JP2004009882A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ギヤハウジング31には、その下部に電動モータ35の前端がボルト締めされると共に、動力伝達手段として、電動モータ35のシャフト36に固着されたドライブギヤ37とドライブギヤ37に噛み合うドリブンギヤ39とが収納されている。符号43はドリブンギヤ39を支持する深溝玉軸受を示している。ボールねじハウジング33には、ボールナット45が複列アンギュラ玉軸受47を介して回動自在に保持されている。ドリブンギヤ39には右端に雌スプライン63が刻設される一方、ボールナット45には、左端に雄スプライン65が刻設され、この雄スプライン65がドリブンギヤ39の雄スプライン65に内嵌・係合している。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボールねじ式ラックアシスト型の電動パワーステアリング装置に係り、詳しくは製造の容易化や作動性の向上等を図る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の操舵系では、外部動力源を用いて操舵アシストを行わせる、いわゆるパワーステアリング装置が広く採用されている。従来、パワーステアリング装置用の動力源としては、ベーン方式の油圧ポンプが用いられており、この油圧ポンプをエンジンにより駆動するものが多かった。ところが、この種のパワーステアリング装置は、油圧ポンプを常時駆動することによるエンジンの駆動損失が大きい(最大負荷時において、数馬力〜十馬力程度)ため、小排気量の軽自動車等への採用が難しく、比較的大排気量の自動車でも走行燃費が無視できないほど低下することが避けられなかった。
【0003】
そこで、これらの問題を解決するものとして、電動モータを動力源とする電動パワーステアリング装置(Electric Power Steering、以下EPSと記す)が近年注目されている。EPSには、電動モータの電源に車載バッテリを用いるために直接的なエンジンの駆動損失が無く、電動モータが操舵アシスト時にのみに起動されるために走行燃費の低下も抑えられる他、電子制御が極めて容易に行える等の特長がある。
【0004】
一方、乗用車用のステアリングギヤとしては、高剛性かつ軽量であること等から、現在ではラックピニオン式が主流となっている。そして、ラック&ピニオン式ステアリングギヤ用のEPSとしては、ステアリングシャフトやピニオン自体を駆動するべくコラム側部に電動モータを配置したコラムアシスト型等の他、電動式のボールねじ機構によりラックシャフトを駆動するボールねじ式ラックアシスト型も用いられている。ボールねじ式ラックアシスト型のEPS(以下、単にラックアシスト型EPSと記す)では、アシスト力がピニオンとラックとの噛合面に作用しないため、摩耗や変形の要因となる両部材間の接触面圧が比較的小さくなる。
【0005】
ラックアシスト型EPSでは、ラックシャフトに形成されたボールねじ軸の雄ねじ溝とボールナットに形成された雌ねじ溝とが多数個の循環ボール(鋼球)を介して係合しており、ラックシャフトと同軸あるいは別軸に配置された電動モータによってボールナットが回転駆動され、これによりラックシャフトが軸方向に移動する。別軸式ラックアシスト型EPSにおける電動モータとボールナットとの間の動力伝達方法としては、実公平6−49489号公報に記載されたタイミングベルト式の他、特許第3062852号に記載されたギヤ式等が一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の別軸式ラックアシスト型EPSでは、動力伝達機構を構成するプーリやギヤ等(動力伝達要素)が鋼製のボールナットの外周に形成されている。動力伝達要素は、切削加工等によりボールナットの外周に直接形成されるもの(実開昭62−127868号公報等)と、スプラインやセレーション、キー等を介してボールナットに外嵌されるもの(特開平2−254057号公報等)とがある。
【0007】
しかしながら、前者の方法では、ボールナット部の要求硬度が高く、ギヤ部やプーリ部等の要求硬度が低いため、加工工程における熱処理硬度をボールナット部に合わせざるを得なかった。そのため、ギヤの仕上げ加工(シェービング等)が困難になり、ボールナットの加工が複雑になることも相俟って、製造コストの上昇や量産性の低下がもたらされる欠点があった。また、ベルト駆動の場合、動力伝達要素としてプーリが必要となり、プーリをボールナットに一体化しなければならず、一般的には比重の低いアルミ合金等を素材として製造されるプーリの素材が比重の高い綱となるため、重量が増大する問題もあった。
