JP2004155674A - ヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体の製造方法、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体の製造方法及びペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】特定のフラーレンの金属錯体及び誘導体を、簡便に効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】フラーレン又はフラーレンの有機基付加体と、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させるヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体の製造方法、及び該反応をプロトン化試剤の存在下に行うヒドロアルキルフラーレン誘導体の製造方法、更にはヒドロアルキルフラーレン金属錯体と塩基及びアルキル化剤とを反応させるペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】フラーレン又はフラーレンの有機基付加体と、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させるヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体の製造方法、及び該反応をプロトン化試剤の存在下に行うヒドロアルキルフラーレン誘導体の製造方法、更にはヒドロアルキルフラーレン金属錯体と塩基及びアルキル化剤とを反応させるペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体の製造方法、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体の製造方法及びペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1990年にC60の大量合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。その結果、数多くのフラーレン誘導体が合成され、その多様な機能が明らかにされてきた。それに伴い、フラーレン誘導体を用いた電子伝導材料、半導体、生理活性物質等の各種用途開発が進められている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0003】
この様なフラーレン誘導体の具体例として、本発明者らは、フラーレン骨格に10個の有機基が結合したフラーレン化合物や、5個の有機基が結合したフラーレン化合物、及びこれらの化合物を配位子とする遷移金属錯体を種々合成し、報告してきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献3、非特許文献4及び非特許文献5参照)。
【0004】
【非特許文献1】
日本化学会編、季刊化学総説No.43、「炭素第三の同素体フラーレンの化学」、学会出版センター(1999)
【非特許文献2】
”Fullerenes: Chemistry, Physics, and Technology”, John Wiley & Sons (2000)
【特許文献1】
特開平10−167994号公報
【特許文献2】
特開平11−255509号公報
【特許文献3】
特開2002−241323号公報
【非特許文献3】
Journal of the American Chemical Society, 1996年, 118巻, 12850ページ
【非特許文献4】
Organic Letters, 2000年, 2巻, 1919ページ
【非特許文献5】
Chemistry Letters, 2000年, 1098ページ
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来公知の製造方法では、目的とする位置に水素原子を付加したフラーレン金属錯体及び誘導体を製造することは困難であった。
水素原子が付加したフラーレン金属錯体は、既に本発明者らが提案した5個の有機基が付加したフラーレン化合物等と異なり、立体的及び電子的に異なった性質を有することが期待される。例えば、水素原子が付加したフラーレン金属錯体は、フラーレン部位の立体的大きさが異なるため、種々の反応の触媒として活性を示すという点である。
【0006】
また、従来公知の製造方法では、複数の異なる有機基を比率及び位置を制御した形でペンタアルキルフラーレン金属錯体を合成することも困難であった。
本発明の製造方法は、ヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体及びヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体、更には、異なる有機基を付加することができるペンタアルキルフラーレン金属錯体を得ることができる新規な製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る発明は、フラーレンと、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させる、一般式CxH5MLn(式1)で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
(式1中、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表し、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
また、請求項2に係る発明は、一般式CxRp(式2)又は一般式CxRqH(式3)で表されるフラーレンの有機基付加体と、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させる、一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
【0008】
(式2、式3および式4中、p=2又は4、q=1又は3、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、mは1〜4の整数、また、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表す、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
更に、請求項3に係る発明は、フラーレン又は一般式CxRp(式2)もしくは一般式CxRqH(式3)で表されるフラーレンの有機基付加体と、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させる際に、プロトン化試剤の存在下で反応させる、一般式CxRsH(5−s)H(式5)で表されるヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体の製造方法に関する。
【0009】
(式2、式3及び式5中、pは2又は4、qは1又は3、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、sは0〜4の整数を表す。)
そして、請求項5に係る発明は、請求項2記載の一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体と塩基及びアルキル化剤R’Xとを反応させる、一般式CxRmR’(5−m)MLn(式6)で表されるペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
(式6中、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、R及びR’は、それぞれ炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、互いに同じでも異なっていてもよい、R’は使用するアルキル化剤のアルキル部位、Xはアルキル化剤の脱離基であり、mは1〜4の整数、また、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表す、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じも異なっていてもよい。)
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の発明は、フラーレンと、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させて、一般式CxH5MLn(式1)で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体を製造する方法に関する。
原料となるフラーレンの例としては、C60(いわゆるバックミンスター・フラーレン)、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びより高次の炭素クラスター骨格があげられる。この中で、C60、C70が工業的に入手容易であるため、本発明の原料として好ましく用いられる。
【0011】
本発明の化合物の製造の際に用いられる遷移金属前駆体は、5族〜10族、より好ましくは6〜8族、さらに好ましくは7族及び8族の錯体である。これらの内、低原子価の遷移金属錯体が還元性を有するので好ましい。具体的には0価、1価または2価のMn, Re, Fe, Ru, Osがあげられる。0価のRe及び、0価および1価のFeがより好ましい。
【0012】
遷移金属前駆体が有する配位子は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミド基、ハロゲン原子、3級ホスフィン、CO、3級アミン、オレフィン、η3−アリル、η5−シクロペンタジエニル、η6−ベンゼンなどがあげられる。具体的な好ましい遷移金属前駆体の例としては、Fe2(CO)9, Fe(CO)5, Re2(CO)10, Cr(CO)6などの遷移金属カルボニル錯体、[FeCp(CO)2]2及びそのCp環上の置換体等があげられる。
【0013】
遷移金属前駆体は、生成錯体中のMLn部位の供給源であり、この内、低原子価遷移金属錯体はフラーレンまたはフラーレンの有機基付加体の還元剤としても働く。また、遷移金属前駆体の量を減らし、代わりに他の還元剤を合わせて使用して行うこともできる。
還元剤の具体例としては、水素;1,3−ヘキサジエン、ジヒドロナフタレン、ジヒドロアントラセン、ジイミド、ヒドラジンなどの水素移動能を有する還元剤;トリフェニルホスフィンなどの3級ホスフィン類;ジメチルスルフィドなどのスルフィド類;ボラン、LiAlH4, NaBH4などの金属水素化物;Na, K. Caなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属単体などがあげられる。これらの内、水素移動能を有する還元剤が特に好ましく用いられる。
【0014】
遷移金属前駆体の量は、他の還元剤を用いずに行う場合には、フラーレン又は有機基付加フラーレンに対して過剰量用いる必要がある。通常フラーレンまたは有機基付加フラーレンに対する遷移金属原子のモル比で2.0〜50等量、好ましくは2.0〜20等量である。
還元剤を用いる場合の遷移金属前駆体の量は、フラーレン又は有機基付加フラーレンに対する遷移金属原子のモル比で1.0〜10等量、好ましくは1.0〜3.0等量である。
【0015】
また、還元剤を用いる場合の還元剤の量は、反応の対象となるフラーレン又はフラーレンの有機基付加体、用いる還元剤や遷移金属錯体の種類や量、反応条件により異なるが、通常フラーレンまたは有機基付加フラーレンに対してモル比で1〜100等量、好ましくは1〜50等量である。
本願の製造方法には、適当な溶媒を用いて製造するのが好ましい。反応溶媒としては、通常、ベンゼン、トルエン、キシレン類、トリメチルベンゼン類などの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、p−トルニトリル等の芳香族ニトリルなどが用いられる。特にベンゾニトリル、o−トルニトリルなどの芳香族ニトリルが好ましい。使用量は、用いる溶媒の種類により異なるが、通常、フラーレンまたは有機基付加フラーレン濃度として、1mmol/L〜100mmol/Lとなる量で用いられる。
【0016】
反応温度は、用いる遷移金属前駆体及び還元剤の種類により異なるが、通常、高温条件が好ましく、具体的には80〜250℃、好ましくは100〜200℃の範囲で行われる。温度が低すぎると十分な反応速度が得られず、温度が高すぎると生成物の分解が起こり、いずれも好ましくない。反応時間は、通常1時間〜10日間程度である。
【0017】
本願の第2の発明は、フラーレンの有機基付加体と、遷移金属前駆体又は遷移金属前駆体及び還元剤を反応させて、一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
原料となるフラーレンの有機付加体は、有機基の数が1〜4であり、具体的には、CxRH、 CxR2、CxR3H及びCxR4で表される化合物である。ここでフラーレン骨格Cxは、前記したペンタヒドロフラーレン金属錯体の製造方法に記載の物と同様な物が使用できる。
【0018】
有機基(R)の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基;エチニル基、メチルエチニル基、フェニルエチニル基などのアルキニル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、2−フルフリル基等の複素環基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基があげられる。これらはそれぞれ、1つ以上のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子などの置換基で置換されていてもよい。
【0019】
これらフラーレンの有機基付加体は、対応する骨格のフラーレンを原料として、公知の方法で製造が可能である。たとえば、C60(CH2SiMe3)Hは、Journal of Organic Chemistry,1994年,59巻,1246ページに、C60(CH2SiMe3)2は、Journalof Organic Chemistry,1994年,59巻,1246ページ及び特願2002−016143号に、C60(CH2SiMe3)3Hは、特願2002−016143号に、C70Ph3Hは特開平11−255508号公報及びJournal of the American Chemical Society,1998年,120巻,8285ページに、C60(CH2Ph)2PhHは、Organic Letters,2000年,2巻,1919ページに、それぞれ製造法が開示されている。
【0020】
