JP2004155146A - 光学フィルムとその製造方法、それを用いた偏光板及び表示装置 - Google Patents

光学フィルムとその製造方法、それを用いた偏光板及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、すじ状の故障が低減されかつ、均一な金属化合物層を形成できる光学フィルム及び光学フィルムの製造方法を提供することであり、さらに、高温高湿条件でも物性変動することのない、また、真空プロセスを必要としないことから大幅なコスト低減が可能な光学フィルムを提供することにある。
【解決手段】セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルを含有するセルロースエステルフィルム上に直接又は他の層を介して主に窒素を含有する大気圧近傍のガス雰囲気下でプラズマ処理によって形成された金属化合物層を有する光学フィルム。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大気圧近傍のガス雰囲気下でプラズマ処理によって形成された金属化合物層を有する光学フィルム、その製造方法および該光学フィルムを有する低反射偏光板、表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大気圧近傍の圧力下において対向電極間にパルス化された電界を印加することによりグロー放電を生じさせ、反応性ガスによりプラズマを生成させ基材表面に機能性薄膜を形成するグロー放電プラズマ処理方法(大気圧プラズマ処理法)についてはよく知られている。
【0003】
大気圧プラズマ処理法は真空プロセスを用いる方法と比較して高真空設備がいらないため安価に機能性膜を基材上に形成できる。
【0004】
しかしながら、反応ガスとして、ヘリウム等の希ガスを用いるとそのメリットが失われてしまう。そのため、ヘリウム等に比べ安価なアルゴンや窒素気体中での安定した処理が可能とする方法として、特開平11−181573号公報(特許文献1)等に、安価な窒素雰囲気でのプラズマ処理法が提案されている。しかしながら、窒素雰囲気でのプラズマ処理は、窒素ガスは放電開始電圧が高く高密度で安定なプラズマ状態を維持することがヘリウムよりも難しいため、形成される機能性膜の膜質が十分でなく、ヘリウム等の希ガスを用いた場合に比べ、特性が劣ってしまったり、一方で、膜質をあげるため放電を強くすると均一な膜が得にくい、また、すじ状の故障が発生しやすいなどその改善が求められていた。
【0005】
このため、例えば、2周波印加による大気圧プラズマ法が提案されており、例えば、大気圧近傍の圧力下において対向電極間に高圧電流によるパルス化された電界を印加することによりグロー放電を生じさせ、更に高周波交流パルス波を印加してプラズマを維持させ反応性ガスによりプラズマを生成させ基材表面に機能性薄膜を形成するグロー放電プラズマ処理方法(大気圧プラズマ処理法)が特開2002−110397号公報(特許文献2)に開示されている。
【0006】
透明性に優れ、光学的に等方性の高いトリアセチルセルロース基材上に上記の様に、大気圧プラズマ処理によって、例えば反射防止層等の機能性層を形成して反射防止フィルム等の光学フィルムを得ることができることは、これまで、例えば特開2000−26632号公報等に記載されている。
【0007】
しかしながら、前記トリアセチルセルロース等を基材としたフィルムにおいては、最近の厳しい光学的性質や物性に関する要求、例えば、光学的等方性や、特に高温高湿条件での寸度安定性等の物性変動に対する要求を満足することが難しくなってきている。また、製膜時や、その後の機能性層の形成時における、吸湿に起因するしわの発生や、それによるスジ故障等に対しても満足すべき性能を得ることが難しくなってきている。
【0008】
これに対し、セルロースエステルの材料の側からも、例えば、特開2000−265638号公報、同2000−265639号公報そして特に特開2002−241512号公報(特許文献3)等に記載されているように、セルロースエステルを構成するカルボン酸残基として芳香族基例えばベンゾイル、ナフトイル等のアシル基を有する芳香族セルロースエステルを用いる試みが行われている。
【0009】
このように、従来用いられてきたトリアセチルセルロース等を基材とした光学フィルムの欠点を改善し、すじ状の故障が低減されかつ、均一な金属化合物層を形成でき、耐久性に優れ、かつ、特に金属化合物層を形成したときに、最近の厳しい光学的性質の一つとして反射光の色むら等が低減された光学フィルムを得ることのできる光学フィルムの製造方法および該光学フィルムに対する要求は依然として大きいものがある。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−181573号公報
【0011】
【特許文献2】
特開2002−110397号公報
【0012】
【特許文献3】
特開2002−241512号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、すじ状の故障が低減されかつ、均一な金属化合物層を形成できる光学フィルム及び光学フィルムの製造方法を提供することであり、さらに、高温高湿条件でも物性変動することのない、また、真空プロセスを必要としないことから大幅なコスト低減が可能な光学フィルムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の手段によって達成される。
【0015】
1.セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルを含有するセルロースエステルフィルム上に直接又は他の層を介して主に窒素を含有する大気圧近傍のガス雰囲気下でプラズマ処理によって形成された金属化合物層を有する光学フィルム。
【0016】
2.セルロースエステルフィルムが分子内に3個以上の芳香族環を有する化合物を含有する前記1に記載の光学フィルム。
【0017】
3.セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルを含有するセルロースエステルフィルムの少なくとも片方の面に、1層以上のハードコート層を設け、さらにその上に直接又は他の層を介して、主に窒素を含有する大気圧近傍のガス雰囲気下で、プラズマ処理によって金属化合物層を形成する光学フィルムの製造方法。
【0018】
4.プラズマ処理が対向する少なくとも2つの電極の間に窒素を主成分とするガスを供給し、該電極間に高周波電圧を印加することにより該ガスを励起し、基材を励起した該ガスに晒すことにより該基材上に金属化合物層を形成する光学フィルムの製造方法であって、前記電極間に印加する高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、該第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2を有する電圧成分とを有することを特徴とする前記3に記載の光学フィルムの製造方法。
【0019】
5.前記1または2に記載の光学フィルムを有する低反射偏光板。
6.前記1または2に記載の光学フィルムを有する表示装置。
【0020】
本発明は、すじ状の故障が低減されかつ、均一な金属化合物層を形成した光学フィルム及び光学フィルムの製造方法を提供する。また、高温高湿条件でも物性変動することのない光学フィルムを提供することができ、この方法によれば真空プロセスを必要としないため、大幅なコスト低減を可能にすることができる。
【0021】
本発明においては、セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルを含有するセルロースエステルを用いる。
【0022】
本発明において用いられる、セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルは、光学的等方性、耐水性(疎水性)および寸度安定性が優れているとの特徴がある。セルロースエステルとは、セルロースの水酸基の一部または全部がカルボン酸とエステル化している化合物の総称である。本発明のセルロースエステルフィルムは、セルロースとエステルを形成するカルボン酸の一部又は全部が、芳香族カルボン酸であることを特徴とする。セルロースを構成するβ−1,4−グリコシド結合しているグルコース単位では、下記式(I)のRが全て水素原子(R:−H)である。本発明で用いるセルロースエステルでは、下記式(I)のRの一部または全部が、芳香族アシル基(R:−CO−Ar)で置換されている。
【0023】
【化1】
Figure 2004155146
【0024】
式中、βは、β−1,4−グリコシド結合であり、nは、セルロースエステルの重合度であり;Rは、RまたはRであり;そして、Arは、(置換基を有していてもよい)芳香族基である。
【0025】
芳香族カルボン酸が有する芳香族環は、芳香族性炭化水素環、芳香族性複素環またはそれらの縮合環である。芳香族性炭化水素環または芳香族性炭化水素環と芳香族性複素環との縮合環が好ましく、芳香族性炭化水素環がさらに好ましい。芳香族性炭化水素環の例には、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環およびピレン環が含まれる。ベンゼン環、ナフタレン環およびアントラセン環が好ましく、ベンゼン環およびナフタレン環がさらに好ましく、ベンゼン環が最も好ましい。言い換えると、芳香族カルボン酸としては、安息香酸が最も好ましい。芳香族性炭化水素環と芳香族性複素環との縮合環の例には、ベンゾトリアゾール環、キノリン環、イソキノリン環、クロメン環、フタラジン環およびインドール環が含まれる。芳香族性炭化水素環に脂肪族性炭化水素環が縮合していてもよい。そのような縮合環の例には、インダン環が含まれる。芳香族性炭化水素環に非芳香族性複素環が縮合していてもよい。そのような縮合環の例には、クロマン環およびインドリン環が含まれる。
【0026】
芳香族カルボン酸は、置換基を有することが好ましい。芳香族カルボン酸が安息香酸である場合、置換基の少なくとも一つが、安息香酸のメタ位またはパラ位に結合していることが特に好ましい。また、安息香酸のオルト位は無置換であることが好ましい。置換基の数は、一個乃至五個であることが好ましく、一個乃至四個であることがより好ましく、一個乃至三個であることがさらに好ましく、一個または二個であることが最も好ましい。
【0027】
芳香族カルボン酸の置換基には、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、シリル、シリルオキシ、カルバモイル、カルバモイルオキシ、スルファモイル、スルファモイルアミノ、ホスフィノ、ホスフィニル、ホスホノ、ホスフィニルオキシ、ホスホノオキシ、ホスフィニルアミノ、ホスホノアミノ、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−CO−R、−O−CO−R、−CO−NH−R、−CO−N(−R)、−O−CO−NH−R、−O−CO−N(−R)、−CO−O−R、−O−CO−O−R、−NH−R、−N(−R)、−NH−CO−R、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−N(−R)、−NH−CO−O−R、−SO−NH−R、−SO−N(−R)、−NH−SO−NH−R、−NH−SO−N(−R)、−NH−SO−R、−SO−R、−SO−R、−N(−CO−R)、−PH−R、−P(−R)、−PH−O−R、−P(−R)−O−R、−P(−O−R)、−PH(=O)−R、−P(=O)(−R)、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)−O−R、−P(=O)(−O−R)、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)、−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)−O−R、−O−P(=O)(−O−R)、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)、−NH−PH(=O)−O−R、−NH−P(=O)(−R)−O−R、−NH−P(=O)(−O−R)、−SiH−R、−SiH(−R)、−Si(−R)、−O−SiH−R、−O−SiH(−R)および−O−Si(−R)が含まれる。
【0028】
上記Rは、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。同一の基に含まれる複数のRは、互いに異なっていてもよい。上記脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基または置換アルキニル基を意味する。アルキル基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至30であることが好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル、ビシクロ[1,2,2]へプタン−2−イルおよびビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルが含まれる。置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。
【0029】
置換アルキル基の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、シリル、シリルオキシ、カルバモイル、カルバモイルオキシ、スルファモイル、スルファモイルアミノ、ホスフィノ、ホスフィニル、ホスホノ、ホスフィニルオキシ、ホスホノオキシ、ホスフィニルアミノ、ホスホノアミノ、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−CO−R、−O−CO−R、−CO−NH−R、−CO−N(−R)、−O−CO−NH−R、−O−CO−N(−R)、−CO−O−R、−O−CO−O−R、−NH−R、−N(−R)、−NH−CO−R、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−N(−R)、−NH−CO−O−R、−SO−NH−R、−SO−N(−R)、−NH−SO−NH−R、−NH−SO−N(−R)、−NH−SO−R、−SO−R、−SO−R、−N(−CO−R)、−PH−R、−P(−R)、−PH−O−R、−P(−R)−O−R、−P(−O−R)、−PH(=O)−R、−P(=O)(−R)、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)−O−R、−P(=O)(−O−R)、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)、−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)−O−R、−O−P(=O)(−O−R)、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)、−NH−PH(=O)−O−R、−NH−P(=O)(−R)−O−R、−NH−P(=O)(−O−R)、−SiH−R、−SiH(−R)、−Si(−R)、−O−SiH−R、−O−SiH(−R)および−O−Si(−R)が含まれる。
【0030】
上記Rは、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。同一の基に含まれる複数のRは、互いに異なっていてもよい。置換アルキル基の例には、2−クロロエチルおよび2−シアノエチルが含まれる。
【0031】
アルケニル基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。アルケニル基の炭素原子数は、2乃至30であることが好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、ビシクロ[1,2,2]へプト−2−エン−1−イルおよびビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イルが含まれる。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。置換アルケニル基の置換基は、置換アルキル基の置換基と同様である。
【0032】
アルキニル基は、環状構造または分岐構造を有していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は、2乃至30であることが好ましい。アルキニル基の例には、エチニルおよびプロパルギルが含まれる。置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。置換アルキニル基の置換基は、置換アルキル基の置換基と同様である。置換アルキニル基の例には、トリメチルシリルエチニルが含まれる。
【0033】
前記芳香族基は、アリール基または置換アリール基を意味する。アリール基の炭素原子数は、6乃至30であることが好ましい。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。
【0034】
置換アリール基の置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、シリル、シリルオキシ、カルバモイル、カルバモイルオキシ、スルファモイル、スルファモイルアミノ、ホスフィノ、ホスフィニル、ホスホノ、ホスフィニルオキシ、ホスホノオキシ、ホスフィニルアミノ、ホスホノアミノ、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−CO−R、−O−CO−R、−CO−NH−R、−CO−N(−R)、−O−CO−NH−R、−O−CO−N(−R)、−CO−O−R、−O−CO−O−R、−NH−R、−N(−R)、−NH−CO−R、−NH−CO−NH−R、−NH−CO−N(−R)、−NH−CO−O−R、−SO−NH−R、−SO−N(−R)、−NH−SO−NH−R、−NH−SO−N(−R)、−NH−SO−R、−SO−R、−SO−R、−N(−CO−R)、−PH−R、−P(−R)、−PH−O−R、−P(−R)−O−R、−P(−O−R)、−PH(=O)−R、−P(=O)(−R)、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)−O−R、−P(=O)(−O−R)、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)、−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)−O−R、−O−P(=O)(−O−R)、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)、−NH−PH(=O)−O−R、−NH−P(=O)(−R)−O−R、−NH−P(=O)(−O−R)、−SiH−R、−SiH(−R)、−Si(−R)、−O−SiH−R、−O−SiH(−R)および−O−Si(−R)が含まれる。
【0035】
上記Rは、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。同一の基に含まれる複数のRは、互いに異なっていてもよい。置換アリール基の例には、p−トリル、m−クロロフェニルおよびo−ヘキサデカノイルアミノフェニルが含まれる。
【0036】
前記複素環基には、無置換複素環基および置換複素環基が含まれる。複素環基は、芳香族性を有していてもよい。複素環基の複素環は、5員環または6員環であることが好ましい。複素環基の炭素原子数は、3乃至30であることが好ましい。置換複素環基の置換基は、置換アリール基の置換基と同様である。複素環基の例には、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニルおよび2−ベンゾチアゾリルが含まれる。
【0037】
芳香族カルボン酸の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基およびアリールオキシスルホニル基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基およびウレイド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基およびカルボンアミド基がさらに好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基およびアリールオキシ基がさらにまた好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基が最も好ましい。
【0038】
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が含まれる。
【0039】
上記アルキル基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至12であることがより好ましく、1乃至6であることがさらに好ましく、1乃至4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチルおよび2−エチルヘキシルが含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至12であることがより好ましく、1乃至6であることがさらに好ましく、1乃至4であることが最も好ましい。
【0040】
アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシおよびオクチルオキシが含まれる。
【0041】
上記アリール基の炭素原子数は、6乃至20であることが好ましく、6乃至12であることがさらに好ましい。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。
【0042】
上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6乃至20であることが好ましく、6乃至12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシおよびナフトキシが含まれる。
【0043】
上記アシル基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至12であることがさらに好ましい。アシル基の例には、ホルミル、アセチルおよびベンゾイルが含まれる。
【0044】
上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至12であることがさらに好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミドおよびベンズアミドが含まれる。
【0045】
上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミドおよびp−トルエンスルホンアミドが含まれる。
【0046】
上記ウレイド基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至12であることがさらに好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
【0047】
上記アラルキル基の炭素原子数は、7乃至20であることが好ましく、7乃至12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチルおよびナフチルメチルが含まれる。
【0048】
上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、2乃至12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。
【0049】
上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7乃至20であることが好ましく、7乃至12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニルが含まれる。
【0050】
上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8乃至20であることが好ましく、8乃至12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニルが含まれる。
【0051】
上記カルバモイル基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至12であることがさらに好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイルおよびN−メチルカルバモイルが含まれる。
【0052】
