JP2004155728A - 金属錯体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は遷移金属錯体の製造方法に関するものである。詳しくは、異なる配位子を併せ持つ、非対称な遷移金属錯体を形成する上で有効な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遷移金属錯体は、有機合成における触媒として有用であるほか、有機EL材料における燐光材料や医農薬においても非常に重要な化合物であり、最近ではナノテクノロジーの分野においても重要な構成単位として注目を集めている。
中でも、異なる配位子を併せ持つ非対称な金属錯体は、複数種の配位子由来の性能を併せ持つことが可能である等、有用な点が多いが、同じ種類の配位子のみを有する金属錯体と比べて、合成が困難であったり、収率が低かったりするのが一般的である。
【0003】
異なる配位子を有する、イリジウムもしくは白金などの高周期遷移金属錯体の合成法としては、一般的に2核錯体を経由する反応が知られている。例えば、特許文献1には、トリフルオロ酢酸銀等を試薬として用いる方法が記載されている。しかし、該試薬は高価であり、また吸湿性が高いため、取扱に注意が必要であり、工業上は好ましくない。また、炭酸ナトリウムを塩基として用いる方法も提案されているが(非特許文献1、特許文献2、非特許文献2)、この方法では、塩基が溶媒に溶けにくく不均一系の反応であるため、高温での反応が必要であり、また反応時間も長時間必要であった。
【0004】
さらに、最近では炭酸ナトリウムの代わりにナトリウムメトキシドなどの塩基を用いる方法も報告されているが(特許文献3)、塩基の取り扱いに注意が必要であることに変わりはなく、また配位子に官能基を持つ金属錯体を合成する場合には好ましくない。
【0005】
【特許文献1】WO 02/02714号公報
【特許文献2】WO 01/41512号公報
【特許文献3】特開2002−105055号公報
【非特許文献1】Inorg.Chem.,2001,40,1704−1711、
【非特許文献2】Inorg.Chem.,2002,41,3055−3066
【0006】
【発明が解決しようとする問題】
かかる事情に鑑み、本発明は、扱い難く高価な試薬や塩基などを用いることなく、種々の遷移金属錯体を簡便に高収率で得られる製造方法の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のアルカリ金属錯体もしくはアルカリ土類金属錯体を試薬として用いることにより、塩基を用いることなく種々の金属錯体を高収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記一般式(I)で表されるアルカリ金属錯体もしくはアルカリ土類金属錯体を原料として用いることを特徴とする、下記一般式(II)で表される金属錯体の製造方法に存する。
【0008】
【化4】
(式中、M1はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を表わす。nは配位子の数を表し、金属M1の価数に等しい。XおよびYは各々独立に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子のいずれかを表わす。)
【0009】
【化5】
(式中、M2は遷移金属元素を表わす。
n2は2座配位子の数を表し、{(M2の価数)−1}である。
Zは直接結合または2〜4価の連結基を表す。
Q1およびQ2は各々独立に、炭素原子もしくは窒素原子を表す。
W1〜W4は各々独立に水素原子または任意の置換基を表すか、あるいはW1とW2、W3とW4、およびW2とW3が各々独立に、相互に結合して、置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。)
【0010】
特に、前記一般式(II)で表される金属錯体の製造方法において、下記一般式(III)で表される金属錯体と、前記一般式(I)で表される金属錯体とを反応させることが好ましい。
【0011】
【化6】
(上記一般式(III)における、M2、n2、Z、Q1、Q2、およびW1〜W4は、一般式(II)におけると同義である。また一般式(III)において、Lはハロゲン原子を表す。)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について説明する。
本発明は、前記一般式(I)で表される金属錯体を用いることにより、塩基等を用いることなく、前記一般式(II)で表される金属錯体を合成できることを特徴とする。
【0013】
一般式(I)において、M1はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を表わす。中でも、ナトリウムまたはカリウムが好ましい。
nは配位子の数を表し、金属M1の価数に等しい。通常は1または2である。
XおよびYは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子のいずれかを表わす。好ましくは酸素原子、硫黄原子、または窒素原子であり、さらに好ましくはXおよびYがいずれも酸素原子であるか、あるいはXが窒素原子かつYが酸素原子の場合である。
一般式(I)で表される金属錯体として、特に好ましくは、下記一般式(IV)または(V)で表されるものである。
【0014】
【化7】
(式中、M1およびnは一般式(I)におけると同義である。
上記一般式(IV)において、環Aは置換基を有していてもよい含窒素複素環を表し、点線で表された窒素原子−炭素原子間の結合は、単結合または二重結合である。Dは酸素原子を表すか、あるいは環Aを構成する原子と結合し、置換基を有していてもよい環を形成する、炭素原子または窒素原子を表す。
【0015】
上記一般式(V)において、E、GおよびJは、各々独立に水素原子または任意の置換基を表す。なおEとJ、および/または、JとGが結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。)
上記一般式(V′)において、LおよびQは各々独立に、水素原子または任意の置換基を表す。
一般式(IV)における環Aとしては、芳香族環であることが好ましい。またDが環Aを構成する原子と結合して形成する環は、芳香族環および非芳香族環のいずれであってもよいが、好ましくは芳香族環である。
【0016】
一般式(IV)における環AおよびDとして、具体的には、例えば下記構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
【化8】
(上記構造中では記載を省略したが、環A、およびDと環Aが結合してなる環は、いずれも置換基を有していてもよい。)
一般式(V)におけるE、GおよびJに、特に制限はないが、好ましくは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、および置換基を有していてもよい芳香族複素環基から選択される。
【0018】
EとJ、JとGが結合して形成する環は、芳香族環・非芳香族環のいずれであってもよいが、好ましくは員数6の炭化水素環である。
一般式(V)におけるE、GおよびJとして、具体的には、例えば下記構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
【化9】
(記載を省略したが、上記構造中の水素原子は、いずれも任意の基で置換されていてもよい。)
一般式(V′)におけるLおよびQに、特に制限はないが、好ましくは各々独立に、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、および置換基を有していても良い芳香族複素環基から選択される。
一般式(V’)におけるLおよびQとして、具体的には、例えば下記構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
【化10】
(記載を省略したが、上記構造中の水素原子はいずれも任意の基で置換されていてもよい。)
一般式(IV)、(V)および(V′)における、
(a)環A、およびDと環Aが結合して形成された環、が有しうる置換基、
(b)E、GおよびJが、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基である場合の「置換基」、
(c)EとJ、JとGが結合して環を形成している場合に、該環が有しうる置換基
(d)LおよびQが、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基である場合の「置換基」
としては、特に制限はないが、例えば以下の基が挙げられる。
【0021】
ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)
