JP2013203759A - ポリイミドフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 密着性に優れ、COFのベースフィルムとして特に有用なポリイミドフィルムを提供すること。
【解決手段】 フィルム表面に垂直な偏光を用い、1500cm−1の赤外吸収において、下記式を満たすポリイミドフィルム。
0.9<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)<1.1
MDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
MDGe : Geプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDGe : Geプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
【選択図】 なし
【解決手段】 フィルム表面に垂直な偏光を用い、1500cm−1の赤外吸収において、下記式を満たすポリイミドフィルム。
0.9<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)<1.1
MDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
MDGe : Geプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDGe : Geプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
【選択図】 なし
Description
本発明は、ポリイミドフィルムに関する。さらに詳しくは、フィルムの表層と内部での配向の差が小さく、かつ密着性に優れたポリイミドフィルムに関する。
ポリイミドフィルムは、その優れた耐熱性、耐薬品性、電気特性から、電線の電気絶縁材料、チップオンフィルム(COF)、フレキシブルプリント配線基板(FPC)のベースフィルム、ICのテープオートメイティッドボンディング(TAB)用のキャリアテープフィルム、およびICのリードフレーム固定用テープ等に広く利用されている。
電子機器の小型化、軽量化、高機能化、多機能化および高密度実装化に伴い、これらの電子機器に用いられるプリント配線板は、導体幅と導体間の狭小化、多層化、フレキシブル化および基板の薄膜化により高密度化が急速に進んでいる。
従来から、ポリイミドフィルムに接着剤層を介して導体層としての銅箔を貼り合せた3層構造のフレキシブルプリント配線用基板が知られている。この3層構造タイプのフレキシブルプリント配線用基板は、用いられる接着剤の耐熱性がポリイミドフィルムより劣るため、加工後の寸法精度が低下するという問題があった。
一方、ポリイミドフィルム上に接着剤を用いることなく、湿式めっき法や乾式めっき法(例えば、真空蒸着法、スパッタリング法およびイオンプレーティング法など)により、導体層としての金属層を形成させた2層構造タイプのフレキシブルプリント配線基板が知られている(特許文献1〜3)。これらの接着剤を用いないめっき法2層タイプのフレキシブルプリント配線基板は、接着剤がないために耐熱性が高く、加工後の寸法精度において有利となる。
このメッキ法2層構造タイプのフレキシブルプリント配線用基板は、導体層を10μmよりも薄くすることができるため、FPCの屈曲性が非常に良好であるとともに高密度配線が可能であるが、接着剤を用いた3層タイプのフレキシブルプリント配線用基板に比べて導体層とポリイミドフィルムの密着力が低いという欠点があった。見かけの密着力は導体層の厚みに比例するため、導体層が18μmや35μmというように厚い場合には密着力はさほど問題にはならないが、10μm未満というように導体層厚みが薄くなってくると密着力の値は小さくなり、より高いレベルの密着力が要求される。
めっき法2層基材においては通常、めっき前のベースフィルムに、前処理として真空プラズマ処理、イオン照射、コロナ放電処理あるいは常圧プラズマ処理等を実施することが知られている(特許文献4)。しかしながら、これらの技術だけでは、近年の回路のピッチが40μmを下回るようなファインピッチに対する密着力を得るには十分ではなかった。また、熱負荷が回路にかかるような場合、高温高湿の雰囲気に回路がさらされるような場合、上記のような表面処理は条件によってはかえって密着力を低下させる場合もある。
本発明の目的は、密着性に優れたポリイミドフィルムを提供することにある。
上記背景から、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、フィルムの表層と内部での配向の差を小さくすることにより、密着性の優れたポリイミドフィルムを得られることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、フィルム表面に垂直な偏光を用い、1500cm−1の赤外吸収において、下記式を満たすことを特徴とするポリイミドフィルムを提供するものである。
0.9<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)<1.1
MDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
MDGe : Geプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDGe : Geプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
すなわち、本発明は、フィルム表面に垂直な偏光を用い、1500cm−1の赤外吸収において、下記式を満たすことを特徴とするポリイミドフィルムを提供するものである。
0.9<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)<1.1
MDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
