JP2004155223A - 電動パワーステアリング装置用ウォームホイール - Google Patents
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Abstract
【課題】ウォームとの噛合面の潤滑性向上を図った電動パワーステアリング装置用ウォームホイールを提供する。
【解決手段】ギヤリング53の外周にはホブカッタ(図示せず)により多数の歯61が切削形成されている。ホブカッタには、潤滑剤保持溝形成用の凸部が設けられている。そのため、ホブカッタにより歯61が切削される際には、ホブカッタの切削軌跡に略沿った一対の潤滑剤保持溝63が歯面65に形成される。本実施形態の場合、潤滑剤保持溝63の深さは1mm以下であり、その間隔は5mm以下に設定されている。
【選択図】 図5
【解決手段】ギヤリング53の外周にはホブカッタ(図示せず)により多数の歯61が切削形成されている。ホブカッタには、潤滑剤保持溝形成用の凸部が設けられている。そのため、ホブカッタにより歯61が切削される際には、ホブカッタの切削軌跡に略沿った一対の潤滑剤保持溝63が歯面65に形成される。本実施形態の場合、潤滑剤保持溝63の深さは1mm以下であり、その間隔は5mm以下に設定されている。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製の歯面を有する電動パワーステアリング装置用ウォームホイールに係り、詳しくは、ウォームとの噛合面の潤滑性向上を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の操舵系では、外部動力源を用いて操舵アシストを行わせる、いわゆるパワーステアリング装置が広く採用されている。
従来、パワーステアリング装置用の動力源としては、ベーン方式の油圧ポンプが一般に用いられており、この油圧ポンプをエンジンにより駆動するものが多かった。ところが、この種のパワーステアリング装置は、油圧ポンプを常時駆動することによるエンジンの駆動損失が大きい(最大負荷時において、数馬力〜十馬力程度)ため、小排気量の軽自動車等では走行燃費が低下することが避けられなかった。そこで、これらの問題を解決するものとして、電動モータを動力源とする電動パワーステアリング装置が近年注目されている。電動パワーステアリング装置では、電動モータの電源に車載バッテリを用いるために直接的なエンジンの駆動損失(油圧ポンプに係るエンジンの駆動損失)が無く、電動モータが操舵アシスト時にのみに起動されるために走行燃費の低下も抑えられる他、走行速度等に応じた電子制御が極めて容易に行える等の特長を有している。
【0003】
電動パワーステアリング装置では、電動モータに比較的高回転・低トルクのものが使用されるため、電動モータとステアリングシャフトとの間に減速機構が組み込まれる。減速機構としては、一組で大きな減速比が得られること等から、ウォームとウォームホイールとからなるウォーム減速機構が用いられることが多い。ウォームは電動モータの回転軸に連結される一方、ウォームに噛み合うウォームホイールはアウトプットシャフトに外嵌され、これらがギヤハウジング内に配置される。また、ウォームホイールには、伝達効率の低下抑制、駆動騒音の低減等を図るべく、金属製ホイール(芯金)の外周部に合成樹脂製のギヤリングを固着させたものが一般に用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、ウォームホイールの歯を構成する合成樹脂に高密度ポリエチレンを添加し、自己潤滑性を向上させたものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−301501号公報 (第1〜4頁、図2,図3)
【特許文献2】
特開2000−329217号公報 (第3頁、図4,図7,図8)
【特許文献3】
特開2001−206230号公報 (第4頁、図4,図6,図8)
【特許文献4】
特開平8−74969号公報 (第2頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したウォーム減速機構では、合成樹脂製のウォームホイールの歯と金属製ウォームとが噛み合い、両者の噛合面はグリース等の潤滑剤(以下、グリースに代表させる)により潤滑される。ところが、ウォーム減速機構では、ウォームとウォームホイールとが滑りを伴って動力を伝達するため、噛合面におけるグリースの介入性が甚だ悪く、公知のギヤ式減速機構中でも耐久性が良くないという問題があった。これを補う方法として、ウォームホイールの歯を構成する合成樹脂に高密度ポリエチレンを添加し、自己潤滑性を向上させたものがあった(例えば、特許文献4参照)。また、高密度ポリエチレンをウォームホイール用の合成樹脂に添加することは、合成樹脂の物性を変化させ、ウォームホイールの物理強度等を低下させる虞があった。