JP2004152518A - 回路保護素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶断部の幅、長さ、形状、厚み等の設計の自由度が高く、耐衝撃性のある回路保護素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】内部に空間部2aが形成された耐熱絶縁材料からなる基材部2と、両端部が基材部2内に埋設され、中間部が溶断部3aとして空間部2aの内部に湾曲して収納された導電膜3と、基材部2の端面において、導電膜3の端部に接続されている電極部4とを備えた回路保護素子。基材部2の素材となるグリーンシートは焼成時に体積が収縮するが、導電膜3は収縮しないため、空間部2a内に溶断部3aが湾曲した状態の回路保護素子1Aが製造できる。
【選択図】 図1
【解決手段】内部に空間部2aが形成された耐熱絶縁材料からなる基材部2と、両端部が基材部2内に埋設され、中間部が溶断部3aとして空間部2aの内部に湾曲して収納された導電膜3と、基材部2の端面において、導電膜3の端部に接続されている電極部4とを備えた回路保護素子。基材部2の素材となるグリーンシートは焼成時に体積が収縮するが、導電膜3は収縮しないため、空間部2a内に溶断部3aが湾曲した状態の回路保護素子1Aが製造できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ等のデバイスや、ハードディスクドライブ、DVDドライブ、ゲーム機、携帯電話機などの電気機器、電子機器に用いられ、設定電流以上の電流が流れると金属部が溶断して回路を遮断する回路保護素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電気機器、電子機器は小型化が進み、電気回路部も小型化、高密度化が要求されている。この中で、漏電や発熱といった予期せぬ事態を未然に防止して安全性を確保するために使用される回路保護素子、いわゆるヒューズも、小型化とともに安全かつ確実に作動することが要請されている。
【0003】
特に、現在のコンピュータおよび周辺機器には、これまで以上に過電流保護が必要になっている。高速のICチップは非常に過電流の影響を受けやすく、製品の全コストに対して高価である。これらのICチップは、回路の故障や、外部の障害によって生じる過電流から保護する必要がある。
【0004】
このような過電流保護のために、例えば、特許文献1(特開平1−287905号公報)には、積層体の層間に内部導体を形成した一体焼結型のインダクタンス素子において、内部導体に、所定以上の電流が流れることにより溶断するヒューズ部を一体的に設けると共に、溶断するヒューズ部の周囲の積層体に空洞部を設けたインダクタンス素子が開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開平7−105824号公報)には、複数の耐熱絶縁材料からなる基板の積層により構成された内部に空間を有する本体と、基板間に挟まれた金属薄膜からなる可溶体と、本体の両端に備えられ可溶体と電気的に接続された電極とで構成された超小型チップヒューズが開示されている。
【0006】
これらの特許文献1および2においては、ヒューズ部(可溶体)の周囲に空洞部(空間)を設けたことにより、ヒューズ部に流れる電流によるジュール熱が効率的にヒューズ部の溶断に作用し、また溶断した金属の粒子が空洞部内で分散して電極間が再接続しないようになる。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−287905号公報
【特許文献2】
特開平7−105824号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前掲の特許文献1および2に記載された回路保護素子においては、ヒューズ部が直線(平面)状であるので、溶断部の幅、長さ、形状、厚み等の寸法の設定に融通性が乏しく、設計の自由度が低いという問題がある。また、直線状であるため、外部からの衝撃により絶縁材が歪むとヒューズ部に応力が掛かり、延びや破断が生じ、所定の特性が得られなくなる恐れがある。
【0009】
本発明は、溶断部の幅、長さ、形状、厚み等の設計の自由度が高く、耐衝撃性のある回路保護素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の回路保護素子においては、内部に空間部が形成された絶縁材料からなる基材部と、両端部が前記基材部内に埋設され、中間部が溶断部として前記空間部の内部に湾曲して収納された導電体と、前記基材部の端面において、前記導電他と接続されている電極部とを備えたものである。
【0011】
