JP2004154664A - 新規なルイス酸触媒 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のBF触媒と同等の高いルイス酸活性を持ち、かつ反応に用いた後に、反応生成物を簡単かつ高純度で単離することが可能であり、また必要に応じて触媒の再利用が容易なルイス酸触媒。
【解決手段】1−(2−(2−ヒドロキシエチルオキシ)エチルオキシ)エチル−3−メチルイミダゾリウム・ヨードニウム塩、トリメチル(2−メトキシエチル)アンモニウム・ビス(トリフロロメチルスルホニウム)イミド塩等の、カチオン又はアニオンの少なくとも一方が、少なくとも一つのエーテル結合を有す有機イオンである有機オニウム塩と(B)三フッ化ホウ素との複合体とをルイス酸触媒とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種化学反応の触媒として有用な、新規のルイス酸触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホウ素化合物は様々な合成反応で有用な触媒として知られている。中でも三フッ化ホウ素(以下、BF)は気体であり、また、有機溶媒に溶存するために使い勝手がよく副生物が少ないルイス酸触媒としてよく知られ、樹脂の重合や様々な有機合成反応の触媒として用いられている。しかしながらBFガスは毒性が高く、取り扱いに注意を要するため、通常は、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、フェノール、モノエチルアミンやピペリジン等と液体あるいは固体の複合体(錯化合物あるいはコンプレックスと呼ばれることもある)を形成させ、複合体の形で反応系に添加され、ルイス酸触媒として用いられる(例えば非特許文献1、非特許文献2参照)。しかしながらこれらの複合体は比較的蒸気圧が高く、また多くの溶媒に溶解するため、反応終了後に目的性生物を蒸留あるいは溶媒抽出によって単離しようとした場合に、留出物あるいは抽出物中に混入してくるという問題がある。そのため、一般にはこのような複合体を用いて反応を行った際には、反応終了後、塩基によって中和、BFの分解を行い、水洗除去するという手法が採用されている。しかしながら、このような中和、水洗除去は製造工程を複雑化させるのみでなく、アルカリ分やフッ素化合物、ホウ素化合物を含む廃液を多量に生むという問題がある。さらには、このような分解除去を行ってしまうと、触媒が失活してしまうため再利用もできない。
【0003】
また、エポキシ樹脂の重合触媒等の用途に使用する際には、これら従来のBF複合体は揮発性があるため、作業環境の悪化を招いたり、あるいは重合後に、重合に関与しなかった成分の揮発があるなどの問題点がある。
【0004】
一方、室温で液体であるオニウム塩(以下、溶融塩とも称す)は、蒸気圧がほぼ0であり、引火性もなく難燃性であるために安全な溶媒としての利用が期待されている(例えば、特許文献1)。また、溶融塩は様々な種類があり、種類によって物質の溶解性が異なるために分離精製などが容易である反応溶媒としても期待されている。しかし反応溶媒の特性や用いる触媒等についてはいまだ知られておらず、溶融塩の特徴である蒸気圧がほぼ0であり分離精製が容易であるような触媒はいまだ知られていない。
【0005】
【非特許文献1】
橋本春吉、宮野壮太郎、「〔続〕有機合成反応 芳香族合成−その方法論」、学会出版センター、1991年8月30日、p.24−27
【非特許文献2】
ハーバート・ハウス著、後藤俊夫・江口昇次訳、「ハウス 最新有機合成反応」、第2版、廣川書店、昭和58年5月25日(第3刷)、p.676−680
【特許文献1】
特開2002−3478号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明においては、安全で取り扱い性に優れ、常温、常圧下で揮発性がなく、反応系からの目的生成物の単離取得が容易であり、必要に応じて再利用の可能なルイス酸触媒の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意検討を行なった。その結果、少なくとも一つのエーテル結合を有す有機カチオンとアニオンからなる有機オニウム塩に対し、BFを複合化させたルイス酸触媒が、高いルイス酸活性を示し、かつ蒸気圧が0であるため、蒸留により目的生成物を単離した際にも留出してこないため、極めて高い純度の目的生成物を得られることを見出し、さらに検討を進めた結果、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、(A)カチオン又はアニオンの少なくともどちらか一方が、少なくとも一つのエーテル結合を有す有機イオンである有機オニウム塩と(B)三フッ化ホウ素との複合体からなるルイス酸触媒であり、他の発明は、上記複合体における有機オニウム塩が、下記一般式(1)
・(R−X−[{−Y−(CH−O}−R・(BF (1)
(上記式中、Zはアニオンを示し、Rは非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Rは水素原子又は、非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Xは窒素原子、硫黄原子又はリン原子を示し、Yは結合手又は2価の有機残基を示し、aは0〜3の整数、bは1〜4の整数であって、かつa+bはXが窒素原子又はリン原子の場合には4、硫黄原子の場合には3であり、mは1〜6、nはRが水素原子である場合には2〜10、Rが水素原子以外である場合には1〜10、cは0.005≦c≦n×bとなる数であり、R及び{−Y−(CH−O}−Rはいずれも、複数ある場合には各々異なる基であってもよい。)
又は下記一般式(2)
【0009】
【化5】
Figure 2004154664
