JP2004156587A - 水車 - Google Patents

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真丈 前川
Kazuyoshi Miyagawa
和芳 宮川
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Abstract

【課題】 ランナブレードのスプリッタブレードとフルブレードの形状に工夫を凝らして広い運転範囲において高い効率を維持しかつキャビテーション性能を向上させられる水車を提供する
【解決手段】 ランナブレード2をフルブレード2aとスプリッタブレード2bとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナ1の周方向に沿って交互に配置したフランシス形水車において、ハブ側のフルブレード子午面長さLf・hに対するスプリッタブレード子午面長さLs・hの比と、シュラウド側のフルブレード子午面長さLf・sに対するスプリッタブレード子午面長さLs・sの比との間に、下記式の関係が成り立つようにした。
〔Ls/Lf〕h≧1.05〔Ls/Lf〕s
【選択図】 図1

Description

本発明は、スプリッタブレード付きランナ(スプリッタランナ)を備えたフランシス形等の水車に関する。尚、水車は通常水力により動力を取り出すものであるが、その逆の動作も可能として動力により送水するポンプ水車も当然本発明に含まれる。
一般に、フランシス形の水車やポンプ水車のランナは、図13の(a)に示すように、内周側の出口EXから半径方向に沿って延び、外周側の入口INに向かって渦巻状に形成したランナベーン(ランナブレード)100 をランナ101 と一体として形成するとともに、ランナ101 の周方向に沿ってランナベーン100 を複数枚にして配置し、ランナ101 の入口INから流入した高圧力水Wでランナ101 を回転させ、その回転力で回転軸(主軸、図示せず)に動力(回転トルク)を与えていた。
しかし、図13の(a)で示したフランシス形の水車及びポンプ水車では、設計点以外の高落差、低落差での運転時や、過負荷運転、部分負荷運転時に高圧力水が流入するとき、ランナベーン100 の圧力面102 、あるいは反圧力面側から高圧力水Wの剥離現象やそれに伴うキャビテーションがあらわれ、水力性能(効率)を低下させる要因になっていた。
このため、フランシス形の水車及びポンプ水車は、図13の(b)に示すように、ランナベーン100 を入口INから出口EXまでキャンバー線を長く延ばしたフルブレード100aと隣のフルブレード100aとの破線で示す中央位置線BCL上あるいはこの付近に設置され、入口INから出口EXまでのキャンバー線をフルブレード100aに比べて相対的に短くしたスプリッタブレード100bを配置すると共に、フルブレード100aとスプリッタブレード100bとをランナ101 の周方向に沿って交互に配置したフランシス形の水車やポンプ水車のランナが提案されている(例えば、特許文献1参照。)
このスプリッタブレード100bを備えたフランシス形の水車及びポンプ水車ランナは、フルブレード100aの1枚当たりの負荷を低く抑えると共に、高圧力水Wの整流効果を持たせて水車運転時の部分負荷効率や過負荷効率を向上させ、さらにポンプ水車の場合はポンプ運転時のポンプ出口での滑り減少に伴うポンプ効率の向上を図ったものである。
特開2001−329937公報
ところが、従来のスプリッタブレードを備えたフランシス形の水車及びポンプ水車ランナは、低比速度領域(高落差機)に主に適用されることもあって、スプリッタブレードのランナクラウン側(ハブ側)からランナバンド側(シュラウド側)までの子午面形状はフルブレードと同様とし、ランナ出口側から見たランナブレードの出口端平面形状やランナ入口側から見たランナブレードのレイキ角もスプリッタブレードとフルブレードとは同様であった。
そのため、特に高比速度領域(低落差機)に適用する場合、ランナクラウン側(ハブ側)からランナバンド側(シュラウド側)までの翼高さが高くなり、翼の3次元性が強くなることから、広い運転範囲において高い効率やキャビテーション性能を維持するためには、ランナブレードのスプリッタブレードとフルブレードにおける従来の形状では十分に対応することができず、何らかの工夫が必要となった。
