JP2004156738A - スラストころ軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軸受トルクの小さいスラストころ軸受を提供する。
【解決手段】本発明のスラストころ軸受1は、複数のころ2a、2bと、それぞれがころ2a、2bを保持するためのポケット5、6を複数有する環状の保持器3、4とを備えている。保持器3、4は、ポケット5、6に形成されたころ保持部5a、6aによってころ2a、2bを上下方向に挟んで各々保持し、ころ保持部5a、6aにおけるころ2a、2bとの接触部5c、6cの表面粗さ(Ra)は16μm以下である。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のスラストころ軸受1は、複数のころ2a、2bと、それぞれがころ2a、2bを保持するためのポケット5、6を複数有する環状の保持器3、4とを備えている。保持器3、4は、ポケット5、6に形成されたころ保持部5a、6aによってころ2a、2bを上下方向に挟んで各々保持し、ころ保持部5a、6aにおけるころ2a、2bとの接触部5c、6cの表面粗さ(Ra)は16μm以下である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のオートマチックトランスミッションやコンプレッサーなどに使用されるスラストころ軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スラスト針状ころ軸受は、針状ころと保持器、および軌道輪とで構成され、針状ころと軌道輪とが線接触する構造であるため、軸受投影面積が小さい割に高負荷容量と高剛性が得られる利点を有している。したがって、希薄潤滑下や高速回転下での運転など、苛酷な使用条件で使用する軸受として好適で、たとえば自動車のオートマチックトランスミッション用軸受やカーエアーコンプレッサー用軸受として広く使用されている。
【0003】
従来、潤滑油の流入性および流出性の少なくとも一方を向上させることにより、通過する単位時間当たりの潤滑油量の増大を図ったスラスト針状ころ軸受が知られている(特開2002−70872号公報参照)。そのスラストころ軸受について図10を用いて説明する。
【0004】
図10(a)〜(c)を参照して、このスラスト針状ころ軸受50は、複数の針状ころ80と2枚の環状保持器60、70とからなり、この2枚の保持器60、70のそれぞれが径方向において、ころ長よりも長い複数の窓61、71を有し、これら複数の窓61、71に形成されたころ保持部64、74で複数の針状ころ80を上下方向に挟んで保持している。ここで、2枚の保持器60、70について、ころ保持部64、74の径方向長さlaがころ長lよりも短くされ、かつ、2枚の保持器60、70のうちの少なくとも一方が折り曲げ加工されている。それにより、ころ保持部64、74に対して径方向の外側部分および内側部分の、少なくとも一方の上下方向の厚さt1、t2が、ころ保持部64、74の上下方向の厚さt0よりも薄くされている。
【0005】
これにより、ころ保持部64、74に対して厚さを薄くした径方向の外側部分および内側部分の、少なくとも一方側の潤滑油の流入性あるいは流出性が向上し、軸受を通過する単位時間当たりの潤滑油量を増加させることができる。さらに、保持器60、70によって潤滑油の通過が遮られにくくなるので潤滑油が滞留せず、油温の上昇を抑制することができ、軸受の耐久性を向上させることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−70872号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のスラスト針状ころ軸受50については、針状ころ80を回転させるのに必要なトルク(軸受トルク)が大きいという問題があった。軸受トルクが大きいと、自動車オートマチックトランスミッションやカーエアーコンコンプレッサ用軸受のような高速回転下、希薄潤滑下などの使用条件の厳しい場所に使用される場合には、回転軸の動力ロスが大きくなってしまう。
【0008】
したがって本発明の目的は、軸受トルクの小さいスラストころ軸受を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
従来のスラスト針状ころ軸受において軸受トルクが大きいという問題は、ころ保持部におけるころとの接触部の凹凸によりころが回転する際の摩擦抵抗が大きいことが原因であることがわかった。また本願発明者らは、鋭意検討した結果、ころ保持部におけるころとの接触部の表面粗さRaを所定値以下とすることにより、軸受トルクを顕著に低減できることを見出した。
【0010】
したがって、本発明のスラストころ軸受においては、複数のころと、それぞれがころを保持するためのポケットを複数有する環状の保持器とを備えており、保持器は、ポケットに形成されたころ保持部よってころを上下方向に挟んで各々保持し、ころ保持部におけるころとの接触部の表面粗さRaは16μm以下である。なお、表面粗さRaとは、JIS(Japanese Industrial Standards)に規定された中心線平均粗さのことである。
【0011】
本発明のスラストころ軸受においては、ころ保持部におけるころとの接触部の表面粗さRaは16μm以下であるため、ころ保持部におけるころとの接触部の凹凸が小さくなり、ころが回転する際の摩擦抵抗が小さくなる。その結果スラストころ軸受の軸受トルクが特に小さくなる。
【0012】
本発明のスラストころ軸受において好ましくは、複数のころの各々は、複数のポケットの各々に保持器の径方向に単列で配置されている。
【0013】
これにより、1つのポケットに配置されるころが1つとなるので、簡易な構成で軸受トルクの小さいスラストころ軸受が構成される。
【0014】
本発明のスラストころ軸受において好ましくは、複数のころの各々は、複数のポケットの各々に保持器の径方向に複列で配置されている。
【0015】
これにより、複列で配置された場合には、保持器の径方向に対して外側のころと内側のころが並んで配置される。したがって、ころの外径側部分と内径側部分との公転周速差が小さくなり、軌道面(図示せず)との滑りが抑制される。これにより、接触部の発熱が少なくなり、ころの表面損傷(スミアリング)が防止される。
【0016】
本発明のスラストころ軸受において好ましくは、ころ保持部におけるころとの接触部はせん断面である。
【0017】
これにより、ころ保持部におけるころとの接触部の表面粗さRaが容易に16μm以下となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0019】
図1(a)は、本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第1の実施形態を示す平面図、(b)は(a)のIb−Ib線に沿った断面図、(c)は(b)の要部拡大図、そして(d)は(a)のポケット部の要部拡大図、(e)は(c)のIe−Ie線に沿った拡大断面図である。また、図2は図1(c)の斜視図である。
【0020】
図1(a)〜(d)を参照して、このスラスト針状ころ軸受1は、複数の針状ころ2とこれら針状ころ2を周方向に所定ピッチで保持する2枚の環状の保持器3、4とからなっている。ここで、2枚の保持器3、4のそれぞれは、径方向において針状ころ2の長さLよりも長い矩形状の複数のポケット5、6を有し、冷間圧延鋼鈑(SPCC)からなる鋼鈑をプレス加工にて形成されている。各ポケット5、6の両側縁には、対向する方向に突出するころ保持部5a、6aが形成されている。これらころ保持部5a、6aによって針状ころ2が上下方向に挟んで保持されている。なお、保持器3、4は、これ以外にもたとえば、SCM415などの帯鋼をプレスで絞り成形してもよい。
【0021】
針状ころ2は、外径側の針状ころ2aと内径側の針状ころ2bとで構成され、ポケット5、6内に複列で配置されている。これにより、各針状ころ2a、2bにおいて、外径側部分と内径側部分との公転周速差が小さくなり、軌道面(図示せず)との滑りが抑制されるので、接触部の発熱が少なく、表面損傷や表面起点型の剥離を防止することができる。なお、ここでは複列の針状ころ2a、2bの長さが同一とされているが、使用条件によって外径を内径以下にするか、または外径を内径以上にするかを選択し、たとえば、外径と内径とのうち長い方を短い方の1.2倍の長さにすることにより、負荷容量を上げるようにしてもよい。
【0022】
図1(c)、図2を参照して、2枚の保持器3、4のうち、上側保持器3のころ保持部5aの径方向外側は、ころ保持部5aの外端から折り曲げられた傾斜延出部3aと、この傾斜延出部3aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部3bとで構成されている。また、上側保持器3のころ保持部5aの径方向内側は、同じくころ保持部5aの内端から折り曲げられた傾斜延出部3cと、この傾斜延出部3cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部3dとで構成されている。
【0023】