上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイルおよびN−メチルスルファモイルが含まれる。
【0053】
上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、2乃至12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシおよびベンゾイルオキシが含まれる。
【0054】
上記アルケニル基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよびイソプロペニルが含まれる。
【0055】
上記アルキニル基の炭素原子数は、2乃至20であることが好ましく、2乃至12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例には、エチニルが含まれる。
【0056】
上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至12であることがさらに好ましい。
【0057】
上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6乃至20であることが好ましく、6乃至12であることがさらに好ましい。
【0058】
上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至12であることがさらに好ましい。
【0059】
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6乃至20であることが好ましく、6乃至12であることがさらに好ましい。
【0060】
上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1乃至20であることが好ましく、1乃至12であることがさらに好ましい。
【0061】
上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6乃至20であることが好ましく、6乃至12であることがさらに好ましい。
【0062】
以下に、芳香族カルボン酸から誘導される芳香族アシル基(式(I)のR:−CO−Arに相当)の例を示す。
【0063】
【化2】
Figure 2004155146
【0064】
【化3】
Figure 2004155146
【0065】
【化4】
Figure 2004155146
【0066】
【化5】
Figure 2004155146
【0067】
セルロースを構成するグルコース単位が有する三個の水酸基のうち、上記芳香族カルボン酸とエステル結合している水酸基の数の平均(アシル基の置換度)は、1.0以上3.0以下であることが好ましく、2.0以上3.0以下であることがさらに好ましい。二種類以上の芳香族カルボン酸を用いて、セルロースの混合カルボン酸エステルを形成してもよい。芳香族カルボン酸と、脂肪族カルボン酸(例、酢酸、プロピオン酸、酪酸)との混合エステルを形成してもよい。ただし、脂肪族カルボン酸との混合エステルを形成する場合も、芳香族カルボン酸の置換度が、上記の定義のように1.0以上3.0以下であることが好ましく、2.0以上3.0以下であることがさらに好ましい。
【0068】
本発明に係わるセルロースエステルは、セルロースと芳香族カルボン酸クロライドまたは芳香族カルボン酸無水物との反応により製造することができる。セルロースと芳香族カルボン酸無水物との反応により製造することが好ましい。芳香族カルボン酸無水物は、芳香族カルボン酸とハロゲン化カルボン酸(例、トリフルオロ酢酸)との混合酸無水物であることが特に好ましい。混合酸無水物は、芳香族カルボン酸とハロゲン化カルボン酸無水物との反応により合成することができる。セルロースと芳香族カルボン酸無水物(または混合酸無水物)との反応については、各種文献(例えば、Journal of Applied Polymer Science,Vol.29,3981−3990(1984))に記載がある。セルロースエステルの原料となるセルロースは、一般に綿花リンターまたは木材パルプである。綿花リンターと木材パルプとを混合して使用してもよい。セルロースエステルの合成反応では、反応溶媒としてハロゲン化炭化水素(例、ジクロロメタン)が好ましく用いられる。セルロースエステルの粘度平均重合度は150乃至700であることがが好ましく、250乃至550であることがさらに好ましい。粘度平均重合度は、オストワルド粘度計で測定することができる。
【0069】
[合成例1]セルロースエステル(A)の合成
【0070】
【化6】
Figure 2004155146
【0071】
冷却管、攪拌機および温度計がついた200mlの三口フラスコに、m−トルイル酸10.9g(0.08モル)と無水トリフルオロ酢酸16.8g(0.08モル)とを入れ、50℃で30分間攪拌した。次にセルロース微粉末4.1g(0.025モル)とジクロロメタン80mlとを入れ、5時間加熱環流した。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、攪拌しながらメタノール500mlにゆっくり注ぎ込んで再沈殿させた。得られた白色結晶を濾取し、乾燥することにより、セルロースエステルAを得た。終了は12.3g(95%)であった。置換度をNMRで測定したところ、2.9であった。粘度平均重合度は300であった。
【0072】
[合成例2]セルロースエステル(B)の合成
【0073】
【化7】
Figure 2004155146
【0074】
冷却管、攪拌機および温度計がついた200mlの三口フラスコに、p−アニス酸12.2g(0.08モル)と無水トリフルオロ酢酸16.8g(0.08モル)とを入れ、50℃で30分間攪拌した。次にセルロース微粉末4.1g(0.025モル)とジクロロメタン80mlとを入れ、5時間加熱環流した。反応終了後、反応液を室温まで冷却した後、攪拌しながらメタノール500mlにゆっくり注ぎ込んで再沈殿させた。得られた白色結晶を濾取し、乾燥することにより、セルロースエステルBを得た。収量は12.5g(97%)であった。置換度をNMRで測定したところ、2.8であった。粘度平均重合度は300であった。
【0075】
〈セルロースエステルフィルム〉
セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルからなるセルロースエステルを用いてフィルムを製造する。
【0076】
本発明において、セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルを含有するセルロースエステルフィルムとは、セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルに、セルロースと脂肪酸(例、酢酸、プロピオン酸、酪酸)とのエステルを混合して用いてもよいということであり、混合物中には、セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルが50質量%以上含まれることが好ましく、60質量%以上含まれることがより好ましく、70質量%以上含まれることがさらに好ましく、80質量%以上含まれることがさらにまた好ましく、90質量%以上含まれることが最も好ましい。セルロースエステルフィルムは、ソルベントキャスト法またはメルトキャスト法で製造する。ソルベントキャスト法の方が、メルトキャスト法よりも好ましい。ソルベントキャスト法では、セルロースエステルを溶媒に溶解した溶液(ドープ)を調製し、溶液を支持体上に流延し、乾燥することによりフィルムを製造する。
【0077】
溶媒としては、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、アルコール、炭化水素あるいはこれらの混合物が用いられる。ハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1乃至7であることが好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子または塩素原子が好ましく、塩素原子がさらに好ましい。炭化水素の水素原子がハロゲン原子で置換されている割合は、10乃至90モル%であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の例には、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロベンゼンが含まれる。エーテルの炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、3乃至8であることがさらに好ましい。エーテルは、環状構造を有していてもよく、二つ以上のエーテル結合(−O−)を有していてもよい。エーテルの例には、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、1,3,5−トリオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
【0078】
ケトンの炭素原子数は、3乃至12であることが好ましく、3乃至8であることがさらに好ましい。ケトンは、環状構造を有していてもよく、二つ以上のカルボニル基(−CO−)を有していてもよい。ケトンの例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルペンチルケトン、シクロブタノン、メチルヘキシルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、1,4−シクロヘキサンジオンおよびアセトフェノンが含まれる。エステルの炭素原子数は、2乃至12であることが好ましく、3乃至8であることがさらに好ましい。エステルは、環状構造を有していてもよく、二つ以上のエステル結合(−COO−)を有していてもよい。エステルの例には、メチルホルメート、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテート、ペンチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、メチルプロピオネート、プロピルバレレート、γ−ブチロラクトンおよびジアセトキシエタンが含まれる。
【0079】
アルコールの炭素原子数は、1乃至8であることが好ましい。アルコールは、環状構造を有していてもよく、二つ以上の水酸基(−OH)を有していてもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール、2−フルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエタノールおよび2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールが含まれる。炭化水素の炭素原子数は、5乃至10であることが好ましい。炭化水素の例には、シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレンが含まれる。エーテル、ケトン、エステルおよびアルコールの官能基(すなわち、−O−、−CO−、−COO−、−OH)のいずれか二種類以上を有する化合物も溶媒として用いることができる。二種類以上の官能基を有する溶剤の例には、2−エトキシ酢酸エチル、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、アセト酢酸エチルおよびアセト酢酸メチルが含まれる。
【0080】
セルロースエステルは、溶媒の種類に応じて(1)常温処理、(2)高温処理、(3)低温処理および(4)低温→高温処理のいずれかの方法によって溶解することができる。(2)と(4)の高温処理においては、さらに高圧条件を併用することが好ましい。
(1)の常温処理の温度は、一般に−10乃至40℃である。
(2)および(4)の高温処理の温度は、一般に70乃至240℃、好ましくは80乃至220℃、さらに好ましくは100乃至200℃、最も好ましくは100乃至190℃である。
(3)および(4)の低温処理の温度は、一般に−100乃至−10℃、好ましくは−80乃至−10℃、さらに好ましくは−50乃至−20℃、最も好ましくは−50乃至−30℃である。
【0081】
フィルム製造に用いるセルロースエステル溶液(ドープ)の濃度は、10乃至40質量%であることが好ましく、10乃至30質量%であることがさらに好ましい。ドープ中には、様々な添加剤を加えることができる。セルロースエステルフィルムの添加剤には、後述するが、可塑剤(例、リン酸エステル、カルボン酸エステル)、劣化防止剤(例、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤)、紫外線吸収剤、着色剤、微粒子、熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤や滑剤が含まれる。
【0082】
ドープを流延する支持体としては、ドラムまたはバンドが用いられる。ドラムまたはバンドの表面は、予め鏡面仕上げしておくことが好ましい。ドラムまたはバンドの表面温度を予め低温(10℃以下)にして、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮してもよい(特公平5−17844号公報記載)。二種類以上のドープを共流延して、多層構造のセルロースエステルフィルムを製造できる。二種類以上のドープとしては、一般に低粘度と高粘度との二種類のドープを使用する。セルロースエステルフィルムとその上に設ける機能層(例、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、UV吸収層、偏光層)とを共流延することもできる。
【0083】
支持体から剥ぎ取ったフィルムは、さらに乾燥させる。フィルム中の残留溶媒量は2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましく、0.4質量%以下であることが最も好ましい。乾燥工程では、ロール状フィルムは幅方向に収縮しようとする。幅方向の両端をクリップで保持して乾燥するテンター方式(例えば、特開昭62−46625号公報記載)が好ましい。作製したフィルムは、必要に応じて延伸処理することができる。セルロースエステルフィルムの厚さは、5乃至500μmであることが好ましく、10乃至250μmであることがさらに好ましく、20乃至200μmであることが最も好ましい。作製したセルロースエステルフィルムには、さらに塗布により、下塗り層、帯電防止層、ハレーション防止層や保護層を設けてもよい。
【0084】
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは、光学的等方性が高いとの特徴がある。光学的等方性としては、面内のレターデーション(Re)および厚さ方向のレターデーション(Rth)の値が小さいことが重要である。面内のレターデーション(Re)の測定では、エリプソメーター(偏光解析計AEP−100:島津製作所(株)製)を用いて、波長632.8nmにおける面内の縦横の屈折率差を求める。面内のレターデーション(Re)は、得られた屈折率差にフィルム膜厚さを乗じた値であり、下記の式で求められる。
【0085】
Re=(nx−ny)×d
式中、nxは、横方向の屈折率であり、nyは、縦方向の屈折率であり、そして、dは、フィルムの厚さ(nm)である。面内のレターデーション(Re)が小さいほど、面内方向の光学的等方性が高い(光学異方性がない)ことを意味する。面内のレターデーション(Re)は、0乃至300nmであることが好ましく、0乃至200nmであることがより好ましく、0乃至100nmであることがさらに好ましく、0乃至50nmであることがさらにまた好ましく、0乃至20nmであることが最も好ましい。フィルムの厚さを100μmに換算した場合の面内のレターデーション(Re)も、上記の数値範囲に含まれることが好ましい。
【0086】
フィルムの厚さ方向のレターデーション(Rth)は、波長632.8nmにおける厚さ方向の複屈折にフィルム膜厚さを乗じた値であり、下記の式で求められる。
【0087】
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
式中、nxは、横方向の屈折率、nyは、縦方向の屈折率、nzは、厚さ方向の屈折率であり、そして、dは、フィルムの厚さ(nm)である。厚さ方向のレターデーション(Rth)が小さいほど、厚さ方向の光学的等方性が高い(光学異方性がない)ことを示す。厚さ方向のレターデーション(Rth)は、0乃至600nmであることが好ましく、0乃至400nmであることがより好ましく、0乃至300nmであることがさらに好ましく、0乃至100nmであることがさらにまた好ましく、0乃至70nmであることが最も好ましい。フィルムの厚さを100μmに換算した場合の厚さ方向のレターデーション(Rth)も、上記の数値範囲に含まれることが好ましい。
【0088】
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは、疎水性が高く耐水性が優れているとの特徴がある。その結果として、フィルムの含水量(含水率)を低い値とすることができる。フィルムの含水量は、カールフィッシャー法に従う測定機(カールフィッシャー水分測定装置CA−05、三菱化学(株)製、水分気化装置:VA−05、内部液:アクアミクロンCXμ、外部液:アクアミクロンAX、窒素気流量:200ml/分、加熱温度:150℃)を用いて容易に測定できる。具体的には、25℃、相対湿度60%で2時間以上調湿した試料を、0.6〜1.0g精秤し、測定機で測定し、得られた水分量から含水量(含水率)を求めることができる。フィルム規格としては、1.4±0.3%であることが好ましい。
【0089】
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは、寸度安定性が優れているとの特徴もある。寸度安定性は、元の長さに対する変化率(%)として、寸度変化(収縮)率を測定して評価する。具体的には、フィルムの表面2カ所に十文字型の印を付け、熱処理(90℃、120時間)を施す前後での印間の距離を、顕微鏡で測定し、寸法の収縮率を算出する。寸度変化率は、0〜−0.06%であることが好ましい。
【0090】
〈光学材料〉
本発明に係わるセルロースエステルフィルムは光学材料の保護膜または支持体として好ましく用いることができる。光学材料としては、偏光膜を有する偏光板と光学的異方性層を有する位相差板とが代表的である。
【0091】
偏光板(直線偏光板)は、偏光膜の両側に二枚の保護膜を配置した構成を有する。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜と染料系偏光膜は、ポリビニルアルコールフィルムを用いて製造する。偏光板の保護膜としては、従来からセルローストリアセテートフィルムが一般に用いられていた。本発明に従うセルロースエステルフィルムは、偏光板の少なくとも一方の保護膜として好ましく用いることができる。保護膜の表面に表面処理してもよく、反射防止層を形成した反射防止フィルムとしてもよい。表面処理には、ハードコート処理、防曇処理、防眩処理および防汚処理が含まれる。
【0092】
位相差板の光学的異方性層は、延伸複屈折率フィルムまたは液晶性分子から形成できる。延伸複屈折率フィルムは、ポリマーフィルムの延伸により得られる。ポリマーフィルムとしては、ポリカーボネートフィルムやポリスルホンフィルムのような複屈折率が高い合成ポリマーフィルムが一般に用いられる。棒状液晶性分子またはディスコティック液晶性分子を用いて、光学的異方性層を形成することもできる。液晶性分子は、多様な配向形態があるため、ポリマーフィルムの場合よりも、容易に任意の光学的異方性を達成できる。液晶性分子に重合性基を導入し、重合により液晶性分子の配向状態を固定することが好ましい。位相差板は、液晶セルの光学補償シート、λ/4板あるいはλ/2板のような様々な用途がある。
【0093】
光学補償シートでは、液晶セルの光学的性質(特に液晶セルの表示モード)に応じて、光学的異方性層の光学的性質(液晶性分子から形成する場合は、液晶性分子の配向状態)を決定する。λ/4板あるいはλ/2板の用途においては、光学的異方性層の面内のレターデーション(Re)を波長(λ)の1/4または1/2となるように調節する。光学補償シートと前記の偏光板とを一体化した楕円偏光板を作製することもできる。また、λ/4板と前記の偏光板とを積層すると、円偏光板が得られる。楕円偏光板または円偏光板においては、光学補償シートの支持体と、偏光板の保護膜とを一枚のフィルムで共通化することもできる。本発明に従うセルロースエステルフィルムは、そのように共通化された一枚のフィルムにも使用することができる。
【0094】
本発明の光学フィルムは前記セルロースエステルフィルム上に直接または他の層を介して窒素雰囲気下で大気圧プラズマ処理によって金属化合物層を形成したものであり、位相差フィルムとしては、前記ReやRthの経時変動が少なく、20型以上の大画面液晶表示装置に使用しても安定した表示品質を提供することができる。
【0095】
〈光学フィルム〉
本発明において、前記反射防止フィルムとするには、前記セルロースエステルフィルムに直接或いは他の層を介して主として窒素を含有する大気圧近傍のガス雰囲気下で、金属化合物を含有する反応ガスを用いてプラズマCVD処理によって金属化合物層を形成する。
【0096】
プラズマCVD法としては、例えば特開平11−181573号、特開2000−26632、同2002−110397等に記載の方法等公知の方法をもちいることができるが、本発明において、特に主として窒素を含有する大気圧近傍のプラズマ放電処理によって金属酸化物層を形成するには、以下に詳説する2周波電源を用いる方法が特に好ましく用いられる。
【0097】
以下に、本発明に係わるプラズマ放電処理により金属化合物層を形成する方法を図1、2を用いて説明する。
【0098】
図1は本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【0099】
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電圧印加手段の他に、図1では図示してないが、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
【0100】
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの第1の周波数ωの高周波電圧Vが印加され、また第2電極12からは第2電源22からの第2の周波数ωの高周波電圧Vが印加されるようになっている。第1電源21は第2電源22より大きな高周波電圧(V>V)を印加出来る能力を有していればよく、また第1電源21の第1の周波数ωは第2電源22の第2の周波数ωより低い周波数である。
【0101】
第1電極11と第1電源21との間には、第1電源21からの電流が第1電極11に向かって流れるように第1フィルター23が設置されており、第1電源21からの電流をアース側に通過しにくくし、第2電源22からの電流がアース側へと通過し易くするように設計されている。
【0102】
また、第2電極12と第2電源22との間には、第2電源22からの電流が第2電極12に向かって流れるように第2フィルター24が設置されており、第2電源22からの電流をアース側へ通過しにくくし、第1電源21からの電流がアース側に通過し易くなるように設計されている。
【0103】
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、ここでは図示してない(後述の図2に図示してあるような)ガス供給手段からガスGを導入し、第1電極11と第2電極12から高周波電圧を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基材Fとで作る処理空間にプラズマ状態のガスG°を送り、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る基材Fの上に、処理位置14付近で薄膜を形成させる。このとき基材Fは温度制御可能なバックロール上に配置されていてもよい。薄膜形成中、ここでは図示してない(後述の図2に図示してあるような)電極温度調節手段から配管を経て電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラが出来るだけ生じないように電極の表面の温度を均一に調節することが望まれる。
【0104】
また、図1に前述の高周波電圧(印加電圧)と放電開始電圧の測定に使用する測定器を示した。25及び26は高周波プローブであり、27及び28はオシロスコープである。
【0105】
ジェット方式の該大気圧プラズマ放電処理装置を複数基接して直列に並べて配置することが好ましく、これにより何回もプラズマ処理され高速で製膜することも出来る。また各装置が異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、組成の異なった層の金属化合物積層薄膜を形成することも出来る。
【0106】
