JP2004151573A - 光学フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】滑り性が良好で加工時に傷が入りにくく、かつ透明性に優れる光学フィルム及び位相差フィルム、これらの製造方法、光学積層フィルム、光学積層体、広帯域円偏光素子及び光学製品を提供する。
【解決手段】脂環式構造含有重合体樹脂、無機化合物及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機化合物0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上である光学フィルム及び位相差フィルム、これらの製造方法、光学積層フィルム、光学積層体、広帯域円偏光素子並びに光学製品。
【選択図】 なし。
【解決手段】脂環式構造含有重合体樹脂、無機化合物及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機化合物0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上である光学フィルム及び位相差フィルム、これらの製造方法、光学積層フィルム、光学積層体、広帯域円偏光素子並びに光学製品。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、滑り性及び透明性に優れる光学フィルム、この製造方法、光学積層フィルム、光学積層体(広帯域1/4波長板)、並びに該広帯域1/4波長板を用いる広帯域円偏光素子及び光学製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
水添ノルボルネン系樹脂等の脂環式構造含有重合体樹脂からなるフィルムは、耐熱性、透明性、電気特性等において優れた性能を有しており、これらの特性を活かして光学用フィルムとしての応用が検討されている。光学用フィルムにおいては、その滑り性がフィルムの製造工程及び加工工程における作業効率を高める上で重要である。
【0003】
従来、フィルムの滑り性を改良する方法としては、ポリマーを製造する際に触媒残渣を析出させる方法や、不活性無機粒子をフィルムに添加すること等によって、フィルムの表面に凹凸部を形成する方法が知られている。しかしながら、加工工程の高速化に伴い、従来の凹凸部形成方法では、突起部が剥離したり、表面に白粉が析出する場合があり、特に透明性が要求される光学フィルムを製造する場合に問題となっていた。
【0004】
この問題を解決するものとして、特許文献1には、(a)成分として特定の構造を有するノルボルネン誘導体よりなる単量体、又はこれと共重合可能な共重合性単量体とを開環重合させて得られる開環重合体を、さらに水素添加して得られる水素添加重合体を50〜100重量%と、(b)成分としてゴム質重合体及び/又は前記(a)成分以外の熱可塑性樹脂を0〜50重量%含有する重合体100重量部に、平均粒子径0.1〜20μmの架橋ポリマー粒子0.1〜100重量部を配合したことを特徴とする耐摩耗性フィルムが提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重合比が60/40〜40/60で、かつ、特定構造のブロックを有するブロック共重合体、ビニル芳香族炭化水素系重合体、無機充填剤及び滑剤を所定割合で含有するブロック共重合体組成物からなり、特定の熱収縮率を有する電池用熱収縮性チューブが開示されている。
【0006】
さらに特許文献3には、25℃の温度及び1kHzから1GHzの周波数範囲で測定した誘電正接が0.002以下であり、かつ同一材質のフィルム同士の摩擦係数が1以下である高分子フィルムが開示されている。また、この文献には、熱可塑性環状オレフィン系樹脂100重量部に対して、平均粒径が0.05〜5μmの無機粒子及びシリコーン粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子を0.01〜3重量部含有した成形材料が使用されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−57150号公報
【特許文献2】
特開平9−302109号公報
【特許文献3】
WO98/58987号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らの検討では、上記公報に記載されているものを光学フィルムとして使用しても、滑り性、加工工程における傷、及び透明性の全てを満足することができないだけでなく、液晶表示装置に用いると光漏れが生じることがわかった。
従って、本発明は、滑り性が良好で加工工程において傷が入りにくく、透明性に優れ、かつ液晶表示装置に用いたときに光漏れのない光学フィルム、該光学フィルムを延伸処理して得られる位相差フィルム及びこれらの製造方法、並びにこれらの光学フィルム及び位相差フィルムを用いる、光学積層フィルム、光学積層体、広帯域円偏光素子及び光学製品を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、脂環式構造含有重合体樹脂に、無機微粒子及び滑剤を特定の割合で含有する樹脂組成物を溶融押出成形すると、低い摩擦係数、低いヘイズ及び高い全光線透過率を有する光学フィルムを効率よく得ることができることを見出した。また、得られた光学フィルムを延伸処理することにより、低い摩擦係数、低いヘイズ及び高い全光線透過率を有する位相差フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
かくして本発明の第1によれば、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であることを特徴とする光学フィルムが提供される。
【0011】
本発明の第2によれば、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有する樹脂組成物を、溶融押出成形する工程を有する本発明の光学フィルムの製造方法が提供される。
本発明の第3によれば、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であることを特徴とする位相差フィルムが提供される。
【0012】
本発明の第4によれば、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有する樹脂組成物を溶融押出成形して未延伸フィルムを得る工程と、得られた未延伸フィルムを延伸処理する工程とを有する本発明の位相差フィルムの製造方法が提供される。
【0013】
本発明の第5によれば、本発明の光学フィルムの一面に偏光膜を積層してなることを特徴とする光学積層フィルムが提供される。
本発明の第6によれば、位相差フィルム2枚を、各々の遅相軸が所定の角度で交差するように積層してなる光学積層体であって、その少なくとも1枚が本発明の位相差フィルムであることを特徴とする光学積層体が提供される。
本発明の光学積層体は、広帯域1/4波長板であるのが好ましい。
【0014】
本発明の第7によれば、本発明の広帯域1/4波長板の一面に直線偏光素子を積層してなる広帯域円偏光素子が提供される。
また、本発明の第8によれば、本発明の広帯域円偏光素子を備える光学製品が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
1)光学フィルム及びその製造方法
本発明の第1は、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を特定割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であることを特徴とする光学フィルムである。
【0016】
(A)脂環式構造含有重合体樹脂
脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体樹脂の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものであり、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。
【0017】
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた延伸フィルムを得ることができる。
【0018】
脂環式構造を有する重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造含有重合体樹脂における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
【0019】
脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、(i)ノルボルネン系重合体、(ii)単環の環状オレフィン重合体、(iii)環状共役ジエン系重合体、(iv)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(i)〜(iv)の水素化物等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度に優れること等から、ノルボルネン系重合体水素化物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物が好ましく、ノルボルネン系重合体の水素化物がより好ましい。
【0020】
本発明に用いるノルボルネン系重合体は、ノルボルネン及びその誘導体、テトラシクロドデセン及びその誘導体、ジシクロペンタジエン及びその誘導体、メタノテトラヒドロフルオレン及びその誘導体等のノルボルネン系単量体を主成分とする単量体の重合体である。
【0021】
ノルボルネン系重合体の具体例としては、(a)ノルボルネン系単量体の開環重合体、(b)ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、(c)ノルボルネン系単量体の付加重合体、(d)ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体、及び(a)〜(d)の水素化物等が挙げられる。
【0022】
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)等を挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
【0024】
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。開環重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
【0025】
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。付加重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
【0026】
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
【0027】
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の付加重合体を挙げることができる。
また、環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系単量体を1,2−付加重合又は1,4−付加重合した重合体を挙げることができる。
【0028】
ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体及び環状共役ジエンの重合体の分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは25,000〜80,000、より好ましくは25,000〜500,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成型加工性とが高度にバランスされ好適である。
【0029】
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルカン又はビニルシクロアルケン由来の繰り返し単位を有する重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカン、ビニルシクロヘキセン等のビニルシクロアルケン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香族部分の水素化物等が挙げられる。
【0030】
また、ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物やビニル芳香族炭化水素化合物と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体及びその水素化物であってもよい。ブロック共重合としては、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合等が挙げられるが、特に制限はない。