置換基を有していても良いアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基であり、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアルキルアミノ基(好ましくは、置換基に炭素数1〜8のアルキル基を1つ以上有するものであり、たとえばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアリールアミノ基(たとえばジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いヘテロアリールアミノ基(たとえばピリジルアミノ基、チエニルアミノ基、ジチエニルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアミド基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数2〜9のアルキルアミド基であり、例えばアセタミド基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアルコキシ基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルコキシ基であり、たとえばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアリールオキシ基(好ましくは芳香族炭化水素基や複素環基を有するものであり、たとえばフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基であり、たとえばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアリールオキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数7〜13のアリールオキシカルボニル基であり、たとえばフェノキシカルボニル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアルキルカルボニル基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数2〜9のアルキルカルボニル基であり、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、バレリル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアリールカルボニル基(例えばベンゾイル基、ナフトイル基などが挙げられる。)
シアノ基
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基であり、たとえば、メチルチオ基、エチルチオ基などが含まれる。)
アリールチオ基(好ましくは炭素数1〜8のアリールチオ基であり、たとえば、フェニルチオ基、1―ナフチルチオ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いスルホニル基(たとえばメシル基、トシル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いシリル基(たとえばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いボリル基(たとえばジメシチルボリル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いホスフィノ基(たとえばジフェニルホスフィノ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良い芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基(好ましくは、5または6員環の、単環または2縮合環である、芳香族炭化水素環または芳香族複素環であり、例えばフェニル基、ナフチル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基などが挙げられる。)
上述の各置換基が「有していても良い置換基」としては、
アルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基でありたとえばメチル基、エチル基、2−プロピル基などが挙げられる。)
無置換あるいはアルキル基で置換された芳香族炭化水素基(たとえばフェニル基、トリル基、メシチル基などが挙げられる。)
ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)などが挙げられる。
【0022】
上記(a)〜(c)として好ましくは、ハロゲン原子、置換基を有していても良いアリールアミノ基、置換基を有していても良いアルキルカルボニル基、置換基を有していても良いアリールカルボニル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良いボリル基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、および置換基を有していても良い芳香族複素環基が挙げられる。
一般式(I)で表される金属錯体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0023】
【化11】
本発明により製造される化合物は、前記一般式(II)で表される金属錯体である。
一般式(II)において、M2は遷移金属元素を表し、好ましくはイリジウム、白金、パラジウム、金を表わす。
【0024】
n2は2座配位子の数を表し、{(M2の価数)−1}である。
Zは直接結合または2〜4価の連結基を表す。好ましくは直接結合、またはZ1およびZ2として後述する基が挙げられる。
Q1およびQ2は各々独立に炭素原子もしくは窒素原子を表す。
W1〜W4は各々独立に水素原子または任意の置換基を表すか、あるいはW1とW2、W3とW4、およびW2とW3が各々独立に、相互に結合して、置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。
【0025】
W1〜W4が各々独立に水素原子または任意の置換基を表す場合、好ましくは水素原子、アルキル基または芳香族炭化水素基を表す。
次に、W1とW2、W3とW4、およびW2とW3が各々独立に、相互に結合して、置換基を有していてもよい環を形成する場合について説明する。
前記一般式(II)および一般式(III)における下記配位子
【0026】
【化12】
としては、
1)W1とW2、およびW3とW4が、いずれも結合して環を形成している場合、または、
2)W1とW2、W3とW4、およびW2とW3が、いずれも結合して環を形成している場合、が好ましい。
上記配位子において、1)W1とW2、およびW3とW4が、いずれも結合して環を形成している場合、すなわち上記配位子が下記構造式(VI)
【0027】
【化13】
(式中、環aはW1とW2が結合して形成する環、環bはW3とW4が結合して形成する環を表す。Z1は直接結合または2価の連結基を表す。Q1およびQ2は一般式(I)におけると同義である。)で表される場合について説明する。
一般式(VI)において、環aとしては置換基を有していても良い、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基が好ましく、環bとしては置換基を有していても良い芳香族複素環基が好ましい。いずれも、好ましくは5員環または6員環の、単環または2〜3縮合環である。
【0028】
Z1は直接結合または2価の連結基を表し、2価の連結基としては、例えば−O−、−S−、−NH−、−CH2−、などが挙げられる。
中でも、中心金属への配位しやすさの点からは、直接結合が好ましい。
ところでヘテロ原子を含む5員環は、他の芳香族化合物や複素環の中でも反応性が高く、特に、ヘテロ原子のα−位は非常に反応活性が高い(たとえば求電子置換反応、プロトン化、ディールスアルダー反応などの反応性を示す。)。
【0029】
有機電界発光素子の材料として、配位子中に、ヘテロ原子のα−位が無置換である5員環を含む錯体化合物を使用すると、素子の安定性が低下したり、発光効率の本発明の低下や低寿命化の原因となる虞がある。よって、前記一般式(IV)における環aおよび/または環bが5員環の芳香族複素環である(またはこれを含む)場合には、ヘテロ原子のα−位へ置換基を導入することが好ましい。また、該α−位の基と、隣接する基が結合して該5員環に縮合する環を形成していても良い。
以下に環aおよび環bの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。また、これらは置換基を有していても良く、該置換基については後述する。
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】
これらのうち、環aとしては、好ましくは以下のようなものが挙げられ、環bとしては、好ましくは以下のようなものが挙げられ、これらは後述の置換基を有していても良い。
【0032】
【化16】
次に、2)W1とW2、W3とW4、およびW2とW3がいずれも結合して環を形成している場合、すなわち上記配位子が下記構造式(VII)
【0033】
【化17】
