JP2004149682A - 低動倍率ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジエン系ゴム材料中に、有機化層状粘土鉱物を、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料を用いてナノ分散せしめて、低動倍率ゴム組成物を調製した。
【選択図】 なし
Description
【技術分野】
本発明は、低動倍率ゴム組成物に係り、特に、静的ばね定数の高い領域において低動倍率化を効果的に実現し得るゴム組成物に関するものである。
【0002】
【背景技術】
よく知られているように、振動伝達系を構成する2つの部材間に介装されて、両部材を防振連結する防振ゴムは、従来より、各種の分野において広く用いられており、例えば、自動車においては、エンジンマウントやボデーマウント、メンバーマウント、サスペンションブッシュ等として、用いられてきている。
【0003】
ところで、かかる自動車用防振ゴムの如き、周波数などの異なる複数種の振動の伝達系において使用される防振ゴムにあっては、通常、入力される各振動に応じた防振特性を有効に発揮するものであることが求められる。具体的には、自動車用防振ゴムにおいては、一般に、100Hz以上の、比較的に高い周波数領域の振動が入力される場合には、低動ばね特性が要求されているのである。なお、ここで、低動ばね特性とは、100Hzにおける動的バネ定数(Kd100 )と静的バネ定数(Ks)との比である動倍率(=Kd100 /Ks)の値が小さいものであることを意味している。
【0004】
このため、そのような防振ゴムにおける動倍率を低くして(下げて)、小さくするために、従来から各種の検討が行われてきており、例えば、ゴムに配合せしめられるカーボンブラックの大粒径化や架橋密度の増大等の手法が提案されてはいるが、大粒径のカーボンブラックを配合せしめた場合にあっては、加硫ゴムの破断強度や破断伸び等の特性の低下が著しい問題があり、また、ゴムの架橋密度を上げる方策にあっても、同様に、破断強度や破断伸び等が低下する問題を内在しており、何れの方策にあっても、低動倍率化(低動ばね化)を図った場合において、他の物性が犠牲になるという問題を有するものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−86822号公報
【特許文献2】
特開平8−41091号公報
【特許文献3】
特開平7−310012号公報
【0006】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、破断強度や破断伸び等の優れた物性を確保しつつ、動倍率を低下せしめることの出来るゴム組成物を提供することにある。
【0007】
【解決手段】
そして、本発明にあっては、そのような課題を解決するために、ジエン系ゴム材料中に、有機化層状粘土鉱物が、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料を用いて、ナノ分散せしめられていることを特徴とする低動倍率ゴム組成物を、その要旨とするものである。
【0008】
このように、本発明は、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料を用いることにより、所定の有機化層状粘土鉱物をジエン系ゴム材料中に効果的にナノ分散せしめ得たのであり、そしてそれによって、それから得られる防振ゴム等のゴム製品における優れた破断強度、破断伸び、損失係数を確保しつつ、その低動倍率化を有利に実現せしめ得たのであり、また、そのような低動倍率化を、高い静的バネ定数の下において、顕著に実現せしめ得たのである。
【0009】
なお、かかる本発明に従うゴム組成物の好ましい態様の一つによれば、前記有機化層状粘土鉱物は、前記2つのゴム材料の合計量の100重量部に対して、1〜30重量部の割合において用いられ、これによって、目的とするゴム製品のより一層有効な低動倍率化が実現され得るのであり、一方、前記液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料は、前記2つのゴム材料の合計量に対して、1〜20重量%の割合において用いられ、これによって、所定の有機化層状粘土鉱物のナノ分散が、有利に実現され得ることとなる。
【0010】
また、本発明における好ましい態様の他の一つによれば、前記有機化層状粘土鉱物は、炭素数6以上の有機オニウムイオンがイオン結合することによって有機化されたものであり、そのような有機化物を用いることによって、ゴムポリマーが層状粘土鉱物の結晶層間へ侵入し易くなって、上記した特性がより一層効果的に発揮されるようになるのである。
【0011】
さらに、本発明に従う低動倍率ゴム組成物の好ましい態様の更に別の一つによれば、前記液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料は、下記構造式(I):