ヒドロアルキルフラーレン金属錯体の製造方法における遷移金属前駆体、還元剤及び反応溶媒の種類や使用量、更には反応条件は、前記したペンタヒドロフラーレン金属錯体の製造方法に記載と同様な方法が採用できる。原料をフラーレンの有機基付加体とすると、原料中の有機基の付加位置及び付加数を保った有機基が付加したヒドロフラーレン金属錯体が製造できる。
【0021】
ペンタヒドロフラーレン金属錯体及びヒドロアルキルフラーレン金属錯体を遷移金属前駆体を使用して製造する際の具体的な反応例を以下の式7及び式8に示す(式中、Cpはシクロペンタジエニル基を、Phはフェニル基を表す)。
【0022】
【化1】
【0023】
また、遷移金属前駆体と還元剤とを両方使用して製造する際の具体的な反応例を以下の式9に示す(式中、Phはフェニル基を表す)。
【0024】
【化2】
【0025】
また、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体は、前記したヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体を製造する際に使用するフラーレン又はフラーレンの有機基付加体と遷移金属前駆体又は遷移金属前駆体と還元剤を溶媒中で反応させる際に、プロトン化試薬の存在下で行うことにより製造することができる。
プロトン化試薬としては、水、メタノールやエタノールなどのアルコール類、酢酸などのカルボン酸類などがあげられる。この内、特に水が好ましい。この場合、反応条件は、反応開始前にプロトン化試薬を反応系に加える他は、前記したヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体の製造方法と同様な方法が採用できる。プロトン化試薬の使用量は、通常、フラーレン又は有機基付加フラーレンに対して1〜100当量の範囲である。
【0026】
具体的な反応例を以下の式10に示す(式中Phはフェニル基を表し、この場合、生成物はシクロペンタジエン部位の水素原子の位置による、5種類の異性体の混合物となる)。
【0027】
【化3】
【0028】
これらの生成物は、例えば、結晶化やクロマトグラフィーなどの、有機化合物の一般的精製法で単離される。
本発明の製造方法により、一般式CxH5MLn(式1)で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体、一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体及び一般式CxRsH(5−s)H(式5)で表されるヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体が得られる。
【0029】
式1、式4及び式5中、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表し、mは1〜4の整数、sは0〜4の整数、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、またCx、R及びMLnは、前記した原料として用いたものに由来することになる。
【0030】
これらの具体例としては、以下の式11〜式18の構造のものが挙げられる(式中、Phはフェニル基を、Meはメチル基を表す。)
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】
次に、本発明の別の発明は、請求項2記載の一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体と塩基及びアルキル化剤R’Xとを反応させることにより、式4中の水素の位置にアルキル価剤のR’が置換した一般式CxRmR’(5−m)MLn(式6)で表されるペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法である。これにより、付加する有機基の異なる付加体を製造することができる。
【0034】
具体的な反応例を以下の式19に示す(式中Phはフェニル基を表す)。
【0035】
【化6】
【0036】
塩基としては、強塩基が好ましく、具体的にはKOH, NaOH, KOtBu, NaOMeなどのアルカリ金属化合物、NMe4OH, NBu4OHなどの水酸化4級アンモニウムなどが用いられる。原料錯体が有する水素原子の数にもよるが、通常、原料に対してモル比で1等量〜10等量、好ましくは1.5等量〜5等量の範囲で用いられる。
アルキル化剤は、一般式R’Xで表される化合物である。R’は、アルキル化剤のアルキル基部分であり、通常、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、それぞれ置換基を有していてもよい。
また、Xは脱離基であり、具体的には、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子、−OSO2CF3、−OSO2CH3−、−OSO2C6H5などのスルホン酸基、−OCOCH3、−OCOC6H5などのカルボン酸基等があげられる。具体的なアルキル化剤の例としては、MeI、C4H7OSO2CF3、C6H5CH2Br等があげられる。原料錯体が有する水素原子の数にもよるが、通常、原料錯体に対して過剰量、具体的には10〜100等量程度用いられる。
【0037】
反応溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン類、トリメチルベンゼン類などの芳香族炭化水素;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテルなどのエーテル類;ベンゾニトリル等の芳香族ニトリルなどがあげられる。使用量は、原料の種類と用いる溶媒の種類により異なるが、通常、原料錯体の濃度として、1mmol/L〜100mmol/Lとなる量で用いられる。
【0038】
反応の方法は、はじめに原料錯体を溶媒に溶解またはスラリー化した後、塩基を加える。数分〜1時間程度攪拌した後、アルキル化剤を加え、数分〜10時間程度攪拌することで反応を行う。通常、反応は室温〜50℃で行われる。生成物は、通常の有機化合物の精製方法、例えばクロマトグラフィーや結晶化等によって単離される。
【0039】
本発明の製造方法により得られたヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体及びペンタアルキルフラーレン金属錯体は、医薬原料、電子材料などの用途が期待される。また、種々のフラーレン金属錯体及びフラーレン誘導体を合成する際の中間原料としても有用である。
【0040】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により限定されるものではない。
実施例1: C60H5−FeCpの合成 (Cp = C5H5)
シュレンク管中、C60(19.9 mg, 27.6 μmol)と[FeCp(CO)2]2(51.7 mg, 146μmol)のベンゾニトリル(2 ml)懸濁液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この懸濁液を窒素気流下160 ℃で22時間加熱した後,反応液をトルエン/2−プロパノール=7/3の混合溶媒(8 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いて液体クロマトグラフィー(HPLC)により錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約23 min)。分取した液を減圧下濃縮し,得られた固体を真空乾燥することで目的物を茶色の固体として5.9mg(収率25%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0041】
【化7】
【0042】
1H NMR (CS2, 400 MHz) δ 4.94 (s, 5H, Cp ring), 5.42 (s, 5H, C60H); 13CNMR (CS2, 100 MHz) δ 45.39 (d, 1JCH = 143 Hz, 5C), 71.11 (5C), 85.32 (5C), 143.91 (10C), 145.68 (10C), 147.13 (5C), 148.48 (10C), 148.50 (5C),151.85 (10C); APCI−MS (−): m/z = 845 [(M−1)−].
【0043】
実施例2: C60H5−Fe(CH3C5H4)の合成
シュレンク管中、C60(19.5 mg, 27.1 μmol)と[Fe(CH3C5H4)(CO)2]2(54.1 mg, 142 μmol)のベンゾニトリル(2 ml)懸濁液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この懸濁液を窒素気流下160 ℃で2日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール=7/3の混合溶媒(18 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約14 min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を茶色の固体として3.1mg(収率13%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0044】
【化8】
【0045】
1H NMR (CS2, 400 MHz) δ 2.67 (s, 3H, CH3), 4.78 (dd, J = 1.8, 1.8 Hz,2H, Cp ring), 4.81 (dd, J = 1.8, 1.8 Hz, 2H, Cp ring), 5.37 (s, 5H, C60H); 13C NMR (CS2, 100 MHz) δ 44.90 (5C), 70.72 (2C), 71.76 (2C), 85.46 (5C), 143.91 (10C), 145.74 (10C), 148.46 (10C), 148.50 (5C), 151.90 (10C+5C); APCI−MS (−): m/z = 860 (M−).
【0046】
実施例3: C60H5−Fe[(1,3−Me3Si)2C5H3]の合成
シュレンク管中、C60(21.0 mg, 29.1 μmol)と[Fe[(1,3−Me3Si)2C5H3](CO)2]2(94.0 mg, 146 μmol)のベンゾニトリル(2 ml)懸濁液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この懸濁液を窒素気流下160 ℃で3日間半加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール=7/3の混合溶媒(8 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約7 min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を茶色の固体として3.5mg(収率12%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0047】
【化9】
【0048】
1H NMR (CS2, 400 MHz) δ 0.86 (s, 18H, SiMe3), 4.71 (s, 1H, Cp ring), 4.94 (s, 2H, Cp ring), 5.36 (s, 5H, C60H); 13C NMR (CS2, 100 MHz) δ 0.78 (6C), 45.36 (d, 1JCH = 142 Hz, 5C), 85.24 (5C), 143.94 (10C), 145.58 (10C), 148.51 (10C+5C), 151.54 (10C+5C); APCI−MS (−): m/z = 990 (M−).
【0049】
実施例4: C60(CH2Ph)H4−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)H(21.0 mg, 29.1 μmol)とRe2(CO)10(42.2 mg,64.7 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(455 mg, 2.52 mmol)、そしてベンゾニトリル(2 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下で160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール=7/3の混合溶媒(8 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約12min)。分液した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として11.4mg(収率42%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0050】
【化10】
式23中、Bnはベンジル基を表わす。
【0051】
IR (powder, ν/cm−1) 3027 (vw), 2911 (vw), 2020 (s), 1922 (s), 1494 (w), 1456 (w), 1421 (w), 1287 (w), 1214 (w), 1179 (w), 1109 (w), 1078 (w),1031 (w), 1013 (w), 749 (w),733 (w), 698 (m), 685 (w); 1H NMR (CS2/CDCl3 = 5/1, 400 MHz) δ3.63 (s, 2H, PhCH2), 5.22 (s, 2H+2H, C60H), 7.14−7.22 (m, 5H, Ph); 13C NMR (CS2/CDCl3 = 5/1, 100 MHz) δ44.19 (d, 1JCH = 145Hz, 2C), 44.56 (d, 1JCH = 145 Hz, 2C), 51.84 (t, 1JCH = 131 Hz,1C), 55.77 (2C), 100.05 (2C), 105.24 (2C), 108.27 (1C), 126.97 (1C), 127.87 (2C), 130.11 (2C), 135.52 (1C), 143.00 (2C), 143.43 (2C), 143.65 (2C), 143.73 (2C), 143.76 (2C), 144.09 (2C), 144.63 (2C), 144.89 (2C), 144.90 (2C+2C), 146.31 (1C), 146.32 (2C), 146.36 (2C), 147.61 (2C), 147.68 (2C+2C), 147.79 (2C+2C), 148.08 (2C), 148.15 (2C), 148.17 (1C), 148.18 (2C), 148.95 (2C), 148.97 (2C), 149.03 (2C), 151.55 (2C) (二硫化炭素由来の強い信号との重なりのため、CO配位子由来の信号は同定できなかった。); APCI−MS (−): m/z = 1086 (M−).