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたもので、ランナブレードのスプリッタブレードとフルブレードの形状に工夫を凝らして広い運転範囲において高い効率を維持しかつキャビテーション性能を向上させられる水車を提供することを目的とする。
斯かる目的を達成するための本発明に係る水車は、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ハブ側のフルブレード子午面長さLf・hに対するスプリッタブレード子午面長さLs・hの比と、シュラウド側のフルブレード子午面長さLf・sに対するスプリッタブレード子午面長さLs・sの比との間に、下記式の関係が成り立つことを特徴とする。
〔Ls/Lf〕h≧1.05〔Ls/Lf〕s
また、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナ出口側から見たランナブレードの出口端平面形状が前記フルブレードとスプリッタブレードで異なることを特徴とする。
また、前記スプリッタブレードに前進スキューが付与されていることを特徴とする。
また、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナ入口側から見たランナブレードのレイキ角が前記フルブレードとスプリッタブレードで異なることを特徴とする。
また、前記スプリッタブレードのレイキ角が小さく設定されていることを特徴とする。
また、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナブレードの翼厚が前記フルブレードとスプリッタブレードで異なることを特徴とする。
また、前記スプリッタブレードの翼厚が薄く設定されていることを特徴とする。
また、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、スプリッタブレード圧力面とこれに対向するフルブレード負圧面との間の流路幅がランナ入口側で広く、出口側で狭くなるようなブレード配置としたことを特徴とする。
また、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレード間に2枚以上のスプリッタブレードを周方向へ所定間隔離間して配置した水車において、スプリッタブレードの各翼長さをそれぞれ異ならせたことを特徴とする。
また、前記スプリッタブレードの各翼厚をスプリッタブレードの各翼長さに対応してそれぞれ異ならせたことを特徴とする。
また、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、スプリッタブレードの出口端厚さをフルブレードの出口端厚さより小さくしたことを特徴とする。
本発明の請求項1に係る発明は、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ハブ側のフルブレード子午面長さLf・hに対するスプリッタブレード子午面長さLs・hの比と、シュラウド側のフルブレード子午面長さLf・sに対するスプリッタブレード子午面長さLs・sの比との間に、下記式の関係が成り立つようにしたので、ブレードどうしの最小すきまが大きくなることから、キャビテーション発生時、動力水の流れを閉塞せず、乱さないため、性能低下がない。即ち、キャビテーション性能が良好となる。
〔Ls/Lf〕h≧1.05〔Ls/Lf〕s
また、請求項2に係る発明は、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナ出口側から見たランナブレードの出口端平面形状が前記フルブレードとスプリッタブレードで異なるようにしたので、例えば前記スプリッタブレードに前進スキューを付与することで、ブレードどうしの最小すきまが大きくなることから、請求項1に係る発明と同様の作用・効果が得られる。
また、請求項3に係る発明は、前記スプリッタブレードに前進スキューが付与されているので、請求項2に係る発明と同様の作用・効果が得られる。
また、請求項4に係る発明は、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナ入口側から見たランナブレードのレイキ角が前記フルブレードとスプリッタブレードで異なるようにしたので、例えば前記スプリッタブレードのレイキ角をフルブレードのレイキ角より大きく設定することで、前記スプリッタブレードの前進スキュー化が図れ、請求項2に係る発明と同様の作用・効果が得られる。
