JP2004149000A - 船舶用ガスシリンダ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】船舶用ガスシリンダ装置において、推進機を軽い力でアップ/ダウン可能にするとともに、切換弁装置を小型簡素にすること。
【解決手段】ピストンロッド側油室25とピストン側油室26とガス室31の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置50を設けてなる船舶用ガスシリンダ装置20において、切換弁装置50は、弁ケース51に設けた連絡室53に開口する各ポートA〜Cに各ポペット弁61〜63を配置し、弁ケース51に支持される回転板73のボール作動面74と各ポペット弁61〜63との間にボール75〜77を挟み、回転板73の回転操作によりボール75〜77を介して各ポペット弁61〜63を対応するポートA〜Cに接離させるもの。
【選択図】 図6
【解決手段】ピストンロッド側油室25とピストン側油室26とガス室31の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置50を設けてなる船舶用ガスシリンダ装置20において、切換弁装置50は、弁ケース51に設けた連絡室53に開口する各ポートA〜Cに各ポペット弁61〜63を配置し、弁ケース51に支持される回転板73のボール作動面74と各ポペット弁61〜63との間にボール75〜77を挟み、回転板73の回転操作によりボール75〜77を介して各ポペット弁61〜63を対応するポートA〜Cに接離させるもの。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は船舶用ガスシリンダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特許文献1の如く、船舶用ガスシリンダ装置として、シリンダブロックを船体と推進機の一方に連結し、シリンダブロックに設けたロッドガイドからシリンダブロック内に挿入されたピストンロッドを船体と推進機の他方に連結し、シリンダブロック内にピストンロッド収容側のピストンロッド側油室と、ピストンロッド非収容側のピストン側油室を設け、ピストンロッド側油室とピストン側油室に連絡可能にされるガス室をシリンダブロックに一体に形成し、ピストンロッド側油室とピストン側油室とガス室の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置をシリンダブロックに設けてなるものがある。切換弁装置の開操作により、ピストンロッド側油室とピストン側油室とガス室を連絡することにより、ガス圧をピストンロッドに及ぼすアシスト力を得ながら、推進機を軽い力で手動チルトアップ/ダウンすることができる。
【0003】
【特許文献1】
特公平3−1200(3頁、第3図、第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の従来技術では、切換弁装置が、ガス室を連絡室に連絡するとともに、ピストンロッド側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストンロッド側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ピストン側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストン側油室の油圧により閉じる逆止弁を設けている。このとき、切換弁装置が弁ケースに支持したピンにより各逆止弁を開閉するものであるから、切換弁装置はピンが倒れなくスムースに往復動できる支持構造を弁ケースに具備する必要があり、大型複雑になる。
【0005】
また、特許文献1の従来技術では、ガス室を連絡室に直結している。従って、ガスシリンダ装置がピストンに近接配置されるフリーピストンを有するとともに、ピストンにアブソーバ弁とリターン弁を有し、推進ユニットが障害物と衝突してピストン及びピストンロッドが一旦伸長動作したとき、ガス室の油が逆止弁を開いてフリーピストンの下側油室に補給され、結果として、衝突の前後で、フリーピストンの停留位置を変位させ、シリンダブロックに対するピストンロッドの衝撃吸収後における復帰位置を、衝撃吸収前の係留位置と一致させることができない。
【0006】
本発明の課題は、船舶用ガスシリンダ装置において、推進機を軽い力でアップ/ダウン可能にするとともに、切換弁装置を小型簡素にすることにある。
【0007】
本発明の他の課題は、船舶用ガスシリンダ装置において、障害物との衝突の前後で、フリーピストンの停留位置を変位させないことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、シリンダブロックを船体と推進機の一方に連結し、シリンダブロックに設けたロッドガイドからシリンダブロック内に挿入されたピストンロッドを船体と推進機の他方に連結し、シリンダブロック内にピストンロッド収容側のピストンロッド側油室と、ピストンロッド非収容側のピストン側油室を設け、ピストンロッド側油室とピストン側油室に連絡可能にされるガス室をシリンダブロックに一体に形成し、ピストンロッド側油室とピストン側油室とガス室の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置をシリンダブロックに設けてなる船舶用ガスシリンダ装置において、切換弁装置は、ピストンロッド側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストンロッド側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ピストン側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストン側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ガス室を連絡室に連絡する連絡路に、ガス室の油圧により閉じる逆止弁を設け、切換弁装置は、全ての逆止弁を一度に開閉操作可能にし、開き操作によって全ての逆止弁を開くことにより、全ての連絡路を連絡室で互いに連絡可能にするとともに、閉じ操作によって全ての逆止弁を閉じることにより、全ての連絡路を連絡室に対して遮断可能にするようにしたものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記切換弁装置が、弁ケースに設けた連絡室に各連絡路のポートを開口し、各連絡路のポートのそれぞれに前記各逆止弁を配置し、弁ケースに支持される回転体のボール作動面と上記各逆止弁との間にボールを挟み、回転体の回転操作によりボールを介して各逆止弁を対応するポートに接離させるようにしたものである。
【0010】
請求項3の発明は、シリンダブロックを船体と推進機の一方に連結し、シリンダブロックに設けたロッドガイドからシリンダブロック内に挿入されたピストンロッドを船体と推進機の他方に連結し、シリンダブロック内にピストンロッド収容側のピストンロッド側油室と、ピストンロッド非収容側のピストン側油室を設け、ピストンロッド側油室とピストン側油室に連絡可能にされるガス室をシリンダブロックに一体に形成し、ピストンロッド側油室とピストン側油室とガス室の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置をシリンダブロックに設けてなる船舶用ガスシリンダ装置において、切換弁装置は、ガス室を連絡室に連絡するとともに、ピストンロッド側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストンロッド側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ピストン側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストン側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、切換弁装置は、全ての逆止弁を一度に開閉操作可能にし、開き操作によって全ての逆止弁を開くことにより、全ての連絡路を連絡室で互いに連絡可能にするとともに、閉じ操作によって全ての逆止弁を閉じることにより、全ての連絡路を連絡室に