【0052】
実施例5: C60(CH2Ph)2H3−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(30.8 mg, 34.1μmol)とRe2(CO)10(58.2 mg,89.2 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(613 mg, 3.40 mmol)、そしてベンゾニトリル(3 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール = 7/3の混合溶媒(17 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20ml/min、滞留時間 = 約12min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として22.2mg(収率55%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0053】
【化11】
式24中、Bnはベンジル基を表わす。
【0054】
IR (powder, ν/cm−1) 3027 (vw), 2911 (vw), 2020 (s), 1924 (s), 1494 (w), 1454 (w), 1429 (w), 1287 (w), 1215 (w), 1179 (w), 1109 (w), 1077 (w),1029 (w), 748 (m), 738 (m), 729 (m), 698 (s), 675 (m); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.70 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 3.75 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 5.27 (s, 2H+1H, C60H), 7.14−7.22 (m, 10H, Ph); 13C NMR (CS2/CDCl3= 5/1, 100 MHz) δ 44.16 (d, 1JCH = 144 Hz, 2C), 44.47 (d, 1J CH = 145 Hz, 1C), 51.73 (t, 1JCH = 132 Hz, 2C), 55.90 (2C), 98.33 (1C), 102.37 (2C), 111.56 (2C), 127.05 (2C), 127.94 (4C), 130.14 (4C), 135.54 (2C), 142.67 (2C), 142.91 (2C), 143.41 (2C), 143.63 (2C), 143.76 (2C), 143.78 (2C), 144.05 (2C), 144.71 (2C), 144.90 (2C), 144.92 (2C), 146.20 (2C), 146.28 (2C), 146.33 (1C), 147.42 (2C), 147.50 (2C), 147.59 (2C), 147.62 (2C), 147.63 (2C), 147.78 (2C), 148.09 (1C), 148.10 (2C), 148.13 (2C), 148.75 (2C), 148.87 (2C), 150.79 (2C), 150.92 (2C)(二硫化炭素由来の強い信号との重なりのため、CO配位子由来の信号は同定できなかった。); APCI−MS (−):
m/z = 1176 (M−).
【0055】
実施例6: C60(CH2Ph)2(Ph)H2−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H(15.3 mg, 15.6 μmol)とRe2(CO)10(25.2 mg, 38.6 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(29.8 mg, 165 μmol)、そしてベンゾニトリル(1.5 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール=7/3の混合溶媒(8 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約7min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として12.6mg(収率65%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0056】
【化12】
式25中、Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0057】
IR (KBr disk, ν/cm−1) 3028 (w), 2918 (w), 2024 (s), 1939 (br, s), 1515 (w), 1494 (m), 1457 (m), 1419 (w), 1288 (w), 1216 (w), 1179 (w), 1079 (w), 1030 (w), 746 (w), 698 (m), 610 (w), 543 (m), 509 (w); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.60 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.62 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.78 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.93 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 5.32 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 5.51 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 7.20−7.30 (m, 6H, Ph), 7.31−7.41 (m, 4H, Ph), 7.49 (tt, J = 1.2, 7.4 Hz, 1H, Ph), 7.62 (t, J = 7.6 Hz, 2H, Ph), 7.93 (dd, J = 1.2, 8.0 Hz, 2H, Ph); 13C NMR (CS2/CDCl3=3/1, 100 MHz) δ 44.35 (d, 1JCH = 145 Hz, 1C+1C), 50.84 (t,JCH=132Hz,1C),51.78(t,JCH=132Hz,1C),55.92(1C),56.01(1C), 58.29 (1C), 97.95 (1C), 102.62 (1C), 110.72 (1C), 111.52 (1C), 114.05 (1C), 126.60 (2C), 127.05 (1C), 127.16 (1C), 127.95 (2C), 127.97 (1C), 128.06 (2C), 129.03 (2C), 130.15 (2C), 130.19 (2C), 135.61 (1C), 135.76 (1C), 142.69 (1C), 142.75 (1C), 142.83 (1C), 142.99 (1C), 143.05 (1C), 143.24 (1C), 143.43 (1C), 143.49 (1C), 143.52 (1C), 143.53 (1C), 143.70 (1C+1C), 143.79 (1C+1C), 143.83 (1C), 143.99 (1C), 144.05 (1C), 144.17 (1C), 144.83 (1C), 144.89 (1C), 145.10 (1C), 145.11 (1C), 146.26 (1C), 146.33 (1C),146.40 (1C), 146.41 (1C), 146.55 (1C), 147.47 (1C), 147.50 (1C+1C), 147.56 (1C), 147.58 (1C), 147.61 (1C), 147.64 (1C), 147.67 1C), 147.71 (1C), 147.7 (1C), 147.80 (1C), 148.16 (1C), 148.18 (1C), 148.20 (1C), 148.23(1C+1C), 148.42 (1C), 149.04 (1C), 149.48 (1C), 150.52 (1C), 150.62 (1C), 150.88 (1C), 151.10 (1C), 151.83 (1C), 190.27 (3C); APCI−MS (+): m/z 1252 (M+).
【0058】
実施例7: C60(CH2Ph)2(Ph)H3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H(19.5 mg, 19.9 μmol)とRe2(CO)10(33.0 mg, 37.1 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(37.1 mg, 206 μmol)、そしてベンゾニトリル(4 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液に水(35.8 μl, 199 μmol)を加え、窒素気流下160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール= 6/4の混合溶媒(16 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより化合物の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=6/4、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約10 min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物(5種の位置異性体の混合物)を橙色の固体として12.0mg(収率61%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0059】
【化13】
式26中、Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0060】
IR (powder, ν/cm−1) 3027 (w), 1602 (m), 1493 (m), 1451 (m), 1077 (w),1032 (m), 749 (m), 699 (s); APCI−MS (−): m/z = 981 [(M−1)−].
実施例8: C60(CH2Ph)2H3−FeCpの合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(100 mg,111 μmol)と[FeCp(CO)2]2(378 mg,1.07 mmol)のベンゾニトリル(20 ml)懸濁液を0 ℃減圧下で40分間脱気した。この懸濁液を窒素気流下160 ℃で90時間加熱した後、反応液から溶媒を減圧下で留去した。錯体の精製はHPLCを用いて行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約7min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として50.3mg(収率44%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0061】
【化14】
式27中Bnはベンジル基を表わす。
【0062】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 4.34 (d, J = 13.0 Hz, 2H, PhCHH), 4.39 (d, J= 13.0 Hz, 2H, PhCHH), 5.11 (s, 5H, C5H5), 5.48 (d, J = 2.4 Hz, 1H, C60H), 5.52 (d, J = 2.4 Hz, 2H, C60H), 7.46−7.62 (m, 10H, Ph); 13C NMR (CS2, 100 MHz) δ 45.08 (2C), 45.39, 51.03 (2C), 56.02 (2C), 70.56 (5C), 83.39, 85.19 (2C), 93.48 (2C), 127.44 (2C), 128.61 (4C), 130.62 (4C), 136.92 (2C), 142.81 (2C), 143.08 (2C), 143.63 (2C), 143.82 (2C), 143.97 (2C),144.70 (2C), 145.08 (2C), 145.59 (2C), 145.71 (2C), 145.72 (2C), 147.00(2C), 147.04 (2C), 147.08, 148.11 (2C), 148.19 (2C), 148.23 (2C), 148.27 (2C), 148.29 (2C), 148.40 (2C+1C), 148.46 (2C), 150.64 (2C), 151.38 (2C), 151.79 (2C), 153.35 (2C), 153.37 (2C); APCI−MS (−): m/z = 1025 [(M−1)−].
【0063】
実施例9: C60(CH2Ph)2(Ph)H2−FeCpの合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H(101 mg, 103 μmol)と[FeCp(CO)2]2(37.0 mg, 104 μmol)のベンゾニトリル(20 ml)懸濁液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この懸濁液を窒素気流下160 ℃で14時間加熱した後、反応液から溶媒を減圧下で留去した。錯体の精製はHPLCを用いて行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約6min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として93.5mg(収率82%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0064】
【化15】
式28中Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0065】
IR (KBr disk, ν/cm−1) 3085 (w), 3060 (w), 3027 (w), 2959 (w), 2918 (m), 2850 (w), 1494 (s), 1454 (s), 1418 (m), 1384 (m), 1286 (w), 1261 (s),1236 (w), 1198 (w), 1177 (w), 1156 (w), 1106 (s), 1030 (m), 908 (w), 822 (m), 804 (m), 767 (w), 744 (w), 723 (w), 698 (s), 674 (w), 551 (m), 508 (m); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 4.06 (s, 2H, PhCH2), 4.07 (d, J = 13.2Hz, 1H, PhCHH), 4.20 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 4.33 (s, 5H, C5H5), 5.26 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 5.42 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 7.26−7.39(m, 8H, Ph), 7.48−7.54 (m, 3H, Ph), 7.70 (t, J = 7.8 HZ, 2H, Ph), 8.16 (dd, J = 0.8, 8.0 Hz, 2H, Ph); 13C NMR (CS2, 100 MHz) δ 45.09 (d, 1JCH = 142 Hz, 1C), 45.39 (d, 1JCH = 142 Hz, 1C), 50.16 (t, 1JCH = 131 Hz, 1C), 51.09 (t, 1JCH = 131 Hz, 1C), 55.98 (1C), 56.02 (1C), 58.58 (1C), 70.57 (5C), 83.67 (1C), 84.03 (1C), 92.11 (1C), 93.75 (1C), 94.33 (1C), 127.40 (1C), 127.51 (1C), 127.80 (1C), 127.90 (2C), 128.57 (2C), 128.68 (2C), 129.21 (2C), 130.56 (2C), 130.59 (2C), 136.81 (1C), 136.97 (1C), 142.76 (1C), 142.84 (1C), 142.94 (1C), 143.08 (1C), 143.34 (1C), 143.55 (1C), 143.65 (1C), 143.66 (1C), 143.70 (1C), 143.88 (1C), 143.89 (1C), 144.18 (1C), 144.59 (1C), 144.69 (1C), 144.90 (1C), 144.94 (1C), 145.06 (1C),145.58 (1C+1C), 145.80 (1C), 145.82 (1C), 146.97 (1C), 147.05 (1C+1C), 147.13 (1C), 147.26 (1C), 148.08 (1C), 148.11 (1C+1C), 148.12 (1C), 148.16 (1C), 148.22 (1C+1C+1C), 148.23 (1C), 148.28 (1C), 148.39 (1C), 148.42 (1C), 148.45 (1C), 148.46 (1C), 148.50 (1C), 150.62 (1C), 150.84 (1C),151.27 (1C), 151.56 (1C), 151.93 (1C), 152.95 (1C), 153.11 (1C), 153.43(1C), 153.83 (1C), 153.87 (1C); APCI−MS (−): m/z = 1101 [(M−1)−].
