JP2004149591A - ポリイミドフィルムおよびそれを用いたフレキシブル回路基板用スティフナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】厚みが120μm以上であり、かつ引裂強さの変動幅をd(N/mm)、引裂強さの平均をF(N/mm)としたとき、式1で示されるRが35%以下であることを特徴とするポリイミドフィルム。
R(%)=(d/F)×100・・・・・・・・・・・・(式1)
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、打ち抜き性に優れフレキシブル回路基板のコネクター部及び部品実装部のスティフナーとして好適に用いることのできるポリイミドフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
フレキシブル回路基板は柔軟で薄いベースフィルム上に回路パターンを形成し、その表面にカバーレイを施したものを基本的な構造としており、近年、フレキシブル回路基板は、その可撓性などの優秀な機能により、電子技術分野において広く利用されるようになってきている。また、近年の実装技術の進歩により、高密度実装化の要求は急激に高まり、フレキシブル回路基板に直接に部品搭載をする部品実装用フレキシブル回路基板が多用されてきている。かかる部品実装用フレキシブル回路基板においては、補強材(スティフナー)で裏打ちしたり、絶縁フィルムを厚くして用いられている。
【0003】
ポリイミドフィルムは機械特性、電気特性、耐化学薬品性、耐熱性、耐環境性などの点で優れていることから部品実装用フレキシブル回路基板のスティフナーとして幅広く使用されている。
【0004】
そして、ポリイミドフィルムを上記の用途に適用するに際しては、搬送や導通などを目的として、フィルムにスプロケットホールやピンホールなどの穴を空ける作業が一般的に適用されている。
【0005】
ここで、ポリイミドフィルムに穴を空ける方法としては、金型による打ち抜き法、レーザー加工法およびアルカリエッチング法などの方法が挙げられるが、安価でかつ大量な穴空けが可能な方法である金型による打ち抜きが広く用いられている。
【0006】
しかしながら、ポリイミドフィルムに金型による打ち抜き法を適用する場合には、厚み方向の不均一性および強度不足のため、フィルム切り口にフィルムから発生するバリや屑が発生し、これらが導通不良となったり、切り屑が金型に付着すると、打ち抜き工程を繰り返していくうちに付着していた切り屑が接着剤上に落ちて密着不良の原因となることがあった。
【0007】
これらの欠点を解決するために、従来から端裂抵抗や、最大剪断荷重や、引き裂き伝搬抵抗を一定範囲に規定することが行われている(特許文献1〜3参照)。しかしこれらに規定されるフィルムにおいても打ち抜き性に劣ることがあった。またトラウザー引き裂き法による引き裂き強さの変動幅で打ち抜き改善を図った例(特許文献4参照)もあるが、フィルム厚みには言及がなく、実施例に示されているフィルムの厚みも75μmと本発明の目的に対しては薄すぎ、スティフナー用途として用いるには不十分である場合があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−334110号公報
【特許文献2】
特開平11−274390号公報
【特許文献3】
特開平8−48795号公報
【特許文献4】
特開2002−80623号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題を解決し、スティフナー用途として使用したときに打ち抜き性に優れたポリイミドフィルムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記した本発明の目的は、厚みが120μm以上であり、かつ引裂強さの変動幅をd(N/mm)、引裂強さの平均をF(N/mm)としたとき、式1で示されるRが35%以下であることを特徴とするポリイミドフィルムによって達成される。
【0011】
R(%)=(d/F)×100・・・・・・・・・・・・(式1)
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のフィルムの厚みは120μm以上である。スティフナー用途として好ましくは150μm以上、更に好ましくは170μm以上である。フィルムの厚みが120μm未満であると、フィルムの腰の強さが不十分でありスティフナー用途として用いることが出来ない場合がある。
【0013】
本発明のフィルムの引裂強さの変動幅をd(N/mm)、引裂強さの平均をF(N/mm)としたとき、式1で示されるRが35%以下であることが必要である。
【0014】
R(%)=(d/F)×100・・・・・・・・・・・・(式1)
この関係は任意の引き裂き方向で満たされることが本発明のフィルムを得る上で重要である。
