JP2004148956A - トラクタのpto駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】トラクタのトランスミッションのPTO駆動装置を、エンジン2からの入力軸と、PTO第一伝動軸21とを同一軸心上に配置し、該PTO第一伝動軸21の上流側に摩擦クラッチ装置33を配置し、下流側にミッドPTO軸駆動ギヤ44、リヤPTO軸駆動ギヤ41a、切換スライダ40を配置するとともに、ミッションケース13側面視略中央に配置される後車軸差動装置60を挟むように前後に壁部31a・31bを形成し、前壁31aより前方の空間32aには走行軸駆動歯車機構18と摩擦クラッチ装置33を、後壁31bより後方の空間32bには前記ミッドPTO軸駆動ギヤ44、リヤPTO軸駆動ギヤ41a、切換スライダ40を含むPTO軸駆動歯車機構20をそれぞれ収納することにより構成した。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トラクタのトランスミッションの構成に関し、特に、ミッションケース内部のミッドPTO軸とリヤPTO軸を駆動するための伝動機構の配置構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ミッドPTO軸およびリヤPTO軸を有するトランスミッションを備えたトラクタにおいて、ミッションケース内にPTO駆動装置を設けて、ミッドPTO軸とリヤPTO軸との駆動切換を行う技術は公知となっており、そして、各PTO軸への駆動切換を、スライダを摺動させることにより行っていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−184559号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のトランスミッションの構成では、次のような不具合があった。
まず、PTO入力軸がPTOクラッチ装置およびスライダと同一軸心上になかったため、PTO駆動のための軸数が増え、組立性を悪くしており、部品点数も増えコスト高となっていた。
また、PTO入力軸にスプラインを形成したカラーを固定して、スライダの摺動部としていたため、構成部品が増えコスト高となっていた。
また、ミッドPTO軸駆動ギヤにおいて、同一部品上でギヤ部およびスライダと嵌合する係合子が形成されていたため、部品の加工工程が増えコスト高となっていた。
更に、リヤPTO軸駆動ギヤにおいて、スライダと嵌合する係合子が形成されている軸はリヤPTO駆動軸とは別部品となっており、リヤPTO駆動軸との連結は連結部材を必要とし、構成部品が増えコスト高となっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
すなわち、請求項1においては、ミッドPTO軸とリヤPTO軸を有するトラクタのトランスミッションにおいて、原動機からの入力軸と、PTO入力軸とを同一軸心上に配置し、該PTO入力軸の上流側にPTOクラッチ装置を配置し、下流側にミッドPTO軸駆動ギヤ、リヤPTO軸駆動ギヤおよびPTO駆動切換装置を配置するとともに、ミッションケース側面視略中央に配置される後車軸差動装置を挟むように前後に壁を形成し、前壁より前方の空間には走行軸駆動歯車機構とPTOクラッチ装置を、後壁より後方の空間には前記ミッドPTO軸駆動ギヤ、リヤPTO軸駆動ギヤおよびPTO駆動切換装置を含むPTO軸駆動歯車機構をそれぞれ収納したものである。
【0006】
請求項2においては、前記後車軸差動装置上方にPTO入力軸を配置し、該PTO入力軸の両端部外周にスプラインを形成して、それぞれの端部を前記前後の空間に臨むように配置し、該PTO入力軸の前端部をPTOクラッチ装置と嵌合し、後端部を前記PTO駆動切換装置のクラッチギヤを軸心方向にスライド自在に嵌合したものである。