【化2】
[但し、AはCH2 =C(R)−COO−Y−(ここで、Rは、水素原子又はメチル基であり、Yはアルキレン基である。)にて示される基であり、m及びnは、官能基数:1〜10、分子量:3000〜50000となる液状ゴム材料
を与える整数である。]
にて表わされる液状ゴム材料であることが望ましい。このような構造の液状(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料を用いることによって、有機化層状粘土鉱物との混合性が高められ、更に、ジエン系ゴム材料中へのナノ分散も、有利に実現せしめられ得ることとなる。
【0012】
そして、本発明に従う低動倍率ゴム組成物において、カーボンブラックは、望ましくは、前記2つのゴム材料の合計量の100重量部に対して、5〜50重量部の割合において配合せしめられている。このように、カーボンブラックの配合量を少なくしても、充分なゴム硬度(Hs)が実現され、また、高い静バネ定数や大きな損失係数を有するゴム製品を、有利に得ることが出来るのである。
【0013】
なお、本発明に従う低動倍率ゴム組成物において、有機化層状粘土鉱物の有効なナノ分散を図るために、有利には、前記有機化層状粘土鉱物が、前記液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料と共に、マスターバッチとして調製され、そして、そのようなマスターバッチが、ジエン系ゴム材料と均一に混練せしめられることにより、かかるジエン系ゴム材料中に効果的にナノ分散せしめられ得るのである。
【0014】
【発明の実施の形態】
ところで、本発明に従うゴム組成物を与えるジエン系ゴム材料としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等の、公知のゴム材料を挙げることが出来、それらゴム材料が単独にて用いられ得る他、NRとBRのブレンド物、NRとSBRとブレンド物等、適宜に組み合わせた形態において、用いられることとなる。
【0015】
また、かかるジエン系ゴム材料中にナノ分散せしめられる有機化層状粘土鉱物は、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、ノントロナイト、ソーコナイト、スチブンサイト等のスメクタイト系のものや、バーミキュライト、ハロイサイト、マイカ等の、従来から公知のカチオン交換能を有する層状粘土鉱物を用い、そのような層状粘土鉱物に対して、一般に、有機オニウムイオンをイオン結合せしめることによって、有機化されているものであり、そして、このように層状粘土鉱物を有機化することによって、層状粘土鉱物の結晶層間にゴムポリマーが挿入され得るようになっているのである。そして、かかる結晶層間に存在するゴムポリマーが拘束され、また、熱の影響を受け難くなることによって、ゴムの機械的物性等が極めて有利に確保され得ることとなるのである。
【0016】
なお、かかる有機オニウムイオンとしては、特に限定されるものではなく、従来から公知のものが適宜に採用され得るのであるが、その中でも、特に、炭素数6以上の有機オニウムイオンが望ましく、例えば、その具体例としては、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、ドデシル(ラウリル)アンモニウムイオン、オクタデシル(ステアリル)アンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオン等のアンモニウムイオンや、ホスフォニウムイオン、オキソニウムイオン、スルホニウムイオン等を挙げることが出来、これらの中の少なくとも1種以上が、適宜に選択されて、用いられることが望ましいのである。そして、このような有機オニウムイオンを採用することによって、層状粘土鉱物の疎水性が向上すると共に、層状粘土鉱物の層間距離がより一層有利に拡大せしめられ、以て、層状粘土鉱物の結晶層間に、ゴムポリマーがより一層導入され易くなって、本発明の目的が更に有利に実現され得ることとなる。
【0017】
ここにおいて、上記した有機オニウムイオンにて層状粘土鉱物を有機化せしめるには、層状粘土鉱物の結晶層間に存在する金属陽イオンを、陽イオンたる有機オニウムイオンにてイオン交換すればよい。そして、そのようなイオン交換が為されることによって、有機オニウムイオンが層状粘土鉱物にイオン結合されることとなり、その結果、層状粘土鉱物の層間距離が拡大し、かかる結晶層間にゴムポリマーが侵入し易くなると共に、層状粘土鉱物が疎水化されて、ゴム材料との混練状態が良好となるのである。
【0018】
また、上記した層状粘土鉱物を有機オニウムイオンと接触させて、イオン交換する手法としては、従来から公知のイオン交換法が採用され得、例えば、適当な量の有機オニウムイオンが含有せしめられた水系媒体中に、層状粘土鉱物を浸漬し、その後、該層状粘土鉱物を水洗して、過剰な有機オニウムイオンを除去する手法等を挙げることが出来る。そして、このように、イオン交換によって有機化された層状粘土鉱物は、乾燥せしめられた状態において、ジエン系ゴム材料にナノ分散せしめるべく、用いられることとなるのである。