【0015】
ここでいう引裂強さの変動幅d、および平均Fは直角形引裂法(JIS K7128−3)に準じて求められる値のことであり、以下のようにして測定する。
【0016】
図1に示す試験片の両端をつまみ具で固定し20mm/minの速度で上下に引っ張る。その時引裂力−引裂長さグラフが記録される。引裂強さは引裂力をフィルム厚みで割ることによって求められる。得られたグラフから、波長0.5mm以上のうねり成分をカットオフし、引裂開始時からの15mmを除外した25mmを測定範囲とし、その平均値を引裂強さの平均Fとし、また引裂強さの最大値と最小値を求め、この差を変動幅dとした。
【0017】
本測定法の基礎となる直角形引裂法は本来引裂を開始するときの力を測定することを目的としたものであり、引裂強さを測定する方法としてはトラウザー引裂法が用いられることが多い。しかし、本発明で改善を目的としているスティフナー用途での打ち抜きを考える場合、本測定のように切り口がない状態から測定を行う方法のほうが実際の工程に即しているといえる。
【0018】
フィルムの厚み方向での機械的特性が均一で無い場合は、引裂強さが時間経過と共に大きく変動し、つまり引裂強さの平均に対する引裂強さの変動幅の割合を示したRも大きく変動する。反対にフィルムの厚み方向での機械的特性が均一な場合は時間経過による変動幅は小さくなり、Rも小さくなる。
【0019】
Rは好ましくは30%以下、さらに好ましくは25%以下であると打ち抜き性が優れたフィルムとなり好ましい。
【0020】
Rが35%より大きい場合は、フィルムの厚み方向での機械特性が均質でないため、層状破壊などが起き打ち抜き性が悪化することがある。
【0021】
本発明のフィルムはL値が11以下であると好ましい。好ましくはL値が10以下、更に好ましくは9以下であると、打ち抜き性がよくなり好ましい。
【0022】
本発明でいうL値とは、JIS Z 8730の色差表示方法に規定されているものである。具体的には、ハンター色差によるLab系色座標(図2)を有しており、JIS Z 8722に規定する三刺激値X、Y、Zから次式によってL値が計算される。
【0023】
L値=10Y1/2
a=17.5(1.02X−Y)/Y1/2
b=7.0(Y−0.847Z)/Y1/2
(a,b=ハンターの色差式におけるクロマティクネス指数
X、Y、Z:XYZ系における三刺激値)
本発明のフィルムは、例えば、次のような方法で製造できるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0024】
本発明のフィルムを製造するに際しては、まず芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とを有機溶媒中で重合させることにより、ポリアミック酸溶液を得る。
【0025】
上記芳香族ジアミン類の具体例としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンチジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(3メチル−5アミノフェニル)ベンゼンおよびこれらのアミド形成性誘導体が挙げられる。
【0026】
上記酸無水物成分の具体例としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸およびこれらのアミド形成性誘導体などの酸無水物が挙げられる。
【0027】
また、本発明において、ポリアミック酸溶液の形成に使用される有機溶媒の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−,m−,またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどの非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、これらを単独又は混合物として用いるのが望ましいが、さらにはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の使用も可能である。
【0028】
また、本発明のフィルムを得るために下記化学式に示すような架橋能をもつ酸無水物を添加し、ポリマーの末端を封鎖することが好ましい。架橋能を持つ酸無水物の添加時期は重合反応を阻害しない限りにおいて、重合のどの段階で添加しても構わない。
【0029】
【化1】
【0030】
本発明のフィルムを得るためには、架橋剤を添加することが好ましい。
【0031】