また、上側保持器3と同一型でポケット抜きされた下側保持器4のころ保持部6aの径方向外側は、ころ保持部6aの外端から折り曲げられた傾斜延出部4aと、この傾斜延出部4aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部4bとで構成されている。また、下側保持器4のころ保持部6aの径方向内側は、同じくころ保持部6aの内端から折り曲げられた傾斜延出部4cと、この傾斜延出部4cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部4dとで構成されている。
【0024】
そして、2枚の保持器3、4においては、外側板部3b、4bが互いに上下方向に重合され、外側板部4bの最外端部が上方向に折り曲げられることで加締部7が形成されている。また、内側板部3d、4dが互いに上下方向に重合され、内側板部3dの最内端部が下方向に折り曲げられることで加締部8が形成されている。これら加締部7、8により、2枚の保持器3、4は内外端部が加締固定されて強固に一体化されているため、運転中においても2枚の保持器3、4は分離することはない。また、外側板部3b、4bおよび内側板部3d、4dでは、針状ころ2の端面とポケット5、6との接触面積を広くとることができ、これによりドリリング摩耗が抑制される。
【0025】
2枚の保持器3、4を固定した状態において、2枚の保持器3、4がなすころ保持部5a、6aよりも径方向の外側部分の上下方向の厚さT1と径方向の内側部分の上下方向の厚さT2とは、傾斜延出部3a、4aおよび3c、4cが存在することから、ころ保持部5a、6aの上下方向の厚さT0よりも薄い。
【0026】
図1(d)を参照して、ころ保持部5a、6aの径方向の長さLaがころ長さLよりも短く形成されることで、ころ保持部5a、6aの両端に形成された凹部5b、6bによって潤滑油が容易に通過させることができる。なお、針状ころ2a、2bの端面は、フラットな形状に限らず円弧面で形成されてもよい。
【0027】
図3を参照して、以上の構成を有するスラスト針状ころ軸受1は、第1軸(回転軸)9の軌道面9aと、第2軸(固定軸)10の軌道面10aとの間を針状ころ2が転動するように、上側保持器3の加締部8を案内面としてすきまばめされる。第1軸9が回転すると、保持器3、4もこの第1軸9とともに回転し、針状ころ2が第1軸9の軌道面9aと第2軸10の軌道面10aとの間を転動する。ここで、図示しない油圧供給源から油路を経由してスラスト針状ころ軸受1内に潤滑油が供給される。
【0028】
潤滑油は、油路を矢印aのように通ってから第2軸10の軌道面10aと下側保持器4のころ保持部6aに対して径方向内側部分との間を矢印bのように通る。その後、潤滑油は、針状ころ2の周囲および保持器3、4で形成される空間内を矢印cのように通って、針状ころ2の側面と保持器3、4のころ保持部5a、6aとの間、針状ころ2の端面との間、および針状ころ2の側面と軌道面9a、10aとの間を潤滑し、第2軸10の軌道面10aと保持器4のころ保持部6aに対して径方向の外側部分との間、および第1軸9の軌道面9aと保持器3のころ保持部5aに対して径方向の外側部分との間を通って矢印dのように排出される。
【0029】
この潤滑油による各部の潤滑に際し、2枚の保持器3、4がなすころ保持部5a、6aに対して、径方向の外側部分、内側部分の上下方向の厚さT1、T2はころ保持部5a、6aの上下方向の厚さT0よりも薄く形成されている(図1(c)参照)。このため、第2軸10の軌道面10aと下側保持器4のころ保持部6aに対して径方向の内側部分との間の空間の断面積が従来に比べて大きくなり、潤滑油の流出性とともに流入性が向上されている。したがって、軸受各部の焼付きが確実に防止されるとともに、針状ころ2の端面と保持器3、4のポケット5、6とのドリリング摩耗が抑制される。また、保持器3、4によって潤滑油の通過が遮られ難くなるため潤滑油が滞留し難くなるので、油温の上昇が抑制され、保持器の強度アップと相俟って軸受の耐久性が一層向上される。
【0030】
本発明において特に注目すべき点は、ころ保持部5a、6aにおける針状ころとの接触部の表面粗さRaが16μm以下とされていることである。
【0031】
図1(e)を参照して、通常、保持器3、4には打抜き加工によってポケット5、6が形成され、これによりころ保持部5a、6aにおける針状ころ2a、2bとの接触部である角部5c、6cが形成される。ここで、打抜き加工によって形成されるせん断切り口の形状について説明する。
【0032】
図4は、打抜き加工によって形成されるせん断切り口の形状である。
図4を参照して、打抜き加工によって形成されるせん断切り口は一般に均質ではなく、およそ次の4つの領域で構成される。すなわち、工具が材料に食い込む際に圧下された自由表面であるだれ31、大きなせん断ひずみを受けて工具側面でこすられた光沢あるせん断面32、き裂が生じ破断した部分で微小な凹凸のある破断面33およびかえり34である。
【0033】
従来、保持器3、4の打抜き加工後のせん断切り口が、そのまま針状ころ2a、2bとの接触部とされていた。このため、破断面が接触部となった場合やせん断面やだれが接触部となった場合でも加工条件(状態)などによっては、針状ころ2a、2bとの接触部の表面粗さRaが大きいものとなって針状ころ2a、2bが回転する際の摩擦抵抗が大きくなり、その結果スラストころ軸受1の軸受トルクが大きくなっているのではないかと本願発明者らは推測した。そこで本願発明者らは、ころ保持部における針状ころとの接触部の表面粗さRaとスラストころ軸受の軸受トルクとの関係を調べた。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1はころ保持部における針状ころとの接触部の表面粗さRaとスラスト針状ころ軸受の軸受トルクとの関係を示す表である。表1を参照して、軸受トルクの値は、針状ころとの接触部の表面粗さRaの値が減少するとともに小さくなった。製品サイズによってトルクの減少量は様々であったが、特に表面粗さRaが16μm以下では、表面粗さRaが16〜100μmの場合よりも、製品サイズに関わらず軸受トルクが約20%減少することがわかった。したがって、ころ保持部における針状ころとの接触部の表面粗さRaが16μm以下とされることによりスラストころ軸受の軸受トルクが特に小さくなる。
【0036】
本実施の形態のような4つのころ保持部で針状ころを支える構成のスラストころ軸受の場合には、以下の配置および処理によりころ保持部における針状ころとの接触部の表面粗さRaが16μm以下となり、スラストころ軸受の軸受トルクが小さくなる。
【0037】
図5は、本実施の形態に係るスラストころ軸受の配置方法を示す拡大断面図であって、図1(e)のF部を拡大して示す模式断面図である。
【0038】
図5を参照して、打抜き加工によって形成されるせん断切り口のうち、たとえばだれ31およびせん断面32となっている部分が針状ころ2a、2bとの接触部分となるように、ころ保持器4が配置されている。そして、この保持器4の針状ころ2a、2bとの接触部分の表面粗さRaが16μm以下とされている。接触部分の表面粗さRaを16μm以下とするために、たとえばだれ31およびせん断面32の部分に、予め化学研磨処理、ブローチ削り、サンドブラストなどの処理が施されてもよい。また、打抜き工具の精度を上げることなどにより表面粗さRaを16μm以下に常時確保するようにしてもよい。ただし、表面粗さRaを小さくし易いという意味において、だれ31およびせん断面32側を針状ころ2a、2bとの接触部とすることが好ましい。また、上記においては保持器4について説明したが、保持器3についても保持器4と同様に針状ころとの接する部分の表面粗さRaが16μm以下とされている。また、図5のように保持器4が配置されなくても、予め化学研磨処理、ブローチ削り、サンドブラストなどの処理がせん断切り口全面についてなされて、針状ころ2a、2bとの接触部分の表面粗さRaが16μm以下とされれば、保持器4はどのように配置されても本実施の形態と同様の効果が得られる。
【0039】
なお、本実施の形態においては保持器が4つのころ保持部5a、6aでころと線接触するスラストころ軸受(以下、箱形スラストころ軸受)について示したが、針状ころを保持するためのものであれば、たとえばW形スラストころ軸受でもよい。
【0040】
図6(a)はW形スラスト針状ころ軸受の断面図、(b)は(a)のG部拡大図、(c)はポケットところ保持部を示す拡大断面図、(d)はW形スラスト針状ころ軸受のころ保持器の平面図である。
【0041】
図6(a)〜(d)を参照して、W形スラストころ軸受100とは、ころ保持器103のポケット5を避けた部分の径方向に沿った断面形状がW字状のころ保持器103を有するスラストころ軸受を意味する。W形スラストころ軸受100におけるころ保持器103では、両側合わせて6つのころ保持部5aによって針状ころ2が上下方向から挟み込まれることにより保持されている。構造上、箱形スラストころ軸受の場合のようにだれおよびせん断面のみに処理を行なうことによって容易にころとの接触部を16μm以下とすることはできない。この構造では、保持器103に打抜き加工によりポケット5を形成すると、だれおよびせん断面側がころ2との接触部となるころ保持部5aと、破断面33とかえり34側がころ2との接触部となるころ保持部5aとが生じる。このため、特に破断面33とかえり34側がころ2との接触部となるころ保持部5aに、予め化学研磨処理、ブローチ削り、サンドブラストなどの処理を施して、表面粗さRaを16μm以下にする必要がある。これにより、W形スラストころ軸受においても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0042】