この発明によれば、溶断部の幅、長さ、形状、厚み等の設計の自由度が高く、耐衝撃性のある回路保護素子が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、内部に空間部が形成された絶縁材料からなる基材部と、両端部が前記基材部内に埋設され、中間部が溶断部として前記空間部の内部に湾曲して収納された導電体と、前記基材部の端面において、前記導電体の端部に接続されている電極部とを備えたことを特徴とする回路保護素子である。この発明においては、溶断部が空間部の内部に湾曲して収納されており、基材部に基本的には接触していないため、過剰電流発生時に溶断部に発生するジュール熱が逃げることなく、設計通りの電流で溶断する速断型回路保護素子を提供できるという作用を有する。また、空間部の長さに対して溶断部の長さが長く、湾曲しているため、外部からの衝撃が緩和されるという作用をも有する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記導電体の溶断部の片面または両面に金属体を積層したことを特徴とする請求項1記載の回路保護素子であり、溶断部に流れる瞬間的な電流により発生するジュール熱を金属体に一部伝達することにより、遅延型の回路保護素子となるという作用を有する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記導電体の溶断部の表面に、絶縁層を介して金属体を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路保護素子であり、電流容量に影響を与えることなく遅延型の回路保護素子を提供できるという作用を有する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、焼成により収縮するグリーンシートを少なくとも3枚準備し、中間の第1のグリーンシートに所定の形状の穴を形成し、この穴が形成された第1のグリーンシートの一方の面に接する第2のグリーンシートの表面に、中央部が溶断部となる導電膜を形成し、前記穴が形成された第1のグリーンシートの他方の面に接するように第3のグリーンシートを重ね、前記各グリーンシートを積層してチップ状に切断した後、焼成し、焼成後、チップの両端に露出した前記導電膜に導通するように電極部を形成することを特徴とする回路保護素子の製造方法である。この発明においては、グリーンシート素材は焼成時に体積が収縮するが、導電膜は収縮しないため、空間部となる穴内に溶断部が湾曲した状態で、回路保護素子が出来上がるという作用を有する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記第2のグリーンシートに穴が形成されているときは、当該第2のグリーンシートの他面に第4のグリーンシートを積層することを特徴とする請求項4記載の回路保護素子の製造方法であり、導電膜の溶断部の両面が空間部に浮いた状態で製造されるという作用を有する。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記第2のグリーンシートに形成する導電膜における溶断部の両側に、当該導電部の上下のグリーンシートの収縮に追随して前記溶断部の両端部の長さを縮小させるためのアンカー部を形成したことを特徴とする請求項4または5に記載の回路保護素子の製造方法である。この発明においては、アンカー部はグリーンシートの収縮時にグリーンシートの面に対して滑ることなく、その収縮に追随して収縮するため、両アンカー部間の溶断部の長さとグリーンシートの収縮率より、空間部における溶断部の湾曲の曲率を予め規制することができるという作用を有する。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図10を用いて説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る回路保護素子の構成を示す図であり、(a)は透視図、(b)は断面図、図2は本発明の実施の形態1におけるグリーンシートの構成を示す分解斜視図、図3は本発明の実施の形態1の製造工程を示すフローチャート、図4は本発明の実施の形態1の導電膜の形成工程を示す工程図、図5は本発明の実施の形態1における基材部の焼成前と焼成後の状態を示す断面図である。
【0020】
図1において、回路保護素子1Aは、セラミック材料等の絶縁材料で構成された基材部2と、基材部2の内部に形成された空間部2aに溶断部3aが収納された導電膜3と、基材部2の両端において導電膜3の両端に導通するように形成された電極部4とから構成されている。なお、基材部2としては耐熱性をも有することが好ましく、これは、溶断部3aにおいて溶断する際に高熱になる可能性があるからである。導電膜3において溶断部3aと電極部4との接合部分の間の少なくとも一部は基材部2で挟まれた構成となっている。
【0021】
基材部2の材料としては、導電膜3の材質をAgとしたとき、Agの融点約961℃よりも低い温度(例えば約900℃)で焼結するAl−Si−B系の低温焼結セラミックス、フェライト系セラミックス、BaTiO3系、CaTiO3系、SnTiO3等の誘電体材料、ガラスエポキシ樹脂等を使用することができる。なお、導電膜3をAg以外の金属材料で構成した場合には、その金属材料の融点よりも低い温度で焼結する材料で基材部2を構成する。
【0022】
導電膜3の材料も、Agのほか、Cu,Ni,Al合金等の導電材料が使用できる。なお、本実施の形態では、溶断部3aを構成する部分は導電膜3という膜状体としたが、ある程度の可撓性を有する板状体,線状体,シート状体などの導電体を用いても良い。
【0023】
また、本実施の形態では湾曲した溶断部3aは空間部2a内において基材部2と非接触となる様に構成することで、過剰電流発生時に溶断部3aに発生するジュール熱が逃げることなく、設計通りの温度で溶断する回路保護素子を提供できる。また、湾曲した溶断部3a(特に溶断部3aの最も突出した部分:図1では、溶断部3aの中央部)が空間部2aの内壁にある程度接触しても、湾曲しているため、外部からの衝撃が加わったとしても溶断部3aが撓むことで衝撃が緩和される。
【0024】
