JP4211406B2 - チップ型ヒューズおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器に使用されるチップ型ヒューズおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は従来のチップ型ヒューズの主要部を示す上面図である。
【0003】
図4に示すように従来のチップ型ヒューズは、セラミック基板1の両側に設けられた電極2と、この電極2間に位置して電極2に接続されるように設けられた直線状をなす銅箔からなるヒューズ素子3と、このヒューズ素子3を被覆する保護膜4と、前記ヒューズ素子3の中央部に設けられ過負荷印加時に溶断する直線状の幅狭部3aとを備えた構成としていた。
【0004】
また、この従来のチップ型ヒューズの製造方法は、セラミック基板1の上面に銅箔を形成した後、エッチングによりパターンニングを行って電極2とヒューズ素子3、幅狭部3aを形成し、その後、このヒューズ素子3を保護膜4で被覆するようにしていた。
【0005】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−76609号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来のチップ型ヒューズの構成では、溶断後の絶縁抵抗を高くすることが困難であるという課題を有していた。
【0008】
すなわち、従来のチップ型ヒューズの構成では、ヒューズ素子3が、セラミック基板1と保護膜4に挟まれているため、ヒューズ素子3が溶断して液体化した場合、ヒューズ素子3の逃げ場がないもので、そして、このヒューズ素子3は、溶断後一定時間経過すると再び固化するもので、この固化により、ヒューズ素子3同士が接触してヒューズ素子3が再導通してしまうという可能性を有していた。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、溶断後の絶縁抵抗を容易に高くすることができるチップ型ヒューズおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0011】
本発明の請求項1に記載の発明は、複数の絶縁体と、前記複数の絶縁体の間に設けられたヒューズ素子とを備え、前記ヒューズ素子の上面側と下面側のいずれか一方、もしくは両方にセラミック粉を設けるとともに、このセラミック粉の粒径を1μm以下としたもので、この構成によれば、ヒューズ素子の上面側と下面側のいずれか一方、もしくは両方にセラミック粉を設けているため、溶断して液体化したヒューズ素子はセラミック粉に付着することになり、これにより、ヒューズ素子が再び固化したとしてもヒューズ素子同士が接触して再導通するということはなくなるため、溶断後の絶縁抵抗を容易に高くすることができ、さらに、前記セラミック粉は粒径が1μm以下と小さいため、セラミック粉は量が多くなるとともにセラミック粉の表面積も大きくなり、これにより、溶断して液体化したヒューズ素子はより多くのセラミック粉に付着するため、溶断後の絶縁抵抗をさらに容易に高くすることができるという作用効果が得られるものである。
【0012】
本発明の請求項に記載の発明は、複数の絶縁体と、前記複数の絶縁体の間に設けられたヒューズ素子とを備え、前記絶縁体に貫通孔または窪みからなる空間部を形成し、かつこの空間部を形成した絶縁体をヒューズ素子の上面側と下面側のいずれか一方、もしくは両方に設け、かつ前記空間部にセラミック粉を備えたもので、この構成によれば、貫通孔または窪みからなる空間部を形成した絶縁体をヒューズ素子の上面側と下面側のいずれか一方、もしくは両方に設け、かつ前記空間部にセラミック粉を備えているため、溶断して液体化したヒューズ素子はセラミック粉に付着することになり、これにより、ヒューズ素子が再び固化したとしてもヒューズ素子同士が接触して再導通するということはなくなるため、溶断後の絶縁抵抗を容易に高くすることができ、かつセラミック粉も一定の位置に安定した状態で設けることができるという作用効果が得られるものである。