【0010】
(上記式中、Z、R、Y、m及びnは一般式(1)と同義であり、
【0011】
【化6】
Figure 2004154664
【0012】
で示される基は、置換又は非置換の不飽和含窒素複素環から誘導されるカチオン性の基を示し、dは0.005≦c≦nとなる数である。)
で示される有機オニウム塩であるルイス酸触媒である。
【0013】
また他の発明は、下記一般式(3)
・(R−X−[{−Y−(CH−O}−R・(BF (3)
(上記式中、Zはアニオンを示し、Rは非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Rは水素原子又は、非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Xは窒素原子、硫黄原子又はリン原子を示し、Yは結合手又は2価の有機残基を示し、aは0〜3の整数、bは1〜4の整数であって、かつa+bはXが窒素原子又はリン原子の場合には4、硫黄原子の場合には3であり、mは1〜6、nはRが水素原子である場合には2〜10、Rが水素原子以外である場合には1〜10、kは1≦k≦n×bとなる数であり、R及び{−Y−(CH−O}−Rはいずれも、複数ある場合には各々異なる基であってもよい。)
で示される有機オニウム塩複合体および、下記一般式(4)
【0014】
【化7】
Figure 2004154664
【0015】
(上記式中、Zはアニオンを示し、Rは水素原子又は、非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Yは結合手又は2価の有機残基を示し、
【0016】
【化8】
Figure 2004154664
【0017】
で示される基は、置換又は非置換の不飽和含窒素複素環から誘導されるカチオン性の基を示し、mは1〜6、nはRが水素原子である場合には2〜10、Rが水素原子以外である場合には1〜10、lは1≦l≦nとなる整数である。)で示される有機オニウム塩複合体である。
【0018】
さらにまた他の発明は、カチオン又はアニオンの少なくともどちらか一方が、少なくとも一つのエーテル結合を有す有機イオンである有機オニウム塩と、三フッ化ホウ素・エチルエーテル複合体とを混合し、ついでエチルエーテルを減圧下に除去、濃縮することによって得られるルイス酸触媒である。
【0019】
上記本発明のルイス酸触媒は、BFをエーテル結合を有す有機オニウム塩との複合体とすることにより、従来のBF複合体からなるルイス酸触媒と同等の高い触媒活性を保持したまま、蒸気圧をほぼ0にすることができ、それによって減圧蒸留等を行っても触媒が目的物と共に留出してくることがなくなり、従来のBF複合体からなるルイス酸触媒を用いた場合に比して極めて高い純度で目的物を得ることが可能となる。
【0020】
また、有機オニウム塩部分として適当な構造を選択することにより、ルイス酸触媒となる複合体を液体とすることが可能であり、この場合には、該複合体を反応溶媒兼ルイス酸触媒とすることが可能となり、よって他の溶媒を不要とすることができる。これにより、各種精製の際に溶媒が混入してくることもほとんどなくなり、さらに高い純度で目的物を得ることができる。
【0021】
またさらに、有機オニウム塩部分の構造を適宜選択することにより、非極性溶媒には実質的に不溶な複合体とすることが可能であり、非極性溶媒に易溶な化合物の合成に際し、このような複合体をルイス酸触媒兼溶媒として用いると、反応系から非極性溶媒で抽出することにより、極めて純度の高い目的生成物を得ることができる。
【0022】
このようにして目的生成物とルイス酸触媒を分離した際には、前述したようにルイス酸触媒を塩基によって中和、分解する必要がないため、目的物を取り出した後の複合体は未だ充分な活性を持っており、再度ルイス酸触媒(兼溶媒)として使用することも可能である。
【0023】
さらに副次的には、このような有機オニウム塩複合体は引火性がなく、難燃性であるため、高温での反応に用いた際の安全性も高くなる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明のルイス酸触媒は、(A)カチオン又はアニオンの少なくともどちらか一方が、少なくとも一つのエーテル結合を有す有機イオンである有機オニウム塩と(B)三フッ化ホウ素との複合体からなる。
【0025】
当該有機オニウム塩としては、その構造中にエーテル結合を有す化合物であれば特に制限されるものではなく、また、エーテル結合を有すのはカチオン部分でも、アニオン部分でも、あるいはその双方でも良い。また、エーテル結合の存在形態も特に限定されず、アルキルエーテル構造でもアリールエーテル構造でもよいし、それらが混合して存在していても良い。さらに構造の異なる有機オニウム塩の混合物でも構わない。
【0026】
本発明の複合体を構成する成分である有機オニウム塩として好適なものを例示すれば、下記一般式(5)
・(R−X−[{−Y−(CH−O}−R (5)
(上記式中、Zはアニオンを示し、Rは非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Rは水素原子又は、非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Xは窒素原子、硫黄原子又はリン原子を示し、Yは結合手又は2価の有機残基を示し、aは0〜3の整数、bは1〜4の整数であって、かつa+bはXが窒素原子又はリン原子の場合には4、硫黄原子の場合には3となり、mは1〜6、nはRが水素原子である場合には2〜10、Rが水素原子以外である場合には1〜10、cは0.005≦c≦n×bとなる整数であり、(R)及び[{−Y−(CH−O}−R]はいずれも、複数ある場合には各々異なる基であってもよい。)
で示される有機オニウム塩、又は下記一般式(6)