ここでいう架橋剤とは、加熱、光照射、硬化剤の添加などにより分子鎖が伸長、硬化することを特徴とする化合物をいう。例えばローヌプーラン社製“ケルイミド”、三菱ガス化学社製“BTレジン”などのビスマレイミド型熱硬化型ポリイミド、アメリカ航空宇宙局(NASA)で開発された“PMR−15”、“LARK−160”などのノルボルネン末端反応型熱硬化型ポリイミド、あるいはHugesエアクラフト社製の”THERMID”、大日本インキ化学(株)のエピクロン、ジャパンエポキシレジン(株)のエピコートなどエポキシを例示することが出来るが、これに限定するものではない。
【0032】
架橋剤の添加時期は各々の架橋剤でポリアミック酸重合後、重合前のジアミン溶液、酸無水物の添加後など適切に求められるものであるが、添加の容易さからポリアミック酸重合後に添加することが望ましい。
【0033】
架橋剤の添加量はポリアミック酸に対して0.1〜10重量%であり、更に好ましくは1〜8重量%、更に好ましくは2〜7%であると引裂強さの変動幅が本願の規定する範囲となり、打ち抜き性が良くなるため好ましい。架橋剤の添加量が0.1重量%より少ないと架橋剤の効果が見られないことがある。また添加量が10重量%を越えるようだと、架橋が進みすぎ堅くもろいフィルムになってしまうことがある。
【0034】
ここで得られるポリアミック酸溶液は、固形分を5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%を含有しており、またその粘度はブルックフィールド粘度計による測定値で10〜2000Pa・s、好ましくは、100〜1000Pa・sのものが、安定した送液のために好ましく使用される。また、有機溶媒溶液中のポリアミック酸は部分的にイミド化されていてもよい。
【0035】
次に、本発明のフィルムの製造方法について説明する。
【0036】
ポリイミドフィルムを製膜する方法としては、ポリアミック酸溶液をフィルム状にキャストし熱的に脱環化脱溶媒させてポリイミドフィルムを得る方法、およびポリアミック酸溶液に環化触媒及び脱水剤を混合し化学的に脱環化させてゲルフィルムを作成しこれを加熱脱溶媒することによりポリイミドフィルムを得る方法が挙げられ、いずれの方法を用いてもよく、化学的方法と熱的方法を併用しても良い。本発明のフィルムを得るためには後者の化学的に脱環化させる方法を用いる方がフィルムの厚み方向の機械的特性が均一化するため、打ち抜き性の改善には好ましい結果が得られる。
【0037】
化学的に脱環化させる方法においては、まず上記ポリアミック酸溶液を調製する。
【0038】
なお、このポリアミック酸溶液は、必要に応じて、酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムおよびポリイミドフィラーなどの化学的に不活性な有機フィラーや無機フィラーを、30重量%未満濃度で含有することができる。
【0039】
ここで使用するポリアミック酸溶液は、予め重合したポリアミック酸溶液であっても、またフィラー粒子を含有させる際に順次重合したものであってもよい。
【0040】
上記ポリアミック酸溶液は、環化触媒(イミド化触媒)、脱水剤およびゲル化遅延剤などを含有することができる。
【0041】
本発明で使用される環化触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミンなどの脂肪族第3級アミン、ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン、およびイソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどの複素環第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種類のアミンを使用するのが好ましい。
【0042】
本発明で使用される脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられるが、無水酢酸および/または無水安息香酸が好ましい。
【0043】
ポリアミック酸溶液からポリイミドフィルムを製造する方法としては、環化触媒および脱水剤を含有せしめたポリアミック酸溶液をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体より剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う。
【0044】
上記ポリアミック酸溶液は、スリット状口金を通ってフィルム状に成型され、加熱された支持体上に流延され、支持体上で熱閉環反応をし、自己支持性を有するゲルフィルムとなって支持体から剥離される。
【0045】
上記支持体とは、金属製の回転ドラムやエンドレスベルトであり、その温度は液体または気体の熱媒によりおよび/または電気ヒーターなどの輻射熱により液体または気体の熱媒によりおよび/または電気ヒーターなどの輻射熱により制御される。
【0046】
上記ゲルフィルムは、支持体からの受熱および/または熱風や電気ヒーターなどの熱源からの受熱により30〜200℃、好ましくは40〜150℃に加熱されて閉環反応し、遊離した有機溶媒などの揮発分を乾燥させることにより自己支持性を有するようになり、支持体から剥離される。