【0013】
本発明の請求項に記載の発明は、第1の絶縁体の上面にヒューズ素子を形成する工程と、前記ヒューズ素子と対向する空間部を有する第2の絶縁体を前記ヒューズ素子の上面に形成する工程と、前記空間部にセラミック粉を充填する工程と、前記第2の絶縁体の上面に保護用の第3の絶縁体を形成する工程と、前記第1の絶縁体、第2の絶縁体、保護用の第3の絶縁体を焼成する工程とを備えたもので、この製造方法によれば、第2の絶縁体に設けられたヒューズ素子と対向する空間部にセラミック粉を充填する工程を備えているため、セラミック粉を一定の位置に安定した状態で設けることができるという作用効果が得られるものである。
【0014】
本発明の請求項に記載の発明は、第1の絶縁体の上面に空間部を有する第2の絶縁体を形成する工程と、前記空間部にセラミック粉を充填する工程と、前記第2の絶縁体の上面に前記セラミック粉とヒューズ素子が対向するようにヒューズ素子を形成する工程と、前記ヒューズ素子の上面に保護用の第3の絶縁体を形成する工程と、前記第1の絶縁体、第2の絶縁体、保護用の第3の絶縁体を焼成する工程とを備えたもので、この製造方法によれば、第1の絶縁体の上面に空間部を有する第2の絶縁体を形成し、そしてこの空間部にセラミック粉を充填するとともに、前記第2の絶縁体の上面に前記セラミック粉とヒューズ素子が対向するようにヒューズ素子を形成するようにしているため、セラミック粉を一定の位置に安定した状態で設けることができるという作用効果が得られるものである。
【0015】
本発明の請求項に記載の発明は、特に、セラミック粉を有機溶剤に含浸させたもので、この製造方法によれば、セラミック粉を有機溶剤に含浸させているため、セラミック粉を粉体でなく、液体またはペーストの状態で形成することができ、これにより、セラミック粉を容易に設けることができるという作用効果が得られるものである。
【0016】
本発明の請求項に記載の発明は、特に、セラミック粉として、その融点がヒューズ素子、第1の絶縁体、第2の絶縁体、保護用の第3の絶縁体の融点より高い材料を用いたもので、この製造方法によれば、ヒューズ素子、第1の絶縁体、第2の絶縁体、保護用の第3の絶縁体を焼成してもセラミック粉が溶融することはないため、焼成した後にセラミック粉を別途設けるという手間は不要となり、その結果、生産性を低下させることはないという作用効果が得られるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1(a)は本発明の一実施の形態におけるチップ型ヒューズの主要部を示す上面図、図1(b)は図1(a)におけるA−A線断面図、図2は同チップ型ヒューズの分解斜視図である。
【0018】
図1(a)(b)、図2に示すように本発明の一実施の形態におけるチップ型ヒューズは、複数の絶縁体11と、前記複数の絶縁体11の間に設けられたヒューズ素子12とを備え、前記ヒューズ素子12の上面側にセラミック粉13を設けている。
【0019】
前記複数の絶縁体11は、セラミック、ガラス等の絶縁物からなる方形状の絶縁シートで構成されているもので、ヒューズ素子12の下面側に設けられた3枚の絶縁シート14a,14b,14cよりなる第1の絶縁体14と、前記ヒューズ素子12の上面側に設けられた1枚の絶縁シートよりなる第2の絶縁体15と、この第2の絶縁体15の上に設けられた2枚の絶縁シート16a,16bよりなる保護用の第3の絶縁体16とを備えている。ここで、図2は説明を簡単にするため、第1の絶縁体14は2枚、保護用の第3の絶縁体16は1枚図示している。また、第2の絶縁体15の中央部にはセラミック粉13を備えるための空間部17が設けられている。
【0020】