図2は本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【0107】
本発明で好ましく用いられる気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電圧印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
【0108】
図2は、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との対向電極間(放電空間)32で、基材Fをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
【0109】
ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との間の放電空間(対向電極間)32に、ロール回転電極(第1電極)35には第1電源41から周波数ωであって高周波電圧Vを、また角筒型固定電極群(第2電極)36には第2電源42から周波数ωであって高周波電圧Vをかけるようになっている。
【0110】
ロール回転電極(第1電極)35と第1電源41との間には、第1電源41からの電流がロール回転電極(第1電極)35に向かって流れるように第1フィルター43が設置されており、該第1フィルターは第1電源41からの電流がアース側へ通過しにくくし、第2電源42からの電流がアース側に通過し易くするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)36と第2電源42との間には、第2電源からの電流が第2電極に向かって流れるように第2フィルター44が設置されており、第2フィルター44は、第2電源42からの電流がアース側へ通過しにくくし、第1電源41からの電流をアース側に通過し易くするように設計されている。
【0111】
なお、ロール回転電極35を第2電極、また角筒型固定電極群36を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より大きな高周波電圧(V>V)を印加出来る能力を有しており、また、周波数はω<ωとなる能力を有している。
【0112】
ガス供給手段50のガス供給装置51で発生させたガスGは、流量を制御して給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に導入する。図では配管等は示していないが、角筒型固定電極群36の間隙より放電空間32へとガスGが供給され、同様に角筒型固定電極群36の間隙より処理排ガスG′を排出する。
【0113】
基材Fを、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されて来るか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極35に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群36との間に移送し、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との両方から電圧をかけ、対向電極間(放電空間)32で放電プラズマを発生させる。基材Fはロール回転電極35に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。基材Fは、ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
【0114】
放電処理済みの処理排ガスG′は排気口53より排出する。
薄膜形成中、ロール回転電極(第1電極)35及び角筒型固定電極群(第2電極)36を加熱または冷却するために、電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界とを仕切る仕切板である。
【0115】
図3は、図2に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0116】
図3において、ロール電極35aは導電性の金属質母材35Aとその上に誘電体35Bが被覆されたものである。内部は中空のジャケットになっていて電極表面の温度を均一に制御するための媒体が循環できるようになっている。
【0117】
図4は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【0118】
図4において、角筒型電極36aは、導電性の金属質母材36Aに対し、図3同様の誘電体36Bの被覆を有し、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の電極表面の温度を調節できるようになっている。
【0119】
なお、角筒型固定電極は、上記ロール電極に対向して複数本設置することができ、該電極の放電面積はロール回転電極35に対向している全角筒型固定電極面の面積の和で表される。
【0120】
図4に示した角筒型電極36aは、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
【0121】
図3及び4において、ロール電極35a及び角筒型電極36aは、それぞれ導電性の金属質母材35A及び36Aの上に誘電体35B及び36Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は膜厚で0.5〜4mmが好ましく、特に1〜2mmが好ましい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ガラスライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
【0122】
導電性の金属質母材35A及び36Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料等を挙げることが出来るが、後述の理由から、チタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
【0123】
2個の電極間の距離(電極間隙)は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合の誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設けた場合の誘電体表面同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1nm〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5nm〜2mmである。
【0124】
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
【0125】
プラズマ放電処理容器31はパイレックス(R)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。図1において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質の物で覆うことが好ましい。
【0126】
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
Figure 2004155146
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
【0127】
また、第2電源(高周波電源)としては、
Figure 2004155146
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用出来る。
【0128】
本発明においては、このような電圧を印加して、安定したグロー放電状態を保つことが出来る電極をプラズマ放電処理装置に採用することが望まれる。
【0129】
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極に1W/cm以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成性ガスに与え薄膜を形成させる。供給する電力は1〜50W/cmが好ましい。なお、放電面積(cm)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
【0130】
ここで電源の印加法に関しては、連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モードのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
【0131】
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
【0132】
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10−6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10−6/℃以下、更に好ましくは5×10−6/℃以下、更に好ましくは2×10−6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
【0133】
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
Figure 2004155146
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記(a)または(b)および(e)〜(h)が好ましく、特に、(a)が好ましい。
【0134】
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることが出来る。
【0135】
本発明に有用な電極の金属質母材は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用出来るが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることが出来る。工業用純チタンとしては、TIA、TIB、TIC、TID等を挙げることが出来、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているもので、チタンの含有量としては、99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることが出来、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量としては、98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることが出来、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材としてチタン合金またはチタン金属の上に施された後述の誘電体との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることが出来る。
【0136】
一方、誘電体の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、後述のセラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。
【0137】
または、上述のような大電力に耐える仕様の一つとして、誘電体の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。なお、誘電体の空隙率は、BET吸着法や水銀ポロシメーターにより測定することが出来る。後述の実施例においては、島津製作所製の水銀ポロシメーターにより金属質母材に被覆された誘電体の破片を用い、空隙率を測定する。誘電体が、低い空隙率を有することにより、高耐久性が達成される。このような空隙を有しつつも空隙率が低い誘電体としては、後述の大気プラズマ溶射法等による高密度、高密着のセラミックス溶射被膜等を挙げることが出来る。更に空隙率を下げるためには、封孔処理を行うことが好ましい。
【0138】
上記、大気プラズマ溶射法は、セラミックス等の微粉末、ワイヤ等をプラズマ熱源中に投入し、溶融または半溶融状態の微粒子として被覆対象の金属質母材に吹き付け、皮膜を形成させる技術である。プラズマ熱源とは、分子ガスを高温にし、原子に解離させ、更にエネルギーを与えて電子を放出させた高温のプラズマガスである。このプラズマガスの噴射速度は大きく、従来のアーク溶射やフレーム溶射に比べて、溶射材料が高速で金属質母材に衝突するため、密着強度が高く、高密度な被膜を得ることが出来る。詳しくは、特開2000−301655に記載の高温被曝部材に熱遮蔽皮膜を形成する溶射方法を参照することが出来る。この方法により、上記のような被覆する誘電体(セラミック溶射膜)の空隙率にすることが出来る。
【0139】
また、大電力に耐える別の好ましい仕様としては、誘電体の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
【0140】
誘電体の空隙率をより低減させるためには、上記のようにセラミックス等の溶射膜に、更に、無機化合物で封孔処理を行うことが好ましい。前記無機化合物としては、金属酸化物が好ましく、この中では特に酸化ケイ素(SiO)を主成分として含有するものが好ましい。
【0141】
封孔処理の無機化合物は、ゾルゲル反応により硬化して形成したものであることが好ましい。封孔処理の無機化合物が金属酸化物を主成分とするものである場合には、金属アルコキシド等を封孔液として前記セラミック溶射膜上に塗布し、ゾルゲル反応により硬化する。無機化合物がシリカを主成分とするものの場合には、アルコキシシランを封孔液として用いることが好ましい。
【0142】
ここでゾルゲル反応の促進には、エネルギー処理を用いることが好ましい。エネルギー処理としては、熱硬化(好ましくは200℃以下)や、紫外線照射などがある。更に封孔処理の仕方として、封孔液を希釈し、コーティングと硬化を逐次で数回繰り返すと、よりいっそう無機質化が向上し、劣化の無い緻密な電極が出来る。
【0143】
本発明に係る誘電体被覆電極の金属アルコキシド等を封孔液として、セラミックス溶射膜にコーティングした後、ゾルゲル反応で硬化する封孔処理を行う場合、硬化した後の金属酸化物の含有量は60モル%以上であることが好ましい。封孔液の金属アルコキシドとしてアルコキシシランを用いた場合には、硬化後のSiO(xは2以下)含有量が60モル%以上であることが好ましい。硬化後のSiO含有量は、XPS(X線光電子スペクトル)により誘電体層の断層を分析することにより測定できる。
【0144】
本発明の光学フィルムの製造方法に係る電極においては、電極の少なくとも基材と接する側のJIS B 0601で規定される表面粗さの最大高さ(Rmax)が10μm以下になるように調整することが好ましいが、更に好ましくは、8μm以下であり、特に好ましくは、7μm以下に調整することである。このように誘電体被覆電極の誘電体表面を研磨仕上げする等の方法により、誘電体の厚み及び電極間のギャップを一定に保つことが出来、放電状態を安定化出来ること、更に熱収縮差や残留応力による歪やひび割れを無くし、且つ、高精度で、耐久性を大きく向上させることが出来る。誘電体表面の研磨仕上げは、少なくとも基材と接する側の誘電体において行われることが好ましい。
【0145】
また、基材と接する側の誘電体の表面と、接している基材Fの裏面との間の動摩擦係数は1.5以下であることが好ましく、更に好ましくは0.01〜1.2であり、更に好ましくは0.01〜0.9であり、更に好ましくは0.01〜0.7である。
【0146】
本発明に使用する誘電体被覆電極において、大電力に耐える他の好ましい仕様としては、耐熱温度が100℃以上であることである。更に好ましくは120℃以上、特に好ましくは150〜500℃である。なお、耐熱温度とは、絶縁破壊が発生せず、正常に放電出来る状態において耐えられる最も高い温度のことを指す。このような耐熱温度は、上記のセラミックス溶射や、泡混入量の異なる層状のガラスライニングで設けた誘電体を適用したり、下記金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差の範囲内の材料を適宜選択する手段を適宜組み合わせることによって達成可能である。
【0147】
〈反応ガス〉
本発明の金属酸化物薄膜層の形成方法に用いる反応ガスについて説明する。
【0148】
薄膜層を形成するための反応ガスは、主に窒素を含むガスである。すなわち、窒素ガスが50%以上で含有することが好ましく、さらに好ましくは70%以上で含有することが好ましく、さらに好ましくは90体積%〜99.99体積%であることが望ましい。反応ガスには窒素のほかに希ガスが含有していてもよい。
【0149】
ここで、希ガスとは、周期表の第18属元素、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等であり、本発明では、ヘリウム、アルゴン等が窒素に添加されて用いられてもよい。
【0150】
窒素ガスは安定したプラズマ放電を発生させるために用いられ、反応ガスには薄膜を形成するための原料として、反応性ガスが添加される。該プラズマ中で反応性ガスはイオン化あるいはラジカル化され、基材表面に堆積あるいは付着するなどして薄膜が形成される。
【0151】
更に、反応ガス中に酸素、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化窒素、一酸化窒素、水、過酸化水素、オゾン等を0.1体積%〜10体積%含有させることにより薄膜層の硬度、密度等の物性を制御することができる。これらは適宜選択される。
【0152】
本発明の薄膜形成方法を実施するにあたり、使用するガスは、基材上に設けたい薄膜の種類によって異なるが、基本的に、窒素ガスと、薄膜を形成するための反応性ガスの混合ガスで、本発明においてこの混合ガスを反応ガスという。反応性ガスは、反応ガスに対し、0.01〜10体積%含有させることが好ましい。薄膜の膜厚としては、一つの層あたり0.1〜1000nmの範囲の薄膜が好ましく得られる。
【0153】
光学フィルムとしての反射防止フィルムにおける、反射防止層は、通常、基材よりも屈折率の高い高屈折率の層と基材よりも屈折率の低い低屈折率の層を組み合わせることにより達成される。構成の例としては、単層、多層の各種知られているが、多層のものとしては基材側から高屈折率層と低屈折率層の2層から成る構成や、屈折率の異なる3層を、中屈折率層(基材等よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)、高屈折率層、低屈折率層の順に積層することや、高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層の4層以上を積層すること等が提案されている。中でも、耐久性、光学特性、コストや生産性などから、ハードコート層を有する基材上に、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を設けることが好ましい。
【0154】
基材面に(中屈折率層を設ける場合もある)高屈折率層、その上に低屈折率層を順に積層し、高屈折率層及び低屈折率層の光学膜厚を光の波長に対し所定の値に設定することにより光学干渉層を作り、反射防止積層体としたものが反射防止層としては特に好ましく、屈折率と膜厚は、分光反射率の測定より計算して算出し得る。
【0155】
例えば、反射防止フィルムの低屈折率層は、珪素化合物、又は珪素化合物とフッ素化合物の混合物、又はフッ素系化合物の層が好ましく用いられる。
【0156】
高屈折率層としてはチタン化合物を、中屈折率層形成用としては錫化合物又はチタン化合物と珪素化合物の混合物(又は高屈折率形成用のチタン化合物で形成した層、低屈折率層を形成する珪素化合物で形成した層を積層してもよい)を用いることが出来る。
【0157】
上記低屈折率層や中屈折率層、高屈折率層等の金属化合物薄膜の形成に使用し得る反応性ガスについて、以降、主に説明する。
【0158】
反射防止層薄膜は、大まかに、低屈折率層薄膜には、フッ素化合物または珪素化合物を使用し、中屈折率層薄膜には、スズまたは低屈折率層薄膜に使用する化合物と高屈折率層薄膜に使用する化合物を併用する場合もあり、高屈折率層薄膜にはチタン化合物やジルコニウム化合物またはタンタル化合物を使用することが出来る。また、フッ素化合物は防汚層薄膜にも使用し得る。
【0159】
本発明に有用な反応性ガスとして用いる有機フッ素化合物としては、フッ化炭素ガス、フッ化炭化水素ガス等が好ましい。有機フッ素化合物としては、四フッ化炭素、六フッ化炭素、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭素化合物;二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン、八フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物;更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を挙げることが出来る。これらは単独でも混合して用いてもよい。上記のフッ化炭化水素ガスとしては、二フッ化メタン、四フッ化エタン、四フッ化プロピレン、三フッ化プロピレン等を挙げることが出来る。更に、一塩化三フッ化メタン、一塩化二フッ化メタン、二塩化四フッ化シクロブタン等のフッ化炭化水素化合物のハロゲン化物やアルコール、酸、ケトン等の有機化合物のフッ素置換体を用いることが出来るがこれらに限定されない。また、これらの化合物が分子内にエチレン性不飽和基を有していても良い。また、上記の化合物は混合して用いても良い。また、本発明に係わる有機フッ素化合物が常温常圧で気体である場合は、反応性ガスの成分としてそのまま使用出来るので最も容易に本発明の方法を遂行することが出来る。しかし、有機フッ素化合物が常温常圧で液体または固体である場合には、気化手段により、例えば加熱、減圧等により気化して使用すればよく、適切な有機溶媒に溶解して用いてもよい。上記有機フッ素化合物は、有害ガスとしてのフッ化水素を生成しないものが好ましく、上記のものは何れも安全に使用し得る。また、有機フッ素化合物ガスを用いることによって、処理面にフッ素含有基を形成させて表面エネルギーを低くし、撥水性表面を得る撥水膜を得ることが出来、防汚層薄膜に応用出来る。本発明に有用な反応性ガスに有機フッ素化合物を用いる場合、プラズマ放電処理によりセルロースエステルフィルム上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の反応性ガスとしての有機フッ素化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0160】
珪素化合物は、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。また、上記記載の珪素化合物を放電空間である電極間に導入するには、両者は常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入出来るが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。珪素化合物を加熱により気化して用いる場合、テトラエトキシシランなどの常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、アセトン、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用出来る。
【0161】
上記記載の珪素化合物としては、例えば、ジメチルシラン、テトラメチルシランなどの有機金属化合物、モノシラン、ジシランなどの金属水素化合物、二塩化シラン、三塩化シランなどの金属ハロゲン化合物、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、オルガノシラン、含フッ素有機シラン化合物などを用いることが好ましいがこれらに限定されない。また、これらは適宜組み合わせて用いることが出来る。
【0162】
反応ガス中に上記記載の珪素化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中の珪素化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0163】
中屈折率層薄膜あるいは高屈折率層薄膜を形成し得る反応性ガス化合物としては、例えば、亜鉛アセチルアセトナート、ジエチル亜鉛、ジメチル亜鉛、トリエチルインジウム、トリメチルインジウム、エトラエチルスズ、エトラメチルスズ、二酢酸ジ−n−ブチルスズ、テトラブチルスズ、テトラオクチルスズ、ペンタイソプロポキシタンタルなどから選択された少なくとも1つの有機金属化合物を含む反応性ガスを用いて、導電性層薄膜膜あるいは帯電防止層薄膜、あるいは反射防止層薄膜の中屈折率層薄膜あるいは高屈折率層薄膜として有用な金属化合物層を形成することが出来る。
【0164】
