JP2004155752A - ポリエンジアルデヒドモノアセタールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、C15又はC20ポリエンジアルデヒドモノアセタールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような片末端が保護されたポリエンのビルディングブロック(building block)は、C15ジアルデヒドビルディングブロックと適切に官能化されたC15又はC10ビルディングブロックとの一連の反応、或いはC20ジアルデヒドビルディングブロックと適切に官能化された異なるC10ビルディングブロックとの一連の反応を経由する、非対称(assymetric)構造を有する種々のC40カロテノイドの選択的合成のために大きな関心が寄せられている。非対称構造を有する前記C40カロテノイドとしては、例えば、カプサンチン及びクリプトカプシン(cryptocapsin)、並びにα−カロテン又はβ−クリプトキサンチンが含まれる。
【0003】
DE−A 2851051には、特定の反応条件下で2,6−ジメチルオクタ−2,4,6−トリエン−1,8−ジアールと適切なC5ビルディングブロックとを用いて、ウィッティヒ(Wittig)又はウィッティヒ−ホルナー(Wittig−Horner)オレフィン化により11−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2,4,6,8,10−ドデカペンタエナールを製造することが記載されている。しかしながら、この方法の不利な点は、使用する非対称C10ジアルデヒドが、工業的規模で慣用される合成原料(synthon)ではないということである。
【0004】
Synth. Met. 42, 1557 (1991) には、クロセチンジアールビスネオペンチル グリコールアセタールの部分加水分解による、クロセチンジアールモノネオペンチルグリコールアセタールの製造が記載されている。該モノアセタールはクロマトグラフィーにより精製される。この部分的アセタール開裂の選択性は通常は十分なものではなく、このことが上記方法を工業的方法には望ましくないものとしている。
【0005】
J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1977, 467 及び J. Chem. Soc. Perkin Trans1 (1988) 1383 には、エチレングリコールを用いるアルデヒドのアセタール化(acetalization)による11−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2,6−ジメチル−2,4,6,8,10−ドデカペンタエノエートの製造が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、工業的規模で実施可能であり、そしてC15及びC20ジアルデヒドモノアセタールを製造するための保護基について融通のきく方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、当該目的を、式Iの化合物:
【化18】
の製造方法であって、
a)式IIの化合物:
【化19】
を、式IIIの試薬:
【化20】
との反応により、式IVの化合物:
【化21】
に変換し、
b)適当であれば、式IVの化合物をアセタール基の加水分解及び式Vの試薬:
【化22】
との反応により、式VIの化合物:
【化23】
に変換し、
c)式IV又はVIの化合物を還元して式VIIの化合物:
【化24】
とし、
d)式VIIの化合物を酸化して式Iの化合物とする。
[式中、
R1及びR2は、それぞれ独立に、C1−C8−アルキル、又は、それらが結合している酸素原子及びそれらの間に位置する炭素原子と一緒になって、
【化25】
(式中、R3、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素又はC1−C4−アルキルである。)であり、
R6は、C1−C8−アルキルであり、
(P)(即ち、丸囲みのP)は、トリアリールホスホニウム(phosphonium)又はホスホン酸ジアルキルエステル基であり、及び、
kは、0又は1である。]
ことを含む前記製造方法、により達成できることを見出した。
【0008】
【発明の実施の形態】
開環アセタールの場合では、R1及びR2について述べたアルキル基は、直鎖又は分枝C1−C8−アルキル鎖であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル及びn−オクチルである。R1及びR2について好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル及び1−メチルエチルであり、特に好ましくは、メチル及びエチルである。
【0009】
R3〜R5について述べたアルキル基は、直鎖又は分枝C1−C4−アルキル鎖であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル及び1,1−ジメチルエチルである。R3〜R5について好ましい基は、水素又はメチルである。
【0010】
式IIの化合物は公知であり、例えば、p−トルエンスルホン酸触媒による2,7−ジメチルオクタ−2,4,6−トリエン−1,8−ジアールのアセタール化により得ることができる(Helv. Chim. Acta 1981, 64(7), 2469 参照)。式IIの化合物を製造するための好ましい方法は、先願DE 101 12 067.2に記載されている。この場合、3−メチル−2−ブテン−1,4−ジアールモノアセタールを上記式IIIの試薬と反応させ、得られたアセタールエステルをアルコールに還元し、次いで該アルコールを酸化して式IIの化合物とする。
【0011】
好ましくは、式IIaの化合物:
【化26】
[式中、R3及びR4は同一であり、水素又はメチルである。]
を使用する。
【0012】
本発明の方法の工程a)において、式IIの化合物を式IIIの試薬とウィッティヒ(Wittig)又はウィッティヒ−ホルナー(Wittig−Horner)反応により反応させる。
【0013】
【化27】
式III中の(P)(即ち、丸囲みのP)はトリアリールホスホニウム基 P(R8)3 +であってもよく、ここで、R8はホスフィン及びホスホニウム塩で通常存在する基(フェニル、トリル、ナフチル等)であり、これらは適当であれば置換されていてもよい。R8は好ましくはフェニルである。トリアリールホスホニウム基の陽電荷は、無機又は有機酸、好ましくは無機又は有機の強酸の等価アニオンX−(anion equivalent X−)により相殺されている。
【0014】
用語「強酸」は、ハロゲン化水素酸(特に、塩酸及び臭化水素酸)、硫酸、リン酸、スルホン酸、並びに同等の解離度を有する他の無機酸及び有機酸を包含する。本明細書では有機の強酸とは、C1−C6−アルカン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びカプロン酸等)をも意味する。
【0015】
塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸及び/又はスルホン酸のアニオンが特に好ましい。Cl−、Br−、及び1〜4炭素原子を有するアルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸のアニオンが極めて特に好ましい。
【0016】