【0019】
ところで、本発明者らが検討したところによると、かかる有機化層状粘土鉱物を、そのまま、前記したジエン系ゴム材料に配合して、かかるジエン系ゴム材料中に微細に含有せしめ、以てナノ分散させることが、極めて困難であることが明らかとなったのであり、そのために、本発明にあっては、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料を用いて、ジエン系ゴム材料中への微細な分散を図り、以て、かかる有機化層状粘土鉱物のナノ分散を実現せしめ得たのである。
【0020】
ここにおいて、本発明に従い、有機化層状粘土鉱物をジエン系ゴム材料中にナノ分散せしめるための必須の成分となる、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料は、液状イソプレンゴムをアクリレート化乃至はメタクリレート化して、得られたものであって、一般に、イソプレンゴム構造にマレイン酸単位や(メタ)アクリロイル基が導入されてなる構造を有するものであり、市販の各種のものの中から、適宜に選択されることとなる。なお、ここで、(メタ)アクリレート・・・乃至は(メタ)アクリロイル・・・なる表記が、それぞれ、アクリレートとメタクリレート乃至はアクリロイル基とメタクリロイル基を含む総称として用いられていることに、留意されなければならない。
【0021】
そして、本発明にあっては、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料として、有利には、前記した構造式(I)にて表わされる液状ゴム材料が、好適に用いられることとなるのである。なお、このような液状ゴム材料は、官能基数が1〜10、分子量が3000〜50000、好ましくは10000〜30000となるものであることが望ましく、そのような官能基数や分子量を与えるように、前記構造式(I)中のm及びnの値が適宜に選定され、また、Y=アルキレン基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン等の低級アルキレン基が有利に採用されることとなる。
【0022】
さらに、かくの如き液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料を用いて、有機化層状粘土鉱物を分散層として、ジエン系ゴム材料からなるマトリックス中に単層状にナノ分散せしめるに際しては、かかる有機化層状粘土鉱物を微細に分散せしめ得る公知の手法が適宜に採用されることとなるが、特に、本発明にあっては、そのような有機化層状粘土鉱物を、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料と共に、マスターバッチとして調製し、そのようなマスターバッチをジエン系ゴム材料に混練せしめるマスターバッチ法が、好適に採用されることとなる。これによって、層間距離が85Å以上のナノ分散状態を有利に形成し得るのである。
【0023】
なお、本発明に従って、有機化層状粘土鉱物を、ジエン系ゴム材料中に、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料を用いて、ナノ分散せしめるに際して、かかる有機化層状粘土鉱物の使用量は、それら2つのゴム材料の合計量の100重量部に対して、一般に、1〜30重量部、好ましくは3〜15重量部の割合であることが望ましい。この有機化層状粘土鉱物の配合量が少ないと、目的とする本発明の効果を充分に発揮することが困難となるからであり、また、多過ぎると、ジエン系ゴム材料中への微細な分散が困難となって、目的とするナノ分散状態を得ることが、難しくなるからである。
【0024】
また、本発明に従う低動倍率ゴム組成物において、ジエン系ゴム材料中への有機化層状粘土鉱物のナノ分散を有利に実現せしめ得る、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料は、ジエン系ゴム材料との合計量[ジエン系ゴム材料+(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料]に対して、一般に、1〜20重量%、好ましくは3〜10重量%の割合において用いられることとなる。なお、この液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料の使用量が少なくなり過ぎると、有機化層状粘土鉱物のナノ分散が有利に行われ難くなるからであり、また、その使用量が多くなり過ぎると、目的とするゴム製品のゴム特性に悪影響をもたらすようになるからである。
【0025】