【0031】
ビニル脂環式炭化水素重合体の分子量は使用目的に応じて適宜選択されるが、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000の範囲であるときに、成形体の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされ好適である。
【0032】
ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素化することによって得ることができる。
【0033】
本発明に用いる脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲である。ガラス転移温度がこのような範囲にある脂環式構造含有重合体樹脂を含有するフィルムは、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
【0034】
本発明に用いる脂環式構造含有重合体樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.1〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
【0035】
本発明においては、これらの脂環構造含有重合体樹脂の中でも、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造を有する繰り返し単位を10重量%以上含有する樹脂、及び/又はビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造を有する繰り返し単位を55〜90重量%含有する樹脂を用いるのが好ましい。これらの樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。
【0036】
(B)無機微粒子及び滑剤
本発明の光学フィルムは、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有してなることを特徴とする。
無機微粒子の好ましい添加量の割合、及び滑剤の好ましい添加量の割合は、いずれも0.1〜0.8重量部である。これらの添加量が0.01重量部よりも少ないとフィルムに滑り性がでないため、フィルムに傷が入りやすい。逆に1.0重量部よりも多いと、ヘイズが低下したり、滑剤がブリードを起こし易くなる(ブリードアウト)。
【0037】
用いる無機微粒子は、例えば、クレー、タルク、シリカ、ゼオライト、ハイドロタルサイトが挙げられ、中でも、シリカ、ゼオライト及びハイドロタルサイトが好ましい。本発明において、無機微粒子は、粒子径が通常0.5〜3.0μmの範囲、好ましくは0.7〜2.5μmの範囲のものである。さらに、屈折率が1.45〜1.55の範囲にあるものが好ましい。粒子径が0.5μm以下であるとスベリ性が低下し、摩擦係数が大きくなり、フィルム表面に傷がつきやすくなる傾向がある。その一方、粒径が3.0μmよりも大きくなると、ヘイズが大きくなる傾向にあるため好ましくない。また、屈折率が上記範囲を外れるとヘイズが大きくなる傾向がある。
【0038】
用いる滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックスなどの炭化水素系滑剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸系滑剤;セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール系滑剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アマイド系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、硬化ひまし油などの脂肪酸エステル系滑剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸系滑剤;が挙げられる。中でも、炭化水素系滑剤、脂肪酸アマイド系滑剤、および脂肪酸エステル系滑剤が好ましい。さらに、これらの中でも融点が80〜150℃で、酸価が10mgKOH/mg以下のものが特に好ましい。融点が80〜150℃をはずれ、酸価が10mgKOH/mgよりも大きくなると、ヘイズ値が大きくなる傾向がある。
【0039】
(C)摩擦係数
本発明の光学フィルムは、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下であることを特徴とする。好ましくはともに1.5以下、より好ましくは静摩擦係数が1.5以下であり、動摩擦係数が1.0以下である。本発明の光学フィルムは、静摩擦係数及び動摩擦係数が小さいので、滑り性に優れ、加工工程においてフィルム表面に傷が付くことが少ない。
【0040】
摩擦係数は、2つの物体が接しているとき、接触面に作用する摩擦力とこの面に直角に作用する圧力との比である。摩擦係数は、JIS K7125に準拠した方法により測定して求める。具体的には、定荷重(Fp)の滑り片と移動板との間に貼り付けた2枚のフィルム間の摩擦力をロードセルにより検出し、得られた値から求める。摩擦係数には、静摩擦係数と動摩擦係数がある。いま、Fpを接触力(滑り片の重量)、Fsを静摩擦力、Fkを動摩擦力とすると、静摩擦係数(μs)は、式:μs=Fs/Fp、動摩擦係数(μk)は、式:μk=Fk/Fpでそれぞれ求める。
【0041】
(D)ヘイズ
本発明の光学フィルムは、ヘイズが1.5%以下、好ましくは1.0%以下であることを特徴とする。ヘイズ(%)は、JIS K7136に準拠して測定される光学フィルムを通過する透過光のうち、前方散乱によって入射比較から0.04rad(2.5度)以上ずれた透過光の百分率で表される。ヘイズが1.5%以下である光学フィルムを光学製品に用いた場合、散乱光が少ない均一な明るさを確保することができる。
【0042】
(E)全光線透過率
本発明の光学フィルムは、1mm厚での全光線透過率が90%以上、好ましくは92%以上であることを特徴とする。全光線透過率は、JIS K7361に準拠して測定される試験フィルムの平行入射光束に対する全透過光の割合で表される。全光線透過率が90%以上である光学フィルムは光学製品に好適である。
【0043】
本発明の第2は、脂環式構造含有重合体樹脂を100重量部、無機微粒子を0.01〜1.0重量部及び滑剤を0.01〜1.0重量部の割合で含有する樹脂組成物を、溶融押出成形することを特徴とする本発明の光学フィルムの製造方法である。
【0044】
溶融押出成形法は、特に限定されないが、生産性や厚さ精度に優れる点でTダイ成型法が好ましい。また、使用する押出機についても、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機などを使用することができる。
成形条件は使用目的や成形方法により適宜選択されるが、溶融押出成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜600℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定することができる。
【0045】
光学フィルムの厚みは、得られるフィルムの使用目的等に応じて適宜決定することができる。フィルムの厚みは、安定した延伸処理による均質な延伸フィルムが得られる観点から、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
【0046】
光学フィルムを製造する場合には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の添加剤を添加することができる。他の添加剤としては、例えば可塑剤や劣化防止剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル、カルボン酸エステル等が挙げられる。また、劣化防止剤としては、例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類等が挙げられる。これらの他の添加剤や他の熱可塑性樹脂の添加量は、脂環式構造含有重合体樹脂に対して、通常0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%である。
【0047】
2)位相差フィルム及びその製造方法
本発明の第3は、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を特定割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であることを特徴とする位相差フィルムである。本発明の位相差フィルムに用いられる脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤の種類及びこれらの含有割合は、本発明の光学フィルムに用いられるものとして説明したとおりである。
【0048】
本発明の位相差フィルムとしては、所定の波長に対して1/2波長の位相差を与える1/2波長板、所定の波長に対して1/4波長の位相差を与える1/4波長板等が挙げられる。
【0049】
本発明の第4は、脂環式構造含有重合体樹脂を100重量部、無機微粒子を0.01〜1.0重量部及び滑剤を0.01〜1.0重量部の割合で含有する樹脂組成物を、溶融押出成形して未延伸フィルムを得る工程と、得られた未延伸フィルムを延伸処理する工程を有する本発明の位相差フィルムの製造方法である。
【0050】
延伸処理方法には、特に制限はなく、従来公知の方法を採用できる。延伸処理方法としては、例えば、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンター延伸機を用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔を開いての縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップ把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いてフィルムの幅方向に対して任意の角度θの方向に連続的に斜め延伸する方法;などが挙げられる。
【0051】
斜め延伸する方法により、フィルムの幅方向に対して角度θの遅相軸を有する長尺の延伸フィルムを得ることができる。すなわち、角度θを任意の値に設定することにより、面内の遅相軸方向の屈折率、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率、及び厚み方向の屈折率を所望の値となるようにすることができ、所定の波長に対して1/2の位相差を与える1/2波長板、及び1/4の位相差を与える1/4波長板とすることができる。
【0052】
斜め延伸する方法としては、その幅方向に対して角度1〜50度の方向に連続的に延伸して、ポリマーの配向軸を所望の角度に傾斜させるものであれば特に制約されず、公知の方法を採用することができる。本発明に用いることができる斜め延伸の方法としては、例えば、特開昭50−83482号公報、特開平2−113920号公報、特開平3−182701号公報、特開2000−9912号公報、特開2002−86554号公報、特開2002−22944号公報等に記載されたものが挙げられる。
【0053】
光学フィルムを延伸するときの温度は、前記脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度をTgとすると、好ましくは(Tg−30℃)から(Tg+60℃)の間、より好ましくは(Tg−10℃)から(Tg+50℃)の温度範囲である。また、延伸倍率は、通常1.01〜30倍、好ましくは1.01〜10倍、より好ましくは1.01〜5倍である。
【0054】
3)光学積層フィルム
本発明の第5は、本発明の光学フィルムの一面に、偏光膜を積層してなることを特徴とする光学積層フィルムである。
本発明に用いる偏光膜としては特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜、ポリエン系偏光膜等が挙げられる。これらの偏光膜のうち、例えば、ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを延伸し、これにヨウ素あるいは二色性染料を吸着させることによって製造することができる。偏光膜を積層する場合においては、予め光学フィルムの積層面をコロナ放電処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理を行うことにより、より密着性に優れる光学積層フィルムを得ることができる。
【0055】
また、長尺の光学フィルムを用いる場合には、光学フィルムの一面に接着層を介して偏光膜を直接積層することができる。すなわち、保護膜を1枚省略することができるので、生産効率を高めることができ、工程数を減らすことができる。例えば、ポリビニルアルコールのフィルムを延伸し、ヨウ素を吸着させ、保護フィルムを兼ねた長尺の光学フィルムを貼り合わせて積層し、乾燥し、巻取りといった工程を一本のラインで行なうことができる。もちろん、光学フィルムと偏光膜との間に保護フィルムを積層することも可能である。