【0027】
【化9】
Figure 2004154664
【0028】
(上記式中、Z、R、Y、m及びnは一般式(5)と同義であり、
【0029】
【化10】
Figure 2004154664
【0030】
で示される基は、置換又は非置換の不飽和含窒素複素環から誘導されるカチオンを示す。)
で示される有機オニウム塩が挙げられる。
【0031】
上記一般式(5)又は(6)において、Zはアニオンを示す。当該アニオンとしては有機オニウム塩のアニオン部分となりうるものであれば特に制限されず、如何なるアニオンでもよく、具体的には、ハロゲンイオン、アシレートイオン、硫酸イオン、イミドアニオン、メチドアニオン、ボレートアニオン、ホスフェートアニオン等が挙げられる。
【0032】
当該ハロゲンイオンとしては、Cl、Br、I等が例示され、アシレートイオンとしてはCFCOO、CHCOO等が例示され、硫酸イオンとしてはSO 2−、HSO 等が例示され、CFCOO、CHCOO、イミドアニオンとしては(CFSO、(CSO、(CFCO)、(CCO)、(CFOSO、CFSOCOCF、CFSOCN、CSOCN、CFCONCN、CCONCN、CFOSOSOCF、CFOSOCOCF、CFOSOCN等が例示され、メチドアニオンとしては(CFSO、(CFCO)、(CFSOCOCF、CFSO(COCF、(CFSOCN、CFSO(CN)、(CFCO)CN、CFCOC(CN)等が例示され、ボレートアニオンとしてはBF 、(CF)B、(CF、(CN)B、(CN)等が例示され、フォスフェートアニオンとしてはPF、(CF)P、(CF、(CF等が例示される。
【0033】
合成の容易さや、一つの有機オニウム塩当たりの複合可能なBFの数が多くなるという点から、当該アニオンとしては、構成原子数が50以下であるアニオンが好ましく、30以下であるアニオンがより好ましい。
【0034】
上記一般式(5)において、Rは、非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示す。当該炭化水素基は特に限定されるものではなく、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等、公知の如何なる基でもよいが、好ましくは炭素数1〜10の炭化水素基である。
【0035】
当該アルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、オクチル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が例示される。
【0036】
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が例示され、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、クメニル基等の炭素数6〜10のアリール基が例示され、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜10のアラルキル基が例示される。
【0037】
また、これら炭化水素基は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子によって置換されていても良い。ハロゲン原子の置換位置や数は特に制限されるものではない。
【0038】
これら炭化水素基のなかでも、合成や入手の容易さ、化学的安定性等を考慮すると、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、あるいはこれらがハロゲン原子で置換された基であることがより好ましく、非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
【0039】
上記一般式(5)又は(6)において、Rは水素原子又は、非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示す。非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基としてはRとして例示したものと同様の基が挙げられ、好ましいものもRと同様である。Rが水素原子である場合には、末端が水酸基となるが、この場合にはエーテル結合を含む構造とするために上記式(5)又は(6)におけるnが1であってはならない。他方、Rが非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基である場合には、nは1であって良い。
【0040】
上記一般式(5)又は(6)において、Yは結合手又は2価の有機残基を示す。Yが結合手である場合には、Xに対して(CHで示されるアルキレン基が直接結合する。Yが2価の有機残基である場合には、当該有機残基は特に限定されず、如何なる有機残基でもよく、またハロゲン原子、水酸基、アミノ基、メルカプト基等の置換基や、エステル結合、アミド結合、エーテル結合等の炭素−炭素結合以外の結合を有していても良い。化学的安定性を考慮すると、炭化水素基であるか、炭素−炭素結合及び/又は炭素−水素結合以外の結合として、炭素−酸素の単結合(エーテル結合あるいは水酸基)及び/又は炭素−ハロゲン結合しか有さない基であることが好ましい。また当該有機残基を構成する炭素数が15以下の基であることがより好ましい。
【0041】
このような炭化水素基を具体的に例示すると、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基;フェニレン基等のアリーレン基;プロピレンオキシプロピル基、ブチレンオキシブチル基等のアルキレンオキシアルキル基;フェニレンオキシフェニル基等のアリーレンオキシアリール基;メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基等のアルキレンオキシ基(但し、炭素原子側がXと結合する);フェニレンオキシ等のアリーレンオキシ基(但し、炭素原子側がXと結合する)等が例示される。