【0008】
また、後者の方法では、ボールナットと動力伝達要素(ギヤやプーリ等)は別部品であるために熱処理等の問題は生じないが、ボールナットと動力伝達要素との間にガタがあると異常摩耗や異音の要因となる。一方、ガタによりボールナットの軸芯と動力伝達要素の軸芯とがずれる場合、回転に伴って動力伝達要素が偏心運動して振動の要因となる。そのため、両者の嵌合をタイトにするべく加工コストの高いスプラインやセレーションに等よる嵌合が必要となる他、動力伝達要素とボールナットとの同心度を確保するべくそれらに高い加工精度が要求される等の問題があった。
【0009】
一方、ボールナットの外周に動力伝達要素が形成されている場合、電動モータの駆動トルクが動力伝達要素を介してボールナットに直接伝達されるため、ラジアル力を受けてボールナットが多少なりとも撓むことがあった。これにより、ボールナットとラックシャフト間にいわゆるこじりが発生してラックシャフトの円滑な移動が阻害され、駆動力の損失や各部の異常摩耗が生じる他、作動時に異音が発生する虞等があった。
本発明は、上記状況に鑑みなされたもので、製造の容易化や作動性の向上等を図ったラックアシスト型の電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するべく、請求項1の発明では、内周面に雌ねじ溝が形成されたボールナットと、このボールナットの軸心に配置されると共に外周面に前記雌ねじ溝に対峙する雄ねじ溝が形成されたラックシャフトと、前記雌ねじ溝と前記雄ねじ溝との間に介装された複数個の循環ボールとからなるボールねじ機構と、このボールねじ機構を収納するステアリングギヤケースと、前記ラックシャフトと別軸に配置され、前記ボールナット機構の駆動に供される電動モータと、当該電動モータの回転駆動力を前記ボールナットに伝達する動力伝達手段とを有するラックアシスト型の電動パワーステアリング装置において、前記動力伝達手段が、前記ボールナットに対して同軸かつ直列に配置されると共に当該ボールナットに係合する動力伝達要素を備えたものを提案する。
【0011】
この発明では、ボールナットと動力伝達要素とが別部品でかつ高精度が要求される嵌合等も行われないため、それぞれの製造が比較的容易な加工方法で実現できる。
【0012】
また、請求項2の発明では、請求項1の電動パワーステアリング装置において、前記ボールナットが第1の軸受を介して前記ステアリングギヤケースに支持され、前記動力伝達要素が第2の軸受を介して前記ステアリングギヤケースに支持されたものを提案する。
【0013】
この発明では、ボールナットと動力伝達要素とが各々独立した軸受により支持されるため、動力伝達要素の撓み等の影響がボールナットに伝達され難い。
【0014】
また、請求項3の発明では、請求項1または2の電動パワーステアリング装置において、前記ボールナットと前記動力伝達要素とがミスアライメント吸収手段を介して連結されたものを提案する。
【0015】
また、請求項4の発明では、請求項3の電動パワーステアリング装置において、前記ミスアライメント吸収手段が弾性継手であるものを提案する。
【0016】
また、請求項5の発明では、請求項3の電動パワーステアリング装置において、前記ミスアライメント吸収手段がオルダム継手であるものを提案する。
【0017】
請求項3〜5の発明では、ボールナットと動力伝達要素との間に芯ずれ等があっても、動力伝達要素からボールナットへの動力伝達が円滑に行われる。
【0018】
また、請求項6の発明では、請求項1〜5の電動パワーステアリング装置において、前記ボールナットと前記動力伝達要素とがトルクリミッタを介して連結されたものを提案する。
【0019】
また、請求項7の発明では、請求項6の電動パワーステアリング装置において、前記トルクリミッタが、複数本の突条を周面に有したばね環であり、前記ボールナットと前記動力伝達要素との間に圧入されるものを提案する。
【0020】
請求項6および7の発明では、悪路走行時におけるキックバック等に起因してボールナット45が瞬間的に回動しても、各構成部材に過大な回転トルクが作用しなくなる。
【0021】
また、請求項8の発明では、請求項1または2の電動パワーステアリング装置において、前記ボールナットと前記動力伝達要素とが軸方向摺動自在な連結手段を介して連結されたものを提案する。
【0022】
また、請求項9の発明では、請求項8の電動パワーステアリング装置において、前記連結手段がスプラインまたはセレーションまたはキーであるものを提案する。
【0023】
請求項8および9の発明では、ボールナットと動力伝達要素との間隔がずれても、動力伝達要素とボールナットとの間にスラスト応力が生起されなくなる。