【0056】
このようにして得られる光学積層フィルム(40A)の層構成を図1(A)に示す。この光学積層フィルム(40A)は、本発明の光学フィルム(10)が図示しない接着層又は粘着剤層を介して偏光膜(20)の一面に貼り付けられている。
【0057】
また、本発明の光学積層フィルムは、図1(B)に示すように、本発明の光学フィルム(10)を偏光膜(20)の一面に積層するとともに、他の面(光学フィルムが積層されていない側の面)に保護フィルム(30)を積層してなる光学積層フィルム(40B)であってもよい。保護フィルムを偏光膜の他の面に積層することにより、偏光膜の機械的強度や耐熱性を向上させ、偏光膜を湿度等から保護することができる。また、偏光膜がポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させたものである場合には、ヨウ素の昇華を防止することができる。この保護フィルムは、樹脂の塗布層や樹脂フィルムのラミネート層等として形成できる。
【0058】
4)光学積層体
本発明の第6は、位相差フィルム2枚を、各々の遅相軸が所定の角度で交差するように積層してなる光学積層体であって、その少なくとも1枚が本発明の位相差フィルムであることを特徴とする光学積層体である。
【0059】
ここに、「各々の遅相軸が所定の角度で交差するように積層する」とは、2枚の位相差フィルムにおける長手方向(幅方向)が実質的に一致するよう積層することをいう。従って、2枚の位相差フィルムの遅相軸の交差角度は、各々の延伸方向(斜め方向)によって決定される。
【0060】
本発明の光学積層体において、2枚の位相差フィルムの遅相軸の交差角度は、(90±10)度が好ましく、(90±5)度がより好ましく、(90±3)度がさらに好ましい。このように積層することにより、ネガティブレターダーとして機能する長尺の光学積層体が得られる。ネガティブレターダーとは、厚さ方向の屈折率をnz、厚さ方向に垂直な互いに直行するz方向の屈折率をnx、ny、とすると、nx、ny>nzの関係を満たすもののことをいう。
【0061】
本発明の光学積層体においては、製造に用いる位相差フィルムの少なくとも1枚は、本発明の光学フィルムを斜め延伸処理して得られるものであることが好ましく、用いる2枚の位相差フィルムが、ともに本発明の位相差フィルムであることがより好ましい。本発明の位相差フィルムを用いることにより、表面に傷がなく、透明性に優れる光学積層体を得ることができる。
【0062】
本発明の光学積層体を製造する概略図を図2に示す。先ず、斜め延伸処理により、幅方向に対してα度の方向に遅相軸(p1)を有する第1の位相差フィルム(51)と、斜め延伸処理により、幅方向に対してβ度の方向に遅相軸(p2)を有する第2の位相差フィルム(52)とを用意する。
【0063】
第1の位相差フィルム(51)と、第2の位相差フィルム(52)との積層方法は特に制限されず、公知の積層方法を採用できるが、生産効率の観点から、長尺のフィルム同士を貼り合わせる、いわゆるロールトゥーロール方式を採用するのが好ましい。この方式によれば、ロール状に巻き取った第1の位相差フィルム(51)及び第2の位相差フィルム(52)をそれぞれ引き出し、接着剤又は粘着剤を接合面に塗布して両者を積重し、この積重体を加圧ローラのニップに供給して圧着することにより連続的に貼り合わせることができる。
【0064】
両者を貼り合わせるために使用する接着剤又は粘着剤としては、所定の接着力を有し、透明性の優れたものであれば特に限定されない。構成部材の光学特性の変化防止の観点からは、硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものが望ましい。接着剤及び粘着剤としては、例えばアクリル樹脂系の接着剤や粘着剤等が挙げられる。得られた長尺の光学積層体は、ロール状に巻き取って回収・保存することができる。表示装置等に組み込む際は、必要に応じ任意の大きさ、また幅方向あるいは長手方向から任意の角度で、通常は矩形に切り出して用いる。
【0065】
本発明の光学積層体は、広帯域1/4波長板であるのが好ましい。広帯域1/4波長板は、広い波長領域(例えば、450〜650nm)において、実質的に1/4波長の位相差を与えるものである。
【0066】
広帯域1/4波長板は、位相差フィルムの2枚(1/2波長板及び1/4波長板)を、それぞれの遅相軸が(60±3)度で交差するように積層することにより得ることができる。1/2波長板と1/4波長板とを積層した場合に、それぞれの遅相軸の交差角が57度((60−3)度)未満又は63度((60+3)度)を超える場合には、得られる長尺の積層体は「広帯域1/4波長板」として機能するものとはならない。また、1/2波長板及び1/4波長板のそれぞれの遅相軸が互いに(60±3)度で交差するように貼り合せたときに、それぞれの長手方向が実質的に一致していなければ、広帯域1/4波長板の長尺化を図ることができない。1/2波長板及び1/4波長板において、幅方向と遅相軸とのなす角度は、斜め延伸処理する際の処理条件を制御することによって適宜調整することができる。
【0067】
本発明の広帯域1/4波長板は、広い波長領域(例えば、450〜650nm)において、1/4波長の位相差を与えるものである。本発明の広帯域1/4波長板においては、上記の波長領域におけるRe/λの値が0.24〜0.26の範囲内にあることが好ましい。
【0068】
5)広帯域円偏光素子
本発明の第7は、本発明の広帯域1/4波長板の一面に直線偏光素子を積層してなる広帯域円偏光素子である。本発明の広帯域円偏光素子は、本発明の広帯域1/4波長板を用いるものであるので、表面に傷がなく、透明性に優れている。
【0069】
本発明の広帯域円偏光素子の一例を図3に示す。図3に示す広帯域円偏光素子は、図2に示した層構成の広帯域1/4波長板(61)の一面(1/2波長板の側)に、直線偏光素子(70)が積層されている。用いる直線偏光素子は特に制限されるものではなく、従来公知のものを使用することができる。
【0070】
本発明の広帯域1/4波長板と直線偏光素子とは、前者を構成する1/2波長板の遅相軸と、後者の偏光透過軸とのなす角度が(15±3)度であり、前者を構成する1/4波長板の遅相軸と、後者の偏光透過軸とのなす角度が(75±3)度であることが必要である。本発明の広帯域1/4波長板(61)が長尺の光学積層体である場合には、長尺の直線偏光素子と積層することにより、長尺の広帯域円偏光素子を得ることができる。広帯域1/4波長板と直線偏光素子とを積層する方法は特に制限されないが、例えば、広帯域1/4波長板と直線偏光素子とを所定角度で重ね合わせて、両者を熱圧着する方法が挙げられる。
【0071】
6)光学製品
本発明の第8は、本発明の広帯域円偏光素子を備える光学製品である。
本発明の広帯域円偏光素子は、種々の光学製品の反射防止層等として利用することができる。本発明の光学製品は、表面に傷がなく、透明性に優れる本発明の広帯域円偏光素子を使用するものであるので、優れた光学性能(コントラスト等)を有する。
【0072】
本発明の光学製品の好ましい具体例としては、反射型液晶表示装置、タッチパネル、エレクトロルミネッセンス表示装置等が挙げられる。
本発明の広帯域円偏光素子を備える反射型液晶表示装置の層構成例を図4に示す。図4に示す反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板(90)、反射電極(100)、下配向膜(110)、液晶層(120)、上配向膜(130)、透明電極(140)、上基板(150)、透明導電膜(160)、広帯域1/4波長板(60)及び直線偏光素子(70)がこの順に積層されてなる。下基板(80)と反射電極(100)が反射板を、下配向膜(110)から上配向膜(130)が液晶セルを、広帯域1/4波長板(60)及び直線偏光素子(70)とで広帯域円偏光素子(80)をそれぞれ構成している。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を設ける。図4中、カラーフィルター層の図示は省略しているが、カラーフィルター層は、反射電極(100)と下配向膜(110)との間、又は上配向膜(130)と透明電極(140)との間に設けることが好ましい。
【0073】
また、図4に示す反射型液晶表示装置においては、反射電極(100)の代わりに透明電極を用いて、別に反射板を取り付けてもよい。透明電極と組み合わせて用いる反射板としては金属板が好ましい。反射板の表面が平滑であると、正反射成分のみが反射されて視野角が狭くなる場合がある。そのため、反射板の表面に凹凸構造(特許275620号公報記載等)を導入することが好ましい。反射板の表面が平坦である場合は(表面に凹凸構造を導入する代わりに)、偏光素子の片側(セル側あるいは外側)に光拡散フイルムを取り付けることもできる。
【0074】
用いる液晶モードは特に限定されない。液晶モードとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Aligned Nematic)型等が挙げられる。
【0075】
本発明の広帯域円偏光素子を備える反射型液晶表示装置は、印加電圧が低い時に明表示、高い時に暗表示であるノーマリーホワイトモードでも、印加電圧が低い時に暗表示、高い時に明表示であるノーマリーブラックモードでも用いることができる。
【0076】
本発明の広帯域円偏光素子を反射防止層として用いるタッチパネルは、例えば、タッチパネルの入力操作面側から順に、広帯域円偏光素子/上側導電膜/スペーサー/下側導電膜の順で構成することができる。上側導電膜は、光学的に等方な高分子フィルム等の基板上に直接又は必要に応じて接着層もしくは基板の保護層等を介して形成することができる。
【0077】
タッチパネルとしては、検出方式の違いにより、抵抗膜式タッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル、静電容量式タッチパネル等に分類できるが、これらタッチパネルのいずれであってもよい。これらの中でも、透明導電膜とギャップとの界面を有するタッチパネル、例えば、抵抗膜式タッチパネルが特に好適である。
【0078】
本発明の広帯域円偏光素子を備えるタッチパネルは、様々な表示装置と組合せて用いることができる。例えば、カソードレイチューブ(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)、無機ELデバイス、有機ELデバイス、液晶表示装置等が挙げられる。
【0079】
本発明の広帯域円偏光素子を備えるエレクトロルミネッセンス表示装置の層構成例を図5に示す。図5に示すエレクトロルミネッセンス表示装置は、光反射電極(170)、発光層(180)、透明電極(190)、透明基板(200)及び広帯域1/4波長板(60)と直線偏光膜(70)とが、この順に積層された構造を有する。図5に示す表示装置では、広帯域1/4波長板(60)及び直線偏光素子(70)が広帯域円偏光素子(80)を構成している。
【0080】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の製造例及び実施例に限定されるものではない。なお、これらの例中の[部]及び[%]は、特に断りのない限り重量基準である。
【0081】
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行なった。
(1)分子量
シクロヘキサンを溶媒にしてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)分子量分布
シクロヘキサンを溶媒にしてGPCで測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を算出した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
JIS K7121に基づいて、示差走査熱量分析法(DSC)により測定した。
【0082】
(4)水素添加率
重合体の主鎖及び芳香環の水素添加率(%)は、1H−NMRにより算出した。
(5)表面性の評価
製造した光学フィルム及び位相差フィルムの表面に、添加物がブリードアウトしているか否かを目視観察及び触感により調べることにより行った。フィルム表面にブリードアウトがない場合を○、ブリードアウトしている場合を×で評価した。
【0083】
(6)摩擦係数の測定
静摩擦係数及び動摩擦係数は、JIS K7125に準拠して、万能引張圧縮試験機(型式:7CM−500CR、新興通信工業(株)製)を使用して、フィルムとフェロ板を接触させて測定した。
(7)ヘイズ及び全光線透過率の測定
ヘイズはJIS K7136に、全光線透過率はJIS K7361−1にそれぞれ準拠して、ヘイズ及び全光線透過率の測定装置(型式:NDH2000,日本電色工業(株)製)を使用して測定した。
【0084】
(8)密着性の評価