次に本実施の形態に係る箱形スラスト針状ころ軸受1(図1)の製造手順について詳細に説明する。2枚の保持器3、4は針状ころ2を配置するためのポケット5、6が形成される。その後、必要に応じてたとえば化学研磨処理、ブローチ削り、サンドブラスト、バレル研磨がなされることにより、ころ保持部5a、6aにおける針状ころとの接触部の表面粗さRaが16μm以下とされる。
【0043】
2枚の保持器3、4と、焼入れ焼戻し済みまたは未焼入れの針状ころ2がセットされ、外側板部4bの最外端部が上方向に折り曲げられて加締部7が形成されるとともに、内側板部3dの最内端部が下方向に折り曲げられて加締部8が形成され、2枚の保持器3、4が一体に固定される。ここで、針状ころ2の素材として、たとえば高炭素クロム軸受鋼の1種あるいは2種であるSUJ軸受鋼が使用され、840℃×30分で油焼入れ、次いで180℃×90分で焼戻しすることにより表面硬さがビッカース硬度(Hv)で700〜750程度になるようにされている。
【0044】
その後、針状ころ2と2枚の保持器3、4をセットした状態で浸炭焼入れ焼戻し、あるいは浸炭窒化処理が施されて製品が完成する。浸炭処理の場合、針状ころ2と2枚の保持器3、4が850℃×35分浸炭され(RXガス雰囲気中)、油中で焼入れされ、次いで165℃×60分で焼戻される。また、浸炭窒化処理の場合、針状ころ2と2枚の保持器3、4が浸炭窒化雰囲気(RXガスに容積比で1〜3%のアンモニア添加)で、840〜850℃×35分間保持され浸炭窒化された後、直ちに油中にて急冷される。
【0045】
ここで、予め2枚の保持器3、4が570〜580℃×35分で軟窒化処理されることで強度アップされてもよい。また、針状ころ2は予め熱処理を施されなくてもよい。しかし、針状ころ2は、組み込みの前に予め熱処理、すなわちずぶ焼入れが施されれば、製造工程がそれだけ増加することになるが、その一方で、その後実施される浸炭あるいは浸炭窒化処理によってさらに強度が向上する。少なくとも2枚の保持器3、4および針状ころ2が別々に熱処理され、加締部を焼きなまししていた従来のに比べ製造工程は簡略化されたものとなる。
【0046】
前述した手順でスラストころ軸受1を製造することによって、下記に示すような具体的な特性を付与することができる。次に、これらの特性について詳細に説明する。
【0047】
まず針状ころ2は、その表層部に浸炭層あるいは浸炭窒化層が形成されているので、表層の硬度は従来品と比べて高くなり、高硬度の異物を噛み込んでも圧痕が生じ難くなるので、長寿命となる。また、針状ころ2は、浸炭窒化処理において窒素富化層が形成され、かつその残留オーステナイト量が20容積%以上となるようにすることができる。これは、軌道面9a、10aに高硬度の異物を噛み込むと、従来では圧痕周辺で応力集中源となるが、多量に存在する残留オーステナイトの塑性変形によってこうした応力集中が緩和されるので、これにより針状ころ2が高硬度となるとともに長寿命となる。なお、窒素富化層は、具体的には厚みを0.1mm以上、表面硬さ750Hv以上とすることができる。さらに、内部硬さも表面硬さと同程度に高めることができるので、針状ころ2全体の強度を向上させることができる。したがって、苛酷な条件、たとえば高荷重の条件であっても針状ころ2は使用可能となり、所望の寿命を満足することができる。
【0048】
保持器3、4の場合は、針状ころ2と同様、その表層部に浸炭層あるいは浸炭窒化層が形成され、それにより表面硬さを700Hv以上とすることができる。したがって、従来のものに比べ耐摩耗性が向上する。
【0049】
図7(a)は、本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第2の実施形態を示す平面図、(b)は(a)のVIIb−O−VIIb線に沿った断面図、(c)は(a)の底面図、(d)は(b)のA部拡大図、そして(e)は(b)のB部拡大図である。この第2の実施形態は前述した第1の実施形態と保持器形状と加締方法が異なるのみで、その他同一部品同一部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0050】
図7(a)〜(e)を参照して、このスラストころ軸受11は、複数の針状ころ2と、これら針状ころ2を周方向に所定ピッチで保持する2枚の環状の保持器13、14とからなっている。2枚の保持器13、14のうち、上側保持器13のころ保持部15aの径方向外側は、図7(d)に示すように、ころ保持部15aの外端から折り曲げられた傾斜延出部13aと、この傾斜延出部13aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部13bとで構成されている。
【0051】
また、上側保持器13のころ保持部15aの径方向内側は、同じくころ保持部15aの内端から折り曲げられた傾斜延出部13cと、この傾斜延出部13cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部13dとで構成されている。また、上側保持器13と同一型でポケット抜きされた下側保持器14のころ保持部16aの径方向外側は、ころ保持部16aの外端から折り曲げられた傾斜延出部14aと、この傾斜延出部14aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部14bとで構成されている。また、下側保持器14のころ保持部16aの径方向内側は、同じくころ保持部16aの内端から折り曲げられた傾斜延出部14cと、この傾斜延出部14cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部14dとで構成されている。
【0052】
そして、2枚の保持器13、14においては、図7(d)に示すように、外側板部13b、14bが互いに上下方向に重合され、外側板部14bの最外端部の一部が上方向に折り曲げられて、部分加締部17が形成されている。一方、内側板部13d、14dは互いに上下方向に重合され、内側板部13dの最内端部が下方向に折り曲げられている。また、図7(e)に示すように、外側板部13b、14bが互いに上下方向に重合され、外側板部14bの最外端部が上方向に折り曲げられている。さらに、傾斜延出部13c、14cは互いに上下方向に重合され、内側板部13dの最内端部の一部が下方向に折り曲げられることで部分加締部18が形成されている。これら部分加締部17、18により、2枚の保持器13、14は内外端部が強固に一体化されるとともに、前述した第1の実施形態における全周加締に比べ、加締工程が格段に簡略化される。
【0053】
位置決め部19は2枚の保持器13、14の位相合わせ用のものである。たとえば、上側保持器13の外縁に切欠き部(図示せず)が形成されるとともに、下側保持器14の外縁に形成した突起部(図示せず)が係合され、加締加工などに両保持器13、14のポケット15、16のピッチがずれないようにされている。また、これらの部分加締部17、18は、周縁の4箇所にその位相を45°ずらして形成され、これにより加締加工時、保持器変形への影響が防止されている。部分加締部の数は軸受のサイズや使用条件などにより変更される。
【0054】
図8(a)は、本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第3の実施形態を示す平面図、(b)は(a)のVIIIb−O−VIIIb線に沿った断面図、(c)は(b)のC部拡大図、そして(d)は(b)のD部拡大図である。この第3の実施形態は前述した第2の実施形態と加締方向が異なるのみで、その他同一部品同一部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】
図8(a)〜(d)を参照して、このスラスト針状ころ軸受11’は、複数の針状ころ2とこれら針状ころ2を周方向に所定ピッチで保持する2枚の環状の保持器13’、14’とからなっている。2枚の保持器13’、14’のうち、上側保持器13’のころ保持部15aの径方向外側は、図8(c)に示すように、ころ保持部15aの外端から折り曲げられた傾斜延出部13aと、この傾斜延出部13aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部13bとで構成されている。また、上側保持器13のころ保持部15aの径方向内側は、同じくころ保持部15aの内端から折り曲げられた傾斜延出部13cと、この傾斜延出部13cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部13d’とで構成されている。
【0056】