チタン化合物としては、取り扱い上の観点から金属水素化合物、金属アルコキシドが好ましく、腐食性、有害ガスの発生がなく、工程上の汚れなども少ないことから、金属アルコキシドが好ましく用いられる。高屈折率層薄膜として有用なチタン化合物は、テトラジメチルアミノチタンなどの有機金属化合物、モノチタン、ジチタンなどの金属水素化合物、二塩化チタン、三塩化チタン、四塩化チタンなどの金属ハロゲン化合物、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタンなどの金属アルコキシドなどを用いることが好ましいがこれらに限定されない。また、上記記載のチタン化合物を放電空間である電極間に導入するには、これらは常温常圧で、気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合は、そのまま放電空間に導入出来るが、液体、固体の場合は、加熱、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用される。珪素化合物、チタン化合物を加熱により気化して用いる場合、テトライソプロポキシチタンなどの常温で液体で、沸点が200℃以下である金属アルコキシドが反射防止膜の形成に好適に用いられる。上記金属アルコキシドは、溶媒によって希釈して使用されても良く、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用出来る。反応ガス中に上記記載のチタン化合物を用いる場合、放電プラズマ処理により基材上に均一な薄膜を形成する観点から、反応ガス中のチタン化合物の含有率は、0.01〜10体積%であることが好ましいが、更に好ましくは、0.1〜5体積%である。
【0165】
また、反応ガス中に酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、窒素から選択される成分を0.01〜10体積%含有させることにより、反応が促進され、且つ、緻密で良質な薄膜を形成することが出来る。
【0166】
本発明に係わる金属化合物層は、大気圧プラズマCVDにおいて、有機金属化合物、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luから選択される金属を含む有機金属化合物を反応性ガスとして用い形成される金属化合物層である。反応性ガスのうち、より好ましくは、これらの有機金属化合物が金属アルコキシド、アルキル化金属、含金属錯体から選ばれるものが好ましい。
【0167】
上記または上記以外の反応性ガスを適宜選択して、本発明の薄膜形成方法に使用することにより前記の低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層のほか、様々な高機能性の薄膜を得ることも出来る。その一例を以下に示すが、本発明はこれに限られるものではない。
【0168】
電極膜:Au、Al、Ag、Ti、Ti、Pt、Mo、Mo−Si
誘電体保護膜:SiO、SiO、Si、Al、Al、Y
透明導電膜:In、SnO
エレクトロクロミック膜:WO、IrO、MoO、V
蛍光膜:ZnS、ZnS+ZnSe、ZnS+CdS
磁気記録膜:Fe−Ni、Fe−Si−Al、γ−Fe、Co、Fe、Cr、SiO、AlO
超導電膜:Nb、Nb−Ge、NbN
太陽電池膜:a−Si、Si
反射膜:Ag、Al、Au、Cu
選択性吸収膜:ZrC−Zr
選択性透過膜:In、SnO
シャドーマスク:Cr
耐摩耗性膜:Cr、Ta、Pt、TiC、TiN
耐食性膜:Al、Zn、Cd、Ta、Ti、Cr
耐熱膜:W、Ta、Ti
潤滑膜:MoS
装飾膜:Cr、Al、Ag、Au、TiC、Cu
高屈折率膜:TiO、ZrO、Ta
本発明の光学フィルムの金属化合物薄膜は、上述のような、大気圧もしくはその近傍の圧力下で上述のような反応ガスを用いて金属化合物薄膜を形成する。
【0169】
薄膜の膜厚としては、前記のように、一つの層あたり0.1〜1000nmの範囲の薄膜が好ましく得られる。
【0170】
本発明の方法で形成される薄膜はスパッタリングや蒸着などの薄膜形成方法と異なる柔軟性を有し、丈夫さにおいてもそれらの方法によるものより格段に優れている。
【0171】
更に、本発明の光学フィルムには窒素を用いた大気圧プラズマ処理によって分子内に親水性基と重合性不飽和結合を有するモノマーの雰囲気下で処理を行うことにより、必要に応じて親水性の重合膜を形成させることも出来る。上記親水性基としては、水酸基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、1級もしくは2級または3級アミノ基、アミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボン酸塩基等の親水性基等を挙げることが出来る。また、ポリエチレングリコール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水性重合膜を形成することが可能である。上記モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、スチレン
スルホン酸ナトリウム、アリルアルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステルなどを挙げることが出来、2種以上併用することも出来る。
【0172】
〈セルロースエステル添加剤〉
以下に、本発明に係わるセルロースと芳香族カルボン酸とのエステルを用いて製造する、延伸セルロースエステルフィルムの添加剤について説明する。
【0173】
本発明に係わるセルロースと芳香族カルボン酸とのエステルを用いた延伸セルロースエステルフィルムには可塑剤又は紫外線吸収剤を添加剤として含有することが好ましい。
【0174】
可塑剤としては、特に限定はないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などを挙げることができる。
【0175】
リン酸エステル系可塑剤としては、
例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等;
フタル酸エステル系可塑剤としては、
例えば、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等;
トリメリット酸系可塑剤としては、例えば、トリブチルトリメリテート、トリフェニルトリメリテート、トリエチルトリメリテート等;
ピロメリット酸エステル系可塑剤としては、
例えば、テトラブチルピロメリテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチルピロメリテート等;
グリセリンエステル系可塑剤としては、
例えば、トリアセチン、トリブチリン等;
グリコール酸エステル系可塑剤としては、
例えば、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート等;
その他のカルボン酸エステル可塑剤の例としては、
例えば、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステル等、あるいはトリメチロールプロパントリベンゾエート等を挙げることができる。
【0176】
これらの中で、リン酸エステル系可塑剤又はグリコール酸エステル系の可塑剤がより好ましい。これらの可塑剤を単独又は併用するのことが更に好ましい。
【0177】
また、可塑剤の使用量は、フィルム性能、加工性等の点で、セルロースエステルに対して1〜30質量%であることが好ましい。
【0178】
次に紫外線吸収剤について説明する。
液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ない紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
【0179】
本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【0180】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては下記一般式〔1〕で示される化合物が好ましく用いられる。
【0181】
【化8】
Figure 2004155146
【0182】
一般式〔1〕において、R、R、R、R及びRは同一でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しくはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基又は5〜6員の複素環基を表し、RとRは閉環して5〜6員の炭素環を形成してもよい。
【0183】
以下に本発明に用いられる紫外線吸収剤の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0184】
UV−1−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−1−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−ter−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−1−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−ter−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−1−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−ter−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール
UV−1−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール
UV−1−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)
また、本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤のひとつであるベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、下記一般式〔2〕で表される化合物がより好ましく用いられる。
【0185】
【化9】
Figure 2004155146
【0186】
一般式〔2〕において、Yは水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はフェニル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基又は−CO(NH)n−1−D基を表し、Dはアルキル基、アルケニル基又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。m及びnは1又は2を表す。
【0187】
上記において、アルキル基としては例えば、炭素数24までの直鎖又は分岐の脂肪族基を表し、アルコキシ基としては例えば、炭素数18までのアルコキシ基で、アルケニル基としては例えば、炭素数16までのアルケニル基で例えばアリル基、2−ブテニル基などを表す。又、アルキル基、アルケニル基、フェニル基への置換分としてはハロゲン原子、例えばクロール、ブロム、フッ素原子など、ヒドロキシ基、フェニル基、(このフェニル基にはアルキル基又はハロゲン原子などを置換していてもよい)などが挙げられる。
【0188】
以下に一般式〔2〕で表されるベンゾフェノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0189】
UV−3−1:2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン
UV−3−2:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
UV−3−3:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン
UV−3−4:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニルメタン)
本発明で好ましく用いられる上記記載の紫外線吸収剤は、透明性が高く、楕円偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
【0190】
紫外線吸収剤の添加方法としては、アルコール、メチレンクロライド、ジオキソランなどの有機溶剤に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、又は直接ドープ組成中(インライン添加)に添加してもよい。無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
【0191】
紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、通常は延伸セルロースエステルフィルム1m当り、0.2〜5.0gが好ましく、0.4〜3.0gがさらに好ましく、0.6〜2.0gが特に好ましい。
【0192】
この他、透湿性改善剤又はフィルム物性改善剤として機能する添加剤を用いることができ、上記添加剤の具体的例の一つとしてトリフェニレン環を有する化合物が挙げられ、その中でも、下記一般式(I)で表される化合物でが好ましい。
【0193】
【化10】
Figure 2004155146
【0194】
一般式(I)において、R、R、R、R、R及びRは、各々水素原子、ハロゲン原子、ニトロ、スルホ、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R11、−S−R12、−CO−R13、−O−CO−R14、−CO−O−R15、−O−CO−O−R16、−NR1718、−CO−NR1920、−NR21−CO−R22、−O−CO−NR2324、−SiR252627、−O−SiR282930、−S−CO−R31、−O−SO−R32、−SO−R33、−NR34−CO−O−R35、−SO−R36又は−NR37−CO−NR3839、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38及びR39は、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。また、RとR、RとR又はRとRは互いに結合して環を形成してもよい。
【0195】
、R、R、R、R及びRは、−O−R11、−S−R12、−O−CO−R14、−O−CO−O−R16、−NR1718、−NR21−CO−R22又は−O−CO−NR2324であることが好ましく、−O−R11、−S−R12、−O−CO−R14、−O−CO−O−R16又は−O−CO−NR2324であることがより好ましく、−O−R11又は−O−CO−R14であることがさらに好ましく、−O−CO−R14であることが最も好ましい。
【0196】
11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18、R19、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38及びR39は、各々水素原子、脂肪族基又は芳香族基であることが好ましい。−O−CO−R14のR14は、芳香族基であることが最も好ましい。
【0197】
一般式(I)において、R、R、R、R、R及びRは、同一の基であることが好ましい。
【0198】
脂肪族基としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、置換アルキル基、置換アルケニル基又は置換アルキニル基があげられる。
【0199】
アルキル基は、環状(例えばシクロアルキル基等)であってもよく、また、アルキル基は分岐をしていてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがさらに好ましく、1〜10であることが最も好ましい。
【0200】
アルキル基の具体例としては、例えばメチル、エチル、i−プロピル、ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、ヘキシル、オクチル、t−オクチル、ドデシル又はテトラコシル等の各基が挙げられる。
【0201】
アルケニル基は、環状(シクロアルケニル基)であってもよく、また、アルケニル基は、分岐していてもよい。さらに、アルケニル基は、二つ以上の二重結合を有していてもよい。
【0202】
アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがさらに好ましく、2〜10であることが最も好ましい。
【0203】
アルケニル基の具体例としては、ビニル、アリル又は3−ヘプテニルが挙げられる。アルキニル基は、環状(シクロアルキニル基)であってもよく、また、アルキニル基は、分岐を有していてもよい。
【0204】
さらに、アルキニル基は、二つ以上の三重結合を有していてもよい。アルキニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがさらに好ましく、2〜10であることが最も好ましい。
【0205】
アルキニル基の具体例としては、エチニル、2−プロピニル、1−ペンチニル及び2,4−オクタジイニル等の各基が挙げられる。
【0206】
置換アルキル基、置換アルケニル基及び置換アルキニル基の置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子、ニトロ、スルホ、芳香族基、複素環基、−O−R41、−S−R42、−CO−R43、−O−CO−R44、−CO−O−R45、−O−CO−O−R46、−NR4748、−CO−NR4950、−NR51−CO−R52、−O−CO−NR5354、−SiR55565758又は−O−SiR59606162が等が挙げられる。
【0207】
41、R42、R43、R44、R45、R46、R47、R48、R49、R50、R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58、R59、R60、R61又はR62は、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。置換アルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。
【0208】
置換アルキル基の具体例としては、ベンジル、フェネチル、2−メトキシエチル、エトキシメチル、2−(2−メトキシエトキシ)エチル、2−ヒドロキシエチル、ヒドロキシメチル、2−カルボキシエチル、カルボキシメチル、エトキシカルボニルメチル、4−アクリロイルオキシブチル、トリクロロメチル又はパーフルオロペンチル等の各基が挙げられる。置換アルケニル基のアルケニル部分は、上記アルケニル基と同様である。置換アルケニル基の具体例としては、例えばスチリル及び4−メトキシスチリル等の各基が挙げられる。
【0209】
置換アルキニル基のアルキニル部分は、上記アルキニル基と同様である。置換アルキニル基の具体例としては、4−ブトキシフェニルエチニル、4−プロピルフェニルエチニル又はトリメチルシリルエチニル等の各基が挙げられる。
【0210】
本発明において、芳香族基は、アリール基及び置換アリール基を意味する。
アリール基の炭素原子数は、6〜30であることが好ましく、6〜20であることがさらに好ましく、6〜10であることが最も好ましい。
【0211】
アリール基の具体例としては、例えば、フェニル、1−ナフチル又は2−ナフチル等の各基が挙げられる。
【0212】
置換アリール基の置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、スルホ基、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R71、−S−R72、−CO−R73、−O−CO−R74、−CO−O−R75、−O−CO−O−R76、−NR7778、−CO−NR7980、−NR81−CO−R82、−O−CO−NR8384、−SiR85868788又は−O−SiR89909192等が挙げられる。
【0213】
71、R72、R73、R74、R75、R76、R77、R78、R79、R80、R81、R82、R83、R84、R85、R86、R87、R88、R89、R90、R91及びR92は、水素原子、脂肪族基、芳香族基又は複素環基である。
【0214】
置換アリール基のアリール部分は、上記アリール基と同義である。
置換アリール基の具体例としては、p−ビフェニリル、4−フェニルエチニルフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、2−エトキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−エトキシフェニル、2−プロポキシフェニル、3−プロポキシフェニル、4−プロポキシフェニル、2−ブトキシフェニル、3−ブトキシフェニル、4−ブトキシフェニル、2−ヘキシルオキシフェニル、3−ヘキシルオキシフェニル、4−ヘキシルオキシフェニル、2−オクチルオキシフェニル、3−オクチルオキシフェニル、4−オクチルオキシフェニル、2−ドデシルオキシフェニル、3−ドデシルオキシフェニル、4−ドデシルオキシフェニル、2−テトラコシルオキシフェニル、3−テトラコシルオキシフェニル、4−テトラコシルオキシフェニル、3,4−ジメトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、3,4−ジヘキシルオキシフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,4−ジエトキシフェニル、2,4−ジヘキシルオキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3,5−ジヘキシルオキシフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、3,4,5−トリエトキシフェニル、3,4,5−トリヘキシルオキシフェニル、2,4,6−トリメトキシフェニル、2,4,6−トリエトキシフェニル、2,4,6−トリヘキシルオキシフェニル、2−フルオロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、2−クロロフェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、3−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、3,4−ジフルオロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3,4−ジブロモフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4−ジブロモフェニル、3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、3,5−ジブロモフェニル、3,4,5−トリフルオロフェニル、3,4,5−トリクロロフェニル、3,4,5−トリブロモフェニル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,4,6−トリクロロフェニル、2,4,6−トリブロモフェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタクロロフェニル、ペンタブロモフェニル、2−ヨードフェニル、3−ヨードフェニル、4−ヨードフェニル、2−ホルミルフェニル、3−ホルミルフェニル、4−ホルミルフェニル、2−ベンゾイルフェニル、3−ベンゾイルフェニル、4−ベンゾイルフェニル、2−カルボキシフェニル、3−カルボキシフェニル、4−カルボキシフェニル、o−トリル、m−トリル、p−トリル、2−エチルフェニル、3−エチルフェニル、4−エチルフェニル、2−(2−メトキシエトキシ)フェニル、3−(2−メトキシエトキシ)フェニル、4−(2−メトキシエトキシ)フェニル、2−エトキシカルボニルフェニル、3−エトキシカルボニルフェニル、4−エトキシカルボニルフェニル、2−ベンゾイルオキシフェニル、3−ベンゾイルオキシフェニル及び4−ベンゾイルオキシフェニル等の各基が挙げられる。
【0215】
本発明においては、複素環基は置換基を有していてもよい。複素環基中の複素環は5員環又は6員環であることが好ましい。複素環基中の複素環に脂肪族環、芳香族環又は他の複素環が縮合していてもよい。複素環中のヘテロ原子としては、例えばB、N、O、S、Se又はTe等の各原子が挙げられる。
【0216】
複素環基中の複素環の具体例としては、例えば、ピロリジン環、モルホリン環、2−ボラ−1,3−ジオキソラン環及び1,3−チアゾリジン環等が挙げられる。
【0217】
不飽和複素環基中の不飽和複素環の具体例としては、例えば、イミダゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾセレナゾール環、ピリジン環、ピリミジン環又はキノリン環等が挙げられる。