【0007】
請求項3においては、前記後壁より後方の空間において、PTO駆動切換装置のクラッチギヤを挟んで、前後にミッドPTO軸駆動ギヤとリヤPTO軸駆動ギヤを配置し、該各駆動ギヤをPTO入力軸に対して回動自在としたものである。
【0008】
請求項4においては、前記リヤPTO軸駆動ギヤのギヤ部を、ミッションケースとその後壁に固着されるカバーとの間に形成される空間に配置し、リヤPTO軸駆動ギヤが設けられるリヤPTO駆動軸の前部にスプラインを形成し、前記PTO駆動切換装置と嵌合可能としたものである。
【0009】
請求項5においては、前記PTO駆動切換装置のクラッチギヤに内歯を形成し、該内歯をミッドPTO軸駆動ギヤのギヤ部と噛合可能に構成したものである。
【0010】
請求項6においては、前記PTO入力軸、ミッドPTO軸駆動ギヤおよびPTO駆動切換装置をアセンブリ化し、該PTO入力軸の軸心に沿ってミッションケース内に組込可能としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は本発明を適用したトラクタの側面図、図2はミッションケースの側面断面図、図3はPTO駆動切換部を示すミッションケース後部の側面断面図、図4はPTO第一伝動軸およびPTO駆動装置のASSY化状態を示す図、図5はPTO第一伝動軸およびPTO駆動装置のASSYをミッションケース後方より組み付ける様子を示した図である。
【0012】
まず、本発明の一実施例に係るPTO駆動装置を具備したトラクタの概略構成について、図1を用いて説明する。
図1に示すように、トラクタの機体フレーム1の前部上に原動機としてのエンジン2が載置され、該エンジン2はボンネット3により覆われている。ボンネット3後部のダッシュボード4上にハンドル5が突設され、該ハンドル5の後方に座席シート6が配設されている。座席シート6の側部には、主変速レバー、副変速レバー、PTO変速レバー等が配置されており、ハンドル5や座席シート6等が配設される部分を操縦部9としている。
【0013】
機体フレーム1の後部には、PTO駆動装置を備えたトランスミッションが配設されて、該トランスミッションを構成するミッションケース13が配置され、該ミッションケース13の両側にリヤアクスルケース12を介して後輪15を支承している。ミッションケース13の前部には油圧式無段変速装置(HST)50が備えられており、該HST50のHST入力軸51にエンジン2の出力が伝動軸を介して伝達される。
【0014】
また、ミッションケース13内には、左右に軸架される後車軸61を駆動するための図示しない副変速装置や後車軸差動装置60等が配置され、該後車軸差動装置60の後方にPTO軸駆動歯車機構20が配設されて、リヤPTO軸25へ動力を伝達する構成としている(図2)。リヤPTO軸25はミッションケース13の後面から後方に突出されており、該ミッションケース13の後部に配設する三点リンク式の作業機装着装置16に装着される各種作業機を駆動可能としている。
また、ミッションケース13の前下部より前方に、ミッドPTO軸27と図示しない前輪駆動取出軸とが突出されて、該前輪駆動取出軸から伝動軸を介してフロントアクスルケース11に動力を伝え、該フロントアクスルケース11に支持される前輪14を駆動可能としている。また、ミッドPTO軸27よりユニバーサルジョイント等を介して前輪と後輪の間に配置した作業機を駆動可能としている。
【0015】
次に、ミッションケース13内部の構成について、図2、図3を用いて説明する。
図2、図3に示すように、ミッションケース13の前部には主変速機構としてのHST50が取り付けられている。該HST50はHSTケース56により覆われ、該HSTケース56の前面から前方へHST入力軸51が突出される。HST入力軸51の前部は伝動軸、ユニバーサルジョイントを介してエンジン2の出力軸と連結されている。また、HST入力軸51はHSTケース56内を貫通して後方に延出され、該HST入力軸51の後端はPTO入力軸であるPTO第一伝動軸21の前端と連結され、HST入力軸51の軸心とPTO第一伝動軸21とを軸心を一致させて配置している。
