JP2001355705A - 油圧・機械式無段変速装置 - Google Patents

油圧・機械式無段変速装置

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JP2001355705A
JP2001355705A JP2000176478A JP2000176478A JP2001355705A JP 2001355705 A JP2001355705 A JP 2001355705A JP 2000176478 A JP2000176478 A JP 2000176478A JP 2000176478 A JP2000176478 A JP 2000176478A JP 2001355705 A JP2001355705 A JP 2001355705A
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hydraulic
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hst
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Masaaki Nakazawa
正明 中沢
Akira Nakamura
朗 中村
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IHI Shibaura Machinery Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧ポンプと油圧モータとを流体的に接続し
たHSTと、差動機構と、を組み合わせる構成の、エン
ジンの出力回転の変速を行う油圧・機械式無段変速装置
において、コンパクト性に優れ、また、HSTと差動機
構とを一体ユニット化することが容易な構成を提供す
る。 【解決手段】 HST7の油圧ポンプ14の回転軸心
に、エンジンからの駆動力を差動機構30に伝達する第
一の軸5と、該油圧ポンプ14を駆動する中空状の第二
の軸17と、を配置するとともに、油圧モータ15は前
記差動機構30を挟んで前記油圧ポンプ14の反対側に
配置し、その回転軸線は前記油圧ポンプ14の回転軸線
と一致させるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静油圧式無段変速
装置(本明細書において「HST」と称する。)と差動
機構とを組み合わせた、油圧・機械式無段変速装置の改
良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両駆動技術としては、HSTを用いた
油圧式無段変速装置も多く採用されているが、HSTと
差動機構を組み合わせた油圧・機械式無段変速装置(ハ
イドロメカニカルトランスミッション。略して「HM
T」と称される。)も、高効率を達成することができ、
重い車両で前後進が要求される場合の変速装置として適
することから、幅広く生産され使用されるに至ってい
る。このHMTの代表的な構成として、差動機構として
一組の遊星歯車機構を使用したものがある。具体的に
は、遊星歯車機構を構成するサンギア、インターナルギ
ア、遊星キャリアの三要素のうちいずれか一の要素(第
一の要素)に回転動力を入力し、他の一の要素(第二の
要素)から出力回転を取り出すとともに、残りの一の要
素(第三の要素)からHSTに対する出力又は入力を連
動するよう構成したものである。
【0003】このHMTは、前記第三の要素にHSTに
対する入力を連動するか、HSTに対する出力を連動す
るかによって、二つの形式に分けられる。即ち、前記第
三の要素にHSTの油圧ポンプの入力軸を回転比一定で
結合するものは出力分割型(入力結合型)とされ、前記
第三の要素にHSTの油圧モータの出力軸を回転比一定
で結合するものは入力分割型(出力結合型)とされる。
そして、両形式ともに、HSTの油圧ポンプの入力軸又
は油圧モータの出力軸を前記遊星歯車機構の三要素のい