【0218】
複素環基の置換基の具体例としては、前記置換アリール基の置換基の具体例と同様である。
【0219】
トリフェニレン環を有する化合物の分子量は、300〜2000であることが好ましい。化合物の沸点は260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定できる。以下に、トリフェニレン環を有する化合物の具体例を示す。
【0220】
尚、以下に示す複数のRは同一の基を意味する。
【0221】
【化11】
Figure 2004155146
【0222】
(1)フルオロ
(2)クロロ
(3)ブロモ
(4)ホルミル
(5)ベンゾイル
(6)カルボキシル
(7)ブチルアミノ
(8)ジベンジルアミノ
(9)トリメチルシリルオキシ
(10)1−ペンチニル
(11)エトキシカルボニル
(12)2−ヒドロキシエトキシカルボニル
(13)フェノキシカルボニル
(14)N−フェニルカルバモイル
(15)N,N−ジエチルカルバモイル
(16)4−メトキシベンゾイルオキシ
(17)N−フェニルカルバモイルオキシ
(18)ヘキシルオキシ
(19)4−ヘキシルオキシベンゾイルオキシ
(20)エトキシ
(21)ベンゾイルオキシ
(22)m−ドデシルオキシフェニルチオ
(23)t−オクチルチオ
(24)p−フルオロベンゾイルチオ
(25)イソブチリルチオ
(26)p−メチルベンゼンスルフィニル
(27)エタンスルフィニル
(28)ベンゼンスルホニル
(29)メタンスルホニル
(30)2−メトキシエトキシ
(31)プロポキシ
(32)2−ヒドロキシエトキシ
(33)2−カルボキシエトキシ
(34)3−ヘプテニルオキシ
(35)2−フェニルエトキシ
(36)トリクロロメトキシ
(37)2−プロピニルオキシ
(38)2,4−オクタジイニルオキシ
(39)パーフルオロペンチルオキシ
(40)エトキシカルボニルメトキシ
(41)p−メトキシフェノキシ
(42)m−エトキシフェノキシ
(43)o−クロロフェノキシ
(44)m−ドデシルオキシフェノキシ
(45)4−ピリジルオキシ
(46)ペンタフルオロベンゾイルオキシ
(47)p−ヘキシルオキシベンゾイルオキシ
(48)1−ナフトイルオキシ
(49)2−ナフトイルオキシ
(50)5−イミダゾールカルボニルオキシ
(51)o−フェノキシカルボニルベンゾイルオキシ
(52)m−(2−メトキシエトキシ)ベンゾイルオキシ
(53)o−カルボキシベンゾイルオキシ
(54)p−ホルミルベンゾイルオキシ
(55)m−エトキシカルボニルベンゾイルオキシ
(56)p−ピバロイルベンゾイルオキシ
(57)プロピオニルオキシ
(58)フェニルアセトキシ
(59)シンナモイルオキシ
(60)ヒドロキシアセトキシ
(61)エトキシカルボニルアセトキシ
(62)m−ブトキシフェニルプロピオロイルオキシ
(63)プロピオロイルオキシ
(64)トリメチルシリルプロピオロイルオキシ
(65)4−オクテノイルオキシ
(66)3−ヒドロキシプロピオニルオキシ
(67)2−メトキシエトキシアセトキシ
(68)パーフルオロブチリルオキシ
(69)メタンスルホニルオキシ
(70)p−トルエンスルホニルオキシ
(71)トリエチルシリル
(72)m−ブトキシフェノキシカルボニルアミノ
(73)ヘキシル
(74)フェニル
(75)4−ピリジル
(76)ベンジルオキシカルボニルオキシ
(77)m−クロロベンズアミド
(78)4−メチルアニリノ
【0223】
【化12】
Figure 2004155146
【0224】
(79)ニトロ
(80)スルホ
(81)ホルミル
(82)カルボキシル
(83)メトキシカルボニル
(84)ベンジルオキシカルボニル
(85)フェノキシカルボニル
【0225】
【化13】
Figure 2004155146
【0226】
(86)ブトキシ
(87)ヘキシルオキシ
(88)ドデシルオキシ
(89)ヘキサノイルオキシ
(90)カルボキシメトキシ
【0227】
【化14】
Figure 2004155146
【0228】
【化15】
Figure 2004155146
【0229】
【化16】
Figure 2004155146
【0230】
【化17】
Figure 2004155146
【0231】
【化18】
Figure 2004155146
【0232】
【化19】
Figure 2004155146
【0233】
円盤状化合物としては、1,3,5−トリアジン環を有する化合物又はポルフィリン骨格を有する化合物を好ましく用いることができる。
【0234】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物は、中でも、下記一般式(III)で表される化合物が好ましい。
【0235】
【化20】
Figure 2004155146
【0236】
一般式(III)において、Xは、単結合、−NR−、−O−又は−S−であり;Xは単結合、−NR−、−O−又は−S−であり;Xは単結合、−NR−、−O−又は−S−であり;R、R及びRはアルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基であり;そして、R、R及びRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。一般式(I)で表される化合物は、メラミン化合物であることが特に好ましい。
【0237】
メラミン化合物では、一般式(I)において、X、X及びXが、それぞれ、−NR−、−NR−及び−NR−であるか、あるいは、X、X及びXが単結合であり、かつ、R、R及びRが窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基である。−X−R、−X−R及び−X−Rは、同一の置換基であることが好ましい。R、R及びRは、アリール基であることが特に好ましい。R、R及びRは、水素原子であることが特に好ましい。
【0238】
上記アルキル基は、環状アルキル基よりも鎖状アルキル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基の方が好ましい。
【0239】
アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8であることがさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよい。
【0240】
置換基の具体例としては、例えばハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)及びアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)等が挙げられる。上記アルケニル基は、環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基である方が好ましい。分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基の方が好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらにまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は、置換基を有していてもよい。
【0241】
置換基の具体例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、エポキシエチルオキシ等の各基)又はアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等の各基)が挙げられる。
【0242】
上記アリール基は、フェニル基又はナフチル基であることが好ましく、フェニル基であることが特に好ましい。アリール基は置換基を有していてもよい。
【0243】
置換基の具体例としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基及びアシル基が含まれる。上記アルキル基は、前述したアルキル基と同義である。
【0244】
アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルキル置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基とアシル基のアルキル部分も、前述したアルキル基と同義である。
【0245】
上記アルケニル基は、前述したアルケニル基と同義である。
アルケニルオキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシカルボニル基、アルケニル置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アルケニル置換カルバモイル基、アミド基、アルケニルチオ基及びアシル基のアルケニル部分も、前述したアルケニル基と同義である。
【0246】
上記アリール基の具体例としては、例えば、フェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−メトキシフェニル、3,4−ジエトキシフェニル、4−オクチルオキシフェニル又は4−ドデシルオキシフェニル等の各基が挙げられる。
【0247】
アリールオキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アリールチオ基およびアシル基の部分の例は、上記アリール基と同義である。
【0248】
、X又はXが−NR−、−O−又は−S−である場合の複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。
【0249】
芳香族性を有する複素環基中の複素環としては、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。
【0250】
複素環中のヘテロ原子は、N、S又はO等の各原子であることが好ましく、N原子であることが特に好ましい。
【0251】
芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、例えば、2−ピリジル又は4−ピリジル等の各基)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
【0252】
、X又はXが単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環又は7員環であることが好ましく、5員環又は6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。
【0253】
また、複素環基中のヘテロ原子は、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、O原子、S原子)を有していてもよい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の具体例は、上記アリール部分の置換基の具体例と同義である。
【0254】
以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の具体例を示す。
【0255】
【化21】
Figure 2004155146
【0256】
【化22】
Figure 2004155146
【0257】
1,3,5−トリアジン環を有する化合物の分子量は、300〜2000であることが好ましい。該化合物の沸点は、260℃以上であることが好ましい。沸点は、市販の測定装置(例えば、TG/DTA100、セイコー電子工業(株)製)を用いて測定できる。
【0258】
以下に、1,3,5−トリアジン環を有する化合物の具体例を示す。
なお、以下に示す複数のRは、同一の基を表す。
【0259】
【化23】
Figure 2004155146
【0260】
(1)ブチル
(2)2−メトキシ−2−エトキシエチル
(3)5−ウンデセニル
(4)フェニル
(5)4−エトキシカルボニルフェニル
(6)4−ブトキシフェニル
(7)p−ビフェニリル
(8)4−ピリジル
(9)2−ナフチル
(10)2−メチルフェニル
(11)3,4−ジメトキシフェニル
(12)2−フリル
【0261】
【化24】
Figure 2004155146
【0262】
【化25】
Figure 2004155146
【0263】
(14)フェニル
(15)3−エトキシカルボニルフェニル
(16)3−ブトキシフェニル
(17)m−ビフェニリル
(18)3−フェニルチオフェニル
(19)3−クロロフェニル
(20)3−ベンゾイルフェニル
(21)3−アセトキシフェニル
(22)3−ベンゾイルオキシフェニル
(23)3−フェノキシカルボニルフェニル
(24)3−メトキシフェニル
(25)3−アニリノフェニル
(26)3−イソブチリルアミノフェニル
(27)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(28)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(29)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(30)3−メチルフェニル
(31)3−フェノキシフェニル
(32)3−ヒドロキシフェニル
(33)4−エトキシカルボニルフェニル
(34)4−ブトキシフェニル
(35)p−ビフェニリル
(36)4−フェニルチオフェニル
(37)4−クロロフェニル
(38)4−ベンゾイルフェニル
(39)4−アセトキシフェニル
(40)4−ベンゾイルオキシフェニル
(41)4−フェノキシカルボニルフェニル
(42)4−メトキシフェニル
(43)4−アニリノフェニル
(44)4−イソブチリルアミノフェニル
(45)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(46)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(47)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(48)4−メチルフェニル
(49)4−フェノキシフェニル
(50)4−ヒドロキシフェニル
(51)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(52)3,4−ジブトキシフェニル
(53)3,4−ジフェニルフェニル
(54)3,4−ジフェニルチオフェニル
(55)3,4−ジクロロフェニル
(56)3,4−ジベンゾイルフェニル
(57)3,4−ジアセトキシフェニル
(58)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(59)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(60)3,4−ジメトキシフェニル
(61)3,4−ジアニリノフェニル
(62)3,4−ジメチルフェニル
(63)3,4−ジフェノキシフェニル
(64)3,4−ジヒドロキシフェニル
(65)2−ナフチル
(66)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(67)3,4,5−トリブトキシフェニル
(68)3,4,5−トリフェニルフェニル
(69)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(70)3,4,5−トリクロロフェニル
(71)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(72)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(73)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(74)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(75)3,4,5−トリメトキシフェニル
(76)3,4,5−トリアニリノフェニル
(77)3,4,5−トリメチルフェニル
(78)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(79)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0264】
【化26】
Figure 2004155146
【0265】
(80)フェニル
(81)3−エトキシカルボニルフェニル
(82)3−ブトキシフェニル
(83)m−ビフェニリル
(84)3−フェニルチオフェニル
(85)3−クロロフェニル
(86)3−ベンゾイルフェニル
(87)3−アセトキシフェニル
(88)3−ベンゾイルオキシフェニル
(89)3−フェノキシカルボニルフェニル
(90)3−メトキシフェニル
(91)3−アニリノフェニル
(92)3−イソブチリルアミノフェニル
(93)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(94)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(95)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(96)3−メチルフェニル
(97)3−フェノキシフェニル
(98)3−ヒドロキシフェニル
(99)4−エトキシカルボニルフェニル
(100)4−ブトキシフェニル
(101)p−ビフェニリル
(102)4−フェニルチオフェニル
(103)4−クロロフェニル
(104)4−ベンゾイルフェニル
(105)4−アセトキシフェニル
(106)4−ベンゾイルオキシフェニル
(107)4−フェノキシカルボニルフェニル
(108)4−メトキシフェニル
(109)4−アニリノフェニル
(110)4−イソブチリルアミノフェニル
(111)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(112)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(113)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(114)4−メチルフェニル
(115)4−フェノキシフェニル
(116)4−ヒドロキシフェニル
(117)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(118)3,4−ジブトキシフェニル
(119)3,4−ジフェニルフェニル
(120)3,4−ジフェニルチオフェニル
(121)3,4−ジクロロフェニル
(122)3,4−ジベンゾイルフェニル
(123)3,4−ジアセトキシフェニル
(124)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
(125)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
(126)3,4−ジメトキシフェニル
(127)3,4−ジアニリノフェニル
(128)3,4−ジメチルフェニル
(129)3,4−ジフェノキシフェニル
(130)3,4−ジヒドロキシフェニル
(131)2−ナフチル
(132)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(133)3,4,5−トリブトキシフェニル
(134)3,4,5−トリフェニルフェニル
(135)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
(136)3,4,5−トリクロロフェニル
(137)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(138)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(139)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
(140)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
(141)3,4,5−トリメトキシフェニル
(142)3,4,5−トリアニリノフェニル
(143)3,4,5−トリメチルフェニル
(144)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(145)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0266】
【化27】
Figure 2004155146
【0267】
(146)フェニル
(147)4−エトキシカルボニルフェニル
(148)4−ブトキシフェニル
(149)p−ビフェニリル
(150)4−フェニルチオフェニル
(151)4−クロロフェニル
(152)4−ベンゾイルフェニル
(153)4−アセトキシフェニル
(154)4−ベンゾイルオキシフェニル
(155)4−フェノキシカルボニルフェニル
(156)4−メトキシフェニル
(157)4−アニリノフェニル
(158)4−イソブチリルアミノフェニル
(159)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(160)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(161)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(162)4−メチルフェニル
(163)4−フェノキシフェニル
(164)4−ヒドロキシフェニル
【0268】
【化28】
Figure 2004155146
【0269】
(165)フェニル
(166)4−エトキシカルボニルフェニル
(167)4−ブトキシフェニル
(168)p−ビフェニリル
(169)4−フェニルチオフェニル
(170)4−クロロフェニル
(171)4−ベンゾイルフェニル
(172)4−アセトキシフェニル
(173)4−ベンゾイルオキシフェニル
(174)4−フェノキシカルボニルフェニル
(175)4−メトキシフェニル
(176)4−アニリノフェニル
(177)4−イソブチリルアミノフェニル
(178)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(179)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(180)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(181)4−メチルフェニル
(182)4−フェノキシフェニル
(183)4−ヒドロキシフェニル
【0270】
【化29】
Figure 2004155146
【0271】
(184)フェニル
(185)4−エトキシカルボニルフェニル
(186)4−ブトキシフェニル
(187)p−ビフェニリル
(188)4−フェニルチオフェニル
(189)4−クロロフェニル
(190)4−ベンゾイルフェニル
(191)4−アセトキシフェニル
(192)4−ベンゾイルオキシフェニル
(193)4−フェノキシカルボニルフェニル
(194)4−メトキシフェニル
(195)4−アニリノフェニル
(196)4−イソブチリルアミノフェニル
(197)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(198)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(199)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(200)4−メチルフェニル
(201)4−フェノキシフェニル
(202)4−ヒドロキシフェニル
【0272】
【化30】
Figure 2004155146
【0273】
(203)フェニル
(204)4−エトキシカルボニルフェニル
(205)4−ブトキシフェニル
(206)p−ビフェニリル
(207)4−フェニルチオフェニル
(208)4−クロロフェニル
(209)4−ベンゾイルフェニル
(210)4−アセトキシフェニル
(211)4−ベンゾイルオキシフェニル
(212)4−フェノキシカルボニルフェニル
(213)4−メトキシフェニル
(214)4−アニリノフェニル
(215)4−イソブチリルアミノフェニル
(216)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(217)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(218)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(219)4−メチルフェニル
(220)4−フェノキシフェニル
(221)4−ヒドロキシフェニル