尚、ウォーム減速機構に使用されるグリースに有機モリブデンやPTFE(四弗化エチレン)等の固体潤滑剤を配合させ、噛合面の極圧性能等を向上させることも考慮されたが、製品コストが上昇する等の問題があった。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、ウォームとの噛合面の潤滑性向上を図った電動パワーステアリング装置用ウォームホイールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明では、電動パワーステアリング装置の動力伝達機構の構成要素として用いられ、歯が合成樹脂により形成されたウォームホイールであって、歯面に潤滑剤保持溝が設けられたものを提案する。
【0008】
請求項1の発明では、ウォームホイールがウォームと噛み合う際に、潤滑剤保持溝から潤滑剤が浸出し、噛合面の潤滑が安定して行われる。
【0009】
また、請求項2の発明では、請求項1の電動パワーステアリング装置用ウォームホイールにおいて、前記歯がホブカッタにより切削成形されたものを提案する。
【0010】
請求項2の発明では、例えば、ホブカッタに潤滑剤保持溝形成用の凸部を設けたり、ホブカッタのすくい角を変化させることにより、ウォームホイールの歯面に潤滑剤保持溝が刻設される。
【0011】
また、請求項3の発明では、請求項1または2の電動パワーステアリング装置用ウォームホイールにおいて、前記潤滑剤保持溝が前記ホブカッタの切削軌跡に略沿って形成されたものを提案する。
【0012】
請求項3の発明では、ウォームホイールがウォームと噛み合う際に、潤滑剤保持溝から潤滑剤が浸出し、噛合面の潤滑が安定して行われる。
【0013】
また、請求項4の発明では、請求項1または2の電動パワーステアリング装置用ウォームホイールにおいて、前記潤滑剤保持溝が前記歯の歯すじに略平行に形成されたものを提案する。
【0014】
請求項4の発明では、ウォームホイールがウォームと噛み合う際に、潤滑剤保持溝から潤滑剤が浸出し、噛合面の潤滑が安定して行われる。
【0015】
また、請求項5の発明では、請求項1〜4の電動パワーステアリング装置用ウォームホイールにおいて、前記歯の原型が型成形され、前記潤滑剤保持溝の原型が当該型成形時に形成されたものを提案する。
【0016】
請求項5の発明では、例えば、ウォームホイールの外周にヘリカルギヤと凹条が射出成形された後、ホブカッタにより歯を切削形成することにより潤滑剤保持溝が出現する。
【0017】
また、請求項6の発明では、請求項1〜4の電動パワーステアリング装置用ウォームホイールにおいて、前記歯の原型が型成形され、前記潤滑剤保持溝が当該型成形後に形成されたものを提案する。
【0018】
請求項6の発明では、例えば、ウォームホイールの外周にヘリカルギヤが射出成形された後、ホブカッタにより歯を切削形成する際に潤滑剤保持溝も刻設される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るステアリング装置の車室側部分を示す側面図であり、同図中の符号1はステアリングコラムを示す。ステアリングコラム1は、ピボットピン3とチルト調整機構5とを介して、車体側構造部材7,9に固定されている。ステアリングコラム1には、その内部にステアリングアッパシャフト11が回動自在に支持されると共に、下部に電動モータ13やギヤハウジング15,アウトプットシャフト17等からなる電動アシスト機構19が一体化されている。
【0020】
ステアリングアッパシャフト11の後端にはステアリングホイール21が取り付けられており、運転者がステアリングホイール21を回動させると、その回転力が電動アシスト機構19により増大されてアウトプットシャフト17に伝達される。図1中、符号25は自在継手27を介してアウトプットシャフト17の前端に連結されたロアステアリングシャフトを示す。また、符号29はステアリングコラム1を覆うコラムカバー、符号31は車室とエンジンルームとを区画するダッシュボード、符号33はチルトレバーをそれぞれ示す。
【0021】
図2(図1中のA部拡大断面図)に示したように、アウトプットシャフト17にはウォームホイール41が外嵌・固着されている。ウォームホイール41は、電動モータ13の図示しない回転軸に接続されたウォーム43と噛み合っており、電動モータ43の回転が減速されてアウトプットシャフト17に伝達される。本実施形態の場合、電動モータ13は、ウォームホイール41の後方に配置されたトルクセンサの出力信号に基づき駆動されるが、ここではその説明を省略する。
【0022】