(式中、環cはW1とW2が結合して形成する環、環dはW2とW3が結合して形成する環、および環eはW3とW4が結合して形成する環を表す。Z2は直接結合または2〜4価の連結基を表す。Q1およびQ2は一般式(I)におけると同義である。)で表される場合について説明する。
【0034】
環cは、員数5または6の、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基であり、Mとσ結合した炭素原子を有していれば特に制限なく、任意の環を適用可能である。好ましい例としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、ピリジン環などが挙げられ、さらに錯体の安定性と、錯体合成の容易性の観点から、中でも、ベンゼン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環がより好ましく、ベンゼン環がもっとも好ましい。
【0035】
環eは、員数5〜8の含窒素複素環である。該環は、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であっても、該窒素原子の非共有電子対にてMに配位結合していれば特に制限はなく、任意の環を適用可能である。好ましい例としては、ピリジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピロール環、ピリダジン環、トリアジン環、ピリミジン環、ピラジン環等が挙げられる。
【0036】
錯体合成の容易性の観点からは、環eは非共役性電子対を有する窒素原子を1つだけ環員として含む環(中でも、ピリジン環、イミダゾール環)がより好ましく、特にピリジン環が好ましい。また、錯体の安定性の観点からは、環eは芳香族環であることが好ましく、電界発光を短波長化し、青色発光層を得る観点からは、環eは非芳香族環であることが好ましい。
前記一般式(I)において、Q1およびQ2は各々独立に、炭素原子または窒素原子を表す。環cと環eとを接合するべき−Z2−とは、直接結合または2〜4価の連結基であれば特に制限はないが、耐久性の観点から、好ましくは、直接結合、
【0037】
【化18】
などが挙げられる。−Z2−が連結基である場合の前記式(VII)で表される配位子の例としては、例えば下記構造が挙げられる。
【0038】
【化19】
(上記構造式中に含まれる各環は、いずれも置換されていてもよい。)
【0039】
中でも、後述する中心金属M2への配位しやすさの観点から、−Z2−としては直接結合が特に好ましい。
環dは、Q1−Z2結合および/またはZ2−Q2結合を含み、環cを構成する原子と環eを構成する原子を、直接結合または連結基で結合することにより形成される、員数5〜8の、単環または2縮合環からなる非芳香族環が好ましく、これを満たす限り任意の環が適用可能である。
【0040】
環c〜環eが有する置換基同士が結合して環を形成していてもよく、該環としては例えば、員数5または6の芳香族環の単環または2縮合環が挙げられ、好ましくはベンゼン環などの芳香族単環である。
また、上述の置換基同士が結合して形成する環は、環c〜eから選ばれた環1につき、複数個縮合していてもよい。
【0041】
さらに、環cまたは環eに縮合している環は、同時に隣接する環dにも縮合していて良い。環環c〜e、およびこれらに縮合してなる環は、錯体の溶解性を低下させないため、および色純度を低下させないためには、全体で5縮合環以下であることが好ましい。
環cと、環cが有する置換基同士が結合してなる環により形成される部位としては、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環などがより好ましく例示され、錯体の安定性、錯体合成の容易性、発光波長特性の観点から、ナフタレン環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環が特に好ましい。
【0042】
また環eと、環eが有する置換基同士が結合してなる環により形成される部位としては、インドール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、イミダゾピラゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、キノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環などがより好ましく例示され、錯体の安定性、錯体合成の容易性、発光波長特性の観点から、キノリン環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環が特に好ましい。
【0043】
環c〜eが有する置換基同士が結合してなる環は、任意の基で置換されていてもよく、該置換基としては、例えば環c〜eが有しうる基として前述した基が挙げられる。
構造式(VIII)で表される配位子の好ましい例を以下に記すが、本願はこれらに限定されるものではない。
【0044】
【化20】
【0045】
【化21】
【0046】
【化22】
(なお、上記具体例では記載を殆んど省略したが、環c〜環eに相当する部分、および環c〜eに縮合する環部分は、前述したように、いずれも任意の置換基を有していても良い。)
前記一般式(VI)における環aおよび環b、並びに一般式(VII)における環c、環d、環e、およびこれらの環が有する置換基同士が結合して形成する環は、任意の置換基を有しうる。該置換基に特に制限はなく、例えば前記一般式(IV)における環Aが有しうる基として挙げた基が、いずれも挙げられる。
一般式(II)で表される金属錯体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0047】
【化23】
【0048】
【化24】
【0049】
【化25】
【0050】
【化26】
【0051】
本発明の製造方法は、生成物である一般式(II)で表される化合物中に、塩基や酸に弱い官能基を有する場合に、特に好ましい。
前述のように、一般式(II)で表されるような、非対称な金属錯体化合物を合成する際に、従来法では、塩基を過剰量使用することが必要であったため、配位子が塩基に弱い官能基、たとえばエステル基、アミド基、などを有する場合には加水分解が生じる虞があり、またケイ素置換基やホウ素置換基などを有する場合には、塩基による求核攻撃により置換基が外れてしまう場合があった。
【0052】
また、トリフルオロ酢酸の銀塩を用いる方法では、トリフルオロ酢酸自体が配位してしまい、所望の化合物の収率が低下する虞がある。
従って本発明は、前記一般式(II)で表される金属錯体のうち、塩基や酸に弱い官能基、例えばエステル基、アミド基、シリル基、およびボリル基から選ばれた、少なくとも1つの基を有する金属錯体を製造する際に、特に好ましい。
【0053】
本発明は、前記一般式(II)で表される金属錯体を製造するに際し、原料として前記一般式(I)で表される金属錯体を使用する点が特徴であり、より好ましくは、下記一般式(II)で表される金属錯体の製造において、下記一般式(III)で表される金属錯体と、前記一般式(I)で表される金属錯体とを反応させることを特徴とする。
【0054】
【化27】
(上記一般式(III)における、M2、n2、Z、Q1、Q2、およびW1〜W4は、一般式(II)におけると同義である。また一般式(III)において、Lはハロゲン原子を表す。)
一般式(III)で表される金属錯体および一般式(I)で表される金属錯体から、一般式(II)で表される金属錯体への変換は、一般式(III)の金属錯体に対して一般式(I)の金属錯体を、通常は2.0〜10等量、好ましくは2.0〜8等量、さらに好ましくは2.0〜4等量を用いて行う。この時の反応溶媒は、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、2−イソプロピルエタノールなどのアルコール系溶媒やジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒を単独あるいは2種類以上併用して用いることが好ましい。また、溶媒の使用量は基質1モルに対して通常5〜50L使用される。
【0055】
反応は一般式(III)で表される2核錯体と一般式(I)で表されるアルカリ金属錯体又はアルカリ土類金属錯体とを反応容器に加え、溶媒を加えたのち、加熱環流することにより終結する。
反応温度の下限は、通常25℃程度、好ましくは60℃程度、より好ましくは80℃程度である。反応温度の上限は、通常250℃程度、好ましくは200℃程度、より好ましくは180℃程度である。反応時間は、昇温時間を含めて通常30分〜24時間、好ましくは30分〜12時間、さらに好ましくは30分〜8時間程度である。また、窒素雰囲気下、もしくはアルゴン雰囲気下で反応させることが望ましい。
【0056】
得られた一般式(II)の金属錯体(目的物)の単離は、反応溶媒としてハロゲン系溶媒を用いた場合には、反応溶液に水を加え、有機溶媒を用いて粗生成物を抽出し、減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー、もしくはGPCにより精製することにより行うことが出来る。