対して遮断可能にするものであり、切換弁装置は、弁ケースに設けた連絡室に各連絡路のポートを開口し、ピストンロッド側油室の連絡路のポートと、ピストン側油室の連絡路のポートのそれぞれに前記ガス封入圧より高い開弁圧の各逆止弁を配置し、弁ケースに支持される回転体のボール作動面と上記各逆止弁との間にボールを挟み、回転体の回転操作によりボールを介して各逆止弁を対応するポートに接離させるようにしたものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1又は3の発明において更に、前記切換弁装置が、回転体のボール作動面と各逆止弁のボールを挟む部分の形状の調整により、回転体の回転操作にともなう各逆止弁の開閉タイミングを調整可能にするようにしたものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1、3又は4の発明において更に、前記弁ケースと回転体との間にスラストワッシャを介装したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は船舶推進機を示す模式図、図2はガスシリンダ装置を示す断面図、図3は図2の側面図、図4は図2の平面図、図5は図2のV−V線に沿う矢視図、図6は図5のVI−VI線に沿う断面図、図7は図5のVII−VII線に沿う断面図、図8は図5のVIII−VIII線に沿う断面図、図9はガスシリンダ装置の油圧回路図である。
【0014】
(第1実施形態)(図1〜図9)
船舶推進機(船外機、但し、船内外機でも良い)10は、図1に示す如く、船体11にクランプブラケット12を固定し、クランプブラケット12にチルト軸13を介してスイベルブラケット14を略水平軸まわりに傾動可能に枢着し、スイベルブラケット14に転舵軸(不図示)を介して推進ユニット15(推進機)を略鉛直軸まわりに回動可能に枢着している。推進ユニット15はエンジンユニット16によりプロペラ17を駆動する。
【0015】
船舶推進機10は、クランプブラケット12とスイベルブラケット14の間にガスシリンダ装置20を介装している。ガスシリンダ装置20は、図2〜図4に示す如く、アルミ合金等から鋳造されたシリンダブロック21と、ピストンロッド22を有する。ピストンロッド22はシリンダブロック21にOリング23A、23Bを介して液密に螺着したロッドガイド23から、シリンダブロック21内にオイルシール23C、Oリング23Dを介して液密に挿入されている。シリンダブロック21の下端部に設けた取付部21Aをクランプブラケット12、ピストンロッド22の上端部に設けた取付部22Aをスイベルブラケット14に連結している。
【0016】
ガスシリンダ装置20は、シリンダブロック21に挿入したピストンロッド22の挿入端にピストン24(Oリング24A)を固定し、シリンダブロック21の内部にピストンロッド22を収容するピストンロッド側油室25と、ピストンロッド22を収容しないピストン側油室26を設け、ピストンロッド側油室25とピストン側油室26に作動油を収容している。尚、ピストン側油室26は、ピストン24に近接配置されるフリーピストン27(Oリング27A)を収容する。フリーピストン27は、ピストン側油室26を、上ピストン側油室26Aと下ピストン側油室26Bに区画する。
【0017】
ピストン24は、ピストンロッド側油室25とピストン側油室26Aを連絡する2つの流路のそれぞれにアブソーバ弁28とリターン弁29を設けている。アブソーバ弁28は、障害物との衝突による衝撃力作用下におけるように、ピストンロッド側油室25内の圧力が異常に上昇し、その上昇圧力が所定の圧力値以上に達した時点で開弁し、ピストンロッド側油室25内の油を上ピストン側油室26Aに移送可能としている。リターン弁29は、障害物との衝突による衝撃力吸収後、チルトアップされた推進ユニット15の自重作用下で、上ピストン側油室26A内の圧力が所定の圧力値以上にまで達した時点で開弁可能とされている。
【0018】
ガスシリンダ装置20は、ピストンロッド側油室25とピスト側油室26に連絡可能にされるガス室31をシリンダブロック21の上部の一方側の側傍に一体に形成している。ガス室31は、フリーピストン32(Oリング32A)を介して下部油室33を付帯的に備える。
【0019】
ガスシリンダ装置20は、ピストンロッド側油室25をピストン側油室26とガス室31の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置50をシリンダブロック21に設けている。切換弁装置50は、シリンダブロック21の上部で、ガス室31に対する反対側の側傍に設けられる。
【0020】
ガスシリンダ装置20は、ピストンロッド側油室25を切換弁装置50に連絡する連絡路34と、ピストン側油室26を切換弁装置50に連絡する連絡路35と、ガス室31(下部油室33)を切換弁装置50に連絡する連絡路36を有している。切換弁装置50は、全ての連絡路34、35、36を互いに遮断するオフモードと、全ての連絡路34、35、36を互いに連絡するオンモードのいずれかに切換設定される。
【0021】
切換弁装置50がオフモードに設定されたとき、ガスシリンダ装置20はピストンロッド側油室25とピストン側油室26とガス室31(下部油室33)の連絡を遮断してピストンロッド22の伸縮を停止し、ガス室31の影響を受けることなく推進ユニット15を任意の位置でチルトロック状態にする。切換弁装置50のオフモードでは、推進ユニット15が障害物と衝突してピストンロッド22及びピストン24が一旦伸長動作したときにも、フリーピストン27の下側の下ピストン側油室26Bにガス室31の下部油室33の油が全く補給されず、結果として、衝突の前後で、フリーピストン27の停留位置を変位させることがなく、ピストンロッド側油室25からアブソーバ弁28を経て上ピストン側油室26Aへ流入する油量と、上ピストン側油室26Aからリターン弁29を経てピストンロッド側油室25へ返送される油量とが同一になり、シリンダブロック21に対するピストンロッド22の衝撃吸収後における復帰位置を、衝撃吸収前の停留位置に確実に一致せしめる。
【0022】
切換弁装置50がオンモードに設定されたとき、ガスシリンダ装置20はピストンロッド側油室25とピストン側油室26とガス室31(下部油室33)を互いに連絡してピストンロッド22の伸縮を可能にし、推進ユニット15を手動チルトアップ/チルトダウン可能とする。切換弁装置50のオンモードでは、ガス室31のガス圧がピストンロッド22にアシスト力を及ぼし、手動チルトアップ/チルトダウンの操作力を軽減する。また、切換弁装置50のオンモードでは、ガスシリンダ装置20のチルトアップ行程で、ピストンロッド側油室25、ピストン側油室26から退出するピストンロッド22の容積分の油がガス室31の下部油室33からピストン側油室26に補給され、ガスシリンダ装置20のチルトダウン行程で、ピストンロッド側油室25、ピストン側油室26に進入するピストンロッド22の容積分の油がピストン側油室26から下部油室33に退出される。
【0023】
尚、ガスシリンダ装置20は、ピストン側油室26とガス室31の下部油室33とを連絡する連絡路37の中間部に設けたバルブ挿入部38に温度補償用リリーフ弁39を介装している。切換弁装置50のオフモードで、ピストンロッド側油室25、ピストン側油室26の作動油温度が異常に上昇したとき、ピストン側油室26の油をリリーフ弁39から下部油室33に逃す。
【0024】
ガスシリンダ装置20は、(A)シリンダブロック21に設ける連絡路34〜37の取回し構造、(B)切換弁装置50の構造を以下の如くにしている。
【0025】
(A)シリンダブロック21における連絡路34〜37の取回し構造(図2〜図4、図6)
【0026】
連絡路34は、シリンダブロック21に設けられる横孔であり、ピストンロッド側油室25の上端部に開口する。連絡路34は、短尺孔であり、鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工される。
【0027】
連絡路35は、シリンダブロック21に設けられる横孔35A、縦孔35B、横孔35Cからなる。ピストン側油室26の下端部に開口する横孔35Aと、切換弁装置50に開口する横孔35Cは短尺孔であり、鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工されて形成される。横孔35Aはプラグ35Dを封着される。縦孔35Bは、横孔35Aと横孔35Cをつなぐ長尺孔であり、シリンダブロック21の鋳造後に形成される。