また、下側保持器14のころ保持部16aの径方向外側は、ころ保持部16aの外端から折り曲げられた傾斜延出部14aと、この傾斜延出部14aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部14bとで構成されている。また、下側保持器14のころ保持部16aの径方向内側は、同じくころ保持部16aの内端から折り曲げられた傾斜延出部14cと、この傾斜延出部14cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部14d’とで構成されている。
【0057】
そして、2枚の保持器13’、14’は、図8(c)に示すように、外側板部13b、14bが互いに上下方向に重合されるとともに、外側板部14bの最外端部の一部が上方向に折り曲げられることで部分加締部17が形成されている。一方、内側板部13d’、14d’は互いに上下方向に重合されるとともに、内側板部14d’の最内端部が上方向に折り曲げられている。また、図8(d)に示すように、内側板部13d’、14d’は互いに上下方向に重合されるとともに、内側板部14d’の最内端部の一部が上方向に折り曲げられることで部分加締部18’が形成されている。これら部分加締部17、18’により、2枚の保持器13’、14’の内外端部が強固に一体化されるとともに、前述した第2の実施形態における部分加締と異なり、同一面に部分加締部17、18’が存在するため、加締加工のさらなる簡略化ができる。
【0058】
図9(a)は、本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第4の実施形態を示す平面図、(b)は(a)のIXb−O−IXb線に沿った断面図、(c)は(b)のE部拡大図である。この第4の実施形態は前述した第1〜3の実施形態とは保持器の固定手段が異なるのみで、その他同一部品同一部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
図9(a)〜(c)を参照して、このスラスト針状ころ軸受21は、複数の針状ころ2とこれら針状ころ2を周方向に所定ピッチで保持する2枚の環状の保持器23、24とからなっている。2枚の保持器23、24のうち、上側保持器23のころ保持部25aの径方向外側は、図9(c)に示すように、ころ保持部25aの外端から折り曲げられた傾斜延出部23aと、この傾斜延出部23aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部23bとで構成されている。また、上側保持器23のころ保持部25aの径方向内側は、同じくころ保持部25aの内端から折り曲げられた傾斜延出部23cと、この傾斜延出部23cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部23dとで構成されている。
【0060】
また、下側保持器24のころ保持部26aの径方向外側は、ころ保持部26aの外端から折り曲げられた傾斜延出部24aと、この傾斜延出部24aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部24bとで構成されている。また、下側保持器24のころ保持部26aの径方向内側は、同じくころ保持部26aの内端から折り曲げられた傾斜延出部24cと、この傾斜延出部24cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部24dとで構成されている。
【0061】
そして、2枚の保持器23、24は、図9(c)に示すように、外側板部23b、24bが互いに上下方向に重合されるとともに、外側板部24bの最外端部が上方向に折り曲げられている。一方、内側板部23d、24dは互いに上下方向に重合されるとともに、内側板部24dの最内端部が上方向に折り曲げられている。この第4の実施形態では、2枚の保持器23、24を図9(a)に示すように、それぞれの外周部と内周部をスポット溶接部27、28で一体に固定している。これらの溶接部27、28は周方向等配に4箇所、互いに位相を45°ずらして設けられている。これにより、溶接による保持器変形への影響が防止される。なお、溶接箇所は周方向等配なら良く、4箇所に限らず、たとえば3箇所、あるいは5箇所以上であってもよい。
【0062】
位置決め部29は2枚の保持器23、24の位相を合わせるためのもので、上側保持器23の外縁に突起部29aが形成されるとともに、下側保持器24の外縁に形成した切欠き部29bが係合され、これにより2枚の保持器23、24のポケット25、26の位相がずれないようにしている。なお、この位置決め部29はこうした構成に限らず、たとえば、下側保持器24の外縁部の一部を加締、上側保持器23に係合させて固定する所謂ステ−キング方式や、ピンと孔による係合方式によるものでもよい。
【0063】
本実施の形態においては、針状ころが用いられたスラストころ軸受について示したが、本発明は棒状ころや円筒ころが用いられたスラストころ軸受にも適用可能である。加えて、本実施の形態では、箱形スラストころ軸受およびW形スラストころ軸受について示したが、本発明はこれらの形状以外の保持器を有するスラストころ軸受の場合でも、ころ保持部におけるころとの各々の接触部の表面粗さRaが16μm以下であれば上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0064】
また、本実施の形態においては、ころが複列に配列される場合について示したが、図10のように単列に配列される場合でも、ころ保持部における前記ころとの各々の接触部の表面粗さRaが16μm以下であれば上述した実施の形態と同様の効果が得られる。さらに本実施の形態においては、化学研磨処理、ブローチ削り、サンドブラスト、バレル研磨などの処理により、ころ保持部におけるころとの接触部の表面粗さRaが16μm以下にされたが、他の処理、加工精度向上により表面粗さRaが16μm以下とされてもよい。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明のスラスト軸受においては、複数のころと、それぞれがころを保持するためのポケットを複数有する環状の保持器とを備えている。保持器は、ポケットに形成されたころ保持部によってころを上下方向に挟んで各々保持し、ころ保持部におけるころとの各々の接触部の表面粗さRaは16μm以下である。これにより、ころ保持部におけるころとの接触部の凹凸が小さくなり、ころが回転する際の摩擦抵抗が小さくなる。その結果スラストころ軸受の軸受トルクが特に小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスラストころ軸受の第1の実施形態を示す平面図(a)、(a)のIb−Ib線に沿った断面図(b)、(b)の要部拡大図(c)、(a)のポケット部の要部拡大図(d)、(c)のIe−Ie線に沿った拡大断面図(e)である。
【図2】図1(c)の要部斜視図である。
【図3】本発明に係るスラストころ軸受の使用状態を説明する部分断面図である。
【図4】打抜き加工によって形成されるせん断切り口の形状の模式断面図である。
【図5】図1(e)のF部を拡大して示す模式断面図である。
【図6】W形スラスト針状ころ軸受の断面図(a)、(a)のG部拡大図(b)、ポケットところ保持部を示す拡大断面図(c)、W形スラストころ軸受のころ保持器の平面図(d)である。
【図7】本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第2の実施形態を示す平面図(a)、(a)のVIIb−O−VIIb線に沿った断面図(b)、(a)の底面図(c)、(b)のA部拡大図(d)、(b)のB部拡大図(e)である。
【図8】本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第3の実施形態を示す平面図(a)、(a)のVIIIb−O−VIIIb線に沿った断面図(b)、(b)のC部拡大図(c)、(b)のD部拡大図(d)である。
【図9】本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第4の実施形態を示す平面図(a)、(a)のIXb−O−IXb線に沿った断面図(b)、(b)のE部拡大図(c)である。
【図10】従来のスラストころ軸受を示す部分平面図(a)、(a)のXb−Xb線に沿った断面図(b)、(b)のXc−Xc線に沿った断面図(c)である。
【符号の説明】
1,11,11’,21,50,100 スラストころ軸受、2,2a,2b,80 針状ころ、3,4,13,14,13’,14’,23,24,60,70,103 保持器、3a,3c,4a,4c,13a,13c,14a,14c,23a,23c,24a,24c 傾斜延出部、3b,4b,13b,14b,23b,24b 外側板部、3d,4d,13d,13d’,14d,14d’,23d,24d 内側板部、5,15,25 ポケット、5a,6a,15a,16a,25a,26a,64,74 ころ保持部、5b,6b 凹部、5c,6c ころ接触部、6,16,26 ポケット、7,8 加締部、9 第1軸、9a,10a 軌道面、10 第2軸、17,18,18’ 部分加締部、19,29 位置決め部、27,28 スポット溶接部、29a 突起部、29b 切欠き部、31 だれ、32 せん断面、33 破断面、34 かえり、61,71 窓。