【0042】
[{−Y−(CH−O}−R]で示される基をより具体的に例示すると、メトキシメチル基;2−メトキシエチル基、2−(2−メトキシエトキシ)エチル基等の−(CO)−CH(nは1〜10の整数)で示される基;2−(2−ヒドロキシエチルオキシ)エチル基、2−(2−(2−ヒドロキシエチルオキシ)エチルオキシ)エチル基等の−(CO)−H(nは1〜10の整数)で示される基;p−(2−メトキシエチル)フェニル基、p−(2−(2−メトキシエチルオキシ)エチル)フェニル基等の−Ph−(CO)−CH(nは1〜10の整数、Phはフェニレン基を示す)で示される基が挙げられる。
【0043】
これらのなかでも合成の容易さや、化学的安定性の点からの−(CO)−CH(nは1〜10の整数)で示される基、又は−(CO)−H(nは1〜10の整数)で示される基であることが特に好ましい。
【0044】
なお上記一般式(5)において、R及び{−Y−(CH−O}−Rはいずれも、複数ある場合には各々異なる基であってもよい。
【0045】
上記式(5)において、Xは窒素原子、硫黄原子又はリン原子を示し、aは0〜3の整数、bは1〜4の整数であって、かつa+bはXが窒素原子又はリン原子の場合には4、硫黄原子の場合には3である。bが0である場合には構造中にエーテル結合を有さないためBFと複合体を形成することができず、よってルイス酸触媒とすることができない。
【0046】
上記一般式(6)において、
【0047】
【化11】
Figure 2004154664
【0048】
で示される基は、置換又は非置換の不飽和含窒素複素環から誘導されるカチオン性の基を示す。当該不飽和含窒素複素環としては特に制限されるものではないが、合成の容易さや化学的安定性の点から、イミダゾリウム環又はピリジニウム環であることが特に好ましい。
【0049】
イミダゾリウム環である場合には下記式
【0050】
【化12】
Figure 2004154664
【0051】
(上記式中、Rは非置換のあるいはハロゲン原子で置換されたアルキル基を示し、Rはハロゲン原子又は、非置換のあるいはハロゲン原子で置換されたアルキル基を示し、eは0〜3の整数を示す。)
で示される基であることが特に好ましい。
【0052】
上記式で示されるイミダゾリウム環において、Rおよび/又はRが非置換のあるいはハロゲン原子で置換されたアルキル基である場合の具体例としては、前記Rとして説明ものにおいて、当該Rが非置換のあるいはハロゲン原子で置換されたアルキル基である場合と同様である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。好ましくは炭素数1〜5の非置換のアルキル基である。またRが複数ある場合にはそれらは各々同一でも異なっていても良い。
【0053】
また、ピリジニウム環である場合には下記式
【0054】
【化13】
Figure 2004154664
【0055】
(上記式中、Rはハロゲン原子又は、非置換のあるいはハロゲン原子で置換されたアルキル基を示し、fは0〜5の整数を示す。)
で示される基であることが特に好ましい。
【0056】
上記式で示されるピリジニウム環において、Rが、非置換のあるいはハロゲン原子で置換されたアルキル基である場合具体例としては、前記Rとして説明ものにおいて、当該Rが非置換のあるいはハロゲン原子で置換されたアルキル基である場合と同様である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が挙げられる。好ましくは炭素数1〜5の非置換のアルキル基である。
【0057】
上記式(5)で示される有機オニウム塩のカチオン部分を具体的に例示すると、テトラメトキシメチルアンモニウムカチオン、テトラ−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン、メトキシメチルトリメチルアンモニウムカチオン、2−メトキシエチルトリメチルアンモニウムカチオン、2’−メトキシエトキシ−2−エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ジメトキシメチルジメチルアンモニウムカチオン、2−ジメトキシエチルジメチルアンモニウムカチオン等のXが窒素原子であるアンモニウムカチオン類;テトラ−(2−メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、テトラ−(2’−メトキシ−2−エトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリメチル−(2−メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリメチル−(2’−メトキシ−2−メトキシエチル)ホスホニウムカチオン、トリエチル−(2−メトキシエチル)ホスホニウムカチオン等のXがリン原子であるホスホニウムカチオン類;トリ−(2−メトキシエチル)スルホニウムカチオン、トリ−(2’−メトキシ−2−エトキシエチル)スルホニウムカチオン、ジメチル−(2−メトキシエチル)スルホニウムカチオン、ジメチル−(2’−メトキシ−2−エトキシエチル)スルホニウムカチオン、ジエチル−(2−メトキシエチル)スルホニウムカチオン、1−(2’−メトキシエチル)チオフェニウムカチオン等のXが硫黄原子であるスルホニウムカチオン類が例示される。
【0058】