【0028】
連絡路36は、シリンダブロック21とロッドガイド23を用いて形成される。このとき、ガスシリンダ装置20は、シリンダブロック21にOリング41Aを介して液密に螺着されるキャップ41の下端小径部42に、引抜き管からなるパイプ43の上端内周部をOリング42Aを介して液密に嵌着し、このパイプ43をシリンダブロック21に挿入し、パイプ43の内部に前述のガス室31、フリーピストン32、下部油室33を設けている。44はガス封入部である。
【0029】
そして、連絡路36は、シリンダブロック21とパイプ43の間の環状中空部に設けられる環状孔36A、シリンダブロック21に設けられる斜め孔36B、ロッドガイド23に設けられる環状溝36C、シリンダブロック21に設けられる横孔36Dからなる。環状孔36Aは、長尺孔であり、パイプ43の下端切欠部から下部油室33に連通する。斜め孔36Bは環状孔36Aの上端部と環状溝36Cをつなぐ短尺孔であり、鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工される。環状溝36Cはロッドガイド23の外周に切削加工される。横孔36Dは環状溝36Cを切換弁装置50につなぐ短尺孔であり、鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工される。
【0030】
連絡路37は、シリンダブロック21に設けられる横孔37A、縦孔37Bからなる。横孔37Aは、ピストン側油室26をバルブ挿入部38につなぐ短尺孔であり、鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工される。バルブ挿入部38はプラグ38Aにより封着される。縦孔37Bは、バルブ挿入部38と下部油室33をつなぐ短尺孔であり、シリンダブロック21の鋳造時に成形されても良く、又は鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工されても良い。
【0031】
従って、ガスシリンダ装置20にあっては、シリンダブロック21の鋳造時に成形される長尺孔は連絡路35の縦孔35Bだけとなる。また、ガス室31を引抜き管のパイプ43にて形成したから、パイプ43を加工せずにフリーピストン32を収容できる。
【0032】
(B)切換弁装置50の構造(図5〜図9)
切換弁装置50は、シリンダブロック21の上部で、前述の如く、ガス室31に対する反対側の側傍に一体成形された弁ケース51を有し、この弁ケース51にOリング52Aを介して液密に、キャップ52を螺着して備え、弁ケース51の内部空間を連絡室53とする。
【0033】
切換弁装置50は、弁ケース51に弁ガイド54、スペーサ55を収容し、弁ガイド54を弁ケース51の嵌合突起56に嵌合し位置決め及び回り止めし、弁ガイド54、スペーサ55をキャップ52で固定化している。又はスペーサ55はキャップに一体成形したものを使用しても良い。
【0034】
切換弁装置50は、図9に示す如く、三方向弁であり、弁ガイド54において連絡室53に臨む位置に、弁ケース51に設けた各連絡路34、35、36のポートA、B、Cを開口している。切換弁装置50は、ピストンロッド側油室25を連絡室53に連絡する連絡路34のポートAに、ピストンロッド側油室25の油圧により閉じる(ピストンロッド側油室25から連絡室53への油の流れを阻止する)ポペット弁61を設け、ピストン側油室26を連絡室53に連絡する連絡路35のポートBに、ピストン側油室26の油圧により閉じる(ピストン側油室26から連絡室53への油の流れを阻止する)ポペット弁62を設け、ガス室31(下部油室33)を連絡室53に連絡する連絡路36のポートCに、ガス室31(下部油室33)の油圧により閉じる(ガス室31(下部油室33)から連絡室53への油の流れを阻止する)ポペット弁63を設けている。
【0035】
切換弁装置50は、各ポートA〜Cに合致することになるガイド孔64、65、66を弁ガイド54に設け、ガイド孔64〜66の端面の外周に設けたOリング57〜59を弁ケース51のシート面51Aに密着する状態で、各ポペット弁61〜63を各ガイド孔64〜66のそれぞれに直線移動可能に設けている。各ポペット弁61〜63は本発明の逆止弁を構成し、弁体61A〜63Aの外端面に設けてあるシール部材61B〜63Bを各ガイド孔64〜66の弁座64A〜66Aに着座させて各ポートA〜Cを閉じ、離座させて各ポートA〜Cを開く。弁ガイド54は、各弁座64〜66Aの中心部に、連絡室53に開口する孔64B、66Bを備える。各ポペット弁61〜63の背面と弁ケース51のシート面51Aとの間に介装されるバルブスプリング67は弁体61A〜63Aの応答性を向上するものであるが、なくても良い。
【0036】
しかるに、切換弁装置50は、弁ガイド54に設けた全てのポペット弁61〜63を一度に、本実施形態では同時に開閉操作可能にする。開き操作によって全てのポペット弁61〜63を開くことにより、全ての連絡路34〜36のポートA〜Cを連絡室53で互いに連絡可能にするとともに、閉じ操作によって全てのポペット弁61〜63を閉じることにより、全ての連絡路34〜36のポートA〜Cを連絡室53に対して遮断可能にする。
【0037】
このため、切換弁装置50は、弁ケース51に支持される回転軸71をキャップ52に、Oリング71Aを介して液密に挿入し、回転軸71の外側端部には回転操作レバー72を設け、回転軸71の内側端部をシート面51Aに設けた軸受凹部に枢着し、回転軸71の中間部にスプリングピン71Bを介して回転板73を一体化した。
【0038】
切換弁装置50は、回転板73のボール作動面74(凹み74A等)と、各ポペット弁61〜63の弁体61A〜63Aの外端面との間にボール75〜77を挟み、回転板73の回転操作によりボール75〜77を介して各ポペット弁61〜63を対応するポートA〜Cの弁座64A〜66Aに対して接離させる。各ボール75〜77は、弁ガイド54の孔64B〜66Bのそれぞれに遊挿されて保持される。回転板73の回転により、回転板73のボール作動面74の凹み74Aからボール75〜77が外れると、ポペット弁61〜63がボール75〜77により押し下げられ、ポペット弁61〜63を一度に開く。
【0039】
切換弁装置50は、弁ガイド54の回転板73に対向する端面における周方向一部に節度スプリング81でバックアップされたクリックボール82を有する。回転板73の平面の周方向に離隔する2ヶ所には、閉じ位置対応孔83Aと、開き位置対応孔83Bとが設けられる。回転操作レバー72が弁ケース51の閉じ側ストッパ51Aに衝合するまで回転され(図3)、回転板73の閉じ位置対応孔83Aが弁ガイド54のクリックボール82に係合するとき、回転板73は閉じ操作位置に設定される(図8の下半部)。回転操作レバー72が弁ケース51の開き側ストッパ51Bに衝合するまで回転され(図3)、回転板73の開き位置対応孔83Bが弁ガイド54のクリックボール82に係合するとき、回転板73は開き操作位置に設定される。
【0040】
これにより、切換弁装置50は、回転操作レバー72により回転軸71に一体の回転板73を回転操作し、(a)回転板73を閉じ操作位置に位置付けると、回転板73のボール作動面74の凹み74Aがボール75〜77を受け入れることにより、ボール75〜77によるポペット弁61〜63の押し下げが解除され、各ポペット弁61〜63を対応するポートA〜Cの弁座64A〜66Aに着座させてポートA〜Cを塞ぎ、全ての連絡路34〜36を遮断する、前述のオフモードに設定される(図6の下半部)。
【0041】
他方、切換弁装置50は、回転操作レバー72により回転軸71に一体の回転板73を回転操作し、(b)回転板73を開き操作位置に位置付けると、回転板73の平面がボール75〜77を押し下げることにより、各ポペット弁61〜63を対応するポートA〜Cの弁座64〜66Aから離座させてポートA〜Cを連絡室53に導通し、全ての連絡路34〜36を互いに連絡する、前述のオンモードに設定される(図6の上半部)。
【0042】