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のオートマチックトランスミッションやコンプレッサーなどに使用されるスラストころ軸受に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スラスト針状ころ軸受は、針状ころと保持器、および軌道輪とで構成され、針状ころと軌道輪とが線接触する構造であるため、軸受投影面積が小さい割に高負荷容量と高剛性が得られる利点を有している。したがって、希薄潤滑下や高速回転下での運転など、苛酷な使用条件で使用する軸受として好適で、たとえば自動車のオートマチックトランスミッション用軸受やカーエアーコンプレッサー用軸受として広く使用されている。
【0003】
従来、潤滑油の流入性および流出性の少なくとも一方を向上させることにより、通過する単位時間当たりの潤滑油量の増大を図ったスラスト針状ころ軸受が知られている(特開2002−70872号公報参照)。そのスラストころ軸受について図10を用いて説明する。
【0004】
図10(a)〜(c)を参照して、このスラスト針状ころ軸受50は、複数の針状ころ80と2枚の環状保持器60、70とからなり、この2枚の保持器60、70のそれぞれが径方向において、ころ長よりも長い複数の窓61、71を有し、これら複数の窓61、71に形成されたころ保持部64、74で複数の針状ころ80を上下方向に挟んで保持している。ここで、2枚の保持器60、70について、ころ保持部64、74の径方向長さlaがころ長lよりも短くされ、かつ、2枚の保持器60、70のうちの少なくとも一方が折り曲げ加工されている。それにより、ころ保持部64、74に対して径方向の外側部分および内側部分の、少なくとも一方の上下方向の厚さt1、t2が、ころ保持部64、74の上下方向の厚さt0よりも薄くされている。
【0005】
これにより、ころ保持部64、74に対して厚さを薄くした径方向の外側部分および内側部分の、少なくとも一方側の潤滑油の流入性あるいは流出性が向上し、軸受を通過する単位時間当たりの潤滑油量を増加させることができる。さらに、保持器60、70によって潤滑油の通過が遮られにくくなるので潤滑油が滞留せず、油温の上昇を抑制することができ、軸受の耐久性を向上させることができる。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−70872号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この従来のスラスト針状ころ軸受50については、針状ころ80を回転させるのに必要なトルク(軸受トルク)が大きいという問題があった。軸受トルクが大きいと、自動車オートマチックトランスミッションやカーエアーコンコンプレッサ用軸受のような高速回転下、希薄潤滑下などの使用条件の厳しい場所に使用される場合には、回転軸の動力ロスが大きくなってしまう。
【0008】
したがって本発明の目的は、軸受トルクの小さいスラストころ軸受を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
従来のスラスト針状ころ軸受において軸受トルクが大きいという問題は、ころ保持部におけるころとの接触部の凹凸によりころが回転する際の摩擦抵抗が大きいことが原因であることがわかった。また本願発明者らは、鋭意検討した結果、ころ保持部におけるころとの接触部の表面粗さRaを所定値以下とすることにより、軸受トルクを顕著に低減できることを見出した。
【0010】
したがって、本発明のスラストころ軸受においては、複数のころと、それぞれがころを保持するためのポケットを複数有する環状の保持器とを備えており、保持器は、ポケットに形成されたころ保持部よってころを上下方向に挟んで各々保持し、ころ保持部におけるころとの接触部の表面粗さRaは16μm以下である。なお、表面粗さRaとは、JIS(Japanese Industrial Standards)に規定された中心線平均粗さのことである。
【0011】
本発明のスラストころ軸受においては、ころ保持部におけるころとの接触部の表面粗さRaは16μm以下であるため、ころ保持部におけるころとの接触部の凹凸が小さくなり、ころが回転する際の摩擦抵抗が小さくなる。その結果スラストころ軸受の軸受トルクが特に小さくなる。
【0012】
本発明のスラストころ軸受において好ましくは、複数のころの各々は、複数のポケットの各々に保持器の径方向に単列で配置されている。
【0013】
これにより、1つのポケットに配置されるころが1つとなるので、簡易な構成で軸受トルクの小さいスラストころ軸受が構成される。
【0014】
本発明のスラストころ軸受において好ましくは、複数のころの各々は、複数のポケットの各々に保持器の径方向に複列で配置されている。
【0015】
これにより、複列で配置された場合には、保持器の径方向に対して外側のころと内側のころが並んで配置される。したがって、ころの外径側部分と内径側部分との公転周速差が小さくなり、軌道面(図示せず)との滑りが抑制される。これにより、接触部の発熱が少なくなり、ころの表面損傷(スミアリング)が防止される。
【0016】
本発明のスラストころ軸受において好ましくは、ころ保持部におけるころとの接触部はせん断面である。
【0017】
これにより、ころ保持部におけるころとの接触部の表面粗さRaが容易に16μm以下となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
【0019】
図1(a)は、本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第1の実施形態を示す平面図、(b)は(a)のIb−Ib線に沿った断面図、(c)は(b)の要部拡大図、そして(d)は(a)のポケット部の要部拡大図、(e)は(c)のIe−Ie線に沿った拡大断面図である。また、図2は図1(c)の斜視図である。
【0020】
図1(a)〜(d)を参照して、このスラスト針状ころ軸受1は、複数の針状ころ2とこれら針状ころ2を周方向に所定ピッチで保持する2枚の環状の保持器3、4とからなっている。ここで、2枚の保持器3、4のそれぞれは、径方向において針状ころ2の長さLよりも長い矩形状の複数のポケット5、6を有し、冷間圧延鋼鈑(SPCC)からなる鋼鈑をプレス加工にて形成されている。各ポケット5、6の両側縁には、対向する方向に突出するころ保持部5a、6aが形成されている。これらころ保持部5a、6aによって針状ころ2が上下方向に挟んで保持されている。なお、保持器3、4は、これ以外にもたとえば、SCM415などの帯鋼をプレスで絞り成形してもよい。
【0021】
針状ころ2は、外径側の針状ころ2aと内径側の針状ころ2bとで構成され、ポケット5、6内に複列で配置されている。これにより、各針状ころ2a、2bにおいて、外径側部分と内径側部分との公転周速差が小さくなり、軌道面(図示せず)との滑りが抑制されるので、接触部の発熱が少なく、表面損傷や表面起点型の剥離を防止することができる。なお、ここでは複列の針状ころ2a、2bの長さが同一とされているが、使用条件によって外径を内径以下にするか、または外径を内径以上にするかを選択し、たとえば、外径と内径とのうち長い方を短い方の1.2倍の長さにすることにより、負荷容量を上げるようにしてもよい。
【0022】
図1(c)、図2を参照して、2枚の保持器3、4のうち、上側保持器3のころ保持部5aの径方向外側は、ころ保持部5aの外端から折り曲げられた傾斜延出部3aと、この傾斜延出部3aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部3bとで構成されている。また、上側保持器3のころ保持部5aの径方向内側は、同じくころ保持部5aの内端から折り曲げられた傾斜延出部3cと、この傾斜延出部3cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部3dとで構成されている。
【0023】
また、上側保持器3と同一型でポケット抜きされた下側保持器4のころ保持部6aの径方向外側は、ころ保持部6aの外端から折り曲げられた傾斜延出部4aと、この傾斜延出部4aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部4bとで構成されている。また、下側保持器4のころ保持部6aの径方向内側は、同じくころ保持部6aの内端から折り曲げられた傾斜延出部4cと、この傾斜延出部4cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部4dとで構成されている。
【0024】
そして、2枚の保持器3、4においては、外側板部3b、4bが互いに上下方向に重合され、外側板部4bの最外端部が上方向に折り曲げられることで加締部7が形成されている。また、内側板部3d、4dが互いに上下方向に重合され、内側板部3dの最内端部が下方向に折り曲げられることで加締部8が形成されている。これら加締部7、8により、2枚の保持器3、4は内外端部が加締固定されて強固に一体化されているため、運転中においても2枚の保持器3、4は分離することはない。また、外側板部3b、4bおよび内側板部3d、4dでは、針状ころ2の端面とポケット5、6との接触面積を広くとることができ、これによりドリリング摩耗が抑制される。