また、請求項5に係る発明は、前記スプリッタブレードのレイキ角が小さく設定されているので、シュラウド側になるほどフルブレードの負圧面とスプリッタブレードの圧力面の間隔を小さくすることができ、ランナブレード境界層で発生する二次流れによる、フルブレードのシュラウド側負圧面への低エネルギー流体の集積が抑制され、損失を低下して効率向上が図れる。
また、請求項6に係る発明は、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナブレードの翼厚が前記フルブレードとスプリッタブレードで異なるようにしたので、翼厚が同じ場合に比べて、ランナブレード下流に発生するウェーク(低エネルギー領域)を減少させて、トータル損失を低下して効率向上が図れる。
また、請求項7に係る発明は、前記スプリッタブレードの翼厚が薄く設定されているので、負荷に応じて効果的に薄肉化でき、請求項6に係る発明の作用・効果をより一層助長する事が出来ると共に、ランナの軽量化が図れる。
また、請求項8に係る発明は、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、スプリッタブレード圧力面とこれに対向するフルブレード負圧面との間の流路幅がランナ入口側で広く、出口側で狭くなるようなブレード配置としたので、スプリッタブレードの圧力面とこれに対向するフルブレードの負圧面との間の流路における流速が増加され、高エネルギー流体がフルブレードの負圧面側により多く供給されるため、ランナブレード境界層近傍で発生する二次流れによるフルブレード負圧面における境界層の発達が抑制されると共に、大流量運転時のフルブレードの負圧面出口におけるキャビテーションの発生と負圧面入口における流体剥離の発生が抑制され、損失を低下して効率向上が図れる。
また、請求項9に係る発明は、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレード間に2枚以上のスプリッタブレードを周方向へ所定間隔離間して配置した水車において、スプリッタブレードの各翼長さをそれぞれ異ならせたので、ランナ入口での翼枚数を従来通り確保しつつランナ出口でのポートを広くとって出口部の流速低減によるキャビテーション性能の向上が図れる一方で、スプリッタブレードの整流効果が増大して、より一層損失を低下して効率向上が図れる。
また、請求項10に係る発明は、前記スプリッタブレードの各翼厚をスプリッタブレードの各翼長さに対応してそれぞれ異ならせたので、請求項9に係る発明と同様の作用・効果に加えて、前記ブレードの薄肉化によりランナの軽量化が図れるという利点が得られる。
また、請求項11に係る発明は、ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、スプリッタブレードの出口端厚さをフルブレードの出口端厚さより小さくしたので、フルブレード間のポートを通過して効率低下への悪影響を及ぼすスプリッタブレード下流のウェーク(低エネルギー領域)を小さくすることができ、効率向上が図れる。
以下、本発明に係る水車を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1を示すフランシス形水車のランナ子午面に沿った要部縦断面図、図2は作用説明図である。
図1に示すように、ランナ1内周側の出口EXから半径方向に沿って延び、ランナ1外周側の入口INに向かって渦巻状に形成したランナブレード2をランナ1と一体として形成するとともに、ランナ1の周方向に沿ってランナブレード2を複数枚にして配置し、上下カバー3a,3b間のガイドベーン4を経てランナ1の入口INから流入した高圧力水Wでランナ1を回転させ、その回転力で回転軸(主軸5)に動力(回転トルク)を与えるのは、前述した図13の(a)と同様である。
また、前記ランナブレード2を入口INから出口EXまでキャンバー線を長く延ばしたフルブレード2aと隣のフルブレード2aとの中央位置線上付近に設置され、入口INから出口EXまでのキャンバー線をフルブレード2aに比べて相対的に短くしたスプリッタブレード2bを配置すると共に、フルブレード2aとスプリッタブレード2bとをランナ1の周方向に沿って交互に配置したのも、前述した図13の(b)と同様である。