尚、切換弁装置50は、ボール75〜77を挟む、回転板73のボール作動面74(凹み74A等)と各ポペット弁61〜63の弁体61A〜63Aの外端面の形状の調整により、回転板73の回転操作にともなう各ポペット弁61〜63の開閉タイミングを調整できる。例えば、切換弁装置50がオンモードに設定される過程で、ポペット弁63に対応するボール77が接するボール作動面74の凹み74Aを浅く(もしくは平面)し、ポペット弁61、62に対応するボール75、76が接するボール作動面74の凹み74Aを深くするときには、ガス室31(下部油室33)のポートCのポペット弁63が先行して開き、続いてピストンロッド側油室25、ピストン側油室26のポートA、Bのポペット弁61、62を開く。
【0043】
また、切換弁装置50は、回転板73と弁ケース51のキャップ52の間にスラストワッシャ91を、回転板73と弁ガイド54の間にスラストワッシャ92を介装することにより、回転板73の回転のスムースを図ることができる。
【0044】
本実施形態によれば、以下の作用がある。
▲1▼切換弁装置50が弁ケース51の内部で、回転板73のボール作動面74と各ポペット弁61〜63との間に挟んだボール75〜77を介して、各ポペット弁61〜63を開閉する。ボール75〜77の配置は簡単で組立性が良く、格別な支持構造を弁ケース51に設ける必要もなく、切換弁装置50を小型簡素にできる。
【0045】
▲2▼回転板73の開閉操作端で、回転板73のボール作動面74と各ポペット弁61〜63のボール75〜77を挟む部分に凹み74Aを設けることにより、開閉操作の節度感(クリック感)を得ることができ、クリックボール82等の節度感機構を別途設ける必要をなくすこともでき、切換弁装置50を簡素にできる。
【0046】
▲3▼切換弁装置50の閉じ操作で連絡室53が密閉空間になる。即ち、切換弁装置50を構成する各ポペット弁61〜63は、ピストンロッド側油室25、ピストン側油室26又はガス室31の圧力により閉じ、それらの圧力が大きくなっても閉じ続ける構造であり、連絡室53は密閉空間になる。このような連絡室53の作動油が異常な温度上昇により膨張すると、連絡室53の油圧が高圧になるが、この高圧油はいずれかの逆止弁を押し開いて自然にブローする(低圧のガス室31に対応するポペット弁63がブローする)結果、切換弁装置50の破損を防止する等のために、温度補償用リリーフ弁機構を連絡室53に設ける必要がなく、切換弁装置50を簡素にできる。
【0047】
▲4▼切換弁装置50の閉じ操作で、ガス室31は連絡室53に対して遮断され、ガス室31の油が連絡室53の側に吸引されることがない。従って、ガスシリンダ装置20がピストン24に近接配置されるフリーピストン27を有するとともに、ピストン24にアブソーバ弁28とリターン弁29を有し、推進ユニット15が障害物と衝突してピストン24及びピストンロッド22が一旦伸長動作したときにも、ガス室31の油がポペット弁63を開いてフリーピストン27の下側のピストン側油室26に補給されず、結果として、衝突の前後で、フリーピストン27の停留位置を変位させることがない。シリンダブロック21に対するピストンロッド22の衝撃吸収後における復帰位置を、衝撃吸収前の停留位置に一致させることができる。
【0048】
▲5▼回転板73のボール作動面74と各ポペット弁61〜63のボール75〜77を挟む部分の形状の調整により、各ポペット弁61〜63の開閉タイミングを調整できる。例えば、回転板73のボール作動面74に設ける凹み74Aの深さを調整し、ガス室31に対応するポペット弁63を先行させて開き、続いて他のポペット弁61、62を開く等ができる。
【0049】
▲6▼弁ケース51(キャップ52)と回転板73の間にスラストワッシャ91を介装することにより、回転板73と弁ケース51(キャップ52)の摩擦ずれを防止し、磨耗粉の発生を防止し、回転板73の回転をスムースに行なうことができる。弁ガイド54と回転板73の間に介装されるスラストワッシャ92によっても同様の作用がある。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態のガスシリンダ装置20が、第1実施形態のガスシリンダ装置20と異なる点は、ガス室31(下部油室33)を連絡室53に連絡する連絡路36に設けたポペット弁63を撤去し、ガス室31(下部油室33)を連絡室53に直に連絡する。そして、ピストンロッド側油室25、ピストン側油室26のそれぞれを連絡室53に連絡する連絡路34、35に設けたポペット弁61、62の開弁圧をガス室31のガス封入圧より高く設定した。
【0051】
第2実施形態のガスシリンダ装置20では、ポペット弁をポペット弁61、62の2つだけとし、ポペット弁61、62の開弁圧をそれらのバルブスプリング67によりガス室31のガス封入圧より高く設定することで、ポペット弁61、62が閉じ状態にあるときに推進ユニット15に障害物が衝突しても、ポペット弁62が開くことがない構造であり、ガス室31が連絡室53に常に連通していても、ピストンロッド側油室25及びピストン側油室26に油が流れることがなく、フリーピストン27は移動しない。
【0052】
第2実施形態のガスシリンダ装置20によれば、2つのポペット弁61、62を用いるだけで、第1実施形態における前述▲1▼〜▲6▼と同様の作用を奏する。
【0053】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の実施において、逆止弁はポペット弁に限らない。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、船舶用ガスシリンダ装置において、推進機を軽い力でアップ/ダウン可能にするとともに、切換弁装置を小型簡素にすることができる。
【0055】
また、本発明によれば、船舶用ガスシリンダ装置において、障害物との衝突の前後で、フリーピストンの停留位置を変位させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は船舶推進機を示す模式図である。
【図2】図2はガスシリンダ装置を示す断面図である。
【図3】図3は図2の側面図である。
【図4】図4は図2の平面図である。
【図5】図5は図2のV−V線に沿う矢視図である。
【図6】図6は図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図7は図5のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図8は図5のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】図9はガスシリンダ装置の油圧回路図である。
【符号の説明】
10 船舶推進機
11 船体
15 推進ユニット(推進機)
20 ガスシリンダ装置
21 シリンダブロック
22 ピストンロッド
23 ロッドガイド
24 ピストン
25 ピストンロッド側油室
26 ピストン側油室
31 ガス室
34〜36 連絡路
50 切換弁装置
51 弁ケース
53 連絡室
61〜63 ポペット弁(逆止弁)
73 回転板(回転体)
74 ボール作動面
75〜77 ボール
91 スラストワッシャ
【発明の属する技術分野】
本発明は船舶用ガスシリンダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、特許文献1の如く、船舶用ガスシリンダ装置として、シリンダブロックを船体と推進機の一方に連結し、シリンダブロックに設けたロッドガイドからシリンダブロック内に挿入されたピストンロッドを船体と推進機の他方に連結し、シリンダブロック内にピストンロッド収容側のピストンロッド側油室と、ピストンロッド非収容側のピストン側油室を設け、ピストンロッド側油室とピストン側油室に連絡可能にされるガス室をシリンダブロックに一体に形成し、ピストンロッド側油室とピストン側油室とガス室の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置をシリンダブロックに設けてなるものがある。切換弁装置の開操作により、ピストンロッド側油室とピストン側油室とガス室を連絡することにより、ガス圧をピストンロッドに及ぼすアシスト力を得ながら、推進機を軽い力で手動チルトアップ/ダウンすることができる。
【0003】
【特許文献1】
