JP2004154100A - 海藻用コンクリートブロック - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カキ殻と鉄粉と骨材とセメントを混合したコンクリート製の海藻用コンクリートブロック1において、前記鉄粉は鋼材の表面を鋼製のショットブラストにより清浄した際に該鋼材から生じる鉄系微粉末を用いる。好ましくは、前記カキ殻の重量割合を13.0〜14.4%、前記鉄粉の重量割合を4.6〜5.8%とする。カキ殻の使用量を所定範囲内とすることにより、ブロック1の強度を確保することができ、また、鉄粉を混合することにより、ブロックの比重の低下を防止し、海藻造成用だけでなく、消波根固ブロックとしての使用も可能となる。
【選択図】 図1
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、海藻の繁殖に適した海藻用コンクリートブロックに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、海での使用を考慮したコンクリートブロックとして、特許文献1には、鉄材及び貝殻をセメントで結合させてなり、かつこの鉄材が表面に露出している海草養殖用コンクリートブロックがあり、貝殻としては、牡蠣の貝殻(段落0013段)、鉄材には、1〜5mm程度の寸法を有する鋳鉄又は鋼鉄の小片、特に屑鉄を好ましく用いることができる(段落0014)ことが記載され、その貝殻,鉄片を粗骨材及び細骨材(段落0017段)として使用している。
【0003】
また、特許文献2には、かき殻と鉄粉とを含有して藻類を増殖可能にしている漁礁用ブロックがあり、この漁礁用ブロックの圧縮強度は、15Mpa程度で、漁礁用としては十分な強度を有する(段落0025段)と記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、ポーラスコンクリート着生基質部材に、骨材とほぼ同じ粒径の鉄片、又は鉄ファイバーやスラグ、或いはカキ殻を混入した海藻群落成体がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−192048号公報
【特許文献2】
特開2000−41525号公報
【特許文献3】
特開2000−197426号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1では、1〜5mm程度の屑鉄を用いるものであるから、単に骨材を屑鉄に置き換えただけであり、特許文献2及び特許文献3でも、かき殻と鉄粉を含有することが記載されているが、好ましい大きさや割合などについては考慮されておらず、混合した鉄により海藻繁殖効果は得られたとしても、混合する鉄が屑鉄などの不均一なものでは強度の低下を招くことが予想され、一方、鉄ファイバーなどで均一なものを使用すると、その材料コストが上昇することが予想される。
【0007】
そこで、本発明は、混合する鉄成分のコストを削減でき、強度的にも優れ、海藻繁殖効果に優れた海藻用コンクリートブロックを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、カキ殻と鉄粉と骨材とセメントを混合したコンクリート製の海藻用コンクリートブロックにおいて、前記鉄粉は鋼材の表面を鋼製のショットブラストにより清浄した際に該鋼材から生じる鉄系微粉末である。
【0009】
この請求項1の構成によれば、カキ殻を用いることにより、養殖などで発生するカキ殻の有効利用が可能となる。また、鋼材をショットブラストして生じる鉄系微粉末は、集塵機などで回収して、埋め立て処理されているのが現状であるが、その鉄系微粉末は比較的均一な品質のものであって、廃棄せずに有効利用可能となり、その用途の原材料を安価に提供でき、鉄系微粉末により海藻繁殖効果が向上する。
【0010】
また、請求項2の発明は、カキ殻と鉄粉と骨材とセメントを混合したコンクリート製の海藻用コンクリートブロックにおいて、前記カキ殻は砕片であり、前記鉄粉は鋼材の表面を鋼製のショットブラストにより清浄した際に該鋼材から生じる0.3〜100μmの鉄系微粉末である。
【0011】
この請求項2の構成によれば、カキ殻を用いることにより、養殖などで発生するカキ殻の有効利用が可能となる。また、鋼材をショットブラストして生じる鉄系微粉末は、集塵機などで回収して、埋め立て処理されているのが現状であるが、この粉塵を廃棄せずに有効利用可能となり、その用途の原材料を安価に提供でき、鉄系微粉末により海藻繁殖効果が向上する。特に、鉄粉が極めて細かい微粉末であるため、一般的に利用価値が低く、その鉄系微粉末より発生する鉄イオンによって海藻の付着が増えるとともに、良好な繁殖効果が得られる。
【0012】
また、請求項3の発明は、前記カキ殻の重量割合が20%以下である。
【0013】
この請求項3の構成によれば、カキ殻の使用量を所定範囲内とすることにより、ブロックの強度を確保することができる。
【0014】
また、請求項4の発明は、前記カキ殻の重量割合が13.0〜14.4%、前記鉄粉の重量割合が4.6〜5.8%である。
【0015】
この請求項4の構成によれば、カキ殻の使用量を所定範囲内とすることにより、ブロックの強度を確保することができる。また、カキ殻を混合すると、ブロックの比重が低下するが、鉄粉を混合することにより、ブロックの比重の低下を防止し、海藻造成用だけでなく、消波根固ブロックとしての使用も可能となる。
【0016】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照して説明すると、図1〜図2は本発明の一実施形態を示し、同図に示すように、一例として、本発明の海藻用コンクリートブロック1は中央部2から四方に突出する脚部3,3,3,3を備え、一般的な骨材とともに、カキ殻と鉄粉とを混合してなる。
