JP2004156318A - バリアフリー型レール側方間隙閉塞構造、及びレール側方の間隙閉塞方法 - Google Patents
バリアフリー型レール側方間隙閉塞構造、及びレール側方の間隙閉塞方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】列車走行時以外はレール側方を閉塞し、設置や交換が容易なレール側方間隙閉塞構造、及びレール側方の間隙閉塞方法を提供する。
【解決手段】ゴム系材料からなり略柱状体に形成されるとともに長手方向に貫通する第1収容孔41及び第2収容孔42と、第1嵌挿用開口V1と、第2嵌挿用開口V2と、変形用空洞Hを有し長手方向軸がレールR4の長手方向と平行になりレールR4の頭部又は腹部の側部付近に配置されるゴムシュート40と、レール収容凹部21bの中に設置されるPC鋼棒支持金具45Aと、ゴムシュート40の収容孔41等に挿通され引張り力が付与されるPC鋼棒43A等と、PC鋼棒43A等を取り付けるナット46A等を備える。
【選択図】 図2
【解決手段】ゴム系材料からなり略柱状体に形成されるとともに長手方向に貫通する第1収容孔41及び第2収容孔42と、第1嵌挿用開口V1と、第2嵌挿用開口V2と、変形用空洞Hを有し長手方向軸がレールR4の長手方向と平行になりレールR4の頭部又は腹部の側部付近に配置されるゴムシュート40と、レール収容凹部21bの中に設置されるPC鋼棒支持金具45Aと、ゴムシュート40の収容孔41等に挿通され引張り力が付与されるPC鋼棒43A等と、PC鋼棒43A等を取り付けるナット46A等を備える。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道の近傍に舗装部材が設置され道路の路面を構成する軌道舗装構造におけるレール側方の間隙を閉塞する構造、及びその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道線路と道路が平面交差する踏切道においては、歩行者や自動車等の交通の用に供するため、舗装を行っていた。例としては、図示はしていないが、木材又は石材等からなる敷材を2本のレール(軌条)の内側及び外側に敷設する踏切道が挙げられる。この敷材舗装の場合には、2本のレールの内側と敷材との間にガードレールが敷設されており、このガードレールにより、鉄道車両の車輪のフランジが支障無く通過できるために確保すべき空間である「フランジウェイ」が形成されていた。
【0003】
また、近年、道路幅員が大きく道路交通量の多い踏切道等においては、図10(A)及び図10(B)に示すように、踏切箇所のまくらぎを取り外し、そのかわりとして鉄筋コンクリート(RC)やプレストレストコンクリート(PC)等からなる板状の連接軌道板21を用い、この連接軌道板21の上面に設けられた2つのレール収容凹部21aと21bの内部に、それぞれ左右のレールR3、R4を収容し、取付ボルト31や36、及びナット30や35によって締結・支持する「連接軌道」と呼ばれる踏切舗装構造が用いられている。図10(A)における符号22、23は、鉄筋コンクリート(RC)やプレストレストコンクリート(PC)等からなる板状の舗装ブロックである。図10(A)において、符号F3及びF4は、フランジウェイを示している。
【0004】
また、道路幅員が大きく道路交通量の多い踏切道等においては、図11(A)及び図11(B)に示すように、踏切箇所のまくらぎを取り外さずに、鉄筋コンクリート(RC)やプレストレストコンクリート(PC)等からなる板状の踏切舗装板(内軌側踏切舗装板1、外軌側踏切舗装板2及び3)を用い、この踏切舗装板1〜3を、踏切箇所の軌道の内側及び外側のまくらぎTの上面に取り付けることにより、踏切箇所の舗装を行う踏切舗装構造(以下、「総研形舗装板式踏切舗装構造」という。)も知られている。
【0005】
この総研形舗装板式踏切舗装構造においては、図11(B)に示すように、レール(例えばR1)を下方から支持する連結板7と取付ボルト91及び92により、各踏切舗装板(例えば、内軌側踏切舗装板1と外軌側踏切舗装板2)が軌道に固定される。図11(A)において、符号F1及びF2は、フランジウェイを示している。
【0006】
上記した従来の連接軌道、あるいは総研形舗装板式踏切舗装構造においては、レールの頭部又は腹部の付近に、レールの長手方向と平行になるように、ゴムシュート32と37、あるいはゴムシュート84が設置されている。これらのゴムシュートは、柱状の部材であり、その長手方向がレールの長手方向と平行となるように配置される。
【0007】
これらのゴムシュート32等がレール近傍に配置される従来の理由の一つは、降雪地帯において、フランジウェイ内に雪が溜まってしまい列車等が「乗り上がり脱線」を起こすことを防止するためであった。これらのゴムシュートは、天然ゴム、人造ゴムを含むゴム材料により作製されている。
【0008】
レール側方の間隙を充填するための部材の材料としては、ゴム材料のほかにも、金属材料、合成樹脂材料、あるいは木材等も考えられる。しかし、レールと接触することから電気絶縁性が要求されること、狭い間隙へはめ込む際に弾性変形が利用できること、雪や氷が付着し難いこと、付着した雪氷等を打撃やそれに伴う弾性変形等により容易に割砕することができること、等の理由から、ゴム材料が用いられている。
【0009】
さらに、近年、踏切道を通行する車椅子や自転車等の車輪、あるいは歩行する人間の足などがフランジウェイに落ち込むことを防止することが求められている。このため、鉄道列車等の車輪のフランジが走行する場合には変形するが、列車等が走行しない場合にはフランジウェイをも閉塞するように構成された踏切防護材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−254303号公報(第1−4頁、図1−5)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された従来の踏切防護材は、上方から挿入して設置することができず、線路方向のいずれかの端部から線路方向に差し入れる等の方法により設置を行わざるを得ない。このため、踏切防護材の設置や交換のための工事を行う場合には、踏切舗装ブロックの一部又は全部を取り外す、等の作業が必要となり、工事期間が長くなり、工事費用が高価になる、等の問題があった。
【0012】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、列車走行時以外はレール側方を閉塞し、設置や交換が容易なレール側方間隙閉塞構造、及びレール側方の間隙閉塞方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造は、
軌道の近傍に舗装部材が設置され道路の路面を構成する軌道舗装構造におけるレール側方の間隙を閉塞する構造であって、
前記軌道舗装構造のいずれかの箇所に設置される棒状部材支持手段と、
前記棒状部材支持手段に取付手段により取り付けられる第1棒状部材及び第2棒状部材と、
ゴム系材料からなり略柱状体に形成されるとともに長手方向に貫通する第1収容孔及び第2収容孔と、前記略柱状体の外部と前記第1収容孔を連通する第1嵌挿用開口と、前記略柱状体の外部と前記第2収容孔を連通する第2嵌挿用開口と、薄肉部により囲まれ内部に形成される変形用空洞を有する緩衝部材を備え、
前記第1棒状部材に前記第1嵌挿用開口を当てがって押し付けることにより前記第1収容孔の中に前記第1棒状部材を収容し、前記第1収容孔及び第1棒状部材の中心の回りに回転させることにより前記第2収容孔の中に前記第2棒状部材を収容し、前記略柱状体の長手方向軸がレールの長手方向と平行になるとともに前記薄肉部の上部が前記レールの頭部上面と略同一高さ位置となりかつ前記薄肉部の側部が前記レールの頭部側面付近となるように配置し、前記レールの上を走行する車輪のフランジからの押圧力を受けた場合には前記薄肉部が前記変形用空洞の内部に向かって変形し、前記レールの上を車輪が走行しない場合には前記レールの頭部側方付近に間隙が生じないようにほぼ閉塞すること
を特徴とする。
【0014】
上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記第1棒状棒状部材及び前記第2棒状部材には、引張り力が付与される。
【0015】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記舗装部材は、連接軌道板である。
【0016】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記棒状部材支持手段は、前記連接軌道板のいずれかの箇所により支持される。
【0017】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記棒状部材支持手段は、前記連接軌道板に設けられたレール収容凹部内に設置されるタイプレートにより支持される。
【0018】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記舗装部材は、舗装板である。
【0019】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記棒状部材支持手段は、前記舗装板のいずれかの箇所により支持される。
【0020】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記舗装部材は、敷板である。
【0021】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記棒状部材支持手段は、本線レールとガードレールとの間に設置される間隔保持部材により支持される。
【0022】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記棒状部材支持手段どうしの中間位置に、前記緩衝部材を支持する緩衝部材支持手段が設置される。
【0023】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、
前記第1棒状部材又は前記第2棒状部材を前記レールの長手方向につなぐ棒状部材接合手段と、前記棒状部材接合手段を支持する継手部支持手段を備える。
【0024】
また、本発明に係るレール側方の間隙閉塞方法は、
軌道の近傍に舗装部材が設置され道路の路面を構成する軌道舗装構造におけるレール側方の間隙を閉塞する方法であって、
前記軌道舗装構造のいずれかの箇所に棒状部材支持手段を設置し、
前記棒状部材支持手段に取付手段により第1棒状部材及び第2棒状部材を取り付け、
ゴム系材料からなり略柱状体に形成されるとともに長手方向に貫通する第1収容孔及び第2収容孔と、前記略柱状体の外部と前記第1収容孔を連通する第1嵌挿用開口と、前記略柱状体の外部と前記第2収容孔を連通する第2嵌挿用開口と、薄肉部により囲まれ内部に形成される変形用空洞を有する緩衝部材を用い、
前記第1棒状部材に前記第1嵌挿用開口を当てがって押し付けることにより前記第1収容孔の中に前記第1棒状部材を収容し、前記第1収容孔及び第1棒状部材の中心の回りに回転させることにより前記第2収容孔の中に前記第2棒状部材を収容し、前記略柱状体の長手方向軸がレールの長手方向と平行になるとともに前記薄肉部の上部が前記レールの頭部上面と略同一高さ位置となりかつ前記薄肉部の側部が前記レールの頭部側面付近となるように配置し、前記レールの上を走行する車輪のフランジからの押圧力を受けた場合には前記薄肉部が前記変形用空洞の内部に向かって変形し、前記レールの上を車輪が走行しない場合には前記レールの頭部側方付近に間隙が生じないようにほぼ閉塞すること
