JP2004148859A - シャシフレーム構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】高剛性でありながらシャシフレームにかかる負荷を効率よく分散することができる、サイドレールとクロスメンバの双方がアルミ製のシャシフレーム構造を提供する。
【解決手段】車両幅方向Wに配置された一対のサイドレール5,6と、一対のサイドレール5,6の間で車両幅方向に配置され、その両端をサイドレール5,6に結合された複数のクロスメンバ7〜15とで構成されるシャシフレーム1の構造であって、シャシフレーム1にかかる負荷発生部位に配置されたクロスメンバ8をチャンネルガセット型とし、このチャンネルガセット型のクロスメンバ8の近傍に、中空多角形のクロスメンバ9を配置し、少なくともサイドレール5,6、クロスメンバ8,9にアルミ材を用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】車両幅方向Wに配置された一対のサイドレール5,6と、一対のサイドレール5,6の間で車両幅方向に配置され、その両端をサイドレール5,6に結合された複数のクロスメンバ7〜15とで構成されるシャシフレーム1の構造であって、シャシフレーム1にかかる負荷発生部位に配置されたクロスメンバ8をチャンネルガセット型とし、このチャンネルガセット型のクロスメンバ8の近傍に、中空多角形のクロスメンバ9を配置し、少なくともサイドレール5,6、クロスメンバ8,9にアルミ材を用いる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の幅方向に配置されて車両の前後方向に延びた一対のサイドレールと、車両幅方向に配置されてその両端をサイドレールに結合された複数のクロスメンバとを有するアルミ製のシャシフレーム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラック、バス、ミキサー車、タンク搭載車等の車両は、略梯子型に形成されたシャシフレームを前後に配設して、その上部にキャブ、荷箱、ボティー、タンク等の構造体側を取付けて支持し、その下部にサスペンションを介し車軸側を取付けている。
【0003】
略梯子型のシャシフレームは、車両の幅方向に配置された左右一対のサイドレールを複数のクロスメンバで一体結合されて構成されている。一般にシャシフレームは、サイドレールやクロスメンバにスチール材が用いられているものが多い。しかし、近年これらサイドレールやクロスメンバにアルミ材を用いて軽量化を図ったシャシフレームが特許文献1,2で提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−191434号
【特許文献2】
特開平6−183369号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
シャシフレームの構造において、サイドレールやクロスメンバの双方にアルミ材を用いれば、スチール材を用いる場合よりも重量軽減を図れる反面、スチール材に比べて剛性確保が必要となる。そこで、アルミ製のサイドレールとクロスメンバとを結合する場合、両者を溶接することで剛性アップを図れるが、シャーシに対して高負荷がかかると溶接部に応力が集中しまうという問題点がある。すなわち、シャシフレームには、同フレームに搭載する構造体側の種類によってシャーシにかかる負荷発生場所が異なるので、このような負荷発生場所にクロスメンバを剛結配置すると、応力を逃がすことができず、溶接部に応力が集中してしまい、溶接部にクラックが入ることがある。このため、アルミ製のサイドレールとクロスメンバとを備えたシャシフレームにおいて、高剛性を図りつつ負荷分散を如何に行うかが重要な技術課題とされている。
【0006】
本発明は、高剛性でありながらシャシフレームにかかる負荷を効率よく分散することができる、サイドレールとクロスメンバの双方がアルミ製のシャシフレーム構造を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明者は、シャシフレームにかかる負荷に配置されたクロスメンバの形態に着目し、次のような構造を提案する。すなわち、請求項1では、車両の幅方向に配置され、それぞれが車両の前後方向に延びた一対のサイドレールと、一対のサイドレールの間で車両幅方向に配置され、その両端をサイドレールに結合された複数のクロスメンバとを有するシャシフレーム構造において、複数のクロスメンバのうち、シャシフレームにかかる負荷発生部位に配置されたクロスメンバをチャンネルガセット型とし、このチャンネルガセット型のクロスメンバの近傍に、中空多角形のクロスメンバを配置するとともに少なくともサイドレール、チャンネルガセット型のクロスメンバ及び中空多角形のクロスメンバにアルミ材を用いたシャシフレーム構造を提案している。
【0008】