ずれに結合するかの組合せにより、図5に示される如
く、各形式につき六つのタイプ、計十二のタイプがあ
る。
【0004】ここで、このHMTを車両に適用する場合
は、入力分割型は高速時に効率が良く、出力分割型は低
速時に効率が良いとされる。従って、トラクタにHMT
を適用したい場合は、牽引作業等の高速走行を行う場合
は入力分割型が適しており、低速で作業を行う場合は出
力分割型が適することとなって、両形式は一長一短であ
る。しかし、出力分割型は、前進側の効率は良くなるも
のの、後進側の効率が悪くなってしまう問題があり、ま
た速度ゼロ近辺に動力循環域が存在しており、クラッチ
等と併用しないと成り立たない等の問題がある。従っ
て、トラクタ等に現在実用化されているものは主に入力
分割型となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記入力分割型のHM
Tを用いたHMT式トランスミッションにおいては、遊
星歯車機構のうち三要素のうち、一の要素をHSTの油
圧ポンプに連動連結するとともに、他の二つの要素をそ
れぞれ出力側又は入力側へ連結させる必要がある。加え
て、遊星歯車機構の前記三要素はすべてその回転軸心を
同一とするものであり、そのような三要素それぞれに対
する入力又は出力の経路を、互いに干渉することなく配
置する必要がある。従って、従来のHMT式トランスミ
ッションは、エンジンからの動力を遊星歯車機構に入
力させるための軸、油圧ポンプの入力軸、油圧モー
タの出力軸、の三者を、それぞれ軸心を異ならせて配置
し、この三者間をそれぞれギアトレーン等で連結するの
が通例であった。
【0006】しかし、このような構成では、前記ギアト
レーンのために歯車等が必要となり、コストや製造工数
の増大の要因となっていた。また、ギアトレーンを配置
するためのスペースを確保する必要もあって、トランス
ミッションのコンパクト化の障害となっていたのであ
る。
【0007】また、既存のHST式トランスミッション
においては、油圧ポンプと油圧モータとを一体としたタ
イプのHSTが広く採用されている。これは、一体型と
するとユニット化が可能でありトランスミッション製造
時等の取り回しに便宜であること、コンパクト性に優れ
ること、汎用性が高く大量に生産し得るためコストを安
くできること等の利点があるからであり、また、PTO
装置(動力取出し装置)のための動力を取り出しやすい
ことから、該PTO装置を必要とするトラクタのHST
式トランスミッションには、この一体型のHSTが特に
広く用いられている。しかし、入力分割型のHMTにお
いては、HSTのポンプとモータとを一体ユニットとし
て構成する場合は、遊星歯車機構にエンジンからの動力
を入力させるための軸や、該遊星歯車機構とHSTの油
圧ポンプと油圧モータとを連動連結させる経路が、複雑
となっていた。従って、HMT式トランスミッションに
おいて、HSTのポンプとモータとを一体ユニット状に
構成しておき、それを組み込む構成は困難とされていた
のである。
【0008】本発明は上記の点に鑑みてされたものであ
り、トランスミッションのコンパクト化に寄与でき、か
つ製造時等において取り回しが便宜な、油圧・機械式無
段変速装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとす
る課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するた
めの手段を説明する。
【0010】即ち、請求項1においては、エンジンの出
力回転の変速を行う油圧・機械式無段変速装置であっ
て、油圧ポンプと油圧モータとを流体的に接続したHS
Tと、差動機構と、を組み合わせて構成されたものにお
いて、前記油圧ポンプの回転軸心に、エンジンからの駆
動力を前記差動機構に伝達する第一の軸と、該油圧ポン
プを駆動する中空状の第二の軸と、を配置するととも
に、前記油圧モータは前記差動機構を挟んで前記油圧ポ
ンプの反対側に配置し、その回転軸線は前記油圧ポンプ