そして、上述せる如くして、有機化層状粘土鉱物がナノ分散せしめられてなる本発明に従うゴム組成物を加硫することによって、目的とする優れた特性を有する、防振ゴム等のゴム製品が製造されることとなるのであるが、ここで、未加硫のゴム組成物の加硫に先立って配合される加硫剤としては、使用するゴム材料における加硫反応を良好に進行せしめ得るものであれば、公知の如何なるものをも採用することが出来、一般に、ゴム材料の種類や求められる特性等を考慮して、公知の各種の加硫剤の中から、適当なものが選択され、ゴム材料の使用量に応じた量において用いられることとなる。なお、そのような加硫剤としては、例えば、イオウや、酸化亜鉛、酸化マグネシウム等の金属酸化物、ヘキサメチレンジアミンカルバメート等のアミン化合物、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物等を挙げることが出来る。
【0026】
また、前記したゴム組成物には、更に、上記の加硫剤と併せて、使用するゴム材料の種類に応じた、適当な加硫促進剤や加硫促進助剤を、それぞれ必要量において、ゴム材料に配合せしめることも可能である。ここで、そのような加硫促進剤としては、例えば、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(BBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(OBS)等のスルフェンアミド類;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnMDC)、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛(ZnEDC)等のジチオカルバミン酸塩類;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)等のチウラム類等を挙げることが出来、また、加硫促進助剤としては、酸化亜鉛やステアリン酸等を例示することが出来るが、これらに何等限定されるものではないことは言うまでもないところである。
【0027】
さらに、かかる本発明に従うゴム組成物には、カーボンブラック等の補強剤、老化防止剤、軟化剤、ワックス、可塑剤等、従来から公知の各種のゴム用配合剤が、必要に応じて、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、適宜に配合せしめられることとなる。
【0028】
なお、補強剤としてのカーボンブラックは、通常のゴム組成物において一般的に用いられているものであるが、本発明においては、そこで用いられる有機化層状粘土鉱物が補強剤の如く作用して、ゴムの硬度や強度等を向上せしめる働きがあるところから、所望とするゴム硬度等が得られるように、有機化層状粘土鉱物の配合量に応じて、カーボンブラック等の補強剤の配合量が調整されることとなる。特に、この補強剤としてのカーボンブラックは、その配合量が多くなると、動倍率を高くして、動ばね特性に悪影響をもたらすようになるところから、一般に、ジエン系ゴム材料と(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料の二つのゴム材料の合計量の100重量部に対して、5〜50重量部の割合において、配合せしめられることとなる。
【0029】
そして、前記した有機化層状粘土鉱物及び液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料を用い、更に加えて、上記したその他の必要なゴム用配合剤等を用いて、それらを、ジエン系ゴム材料中に配合せしめ、以て、本発明に従うゴム組成物を調製するに際しては、当業者に自明な各種の手法が採用され得、例えば、バンバリーミキサーやロール機等の公知の混練装置を用いて、通常の混練り操作にて練り込んで、目的とするゴム組成物が調製されることとなるが、特に、本発明にあっては、前述せる如く、有機化層状粘土鉱物と液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料とがマスターバッチとして調製されて、ジエン系ゴム材料中に混練せしめられるようにした手法が、有利に採用されることとなる。なお、かかるマスターバッチは、よく知られているように、最終的な配合対象であるジエン系ゴム材料の一部を用いて、それに有機化層状粘土鉱物及び(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料を均一に混練せしめることによって、調製され得るものである。
【0030】
