JP2004154224A - スライドレールの取付構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】固定レール41に滑動自在に嵌挿された可動レール42上に、洗浄槽32両側面のスライド方向に突出形成された支持部45を位置決め載置する。洗浄槽32の荷重で支持部45は可動レール42の全面に載って安定するので、最小限のネジ止め固定により洗浄槽32を可動レール42に固定することができる。
【選択図】 図7
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄機本体に洗浄槽を出し入れ自在に収容したスライドオープン型の食器洗浄機などのように、固定側箱状体から可動側箱状体をスライドさせて出し入れ自在に構成するためのスライドレールの取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
筐体から上方に開口する箱状体を引き出して箱状体の開口部を開放するスライドオープンの形態は、家具や家電製品などに広く適用されていることは周知のところである。このような箱状体を筐体から出し入れするためのスライド手段としてスライドレールが用いられる。例えば、食器類を収容して洗浄する洗浄槽を洗浄機本体から前後方向に出し入れするスライドオープン型の食器洗浄機では、洗浄機本体にスライドレールを構成する固定レールを取り付け、この固定レールにボールベアリング等の転動体を介して嵌挿された可動レールを洗浄槽に取り付けることにより、洗浄槽を洗浄機本体から自在に出し入れすることができる。図11は、スライドレールを用いて洗浄槽を洗浄機本体から前後方向に出し入れするスライドオープン型の食器洗浄機の従来例を示すものである。
【0003】
図11において、食器洗浄機は上方に開口する洗浄槽14を洗浄機本体15の前面開口部から前後方向に出し入れできるように構成されている。洗浄槽14の洗浄機本体15からの出し入れは、図12に示すように、第1のスライドレール16にボールベアリング等の転動体を介して第2のスライドレール17を装着した一対のスライドレールを用いてなされる。第1のスライドレール16は洗浄機本体15の両内側面にネジ16aによってネジ止め固定され、第2のスライドレール17は洗浄槽14の両外側面にネジ17aによってネジ止め固定されているので、洗浄槽14を洗浄機本体15から引き出し、あるいは押し込むと、洗浄槽14に固定された第2のスライドレール17は第1のスライドレール16内を移動し、両レール間に転動体が介在していることによって洗浄槽14は円滑な移動によって洗浄機本体15から出し入れできる(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特許第3129318号公報(第3〜4頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術に係るスライドレールの取付構造では、洗浄槽14からスライドレールに加わる荷重は、第2のスライドレール17を洗浄槽14に固定するネジ17a及び第1のスライドレール16を洗浄機本体15に固定するネジ16aに剪断方向の力を加える。洗浄槽14はそれ自体の重量だけでなく、収容した食器類の重量や、洗浄水の重量が加わるため、スライドレールに対する荷重は大きく、ネジ16a,17aに加わる剪断方向の力も大きくなる。これに耐え得る強度を確保するには、ネジ止め箇所を増加させ、ネジサイズを大きくすることになり、スライドレールを取り付けるための作業工数が多く、取り付け強度の低下も否めない課題があった。
【0006】
また、ネジ固定によってスライドレールを取り付けているため、ネジ止め位置を合わせる作業や、ネジ止めするための空間を確保するために第2のスライドレール17を移動させる作業が伴うなど、作業性に欠ける課題があっった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みて創案されたもので、その目的とするところは、スライドレール取り付けの作業性を向上させると共に、スライドレールに加わる荷重をネジによって負担することを解消したスライドレールの取付構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、前方に開口する四角形断面に形成された固定側箱状体の両内側面にそれぞれ固定レールを取り付け、両固定レールにそれぞれ滑動自在に装着された両可動レールにそれぞれ可動側箱状体の両外側面を取り付けることにより、可動側箱状体を固定側箱状体の前方開口部から出入りできるようにしたスライドレールの取付構造であって、前記可動レールは、前記固