の回転軸線と一致させたものである。
【0011】請求項2においては、請求項1記載の油圧
・機械式無段変速装置において、前記差動機構を遊星歯
車機構とし、該遊星歯車機構の三要素のうちの一の要素
を前記第一の軸の出力側に連結し、他の一の要素を前記
第二の軸の入力側に連結し、残りの一の要素を前記油圧
モータの回転を出力する軸に連結したものである。
【0012】請求項3においては、請求項1又は請求項
2記載の油圧・機械式無段変速装置において、前記油圧
モータの回転軸心には、該油圧モータの回転を出力する
中空状の第三の軸を配置するとともに、前記第一の軸又
は該第一の軸と一体的に回転するよう連結される軸は、
前記油圧モータの回転軸心を貫通させて、PTO軸に対
する動力伝達を行うようにしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施の形態を説明す
る。図1はHMT式トランスミッションのスケルトン図
である。図2はHMT式トランスミッションにおいて、
第一実施例に係る油圧・機械式無段変速装置の構成を示
した側面断面図、図3は第一実施例の変形例に係る油圧
・機械式無段変速装置の構成を示した側面断面図であ
る。図4は第二実施例に係る油圧・機械式無段変速装置
の構成を示した側面断面図である。
【0014】以下、図1及び図2を参照しながら、この
HMT式トランスミッション100の構成を説明する。
このHMT式トランスミッションは、例えば農用トラク
タ等の車両に適用が可能であり、具体的にはスケルトン
図である図1に示すように、エンジンのフライホイール
1にダンパ2を介して、このトランスミッション100
に対する動力を受け入れるための入力軸3が取り付けら
れ、該入力軸3の後方に第一の軸たる伝達軸5が同心状
に配置されて、該伝達軸5はカップリング4を介して入
力軸3と相対回転不能に連結されている。前記入力軸3
の後方には、後述するHST7の油圧ポンプ14、差動
機構30、HST7の油圧モータ15の順に並べて配置
され、前記伝達軸5は該油圧ポンプ14の回転軸心及び
油圧モータ15の回転軸心を貫通しながら、後方へ延出
されている。該伝達軸5の後方にはPTO主軸10が同
心して配置され、カップリングを介して伝達軸5に対し
相対回転不能に連結される。PTO主軸10は図1に示
す如く更に後方に延長されており、また、該PTO主軸
10に平行に、PTO軸11を配置している。PTO主
軸10と該PTO軸11との間には、歯車変速式のPT
O変速機構12が介設されている。この構成により、前
記伝達軸5は、エンジンからの動力を該PTO軸11に
対し伝達する役割を果たすこととなる。
【0015】このHMT式トランスミッション100に
配置される油圧・機械式無段変速装置(HMT)101
は、HST7と、差動機構である遊星歯車機構30とを
組み合わせて構成され、一体ユニット化されている。以
下、このHST7について、図2を参照して説明する。
HST7は油圧ポンプ14と油圧モータ15とを流体的
に接続して構成されたものとし、平板状の二枚の油路板
13・13’を図2に示す如く前後平行に直立させて設
け、両者は後述する差動機構のハウジング38にて互い
に連結固定されている。そして、前側の油路板13の前
面に油圧ポンプ14を付設し、後側の油路板13’の後
面に油圧モータ15を付設している。二枚の油路板13
・13’ それぞれの内部には各二本の油路が平行に穿
設され(図外)、二枚の油路板の油路同士が図示せぬ配
管、又は前記ハウジング38内に穿設した油路により連
通されて、作動油循環回路を構成し、これによって油圧
ポンプ14と油圧モータ15とが油圧的に結合されてい
る。該油圧ポンプ14・油圧モータ15は、それぞれハ
ウジング16・16’によって覆われる。
【0016】上記油圧ポンプ14は図2に示すように、
前記ハウジング16内部において前記伝達軸5に相対回
転自在に外嵌される、第二の軸たる中空のポンプ軸17
と、該ポンプ軸17に対し相対回転不能に嵌合されるシ
リンダブロック18と、該シリンダブロック18に穿設