を特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造のレール付近の構成を示す第1の横断面図である。また、図2は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造のレール付近の構成を示す第2の横断面図である。また、図3は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるゴムシュートの構成を示す図である。また、図4は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるPC鋼棒支持金具の構成を示す図である。また、図5は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造におけるゴムシュートの設置方法を説明する図である。この第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造は、図10で説明した連接軌道で構成される踏切舗装構造に、新規な構成のゴムシュートを用いるように改良したものである。
【0027】
次に、第1実施形態のゴムシュートの連接軌道板への取り付け及び支持について、図1ないし図5、及び図10を参照しつつ、詳細に説明する。
【0028】
まず、図1及び図2に示すように、レール収容凹部21b内にタイプレートパッド27を敷設する。次に、タイプレート25を設置する。次に、レールパッド26を敷設する。その上に、レールR4を設置する。この場合、図1及び図2におけるレールR4の頭部の左側方上部の空間は、鉄道車両の車輪のフランジが通過するフランジウェイとなっている。
【0029】
次に、図2に示すように、クリップ部材28を、レールR4の底板上面を押さえるようにして設置する。その状態で、PC鋼棒支持金具45Aの底板部45A1を、クリップ部材28の上面の上に配置し、底板部45A1に設けられたボルト穴45A5の下方から取付ボルト31を挿通させる。取付ボルト31の図2における下端は、略「T」字状となっており、タイプレート25の一部に設けられた凹部(図示せず)によって係止される。その後、竹の子状バネ29を介してナット30を締結することにより、PC鋼棒支持金具45Aが、クリップ部材28に取り付けられるとともに、クリップ部材28が、レールR4をタイプレート25に締結する。
【0030】
また、タイプレート25は、図10(B)に示す取付ボルト36と、座金33と、コイルバネ34と、ナット35により連接軌道板21に固定される。この場合、取付ボルト36の図における下端は、図示はしていないが、略「T」字状となっており、連接軌道板21のレール収容凹部21bの底部に設けられた凹部(図示せず)によって係止されるようになっている。
【0031】
次に、上記のようにして取り付けられた2つのPC鋼棒支持金具45Aの底板部45A1から略垂直に立設された直立板部45A2に設けられている挿通孔45A6及び45A7と、PC鋼棒支持金具45Aの直立板部45A2(図4参照)に設けられている挿通孔45A6及び45A7(図4参照)に、それぞれ、第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aを挿通し、第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aの両端部に、座金48A及び49Aを介してナット46A及び47Aを締結することにより、第1PC鋼棒43Aと第2PC鋼棒44Aに引張り力が付与され、第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aが、その長手方向軸がレールR4の長手方向と平行になるようにして、レールR4の頭部又は腹部の側部付近の位置となるように取り付けられる。この場合、挿通孔45A6の高さ位置は、挿通孔45A7の高さ位置よりも高い位置となるように設定されており、これにより、第1PC鋼棒43Aの高さ位置は、第2PC鋼棒44Aの高さ位置よりも高い位置となっている。換言すれば、レールR4のフランジウェイ領域(図1及び図2におけるレールR4の頭部の左側方上部の空間)に近い方の第2PC鋼棒44Aの高さ位置は、レールR4のフランジウェイ領域から遠い方の第1PC鋼棒43Aの高さ位置よりも低い位置に支持されている。
【0032】
その後、後述する手順により、ゴムシュート40をPC鋼棒43A及び44Aに取り付ける。これにより、図1及び図2に示す状態となり、図1に示す状態では、フランジウェイ(レールR4の図1における頭部左側方の部分。図10(B)における符号F4の箇所。)は、レールR4の頭部側方付近に間隙が生じないようにほぼ閉塞されている。レールR4の頭部側面(図1における左側面)とゴムシュート40の側面(図1における右側面)の間の距離は、1〜10ミリメートル程度である。
【0033】
図3は、ゴムシュート40の詳細な構成を示した図である。ゴムシュート40は、ゴム系材料からなり、略柱状体に形成され、円形断面の第1収容孔41と、円形断面の第2収容孔42と、第1嵌挿用開口V1と、第2嵌挿用開口V2と、変形用空洞Hを有している。
【0034】
第1嵌挿用開口V1は、ゴムシュート40の柱状体の外部(図3における左側方の外部)と第1収容孔41を連通する溝状の開口である。また、第2嵌挿用開口V2は、ゴムシュート40の柱状体の外部(図3における下方の外部)と第2収容孔42を連通する溝状の開口である。図3の状態でレールR4の側方に設置されることになるが、この状態では、第1収容孔41の高さ位置は、第2収容孔42の高さ位置よりも高い位置となるように設定されている。換言すれば、レールR4のフランジウェイ領域(図1及び図2におけるレールR4の頭部の左側方上部の空間)に近い方の孔となる第2収容孔42の高さ位置は、レールR4のフランジウェイ領域から遠い方の孔となる第1収容孔41の高さ位置よりも低い位置となるように設定されている。
【0035】
また、変形用空洞Hは、角が丸い略三角形断面をした管状の空洞であり、図3において、第1収容孔41の右方でかつ第2収容孔42の上方となる位置に設けられており、変形用空洞Hの一部(図3における右上隅部)は、図1及び図2におけるレールR4のフランジウェイ領域(図1及び図2におけるレールR4の頭部の左側方上部の空間)と重複するように設定されている。変形用空洞Hは、第1薄肉部S1と第2薄肉部S2により囲まれている。第1薄肉部S1は、ゴムシュート40の本体の左側の上部から図3の右方向へ延び、第2薄肉部S2は、ゴムシュート40の本体の右側の上部から図3の上方向へ延び、第1薄肉部S1と第2薄肉部S2は、図3における右上端で隅角部S3を形成して接合している。この隅角部S3は、図1において、ゴムシュート40がレールR4の左側面に最も近接する箇所となっている。また、第1薄肉部S1と第2薄肉部S2の肉厚は、4.5〜8.5ミリメートル程度が可能であるが、好ましい値は、6〜7ミリメートルである。
【0036】
上記したゴム系材料は、天然ゴムと人造ゴムを含むほか、天然ゴム又は人造ゴムを母材(マトリクス)とし、その中に補強部材を混入させ分散配置させて成型した複合材料等をも含む概念の材料である。
【0037】
また、図4は、PC鋼棒支持金具45Aの詳細な構成を示した図である。図4に示すように、このPC鋼棒支持金具45Aは、鋼等からなり、平板状の底板部45A1と、底板部45A1の一端部から略垂直に曲げ加工等により立設された直立板部45A2と、直立板部45A2を補強するための補強板部45A3を有している。補強板部45A3は、底板部45A1と直立板部45A2に、溶接等によって接合されている。底板部45A1には、円形断面のボルト穴45A5が開設されている。また、直立板部45A2には、円形断面の挿通孔45A6及び45A7が開設されている。この場合、挿通孔45A6の高さ位置は、挿通孔45A7の高さ位置よりも高い位置となるように設定されている。また、直立板部45A2の図4(C)における45A9の箇所(ゴムシュート40の変形用空洞Hに対応する箇所)は切り欠かれている。
【0038】
次に、図5を参照しつつ、ゴムシュート40を第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aに取り付ける方法について説明する。まず、図5(A)に示すように、ゴムシュート40の断面が図3(A)の状態とは角度90度だけ回転した状態となるようにし、第1嵌挿用開口V1が下方を向くように、また、第1嵌挿用開口V1が第1PC鋼棒43Aの上方となるようにする。この状態で、図5(A)において符号D1で示すように、図の下方に向けて押し込む。この押し込み作業は、人力によっても可能であるし、治具等を用いてもよい。
【0039】
この際、図5(B)に示すように、ゴムシュート40を、第1PC鋼棒43Aの長手方向(レールR4の長手方向と平行となる方向)に対して、一方の端部(図5(B)における左端部)が低い位置となり、かつ他方の端部(図5(B)における右端部)が高い位置となるように配置する。この状態で、図5(B)の左側から、符号P1、P2、P3、P4の順序で、ゴムシュート40の上方から下方に向けて押し付ける力を作用させる。
【0040】
これにより、ゴムシュート40の第1嵌挿用開口V1は、第1PC鋼棒43Aに当てがわれることになり、順次、左から右へ移動するように、かつゴムシュート40の上方から下方に向けて押し付けることにより、第1収容孔41の中に第1PC鋼棒43Aが押し込まれて収容される。これにより、ゴムシュート40の略柱状体の長手方向軸がレールの長手方向と平行になる。
【0041】
次に、図5(C)の符号D2に示すように、第1収容孔41及び第1PC鋼棒43Aの中心を回転軸として、この中心のまわりにゴムシュート40を、図5(C)における時計回りの方向D2に回転させ、ゴムの弾性を利用して押し込むようにすれば、第2嵌挿用開口V2と第2PC鋼棒44Aを嵌合させることができ、さらに押し付けながら図5(C)における時計回り方向D2に回転させることにより、第2収容孔42の中に第2PC鋼棒44Aを収容することができる。これにより、図1及び図2に示した状態となる。
【0042】
上記したゴムシュート40の第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aへの取り付けの際に、第1嵌挿用開口V1、第1収容孔41、第2嵌挿用開口V2、第2収容孔42の内面に、潤滑油等を塗布すれば、PC鋼棒への取り付け作業は、さらに容易になる。
【0043】
図6は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造の作用を説明する図である。図6は、レールR4の上を車輪Wが走行する場合を示している。すなわち、走行する車輪WのフランジW1からの押圧力を受けた場合には、ゴムシュート40の第1薄肉部S1と第2薄肉部S2が、ゴム系材料の弾性により、変形用空洞Hの内部に向かって変形し、図6に示すように押しつぶされる。また、PC鋼棒支持金具45Aには、切欠部45A9が形成されている。このため、車輪Wの走行は支障なく行われる。
【0044】
また、レールR4の上を車輪が走行しない場合は、図1及び図2に示したようになり、レールR4の頭部側方付近は、ほぼ閉塞され、間隙がほとんど生じない。このため、踏切道を通行する車椅子や自転車等の車輪、あるいは歩行する人間の足などが落ち込むことは防止される。
【0045】
上記のような構成により、第1実施形態の連接軌道においては、ゴムシュート40が第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aに取り付けられるため、レール上方から挿入して設置することができ、従来の連接軌道のゴムシュートと比べ、ゴムシュートの設置・補修作業が容易である。また、鉄道列車等の車輪のフランジが走行する場合には変形するが、列車等が走行しない場合にはフランジウェイに相当する箇所はほぼ閉塞され、車椅子車輪などの落ち込みが防止され「バリアフリー型」となっている。
【0046】