また、反応溶媒としてアルコール系溶媒を用いた場合には、反応溶液に水を加え、沈殿物をろ別回収し、シリカゲルクロマトグラフィー、もしくはGPCにより精製することにより行うことが出来る。
【0057】
上記抽出に用いられる溶媒としては、酢酸エチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン溶媒が用いられるが、特に好ましくは酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルムが用いられる。
なお、前記一般式(III)で表される2核錯体は、例えば下記の方法で合成することができる。
【0058】
【化28】
上記スキームにおけるM2、Z、Q1、Q2、W1〜W4およびLは、すべて一般式(III)におけると同義である。またMは一価のカチオンを表し、Xはハロゲン原子を表す。qはH2Oの数を表し、通常0〜10、好ましくは3〜5の整数である。Gは1価のカチオンを表す。
【0059】
一般式(VIII)で表される化合物は、市販品を用いるかあるいはJournalof Organic Chemistry,49,5237(1984)等を参考に合成することができる。
上記スキームにおける原料(M2X3・qH2O、G2M2X6、またはG3M2X6)から、一般式(III)の化合物への変換は、原料に対して一般式(VIII)の化合物を0.8〜20当量、好ましくは1.0〜10当量、さらに好ましくは1.0〜3.0当量用い、無溶媒または溶媒として水、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等)、スルホン系溶媒(スルホラン等)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、ウレイド系溶媒(テロラメチルウレア等)、エーテル系溶媒(ジオキサン、アニソール等)、アルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エタノール等)、炭化水素系溶媒(n−ドデカン、トルエン、キシレン等)あるいはハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン等)などを用いて行なうことができる。好ましくは、無溶媒または溶媒として水、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒を単独あるいは2種以上併用する場合であり、更に好ましくは無溶媒または溶媒としてグリセロール、エチレングリコールまたは2−メトキシエタノールを単独あるいは水と併用して用いる場合である。
【0060】
反応温度の下限は、通常25℃程度、好ましくは80℃程度、更に好ましくは100℃程度である。反応温度の上限は、通常300℃程度、好ましくは250℃程度、更に好ましくは200℃程度である。反応時間の下限は、通常5分程度、好ましくは10分程度、更に好ましくは30分程度である。反応時間の上限は、通常72時間程度、好ましくは6時間程度、更に好ましくは3時間程度である。反応は、窒素雰囲気下またはアルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0061】
また、加熱の代替手段としてマイクロウエーブ照射をおこなうことも好ましい。この場合、反応時間は15秒以上が好ましく、1分以上が更に好ましく、3分以上が特に好ましい。また反応時間の上限は2時間が好ましく、30分が更に好ましく、15分が特に好ましい。
これらの反応によって得られる生成物(前記一般式(III)で表される化合物)は、通常の合成反応の後処理に従って処理した後、精製してあるいは精製せずに供することができる。後処理の方法としては例えば、抽出、冷却、水または有機溶媒を添加することによる晶析、反応混合物から溶媒を留去する操作等を、単独あるいは組み合わせて行なうことができる。精製の方法としては再結晶、蒸留、昇華あるいはカラムクロマトグラフィ−等を単独あるいは組み合わせて行なう とができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
【0063】
【化29】
化合物0 1.48gと、IrCl3・3H2O 1gの混合物に、エトキシエタノール20ml、H2O 5mlを加え、窒素雰囲気下110℃で6時間環流を行った。沈殿物をろ過した後、メタノールで洗浄し、乾燥した。
得られた2核錯体 1 を520mgと、ナトリウムアセチルアセテート122mgとの混合物にジクロロエタン20mLを加え、窒素雰囲気下、8時間加熱環流をおこなった。室温(約25度)まで放冷したのち、水を加え、塩化メチレンで粗生成物を抽出し、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製をおこない、500mgの赤色結晶の金属錯体2を得た。収率は88%であった。質量分析結果により、目的物が得られていることを確認した。M/e:712。
[実施例2]
【0064】
【化30】
3塩化イリジウム3水和物(1mmol)と配位子3(2mmol)から、実施例1と同様に2核錯体4を合成したのち、得られた2核錯体4 1.1gと、ナトリウムアセチルアセテート305 mgとの混合物に、2−エトキシエタノール30mLを加え、窒素雰囲気下で2時間加熱環流をおこなった。室温(約25℃)まで放冷したのち、水を加え、得られた沈殿物をろ別回収し、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製をおこない、727mgのオレンジ色の金属錯体5を得た。収率は70%であった。質量分析結果より、目的物の生成を確認した。M/e:1046。
[実施例3]
【0065】
【化31】
カルバゾール(8.4g)、2−ブロモピリジン(9.5g)、酸化銅(II)(0.5g)、炭酸カリウム(9.2g)をピリジン(10ml)中、窒素気流下、加熱還流条件で23時間攪拌した。塩化メチレンで抽出、カラムにて精製し、目的物(化合物6)の淡黄色結晶(5.78g)を得た。化合物6の同定は、1H−NMRスペクトル測定により行った。
【0066】
【化32】
次に、得られた化合物6(1.077g)と、3塩化イリジウム・3水和物(0.705g)とを2−エトキシエタノール−水の3:1混合溶媒(20ml)中、窒素気流下、加熱還流条件で14時間攪拌した後、室温まで冷却し、1N塩酸(40ml)を加えた後、濾過し、1N塩酸(10ml×2回)、メタノール(20ml×2回)で洗浄後、乾燥して、2核錯体(1.386g)を得た。
【0067】
得られた二核錯体(1.386g)、アセチルアセトンNa塩(0.475g)を1,2−ジクロロエタン(30ml)と2−エトキシエタノール(40ml)の混合溶媒中、窒素気流下、加熱還流条件で15時間攪拌した後、室温まで冷却した。溶媒を留去後、メタノールに分散した後、濾過、洗浄した。得られた残さから塩化メチレンで抽出し、濾液を濃縮してカラムで精製し、目的物7の黄色結晶(0.086g)を得た。更に、残査を蒸留水200mlに分散し、超音波を8分間照射して無機成分を抽出後、濾過し、更に水(20ml×2回)、メタノール(20ml×3回)で洗浄、60度で減圧乾燥することによっても目的物7の黄色結晶(1.082g)を得た。DEI−MS測定結果により、目的物2(m/z 778(M+))であることを確認した。収率は77%であった。
実施例4
【0068】
【化33】
化合物A(0.85g)と、塩化イリジウム・3水和物(0.53g)とを2−エトキシエタノール−水−モノクロロベンゼンの9:3:8混合溶媒(25ml)中、窒素気流下、加熱還流条件で10時間攪拌した後、室温まで冷却し、1N塩酸(10ml)を加えた後、濾過し、水(20ml×1回)、メタノール(20ml×3回)で洗浄後、乾燥して、2核錯体(1.04g)を得た。
得られた二核錯体(1.04g)、ピコリン酸Na塩(0.40g)を2−エトキシエタノール(20ml)溶媒中、窒素気流下、80〜90℃で7時間攪拌した後、室温まで冷却した。メタノール(30ml)を加えてから濾過し、メタノールで洗浄した。これを70mlの塩化メチレンに溶解し、濾別した濾液をカラム精製し、目的物1(31mg)を得た。濾別した残査を300mlの熱水に分散して洗浄、濾別後、さらに塩化メチレン−ヘキサン−エタノールの混合溶媒(50ml)に分散、加熱洗浄した後、濾過、洗浄し、目的物1(499mg;合計530mg)を得た。収率は46%であった。
【0069】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、異なる配位子を有する遷移金属錯体、特にイリジウムや白金等の高周期遷移金属の錯体を、工業的に効率的に安価に製造することが出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は遷移金属錯体の製造方法に関するものである。詳しくは、異なる配位子を併せ持つ、非対称な遷移金属錯体を形成する上で有効な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遷移金属錯体は、有機合成における触媒として有用であるほか、有機EL材料における燐光材料や医農薬においても非常に重要な化合物であり、最近ではナノテクノロジーの分野においても重要な構成単位として注目を集めている。