【0025】
2枚の保持器3、4を固定した状態において、2枚の保持器3、4がなすころ保持部5a、6aよりも径方向の外側部分の上下方向の厚さT1と径方向の内側部分の上下方向の厚さT2とは、傾斜延出部3a、4aおよび3c、4cが存在することから、ころ保持部5a、6aの上下方向の厚さT0よりも薄い。
【0026】
図1(d)を参照して、ころ保持部5a、6aの径方向の長さLaがころ長さLよりも短く形成されることで、ころ保持部5a、6aの両端に形成された凹部5b、6bによって潤滑油が容易に通過させることができる。なお、針状ころ2a、2bの端面は、フラットな形状に限らず円弧面で形成されてもよい。
【0027】
図3を参照して、以上の構成を有するスラスト針状ころ軸受1は、第1軸(回転軸)9の軌道面9aと、第2軸(固定軸)10の軌道面10aとの間を針状ころ2が転動するように、上側保持器3の加締部8を案内面としてすきまばめされる。第1軸9が回転すると、保持器3、4もこの第1軸9とともに回転し、針状ころ2が第1軸9の軌道面9aと第2軸10の軌道面10aとの間を転動する。ここで、図示しない油圧供給源から油路を経由してスラスト針状ころ軸受1内に潤滑油が供給される。
【0028】
潤滑油は、油路を矢印aのように通ってから第2軸10の軌道面10aと下側保持器4のころ保持部6aに対して径方向内側部分との間を矢印bのように通る。その後、潤滑油は、針状ころ2の周囲および保持器3、4で形成される空間内を矢印cのように通って、針状ころ2の側面と保持器3、4のころ保持部5a、6aとの間、針状ころ2の端面との間、および針状ころ2の側面と軌道面9a、10aとの間を潤滑し、第2軸10の軌道面10aと保持器4のころ保持部6aに対して径方向の外側部分との間、および第1軸9の軌道面9aと保持器3のころ保持部5aに対して径方向の外側部分との間を通って矢印dのように排出される。
【0029】
この潤滑油による各部の潤滑に際し、2枚の保持器3、4がなすころ保持部5a、6aに対して、径方向の外側部分、内側部分の上下方向の厚さT1、T2はころ保持部5a、6aの上下方向の厚さT0よりも薄く形成されている(図1(c)参照)。このため、第2軸10の軌道面10aと下側保持器4のころ保持部6aに対して径方向の内側部分との間の空間の断面積が従来に比べて大きくなり、潤滑油の流出性とともに流入性が向上されている。したがって、軸受各部の焼付きが確実に防止されるとともに、針状ころ2の端面と保持器3、4のポケット5、6とのドリリング摩耗が抑制される。また、保持器3、4によって潤滑油の通過が遮られ難くなるため潤滑油が滞留し難くなるので、油温の上昇が抑制され、保持器の強度アップと相俟って軸受の耐久性が一層向上される。
【0030】
本発明において特に注目すべき点は、ころ保持部5a、6aにおける針状ころとの接触部の表面粗さRaが16μm以下とされていることである。
【0031】
図1(e)を参照して、通常、保持器3、4には打抜き加工によってポケット5、6が形成され、これによりころ保持部5a、6aにおける針状ころ2a、2bとの接触部である角部5c、6cが形成される。ここで、打抜き加工によって形成されるせん断切り口の形状について説明する。
【0032】
図4は、打抜き加工によって形成されるせん断切り口の形状である。
図4を参照して、打抜き加工によって形成されるせん断切り口は一般に均質ではなく、およそ次の4つの領域で構成される。すなわち、工具が材料に食い込む際に圧下された自由表面であるだれ31、大きなせん断ひずみを受けて工具側面でこすられた光沢あるせん断面32、き裂が生じ破断した部分で微小な凹凸のある破断面33およびかえり34である。
【0033】
従来、保持器3、4の打抜き加工後のせん断切り口が、そのまま針状ころ2a、2bとの接触部とされていた。このため、破断面が接触部となった場合やせん断面やだれが接触部となった場合でも加工条件(状態)などによっては、針状ころ2a、2bとの接触部の表面粗さRaが大きいものとなって針状ころ2a、2bが回転する際の摩擦抵抗が大きくなり、その結果スラストころ軸受1の軸受トルクが大きくなっているのではないかと本願発明者らは推測した。そこで本願発明者らは、ころ保持部における針状ころとの接触部の表面粗さRaとスラストころ軸受の軸受トルクとの関係を調べた。その結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】
表1はころ保持部における針状ころとの接触部の表面粗さRaとスラスト針状ころ軸受の軸受トルクとの関係を示す表である。表1を参照して、軸受トルクの値は、針状ころとの接触部の表面粗さRaの値が減少するとともに小さくなった。製品サイズによってトルクの減少量は様々であったが、特に表面粗さRaが16μm以下では、表面粗さRaが16〜100μmの場合よりも、製品サイズに関わらず軸受トルクが約20%減少することがわかった。したがって、ころ保持部における針状ころとの接触部の表面粗さRaが16μm以下とされることによりスラストころ軸受の軸受トルクが特に小さくなる。
【0036】
本実施の形態のような4つのころ保持部で針状ころを支える構成のスラストころ軸受の場合には、以下の配置および処理によりころ保持部における針状ころとの接触部の表面粗さRaが16μm以下となり、スラストころ軸受の軸受トルクが小さくなる。
【0037】
図5は、本実施の形態に係るスラストころ軸受の配置方法を示す拡大断面図であって、図1(e)のF部を拡大して示す模式断面図である。
【0038】
図5を参照して、打抜き加工によって形成されるせん断切り口のうち、たとえばだれ31およびせん断面32となっている部分が針状ころ2a、2bとの接触部分となるように、ころ保持器4が配置されている。そして、この保持器4の針状ころ2a、2bとの接触部分の表面粗さRaが16μm以下とされている。接触部分の表面粗さRaを16μm以下とするために、たとえばだれ31およびせん断面32の部分に、予め化学研磨処理、ブローチ削り、サンドブラストなどの処理が施されてもよい。また、打抜き工具の精度を上げることなどにより表面粗さRaを16μm以下に常時確保するようにしてもよい。ただし、表面粗さRaを小さくし易いという意味において、だれ31およびせん断面32側を針状ころ2a、2bとの接触部とすることが好ましい。また、上記においては保持器4について説明したが、保持器3についても保持器4と同様に針状ころとの接する部分の表面粗さRaが16μm以下とされている。また、図5のように保持器4が配置されなくても、予め化学研磨処理、ブローチ削り、サンドブラストなどの処理がせん断切り口全面についてなされて、針状ころ2a、2bとの接触部分の表面粗さRaが16μm以下とされれば、保持器4はどのように配置されても本実施の形態と同様の効果が得られる。
【0039】
なお、本実施の形態においては保持器が4つのころ保持部5a、6aでころと線接触するスラストころ軸受(以下、箱形スラストころ軸受)について示したが、針状ころを保持するためのものであれば、たとえばW形スラストころ軸受でもよい。
【0040】
図6(a)はW形スラスト針状ころ軸受の断面図、(b)は(a)のG部拡大図、(c)はポケットところ保持部を示す拡大断面図、(d)はW形スラスト針状ころ軸受のころ保持器の平面図である。
【0041】
図6(a)〜(d)を参照して、W形スラストころ軸受100とは、ころ保持器103のポケット5を避けた部分の径方向に沿った断面形状がW字状のころ保持器103を有するスラストころ軸受を意味する。W形スラストころ軸受100におけるころ保持器103では、両側合わせて6つのころ保持部5aによって針状ころ2が上下方向から挟み込まれることにより保持されている。構造上、箱形スラストころ軸受の場合のようにだれおよびせん断面のみに処理を行なうことによって容易にころとの接触部を16μm以下とすることはできない。この構造では、保持器103に打抜き加工によりポケット5を形成すると、だれおよびせん断面側がころ2との接触部となるころ保持部5aと、破断面33とかえり34側がころ2との接触部となるころ保持部5aとが生じる。このため、特に破断面33とかえり34側がころ2との接触部となるころ保持部5aに、予め化学研磨処理、ブローチ削り、サンドブラストなどの処理を施して、表面粗さRaを16μm以下にする必要がある。これにより、W形スラストころ軸受においても、上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0042】
次に本実施の形態に係る箱形スラスト針状ころ軸受1(図1)の製造手順について詳細に説明する。2枚の保持器3、4は針状ころ2を配置するためのポケット5、6が形成される。その後、必要に応じてたとえば化学研磨処理、ブローチ削り、サンドブラスト、バレル研磨がなされることにより、ころ保持部5a、6aにおける針状ころとの接触部の表面粗さRaが16μm以下とされる。
【0043】