【0066】
実施例10: C60(CH2Ph)4(Ph)−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H2−Re(CO)3(9.6 mg, 7.7 μmol)のベンゾニトリル(2 ml)溶液を0℃減圧下で30分間脱気した。この溶液にテトラブチルアンモニウムヒドロキサイド(1Mメタノール溶液,18 μl, 18 μmol)を加え22℃で10分間撹拌した。その間に溶液の色は橙色から濃赤色に変化した。この反応液中に臭化ベンジル(25 μl, 0.21 mmol)を加え22 ℃で8分間撹拌した。その間に溶液の色は濃赤色から茶色に変化した。反応液を短いシリカゲルのカラムでろ過し、さらにシリカゲルをトルエン/2−プロパノール=7/3(8 ml)で洗い流した。これらのろ液を合わせて用い、HPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約4min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を橙色の固体として5.3mg(収率48%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0067】
【化16】
式29中、Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0068】
IR (powder, ν/cm−1) 2968 (w), 2933 (w), 2024 (s), 1940 (s), 1927 (s),1494 (w), 1456 (w), 749 (m), 697 (s), 686 (m); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.79 (d, J = 12.8 Hz, 2H, PhCHH), 3.82 (d, J = 13.6 Hz, 2H, PhCHH), 3.84 (d, J = 12.8 Hz, 2H, PhCHH), 4.14 (d, J = 13.6 Hz, 2H, PhCHH), 7.21−7.74 (m, 23H,m Ph), 8.19 (d, J = 7.6 Hz, 2H, Ph); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 51.91 (2C), 52.43 (2C), 55.87 (2C), 55.95 (2C), 58.74 (1C), 109.90(2C), 110.75 (2C), 112.97 (1C), 127.26 (2C), 127.33 (2C), 127.51 (2C), 128.17 (4C), 128.22 (4C), 128.85 (2C), 129.32 (2C), 130.37 (4C), 130.40 (4C), 131.90 (2C), 132.49 (1C), 135.94 (2C), 135.99 (2C), 142.75 (2C), 142.81 (2C+2C), 143.21 (2C), 143.32 (2C), 143.40 (1C), 144.02 (2C), 144.05 (2C), 144.17 (2C), 144.50 (2C), 146.47 (2C), 146.49 (1C), 146.62 (2C),147.43 (2C), 147.47 (2C+2C), 147.49 (2C), 147.52 (2C), 148.26 (2C), 148.36 (2C), 149.71 (2C), 149.94 (2C), 150.15 (2C), 150.39 (2C), 150.43 (2C),192.33 (3C); APCI−MS (−): m/z 1= 432 (M−).
【0069】
実施例11: C60(CH2Ph)4(Ph)−FeCpの合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H2−FeCp(10.7 mg, 9.67 μmol)のベンゾニトリル(2 ml)溶液を0℃減圧下で30分間脱気した。この溶液にテトラブチルアンモニウムヒドロキサイド(1Mメタノール溶液,30.0 μl, 30.0 μmol)を加え21 ℃で5分間撹拌した。その間に溶液の色は橙色から赤色に変化した。この反応液中に臭化ベンジル(46.1 μl, 388 μmol)を加え21 ℃で7分間撹拌した。その間に溶液の色は赤色から茶色に変化した。反応液を短いシリカゲルのカラムでろ過し、さらにシリカゲルをトルエン/2−プロパノール = 1/1(8 ml)の混合溶媒で洗い流した。これらのろ液を合わせて用い、HPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=1/1、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約8 min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を橙色の固体として7.5mg(収率60%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0070】
【化17】
式30中、Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0071】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 4.18 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 4.20 (d,J= 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 4.24 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 4.49 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 4.54 (s, 5H, C5H5), 7.28−7.47 (m, 16H, Ph), 7.52−7.62m, 5H, Ph), 7.80 (t, J = 7.8 Hz, 2H, Ph), 8.43 (d, J = 7.2 Hz, 2H, Ph);13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 49.61 (2C), 50.82 (2C), 55.54 (2C), 55.61 (2C), 58.59 (1C), 69.42 (5C), 91.25 (2C), 92.21 (2C), 93.05 (1C), 126.97 (2C), 127.05 (2C), 127.49, 128.04 (2C), 128.15 (4C), 128.21 (4C), 128.81(2C), 130.13 (4C), 130.17 (4C), 136.51 (2C), 136.58 (2C), 142.19 (2C), 142.22 (2C), 142.24 (2C), 142.25 (2C), 142.69 (2C), 143.37 (2C), 143.87 (1C), 144.19 (2C), 144.40 (2C), 144.52 (2C), 144.83 (2C), 146.56 (2C), 146.58 (1C), 146.75 (2C), 147.425 (2C), 147.434 (2C), 147.44 (2C), 147.49(2C+2C), 147.79 (1C), 147.87 (2C), 147.99 (2C), 151.60 (2C), 152.02 (2C), 152.24 (2C), 152.38 (2C), 152.80 (2C); APCI−MS (−): m/z = 1282 (M−).
【0072】
実施例12: C60H5−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(19.6 mg, 27.2 μmol)とRe2(CO)10(34.0 mg, 52.1 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(51.8 mg, 287 μmol)、そしてベンゾニトリル(2 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下で160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール = 7/3の混合溶媒(6 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約23 min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を橙色の固体として2.1mg(収率8%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0073】
【化18】
【0074】
IR (powder, ν/cm−1) 2017 (s), 1921 (s), 1901 (s), 1514 (w), 1455 (w),1419 (w), 1214 (w), 1179 (w), 1167 (w), 1058 (w), 1005 (w), 697 (m); 1HNMR (CDCl3, 400 MHz) δ 5.23 (s, 5H, C60H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ44.73 (d, 1J CH = 145 Hz, 5C), 102.97 (5C), 143.97 (10C), 145.25 (10C),146.77 (5C), 148.21 (10C), 148.56 (5C), 149.57 (10C), 190.64 (3C); APCI−MS (−): m/z = 996 (M−).
【0075】
実施例13: C60(CH2Ph)2(Ph)H2−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H(100 mg, 102 μmol)とRe2(CO)10(161 mg, 246 μmol)、そしてベンゾニトリル(20 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下150 ℃で25時間半加熱した後、反応液から溶媒を減圧下で留去した。錯体の精製はHPLCを用いて行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約7min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を橙色の固体として88.2mg(収率69%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0076】
【化19】
【0077】
IR (KBr disk, ν/cm−1) 3028 (w), 2918 (w), 2024 (s), 1939 (br, s), 1515 (w), 1494 (m), 1457 (m), 1419 (w), 1288 (w), 1216 (w), 1179 (w), 1079 (w), 1030 (w), 746 (w), 698 (m), 610 (w), 543 (m), 509 (w); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.60 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.62 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.78 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.93 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 5.32 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 5.51 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 7.20−7.30 (m, 6H, Ph), 7.31−7.41 (m, 4H, Ph), 7.49 (tt, J = 1.2, 7.4 Hz, 1H, Ph), 7.62 (t, J = 7.6 Hz, 2H, Ph), 7.93 (dd, J = 1.2, 8.0 Hz, 2H, Ph); 13C NMR (CS2/CDCl3=3/1, 100 MHz) δ 44.35 (d, 1JCH = 145 Hz, 1C+1C), 50.84 (t, 1JCH=132Hz,1C),51.78(t,1JCH=132Hz,1C),55.92(1C),56.01 (1C), 58.29 (1C), 97.95 (1C), 102.62 (1C), 110.72 (1C), 111.52 (1C), 114.05 (1C), 126.60 (2C), 127.05 (1C), 127.16 (1C), 127.95 (2C), 127.97 (1C), 128.06 (2C), 129.03 (2C), 130.15 (2C), 130.19 (2C), 135.61 (1C), 135.76 (1C),142.69 (1C), 142.75 (1C), 142.83 (1C), 142.99 (1C), 143.05 (1C), 143.24(1C), 143.43 (1C), 143.49 (1C), 143.52 (1C), 143.53 (1C), 143.70 (1C+1C),143.79 (1C+1C), 143.83 (1C), 143.99 (1C), 144.05 (1C), 144.17 (1C), 144.83 (1C), 144.89 (1C), 145.10 (1C), 145.11 (1C), 146.26 (1C), 146.33 (1C), 146.40 (1C), 146.41 (1C), 146.55 (1C), 147.47 (1C), 147.50 (1C+1C), 147.56 (1C), 147.58 (1C), 147.61 (1C), 147.64 (1C), 147.67 (1C), 147.71 (1C), 147.7 (1C), 147.80 (1C), 148.16 (1C), 148.18 (1C), 148.20 (1C), 148.23 (1C+1C), 148.42 (1C), 149.04 (1C), 149.48 (1C), 150.52 (1C), 150.62(1C), 150.88 (1C), 151.10 (1C), 151.83 (1C), 190.27 (3C); APCI−MS (+): m/z 1252 (M+).