あるいは、(P)(即ち、丸囲みのP)はホスホン酸ジアルキルエステル基PO(OR7)2(式中、R7はC1−C8−アルキルである。)である。本発明の方法の好ましい形態では、工程a)において式IIIaの試薬:
【化28】
[式中、R6は既に示した意味であり、R7はC1−C3−アルキルである。]
を使用する。
【0017】
式IIの化合物と式IIIの試薬との反応は、ウィッティヒ又はウィッティヒ−ホルナー反応の典型的な条件下で行なわれる(例えば、Carotenoids, Vol. 2“Synthesis”, 79頁以下;Birkhaeuser Verlag, 1996, 及びそれらに引用されている文献を参照のこと。)。
【0018】
例えば、IIと、(P)がトリアリールホスホニウム基である式IIIの化合物との縮合は、例えば、開環(open−chain)又は環状エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン若しくはテトラヒドロフラン等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム等)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン又はベンゼン等)、又は極性溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド若しくはアセトニトリル等)等の不活性有機溶媒中で行うことができる。好ましい溶媒はトルエン、テトラヒドロフラン及びジメチルスルホキシド、又はこれらの混合物である。
【0019】
塩基として、ウィッティヒ縮合に慣用の全ての塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;水素化ナトリウム又は水素化カリウム等のアルカリ金属の水素化物;又はナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコラート等を使用することができる。それに加えて好適な塩基は、例えば、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム等の有機リチウム化合物、又はリチウム、カリウム若しくはナトリウムアミド等のアルカリ金属アミド、リチウムジイソプロピルアミド、さらにはアルカリ金属ヘキサメチルジシラジド(disilazides)もである。
【0020】
X−がハライドアニオンの場合には、オキシラン類を潜在的な塩基として好都合に用いることもできる(Chem. Ber. 1974, 107, 2050 参照)。
【0021】
このウィッティヒ反応に好ましく用いられる塩基は、アルカリ金属アルコラートの対応するアルコール溶液又はオキシラン類(特に、1,2−エポキシブタン)であって、追加の溶媒を加えずに、又は上述の溶媒の一つと、若しくは低級アルカノールと混合したものである。
【0022】
使用する塩基の量は、使用するホスホニウム塩IIIのモル当り、通常0.8〜5モル、好ましくは1〜3モルの範囲である。
【0023】
ウィッティヒ−ホルナー反応の典型的な条件は、IIと(P)がホスホン酸ジアルキルエステル基である式IIIの化合物との反応に使用されるものと同様である。この場合も、好ましくは上述の不活性有機溶媒の一つを用い、使用する塩基は、好ましくはアルカリ金属アルコラートの対応するアルカノール溶液である。しかしながら、ウィッティヒ−ホルナー反応の場合では、追加的に上述したウィッティヒ反応のための塩基(オキシランは除く)を使用することも可能である。
【0024】
本発明の方法の工程b)は任意である。工程b)では、C15ビルディングブロックIVを5炭素原子拡大した式VIのC20ビルディングブロックに変換する。この目的のために、最初に式IVの化合物のアセタール基を加水分解してアルデヒド基とする。原則としてこのための適切な条件は、好ましくは酸触媒アセタール開裂のための当業者に公知の全ての条件であり、例えば、硫酸等の希釈鉱酸を用いる。アセタール基の加水分解をクエン酸で触媒させることが特に好適であることが分かった。クエン酸は、式IVの化合物に基づいて、便宜上5〜50mol%、好ましくは20〜30mol%の量が使用される。この加水分解は好ましくは水性媒体中、特には水とC1−C4−アルカノール(例えば、エタノール)等の水混和性(water−miscible)有機溶媒との混合物中で、0℃〜溶媒の沸点、好ましくは25〜55℃の温度で行なわれる。
【0025】
得られるエステルアルデヒドを、次いで式Vの試薬:
【化29】
[式中、R1、R2及び(P)は既に示した意味である。]
と反応させる。この反応は、典型的なウィッティヒ又はウィッティヒ−ホルナー反応の条件下で行なわれ、それに関しては上記に言及されている。
【0026】
式Vの化合物はそれ自体公知である。それらは、例えば、酢酸β−ホルミルクロチルから得られる。それらの製造は、例えば、Carotenoids, Vol. 2“Synthesis”, 115頁以下, Birkhaeuser Verlag, 1996 に記載されている。
【0027】
工程b)において、好ましくは式Vaの試薬:
【化30】
[式中、R1、R2、R8及びX−は既に示した意味である。]
が用いられる。
【0028】
本発明の方法の工程c)及びd)において、式IV又はVIの化合物のエステル基は2工程でアルデヒド基に変換される。
【0029】
この2段階変換は、エステルのアルデヒドへの直接変換よりもより有利であることが分かった。工程c)では、エステル基を最初に還元してアルコールとする。原則として、エステルのアルコールへの還元のための当業者に公知の全ての試薬を、この工程のために使用することが可能であり、好ましくは水素化試薬(例えば、水素化ホウ素アルカリ金属(alkali metal borohydrides)又は水素化アルミニウムアルカリ金属(alkali metal aluminum hydrides)である。
【0030】
工程c)の好ましい態様では、エステル基を水素化アルミニウムナトリウム化合物、特に好ましくはジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウムを使用して還元する。商業的に入手可能な、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウムの濃縮トルエン溶液(登録商標“Vitride”)が特に有利である。この試薬は発火性ではなく、酸素に敏感ではなく(GIT Fachz. Lab. 9/96, 914)、そして、例えば水素化アルミニウムリチウム等の固体の水素化錯体よりも、液体として工業的方法において遥かに扱いやすい。
【0031】
この反応は、好ましくは、式IV又はVIのエステルを水素化試薬に対して不活性の溶媒(芳香族炭化水素(例えばトルエン)、開環又は環状エーテル、グリコールエーテル、又はこれらの溶媒の混合物等)に導入し、そして還元剤を−20℃〜30℃、好ましくは−10℃〜10℃、特に好ましくは−5℃〜0℃の範囲の温度において量り入れるような方法で行なう。
【0032】
通常は、エステルの当量あたり少なくとも2当量の水素化物を使用する(すなわち、エステルのモル当り少なくとも0.5モルの水素化アルミニウムリチウム、又はエステルのモル当り少なくとも1.0モルのVitrideである)。しかしながら、完全な変換を達成するために、ある程度過剰の還元剤を使用することが有利である。この過剰分は10〜50mol%、好ましくは20〜30mol%の範囲である。
【0033】
本発明の方法の好ましい態様では、式IV又はVIのエステルをトルエン溶液のVitrideで還元してアルコールVIIとする。水による(aqueous)後処理により実質的に粗生成物が定量的に得られ、これは精製しなくとも次の段階d)に直接使用することができる。