第1実施形態のウォームホイール41は、図3(正面図)および図4(縦断面図)に示したように、金属製ホイール(以下、単にホイールと記す)51の外周に合成樹脂製ギヤリング(以下、単にギヤリングと記す)53を固着させることにより形成されている。本実施形態の場合、ホイール51は冷間鍛造成形品であり、その回転中心にアウトプットシャフト17が嵌合する軸孔54を有する円筒状のボス55と、ボス55の外周から延設された略L字断面形状を有するリム57とから構成されている。一方、ギヤリング53は、ナイロンやポリアセタール、フェノール等の合成樹脂を素材としており、ホイール51を図示しない金型内にセットした後、射出成形によりリム57の周囲を覆う形に形成されている。
【0023】
図5は第1実施形態に係るウォームホイール41(ギヤリング53)の要部拡大斜視図である。第1実施形態では、ギヤリング53は、ホイール51の外周に円環状に射出成形された後、ホブカッタ(図示せず)により多数の歯61を切削することにより形成されている。ホブカッタは、周知のようにウォーム43より大きな径寸法のカッタであるが、本実施形態の場合潤滑剤保持溝形成用の凸部が設けられている。そのため、ホブカッタにより歯61が切削される際には、ホブカッタの切削軌跡に略沿って一対の潤滑剤保持溝63が歯面65に形成される。本実施形態の場合、潤滑剤保持溝63の深さは1mm以下であり、その間隔は5mm以下に設定されている。尚、ホブカッタに潤滑剤保持溝形成用の凸部を設ける代わりに、ホブカッタのすくい角を変化させることによっても、歯61に潤滑剤保持溝63を形成することも可能である。
【0024】
第1実施形態ではこのような構成を採ったことにより、電動アシスト機構19の作動時には、潤滑剤保持溝63に保持されたグリースがウォームホイール41とウォーム43との噛合面に浸出・供給され、長期に亘る運転が行われてもウォームホイール41やウォーム43の摩耗等が生じ難くなった。
【0025】
図6は第2実施形態に係るウォームホイール41(ギヤリング53)の要部拡大斜視図である。第2実施形態のギヤリング53は、第1実施形態とは異なり、射出成型により所定のモジュールを有するヘリカルギヤを形成した後、ホブカッタによりヘリカルギヤを原型として歯61が切削形成される。本実施形態の射出成形型(図示せず)には潤滑剤保持溝形成用の凸条が形成されており、ヘリカルギヤの成形と同時にその歯すじに略沿った一対の凹条も形成される。切削代を凹深さより浅くしたホブカッタにより切削を行うことで、歯61には凹条が原型となった一対の潤滑剤保持溝63が出現する。尚、本実施形態では、ヘリカルギヤの成形時に潤滑剤保持溝63の基となる凹条を形成するようにしたが、成形後に切削加工により潤滑剤保持溝63を形成するようにしてもよい。第2実施形態の作用も上述した第1実施形態と同様である。
【0026】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では合成樹脂を射出成形することによりギヤリングを形成するようにしたが、粉末合成樹脂を用いてトランスファ成形法等によりギヤリングを形成するようにしてもよい。また、歯面に形成する潤滑剤保持溝の本数は1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、潤滑剤保持溝は、潤滑剤の保持が行えるものであれば、連続したものでなくても(断続的なものでも)よいし、その深さや間隔等が一定でなくてもよい。更に、ホイールやギヤリングの具体的形状やそれらの素材についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、適宜変更可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るウォームホイールによれば、電動パワーステアリング装置の動力伝達機構の構成要素として用いられ、歯が合成樹脂により形成されたウォームホイールであって、歯面に潤滑剤保持溝が設けられたものとしたため、ウォームホイールがウォームと噛み合う際に、潤滑剤保持溝から潤滑剤が浸出し、噛合面の潤滑が安定して行われてウォームやウォームホイールが摩耗し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステアリング装置の車室側における構造を示す説明図である。
【図2】図1中のA部拡大断面図である。
【図3】第1実施形態に係るウォームホイールの正面図である。
【図4】第1実施形態に係るウォームホイールの縦断面図である。
【図5】第1実施形態に係るウォームホイールの要部拡大斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るウォームホイールの要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1‥‥ステアリングコラム
13‥‥電動モータ
15‥‥ギヤハウジング
17‥‥アウトプットシャフト
19‥‥電動アシスト機構
41‥‥ウォームホイール
43‥‥ウォーム
51‥‥金属製ホイール
53‥‥合成樹脂製ギヤリング
61‥‥歯
63‥‥潤滑剤保持溝
65‥‥歯面