【0078】
【発明の効果】
本発明は、ヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体、及びペンタアルキルフラーレン金属錯体を、簡便に効率的に製造することができる方法を提供でき、得られたヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体、及びペンタアルキルフラーレン金属錯体は、医療原料、電子材料等の用途が期待でき、また種々のフラーレンの金属錯体およびフラーレンの誘導体を合成する際の中間原料、更には様々な合成反応の触媒として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の構造を有するヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体の製造方法、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体の製造方法及びペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1990年にC60の大量合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。その結果、数多くのフラーレン誘導体が合成され、その多様な機能が明らかにされてきた。それに伴い、フラーレン誘導体を用いた電子伝導材料、半導体、生理活性物質等の各種用途開発が進められている(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)。
【0003】
この様なフラーレン誘導体の具体例として、本発明者らは、フラーレン骨格に10個の有機基が結合したフラーレン化合物や、5個の有機基が結合したフラーレン化合物、及びこれらの化合物を配位子とする遷移金属錯体を種々合成し、報告してきた(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献3、非特許文献4及び非特許文献5参照)。
【0004】
【非特許文献1】
日本化学会編、季刊化学総説No.43、「炭素第三の同素体フラーレンの化学」、学会出版センター(1999)
【非特許文献2】
”Fullerenes: Chemistry, Physics, and Technology”, John Wiley & Sons (2000)
【特許文献1】
特開平10−167994号公報
【特許文献2】
特開平11−255509号公報
【特許文献3】
特開2002−241323号公報
【非特許文献3】
Journal of the American Chemical Society, 1996年, 118巻, 12850ページ
【非特許文献4】
Organic Letters, 2000年, 2巻, 1919ページ
【非特許文献5】
Chemistry Letters, 2000年, 1098ページ
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来公知の製造方法では、目的とする位置に水素原子を付加したフラーレン金属錯体及び誘導体を製造することは困難であった。
水素原子が付加したフラーレン金属錯体は、既に本発明者らが提案した5個の有機基が付加したフラーレン化合物等と異なり、立体的及び電子的に異なった性質を有することが期待される。例えば、水素原子が付加したフラーレン金属錯体は、フラーレン部位の立体的大きさが異なるため、種々の反応の触媒として活性を示すという点である。
【0006】
また、従来公知の製造方法では、複数の異なる有機基を比率及び位置を制御した形でペンタアルキルフラーレン金属錯体を合成することも困難であった。
本発明の製造方法は、ヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体及びヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体、更には、異なる有機基を付加することができるペンタアルキルフラーレン金属錯体を得ることができる新規な製造方法を提供するものである。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る発明は、フラーレンと、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させる、一般式CxH5MLn(式1)で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
(式1中、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表し、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
また、請求項2に係る発明は、一般式CxRp(式2)又は一般式CxRqH(式3)で表されるフラーレンの有機基付加体と、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させる、一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
【0008】
(式2、式3および式4中、p=2又は4、q=1又は3、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、mは1〜4の整数、また、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表す、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。)
更に、請求項3に係る発明は、フラーレン又は一般式CxRp(式2)もしくは一般式CxRqH(式3)で表されるフラーレンの有機基付加体と、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させる際に、プロトン化試剤の存在下で反応させる、一般式CxRsH(5−s)H(式5)で表されるヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体の製造方法に関する。
【0009】
(式2、式3及び式5中、pは2又は4、qは1又は3、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、sは0〜4の整数を表す。)
そして、請求項5に係る発明は、請求項2記載の一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体と塩基及びアルキル化剤R’Xとを反応させる、一般式CxRmR’(5−m)MLn(式6)で表されるペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
(式6中、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、R及びR’は、それぞれ炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、互いに同じでも異なっていてもよい、R’は使用するアルキル化剤のアルキル部位、Xはアルキル化剤の脱離基であり、mは1〜4の整数、また、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表す、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じも異なっていてもよい。)
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の発明は、フラーレンと、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させて、一般式CxH5MLn(式1)で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体を製造する方法に関する。
原料となるフラーレンの例としては、C60(いわゆるバックミンスター・フラーレン)、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C94、C96及びより高次の炭素クラスター骨格があげられる。この中で、C60、C70が工業的に入手容易であるため、本発明の原料として好ましく用いられる。
【0011】
本発明の化合物の製造の際に用いられる遷移金属前駆体は、5族〜10族、より好ましくは6〜8族、さらに好ましくは7族及び8族の錯体である。これらの内、低原子価の遷移金属錯体が還元性を有するので好ましい。具体的には0価、1価または2価のMn, Re, Fe, Ru, Osがあげられる。0価のRe及び、0価および1価のFeがより好ましい。
【0012】
遷移金属前駆体が有する配位子は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アミド基、ハロゲン原子、3級ホスフィン、CO、3級アミン、オレフィン、η3−アリル、η5−シクロペンタジエニル、η6−ベンゼンなどがあげられる。具体的な好ましい遷移金属前駆体の例としては、Fe2(CO)9, Fe(CO)5, Re2(CO)10, Cr(CO)6などの遷移金属カルボニル錯体、[FeCp(CO)2]2及びそのCp環上の置換体等があげられる。
【0013】
遷移金属前駆体は、生成錯体中のMLn部位の供給源であり、この内、低原子価遷移金属錯体はフラーレンまたはフラーレンの有機基付加体の還元剤としても働く。また、遷移金属前駆体の量を減らし、代わりに他の還元剤を合わせて使用して行うこともできる。
還元剤の具体例としては、水素;1,3−ヘキサジエン、ジヒドロナフタレン、ジヒドロアントラセン、ジイミド、ヒドラジンなどの水素移動能を有する還元剤;トリフェニルホスフィンなどの3級ホスフィン類;ジメチルスルフィドなどのスルフィド類;ボラン、LiAlH4, NaBH4などの金属水素化物;Na, K. Caなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属単体などがあげられる。これらの内、水素移動能を有する還元剤が特に好ましく用いられる。
【0014】
遷移金属前駆体の量は、他の還元剤を用いずに行う場合には、フラーレン又は有機基付加フラーレンに対して過剰量用いる必要がある。通常フラーレンまたは有機基付加フラーレンに対する遷移金属原子のモル比で2.0〜50等量、好ましくは2.0〜20等量である。
還元剤を用いる場合の遷移金属前駆体の量は、フラーレン又は有機基付加フラーレンに対する遷移金属原子のモル比で1.0〜10等量、好ましくは1.0〜3.0等量である。
【0015】
また、還元剤を用いる場合の還元剤の量は、反応の対象となるフラーレン又はフラーレンの有機基付加体、用いる還元剤や遷移金属錯体の種類や量、反応条件により異なるが、通常フラーレンまたは有機基付加フラーレンに対してモル比で1〜100等量、好ましくは1〜50等量である。
本願の製造方法には、適当な溶媒を用いて製造するのが好ましい。反応溶媒としては、通常、ベンゼン、トルエン、キシレン類、トリメチルベンゼン類などの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、ベンゾニトリル、o−トルニトリル、p−トルニトリル等の芳香族ニトリルなどが用いられる。特にベンゾニトリル、o−トルニトリルなどの芳香族ニトリルが好ましい。使用量は、用いる溶媒の種類により異なるが、通常、フラーレンまたは有機基付加フラーレン濃度として、1mmol/L〜100mmol/Lとなる量で用いられる。
【0016】
反応温度は、用いる遷移金属前駆体及び還元剤の種類により異なるが、通常、高温条件が好ましく、具体的には80〜250℃、好ましくは100〜200℃の範囲で行われる。温度が低すぎると十分な反応速度が得られず、温度が高すぎると生成物の分解が起こり、いずれも好ましくない。反応時間は、通常1時間〜10日間程度である。
【0017】
本願の第2の発明は、フラーレンの有機基付加体と、遷移金属前駆体又は遷移金属前駆体及び還元剤を反応させて、一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体の製造方法に関する。
原料となるフラーレンの有機付加体は、有機基の数が1〜4であり、具体的には、CxRH、 CxR2、CxR3H及びCxR4で表される化合物である。ここでフラーレン骨格Cxは、前記したペンタヒドロフラーレン金属錯体の製造方法に記載の物と同様な物が使用できる。
【0018】
有機基(R)の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基;ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等の直鎖又は分岐の鎖状アルケニル基;シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等の環状アルケニル基;エチニル基、メチルエチニル基、フェニルエチニル基などのアルキニル基;2−チエニル基、2−ピリジル基、2−フルフリル基等の複素環基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基があげられる。これらはそれぞれ、1つ以上のアルキル基、アリール基、アルコキシ基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子などの置換基で置換されていてもよい。
【0019】
これらフラーレンの有機基付加体は、対応する骨格のフラーレンを原料として、公知の方法で製造が可能である。たとえば、C60(CH2SiMe3)Hは、Journal of Organic Chemistry,1994年,59巻,1246ページに、C60(CH2SiMe3)2は、Journalof Organic Chemistry,1994年,59巻,1246ページ及び特願2002−016143号に、C60(CH2SiMe3)3Hは、特願2002−016143号に、C70Ph3Hは特開平11−255508号公報及びJournal of the American Chemical Society,1998年,120巻,8285ページに、C60(CH2Ph)2PhHは、Organic Letters,2000年,2巻,1919ページに、それぞれ製造法が開示されている。
【0020】
ヒドロアルキルフラーレン金属錯体の製造方法における遷移金属前駆体、還元剤及び反応溶媒の種類や使用量、更には反応条件は、前記したペンタヒドロフラーレン金属錯体の製造方法に記載と同様な方法が採用できる。原料をフラーレンの有機基付加体とすると、原料中の有機基の付加位置及び付加数を保った有機基が付加したヒドロフラーレン金属錯体が製造できる。
【0021】
ペンタヒドロフラーレン金属錯体及びヒドロアルキルフラーレン金属錯体を遷移金属前駆体を使用して製造する際の具体的な反応例を以下の式7及び式8に示す(式中、Cpはシクロペンタジエニル基を、Phはフェニル基を表す)。
【0022】
【化1】
【0023】
また、遷移金属前駆体と還元剤とを両方使用して製造する際の具体的な反応例を以下の式9に示す(式中、Phはフェニル基を表す)。
【0024】
【化2】
【0025】
また、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体は、前記したヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体を製造する際に使用するフラーレン又はフラーレンの有機基付加体と遷移金属前駆体又は遷移金属前駆体と還元剤を溶媒中で反応させる際に、プロトン化試薬の存在下で行うことにより製造することができる。
プロトン化試薬としては、水、メタノールやエタノールなどのアルコール類、酢酸などのカルボン酸類などがあげられる。この内、特に水が好ましい。この場合、反応条件は、反応開始前にプロトン化試薬を反応系に加える他は、前記したヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体の製造方法と同様な方法が採用できる。プロトン化試薬の使用量は、通常、フラーレン又は有機基付加フラーレンに対して1〜100当量の範囲である。
【0026】
具体的な反応例を以下の式10に示す(式中Phはフェニル基を表し、この場合、生成物はシクロペンタジエン部位の水素原子の位置による、5種類の異性体の混合物となる)。
【0027】
【化3】
【0028】