上記した第1実施形態において、連接軌道板21は、特許請求の範囲における舗装部材に相当している。また、ゴムシュート40は、特許請求の範囲における緩衝部材に相当している。また、また、ゴムシュート40の第1薄肉部S1は、特許請求の範囲における薄肉部の上部に相当し、ゴムシュート40の第2薄肉部S2は、特許請求の範囲における薄肉部の側部に相当し、第1薄肉部S1と第2薄肉部S2は、特許請求の範囲における薄肉部を構成している。PC鋼棒支持金具45Aは、特許請求の範囲における棒状部材支持手段に相当している。また、第1PC鋼棒43Aは、特許請求の範囲における第1棒状部材に相当している。また、第2PC鋼棒44Aは、特許請求の範囲における第2棒状部材に相当している。
【0047】
なお、上記した第1実施形態において、レールR4の頭部の右側方の空間は、鉄道車輪フランジが走行しないため、どのような部材で閉塞してもよい。例えば、図10(B)に示すゴムシュート37を用いてもよい。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、本発明の第2実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるゴムシュート支持金具の構成を示す図である。この第2実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造は、上記した第1実施形態をさらに改良した実施形態である。
【0049】
この第2実施形態のバリアフリー型踏切舗装構造は、第1実施形態において第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aを支持している2つのPC鋼棒支持金具45Aの、レールR4の長手方向における中間位置に、図7(A)及び図7(B)に示すようなゴムシュート支持金具50Aを設置する点が第1実施形態と異なっており、他の構成要素の構成及び作用については、第1実施形態の場合とまったく同様である。
【0050】
図7(A)及び図7(B)に示すように、このゴムシュート支持金具50Aは、鋼等からなり、平板状の底板部50A1と、底板部50A1の一端部(図7(A)及び図7(B)における右端部)から略垂直に曲げ加工等により立設された直立板部50A2と、直立板部50A1の他端部(図7(A)及び図7(B)における上端部)から略垂直に曲げ加工等により水平方向(図7(A)及び図7(B)における左から右へ向かう水平方向)に突出するように形成された上板部50A3を有している。底板部50A1には、円形断面のボルト穴50A5が開設されている。
【0051】
上記のような構成により、図2に示すPC鋼棒支持金具45Aの場合とまったく同様にして、クリップ部材28を、レールR4の底板上面を押さえるようにして設置し、その状態で、ゴムシュート支持金具50Aの底板部50A1を、クリップ部材28の上面の上に配置し、底板部50A1に設けられたボルト穴50A5の下方から取付ボルト31を挿通させる。取付ボルト31の図2における下端は、略「T」字状となっており、タイプレート25の一部に設けられた凹部(図示せず)によって係止される。その後、竹の子状バネ29を介してナット30を締結することにより、ゴムシュート支持金具50Aを、クリップ部材28に取り付けることができる。
【0052】
このようにすれば、第1実施形態において第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aを支持している2つのPC鋼棒支持金具45Aの、レールR4の長手方向における中間位置に、図7(C)に示すような状態でゴムシュート支持金具50Aを設置することができる。図7(C)における左右方向は、レールR4の長手方向と平行となっている。また、ゴムシュート支持金具50Aの上板部50A3の上面位置は、ゴムシュート40の底部Bの位置と同じ高さとなるように設定されている。これにより、ゴムシュート40は、2つのPC鋼棒支持金具45Aのレール長手方向の中間位置でも支持され、レール長手方向の中央付近で下方にたわむことがない。
【0053】
上記した第2実施形態において、ゴムシュート支持金具50Aは、特許請求の範囲における緩衝部材支持手段に相当している。
【0054】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図8は、本発明の第3実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造におけるPC鋼棒の継手部の構成を示す図である。この第3実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造は、上記した第1実施形態のバリアフリー型踏切舗装構造の道路復員がさらに大きくなった場合に、PC鋼棒をレール長手方向に接続してつなぐことができるように改良したものである。
【0055】
図8のうち、図8(A)と図8(B)と図8(C)は、PC鋼棒継手部材51Aの構成を示した図である。PC鋼棒継手部材51Aは、鋼等からなり、2つの円柱部51A1及び51A2と、2つの円柱部51A1及び51A2を連結する正方形断面の角柱部51A3を有して構成されている。円柱部51A1及び51A2には、それぞれ雌ネジ孔51A4及び51A5が形成されている。また、角柱部51A3の外径は、円柱部51A1及び41A2の外径よりも小さく設定されている。
【0056】
また、図8(D)は、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3を支持するPC鋼棒支持金具45Bの構成を示す図であり、第1実施形態のPC鋼棒支持金具45Aの図4(C)に相当する構成を示している。
【0057】
図8(D)に示すように、このPC鋼棒支持金具45Bは、鋼等からなり、平板状の底板部45B1と、底板部45B1の一端部から略垂直に曲げ加工等により立設された直立板部45B2を有している。底板部45B1には、円形断面のボルト穴45B5が開設されている。また、直立板部45B2の上部には、図の右から挿入して嵌合可能な略四角形断面の嵌合開口45B7が形成され、嵌合開口45B7の右斜め下方には、図の右から挿入して嵌合可能な略四角形断面の嵌合開口45B8が形成されている。ここで、嵌合開口45B7及び45B8の高さは、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3の側面の高さよりもやや大きな寸法に設定され、円柱部51A1及び41A2の外径よりも小さく設定されている。
【0058】
上記のような構成により、第1実施形態の第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aの端部に、PC鋼棒継手部材51Aの雌ネジ孔51A4及び51A5と螺合可能な雄ネジを形成しておけば、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3にスパナ等の工具を当てがって回動させることにより、PC鋼棒継手部材51Aの円柱部51A1及び51A2の雌ネジ孔51A4及び51A5をPC鋼棒43A又は44Aの先端の雄ネジと螺合させて接合させ、PC鋼棒の長さを延長することが可能である。この延長されたPC鋼棒の両端部は、上記したPC鋼棒支持金具45Aによって支持することができる。
【0059】
また、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3は、上記したPC鋼棒支持金具45Bの嵌合開口45B7又は45B8によって支持することができる。また、PC鋼棒支持金具45Bは、図2に示すPC鋼棒支持金具45Aの場合とまったく同様にして、クリップ部材28を、レールR4の底板上面を押さえるようにして設置し、その状態で、PC鋼棒支持金具45Bの底板部45B1を、クリップ部材28の上面の上に配置し、底板部45B1に設けられたボルト穴45B5の下方から取付ボルト31を挿通させる。取付ボルト31の図2における下端は、略「T」字状となっており、タイプレート25の一部に設けられた凹部(図示せず)によって係止される。その後、竹の子状バネ29を介してナット30を締結することにより、PC鋼棒支持金具45Bを、クリップ部材28に取り付けることができる。
【0060】
また、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3は、前後の円柱部51A1及び51A2より外径が小さく、嵌合開口45B7及び45B8の高さは、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3の側面の高さよりもやや大きな寸法に設定され、円柱部51A1及び41A2の外径よりも小さく設定されているため、PC鋼棒継手部材51Aは、PC鋼棒支持金具45Bから外れにくくなっている。なお、PC鋼棒継手部材51Aは、その一部がスパナ等で締付可能なように角柱(四角柱のほか、六角柱等も含む)となっていればよい。
【0061】
図8(E)は、PC鋼棒継手部材51Aの位置におけるPC鋼棒支持金具45Bの構成を示す横断面図である。PC鋼棒支持金具45Bには、切欠部45B9が形成されている。このため、車輪の走行は支障なく行われる。
【0062】
上記した第3実施形態において、PC鋼棒継手部材51Aは、特許請求の範囲における棒状部材接合手段に相当している。また、PC鋼棒支持金具45Bは、特許請求の範囲における継手部支持手段に相当している。
【0063】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図9は、本発明の第4実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるPC鋼棒支持金具の構成を示す第1の図である。この第4実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造は、舗装部材として敷板を用いる踏切舗装構造に適用される実施形態である。
【0064】
図9(A)に示すように、舗装部材として敷板を用いる踏切舗装構造においては、本線レールR5とガードレールR6との間の間隙に、間隔保持部材55が設置される。この間隔保持部材55は、断面が略「U」字状の柱状体であり、側板部56及び57と、底板部58を有している。
【0065】
側板部56及び57の外面形状の一部と、底板部58の外面形状の一部は、本線レールR5とガードレールR6の側部の外面とは逆の曲面となっており、間隔保持部材55は、本線レールR5とガードレールR6との間の間隙に嵌合するようになっている。
【0066】
また、間隔保持部材55の側板部57には、ボルト挿通孔57aが形成されており、このボルト挿通孔57aにボルト59が挿通され、ガードレールR6のボルト挿通孔にも挿通されて、座金60とナット61により、固定されるようになっている。
【0067】
第4実施形態では、このような間隔保持部材55の一端面(例えば、図9(A)の手前側の端面)に、図9(B)に示すようなPC鋼棒支持金具45Dを取り付けるとともに、間隔保持部材55の他端面(例えば、図9(A)の紙面奥側の端面)に、図示はしていないが、同様なPC鋼棒支持金具を取り付け、第1実施形態におけるPC鋼棒支持金具45Aと同様の作用、効果を得ることができる。
【0068】
すなわち、図9(B)に示すように、PC鋼棒支持金具45Dは、鋼等からなり、平板状に形成されている。このPC鋼棒支持金具45Dの下部には、円形断面のボルト穴45D5が開設されている。また、PC鋼棒支持金具45Dの上部には、円形断面の挿通孔45D6及び45D7が開設されている。この場合、挿通孔45D6の高さ位置は、挿通孔45D7の高さ位置よりも高い位置となるように設定されている。換言すれば、本線レールR5のフランジウェイ領域(図9(A)における本線レールR5の頭部の右側方上部の空間)に近い方となる挿通孔45D7の高さ位置は、本線レールR5のフランジウェイ領域から遠い方となる挿通孔45D6の高さ位置よりも低い位置となるように設定されている。また、PC鋼棒支持金具45Dの平面形状は、図10(A)に示す間隔保持部材55とガードレールR6の断面の輪郭線よりも内側となるような形状に設定されている。また、45D9の箇所(ゴムシュートの変形用空洞に対応する箇所)は切り欠かれている。