【0034】
本発明の方法の工程d)において、式VIIの化合物の式Iの化合物への酸化に好適なのは、ポリエンアルコールのポリエンアルデヒドへの変換のための当業者に公知の酸化方法であり、これは、例えば、DE−A−3705785、DE−A−4440286、DE−A−4440287 及びEP−A−0 718 283に記載されている。しかしながら、本方法の経済的、環境的及び技術的な観点から触媒的方法が好ましいであろう。この目的のために使用できる触媒は、特に、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(tetrapropylammonium perruthenate)、塩化 トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(tris(triphenylphosphine)ruthenium(II) chloride)又は塩化 1,5−シクロオクタジエンルテニウム(II)(1,5−cyclooctadieneruthenium(II) chloride)等のルテニウム化合物を、補助酸化剤(co−oxidant)として少なくとも化学量論量の4−メチルモルホリン N−オキシドの存在下、2〜4mol%の量である(J. Chem. Soc. Chem, Commun. 1987, 1625 参照)。
【0035】
しかしながら、好ましくは、式VIIの化合物をN−オキシル(N−oxyl)基及び銅(I)化合物の存在下で酸素で酸化する。前記N−オキシル基は、窒素原子に対してα炭素原子上の全ての置換基が水素原子ではない第二級アミンから通常得られる。好適なN−オキシル基の例は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである。塩化銅(I)が銅(I)化合物として好ましい。VIIのIへの触媒的酸化は、さらに好ましくは、溶媒としてジメチルホルムアミド中で、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル/塩化銅(I)/ジメチルホルムアミド/酸素を含む混合物を用いて、又は4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル/塩化銅(I)/ジメチルホルムアミド/酸素を含む混合物を用いて行なわれる。この酸化のより詳細については、特にDE−A−3705785及びEP−A−0 718 283に見ることができる。
【0036】
本発明はさらに下記式の化合物:
【化31】
[式中、R1、R2、R6及びkは既に示した意味であり、そしてR1及びR2が、それらが結合している酸素原子及びそれらの間に位置する炭素原子と一緒になって、
【化32】
の場合、kが0及びR6がメチルならば、R5は水素ではない。]
に関する。
【0037】
好ましい化合物は、次式:
【化33】
[式中、R6はC1−C4−アルキル、並びにR3及びR4は同一であり、且つ水素又はメチルのいずれかである。]
を有する。
【0038】
本発明はさらに式VIIの化合物:
【化34】
[式中、R1、R2及びkは既に示した意味である。]
に関する。
【0039】
好ましい化合物は、次式:
【化35】
[式中、R3及びR4は同一であり、水素又はメチルである。]
を有する。
【0040】
本発明はさらに式Iの化合物:
【化36】
[式中、R1、R2及びkは既に示した意味であり、そしてR1及びR2が、それらが結合している酸素原子及びそれらの間に位置する炭素原子と一緒になって、
【化37】
の場合には、式中、R3及びR4は両者揃ってメチルとなることはない。]
に関する。
【0041】
【実施例】
本発明を以下の実施例により詳細に説明する。
【0042】
実施例1: 11−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6− ジメチル −2,4,6,8,10− ドデカペンタエナール
a)エチル 11−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6− ジメチル −2,4,6,8,10− ドデカペンタエノエート
2,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン−1,8−ジアール モノペンチルアセタール 62.6g(0.25mol)と、4−(ジエチルホスホノ)−2−メチル−2−ブテン酸エチル79.3g(0.30mol)とをジクロロメタン625mlに導入した。0℃において、ナトリウムエトキシド(0.33mol)の20%濃度のエタノール溶液112.3gを60分にわたって加えた。その混合物を0℃で1時間、次いで室温で24時間攪拌した。その後、10%濃度の酢酸水溶液100mlと濃食塩水(semiconcentrated brine)250mlとを該混合物に加えた。有機層を分離し、それぞれ250mlの濃食塩水及び水で1回ずつ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、次いで60℃で減圧下で濃縮した。
収量:赤茶色の粘稠なオイル 101.4g
同定のために、その粗生成物をイソブタノール600mlとトリエチルアミン5mlとの混合物に加熱して溶解させた。0℃に冷却して、0℃で2時間攪拌し、形成された結晶を濾取した。濾取物(filter cake)を冷イソブタノールで洗浄し、窒素気流下で乾燥した。結晶の収量:51.5g(理論値の57.2%)。融点118.5〜119℃。E1 1(CHCl3):2055(370nm)、1818(390nm)。
濾液を50℃で減圧下で濃縮した。赤茶色のオイル52.8gを得た。
【0043】
b) 11−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6− ジメチル −2,4,6,8,10− ドデカペンタエノール
工程a)からの結晶生成物27.05g(75mmol)をTHF300mlに溶解した。0℃において、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウムの70%濃度のトルエン溶液23.8gとトルエン300mlとを1時間にわたって加えた。0℃において反応混合物をヘキサン300mlで希釈した。濃食塩水300mlを0〜5℃で加えた。水層を分離し、各回300mlのトルエン/ヘキサン混合物(1:1vol/vol)を用いて2回抽出した。一緒にした有機層を濃食塩水300mlで1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣(28.8g)をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製した。標題の化合物を14.5g(理論値の61.4%)得た。同定のために、試料をジイソプロピルエーテルから結晶化させた。融点136〜137℃の黄色結晶を得た。E1 1(CHCl3):1096(333nm)、2668(350nm)、2495(339nm)。
【0044】
c) 11−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6− ジメチル −2,4,6,8,10− ドデカペンタエナール