【0016】
HST50は、HSTケース56内に収納される可変容量型の油圧ポンプと固定容量型の油圧モータとにより構成される。エンジン2の動力がHST入力軸51に伝えられると、油圧ポンプが駆動される。主変速レバーに連動連結されるトラニオン軸が可動斜板と連結されており、主変速レバーを回動して変速操作を行うと、前記可動斜板の傾倒角が変更され、油圧ポンプからの圧油の吐出方向と吐出量が変更される。こうして、油圧モータの出力軸52の回転方向と回転数が変更される構成としている。
【0017】
ミッションケース13内には、後述するように前後に壁部31a・31bが左右方向に形成されて前後に仕切るようにしており、該前側の壁部31aの前方および後側の壁部31bの後方に空間32a・32bが形成されている。そして、前側の壁部31aの前方に形成される空間32aに走行軸駆動歯車機構18および摩擦クラッチ装置33が収納されている。
走行軸駆動歯車機構18は以下のように構成されて、エンジン2の動力を伝達することとしている。前記出力軸52がHSTケース56の下部後面より後方に突出され、該出力軸52の後端に出力ギヤ53が固設される。出力ギヤ53は出力軸52の下方に配設される走行出力軸54に遊嵌される伝動ギヤ55と噛合しており、該伝動ギヤ55より図示しない副変速装置を介して走行出力軸54上に固設した走行出力ギヤ57に動力を伝えるようにしている。また、走行出力軸54の後端部にはベベルギヤ54aが一体的に形成されており、該ベベルギヤ54aが後車軸差動装置60に固着されているリングギヤ(図示せず)と噛合して、該後車軸差動装置60に軸架される後車軸61を駆動する構成としている。
【0018】
後車軸差動装置60は側面視で、ミッションケース13の略中央に配置され、該後車軸差動装置60を構成するリングギヤの前後に壁部31a・31bが形成されている。そして、後車軸差動装置60の上方において、前後の壁部31a・31bに前記PTO第一伝動軸21がベアリング28・29を介して回転自在に支持されている。つまり、ミッションケース13の前後の壁部31a・31bの間に形成される空間32cに、後車軸差動装置60が収納されるように、前後の壁部31a・31bが形成され、空間32c内の上部空きスペースにPTO第一伝動軸21が前後方向に横架されている。
【0019】
前記HST入力軸51後端外周とPTO第一伝動軸21前端外周にはスプラインが形成され、該HST入力軸51後端とPTO第一伝動軸21前端との間には、PTOクラッチ装置である摩擦クラッチ装置33が配設されている。摩擦クラッチ装置33は、HST入力軸51上にスプライン嵌合されるボス体35、クラッチケース58、該ボス体35とクラッチケース58の間に交互に配設される摩擦板、該摩擦板を押圧する押圧部材59、該押圧部材59にボルト等を介して摺動体62、該摺動体62にベアリングを介してPTO第一伝動軸21上に遊嵌される当接体66、該当接体66を押すカム体34等から構成され、前記PTO第一伝動軸21のスプラインがクラッチケース58のボス部に挿入してスプライン嵌合される。
【0020】
摩擦クラッチ装置33はミッションケース13の前側の壁部31aの前方に形成される空間32aに配設されている。操縦部9に配置したPTOクラッチレバーの操作により前記カム体34が回動され、該カム体34の回動により当接体66がPTO第一伝動軸21上を前方に摺動して摺動体62、ボルト、押圧部材59を介して摩擦板を押圧して、ボス体35とPTO第一伝動軸21上に固設されるクラッチケース58を一体的に回動するようにしている。つまり、PTOクラッチレバーの操作により摩擦クラッチ装置33を「接」としてエンジン2からの動力をリヤPTO軸25に伝達可能としている。