積層フィルム(光学積層フィルム、広帯域1/4波長板)をJIS−K−6854による剥離試験を行い、密着性を評価した。試験条件は以下の通りである。測定装置:万能引張圧縮試験機(型式:7CM−500CR、新興通信工業(株)製)
引張条件:引張速度 100mm/min
測定した結果、ピール強度が400g/cm以上の場合を○、400g/cm未満の場合を×として評価した。
【0085】
(9)表面の傷の有無
位相差フィルム及び広帯域1/4波長板の表面の傷の有無を肉眼で観察し、直交ニコルの下にてレタデーションムラとなる傷の1m2当たりの個数を求めた。傷の個数が0〜5個/m2の場合を○(良好)、6〜20個/m2の場合を△(許容)、21個以上/m2の場合を×(不良)と評価した。
【0086】
(参考例1)
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下「DCP」と略記する。)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(メタノテトラヒドロフルオレン、以下、「MTF」と略記する。)、及びテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセン、以下、「TCD」と略記する。)の混合物40/35/25(重量比)を、公知の方法により開環重合し、次いで水素化してDCP/MTF/TCD開環重合体水素化物ポリマーを得た。
得られたこの水素化ポリマー中の各ノルボルネン系単量体の共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類の組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/TCD=40/35/25でほぼ仕込み組成に等しかった。この水素化ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、35,000、分子量分布は2.1、水素化率は99.9%、ガラス転移温度Tgは134℃であった。
【0087】
(実施例1、比較例1)光学フィルムの製造
参考例1で得られた水素化ポリマー100重量部、無機微粒子及び滑剤を第1表に示す割合で混合して樹脂組成物A〜Gを得た。次いで、この樹脂組成物A〜Gを65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出成形機を使用し、溶融樹脂温度240℃、Tダイの幅500mmの成形条件で、厚さ100μmのフィルムを押出成形して、光学フィルム1A〜1Gを得た。
【0088】
(光学フィルムの評価試験)
実施例1及び比較例1で得た光学フィルム1A〜1Gの静摩擦係数、動摩擦係数、ヘイズ(%)及び全光線透過率(%)を測定した。また、表面性を評価した。測定結果及び評価結果を第1表に示す。
【0089】
第1表の無機微粒子の欄中、aは合成シリカ(平均粒子径1.65μm、屈折率1.46)、bは合成ゼオライト(平均粒子径2.00μm、屈折率1.50)である。また、滑剤cとして、脂肪酸アマイド系滑剤(商品名:カオーワックスEB−P、花王(株)製、融点:141.5〜146.5℃、酸価:10mgKOH/mg以下)を用いた。
【0090】
【表1】
【0091】
第1表から、実施例の光学フィルム1A、1Bは、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であり、フィルム表面に傷がほとんどなく、表面性に優れていた。
一方、無機微粒子及び滑剤を含有していないもの(光学フィルム1C)及び無機微粒子及び滑剤の含有量が少ないもの(光学フィルム1D)は、静摩擦係数及び動摩擦係数が大きくなり、表面に多くの傷が見られた。無機微粒子のみ含有しているもの(光学フィルム1E)は、静摩擦係数、動摩擦係数が大きくなり、全光線透過率が低下しており、また、ヘイズが大きくなり、表面に多くの傷や着色が見られた。滑剤のみ含有しているもの(光学フィルム1F)は、静摩擦係数、動摩擦係数が大きくなり、表面に多くの傷が見られた。無機微粒子及び滑剤の含有量が多いもの(光学フィルム1G)は、ヘイズが大きくなり、全光線透過率が低下しており、表面に多くの傷が見られた。
【0092】
(実施例2、比較例2)光学積層フィルムの製造
実施例1及び比較例1で得た光学フィルム1A〜1Gを所定量カットし、その表面を空気中にてコロナ放電処理(放電量100W/m2・分)を施した。得られた処理フィルムの表面にポリビニルアルコール重合体(商品名:PVA200、ケン化度86.5〜89.5%、平均重合度300、クラレ(株)製)の10%水溶液(PVA水溶液)を滴下し、そこへ、光学フィルムと同サイズの未染色ポリビニルアルコール2軸延伸フィルム(商品名:ボブロン#140、日本合成化学(株)製の偏光膜、膜厚14μm)を貼り合わせた。次いで、この積層フィルムをロールラミネーターに設置し、PVA水溶液が乾燥しないうちに圧着した。このものを40℃で12時間放置することにより、各層を完全に密着させて光学フィルム1A〜1Gにそれぞれ対応する光学積層フィルム2A〜2Gを得た。
【0093】
(光学積層フィルムの評価試験)
実施例2及び比較例2で得た光学積層フィルム2A〜2Gの表面性及び密着性を評価し、全光線透過率(%)を測定した。測定結果及び評価結果を第2表に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
第2表から、実施例2の光学積層フィルム2A、2Bは、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であり、フィルム表面に傷がほとんどなく、密着性に優れている。一方、無機微粒子及び滑剤を含有していないもの(光学積層フィルム2C)、無機微粒子及び滑剤の含有量が少ないもの(光学積層フィルム2D)、無機微粒子のみ含有しているもの(光学積層フィルム2E)、及び滑剤のみ含有しているもの(光学積層フィルム2F)は表面に多くの傷が見られた。無機微粒子及び滑剤の含有量が多いもの(光学積層フィルム2G)は、密着性が劣っていた。
【0096】
(実施例3、比較例3)位相差フィルムの製造
実施例1及び比較例1で得た光学フィルム1A〜1Gから、100mm/secの延伸速度、延伸温度140℃の自由収縮の一軸延伸によって、光学フィルム1A〜1Gにそれぞれ対応する位相差フィルム(1/2波長板3A〜3G、1/4波長板3’A〜3’G)を得た。
1/2波長板:延伸倍率1.3倍で延伸(波長550nmにおけるレタデーション265nm)
1/4波長板:延伸倍率1.5倍で延伸(波長550nmにおけるレタデーション132.5nm)
【0097】
(位相差フィルムの評価試験)
上記実施例3及び比較例3で得た1/2波長板3A〜3G及び1/4波長板3’A〜3’Gの静摩擦係数、動摩擦係数、ヘイズ(%)及び全光線透過率(%)を測定した。また、表面性及び表面の傷の有無を調査し、評価した。測定結果及び評価結果を第3表に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
第3表より、実施例3の1/2波長板3A,3B及び1/4波長板3’A,3’Bは、比較例3の1/2波長板3C〜3G及び1/4波長板3’C〜3’Gに比して、低い摩擦係数及び低いヘイズを有し、同等かそれ以上の高い全光線透過率を有していた。また、実施例の1/2波長板及び1/4波長板は、比較例のものと同等又はそれ以上に表面性に優れ、表面の傷も少ないものであった。比較例3の1/2波長板3Eは、着色が見られた比較例1の光学フィルム1Eを延伸処理したものであるが、着色がそのまま残った。
【0100】
(実施例4、比較例4)広帯域円偏光板の製造
実施例3及び比較例3で得た1/2波長板3A〜3Gの一面に、2液ウレタン系接着剤をロールコーターにて塗布(プレコート)し、100℃の温風を風速10m/secで90秒間吹き付けて乾燥させて、プレコートした1/2波長板3A〜3Gを得た。
2液ウレタン系接着剤として、以下に示す主剤と硬化剤とを、主剤/硬化剤=100/10の重量比で混合したものを使用した。
主剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂の酢酸エチル溶液(商品名:WWA−600S、日本ポリウレタン(株)製)
硬化剤:ポリイソシアネートの酢酸エチル溶液(商品名:HARDNER110、日本ポリウレタン(株)製)
【0101】
次いで、実施例3及び比較例3で得た1/4波長板3’A〜3’Gと上記プレコートした1/2波長板3A〜3Gのそれぞれの遅相軸の交差角が59度になるように貼り合わせた。さらに、1/2波長板のもう一方の面側に偏光板を偏光板の透過軸と1/2波長板の遅相軸との交差角が15度になるように貼り合わせ、熱圧着ロールにて70℃で圧着した。このものを40℃で3日間エージングすることにより、それぞれ1/2波長板3A〜3G、1/4波長板3’A〜3’Gに対応する広帯域円偏光板4A〜4Gを得た。
【0102】
(広帯域円偏光板の評価試験)
実施例4及び比較例4で得た広帯域円偏光板の傷の有無を調査し、密着性を評価した。また、全光線透過率(%)を測定した。評価結果及び測定結果を第4表に示す。
【0103】
【表4】
【0104】
第4表から、実施例4の広帯域円偏光板4A、4Bは、比較例4の広帯域円偏光板4C〜4Gに比して表面に傷が少なく、比較例の広帯域円偏光板と同等かそれ以上に密着性に優れ、かつ高い全光線透過率を有していた。
【0105】
(実施例5、比較例5)液晶表示装置の製造
実施例4及び比較例4で得た広帯域円偏光板4A〜4Gを裏面に反射板を有する液晶表示上に、1/4波長板側が該液晶表示素子に対面するように設置して、図4に示す液晶表示装置と同様な層構成を有する、広帯域円偏光板4A〜4Gにそれぞれ対応する液晶表示装置5A〜5Gを作製した。
【0106】
(液晶表示装置の光学性能評価試験)
実施例5及び比較例5で作製した液晶表示装置5A〜5Gを黒表示(画面を黒に表示する)にし、広帯域円偏光板を通して見た黒表示の鮮明度を肉眼で観察した。黒表示の黒トーンが画面全体にわたり均一かつ濃いトーンであって、光漏れのない場合を○、黒表示の黒トーンが薄いトーンであり、光漏れがわずかに見られる場合を△、黒トーンが画面全体にわたり不均一であったり、灰色がかって見え、明らかに光漏れがある場合を×として評価した。評価結果を第5表に示す。
【0107】
【表5】
【0108】
第5表より、実施例5の液晶表示装置5A、5Bは、比較例5の液晶表示装置5C〜5Gに比して良好なコントラストを示した。
【0109】
【発明の効果】
本発明によれば、滑り性が良好で加工工程において傷が入りにくく、延伸処理を行ってもヘイズがでない光学フィルム、該光学フィルムを延伸処理して得られる位相差フィルムが提供される。
本発明の製造方法によれば、本発明の光学フィルム及び位相差フィルムを効率よく製造することができる。
また、本発明によれば、本発明の光学フィルム及び位相差フィルムを使用して、種々の光学的特性及び密着性に優れる光学積層フィルム、光学積層体、広帯域円偏光素子及び光学製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の光学積層フィルムの構造断面図である。(A)は光学フィルムと偏光膜との積層フィルムであり、(B)は光学フィルム、偏光膜及び保護膜の3層からなる積層フィルムである。
【図2】図2は、本発明の光学積層体を製造する概略図である。
【図3】図3は、本発明の広帯域円偏光板の構造断面図である。
【図4】図4は本発明の液晶表示装置の構成図である。
【図5】図5は、本発明のエレクトロルミネッセンス表示装置の構造断面図である。
【符号の説明】
10…光学フィルム、20…偏光膜、30…保護膜、40A、40B…光学積層フィルム、51…位相差フィルム(1/2波長板)、52…位相差フィルム(1/4波長板)、60…光学積層体、61…広帯域1/4波長板、70…直線偏光素子、80…広帯域円偏光板、90…下基板、100…反射電極、110…下配向膜、120…液晶層、130…上配向膜、140,190…透明電極、150…上基板、160…透明導電膜、170…光反射電極、180…発光層、200…透明基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、滑り性及び透明性に優れる光学フィルム、この製造方法、光学積層フィルム、光学積層体(広帯域1/4波長板)、並びに該広帯域1/4波長板を用いる広帯域円偏光素子及び光学製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
水添ノルボルネン系樹脂等の脂環式構造含有重合体樹脂からなるフィルムは、耐熱性、透明性、電気特性等において優れた性能を有しており、これらの特性を活かして光学用フィルムとしての応用が検討されている。光学用フィルムにおいては、その滑り性がフィルムの製造工程及び加工工程における作業効率を高める上で重要である。
【0003】
従来、フィルムの滑り性を改良する方法としては、ポリマーを製造する際に触媒残渣を析出させる方法や、不活性無機粒子をフィルムに添加すること等によって、フィルムの表面に凹凸部を形成する方法が知られている。しかしながら、加工工程の高速化に伴い、従来の凹凸部形成方法では、突起部が剥離したり、表面に白粉が析出する場合があり、特に透明性が要求される光学フィルムを製造する場合に問題となっていた。