なお、前記第1の絶縁体14を構成する絶縁シートおよび保護用の第3の絶縁体16を構成する絶縁シートの枚数は上記した数に限定されるものではなく、長期信頼性等を考慮してそれぞれ適宜決めればよい。また前記絶縁体11はセラミック基板を用いてもよいものである。
【0021】
前記ヒューズ素子12は、第1の絶縁体14の上面と第2の絶縁体15との間に直線状に設けられているもので、銀、銅等を印刷、蒸着、めっきする等の方法により形成されている。また、このヒューズ素子12の両端部には電極12aが設けられている。そしてまた、このヒューズ素子12の形状は直線状に限定されるものではなく、蛇行状でもよく、また中央部に直線状の幅狭部を備えていてもよい。
【0022】
前記セラミック粉13は、ヒューズ素子被覆部で、シリカ、アルミナ、ジルコニア、フェライト等のセラミック材料からなる多数の粉体により構成されているもので、ヒューズ素子12の上面側に備えられている。そしてこのセラミック粉13は、粒径が例えば0.01μm〜10μmの細かいものを使用している。また、このセラミック粉13は、ヒューズ素子12が溶断する中央部を少なくとも覆うように、ヒューズ素子12と対向するように設ける必要がある。このとき、ヒューズ素子12の中央部とセラミック粉13とを接触させるか、もしくは溶融したヒューズ素子12がセラミック粉13に付着できるようにする。そしてまた、このセラミック粉13は、ヒューズ素子12の上面側だけに設けるのではなく、これ以外に、ヒューズ素子12の下面側だけ、あるいはヒューズ素子12の上面側と下面側の両方に設けるようにしてもよいものである。
【0023】
さらに、前記セラミック粉13としてシリカを用いれば、コストを低減させることができ、またフェライトを用いれば、ヒューズ素子12にインダクタとしての機能を持たせることができるものである。
【0024】
なお、前記セラミック粉13は、上記本発明の一実施の形態においては、ヒューズ素子12の上面に形成した第2の絶縁体15に設けられた空間部17に充填されているもので、これにより、ヒューズ素子12の上面側にセラミック粉13が設けられるものである。このようにセラミック粉13を第2の絶縁体15に設けられた空間部17に充填するようにすれば、セラミック粉13を一定の位置に安定した状態で設けることができるものである。また、セラミック粉13が充填される空間部17は、本発明の一実施の形態においては、第2の絶縁体15を1枚の絶縁シートで構成しているため、1枚の絶縁シートのみに設けているが、第2の絶縁体15を複数枚の絶縁シートで構成した場合は、複数枚の絶縁シートに設ければよいものである。そしてまた、空間部17にセラミック粉13が充填された第2の絶縁体15は、ヒューズ素子12の上面側だけに設けるのではなく、これ以外に、ヒューズ素子12の下面側だけ、あるいはヒューズ素子12の上面側と下面側の両方に設けるようにしてもよいものである。さらに、このセラミック粉13は前記第2の絶縁体15に設けた空間部17の中全体に完全に充填されるように設ける必要はなく、このセラミック粉13がヒューズ素子12と対向してヒューズ素子12を覆うことができればよいものである。
【0025】
また、前記セラミック粉13は前記第2の絶縁体15に設けた空間部17に充填せずに、ヒューズ素子12の上面側に直接設けてもよく、さらに前記第2の絶縁体15の上面に設けられる保護用の第3の絶縁体16は、絶縁シートではなく、樹脂からなる保護膜で構成してもよいものである。
【0026】
前記空間部17は、第2の絶縁体15の中央部に貫通するように設けられた貫通孔で構成しているもので、この空間部17内にセラミック粉13が充填されてこのセラミック粉13がヒューズ素子12を覆うように設けられている。また、この空間部17は貫通孔でなく、窪みでもよく、絶縁体11としてセラミック基板を用いた場合は、ヒューズ素子12と接触する窪みとなるものである。
【0027】