定レール上に装着された転動体を転動自在に内包したコの字状断面に形成され、その上面に前記可動側箱状体の取り付け位置を規制する開口部と、可動側箱状体に固定するネジ穴とが形成されてなり、前記可動側箱状体は、その両外側面にレール方向に延びる支持部が形成され、この支持部に、その下方から前記開口部に対応する突起部と、前記ネジ穴に対応する固定穴とが形成されてなり、前記固定側箱状体に取り付けられたスライドレールの可動レール上に前記支持部を載置し、可動側箱状体を支持部が可動レール上を摺動するように移動させて前記突起部を前記開口部に嵌入させて位置決めし、前記固定穴からネジ穴にネジを螺入して可動側箱状体を可動レールに取り付けることを特徴とする。
【0009】
上記スライドレールの取付構造によれば、可動側箱状体はその両外側面に突出形成された支持部により、固定側箱状体の両内側面に取り付けられたスライドレールの可動レール上に位置決め載置されるので、可動側箱状体は両外側面に形成された支持部により可動レール上に載り、可動側箱状体自体の重量で可動レール全面に荷重して安定した状態となる。従って、可動側箱状体と可動レールとの固定は、載置状態が維持される最低限のネジ止め固定でよく、スライドレールへの可動側箱状体の取り付けは容易になされる。
【0010】
上記構成において、可動レール上に可動側箱状体の後方を保持する保持片を形成し、支持部の後端側に前記保持片に嵌挿する突出部を形成することにより、可動側箱状体が固定側箱状体から引き出されて前方側に荷重が加わったときに可動側箱状体の後方が浮き上がる状態を防止することができる。
【0011】
上記スライドレールの取付構造は、固定側箱状体として形成された洗浄機本体に、可動側箱状体として形成された洗浄槽をスライドレールにより出し入れできるように収容した食器洗浄機に適用するのに好適なものとなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下に示す実施形態は本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
本実施形態はスライドレールの取付構造をスライドオープン型の食器洗浄機に適用した例について示すものである。スライドレールの取付構造を適用した食器洗浄機は、図1に示すように、前方に開口する洗浄機本体(固定側箱状体)31内に、上方に開口する洗浄槽(可動側箱状体)32が収容され、洗浄槽32はスライドレール33により前後方向に移動可能で、洗浄機本体31の前方開口部から図示する引き出し終端位置まで引き出すことができるように構成されている。この食器洗浄機は、図示するようにキッチンキャビネット40内にビルトインするのが基本的な設置形態であるが、洗浄器本体1を設置場所の台上に固定して使用することもできる。
【0014】
前記洗浄槽32は、樹脂成形によって形成されタンク79の前面にドアパネル80を取り付けて構成され、図2に示すように、タンク79内に形成された内槽34は、上方に向けて開口面積が増加するようにテーパー角度が形成され、その底面側に洗浄ノズル35、ヒータ75、残滓フィルタ76などが配設され、その上方に食器類を収容する食器籠36が着脱可能に収納される。また、洗浄槽32の後面には、図3に示すように、前記洗浄ノズル35から洗浄水を噴射させるための洗浄ポンプ及び排水ポンプを兼用する電動ポンプ37や、内槽34内に給排水するための構成要素が配設されている。また、内槽34内に通じる給水ホース38及び排水ホース39は洗浄機本体31に回動可能に支持されたホースホルダ46に保持され、前後移動する洗浄槽32に追従してホースホルダ46が回動することにより、移動する洗浄槽32に対する給水ホース38及び排水ホース39の接続状態の安定化が図られている。
【0015】
前記スライドレール33は、図4、図5に示すように、洗浄機本体31の両側面の内面側に固定される固定レール41と、洗浄槽32の両側面の外面側に固定される可動レール42との間に、両レールにボールベアリング(転動体)47を介して中間レール43が嵌挿された3段構造に構成されている。前記固定レール41には、中間レール43をボールベアリング47を介して支持する転動体収容溝の側面から水平方向に延出形成された水平面44a及び水平面44aから鉛直方向に直角に折り曲げられた鉛直面44bとを設けてLの字状断面に形成された取付部44が形成されている。このスライドレール33は洗浄機機本体31の両側面の内側に、図6、図7に示すように取り付けられる。
【0016】