MDGe : Geプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDGe : Geプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
本発明のポリイミドフィルムは、フィルムの表層と内部での配向の差が小さく、かつ密着性に優れているため、チップオンフィルム(COF)、フレキシブルプリント配線基板(FPC)ベースフィルムとして特に有用である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明のポリイミドフィルムは、フィルム表面に垂直な偏光を用い、1500cm−1の赤外吸収において、下記式を満たすことを特徴とする。
0.9<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe) <1.1
MDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
MDGe : Geプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDGe : Geプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度 。
0.9<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe) <1.1
MDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
MDGe : Geプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDGe : Geプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度 。
本発明のポリイミドフィルムは、好ましくは、
0.92<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)<1.08
であり、
0.95<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)<1.05
であれば更に好ましい。
0.92<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)<1.08
であり、
0.95<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)<1.05
であれば更に好ましい。
(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)が、0.9以下であると、フィルムの表層と内部での配向の差が大きく、密着性に劣る。また、(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)が、1.1以上であるとィルムの表層と内部での配向の差が大きく、密着性に劣る。本発明のポリイミドフィルムは、表層の影響のみを反映するGeプリズムと、より深いところまで反映するZnSeプリズムで測定した場合、両者の配向が同じ又は近いので、表層と内部が、かなり一体化しており、表層と内部の密着力が高い。
本発明のポリイミドフィルムは、接着剤を介して銅箔と熱圧着した際に、下記の方法により測定した剥離強度が20N/cm以上であるポリイミドフィルムであることが好ましい。
剥離強度は、接着剤フィルムであるパイララックスR(デュポン社の登録商標)LF-0100を用いて、ポリイミドフィルムと銅箔(厚み35μm、ジャパンエナジー社製BAC-13-T)とを、180℃、4.4×107Paで60分間加熱圧着し、得られた接着物をJIS C5016−1994に記載の方法で引き剥がした強さを剥離強度である。接着強度が20N/cmに満たないようであるとフィルムの凝集破壊、もしくは界面剥離が起こっている場合があり、好ましくない。
本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルムが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンとのモル比が60/40〜90/10である芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とのモル比が80/20〜60/40である酸無水物成分とからなるポリアミド酸から製造されたものであることが好ましい。
次に、本発明のポリイミドフィルムの製造方法について、以下に、例示して説明する。
本発明のポリイミドフィルムの製造工程は、例えば、(1)芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とを有機溶媒中で重合させ、ポリアミド酸溶液を得る工程、(1)前記工程(2)で得られたポリアミド酸溶液を環化反応させてゲルフィルムを得る工程を含むことができる。
工程(1)は、芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とを有機溶媒中で重合させ、ポリアミド酸溶液を得る工程である。
上記芳香族ジアミンの具体例としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンジジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(3メチル−5アミノフェニル)ベンゼンまたはこれらのアミド形成性誘導体が挙げられる。この中で、フィルムの引張弾性率を高くする効果のあるパラフェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミンの量を調整し、最終的に得られるポリイミドフィルムの引張弾性率が4.0GPa以上にすることが好ましい。これらの芳香族ジアミンは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。これらの芳香族ジアミンのうち、パラフェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルが好ましい。パラフェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとを併用する場合には、(i)4,4’−ジアミノジフェニルエーテルと、(ii)パラフェニレンジアミンとを69/31〜90/10(モル比)で用いることがより好ましく、70/30〜85/15(モル比)で用いることが特に好ましい。