そして、前記複数の絶縁体11、ヒューズ素子12、セラミック粉13を上記したような構成になるように積層したヒューズ本体18の両端部に、ヒューズ素子12の電極12aとそれぞれ接続されるように外部電極19を設けている。このとき、ヒューズ素子12の電極12aを第1の絶縁体14の両端部から外方へ突出するように形成しておけば、外部電極19とヒューズ素子12の電極12aとの接続性を向上させることができるものである。なお、この外部電極19は銀を印刷することによって形成しているもので、さらにその表面にニッケルめっき、すずめっきを順に形成してもよいものである。
【0028】
上記したように本発明の一実施の形態におけるチップ型ヒューズは、複数の絶縁体11の間に設けられたヒューズ素子12の上面側と下面側のいずれか一方、もしくは両方にセラミック粉13を設けているため、溶断後の絶縁抵抗を容易に高くすることができるという効果が得られるもので、これは、溶断して液体化したヒューズ素子12がセラミック粉13に付着するため、ヒューズ素子12が再び固化したとしてもヒューズ素子12同士が再度接触して再導通するということがなくなるからであると考えられる。
【0029】
図3は、セラミック粉13の粒径と、溶断後のヒューズ素子12の絶縁抵抗との関係を示す図である。
【0030】
試料として、チップ型ヒューズ全体の長さが1.0mm、幅が0.5mm、高さが0.5mmのものを用いて、粒径ごとに各30個の試料の溶断後の絶縁抵抗を測定し、その最大値、最小値、および平均値を求めた。また、最小値が103MΩ以上、かつ平均値が106MΩ以上あることを良否の基準とした。
【0031】
図3から明らかなように、セラミック粉13の粒径を1μm以下、好ましくは0.5μm以下にすれば、溶断後の絶縁抵抗を非常に高くすることができるものである。
【0032】
すなわち、セラミック粉13の粒径が小さいと、セラミック粉13は量が多くなるとともにセラミック粉13の表面積も大きくなるため、溶断して液体化したヒューズ素子12がより多くのセラミック粉13に付着するからである。
【0033】
次に、本発明の一実施の形態におけるチップ型ヒューズの製造方法について図1(a)(b)、図2を用いて説明する。
【0034】
まず、ガラスセラミック粉体またはガラス粉体と樹脂とからなる混合物を乾燥硬化させることにより、複数の絶縁体11である第1の絶縁体14を構成する3枚の方形状の絶縁シート14a,14b,14cと、第2の絶縁体15を構成する1枚の方形状の絶縁シートと、保護用の第3の絶縁体16を構成する2枚の絶縁シート16a,16bをそれぞれ作製する。そして、第2の絶縁体15を構成する1枚の絶縁シートの中央部にパンチング、レーザー照射等によって貫通する空間部17を形成する。
【0035】
次に、第1の絶縁体14を構成する3枚の絶縁シート14a,14b,14cを積層する。
【0036】
次に、第1の絶縁体14を構成する最上部の絶縁シート14aの上面両端部に、銀等の導電材料からなる電極12aを、印刷またはめっき、蒸着によって形成する。
【0037】
次に、第1の絶縁体14を構成する最上部の絶縁シート14aの上面において、電極12a間に、銀、銅等からなる直線状のヒューズ素子12を、印刷またはめっき、蒸着によって形成する。なお、前記電極12aおよびヒューズ素子12は、同時に形成してもよいものである。
【0038】
次に、予め中央部に空間部17が形成された第2の絶縁体15を構成する1枚の絶縁シートを、ヒューズ素子12の上面側に配置する。
【0039】
次に、セラミック粉13を有機溶剤および必要に応じてバインダーに含浸させて液体状またはペースト状にし、これを空間部17に充填する。この場合、粉末状のセラミック粉13をそのまま空間部17に充填してもよいが、セラミック粉13を有機溶剤、バインダーに含浸させれば、液体状またはペースト状の状態にできるため、セラミック粉13をより容易に空間部17に設けることができるものである。
【0040】