【0021】
ミッションケース13の後側の壁部31bの後方に形成される空間32bには、PTO軸駆動歯車機構20が収納され、該PTO軸駆動歯車機構20は以下のように構成されて、エンジン2の動力をリヤPTO軸25やミッドPTO軸27に伝達する構成としている
PTO第一伝動軸21の後部は、ミッションケース13の後部の壁部31bにベアリング29を介して回転自在に軸受支持される。その後方にて、PTO第一伝動軸21の後部上にニードルベアリング36を介してミッドPTO軸駆動ギヤ44が遊嵌され、更に後方にて、PTO第一伝動軸21後端外周にスプラインを形成してPTO駆動切換装置である切換スライダ(クラッチギヤ)40をスプライン嵌合している。切換スライダ40には内歯40aが形成されて、前記ミッドPTO軸駆動ギヤ44と噛合可能としている。また、切換スライダ40の外周には操縦部9に設けるPTO切換レバーに連結されるシフトフォークを嵌合する溝が形成されている。
【0022】
PTO第一伝動軸21の後端部には、後端面より軸心方向に凹部を形成し、同軸上において、リヤPTO駆動軸41の前部に形成した小径軸部を挿入して、相対回転自在にニードルベアリング37を介して嵌合している。リヤPTO駆動軸41前部外周にはスプラインを形成して前記切換スライダ40とスプライン嵌合可能とし、リヤPTO駆動軸41の後部はミッションケース13後端の壁部13aにベアリング30を介して回転自在に軸受支持されている。
そして、リヤPTO駆動軸41の後部にはリヤPTO軸駆動ギヤ41aが付設されており、該リヤPTO軸駆動ギヤ41aはリヤPTO軸25の前部上に固設されるギヤ45と噛合して、リヤPTO軸25へ動力を伝達可能としている。リヤPTO軸駆動ギヤ41aは、そのギヤ部がミッションケース13とその後端の壁部13aに固着するカバー17との間に形成される空間32dに配置されている。
【0023】
切換スライダ40はミッションケース13の後側の壁部31bの後方に形成される空間32bに配設される。また、該空間32b内には、PTO第一伝動軸21の下方に、第二伝動軸22がベアリングを介して回転自在に平行に支持される。壁部31bの後下方には、壁部31cが形成され、該壁部31cと壁部13aとの間の空間には、第二伝動軸22の下方に第三伝動軸23と第四伝動軸24とが、平行に回転自在にそれぞれ支持される。そして、壁部13aと前記壁部31aとの間の空間には、前記各伝動軸21・22・23・24下方にミッドPTO軸27が平行で回転自在に軸受支持されている。
【0024】
前記ミッドPTO軸駆動ギヤ44は、PTO第一伝動軸21の下方に配設する第二伝動軸22上に固設されるギヤ43と常時噛合し、該ギヤ43は第二伝動軸22の下方に配設する第三伝動軸23上に固設されるギヤ46と噛合する。そして、ギヤ46の後部の第三伝動軸23上には、ギヤ47が固定されており、該ギヤ47は第四伝動軸24上に固設されたギヤ48と常時噛合している。前記第四伝動軸24上のギヤ48は、その下方に配設されるミッドPTO軸27の後部に固設されたギヤ49と噛合している。こうして、エンジン2の動力をミッドPTO軸駆動ギヤ44からミッドPTO軸27へと伝達可能としている。
【0025】
このような構成において、切換スライダ40に連結されるPTO切換レバーを操作して、切換スライダ40を軸方向に摺動させることによって、切換スライダ40とリヤPTO駆動軸41とPTO第一伝動軸21との三者がスプライン嵌合する位置に切換スライダ40を位置させると、つまり、リヤPTO駆動位置に切り換えると、PTO第一伝動軸21から切換スライダ40、リヤPTO駆動軸41、ギヤ45を介してリヤPTO軸25を回動駆動する。
【0026】