特公平3−1200(3頁、第3図、第4図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の従来技術では、切換弁装置が、ガス室を連絡室に連絡するとともに、ピストンロッド側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストンロッド側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ピストン側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストン側油室の油圧により閉じる逆止弁を設けている。このとき、切換弁装置が弁ケースに支持したピンにより各逆止弁を開閉するものであるから、切換弁装置はピンが倒れなくスムースに往復動できる支持構造を弁ケースに具備する必要があり、大型複雑になる。
【0005】
また、特許文献1の従来技術では、ガス室を連絡室に直結している。従って、ガスシリンダ装置がピストンに近接配置されるフリーピストンを有するとともに、ピストンにアブソーバ弁とリターン弁を有し、推進ユニットが障害物と衝突してピストン及びピストンロッドが一旦伸長動作したとき、ガス室の油が逆止弁を開いてフリーピストンの下側油室に補給され、結果として、衝突の前後で、フリーピストンの停留位置を変位させ、シリンダブロックに対するピストンロッドの衝撃吸収後における復帰位置を、衝撃吸収前の係留位置と一致させることができない。
【0006】
本発明の課題は、船舶用ガスシリンダ装置において、推進機を軽い力でアップ/ダウン可能にするとともに、切換弁装置を小型簡素にすることにある。
【0007】
本発明の他の課題は、船舶用ガスシリンダ装置において、障害物との衝突の前後で、フリーピストンの停留位置を変位させないことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、シリンダブロックを船体と推進機の一方に連結し、シリンダブロックに設けたロッドガイドからシリンダブロック内に挿入されたピストンロッドを船体と推進機の他方に連結し、シリンダブロック内にピストンロッド収容側のピストンロッド側油室と、ピストンロッド非収容側のピストン側油室を設け、ピストンロッド側油室とピストン側油室に連絡可能にされるガス室をシリンダブロックに一体に形成し、ピストンロッド側油室とピストン側油室とガス室の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置をシリンダブロックに設けてなる船舶用ガスシリンダ装置において、切換弁装置は、ピストンロッド側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストンロッド側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ピストン側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストン側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ガス室を連絡室に連絡する連絡路に、ガス室の油圧により閉じる逆止弁を設け、切換弁装置は、全ての逆止弁を一度に開閉操作可能にし、開き操作によって全ての逆止弁を開くことにより、全ての連絡路を連絡室で互いに連絡可能にするとともに、閉じ操作によって全ての逆止弁を閉じることにより、全ての連絡路を連絡室に対して遮断可能にするようにしたものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記切換弁装置が、弁ケースに設けた連絡室に各連絡路のポートを開口し、各連絡路のポートのそれぞれに前記各逆止弁を配置し、弁ケースに支持される回転体のボール作動面と上記各逆止弁との間にボールを挟み、回転体の回転操作によりボールを介して各逆止弁を対応するポートに接離させるようにしたものである。
【0010】
請求項3の発明は、シリンダブロックを船体と推進機の一方に連結し、シリンダブロックに設けたロッドガイドからシリンダブロック内に挿入されたピストンロッドを船体と推進機の他方に連結し、シリンダブロック内にピストンロッド収容側のピストンロッド側油室と、ピストンロッド非収容側のピストン側油室を設け、ピストンロッド側油室とピストン側油室に連絡可能にされるガス室をシリンダブロックに一体に形成し、ピストンロッド側油室とピストン側油室とガス室の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置をシリンダブロックに設けてなる船舶用ガスシリンダ装置において、切換弁装置は、ガス室を連絡室に連絡するとともに、ピストンロッド側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストンロッド側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ピストン側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストン側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、切換弁装置は、全ての逆止弁を一度に開閉操作可能にし、開き操作によって全ての逆止弁を開くことにより、全ての連絡路を連絡室で互いに連絡可能にするとともに、閉じ操作によって全ての逆止弁を閉じることにより、全ての連絡路を連絡室に対して遮断可能にするものであり、切換弁装置は、弁ケースに設けた連絡室に各連絡路のポートを開口し、ピストンロッド側油室の連絡路のポートと、ピストン側油室の連絡路のポートのそれぞれに前記ガス封入圧より高い開弁圧の各逆止弁を配置し、弁ケースに支持される回転体のボール作動面と上記各逆止弁との間にボールを挟み、回転体の回転操作によりボールを介して各逆止弁を対応するポートに接離させるようにしたものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1又は3の発明において更に、前記切換弁装置が、回転体のボール作動面と各逆止弁のボールを挟む部分の形状の調整により、回転体の回転操作にともなう各逆止弁の開閉タイミングを調整可能にするようにしたものである。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1、3又は4の発明において更に、前記弁ケースと回転体との間にスラストワッシャを介装したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は船舶推進機を示す模式図、図2はガスシリンダ装置を示す断面図、図3は図2の側面図、図4は図2の平面図、図5は図2のV−V線に沿う矢視図、図6は図5のVI−VI線に沿う断面図、図7は図5のVII−VII線に沿う断面図、図8は図5のVIII−VIII線に沿う断面図、図9はガスシリンダ装置の油圧回路図である。
【0014】
(第1実施形態)(図1〜図9)
船舶推進機(船外機、但し、船内外機でも良い)10は、図1に示す如く、船体11にクランプブラケット12を固定し、クランプブラケット12にチルト軸13を介してスイベルブラケット14を略水平軸まわりに傾動可能に枢着し、スイベルブラケット14に転舵軸(不図示)を介して推進ユニット15(推進機)を略鉛直軸まわりに回動可能に枢着している。推進ユニット15はエンジンユニット16によりプロペラ17を駆動する。
【0015】
船舶推進機10は、クランプブラケット12とスイベルブラケット14の間にガスシリンダ装置20を介装している。ガスシリンダ装置20は、図2〜図4に示す如く、アルミ合金等から鋳造されたシリンダブロック21と、ピストンロッド22を有する。ピストンロッド22はシリンダブロック21にOリング23A、23Bを介して液密に螺着したロッドガイド23から、シリンダブロック21内にオイルシール23C、Oリング23Dを介して液密に挿入されている。シリンダブロック21の下端部に設けた取付部21Aをクランプブラケット12、ピストンロッド22の上端部に設けた取付部22Aをスイベルブラケット14に連結している。
【0016】