なお、上記本発明の一実施の形態においては、第2の絶縁体15を構成する1枚の絶縁シートを、ヒューズ素子12の上面側に配置した後、第2の絶縁体15に設けた空間部17にセラミック粉13を充填するようにしているが、セラミック粉13を有機溶剤に含浸させたペーストを先に第2の絶縁体15に設けた空間部17に充填、印刷しておき、そしてこの第2の絶縁体15をヒューズ素子12の上面側に配置するようにしてもよいものである。また、中央部に空間部17を設けた第2の絶縁体15は、上記以外に、ヒューズ素子12の下面側だけ、あるいはヒューズ素子12の上面側と下面側の両方に形成し、前記空間部17にセラミック粉13を充填するようにしてもよいものである。
【0041】
次に、第2の絶縁体15の上面側に、保護用の第3の絶縁体16を構成する2枚の絶縁シート16a,16bを積層する。
【0042】
次に、第1の絶縁体14、第2の絶縁体15、保護用の第3の絶縁体16を焼成してヒューズ本体18を構成し、第1の絶縁体14、第2の絶縁体15、保護用の第3の絶縁体16を絶縁体の一体物とする。この焼成は、第2の絶縁シート15に設けた空間部17にセラミック粉13を充填した状態で行われるため、この焼成によって有機溶剤は蒸発し、かつバインダーは燃焼し、空間部17には粉末状のセラミック粉13のみが形成されることになる。
【0043】
最後に、ヒューズ本体18の両端部に銀を塗布、印刷することにより、ヒューズ素子12の両端部の電極12aとそれぞれ接続されるように外部電極19を形成する。
【0044】
上記した本発明の一実施の形態におけるチップ型ヒューズの製造方法においては、第1の絶縁体14の上面にヒューズ素子12を形成する工程と、前記ヒューズ素子12と対向する空間部17を有する第2の絶縁体15を前記ヒューズ素子12の上面に形成する工程と、前記空間部17にセラミック粉13を充填する工程と、前記第2の絶縁体15の上面に保護用の第3の絶縁体16を形成する工程と、前記第1の絶縁体14、第2の絶縁体15、保護用の第3の絶縁体16を焼成する工程とを備えているため、セラミック粉13を一定の位置に安定した状態で設けることができるものである。
【0045】
なお、セラミック粉13として、その融点がヒューズ素子12、第1の絶縁体14、第2の絶縁体15、保護用の第3の絶縁体16の融点より高い材料を用いれば、ヒューズ素子12、第1の絶縁体14、第2の絶縁体15、保護用の第3の絶縁体16を焼成してもセラミック粉13が溶融することはないため、焼成した後にセラミック粉13を別途設けるという手間は不要となり、その結果、生産性を低下させることはない。すなわち、この構成によれば、第1の絶縁体14、第2の絶縁体15、保護用の第3の絶縁体16の一体焼成が可能となるものである。
【0046】
また、上記本発明の一実施の形態におけるチップ型ヒューズの製造方法においては、第1の絶縁体14の上面に、まずヒューズ素子12を形成し、その後、前記ヒューズ素子12と対向する空間部17を有する第2の絶縁体15を前記ヒューズ素子12の上面に形成し、そして前記空間部17にセラミック粉13を充填し、その後、前記第2の絶縁体15の上面に保護用の第3の絶縁体16を形成し、さらにその後、前記第1の絶縁体14、第2の絶縁体15、保護用の第3の絶縁体16を焼成するようにしたものについて説明したが、これ以外の例えば、第1の絶縁体14の上面に、まず空間部17を有する第2の絶縁体15を形成し、その後、前記空間部17にセラミック粉13を充填し、そして前記第2の絶縁体15の上面に、前記セラミック粉13がヒューズ素子12の溶断する中央部を少なくとも覆い、かつセラミック粉13とヒューズ素子12とが対向するようにヒューズ素子12を形成し、その後、前記ヒューズ素子12の上面に保護用の第3の絶縁体16を形成し、さらにその後、前記第1の絶縁体14、第2の絶縁体15、保護用の第3の絶縁体16を焼成するようにした場合においても、上記本発明の一実施の形態と同様の効果が得られるものである。
【0047】