【0069】
上記のような構成により、間隔保持部材55の両端面に、PC鋼棒支持金具45Dと、同様な構成の当て板(図示せず)を対向配置させ、ボルト穴45D5等にボルト(図示せず)を挿通し、座金(図示せず)とナット(図示せず)を用いて締め付けることにより、PC鋼棒支持金具45Dと当て板(図示せず)を間隔保持部材55に取り付けることができる。
【0070】
その後は、上記のようにして取り付けられたPC鋼棒支持金具45Dを利用して、挿通孔45D6及び45D7に、それぞれ、第1PC鋼棒及び第2PC鋼棒(図示せず)を挿通し、これらのPC鋼棒の両端部に、座金(図示せず)を介してナット(図示せず)を締結することにより、2本のPC鋼棒の各々に引張り力が付与され、各PC鋼棒が、その長手方向軸が本線レールR5の長手方向と平行になるようにして、本線レールR5の頭部又は腹部の側部付近の位置となるように取り付けられる。
【0071】
以下、第1実施形態の場合と同様にして、同様な構成のゴムシュートを取り付けることができる。これにより、鉄道列車等の車輪のフランジが走行する場合には変形するが、列車等が走行しない場合にはフランジウェイに相当する箇所はほぼ閉塞され、車椅子車輪などの落ち込みが防止され「バリアフリー型」となる、という第1実施形態の場合と同様の作用、効果を得ることができる。
【0072】
上記した第4実施形態において、PC鋼棒支持金具45D等は、特許請求の範囲における棒状部材支持手段に相当している。また、図示しないPC鋼棒は、特許請求の範囲における棒状部材に相当している。
【0073】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0074】
例えば、上記実施形態においては、軌道舗装構造として、鉄道線路と道路との平面交差部である踏切付近の路面を構成する例について説明したが、本発明はこれには限定されず、軌道は、鉄道線路以外の軌道、例えば路面電車の軌道等であってもよい。また、舗装を行う箇所についても、踏切以外の箇所、例えば路面電車の停留所付近、路面電車の道路交差点付近等であってもよい。
【0075】
また、上記実施形態においては、踏切舗装板がRC又はPCからなる例について説明したが、本発明はこれには限定されず、他の構成、例えば舗装板の表面にゴム板を貼りつけてもよい。このようにすれば、寒冷地において降雪した場合でも、雪が路面に固着することを防止することができる。
【0076】
また、緩衝部材(例えば、ゴムシュート40)の断面形状は、上記実施形態のものに限定されず、他の断面形状であってもよい。例えば、薄肉部によって囲まれる変形用空洞Hの断面形状は、角の丸い略三角形状以外に、角の丸い略四角形状、略円形状、略楕円形状などであってもよい。変形用空洞Hの断面形状が、略円形状、略楕円形状の場合には、2つの屈曲した薄肉部ではなく、一つの滑らかに曲がった薄肉部となる。
【0077】
また、棒状部材支持手段(例えば、PC鋼棒支持金具45A等)の取付箇所は、上記した各実施形態における取付箇所には限定されない。要は、軌道舗装構造のいずれかの箇所に設置されればよい。
【0078】
また、上記実施形態においては、緩衝部材を設ける軌道舗装構造として、連接軌道と、敷板式踏切舗装構造を例に挙げて説明したが、本発明はこれらには限定されず、他の構成の軌道舗装構造に緩衝部材を適用してもよい。例えば、図11で説明した総研形舗装板式踏切舗装構造に、上記した実施形態のゴムシュート40を適用することも可能である。この場合には、図11(B)に示す取付ボルト92を利用し、上記したPC鋼棒支持金具45A等に類似する金具を取付部材16に取り付け、このPC鋼棒支持金具によって第1PC鋼棒及び第2PC鋼棒を支持させ、これらのPC鋼棒に上記したゴムシュート40に類似する部材を取り付ける。
【0079】
上記した各実施形態は、適宜に組み合わせてもよい。すなわち、PC鋼棒支持金具(45A等)の形式と、ゴムシュート支持金具(50A等)、PC鋼棒継手部材(51A等)は、適宜に組み合わせ可能である。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、軌道の近傍に舗装部材が設置され道路の路面を構成する軌道舗装構造におけるレール側方の間隙を閉塞する構造であって、軌道舗装構造のいずれかの箇所に設置される棒状部材支持手段と、棒状部材支持手段に取付手段により取り付けられる第1棒状部材及び第2棒状部材と、ゴム系材料からなり略柱状体に形成されるとともに長手方向に貫通する第1収容孔及び第2収容孔と、略柱状体の外部と第1収容孔を連通する第1嵌挿用開口と、略柱状体の外部と第2収容孔を連通する第2嵌挿用開口と、薄肉部により囲まれ内部に形成される変形用空洞を有する緩衝部材を備えるように構成したので、設置・補修作業が容易で、列車走行時以外はレール側方を閉塞するバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造とすることができる、という利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造のレール付近の構成を示す第1の横断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造のレール付近の構成を示す第2の横断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるゴムシュートの構成を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるPC鋼棒支持金具の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造におけるゴムシュートの設置方法を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造における車輪フランジ通過時のゴムシュートの状態を説明する図である。
【図7】本発明の第2実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるPC鋼棒支持金具の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造における継手部の構成を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるPC鋼棒支持金具の構成を示す図である。
【図10】従来の踏切舗装構造の一例である連接軌道の構成を示す図である。
【図11】従来の踏切舗装構造の他の例である踏切舗装板の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 内軌側踏切舗装板
2、3 外軌側踏切舗装板
4、5、6 ゴム受台
7 連結金具
15a、15b 保護部材
16 取付部材
16a 平板部
16b 斜面部
16c ストッパー
21 連接軌道板
21a、21b レール収容凹部
22、23 舗装ブロック
24 PC鋼棒
25 タイプレート
26 レールパッド
27 タイプレートパッド
28 クリップ部材
29 竹の子状バネ
30 ナット
31 取付ボルト
32 ゴムシュート
33 座金
34 コイルバネ
35 ナット
36 取付ボルト
37 ゴムシュート
38 クサビ
40 ゴムシュート
41 第1収容孔
42 第2収容孔
43A 第1PC鋼棒
44A 第2PC鋼棒
45A PC鋼棒支持金具
45A1 底板部
45A2 直立板部
45A3 補強板部
45A5 ボルト穴
45A6、45A7 挿通孔
45A8 上凸部
45A9 切欠部
45B PC鋼棒支持金具
45B1 底板部
45B2 直立板部
45B3 補強板部
45B5 ボルト穴
45B7、45B8 嵌合開口
45B9 切欠部
45D PC鋼棒支持金具
45D5 ボルト穴
45D6、45D7 挿通孔
46A、47A ナット
48A、48B 座金
50A ゴムシュート支持金具
50A1 底板部
50A2 直立板部
50A3 上板部
50A5 ボルト穴
51A PC鋼棒継手部材
51A1、51A2 円柱部
51A3 角柱部
51A4、51A5 雌ネジ孔
55 間隔保持部材
56 側板部
57 側板部
57a ボルト挿通孔
58 底板部
59 ボルト
60 座金
61 ナット
71 外軌板受部
71a ボルト孔
72 レール受部
73 内軌板受部
73a ボルト孔
73b 斜面部
73c 平面部
81 パッド
82、83 絶縁材
84 ゴムシュート
91、92 取付ボルト
93 ナット
94 竹の子状バネ
95 座金
B ゴムシュート底部
D1、D2 方向
F1〜F4 フランジウェイ
H 変形用空洞
P1〜P4 押し付け力
R1〜R4 レール
R5 本線レール
R6 ガードレール
S1 第1薄肉部
S2 第2薄肉部
S3 隅角部
T まくらぎ
V1 第1嵌挿用開口
V2 第2嵌挿用開口
W 車輪
W1 フランジ
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌道の近傍に舗装部材が設置され道路の路面を構成する軌道舗装構造におけるレール側方の間隙を閉塞する構造、及びその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、鉄道線路と道路が平面交差する踏切道においては、歩行者や自動車等の交通の用に供するため、舗装を行っていた。例としては、図示はしていないが、木材又は石材等からなる敷材を2本のレール(軌条)の内側及び外側に敷設する踏切道が挙げられる。この敷材舗装の場合には、2本のレールの内側と敷材との間にガードレールが敷設されており、このガードレールにより、鉄道車両の車輪のフランジが支障無く通過できるために確保すべき空間である「フランジウェイ」が形成されていた。
【0003】
また、近年、道路幅員が大きく道路交通量の多い踏切道等においては、図10(A)及び図10(B)に示すように、踏切箇所のまくらぎを取り外し、そのかわりとして鉄筋コンクリート(RC)やプレストレストコンクリート(PC)等からなる板状の連接軌道板21を用い、この連接軌道板21の上面に設けられた2つのレール収容凹部21aと21bの内部に、それぞれ左右のレールR3、R4を収容し、取付ボルト31や36、及びナット30や35によって締結・支持する「連接軌道」と呼ばれる踏切舗装構造が用いられている。図10(A)における符号22、23は、鉄筋コンクリート(RC)やプレストレストコンクリート(PC)等からなる板状の舗装ブロックである。図10(A)において、符号F3及びF4は、フランジウェイを示している。
【0004】
また、道路幅員が大きく道路交通量の多い踏切道等においては、図11(A)及び図11(B)に示すように、踏切箇所のまくらぎを取り外さずに、鉄筋コンクリート(RC)やプレストレストコンクリート(PC)等からなる板状の踏切舗装板(内軌側踏切舗装板1、外軌側踏切舗装板2及び3)を用い、この踏切舗装板1〜3を、踏切箇所の軌道の内側及び外側のまくらぎTの上面に取り付けることにより、踏切箇所の舗装を行う踏切舗装構造(以下、「総研形舗装板式踏切舗装構造」という。)も知られている。
【0005】
この総研形舗装板式踏切舗装構造においては、図11(B)に示すように、レール(例えばR1)を下方から支持する連結板7と取付ボルト91及び92により、各踏切舗装板(例えば、内軌側踏切舗装板1と外軌側踏切舗装板2)が軌道に固定される。図11(A)において、符号F1及びF2は、フランジウェイを示している。
【0006】