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製の歯面を有する電動パワーステアリング装置用ウォームホイールに係り、詳しくは、ウォームとの噛合面の潤滑性向上を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用の操舵系では、外部動力源を用いて操舵アシストを行わせる、いわゆるパワーステアリング装置が広く採用されている。
従来、パワーステアリング装置用の動力源としては、ベーン方式の油圧ポンプが一般に用いられており、この油圧ポンプをエンジンにより駆動するものが多かった。ところが、この種のパワーステアリング装置は、油圧ポンプを常時駆動することによるエンジンの駆動損失が大きい(最大負荷時において、数馬力〜十馬力程度)ため、小排気量の軽自動車等では走行燃費が低下することが避けられなかった。そこで、これらの問題を解決するものとして、電動モータを動力源とする電動パワーステアリング装置が近年注目されている。電動パワーステアリング装置では、電動モータの電源に車載バッテリを用いるために直接的なエンジンの駆動損失(油圧ポンプに係るエンジンの駆動損失)が無く、電動モータが操舵アシスト時にのみに起動されるために走行燃費の低下も抑えられる他、走行速度等に応じた電子制御が極めて容易に行える等の特長を有している。
【0003】
電動パワーステアリング装置では、電動モータに比較的高回転・低トルクのものが使用されるため、電動モータとステアリングシャフトとの間に減速機構が組み込まれる。減速機構としては、一組で大きな減速比が得られること等から、ウォームとウォームホイールとからなるウォーム減速機構が用いられることが多い。ウォームは電動モータの回転軸に連結される一方、ウォームに噛み合うウォームホイールはアウトプットシャフトに外嵌され、これらがギヤハウジング内に配置される。また、ウォームホイールには、伝達効率の低下抑制、駆動騒音の低減等を図るべく、金属製ホイール(芯金)の外周部に合成樹脂製のギヤリングを固着させたものが一般に用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。また、ウォームホイールの歯を構成する合成樹脂に高密度ポリエチレンを添加し、自己潤滑性を向上させたものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−301501号公報 (第1〜4頁、図2,図3)
【特許文献2】
特開2000−329217号公報 (第3頁、図4,図7,図8)
【特許文献3】
特開2001−206230号公報 (第4頁、図4,図6,図8)
【特許文献4】
特開平8−74969号公報 (第2頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したウォーム減速機構では、合成樹脂製のウォームホイールの歯と金属製ウォームとが噛み合い、両者の噛合面はグリース等の潤滑剤(以下、グリースに代表させる)により潤滑される。ところが、ウォーム減速機構では、ウォームとウォームホイールとが滑りを伴って動力を伝達するため、噛合面におけるグリースの介入性が甚だ悪く、公知のギヤ式減速機構中でも耐久性が良くないという問題があった。これを補う方法として、ウォームホイールの歯を構成する合成樹脂に高密度ポリエチレンを添加し、自己潤滑性を向上させたものがあった(例えば、特許文献4参照)。また、高密度ポリエチレンをウォームホイール用の合成樹脂に添加することは、合成樹脂の物性を変化させ、ウォームホイールの物理強度等を低下させる虞があった。尚、ウォーム減速機構に使用されるグリースに有機モリブデンやPTFE(四弗化エチレン)等の固体潤滑剤を配合させ、噛合面の極圧性能等を向上させることも考慮されたが、製品コストが上昇する等の問題があった。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、ウォームとの噛合面の潤滑性向上を図った電動パワーステアリング装置用ウォームホイールを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明では、電動パワーステアリング装置の動力伝達機構の構成要素として用いられ、歯が合成樹脂により形成されたウォームホイールであって、歯面に潤滑剤保持溝が設けられたものを提案する。
【0008】
請求項1の発明では、ウォームホイールがウォームと噛み合う際に、潤滑剤保持溝から潤滑剤が浸出し、噛合面の潤滑が安定して行われる。
【0009】
また、請求項2の発明では、請求項1の電動パワーステアリング装置用ウォームホイールにおいて、前記歯がホブカッタにより切削成形されたものを提案する。
【0010】
請求項2の発明では、例えば、ホブカッタに潤滑剤保持溝形成用の凸部を設けたり、ホブカッタのすくい角を変化させることにより、ウォームホイールの歯面に潤滑剤保持溝が刻設される。
【0011】