【0024】
また、請求項10の発明では、請求項1〜9の電動パワーステアリング装置において、前記ボールナットと前記ステアリングギヤケースとの間に弾性体が介装されたものを提案する。
【0025】
本発明では、ボールナットとラックシャフトとの間にミスアライメントが生じても、弾性体が変形することによってボールナットが変位し、このミスアライメントが解消される。また、路面からラックシャフトに衝撃力が入力された際、その衝撃力を主にボールナットと弾性体とで受けることになるため、動力伝達要素に衝撃力が作用することが抑制される。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る電動パワーステアリング装置の車室側部分を示した斜視図である。同図中に符号1で示した部材はステアリングコラムであり、アッパステアリングシャフト3を回動自在に支持している。アッパステアリングシャフト3には、その上端にステアリングホイール5が装着される一方、下端にユニバーサルジョイント7を介してロアステアリングシャフト9が連結されている。
【0027】
ロアステアリングシャフト9には、その下端に更にラック&ピニオン機構やパワーアシスト機構等からなるステアリングギヤ11が連結されている。図1中、符号13はステアリングコラム1を覆うコラムカバーを示し、符号15はステアリングギヤ11の左右端に連結されたタイロッドを示している。
【0028】
図2は第1実施形態に係るステアリングギヤ11の縦断面図であり、図3は図2中のA部拡大図である。図2中で符号21で示した部材はステアリングギヤケースを構成するラック&ピニオンハウジングであり、ラック&ピニオン機構を構成するラックシャフト23やピニオン(図示せず)を保持している。ラックシャフト23は、ピニオンに噛み合うラック25を図中左側に有すると共に、その左右端にはタイロッド15を揺動自在に支持する球面継手27が固着されている。
【0029】
パワーアシスト機構は、ラック&ピニオンハウジング21の図中右端にボルト締めされたギヤハウジング31と、ギヤハウジング31にボルト締めされてラック&ピニオンハウジング21やギヤハウジング31と伴にステアリングギヤケースを構成するボールねじハウジング33とを外郭としている。
【0030】
ギヤハウジング31には、その下部に電動モータ35の前端がボルト締めされると共に、動力伝達手段として、電動モータ35のシャフト36に固着されたドライブギヤ37とドライブギヤ37に噛み合うドリブンギヤ39とが収納されている。図2,図3中の符号41はドライブギヤ37を支持する深溝玉軸受を示し、符号43はドリブンギヤ39を支持する深溝玉軸受を示している。
【0031】
また、ボールねじハウジング33には、ボールナット45が複列アンギュラ玉軸受(以下、単に軸受と記す)47を介して回動自在に保持されている。図3中の符号49,50は複列アンギュラ玉軸受47の内外輪の固定に供される止め輪を示している。
【0032】
ラックシャフト23には雄ねじ溝51が形成される一方、ボールナット45には雌ねじ溝53が形成され、雄ねじ溝51と雌ねじ溝53との間には循環ボールたる多数個の鋼球55が介装されている。また、ボールナット45には、鋼球55を循環させるための循環こま(図示せず)が装着されている。
【0033】
ドリブンギヤ39とボールナット45とは共に鋼製であるが、ドリブンギヤ39の熱処理硬度はボールナット45の熱処理硬度より低く設定されており、シェービング加工による仕上げが容易となっている。また、ドリブンギヤ39とボールナット45では、鋼の素材についても機械的強度やコスト等を勘案して最適な素材が選択されている。
【0034】
本実施形態の場合、ドリブンギヤ39の軸芯にラックシャフト23が挿通される中空部61が穿設されると共に、中空部61の図3中右端には雌スプライン63が刻設されている。一方、ボールナット45には、図3中左端に雄スプライン65が刻設され、この雄スプライン65がドリブンギヤ39の雄スプライン65に内嵌・係合している。雌スプライン63と雄スプライン65とは比較的緩い嵌合状態となっており、ドリブンギヤ39とボールナット45とは自由に相対摺動する。
【0035】
以下、第1実施形態の作用を述べる。
運転者がステアリングホイール5を回転させると、アッパステアリングシャフト3およびロアステアリングシャフト9を介して、その回転力がステアリングギヤ11に伝達される。ステアリングギヤ11内には回転入力を直線運動に変換するラックアンドピニオン機構が内蔵されているため、ラックシャフト23が左右いずれかの方向に移動し、左右のタイロッド15を介して車輪の舵角が変動して操舵が行われる。