また、前記一般式(6)で示される有機オニウム塩のカチオン部分を具体的に例示すると、1,3−ジメトキシメチルイミダゾリウムカチオン、1,3−ジメトキシエチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−メトキシメチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−メトキシエチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−(2’’−メトキシ−2’−エトキシエチル)イミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムカチオン類;N−メトキシメチルピリジニウムカチオン、N−(2’−メトキシエチル)ピリジニウムカチオン等のピリジニウムカチオン類等が例示される。
【0059】
なお、これらのカチオンに対するアニオン部分は前述の通りである。
【0060】
本発明のルイス酸触媒は、有機オニウム塩とBFとの複合体からなる。このような複合体の製造方法は特に制限されるものではなく、上記したような有機オニウム塩に対してBFガスを吹き込んで混合する方法や、有機オニウム塩と公知のBF−エーテル複合体とを混合し、ついでエーテル分を減圧下に除去、濃縮する方法等により得ることが可能である。有機オニウム塩のアニオンがBF である場合は、カチオン部分が同一でありアニオン部分がFである有機オニウム塩に対し、BFガスを作用させると直接目的の有機オニウム塩(BF 塩)とBFの複合体を得ることが可能である。
【0061】
有毒性の高いBFガスを直接吹き込む方法を用いるのに比べ、有機オニウム塩とBF−エーテル複合体とを混合し、ついでエチルエーテルを減圧下に除去、濃縮する方法の方が、安全性が高く、また原料の入手が容易でより好ましい。当該方法をより詳しく説明すると以下の通りである。まず、前述したような有機オニウム塩を、有機オニウムイオン前駆体とアニオン前駆体を反応させる直接四級化法や、有機オニウム塩のアニオン部分を交換する塩交換法等で製造する。むろん必要な有機オニウム塩が商業的に入手可能であるならば、それを用いてもなんら問題はない。
【0062】
代表的な塩交換による有機オニウム塩の製造方法をより詳しく述べると、まず、各種のアミンやホスフィン、スルフィドあるいはイミダゾールやピリジン等に対し、アルコキシアルキルハライドを作用させて、目的の有機オニウム塩とカチオン部分の構造が等しい有機オニウム塩(ハロゲン塩)を得る。当該アルコキシアルキルハライドとしては、ハライド、ブロミド又はヨーダイドが好適に用いられる。なお、これら有機オニウム塩の製造条件は周知である(例えば、日本化学会編、「第4版 実験化学講座24 有機合成IV」、丸善株式会社発行等)。ついでこの有機オニウム塩(ハロゲン塩)を、各種溶媒に溶解し、目的の有機オニウム塩のアニオン部分に相当するアニオンの金属塩(好ましくはアルカリ金属塩)とを混合する。通常は室温下、数十分〜10時間程度で十分にイオン交換反応が進行する。イオン交換を行った後、副生する無機塩を除去し、目的物を単離すればよい。例えば、無機塩を水層に抽出した後に溶媒を除去する方法、無機塩を析出させて濾別した後に溶媒を除去する方法、無機塩を溶解させさらに目的の有機塩を結晶化させ濾取する方法等により好適に単離することができる。また、単離された有機オニウム塩が水分を含む場合には、必要に応じて濃縮、共沸脱水等を行うことで乾燥すればよい。
【0063】
上記塩交換は一般に溶媒中で行われる。溶媒は特に制限されるものではないが、具体的に例を挙げて説明すると、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類、ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル等のエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメチルスルフォキシド等のスルフォキシド類等の有機溶媒及び水を挙げることができる。中でも、アセトン、メチルエチルケトン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、水等の比誘電率が10以上の溶媒が、原料であるアニオン金属塩及び有機カチオンハロゲン塩(有機オニウム塩)の溶解度が高く、好適に用いることができる。
【0064】
むろん上述した製造方法は一例に過ぎず、反応温度、時間、圧力等の各種条件は必要に応じて適宜選択すればよいし、また他の製造方法で得られた有機オニウム塩を用いてもなんら構わない。さらに、必要に応じて有機オニウム塩としてハロゲン塩をそのまま用いても構わない。
【0065】
ついで、有機オニウム塩とBF−エーテル複合体とを混合する。この際、有機オニウム塩が液体である場合には、溶媒を用いずに直接混合してもよいし、あるいはBFに対して不活性な有機溶媒に溶解して混合しても良い。また、有機オニウム塩が固体である場合にも、不活性な有機溶媒に有機オニウム塩を溶解し、この溶液とBF−エーテル複合体とを混合すればよい。BF−エーテル複合体としてはBF−エチルエーテル複合体が入手が容易で、また後述するエーテル分の除去も簡単なので好ましい。また不活性な有機溶媒としては、飽和炭化水素類あるいはハロゲン化飽和炭化水素類が好ましい。なお、水はBFを分解させてしまうため、このときに用いる溶媒、あるいは有機オニウム塩はできるだけ水分含量の少ないものを用い、雰囲気もできるだけ低湿度下で行うことが好ましい。
【0066】
混合時の温度は特に制限されるものではなく、用いるBF−エーテル複合体の沸点を考慮して適宜選択すればよく、一般には0〜100℃程度で行うことが好ましく、10〜40℃程度で行うことがより好ましい。室温で行うことが温度制御の必要もなく特に好適である。逆に、BF−エーテル複合体の沸点以上で行うことはあまり好ましくない。
【0067】