されたシリンダ孔に油密を保ちながら往復動自在に嵌合
される複数のピストン19と、該ピストン19を往復駆
動させる斜板カムの作用を行うための可動斜板20とに
よりなり、可動斜板式のアキシャルピストンポンプとし
ている。前記ポンプ軸17は油路板13を貫通して後方
へ少量延出されており、該ポンプ軸17の後端に、後述
する遊星歯車機構30のインターナルギア32が固定さ
れる。該可動斜板20は、車両座席に設けた変速操作手
段、例えば変速ペダルと、適宜のリンク機構等をもって
連係されている。この変速ペダルは例えば、前後二つの
踏面を有するシーソー式に構成して、前側の踏面を踏み
込むと前進し、後側を踏み込むと後進するようにし、ま
た、その踏込み量に応じて無段に増速できるように構成
している。HST7の前記油圧ポンプ14部分の前部に
はチャージポンプ6が配設され、前記伝達軸5の動力に
て駆動されるように構成し、前記HST7の内部的な油
漏れを補償するようにしている。
【0017】油圧モータ15は、前記油圧ポンプ14の
後方位置にて前記伝達軸5に回転自在に外嵌される、第
三の軸たる中空状のモータ軸21と、該モータ軸21に
相対回転不能に嵌合されるシリンダブロック22と、該
シリンダブロック22に穿設されたシリンダ孔に往復動
自在に嵌合される複数のピストン23と、該ピストン2
3の伸張駆動を前記シリンダブロック22の回転駆動力
に変換するための斜板カム作用を行う可動斜板24とに
よりなり、可動斜板式のアキシャルピストンモータとし
ている。前記モータ軸21は油圧モータ15の回転を出
力する軸であり、その一端は油路板13’を貫通して前
方に少量突出され、該突出部分には後述する差動歯車機
構30のサンギア33が取り付けられる。他端は油圧モ
ータのハウジング16’から突出されて、該突出部分に
は車軸に対し動力を伝達するための出力ギア36が取り
付けられる。
【0018】この油圧モータ15の可動斜板24は、適
宜の操作手段や制御手段と連係させることができる。例
えば、前記変速ペダルに連係させて無段変速が可能な領
域を拡大させたり、車両座席に設けた副変速レバーと連
係させて副変速を行わせたり、前後進切換レバーと連係
させて前後進の切換を行わせたり、制御装置と連係させ
てエンジンの負荷や回転数に応じて自動変速制御を行わ
せたり等である。油圧モータ15の後部にはチャージポ
ンプ6’が取り付けられ、前記モータ軸21により駆動
されるように構成して、該油圧モータ15の内部的な油
漏れを補償するように構成している。
【0019】この構成により、油圧モータ15の可動斜
板24を最大角度だけ傾動させた状態で、ポンプ軸17
に動力を入力させながら前記変速ペダルを踏み込んで前
記可動斜板20を中立位置から任意の角だけ傾動させる
ことにより、シリンダブロック18に支持されるピスト
ン19が該可動斜板20により往復駆動されて圧油を吐
出し、該吐出された圧油は、前記油路板13・13’内
の作動油循環回路を介して、油圧モータ15へ送油され
る。該圧油は該油圧モータ15のピストン23を伸張駆
動させてシリンダブロック22を回転させ、モータ軸2
1の回転動力として取り出される。
【0020】次に、遊星歯車機構30について説明す
る。この遊星歯車機構30は、前記HSTの油圧ポンプ
14と油圧モータ15とに挟まれた位置に配置されてお
り、二枚の前記油路板13・13’、及び、筒状のハウ
ジング38にて覆われている。該ハウジング38は、前
記油路板13・13’同士を連結する役割をも果たして
いる。この覆われた内部において、前記伝達軸5に遊星
キャリア31が相対回転不能にスプライン嵌合されて、
該遊星キャリア31に複数の遊星歯車34・34・・・
を軸支している。この遊星歯車群34・34・・・の外
周にはインターナルギア32が噛合され、該遊星歯車群
34・34・・・の内周にはサンギア33が噛合され
る。前記インターナルギア32はHST7の前記ポンプ
軸17に固定され、HST7を駆動するように構成して
いる。一方、前記サンギア33は、前記伝達軸5の後部