また、かくの如き混練り操作にあっては、本発明では、未加硫のジエン系ゴム材料中において、有機化層状粘土鉱物が、所期の特性を発揮し得る程度にて微細に分散するまで行う必要があることから、混練条件は、所望の分散状態が有利に得られるように、ジエン系ゴム材料や有機化層状粘土鉱物の種類や使用量の他、混練装置の性能等を加味して、適宜に設定されることとなる。しかして、そのような混練り操作によって、有機化層状粘土鉱物は、ジエン系ゴム材料中において微細な粒子形態をもってナノ分散した状態で存在せしめられることとなるのである。なお、そのようなナノ分散せしめられる層状粘土鉱物の粒子サイズとしては、要求される特性が良好に発揮され得るように、前記した混練操作等によって適宜に調整されるものであり、特に制限されるものではないものの、一般に、マトリックス中に含まれる分散層のサイズがナノメートルオーダー(10−7m〜10−9m)となるように調製されることが望ましく、例えば、厚み:約1nm、長さ:50〜1000nm程度の板状結晶が、マトリックス中においてバラバラに分散せしめられ、有利には、層間距離が85Å以上となるように、分散せしめられることとなるのである。
【0031】
そして、このようにして得られるゴム組成物には、さらに、加硫剤が均一に混練せしめられ、その後、所定の温度に加熱せしめられて、かかるゴム組成物中のゴム材料が加硫されることにより、本発明の目的とする、防振ゴム等のゴム製品が製造されることとなるのである。
【0032】
なお、未加硫のゴム材料や、有機化された層状粘土鉱物、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料、更には加硫剤を始めとする各種ゴム用配合剤等のゴム原料を、それぞれ、混練装置に導入するに際し、その導入順序としては、上述の場合に何等限定されるものではなく、また、有機化層状粘土鉱物と液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料とが少量のジエン系ゴム材料と共にマスターバッチとして予め準備される他、それら配合成分を同時に装置に供給するようにしても、また加硫剤を除く全てのゴム原料を供給して、予備混練(ベース練り)し、その後の混練り(仕上げ混練り)の際に加硫剤を供給するようにしても、何等差し支えないのである。
【0033】
また、加硫条件にあっても、ゴム材料の種類や使用量等に応じて、適宜に設定され得るものである。加えて、かかる加硫の具体的手法も何等限定されるものではなく、成形と同時に加硫を行うプレス加硫等の、従来から公知の各種の手法が採用され得るのである。また、このような加硫成形操作においては、その加硫時において、或いは加硫後において、鉄材質やアルミ材質からなる所定の金具の接着操作を行っても何等支障はなく、更に、そのようにして作製されたゴム製品、例えばエンジンマウント等の防振ゴムの形状、サイズ等も、特に限定されるものではなく、用途等に応じて、適宜に設定され得るものである。
【0034】
そして、かくの如くして得られるゴム製品は、低動倍率、換言すれば、低動ばね特性が必要とされる防振を目的とする防振ゴムとして、有利に用いられることとなる。中でも、自動車用防振ゴムとして用いられる場合にあっては、エンジンマウント、ボデーマウント、キャブマウント、メンバーマウント、ストラットマウント、ストラットバークッション、サスペンションブッシュ等として、有利に用いられることとなるのである。
【0035】
【実施例】
以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には、上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0036】
−有機化層状粘土鉱物の調製−
先ず、層状粘土鉱物たるスメクタイト(ナトリウム型モンモリロナイト)10gを、80℃の水1Lに分散させる一方、有機オニウムイオンたるジ硬化牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド(花王株式会社製)5gを、80℃の水0.5Lに溶解させた。そして、それら両者の液体を、一気に混合せしめることによって、イオン交換を実施した。次いで、その沈殿物を水で洗浄した後、乾燥せしめて、有機化されたスメクタイト(有機化スメクタイト)を得た。
【0037】
−イオン結合の確認−
かかる得られた有機化スメクタイトの一部を用いて、強熱減量、即ち、熱重量分析(TGA)による加熱減量測定により、有機化スメクタイト中の無機含量を測定したところ、約60重量%であった。かかる強熱減量の条件としては、昇温速度:20℃/分、温度範囲:室温〜800℃を採用した。また、X線回折により、得られた有機化スメクタイトの層間距離を測定したところ、38Åであった。なお、有機化処理の施されていないスメクタイトの層間距離は、約10Åであった。
【0038】
−マスターバッチの調製−
ゴム材料として天然ゴム(NR)材料を用い、その100重量部に対して、上記で得られた有機スメクタイトの50重量部と、前記構造式(I)におけるRがメチル基、Yがエチレン基である、官能基数:3、分子量:25000のメタクリレート化液状イソプレンゴム材料(株式会社クラレ製LIR:UC−1)の50重量部とを、バンバリーミキサーを用いて、160℃、120rpmの条件下に、4分以上混練せしめることにより、目的とするマスターバッチを調製した。
【0039】