切換スライダ40を軸方向に摺動させて、切換スライダ40の内歯40aがミッドPTO軸駆動ギヤ44と噛合し、リヤPTO駆動軸41とはスプライン嵌合しないように位置させると、つまり、ミッドPTO駆動位置に切り換えると、PTO第一伝動軸21から切換スライダ40、ミッドPTO軸駆動ギヤ44、ギヤ43、ギヤ46、第三伝動軸23、ギヤ47、ギヤ48、ギヤ49を介してミッドPTO軸27に伝達され、該ミッドPTO軸27からミッドマウント作業機に動力が伝達される。
【0027】
切換スライダ40を摺動させて、切換スライダ40をリヤPTO駆動軸41とPTO第一伝動軸21とにスプライン嵌合させるとともに、ミッドPTO軸駆動ギヤ44と噛合させる位置にさせると、つまり、リヤPTO・ミッドPTO駆動位置に切り換えると、前記同様にリヤPTO軸25とミッドPTO軸27の両者に動力が伝達される。
【0028】
以上のように、ミッションケース13内において、ミッションケース13側面視略中央に後車軸差動装置60を配置し、該後車軸差動装置60を挟むように前後に壁部31a・31bを形成し、該壁部31aより前方の空間32aには走行軸駆動歯車機構18と摩擦クラッチ装置33を、壁部31bより後方の空間32bにはPTO軸駆動歯車機構20をそれぞれ収納している。これにより、ミッションケース13内において、走行軸駆動歯車機構18とPTO軸駆動歯車機構20をそれぞれ別の空間32a・32bに配置することが可能となり、組立性、整備性の向上を図っている。
【0029】
また、PTO第一伝動軸21の両端部外周にはスプラインが形成されて、前端部は前記空間32a内で摩擦クラッチ装置33と、後端部は前記空間32b内で切換スライダ40と、前記後車軸差動装置60の上方においてそれぞれスプライン嵌合している。該切換スライダ40はPTO第一伝動軸21上を前後にスライド自在となっており、これにより、PTO第一伝動軸21と切換スライダ40とを嵌合する係合子を別途設ける必要がなくなり、組立性の向上、コスト削減を図っている。
【0030】
また、前記空間32bにおいて、切換スライダ40を挟んで、前後にミッドPTO軸駆動ギヤ44(前側)とリヤPTO軸駆動ギヤ41a(後側)が配置され、各駆動ギヤ44・41aは、それぞれPTO第一伝動軸21に対して回動自在となっており、こうして、切換スライダ40、ミッドPTO軸駆動ギヤ44、リヤPTO軸駆動ギヤ41aが同一軸心上に配置することにより、ミッションケース13をコンパクトな構成とすることができる。
【0031】
また、前記リヤPTO駆動軸41の後部に形成されるリヤPTO軸駆動ギヤ41aは、そのギヤ部がミッションケース13とその後端の壁部13aに固着するカバー17との間に形成される空間32dに配置される。そして、リヤPTO駆動軸41の前部にはスプラインが形成されて、該リヤPTO駆動軸41の前方に配置される切換スライダ40とのスプライン嵌合を可能としている。これにより、リヤPTO駆動軸41において、同一部品上の前後に切換スライダ40との係合子であるスプライン(前側)とリヤPTO軸駆動ギヤ41a(後側)とを形成して、部品点数を抑えることができ、コスト削減を可能としている。
【0032】
また、切換スライダ40に内歯40aを形成して、該内歯40aをミッドPTO軸駆動ギヤ44のギヤ部に直接噛み合わせて、ミッドPTO軸27への動力伝達を可能としており、これにより、ミッドPTO軸駆動ギヤ44に、ギヤ部とは別に切換スライダ40と嵌合する係合子を形成する必要がなくなり、部品の加工工程を抑え、コスト削減を図っている。
【0033】
次に、PTO第一伝動軸21とPTO駆動装置のアセンブリ(ASSY)化について、図3、図4を用いて説明する。