中でも、異なる配位子を併せ持つ非対称な金属錯体は、複数種の配位子由来の性能を併せ持つことが可能である等、有用な点が多いが、同じ種類の配位子のみを有する金属錯体と比べて、合成が困難であったり、収率が低かったりするのが一般的である。
【0003】
異なる配位子を有する、イリジウムもしくは白金などの高周期遷移金属錯体の合成法としては、一般的に2核錯体を経由する反応が知られている。例えば、特許文献1には、トリフルオロ酢酸銀等を試薬として用いる方法が記載されている。しかし、該試薬は高価であり、また吸湿性が高いため、取扱に注意が必要であり、工業上は好ましくない。また、炭酸ナトリウムを塩基として用いる方法も提案されているが(非特許文献1、特許文献2、非特許文献2)、この方法では、塩基が溶媒に溶けにくく不均一系の反応であるため、高温での反応が必要であり、また反応時間も長時間必要であった。
【0004】
さらに、最近では炭酸ナトリウムの代わりにナトリウムメトキシドなどの塩基を用いる方法も報告されているが(特許文献3)、塩基の取り扱いに注意が必要であることに変わりはなく、また配位子に官能基を持つ金属錯体を合成する場合には好ましくない。
【0005】
【特許文献1】WO 02/02714号公報
【特許文献2】WO 01/41512号公報
【特許文献3】特開2002−105055号公報
【非特許文献1】Inorg.Chem.,2001,40,1704−1711、
【非特許文献2】Inorg.Chem.,2002,41,3055−3066
【0006】
【発明が解決しようとする問題】
かかる事情に鑑み、本発明は、扱い難く高価な試薬や塩基などを用いることなく、種々の遷移金属錯体を簡便に高収率で得られる製造方法の提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のアルカリ金属錯体もしくはアルカリ土類金属錯体を試薬として用いることにより、塩基を用いることなく種々の金属錯体を高収率で得られることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、下記一般式(I)で表されるアルカリ金属錯体もしくはアルカリ土類金属錯体を原料として用いることを特徴とする、下記一般式(II)で表される金属錯体の製造方法に存する。
【0008】
【化4】
(式中、M1はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を表わす。nは配位子の数を表し、金属M1の価数に等しい。XおよびYは各々独立に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子のいずれかを表わす。)
【0009】
【化5】
(式中、M2は遷移金属元素を表わす。
n2は2座配位子の数を表し、{(M2の価数)−1}である。
Zは直接結合または2〜4価の連結基を表す。
Q1およびQ2は各々独立に、炭素原子もしくは窒素原子を表す。
W1〜W4は各々独立に水素原子または任意の置換基を表すか、あるいはW1とW2、W3とW4、およびW2とW3が各々独立に、相互に結合して、置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。)
【0010】
特に、前記一般式(II)で表される金属錯体の製造方法において、下記一般式(III)で表される金属錯体と、前記一般式(I)で表される金属錯体とを反応させることが好ましい。
【0011】
【化6】
(上記一般式(III)における、M2、n2、Z、Q1、Q2、およびW1〜W4は、一般式(II)におけると同義である。また一般式(III)において、Lはハロゲン原子を表す。)
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について説明する。
本発明は、前記一般式(I)で表される金属錯体を用いることにより、塩基等を用いることなく、前記一般式(II)で表される金属錯体を合成できることを特徴とする。
【0013】
一般式(I)において、M1はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を表わす。中でも、ナトリウムまたはカリウムが好ましい。
nは配位子の数を表し、金属M1の価数に等しい。通常は1または2である。
XおよびYは、各々独立に、酸素原子、硫黄原子、窒素原子またはリン原子のいずれかを表わす。好ましくは酸素原子、硫黄原子、または窒素原子であり、さらに好ましくはXおよびYがいずれも酸素原子であるか、あるいはXが窒素原子かつYが酸素原子の場合である。
一般式(I)で表される金属錯体として、特に好ましくは、下記一般式(IV)または(V)で表されるものである。
【0014】
【化7】
(式中、M1およびnは一般式(I)におけると同義である。
上記一般式(IV)において、環Aは置換基を有していてもよい含窒素複素環を表し、点線で表された窒素原子−炭素原子間の結合は、単結合または二重結合である。Dは酸素原子を表すか、あるいは環Aを構成する原子と結合し、置換基を有していてもよい環を形成する、炭素原子または窒素原子を表す。
【0015】
上記一般式(V)において、E、GおよびJは、各々独立に水素原子または任意の置換基を表す。なおEとJ、および/または、JとGが結合して、置換基を有していてもよい環を形成していても良い。)
上記一般式(V′)において、LおよびQは各々独立に、水素原子または任意の置換基を表す。
一般式(IV)における環Aとしては、芳香族環であることが好ましい。またDが環Aを構成する原子と結合して形成する環は、芳香族環および非芳香族環のいずれであってもよいが、好ましくは芳香族環である。
【0016】
一般式(IV)における環AおよびDとして、具体的には、例えば下記構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
【化8】
(上記構造中では記載を省略したが、環A、およびDと環Aが結合してなる環は、いずれも置換基を有していてもよい。)
一般式(V)におけるE、GおよびJに、特に制限はないが、好ましくは各々独立に、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、および置換基を有していてもよい芳香族複素環基から選択される。
【0018】
EとJ、JとGが結合して形成する環は、芳香族環・非芳香族環のいずれであってもよいが、好ましくは員数6の炭化水素環である。
一般式(V)におけるE、GおよびJとして、具体的には、例えば下記構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
【化9】
(記載を省略したが、上記構造中の水素原子は、いずれも任意の基で置換されていてもよい。)
一般式(V′)におけるLおよびQに、特に制限はないが、好ましくは各々独立に、水素原子、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、および置換基を有していても良い芳香族複素環基から選択される。
一般式(V’)におけるLおよびQとして、具体的には、例えば下記構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
【化10】
(記載を省略したが、上記構造中の水素原子はいずれも任意の基で置換されていてもよい。)
一般式(IV)、(V)および(V′)における、
(a)環A、およびDと環Aが結合して形成された環、が有しうる置換基、
(b)E、GおよびJが、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族複素環基である場合の「置換基」、
(c)EとJ、JとGが結合して環を形成している場合に、該環が有しうる置換基
(d)LおよびQが、置換基を有していても良いアルキル基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、または置換基を有していても良い芳香族複素環基である場合の「置換基」
としては、特に制限はないが、例えば以下の基が挙げられる。
【0021】
ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子)