図1に示す構造の回路保護素子1Aは、基本的には、図2に示すように3枚のグリーンシート(薄板状に成形したセラミックスの未焼成体であり、セラミックス原料粉末、誘起結合剤、可塑剤、溶剤などの混合スラリをドクターブレード法またはカレンダー法で薄板状に成形したもの)11,12,13を積層して製造する。グリーンシート11は、中央部に所定形状の穴11aを形成したものであり、グリーンシート12は表面に導電膜3を形成したものであり、グリーンシート13は必要に応じて印刷13aを施したプレーンの板である。
【0025】
なお、本実施の形態では、3枚のグリーンシートを積層して基材部2を構成したが、4枚以上のグリーンシートを積層して基材部2を構成しても良い。
【0026】
なお、図2には、回路保護素子1Aの1個分の構成を示しているが、実際には、広いグリーンシートに多数個分を同時に形成して途中で回路保護素子単体に切断する。
【0027】
以下、図3および図4を用いて、本回路保護素子1Aの製造方法を説明する。ステップS1:まず、グリーンシートを所定の寸法に切断する。
ステップS2:グリーンシート11については穴開けを行う。穴の形状は、図示の四角形に限らず、円形、その他の任意の形状でもよい。
ステップS3:グリーンシート13については、必要に応じて印刷を行う。
ステップS4:グリーンシート12については写真工程で形成された導電膜を転写する。すなわち、図4(a)に示すようにステンレス等のベース板20にレジスト21を塗布し、その上に(b)に示すようにマスク22を載せる。次いで、(c)に示すように紫外線露光を行い、マスク22のかかっていない部分のレジスト21を除去する。次に、マスク22を除去する。
ステップS5:図4(e)に示すようにステンレスのベース板20にメッキによりAg23を析出させる。次いでレジスト21を除去すると、(f)に示すように所定のパターンのAg23の膜がベース板20上に形成される。このベース板20上に形成されたAg23を(g)に示すようにグリーンシート12上に載せ、押し付けると、グリーンシート12上にAg23がめり込んだ状態に転写され、導電膜3が形成される。
ステップS6:以上のように形成されたグリーンシート13,11,12を所定の圧力を掛けて積層し、一体化する。
ステップS7:各グリーンシート11〜13には多数個分の回路保護素子用のチップが形成されているので、これを1個ずつ分に切断する。
ステップS8:電気炉に入れて、例えばAg23の融点より低い温度(例えば900℃)で焼成する。この焼成の過程で、図5に示すようにグリーンシート11〜13の素材は図5(a)の焼成前の状態から図5(b)に示すように約20%ほど、体積が収縮する。導電膜3はAg23であり、収縮しないので、相対的に導電膜3が空間部2a内において伸びて湾曲した状態の溶断部3aが形成される。
ステップS9:冷却工程後、電気炉から取り出し、容器内で所定時間撹拌すると、各回路保護素子用のチップの角が取れて面取りされる。この面取りは、後の工程で回路保護素子用のチップを搬送する際に、引っかかりをなくすために必要な工程である。
ステップS10:チップの両端から露出している導電膜3の端部に電極材、例えば銀ペーストを、塗布し、その表面にNiメッキを施して外部電極を形成する。
ステップS11:外部電極の表面に半田コートによる仕上げ塗布を行う。
ステップS12:出来上がった回路保護素子の各種特性の測定を行う。
【0028】
以上のようにして、図1に示す回路保護素子1Aが得られる。
【0029】
なお、空間部2aの高さを高くしたい場合は、穴11aを設けたグリーンシート11を2枚以上積層すればいい。
【0030】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2に係る回路保護素子1Bの構成を示す断面図である。この実施の形態2は、図1に示す実施の形態1に係る回路保護素子1Aでは、導電膜3が空間部2aの底部に位置していたのに対し、導電膜3の下部にも空間部2aが形成されていることが特徴である。
【0031】
この構造を製造するためには、図7に示すように、穴11aを形成したグリーンシート11を2枚準備し、下方のグリーンシート11の上部に、図4の工程で形成した導電膜3を転写し、上下にグリーンシート13,14を積層することにより、実施の形態1と同様に製造することができる。
【0032】
この実施の形態2においても、グリーンシート11の枚数を調整することで、空間部2aの高さを任意に形成することができる。
【0033】
このように、導電膜3の下部にも空間部2aを形成することで、空間部2aの容積が広くなり、溶断部3aが発熱した場合に熱が逃げにくくなり、溶断ばらつきを抑えることができるという効果が生じる。
【0034】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3を図8および図9に示す。この実施の形態3に係る回路保護素子1Cは、導電膜3の溶断部3aの両側に、焼成前のグリーシートに対して固定点となるアンカー部3bを形成し、アンカー部3b間が、確実にグリーンシートの収縮に追随して収縮するようにしたものである。
【0035】
アンカー部3bとしては、図9(a)に示すように、上下のグリーンシートを連通させる孔3b1、図9(b)に示すように、導電膜3bとグリーンシートとの滑りを防止する突起3b2、図9(c)に示すように、同じく導電膜3bとグリーンシートとの滑りを防止する切り欠き3b3等とすることができるが、これらに限定されない。
【0036】
このように、導電膜3にアンカー部3bを形成することで、図8(a)に示すアンカー部間距離Lが焼成後には図8(b)に示す距離L’(L’=αL、αはグリーンシートの素材の焼成時の収縮率)となる。これにより、溶断部3aの湾曲状態を規定することができ、設計に近い特性の回路保護素子を製造することができる。