工程b)からの生成物3.17gをジメチルホルムアミド12.5mlに溶解した。2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル79.7mg(0.5mmol)と塩化銅(I)51.03mg(0.5mmol)とを加えた。次いで、20〜25℃で酸素を3時間通気した。先と同量の両触媒を再度加え、20〜25℃で酸素をさらに1時間通気した。その反応混合物を濃食塩水及び酢酸エチルのそれぞれ50mlと混合した。水層を分離し、各回50mlの酢酸エチルで3回抽出した。一緒にした有機層を濃食塩水50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣(3.52g)をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル8:1)により精製した。標題の化合物を2.33g(理論値の73.7%)得た。同定のために、試料をジイソプロピルエーテルから再結晶した。融点139.5〜140℃、E1 1(CHCl3):2052(385nm)、1969(401nm)。
【0045】
実施例2: 15−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6,11− トリメチル −2,4,6,8,10,12,14− ヘキサデカヘプタエナール(クロセチンジアール モノネオペンチルグリコールアセタール)
a)エチル 11−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6− ジメチル −2,4,6,8,10− ドデカペンタエノエート
該化合物は実施例1、工程a)に記載のようにして製造した。蒸発処理(evaporate)した残渣をさらなる精製を行なうことなく次の工程b)に使用した。
【0046】
b)エチル 2,6,11− トリメチル −12− オキソ −2,4,6,8,10− ドデカペンタエノエート工程a)からの蒸発処理した残渣52.8gをエタノール440mlに溶解した。クエン酸一水和物6.16g(29.3mmol)の水(100ml)溶液を加え、この混合物を50℃で1時間加熱した。次いで、0℃に冷却し、0℃で24時間攪拌した。結晶を吸引ろ過し、各回50mlのエタノール/水混合物(8:2 vol/vol)で2回、そして50mlの温水で1回洗浄し、次いで真空オーブンで一定重量になるまで50℃で乾燥した。収量10.1g、融点120〜121℃。
【0047】
c)エチル 15−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6,11− トリメチル −2,4,6,8,10,12,14− ヘキサデカヘプタエノエート
工程b)からの生成物13.7g(50mmol)をジクロロメタン125mlに溶解した。3−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ブタ−2−エニルトリフェニルホスホニウム クロライド25.7g(55mmol)を加えた。0℃において、ナトリウムエトキシド(60mmol)の20%濃度のエタノール溶液20.4gを1時間にわたって加えた。その混合物を0℃で1時間攪拌し、次いで濃食塩水50mlを加えた。有機層を分離し、50mlの濃食塩水で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、20ミリバールまで下げて20℃でロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣(38.2g)をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/メチル t−ブチルエーテル4:1)により精製した。標題の化合物を19.9g(理論値の93.4%)得た。同定のために、該生成物を酢酸エチル100mlに加熱して溶解した。その温溶液にジイソプロピルエーテル50mlを加え、0℃まで冷却した後に、その混合物を1時間攪拌した。形成された結晶を濾取し、冷酢酸エチル/ジイソプロピルエーテル混合物(2:1 vol/vol)で洗浄し、窒素気流で乾燥した。収量:赤色結晶 8.9g。融点157.5〜158℃。E1 1(CHCl3):2495(423nm)、2243(448nm)。
【0048】
d) 15−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6,11− トリメチル −2,4,6,8,10,12,14− ヘキサデカヘプタエノール
工程c)からの生成物42.3gをテトラヒドロフラン400mlに溶解した。0℃において、ジヒドリドビス(2−メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウムの70%濃度のトルエン溶液31.8gとトルエン400mlとを1時間にわたって加え、該混合物を0℃で1時間攪拌した。その反応混合物をn−ヘキサン400mlで希釈し、15分にわたって濃食塩水400mlを加えた。水層を各回400mlのトルエン/ヘキサン混合物(1:1vol/vol)を用いて2回抽出した。一緒にした有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して、20ミリバールまで下げて50℃でロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製した。標題の化合物を20.12g(理論値の55.2%)得た。この生成物をこのまま(in this form)で次の工程e)に使用した。E1 1(CHCl3):1579(383nm)、2668(405nm)、2919(3430nm)。
【0049】
e)クロセチンジアール モノネオペンチルグリコールアセタール
工程d)からの生成物3.09gをジメチルホルムアミド11mlに溶解した。2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル64mg(0.4mmol)と塩化銅(I)41mg(0.4mmol)とを加えた。次いで、酸素を20〜25℃で3時間通気した。先と同量の両触媒を再度加え、酸素をさらに1時間通気した。その反応混合物を濃食塩水40ml及び酢酸エチル40mlと混合した。水層を分離し、40mlの酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製した。クロセチンジアルデヒド モノネオペンチルグリコールアセタールを1.3g(理論値の43%)得た。同定のために、試料を酢酸エチル/ジイソプロピルエーテルから再結晶した。融点183.5〜184℃、E1 1(CHCl3):2434(438nm)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、C15又はC20ポリエンジアルデヒドモノアセタールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
このような片末端が保護されたポリエンのビルディングブロック(building block)は、C15ジアルデヒドビルディングブロックと適切に官能化されたC15又はC10ビルディングブロックとの一連の反応、或いはC20ジアルデヒドビルディングブロックと適切に官能化された異なるC10ビルディングブロックとの一連の反応を経由する、非対称(assymetric)構造を有する種々のC40カロテノイドの選択的合成のために大きな関心が寄せられている。非対称構造を有する前記C40カロテノイドとしては、例えば、カプサンチン及びクリプトカプシン(cryptocapsin)、並びにα−カロテン又はβ−クリプトキサンチンが含まれる。
【0003】