【0004】
この問題を解決するものとして、特許文献1には、(a)成分として特定の構造を有するノルボルネン誘導体よりなる単量体、又はこれと共重合可能な共重合性単量体とを開環重合させて得られる開環重合体を、さらに水素添加して得られる水素添加重合体を50〜100重量%と、(b)成分としてゴム質重合体及び/又は前記(a)成分以外の熱可塑性樹脂を0〜50重量%含有する重合体100重量部に、平均粒子径0.1〜20μmの架橋ポリマー粒子0.1〜100重量部を配合したことを特徴とする耐摩耗性フィルムが提案されている。
【0005】
また、特許文献2には、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの重合比が60/40〜40/60で、かつ、特定構造のブロックを有するブロック共重合体、ビニル芳香族炭化水素系重合体、無機充填剤及び滑剤を所定割合で含有するブロック共重合体組成物からなり、特定の熱収縮率を有する電池用熱収縮性チューブが開示されている。
【0006】
さらに特許文献3には、25℃の温度及び1kHzから1GHzの周波数範囲で測定した誘電正接が0.002以下であり、かつ同一材質のフィルム同士の摩擦係数が1以下である高分子フィルムが開示されている。また、この文献には、熱可塑性環状オレフィン系樹脂100重量部に対して、平均粒径が0.05〜5μmの無機粒子及びシリコーン粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種の粒子を0.01〜3重量部含有した成形材料が使用されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−57150号公報
【特許文献2】
特開平9−302109号公報
【特許文献3】
WO98/58987号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らの検討では、上記公報に記載されているものを光学フィルムとして使用しても、滑り性、加工工程における傷、及び透明性の全てを満足することができないだけでなく、液晶表示装置に用いると光漏れが生じることがわかった。
従って、本発明は、滑り性が良好で加工工程において傷が入りにくく、透明性に優れ、かつ液晶表示装置に用いたときに光漏れのない光学フィルム、該光学フィルムを延伸処理して得られる位相差フィルム及びこれらの製造方法、並びにこれらの光学フィルム及び位相差フィルムを用いる、光学積層フィルム、光学積層体、広帯域円偏光素子及び光学製品を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、脂環式構造含有重合体樹脂に、無機微粒子及び滑剤を特定の割合で含有する樹脂組成物を溶融押出成形すると、低い摩擦係数、低いヘイズ及び高い全光線透過率を有する光学フィルムを効率よく得ることができることを見出した。また、得られた光学フィルムを延伸処理することにより、低い摩擦係数、低いヘイズ及び高い全光線透過率を有する位相差フィルムが得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0010】
かくして本発明の第1によれば、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であることを特徴とする光学フィルムが提供される。
【0011】
本発明の第2によれば、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有する樹脂組成物を、溶融押出成形する工程を有する本発明の光学フィルムの製造方法が提供される。
本発明の第3によれば、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であることを特徴とする位相差フィルムが提供される。
【0012】
本発明の第4によれば、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有する樹脂組成物を溶融押出成形して未延伸フィルムを得る工程と、得られた未延伸フィルムを延伸処理する工程とを有する本発明の位相差フィルムの製造方法が提供される。
【0013】
本発明の第5によれば、本発明の光学フィルムの一面に偏光膜を積層してなることを特徴とする光学積層フィルムが提供される。
本発明の第6によれば、位相差フィルム2枚を、各々の遅相軸が所定の角度で交差するように積層してなる光学積層体であって、その少なくとも1枚が本発明の位相差フィルムであることを特徴とする光学積層体が提供される。
本発明の光学積層体は、広帯域1/4波長板であるのが好ましい。
【0014】
本発明の第7によれば、本発明の広帯域1/4波長板の一面に直線偏光素子を積層してなる広帯域円偏光素子が提供される。
また、本発明の第8によれば、本発明の広帯域円偏光素子を備える光学製品が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
1)光学フィルム及びその製造方法
本発明の第1は、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を特定割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であることを特徴とする光学フィルムである。
【0016】
(A)脂環式構造含有重合体樹脂
脂環式構造含有重合体樹脂は、重合体樹脂の繰り返し単位中に脂環式構造を有するものであり、主鎖中に脂環式構造を有する重合体樹脂及び側鎖に脂環式構造を有する重合体樹脂のいずれも用いることができる。
【0017】
脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を構成する炭素数に特に制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは6〜15個である。脂環式構造を構成する炭素原子数がこの範囲にあると、耐熱性及び柔軟性に優れた延伸フィルムを得ることができる。
【0018】
脂環式構造を有する重合体樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位が過度に少ないと耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造含有重合体樹脂における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
【0019】
脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、(i)ノルボルネン系重合体、(ii)単環の環状オレフィン重合体、(iii)環状共役ジエン系重合体、(iv)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(i)〜(iv)の水素化物等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度に優れること等から、ノルボルネン系重合体水素化物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物が好ましく、ノルボルネン系重合体の水素化物がより好ましい。
【0020】
本発明に用いるノルボルネン系重合体は、ノルボルネン及びその誘導体、テトラシクロドデセン及びその誘導体、ジシクロペンタジエン及びその誘導体、メタノテトラヒドロフルオレン及びその誘導体等のノルボルネン系単量体を主成分とする単量体の重合体である。
【0021】
ノルボルネン系重合体の具体例としては、(a)ノルボルネン系単量体の開環重合体、(b)ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、(c)ノルボルネン系単量体の付加重合体、(d)ノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体、及び(a)〜(d)の水素化物等が挙げられる。
【0022】
ノルボルネン系単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、及びこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)等を挙げることができる。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基等を挙げることができる。また、これらの置換基は、同一又は相異なって複数個が環に結合していてもよい。ノルボルネン系単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0023】
ノルボルネン系単量体と開環共重合可能な他の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;等が挙げられる。
【0024】
ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との開環共重合体は、単量体を開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。開環重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
【0025】
ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能な他の単量体との付加共重合体は、単量体を付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。付加重合触媒としては、通常使用される公知のものを使用できる。
【0026】
ノルボルネン系単量体と付加共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン等の炭素数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。これらの単量体は1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
【0027】
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の付加重合体を挙げることができる。
また、環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系単量体を1,2−付加重合又は1,4−付加重合した重合体を挙げることができる。
【0028】
ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体及び環状共役ジエンの重合体の分子量は使用目的に応じて適宜選定されるが、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いるゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で、通常10,000〜100,000、好ましくは25,000〜80,000、より好ましくは25,000〜500,000である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、フィルムの機械的強度及び成型加工性とが高度にバランスされ好適である。
【0029】
ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニルシクロアルカン又はビニルシクロアルケン由来の繰り返し単位を有する重合体である。ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカン、ビニルシクロヘキセン等のビニルシクロアルケン等のビニル脂環式炭化水素化合物の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素化合物の重合体の芳香族部分の水素化物等が挙げられる。
【0030】
また、ビニル脂環式炭化水素重合体は、ビニル脂環式炭化水素化合物やビニル芳香族炭化水素化合物と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体及びその水素化物であってもよい。ブロック共重合としては、ジブロック、トリブロック、又はそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合等が挙げられるが、特に制限はない。
【0031】
ビニル脂環式炭化水素重合体の分子量は使用目的に応じて適宜選択されるが、溶媒としてシクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の重量平均分子量が、通常10,000〜300,000、好ましくは15,000〜250,000、より好ましくは20,000〜200,000の範囲であるときに、成形体の機械的強度及び成形加工性とが高度にバランスされ好適である。
【0032】
ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、ノルボルネン系単量体の付加重合体、及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加重合体の水素化物は、公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素化することによって得ることができる。
【0033】
本発明に用いる脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは80℃以上、より好ましくは100〜250℃の範囲である。ガラス転移温度がこのような範囲にある脂環式構造含有重合体樹脂を含有するフィルムは、高温下での使用における変形や応力が生じることがなく耐久性に優れる。
【0034】
本発明に用いる脂環式構造含有重合体樹脂の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は特に制限されないが、通常1.0〜10.0、好ましくは1.1〜4.0、より好ましくは1.2〜3.5の範囲である。
【0035】
本発明においては、これらの脂環構造含有重合体樹脂の中でも、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造を有する繰り返し単位を10重量%以上含有する樹脂、及び/又はビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造を有する繰り返し単位を55〜90重量%含有する樹脂を用いるのが好ましい。これらの樹脂を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる光学フィルムを得ることができる。
【0036】
(B)無機微粒子及び滑剤
本発明の光学フィルムは、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有してなることを特徴とする。
無機微粒子の好ましい添加量の割合、及び滑剤の好ましい添加量の割合は、いずれも0.1〜0.8重量部である。これらの添加量が0.01重量部よりも少ないとフィルムに滑り性がでないため、フィルムに傷が入りやすい。逆に1.0重量部よりも多いと、ヘイズが低下したり、滑剤がブリードを起こし易くなる(ブリードアウト)。
【0037】
用いる無機微粒子は、例えば、クレー、タルク、シリカ、ゼオライト、ハイドロタルサイトが挙げられ、中でも、シリカ、ゼオライト及びハイドロタルサイトが好ましい。本発明において、無機微粒子は、粒子径が通常0.5〜3.0μmの範囲、好ましくは0.7〜2.5μmの範囲のものである。さらに、屈折率が1.45〜1.55の範囲にあるものが好ましい。粒子径が0.5μm以下であるとスベリ性が低下し、摩擦係数が大きくなり、フィルム表面に傷がつきやすくなる傾向がある。その一方、粒径が3.0μmよりも大きくなると、ヘイズが大きくなる傾向にあるため好ましくない。また、屈折率が上記範囲を外れるとヘイズが大きくなる傾向がある。
【0038】
用いる滑剤としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィンワックスなどの炭化水素系滑剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸系滑剤;セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール系滑剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドなどの脂肪酸アマイド系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、硬化ひまし油などの脂肪酸エステル系滑剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石鹸系滑剤;が挙げられる。中でも、炭化水素系滑剤、脂肪酸アマイド系滑剤、および脂肪酸エステル系滑剤が好ましい。さらに、これらの中でも融点が80〜150℃で、酸価が10mgKOH/mg以下のものが特に好ましい。融点が80〜150℃をはずれ、酸価が10mgKOH/mgよりも大きくなると、ヘイズ値が大きくなる傾向がある。
【0039】
(C)摩擦係数
本発明の光学フィルムは、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下であることを特徴とする。好ましくはともに1.5以下、より好ましくは静摩擦係数が1.5以下であり、動摩擦係数が1.0以下である。本発明の光学フィルムは、静摩擦係数及び動摩擦係数が小さいので、滑り性に優れ、加工工程においてフィルム表面に傷が付くことが少ない。
【0040】
摩擦係数は、2つの物体が接しているとき、接触面に作用する摩擦力とこの面に直角に作用する圧力との比である。摩擦係数は、JIS K7125に準拠した方法により測定して求める。具体的には、定荷重(Fp)の滑り片と移動板との間に貼り付けた2枚のフィルム間の摩擦力をロードセルにより検出し、得られた値から求める。摩擦係数には、静摩擦係数と動摩擦係数がある。いま、Fpを接触力(滑り片の重量)、Fsを静摩擦力、Fkを動摩擦力とすると、静摩擦係数(μs)は、式:μs=Fs/Fp、動摩擦係数(μk)は、式:μk=Fk/Fpでそれぞれ求める。
【0041】
(D)ヘイズ
本発明の光学フィルムは、ヘイズが1.5%以下、好ましくは1.0%以下であることを特徴とする。ヘイズ(%)は、JIS K7136に準拠して測定される光学フィルムを通過する透過光のうち、前方散乱によって入射比較から0.04rad(2.5度)以上ずれた透過光の百分率で表される。ヘイズが1.5%以下である光学フィルムを光学製品に用いた場合、散乱光が少ない均一な明るさを確保することができる。
【0042】
(E)全光線透過率
本発明の光学フィルムは、1mm厚での全光線透過率が90%以上、好ましくは92%以上であることを特徴とする。全光線透過率は、JIS K7361に準拠して測定される試験フィルムの平行入射光束に対する全透過光の割合で表される。全光線透過率が90%以上である光学フィルムは光学製品に好適である。
【0043】
本発明の第2は、脂環式構造含有重合体樹脂を100重量部、無機微粒子を0.01〜1.0重量部及び滑剤を0.01〜1.0重量部の割合で含有する樹脂組成物を、溶融押出成形することを特徴とする本発明の光学フィルムの製造方法である。
【0044】
溶融押出成形法は、特に限定されないが、生産性や厚さ精度に優れる点でTダイ成型法が好ましい。また、使用する押出機についても、特に限定されず、例えば、単軸押出機、二軸押出機などを使用することができる。
成形条件は使用目的や成形方法により適宜選択されるが、溶融押出成形法による場合は、シリンダー温度が、好ましくは100〜600℃、より好ましくは150〜350℃の範囲で適宜設定することができる。
【0045】
光学フィルムの厚みは、得られるフィルムの使用目的等に応じて適宜決定することができる。フィルムの厚みは、安定した延伸処理による均質な延伸フィルムが得られる観点から、好ましくは10〜300μm、より好ましくは30〜200μmである。
【0046】
光学フィルムを製造する場合には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、他の添加剤を添加することができる。他の添加剤としては、例えば可塑剤や劣化防止剤等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、リン酸エステル、カルボン酸エステル等が挙げられる。また、劣化防止剤としては、例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン類等が挙げられる。これらの他の添加剤や他の熱可塑性樹脂の添加量は、脂環式構造含有重合体樹脂に対して、通常0〜20重量%、好ましくは0〜10重量%、より好ましくは0〜5重量%である。
【0047】
2)位相差フィルム及びその製造方法
本発明の第3は、脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を特定割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であることを特徴とする位相差フィルムである。本発明の位相差フィルムに用いられる脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤の種類及びこれらの含有割合は、本発明の光学フィルムに用いられるものとして説明したとおりである。
【0048】
本発明の位相差フィルムとしては、所定の波長に対して1/2波長の位相差を与える1/2波長板、所定の波長に対して1/4波長の位相差を与える1/4波長板等が挙げられる。
【0049】
本発明の第4は、脂環式構造含有重合体樹脂を100重量部、無機微粒子を0.01〜1.0重量部及び滑剤を0.01〜1.0重量部の割合で含有する樹脂組成物を、溶融押出成形して未延伸フィルムを得る工程と、得られた未延伸フィルムを延伸処理する工程を有する本発明の位相差フィルムの製造方法である。
【0050】
延伸処理方法には、特に制限はなく、従来公知の方法を採用できる。延伸処理方法としては、例えば、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法、テンター延伸機を用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔を開いての縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップ把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いてフィルムの幅方向に対して任意の角度θの方向に連続的に斜め延伸する方法;などが挙げられる。
【0051】
斜め延伸する方法により、フィルムの幅方向に対して角度θの遅相軸を有する長尺の延伸フィルムを得ることができる。すなわち、角度θを任意の値に設定することにより、面内の遅相軸方向の屈折率、面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率、及び厚み方向の屈折率を所望の値となるようにすることができ、所定の波長に対して1/2の位相差を与える1/2波長板、及び1/4の位相差を与える1/4波長板とすることができる。
【0052】
斜め延伸する方法としては、その幅方向に対して角度1〜50度の方向に連続的に延伸して、ポリマーの配向軸を所望の角度に傾斜させるものであれば特に制約されず、公知の方法を採用することができる。本発明に用いることができる斜め延伸の方法としては、例えば、特開昭50−83482号公報、特開平2−113920号公報、特開平3−182701号公報、特開2000−9912号公報、特開2002−86554号公報、特開2002−22944号公報等に記載されたものが挙げられる。
【0053】
光学フィルムを延伸するときの温度は、前記脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度をTgとすると、好ましくは(Tg−30℃)から(Tg+60℃)の間、より好ましくは(Tg−10℃)から(Tg+50℃)の温度範囲である。また、延伸倍率は、通常1.01〜30倍、好ましくは1.01〜10倍、より好ましくは1.01〜5倍である。
【0054】
3)光学積層フィルム
本発明の第5は、本発明の光学フィルムの一面に、偏光膜を積層してなることを特徴とする光学積層フィルムである。
本発明に用いる偏光膜としては特に制限されず、従来公知のものを使用することができる。例えば、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜、ポリエン系偏光膜等が挙げられる。これらの偏光膜のうち、例えば、ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを延伸し、これにヨウ素あるいは二色性染料を吸着させることによって製造することができる。偏光膜を積層する場合においては、予め光学フィルムの積層面をコロナ放電処理等の表面処理を施すのが好ましい。表面処理を行うことにより、より密着性に優れる光学積層フィルムを得ることができる。
【0055】
また、長尺の光学フィルムを用いる場合には、光学フィルムの一面に接着層を介して偏光膜を直接積層することができる。すなわち、保護膜を1枚省略することができるので、生産効率を高めることができ、工程数を減らすことができる。例えば、ポリビニルアルコールのフィルムを延伸し、ヨウ素を吸着させ、保護フィルムを兼ねた長尺の光学フィルムを貼り合わせて積層し、乾燥し、巻取りといった工程を一本のラインで行なうことができる。もちろん、光学フィルムと偏光膜との間に保護フィルムを積層することも可能である。
【0056】
このようにして得られる光学積層フィルム(40A)の層構成を図1(A)に示す。この光学積層フィルム(40A)は、本発明の光学フィルム(10)が図示しない接着層又は粘着剤層を介して偏光膜(20)の一面に貼り付けられている。