そして、本実施例では、ハブ側のフルブレード子午面長さLf・hに対するスプリッタブレード子午面長さLs・hの比と、シュラウド側のフルブレード子午面長さLf・sに対するスプリッタブレード子午面長さLs・sの比との間に、下記式の関係が成り立つように設定されている。
〔Ls/Lf〕h≧1.05〔Ls/Lf〕s
従って、図2の(a)に示すように、シュラウド側のスプリッタブレード2bの子午面長さ比〔Ls/Lf〕sが小さければ、ブレードどうしの最小すきま〔ポートA〕が大きくなることから、キャビテーション発生時(図2(a)中キャビテーション発生部位イ参照)、高圧力水Wの流れを閉塞せず、乱さないため、性能低下がない。即ち、キャビテーション性能が良好となるのである。
逆に、図2の(b)に示すように、シュラウド側のスプリッタブレード2bの子午面長さ比〔Ls/Lf〕sが大きければ、ブレードどうしの最小すきま〔ポートA〕が小さくなることから、キャビテーション発生時(図2(a)中キャビテーション発生部位イ参照)、高圧力水Wの流れを閉塞し、乱れを起こすため、性能が低下する。即ち、キャビテーション性能が悪化するのである。
一方、部分流量時はハブ側から動力水Wの流れが剥離し易いため、ハブ側のスプリッタブレード2bの子午面長さ比〔Ls/Lf〕hを大きくとることで、多数枚のブレードで動力水Wの流れをガイドできるので好適である。即ち、キャビテーション発生は相対的にシュラウド側で発達し易いため前記式で示されるようにスプリッダブレード長さはハブ側で長く、シュラウド側で短くとるのが好適である。
図3は本発明の実施例2を示すフランシス形水車の要部底面図、図4は作用説明図である。
これは、実施例1と同様に、ランナブレード2をフルブレード2aとスプリッタブレード2bとに区分けし、区分けしたフルブレード2aとスプリッタブレード2bとをランナ1の周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナ出口側から見たランナブレード2の出口端平面形状を前記フルブレード2aとスプリッタブレード2bで異ならせることを特徴とし、本実施例では、前記スプリッタブレード2bに前進スキューが付与されている。
これによれば、図4に示すように、ランナ入口側から見たスプリッタブレード2bのレイキ角θsをフルブレード2aのレイキ角θfより大きく設定する(即ち、スプリッタブレード2b入口シュラウド側をフルブレード2a圧力面側に近づける)などして、スプリッタブレード2bの出口端における前進スキュー化を図ったことにより、フルブレード2a出口での十分大きなポートAの確保が可能となり、実施例1と同様に、キャビテーション発生時、高圧力水Wの流れを閉塞せず、乱さないため、性能低下がない。即ち、キャビテーション性能が良好となる。
図5は本発明の実施例3を示すフランシス形水車の要部側面図、図6は作用説明図である。
これは、実施例1と同様に、ランナブレード2をフルブレード2aとスプリッタブレード2bとに区分けし、区分けしたフルブレード2aとスプリッタブレード2bとをランナ1の周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナ入口側から見たランナブレードのレイキ角θを前記フルブレード2aとスプリッタブレード2bで異ならせることを特徴とし、本実施例では、前記スプリッタブレード2bのレイキ角θsがフルブレード2aのレイキ角θfより小さく(即ち、傾斜が大きく)設定されている。
これによれば、図6に示すように、ランナ入口側におけるスプリッタブレード2bの傾斜を大きくし、シュラウド側になるほどフルブレード2aの負圧面とスプリッタブレード2bの圧力面の間隔を小さくすることで、ランナブレード境界層近傍で発生する二次流れ(図6中矢印参照)による、フルブレード2aのシュラウド側負圧面への低エネルギー流体の集積(図6中低エネルギー流体集積部位ロ参照)が抑制され、損失を低下して効率向上が図れる。
図7は本発明の実施例4を示すフランシス形水車の要部横断面図、図8は作用説明図である。
これは、実施例1と同様に、ランナブレード2をフルブレード2aとスプリッタブレード2bとに区分けし、区分けしたフルブレード2aとスプリッタブレード2bとをランナ1の周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナブレード2の翼厚を前記フルブレード2aとスプリッタブレード2bで異ならせることを特徴とし、本実施例では、相対的に負荷が小さい前記スプリッタブレード2bの翼厚Tsがフルブレード2aの翼厚Tfより薄く設定されている。尚、図7では、ランナブレード2の4枚のみ代表で示している。