【0036】
同時に、パワーアシスト機構内では、図示しない操舵トルクセンサの出力に基づき、電動モータ35が正逆いずれかの方向に所定の回転トルクをもって回転し、ドライブギヤ37およびドリブンギヤ39を介して、その回転がドリブンギヤ39にスプライン係合したボールナット45に減速・伝達される。ボールナット45が回転すると、その雌ねじ溝53に係合した鋼球55を介してラックシャフト23の雄ねじ溝51にスラスト力が作用し、これにより操舵アシストが実現される。
【0037】
さて、第1実施形態の場合、ドリブンギヤ39とボールナット45とが別部品で、かつ緩い嵌合のスプラインにより相対摺動自在に連結されているため、製造上および作動上の点で以下のような特長が得られた。例えば、ボールナット45は、その外周にギヤを一体あるいは別体に形成する必要が無くなるため、製造が従来装置に比べて遙かに容易になると共に量産性も向上する。
【0038】
一方、ドライブギヤ37に駆動されることによりドリブンギヤ39がラジアル方向に多少変位しても、スプライン嵌合が緩いことも相俟ってその変位がボールナット45に伝達され難くなり、ボールナット45の撓みに起因する駆動力の損失や各部の異常摩耗、作動時の異音が殆ど起こらなくなる。
【0039】
図4は、第2実施形態に係るステアリングギヤの要部拡大縦断面図である。
第2実施形態では、上述した第1実施形態と略同様の全体構成が採られているが、複列アンギュラ玉軸受47とボールねじハウジング33との間に、ミスアライメント吸収手段たる合成ゴム製の弾性スリーブ66と一対の弾性リング67とが介装されている。弾性リング67は、組付作業の容易化を実現するべく、金属製の支持環68に合成ゴム製の弾性環69を固着させたものである。本実施形態では、ボールナット45とラックシャフト23との間に多少のミスアライメントが生じても、弾性スリーブ66や弾性環69が撓むことによって、ボールナット45が変位する。これにより、ボールナット45とラックシャフト23との間のミスアライメントが吸収され、駆動力の損失や各部の異常摩耗が抑制される。また、路面からラックシャフト23に衝撃力が入力された際、その衝撃力を主にボールナット45および弾性スリーブ66、弾性リング67で受けることになるため、ドリブンギヤ39に衝撃力が作用することが抑制される。
【0040】
図5は、第3実施形態に係るステアリングギヤの要部拡大縦断面図である。
第3実施形態では、第2実施形態と略同様の全体構成が採られているが、複列アンギュラ玉軸受47に対する外輪側の締結がリングボルト70によってなされている。本実施形態の作用も第2実施形態と略同様であるが、複列アンギュラ玉軸受47の組付作業がより容易となる。尚、複列アンギュラ玉軸受47に対する内輪側の締結をリングナットにより行うようにしてもよい。
【0041】
図6は、第4実施形態に係るステアリングギヤの要部拡大縦断面図である。
第4実施形態では、上述した第1実施形態と略同様の全体構成が採られているが、ドリブンギヤとボールナットとの連結形態が異なっている。すなわち、第4実施形態では、両端面に90゜の角度位相でキー71,73を有するスライダ75がドリブンギヤ39とボールナット45との間に介装され、このスライダ75がドリブンギヤ39とボールナット45とにキー71,73を介して摺動自在に嵌合することにより、ミスアライメント吸収手段たるオルダム継手77が形成されている。本実施形態の作用も第1実施形態と略同様であるが、ドリブンギヤ39とボールナット45とのミスアライメントがより吸収されやすくなった。
【0042】
図7は、第5実施形態に係るステアリングギヤの要部拡大縦断面図である。
第5実施形態においても、上述した第1実施形態と略同様の全体構成が採られているが、ドリブンギヤとボールナットとの連結形態が異なっている。すなわち、第5実施形態では、ドリブンギヤ39とボールナット45との間にミスアライメント吸収手段たる合成ゴム製の弾性継手79が介装されている。本実施形態の作用も第4実施形態と同様であり、第1実施形態に比べてドリブンギヤ39とボールナット45とのミスアライメントがより吸収されやすくなった。
【0043】
図8は、第6実施形態に係るステアリングギヤの要部拡大縦断面図である。