上記した従来の連接軌道、あるいは総研形舗装板式踏切舗装構造においては、レールの頭部又は腹部の付近に、レールの長手方向と平行になるように、ゴムシュート32と37、あるいはゴムシュート84が設置されている。これらのゴムシュートは、柱状の部材であり、その長手方向がレールの長手方向と平行となるように配置される。
【0007】
これらのゴムシュート32等がレール近傍に配置される従来の理由の一つは、降雪地帯において、フランジウェイ内に雪が溜まってしまい列車等が「乗り上がり脱線」を起こすことを防止するためであった。これらのゴムシュートは、天然ゴム、人造ゴムを含むゴム材料により作製されている。
【0008】
レール側方の間隙を充填するための部材の材料としては、ゴム材料のほかにも、金属材料、合成樹脂材料、あるいは木材等も考えられる。しかし、レールと接触することから電気絶縁性が要求されること、狭い間隙へはめ込む際に弾性変形が利用できること、雪や氷が付着し難いこと、付着した雪氷等を打撃やそれに伴う弾性変形等により容易に割砕することができること、等の理由から、ゴム材料が用いられている。
【0009】
さらに、近年、踏切道を通行する車椅子や自転車等の車輪、あるいは歩行する人間の足などがフランジウェイに落ち込むことを防止することが求められている。このため、鉄道列車等の車輪のフランジが走行する場合には変形するが、列車等が走行しない場合にはフランジウェイをも閉塞するように構成された踏切防護材が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−254303号公報(第1−4頁、図1−5)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した特許文献1に記載された従来の踏切防護材は、上方から挿入して設置することができず、線路方向のいずれかの端部から線路方向に差し入れる等の方法により設置を行わざるを得ない。このため、踏切防護材の設置や交換のための工事を行う場合には、踏切舗装ブロックの一部又は全部を取り外す、等の作業が必要となり、工事期間が長くなり、工事費用が高価になる、等の問題があった。
【0012】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、列車走行時以外はレール側方を閉塞し、設置や交換が容易なレール側方間隙閉塞構造、及びレール側方の間隙閉塞方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係るバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造は、
軌道の近傍に舗装部材が設置され道路の路面を構成する軌道舗装構造におけるレール側方の間隙を閉塞する構造であって、
前記軌道舗装構造のいずれかの箇所に設置される棒状部材支持手段と、
前記棒状部材支持手段に取付手段により取り付けられる第1棒状部材及び第2棒状部材と、
ゴム系材料からなり略柱状体に形成されるとともに長手方向に貫通する第1収容孔及び第2収容孔と、前記略柱状体の外部と前記第1収容孔を連通する第1嵌挿用開口と、前記略柱状体の外部と前記第2収容孔を連通する第2嵌挿用開口と、薄肉部により囲まれ内部に形成される変形用空洞を有する緩衝部材を備え、
前記第1棒状部材に前記第1嵌挿用開口を当てがって押し付けることにより前記第1収容孔の中に前記第1棒状部材を収容し、前記第1収容孔及び第1棒状部材の中心の回りに回転させることにより前記第2収容孔の中に前記第2棒状部材を収容し、前記略柱状体の長手方向軸がレールの長手方向と平行になるとともに前記薄肉部の上部が前記レールの頭部上面と略同一高さ位置となりかつ前記薄肉部の側部が前記レールの頭部側面付近となるように配置し、前記レールの上を走行する車輪のフランジからの押圧力を受けた場合には前記薄肉部が前記変形用空洞の内部に向かって変形し、前記レールの上を車輪が走行しない場合には前記レールの頭部側方付近に間隙が生じないようにほぼ閉塞すること
を特徴とする。
【0014】
上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記第1棒状棒状部材及び前記第2棒状部材には、引張り力が付与される。
【0015】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記舗装部材は、連接軌道板である。
【0016】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記棒状部材支持手段は、前記連接軌道板のいずれかの箇所により支持される。
【0017】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記棒状部材支持手段は、前記連接軌道板に設けられたレール収容凹部内に設置されるタイプレートにより支持される。
【0018】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記舗装部材は、舗装板である。
【0019】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記棒状部材支持手段は、前記舗装板のいずれかの箇所により支持される。
【0020】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記舗装部材は、敷板である。
【0021】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記棒状部材支持手段は、本線レールとガードレールとの間に設置される間隔保持部材により支持される。
【0022】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、前記棒状部材支持手段どうしの中間位置に、前記緩衝部材を支持する緩衝部材支持手段が設置される。
【0023】
また、上記のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、好ましくは、
前記第1棒状部材又は前記第2棒状部材を前記レールの長手方向につなぐ棒状部材接合手段と、前記棒状部材接合手段を支持する継手部支持手段を備える。
【0024】
また、本発明に係るレール側方の間隙閉塞方法は、
軌道の近傍に舗装部材が設置され道路の路面を構成する軌道舗装構造におけるレール側方の間隙を閉塞する方法であって、
前記軌道舗装構造のいずれかの箇所に棒状部材支持手段を設置し、
前記棒状部材支持手段に取付手段により第1棒状部材及び第2棒状部材を取り付け、
ゴム系材料からなり略柱状体に形成されるとともに長手方向に貫通する第1収容孔及び第2収容孔と、前記略柱状体の外部と前記第1収容孔を連通する第1嵌挿用開口と、前記略柱状体の外部と前記第2収容孔を連通する第2嵌挿用開口と、薄肉部により囲まれ内部に形成される変形用空洞を有する緩衝部材を用い、
前記第1棒状部材に前記第1嵌挿用開口を当てがって押し付けることにより前記第1収容孔の中に前記第1棒状部材を収容し、前記第1収容孔及び第1棒状部材の中心の回りに回転させることにより前記第2収容孔の中に前記第2棒状部材を収容し、前記略柱状体の長手方向軸がレールの長手方向と平行になるとともに前記薄肉部の上部が前記レールの頭部上面と略同一高さ位置となりかつ前記薄肉部の側部が前記レールの頭部側面付近となるように配置し、前記レールの上を走行する車輪のフランジからの押圧力を受けた場合には前記薄肉部が前記変形用空洞の内部に向かって変形し、前記レールの上を車輪が走行しない場合には前記レールの頭部側方付近に間隙が生じないようにほぼ閉塞すること
を特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造のレール付近の構成を示す第1の横断面図である。また、図2は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造のレール付近の構成を示す第2の横断面図である。また、図3は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるゴムシュートの構成を示す図である。また、図4は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるPC鋼棒支持金具の構成を示す図である。また、図5は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造におけるゴムシュートの設置方法を説明する図である。この第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造は、図10で説明した連接軌道で構成される踏切舗装構造に、新規な構成のゴムシュートを用いるように改良したものである。
【0027】
次に、第1実施形態のゴムシュートの連接軌道板への取り付け及び支持について、図1ないし図5、及び図10を参照しつつ、詳細に説明する。
【0028】
まず、図1及び図2に示すように、レール収容凹部21b内にタイプレートパッド27を敷設する。次に、タイプレート25を設置する。次に、レールパッド26を敷設する。その上に、レールR4を設置する。この場合、図1及び図2におけるレールR4の頭部の左側方上部の空間は、鉄道車両の車輪のフランジが通過するフランジウェイとなっている。
【0029】
次に、図2に示すように、クリップ部材28を、レールR4の底板上面を押さえるようにして設置する。その状態で、PC鋼棒支持金具45Aの底板部45A1を、クリップ部材28の上面の上に配置し、底板部45A1に設けられたボルト穴45A5の下方から取付ボルト31を挿通させる。取付ボルト31の図2における下端は、略「T」字状となっており、タイプレート25の一部に設けられた凹部(図示せず)によって係止される。その後、竹の子状バネ29を介してナット30を締結することにより、PC鋼棒支持金具45Aが、クリップ部材28に取り付けられるとともに、クリップ部材28が、レールR4をタイプレート25に締結する。
【0030】
また、タイプレート25は、図10(B)に示す取付ボルト36と、座金33と、コイルバネ34と、ナット35により連接軌道板21に固定される。この場合、取付ボルト36の図における下端は、図示はしていないが、略「T」字状となっており、連接軌道板21のレール収容凹部21bの底部に設けられた凹部(図示せず)によって係止されるようになっている。
【0031】
次に、上記のようにして取り付けられた2つのPC鋼棒支持金具45Aの底板部45A1から略垂直に立設された直立板部45A2に設けられている挿通孔45A6及び45A7と、PC鋼棒支持金具45Aの直立板部45A2(図4参照)に設けられている挿通孔45A6及び45A7(図4参照)に、それぞれ、第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aを挿通し、第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aの両端部に、座金48A及び49Aを介してナット46A及び47Aを締結することにより、第1PC鋼棒43Aと第2PC鋼棒44Aに引張り力が付与され、第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aが、その長手方向軸がレールR4の長手方向と平行になるようにして、レールR4の頭部又は腹部の側部付近の位置となるように取り付けられる。この場合、挿通孔45A6の高さ位置は、挿通孔45A7の高さ位置よりも高い位置となるように設定されており、これにより、第1PC鋼棒43Aの高さ位置は、第2PC鋼棒44Aの高さ位置よりも高い位置となっている。換言すれば、レールR4のフランジウェイ領域(図1及び図2におけるレールR4の頭部の左側方上部の空間)に近い方の第2PC鋼棒44Aの高さ位置は、レールR4のフランジウェイ領域から遠い方の第1PC鋼棒43Aの高さ位置よりも低い位置に支持されている。