DE−A 2851051には、特定の反応条件下で2,6−ジメチルオクタ−2,4,6−トリエン−1,8−ジアールと適切なC5ビルディングブロックとを用いて、ウィッティヒ(Wittig)又はウィッティヒ−ホルナー(Wittig−Horner)オレフィン化により11−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)−2,4,6,8,10−ドデカペンタエナールを製造することが記載されている。しかしながら、この方法の不利な点は、使用する非対称C10ジアルデヒドが、工業的規模で慣用される合成原料(synthon)ではないということである。
【0004】
Synth. Met. 42, 1557 (1991) には、クロセチンジアールビスネオペンチル グリコールアセタールの部分加水分解による、クロセチンジアールモノネオペンチルグリコールアセタールの製造が記載されている。該モノアセタールはクロマトグラフィーにより精製される。この部分的アセタール開裂の選択性は通常は十分なものではなく、このことが上記方法を工業的方法には望ましくないものとしている。
【0005】
J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1977, 467 及び J. Chem. Soc. Perkin Trans1 (1988) 1383 には、エチレングリコールを用いるアルデヒドのアセタール化(acetalization)による11−(1,3−ジオキソラン−2−イル)−2,6−ジメチル−2,4,6,8,10−ドデカペンタエノエートの製造が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、工業的規模で実施可能であり、そしてC15及びC20ジアルデヒドモノアセタールを製造するための保護基について融通のきく方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、当該目的を、式Iの化合物:
【化18】
の製造方法であって、
a)式IIの化合物:
【化19】
を、式IIIの試薬:
【化20】
との反応により、式IVの化合物:
【化21】
に変換し、
b)適当であれば、式IVの化合物をアセタール基の加水分解及び式Vの試薬:
【化22】
との反応により、式VIの化合物:
【化23】
に変換し、
c)式IV又はVIの化合物を還元して式VIIの化合物:
【化24】
とし、
d)式VIIの化合物を酸化して式Iの化合物とする。
[式中、
R1及びR2は、それぞれ独立に、C1−C8−アルキル、又は、それらが結合している酸素原子及びそれらの間に位置する炭素原子と一緒になって、
【化25】
(式中、R3、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素又はC1−C4−アルキルである。)であり、
R6は、C1−C8−アルキルであり、
(P)(即ち、丸囲みのP)は、トリアリールホスホニウム(phosphonium)又はホスホン酸ジアルキルエステル基であり、及び、
kは、0又は1である。]
ことを含む前記製造方法、により達成できることを見出した。
【0008】
【発明の実施の形態】
開環アセタールの場合では、R1及びR2について述べたアルキル基は、直鎖又は分枝C1−C8−アルキル鎖であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル、1,1−ジメチルエチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2,2−ジメチルプロピル、1−エチルプロピル、n−ヘキシル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,2−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、1,1,2−トリメチルプロピル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、n−ヘプチル及びn−オクチルである。R1及びR2について好ましいアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル及び1−メチルエチルであり、特に好ましくは、メチル及びエチルである。
【0009】
R3〜R5について述べたアルキル基は、直鎖又は分枝C1−C4−アルキル鎖であり、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル、n−ブチル、1−メチルプロピル、2−メチルプロピル及び1,1−ジメチルエチルである。R3〜R5について好ましい基は、水素又はメチルである。
【0010】
式IIの化合物は公知であり、例えば、p−トルエンスルホン酸触媒による2,7−ジメチルオクタ−2,4,6−トリエン−1,8−ジアールのアセタール化により得ることができる(Helv. Chim. Acta 1981, 64(7), 2469 参照)。式IIの化合物を製造するための好ましい方法は、先願DE 101 12 067.2に記載されている。この場合、3−メチル−2−ブテン−1,4−ジアールモノアセタールを上記式IIIの試薬と反応させ、得られたアセタールエステルをアルコールに還元し、次いで該アルコールを酸化して式IIの化合物とする。
【0011】
好ましくは、式IIaの化合物:
【化26】
[式中、R3及びR4は同一であり、水素又はメチルである。]
を使用する。
【0012】
本発明の方法の工程a)において、式IIの化合物を式IIIの試薬とウィッティヒ(Wittig)又はウィッティヒ−ホルナー(Wittig−Horner)反応により反応させる。
【0013】
【化27】
式III中の(P)(即ち、丸囲みのP)はトリアリールホスホニウム基 P(R8)3 +であってもよく、ここで、R8はホスフィン及びホスホニウム塩で通常存在する基(フェニル、トリル、ナフチル等)であり、これらは適当であれば置換されていてもよい。R8は好ましくはフェニルである。トリアリールホスホニウム基の陽電荷は、無機又は有機酸、好ましくは無機又は有機の強酸の等価アニオンX−(anion equivalent X−)により相殺されている。
【0014】
用語「強酸」は、ハロゲン化水素酸(特に、塩酸及び臭化水素酸)、硫酸、リン酸、スルホン酸、並びに同等の解離度を有する他の無機酸及び有機酸を包含する。本明細書では有機の強酸とは、C1−C6−アルカン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸及びカプロン酸等)をも意味する。
【0015】
塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸及び/又はスルホン酸のアニオンが特に好ましい。Cl−、Br−、及び1〜4炭素原子を有するアルカンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸又はトリフルオロメタンスルホン酸のアニオンが極めて特に好ましい。
【0016】
あるいは、(P)(即ち、丸囲みのP)はホスホン酸ジアルキルエステル基PO(OR7)2(式中、R7はC1−C8−アルキルである。)である。本発明の方法の好ましい形態では、工程a)において式IIIaの試薬:
【化28】
[式中、R6は既に示した意味であり、R7はC1−C3−アルキルである。]
を使用する。
【0017】
式IIの化合物と式IIIの試薬との反応は、ウィッティヒ又はウィッティヒ−ホルナー反応の典型的な条件下で行なわれる(例えば、Carotenoids, Vol. 2“Synthesis”, 79頁以下;Birkhaeuser Verlag, 1996, 及びそれらに引用されている文献を参照のこと。)。