混合後には、数分〜数時間かけて常圧下で攪拌し、ついで減圧下でBF−エーテル複合体に由来するエーテル分、ならびに必要に応じて用いた溶媒を除去して濃縮すれば、本発明のルイス酸触媒を得ることができる。この場合の減圧度は、用いたBF−エーテル複合体に由来するエーテル分が充分に揮発する程度であれば特に制限されるものではなく、一般には1/10気圧〜1/200気圧程度で充分である。また、減圧する際には必要に応じて加熱しても良い。さらにエーテル分を充分に留去するために、ある程度エーテル分が揮発除去された混合物に対し、塩化メチレン等の揮発性が高く、BFとの相互作用のない溶媒を加え、再度減圧、揮発性成分を除去することも好適である。
【0068】
なお、上述した方法で得た混合物からエーテル分が十分に除去されたか否かは、減圧時の圧力あるいは留出ガスの温度の変化をモニターしたり、揮発してくる気体あるいは濃縮残をガスクロマトグラフィーで分析したりすることにより容易に判断できる。最も簡単には、混合物がエーテル臭を有しているか否かで判断できる。
【0069】
有機オニウム塩とBF−エーテル複合体の混合割合は特に制限されるものではないが、充分な触媒活性を得るためには、有機オニウム塩に対して、BFが0.005当量以上、好ましくは0.001当量以上となるような割合にすることが好ましい。即ち、ルイス酸触媒となる混合物中における全ての有機オニウム塩がBFの配位した複合体である必要はなく、複合体と非複合体の混合物であってもかまわない。さらに、1当量以上配合した場合には、BFの配位数の異なる有機オニウム塩とBFの複合体の混合物となる。通常、これらのような混合物においては、複合体と非複合体を区別することは困難である。このような混合物であっても、上述したように有機オニウム塩に対して、BFが0.005当量以上のものであれば十分にルイス酸触媒として作用する。このようなBF存在量の少ないものは、ルイス酸触媒兼反応溶媒として用いる場合に有利である。溶媒兼用とする場合には、1つの有機オニウム塩に対して、BFが0.005〜1当量の複合体であることが好ましく、0.01〜0.5当量の複合体であることがさらに好ましい。
【0070】
他方、本発明の有機オニウム塩とBFとの複合体を単にルイス酸触媒として用いる(必要な溶媒は別途加える)場合には、BFの存在比はできるだけ大きい(例えば、前記式(1)又は(2)において、c又はdが大きい)方が好ましい。従って、そのような目的においては、有機オニウム塩とBF−エーテル複合体を混合する際には、できるだけBF−エーテル複合体の混合(添加)割合が多い方が好ましい。ただし、BFがエーテル結合1つに対して1当量以上となる量混合しても、有機オニウム塩と複合体を作らずに、上述した減圧時に除去されてしまう。従って、有機オニウム塩の有するエーテル結合1つに対し、遙かに多量のBF−エーテル複合体を混合することはあまり意味がない。例えば、前記式(1)又は(2)で示される複合体においては、c又はdができるだけn×b、即ち有機オニウム塩中のエーテル結合の数と等しくなるように、用いるBF−エーテル複合体の量を調整することが好ましい。なお、前記式(1)又は(2)で示される複合体においては、Rが水素原子である場合には、末端が水酸基となり、エーテル結合の数がn×bよりも少なくなるが、BFは水酸基にも配位するため、結局n×b個のBFが配位した複合体とすることは可能である。ただし、水酸基にBF配位したは、エーテル結合に配意したBFに比べて活性が劣るので、できるだけ水酸基の数よりもエーテル結合の数の多い有機オニウム塩を用いることが好ましい。
【0071】
また、本発明のルイス酸触媒となる有機オニウム塩とBFの複合体としては、前述したようなBFの配位割合の異なるもののみならず、有機オニウム塩の構造の異なるものの混合物でもなんら問題はない(例えば、前記一般式(1)又は(2)において、nやmの異なるものの混合物でもよい)。
【0072】
このようにして得られた有機オニウム塩とBFとの複合体からなるルイス酸触媒は、BFをルイス酸触媒として用いる、公知の如何なる反応に用いても良い。例えば、フリーデルクラフツ反応やアルドール縮合反応等の有機合成反応の触媒としても使用できるし、エポキシ樹脂等のカチオン重合性樹脂の重合触媒として使用することもできる。
【0073】
これらの反応における本発明のルイス酸触媒の使用量は、公知のルイス酸触媒(BF)の使用量に準じ、BFとしての量が同等になるように用いればよく、また、これら反応時の各種反応条件も、公知の条件に準じて適宜選択すればよい。
【0074】
さらに前述したように、本発明のルイス酸触媒が反応条件下で液体である場合には、ルイス酸触媒兼反応溶媒として用いることも好適である。この場合には、BFの量が多くなりすぎないよう、ルイス酸触媒中のBFの比が小さいものを用いることが好適である。
【0075】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
(1)NMR測定方法
試料10〜20mgを約1mlの重水素化クロロホルム(標準物質として1,4−ビストリフルオロメチルベンゼン含有)に溶解し日本電子製核磁気共鳴装置JNM−LA500によりH、19F核を測定した。19Fのピーク位置は1,4−ビストリフルオロメチルベンゼンのピークを−64.00ppmとした場合のケミカルシフトを示した。
【0077】
実施例1
特開2002−3478号公報に記載の方法に準じて、下記のイミダゾリウム塩1
【0078】
【化14】
Figure 2004154664
【0079】
を合成した。即ち、1−メチルイミダゾール10.6gにH−(OCHCH−I 77.0gを滴下漏斗を用いてゆっくりと滴下した。滴下後、攪拌しながら60℃まで加熱し、褐色の粘性溶液を得た。これを分液漏斗を用いてアセトン100ml、さらに酢酸エチル100mlで洗浄した。反応物に含まれるアセトン、酢酸エチルを減圧下で留去した後、得られた液体をクロロホルムに溶解し、活性アルミナ(中性)のカラムを通して精製した。得られたイミダゾリウム塩(1)18.0gに三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル複合体7.5gを添加して10分撹拌後、2時間減圧下濃縮した。濃縮残に対し25mlの塩化メチレンを加えさらに1晩減圧下濃縮し、24.7gの茶色の粘調な液体を得た。NMRから下記式