また、請求項3の発明では、請求項1または2の電動パワーステアリング装置用ウォームホイールにおいて、前記潤滑剤保持溝が前記ホブカッタの切削軌跡に略沿って形成されたものを提案する。
【0012】
請求項3の発明では、ウォームホイールがウォームと噛み合う際に、潤滑剤保持溝から潤滑剤が浸出し、噛合面の潤滑が安定して行われる。
【0013】
また、請求項4の発明では、請求項1または2の電動パワーステアリング装置用ウォームホイールにおいて、前記潤滑剤保持溝が前記歯の歯すじに略平行に形成されたものを提案する。
【0014】
請求項4の発明では、ウォームホイールがウォームと噛み合う際に、潤滑剤保持溝から潤滑剤が浸出し、噛合面の潤滑が安定して行われる。
【0015】
また、請求項5の発明では、請求項1〜4の電動パワーステアリング装置用ウォームホイールにおいて、前記歯の原型が型成形され、前記潤滑剤保持溝の原型が当該型成形時に形成されたものを提案する。
【0016】
請求項5の発明では、例えば、ウォームホイールの外周にヘリカルギヤと凹条が射出成形された後、ホブカッタにより歯を切削形成することにより潤滑剤保持溝が出現する。
【0017】
また、請求項6の発明では、請求項1〜4の電動パワーステアリング装置用ウォームホイールにおいて、前記歯の原型が型成形され、前記潤滑剤保持溝が当該型成形後に形成されたものを提案する。
【0018】
請求項6の発明では、例えば、ウォームホイールの外周にヘリカルギヤが射出成形された後、ホブカッタにより歯を切削形成する際に潤滑剤保持溝も刻設される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態に係るステアリング装置の車室側部分を示す側面図であり、同図中の符号1はステアリングコラムを示す。ステアリングコラム1は、ピボットピン3とチルト調整機構5とを介して、車体側構造部材7,9に固定されている。ステアリングコラム1には、その内部にステアリングアッパシャフト11が回動自在に支持されると共に、下部に電動モータ13やギヤハウジング15,アウトプットシャフト17等からなる電動アシスト機構19が一体化されている。
【0020】
ステアリングアッパシャフト11の後端にはステアリングホイール21が取り付けられており、運転者がステアリングホイール21を回動させると、その回転力が電動アシスト機構19により増大されてアウトプットシャフト17に伝達される。図1中、符号25は自在継手27を介してアウトプットシャフト17の前端に連結されたロアステアリングシャフトを示す。また、符号29はステアリングコラム1を覆うコラムカバー、符号31は車室とエンジンルームとを区画するダッシュボード、符号33はチルトレバーをそれぞれ示す。
【0021】
図2(図1中のA部拡大断面図)に示したように、アウトプットシャフト17にはウォームホイール41が外嵌・固着されている。ウォームホイール41は、電動モータ13の図示しない回転軸に接続されたウォーム43と噛み合っており、電動モータ43の回転が減速されてアウトプットシャフト17に伝達される。本実施形態の場合、電動モータ13は、ウォームホイール41の後方に配置されたトルクセンサの出力信号に基づき駆動されるが、ここではその説明を省略する。
【0022】
第1実施形態のウォームホイール41は、図3(正面図)および図4(縦断面図)に示したように、金属製ホイール(以下、単にホイールと記す)51の外周に合成樹脂製ギヤリング(以下、単にギヤリングと記す)53を固着させることにより形成されている。本実施形態の場合、ホイール51は冷間鍛造成形品であり、その回転中心にアウトプットシャフト17が嵌合する軸孔54を有する円筒状のボス55と、ボス55の外周から延設された略L字断面形状を有するリム57とから構成されている。一方、ギヤリング53は、ナイロンやポリアセタール、フェノール等の合成樹脂を素材としており、ホイール51を図示しない金型内にセットした後、射出成形によりリム57の周囲を覆う形に形成されている。
【0023】
図5は第1実施形態に係るウォームホイール41(ギヤリング53)の要部拡大斜視図である。第1実施形態では、ギヤリング53は、ホイール51の外周に円環状に射出成形された後、ホブカッタ(図示せず)により多数の歯61を切削することにより形成されている。ホブカッタは、周知のようにウォーム43より大きな径寸法のカッタであるが、本実施形態の場合潤滑剤保持溝形成用の凸部が設けられている。そのため、ホブカッタにより歯61が切削される際には、ホブカッタの切削軌跡に略沿って一対の潤滑剤保持溝63が歯面65に形成される。本実施形態の場合、潤滑剤保持溝63の深さは1mm以下であり、その間隔は5mm以下に設定されている。尚、ホブカッタに潤滑剤保持溝形成用の凸部を設ける代わりに、ホブカッタのすくい角を変化させることによっても、歯61に潤滑剤保持溝63を形成することも可能である。
【0024】