【0047】
上記支持体から剥離されたゲルフィルムは、通常回転ロールにより走行速度を規制しながら走行方向に延伸される。延伸は、140℃以下の温度で1.05〜1.9倍、好ましくは1.1〜1.6倍、さらに好ましくは1.1〜1.5倍の倍率で実施される。走行方向に延伸されたゲルフィルムは、テンター装置に導入され、テンタークリップに幅方向両端部を把持されて、テンタークリップと共に走行しながら、幅方向へ延伸される。上記の乾燥ゾーンで乾燥したフィルムは、熱風、赤外ヒーターなどで15秒から10分加熱される。次いで、熱風および/または電気ヒーターなどにより、250〜500℃の温度で15秒から20分熱処理を行う。
【0048】
【実施例】
本発明の物性の測定方法、効果の評価方法は次の方法による。
(1)引裂強さの変動幅d、および平均F、R
引裂強さの変動幅d、および平均Fは直角形引裂法(JIS K7128−3)に準じて、以下のようにして測定した。
【0049】
図1に示す試験片の両端をつまみ具で固定し20mm/minの速度で上下に引っ張る。その時引裂力−引裂長さグラフが記録される。引裂強さは引裂力をフィルム厚みで割ることによって求められる。得られたグラフから、波長0.5mm以上のうねり成分をカットオフし、引裂開始時からの15mmを除外した25mmを測定範囲とし、その平均値を引裂強さの平均Fとし、また引裂強さの最大値と最小値を求め、この差を変動幅dとした。ここでいう波長とは実際の引裂長さにもとづくものである。得られた平均Fおよび変動幅dからRを式1によって求めた。
【0050】
R(%)=(d/F)×100・・・・・・・・・・・・(式1)
(2)L値
スガ試験機株式会社製の「SM7 カラーコンピュータ model SM−7 Ver 1.00」を使用し、それぞれ以下のように条件を選定して測定した。
【0051】
光学系 :2光路光学系 反射
光源・視野:C光 2゜視野
表示選択 :Lab
測定後、L,a,bが自動的に印刷されるが、このうちLの値をL値として扱った。
(3)打ち抜き性の評価
ポリイミドフィルムを4μmクリアランスに設定されたダイ上に載せ、ピンにより0.5mm径の穴を500個打ち抜いた。その時バリ・切り屑の発生した穴の数により以下のように評価した。
【0052】
◎:バリ、切り屑の発生した穴の数が 25個以下
○:バリ、切り屑の発生した穴の数が 26個以上75個以下
△:バリ、切り屑の発生した穴の数が 76個以上150個以下
×:バリ、切り屑の発生した穴の数が 151個以上
[実施例1]
DCスターラーを備えた300mlセパラブルフラスコ中に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル19.43g(97mmol)、N,N’−ジメチルアセトアミド149.5gをいれ窒素雰囲気下、室温で撹拌した。30分撹拌後、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸二無水物0.159g(0.97mmol)を加えて撹拌した。更に30分から1時間後にピロメリット酸二無水物20.53g(94mmol)を数回に分けて投入した。1時間撹拌した後、ピロメリット酸二無水物のN,N’−ジメチルアセトアミド溶液(6重量%)10.58gを30分かけて滴下し更に1時間撹拌した。これをポリアミック酸溶液Aとする。
【0053】
一方、PMR−15溶液の調整は下記のように行った。DCスターラーを備えた300mlセパラブルフラスコ中に4,4’−ジアミノジフェニルメタン9.91g(50mmol)、N,N’−ジメチルアセトアミド103.86gをいれ窒素雰囲気下、室温で撹拌した。30分撹拌後、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物10.63g(33mmol)を数回に分けて投入した。1時間撹拌したのち5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物5.41g(33mmol)を投入し更に30分撹拌した。
【0054】
100gのポリアミック酸溶液AにPMR15溶液を5.08g添加し、撹拌、脱泡して得られたポリアミック酸混合物溶液の一部をポリエステルフィルム上にとり、スピンコーターを用いて均一な膜を形成した。これを100℃のオーブンで1時間加熱することにより自己保持性のポリアミック酸フィルムを得た。得られたポリアミック酸フィルムを200℃30分、300℃20分、400℃5分の条件で熱処理を行うことにより、厚さ175μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの引裂強さを測定したところ、表1に示す通りRは20%、L値は9、打ち抜き性を評価したところ○であり、フレキシブル回路基板用スティフナーとして良好な特性を示した。