【0037】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4を図10に示す。用途によっては、瞬間的な過電流に対しては応答しない遅延型が要求されることがある。そこで、本実施の形態4では、溶断部3aに蓄熱部を形成して、遅延型としても適用できる回路保護素子を提供する。
【0038】
図10(a)は、溶断部3aの片面に導電膜3の材質よりも電気抵抗が大きな金属体5を載せ、焼結時の熱で溶断部3aの表面に積層させたものである。この金属体5としては、半田や鉛、亜鉛等を使用することができる。このように金属体5を積層することで、溶断部3aに流れるジュール熱が金属体5に伝導し、溶断部3aの発熱速度が抑制されるため、遅延型の回路保護素子となる。
【0039】
図10(b)は、溶断部3aの表面と裏面に金属体5を積層したものであり、金属体5の厚みが増えることで、さらに溶断部3aの応答速度を遅くすることができる。
【0040】
図10(c)は、溶断部3aと金属体5の間に熱伝導性のよい絶縁層6を設けたものである。図10(a)と図10(b)の例では金属体5に分流する電流によって溶断部3aの溶断電流値が変化するが、金属体5との間に絶縁層6を介在させることで、電流は金属体5に流さず、溶断部3aの熱のみを金属体5で吸収させるようにする。これにより、溶断電流値を変えることなく、遅延型の回路保護素子を製造することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に係る回路保護素子によれば、溶断部が空間部の内部に湾曲して収納されており、基材部に基本的には接触していないため、過剰電流発生時に溶断部に発生するジュール熱が逃げることなく、設計通りの電流で溶断する回路保護素子を提供できる。また、空間部の長さに対して溶断部の長さが長く、湾曲しているため、外部からの衝撃が干渉される。
【0042】
請求項2に記載の発明によれば、導電体の溶断部の片面または両面に金属体を積層したことにより、溶断部に流れる瞬間的な電流により発生するジュール熱を金属体に一部伝達することにより溶断部の温度上昇を抑制することで、遅延型の回路保護素子を提供できる。
【0043】
請求項3に記載の発明によれば、導電体の溶断部の表面に、絶縁層を介して金属体を設けたことにより、電流容量に影響を与えることなく遅延型の回路保護素子を提供できる。
【0044】
請求項4に記載の発明によれば、焼成により収縮するグリーンシートを少なくとも3枚準備し、中間の第1のグリーンシートに所定の形状の穴を形成し、この穴が形成された第1のグリーンシートの一方の面に接する第2のグリーンシートの表面に、中央部が溶断部となる導電膜を形成し、前記穴が形成された第1のグリーンシートの他方の面に接するように第3のグリーンシートを重ね、前記各グリーンシートを積層してチップ状に切断した後、焼成し、焼成後、チップの両端に露出した前記導電膜に導通するように電極部を形成することにより、グリーンシート素材は焼成時に体積が収縮するが、導電膜は収縮しないため、空間部となる穴内に溶断部が湾曲した状態で、回路保護素子を製造することができる。
【0045】
請求項5に記載の発明によれば、第2のグリーンシートに穴が形成されているときは、当該第2のグリーンシートの他面に第4のグリーンシートを積層することにより、導電膜の溶断部の両面が空間部に浮いた状態で製造されるという作用を有する。
【0046】
請求項6に記載の発明によれば、第2のグリーンシートに形成する導電膜における溶断部の両側に、当該導電部の上下のグリーンシートの収縮に追随して前記溶断部の両端部の長さを縮小させるためのアンカー部を形成したことにより、アンカー部はグリーンシートの収縮時にグリーンシートの面に対して滑ることなく、その収縮に追随して収縮するため、両アンカー部間の溶断部の長さとグリーンシートの収縮率より、空間部における溶断部の湾曲の曲率を予め規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る回路保護素子の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1におけるグリーンシートの構成を示す分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態1に係る回路保護素子の製造工程を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1における導電膜の形成工程を示す工程図
【図5】本発明の実施の形態1における基材部の焼成前と焼成後の状態を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態2に係る回路保護素子の構成を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態2におけるグリーンシートの構成を示す分解斜視図
【図8】本発明の実施の形態3に係る回路保護素子の焼成前と後の収縮の状態を示す断面図
【図9】本発明の実施の形態3に係るアンカー部の例を示す平面図
【図10】本発明の実施の形態4に係る回路保護素子の例を示す断面図
【符号の説明】
1A,1B,1C 回路保護素子
2 基材部
2a 空間部
3 導電膜
3a 溶断部
4 電極部
11,12,13,14 グリーンシート
11a 穴
13a 印刷
20 ベース板