2枚の保持器3、4と、焼入れ焼戻し済みまたは未焼入れの針状ころ2がセットされ、外側板部4bの最外端部が上方向に折り曲げられて加締部7が形成されるとともに、内側板部3dの最内端部が下方向に折り曲げられて加締部8が形成され、2枚の保持器3、4が一体に固定される。ここで、針状ころ2の素材として、たとえば高炭素クロム軸受鋼の1種あるいは2種であるSUJ軸受鋼が使用され、840℃×30分で油焼入れ、次いで180℃×90分で焼戻しすることにより表面硬さがビッカース硬度(Hv)で700〜750程度になるようにされている。
【0044】
その後、針状ころ2と2枚の保持器3、4をセットした状態で浸炭焼入れ焼戻し、あるいは浸炭窒化処理が施されて製品が完成する。浸炭処理の場合、針状ころ2と2枚の保持器3、4が850℃×35分浸炭され(RXガス雰囲気中)、油中で焼入れされ、次いで165℃×60分で焼戻される。また、浸炭窒化処理の場合、針状ころ2と2枚の保持器3、4が浸炭窒化雰囲気(RXガスに容積比で1〜3%のアンモニア添加)で、840〜850℃×35分間保持され浸炭窒化された後、直ちに油中にて急冷される。
【0045】
ここで、予め2枚の保持器3、4が570〜580℃×35分で軟窒化処理されることで強度アップされてもよい。また、針状ころ2は予め熱処理を施されなくてもよい。しかし、針状ころ2は、組み込みの前に予め熱処理、すなわちずぶ焼入れが施されれば、製造工程がそれだけ増加することになるが、その一方で、その後実施される浸炭あるいは浸炭窒化処理によってさらに強度が向上する。少なくとも2枚の保持器3、4および針状ころ2が別々に熱処理され、加締部を焼きなまししていた従来のに比べ製造工程は簡略化されたものとなる。
【0046】
前述した手順でスラストころ軸受1を製造することによって、下記に示すような具体的な特性を付与することができる。次に、これらの特性について詳細に説明する。
【0047】
まず針状ころ2は、その表層部に浸炭層あるいは浸炭窒化層が形成されているので、表層の硬度は従来品と比べて高くなり、高硬度の異物を噛み込んでも圧痕が生じ難くなるので、長寿命となる。また、針状ころ2は、浸炭窒化処理において窒素富化層が形成され、かつその残留オーステナイト量が20容積%以上となるようにすることができる。これは、軌道面9a、10aに高硬度の異物を噛み込むと、従来では圧痕周辺で応力集中源となるが、多量に存在する残留オーステナイトの塑性変形によってこうした応力集中が緩和されるので、これにより針状ころ2が高硬度となるとともに長寿命となる。なお、窒素富化層は、具体的には厚みを0.1mm以上、表面硬さ750Hv以上とすることができる。さらに、内部硬さも表面硬さと同程度に高めることができるので、針状ころ2全体の強度を向上させることができる。したがって、苛酷な条件、たとえば高荷重の条件であっても針状ころ2は使用可能となり、所望の寿命を満足することができる。
【0048】
保持器3、4の場合は、針状ころ2と同様、その表層部に浸炭層あるいは浸炭窒化層が形成され、それにより表面硬さを700Hv以上とすることができる。したがって、従来のものに比べ耐摩耗性が向上する。
【0049】
図7(a)は、本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第2の実施形態を示す平面図、(b)は(a)のVIIb−O−VIIb線に沿った断面図、(c)は(a)の底面図、(d)は(b)のA部拡大図、そして(e)は(b)のB部拡大図である。この第2の実施形態は前述した第1の実施形態と保持器形状と加締方法が異なるのみで、その他同一部品同一部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0050】
図7(a)〜(e)を参照して、このスラストころ軸受11は、複数の針状ころ2と、これら針状ころ2を周方向に所定ピッチで保持する2枚の環状の保持器13、14とからなっている。2枚の保持器13、14のうち、上側保持器13のころ保持部15aの径方向外側は、図7(d)に示すように、ころ保持部15aの外端から折り曲げられた傾斜延出部13aと、この傾斜延出部13aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部13bとで構成されている。
【0051】
また、上側保持器13のころ保持部15aの径方向内側は、同じくころ保持部15aの内端から折り曲げられた傾斜延出部13cと、この傾斜延出部13cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部13dとで構成されている。また、上側保持器13と同一型でポケット抜きされた下側保持器14のころ保持部16aの径方向外側は、ころ保持部16aの外端から折り曲げられた傾斜延出部14aと、この傾斜延出部14aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部14bとで構成されている。また、下側保持器14のころ保持部16aの径方向内側は、同じくころ保持部16aの内端から折り曲げられた傾斜延出部14cと、この傾斜延出部14cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部14dとで構成されている。
【0052】
そして、2枚の保持器13、14においては、図7(d)に示すように、外側板部13b、14bが互いに上下方向に重合され、外側板部14bの最外端部の一部が上方向に折り曲げられて、部分加締部17が形成されている。一方、内側板部13d、14dは互いに上下方向に重合され、内側板部13dの最内端部が下方向に折り曲げられている。また、図7(e)に示すように、外側板部13b、14bが互いに上下方向に重合され、外側板部14bの最外端部が上方向に折り曲げられている。さらに、傾斜延出部13c、14cは互いに上下方向に重合され、内側板部13dの最内端部の一部が下方向に折り曲げられることで部分加締部18が形成されている。これら部分加締部17、18により、2枚の保持器13、14は内外端部が強固に一体化されるとともに、前述した第1の実施形態における全周加締に比べ、加締工程が格段に簡略化される。
【0053】
位置決め部19は2枚の保持器13、14の位相合わせ用のものである。たとえば、上側保持器13の外縁に切欠き部(図示せず)が形成されるとともに、下側保持器14の外縁に形成した突起部(図示せず)が係合され、加締加工などに両保持器13、14のポケット15、16のピッチがずれないようにされている。また、これらの部分加締部17、18は、周縁の4箇所にその位相を45°ずらして形成され、これにより加締加工時、保持器変形への影響が防止されている。部分加締部の数は軸受のサイズや使用条件などにより変更される。
【0054】
図8(a)は、本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第3の実施形態を示す平面図、(b)は(a)のVIIIb−O−VIIIb線に沿った断面図、(c)は(b)のC部拡大図、そして(d)は(b)のD部拡大図である。この第3の実施形態は前述した第2の実施形態と加締方向が異なるのみで、その他同一部品同一部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0055】
図8(a)〜(d)を参照して、このスラスト針状ころ軸受11’は、複数の針状ころ2とこれら針状ころ2を周方向に所定ピッチで保持する2枚の環状の保持器13’、14’とからなっている。2枚の保持器13’、14’のうち、上側保持器13’のころ保持部15aの径方向外側は、図8(c)に示すように、ころ保持部15aの外端から折り曲げられた傾斜延出部13aと、この傾斜延出部13aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部13bとで構成されている。また、上側保持器13のころ保持部15aの径方向内側は、同じくころ保持部15aの内端から折り曲げられた傾斜延出部13cと、この傾斜延出部13cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部13d’とで構成されている。
【0056】
また、下側保持器14のころ保持部16aの径方向外側は、ころ保持部16aの外端から折り曲げられた傾斜延出部14aと、この傾斜延出部14aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部14bとで構成されている。また、下側保持器14のころ保持部16aの径方向内側は、同じくころ保持部16aの内端から折り曲げられた傾斜延出部14cと、この傾斜延出部14cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部14d’とで構成されている。
【0057】
そして、2枚の保持器13’、14’は、図8(c)に示すように、外側板部13b、14bが互いに上下方向に重合されるとともに、外側板部14bの最外端部の一部が上方向に折り曲げられることで部分加締部17が形成されている。一方、内側板部13d’、14d’は互いに上下方向に重合されるとともに、内側板部14d’の最内端部が上方向に折り曲げられている。また、図8(d)に示すように、内側板部13d’、14d’は互いに上下方向に重合されるとともに、内側板部14d’の最内端部の一部が上方向に折り曲げられることで部分加締部18’が形成されている。これら部分加締部17、18’により、2枚の保持器13’、14’の内外端部が強固に一体化されるとともに、前述した第2の実施形態における部分加締と異なり、同一面に部分加締部17、18’が存在するため、加締加工のさらなる簡略化ができる。