このようにして得られたマスターバッチについて、X線回折により、有機スメクタイトの層間距離を測定したところ、85Å以上となり、配合せしめた有機化スメクタイトが、NR材料中において層状にナノ分散せしめられていることを、確認した。
【0040】
−ゴム組成物の調製−
次いで、下記表1に示される各種の配合組成に従って、バンバリーミキサー内に、NR材料と、上記で調製されたマスターバッチと、カーボンブラック(HAFカーボン)及び加硫促進助剤:酸化亜鉛+ステアリン酸とを仕込んで、混練せしめた後、更に、加硫剤:硫黄、加硫促進剤:OBS+CBSとを、下記表1に示される割合にて添加し、ロール機にて混練りして、均一に配合せしめることにより、実施例及び比較例に係るゴム組成物を調製した。
【0041】
【表1】
【0042】
そして、かくの如くして得られた未加硫のゴム組成物を、150℃×20分の条件下にプレス加硫成形することにより、2つのゴム材料を加硫せしめて、動特性試験、硬さ試験、及び引張試験のためのテストピースを、それぞれ作製した。
【0043】
なお、動特性試験のためのテストピースは、先ず、上記加硫成形操作により、直径:50mm及び高さ:25mmの円柱形状を呈する加硫ゴム材料を作製した後、かかる加硫ゴム材料の上下面に対して、直径:60mm及び厚さ:6mmの鉄製円盤金具の一対を接着剤にて接着せしめることにより、作製した。また、硬さ試験用のテストピースとしては、JIS−K−6253−1997の「加硫ゴム物理試験方法」における「デュロメータ硬さ試験」に定められる、厚さ:2mmの試験片を作製する一方、引張試験用のテストピースとしては、JIS−K−6251−1993の「加硫ゴムの引張試験方法」に規定される「ダンベル状試験片(3号型)」を作製した。
【0044】
そして、このようにして得られた本発明例及び比較例に係る各テストピースを用いて、特開2001−302846号公報に開示の動特性試験、硬さ試験、並びに引張試験を行い、その結果を、下記表2に示した。なお、本実施例における動特性試験では、更に、周波数:15Hzにおける損失係数:tanδを求め、その結果も、また、下記表2に併せ示した。
【0045】
【表2】
【0046】
かかる表2の結果より明らかなように、本発明例1及び2のそれぞれのテストピースは、それらと同程度の硬さを狙って作製された比較例3に係るテストピースに比べて、高い破断強度及び破断伸びを有していると共に、動倍率の値が小さく、これにより、100Hzの振動に対する動ばね特性において低くなる特徴を有するものであることが、理解される。また、比較例1,2に係るテストピースは、ゴム硬度が低く、防振ゴム製品の用途において問題があることに加えて、損失係数の値が小さく、15Hzの振動に対して減衰性に劣るものであることが、理解されるのである。
【0047】
加えて、本発明例1及び2に係るテストピースにあっては、JISA硬度(Hs)が50以上で、大きな損失係数を有するものであると共に、動倍率(Kd100 /Ks)の値も小さくなるという優れた特徴を有しているのである。
【0048】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明に従う低動倍率化ゴム組成物にあっては、高い破断強度や破断伸びを確保しつつ、優れた損失係数を有し、更には動倍率の小さなゴム製品が、有利に実現され得るのであり、以て、優れた特性を有する低動倍率化ゴム製品の提供が可能となったのである。
Claims (7)
- ジエン系ゴム材料中に、有機化層状粘土鉱物が、液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料を用いて、ナノ分散せしめられていることを特徴とする低動倍率ゴム組成物。
- 前記有機化層状粘土鉱物が、前記二つのゴム材料の合計量の100重量部に対して、1〜30重量部の割合において用いられている請求項1に記載の低動倍率ゴム組成物。
- 前記液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料が、前記二つのゴム材料の合計量に対して1〜20重量%の割合において用いられている請求項1または請求項2に記載の低動倍率ゴム組成物。
- 前記有機化層状粘土鉱物が、炭素数6以上の有機オニウムイオンがイオン結合することによって有機化されたものである請求項1乃至請求項3の何れかに記載の低動倍率ゴム組成物。
- カーボンブラックが、前記二つのゴム材料の合計量の100重量部に対して、5〜50重量部の割合において配合せしめられている請求項1乃至請求項5の何れかに記載の低動倍率ゴム組成物。
- 前記有機化層状粘土鉱物が、前記液状の(メタ)アクリレート化イソプレンゴム材料と共に、マスターバッチとして調製されて、前記ジエン系ゴム材料中にナノ分散せしめられている請求項1乃至請求項6の何れかに記載の低動倍率ゴム組成物。
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