【0032】
その後、後述する手順により、ゴムシュート40をPC鋼棒43A及び44Aに取り付ける。これにより、図1及び図2に示す状態となり、図1に示す状態では、フランジウェイ(レールR4の図1における頭部左側方の部分。図10(B)における符号F4の箇所。)は、レールR4の頭部側方付近に間隙が生じないようにほぼ閉塞されている。レールR4の頭部側面(図1における左側面)とゴムシュート40の側面(図1における右側面)の間の距離は、1〜10ミリメートル程度である。
【0033】
図3は、ゴムシュート40の詳細な構成を示した図である。ゴムシュート40は、ゴム系材料からなり、略柱状体に形成され、円形断面の第1収容孔41と、円形断面の第2収容孔42と、第1嵌挿用開口V1と、第2嵌挿用開口V2と、変形用空洞Hを有している。
【0034】
第1嵌挿用開口V1は、ゴムシュート40の柱状体の外部(図3における左側方の外部)と第1収容孔41を連通する溝状の開口である。また、第2嵌挿用開口V2は、ゴムシュート40の柱状体の外部(図3における下方の外部)と第2収容孔42を連通する溝状の開口である。図3の状態でレールR4の側方に設置されることになるが、この状態では、第1収容孔41の高さ位置は、第2収容孔42の高さ位置よりも高い位置となるように設定されている。換言すれば、レールR4のフランジウェイ領域(図1及び図2におけるレールR4の頭部の左側方上部の空間)に近い方の孔となる第2収容孔42の高さ位置は、レールR4のフランジウェイ領域から遠い方の孔となる第1収容孔41の高さ位置よりも低い位置となるように設定されている。
【0035】
また、変形用空洞Hは、角が丸い略三角形断面をした管状の空洞であり、図3において、第1収容孔41の右方でかつ第2収容孔42の上方となる位置に設けられており、変形用空洞Hの一部(図3における右上隅部)は、図1及び図2におけるレールR4のフランジウェイ領域(図1及び図2におけるレールR4の頭部の左側方上部の空間)と重複するように設定されている。変形用空洞Hは、第1薄肉部S1と第2薄肉部S2により囲まれている。第1薄肉部S1は、ゴムシュート40の本体の左側の上部から図3の右方向へ延び、第2薄肉部S2は、ゴムシュート40の本体の右側の上部から図3の上方向へ延び、第1薄肉部S1と第2薄肉部S2は、図3における右上端で隅角部S3を形成して接合している。この隅角部S3は、図1において、ゴムシュート40がレールR4の左側面に最も近接する箇所となっている。また、第1薄肉部S1と第2薄肉部S2の肉厚は、4.5〜8.5ミリメートル程度が可能であるが、好ましい値は、6〜7ミリメートルである。
【0036】
上記したゴム系材料は、天然ゴムと人造ゴムを含むほか、天然ゴム又は人造ゴムを母材(マトリクス)とし、その中に補強部材を混入させ分散配置させて成型した複合材料等をも含む概念の材料である。
【0037】
また、図4は、PC鋼棒支持金具45Aの詳細な構成を示した図である。図4に示すように、このPC鋼棒支持金具45Aは、鋼等からなり、平板状の底板部45A1と、底板部45A1の一端部から略垂直に曲げ加工等により立設された直立板部45A2と、直立板部45A2を補強するための補強板部45A3を有している。補強板部45A3は、底板部45A1と直立板部45A2に、溶接等によって接合されている。底板部45A1には、円形断面のボルト穴45A5が開設されている。また、直立板部45A2には、円形断面の挿通孔45A6及び45A7が開設されている。この場合、挿通孔45A6の高さ位置は、挿通孔45A7の高さ位置よりも高い位置となるように設定されている。また、直立板部45A2の図4(C)における45A9の箇所(ゴムシュート40の変形用空洞Hに対応する箇所)は切り欠かれている。
【0038】
次に、図5を参照しつつ、ゴムシュート40を第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aに取り付ける方法について説明する。まず、図5(A)に示すように、ゴムシュート40の断面が図3(A)の状態とは角度90度だけ回転した状態となるようにし、第1嵌挿用開口V1が下方を向くように、また、第1嵌挿用開口V1が第1PC鋼棒43Aの上方となるようにする。この状態で、図5(A)において符号D1で示すように、図の下方に向けて押し込む。この押し込み作業は、人力によっても可能であるし、治具等を用いてもよい。
【0039】
この際、図5(B)に示すように、ゴムシュート40を、第1PC鋼棒43Aの長手方向(レールR4の長手方向と平行となる方向)に対して、一方の端部(図5(B)における左端部)が低い位置となり、かつ他方の端部(図5(B)における右端部)が高い位置となるように配置する。この状態で、図5(B)の左側から、符号P1、P2、P3、P4の順序で、ゴムシュート40の上方から下方に向けて押し付ける力を作用させる。
【0040】
これにより、ゴムシュート40の第1嵌挿用開口V1は、第1PC鋼棒43Aに当てがわれることになり、順次、左から右へ移動するように、かつゴムシュート40の上方から下方に向けて押し付けることにより、第1収容孔41の中に第1PC鋼棒43Aが押し込まれて収容される。これにより、ゴムシュート40の略柱状体の長手方向軸がレールの長手方向と平行になる。
【0041】
次に、図5(C)の符号D2に示すように、第1収容孔41及び第1PC鋼棒43Aの中心を回転軸として、この中心のまわりにゴムシュート40を、図5(C)における時計回りの方向D2に回転させ、ゴムの弾性を利用して押し込むようにすれば、第2嵌挿用開口V2と第2PC鋼棒44Aを嵌合させることができ、さらに押し付けながら図5(C)における時計回り方向D2に回転させることにより、第2収容孔42の中に第2PC鋼棒44Aを収容することができる。これにより、図1及び図2に示した状態となる。
【0042】
上記したゴムシュート40の第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aへの取り付けの際に、第1嵌挿用開口V1、第1収容孔41、第2嵌挿用開口V2、第2収容孔42の内面に、潤滑油等を塗布すれば、PC鋼棒への取り付け作業は、さらに容易になる。
【0043】
図6は、本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造の作用を説明する図である。図6は、レールR4の上を車輪Wが走行する場合を示している。すなわち、走行する車輪WのフランジW1からの押圧力を受けた場合には、ゴムシュート40の第1薄肉部S1と第2薄肉部S2が、ゴム系材料の弾性により、変形用空洞Hの内部に向かって変形し、図6に示すように押しつぶされる。また、PC鋼棒支持金具45Aには、切欠部45A9が形成されている。このため、車輪Wの走行は支障なく行われる。
【0044】
また、レールR4の上を車輪が走行しない場合は、図1及び図2に示したようになり、レールR4の頭部側方付近は、ほぼ閉塞され、間隙がほとんど生じない。このため、踏切道を通行する車椅子や自転車等の車輪、あるいは歩行する人間の足などが落ち込むことは防止される。
【0045】
上記のような構成により、第1実施形態の連接軌道においては、ゴムシュート40が第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aに取り付けられるため、レール上方から挿入して設置することができ、従来の連接軌道のゴムシュートと比べ、ゴムシュートの設置・補修作業が容易である。また、鉄道列車等の車輪のフランジが走行する場合には変形するが、列車等が走行しない場合にはフランジウェイに相当する箇所はほぼ閉塞され、車椅子車輪などの落ち込みが防止され「バリアフリー型」となっている。
【0046】
上記した第1実施形態において、連接軌道板21は、特許請求の範囲における舗装部材に相当している。また、ゴムシュート40は、特許請求の範囲における緩衝部材に相当している。また、また、ゴムシュート40の第1薄肉部S1は、特許請求の範囲における薄肉部の上部に相当し、ゴムシュート40の第2薄肉部S2は、特許請求の範囲における薄肉部の側部に相当し、第1薄肉部S1と第2薄肉部S2は、特許請求の範囲における薄肉部を構成している。PC鋼棒支持金具45Aは、特許請求の範囲における棒状部材支持手段に相当している。また、第1PC鋼棒43Aは、特許請求の範囲における第1棒状部材に相当している。また、第2PC鋼棒44Aは、特許請求の範囲における第2棒状部材に相当している。
【0047】
なお、上記した第1実施形態において、レールR4の頭部の右側方の空間は、鉄道車輪フランジが走行しないため、どのような部材で閉塞してもよい。例えば、図10(B)に示すゴムシュート37を用いてもよい。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、本発明の第2実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるゴムシュート支持金具の構成を示す図である。この第2実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造は、上記した第1実施形態をさらに改良した実施形態である。
【0049】
この第2実施形態のバリアフリー型踏切舗装構造は、第1実施形態において第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aを支持している2つのPC鋼棒支持金具45Aの、レールR4の長手方向における中間位置に、図7(A)及び図7(B)に示すようなゴムシュート支持金具50Aを設置する点が第1実施形態と異なっており、他の構成要素の構成及び作用については、第1実施形態の場合とまったく同様である。
【0050】
図7(A)及び図7(B)に示すように、このゴムシュート支持金具50Aは、鋼等からなり、平板状の底板部50A1と、底板部50A1の一端部(図7(A)及び図7(B)における右端部)から略垂直に曲げ加工等により立設された直立板部50A2と、直立板部50A1の他端部(図7(A)及び図7(B)における上端部)から略垂直に曲げ加工等により水平方向(図7(A)及び図7(B)における左から右へ向かう水平方向)に突出するように形成された上板部50A3を有している。底板部50A1には、円形断面のボルト穴50A5が開設されている。
【0051】
上記のような構成により、図2に示すPC鋼棒支持金具45Aの場合とまったく同様にして、クリップ部材28を、レールR4の底板上面を押さえるようにして設置し、その状態で、ゴムシュート支持金具50Aの底板部50A1を、クリップ部材28の上面の上に配置し、底板部50A1に設けられたボルト穴50A5の下方から取付ボルト31を挿通させる。取付ボルト31の図2における下端は、略「T」字状となっており、タイプレート25の一部に設けられた凹部(図示せず)によって係止される。その後、竹の子状バネ29を介してナット30を締結することにより、ゴムシュート支持金具50Aを、クリップ部材28に取り付けることができる。
【0052】
このようにすれば、第1実施形態において第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aを支持している2つのPC鋼棒支持金具45Aの、レールR4の長手方向における中間位置に、図7(C)に示すような状態でゴムシュート支持金具50Aを設置することができる。図7(C)における左右方向は、レールR4の長手方向と平行となっている。また、ゴムシュート支持金具50Aの上板部50A3の上面位置は、ゴムシュート40の底部Bの位置と同じ高さとなるように設定されている。これにより、ゴムシュート40は、2つのPC鋼棒支持金具45Aのレール長手方向の中間位置でも支持され、レール長手方向の中央付近で下方にたわむことがない。