【0080】
【化15】
Figure 2004154664
【0081】
で表されるイミダゾリウム塩2であると同定した。
H−NMR:3.3〜4.7ppm(m)、7.28ppm(s)、7.41ppm(s)、8.43ppm(s)。19F−NMR:−148.8〜−152.1ppm(m)。
【0082】
実施例2
トリメチルアミン水溶液にトリメチルアミンと等モル量の2−ヨウ化エチルメチルエーテルを加え一晩撹拌した後、等モル量のジトリフロロメタンスルホン酸アミン・リチウム塩を加え3回水洗した。ついで一晩減圧下、濃縮を行いトリメチル−(2−メトキシエチル)アンモニウム・ジトリフロロメタンスルホン酸アミンを得た。トリメチル−(2−メトキシエチル)アンモニウム・ジトリフロロメタンスルホン酸アミン2.0gに対し1.2gの三フッ化ホウ・素ジエチルエーテル複合体を加え10分撹拌後、2時間減圧下濃縮した。濃縮残に対し25mlの塩化メチレンを加えさらに1晩減圧下濃縮し、3.0gの茶色の粘調な液体を得た。NMRから下記式
【0083】
【化16】
Figure 2004154664
【0084】
で表される化合物であると同定した。
H−NMR:3.23ppm(s)3.33ppm(s)、3.46ppm(t)、4.13ppm(t)。19F−NMR:−95.1ppm(s)、−153.9ppm(s)。
【0085】
実施例3
ジエチルスルフィドに等モル量の2−塩化エチルメチルエーテルを加え4時間撹拌し、一晩減圧下、濃縮を行い得たジエチル−(2−メトキシエチル)スルホニウムヨウ化物2gに対し、1.2gの三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル複合体を加え10分撹拌後、2時間減圧下濃縮した。濃縮残に対し5mlの塩化メチレンを加えさらに1晩減圧下濃縮し、3.0gの茶色の粘調な液体を得た。NMRから下記式
【0086】
【化17】
Figure 2004154664
【0087】
で表される化合物であると同定した。
H−NMR:1.83ppm(t)3.3ppm1(s)、3.7〜3.8ppm(m)、4.23ppm(t)。19F−NMR:−151.7ppm(s)。
【0088】
実施例4
トリエチルフォスフィンに等モル量の2−ヨウ化エチルメチルエーテルを加え4時間撹拌し、一晩減圧下、濃縮を行い、ついで等モルのジトリフロロメタンスルホン酸アミン・リチウム塩を加え3回水洗した後、一晩減圧下濃縮を行いトリエチル−(2−メトキシエチル)フォスフォニウム・ジトリフロロメタンスルホン酸アミンを得た。得られたトリエチル−(2−メトキシエチル)フォスフォニウム・ジトリフロロメタンスルホン酸アミン2gに1.0gの三フッ化ホウ・素ジエチルエーテル複合体を加え10分撹拌後、2時間減圧下濃縮した。濃縮残に対し5mlの塩化メチレンを加えさらに1晩減圧下濃縮し、2.7gの茶色の粘調な液体を得た。NMRから下記式
【0089】
【化18】
Figure 2004154664
【0090】
で表される化合物であると同定した。
H−NMR:1.78ppm(t)3.29ppm(s)、3.65ppm(q)、3.84ppm(m)、4.18ppm(t)。19F−NMR:95.3ppm(s)−152.6ppm(s)。
【0091】
実施例5
ベンゼン1gと1−ブロモ−2−フロロエタン1.8gをステンレス製容器中で均一に混合し、そこへ実施例1で合成したイミダゾリウム塩とBFの複合体0.3gを添加し一晩室温で放置後、5時間室温で減圧下、濃縮を行った。濃縮残を60℃で減圧蒸留を行い2−ブロモエチルベンゼン2.0g(収率89%)を得た。この際の蒸留留出物からは、フッ素成分、ホウ素成分は検出されなかった。
【0092】
実施例6
実施例5で行った蒸留の際の残留分を、ベンゼン1gと1−ブロモ−2−フロロエタン1.8gの混合物に添加し、実施例5と同様の処理を行ったところ2−ブロモエチルベンゼン2.1g(収率93%)を得た。
【0093】
これらの結果から、エーテル結合を有するオニウム塩とBFとの複合体は、BFと同等のルイス酸触媒としての活性を有し、また蒸留により留出してくることがないため、目的物を高純度で得ることが容易であることが理解できる。
【0094】
さらに、目的物を蒸留で得た際の残渣は、高いルイス酸活性を保持したままであり、本発明のルイス酸触媒は、繰り返しの利用が可能な優れた触媒であることが理解できる。
【0095】
比較例1
実施例1で用いたイミダゾリウム塩1の代わりに、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフロロボラン塩を用いて、実施例1と同様にして、イミダゾリウム塩と三フッ化ホウ素ジエチルエーテル複合体とを処理し。H−NMR:1.43ppm(t)、3.86ppm(s)、4.20ppm(q)、7.70ppm(s)、7.79ppm(s)、9.12ppm(s)、19F−NMR:−151.7ppm(s)。得られた化合物のNMRスペクトルは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム・テトラフロロボラン塩と同一であり、BFは保持されていなかった。また、この化合物を用いて実施例5と同様にベンゼンのブロモエチル化を試みたが、反応は進行しなかった。
【0096】
比較例2