これらの生成物は、例えば、結晶化やクロマトグラフィーなどの、有機化合物の一般的精製法で単離される。
本発明の製造方法により、一般式CxH5MLn(式1)で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体、一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体及び一般式CxRsH(5−s)H(式5)で表されるヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体が得られる。
【0029】
式1、式4及び式5中、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表し、mは1〜4の整数、sは0〜4の整数、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよく、またCx、R及びMLnは、前記した原料として用いたものに由来することになる。
【0030】
これらの具体例としては、以下の式11〜式18の構造のものが挙げられる(式中、Phはフェニル基を、Meはメチル基を表す。)
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】
次に、本発明の別の発明は、請求項2記載の一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体と塩基及びアルキル化剤R’Xとを反応させることにより、式4中の水素の位置にアルキル価剤のR’が置換した一般式CxRmR’(5−m)MLn(式6)で表されるペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法である。これにより、付加する有機基の異なる付加体を製造することができる。
【0034】
具体的な反応例を以下の式19に示す(式中Phはフェニル基を表す)。
【0035】
【化6】
【0036】
塩基としては、強塩基が好ましく、具体的にはKOH, NaOH, KOtBu, NaOMeなどのアルカリ金属化合物、NMe4OH, NBu4OHなどの水酸化4級アンモニウムなどが用いられる。原料錯体が有する水素原子の数にもよるが、通常、原料に対してモル比で1等量〜10等量、好ましくは1.5等量〜5等量の範囲で用いられる。
アルキル化剤は、一般式R’Xで表される化合物である。R’は、アルキル化剤のアルキル基部分であり、通常、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数7〜10のアラルキル基であり、それぞれ置換基を有していてもよい。
また、Xは脱離基であり、具体的には、Cl、Br、Iなどのハロゲン原子、−OSO2CF3、−OSO2CH3−、−OSO2C6H5などのスルホン酸基、−OCOCH3、−OCOC6H5などのカルボン酸基等があげられる。具体的なアルキル化剤の例としては、MeI、C4H7OSO2CF3、C6H5CH2Br等があげられる。原料錯体が有する水素原子の数にもよるが、通常、原料錯体に対して過剰量、具体的には10〜100等量程度用いられる。
【0037】
反応溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン類、トリメチルベンゼン類などの芳香族炭化水素;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテルなどのエーテル類;ベンゾニトリル等の芳香族ニトリルなどがあげられる。使用量は、原料の種類と用いる溶媒の種類により異なるが、通常、原料錯体の濃度として、1mmol/L〜100mmol/Lとなる量で用いられる。
【0038】
反応の方法は、はじめに原料錯体を溶媒に溶解またはスラリー化した後、塩基を加える。数分〜1時間程度攪拌した後、アルキル化剤を加え、数分〜10時間程度攪拌することで反応を行う。通常、反応は室温〜50℃で行われる。生成物は、通常の有機化合物の精製方法、例えばクロマトグラフィーや結晶化等によって単離される。
【0039】
本発明の製造方法により得られたヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体及びペンタアルキルフラーレン金属錯体は、医薬原料、電子材料などの用途が期待される。また、種々のフラーレン金属錯体及びフラーレン誘導体を合成する際の中間原料としても有用である。
【0040】
【実施例】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例により限定されるものではない。
実施例1: C60H5−FeCpの合成 (Cp = C5H5)
シュレンク管中、C60(19.9 mg, 27.6 μmol)と[FeCp(CO)2]2(51.7 mg, 146μmol)のベンゾニトリル(2 ml)懸濁液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この懸濁液を窒素気流下160 ℃で22時間加熱した後,反応液をトルエン/2−プロパノール=7/3の混合溶媒(8 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いて液体クロマトグラフィー(HPLC)により錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約23 min)。分取した液を減圧下濃縮し,得られた固体を真空乾燥することで目的物を茶色の固体として5.9mg(収率25%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0041】
【化7】
【0042】
1H NMR (CS2, 400 MHz) δ 4.94 (s, 5H, Cp ring), 5.42 (s, 5H, C60H); 13CNMR (CS2, 100 MHz) δ 45.39 (d, 1JCH = 143 Hz, 5C), 71.11 (5C), 85.32 (5C), 143.91 (10C), 145.68 (10C), 147.13 (5C), 148.48 (10C), 148.50 (5C),151.85 (10C); APCI−MS (−): m/z = 845 [(M−1)−].
【0043】
実施例2: C60H5−Fe(CH3C5H4)の合成
シュレンク管中、C60(19.5 mg, 27.1 μmol)と[Fe(CH3C5H4)(CO)2]2(54.1 mg, 142 μmol)のベンゾニトリル(2 ml)懸濁液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この懸濁液を窒素気流下160 ℃で2日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール=7/3の混合溶媒(18 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約14 min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を茶色の固体として3.1mg(収率13%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0044】
【化8】
【0045】
1H NMR (CS2, 400 MHz) δ 2.67 (s, 3H, CH3), 4.78 (dd, J = 1.8, 1.8 Hz,2H, Cp ring), 4.81 (dd, J = 1.8, 1.8 Hz, 2H, Cp ring), 5.37 (s, 5H, C60H); 13C NMR (CS2, 100 MHz) δ 44.90 (5C), 70.72 (2C), 71.76 (2C), 85.46 (5C), 143.91 (10C), 145.74 (10C), 148.46 (10C), 148.50 (5C), 151.90 (10C+5C); APCI−MS (−): m/z = 860 (M−).
【0046】
実施例3: C60H5−Fe[(1,3−Me3Si)2C5H3]の合成
シュレンク管中、C60(21.0 mg, 29.1 μmol)と[Fe[(1,3−Me3Si)2C5H3](CO)2]2(94.0 mg, 146 μmol)のベンゾニトリル(2 ml)懸濁液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この懸濁液を窒素気流下160 ℃で3日間半加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール=7/3の混合溶媒(8 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約7 min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を茶色の固体として3.5mg(収率12%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0047】
【化9】
【0048】
1H NMR (CS2, 400 MHz) δ 0.86 (s, 18H, SiMe3), 4.71 (s, 1H, Cp ring), 4.94 (s, 2H, Cp ring), 5.36 (s, 5H, C60H); 13C NMR (CS2, 100 MHz) δ 0.78 (6C), 45.36 (d, 1JCH = 142 Hz, 5C), 85.24 (5C), 143.94 (10C), 145.58 (10C), 148.51 (10C+5C), 151.54 (10C+5C); APCI−MS (−): m/z = 990 (M−).
【0049】
実施例4: C60(CH2Ph)H4−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)H(21.0 mg, 29.1 μmol)とRe2(CO)10(42.2 mg,64.7 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(455 mg, 2.52 mmol)、そしてベンゾニトリル(2 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下で160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール=7/3の混合溶媒(8 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約12min)。分液した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として11.4mg(収率42%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0050】
【化10】
式23中、Bnはベンジル基を表わす。
【0051】
IR (powder, ν/cm−1) 3027 (vw), 2911 (vw), 2020 (s), 1922 (s), 1494 (w), 1456 (w), 1421 (w), 1287 (w), 1214 (w), 1179 (w), 1109 (w), 1078 (w),1031 (w), 1013 (w), 749 (w),733 (w), 698 (m), 685 (w); 1H NMR (CS2/CDCl3 = 5/1, 400 MHz) δ3.63 (s, 2H, PhCH2), 5.22 (s, 2H+2H, C60H), 7.14−7.22 (m, 5H, Ph); 13C NMR (CS2/CDCl3 = 5/1, 100 MHz) δ44.19 (d, 1JCH = 145Hz, 2C), 44.56 (d, 1JCH = 145 Hz, 2C), 51.84 (t, 1JCH = 131 Hz,1C), 55.77 (2C), 100.05 (2C), 105.24 (2C), 108.27 (1C), 126.97 (1C), 127.87 (2C), 130.11 (2C), 135.52 (1C), 143.00 (2C), 143.43 (2C), 143.65 (2C), 143.73 (2C), 143.76 (2C), 144.09 (2C), 144.63 (2C), 144.89 (2C), 144.90 (2C+2C), 146.31 (1C), 146.32 (2C), 146.36 (2C), 147.61 (2C), 147.68 (2C+2C), 147.79 (2C+2C), 148.08 (2C), 148.15 (2C), 148.17 (1C), 148.18 (2C), 148.95 (2C), 148.97 (2C), 149.03 (2C), 151.55 (2C) (二硫化炭素由来の強い信号との重なりのため、CO配位子由来の信号は同定できなかった。); APCI−MS (−): m/z = 1086 (M−).
【0052】
実施例5: C60(CH2Ph)2H3−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(30.8 mg, 34.1μmol)とRe2(CO)10(58.2 mg,89.2 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(613 mg, 3.40 mmol)、そしてベンゾニトリル(3 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール = 7/3の混合溶媒(17 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20ml/min、滞留時間 = 約12min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として22.2mg(収率55%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0053】
【化11】
式24中、Bnはベンジル基を表わす。
【0054】
IR (powder, ν/cm−1) 3027 (vw), 2911 (vw), 2020 (s), 1924 (s), 1494 (w), 1454 (w), 1429 (w), 1287 (w), 1215 (w), 1179 (w), 1109 (w), 1077 (w),1029 (w), 748 (m), 738 (m), 729 (m), 698 (s), 675 (m); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.70 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 3.75 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 5.27 (s, 2H+1H, C60H), 7.14−7.22 (m, 10H, Ph); 13C NMR (CS2/CDCl3= 5/1, 100 MHz) δ 44.16 (d, 1JCH = 144 Hz, 2C), 44.47 (d, 1J CH = 145 Hz, 1C), 51.73 (t, 1JCH = 132 Hz, 2C), 55.90 (2C), 98.33 (1C), 102.37 (2C), 111.56 (2C), 127.05 (2C), 127.94 (4C), 130.14 (4C), 135.54 (2C), 142.67 (2C), 142.91 (2C), 143.41 (2C), 143.63 (2C), 143.76 (2C), 143.78 (2C), 144.05 (2C), 144.71 (2C), 144.90 (2C), 144.92 (2C), 146.20 (2C), 146.28 (2C), 146.33 (1C), 147.42 (2C), 147.50 (2C), 147.59 (2C), 147.62 (2C), 147.63 (2C), 147.78 (2C), 148.09 (1C), 148.10 (2C), 148.13 (2C), 148.75 (2C), 148.87 (2C), 150.79 (2C), 150.92 (2C)(二硫化炭素由来の強い信号との重なりのため、CO配位子由来の信号は同定できなかった。); APCI−MS (−):
m/z = 1176 (M−).