なお、このとき、上記本発明の一実施の形態と同様に、セラミック粉13を有機溶剤に含浸させれば、セラミック粉13を粉体でなく、液体またはペーストの状態で形成することができ、これにより、セラミック粉13を容易に設けることができる。さらに、セラミック粉13として、その融点がヒューズ素子12、第1の絶縁体14、第2の絶縁体15、保護用の第3の絶縁体16の融点より高い材料を用いれば、ヒューズ素子12、第1の絶縁体14、第2の絶縁体15、保護用の第3の絶縁体16を焼成してもセラミック粉13が溶融することはないため、焼成した後にセラミック粉13を別途設けるという手間は不要となり、その結果、生産性を低下させることはなくなる。
【0048】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、複数の絶縁体と、前記複数の絶縁体の間に設けられたヒューズ素子とを備え、前記ヒューズ素子の上面側と下面側のいずれか一方、もしくは両方にセラミック粉を設けているため、溶断して液体化したヒューズ素子はセラミック粉に付着することになり、これにより、ヒューズ素子が再び固化したとしてもヒューズ素子同士が接触して再導通するということはなくなるため、溶断後の絶縁抵抗を容易に高くすることができ、さらに、前記セラミック粉は粒径が1μm以下という具合に小さいため、セラミック粉は量が多くなるとともにセラミック粉の表面積も大きくなり、これにより、溶断して液体化したヒューズ素子はより多くのセラミック粉に付着するため、溶断後の絶縁抵抗をさらに容易に高くすることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の一実施の形態におけるチップ型ヒューズの主要部を示す上面図
(b)(a)におけるA−A線断面図
【図2】 同チップ型ヒューズの分解斜視図
【図3】 セラミック粉の粒径と、溶断後のヒューズ素子の絶縁抵抗との関係を示す図
【図4】 従来のチップ型ヒューズの主要部を示す上面図
【符号の説明】
11 絶縁体
12 ヒューズ素子
13 セラミック粉
14 第1の絶縁体
15 第2の絶縁体
16 保護用の第3の絶縁体
17 空間部

Claims (6)

  1. 複数の絶縁体と、前記複数の絶縁体の間に設けられたヒューズ素子とを備え、前記ヒューズ素子の上面側と下面側のいずれか一方、もしくは両方にセラミック粉を設けるとともに、このセラミック粉の粒径を1μm以下としたチップ型ヒューズ。
  2. 複数の絶縁体と、前記複数の絶縁体の間に設けられたヒューズ素子とを備え、前記絶縁体に貫通孔または窪みからなる空間部を形成し、かつこの空間部を形成した絶縁体を前記ヒューズ素子の上面側と下面側のいずれか一方、もしくは両方に設け、かつ前記空間部にセラミック粉を備えたチップ型ヒューズ。
  3. 第1の絶縁体の上面にヒューズ素子を形成する工程と、前記ヒューズ素子と対向する空間部を有する第2の絶縁体を前記ヒューズ素子の上面に形成する工程と、前記空間部にセラミック粉を充填する工程と、前記第2の絶縁体の上面に保護用の第3の絶縁体を形成する工程と、前記第1の絶縁体、第2の絶縁体、保護用の第3の絶縁体を焼成する工程とを備えたチップ型ヒューズの製造方法。
  4. 第1の絶縁体の上面に空間部を有する第2の絶縁体を形成する工程と、前記空間部にセラミック粉を充填する工程と、前記第2の絶縁体の上面に前記セラミック粉とヒューズ素子が対向するようにヒューズ素子を形成する工程と、前記ヒューズ素子の上面に保護用の第3の絶縁体を形成する工程と、前記第1の絶縁体、第2の絶縁体、保護用の第3の絶縁体を焼成する工程とを備えたチップ型ヒューズの製造方法。
  5. セラミック粉を有機溶剤に含浸させた請求項または記載のチップ型ヒューズの製造方法。
  6. セラミック粉として、その融点がヒューズ素子、第1の絶縁体、第2の絶縁体、保護用の第3の絶縁体の融点より高い材料を用いた請求項または記載のチップ型ヒューズの製造方法。
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