【0018】
例えば、IIと、(P)がトリアリールホスホニウム基である式IIIの化合物との縮合は、例えば、開環(open−chain)又は環状エーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル tert−ブチルエーテル、1,4−ジオキサン若しくはテトラヒドロフラン等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム等)、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン又はベンゼン等)、又は極性溶媒(ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド若しくはアセトニトリル等)等の不活性有機溶媒中で行うことができる。好ましい溶媒はトルエン、テトラヒドロフラン及びジメチルスルホキシド、又はこれらの混合物である。
【0019】
塩基として、ウィッティヒ縮合に慣用の全ての塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;水素化ナトリウム又は水素化カリウム等のアルカリ金属の水素化物;又はナトリウムメトキシド又はナトリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコラート等を使用することができる。それに加えて好適な塩基は、例えば、n−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム等の有機リチウム化合物、又はリチウム、カリウム若しくはナトリウムアミド等のアルカリ金属アミド、リチウムジイソプロピルアミド、さらにはアルカリ金属ヘキサメチルジシラジド(disilazides)もである。
【0020】
X−がハライドアニオンの場合には、オキシラン類を潜在的な塩基として好都合に用いることもできる(Chem. Ber. 1974, 107, 2050 参照)。
【0021】
このウィッティヒ反応に好ましく用いられる塩基は、アルカリ金属アルコラートの対応するアルコール溶液又はオキシラン類(特に、1,2−エポキシブタン)であって、追加の溶媒を加えずに、又は上述の溶媒の一つと、若しくは低級アルカノールと混合したものである。
【0022】
使用する塩基の量は、使用するホスホニウム塩IIIのモル当り、通常0.8〜5モル、好ましくは1〜3モルの範囲である。
【0023】
ウィッティヒ−ホルナー反応の典型的な条件は、IIと(P)がホスホン酸ジアルキルエステル基である式IIIの化合物との反応に使用されるものと同様である。この場合も、好ましくは上述の不活性有機溶媒の一つを用い、使用する塩基は、好ましくはアルカリ金属アルコラートの対応するアルカノール溶液である。しかしながら、ウィッティヒ−ホルナー反応の場合では、追加的に上述したウィッティヒ反応のための塩基(オキシランは除く)を使用することも可能である。
【0024】
本発明の方法の工程b)は任意である。工程b)では、C15ビルディングブロックIVを5炭素原子拡大した式VIのC20ビルディングブロックに変換する。この目的のために、最初に式IVの化合物のアセタール基を加水分解してアルデヒド基とする。原則としてこのための適切な条件は、好ましくは酸触媒アセタール開裂のための当業者に公知の全ての条件であり、例えば、硫酸等の希釈鉱酸を用いる。アセタール基の加水分解をクエン酸で触媒させることが特に好適であることが分かった。クエン酸は、式IVの化合物に基づいて、便宜上5〜50mol%、好ましくは20〜30mol%の量が使用される。この加水分解は好ましくは水性媒体中、特には水とC1−C4−アルカノール(例えば、エタノール)等の水混和性(water−miscible)有機溶媒との混合物中で、0℃〜溶媒の沸点、好ましくは25〜55℃の温度で行なわれる。
【0025】
得られるエステルアルデヒドを、次いで式Vの試薬:
【化29】
[式中、R1、R2及び(P)は既に示した意味である。]
と反応させる。この反応は、典型的なウィッティヒ又はウィッティヒ−ホルナー反応の条件下で行なわれ、それに関しては上記に言及されている。
【0026】
式Vの化合物はそれ自体公知である。それらは、例えば、酢酸β−ホルミルクロチルから得られる。それらの製造は、例えば、Carotenoids, Vol. 2“Synthesis”, 115頁以下, Birkhaeuser Verlag, 1996 に記載されている。
【0027】
工程b)において、好ましくは式Vaの試薬:
【化30】
[式中、R1、R2、R8及びX−は既に示した意味である。]
が用いられる。
【0028】
本発明の方法の工程c)及びd)において、式IV又はVIの化合物のエステル基は2工程でアルデヒド基に変換される。
【0029】
この2段階変換は、エステルのアルデヒドへの直接変換よりもより有利であることが分かった。工程c)では、エステル基を最初に還元してアルコールとする。原則として、エステルのアルコールへの還元のための当業者に公知の全ての試薬を、この工程のために使用することが可能であり、好ましくは水素化試薬(例えば、水素化ホウ素アルカリ金属(alkali metal borohydrides)又は水素化アルミニウムアルカリ金属(alkali metal aluminum hydrides)である。
【0030】
工程c)の好ましい態様では、エステル基を水素化アルミニウムナトリウム化合物、特に好ましくはジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウムを使用して還元する。商業的に入手可能な、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウムの濃縮トルエン溶液(登録商標“Vitride”)が特に有利である。この試薬は発火性ではなく、酸素に敏感ではなく(GIT Fachz. Lab. 9/96, 914)、そして、例えば水素化アルミニウムリチウム等の固体の水素化錯体よりも、液体として工業的方法において遥かに扱いやすい。
【0031】
この反応は、好ましくは、式IV又はVIのエステルを水素化試薬に対して不活性の溶媒(芳香族炭化水素(例えばトルエン)、開環又は環状エーテル、グリコールエーテル、又はこれらの溶媒の混合物等)に導入し、そして還元剤を−20℃〜30℃、好ましくは−10℃〜10℃、特に好ましくは−5℃〜0℃の範囲の温度において量り入れるような方法で行なう。
【0032】
通常は、エステルの当量あたり少なくとも2当量の水素化物を使用する(すなわち、エステルのモル当り少なくとも0.5モルの水素化アルミニウムリチウム、又はエステルのモル当り少なくとも1.0モルのVitrideである)。しかしながら、完全な変換を達成するために、ある程度過剰の還元剤を使用することが有利である。この過剰分は10〜50mol%、好ましくは20〜30mol%の範囲である。
【0033】
本発明の方法の好ましい態様では、式IV又はVIのエステルをトルエン溶液のVitrideで還元してアルコールVIIとする。水による(aqueous)後処理により実質的に粗生成物が定量的に得られ、これは精製しなくとも次の段階d)に直接使用することができる。
【0034】