【0274】
【化31】
Figure 2004155146
【0275】
(222)フェニル
(223)4−ブチルフェニル
(224)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(225)4−(5−ノネニル)フェニル
(226)p−ビフェニリル
(227)4−エトキシカルボニルフェニル
(228)4−ブトキシフェニル
(229)4−メチルフェニル
(230)4−クロロフェニル
(231)4−フェニルチオフェニル
(232)4−ベンゾイルフェニル
(233)4−アセトキシフェニル
(234)4−ベンゾイルオキシフェニル
(235)4−フェノキシカルボニルフェニル
(236)4−メトキシフェニル
(237)4−アニリノフェニル
(238)4−イソブチリルアミノフェニル
(239)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(240)4−(3−エチルウレイド)フェニル
(241)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(242)4−フェノキシフェニル
(243)4−ヒドロキシフェニル
(244)3−ブチルフェニル
(245)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(246)3−(5−ノネニル)フェニル
(247)m−ビフェニリル
(248)3−エトキシカルボニルフェニル
(249)3−ブトキシフェニル
(250)3−メチルフェニル
(251)3−クロロフェニル
(252)3−フェニルチオフェニル
(253)3−ベンゾイルフェニル
(254)3−アセトキシフェニル
(255)3−ベンゾイルオキシフェニル
(256)3−フェノキシカルボニルフェニル
(257)3−メトキシフェニル
(258)3−アニリノフェニル
(259)3−イソブチリルアミノフェニル
(260)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(261)3−(3−エチルウレイド)フェニル
(262)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(263)3−フェノキシフェニル
(264)3−ヒドロキシフェニル
(265)2−ブチルフェニル
(266)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(267)2−(5−ノネニル)フェニル
(268)o−ビフェニリル
(269)2−エトキシカルボニルフェニル
(270)2−ブトキシフェニル
(271)2−メチルフェニル
(272)2−クロロフェニル
(273)2−フェニルチオフェニル
(274)2−ベンゾイルフェニル
(275)2−アセトキシフェニル
(276)2−ベンゾイルオキシフェニル
(277)2−フェノキシカルボニルフェニル
(278)2−メトキシフェニル
(279)2−アニリノフェニル
(280)2−イソブチリルアミノフェニル
(281)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
(282)2−(3−エチルウレイド)フェニル
(283)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
(284)2−フェノキシフェニル
(285)2−ヒドロキシフェニル
(286)3,4−ジブチルフェニル
(287)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(288)3,4−ジフェニルフェニル
(289)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(290)3,4−ジドデシルオキシフェニル
(291)3,4−ジメチルフェニル
(292)3,4−ジクロロフェニル
(293)3,4−ジベンゾイルフェニル
(294)3,4−ジアセトキシフェニル
(295)3,4−ジメトキシフェニル
(296)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(297)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(298)3,4−ジフェノキシフェニル
(299)3,4−ジヒドロキシフェニル
(300)3,5−ジブチルフェニル
(301)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(302)3,5−ジフェニルフェニル
(303)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
(304)3,5−ジドデシルオキシフェニル
(305)3,5−ジメチルフェニル
(306)3,5−ジクロロフェニル
(307)3,5−ジベンゾイルフェニル
(308)3,5−ジアセトキシフェニル
(309)3,5−ジメトキシフェニル
(310)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
(311)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
(312)3,5−ジフェノキシフェニル
(313)3,5−ジヒドロキシフェニル
(314)2,4−ジブチルフェニル
(315)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(316)2,4−ジフェニルフェニル
(317)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
(318)2,4−ジドデシルオキシフェニル
(319)2,4−ジメチルフェニル
(320)2,4−ジクロロフェニル
(321)2,4−ジベンゾイルフェニル
(322)2,4−ジアセトキシフェニル
(323)2,4−ジメトキシフェニル
(324)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
(325)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
(326)2,4−ジフェノキシフェニル
(327)2,4−ジヒドロキシフェニル
(328)2,3−ジブチルフェニル
(329)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(330)2,3−ジフェニルフェニル
(331)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
(332)2,3−ジドデシルオキシフェニル
(333)2,3−ジメチルフェニル
(334)2,3−ジクロロフェニル
(335)2,3−ジベンゾイルフェニル
(336)2,3−ジアセトキシフェニル
(337)2,3−ジメトキシフェニル
(338)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
(339)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
(340)2,3−ジフェノキシフェニル
(341)2,3−ジヒドロキシフェニル
(342)2,6−ジブチルフェニル
(343)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(344)2,6−ジフェニルフェニル
(345)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
(346)2,6−ジドデシルオキシフェニル
(347)2,6−ジメチルフェニル
(348)2,6−ジクロロフェニル
(349)2,6−ジベンゾイルフェニル
(350)2,6−ジアセトキシフェニル
(351)2,6−ジメトキシフェニル
(352)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
(353)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
(354)2,6−ジフェノキシフェニル
(355)2,6−ジヒドロキシフェニル
(356)3,4,5−トリブチルフェニル
(357)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(358)3,4,5−トリフェニルフェニル
(359)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
(360)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
(361)3,4,5−トリメチルフェニル
(362)3,4,5−トリクロロフェニル
(363)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
(364)3,4,5−トリアセトキシフェニル
(365)3,4,5−トリメトキシフェニル
(366)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
(367)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
(368)3,4,5−トリフェノキシフェニル
(369)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
(370)2,4,6−トリブチルフェニル
(371)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
(372)2,4,6−トリフェニルフェニル
(373)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
(374)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
(375)2,4,6−トリメチルフェニル
(376)2,4,6−トリクロロフェニル
(377)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
(378)2,4,6−トリアセトキシフェニル
(379)2,4,6−トリメトキシフェニル
(380)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
(381)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
(382)2,4,6−トリフェノキシフェニル
(383)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
(384)ペンタフルオロフェニル
(385)ペンタクロロフェニル
(386)ペンタメトキシフェニル
(387)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(388)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(389)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(390)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(391)3−メトキシ−2−ナフチル
(392)1−エトキシ−2−ナフチル
(393)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(394)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(395)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
(396)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
(397)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
(398)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
(399)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
(400)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
(401)2−メトキシ−1−ナフチル
(402)4−フェノキシ−1−ナフチル
(403)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(404)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
(405)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
(406)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
(407)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
(408)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
(409)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
(410)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
(411)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
(412)メチル
(413)エチル
(414)ブチル
(415)オクチル
(416)ドデシル
(417)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
(418)ベンジル
(419)4−メトキシベンジル
【0276】
【化32】
Figure 2004155146
【0277】
(424)メチル
(425)フェニル
(426)ブチル
【0278】
【化33】
Figure 2004155146
【0279】
(430)メチル
(431)エチル
(432)ブチル
(433)オクチル
(434)ドデシル
(435)2−ブトキシ2−エトキシエチル
(436)ベンジル
(437)4−メトキシベンジル
【0280】
【化34】
Figure 2004155146
【0281】
【化35】
Figure 2004155146
【0282】
本発明においては、1,3,5−トリアジン環を有する化合物として、メラミンポリマーを用いてもよい。メラミンポリマーは、下記一般式(IV)で示すメラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応により合成することが好ましい。
【0283】
【化36】
Figure 2004155146
【0284】
上記合成反応スキームにおいて、R11、R12、R13、R14、R15及びR16は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基又は複素環基である。
【0285】
上記アルキル基、アルケニル基、アリール基及び複素環基及びこれらの置換基は前記一般式(I)で説明した各基、それらの置換基と同義である。
【0286】
メラミン化合物とカルボニル化合物との重合反応は、通常のメラミン樹脂(例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂等)の合成方法と同様である。また、市販のメラミンポリマー(メラミン樹脂)を用いてもよい。
【0287】
メラミンポリマーの分子量は、2千〜40万であることが好ましい。メラミンポリマーの繰り返し単位の具体例を以下に示す。
【0288】
【化37】
Figure 2004155146
【0289】
MP−1:R13、R14、R15、R16:CHOH
MP−2:R13、R14、R15、R16:CHOCH
MP−3:R13、R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−4:R13、R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−5:R13、R14、R15、R16:CHNHCOCH=CH
MP−6:R13、R14、R15、R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−7:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHOCH
MP−8:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHOCH
MP−9:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHOCH
MP−10:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHOCH
MP−11:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHOCH
MP−12:R13、R14、R16:CHOCH;R15:CHOH
MP−13:R13、R16:CHOCH;R14、R15:CHOH
MP−14:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−i−C
MP−15:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−i−C
MP−16:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−i−C
MP−17:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−i−C
MP−18:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−19:R13、R14、R16:CHO−i−C;R15:CHOH
MP−20:R13、R16:CHO−i−C;R14、R15:CHOH
MP−21:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−22:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−23:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−n−C
MP−24:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−n−C
MP−25:R13:CHOH;R14、R15、R16:CH2O−n−C
MP−26:R13、R14、R16:CHO−n−C;R15:CHOH
MP−27:R13、R16:CHO−n−C;R14、R15:CHOH
MP−28:R13、R14:CHOH;R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−29:R13、R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−30:R13、R16:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C
MP−31:R13:CHOH;R14、R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−32:R13:CHOH;R14、R16:CHOCH;R15:CHO−n−C
MP−33:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15、R16:CHO−n−C
MP−34:R13:CHOH;R14、R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−35:R13、R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−36:R13、R16:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−37:R13:CHOCH;R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−38:R13、R16:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH
MP−39:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C4H9;R16:CHNHCOCH=CH
MP−40:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−41:R13:CHOH;R14:CHO−n−C;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−42:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−43:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−44:R13:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−45:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−46:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−47:R13:CHOH;R14:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−48:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−49:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−50:R13:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
【0290】
【化38】
Figure 2004155146
【0291】
MP−51:R13、R14、R15、R16:CHOH
MP−52:R13、R14、R15、R16:CHOCH
MP−53:R13、R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−54:R13、R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−55:R13、R14、R15、R16:CHNHCOCH=CH
MP−56:R13、R14、R15、R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−57:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHOCH
MP−58:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHOCH
MP−59:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHOCH
MP−60:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHOCH
MP−61:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHOCH
MP−62:R13、R14、R16:CHOCH;R15:CHOH
MP−63:R13、R16:CHOCH;R14、R15:CHOH
MP−64:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−i−C
MP−65:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−i−C
MP−66:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−i−C
MP−67:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−i−C
MP−68:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−69:R13、R14、R16:CHO−i−C;R15:CHOH
MP−70:R13、R16:CHO−i−C;R14、R15:CHOH