ガスシリンダ装置20は、シリンダブロック21に挿入したピストンロッド22の挿入端にピストン24(Oリング24A)を固定し、シリンダブロック21の内部にピストンロッド22を収容するピストンロッド側油室25と、ピストンロッド22を収容しないピストン側油室26を設け、ピストンロッド側油室25とピストン側油室26に作動油を収容している。尚、ピストン側油室26は、ピストン24に近接配置されるフリーピストン27(Oリング27A)を収容する。フリーピストン27は、ピストン側油室26を、上ピストン側油室26Aと下ピストン側油室26Bに区画する。
【0017】
ピストン24は、ピストンロッド側油室25とピストン側油室26Aを連絡する2つの流路のそれぞれにアブソーバ弁28とリターン弁29を設けている。アブソーバ弁28は、障害物との衝突による衝撃力作用下におけるように、ピストンロッド側油室25内の圧力が異常に上昇し、その上昇圧力が所定の圧力値以上に達した時点で開弁し、ピストンロッド側油室25内の油を上ピストン側油室26Aに移送可能としている。リターン弁29は、障害物との衝突による衝撃力吸収後、チルトアップされた推進ユニット15の自重作用下で、上ピストン側油室26A内の圧力が所定の圧力値以上にまで達した時点で開弁可能とされている。
【0018】
ガスシリンダ装置20は、ピストンロッド側油室25とピスト側油室26に連絡可能にされるガス室31をシリンダブロック21の上部の一方側の側傍に一体に形成している。ガス室31は、フリーピストン32(Oリング32A)を介して下部油室33を付帯的に備える。
【0019】
ガスシリンダ装置20は、ピストンロッド側油室25をピストン側油室26とガス室31の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置50をシリンダブロック21に設けている。切換弁装置50は、シリンダブロック21の上部で、ガス室31に対する反対側の側傍に設けられる。
【0020】
ガスシリンダ装置20は、ピストンロッド側油室25を切換弁装置50に連絡する連絡路34と、ピストン側油室26を切換弁装置50に連絡する連絡路35と、ガス室31(下部油室33)を切換弁装置50に連絡する連絡路36を有している。切換弁装置50は、全ての連絡路34、35、36を互いに遮断するオフモードと、全ての連絡路34、35、36を互いに連絡するオンモードのいずれかに切換設定される。
【0021】
切換弁装置50がオフモードに設定されたとき、ガスシリンダ装置20はピストンロッド側油室25とピストン側油室26とガス室31(下部油室33)の連絡を遮断してピストンロッド22の伸縮を停止し、ガス室31の影響を受けることなく推進ユニット15を任意の位置でチルトロック状態にする。切換弁装置50のオフモードでは、推進ユニット15が障害物と衝突してピストンロッド22及びピストン24が一旦伸長動作したときにも、フリーピストン27の下側の下ピストン側油室26Bにガス室31の下部油室33の油が全く補給されず、結果として、衝突の前後で、フリーピストン27の停留位置を変位させることがなく、ピストンロッド側油室25からアブソーバ弁28を経て上ピストン側油室26Aへ流入する油量と、上ピストン側油室26Aからリターン弁29を経てピストンロッド側油室25へ返送される油量とが同一になり、シリンダブロック21に対するピストンロッド22の衝撃吸収後における復帰位置を、衝撃吸収前の停留位置に確実に一致せしめる。
【0022】
切換弁装置50がオンモードに設定されたとき、ガスシリンダ装置20はピストンロッド側油室25とピストン側油室26とガス室31(下部油室33)を互いに連絡してピストンロッド22の伸縮を可能にし、推進ユニット15を手動チルトアップ/チルトダウン可能とする。切換弁装置50のオンモードでは、ガス室31のガス圧がピストンロッド22にアシスト力を及ぼし、手動チルトアップ/チルトダウンの操作力を軽減する。また、切換弁装置50のオンモードでは、ガスシリンダ装置20のチルトアップ行程で、ピストンロッド側油室25、ピストン側油室26から退出するピストンロッド22の容積分の油がガス室31の下部油室33からピストン側油室26に補給され、ガスシリンダ装置20のチルトダウン行程で、ピストンロッド側油室25、ピストン側油室26に進入するピストンロッド22の容積分の油がピストン側油室26から下部油室33に退出される。
【0023】
尚、ガスシリンダ装置20は、ピストン側油室26とガス室31の下部油室33とを連絡する連絡路37の中間部に設けたバルブ挿入部38に温度補償用リリーフ弁39を介装している。切換弁装置50のオフモードで、ピストンロッド側油室25、ピストン側油室26の作動油温度が異常に上昇したとき、ピストン側油室26の油をリリーフ弁39から下部油室33に逃す。
【0024】
ガスシリンダ装置20は、(A)シリンダブロック21に設ける連絡路34〜37の取回し構造、(B)切換弁装置50の構造を以下の如くにしている。
【0025】
(A)シリンダブロック21における連絡路34〜37の取回し構造(図2〜図4、図6)
【0026】
連絡路34は、シリンダブロック21に設けられる横孔であり、ピストンロッド側油室25の上端部に開口する。連絡路34は、短尺孔であり、鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工される。
【0027】
連絡路35は、シリンダブロック21に設けられる横孔35A、縦孔35B、横孔35Cからなる。ピストン側油室26の下端部に開口する横孔35Aと、切換弁装置50に開口する横孔35Cは短尺孔であり、鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工されて形成される。横孔35Aはプラグ35Dを封着される。縦孔35Bは、横孔35Aと横孔35Cをつなぐ長尺孔であり、シリンダブロック21の鋳造後に形成される。
【0028】
連絡路36は、シリンダブロック21とロッドガイド23を用いて形成される。このとき、ガスシリンダ装置20は、シリンダブロック21にOリング41Aを介して液密に螺着されるキャップ41の下端小径部42に、引抜き管からなるパイプ43の上端内周部をOリング42Aを介して液密に嵌着し、このパイプ43をシリンダブロック21に挿入し、パイプ43の内部に前述のガス室31、フリーピストン32、下部油室33を設けている。44はガス封入部である。
【0029】
そして、連絡路36は、シリンダブロック21とパイプ43の間の環状中空部に設けられる環状孔36A、シリンダブロック21に設けられる斜め孔36B、ロッドガイド23に設けられる環状溝36C、シリンダブロック21に設けられる横孔36Dからなる。環状孔36Aは、長尺孔であり、パイプ43の下端切欠部から下部油室33に連通する。斜め孔36Bは環状孔36Aの上端部と環状溝36Cをつなぐ短尺孔であり、鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工される。環状溝36Cはロッドガイド23の外周に切削加工される。横孔36Dは環状溝36Cを切換弁装置50につなぐ短尺孔であり、鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工される。
【0030】
連絡路37は、シリンダブロック21に設けられる横孔37A、縦孔37Bからなる。横孔37Aは、ピストン側油室26をバルブ挿入部38につなぐ短尺孔であり、鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工される。バルブ挿入部38はプラグ38Aにより封着される。縦孔37Bは、バルブ挿入部38と下部油室33をつなぐ短尺孔であり、シリンダブロック21の鋳造時に成形されても良く、又は鋳造後のシリンダブロック21にドリル加工されても良い。
【0031】
従って、ガスシリンダ装置20にあっては、シリンダブロック21の鋳造時に成形される長尺孔は連絡路35の縦孔35Bだけとなる。また、ガス室31を引抜き管のパイプ43にて形成したから、パイプ43を加工せずにフリーピストン32を収容できる。
【0032】
(B)切換弁装置50の構造(図5〜図9)
切換弁装置50は、シリンダブロック21の上部で、前述の如く、ガス室31に対する反対側の側傍に一体成形された弁ケース51を有し、この弁ケース51にOリング52Aを介して液密に、キャップ52を螺着して備え、弁ケース51の内部空間を連絡室53とする。
【0033】