【0017】
また、ブロック1の下面中央には凹部4を形成し、この凹部4の外側が前記脚部3,3,3,3の接地部たる接地面3A,3A,3A,3Aになっている。したがって、このブロック1を載置した場合、前記凹部4により前記載置面とブロック1の下面と間に隙間が形成され、ここを水が通過可能となるから、水量による前記載置面の侵食を抑制できる。尚、図中5は前記中央部2の上面に設けられた吊下げ用の係止部であり、逆U字状のフックからなる。
【0018】
前記カキ殻は水洗い後、1〜2cm程度の砕片に形成し、骨材の代用として使用する。また、鉄粉は鋼材の表面をショットブラストにより清浄した際に該鋼材から生じる0.3〜100μmの鉄系微粉末である。これは、鋼材を用いた鋼製製品において、塗装などの下地処理の際に、ショットブラストにより錆を除き、清浄するためにショットブラストを用いており、ショットブラストの際、鋼材に鋼粒ショットを圧縮空気などにより吹き付けることにより鋼材表面から発生する鉄系微粉末が前記鉄粉である。
【0019】
次に前記ブロック1の製法の一例について説明する。表1は材料使用量を示し、生コンクリートには、高炉セメント(BB)を使用し、骨材,その他の混和剤を混合してなり、その骨材の一部を前記カキ殻と鉄粉に置き換えた。
【0020】
【表1】
表1以外の材料使用量で試験を行い、カキ殻の重量割合が20%を超えると、ブロック1の比重が低下し、所望の重量及び強度が得られないことが分かった。一方、ブロック1において微粉末である鉄粉はフィラー(石粉)の役目をなし、ブロック1の強度向上に寄与するが、その割合が多すぎると、強度が低下することが分かった。そして、使用量を変えた比較実験及び後述する使用実験により、表1の材料使用量が一番最適な割合であり、この割合の10%前後の範囲で、カキ殻の重量割合を好ましくは12.2〜15.1%、前記割合の10%前後の範囲で、鉄粉の重量割合を4.6〜5.8%とすることである。そして、カキ殻が多くなるとブロック1の強度が低下するから、カキ殻の重量割合を15.1%以下とし、一方、カキ殻が少ないとカキ殻の処理効率が低下するため、カキ殻の重量割合を12.2%以上とし、また、鉄粉は上述したように使用量が増えるとブロック1の強度が低下するから、鉄粉の重量割合を5.8%以下とし、鉄粉が少ないと海藻繁殖効果が得られないから、鉄粉の重量割合を4.6%以上とした。さらに、好ましくは、前記割合の5%前後の範囲で、カキ殻の重量割合を好ましくは13.0〜14.4%、鉄粉の重量割合を4.9〜5.5%とすると、ブロック1の強度と海藻繁殖効果に優れ、根固用などに十分な密度を得ることができる。また、上記表1の材料使用量によるブロック1では、材令28日の圧縮強度試験で、標準養生で平均強度21.3N/mm2となり、18N/mm2以上の圧縮強度が得られたことから、藻場造成用のみでなく、波消根固ブロックとしても十分な強度と比重が得られた。
【0021】
また、ブロック1の海藻増殖効果を確認するため、実験を行い、その結果を以下の表2〜7に示す。これらの表において、実験例は上記表1の材料使用量による本発明のブロック1であり、比較例はカキ殻と鉄粉を混合しないブロックである。
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】
【表5】
【0026】
【表6】
【0027】
【表7】
表2及び表5は、A地区で水深2メートルに実験例と比較例のブロックを12月に据え付け、表2は2月に、表5は4月に調査を行い、表3及び表6は、B地区で水深1.5メートルに実験例と比較例のブロックを12月に据え付け、表3は2月に、表6は4月に調査を行い、表4及び表7は、C地区で水深2.5メートルに実験例と比較例のブロックを12月に据え付け、表4は2月に、表5は4月に調査を行った結果である。これら表2〜表7に明らかなように、比較例に比べて実験例は、海藻類の増殖効果に優れることが確認できた。
【0028】
このように本実施形態では、請求項1に対応して、カキ殻と鉄粉と骨材とセメントを混合したコンクリート製の海藻用コンクリートブロック1において、前記鉄粉は鋼材の表面を鋼製のショットブラストにより清浄した際に該鋼材から生じる鉄系微粉末であるから、カキ殻を用いることにより、養殖などで発生するカキ殻の有効利用が可能となり、鋼材をショットブラストして生じる鉄系微粉末は、集塵機などで回収して、埋め立て処理されているのが現状であるが、その鉄系微粉末は比較的均一な品質のものであって、廃棄せずに有効利用可能となり、その用途の原材料を安価に提供でき、鉄系微粉末により海藻繁殖効果が向上する。
【0029】
また、このように本実施形態では、請求項2に対応して、カキ殻と鉄粉と骨材とセメントを混合したコンクリート製の海藻用コンクリートブロックにおいて、前記カキ殻は砕片であり、前記鉄粉は鋼材の表面を鋼製のショットブラストにより清浄した際に該鋼材から生じる0.3〜100μmの鉄系微粉末であるから、カキ殻を用いることにより、養殖などで発生するカキ殻の有効利用が可能となり、また、鋼材をショットブラストして生じる鉄系微粉末は、集塵機などで回収して、埋め立て処理されているのが現状であるが、この粉塵を廃棄せずに有効利用可能となり、その用途の原材料を安価に提供でき、鉄系微粉末により海藻繁殖効果が向上する。特に、鉄粉が極めて細かい微粉末であるため、一般的に利用価値が低く、その鉄系微粉末より発生する鉄イオンによって海藻の付着が増えるとともに、良好な繁殖効果が得られる。
【0030】
また、このように本実施形態では、請求項3に対応して、前記カキ殻の重量割合が20%以下であるから、カキ殻の使用量を所定範囲内とすることにより、ブロック1の強度を確保することができる。
【0031】