に外嵌して相対回転自在とされた、筒状の前記モータ軸
21の一端に固定されている。該モータ軸21は伝達軸
5とともに後方へ延出され、その端部には前述のとおり
出力ギア36が固定されている。
【0021】この構成により、伝達軸5を介して前記遊
星キャリア31に入力されたエンジンからの駆動力は、
該遊星キャリア31に支持される遊星歯車34・34・
・・において二手に分岐され、該分岐された一方はイン
ターナルギア32を介して前記HST7のポンプ軸17
に入力されて、HST7による無段変速及び回転方向の
変更が行われた後、モータ軸21から出力ギア36に伝
達される。分岐された他方は、サンギア33に入力さ
れ、同じくモータ軸21から出力ギア36に伝達され
る。即ち、エンジンからの駆動力を遊星歯車装置30に
おいていったん分岐し、その一方をHST7により無段
変速させた上で他方の駆動力と合成させることにより、
モータ軸21を無段に変速し、あるいは、動力が伝達さ
れない中立状態をも現出できるようにしているのであ
る。
【0022】前述の如くモータ軸21の後端には出力ギ
ア36が固定されるとともに、前記モータ軸21と平行
にデフ駆動軸45が軸支され、前記出力ギア36は、該
デフ駆動軸45上に固定された入力歯車55に噛合され
る(図1)。デフ駆動軸45の端部にはベベルギア47
が固定され、該ベベルギア47に近接して左右のデフヨ
ーク軸48・48が配置され、該デフヨーク軸48・4
8の内端側同士をデフ装置49によって差動的に結合し
ている。そして、該デフ装置49を駆動するための入力
ベベルギア50を、該ベベルギア47に噛合させるよう
にしている。前記デフヨーク軸48・48のそれぞれに
は減速ギア51が固定され、該減速ギア51は、後車軸
52上の歯車53に噛合されて、該後車軸52に固定さ
れる後輪54を駆動する。
【0023】また、前記デフ駆動軸45上の入力歯車5
5は中間歯車56に噛合され、また、このデフ駆動軸4
5と平行に前輪出力軸57が配置されて、該前輪出力軸
57上には摺動歯車58が、相対回転不能かつ軸方向摺
動自在に嵌合されている。該摺動歯車58は、車両座席
に設けた図外の駆動モード切替レバーに、適宜のリンク
機構等を介して連係させている。この構成において、駆
動モード切替レバーを傾動操作して前記摺動歯車58を
軸方向に摺動させ、前記中間歯車56に係脱させること
により、前輪出力軸57に対する駆動力を断接して、後
輪駆動又は四輪駆動の切換を行うことができる。
【0024】前記前輪出力軸57はドライブシャフト5
9や自在継手等を介して、フロントアクスル装置60の
入力軸61と連動連結される。該フロントアクスル装置
60においては、左右の前車軸62を差動的に連結する
ためのデフ装置63が配置され、該デフ装置63は左右
のデフヨーク軸64・64の内端側同士を連結すべく構
成し、前記入力軸61に固設されたベベルギア65によ
り駆動されるようになっている。前記デフヨーク軸64
・64の駆動力は、ベベルギア65を介してキングピン
軸66→前車軸62と伝達されて、左右の前車輪67を
駆動する。
【0025】この構成の作用について、停止状態の車両
を発進させる場合を例に説明する。即ち、エンジンから
の動力はフライホイール1から入力軸3→伝達軸5と伝
達されて、遊星歯車機構30の遊星キャリア31を駆動
する。一方、車両が停止状態にあるということはデフ駆
動軸45が停止していることを意味し、従って、該デフ
駆動軸45に出力ギア36・モータ軸21を介して連動
連結されるサンギア33も、回転を停止した状態になっ
ている。遊星キャリア31が回転し、サンギア33が停
止していることから、インターナルギア32が駆動さ
れ、該インターナルギア32の回転がポンプ軸17に伝
達されて、油圧ポンプ14が駆動される。ここで、油圧
モータ15の可動斜板24が傾動されている状態で油圧
ポンプ14の可動斜板20を中立位置から傾動させる
と、油圧ポンプ14は圧油を油圧モータ15に対し吐出
し、油圧モータ15が駆動される。油圧モータ15の出