ベンゼン1gと1−ブロモ−2−フロロエタン1.8gを均一に混合しトリフロロボラン・ジエチルエーテラート0.3gを添加し一晩室温で放置後、5時間室温で減圧下濃縮を行い原料残分を除去した後、60℃で減圧蒸留を行い2−ブロモエチルベンゼン2.1gを得た。蒸留によって得られた2−ブロモエチルベンゼンには三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル複合体が4.9モル%混入していた。
【0097】
当該蒸留物をさらに1晩室温で減圧下、濃縮することにより三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル複合体は検出されなくなったが、減圧濃縮による留出物にはトリフロロボランが含まれており、廃棄には中和、無害化処理が必要であった。
【0098】
比較例3
ベンゼン1gと1−ブロモ−2−フロロエタン1.8gを均一に混合し一晩室温で放置したが、溶液中に2−ブロモエチルベンゼンは検出されなかった。
【0099】
実施例7
実施例1で合成したイミダゾリウム塩2をスパチュラ上に0.3g採取し、バーナーの火に1秒程度入れた後に火から遠ざけた。化合物に着火した火は直ぐ消え液体が残った。
【0100】
比較例4
三フッ化ホウ素・ジエチルエーテル複合体をスパチュラ上に0.3g採取し、バーナーの火に1秒程度入れた後に火から遠ざけた。化合物に着火した火は三フッ化ホウ素ジエチルエーテル複合体がなくなるまで消えなかった。
【0101】
【発明の効果】
従来のBF触媒と同等の高いルイス酸活性を持ち、かつ揮発性がないため、蒸留によって留出してくることがなく、よって反応に用いた際に反応生成物を蒸留によって精製しても、蒸留物中にルイス酸触媒が混入してくることがなく、簡便且つ高純度で反応生成物を得られる。
【0102】
また、反応生成物を高純度で得るために、用いた触媒の分解を行う必要がないため、反応生成物を取り出した後、ルイス酸触媒としての再利用が可能である。さらに、難燃性であるため、高温での反応に用いた際にも安全性が高い。

Claims (6)

  1. (A)カチオン又はアニオンの少なくともどちらか一方が、少なくとも一つのエーテル結合を有す有機イオンである有機オニウム塩と(B)三フッ化ホウ素との複合体からなるルイス酸触媒。
  2. 請求項1記載の複合体における有機オニウム塩が、下記一般式(1)
    ・(R−X−[{−Y−(CH−O}−R・(BF (1)
    (上記式中、Zはアニオンを示し、Rは非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Rは水素原子又は、非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Xは窒素原子、硫黄原子又はリン原子を示し、Yは結合手又は2価の有機残基を示し、aは0〜3の整数、bは1〜4の整数であって、かつa+bはXが窒素原子又はリン原子の場合には4、硫黄原子の場合には3であり、mは1〜6、nはRが水素原子である場合には2〜10、Rが水素原子以外である場合には1〜10、cは0.005≦c≦n×bとなる数であり、R及び{−Y−(CH−O}−Rはいずれも、複数ある場合には各々異なる基であってもよい。)
    又は下記一般式(2)
    Figure 2004154664
    (上記式中、Z、R、Y、m及びnは一般式(1)と同義であり、
    Figure 2004154664
    で示される基は、置換又は非置換の不飽和含窒素複素環から誘導されるカチオン性の基を示し、dは0.005≦c≦nとなる数である。)
    で示される有機オニウム塩である請求項1記載のルイス酸触媒。
  3. 下記一般式(3)
    ・(R−X−[{−Y−(CH−O}−R・(BF (3)
    (上記式中、Zはアニオンを示し、Rは非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Rは水素原子又は、非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Xは窒素原子、硫黄原子又はリン原子を示し、Yは結合手又は2価の有機残基を示し、aは0〜3の整数、bは1〜4の整数であって、かつa+bはXが窒素原子又はリン原子の場合には4、硫黄原子の場合には3であり、mは1〜6、nはRが水素原子である場合には2〜10、Rが水素原子以外である場合には1〜10、kは1≦k≦n×bとなる数であり、R及び{−Y−(CH−O}−Rはいずれも、複数ある場合には各々異なる基であってもよい。)
    で示される有機オニウム塩複合体。
  4. 下記一般式(4)
    Figure 2004154664
    (上記式中、Zはアニオンを示し、Rは水素原子又は、非置換のあるいはハロゲン原子で置換された炭化水素基を示し、Yは結合手又は2価の有機残基を示し、
    Figure 2004154664
    で示される基は、置換又は非置換の不飽和含窒素複素環から誘導されるカチオン性の基を示し、mは1〜6、nはRが水素原子である場合には2〜10、Rが水素原子以外である場合には1〜10、lは1≦l≦nとなる整数である。)で示される有機オニウム塩複合体。
  5. カチオン又はアニオンの少なくともどちらか一方が、少なくとも一つのエーテル結合を有す有機イオンである有機オニウム塩と、三フッ化ホウ素・エチルエーテル複合体とを混合し、ついでエチルエーテルを減圧下に除去、濃縮することによって得られるルイス酸触媒。
  6. カチオン又はアニオンの少なくともどちらか一方が、少なくとも一つのエーテル結合を有す有機イオンである有機オニウム塩と、三フッ化ホウ素・エチルエーテル複合体とを混合し、ついでエチルエーテルを減圧下に除去、濃縮する請求項1又は5記載のルイス酸触媒の製造方法。
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