初充電では交流電圧を印加せず、初充電以降で交流電圧を印加する充電を行うと、100サイクル以降に急激に内部抵抗が増加して300サイクル目の容量維持率が著しく低下することが理解できる。
【0075】
なお、本発明は、上記の実施例に止まるものではなく、他の種類の正極・負極・セパレータ・容器の組合わせにおいても同様に適用可能である。また、上記の実施例のようなラミネートフィルムから容器を形成した非水電解質二次電池以外にも、円筒形や角形の金属容器を有する二次電池(例えば、円筒形非水電解質二次電池、角形非水電解質二次電池)においても本発明は適用可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、充放電サイクル寿命が向上された非水電解質二次電池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる方法で製造される非水電解質二次電池の一例である薄型リチウムイオン二次電池を示す斜視図。
【図2】図1の薄型リチウムイオン二次電池を短辺方向に沿って切断した部分断面図。
【符号の説明】
1…容器本体、
2…電極群、
3…正極、
4…負極、
5…セパレータ、
6…蓋板、
7…外部保護層、
8…内部保護層、
9…金属層、
10…正極端子、
11…負極端子。
Claims (2)
- エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、1,3−プロペンスルトン、プロパンスルトン、1,4−ブチレンスルトン、スルフォラン、フェニルエチルカーボネート、カテコールカーボネート、ビニレンカーボネート及びビニルエチレンカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種類を含有する非水電解質と、正極と、負極とを備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
定電流充電後、前記定電流充電により得られた電圧値での直流電圧に加えて振幅10mV以下の交流電圧を印加する充電工程を少なくとも初充電において行うことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。 - 前記定電流充電は、閉回路で4V〜4.4Vの範囲内に達するまで行われることを特徴とする請求項1記載の非水電解質二次電池の製造方法。
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