【0053】
上記した第2実施形態において、ゴムシュート支持金具50Aは、特許請求の範囲における緩衝部材支持手段に相当している。
【0054】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図8は、本発明の第3実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造におけるPC鋼棒の継手部の構成を示す図である。この第3実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造は、上記した第1実施形態のバリアフリー型踏切舗装構造の道路復員がさらに大きくなった場合に、PC鋼棒をレール長手方向に接続してつなぐことができるように改良したものである。
【0055】
図8のうち、図8(A)と図8(B)と図8(C)は、PC鋼棒継手部材51Aの構成を示した図である。PC鋼棒継手部材51Aは、鋼等からなり、2つの円柱部51A1及び51A2と、2つの円柱部51A1及び51A2を連結する正方形断面の角柱部51A3を有して構成されている。円柱部51A1及び51A2には、それぞれ雌ネジ孔51A4及び51A5が形成されている。また、角柱部51A3の外径は、円柱部51A1及び41A2の外径よりも小さく設定されている。
【0056】
また、図8(D)は、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3を支持するPC鋼棒支持金具45Bの構成を示す図であり、第1実施形態のPC鋼棒支持金具45Aの図4(C)に相当する構成を示している。
【0057】
図8(D)に示すように、このPC鋼棒支持金具45Bは、鋼等からなり、平板状の底板部45B1と、底板部45B1の一端部から略垂直に曲げ加工等により立設された直立板部45B2を有している。底板部45B1には、円形断面のボルト穴45B5が開設されている。また、直立板部45B2の上部には、図の右から挿入して嵌合可能な略四角形断面の嵌合開口45B7が形成され、嵌合開口45B7の右斜め下方には、図の右から挿入して嵌合可能な略四角形断面の嵌合開口45B8が形成されている。ここで、嵌合開口45B7及び45B8の高さは、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3の側面の高さよりもやや大きな寸法に設定され、円柱部51A1及び41A2の外径よりも小さく設定されている。
【0058】
上記のような構成により、第1実施形態の第1PC鋼棒43A及び第2PC鋼棒44Aの端部に、PC鋼棒継手部材51Aの雌ネジ孔51A4及び51A5と螺合可能な雄ネジを形成しておけば、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3にスパナ等の工具を当てがって回動させることにより、PC鋼棒継手部材51Aの円柱部51A1及び51A2の雌ネジ孔51A4及び51A5をPC鋼棒43A又は44Aの先端の雄ネジと螺合させて接合させ、PC鋼棒の長さを延長することが可能である。この延長されたPC鋼棒の両端部は、上記したPC鋼棒支持金具45Aによって支持することができる。
【0059】
また、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3は、上記したPC鋼棒支持金具45Bの嵌合開口45B7又は45B8によって支持することができる。また、PC鋼棒支持金具45Bは、図2に示すPC鋼棒支持金具45Aの場合とまったく同様にして、クリップ部材28を、レールR4の底板上面を押さえるようにして設置し、その状態で、PC鋼棒支持金具45Bの底板部45B1を、クリップ部材28の上面の上に配置し、底板部45B1に設けられたボルト穴45B5の下方から取付ボルト31を挿通させる。取付ボルト31の図2における下端は、略「T」字状となっており、タイプレート25の一部に設けられた凹部(図示せず)によって係止される。その後、竹の子状バネ29を介してナット30を締結することにより、PC鋼棒支持金具45Bを、クリップ部材28に取り付けることができる。
【0060】
また、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3は、前後の円柱部51A1及び51A2より外径が小さく、嵌合開口45B7及び45B8の高さは、PC鋼棒継手部材51Aの角柱部51A3の側面の高さよりもやや大きな寸法に設定され、円柱部51A1及び41A2の外径よりも小さく設定されているため、PC鋼棒継手部材51Aは、PC鋼棒支持金具45Bから外れにくくなっている。なお、PC鋼棒継手部材51Aは、その一部がスパナ等で締付可能なように角柱(四角柱のほか、六角柱等も含む)となっていればよい。
【0061】
図8(E)は、PC鋼棒継手部材51Aの位置におけるPC鋼棒支持金具45Bの構成を示す横断面図である。PC鋼棒支持金具45Bには、切欠部45B9が形成されている。このため、車輪の走行は支障なく行われる。
【0062】
上記した第3実施形態において、PC鋼棒継手部材51Aは、特許請求の範囲における棒状部材接合手段に相当している。また、PC鋼棒支持金具45Bは、特許請求の範囲における継手部支持手段に相当している。
【0063】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。図9は、本発明の第4実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるPC鋼棒支持金具の構成を示す第1の図である。この第4実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造は、舗装部材として敷板を用いる踏切舗装構造に適用される実施形態である。
【0064】
図9(A)に示すように、舗装部材として敷板を用いる踏切舗装構造においては、本線レールR5とガードレールR6との間の間隙に、間隔保持部材55が設置される。この間隔保持部材55は、断面が略「U」字状の柱状体であり、側板部56及び57と、底板部58を有している。
【0065】
側板部56及び57の外面形状の一部と、底板部58の外面形状の一部は、本線レールR5とガードレールR6の側部の外面とは逆の曲面となっており、間隔保持部材55は、本線レールR5とガードレールR6との間の間隙に嵌合するようになっている。
【0066】
また、間隔保持部材55の側板部57には、ボルト挿通孔57aが形成されており、このボルト挿通孔57aにボルト59が挿通され、ガードレールR6のボルト挿通孔にも挿通されて、座金60とナット61により、固定されるようになっている。
【0067】
第4実施形態では、このような間隔保持部材55の一端面(例えば、図9(A)の手前側の端面)に、図9(B)に示すようなPC鋼棒支持金具45Dを取り付けるとともに、間隔保持部材55の他端面(例えば、図9(A)の紙面奥側の端面)に、図示はしていないが、同様なPC鋼棒支持金具を取り付け、第1実施形態におけるPC鋼棒支持金具45Aと同様の作用、効果を得ることができる。
【0068】
すなわち、図9(B)に示すように、PC鋼棒支持金具45Dは、鋼等からなり、平板状に形成されている。このPC鋼棒支持金具45Dの下部には、円形断面のボルト穴45D5が開設されている。また、PC鋼棒支持金具45Dの上部には、円形断面の挿通孔45D6及び45D7が開設されている。この場合、挿通孔45D6の高さ位置は、挿通孔45D7の高さ位置よりも高い位置となるように設定されている。換言すれば、本線レールR5のフランジウェイ領域(図9(A)における本線レールR5の頭部の右側方上部の空間)に近い方となる挿通孔45D7の高さ位置は、本線レールR5のフランジウェイ領域から遠い方となる挿通孔45D6の高さ位置よりも低い位置となるように設定されている。また、PC鋼棒支持金具45Dの平面形状は、図10(A)に示す間隔保持部材55とガードレールR6の断面の輪郭線よりも内側となるような形状に設定されている。また、45D9の箇所(ゴムシュートの変形用空洞に対応する箇所)は切り欠かれている。
【0069】
上記のような構成により、間隔保持部材55の両端面に、PC鋼棒支持金具45Dと、同様な構成の当て板(図示せず)を対向配置させ、ボルト穴45D5等にボルト(図示せず)を挿通し、座金(図示せず)とナット(図示せず)を用いて締め付けることにより、PC鋼棒支持金具45Dと当て板(図示せず)を間隔保持部材55に取り付けることができる。
【0070】
その後は、上記のようにして取り付けられたPC鋼棒支持金具45Dを利用して、挿通孔45D6及び45D7に、それぞれ、第1PC鋼棒及び第2PC鋼棒(図示せず)を挿通し、これらのPC鋼棒の両端部に、座金(図示せず)を介してナット(図示せず)を締結することにより、2本のPC鋼棒の各々に引張り力が付与され、各PC鋼棒が、その長手方向軸が本線レールR5の長手方向と平行になるようにして、本線レールR5の頭部又は腹部の側部付近の位置となるように取り付けられる。
【0071】
以下、第1実施形態の場合と同様にして、同様な構成のゴムシュートを取り付けることができる。これにより、鉄道列車等の車輪のフランジが走行する場合には変形するが、列車等が走行しない場合にはフランジウェイに相当する箇所はほぼ閉塞され、車椅子車輪などの落ち込みが防止され「バリアフリー型」となる、という第1実施形態の場合と同様の作用、効果を得ることができる。
【0072】
上記した第4実施形態において、PC鋼棒支持金具45D等は、特許請求の範囲における棒状部材支持手段に相当している。また、図示しないPC鋼棒は、特許請求の範囲における棒状部材に相当している。
【0073】
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0074】
例えば、上記実施形態においては、軌道舗装構造として、鉄道線路と道路との平面交差部である踏切付近の路面を構成する例について説明したが、本発明はこれには限定されず、軌道は、鉄道線路以外の軌道、例えば路面電車の軌道等であってもよい。また、舗装を行う箇所についても、踏切以外の箇所、例えば路面電車の停留所付近、路面電車の道路交差点付近等であってもよい。
【0075】
また、上記実施形態においては、踏切舗装板がRC又はPCからなる例について説明したが、本発明はこれには限定されず、他の構成、例えば舗装板の表面にゴム板を貼りつけてもよい。このようにすれば、寒冷地において降雪した場合でも、雪が路面に固着することを防止することができる。
【0076】
また、緩衝部材(例えば、ゴムシュート40)の断面形状は、上記実施形態のものに限定されず、他の断面形状であってもよい。例えば、薄肉部によって囲まれる変形用空洞Hの断面形状は、角の丸い略三角形状以外に、角の丸い略四角形状、略円形状、略楕円形状などであってもよい。変形用空洞Hの断面形状が、略円形状、略楕円形状の場合には、2つの屈曲した薄肉部ではなく、一つの滑らかに曲がった薄肉部となる。
【0077】
また、棒状部材支持手段(例えば、PC鋼棒支持金具45A等)の取付箇所は、上記した各実施形態における取付箇所には限定されない。要は、軌道舗装構造のいずれかの箇所に設置されればよい。
【0078】
また、上記実施形態においては、緩衝部材を設ける軌道舗装構造として、連接軌道と、敷板式踏切舗装構造を例に挙げて説明したが、本発明はこれらには限定されず、他の構成の軌道舗装構造に緩衝部材を適用してもよい。例えば、図11で説明した総研形舗装板式踏切舗装構造に、上記した実施形態のゴムシュート40を適用することも可能である。この場合には、図11(B)に示す取付ボルト92を利用し、上記したPC鋼棒支持金具45A等に類似する金具を取付部材16に取り付け、このPC鋼棒支持金具によって第1PC鋼棒及び第2PC鋼棒を支持させ、これらのPC鋼棒に上記したゴムシュート40に類似する部材を取り付ける。