上記酸無水物成分の具体例としては、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸、またはこれらのアミド形成性誘導体等の酸無水物が挙げられ、芳香族テトラカルボン酸の酸二無水物が好ましく、ピロメリット酸酸二無水物および/または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸酸二無水物が特に好ましい。これらの酸無水物成分は単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、これらのうち、ピロメリット酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とを80/20〜60/40(モル比)で用いることがより好ましく、75/25〜65/35(モル比)で用いることがとりわけ好ましい。
本発明において、ポリアミド酸溶液の形成に使用される有機溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等のホルムアミド系溶媒;N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド等のアセトアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶媒;フェノール、o−,m−,またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等のフェノール系溶媒;あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトン等の非プロトン性極性溶媒を挙げることができ、これらを単独または混合物として用いるのが望ましいが、さらにはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素の使用も可能である。
重合方法は公知のいずれの方法で行ってもよく、特に限定されないが、例えば、(i)先に芳香族ジアミン成分全量を有機溶媒中に入れ、その後酸無水物成分を芳香族ジアミン成分全量と当量になるように加えて重合する方法、(ii)先に酸無水物成分全量を溶媒中に入れ、その後芳香族ジアミン成分を酸無水物成分と等量になるように加えて重合する方法、(iii)一方の芳香族ジアミン成分を溶媒中に入れた後、反応成分に対して酸無水物成分が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、もう一方の芳香族ジアミン成分を添加し、続いて酸無水物成分を全芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とがほぼ等量になるよう添加して重合する方法、(iv)酸無水物成分を溶媒中に入れた後、反応成分に対して一方の芳香族ジアミン成分が95〜105モル%となる比率で反応に必要な時間混合した後、酸無水物成分を添加し、続いてもう一方の芳香族ジアミン成分を全芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とがほぼ等量になるように添加して重合する方法、(v)溶媒中で一方の芳香族ジアミン成分と酸無水物成分をどちらかが過剰になるように反応させてポリアミド酸溶液(A)を調製し、別の溶媒中でもう一方の芳香族ジアミン成分と酸無水物成分をどちらかが過剰になるよう反応させポリアミド酸溶液(B)を調製し、次いで、得られた各ポリアミド酸溶液(A)と(B)を混合し、重合を完結する方法、(vi)(v)において、ポリアミド酸溶液(A)を調製するに際し芳香族ジアミン成分が過剰の場合、ポリアミド酸溶液(B)では酸無水物成分を過剰に、またポリアミド酸溶液(A)で酸無水物成分が過剰の場合、ポリアミド酸溶液(B)では芳香族ジアミン成分を過剰にし、ポリアミド酸溶液(A)と(B)を混ぜ合わせこれら反応に使用される全芳香族ジアミン成分と酸無水物成分とがほぼ等量になるよう調製する方法等が挙げられる。
こうして得られるポリアミド酸溶液は、固形分を5〜40重量%含有しているものが好ましく、10〜30重量%含有しているものがより好ましい。また、ポリアミド酸溶液の粘度は、JIS K6726_1994に従い、ブルックフィールド粘度計を用いた回転粘度計法による測定値であり、特に限定されないが、10〜2000Pa・s(100〜20000poise)のものが好ましく、安定した送液の供給という点から、100〜1000Pa・s(1000〜10000poise)のものがより好ましい。また、有機溶媒溶液中のポリアミド酸は部分的にイミド化されていてもよい。
工程(2)は、前記工程(1)で得られたポリアミド酸溶液を環化反応させてゲルフィルムを得る工程である。前記ポリアミド酸溶液を環化反応させる方法は、特に限定されないが、具体的には、(i)前記ポリアミド酸溶液をフィルム状にキャストし、熱的に脱水環化させてゲルフィルムを得る方法(熱閉環法)、または(ii)前記ポリアミド酸溶液に環化触媒および転化剤を混合し化学的に脱環化させてゲルフィルムを作成し、加熱により、ゲルフィルムを得る方法(化学閉環法)等が挙げられ、得られるポリイミドフィルムの線熱膨張係数を低く抑えることができる点で後者の方法が好ましい。
前記環化触媒としては、特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチレンジアミン等の脂肪族第3級アミン;ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン;イソキノリン、ピリジン、β−ピコリン等の複素環第3級アミン等が挙げられ、イソキノリン、ピリジンおよびβ−ピコリンからなる群から選ばれる1以上の複素環式第3級アミンが好ましい。前記転化剤としては、特に限定されないが、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸等の脂肪族カルボン酸無水物;無水安息香酸等の芳香族カルボン酸無水物等が挙げられ、無水酢酸および/または無水安息香酸が好ましい。これらの転化剤の含有量は、特に限定されないが、ポリアミド酸溶液100重量%に対して、10〜40重量%程度が好ましく、15〜30重量%程度がより好ましい。