【0055】
実施例6: C60(CH2Ph)2(Ph)H2−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H(15.3 mg, 15.6 μmol)とRe2(CO)10(25.2 mg, 38.6 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(29.8 mg, 165 μmol)、そしてベンゾニトリル(1.5 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール=7/3の混合溶媒(8 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約7min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として12.6mg(収率65%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0056】
【化12】
式25中、Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0057】
IR (KBr disk, ν/cm−1) 3028 (w), 2918 (w), 2024 (s), 1939 (br, s), 1515 (w), 1494 (m), 1457 (m), 1419 (w), 1288 (w), 1216 (w), 1179 (w), 1079 (w), 1030 (w), 746 (w), 698 (m), 610 (w), 543 (m), 509 (w); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.60 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.62 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.78 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.93 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 5.32 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 5.51 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 7.20−7.30 (m, 6H, Ph), 7.31−7.41 (m, 4H, Ph), 7.49 (tt, J = 1.2, 7.4 Hz, 1H, Ph), 7.62 (t, J = 7.6 Hz, 2H, Ph), 7.93 (dd, J = 1.2, 8.0 Hz, 2H, Ph); 13C NMR (CS2/CDCl3=3/1, 100 MHz) δ 44.35 (d, 1JCH = 145 Hz, 1C+1C), 50.84 (t,JCH=132Hz,1C),51.78(t,JCH=132Hz,1C),55.92(1C),56.01(1C), 58.29 (1C), 97.95 (1C), 102.62 (1C), 110.72 (1C), 111.52 (1C), 114.05 (1C), 126.60 (2C), 127.05 (1C), 127.16 (1C), 127.95 (2C), 127.97 (1C), 128.06 (2C), 129.03 (2C), 130.15 (2C), 130.19 (2C), 135.61 (1C), 135.76 (1C), 142.69 (1C), 142.75 (1C), 142.83 (1C), 142.99 (1C), 143.05 (1C), 143.24 (1C), 143.43 (1C), 143.49 (1C), 143.52 (1C), 143.53 (1C), 143.70 (1C+1C), 143.79 (1C+1C), 143.83 (1C), 143.99 (1C), 144.05 (1C), 144.17 (1C), 144.83 (1C), 144.89 (1C), 145.10 (1C), 145.11 (1C), 146.26 (1C), 146.33 (1C),146.40 (1C), 146.41 (1C), 146.55 (1C), 147.47 (1C), 147.50 (1C+1C), 147.56 (1C), 147.58 (1C), 147.61 (1C), 147.64 (1C), 147.67 1C), 147.71 (1C), 147.7 (1C), 147.80 (1C), 148.16 (1C), 148.18 (1C), 148.20 (1C), 148.23(1C+1C), 148.42 (1C), 149.04 (1C), 149.48 (1C), 150.52 (1C), 150.62 (1C), 150.88 (1C), 151.10 (1C), 151.83 (1C), 190.27 (3C); APCI−MS (+): m/z 1252 (M+).
【0058】
実施例7: C60(CH2Ph)2(Ph)H3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H(19.5 mg, 19.9 μmol)とRe2(CO)10(33.0 mg, 37.1 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(37.1 mg, 206 μmol)、そしてベンゾニトリル(4 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液に水(35.8 μl, 199 μmol)を加え、窒素気流下160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール= 6/4の混合溶媒(16 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより化合物の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=6/4、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約10 min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物(5種の位置異性体の混合物)を橙色の固体として12.0mg(収率61%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0059】
【化13】
式26中、Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0060】
IR (powder, ν/cm−1) 3027 (w), 1602 (m), 1493 (m), 1451 (m), 1077 (w),1032 (m), 749 (m), 699 (s); APCI−MS (−): m/z = 981 [(M−1)−].
実施例8: C60(CH2Ph)2H3−FeCpの合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(100 mg,111 μmol)と[FeCp(CO)2]2(378 mg,1.07 mmol)のベンゾニトリル(20 ml)懸濁液を0 ℃減圧下で40分間脱気した。この懸濁液を窒素気流下160 ℃で90時間加熱した後、反応液から溶媒を減圧下で留去した。錯体の精製はHPLCを用いて行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約7min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として50.3mg(収率44%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0061】
【化14】
式27中Bnはベンジル基を表わす。
【0062】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 4.34 (d, J = 13.0 Hz, 2H, PhCHH), 4.39 (d, J= 13.0 Hz, 2H, PhCHH), 5.11 (s, 5H, C5H5), 5.48 (d, J = 2.4 Hz, 1H, C60H), 5.52 (d, J = 2.4 Hz, 2H, C60H), 7.46−7.62 (m, 10H, Ph); 13C NMR (CS2, 100 MHz) δ 45.08 (2C), 45.39, 51.03 (2C), 56.02 (2C), 70.56 (5C), 83.39, 85.19 (2C), 93.48 (2C), 127.44 (2C), 128.61 (4C), 130.62 (4C), 136.92 (2C), 142.81 (2C), 143.08 (2C), 143.63 (2C), 143.82 (2C), 143.97 (2C),144.70 (2C), 145.08 (2C), 145.59 (2C), 145.71 (2C), 145.72 (2C), 147.00(2C), 147.04 (2C), 147.08, 148.11 (2C), 148.19 (2C), 148.23 (2C), 148.27 (2C), 148.29 (2C), 148.40 (2C+1C), 148.46 (2C), 150.64 (2C), 151.38 (2C), 151.79 (2C), 153.35 (2C), 153.37 (2C); APCI−MS (−): m/z = 1025 [(M−1)−].
【0063】
実施例9: C60(CH2Ph)2(Ph)H2−FeCpの合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H(101 mg, 103 μmol)と[FeCp(CO)2]2(37.0 mg, 104 μmol)のベンゾニトリル(20 ml)懸濁液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この懸濁液を窒素気流下160 ℃で14時間加熱した後、反応液から溶媒を減圧下で留去した。錯体の精製はHPLCを用いて行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約6min)。分取した液を減圧下で体積が1 ml以下になる程度まで濃縮し、メタノールを加えると橙色の沈殿が生成した。沈殿をろ別し、真空乾燥することで目的物を橙色の固体として93.5mg(収率82%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0064】
【化15】
式28中Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0065】
IR (KBr disk, ν/cm−1) 3085 (w), 3060 (w), 3027 (w), 2959 (w), 2918 (m), 2850 (w), 1494 (s), 1454 (s), 1418 (m), 1384 (m), 1286 (w), 1261 (s),1236 (w), 1198 (w), 1177 (w), 1156 (w), 1106 (s), 1030 (m), 908 (w), 822 (m), 804 (m), 767 (w), 744 (w), 723 (w), 698 (s), 674 (w), 551 (m), 508 (m); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 4.06 (s, 2H, PhCH2), 4.07 (d, J = 13.2Hz, 1H, PhCHH), 4.20 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 4.33 (s, 5H, C5H5), 5.26 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 5.42 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 7.26−7.39(m, 8H, Ph), 7.48−7.54 (m, 3H, Ph), 7.70 (t, J = 7.8 HZ, 2H, Ph), 8.16 (dd, J = 0.8, 8.0 Hz, 2H, Ph); 13C NMR (CS2, 100 MHz) δ 45.09 (d, 1JCH = 142 Hz, 1C), 45.39 (d, 1JCH = 142 Hz, 1C), 50.16 (t, 1JCH = 131 Hz, 1C), 51.09 (t, 1JCH = 131 Hz, 1C), 55.98 (1C), 56.02 (1C), 58.58 (1C), 70.57 (5C), 83.67 (1C), 84.03 (1C), 92.11 (1C), 93.75 (1C), 94.33 (1C), 127.40 (1C), 127.51 (1C), 127.80 (1C), 127.90 (2C), 128.57 (2C), 128.68 (2C), 129.21 (2C), 130.56 (2C), 130.59 (2C), 136.81 (1C), 136.97 (1C), 142.76 (1C), 142.84 (1C), 142.94 (1C), 143.08 (1C), 143.34 (1C), 143.55 (1C), 143.65 (1C), 143.66 (1C), 143.70 (1C), 143.88 (1C), 143.89 (1C), 144.18 (1C), 144.59 (1C), 144.69 (1C), 144.90 (1C), 144.94 (1C), 145.06 (1C),145.58 (1C+1C), 145.80 (1C), 145.82 (1C), 146.97 (1C), 147.05 (1C+1C), 147.13 (1C), 147.26 (1C), 148.08 (1C), 148.11 (1C+1C), 148.12 (1C), 148.16 (1C), 148.22 (1C+1C+1C), 148.23 (1C), 148.28 (1C), 148.39 (1C), 148.42 (1C), 148.45 (1C), 148.46 (1C), 148.50 (1C), 150.62 (1C), 150.84 (1C),151.27 (1C), 151.56 (1C), 151.93 (1C), 152.95 (1C), 153.11 (1C), 153.43(1C), 153.83 (1C), 153.87 (1C); APCI−MS (−): m/z = 1101 [(M−1)−].
【0066】
実施例10: C60(CH2Ph)4(Ph)−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H2−Re(CO)3(9.6 mg, 7.7 μmol)のベンゾニトリル(2 ml)溶液を0℃減圧下で30分間脱気した。この溶液にテトラブチルアンモニウムヒドロキサイド(1Mメタノール溶液,18 μl, 18 μmol)を加え22℃で10分間撹拌した。その間に溶液の色は橙色から濃赤色に変化した。この反応液中に臭化ベンジル(25 μl, 0.21 mmol)を加え22 ℃で8分間撹拌した。その間に溶液の色は濃赤色から茶色に変化した。反応液を短いシリカゲルのカラムでろ過し、さらにシリカゲルをトルエン/2−プロパノール=7/3(8 ml)で洗い流した。これらのろ液を合わせて用い、HPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約4min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を橙色の固体として5.3mg(収率48%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0067】
【化16】
式29中、Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0068】
IR (powder, ν/cm−1) 2968 (w), 2933 (w), 2024 (s), 1940 (s), 1927 (s),1494 (w), 1456 (w), 749 (m), 697 (s), 686 (m); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.79 (d, J = 12.8 Hz, 2H, PhCHH), 3.82 (d, J = 13.6 Hz, 2H, PhCHH), 3.84 (d, J = 12.8 Hz, 2H, PhCHH), 4.14 (d, J = 13.6 Hz, 2H, PhCHH), 7.21−7.74 (m, 23H,m Ph), 8.19 (d, J = 7.6 Hz, 2H, Ph); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 51.91 (2C), 52.43 (2C), 55.87 (2C), 55.95 (2C), 58.74 (1C), 109.90(2C), 110.75 (2C), 112.97 (1C), 127.26 (2C), 127.33 (2C), 127.51 (2C), 128.17 (4C), 128.22 (4C), 128.85 (2C), 129.32 (2C), 130.37 (4C), 130.40 (4C), 131.90 (2C), 132.49 (1C), 135.94 (2C), 135.99 (2C), 142.75 (2C), 142.81 (2C+2C), 143.21 (2C), 143.32 (2C), 143.40 (1C), 144.02 (2C), 144.05 (2C), 144.17 (2C), 144.50 (2C), 146.47 (2C), 146.49 (1C), 146.62 (2C),147.43 (2C), 147.47 (2C+2C), 147.49 (2C), 147.52 (2C), 148.26 (2C), 148.36 (2C), 149.71 (2C), 149.94 (2C), 150.15 (2C), 150.39 (2C), 150.43 (2C),192.33 (3C); APCI−MS (−): m/z 1= 432 (M−).