【0057】
また、本発明の光学積層フィルムは、図1(B)に示すように、本発明の光学フィルム(10)を偏光膜(20)の一面に積層するとともに、他の面(光学フィルムが積層されていない側の面)に保護フィルム(30)を積層してなる光学積層フィルム(40B)であってもよい。保護フィルムを偏光膜の他の面に積層することにより、偏光膜の機械的強度や耐熱性を向上させ、偏光膜を湿度等から保護することができる。また、偏光膜がポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させたものである場合には、ヨウ素の昇華を防止することができる。この保護フィルムは、樹脂の塗布層や樹脂フィルムのラミネート層等として形成できる。
【0058】
4)光学積層体
本発明の第6は、位相差フィルム2枚を、各々の遅相軸が所定の角度で交差するように積層してなる光学積層体であって、その少なくとも1枚が本発明の位相差フィルムであることを特徴とする光学積層体である。
【0059】
ここに、「各々の遅相軸が所定の角度で交差するように積層する」とは、2枚の位相差フィルムにおける長手方向(幅方向)が実質的に一致するよう積層することをいう。従って、2枚の位相差フィルムの遅相軸の交差角度は、各々の延伸方向(斜め方向)によって決定される。
【0060】
本発明の光学積層体において、2枚の位相差フィルムの遅相軸の交差角度は、(90±10)度が好ましく、(90±5)度がより好ましく、(90±3)度がさらに好ましい。このように積層することにより、ネガティブレターダーとして機能する長尺の光学積層体が得られる。ネガティブレターダーとは、厚さ方向の屈折率をnz、厚さ方向に垂直な互いに直行するz方向の屈折率をnx、ny、とすると、nx、ny>nzの関係を満たすもののことをいう。
【0061】
本発明の光学積層体においては、製造に用いる位相差フィルムの少なくとも1枚は、本発明の光学フィルムを斜め延伸処理して得られるものであることが好ましく、用いる2枚の位相差フィルムが、ともに本発明の位相差フィルムであることがより好ましい。本発明の位相差フィルムを用いることにより、表面に傷がなく、透明性に優れる光学積層体を得ることができる。
【0062】
本発明の光学積層体を製造する概略図を図2に示す。先ず、斜め延伸処理により、幅方向に対してα度の方向に遅相軸(p1)を有する第1の位相差フィルム(51)と、斜め延伸処理により、幅方向に対してβ度の方向に遅相軸(p2)を有する第2の位相差フィルム(52)とを用意する。
【0063】
第1の位相差フィルム(51)と、第2の位相差フィルム(52)との積層方法は特に制限されず、公知の積層方法を採用できるが、生産効率の観点から、長尺のフィルム同士を貼り合わせる、いわゆるロールトゥーロール方式を採用するのが好ましい。この方式によれば、ロール状に巻き取った第1の位相差フィルム(51)及び第2の位相差フィルム(52)をそれぞれ引き出し、接着剤又は粘着剤を接合面に塗布して両者を積重し、この積重体を加圧ローラのニップに供給して圧着することにより連続的に貼り合わせることができる。
【0064】
両者を貼り合わせるために使用する接着剤又は粘着剤としては、所定の接着力を有し、透明性の優れたものであれば特に限定されない。構成部材の光学特性の変化防止の観点からは、硬化や乾燥の際に高温のプロセスを要しないものが好ましく、長時間の硬化処理や乾燥時間を要しないものが望ましい。接着剤及び粘着剤としては、例えばアクリル樹脂系の接着剤や粘着剤等が挙げられる。得られた長尺の光学積層体は、ロール状に巻き取って回収・保存することができる。表示装置等に組み込む際は、必要に応じ任意の大きさ、また幅方向あるいは長手方向から任意の角度で、通常は矩形に切り出して用いる。
【0065】
本発明の光学積層体は、広帯域1/4波長板であるのが好ましい。広帯域1/4波長板は、広い波長領域(例えば、450〜650nm)において、実質的に1/4波長の位相差を与えるものである。
【0066】
広帯域1/4波長板は、位相差フィルムの2枚(1/2波長板及び1/4波長板)を、それぞれの遅相軸が(60±3)度で交差するように積層することにより得ることができる。1/2波長板と1/4波長板とを積層した場合に、それぞれの遅相軸の交差角が57度((60−3)度)未満又は63度((60+3)度)を超える場合には、得られる長尺の積層体は「広帯域1/4波長板」として機能するものとはならない。また、1/2波長板及び1/4波長板のそれぞれの遅相軸が互いに(60±3)度で交差するように貼り合せたときに、それぞれの長手方向が実質的に一致していなければ、広帯域1/4波長板の長尺化を図ることができない。1/2波長板及び1/4波長板において、幅方向と遅相軸とのなす角度は、斜め延伸処理する際の処理条件を制御することによって適宜調整することができる。
【0067】
本発明の広帯域1/4波長板は、広い波長領域(例えば、450〜650nm)において、1/4波長の位相差を与えるものである。本発明の広帯域1/4波長板においては、上記の波長領域におけるRe/λの値が0.24〜0.26の範囲内にあることが好ましい。
【0068】
5)広帯域円偏光素子
本発明の第7は、本発明の広帯域1/4波長板の一面に直線偏光素子を積層してなる広帯域円偏光素子である。本発明の広帯域円偏光素子は、本発明の広帯域1/4波長板を用いるものであるので、表面に傷がなく、透明性に優れている。
【0069】
本発明の広帯域円偏光素子の一例を図3に示す。図3に示す広帯域円偏光素子は、図2に示した層構成の広帯域1/4波長板(61)の一面(1/2波長板の側)に、直線偏光素子(70)が積層されている。用いる直線偏光素子は特に制限されるものではなく、従来公知のものを使用することができる。
【0070】
本発明の広帯域1/4波長板と直線偏光素子とは、前者を構成する1/2波長板の遅相軸と、後者の偏光透過軸とのなす角度が(15±3)度であり、前者を構成する1/4波長板の遅相軸と、後者の偏光透過軸とのなす角度が(75±3)度であることが必要である。本発明の広帯域1/4波長板(61)が長尺の光学積層体である場合には、長尺の直線偏光素子と積層することにより、長尺の広帯域円偏光素子を得ることができる。広帯域1/4波長板と直線偏光素子とを積層する方法は特に制限されないが、例えば、広帯域1/4波長板と直線偏光素子とを所定角度で重ね合わせて、両者を熱圧着する方法が挙げられる。
【0071】
6)光学製品
本発明の第8は、本発明の広帯域円偏光素子を備える光学製品である。
本発明の広帯域円偏光素子は、種々の光学製品の反射防止層等として利用することができる。本発明の光学製品は、表面に傷がなく、透明性に優れる本発明の広帯域円偏光素子を使用するものであるので、優れた光学性能(コントラスト等)を有する。
【0072】
本発明の光学製品の好ましい具体例としては、反射型液晶表示装置、タッチパネル、エレクトロルミネッセンス表示装置等が挙げられる。
本発明の広帯域円偏光素子を備える反射型液晶表示装置の層構成例を図4に示す。図4に示す反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板(90)、反射電極(100)、下配向膜(110)、液晶層(120)、上配向膜(130)、透明電極(140)、上基板(150)、透明導電膜(160)、広帯域1/4波長板(60)及び直線偏光素子(70)がこの順に積層されてなる。下基板(80)と反射電極(100)が反射板を、下配向膜(110)から上配向膜(130)が液晶セルを、広帯域1/4波長板(60)及び直線偏光素子(70)とで広帯域円偏光素子(80)をそれぞれ構成している。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を設ける。図4中、カラーフィルター層の図示は省略しているが、カラーフィルター層は、反射電極(100)と下配向膜(110)との間、又は上配向膜(130)と透明電極(140)との間に設けることが好ましい。
【0073】
また、図4に示す反射型液晶表示装置においては、反射電極(100)の代わりに透明電極を用いて、別に反射板を取り付けてもよい。透明電極と組み合わせて用いる反射板としては金属板が好ましい。反射板の表面が平滑であると、正反射成分のみが反射されて視野角が狭くなる場合がある。そのため、反射板の表面に凹凸構造(特許275620号公報記載等)を導入することが好ましい。反射板の表面が平坦である場合は(表面に凹凸構造を導入する代わりに)、偏光素子の片側(セル側あるいは外側)に光拡散フイルムを取り付けることもできる。
【0074】
用いる液晶モードは特に限定されない。液晶モードとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Aligned Nematic)型等が挙げられる。
【0075】
本発明の広帯域円偏光素子を備える反射型液晶表示装置は、印加電圧が低い時に明表示、高い時に暗表示であるノーマリーホワイトモードでも、印加電圧が低い時に暗表示、高い時に明表示であるノーマリーブラックモードでも用いることができる。
【0076】
本発明の広帯域円偏光素子を反射防止層として用いるタッチパネルは、例えば、タッチパネルの入力操作面側から順に、広帯域円偏光素子/上側導電膜/スペーサー/下側導電膜の順で構成することができる。上側導電膜は、光学的に等方な高分子フィルム等の基板上に直接又は必要に応じて接着層もしくは基板の保護層等を介して形成することができる。
【0077】
タッチパネルとしては、検出方式の違いにより、抵抗膜式タッチパネル、光学式タッチパネル、超音波式タッチパネル、静電容量式タッチパネル等に分類できるが、これらタッチパネルのいずれであってもよい。これらの中でも、透明導電膜とギャップとの界面を有するタッチパネル、例えば、抵抗膜式タッチパネルが特に好適である。
【0078】
本発明の広帯域円偏光素子を備えるタッチパネルは、様々な表示装置と組合せて用いることができる。例えば、カソードレイチューブ(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)、無機ELデバイス、有機ELデバイス、液晶表示装置等が挙げられる。
【0079】
本発明の広帯域円偏光素子を備えるエレクトロルミネッセンス表示装置の層構成例を図5に示す。図5に示すエレクトロルミネッセンス表示装置は、光反射電極(170)、発光層(180)、透明電極(190)、透明基板(200)及び広帯域1/4波長板(60)と直線偏光膜(70)とが、この順に積層された構造を有する。図5に示す表示装置では、広帯域1/4波長板(60)及び直線偏光素子(70)が広帯域円偏光素子(80)を構成している。
【0080】
【実施例】
以下に、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、以下の製造例及び実施例に限定されるものではない。なお、これらの例中の[部]及び[%]は、特に断りのない限り重量基準である。
【0081】
各種の物性の測定は、下記の方法に従って行なった。
(1)分子量
シクロヘキサンを溶媒にしてゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
(2)分子量分布
シクロヘキサンを溶媒にしてGPCで測定し、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)を算出した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
JIS K7121に基づいて、示差走査熱量分析法(DSC)により測定した。
【0082】
(4)水素添加率
重合体の主鎖及び芳香環の水素添加率(%)は、1H−NMRにより算出した。
(5)表面性の評価
製造した光学フィルム及び位相差フィルムの表面に、添加物がブリードアウトしているか否かを目視観察及び触感により調べることにより行った。フィルム表面にブリードアウトがない場合を○、ブリードアウトしている場合を×で評価した。
【0083】
(6)摩擦係数の測定
静摩擦係数及び動摩擦係数は、JIS K7125に準拠して、万能引張圧縮試験機(型式:7CM−500CR、新興通信工業(株)製)を使用して、フィルムとフェロ板を接触させて測定した。
(7)ヘイズ及び全光線透過率の測定
ヘイズはJIS K7136に、全光線透過率はJIS K7361−1にそれぞれ準拠して、ヘイズ及び全光線透過率の測定装置(型式:NDH2000,日本電色工業(株)製)を使用して測定した。
【0084】
(8)密着性の評価
積層フィルム(光学積層フィルム、広帯域1/4波長板)をJIS−K−6854による剥離試験を行い、密着性を評価した。試験条件は以下の通りである。測定装置:万能引張圧縮試験機(型式:7CM−500CR、新興通信工業(株)製)
引張条件:引張速度 100mm/min
測定した結果、ピール強度が400g/cm以上の場合を○、400g/cm未満の場合を×として評価した。
【0085】
(9)表面の傷の有無