21 レジスト
22 マスク
23 Ag
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ等のデバイスや、ハードディスクドライブ、DVDドライブ、ゲーム機、携帯電話機などの電気機器、電子機器に用いられ、設定電流以上の電流が流れると金属部が溶断して回路を遮断する回路保護素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電気機器、電子機器は小型化が進み、電気回路部も小型化、高密度化が要求されている。この中で、漏電や発熱といった予期せぬ事態を未然に防止して安全性を確保するために使用される回路保護素子、いわゆるヒューズも、小型化とともに安全かつ確実に作動することが要請されている。
【0003】
特に、現在のコンピュータおよび周辺機器には、これまで以上に過電流保護が必要になっている。高速のICチップは非常に過電流の影響を受けやすく、製品の全コストに対して高価である。これらのICチップは、回路の故障や、外部の障害によって生じる過電流から保護する必要がある。
【0004】
このような過電流保護のために、例えば、特許文献1(特開平1−287905号公報)には、積層体の層間に内部導体を形成した一体焼結型のインダクタンス素子において、内部導体に、所定以上の電流が流れることにより溶断するヒューズ部を一体的に設けると共に、溶断するヒューズ部の周囲の積層体に空洞部を設けたインダクタンス素子が開示されている。
【0005】
また、特許文献2(特開平7−105824号公報)には、複数の耐熱絶縁材料からなる基板の積層により構成された内部に空間を有する本体と、基板間に挟まれた金属薄膜からなる可溶体と、本体の両端に備えられ可溶体と電気的に接続された電極とで構成された超小型チップヒューズが開示されている。
【0006】
これらの特許文献1および2においては、ヒューズ部(可溶体)の周囲に空洞部(空間)を設けたことにより、ヒューズ部に流れる電流によるジュール熱が効率的にヒューズ部の溶断に作用し、また溶断した金属の粒子が空洞部内で分散して電極間が再接続しないようになる。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−287905号公報
【特許文献2】
特開平7−105824号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前掲の特許文献1および2に記載された回路保護素子においては、ヒューズ部が直線(平面)状であるので、溶断部の幅、長さ、形状、厚み等の寸法の設定に融通性が乏しく、設計の自由度が低いという問題がある。また、直線状であるため、外部からの衝撃により絶縁材が歪むとヒューズ部に応力が掛かり、延びや破断が生じ、所定の特性が得られなくなる恐れがある。
【0009】
本発明は、溶断部の幅、長さ、形状、厚み等の設計の自由度が高く、耐衝撃性のある回路保護素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の回路保護素子においては、内部に空間部が形成された絶縁材料からなる基材部と、両端部が前記基材部内に埋設され、中間部が溶断部として前記空間部の内部に湾曲して収納された導電体と、前記基材部の端面において、前記導電他と接続されている電極部とを備えたものである。
【0011】
この発明によれば、溶断部の幅、長さ、形状、厚み等の設計の自由度が高く、耐衝撃性のある回路保護素子が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、内部に空間部が形成された絶縁材料からなる基材部と、両端部が前記基材部内に埋設され、中間部が溶断部として前記空間部の内部に湾曲して収納された導電体と、前記基材部の端面において、前記導電体の端部に接続されている電極部とを備えたことを特徴とする回路保護素子である。この発明においては、溶断部が空間部の内部に湾曲して収納されており、基材部に基本的には接触していないため、過剰電流発生時に溶断部に発生するジュール熱が逃げることなく、設計通りの電流で溶断する速断型回路保護素子を提供できるという作用を有する。また、空間部の長さに対して溶断部の長さが長く、湾曲しているため、外部からの衝撃が緩和されるという作用をも有する。
【0013】
請求項2に記載の発明は、前記導電体の溶断部の片面または両面に金属体を積層したことを特徴とする請求項1記載の回路保護素子であり、溶断部に流れる瞬間的な電流により発生するジュール熱を金属体に一部伝達することにより、遅延型の回路保護素子となるという作用を有する。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記導電体の溶断部の表面に、絶縁層を介して金属体を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路保護素子であり、電流容量に影響を与えることなく遅延型の回路保護素子を提供できるという作用を有する。
【0015】