置換基を有していても良いアルキル基(好ましくは炭素数1〜8の直鎖または分岐のアルキル基であり、たとえばメチル基、エチル基、n−プロピル基、2−プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアルキルアミノ基(好ましくは、置換基に炭素数1〜8のアルキル基を1つ以上有するものであり、たとえばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアリールアミノ基(たとえばジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いヘテロアリールアミノ基(たとえばピリジルアミノ基、チエニルアミノ基、ジチエニルアミノ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアミド基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数2〜9のアルキルアミド基であり、例えばアセタミド基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアルコキシ基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルコキシ基であり、たとえばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアリールオキシ基(好ましくは芳香族炭化水素基や複素環基を有するものであり、たとえばフェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアルコキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数2〜9のアルコキシカルボニル基であり、たとえばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアリールオキシカルボニル基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数7〜13のアリールオキシカルボニル基であり、たとえばフェノキシカルボニル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアルキルカルボニル基(好ましくは置換基を有していても良い炭素数2〜9のアルキルカルボニル基であり、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、バレリル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いアリールカルボニル基(例えばベンゾイル基、ナフトイル基などが挙げられる。)
シアノ基
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜8のアルキルチオ基であり、たとえば、メチルチオ基、エチルチオ基などが含まれる。)
アリールチオ基(好ましくは炭素数1〜8のアリールチオ基であり、たとえば、フェニルチオ基、1―ナフチルチオ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いスルホニル基(たとえばメシル基、トシル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いシリル基(たとえばトリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いボリル基(たとえばジメシチルボリル基などが挙げられる。)
置換基を有していても良いホスフィノ基(たとえばジフェニルホスフィノ基などが挙げられる。)
置換基を有していても良い芳香族炭化水素環基または芳香族複素環基(好ましくは、5または6員環の、単環または2縮合環である、芳香族炭化水素環または芳香族複素環であり、例えばフェニル基、ナフチル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基などが挙げられる。)
上述の各置換基が「有していても良い置換基」としては、
アルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基でありたとえばメチル基、エチル基、2−プロピル基などが挙げられる。)
無置換あるいはアルキル基で置換された芳香族炭化水素基(たとえばフェニル基、トリル基、メシチル基などが挙げられる。)
ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子)などが挙げられる。
【0022】
上記(a)〜(c)として好ましくは、ハロゲン原子、置換基を有していても良いアリールアミノ基、置換基を有していても良いアルキルカルボニル基、置換基を有していても良いアリールカルボニル基、置換基を有していても良いシリル基、置換基を有していても良いボリル基、置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、および置換基を有していても良い芳香族複素環基が挙げられる。
一般式(I)で表される金属錯体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0023】
【化11】
本発明により製造される化合物は、前記一般式(II)で表される金属錯体である。
一般式(II)において、M2は遷移金属元素を表し、好ましくはイリジウム、白金、パラジウム、金を表わす。
【0024】
n2は2座配位子の数を表し、{(M2の価数)−1}である。
Zは直接結合または2〜4価の連結基を表す。好ましくは直接結合、またはZ1およびZ2として後述する基が挙げられる。
Q1およびQ2は各々独立に炭素原子もしくは窒素原子を表す。
W1〜W4は各々独立に水素原子または任意の置換基を表すか、あるいはW1とW2、W3とW4、およびW2とW3が各々独立に、相互に結合して、置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。
【0025】
W1〜W4が各々独立に水素原子または任意の置換基を表す場合、好ましくは水素原子、アルキル基または芳香族炭化水素基を表す。
次に、W1とW2、W3とW4、およびW2とW3が各々独立に、相互に結合して、置換基を有していてもよい環を形成する場合について説明する。
前記一般式(II)および一般式(III)における下記配位子
【0026】
【化12】
としては、
1)W1とW2、およびW3とW4が、いずれも結合して環を形成している場合、または、
2)W1とW2、W3とW4、およびW2とW3が、いずれも結合して環を形成している場合、が好ましい。
上記配位子において、1)W1とW2、およびW3とW4が、いずれも結合して環を形成している場合、すなわち上記配位子が下記構造式(VI)
【0027】
【化13】
(式中、環aはW1とW2が結合して形成する環、環bはW3とW4が結合して形成する環を表す。Z1は直接結合または2価の連結基を表す。Q1およびQ2は一般式(I)におけると同義である。)で表される場合について説明する。
一般式(VI)において、環aとしては置換基を有していても良い、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基が好ましく、環bとしては置換基を有していても良い芳香族複素環基が好ましい。いずれも、好ましくは5員環または6員環の、単環または2〜3縮合環である。
【0028】
Z1は直接結合または2価の連結基を表し、2価の連結基としては、例えば−O−、−S−、−NH−、−CH2−、などが挙げられる。
中でも、中心金属への配位しやすさの点からは、直接結合が好ましい。
ところでヘテロ原子を含む5員環は、他の芳香族化合物や複素環の中でも反応性が高く、特に、ヘテロ原子のα−位は非常に反応活性が高い(たとえば求電子置換反応、プロトン化、ディールスアルダー反応などの反応性を示す。)。
【0029】
有機電界発光素子の材料として、配位子中に、ヘテロ原子のα−位が無置換である5員環を含む錯体化合物を使用すると、素子の安定性が低下したり、発光効率の本発明の低下や低寿命化の原因となる虞がある。よって、前記一般式(IV)における環aおよび/または環bが5員環の芳香族複素環である(またはこれを含む)場合には、ヘテロ原子のα−位へ置換基を導入することが好ましい。また、該α−位の基と、隣接する基が結合して該5員環に縮合する環を形成していても良い。
以下に環aおよび環bの具体例を示すが、これらに限定されるものではない。また、これらは置換基を有していても良く、該置換基については後述する。
【0030】
【化14】
【0031】
【化15】
これらのうち、環aとしては、好ましくは以下のようなものが挙げられ、環bとしては、好ましくは以下のようなものが挙げられ、これらは後述の置換基を有していても良い。
【0032】
【化16】
次に、2)W1とW2、W3とW4、およびW2とW3がいずれも結合して環を形成している場合、すなわち上記配位子が下記構造式(VII)
【0033】
【化17】
(式中、環cはW1とW2が結合して形成する環、環dはW2とW3が結合して形成する環、および環eはW3とW4が結合して形成する環を表す。Z2は直接結合または2〜4価の連結基を表す。Q1およびQ2は一般式(I)におけると同義である。)で表される場合について説明する。
【0034】
環cは、員数5または6の、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基であり、Mとσ結合した炭素原子を有していれば特に制限なく、任意の環を適用可能である。好ましい例としては、ベンゼン環、フラン環、チオフェン環、セレノフェン環、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、ピリジン環などが挙げられ、さらに錯体の安定性と、錯体合成の容易性の観点から、中でも、ベンゼン環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環がより好ましく、ベンゼン環がもっとも好ましい。