これによれば、図8の(a)に示すように、ランナブレード2下流に発生するウェーク(低エネルギー領域)ハにおいて、図8の(c)に示すようなスプリッタブレード2bの翼厚(Ts)とフルブレード2aの翼厚(Tf)とが等しい場合に比べて、厚いウェークハの数が半減することになり、トータル損失を低下して効率向上が図れる。
また、図8の(b)に示すように、フルブレード2aの翼厚(Tf)をスプリッタブレード2bの翼厚(Ts)より薄く設定することでも、図8の(c)に示すような場合に比べて、厚いウェークハの数が半減し、トータル損失を低下して効率向上が図れることは言うまでもない。
図9は実施例5のフランシス形水車の要部横断面図である。
これは、実施例1と同様に、ランナブレード2をフルブレード2aとスプリッタブレード2bとに区分けし、区分けしたフルブレード2aとスプリッタブレード2bとをランナ1の周方向に沿って交互に配置した水車において、スプリッタブレード2bの圧力面6aとこれに対向するフルブレード2aの負圧面7bとの間の流路幅がランナ入口側で広く、出口側で狭くなるようなブレード配置としたことを特徴とするものである。
そして、本実施例では、スプリッタブレード2bの出口端は、その両側のポートAの一方があまり小さくならないように、フルブレード2a間の中央位置付近とする一方、スプリッタブレード2bの入口端をフルブレード2aの圧力面7a側に近くなるように配置している(図9中の破線で示す従来のスプリッタブレードの配置参照)。尚、図9中の矢印Bは最高効率点近傍の流入角で矢印Cは大流量運転時の流入角である。
これによれば、スプリッタブレード2bの圧力面6aとこれに対向するフルブレード2aの負圧面7bとの間の流路における流速が増加され(図9中の白抜き矢印参照)、高エネルギー流体がフルブレード2aの負圧面7b側により多く供給されるため、ランナブレード境界層近傍で発生する二次流れによるフルブレード負圧面7bにおける境界層ニの発達が抑制されると共に、大流量運転時のフルブレード2aの負圧面7b出口におけるキャビテーションの発生(図9中キャビテーション発生部位イ参照)と負圧面7b入口における流体剥離の発生(図9中流体剥離発生部位ホ参照)が抑制され、損失を低下して効率向上が図れる。
図10は実施例6のフランシス形水車の要部横断面図である。
これは、ランナブレード2をフルブレード2aとスプリッタブレード2ba,2bbとに区分けし、区分けしたフルブレード2a間に2枚以上のスプリッタブレード2ba,2bbを周方向へ所定間隔離間して配置した水車において、スプリッタブレード2ba,2bbの各翼長さをそれぞれ異ならせたことを特徴とし、本実施例では、2枚のスプリッタブレード2ba,2bbを配置し、そのうちのランナ1回転方向(図10中矢印参照)上流側のスプリッタブレード2baを下流側のスプリッタブレード2bbより翼長さを長くしている。
これによれば、ランナ入口での翼枚数を従前通り確保しつつランナ出口でのポートAを広くとって出口部の流速低減によるキャビテーション性能の向上が図れる一方で、スプリッタブレード2baの整流効果が増大して、より一層損失を低下して効率向上が図れる。
図11は実施例7のフランシス形水車の要部横断面図である。
これは、実施例6における翼長さが短かくて負荷が小さいスプリッタブレード2bbの翼厚Ts1を翼長さが長くて負荷が大きいスプリッタブレード2baの翼厚Ts2より小さくしたものである。
これによれば、実施例6と同様の作用・効果に加えて、前記ブレードの薄肉化によりランナ1の軽量化が図れるという利点が得られる。
図12は実施例8のフランシス形水車の要部横断面図である。
これは、実施例1と同様に、ランナブレード2をフルブレード2aとスプリッタブレード2bとに区分けし、区分けしたフルブレード2aとスプリッタブレード2bとをランナ1の周方向に沿って交互に配置した水車において、スプリッタブレード2bの出口端厚さδsをフルブレードの出口端厚さδfより小さく(例えば1/2以下)したことを特徴とするものである。
これによれば、フルブレード2a間のポートAを通過して効率低下への悪影響を及ぼすスプリッタブレード2b下流のウェーク(低エネルギー領域)ハを小さくすることができ、効率向上が図れる。