図6において、洗浄機本体31は金属板材により前面が開口する箱状に形成され、その両側面には、前記取付部44を保持してスライドレール33を支持するための受け部48と挟持部49とが形成されている。前記受け部48及び挟持部49は、図7に示すように、洗浄機本体31の板面を突き出し加工して前記取付部44の鉛直方向高さ寸法に対応する間隔に形成され、図示するように挟持部49内に取付部44の鉛直面44b上端部を挿入し、受け部48上に水平面44aを挿入すると、スライドレール33は洗浄機本体31の側面に仮固定された状態になる。鉛直面44bの上端部が挟持部49で保持されるため、スライドレール33はその重さにより鉛直面44bの下端を洗浄機本体31の壁面に押し付ける状態となり、受け部48上に取付部44が載った仮固定状態が安定して維持される。
【0017】
この仮固定状態からもわかるように、スライドレール33に加わる荷重、即ち洗浄槽32の重量は、受け部48で受け、取付部44を壁面に押し付けることで支持されるので、仮固定されたスライドレール33の洗浄機本体31へのネジ固定は、スライドレール33の仮固定位置を保持することが主たる目的となる。従って、ネジ止め箇所は少なくてもよく、洗浄機本体31の壁面に設けられた2か所の固定穴67から、それに対応する取付部44に形成された2か所のネジ穴50にネジ51を螺入するだけでよい。
【0018】
一方、前記可動レール42に固定される洗浄槽32のタンク79には、その両側面の外面に、図7、図8に示すように、可動レール42に固定するための支持部45が前後方向に形成されており、洗浄機本体31に固定されたスライドレール33の可動レール42上に支持部45を載置し、洗浄槽32を可動レール42上で後方向に摺動するように押し込むと、図9に示すように、支持部45の後面から後方に向けて突出する嵌合突起(突出部)52が可動レール42の後方側にLの字状に切り起こされた切り起こし部(保持部)53内に挿入され、支持部45の前方側において下方に突出する突起部54は、その先端が可動レール42に形成された開口部55に嵌まり込み、スライドレール33に対する洗浄槽32の位置決めがなされる。洗浄槽32はその両側面でスライドレール33上に位置決めされて安定した載置状態となるが、この状態を維持するために支持部45の前方側に形成された固定穴77から可動レール42に形成されたネジ穴91にネジ51を螺入することにより、洗浄槽32は可動レール42に固定される。
【0019】
上記のように洗浄槽32は、その両外側面に形成された支持部45で可動レール42の全面にわたって均等に荷重を加えるように載置され、支持部45で可動レール42を抱き込むように保持するので、可動レール42上に載置するだけでも安定した状態が得られる。また、洗浄槽32の可動レール42上への載置位置は突起部54の開口部55内への嵌め込みで簡単に位置決めがなされ、その近傍1か所でネジ固定するだけで洗浄槽32の可動レール42への固定が完了する。また、支持部45の後端に形成された嵌合突起52が可動レール42に形成された切り起こし部53に嵌挿されているので、洗浄槽32を洗浄機本体31から引き出した状態で下方に向けて押さえつけるような加圧が加わったときに、洗浄槽32の後方が可動レール42上から浮き上がる状態を防止することができる。
【0020】
スライドレール33は前述したように3段構造であり、洗浄槽32を洗浄機本体31から引き出すと、洗浄槽32が固定された可動レール42は中間レール43上を滑動し、中間レール43は可動レール42の移動に遅れて固定レール41上を移動する。図10は、洗浄槽32の洗浄機本体31からの引き出し操作に伴う可動レール42及び中間レール43の移動状態を示すもので、図10(a)は洗浄槽32が洗浄機本体31内に収容された状態、図10(b)は洗浄槽32を引き出し終端位置まで引き出した状態である。図10(a)に示す状態から洗浄槽32の引き出し操作が開始されると、洗浄槽32が固定された可動レール42は仮想線で示すように中間レール43上を移動し始める。可動レール42の移動に伴って可動レール42と中間レール43との間に介在する複数のボールベアリング47を所定間隔に捕捉する保持器90が常に可動レール42と中間レール43との間に介在するように、中間レール43は可動レール42が所定位置まで移動したのに追動して固定レール41上を移動し始める。中間レール43と固定レール41との間にも可動レール42と同様に複数のボールベアリング47を所定間隔に捕捉する保持器90が介在しており、図10(b)に示すように、洗浄槽32を引き出し終端位置まで引き出したとき、固定レール41上には前記保持器90の長さに相当する中間レール43の約1/2長さが嵌挿された状態にあり、約1/2が固定レール41から突き出るまでに移動する。また、可動レール42は、その約1/2に中間レール43が嵌挿され、約1/2長さが中間レール43より突き出るまでに移動させることができるので、洗浄槽32の洗浄機本体31からの引き出し量を大きくすることが可能となる。