【0035】
環eは、員数5〜8の含窒素複素環である。該環は、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であっても、該窒素原子の非共有電子対にてMに配位結合していれば特に制限はなく、任意の環を適用可能である。好ましい例としては、ピリジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、ピロール環、ピリダジン環、トリアジン環、ピリミジン環、ピラジン環等が挙げられる。
【0036】
錯体合成の容易性の観点からは、環eは非共役性電子対を有する窒素原子を1つだけ環員として含む環(中でも、ピリジン環、イミダゾール環)がより好ましく、特にピリジン環が好ましい。また、錯体の安定性の観点からは、環eは芳香族環であることが好ましく、電界発光を短波長化し、青色発光層を得る観点からは、環eは非芳香族環であることが好ましい。
前記一般式(I)において、Q1およびQ2は各々独立に、炭素原子または窒素原子を表す。環cと環eとを接合するべき−Z2−とは、直接結合または2〜4価の連結基であれば特に制限はないが、耐久性の観点から、好ましくは、直接結合、
【0037】
【化18】
などが挙げられる。−Z2−が連結基である場合の前記式(VII)で表される配位子の例としては、例えば下記構造が挙げられる。
【0038】
【化19】
(上記構造式中に含まれる各環は、いずれも置換されていてもよい。)
【0039】
中でも、後述する中心金属M2への配位しやすさの観点から、−Z2−としては直接結合が特に好ましい。
環dは、Q1−Z2結合および/またはZ2−Q2結合を含み、環cを構成する原子と環eを構成する原子を、直接結合または連結基で結合することにより形成される、員数5〜8の、単環または2縮合環からなる非芳香族環が好ましく、これを満たす限り任意の環が適用可能である。
【0040】
環c〜環eが有する置換基同士が結合して環を形成していてもよく、該環としては例えば、員数5または6の芳香族環の単環または2縮合環が挙げられ、好ましくはベンゼン環などの芳香族単環である。
また、上述の置換基同士が結合して形成する環は、環c〜eから選ばれた環1につき、複数個縮合していてもよい。
【0041】
さらに、環cまたは環eに縮合している環は、同時に隣接する環dにも縮合していて良い。環環c〜e、およびこれらに縮合してなる環は、錯体の溶解性を低下させないため、および色純度を低下させないためには、全体で5縮合環以下であることが好ましい。
環cと、環cが有する置換基同士が結合してなる環により形成される部位としては、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、チエノチオフェン環、フロピロール環、フロフラン環、チエノフラン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、キノリン環などがより好ましく例示され、錯体の安定性、錯体合成の容易性、発光波長特性の観点から、ナフタレン環、インドール環、カルバゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環が特に好ましい。
【0042】
また環eと、環eが有する置換基同士が結合してなる環により形成される部位としては、インドール環、ピロロイミダゾール環、ピロロピラゾール環、ピロロピロール環、チエノピロール環、イミダゾピラゾール環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、キノリン環、シノリン環、キノキサリン環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環、キナゾリン環、キナゾリノン環などがより好ましく例示され、錯体の安定性、錯体合成の容易性、発光波長特性の観点から、キノリン環、インドール環、ベンゾイミダゾール環、ペリミジン環が特に好ましい。
【0043】
環c〜eが有する置換基同士が結合してなる環は、任意の基で置換されていてもよく、該置換基としては、例えば環c〜eが有しうる基として前述した基が挙げられる。
構造式(VIII)で表される配位子の好ましい例を以下に記すが、本願はこれらに限定されるものではない。
【0044】
【化20】
【0045】
【化21】
【0046】
【化22】
(なお、上記具体例では記載を殆んど省略したが、環c〜環eに相当する部分、および環c〜eに縮合する環部分は、前述したように、いずれも任意の置換基を有していても良い。)
前記一般式(VI)における環aおよび環b、並びに一般式(VII)における環c、環d、環e、およびこれらの環が有する置換基同士が結合して形成する環は、任意の置換基を有しうる。該置換基に特に制限はなく、例えば前記一般式(IV)における環Aが有しうる基として挙げた基が、いずれも挙げられる。
一般式(II)で表される金属錯体の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0047】
【化23】
【0048】
【化24】
【0049】
【化25】
【0050】
【化26】
【0051】
本発明の製造方法は、生成物である一般式(II)で表される化合物中に、塩基や酸に弱い官能基を有する場合に、特に好ましい。
前述のように、一般式(II)で表されるような、非対称な金属錯体化合物を合成する際に、従来法では、塩基を過剰量使用することが必要であったため、配位子が塩基に弱い官能基、たとえばエステル基、アミド基、などを有する場合には加水分解が生じる虞があり、またケイ素置換基やホウ素置換基などを有する場合には、塩基による求核攻撃により置換基が外れてしまう場合があった。
【0052】
また、トリフルオロ酢酸の銀塩を用いる方法では、トリフルオロ酢酸自体が配位してしまい、所望の化合物の収率が低下する虞がある。
従って本発明は、前記一般式(II)で表される金属錯体のうち、塩基や酸に弱い官能基、例えばエステル基、アミド基、シリル基、およびボリル基から選ばれた、少なくとも1つの基を有する金属錯体を製造する際に、特に好ましい。
【0053】
本発明は、前記一般式(II)で表される金属錯体を製造するに際し、原料として前記一般式(I)で表される金属錯体を使用する点が特徴であり、より好ましくは、下記一般式(II)で表される金属錯体の製造において、下記一般式(III)で表される金属錯体と、前記一般式(I)で表される金属錯体とを反応させることを特徴とする。
【0054】
【化27】
(上記一般式(III)における、M2、n2、Z、Q1、Q2、およびW1〜W4は、一般式(II)におけると同義である。また一般式(III)において、Lはハロゲン原子を表す。)
一般式(III)で表される金属錯体および一般式(I)で表される金属錯体から、一般式(II)で表される金属錯体への変換は、一般式(III)の金属錯体に対して一般式(I)の金属錯体を、通常は2.0〜10等量、好ましくは2.0〜8等量、さらに好ましくは2.0〜4等量を用いて行う。この時の反応溶媒は、2−エトキシエタノール、2−メトキシエタノール、2−イソプロピルエタノールなどのアルコール系溶媒やジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン系溶媒を単独あるいは2種類以上併用して用いることが好ましい。また、溶媒の使用量は基質1モルに対して通常5〜50L使用される。
【0055】
反応は一般式(III)で表される2核錯体と一般式(I)で表されるアルカリ金属錯体又はアルカリ土類金属錯体とを反応容器に加え、溶媒を加えたのち、加熱環流することにより終結する。
反応温度の下限は、通常25℃程度、好ましくは60℃程度、より好ましくは80℃程度である。反応温度の上限は、通常250℃程度、好ましくは200℃程度、より好ましくは180℃程度である。反応時間は、昇温時間を含めて通常30分〜24時間、好ましくは30分〜12時間、さらに好ましくは30分〜8時間程度である。また、窒素雰囲気下、もしくはアルゴン雰囲気下で反応させることが望ましい。
【0056】
得られた一般式(II)の金属錯体(目的物)の単離は、反応溶媒としてハロゲン系溶媒を用いた場合には、反応溶液に水を加え、有機溶媒を用いて粗生成物を抽出し、減圧濃縮後、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー、もしくはGPCにより精製することにより行うことが出来る。
また、反応溶媒としてアルコール系溶媒を用いた場合には、反応溶液に水を加え、沈殿物をろ別回収し、シリカゲルクロマトグラフィー、もしくはGPCにより精製することにより行うことが出来る。
【0057】
上記抽出に用いられる溶媒としては、酢酸エチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン溶媒が用いられるが、特に好ましくは酢酸エチル、ベンゼン、トルエン、塩化メチレン、クロロホルムが用いられる。