また、このように本実施形態では、請求項4に対応して、前記カキ殻の重量割合が13.0〜14.4%、前記鉄粉の重量割合が4.6〜5.8%であるから、カキ殻の使用量を所定範囲内とすることにより、ブロック1の強度を確保することができ、また、カキ殻を混合すると、ブロックの比重が低下するが、鉄粉を混合することにより、ブロックの比重の低下を防止すると共に、強度を向上し、海藻造成用だけでなく、消波根固ブロックとしての使用も可能となる。
【0032】
また、実施形態上の効果として、請求項1〜4のブロックにおいて、中央から四方に突出する脚部を有する略十字型に形成され、比重が2.0〜2.4トン/m3で、圧縮強度が18N/mm2以上であるから、消波根固用ブロック1として必要な強度及び重量を備え、略十字型に形成されたブロック1を被覆することにより、消波及び根固効果を得ることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0034】
【発明の効果】
請求項1の発明は、前記鉄粉は鋼材の表面を鋼製のショットブラストにより清浄した際に該鋼材から生じる鉄系微粉末であり、混合する鉄成分のコストを削減でき、海藻繁殖効果に優れた海藻用コンクリートブロックを提供することができる。
【0035】
また、請求項2の発明は、前記カキ殻は砕片であり、前記鉄粉は鋼材の表面を鋼製のショットブラストにより清浄した際に該鋼材から生じる0.3〜100μmの鉄系微粉末であり、混合する鉄成分のコストを削減でき、海藻繁殖効果に優れた海藻用コンクリートブロックを提供することができる。
【0036】
また、請求項3の発明は、前記カキ殻の重量割合が20%以下であり、混合する鉄成分のコストを削減でき、強度的にも優れ、海藻繁殖効果に優れた海藻用コンクリートブロックを提供することができる。
【0037】
また、請求項4の発明は、前記カキ殻の重量割合が13.0〜14.4%、前記鉄粉の重量割合が4.9〜5.5%であり、混合する鉄成分のコストを削減でき、強度的にも優れ、海藻繁殖効果に優れた海藻用コンクリートブロックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すブロックの平面図である。
【図2】同上、ブロックの正面図である。
【符号の説明】
1 ブロック
Claims (4)
- カキ殻と鉄粉と骨材とセメントを混合したコンクリート製の海藻用コンクリートブロックにおいて、前記鉄粉は鋼材の表面を鋼製のショットブラストにより清浄した際に該鋼材から生じる鉄系微粉末であることを特徴とする海藻用コンクリートブロック。
- カキ殻と鉄粉と骨材とセメントを混合したコンクリート製の海藻用コンクリートブロックにおいて、前記カキ殻は砕片であり、前記鉄粉は鋼材の表面を鋼製のショットブラストにより清浄した際に該鋼材から生じる0.3〜100μmの鉄系微粉末であることを特徴とする海藻用コンクリートブロック。
- 前記カキ殻の重量割合が20%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の海藻用コンクリートブロック。
- 前記カキ殻の重量割合が13.0〜14.4%、前記鉄粉の重量割合が4.6〜5.8%であることを特徴とする請求項2記載の海藻用コンクリートブロック。
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JP2002332941A JP2004154100A (ja) | 2002-11-15 | 2002-11-15 | 海藻用コンクリートブロック |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002332941A JP2004154100A (ja) | 2002-11-15 | 2002-11-15 | 海藻用コンクリートブロック |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004154100A true JP2004154100A (ja) | 2004-06-03 |
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ID=32844053
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JP2002332941A Pending JP2004154100A (ja) | 2002-11-15 | 2002-11-15 | 海藻用コンクリートブロック |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004154100A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2484650A1 (fr) | 2011-02-04 | 2012-08-08 | Egis Eau | Ouvrage comprenant plusieurs blocs de béton non-armé coquillier fibré et procédé de fabrication d'un tel ouvrage |
-
2002
- 2002-11-15 JP JP2002332941A patent/JP2004154100A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2484650A1 (fr) | 2011-02-04 | 2012-08-08 | Egis Eau | Ouvrage comprenant plusieurs blocs de béton non-armé coquillier fibré et procédé de fabrication d'un tel ouvrage |
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