【0079】
上記した各実施形態は、適宜に組み合わせてもよい。すなわち、PC鋼棒支持金具(45A等)の形式と、ゴムシュート支持金具(50A等)、PC鋼棒継手部材(51A等)は、適宜に組み合わせ可能である。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、軌道の近傍に舗装部材が設置され道路の路面を構成する軌道舗装構造におけるレール側方の間隙を閉塞する構造であって、軌道舗装構造のいずれかの箇所に設置される棒状部材支持手段と、棒状部材支持手段に取付手段により取り付けられる第1棒状部材及び第2棒状部材と、ゴム系材料からなり略柱状体に形成されるとともに長手方向に貫通する第1収容孔及び第2収容孔と、略柱状体の外部と第1収容孔を連通する第1嵌挿用開口と、略柱状体の外部と第2収容孔を連通する第2嵌挿用開口と、薄肉部により囲まれ内部に形成される変形用空洞を有する緩衝部材を備えるように構成したので、設置・補修作業が容易で、列車走行時以外はレール側方を閉塞するバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造とすることができる、という利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造のレール付近の構成を示す第1の横断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造のレール付近の構成を示す第2の横断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるゴムシュートの構成を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるPC鋼棒支持金具の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造におけるゴムシュートの設置方法を説明する図である。
【図6】本発明の第1実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造における車輪フランジ通過時のゴムシュートの状態を説明する図である。
【図7】本発明の第2実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるPC鋼棒支持金具の構成を示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造における継手部の構成を示す図である。
【図9】本発明の第4実施形態であるバリアフリー型踏切舗装構造に用いるPC鋼棒支持金具の構成を示す図である。
【図10】従来の踏切舗装構造の一例である連接軌道の構成を示す図である。
【図11】従来の踏切舗装構造の他の例である踏切舗装板の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 内軌側踏切舗装板
2、3 外軌側踏切舗装板
4、5、6 ゴム受台
7 連結金具
15a、15b 保護部材
16 取付部材
16a 平板部
16b 斜面部
16c ストッパー
21 連接軌道板
21a、21b レール収容凹部
22、23 舗装ブロック
24 PC鋼棒
25 タイプレート
26 レールパッド
27 タイプレートパッド
28 クリップ部材
29 竹の子状バネ
30 ナット
31 取付ボルト
32 ゴムシュート
33 座金
34 コイルバネ
35 ナット
36 取付ボルト
37 ゴムシュート
38 クサビ
40 ゴムシュート
41 第1収容孔
42 第2収容孔
43A 第1PC鋼棒
44A 第2PC鋼棒
45A PC鋼棒支持金具
45A1 底板部
45A2 直立板部
45A3 補強板部
45A5 ボルト穴
45A6、45A7 挿通孔
45A8 上凸部
45A9 切欠部
45B PC鋼棒支持金具
45B1 底板部
45B2 直立板部
45B3 補強板部
45B5 ボルト穴
45B7、45B8 嵌合開口
45B9 切欠部
45D PC鋼棒支持金具
45D5 ボルト穴
45D6、45D7 挿通孔
46A、47A ナット
48A、48B 座金
50A ゴムシュート支持金具
50A1 底板部
50A2 直立板部
50A3 上板部
50A5 ボルト穴
51A PC鋼棒継手部材
51A1、51A2 円柱部
51A3 角柱部
51A4、51A5 雌ネジ孔
55 間隔保持部材
56 側板部
57 側板部
57a ボルト挿通孔
58 底板部
59 ボルト
60 座金
61 ナット
71 外軌板受部
71a ボルト孔
72 レール受部
73 内軌板受部
73a ボルト孔
73b 斜面部
73c 平面部
81 パッド
82、83 絶縁材
84 ゴムシュート
91、92 取付ボルト
93 ナット
94 竹の子状バネ
95 座金
B ゴムシュート底部
D1、D2 方向
F1〜F4 フランジウェイ
H 変形用空洞
P1〜P4 押し付け力
R1〜R4 レール
R5 本線レール
R6 ガードレール
S1 第1薄肉部
S2 第2薄肉部
S3 隅角部
T まくらぎ
V1 第1嵌挿用開口
V2 第2嵌挿用開口
W 車輪
W1 フランジ
Claims (12)
- 軌道の近傍に舗装部材が設置され道路の路面を構成する軌道舗装構造におけるレール側方の間隙を閉塞する構造であって、
前記軌道舗装構造のいずれかの箇所に設置される棒状部材支持手段と、
前記棒状部材支持手段に取付手段により取り付けられる第1棒状部材及び第2棒状部材と、
ゴム系材料からなり略柱状体に形成されるとともに長手方向に貫通する第1収容孔及び第2収容孔と、前記略柱状体の外部と前記第1収容孔を連通する第1嵌挿用開口と、前記略柱状体の外部と前記第2収容孔を連通する第2嵌挿用開口と、薄肉部により囲まれ内部に形成される変形用空洞を有する緩衝部材を備え、
前記第1棒状部材に前記第1嵌挿用開口を当てがって押し付けることにより前記第1収容孔の中に前記第1棒状部材を収容し、前記第1収容孔及び第1棒状部材の中心の回りに回転させることにより前記第2収容孔の中に前記第2棒状部材を収容し、前記略柱状体の長手方向軸がレールの長手方向と平行になるとともに前記薄肉部の上部が前記レールの頭部上面と略同一高さ位置となりかつ前記薄肉部の側部が前記レールの頭部側面付近となるように配置し、前記レールの上を走行する車輪のフランジからの押圧力を受けた場合には前記薄肉部が前記変形用空洞の内部に向かって変形し、前記レールの上を車輪が走行しない場合には前記レールの頭部側方付近に間隙が生じないようにほぼ閉塞すること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 請求項1記載のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、
前記第1棒状棒状部材及び前記第2棒状部材には、引張り力が付与されること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 請求項1記載のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、
前記舗装部材は、連接軌道板であること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 請求項3記載のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、
前記棒状部材支持手段は、前記連接軌道板のいずれかの箇所により支持されること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 請求項4記載のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、
前記棒状部材支持手段は、前記連接軌道板に設けられたレール収容凹部内に設置されるタイプレートにより支持されること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 請求項1記載のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、
前記舗装部材は、舗装板であること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 請求項6記載のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、
前記棒状部材支持手段は、前記舗装板のいずれかの箇所により支持されること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 請求項1記載のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、
前記舗装部材は、敷板であること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 請求項8記載のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、
前記棒状部材支持手段は、本線レールとガードレールとの間に設置される間隔保持部材により支持されること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 請求項1記載のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、
前記棒状部材支持手段どうしの中間位置に、前記緩衝部材を支持する緩衝部材支持手段が設置されること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 請求項1記載のバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造において、
前記第1棒状部材又は前記第2棒状部材を前記レールの長手方向につなぐ棒状部材接合手段と、
前記棒状部材接合手段を支持する継手部支持手段を備えること
を特徴とするバリアフリー型レール側方間隙閉塞構造。 - 軌道の近傍に舗装部材が設置され道路の路面を構成する軌道舗装構造におけるレール側方の間隙を閉塞する方法であって、
前記軌道舗装構造のいずれかの箇所に棒状部材支持手段を設置し、
前記棒状部材支持手段に取付手段により第1棒状部材及び第2棒状部材を取り付け、
ゴム系材料からなり略柱状体に形成されるとともに長手方向に貫通する第1収容孔及び第2収容孔と、前記略柱状体の外部と前記第1収容孔を連通する第1嵌挿用開口と、前記略柱状体の外部と前記第2収容孔を連通する第2嵌挿用開口と、薄肉部により囲まれ内部に形成される変形用空洞を有する緩衝部材を用い、
前記第1棒状部材に前記第1嵌挿用開口を当てがって押し付けることにより前記第1収容孔の中に前記第1棒状部材を収容し、前記第1収容孔及び第1棒状部材の中心の回りに回転させることにより前記第2収容孔の中に前記第2棒状部材を収容し、前記略柱状体の長手方向軸がレールの長手方向と平行になるとともに前記薄肉部の上部が前記レールの頭部上面と略同一高さ位置となりかつ前記薄肉部の側部が前記レールの頭部側面付近となるように配置し、前記レールの上を走行する車輪のフランジからの押圧力を受けた場合には前記薄肉部が前記変形用空洞の内部に向かって変形し、前記レールの上を車輪が走行しない場合には前記レールの頭部側方付近に間隙が生じないようにほぼ閉塞すること
を特徴とするレール側方の間隙閉塞方法。
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-
2002
- 2002-11-07 JP JP2002323357A patent/JP2004156318A/ja active Pending
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