力側を構成するモータ軸21は出力ギア36を介してデ
フ駆動軸45を駆動し、該デフ駆動軸45から後車軸5
2、あるいは前後の車軸52・62に動力が伝達され
て、車両が発進されることとなる。
【0026】一方、前記PTO主軸10とPTO軸11
との間に配設されるPTO変速機構12は、図1に示す
如く、該PTO主軸10に固設される第一原動歯車68
及び第二原動歯車69と、前記PTO軸11に対し相対
回転自在かつ軸方向摺動不能に嵌合される従動歯車70
と、同じくPTO軸11に対し相対回転不能かつ軸方向
摺動自在に嵌合されるクラッチギア71とによりなる。
該クラッチギア71は、車両座席の適宜位置に設けたP
TO変速レバーと、適宜のリンク機構を介して連係させ
ている。前記従動歯車70は常時前記第一原動歯車68
に噛合されるとともに、その側面に爪部を形成してい
る。一方、前記クラッチギア71は軸方向の摺動により
前記第二原動歯車69に係脱可能となるよう構成され、
かつ前記爪部に向かい合う該クラッチギア71の側面に
爪部を設けて、前記従動歯車70の爪部に対して係脱可
能となるようにしている。従って、前記PTO変速レバ
ーの操作により該クラッチギア71を軸方向に摺動さ
せ、前記従動歯車70に係合してPTO軸11に低速回
転を得、又は前記第二原動歯車69に係合してPTO軸
11に高速回転を得ることができる。
【0027】以上に説明したHMT式トランスミッショ
ン100は、図2に示す如く、HST7の油圧ポンプ1
4のポンプ軸17を中空軸として、エンジンから遊星歯
車機構30に動力を伝達するための伝達軸5を該ポンプ
軸17内を貫通させて設けていることから、該遊星歯車
機構30とHST7とを一体ユニット状に構成すること
ができ、すっきりしたレイアウトとすることができる。
即ち、エンジンから遊星歯車機構30への動力伝達経路
をHST7を迂回させるように設けたり、HST7のポ
ンプとモータとを互いに離隔して配置してその間に該動
力伝達経路を通したりする必要がないのである。従っ
て、コンパクト性に優れるHMT式トランスミッション
を構成できる。
【0028】加えて、この前記HMT式トランスミッシ
ョン100は、図2に示す如く、遊星歯車機構30へエ
ンジンからの動力を伝達するための伝達軸5を、HST
7の油圧ポンプ14の回転軸心に配置し、該伝達軸5
を、遊星歯車機構30の回転軸心及び油圧モータ17の
回転軸心を貫通させて後方に延長し、そこからPTO軸
11の動力を取り出す構成としている。これは、既存の
HST式トランスミッションの通例の動力伝達構成、即
ち、HSTの油圧ポンプへエンジンからの動力を伝達す
るポンプ軸を、該油圧ポンプの回転軸心に配置し、該ポ
ンプ軸を後方に延出してそこからPTO軸の動力を取り
出す構成と、共通性の高いものである。従って、本HM
T式トランスミッションは、既存のHST式トランスミ
ッションと同様に、PTO軸の動力を取り出すための経
路の配置が容易である。また図2において、伝達軸5と
ポンプ軸17とを一体化し、ハウジング38、遊星歯車
機構30を除いて油路板13・13’を一体化すると、
PTO軸の動力を取り出すことができるHST式トラン
スミッションを構成することができる。
【0029】尚、本実施例においては、前記伝達軸5を
油圧モータ15の回転軸心を貫通させる構成としたが、
本発明はかかる構成に限るものでもない。例えば図3に
示すように、前記伝達軸は差動歯車機構30の遊星キャ
リア31の位置まで延長させることとし(5’)、油圧
モータ15の回転軸心には第二の伝達軸8を配置して、
該第二の伝達軸8は遊星キャリア31の基部により伝達
軸5’に対し相対回転不能に連結させ、該遊星キャリア
31の基部がカップリングとしての役割を果たすように
して、伝達軸5’、第二の伝達軸8、遊星キャリア31
の三者が一体的に回転するよう構成することもできる。
第二の伝達軸8にはカップリングを介してPTO主軸1
0が連結され、エンジンの動力が入力軸3→伝達軸5→
第二の伝達軸8→PTO主軸10と伝達されて、最終的