切換弁装置50は、弁ケース51に弁ガイド54、スペーサ55を収容し、弁ガイド54を弁ケース51の嵌合突起56に嵌合し位置決め及び回り止めし、弁ガイド54、スペーサ55をキャップ52で固定化している。又はスペーサ55はキャップに一体成形したものを使用しても良い。
【0034】
切換弁装置50は、図9に示す如く、三方向弁であり、弁ガイド54において連絡室53に臨む位置に、弁ケース51に設けた各連絡路34、35、36のポートA、B、Cを開口している。切換弁装置50は、ピストンロッド側油室25を連絡室53に連絡する連絡路34のポートAに、ピストンロッド側油室25の油圧により閉じる(ピストンロッド側油室25から連絡室53への油の流れを阻止する)ポペット弁61を設け、ピストン側油室26を連絡室53に連絡する連絡路35のポートBに、ピストン側油室26の油圧により閉じる(ピストン側油室26から連絡室53への油の流れを阻止する)ポペット弁62を設け、ガス室31(下部油室33)を連絡室53に連絡する連絡路36のポートCに、ガス室31(下部油室33)の油圧により閉じる(ガス室31(下部油室33)から連絡室53への油の流れを阻止する)ポペット弁63を設けている。
【0035】
切換弁装置50は、各ポートA〜Cに合致することになるガイド孔64、65、66を弁ガイド54に設け、ガイド孔64〜66の端面の外周に設けたOリング57〜59を弁ケース51のシート面51Aに密着する状態で、各ポペット弁61〜63を各ガイド孔64〜66のそれぞれに直線移動可能に設けている。各ポペット弁61〜63は本発明の逆止弁を構成し、弁体61A〜63Aの外端面に設けてあるシール部材61B〜63Bを各ガイド孔64〜66の弁座64A〜66Aに着座させて各ポートA〜Cを閉じ、離座させて各ポートA〜Cを開く。弁ガイド54は、各弁座64〜66Aの中心部に、連絡室53に開口する孔64B、66Bを備える。各ポペット弁61〜63の背面と弁ケース51のシート面51Aとの間に介装されるバルブスプリング67は弁体61A〜63Aの応答性を向上するものであるが、なくても良い。
【0036】
しかるに、切換弁装置50は、弁ガイド54に設けた全てのポペット弁61〜63を一度に、本実施形態では同時に開閉操作可能にする。開き操作によって全てのポペット弁61〜63を開くことにより、全ての連絡路34〜36のポートA〜Cを連絡室53で互いに連絡可能にするとともに、閉じ操作によって全てのポペット弁61〜63を閉じることにより、全ての連絡路34〜36のポートA〜Cを連絡室53に対して遮断可能にする。
【0037】
このため、切換弁装置50は、弁ケース51に支持される回転軸71をキャップ52に、Oリング71Aを介して液密に挿入し、回転軸71の外側端部には回転操作レバー72を設け、回転軸71の内側端部をシート面51Aに設けた軸受凹部に枢着し、回転軸71の中間部にスプリングピン71Bを介して回転板73を一体化した。
【0038】
切換弁装置50は、回転板73のボール作動面74(凹み74A等)と、各ポペット弁61〜63の弁体61A〜63Aの外端面との間にボール75〜77を挟み、回転板73の回転操作によりボール75〜77を介して各ポペット弁61〜63を対応するポートA〜Cの弁座64A〜66Aに対して接離させる。各ボール75〜77は、弁ガイド54の孔64B〜66Bのそれぞれに遊挿されて保持される。回転板73の回転により、回転板73のボール作動面74の凹み74Aからボール75〜77が外れると、ポペット弁61〜63がボール75〜77により押し下げられ、ポペット弁61〜63を一度に開く。
【0039】
切換弁装置50は、弁ガイド54の回転板73に対向する端面における周方向一部に節度スプリング81でバックアップされたクリックボール82を有する。回転板73の平面の周方向に離隔する2ヶ所には、閉じ位置対応孔83Aと、開き位置対応孔83Bとが設けられる。回転操作レバー72が弁ケース51の閉じ側ストッパ51Aに衝合するまで回転され(図3)、回転板73の閉じ位置対応孔83Aが弁ガイド54のクリックボール82に係合するとき、回転板73は閉じ操作位置に設定される(図8の下半部)。回転操作レバー72が弁ケース51の開き側ストッパ51Bに衝合するまで回転され(図3)、回転板73の開き位置対応孔83Bが弁ガイド54のクリックボール82に係合するとき、回転板73は開き操作位置に設定される。
【0040】
これにより、切換弁装置50は、回転操作レバー72により回転軸71に一体の回転板73を回転操作し、(a)回転板73を閉じ操作位置に位置付けると、回転板73のボール作動面74の凹み74Aがボール75〜77を受け入れることにより、ボール75〜77によるポペット弁61〜63の押し下げが解除され、各ポペット弁61〜63を対応するポートA〜Cの弁座64A〜66Aに着座させてポートA〜Cを塞ぎ、全ての連絡路34〜36を遮断する、前述のオフモードに設定される(図6の下半部)。
【0041】
他方、切換弁装置50は、回転操作レバー72により回転軸71に一体の回転板73を回転操作し、(b)回転板73を開き操作位置に位置付けると、回転板73の平面がボール75〜77を押し下げることにより、各ポペット弁61〜63を対応するポートA〜Cの弁座64〜66Aから離座させてポートA〜Cを連絡室53に導通し、全ての連絡路34〜36を互いに連絡する、前述のオンモードに設定される(図6の上半部)。
【0042】
尚、切換弁装置50は、ボール75〜77を挟む、回転板73のボール作動面74(凹み74A等)と各ポペット弁61〜63の弁体61A〜63Aの外端面の形状の調整により、回転板73の回転操作にともなう各ポペット弁61〜63の開閉タイミングを調整できる。例えば、切換弁装置50がオンモードに設定される過程で、ポペット弁63に対応するボール77が接するボール作動面74の凹み74Aを浅く(もしくは平面)し、ポペット弁61、62に対応するボール75、76が接するボール作動面74の凹み74Aを深くするときには、ガス室31(下部油室33)のポートCのポペット弁63が先行して開き、続いてピストンロッド側油室25、ピストン側油室26のポートA、Bのポペット弁61、62を開く。
【0043】
また、切換弁装置50は、回転板73と弁ケース51のキャップ52の間にスラストワッシャ91を、回転板73と弁ガイド54の間にスラストワッシャ92を介装することにより、回転板73の回転のスムースを図ることができる。
【0044】
本実施形態によれば、以下の作用がある。
▲1▼切換弁装置50が弁ケース51の内部で、回転板73のボール作動面74と各ポペット弁61〜63との間に挟んだボール75〜77を介して、各ポペット弁61〜63を開閉する。ボール75〜77の配置は簡単で組立性が良く、格別な支持構造を弁ケース51に設ける必要もなく、切換弁装置50を小型簡素にできる。
【0045】
▲2▼回転板73の開閉操作端で、回転板73のボール作動面74と各ポペット弁61〜63のボール75〜77を挟む部分に凹み74Aを設けることにより、開閉操作の節度感(クリック感)を得ることができ、クリックボール82等の節度感機構を別途設ける必要をなくすこともでき、切換弁装置50を簡素にできる。
【0046】
▲3▼切換弁装置50の閉じ操作で連絡室53が密閉空間になる。即ち、切換弁装置50を構成する各ポペット弁61〜63は、ピストンロッド側油室25、ピストン側油室26又はガス室31の圧力により閉じ、それらの圧力が大きくなっても閉じ続ける構造であり、連絡室53は密閉空間になる。このような連絡室53の作動油が異常な温度上昇により膨張すると、連絡室53の油圧が高圧になるが、この高圧油はいずれかの逆止弁を押し開いて自然にブローする(低圧のガス室31に対応するポペット弁63がブローする)結果、切換弁装置50の破損を防止する等のために、温度補償用リリーフ弁機構を連絡室53に設ける必要がなく、切換弁装置50を簡素にできる。
【0047】
▲4▼切換弁装置50の閉じ操作で、ガス室31は連絡室53に対して遮断され、ガス室31の油が連絡室53の側に吸引されることがない。従って、ガスシリンダ装置20がピストン24に近接配置されるフリーピストン27を有するとともに、ピストン24にアブソーバ弁28とリターン弁29を有し、推進ユニット15が障害物と衝突してピストン24及びピストンロッド22が一旦伸長動作したときにも、ガス室31の油がポペット弁63を開いてフリーピストン27の下側のピストン側油室26に補給されず、結果として、衝突の前後で、フリーピストン27の停留位置を変位させることがない。シリンダブロック21に対するピストンロッド22の衝撃吸収後における復帰位置を、衝撃吸収前の停留位置に一致させることができる。