MP−71:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−72:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−73:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−n−C
MP−74:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−n−C
MP−75:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−76:R13、R14、R16:CHO−n−C;R15:CHOH
MP−77:R13、R16:CHO−n−C;R14、R15:CHOH
MP−78:R13、R14:CHOH;R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−79:R13、R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−80:R13、R16:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C
MP−81:R13:CHOH;R14、R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−82:R13:CHOH;R14、R16:CHOCH;R15:CHO−n−C
MP−83:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15、R16:CHO−n−C
MP−84:R13:CHOH;R14、R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−85:R13、R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−86:R13、R16:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−87:R13:CHOCH;R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−88:R13、R16:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH
MP−89:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−90:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−91:R13:CHOH;R14:CHO−n−C;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−92:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−93:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−94:R13:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−95:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−96:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−97:R13:CHOH;R14:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−98:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−99:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−100:R13:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
【0292】
【化39】
Figure 2004155146
【0293】
MP−101:R13、R14、R15、R16:CHOH
MP−102:R13、R14、R15、R16:CHOCH
MP−103:R13、R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−104:R13、R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−105:R13、R14、R15、R16:CHNHCOCH=CH
MP−106:R13、R14、R15、R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−107:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHOCH
MP−108:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHOCH
MP−109:R13、R14:CHOH;R15R16:CHOCH
MP−110:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHOCH
MP−111:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHOCH
MP−112:R13、R14、R16:CHOCH;R15:CHOH
MP−113:R13、R16:CHOCH;R14、R15:CHOH
MP−114:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−i−C
MP−115:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−i−C
MP−116:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−i−C
MP−117:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−i−C
MP−118:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−119:R13、R14、R16:CHO−i−C;R15:CHOH
MP−120:R13、R16:CHO−i−C;R14、R15:CHOH
MP−121:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−122:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−123:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−n−C
MP−124:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−n−C
MP−125:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−126:R13、R14、R16:CHO−n−C;R15:CHOH
MP−127:R13、R16:CHO−n−C;R14、R15:CHOH
MP−128:R13、R14:CHOH;R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−129:R13、R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−130:R13、R16:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C
MP−131:R13:CHOH;R14、R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−132:R13:CHOH;R14、R16:CHOCH;R15:CHO−n−C
MP−133:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15、R16:CHO−n−C
MP−134:R13:CHOH;R14、R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−135:R13、R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−136:R13、R16:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−137:R13:CHOCH;R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−138:R13、R16:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH
MP−139:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−140:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−141:R13:CHOH;R14:CHO−n−C;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−142:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−143:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−144:R13:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−145:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−146:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−147:R13:CHOH;R14:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−148:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−149:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−150:R13:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
【0294】
【化40】
Figure 2004155146
【0295】
MP−151:R13、R14、R15、R16:CHOH
MP−152:R13、R14、R15、R16:CHOCH
MP−153:R13、R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−154:R13、R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−155:R13、R14、R15、R16:CHNHCOCH=CH
MP−156:R13、R14、R15、R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−157:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHOCH
MP−158:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHOCH
MP−159:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHOCH
MP−160:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHOCH
MP−161:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHOCH
MP−162:R13、R14、R16:CHOCH;R15:CHOH
MP−163:R13、R16:CHOCH;R14、R15:CHOH
MP−164:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−i−C
MP−165:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−i−C
MP−166:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−i−C
MP−167:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−i−C
MP−168:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−i−C
MP−169:R13、R14、R16:CHO−i−C;R15:CHOH
MP−170:R13、R16:CHO−i−C;R14、R15:CHOH
MP−171:R13、R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−172:R13、R14、R16:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−173:R13、R14:CHOH;R15、R16:CHO−n−C
MP−174:R13、R16:CHOH;R14、R15:CHO−n−C
MP−175:R13:CHOH;R14、R15、R16:CHO−n−C
MP−176:R13、R14、R16:CHO−n−C;R15:CHOH
MP−177:R13、R16:CHO−n−C;R14、R15:CHOH
MP−178:R13、R14:CHOH;R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−179:R13、R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−180:R13、R16:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C
MP−181:R13:CHOH;R14、R15:CHOCH;R16:CHO−n−C
MP−182:R13:CHOH;R14、R16:CHOCH;R15:CHO−n−C
MP−183:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15、R16:CHO−n−C
MP−184:R13:CHOH;R14、R15:CHO−n−C;R16:CHOCH
MP−185:R13、R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CH2O−n−C
MP−186:R13、R16:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C
MP−187:R13:CHOCH;R14、R15:CHOH;R16:CHO−n−C
MP−188:R13、R16:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH
MP−189:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−190:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−191:R13:CHOH;R14:CHO−n−C;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−192:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHO−n−C;R16:CHNHCOCH=CH
MP−193:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHO−n−C
MP−194:R13:CHO−n−C;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−195:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−196:R13:CHOH;R14:CHOCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−197:R13:CHOH;R14:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHOCH
MP−198:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R16:CHNHCOCH=CH
MP−199:R13:CHOCH;R14:CHOH;R15:CHNHCOCH=CH;R16:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH
MP−200:R13:CHNHCO(CHCH=CH(CHCH;R14:CHOCH;R15:CHOH;R16:CHNHCOCH=CH
本発明においては、上記繰り返し単位を二種類以上組み合わせたコポリマーを用いてもよい。二種類以上のホモポリマー又はコポリマーを併用してもよい。
【0296】
また、二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物と)を併用してもよい。
【0297】
また、下記に本発明の上記以外の添加剤の具体例を挙げる。
【0298】
【化41】
Figure 2004155146
【0299】
【化42】
Figure 2004155146
【0300】
【化43】
Figure 2004155146
【0301】
【化44】
Figure 2004155146
【0302】
【化45】
Figure 2004155146
【0303】
【化46】
Figure 2004155146
【0304】
【化47】
Figure 2004155146
【0305】
ドープ中には、上記以外の添加剤、酸化防止剤、染料、蛍光増白剤(例えば特願2002−123821に記載されているもの)等も添加することができる。
【0306】
これらの化合物は、セルロースエステル溶液の調製の際に、セルロースエステルや溶媒と共に添加してもよいし、溶液調製中や調製後に添加してもよい。液晶画面表示装置用には耐熱耐湿性を付与する酸化防止剤などを添加することが好ましい。
【0307】
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げられる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステルに対して質量割合で1〜1.0ppmが好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
【0308】
本発明の延伸フィルムには微粒子を添加することができる。
本発明においては、微粒子は特に限定されないが、好ましく使用される微粒子としては、例えば二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等の無機化合物微粒子を挙げることができる。
【0309】
これらの微粒子はセルロースエステルフィルムに対して0.03〜1質量%含有していることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.5質量%であることが好ましく、特に0.15〜0.4質量%であることが好ましい。
【0310】
酸化ジルコニウムの微粒子の具体例としては、例えばアエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、本発明に好ましく用いられる。
【0311】
微粒子は、珪素を含む化合物が延伸フィルムの濁度が低くなる点でより好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。中でも表面が有機化合物で表面処理されていることが、添加剤を含むセルロースエステル樹脂との親和性に優れ好ましい。
【0312】
これらの具体例としては、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、本発明に好ましく用いられる。
【0313】
上記二酸化珪素微粒子の1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ、見掛比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子であることが更に好ましい。
【0314】
これらを満足する二酸化珪素の微粒子の具体例としては、例えば、アエロジル200V(平均1次粒子径12nm)、アエロジルR972V(平均1次粒子径16nm)があり、延伸フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
【0315】
また、有機物微粒子の例として、シリコーン樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができ、中でもシリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましい。
【0316】
具体的には、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、本発明に好ましく用いられる。
【0317】
これらの微粒子はセルロースエステル溶液に直接添加してもよいが、分散液を調製してこれを添加することが好ましい。
【0318】
微粒子分散液には、微粒子の分散状態を安定に保つため樹脂を含有させることができる。添加する樹脂の重量平均分子量は3,000〜9,000が好ましく、より好ましくは5,000〜50,000、更には10,000〜30,000のものが好ましい。
【0319】
樹脂としては、特に限定がなく従来公知のものを広く使用することが出来るが、下記のごとき樹脂がより好適に使用出来る。
【0320】
本発明の微粒子分散液において好ましく用いられる樹脂として、エチレン性不飽和単量体単位を有する単独重合体又は共重合体を挙げることが出来、より好ましくは、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸プロピル、ポリアクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸アルキルの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸アルキルエステル共重合体等のアクリル酸又はメタクリル酸エステルの単独重合体又は共重合体であり、更にアクリル酸又はメタクリル酸のエステルは透明性、相溶性に優れ、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル単位を有する単独重合体又は共重合体、特に、アクリル酸又はメタクリル酸メチル単位を有する単独重合体又は共重合体が好ましい。中でも、ポリメタクリル酸メチルが好ましい。
【0321】
この他の樹脂としては、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロース芳香族カルボン酸エステル等のアシル基の置換度が1.8〜2.80のセルロースエステル樹脂;
セルロースメチルエーテル、セルロースエチルエーテル、セルロースプロピルエーテル等のアルキル基置換度2.0〜2.80のセルロースエーテル樹脂;
アルキレンジカルボン酸とジアミンとの重合物のポリアミド樹脂;
アルキレンジカルボン酸とジオールとの重合物、アルキレンジオールとジカルボン酸との重合物、シクロヘキサンジカルボン酸とジオールとの重合物、シクロヘキサンジオールとジカルボン酸との重合物、芳香族ジカルボン酸とジオールとの重合物等のポリエステル樹脂;
ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル樹脂;
ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール樹脂;
下記に示すようなエポキシ樹脂、下記に示すようなケトン樹脂、アルキレンジイソシアナートとアルキレンジオールの線状重合物等の下記に示すようなポリウレタン樹脂等を挙げることが出来、これらから選ばれる少なくとも一つを含有することが好ましい。
【0322】
エポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上持った化合物が、開環反応によって樹脂を形成したもので、以下に示すようなエポキシ樹脂を挙げることが出来、代表的な市販品としてアラルダイドEPN1179及びアラルダイドAER260(旭チバ(株)製)がある。
【0323】
なお、アラルダイトEPN1179は重量平均分子量が約405である。nは重合度を示す。