請求項2では、請求項1記載のシャシフレーム構造において、中空多角形のクロスメンバはチャンネルガセット型のクロスメンバよりも車両方向側に配置され、チャンネルガセット型のクロスメンバと中空多角形のクロスメンバとの基準間隔が543mm±100mmの範囲内であるシャシフレーム構造を提案している。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1において、符号20は、車両の一形態であるタンク車を示す。このタンク車は、平面視において略梯子型に形成されたシャシフレーム1の備えている。シャシフレーム1は、矢印Wで示す車両幅方向に配置され、それぞれが矢印Yで示す車両の前後方向に延びた一対のサイドレール5,6と、一対のサイドレール5,6の間で車両幅方向Wに配置され、その両端をサイドレール5,6に結合された複数のクロスメンバ7〜15とを備えている。シャシフレーム1の前方上部には、キャブ2が搭載され、その後方に位置するシャシフレーム1上には台座3を介してタンク4が取付けて支持されている。このような形態の車両20において、車両旋回時などにシャシフレーム1にかかる負荷発生部は、主にクロスメンバ8,9の近傍とされている。
【0010】
サイドレール5,6は、車両20の前方向から見た断面がそれぞれコ字状断面を成し、各断面の開口側が車両中央に向けられている。このサイドレール5,6はアルミ材で押し出し成形されたものである。サイドレール5,6の先端をつなぐフロントクロスメンバ7は、車両20の側向から見た断面がコ字状断面を成し、断面の開口側が車両中央に向けられている。フロントクロスメンバ7は、図2に示すように、サイドレール5,6に対してブラケット16,17を介してボルト締結により結合されている。フロントクロスメンバ7と、その次のクロスメンバ8との間に位置するサイドレール5,6の内側には、アルミ材から成る補強部材18,19が溶接固定されて配置されている。
【0011】
クロスメンバ9〜15は、アルミ材を押し出し成形された断面四角形の中空状の部材であって、図5に示すようにサイドレール5,6にそれぞれ形成された複数の取付穴21にそれぞれ挿通されてTIG溶接によってサイドレール5,6に溶接されて剛結されている。図5(a)、図5(b)は、サイドレール6側のみ示す。図5において符号Pは溶接部を示す。
【0012】
図2,図3に示すように、クロスメンバ8はアルミ材で形成されていて、クロスメンバ9よりも車両前方側に配置されている。クロスメンバ8は、図4にも示すように、サイドレール5,6のウェブ面5a,6aの上部と接合されるブラケット81,82と、ウェブ面5a,6aの下部と結合されるブラケット83,84とを連結バー85で結合した所謂チャンネルガセット型とされている。ブラケット81,82,83,84と、車両前方向から見た断面がそれぞれL状断面を成す連結部材85は、車両側方から見た断面がコ字状断面のチャンネル部材である。各ブラケットと連結部材85はボルトとナットからなる複数の締結部材86で締結されてチャンネルガセット型のクロスメンバ8として一体化される。クロスメンバ8は、各ブラケットをサイドレール5,6のウェブ面5a,6aにボルトとナットからなる複数の締結部材87によって締結されることで、サイドレール5,6に結合される。図4(a)、図4(b)は、サイドレール6側のみ示す。すなわち、クロスメンバ9は、チャンネルガセット型のクロスメンバ8よりも車両後方側に近接配置されている。
【0013】
図6は、クロスメンバ9の形状と材質の違いによる剛性の特性を示す図である。図6(a)において、縦軸はスチール製のクロスメンバの横曲げ剛性を、横軸は質量をそれぞれ示す。図6(b)において、アルミ製の縦軸はクロスメンバの捩り剛性を、横軸は質量をそれぞれ示す。図中、△はアリゲータ型のクロスメンバ、▲はチャンネルガセット型のクロスメンバ、○は本形態で用いているチャンネルガセット型と同形状のクロスメンバ、●は本形態で用いている中空角パイプ型のクロスメンバを示す。▲で示すチャンネルガセット型と○で示すチャンネルガセット型とは、ブラケットの形状が一体であるか上下に分割されているかの相違がある。
【0014】
図6から、●で示す中空角パイプ型のクロスメンバは材質を問わず、同一材質の中ではその重量は低く、かつ曲げ剛性及び捩り剛性とも最も高い事がわかる。また、軽量で曲げ剛性や捩り剛性が低いものは○で示すチャンネルガセット型となる。このような結果から、本形態では、軽量化のため、アルミ材であり、かつ、剛性の最も高い●で示す中空角パイプ型のクロスメンバと剛性の低い○で示すチャンネルガセット型とを選択し、両者を近接配置することで、剛性の高いクロスメンバ9にかかる負荷を、剛性の低いチャンネルガセット型のクロスメンバ8に逃がすようにしている。これにより、クロスメンバ9にかかる負荷が分散されて溶接部Pへの応力集中を軽減することができ、溶接部Pのクラックを極めて少なくでき、軽量・高剛性を図りつつ負荷分散をできて耐久性のあるシャシフレーム1となる。
【0015】
図7,図8は、タンク4をシャシフレーム1に搭載した際の応力分布を示す解析モデルを示す。図中線の密度の高い部位は応力の高い部分を示す。図7,図8を見ると、タンク4を受ける台座3の前部に応力が多くかかっていることがわかる。本形態では、このような応力のかかる台座3の前部の下方に位置するシャシフレーム1に機能の異なるクロスメンバ8,9を近接配置した。ここでいう機能の違いとは、応力を逃がす機能と応力を受ける機能である。