フィルムの製膜方法については、例えば、前記ポリアミド酸溶液を用いて、連続製膜装置により製膜することができる。具体的には、前記ポリアミド酸溶液は、スリット状口金を通ってフィルム状に成型され、加熱された支持体上に流延され、支持体上で熱閉環反応をし、自己支持性を有するゲルフィルムとなって支持体から剥離される。
前記支持体としては、好ましくは、金属(例えばステンレス)製の回転ドラム、エンドレスベルト等が例として挙げられ、支持体の温度は(i)液体または気体の熱媒体、(ii)電気ヒーター等の輻射熱等により制御され、特に限定されない。
前記ゲルフィルムは、支持体からの受熱、熱風や電気ヒーター等の熱源からの受熱により加熱されて閉環反応し、遊離した有機溶媒等の揮発分を乾燥させることにより自己支持性を有するようになり、支持体から剥離されることにより得られる。
このとき支持体の温度は100℃以下が好ましく、かつ雰囲気温度が90℃以下であることが本発明のポリイミドフィルムを得るために好ましい。より好ましくは、支持体の温度は95℃以下、雰囲気の温度は80℃以下にすることが本発明のポリイミドフィルムを得るために好ましい条件である。支持体の温度が100℃以下、および雰囲気温度が90℃以下であると、フィルムの内面と外層に温度差が生じることが少なく、本発明のポリイミドフィルムを得ることができる。
剥離されたゲルフィルムから、ポリイミドフィルムを得ることができ、好適な例を以下に説明する。剥離されたゲルフィルムは、通常回転ロールにより走行速度を規制しながら走行方向に延伸される。走行方向への延伸は、好ましくは、1.05〜1.9倍、より好ましくは1.1〜1.6倍、さらに好ましくは1.1〜1.5倍の倍率で実施される。走行方向に延伸されたゲルフィルムはテンター装置に導入され、テンタークリップに幅方向両端部を把持されて、テンタークリップと共に走行しながら、幅方向へ延伸される。幅方向の延伸は、好ましくは、1.05〜2.3倍、より好ましくは1.1〜2.0倍、さらに好ましくは1.1〜1.7倍の倍率で実施される。フィルムは、熱風、赤外ヒーター等で、好ましくは、15秒〜10分加熱される。好ましくは、次いで、熱風および/または電気ヒーター等により、250〜500の温度で15秒から20分熱処理を行い、ポリイミドフィルムを得る。
本発明のポリイミドフィルムの厚さは、3μm以上250μm以下の範囲とすることが好ましく、5μm以上100μm以下範囲とすることがより好ましい。本発明のポリイミドフィルムの幅は、特に限定されない。
このようにして得られたポリイミドフィルムについて、必要に応じてアニール処理を行ってもよい。アニール処理によってフィルムの熱リラックスが起こり加熱収縮率を小さく抑えることができる。アニール処理の温度としては、特に限定されないが、200〜500℃が好ましい。アニール処理からの熱リラックスにより200℃での加熱収縮率をフィルムのMD、TD共に0.05%以下に抑えることができるので、より一層高寸法精度が高くなるという好ましい効果が得られる。具体的には、200〜500℃の炉の中を、低張力下にてフィルムを走行させ、アニール処理を行うことが好ましい。炉の中でフィルムが滞留する時間が処理時間となるが、走行速度を変えることでコントロールすることになり、30秒〜5分の処理時間であることが好ましい。これより処理時間が短いとフィルムに充分熱が伝わらず、長いと過熱気味になり平面性を損なうので好ましくない。また、走行時のフィルム張力は10〜50N/mが好ましく、20〜30N/mがより好ましい。この範囲よりも張力が低いとフィルムの走行性が悪くなり、張力が高いと得られたフィルムの走行方向の熱収縮率が高くなるので好ましくない。
得られたポリイミドフィルムに接着性を持たせるため、フィルム表面にコロナ処理やプラズマ処理のような電気処理あるいはブラスト処理のような物理的処理を行ってもよい。プラズマ処理を行う雰囲気の圧力は、特に限定されないが、通常13.3〜1330kPaの範囲、13.3〜133kPa(100〜1000Torr)の範囲が好ましく、80.0〜120kPa(600〜900Torr)の範囲がより好ましい。
以下に実施例によって本発明の効果を説明する
なお、実施例における各特性値は次に述べる方法により測定した。
なお、実施例における各特性値は次に述べる方法により測定した。
[赤外吸収]
赤外吸収の詳細測定条件は以下のとおり。
使用機器:日本分光製FT/IR-670Plus、ATR-PRO400-S
測定方法:1回反射ATR法(入射角45°)、PL81偏光子使用
測定条件:分解能4cm−1、積算128回
使用プリズム :ZnSe もしくは Ge 。
赤外吸収の詳細測定条件は以下のとおり。
使用機器:日本分光製FT/IR-670Plus、ATR-PRO400-S
測定方法:1回反射ATR法(入射角45°)、PL81偏光子使用
測定条件:分解能4cm−1、積算128回
使用プリズム :ZnSe もしくは Ge 。
[剥離強度]
接着剤フィルムであるパイララックスR(デュポン社の登録商標)LF−0100を用
いて、積層ポリイミドフィルムと銅箔(厚み35μm、ジャパンエナジー社製BAC−1
3−T)とを、180℃、4.4×107 Paで60分間加熱圧着し、得られた接着物をJIS C5016−1994に記載の方法で引き剥がした強さを剥離強度とする。
接着剤フィルムであるパイララックスR(デュポン社の登録商標)LF−0100を用
いて、積層ポリイミドフィルムと銅箔(厚み35μm、ジャパンエナジー社製BAC−1
3−T)とを、180℃、4.4×107 Paで60分間加熱圧着し、得られた接着物をJIS C5016−1994に記載の方法で引き剥がした強さを剥離強度とする。
[密着強度]
ポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理により改質し、ニッケル・クロム合金のシード層を形成後、8μmの銅層を形成させた試料を作成し、パターン形成後100℃の温度で15分乾燥させ、常温常湿下で引きはがし強度:JIS・C6471(180度ピール)(2005年)に準じて評価を行なった。
ポリイミドフィルムの表面をプラズマ処理により改質し、ニッケル・クロム合金のシード層を形成後、8μmの銅層を形成させた試料を作成し、パターン形成後100℃の温度で15分乾燥させ、常温常湿下で引きはがし強度:JIS・C6471(180度ピール)(2005年)に準じて評価を行なった。
[実施例1]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)をモル比で70/30/70/30の割合で用意し、DMAc中で18.5重量%溶液にして重合し、3000poiseのポリアミド酸溶液を得た。
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)をモル比で70/30/70/30の割合で用意し、DMAc中で18.5重量%溶液にして重合し、3000poiseのポリアミド酸溶液を得た。
その後、このポリアミド酸溶液をマイナス5℃で冷却した後、ポリアミド酸溶液100重量%に対して無水酢酸15重量%とベータピコリン15重量%を混合した。この混合溶液を雰囲気温度80℃にて90℃の回転ドラムに30秒流延させた後、得られたゲルフィルムを100℃で5分間加熱しながら、長手方向に1.2倍延伸した。ついで、幅方向両端部を把持して、270℃で2分間加熱しながら幅方向に1.3倍延伸したのち、380℃にて5分間加熱し、38μm厚みのフィルムを得た。このフィルムの(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)は、1.02、剥離強度は21N/cm、密着強度は7N/cmであった。
[実施例2]
雰囲気温度を70℃、回転ドラムの温度を80℃にした以外は実施例1と同様に重合、製膜し、38μm厚みのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)は、0.98、剥離強度は22N/cm、密着強度は7N/cmであった。
雰囲気温度を70℃、回転ドラムの温度を80℃にした以外は実施例1と同様に重合、製膜し、38μm厚みのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)は、0.98、剥離強度は22N/cm、密着強度は7N/cmであった。
[比較例1]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で50/50/50/50の割合としたことと、雰囲気温度を100℃、回転ドラムの温度を110℃にした以外は実施例1と同様にに製膜重合し、38μm厚みのフィルムを得た。このフィルムの(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)は1.2、剥離強度は18N/cm、密着強度は4N/cmであった。
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で50/50/50/50の割合としたことと、雰囲気温度を100℃、回転ドラムの温度を110℃にした以外は実施例1と同様にに製膜重合し、38μm厚みのフィルムを得た。このフィルムの(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)は1.2、剥離強度は18N/cm、密着強度は4N/cmであった。
[比較例2]
雰囲気温度を110℃、回転ドラムの温度を120℃にした以外は比較例1と同様に重合、製膜し、38μm厚みのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)は0.8、剥離強度は16N/cm、密着強度は4N/cmであった。
雰囲気温度を110℃、回転ドラムの温度を120℃にした以外は比較例1と同様に重合、製膜し、38μm厚みのポリイミドフィルムを得た。このフィルムの(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)は0.8、剥離強度は16N/cm、密着強度は4N/cmであった。
Claims (4)
- フィルム表面に垂直な偏光を用い、1500cm−1の赤外吸収において、下記式を満たすポリイミドフィルム。
0.9<(TDZnMDGe)/(MDZnTDGe)<1.1
MDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDZn : ZnSeプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度
MDGe : Geプリズムを用い、フィルムの長手方向での吸光度
TDGe : Geプリズムを用い、フィルムの横方向での吸光度 - 接着剤を介して銅箔と熱圧着した際に、下記の方法により測定した剥離強度が20N/cm以上である請求項1に記載のポリイミドフィルム。
- ポリイミドフィルムが、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとパラフェニレンジアミンとのモル比が60/40〜90/10である芳香族ジアミン成分と、ピロメリット酸二無水物と3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とのモル比が80/20〜60/40である酸無水物成分とからなるポリアミド酸から製造されたものである請求項1または2に記載のポリイミドフィルム。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルムに接着剤を介さず金属箔が形成されている銅張積層板。
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CN111013901A (zh) * | 2019-12-10 | 2020-04-17 | 深圳先进技术研究院 | 柔性传感器制造设备和柔性传感器的制作方法 |
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