[実施例2]
5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸二無水物を加えない以外は実施例1と同様の操作でポリアミック酸溶液を得た。これをポリアミック酸溶液Bとする。
【0055】
100gのポリアミック酸溶液Bに実施例1で得られたPMR−15溶液を5.08g添加し、得られたポリアミック酸混合物溶液を用いて実施例1と同様に製膜し、ポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表1に示すとおり打ち抜き性は○であり、フレキシブル回路基板用スティフナーとして良好な特性を示した。
[実施例3]
実施例2で得たポリアミック酸溶液B100gに実施例1で得たPMR−15溶液を1.02gを添加し、得られたポリアミック酸混合物溶液を用いて実施例1と同様に製膜しポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表1に示すとおり打ち抜き性は△であり、フレキシブル回路基板用スティフナーとして実用レベルであった。
[実施例4]
実施例2と同様にして得られた100gのポリアミック酸溶液Bに実施例1で得たPMR−15溶液を5.08g添加し、−5℃まで冷却した後、βピコリン4.97gと無水酢酸5.45gを加えた。こうして得られたポリアミック酸混合物溶液を用いて、実施例1と同様に製膜しポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表1に示すとおり打ち抜き性は◎であり、フレキシブル回路基板用スティフナーとして優れた特性を示した。これは化学的イミド化を採用することにより、厚み方向の物性がより均一になったためと考えられる。
[比較例1]
実施例2で得られたポリアミック酸溶液Bを用いて実施例1と同様に製膜しポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表1に示すとおり打ち抜き性は×であり、フレキシブル回路基板用スティフナーとして実用に耐える物ではなかった。これは架橋していないために層状破壊が起こりRが大きくなり、結果として打ち抜き性が悪化したものと考えられる。
[比較例2]
実施例2で得られたポリアミック酸溶液B100gに実施例1で得られたPMR−15溶液12.18gを添加し、得られたポリアミック酸混合物溶液を用いて実施例1と同様に製膜しポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表1に示すとおり打ち抜き性は×であり、フレキシブル回路基板用スティフナーとして実用に耐える物ではなかった。これは架橋剤が過剰なため、可撓性に欠け、それに伴いRが大きくなってしまい、結果として打ち抜き性が悪化したものと考えられる。
[比較例3]
自己保持性のポリアミック酸フィルムの熱処理を200℃30分、300℃20分、430℃10分としたほかは、実施例2と同様に重合、製膜し、ポリイミドフィルムを得た。このフィルムの特性は表1に示すとおり打ち抜き性は×であり、フレキシブル回路基板用スティフナーとして実用に耐える物ではなかった。これは熱処理温度が高く、時間も長いために架橋剤が変性してしまい、本来の効果を失ったためと考えられる。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】
本発明のポリイミドフィルムは、打ち抜き性に優れフレキシブル回路基板のコネクター部及び部品実装部のスティフナーとして好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】引き裂き強さを測定するための試験片である。
【図2】ハンター色差によるLab系色座標である。
Claims (4)
- 厚みが120μm以上であり、かつ引裂強さの変動幅をd(N/mm)、引裂強さの平均をF(N/mm)としたとき、式1で示されるRが35%以下であることを特徴とするポリイミドフィルム。
R(%)=(d/F)×100・・・・・・・・・・・・(式1) - L値が11以下であることを特徴とする請求項1に記載のポリイミドフィルム。
- ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸に対し、架橋剤を0.1〜10重量%含有せしめたポリアミック酸混合物を原料とすることを特徴とする請求項1または2に記載のポリイミドフィルム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミドフィルムをフレキシブル回路基板の補強板として用いたことを特徴とするフレキシブル回路基板用スティフナー。
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