第6実施形態においても、上述した第1実施形態と略同様の全体構成が採られているが、ドリブンギヤとボールナットとの連結形態と複列アンギュラ玉軸受の支持形態が異なっている。すなわち、第6実施形態では、ドリブンギヤ39とボールナット45との間にトルクリミッタたるばね環81が介装される一方、複列アンギュラ玉軸受47との間に合成ゴム製の弾性スリーブ83が介装されている。ばね環81は、特開2002−130310号公報等においてトレランスリングとして開示されているように、環状の金属板の外周側に複数本の突条を形成したもので、ドリブンギヤ39とボールナット45との間に圧入されている。尚、ばね環81として、内周側に複数本の突条を形成したものを採用してもよい。
【0044】
第6実施形態では、ドリブンギヤ39とボールナット45との間の相対伝達トルクが所定値に達すると、ドリブンギヤ39とばね環81との間で滑りが発生する。これにより、悪路走行時におけるキックバック等に起因してボールナット45に衝撃的なトルクが入力されても、各構成部材に過大な回転トルクが作用しなくなる。また、ボールナット45とラックシャフト23との間に多少のミスアライメントが生じても、弾性スリーブ83が撓むことによってボールナット45が変位してミスアライメントが吸収され、駆動力の損失や各部の異常摩耗が抑制される。
【0045】
図9は、第7実施形態に係るステアリングギヤの要部拡大縦断面図であり、図10は図9中のB−B断面図である。
第7実施形態においても、前述した第1実施形態と略同様の全体構成が採られているが、動力伝達手段としてチェーンドライブが採用されている。すなわち、ギヤハウジング31内では、電動モータ35のシャフト36に固着されたドライブスプロケット91と、ボールナット45にスプライン結合されたドリブンスプロケット93と、ドライブスプロケット91とドリブンスプロケット93とを連結するチェーン95とが収納されている。第7実施形態の作用は第1実施形態と同様である。
【0046】
図11は、第8実施形態に係るステアリングギヤの要部拡大縦断面図であり、図12は図11中のC−C断面図である。
第8実施形態においても、前述した第1実施形態と略同様の全体構成が採られているが、動力伝達手段としてベルトドライブが採用されている。すなわち、ギヤハウジング31内では、電動モータ35のシャフト36に固着されたドライブプーリ97と、ボールナット45にスプライン結合されたドリブンプーリ99と、ドライブプーリ97とドリブンプーリ99とを連結するタイミングベルト101とが収納されている。第8実施形態の作用も第1実施形態と同様である。尚、プーリ97,99の素材は軽量かつ加工容易なアルミ合金であり、押出成形等によって比較的長尺のワークを得た後、これを所定の寸法に切断・後加工して製品とする。
【0047】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限られるものではない。例えば、第1,第5,第8実施形態ではドリブンギヤとボールナットとをスプライン結合したが、セレーションやキーにより結合してもよい。また、第2,第5実施形態ではミスアライメント吸収手段としてオルダム継手や合成ゴム製の弾性継手を採用したが、金属スプリングを要素とするもの等を採用してもよい。また、第6実施形態ではトルクリミッタとしてばね環を採用したが、コイルスプリング等を組み込んだもの等、他種のトルクリミッタを採用してもよい。更に、ステアリングギヤの全体構成やパワーアシスト機構の構造等についても、上記実施形態での例示に限られるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、設計上あるいは仕様上の要求等により適宜変更可能である。
【0048】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明に係る電動パワーステアリング装置によれば、内周面に雌ねじ溝が形成されたボールナットと、このボールナットの軸心に配置されると共に外周面に前記雌ねじ溝に対峙する雄ねじ溝が形成されたラックシャフトと、前記雌ねじ溝と前記雄ねじ溝との間に介装された複数個の循環ボールとからなるボールねじ機構と、このボールねじ機構を収納するステアリングギヤケースと、前記ラックシャフトと別軸に配置され、前記ボールナット機構の駆動に供される電動モータと、当該電動モータの回転駆動力を前記ボールナットに伝達する動力伝達手段とを有するラックアシスト型の電動パワーステアリング装置において、前記動力伝達手段が、前記ボールナットに対して同軸かつ直列に配置されると共に当該ボールナットに係合する動力伝達要素を備えるようにしたため、ボールナットと動力伝達要素とが別部品でかつ高精度が要求される嵌合等も行われないため、それぞれの素材や製造方法を最適なものとすることができ、製造コストが低減されると共に作動性の向上等も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステアリング装置の車室側部分を示した斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るステアリングギヤの縦断面図である。