にはPTO軸11に伝達されることとなる。この構成
は、第二の伝達軸8を伝達軸5に対し脱着可能な構成で
あり、HMTの組立時やメンテナンス時に有利である。
【0030】また、図4に示すように、前記伝達軸は差
動歯車機構30の遊星キャリア31の位置まで延長させ
ることとする一方(5”)、前記油圧モータのモータ軸
は中実状に構成して(21’)、該モータ軸21’の端
部に設けた孔により伝達軸5”の端部を支持させる構成
とすることもできる。この場合のPTO軸11の動力
は、該伝達軸5の前部側より、適宜の経路を介して取り
出すこととすれば良い。
【0031】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
以下に示すような効果を奏する。
【0032】即ち、請求項1に示す如く、エンジンの出
力回転の変速を行う油圧・機械式無段変速装置であっ
て、油圧ポンプと油圧モータとを流体的に接続したHS
Tと、差動機構と、を組み合わせて構成されたものにお
いて、前記油圧ポンプの回転軸心に、エンジンからの駆
動力を前記差動機構に伝達する第一の軸と、該油圧ポン
プを駆動する中空状の第二の軸と、を配置するととも
に、前記油圧モータは前記差動機構を挟んで前記油圧ポ
ンプの反対側に配置し、その回転軸線は前記油圧ポンプ
の回転軸線と一致させたので、HSTを駆動するための
第二の軸の内部に、駆動力を前記差動機構に伝達する第
一の軸を貫通させて配置することで、駆動力を前記差動
機構に伝達するための経路を、HSTと干渉することな
く設けることができる。即ち、駆動力を前記差動機構に
伝達するための経路をHSTを迂回させて設けたり、該
HSTの油圧ポンプと油圧モータとを相当に離間させて
配置し、両者の間に前記経路を通したりする必要がない
のである。このことより、すっきりした簡素な動力伝達
レイアウトを提供でき、油圧・機械式無段変速装置のコ
ンパクト化に寄与できる。また、油圧ポンプと油圧モー
タの回転軸線を一致させているので、特に該回転軸線に
垂直な方向の幅をコンパクトとすることができる。ま
た、エンジンからの動力を差動機構に伝達する第一の軸
が、前記油圧ポンプの回転軸心に配置されるので、エン
ジンからの動力をHSTポンプ軸に同心させて配置させ
るのが一般である既存のHST式トランスミッションと
共通性の高い動力伝達レイアウトとすることができる。
従って、HST式トランスミッションの部品を流用して
HMT式トランスミッションを構成できる余地が増大
し、これはコストの節減に寄与できることを意味する。
【0033】請求項2に示す如く、請求項1記載の油圧
・機械式無段変速装置において、前記差動機構を遊星歯
車機構とし、該遊星歯車機構の三要素のうちの一の要素
を前記第一の軸の出力側に連結し、他の一の要素を前記
第二の軸の入力側に連結し、残りの一の要素を前記油圧
モータの回転を出力する軸に連結したので、HSTを駆
動するための第二の軸の内部に、駆動力を前記遊星歯車
機構の一の要素に伝達して駆動させるための第一の軸を
貫通させて配置することができ、駆動力を前記遊星歯車
機構に入力させるための経路を、HSTと干渉せずに設
けることができる。また、該遊星歯車機構の他の一の要
素を前記第二の軸に連結させる構成であるので、該一の
要素から油圧ポンプに動力を伝達させるための経路を、
エンジンからの駆動力を前記遊星歯車機構に入力させる
ための経路と干渉させずに設けることが容易である。加
えて、遊星歯車機構を挟んで油圧ポンプと油圧モータが
配置されるので、該遊星歯車機構の残りの一の要素を、
前記油圧モータの回転を出力する軸に連結する経路も、
前述した経路と互いに干渉することがない。従って、す
っきりした簡素な動力伝達レイアウトを提供でき、油圧
・機械式無段変速装置のコンパクト化に寄与できる。
【0034】また、エンジンからの動力を遊星歯車機構
に伝達する第一の軸が、前記油圧ポンプの回転軸心に配
置されるので、エンジンからの動力をHSTポンプ軸に
同心させて配置させるのが一般である既存のHST式ト