【0324】
【化48】
Figure 2004155146
【0325】
また、ケトン樹脂としては、ビニルケトン類を重合して得られるもので、以下に示すようなケトン樹脂を挙げることが出来、代表的な市販品として、ハイラック110及びハイラック110H(日立化成(株)製)がある。nは重合度を示す。
【0326】
【化49】
Figure 2004155146
【0327】
本発明において、微粒子分散液中の微粒子の含有量は、有機溶媒質量に対して、0.1〜2.0質量%が好ましく、また樹脂の濃度は、分子量に依存するが、通常5〜50質量%が好ましい。
【0328】
本発明の延伸セルロースエステルフィルムは例えば下記の方法で製造することが出来る。本発明の延伸セルロースエステルフィルムには前記微粒子が含まれるが、この微粒子はあらかじめ溶媒に分散されていることが望ましい。この微粒子分散液に添加剤を添加しておき、これをセルロースエステル溶液と混合して微粒子を含むセルロースエステル溶液を調製し、これを金属ベルト等の支持体上に流延し、剥離した後溶媒を含んだ状態で延伸する方法である。
【0329】
これらの基材フィルムには種々の染料をフィルム中に含有させてもよい。あるいはこれらを含有する層を基材フィルム上に設けてもよい。
【0330】
本発明においては、これらセルロースエステルフィルムは通常、膜厚10〜500μmのものが用いられるが、特に膜厚10〜80μmのものを使用することが好ましい。
【0331】
本発明に係わる積層膜の形成方法により、反射防止フィルムを作製する場合、電磁波遮蔽効果を有する層を設けてもよい。電磁波遮蔽効果を有する層の表面比抵抗は0.01〜500Ω/□、より好ましくは0.01〜10Ω/□である。透過率を低下させないため透明導電層を用いることが好ましい。
【0332】
透明導電層としては、金属層、導電性ポリマー層等を挙げるこができるが、前記酸化スズ、ITO等の金属酸化物層等も上記の表面比抵抗とすれば、もちいることができる。
【0333】
透明導電層を形成する金属としては、例えば銀、パラジウム、金、白金、ロジウム、アルミニウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、錫、タングステン、イリジウム、鉛単独もしくはこれらの2種以上の合金を挙げることができるが、好ましくは銀、パラジウム、金、白金、ロジウム単独もしくはこれらの合金である。この中で銀とパラジウムの合金が好ましく、このとき銀の含有率は60質量%乃至99質量%が好ましく、80質量%乃至98質量%が更に好ましい。金属層の膜厚は1〜100nmが好ましく、5〜40nmが更に好ましく、10〜30nmが最も好ましい。膜厚が1nm未満では電磁波遮蔽効果が乏しく、100nmを超えると可視光線の透過率が低下する。透明導電層を形成する金属酸化物としては、例えば酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、ITO、IZO、ATOなどを挙げることができる。この膜厚は20〜1000nmが好ましい。さらに好ましくは40〜100nmである。
【0334】
これら金属透明導電層と酸化物透明導電層を合わせて用いるのも好ましい。また、同一層内に金属と導電性金属酸化物が共存することも好ましい。金属層の保護、酸化劣化防止および可視光線の透過率を高めるために透明酸化物層を積層することができる。この透明酸化物層は導電性があってもなくてもかまわない。透明酸化物層としては例えば2〜4価金属の酸化物、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび金属アルコキサイド化合物等の薄膜が挙げられる。透明導電層、透明酸化物層を形成する方法としては特に制限はなく、任意の加工処理方法を選択することが可能である。例えばスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法あるいはPVD法、該当する金属あるいは金属酸化物の超微粒子の塗布、金属シートの接着等いずれの公知技術も用いることが可能である。
【0335】
また、基材上に、その他の層として、赤外遮蔽効果を有する層を別に設けてもよい。前記の染料をこの層に含有してもよい。750nmから1100nmまでの赤外線が最も問題であり、この領域に対し遮蔽効果を有することが好ましい。赤外線遮蔽効果を付与するには透明プラスチック支持体に近赤外吸収性化合物を混合する方法も用いることができる。例えば銅原子を含有する樹脂組成物(特開平6−118228号公報)、銅化合物、リン化合物を含有する樹脂組成物(特開昭62−5190号公報)、銅化合物、チオ尿素誘導体を含有する樹脂組成物(特開平6−73197号公報)、タングステン系化合物を含有する樹脂組成物(米国特許第3,647,729号公報)などを形成することによって容易に製造できる。銀を透明上に成膜する方法は、電磁遮蔽に加えて赤外線遮蔽効果を持たせることができる。
【0336】
本発明においては、表面にアンチグレア機能(入射光を表面で散乱させて、膜周囲の景色が膜表面に移るのを防止する機能)を付与することも好ましい。例えば、透明フィルムの表面に微細な凹凸を形成し、そしてその表面に反射防止層を形成するか、あるいは反射防止層を形成後、エンボスロールにより表面に凹凸を形成することにより、アンチグレア機能を得ることができる。アンチグレア機能を有する反射防止層は、一般に3〜30%のヘイズを有する。
【0337】
本発明には、ハードコート層、潤滑層、防汚層、帯電防止層あるいは中間層を設けることも好ましい。ハードコート層は、架橋しているポリマーを含むことが好ましい。ハードコート層は、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シロキサン系のポリマー、オリゴマーまたはモノマー(例、紫外線硬化型樹脂)を用いて形成することができる。シリカ系のフィラーをハードコート層に添加することもできる。反射防止膜の最表面には潤滑層を形成してもよい。潤滑層は、反射防止膜表面に滑り性を付与し、耐傷性を改善する機能を有する。潤滑層は、ポリオルガノシロキサン(例、シリコンオイル)、天然ワックス、石油ワックス、高級脂肪酸金属塩、フッ素系潤滑剤またはその誘導体を用いて形成することができる。潤滑層の厚さは、2〜20nmであることが好ましい。
【0338】
反射防止膜の最表面に設けた有機基を有する酸化珪素の膜は防汚層として作用し、反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性、親油性の汚れを付きにくくするものである。防汚層の厚さは2nm〜100nm、好ましくは5nm〜30nmである。表面の純水での接触角は70〜180°が好ましく、さらに好ましくは80〜160°である。
【0339】
本発明に係わる反射防止フィルムの分光反射率は分光光度計により測定を行うが、基材フィルムの上の反射防止層の反対側を(観察側の裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーを用いて光吸収処理を行ってから、400〜700nmの波長について反射光を測定する。反射率は400〜700nmの波長における平均値が0.4%以下であることが好ましく、最低の反射率は0.2%未満であることが好ましく、測定波長の範囲内において、反射率がほぼ平坦な反射スペクトルを有することが好ましく、反射光のムラがないことが好ましい。或いは、反射光としてやや青〜紫色の色味を有しているものが好まれる。
【0340】
偏光板は、本発明に係わる反射防止フィルムをもちいて、一般的な方法で作製することが出来る。先ず、セルロースエステルフィルムと反射防止フィルムをアルカリケン化処理し水洗し乾燥しておく、一方、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液中に浸漬、長さ方向に一軸延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて上記フィルムの鹸化された面を貼り合わせることによって偏光板を得ることが出来る。
【0341】
この偏光板を作製する過程において、鹸化処理したセルロースエステルフィルムの何れかの面、また反射防止フィルムの反射防止層のある面の反対面を貼り合わせる際、本発明に係るセルロースエステルフィルム及び本発明の反射防止フィルムを使用することによって、貼り合わせを良好に行うことが出来、また貼り合わせたフィルムが剥離することもなく安定した偏光板を得ることが出来る。
【0342】
本発明の光学フィルム或いは反射防止フィルムは、偏光板用保護フィルムとして液晶ディスプレイにもちいられる他、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種表示装置に好ましくもちいることができる。
【0343】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
【0344】
実施例1
〔ドープの調製〕
《ドープAの調製》
セルロースエステルA 50質量部
トリフェニルホスフェイト 10質量部
ビフェニルジフェニルホスフェイト 2質量部
T−1(1,3,5−トリアジン化合物) 1質量部
チヌビン326 0.5質量部
アエロジル R972V(二酸化珪素微粒子) 0.15質量部
メチレンクロライド 405質量部
エタノール 45質量部
以上を密閉型の溶解釜に投入し、攪拌しながら60℃で完全に溶解し、冷却後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過してドープAとした。
【0345】
【化50】
Figure 2004155146
【0346】
《ドープBの調製》
セルロースエステルB 100質量部
トリメチロールプロパントリベンゾエート 5質量部
例示化合物1(1,3,5−トリアジン化合物) 1質量部
アエロジル R972V(二酸化珪素微粒子) 0.15質量部
メチレンクロライド 405質量部
エタノール 45質量部
以上を密閉型の溶解釜に投入し、攪拌しながら60℃で完全に溶解し、冷却後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過してドープBとした。
【0347】
《ドープCの調製》
セルロースエステルB 45質量部
セルロースアセテートプロピオネート 55質量部
(アセチル基置換度2.0、プロピオニル基置換度0.8)
トリフェニルホスフェイト 10質量部
ビフェニルジフェニルホスフェイト 2質量部
例示化合物1(1,3,5−トリアジン化合物) 1質量部
チヌビン326 0.5質量部
アエロジル R972V(二酸化珪素微粒子) 0.15質量部
酢酸エチル 300質量部
エタノール 100質量部
以上を密閉型の溶解釜に投入し、攪拌しながら60℃で完全に溶解し、冷却後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過してドープCとした。
【0348】
《ドープDの調製》
セルロースアセテート(置換度2.8) 100質量部
トリフェニルホスフェイト 10質量部
ビフェニルジフェニルホスフェイト 2質量部
チヌビン326 1質量部
アエロジル R972V(二酸化珪素微粒子) 0.15質量部
メチレンクロライド 405質量部
エタノール 45質量部
以上を密閉型の溶解釜に投入し、攪拌しながら60℃で完全に溶解し、冷却後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過してドープDとした。
【0349】
〔セルロースエステルフィルムA〜Dの作製〕
上記で調製したドープAをステンレスベルト上に流延した。ステンレスベルト上で、溶媒を蒸発させ、ステンレスベルト上からウェブを剥離した。剥離したウェブをテンター乾燥機に導入し、両端をクリップで把持して幅方向に1.05倍延伸しながら90℃で乾燥させ、110℃次いで125℃の各乾燥ゾーンを有するロール乾燥機内に配置された多数のロールを通して搬送させながら乾燥を終了させ膜厚40μmのセルロースエステルフィルムを作製した。このフィルムの両端に幅10mm、高さ7μmのナーリング加工を施して、1350mm幅、巻長は4000mのセルロースエステルフィルムAを得た。
【0350】
ドープAをドープB〜Dに変更した以外は同様にしてセルロースエステルフィルムB〜Dを作製した。
【0351】
得られたセルロースエステルフィルムA〜Dを用いて、下記に従って、表1記載のようにハードコート層1または2を所定の膜厚となるように続けて形成し、さらにその上に後述の大気圧プラズマ処理によって金属化合物層を連続して積層した。
【0352】
〈ハードコート層1の塗設〉
下記のハードコート層塗布組成物を上記で作製したセルロースエステルフィルムB面側(溶液流延製膜工程でステンレスベルト支持体側に接している面)に押し出しコートし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、110mJ/cmで紫外線照射し、6μmの乾燥膜厚となるようにハードコート層1を設けた。
【0353】
Figure 2004155146
〈ハードコート層2の塗設〉
下記のハードコート層2塗布組成物を上記で作製したセルロースエステルフィルムB面側(溶液流延製膜工程でステンレスベルト支持体に接している面をB面、その反対側の面をA面とする)に押し出しコートし、次いで80℃に設定された乾燥部で乾燥した後、120mJ/cmで紫外線照射し、膜厚3μmのハードコート層2(中心線平均粗さ(Ra)0.2μm)を設けた。
【0354】
Figure 2004155146
以上を高速攪拌機(TKホモミキサー、特殊機化工業(株)製)で攪拌し、その後衝突型分散機(マントンゴーリン、ゴーリン(株)製)で分散した後、下記の成分を添加した。
Figure 2004155146
〔大気圧もしくはその近傍の圧力下で反応ガスを用いてプラズマ放電処理による金属化合物薄膜(反射防止層)の形成〕
前記ハードコート層を設けたセルロースエステルフィルムA〜Dそれぞれを用いて、ハードコート層(紫外線硬化樹脂層)上に以下のように金属化合物層を形成した。
【0355】
《金属化合物層の形成》
大気圧プラズマ放電処理による金属酸化物層の形成には、下記のプラズマ放電処理装置を用いた。
【0356】
《プラズマ放電処理装置》
(電極の作製)
図2に示したプラズマ放電処理装置において、誘電体で被覆したロール電極及び同様に誘電体で被覆した複数の角筒型電極のセットを以下のように作製した。
【0357】
第1電極となるロール電極は、冷却水による冷却手段を有するチタン合金T64製ジャケットロール金属質母材に対して、アルミナ溶射膜を被覆し、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により硬化させ封孔処理を行った。このようにして被覆した誘電体表面を研磨し、平滑にして、Rmax5μmとなるように加工した。最終的な誘電体の膜厚は1mm、誘電体の比誘電率は10であった。更に導電性の金属質母材と誘電体の線熱膨張係数の差は1.7×10−4で、耐熱温度は260℃であった。
【0358】
一方、第2電極の角筒型電極は、中空の角筒型のチタン合金T64に対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、対向する角筒型固定電極群とした。この角筒型電極の誘電体については上記ロール電極のものと同じである。
【0359】
この角筒型電極をロール回転電極のまわりに、対向電極間隙を1mmとして25本配置した。角筒型固定電極群の放電総面積は、150cm(幅手方向の長さ)×4cm(搬送方向の長さ)×25本(電極の数)=15000cmであった。
【0360】
対向電極間より以下に示す反応ガスを導入し、使用済みガスの排気を行いつつ、上記作製した、ハードコート層を有する各セルロースエステルフィルム上に、金属酸化物層を以下に示す順次4層の構成で形成し反射防止層とした(それぞれの膜厚については以下に示した)。
【0361】
尚、プラズマ放電処理装置には、固定電極側に、連続周波数13.56MHz、0.8kV/mmの高周波電圧(パール工業社製高周波電源)を供給し、ロール電極側には、連続周波数100kHz、8kV/mmの高周波電圧(ハイデン研究所製高周波電源)を供給した。また、ロール電極は、ドライブを用いてセルロースエステルフィルムの搬送に同期して回転させた。
【0362】
なお、固定電極とロール電極の間隙は1mm、反応ガスの圧力は大気圧+1kPaとして行った。金属酸化物層を形成する為にプラズマ放電処理に用いた反応ガス(酸化珪素層形成用反応ガス)の組成を以下に記す。尚、反応ガス中の液体成分は気化器によって蒸気とし、加温しながら放電部に供給した。
【0363】
Figure 2004155146
ハードコート層上に、第1酸化チタン層、第1酸化珪素層、第2酸化チタン層、第2酸化珪素層の順に設けた。
【0364】
《反応ガスの種類》
反射防止層の形成に用いた反応ガスを以下に示す。
【0365】
(反応ガスA):酸化チタン層(高屈折率層)形成用
窒素 68.7体積%
アルゴン 30体積%
反応ガス(酸素ガス) 1体積%
反応ガス(テトライソプロポキシチタン蒸気) 0.3体積%
(反応ガスB):酸化珪素層(低屈折率層)形成用
窒素 98.7体積%
反応ガス(酸素ガス) 1体積%
反応ガス(テトラエトキシシラン蒸気) 0.3体積%
(反応ガスC):酸化珪素層(低屈折率層)形成用
窒素 99.2体積%
反応ガス(酸素ガス) 0.5体積%
反応ガス(メチルトリエトキシシラン蒸気) 0.3体積%
反射防止層を形成したフィルムを光学フィルム1〜8とした。
【0366】
得られた各光学フィルムについて、以下の評価を行った。
《評価》
〈すじ故障〉
長時間連続的に製膜した各サンプルについて、すじ状のむらの有無を目視で評価した。
◎ すじ状のむらは確認できない。
○ わずかにすじ状の故障が認められる。
△ 弱いすじ状の故障が認められる。
× 明らかにすじ状故障が認められる。
【0367】
作製した光学フィルム1〜8のL値、ΔE(反射光ムラ)、反射率を下記方法で測定した。
【0368】
(L値の測定)
光学フィルムのL値は、色彩色度計CM−2022(ミノルタ製)を用い、SCI(正反射光込み)方式で測定した分光反射率から求めた。サンプルは、測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理(370nmから730nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
【0369】
〈ΔE(反射光ムラ)の測定〉
作製した光学フィルムサンプルから、1cm間隔で10cm×10cmの範囲で100点のL値を測定し、1cm間隔で隣接する2点間のΔEの最大値を求めた。
【0370】
(反射率)
値の測定のために色彩色度計CM−2022(ミノルタ製)を用い、SCI(正反射光込み)方式で測定した450nmから650nmの範囲の分光反射率の平均値を求めた。
【0371】
また、作製した光学フィルム1〜8について、高温高湿処理(80℃、90%RH、500時間処理)後、スチールウール(表面耐摩耗性)、クラック、密着性(碁盤目試験)試験を行った。
【0372】
〈表面耐摩耗性〉
#0000スチールウールに1平方センチメートルあたり0.1kgの加重をかけて積層体フィルムの表面を10往復した後の、スチールウール往復方向の1センチメートルあたりの傷の発生本数で評価した。
【0373】
○:傷発生ほとんどない
×:傷が見られる
〈クラック〉
光学フィルムそれぞれを前記高温高湿処理後、フィルム端部より10cmの部分のフィルム表面に形成された金属酸化物層(反射防止層)に発生したクラックを目視及び顕微鏡で観察した。評価ランクは以下の通りである。
【0374】
◎:クラックはほとんど認められず、透明性に優れる
○:クラックは認められるが、白濁はない
△:クラックが認められ、僅かに白濁している
×:著しくクラックが入り、白濁している
〈密着性(碁盤目試験)〉
光学フィルムそれぞれを前記高温高湿処理後、JIS K5400に準拠した碁盤目試験を行った。具体的には塗布面上に1mm間隔で縦、横に11本の切れ目を入れ、1mm角の碁盤目を100個つくった。この上にセロハンテープを張り付け、90度の角度で素早く剥がし、剥がれずに残った碁盤目の数をmとしm/100として表した。
【0375】
以上の評価を行った結果を以下に示す。
【0376】
【表1】
Figure 2004155146
【0377】
本発明に係わる光学フィルムはすじ状の故障が低減されかつ、反射光ムラが小さく、さらに高温高湿条件で保存した後も、表面物性や、反射防止膜の密着性が良好であり安定した性能を有することがわかる。
【0378】
〔偏光板の作製〕
光学フィルム1〜8について、A面側(溶液流延製膜工程でステンレスベルト支持体に接している面をB面、その反対側の面をA面とする)を60℃の2mol/LのNaOH水溶液に90秒浸漬後、その後常温水で水洗して、80℃で乾燥しそれぞれの片面鹸化処理した光学フィルムを得た。
【0379】
前記光学フィルムの基材フィルムとして用いたセルロースエステルフィルム試料A〜Dについても同様に片面鹸化処理を行った。
【0380】
別に120μmの厚さのポリビニルアルコールをヨウ素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で4倍に長尺方向に延伸した偏光膜を用意した。この偏光膜の片面に、上記鹸化処理した光学フィルム1〜8の鹸化処理面を、完全鹸化型のポリビニルアルコール5質量%水溶液粘着剤で貼り合わせ同様に反対の面にはそれぞれの光学フィルム1〜8の基材フィルムである鹸化されたセルロースエステルフィルムA〜Dを貼り合わせ、偏光板1T〜8Tを得た。
【0381】
〔液晶画像表示装置〕
市販の液晶表示パネル(NEC製カラー液晶ディスプレイ;MultiSync LCD1525J:型名LA−1529HM)の観察側の偏光板を注意深く剥離し、上記で作製した偏光板1T〜8Tの各々を、金属酸化物層を外側にして偏光方向を合わせて張り付け液晶表示パネル1〜8を各々作製した。
【0382】
上記作製した各液晶表示パネル1〜8について、液晶表示パネル(液晶表示装置)を目視観察し、視認性の評価を行ったところ、本発明に係わる光学フィルムを用いた偏光板を有する液晶表示パネルについては、黒がしまって見え、鮮明であり、反射光の色むらは認められないか、ほとんど認められないが、比較となる光学フィルムを用いたものについては、黒のしまりがややなく、鮮明さが低く、反射光の色むらが認められる結果であった。
【0383】
【発明の効果】
均一な金属化合物層を形成でき、すじ状の故障、クラック等が低減されかつ、反射光ムラが小さく、且つ、さらに、高温高湿条件でも物性が変動することなく、液晶表示パネルにしたときに、優れた視認性を示す光学フィルムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
【図2】本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
【図3】図2に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【図4】角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 プラズマ放電処理装置
11 第1電極
12 第2電極
21 第1電源
22 第2電源

Claims (6)

  1. セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルを含有するセルロースエステルフィルム上に直接又は他の層を介して主に窒素を含有する大気圧近傍のガス雰囲気下でプラズマ処理によって形成された金属化合物層を有する光学フィルム。
  2. セルロースエステルフィルムが分子内に3個以上の芳香族環を有する化合物を含有する請求項1に記載の光学フィルム。
  3. セルロースと芳香族カルボン酸とのエステルを含有するセルロースエステルフィルムの少なくとも片方の面に、1層以上のハードコート層を設け、さらにその上に直接又は他の層を介して、主に窒素を含有する大気圧近傍のガス雰囲気下で、プラズマ処理によって金属化合物層を形成する光学フィルムの製造方法。
  4. プラズマ処理が対向する少なくとも2つの電極の間に窒素を主成分とするガスを供給し、該電極間に高周波電圧を印加することにより該ガスを励起し、基材を励起した該ガスに晒すことにより該基材上に金属化合物層を形成する光学フィルムの製造方法であって、前記電極間に印加する高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、該第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2を有する電圧成分とを有することを特徴とする請求項3に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の光学フィルムを有する低反射偏光板。
  6. 請求項1または2に記載の光学フィルムを有する表示装置。
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