第1実施形態ではこのような構成を採ったことにより、電動アシスト機構19の作動時には、潤滑剤保持溝63に保持されたグリースがウォームホイール41とウォーム43との噛合面に浸出・供給され、長期に亘る運転が行われてもウォームホイール41やウォーム43の摩耗等が生じ難くなった。
【0025】
図6は第2実施形態に係るウォームホイール41(ギヤリング53)の要部拡大斜視図である。第2実施形態のギヤリング53は、第1実施形態とは異なり、射出成型により所定のモジュールを有するヘリカルギヤを形成した後、ホブカッタによりヘリカルギヤを原型として歯61が切削形成される。本実施形態の射出成形型(図示せず)には潤滑剤保持溝形成用の凸条が形成されており、ヘリカルギヤの成形と同時にその歯すじに略沿った一対の凹条も形成される。切削代を凹深さより浅くしたホブカッタにより切削を行うことで、歯61には凹条が原型となった一対の潤滑剤保持溝63が出現する。尚、本実施形態では、ヘリカルギヤの成形時に潤滑剤保持溝63の基となる凹条を形成するようにしたが、成形後に切削加工により潤滑剤保持溝63を形成するようにしてもよい。第2実施形態の作用も上述した第1実施形態と同様である。
【0026】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態では合成樹脂を射出成形することによりギヤリングを形成するようにしたが、粉末合成樹脂を用いてトランスファ成形法等によりギヤリングを形成するようにしてもよい。また、歯面に形成する潤滑剤保持溝の本数は1本であってもよいし、3本以上であってもよい。また、潤滑剤保持溝は、潤滑剤の保持が行えるものであれば、連続したものでなくても(断続的なものでも)よいし、その深さや間隔等が一定でなくてもよい。更に、ホイールやギヤリングの具体的形状やそれらの素材についても、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、適宜変更可能である。
【0027】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係るウォームホイールによれば、電動パワーステアリング装置の動力伝達機構の構成要素として用いられ、歯が合成樹脂により形成されたウォームホイールであって、歯面に潤滑剤保持溝が設けられたものとしたため、ウォームホイールがウォームと噛み合う際に、潤滑剤保持溝から潤滑剤が浸出し、噛合面の潤滑が安定して行われてウォームやウォームホイールが摩耗し難くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステアリング装置の車室側における構造を示す説明図である。
【図2】図1中のA部拡大断面図である。
【図3】第1実施形態に係るウォームホイールの正面図である。
【図4】第1実施形態に係るウォームホイールの縦断面図である。
【図5】第1実施形態に係るウォームホイールの要部拡大斜視図である。
【図6】第2実施形態に係るウォームホイールの要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
1‥‥ステアリングコラム
13‥‥電動モータ
15‥‥ギヤハウジング
17‥‥アウトプットシャフト
19‥‥電動アシスト機構
41‥‥ウォームホイール
43‥‥ウォーム
51‥‥金属製ホイール
53‥‥合成樹脂製ギヤリング
61‥‥歯
63‥‥潤滑剤保持溝
65‥‥歯面
Claims (6)
- 電動パワーステアリング装置の動力伝達機構の構成要素として用いられ、歯が合成樹脂により形成されたウォームホイールであって、
歯面に潤滑剤保持溝が設けられたことを特徴とする電動パワーステアリング装置用ウォームホイール。 - 前記歯がホブカッタにより切削成形されたことを特徴とする、請求項1記載の電動パワーステアリング装置用ウォームホイール。
- 前記潤滑剤保持溝が前記ホブカッタの切削軌跡に略沿って形成されたことを特徴とする、請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置用ウォームホイール。
- 前記潤滑剤保持溝が前記歯の歯すじに略平行に形成されたことを特徴とする、請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置用ウォームホイール。
- 前記歯の原型が型成形され、前記潤滑剤保持溝の原型が当該型成形時に形成されたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置用ウォームホイール。
- 前記歯の原型が型成形され、前記潤滑剤保持溝が当該型成形後に形成されたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置用ウォームホイール。
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