請求項4に記載の発明は、焼成により収縮するグリーンシートを少なくとも3枚準備し、中間の第1のグリーンシートに所定の形状の穴を形成し、この穴が形成された第1のグリーンシートの一方の面に接する第2のグリーンシートの表面に、中央部が溶断部となる導電膜を形成し、前記穴が形成された第1のグリーンシートの他方の面に接するように第3のグリーンシートを重ね、前記各グリーンシートを積層してチップ状に切断した後、焼成し、焼成後、チップの両端に露出した前記導電膜に導通するように電極部を形成することを特徴とする回路保護素子の製造方法である。この発明においては、グリーンシート素材は焼成時に体積が収縮するが、導電膜は収縮しないため、空間部となる穴内に溶断部が湾曲した状態で、回路保護素子が出来上がるという作用を有する。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記第2のグリーンシートに穴が形成されているときは、当該第2のグリーンシートの他面に第4のグリーンシートを積層することを特徴とする請求項4記載の回路保護素子の製造方法であり、導電膜の溶断部の両面が空間部に浮いた状態で製造されるという作用を有する。
【0017】
請求項6に記載の発明は、前記第2のグリーンシートに形成する導電膜における溶断部の両側に、当該導電部の上下のグリーンシートの収縮に追随して前記溶断部の両端部の長さを縮小させるためのアンカー部を形成したことを特徴とする請求項4または5に記載の回路保護素子の製造方法である。この発明においては、アンカー部はグリーンシートの収縮時にグリーンシートの面に対して滑ることなく、その収縮に追随して収縮するため、両アンカー部間の溶断部の長さとグリーンシートの収縮率より、空間部における溶断部の湾曲の曲率を予め規制することができるという作用を有する。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図1から図10を用いて説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1に係る回路保護素子の構成を示す図であり、(a)は透視図、(b)は断面図、図2は本発明の実施の形態1におけるグリーンシートの構成を示す分解斜視図、図3は本発明の実施の形態1の製造工程を示すフローチャート、図4は本発明の実施の形態1の導電膜の形成工程を示す工程図、図5は本発明の実施の形態1における基材部の焼成前と焼成後の状態を示す断面図である。
【0020】
図1において、回路保護素子1Aは、セラミック材料等の絶縁材料で構成された基材部2と、基材部2の内部に形成された空間部2aに溶断部3aが収納された導電膜3と、基材部2の両端において導電膜3の両端に導通するように形成された電極部4とから構成されている。なお、基材部2としては耐熱性をも有することが好ましく、これは、溶断部3aにおいて溶断する際に高熱になる可能性があるからである。導電膜3において溶断部3aと電極部4との接合部分の間の少なくとも一部は基材部2で挟まれた構成となっている。
【0021】
基材部2の材料としては、導電膜3の材質をAgとしたとき、Agの融点約961℃よりも低い温度(例えば約900℃)で焼結するAl−Si−B系の低温焼結セラミックス、フェライト系セラミックス、BaTiO3系、CaTiO3系、SnTiO3等の誘電体材料、ガラスエポキシ樹脂等を使用することができる。なお、導電膜3をAg以外の金属材料で構成した場合には、その金属材料の融点よりも低い温度で焼結する材料で基材部2を構成する。
【0022】
導電膜3の材料も、Agのほか、Cu,Ni,Al合金等の導電材料が使用できる。なお、本実施の形態では、溶断部3aを構成する部分は導電膜3という膜状体としたが、ある程度の可撓性を有する板状体,線状体,シート状体などの導電体を用いても良い。
【0023】
また、本実施の形態では湾曲した溶断部3aは空間部2a内において基材部2と非接触となる様に構成することで、過剰電流発生時に溶断部3aに発生するジュール熱が逃げることなく、設計通りの温度で溶断する回路保護素子を提供できる。また、湾曲した溶断部3a(特に溶断部3aの最も突出した部分:図1では、溶断部3aの中央部)が空間部2aの内壁にある程度接触しても、湾曲しているため、外部からの衝撃が加わったとしても溶断部3aが撓むことで衝撃が緩和される。
【0024】
図1に示す構造の回路保護素子1Aは、基本的には、図2に示すように3枚のグリーンシート(薄板状に成形したセラミックスの未焼成体であり、セラミックス原料粉末、誘起結合剤、可塑剤、溶剤などの混合スラリをドクターブレード法またはカレンダー法で薄板状に成形したもの)11,12,13を積層して製造する。グリーンシート11は、中央部に所定形状の穴11aを形成したものであり、グリーンシート12は表面に導電膜3を形成したものであり、グリーンシート13は必要に応じて印刷13aを施したプレーンの板である。
【0025】
なお、本実施の形態では、3枚のグリーンシートを積層して基材部2を構成したが、4枚以上のグリーンシートを積層して基材部2を構成しても良い。
【0026】
なお、図2には、回路保護素子1Aの1個分の構成を示しているが、実際には、広いグリーンシートに多数個分を同時に形成して途中で回路保護素子単体に切断する。
【0027】
以下、図3および図4を用いて、本回路保護素子1Aの製造方法を説明する。ステップS1:まず、グリーンシートを所定の寸法に切断する。
ステップS2:グリーンシート11については穴開けを行う。穴の形状は、図示の四角形に限らず、円形、その他の任意の形状でもよい。
ステップS3:グリーンシート13については、必要に応じて印刷を行う。
ステップS4:グリーンシート12については写真工程で形成された導電膜を転写する。すなわち、図4(a)に示すようにステンレス等のベース板20にレジスト21を塗布し、その上に(b)に示すようにマスク22を載せる。次いで、(c)に示すように紫外線露光を行い、マスク22のかかっていない部分のレジスト21を除去する。次に、マスク22を除去する。