本発明の方法の工程d)において、式VIIの化合物の式Iの化合物への酸化に好適なのは、ポリエンアルコールのポリエンアルデヒドへの変換のための当業者に公知の酸化方法であり、これは、例えば、DE−A−3705785、DE−A−4440286、DE−A−4440287 及びEP−A−0 718 283に記載されている。しかしながら、本方法の経済的、環境的及び技術的な観点から触媒的方法が好ましいであろう。この目的のために使用できる触媒は、特に、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(tetrapropylammonium perruthenate)、塩化 トリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(II)(tris(triphenylphosphine)ruthenium(II) chloride)又は塩化 1,5−シクロオクタジエンルテニウム(II)(1,5−cyclooctadieneruthenium(II) chloride)等のルテニウム化合物を、補助酸化剤(co−oxidant)として少なくとも化学量論量の4−メチルモルホリン N−オキシドの存在下、2〜4mol%の量である(J. Chem. Soc. Chem, Commun. 1987, 1625 参照)。
【0035】
しかしながら、好ましくは、式VIIの化合物をN−オキシル(N−oxyl)基及び銅(I)化合物の存在下で酸素で酸化する。前記N−オキシル基は、窒素原子に対してα炭素原子上の全ての置換基が水素原子ではない第二級アミンから通常得られる。好適なN−オキシル基の例は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル及び4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである。塩化銅(I)が銅(I)化合物として好ましい。VIIのIへの触媒的酸化は、さらに好ましくは、溶媒としてジメチルホルムアミド中で、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル/塩化銅(I)/ジメチルホルムアミド/酸素を含む混合物を用いて、又は4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル/塩化銅(I)/ジメチルホルムアミド/酸素を含む混合物を用いて行なわれる。この酸化のより詳細については、特にDE−A−3705785及びEP−A−0 718 283に見ることができる。
【0036】
本発明はさらに下記式の化合物:
【化31】
[式中、R1、R2、R6及びkは既に示した意味であり、そしてR1及びR2が、それらが結合している酸素原子及びそれらの間に位置する炭素原子と一緒になって、
【化32】
の場合、kが0及びR6がメチルならば、R5は水素ではない。]
に関する。
【0037】
好ましい化合物は、次式:
【化33】
[式中、R6はC1−C4−アルキル、並びにR3及びR4は同一であり、且つ水素又はメチルのいずれかである。]
を有する。
【0038】
本発明はさらに式VIIの化合物:
【化34】
[式中、R1、R2及びkは既に示した意味である。]
に関する。
【0039】
好ましい化合物は、次式:
【化35】
[式中、R3及びR4は同一であり、水素又はメチルである。]
を有する。
【0040】
本発明はさらに式Iの化合物:
【化36】
[式中、R1、R2及びkは既に示した意味であり、そしてR1及びR2が、それらが結合している酸素原子及びそれらの間に位置する炭素原子と一緒になって、
【化37】
の場合には、式中、R3及びR4は両者揃ってメチルとなることはない。]
に関する。
【0041】
【実施例】
本発明を以下の実施例により詳細に説明する。
【0042】
実施例1: 11−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6− ジメチル −2,4,6,8,10− ドデカペンタエナール
a)エチル 11−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6− ジメチル −2,4,6,8,10− ドデカペンタエノエート
2,7−ジメチル−2,4,6−オクタトリエン−1,8−ジアール モノペンチルアセタール 62.6g(0.25mol)と、4−(ジエチルホスホノ)−2−メチル−2−ブテン酸エチル79.3g(0.30mol)とをジクロロメタン625mlに導入した。0℃において、ナトリウムエトキシド(0.33mol)の20%濃度のエタノール溶液112.3gを60分にわたって加えた。その混合物を0℃で1時間、次いで室温で24時間攪拌した。その後、10%濃度の酢酸水溶液100mlと濃食塩水(semiconcentrated brine)250mlとを該混合物に加えた。有機層を分離し、それぞれ250mlの濃食塩水及び水で1回ずつ洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、次いで60℃で減圧下で濃縮した。
収量:赤茶色の粘稠なオイル 101.4g
同定のために、その粗生成物をイソブタノール600mlとトリエチルアミン5mlとの混合物に加熱して溶解させた。0℃に冷却して、0℃で2時間攪拌し、形成された結晶を濾取した。濾取物(filter cake)を冷イソブタノールで洗浄し、窒素気流下で乾燥した。結晶の収量:51.5g(理論値の57.2%)。融点118.5〜119℃。E1 1(CHCl3):2055(370nm)、1818(390nm)。
濾液を50℃で減圧下で濃縮した。赤茶色のオイル52.8gを得た。
【0043】
b) 11−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6− ジメチル −2,4,6,8,10− ドデカペンタエノール
工程a)からの結晶生成物27.05g(75mmol)をTHF300mlに溶解した。0℃において、ジヒドロビス(2−メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウムの70%濃度のトルエン溶液23.8gとトルエン300mlとを1時間にわたって加えた。0℃において反応混合物をヘキサン300mlで希釈した。濃食塩水300mlを0〜5℃で加えた。水層を分離し、各回300mlのトルエン/ヘキサン混合物(1:1vol/vol)を用いて2回抽出した。一緒にした有機層を濃食塩水300mlで1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣(28.8g)をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製した。標題の化合物を14.5g(理論値の61.4%)得た。同定のために、試料をジイソプロピルエーテルから結晶化させた。融点136〜137℃の黄色結晶を得た。E1 1(CHCl3):1096(333nm)、2668(350nm)、2495(339nm)。
【0044】
c) 11−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6− ジメチル −2,4,6,8,10− ドデカペンタエナール
工程b)からの生成物3.17gをジメチルホルムアミド12.5mlに溶解した。2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル79.7mg(0.5mmol)と塩化銅(I)51.03mg(0.5mmol)とを加えた。次いで、20〜25℃で酸素を3時間通気した。先と同量の両触媒を再度加え、20〜25℃で酸素をさらに1時間通気した。その反応混合物を濃食塩水及び酢酸エチルのそれぞれ50mlと混合した。水層を分離し、各回50mlの酢酸エチルで3回抽出した。一緒にした有機層を濃食塩水50mlで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣(3.52g)をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル8:1)により精製した。標題の化合物を2.33g(理論値の73.7%)得た。同定のために、試料をジイソプロピルエーテルから再結晶した。融点139.5〜140℃、E1 1(CHCl3):2052(385nm)、1969(401nm)。