なお、前記一般式(III)で表される2核錯体は、例えば下記の方法で合成することができる。
【0058】
【化28】
上記スキームにおけるM2、Z、Q1、Q2、W1〜W4およびLは、すべて一般式(III)におけると同義である。またMは一価のカチオンを表し、Xはハロゲン原子を表す。qはH2Oの数を表し、通常0〜10、好ましくは3〜5の整数である。Gは1価のカチオンを表す。
【0059】
一般式(VIII)で表される化合物は、市販品を用いるかあるいはJournalof Organic Chemistry,49,5237(1984)等を参考に合成することができる。
上記スキームにおける原料(M2X3・qH2O、G2M2X6、またはG3M2X6)から、一般式(III)の化合物への変換は、原料に対して一般式(VIII)の化合物を0.8〜20当量、好ましくは1.0〜10当量、さらに好ましくは1.0〜3.0当量用い、無溶媒または溶媒として水、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン等)、スルホン系溶媒(スルホラン等)、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、ウレイド系溶媒(テロラメチルウレア等)、エーテル系溶媒(ジオキサン、アニソール等)、アルコール系溶媒(グリセロール、エチレングリコール、2−メトキシエタノール、2−(2−ヒドロキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エタノール等)、炭化水素系溶媒(n−ドデカン、トルエン、キシレン等)あるいはハロゲン系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン等)などを用いて行なうことができる。好ましくは、無溶媒または溶媒として水、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒を単独あるいは2種以上併用する場合であり、更に好ましくは無溶媒または溶媒としてグリセロール、エチレングリコールまたは2−メトキシエタノールを単独あるいは水と併用して用いる場合である。
【0060】
反応温度の下限は、通常25℃程度、好ましくは80℃程度、更に好ましくは100℃程度である。反応温度の上限は、通常300℃程度、好ましくは250℃程度、更に好ましくは200℃程度である。反応時間の下限は、通常5分程度、好ましくは10分程度、更に好ましくは30分程度である。反応時間の上限は、通常72時間程度、好ましくは6時間程度、更に好ましくは3時間程度である。反応は、窒素雰囲気下またはアルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0061】
また、加熱の代替手段としてマイクロウエーブ照射をおこなうことも好ましい。この場合、反応時間は15秒以上が好ましく、1分以上が更に好ましく、3分以上が特に好ましい。また反応時間の上限は2時間が好ましく、30分が更に好ましく、15分が特に好ましい。
これらの反応によって得られる生成物(前記一般式(III)で表される化合物)は、通常の合成反応の後処理に従って処理した後、精製してあるいは精製せずに供することができる。後処理の方法としては例えば、抽出、冷却、水または有機溶媒を添加することによる晶析、反応混合物から溶媒を留去する操作等を、単独あるいは組み合わせて行なうことができる。精製の方法としては再結晶、蒸留、昇華あるいはカラムクロマトグラフィ−等を単独あるいは組み合わせて行なう とができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
【0063】
【化29】
化合物0 1.48gと、IrCl3・3H2O 1gの混合物に、エトキシエタノール20ml、H2O 5mlを加え、窒素雰囲気下110℃で6時間環流を行った。沈殿物をろ過した後、メタノールで洗浄し、乾燥した。
得られた2核錯体 1 を520mgと、ナトリウムアセチルアセテート122mgとの混合物にジクロロエタン20mLを加え、窒素雰囲気下、8時間加熱環流をおこなった。室温(約25度)まで放冷したのち、水を加え、塩化メチレンで粗生成物を抽出し、濃縮後、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製をおこない、500mgの赤色結晶の金属錯体2を得た。収率は88%であった。質量分析結果により、目的物が得られていることを確認した。M/e:712。
[実施例2]
【0064】
【化30】
3塩化イリジウム3水和物(1mmol)と配位子3(2mmol)から、実施例1と同様に2核錯体4を合成したのち、得られた2核錯体4 1.1gと、ナトリウムアセチルアセテート305 mgとの混合物に、2−エトキシエタノール30mLを加え、窒素雰囲気下で2時間加熱環流をおこなった。室温(約25℃)まで放冷したのち、水を加え、得られた沈殿物をろ別回収し、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製をおこない、727mgのオレンジ色の金属錯体5を得た。収率は70%であった。質量分析結果より、目的物の生成を確認した。M/e:1046。
[実施例3]
【0065】
【化31】
カルバゾール(8.4g)、2−ブロモピリジン(9.5g)、酸化銅(II)(0.5g)、炭酸カリウム(9.2g)をピリジン(10ml)中、窒素気流下、加熱還流条件で23時間攪拌した。塩化メチレンで抽出、カラムにて精製し、目的物(化合物6)の淡黄色結晶(5.78g)を得た。化合物6の同定は、1H−NMRスペクトル測定により行った。
【0066】
【化32】
次に、得られた化合物6(1.077g)と、3塩化イリジウム・3水和物(0.705g)とを2−エトキシエタノール−水の3:1混合溶媒(20ml)中、窒素気流下、加熱還流条件で14時間攪拌した後、室温まで冷却し、1N塩酸(40ml)を加えた後、濾過し、1N塩酸(10ml×2回)、メタノール(20ml×2回)で洗浄後、乾燥して、2核錯体(1.386g)を得た。
【0067】
得られた二核錯体(1.386g)、アセチルアセトンNa塩(0.475g)を1,2−ジクロロエタン(30ml)と2−エトキシエタノール(40ml)の混合溶媒中、窒素気流下、加熱還流条件で15時間攪拌した後、室温まで冷却した。溶媒を留去後、メタノールに分散した後、濾過、洗浄した。得られた残さから塩化メチレンで抽出し、濾液を濃縮してカラムで精製し、目的物7の黄色結晶(0.086g)を得た。更に、残査を蒸留水200mlに分散し、超音波を8分間照射して無機成分を抽出後、濾過し、更に水(20ml×2回)、メタノール(20ml×3回)で洗浄、60度で減圧乾燥することによっても目的物7の黄色結晶(1.082g)を得た。DEI−MS測定結果により、目的物2(m/z 778(M+))であることを確認した。収率は77%であった。
実施例4
【0068】
【化33】
化合物A(0.85g)と、塩化イリジウム・3水和物(0.53g)とを2−エトキシエタノール−水−モノクロロベンゼンの9:3:8混合溶媒(25ml)中、窒素気流下、加熱還流条件で10時間攪拌した後、室温まで冷却し、1N塩酸(10ml)を加えた後、濾過し、水(20ml×1回)、メタノール(20ml×3回)で洗浄後、乾燥して、2核錯体(1.04g)を得た。
得られた二核錯体(1.04g)、ピコリン酸Na塩(0.40g)を2−エトキシエタノール(20ml)溶媒中、窒素気流下、80〜90℃で7時間攪拌した後、室温まで冷却した。メタノール(30ml)を加えてから濾過し、メタノールで洗浄した。これを70mlの塩化メチレンに溶解し、濾別した濾液をカラム精製し、目的物1(31mg)を得た。濾別した残査を300mlの熱水に分散して洗浄、濾別後、さらに塩化メチレン−ヘキサン−エタノールの混合溶媒(50ml)に分散、加熱洗浄した後、濾過、洗浄し、目的物1(499mg;合計530mg)を得た。収率は46%であった。
【0069】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、異なる配位子を有する遷移金属錯体、特にイリジウムや白金等の高周期遷移金属の錯体を、工業的に効率的に安価に製造することが出来る。
Claims (2)
- 下記一般式(I)で表されるアルカリ金属錯体もしくはアルカリ土類金属錯体を原料として用いることを特徴とする、下記一般式(II)で表される金属錯体の製造方法。
n2は2座配位子の数を表し、{(M2の価数)−1}である。
Zは直接結合または2〜4価の連結基を表す。
Q1およびQ2は各々独立に、炭素原子もしくは窒素原子を表す。
W1〜W4は各々独立に水素原子または任意の置換基を表すか、あるいはW1とW2、W3とW4、およびW2とW3が各々独立に、相互に結合して、置換基を有していてもよい環を形成していてもよい。)
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