【0069】
実施例11: C60(CH2Ph)4(Ph)−FeCpの合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H2−FeCp(10.7 mg, 9.67 μmol)のベンゾニトリル(2 ml)溶液を0℃減圧下で30分間脱気した。この溶液にテトラブチルアンモニウムヒドロキサイド(1Mメタノール溶液,30.0 μl, 30.0 μmol)を加え21 ℃で5分間撹拌した。その間に溶液の色は橙色から赤色に変化した。この反応液中に臭化ベンジル(46.1 μl, 388 μmol)を加え21 ℃で7分間撹拌した。その間に溶液の色は赤色から茶色に変化した。反応液を短いシリカゲルのカラムでろ過し、さらにシリカゲルをトルエン/2−プロパノール = 1/1(8 ml)の混合溶媒で洗い流した。これらのろ液を合わせて用い、HPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=1/1、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約8 min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を橙色の固体として7.5mg(収率60%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0070】
【化17】
式30中、Bnはベンジル基、Phはフェニル基を表わす。
【0071】
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 4.18 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 4.20 (d,J= 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 4.24 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 4.49 (d, J = 13.2 Hz, 2H, PhCHH), 4.54 (s, 5H, C5H5), 7.28−7.47 (m, 16H, Ph), 7.52−7.62m, 5H, Ph), 7.80 (t, J = 7.8 Hz, 2H, Ph), 8.43 (d, J = 7.2 Hz, 2H, Ph);13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 49.61 (2C), 50.82 (2C), 55.54 (2C), 55.61 (2C), 58.59 (1C), 69.42 (5C), 91.25 (2C), 92.21 (2C), 93.05 (1C), 126.97 (2C), 127.05 (2C), 127.49, 128.04 (2C), 128.15 (4C), 128.21 (4C), 128.81(2C), 130.13 (4C), 130.17 (4C), 136.51 (2C), 136.58 (2C), 142.19 (2C), 142.22 (2C), 142.24 (2C), 142.25 (2C), 142.69 (2C), 143.37 (2C), 143.87 (1C), 144.19 (2C), 144.40 (2C), 144.52 (2C), 144.83 (2C), 146.56 (2C), 146.58 (1C), 146.75 (2C), 147.425 (2C), 147.434 (2C), 147.44 (2C), 147.49(2C+2C), 147.79 (1C), 147.87 (2C), 147.99 (2C), 151.60 (2C), 152.02 (2C), 152.24 (2C), 152.38 (2C), 152.80 (2C); APCI−MS (−): m/z = 1282 (M−).
【0072】
実施例12: C60H5−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(19.6 mg, 27.2 μmol)とRe2(CO)10(34.0 mg, 52.1 μmol)と9,10−ジヒドロアントラセン(51.8 mg, 287 μmol)、そしてベンゾニトリル(2 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下で160 ℃で1日間加熱した後、反応液をトルエン/2−プロパノール = 7/3の混合溶媒(6 ml)で希釈した。この希釈液をろ過し、ろ液を用いてHPLCにより錯体の精製を行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約23 min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を橙色の固体として2.1mg(収率8%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0073】
【化18】
【0074】
IR (powder, ν/cm−1) 2017 (s), 1921 (s), 1901 (s), 1514 (w), 1455 (w),1419 (w), 1214 (w), 1179 (w), 1167 (w), 1058 (w), 1005 (w), 697 (m); 1HNMR (CDCl3, 400 MHz) δ 5.23 (s, 5H, C60H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ44.73 (d, 1J CH = 145 Hz, 5C), 102.97 (5C), 143.97 (10C), 145.25 (10C),146.77 (5C), 148.21 (10C), 148.56 (5C), 149.57 (10C), 190.64 (3C); APCI−MS (−): m/z = 996 (M−).
【0075】
実施例13: C60(CH2Ph)2(Ph)H2−Re(CO)3の合成
シュレンク管中、C60(CH2Ph)2(Ph)H(100 mg, 102 μmol)とRe2(CO)10(161 mg, 246 μmol)、そしてベンゾニトリル(20 ml)溶液を0 ℃減圧下で30分間脱気した。この溶液を窒素気流下150 ℃で25時間半加熱した後、反応液から溶媒を減圧下で留去した。錯体の精製はHPLCを用いて行った(使用したカラムの商品名:Bucky Prep.(Nacalai Tesque Co.社製、20 mm × 250 mm)、トルエン/2−プロパノール=7/3、流速 = 20 ml/min、滞留時間 = 約7min)。分取した液を減圧下濃縮し、得られた固体を真空乾燥することで目的物を橙色の固体として88.2mg(収率69%)得た。生成物の物性は以下の通りである。
【0076】
【化19】
【0077】
IR (KBr disk, ν/cm−1) 3028 (w), 2918 (w), 2024 (s), 1939 (br, s), 1515 (w), 1494 (m), 1457 (m), 1419 (w), 1288 (w), 1216 (w), 1179 (w), 1079 (w), 1030 (w), 746 (w), 698 (m), 610 (w), 543 (m), 509 (w); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.60 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.62 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.78 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 3.93 (d, J = 13.2 Hz, 1H, PhCHH), 5.32 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 5.51 (d, J = 2.8 Hz, 1H, C60H), 7.20−7.30 (m, 6H, Ph), 7.31−7.41 (m, 4H, Ph), 7.49 (tt, J = 1.2, 7.4 Hz, 1H, Ph), 7.62 (t, J = 7.6 Hz, 2H, Ph), 7.93 (dd, J = 1.2, 8.0 Hz, 2H, Ph); 13C NMR (CS2/CDCl3=3/1, 100 MHz) δ 44.35 (d, 1JCH = 145 Hz, 1C+1C), 50.84 (t, 1JCH=132Hz,1C),51.78(t,1JCH=132Hz,1C),55.92(1C),56.01 (1C), 58.29 (1C), 97.95 (1C), 102.62 (1C), 110.72 (1C), 111.52 (1C), 114.05 (1C), 126.60 (2C), 127.05 (1C), 127.16 (1C), 127.95 (2C), 127.97 (1C), 128.06 (2C), 129.03 (2C), 130.15 (2C), 130.19 (2C), 135.61 (1C), 135.76 (1C),142.69 (1C), 142.75 (1C), 142.83 (1C), 142.99 (1C), 143.05 (1C), 143.24(1C), 143.43 (1C), 143.49 (1C), 143.52 (1C), 143.53 (1C), 143.70 (1C+1C),143.79 (1C+1C), 143.83 (1C), 143.99 (1C), 144.05 (1C), 144.17 (1C), 144.83 (1C), 144.89 (1C), 145.10 (1C), 145.11 (1C), 146.26 (1C), 146.33 (1C), 146.40 (1C), 146.41 (1C), 146.55 (1C), 147.47 (1C), 147.50 (1C+1C), 147.56 (1C), 147.58 (1C), 147.61 (1C), 147.64 (1C), 147.67 (1C), 147.71 (1C), 147.7 (1C), 147.80 (1C), 148.16 (1C), 148.18 (1C), 148.20 (1C), 148.23 (1C+1C), 148.42 (1C), 149.04 (1C), 149.48 (1C), 150.52 (1C), 150.62(1C), 150.88 (1C), 151.10 (1C), 151.83 (1C), 190.27 (3C); APCI−MS (+): m/z 1252 (M+).
【0078】
【発明の効果】
本発明は、ヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体、及びペンタアルキルフラーレン金属錯体を、簡便に効率的に製造することができる方法を提供でき、得られたヒドロ(アルキル)フラーレン金属錯体、ヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体、及びペンタアルキルフラーレン金属錯体は、医療原料、電子材料等の用途が期待でき、また種々のフラーレンの金属錯体およびフラーレンの誘導体を合成する際の中間原料、更には様々な合成反応の触媒として有用である。
Claims (6)
- フラーレンと、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させることを特徴とする、一般式CxH5MLn(式1)で表されるペンタヒドロフラーレン金属錯体の製造方法。
(式1中、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表し、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。) - 一般式CxRp(式2)又は一般式CxRqH(式3)で表されるフラーレンの有機基付加体と、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させることを特徴とする、一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体の製造方法。
(式2、式3および式4中、p=2又は4、q=1又は3、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、mは1〜4の整数、また、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表す、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じでも異なっていてもよい。) - フラーレン又は一般式CxRp(式2)もしくは一般式CxRqH(式3)で表されるフラーレンの有機基付加体と、遷移金属前駆体、又は遷移金属前駆体及び還元剤とを反応させる際に、プロトン化試剤の存在下で反応させることを特徴とする一般式CxRsH(5−s)H(式5)で表されるヒドロ(アルキル)フラーレン誘導体の製造方法。
(式2、式3及び式5中、pは2又は4、qは1又は3、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、Rは炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、sは0〜4の整数を表す。) - 遷移金属前駆体が、低原子価遷移金属錯体である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項2記載の一般式CxRmH(5−m)MLn(式4)で表されるヒドロアルキルフラーレン金属錯体と塩基及びアルキル化剤R’Xとを反応させることを特徴とする一般式CxRmR’(5−m)MLn(式6)で表されるペンタアルキルフラーレン金属錯体の製造方法。
(式6中、Cxはフラーレン骨格を表し、xは60以上の偶数、R及びR’は、それぞれ炭素数1〜10の置換基を有していてもよいアルキル基又はアリール基を表し、それぞれ同じでも異なっていてもよい、R’は使用するアルキル化剤のアルキル部位、Xはアルキル化剤の脱離基であり、mは1〜4の整数、また、Mは遷移金属原子を表し、Lは配位子を表す、nは0〜5の整数であり、nが2以上の場合のLはそれぞれ同じも異なっていてもよい。) - フラーレン骨格Cxのxが60又は70である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の製造方法。
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