図3に示すように、ミッドPTO軸駆動ギヤ44の最大外径をD1、切換スライダ40の最大外径をD2、ベアリング30の外径をD3とすると、D1およびD2が、D3よりも小さくなるように形成されている。ミッションケース13後端の壁部13aには、ベアリング30を取り付けるための取付孔13bが開口されており、該取付孔13bの直径とベアリング30の最大外径D3とは等しくなっている。
このため、取付孔13b中を、ミッドPTO軸駆動ギヤ44および切換スライダ40を通過させることできる。
【0034】
こうして、図4に示すように、PTO駆動装置の組み付けの際には、PTO第一伝動軸21、ミッドPTO軸駆動ギヤ44、切換スライダ40、ニードルベアリング36・37およびベアリング29をASSY化した状態で、ミッションケース13の取付孔13bからPTO第一伝動軸21の軸心に沿って挿入することにより、これらを一括してミッションケース13内に組み込むことが可能となる。これにより、ミッションケース13の組立性の向上を図っている。そして、このように一括して組み込んだ後に、ベアリング30を取り付けて、カバー17をミッションケース13の後方から被せればよい。
なお、図5に示すように、前記ASSYにカバー17とギヤ45とリヤPTO軸25とベアリングやシール等を一体的に組み付けて一つのユニット26としてミッションケース13の後方より組み付けることもできる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
すなわち、請求項1に示す如く、ミッドPTO軸とリヤPTO軸を有するトラクタのトランスミッションにおいて、原動機からの入力軸と、PTO入力軸とを同一軸心上に配置し、該PTO入力軸の上流側にPTOクラッチ装置を配置し、下流側にミッドPTO軸駆動ギヤ、リヤPTO軸駆動ギヤおよびPTO駆動切換装置を配置するとともに、ミッションケース側面視略中央に配置される後車軸差動装置を挟むように前後に壁を形成し、前壁より前方の空間には走行軸駆動歯車機構とPTOクラッチ装置を、後壁より後方の空間には前記ミッドPTO軸駆動ギヤ、リヤPTO軸駆動ギヤおよびPTO駆動切換装置を含むPTO軸駆動歯車機構をそれぞれ収納したので、ミッションケース内において、走行軸駆動歯車機構とPTO軸駆動歯車機構をそれぞれ別の空間に配置することが可能となり、組立性、整備性の向上を図ることができる。
【0036】
請求項2に示す如く、前記後車軸差動装置上方にPTO入力軸を配置し、該PTO入力軸の両端部外周にスプラインを形成して、それぞれの端部を前記前後の空間に臨むように配置し、該PTO入力軸の前端部をPTOクラッチ装置と嵌合し、後端部を前記PTO駆動切換装置のクラッチギヤを軸心方向にスライド自在に嵌合したので、PTO入力軸とPTO駆動切換装置とを嵌合する係合子を別途設ける必要がなくなり、組立性の向上、コストの削減が可能となる。
【0037】
請求項3に示す如く、前記後壁より後方の空間において、PTO駆動切換装置のクラッチギヤを挟んで、前後にミッドPTO軸駆動ギヤとリヤPTO軸駆動ギヤを配置し、該各駆動ギヤをPTO入力軸に対して回動自在としたので、PTO駆動切換装置、ミッドPTO軸駆動ギヤおよびリヤPTO軸駆動ギヤを同一軸心上に配置することにより、ミッションケースをコンパクトな構成とすることができる。
【0038】
請求項4に示す如く、前記リヤPTO軸駆動ギヤのギヤ部を、ミッションケースとその後壁に固着されるカバーとの間に形成される空間に配置し、リヤPTO軸駆動ギヤが設けられるリヤPTO駆動軸の前部にスプラインを形成し、前記PTO駆動切換装置と嵌合可能としたので、リヤPTO駆動軸において、同一部品上の前後にPTO駆動切換装置との係合子であるスプライン)とリヤPTO軸駆動ギヤとを形成することにより、部品点数を抑えることができ、コスト削減を図ることができる。
【0039】
請求項5に示す如く、前記PTO駆動切換装置のクラッチギヤに内歯を形成し、該内歯をミッドPTO軸駆動ギヤのギヤ部と噛合可能に構成したので、ミッドPTO軸駆動ギヤに、ギヤ部とは別にPTO駆動切換装置と嵌合する係合子を形成する必要がなくなり、部品の加工工程を抑え、コスト削減が図れる。