ランスミッションと、共通性の高い動力伝達レイアウト
とすることができる。従って、HST式トランスミッシ
ョンの部品を流用してHMT式トランスミッションを構
成できる余地が増大し、これはコストの節減に寄与でき
ることを意味する。
【0035】請求項3に示す如く、請求項1又は請求項
2記載の油圧・機械式無段変速装置において、前記油圧
モータの回転軸心には、該油圧モータの回転を出力する
中空状の第三の軸を配置するとともに、前記第一の軸又
は該第一の軸と一体的に回転するよう連結される軸は、
前記油圧モータの回転軸心を貫通させて、PTO軸に対
する動力伝達を行うようにしたので、請求項1又は請求
項2に示す効果のほか、前記第一の軸から動力を取り出
す構成とすることで、動力取出し装置の構成を簡素なも
のとすることができる。従って、トラクタのトランスミ
ッションとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】HMT式トランスミッションのスケルトン図。
【図2】HMT式トランスミッションにおいて、第一実
施例に係る油圧・機械式無段変速装置の構成を示した側
面断面図。
【図3】第一実施例の変形例に係る油圧・機械式無段変
速装置の構成を示した側面断面図。
【図4】第二実施例に係る油圧・機械式無段変速装置の
構成を示した側面断面図。
【図5】HMT式トランスミッションの十二のタイプを
示した図。
【符号の説明】
5 伝達軸(第一の軸) 7 HST 14 油圧ポンプ 15 油圧モータ 17 ポンプ軸(第二の軸) 21 モータ軸(第三の軸) 30 遊星歯車機構(差動機構) 100 HMT式トランスミッション 101 HMT(油圧・機械式無段変速装置)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3D043 AA06 AB12 BA06 BC05 EA02 EA17 3J027 FA19 FA36 FB09 GA01 GA02 GB06 GB10 HA01 HA03 HA10 HB01 HB07 HC11

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの出力回転の変速を行う油圧・
    機械式無段変速装置であって、油圧ポンプと油圧モータ
    とを流体的に接続したHSTと、差動機構と、を組み合
    わせて構成されたものにおいて、前記油圧ポンプの回転
    軸心に、エンジンからの駆動力を前記差動機構に伝達す
    る第一の軸と、該油圧ポンプを駆動する中空状の第二の
    軸と、を配置するとともに、前記油圧モータは前記差動
    機構を挟んで前記油圧ポンプの反対側に配置し、その回
    転軸線は前記油圧ポンプの回転軸線と一致させたことを
    特徴とする、油圧・機械式無段変速装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の油圧・機械式無段変速装
    置において、前記差動機構を遊星歯車機構とし、該遊星
    歯車機構の三要素のうちの一の要素を前記第一の軸の出
    力側に連結し、他の一の要素を前記第二の軸の入力側に
    連結し、残りの一の要素を前記油圧モータの回転を出力
    する軸に連結したことを特徴とする、油圧・機械式無段
    変速装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の油圧・機械
    式無段変速装置において、前記油圧モータの回転軸心に
    は、該油圧モータの回転を出力する中空状の第三の軸を
    配置するとともに、前記第一の軸又は該第一の軸と一体
    的に回転するよう連結される軸は、前記油圧モータの回
    転軸心を貫通させて、PTO軸に対する動力伝達を行う
    ようにしたことを特徴とする、油圧・機械式無段変速装
    置。
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