ステップS5:図4(e)に示すようにステンレスのベース板20にメッキによりAg23を析出させる。次いでレジスト21を除去すると、(f)に示すように所定のパターンのAg23の膜がベース板20上に形成される。このベース板20上に形成されたAg23を(g)に示すようにグリーンシート12上に載せ、押し付けると、グリーンシート12上にAg23がめり込んだ状態に転写され、導電膜3が形成される。
ステップS6:以上のように形成されたグリーンシート13,11,12を所定の圧力を掛けて積層し、一体化する。
ステップS7:各グリーンシート11〜13には多数個分の回路保護素子用のチップが形成されているので、これを1個ずつ分に切断する。
ステップS8:電気炉に入れて、例えばAg23の融点より低い温度(例えば900℃)で焼成する。この焼成の過程で、図5に示すようにグリーンシート11〜13の素材は図5(a)の焼成前の状態から図5(b)に示すように約20%ほど、体積が収縮する。導電膜3はAg23であり、収縮しないので、相対的に導電膜3が空間部2a内において伸びて湾曲した状態の溶断部3aが形成される。
ステップS9:冷却工程後、電気炉から取り出し、容器内で所定時間撹拌すると、各回路保護素子用のチップの角が取れて面取りされる。この面取りは、後の工程で回路保護素子用のチップを搬送する際に、引っかかりをなくすために必要な工程である。
ステップS10:チップの両端から露出している導電膜3の端部に電極材、例えば銀ペーストを、塗布し、その表面にNiメッキを施して外部電極を形成する。
ステップS11:外部電極の表面に半田コートによる仕上げ塗布を行う。
ステップS12:出来上がった回路保護素子の各種特性の測定を行う。
【0028】
以上のようにして、図1に示す回路保護素子1Aが得られる。
【0029】
なお、空間部2aの高さを高くしたい場合は、穴11aを設けたグリーンシート11を2枚以上積層すればいい。
【0030】
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2に係る回路保護素子1Bの構成を示す断面図である。この実施の形態2は、図1に示す実施の形態1に係る回路保護素子1Aでは、導電膜3が空間部2aの底部に位置していたのに対し、導電膜3の下部にも空間部2aが形成されていることが特徴である。
【0031】
この構造を製造するためには、図7に示すように、穴11aを形成したグリーンシート11を2枚準備し、下方のグリーンシート11の上部に、図4の工程で形成した導電膜3を転写し、上下にグリーンシート13,14を積層することにより、実施の形態1と同様に製造することができる。
【0032】
この実施の形態2においても、グリーンシート11の枚数を調整することで、空間部2aの高さを任意に形成することができる。
【0033】
このように、導電膜3の下部にも空間部2aを形成することで、空間部2aの容積が広くなり、溶断部3aが発熱した場合に熱が逃げにくくなり、溶断ばらつきを抑えることができるという効果が生じる。
【0034】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3を図8および図9に示す。この実施の形態3に係る回路保護素子1Cは、導電膜3の溶断部3aの両側に、焼成前のグリーシートに対して固定点となるアンカー部3bを形成し、アンカー部3b間が、確実にグリーンシートの収縮に追随して収縮するようにしたものである。
【0035】
アンカー部3bとしては、図9(a)に示すように、上下のグリーンシートを連通させる孔3b1、図9(b)に示すように、導電膜3bとグリーンシートとの滑りを防止する突起3b2、図9(c)に示すように、同じく導電膜3bとグリーンシートとの滑りを防止する切り欠き3b3等とすることができるが、これらに限定されない。
【0036】
このように、導電膜3にアンカー部3bを形成することで、図8(a)に示すアンカー部間距離Lが焼成後には図8(b)に示す距離L’(L’=αL、αはグリーンシートの素材の焼成時の収縮率)となる。これにより、溶断部3aの湾曲状態を規定することができ、設計に近い特性の回路保護素子を製造することができる。
【0037】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4を図10に示す。用途によっては、瞬間的な過電流に対しては応答しない遅延型が要求されることがある。そこで、本実施の形態4では、溶断部3aに蓄熱部を形成して、遅延型としても適用できる回路保護素子を提供する。
【0038】
図10(a)は、溶断部3aの片面に導電膜3の材質よりも電気抵抗が大きな金属体5を載せ、焼結時の熱で溶断部3aの表面に積層させたものである。この金属体5としては、半田や鉛、亜鉛等を使用することができる。このように金属体5を積層することで、溶断部3aに流れるジュール熱が金属体5に伝導し、溶断部3aの発熱速度が抑制されるため、遅延型の回路保護素子となる。
【0039】
図10(b)は、溶断部3aの表面と裏面に金属体5を積層したものであり、金属体5の厚みが増えることで、さらに溶断部3aの応答速度を遅くすることができる。
【0040】