【0040】
請求項6に示す如く、前記PTO入力軸、ミッドPTO軸駆動ギヤおよびPTO駆動切換装置をアセンブリ化し、該PTO入力軸の軸心に沿ってミッションケース内に組込可能としたので、ミッションケースの組立性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したトラクタの側面図。
【図2】ミッションケースの側面断面図。
【図3】PTO駆動切換部を示すミッションケース後部の側面断面図。
【図4】PTO第一伝動軸およびPTO駆動装置のASSY化状態を示す図。
【図5】PTO第一伝動軸およびPTO駆動装置のASSYをミッションケース後方より組み付ける様子を示した図。
【符号の説明】
2 エンジン
13 ミッションケース
18 走行軸駆動歯車機構
20 PTO軸駆動歯車機構
21 PTO第一伝動軸
25 リヤPTO軸
27 ミッドPTO軸
31a・31b 壁部
32a・32b 空間
33 摩擦クラッチ装置
40 切換スライダ
41a リヤPTO軸駆動ギヤ
44 ミッドPTO軸駆動ギヤ
60 後車軸差動装置
Claims (6)
- ミッドPTO軸とリヤPTO軸を有するトラクタのトランスミッションにおいて、原動機からの入力軸と、PTO入力軸とを同一軸心上に配置し、該PTO入力軸の上流側にPTOクラッチ装置を配置し、下流側にミッドPTO軸駆動ギヤ、リヤPTO軸駆動ギヤおよびPTO駆動切換装置を配置するとともに、ミッションケース側面視略中央に配置される後車軸差動装置を挟むように前後に壁を形成し、前壁より前方の空間には走行軸駆動歯車機構とPTOクラッチ装置を、後壁より後方の空間には前記ミッドPTO軸駆動ギヤ、リヤPTO軸駆動ギヤおよびPTO駆動切換装置を含むPTO軸駆動歯車機構をそれぞれ収納したことを特徴とするトラクタのPTO駆動装置。
- 前記後車軸差動装置上方にPTO入力軸を配置し、該PTO入力軸の両端部外周にスプラインを形成して、それぞれの端部を前記前後の空間に臨むように配置し、該PTO入力軸の前端部をPTOクラッチ装置と嵌合し、後端部を前記PTO駆動切換装置のクラッチギヤを軸心方向にスライド自在に嵌合したことを特徴とする請求項1に記載のトラクタのPTO駆動装置。
- 前記後壁より後方の空間において、PTO駆動切換装置のクラッチギヤを挟んで、前後にミッドPTO軸駆動ギヤとリヤPTO軸駆動ギヤを配置し、該各駆動ギヤをPTO入力軸に対して回動自在としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のトラクタのPTO駆動装置。
- 前記リヤPTO軸駆動ギヤのギヤ部を、ミッションケースとその後壁に固着されるカバーとの間に形成される空間に配置し、リヤPTO軸駆動ギヤが設けられるリヤPTO駆動軸の前部にスプラインを形成し、前記PTO駆動切換装置と嵌合可能としたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のトラクタのPTO駆動装置。
- 前記PTO駆動切換装置のクラッチギヤに内歯を形成し、該内歯をミッドPTO軸駆動ギヤのギヤ部と噛合可能に構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のトラクタのPTO駆動装置。
- 前記PTO入力軸、ミッドPTO軸駆動ギヤおよびPTO駆動切換装置をアセンブリ化し、該PTO入力軸の軸心に沿ってミッションケース内に組込可能としたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のトラクタのPTO駆動装置。
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