【図3】図2中のA部拡大図である。
【図4】第2実施形態に係るステアリングギヤの要部拡大縦断面図である。
【図5】第3実施形態に係るステアリングギヤの要部拡大縦断面図である。
【図6】第4実施形態におけるステアリングギヤの要部拡大断面図である。
【図7】第5実施形態におけるステアリングギヤの要部拡大断面図である。
【図8】第6実施形態におけるステアリングギヤの要部拡大断面図である。
【図9】第7実施形態におけるステアリングギヤの要部拡大断面図である。
【図10】図9中のB−B断面図である。
【図11】第8実施形態におけるステアリングギヤの要部拡大断面図である。
【図12】図11中のC−C断面図である。
【符号の説明】
21‥‥ラック&ピニオンハウジング
23‥‥ラックシャフト
31‥‥ギヤハウジング
33‥‥ボールねじハウジング
35‥‥電動モータ
45‥‥ボールナット
47‥‥複列アンギュラ玉軸受
51‥‥雄ねじ溝
53‥‥雌ねじ溝
55‥‥鋼球
63‥‥雌スプライン
65‥‥雄スプライン
66‥‥弾性スリーブ
67‥‥弾性リング
70‥‥リングボルト
75‥‥スライダ
77‥‥オルダム継手
79‥‥弾性継手
81‥‥ばね環
91‥‥ドライブスプロケット
93‥‥ドリブンスプロケット
95‥‥チェーン
97‥‥ドライブプーリ
99‥‥ドリブンプーリ
101‥‥タイミングベルト
Claims (10)
- 内周面に雌ねじ溝が形成されたボールナットと、このボールナットの軸心に配置されると共に外周面に前記雌ねじ溝に対峙する雄ねじ溝が形成されたラックシャフトと、前記雌ねじ溝と前記雄ねじ溝との間に介装された複数個の循環ボールとからなるボールねじ機構と、
このボールねじ機構を収納するステアリングギヤケースと、
前記ラックシャフトと別軸に配置され、前記ボールナット機構の駆動に供される電動モータと、
当該電動モータの回転駆動力を前記ボールナットに伝達する動力伝達手段と
を有するラックアシスト型の電動パワーステアリング装置において、
前記動力伝達手段が、前記ボールナットに対して同軸かつ直列に配置されると共に当該ボールナットに係合する動力伝達要素を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記ボールナットが第1の軸受を介して前記ステアリングギヤケースに支持され、前記動力伝達要素が第2の軸受を介して前記ステアリングギヤケースに支持されたことを特徴とする、請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記ボールナットと前記動力伝達要素とがミスアライメント吸収手段を介して連結されたことを特徴とする、請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記ミスアライメント吸収手段が弾性継手であることを特徴とする、請求項3記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記ミスアライメント吸収手段がオルダム継手であることを特徴とする、請求項3記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記ボールナットと前記動力伝達要素とがトルクリミッタを介して連結されたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記トルクリミッタが、複数本の突条を周面に有したばね環であり、前記ボールナットと前記動力伝達要素との間に圧入されることを特徴とする、請求項6記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記ボールナットと前記動力伝達要素とが軸方向摺動自在な連結手段を介して連結されたことを特徴とする、請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記連結手段がスプラインまたはセレーションまたはキーであることを特徴とする、請求項8記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記ボールナットと前記ステアリングギヤケースとの間に弾性体が介装されたことを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電動パワーステアリング装置。
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