位相差フィルム及び広帯域1/4波長板の表面の傷の有無を肉眼で観察し、直交ニコルの下にてレタデーションムラとなる傷の1m2当たりの個数を求めた。傷の個数が0〜5個/m2の場合を○(良好)、6〜20個/m2の場合を△(許容)、21個以上/m2の場合を×(不良)と評価した。
【0086】
(参考例1)
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下「DCP」と略記する。)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.4.0.12,5.17,10]デカ−3−エン(メタノテトラヒドロフルオレン、以下、「MTF」と略記する。)、及びテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセン、以下、「TCD」と略記する。)の混合物40/35/25(重量比)を、公知の方法により開環重合し、次いで水素化してDCP/MTF/TCD開環重合体水素化物ポリマーを得た。
得られたこの水素化ポリマー中の各ノルボルネン系単量体の共重合比率を、重合後の溶液中の残留ノルボルネン類の組成(ガスクロマトグラフィー法による)から計算したところ、DCP/MTF/TCD=40/35/25でほぼ仕込み組成に等しかった。この水素化ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、35,000、分子量分布は2.1、水素化率は99.9%、ガラス転移温度Tgは134℃であった。
【0087】
(実施例1、比較例1)光学フィルムの製造
参考例1で得られた水素化ポリマー100重量部、無機微粒子及び滑剤を第1表に示す割合で混合して樹脂組成物A〜Gを得た。次いで、この樹脂組成物A〜Gを65mmφのスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するTダイ式フィルム溶融押出成形機を使用し、溶融樹脂温度240℃、Tダイの幅500mmの成形条件で、厚さ100μmのフィルムを押出成形して、光学フィルム1A〜1Gを得た。
【0088】
(光学フィルムの評価試験)
実施例1及び比較例1で得た光学フィルム1A〜1Gの静摩擦係数、動摩擦係数、ヘイズ(%)及び全光線透過率(%)を測定した。また、表面性を評価した。測定結果及び評価結果を第1表に示す。
【0089】
第1表の無機微粒子の欄中、aは合成シリカ(平均粒子径1.65μm、屈折率1.46)、bは合成ゼオライト(平均粒子径2.00μm、屈折率1.50)である。また、滑剤cとして、脂肪酸アマイド系滑剤(商品名:カオーワックスEB−P、花王(株)製、融点:141.5〜146.5℃、酸価:10mgKOH/mg以下)を用いた。
【0090】
【表1】
【0091】
第1表から、実施例の光学フィルム1A、1Bは、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であり、フィルム表面に傷がほとんどなく、表面性に優れていた。
一方、無機微粒子及び滑剤を含有していないもの(光学フィルム1C)及び無機微粒子及び滑剤の含有量が少ないもの(光学フィルム1D)は、静摩擦係数及び動摩擦係数が大きくなり、表面に多くの傷が見られた。無機微粒子のみ含有しているもの(光学フィルム1E)は、静摩擦係数、動摩擦係数が大きくなり、全光線透過率が低下しており、また、ヘイズが大きくなり、表面に多くの傷や着色が見られた。滑剤のみ含有しているもの(光学フィルム1F)は、静摩擦係数、動摩擦係数が大きくなり、表面に多くの傷が見られた。無機微粒子及び滑剤の含有量が多いもの(光学フィルム1G)は、ヘイズが大きくなり、全光線透過率が低下しており、表面に多くの傷が見られた。
【0092】
(実施例2、比較例2)光学積層フィルムの製造
実施例1及び比較例1で得た光学フィルム1A〜1Gを所定量カットし、その表面を空気中にてコロナ放電処理(放電量100W/m2・分)を施した。得られた処理フィルムの表面にポリビニルアルコール重合体(商品名:PVA200、ケン化度86.5〜89.5%、平均重合度300、クラレ(株)製)の10%水溶液(PVA水溶液)を滴下し、そこへ、光学フィルムと同サイズの未染色ポリビニルアルコール2軸延伸フィルム(商品名:ボブロン#140、日本合成化学(株)製の偏光膜、膜厚14μm)を貼り合わせた。次いで、この積層フィルムをロールラミネーターに設置し、PVA水溶液が乾燥しないうちに圧着した。このものを40℃で12時間放置することにより、各層を完全に密着させて光学フィルム1A〜1Gにそれぞれ対応する光学積層フィルム2A〜2Gを得た。
【0093】
(光学積層フィルムの評価試験)
実施例2及び比較例2で得た光学積層フィルム2A〜2Gの表面性及び密着性を評価し、全光線透過率(%)を測定した。測定結果及び評価結果を第2表に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
第2表から、実施例2の光学積層フィルム2A、2Bは、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であり、フィルム表面に傷がほとんどなく、密着性に優れている。一方、無機微粒子及び滑剤を含有していないもの(光学積層フィルム2C)、無機微粒子及び滑剤の含有量が少ないもの(光学積層フィルム2D)、無機微粒子のみ含有しているもの(光学積層フィルム2E)、及び滑剤のみ含有しているもの(光学積層フィルム2F)は表面に多くの傷が見られた。無機微粒子及び滑剤の含有量が多いもの(光学積層フィルム2G)は、密着性が劣っていた。
【0096】
(実施例3、比較例3)位相差フィルムの製造
実施例1及び比較例1で得た光学フィルム1A〜1Gから、100mm/secの延伸速度、延伸温度140℃の自由収縮の一軸延伸によって、光学フィルム1A〜1Gにそれぞれ対応する位相差フィルム(1/2波長板3A〜3G、1/4波長板3’A〜3’G)を得た。
1/2波長板:延伸倍率1.3倍で延伸(波長550nmにおけるレタデーション265nm)
1/4波長板:延伸倍率1.5倍で延伸(波長550nmにおけるレタデーション132.5nm)
【0097】
(位相差フィルムの評価試験)
上記実施例3及び比較例3で得た1/2波長板3A〜3G及び1/4波長板3’A〜3’Gの静摩擦係数、動摩擦係数、ヘイズ(%)及び全光線透過率(%)を測定した。また、表面性及び表面の傷の有無を調査し、評価した。測定結果及び評価結果を第3表に示す。
【0098】
【表3】
【0099】
第3表より、実施例3の1/2波長板3A,3B及び1/4波長板3’A,3’Bは、比較例3の1/2波長板3C〜3G及び1/4波長板3’C〜3’Gに比して、低い摩擦係数及び低いヘイズを有し、同等かそれ以上の高い全光線透過率を有していた。また、実施例の1/2波長板及び1/4波長板は、比較例のものと同等又はそれ以上に表面性に優れ、表面の傷も少ないものであった。比較例3の1/2波長板3Eは、着色が見られた比較例1の光学フィルム1Eを延伸処理したものであるが、着色がそのまま残った。
【0100】
(実施例4、比較例4)広帯域円偏光板の製造
実施例3及び比較例3で得た1/2波長板3A〜3Gの一面に、2液ウレタン系接着剤をロールコーターにて塗布(プレコート)し、100℃の温風を風速10m/secで90秒間吹き付けて乾燥させて、プレコートした1/2波長板3A〜3Gを得た。
2液ウレタン系接着剤として、以下に示す主剤と硬化剤とを、主剤/硬化剤=100/10の重量比で混合したものを使用した。
主剤:ポリエステル系ポリウレタン樹脂の酢酸エチル溶液(商品名:WWA−600S、日本ポリウレタン(株)製)
硬化剤:ポリイソシアネートの酢酸エチル溶液(商品名:HARDNER110、日本ポリウレタン(株)製)
【0101】
次いで、実施例3及び比較例3で得た1/4波長板3’A〜3’Gと上記プレコートした1/2波長板3A〜3Gのそれぞれの遅相軸の交差角が59度になるように貼り合わせた。さらに、1/2波長板のもう一方の面側に偏光板を偏光板の透過軸と1/2波長板の遅相軸との交差角が15度になるように貼り合わせ、熱圧着ロールにて70℃で圧着した。このものを40℃で3日間エージングすることにより、それぞれ1/2波長板3A〜3G、1/4波長板3’A〜3’Gに対応する広帯域円偏光板4A〜4Gを得た。
【0102】
(広帯域円偏光板の評価試験)
実施例4及び比較例4で得た広帯域円偏光板の傷の有無を調査し、密着性を評価した。また、全光線透過率(%)を測定した。評価結果及び測定結果を第4表に示す。
【0103】
【表4】
【0104】
第4表から、実施例4の広帯域円偏光板4A、4Bは、比較例4の広帯域円偏光板4C〜4Gに比して表面に傷が少なく、比較例の広帯域円偏光板と同等かそれ以上に密着性に優れ、かつ高い全光線透過率を有していた。
【0105】
(実施例5、比較例5)液晶表示装置の製造
実施例4及び比較例4で得た広帯域円偏光板4A〜4Gを裏面に反射板を有する液晶表示上に、1/4波長板側が該液晶表示素子に対面するように設置して、図4に示す液晶表示装置と同様な層構成を有する、広帯域円偏光板4A〜4Gにそれぞれ対応する液晶表示装置5A〜5Gを作製した。
【0106】
(液晶表示装置の光学性能評価試験)
実施例5及び比較例5で作製した液晶表示装置5A〜5Gを黒表示(画面を黒に表示する)にし、広帯域円偏光板を通して見た黒表示の鮮明度を肉眼で観察した。黒表示の黒トーンが画面全体にわたり均一かつ濃いトーンであって、光漏れのない場合を○、黒表示の黒トーンが薄いトーンであり、光漏れがわずかに見られる場合を△、黒トーンが画面全体にわたり不均一であったり、灰色がかって見え、明らかに光漏れがある場合を×として評価した。評価結果を第5表に示す。
【0107】
【表5】
【0108】
第5表より、実施例5の液晶表示装置5A、5Bは、比較例5の液晶表示装置5C〜5Gに比して良好なコントラストを示した。
【0109】
【発明の効果】
本発明によれば、滑り性が良好で加工工程において傷が入りにくく、延伸処理を行ってもヘイズがでない光学フィルム、該光学フィルムを延伸処理して得られる位相差フィルムが提供される。
本発明の製造方法によれば、本発明の光学フィルム及び位相差フィルムを効率よく製造することができる。
また、本発明によれば、本発明の光学フィルム及び位相差フィルムを使用して、種々の光学的特性及び密着性に優れる光学積層フィルム、光学積層体、広帯域円偏光素子及び光学製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の光学積層フィルムの構造断面図である。(A)は光学フィルムと偏光膜との積層フィルムであり、(B)は光学フィルム、偏光膜及び保護膜の3層からなる積層フィルムである。
【図2】図2は、本発明の光学積層体を製造する概略図である。
【図3】図3は、本発明の広帯域円偏光板の構造断面図である。
【図4】図4は本発明の液晶表示装置の構成図である。
【図5】図5は、本発明のエレクトロルミネッセンス表示装置の構造断面図である。
【符号の説明】
10…光学フィルム、20…偏光膜、30…保護膜、40A、40B…光学積層フィルム、51…位相差フィルム(1/2波長板)、52…位相差フィルム(1/4波長板)、60…光学積層体、61…広帯域1/4波長板、70…直線偏光素子、80…広帯域円偏光板、90…下基板、100…反射電極、110…下配向膜、120…液晶層、130…上配向膜、140,190…透明電極、150…上基板、160…透明導電膜、170…光反射電極、180…発光層、200…透明基板
Claims (9)
- 脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であることを特徴とする光学フィルム。
- 脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有する樹脂組成物を溶融押出成形する工程を有する請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有してなり、静摩擦係数及び動摩擦係数がともに3.0以下、ヘイズが1.5%以下、1mm厚での全光線透過率が90%以上であることを特徴とする位相差フィルム。
- 脂環式構造含有重合体樹脂、無機微粒子及び滑剤を、脂環式構造含有重合体樹脂100重量部、無機微粒子0.01〜1.0重量部及び滑剤0.01〜1.0重量部の割合で含有する樹脂組成物を溶融押出成形して未延伸フィルムを得る工程と、得られた未延伸フィルムを延伸処理する工程を有する請求項3に記載の位相差フィルムの製造方法。
- 請求項1に記載の光学フィルムの一面に、偏光膜を積層してなることを特徴とする光学積層フィルム。
- 位相差フィルム2枚を、各々の遅相軸が所定の角度で交差するように積層してなる光学積層体であって、その少なくとも1枚が請求項3に記載の位相差フィルムであることを特徴とする光学積層体。
- 広帯域1/4波長板である請求項6に記載の光学積層体。
- 請求項7に記載の広帯域1/4波長板の一面に直線偏光素子を積層してなる広帯域円偏光素子。
- 請求項8に記載の広帯域円偏光素子を備える光学製品。
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