図10(c)は、溶断部3aと金属体5の間に熱伝導性のよい絶縁層6を設けたものである。図10(a)と図10(b)の例では金属体5に分流する電流によって溶断部3aの溶断電流値が変化するが、金属体5との間に絶縁層6を介在させることで、電流は金属体5に流さず、溶断部3aの熱のみを金属体5で吸収させるようにする。これにより、溶断電流値を変えることなく、遅延型の回路保護素子を製造することができる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に係る回路保護素子によれば、溶断部が空間部の内部に湾曲して収納されており、基材部に基本的には接触していないため、過剰電流発生時に溶断部に発生するジュール熱が逃げることなく、設計通りの電流で溶断する回路保護素子を提供できる。また、空間部の長さに対して溶断部の長さが長く、湾曲しているため、外部からの衝撃が干渉される。
【0042】
請求項2に記載の発明によれば、導電体の溶断部の片面または両面に金属体を積層したことにより、溶断部に流れる瞬間的な電流により発生するジュール熱を金属体に一部伝達することにより溶断部の温度上昇を抑制することで、遅延型の回路保護素子を提供できる。
【0043】
請求項3に記載の発明によれば、導電体の溶断部の表面に、絶縁層を介して金属体を設けたことにより、電流容量に影響を与えることなく遅延型の回路保護素子を提供できる。
【0044】
請求項4に記載の発明によれば、焼成により収縮するグリーンシートを少なくとも3枚準備し、中間の第1のグリーンシートに所定の形状の穴を形成し、この穴が形成された第1のグリーンシートの一方の面に接する第2のグリーンシートの表面に、中央部が溶断部となる導電膜を形成し、前記穴が形成された第1のグリーンシートの他方の面に接するように第3のグリーンシートを重ね、前記各グリーンシートを積層してチップ状に切断した後、焼成し、焼成後、チップの両端に露出した前記導電膜に導通するように電極部を形成することにより、グリーンシート素材は焼成時に体積が収縮するが、導電膜は収縮しないため、空間部となる穴内に溶断部が湾曲した状態で、回路保護素子を製造することができる。
【0045】
請求項5に記載の発明によれば、第2のグリーンシートに穴が形成されているときは、当該第2のグリーンシートの他面に第4のグリーンシートを積層することにより、導電膜の溶断部の両面が空間部に浮いた状態で製造されるという作用を有する。
【0046】
請求項6に記載の発明によれば、第2のグリーンシートに形成する導電膜における溶断部の両側に、当該導電部の上下のグリーンシートの収縮に追随して前記溶断部の両端部の長さを縮小させるためのアンカー部を形成したことにより、アンカー部はグリーンシートの収縮時にグリーンシートの面に対して滑ることなく、その収縮に追随して収縮するため、両アンカー部間の溶断部の長さとグリーンシートの収縮率より、空間部における溶断部の湾曲の曲率を予め規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る回路保護素子の構成を示す図
【図2】本発明の実施の形態1におけるグリーンシートの構成を示す分解斜視図
【図3】本発明の実施の形態1に係る回路保護素子の製造工程を示すフローチャート
【図4】本発明の実施の形態1における導電膜の形成工程を示す工程図
【図5】本発明の実施の形態1における基材部の焼成前と焼成後の状態を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態2に係る回路保護素子の構成を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態2におけるグリーンシートの構成を示す分解斜視図
【図8】本発明の実施の形態3に係る回路保護素子の焼成前と後の収縮の状態を示す断面図
【図9】本発明の実施の形態3に係るアンカー部の例を示す平面図
【図10】本発明の実施の形態4に係る回路保護素子の例を示す断面図
【符号の説明】
1A,1B,1C 回路保護素子
2 基材部
2a 空間部
3 導電膜
3a 溶断部
4 電極部
11,12,13,14 グリーンシート
11a 穴
13a 印刷
20 ベース板
21 レジスト
22 マスク
23 Ag
Claims (6)
- 内部に空間部が形成された絶縁材料からなる基材部と、
両端部が前記基材部内に埋設され、中間部が溶断部として前記空間部の内部に湾曲して収納された導電体と、
前記基材部の端面において、前記導電体と接続されている電極部と、
を備えたことを特徴とする回路保護素子。 - 前記導電体の溶断部の片面または両面に金属体を設けたことを特徴とする請求項1記載の回路保護素子。
- 前記導電体の溶断部の表面に、絶縁層を介して金属体を積層したことを特徴とする請求項1記載の回路保護素子。
- 焼成により収縮するグリーンシートを少なくとも3枚準備し、
中間の第1のグリーンシートに所定の形状の穴を形成し、
この穴が形成された第1のグリーンシートの一方の面に接する第2のグリーンシートの表面に、中央部が溶断部となる導電膜を形成し、
前記穴が形成された第1のグリーンシートの他方の面に接するように第3のグリーンシートを重ね、
前記各グリーンシートを積層してチップ状に切断した後、焼成し、
焼成後、チップの両端に露出した前記導電膜に導通するように電極部を形成することを特徴とする回路保護素子の製造方法。 - 前記第2のグリーンシートに穴が形成されているときは、当該第2のグリーンシートの他面に第4のグリーンシートを積層することを特徴とする請求項4記載の回路保護素子の製造方法。
- 前記第2のグリーンシートに形成する導電膜における溶断部の両側に、当該導電部の上下のグリーンシートの収縮に追随して前記溶断部の両端部の長さを縮小させるためのアンカー部を形成したことを特徴とする請求項4または5に記載の回路保護素子の製造方法。
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