【0021】
また、上記のように3段構造のスライドレール33では、固定レール41から可動レール42を大きく引き出した状態でも、両レールの間に中間レール43が存在するので、引き出された可動レール42に洗浄槽32の荷重が加わっても、洗浄槽32のドアパネル80側が下がる度合いは少なく、洗浄槽32の円滑な出し入れ操作がなされる。
【0022】
上記スライドレール33の構造及びその取付構造により洗浄槽32の洗浄機本体31からの引き出し量は、図1に示すように、内槽34の後面上方部分(A)がカウンタートップ61の前方端より前方側になるように引き出すことが可能となる。スライドオープン型の食器洗浄機において、内槽34の上方が全て開放されるまでに洗浄槽32が引き出せることにより、内槽34からの食器の出し入れや洗浄後の残滓処理の作業が容易となる絶大なる効果が得られる。
【0023】
以上説明したスライドレールの取付構造は、スライドオープン型の食器洗浄機に適用した実施例を示したが、家具における引出し、冷蔵庫の引き出し式冷凍室など、スライドレールを設けた構造に適用することができる。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明の通り本発明によれば、可動側箱状体は両外側面に突出形成された支持部により、固定側箱状体の両内側面に取り付けられたスライドレールの可動レール上に位置決め載置されるので、可動側箱状体は両外側面に形成された支持部により可動レール上に載り、可動側箱状体自体の重量で可動レール全面に荷重して安定した状態となる。従って、可動側箱状体と可動レールとの固定は、載置状態が維持される最低限のネジ止め固定でよく、スライドレールへの可動側箱状体の取り付けは容易になされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】食器洗浄機における洗浄槽の引き出し状態を示す側面図。
【図2】洗浄槽の内槽構造を示す斜視図。
【図3】洗浄槽後面に配置された構成要素を示す背面図。
【図4】スライドレールの構成を示す斜視図。
【図5】スライドレールの構成を示す断面図。
【図6】洗浄機本体に対するスライドレール取付構造を示す側面図。
【図7】スライドレールの取付構造を示す拡大断面図。
【図8】スライドレール取付構造を示す断面図。
【図9】同上側面図。
【図10】スライドレールの滑動動作を説明する側面図。
【図11】従来技術に係る食器洗浄機の構成を示す断面図。
【図12】同上構成におけるスライドレールの取付構造を示す断面図。
【符号の説明】
31 洗浄機本体(固定側箱状体)
32 洗浄槽(可動側箱状体)
33 スライドレール
41 固定レール
42 可動レール
43 中間レール
45 支持部
47 ボールベアリング(転動体)
52 嵌合突起(突出部)
53 切り起こし部(保持片)
54 突起部
55 開口部
91 ネジ穴
Claims (3)
- 前方に開口する四角形断面に形成された固定側箱状体の両内側面にそれぞれ固定レールを取り付け、両固定レールにそれぞれ滑動自在に装着された両可動レールにそれぞれ可動側箱状体の両外側面を取り付けることにより、可動側箱状体を固定側箱状体の前方開口部から出入りできるようにしたスライドレールの取付構造であって、
前記可動レールは、前記固定レール上に装着された転動体を転動自在に内包したコの字状断面に形成され、その上面に前記可動側箱状体の取り付け位置を規制する開口部と、可動側箱状体に固定するネジ穴とが形成されてなり、
前記可動側箱状体は、その両外側面にレール方向に支持部が形成され、この支持部に前記開口部に対応する突起部と、前記ネジ穴に対応する固定穴とが形成されてなり、
前記固定側箱状体に取り付けられたスライドレールの可動レール上に前記支持部を載置し、可動側箱状体を支持部が可動レール上を摺動するように移動させて前記突起部を前記開口部に嵌入させて位置決めし、前記固定穴からネジ穴にネジを螺入して可動側箱状体を可動レールに取り付けることを特徴とするスライドレールの取付構造。 - 可動レール上に支持部の後方を保持する保持片が形成され、支持部の後端側に前記保持片に嵌挿する突出部が形成されてなる請求項1に記載のスライドレールの取付構造。
- 固定側箱状体として形成された洗浄機本体に、可動側箱状体として形成された洗浄槽をスライドレールにより出し入れできるように収容した食器洗浄機である請求項1又は2に記載のスライドレールの取付構造。
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