【0058】
図9(a)は、本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第4の実施形態を示す平面図、(b)は(a)のIXb−O−IXb線に沿った断面図、(c)は(b)のE部拡大図である。この第4の実施形態は前述した第1〜3の実施形態とは保持器の固定手段が異なるのみで、その他同一部品同一部位には同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
図9(a)〜(c)を参照して、このスラスト針状ころ軸受21は、複数の針状ころ2とこれら針状ころ2を周方向に所定ピッチで保持する2枚の環状の保持器23、24とからなっている。2枚の保持器23、24のうち、上側保持器23のころ保持部25aの径方向外側は、図9(c)に示すように、ころ保持部25aの外端から折り曲げられた傾斜延出部23aと、この傾斜延出部23aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部23bとで構成されている。また、上側保持器23のころ保持部25aの径方向内側は、同じくころ保持部25aの内端から折り曲げられた傾斜延出部23cと、この傾斜延出部23cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部23dとで構成されている。
【0060】
また、下側保持器24のころ保持部26aの径方向外側は、ころ保持部26aの外端から折り曲げられた傾斜延出部24aと、この傾斜延出部24aの下端から径方向に向けて折り曲げられた外側板部24bとで構成されている。また、下側保持器24のころ保持部26aの径方向内側は、同じくころ保持部26aの内端から折り曲げられた傾斜延出部24cと、この傾斜延出部24cの下端から径方向に向けて折り曲げられた内側板部24dとで構成されている。
【0061】
そして、2枚の保持器23、24は、図9(c)に示すように、外側板部23b、24bが互いに上下方向に重合されるとともに、外側板部24bの最外端部が上方向に折り曲げられている。一方、内側板部23d、24dは互いに上下方向に重合されるとともに、内側板部24dの最内端部が上方向に折り曲げられている。この第4の実施形態では、2枚の保持器23、24を図9(a)に示すように、それぞれの外周部と内周部をスポット溶接部27、28で一体に固定している。これらの溶接部27、28は周方向等配に4箇所、互いに位相を45°ずらして設けられている。これにより、溶接による保持器変形への影響が防止される。なお、溶接箇所は周方向等配なら良く、4箇所に限らず、たとえば3箇所、あるいは5箇所以上であってもよい。
【0062】
位置決め部29は2枚の保持器23、24の位相を合わせるためのもので、上側保持器23の外縁に突起部29aが形成されるとともに、下側保持器24の外縁に形成した切欠き部29bが係合され、これにより2枚の保持器23、24のポケット25、26の位相がずれないようにしている。なお、この位置決め部29はこうした構成に限らず、たとえば、下側保持器24の外縁部の一部を加締、上側保持器23に係合させて固定する所謂ステ−キング方式や、ピンと孔による係合方式によるものでもよい。
【0063】
本実施の形態においては、針状ころが用いられたスラストころ軸受について示したが、本発明は棒状ころや円筒ころが用いられたスラストころ軸受にも適用可能である。加えて、本実施の形態では、箱形スラストころ軸受およびW形スラストころ軸受について示したが、本発明はこれらの形状以外の保持器を有するスラストころ軸受の場合でも、ころ保持部におけるころとの各々の接触部の表面粗さRaが16μm以下であれば上述した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0064】
また、本実施の形態においては、ころが複列に配列される場合について示したが、図10のように単列に配列される場合でも、ころ保持部における前記ころとの各々の接触部の表面粗さRaが16μm以下であれば上述した実施の形態と同様の効果が得られる。さらに本実施の形態においては、化学研磨処理、ブローチ削り、サンドブラスト、バレル研磨などの処理により、ころ保持部におけるころとの接触部の表面粗さRaが16μm以下にされたが、他の処理、加工精度向上により表面粗さRaが16μm以下とされてもよい。
【0065】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、本発明のスラスト軸受においては、複数のころと、それぞれがころを保持するためのポケットを複数有する環状の保持器とを備えている。保持器は、ポケットに形成されたころ保持部によってころを上下方向に挟んで各々保持し、ころ保持部におけるころとの各々の接触部の表面粗さRaは16μm以下である。これにより、ころ保持部におけるころとの接触部の凹凸が小さくなり、ころが回転する際の摩擦抵抗が小さくなる。その結果スラストころ軸受の軸受トルクが特に小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスラストころ軸受の第1の実施形態を示す平面図(a)、(a)のIb−Ib線に沿った断面図(b)、(b)の要部拡大図(c)、(a)のポケット部の要部拡大図(d)、(c)のIe−Ie線に沿った拡大断面図(e)である。
【図2】図1(c)の要部斜視図である。
【図3】本発明に係るスラストころ軸受の使用状態を説明する部分断面図である。
【図4】打抜き加工によって形成されるせん断切り口の形状の模式断面図である。
【図5】図1(e)のF部を拡大して示す模式断面図である。
【図6】W形スラスト針状ころ軸受の断面図(a)、(a)のG部拡大図(b)、ポケットところ保持部を示す拡大断面図(c)、W形スラストころ軸受のころ保持器の平面図(d)である。
【図7】本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第2の実施形態を示す平面図(a)、(a)のVIIb−O−VIIb線に沿った断面図(b)、(a)の底面図(c)、(b)のA部拡大図(d)、(b)のB部拡大図(e)である。
【図8】本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第3の実施形態を示す平面図(a)、(a)のVIIIb−O−VIIIb線に沿った断面図(b)、(b)のC部拡大図(c)、(b)のD部拡大図(d)である。
【図9】本発明に係るスラスト針状ころ軸受の第4の実施形態を示す平面図(a)、(a)のIXb−O−IXb線に沿った断面図(b)、(b)のE部拡大図(c)である。
【図10】従来のスラストころ軸受を示す部分平面図(a)、(a)のXb−Xb線に沿った断面図(b)、(b)のXc−Xc線に沿った断面図(c)である。
【符号の説明】
1,11,11’,21,50,100 スラストころ軸受、2,2a,2b,80 針状ころ、3,4,13,14,13’,14’,23,24,60,70,103 保持器、3a,3c,4a,4c,13a,13c,14a,14c,23a,23c,24a,24c 傾斜延出部、3b,4b,13b,14b,23b,24b 外側板部、3d,4d,13d,13d’,14d,14d’,23d,24d 内側板部、5,15,25 ポケット、5a,6a,15a,16a,25a,26a,64,74 ころ保持部、5b,6b 凹部、5c,6c ころ接触部、6,16,26 ポケット、7,8 加締部、9 第1軸、9a,10a 軌道面、10 第2軸、17,18,18’ 部分加締部、19,29 位置決め部、27,28 スポット溶接部、29a 突起部、29b 切欠き部、31 だれ、32 せん断面、33 破断面、34 かえり、61,71 窓。
Claims (4)
- 複数のころと、
それぞれが前記ころを保持するためのポケットを複数有する環状の保持器とを備えたスラストころ軸受であって、
前記保持器は、前記ポケットに形成されたころ保持部によってころを上下方向に挟んで各々保持し、
前記ころ保持部における前記ころとの接触部の表面粗さRaは16μm以下である、スラストころ軸受。 - 前記複数のころの各々は、前記複数のポケットの各々に前記保持器の径方向に単列で配置されている、請求項1に記載のスラストころ軸受。
- 前記複数のころの各々は、前記複数のポケットの各々に前記保持器の径方向に複列で配置されている、請求項1に記載のスラストころ軸受。
- 前記ころ保持部における前記ころとの接触部はせん断面である、請求項1に記載のスラストころ軸受。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051104 |
|
A761 | Written withdrawal of application |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 Effective date: 20061016 |