【0045】
実施例2: 15−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6,11− トリメチル −2,4,6,8,10,12,14− ヘキサデカヘプタエナール(クロセチンジアール モノネオペンチルグリコールアセタール)
a)エチル 11−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6− ジメチル −2,4,6,8,10− ドデカペンタエノエート
該化合物は実施例1、工程a)に記載のようにして製造した。蒸発処理(evaporate)した残渣をさらなる精製を行なうことなく次の工程b)に使用した。
【0046】
b)エチル 2,6,11− トリメチル −12− オキソ −2,4,6,8,10− ドデカペンタエノエート工程a)からの蒸発処理した残渣52.8gをエタノール440mlに溶解した。クエン酸一水和物6.16g(29.3mmol)の水(100ml)溶液を加え、この混合物を50℃で1時間加熱した。次いで、0℃に冷却し、0℃で24時間攪拌した。結晶を吸引ろ過し、各回50mlのエタノール/水混合物(8:2 vol/vol)で2回、そして50mlの温水で1回洗浄し、次いで真空オーブンで一定重量になるまで50℃で乾燥した。収量10.1g、融点120〜121℃。
【0047】
c)エチル 15−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6,11− トリメチル −2,4,6,8,10,12,14− ヘキサデカヘプタエノエート
工程b)からの生成物13.7g(50mmol)をジクロロメタン125mlに溶解した。3−(5,5−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−イル)ブタ−2−エニルトリフェニルホスホニウム クロライド25.7g(55mmol)を加えた。0℃において、ナトリウムエトキシド(60mmol)の20%濃度のエタノール溶液20.4gを1時間にわたって加えた。その混合物を0℃で1時間攪拌し、次いで濃食塩水50mlを加えた。有機層を分離し、50mlの濃食塩水で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥、20ミリバールまで下げて20℃でロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣(38.2g)をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/メチル t−ブチルエーテル4:1)により精製した。標題の化合物を19.9g(理論値の93.4%)得た。同定のために、該生成物を酢酸エチル100mlに加熱して溶解した。その温溶液にジイソプロピルエーテル50mlを加え、0℃まで冷却した後に、その混合物を1時間攪拌した。形成された結晶を濾取し、冷酢酸エチル/ジイソプロピルエーテル混合物(2:1 vol/vol)で洗浄し、窒素気流で乾燥した。収量:赤色結晶 8.9g。融点157.5〜158℃。E1 1(CHCl3):2495(423nm)、2243(448nm)。
【0048】
d) 15−(5,5− ジメチル −1,3− ジオキサン −2− イル )−2,6,11− トリメチル −2,4,6,8,10,12,14− ヘキサデカヘプタエノール
工程c)からの生成物42.3gをテトラヒドロフラン400mlに溶解した。0℃において、ジヒドリドビス(2−メトキシエトキシ)アルミン酸ナトリウムの70%濃度のトルエン溶液31.8gとトルエン400mlとを1時間にわたって加え、該混合物を0℃で1時間攪拌した。その反応混合物をn−ヘキサン400mlで希釈し、15分にわたって濃食塩水400mlを加えた。水層を各回400mlのトルエン/ヘキサン混合物(1:1vol/vol)を用いて2回抽出した。一緒にした有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して、20ミリバールまで下げて50℃でロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製した。標題の化合物を20.12g(理論値の55.2%)得た。この生成物をこのまま(in this form)で次の工程e)に使用した。E1 1(CHCl3):1579(383nm)、2668(405nm)、2919(3430nm)。
【0049】
e)クロセチンジアール モノネオペンチルグリコールアセタール
工程d)からの生成物3.09gをジメチルホルムアミド11mlに溶解した。2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル64mg(0.4mmol)と塩化銅(I)41mg(0.4mmol)とを加えた。次いで、酸素を20〜25℃で3時間通気した。先と同量の両触媒を再度加え、酸素をさらに1時間通気した。その反応混合物を濃食塩水40ml及び酢酸エチル40mlと混合した。水層を分離し、40mlの酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を硫酸ナトリウムで乾燥して、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル10:1)により精製した。クロセチンジアルデヒド モノネオペンチルグリコールアセタールを1.3g(理論値の43%)得た。同定のために、試料を酢酸エチル/ジイソプロピルエーテルから再結晶した。融点183.5〜184℃、E1 1(CHCl3):2434(438nm)。
Claims (10)
- 式Iの化合物:
a)式IIの化合物:
b)適当であれば、式IVの化合物をアセタール基の加水分解及び式Vの試薬:
c)式IV又はVIの化合物を還元して式VIIの化合物:
d)式VIIの化合物を酸化して式Iの化合物とする。
[式中、
R1及びR2は、それぞれ独立に、C1−C8−アルキル、又は、それらが結合している酸素原子及びそれらの間に位置する炭素原子と一緒になって、
R6は、C1−C8−アルキルであり、
(P)は、トリアリールホスホニウム又はホスホン酸ジアルキルエステル基であり、及び、
kは、0又は1である。]
ことを含む前記製造方法。 - 工程b)において、アセタール基の加水分解がクエン酸で触媒される請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 工程c)において、還元剤として水素化アルミニウムナトリウム化合物を用いる請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 工程d)において、式VIIの化合物を、N−オキシル基及び銅(I)化合物の存在下、酸素で酸化する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
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