【0048】
▲5▼回転板73のボール作動面74と各ポペット弁61〜63のボール75〜77を挟む部分の形状の調整により、各ポペット弁61〜63の開閉タイミングを調整できる。例えば、回転板73のボール作動面74に設ける凹み74Aの深さを調整し、ガス室31に対応するポペット弁63を先行させて開き、続いて他のポペット弁61、62を開く等ができる。
【0049】
▲6▼弁ケース51(キャップ52)と回転板73の間にスラストワッシャ91を介装することにより、回転板73と弁ケース51(キャップ52)の摩擦ずれを防止し、磨耗粉の発生を防止し、回転板73の回転をスムースに行なうことができる。弁ガイド54と回転板73の間に介装されるスラストワッシャ92によっても同様の作用がある。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態のガスシリンダ装置20が、第1実施形態のガスシリンダ装置20と異なる点は、ガス室31(下部油室33)を連絡室53に連絡する連絡路36に設けたポペット弁63を撤去し、ガス室31(下部油室33)を連絡室53に直に連絡する。そして、ピストンロッド側油室25、ピストン側油室26のそれぞれを連絡室53に連絡する連絡路34、35に設けたポペット弁61、62の開弁圧をガス室31のガス封入圧より高く設定した。
【0051】
第2実施形態のガスシリンダ装置20では、ポペット弁をポペット弁61、62の2つだけとし、ポペット弁61、62の開弁圧をそれらのバルブスプリング67によりガス室31のガス封入圧より高く設定することで、ポペット弁61、62が閉じ状態にあるときに推進ユニット15に障害物が衝突しても、ポペット弁62が開くことがない構造であり、ガス室31が連絡室53に常に連通していても、ピストンロッド側油室25及びピストン側油室26に油が流れることがなく、フリーピストン27は移動しない。
【0052】
第2実施形態のガスシリンダ装置20によれば、2つのポペット弁61、62を用いるだけで、第1実施形態における前述▲1▼〜▲6▼と同様の作用を奏する。
【0053】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の実施において、逆止弁はポペット弁に限らない。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、船舶用ガスシリンダ装置において、推進機を軽い力でアップ/ダウン可能にするとともに、切換弁装置を小型簡素にすることができる。
【0055】
また、本発明によれば、船舶用ガスシリンダ装置において、障害物との衝突の前後で、フリーピストンの停留位置を変位させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は船舶推進機を示す模式図である。
【図2】図2はガスシリンダ装置を示す断面図である。
【図3】図3は図2の側面図である。
【図4】図4は図2の平面図である。
【図5】図5は図2のV−V線に沿う矢視図である。
【図6】図6は図5のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図7は図5のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】図8は図5のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】図9はガスシリンダ装置の油圧回路図である。
【符号の説明】
10 船舶推進機
11 船体
15 推進ユニット(推進機)
20 ガスシリンダ装置
21 シリンダブロック
22 ピストンロッド
23 ロッドガイド
24 ピストン
25 ピストンロッド側油室
26 ピストン側油室
31 ガス室
34〜36 連絡路
50 切換弁装置
51 弁ケース
53 連絡室
61〜63 ポペット弁(逆止弁)
73 回転板(回転体)
74 ボール作動面
75〜77 ボール
91 スラストワッシャ
Claims (5)
- シリンダブロックを船体と推進機の一方に連結し、シリンダブロックに設けたロッドガイドからシリンダブロック内に挿入されたピストンロッドを船体と推進機の他方に連結し、
シリンダブロック内にピストンロッド収容側のピストンロッド側油室と、ピストンロッド非収容側のピストン側油室を設け、
ピストンロッド側油室とピストン側油室に連絡可能にされるガス室をシリンダブロックに一体に形成し、
ピストンロッド側油室とピストン側油室とガス室の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置をシリンダブロックに設けてなる船舶用ガスシリンダ装置において、
切換弁装置は、ピストンロッド側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストンロッド側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ピストン側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストン側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ガス室を連絡室に連絡する連絡路に、ガス室の油圧により閉じる逆止弁を設け、
切換弁装置は、全ての逆止弁を一度に開閉操作可能にし、開き操作によって全ての逆止弁を開くことにより、全ての連絡路を連絡室で互いに連絡可能にするとともに、閉じ操作によって全ての逆止弁を閉じることにより、全ての連絡路を連絡室に対して遮断可能にすることを特徴とする船舶用ガスシリンダ装置。 - 前記切換弁装置が、弁ケースに設けた連絡室に各連絡路のポートを開口し、各連絡路のポートのそれぞれに前記各逆止弁を配置し、弁ケースに支持される回転体のボール作動面と上記各逆止弁との間にボールを挟み、回転体の回転操作によりボールを介して各逆止弁を対応するポートに接離させる請求項1に記載の船舶用ガスシリンダ装置。
- シリンダブロックを船体と推進機の一方に連結し、シリンダブロックに設けたロッドガイドからシリンダブロック内に挿入されたピストンロッドを船体と推進機の他方に連結し、
シリンダブロック内にピストンロッド収容側のピストンロッド側油室と、ピストンロッド非収容側のピストン側油室を設け、
ピストンロッド側油室とピストン側油室に連絡可能にされるガス室をシリンダブロックに一体に形成し、
ピストンロッド側油室とピストン側油室とガス室の連絡状態を切換え可能にする切換弁装置をシリンダブロックに設けてなる船舶用ガスシリンダ装置において、
切換弁装置は、ガス室を連絡室に連絡するとともに、ピストンロッド側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストンロッド側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、ピストン側油室を連絡室に連絡する連絡路に、ピストン側油室の油圧により閉じる逆止弁を設け、
切換弁装置は、全ての逆止弁を一度に開閉操作可能にし、開き操作によって全ての逆止弁を開くことにより、全ての連絡路を連絡室で互いに連絡可能にするとともに、閉じ操作によって全ての逆止弁を閉じることにより、全ての連絡路を連絡室に対して遮断可能にするものであり、
切換弁装置は、弁ケースに設けた連絡室に各連絡路のポートを開口し、ピストンロッド側油室の連絡路のポートと、ピストン側油室の連絡路のポートのそれぞれに前記ガス封入圧より高い開弁圧の各逆止弁を配置し、弁ケースに支持される回転体のボール作動面と上記各逆止弁との間にボールを挟み、回転体の回転操作によりボールを介して各逆止弁を対応するポートに接離させることを特徴とする船舶用ガスシリンダ装置。 - 前記切換弁装置が、回転体のボール作動面と各逆止弁のボールを挟む部分の形状の調整により、回転体の回転操作にともなう各逆止弁の開閉タイミングを調整可能にする請求項1又は3に記載の船舶用ガスシリンダ装置。
- 前記弁ケースと回転体との間にスラストワッシャを介装した請求項1、3又は4に記載の船舶用ガスシリンダ装置。
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