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能であることはいうまでもない。例えば、上記各実施例ではフランシス形水車に本発明を適用した例を示したが、フランシス形のポンプ水車に本発明を適用しても良い。また、上記各実施例を適宜組み合わせて実施しても良い。
本発明の実施例1を示すフランシス形水車のランナ子午面に沿った要部縦断面図である。 実施例1の作用説明図である。 本発明の実施例2を示すフランシス形水車の要部底面図である。 実施例2の作用説明図である。 本発明の実施例3を示すフランシス形水車の要部側面図である。 実施例3の作用説明図である。 本発明の実施例4を示すフランシス形水車の要部横断面図である。 実施例4の作用説明図である。 実施例5のフランシス形水車の要部横断面図である。 実施例6のフランシス形水車の要部横断面図である。 実施例7のフランシス形水車の要部横断面図である。 実施例8のフランシス形水車の要部横断面図である。 従来例の異なったフランシス形水車及びポンプ水車の説明図である。
符号の説明
1 ランナ
2 ランナブレード
2a フルブレード
2b スプリッタブレード
3a 上カバー
3b 下カバー
4 ガイドベーン
5 主軸
6a スプリッタブレード圧力面
6b スプリッタブレード負圧面
7a フルブレード圧力面
7b フルブレード負圧面
A ポート(ブレードどうしの最小すきま)
B 最高効率点近傍の流入角
C 大流量運転時の流入角
イ キャビテーション発生部位
ロ 低エネルギー流体集積部位
ハ ウェーク(低エネルギー領域)
ニ フルブレード負圧面における境界層

Claims (11)

  1. ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ハブ側のフルブレード子午面長さLf・hに対するスプリッタブレード子午面長さLs・hの比と、シュラウド側のフルブレード子午面長さLf・sに対するスプリッタブレード子午面長さLs・sの比との間に、下記式の関係が成り立つことを特徴とする水車。
    〔Ls/Lf〕h≧1.05〔Ls/Lf〕s
  2. ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナ出口側から見たランナブレードの出口端平面形状がフルブレードとスプリッタブレードで異なることを特徴とする水車。
  3. 前記スプリッタブレードに前進スキューが付与されていることを特徴とする請求項2記載の水車。
  4. ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナ入口側から見たランナブレードのレイキ角がフルブレードとスプリッタブレードで異なることを特徴とする水車。
  5. 前記スプリッタブレードのレイキ角が小さく設定されていることを特徴とする請求項4記載の水車。
  6. ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、ランナブレードの翼厚が前記フルブレードとスプリッタブレードで異なることを特徴とする水車。
  7. 前記スプリッタブレードの翼厚が薄く設定されていることを特徴とする請求項6記載の水車。
  8. ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、スプリッタブレード圧力面とこれに対向するフルブレード負圧面との間の流路幅がランナ入口側で広く、出口側で狭くなるようなブレード配置としたことを特徴とする水車。
  9. ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレード間に2枚以上のスプリッタブレードを周方向へ所定間隔離間して配置した水車において、スプリッタブレードの各翼長さをそれぞれ異ならせたことを特徴とする水車。
  10. 前記スプリッタブレードの各翼厚をスプリッタブレードの各翼長さに対応してそれぞれ異ならせたことを特徴とする水車。
  11. ランナブレードをフルブレードとスプリッタブレードとに区分けし、区分けしたフルブレードとスプリッタブレードとをランナの周方向に沿って交互に配置した水車において、スプリッタブレードの出口端厚さをフルブレードの出口端厚さより小さくしたことを特徴とする水車。
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