【0016】
図9はタンク4を搭載した状態でクロスメンバ9が有る場合と無い場合の応力特性を示すものである。図中、NO2クロスとはクロスメンバ8を、NO3クロスとはクロスメンバ9を、NO4クロスとはクロスメンバ10をそれぞれ示す。図9において、縦軸は応力を横軸は測定場所をそれぞれ示す。図9(a)は上下荷重を、図9(b)は最小旋回時の特性を、図9(c)は捩り特性をそれぞれ示す。図中白抜けのバーはクロスメンバ9がないの場合を、黒いバーはクロスメンバが有る場合を示す。
【0017】
図9によると、シャシフレーム1への上下荷重特性はクロスメンバ9の有無に関わらず変化がなく、この点に関してはクロスメンバ9の寄与度は低い。最小旋回時の応力に関しては、クロスメンバ9のある方が応力の発生が少なく、特にクロスメンバ8やその取付部においては、クロスメンバ9の有無により応力の発生が数パーセント違ってくる。また、捩り剛性に関してもクロスメンバ9のある方が応力の発生が少なく、クロスメンバ8やその取付部、架装前部においては数パーセント、クロスメンバ10の取付部においては10数パーセントの応力低減があれ、クロスメンバ9の寄与度が高いことがわかる。
【0018】
クロスメンバ8,9の基準間隔Aをずらして図9に示す各部応力を測定したところ基準間隔Aに対して±100mmの範囲においては、概ね同様な特性を得られた。本形態において、基準間隔Aとは、図2に示すように、クロスメンバ8の背面となる連結部材85の背面85Aからクロスメンバ9の中心までの間隔を指す。図12は基準間隔Aの変位とクロスメンバ8の応力の関係を示す図である。基準間隔Aとしては、本形態の場合、クロスメンバ8への応力が低くなる543mmが好ましい。
【0019】
図10は、クロスメンバ9の形状や配置の形態を示し、図11は、図10の形態に対応するクロスメンバ9での応力特性を示す。図10において、オリジナルとは、クロスメンバ9に断面四角の中空角パイプを用い、サイドレール5,6に対して縦長になるように配置した場合である。改良1とは、断面四角の中空角パイプの四隅の角を落として断面8角形としたものである。改良2とは、オリジナルの向きに対して90度その向きを変えて横長配置としたものであり、改良3とは、改良2に対して15mm、その位置を下げてサイドレール5,6の略中央に配置した場合である。
【0020】
図11において、縦軸は応力、横軸はサイドレールの部位をそれぞれ示す。図11から見てクロスメンバ9は、相対的に横長に配置するほうが応力の低減が大きくなるので、クロスメンバ9は断面四角の中空角パイプを横長に配置するのが好ましいといえる。無論中空材ではなく、中実材でも良いが重量やコストの事を考慮すると中空材のほうが好ましいといえる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、サイドレールとクロスメンバで構成されたシャシフレームにかかる負荷発生部位に、チャンネルガセット型とクロスメンバと、このチャンネルガセット型のクロスメンバに近傍して中空多角形のクロスメンバを配置し、少なくともサイドレールとクロスメンバの双方にアルミ材を用いることで、中空多角形のクロスメンバにかかる負荷をチャンネルガセット型のクロスメンバとも分散することができ、高剛性でありながらシャシフレームにかかる負荷を効率よく分散することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態を示すシャシフレーム構造を備えた車両の平面図である。
【図2】シャシフレーム構造の特徴部分を示すの部分拡大図平面図である。
【図3】シャシフレーム構造の特徴部分を示すの部分拡大図側面図である。
【図4】チャンネルガセット型のクロスメンバの構成と取付状態を示す部分拡大図である。
【図5】中空多角形のクロスメンバ構成と取付状態を示す部分拡大図である。
【図6】クロスメンバの材質と形状の違いによる剛性の特性を示す図である。
【図7】タンクをシャシフレームに搭載した際の応力分布を示す解析モデルを示す斜視図である。
【図8】タンクをシャシフレームに搭載した際の応力分布を示す解析モデルを示す側面図である。
【図9】中空多角形のクロスメンバの有無による応力の特性の違いを示す図である。
【図10】中空多角形のクロスメンバの形状と配置の形態を示す図である。
【図11】中空多角形のクロスメンバの形状と配置の相違による応力特性を示す図である。
【図12】基準間隔の変位とクロスメンバへ加わる応力の関係を示す図である。
【符号の説明】
5,6 一対のサイドレール
7〜15 クロスメンバ
8 チャンネルガセット型のクロスメンバ
9 中空多角形のクロスメンバ
20 車両
A 基準間隔
W 幅方向
Y 前後方向
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の幅方向に配置されて車両の前後方向に延びた一対のサイドレールと、車両幅方向に配置されてその両端をサイドレールに結合された複数のクロスメンバとを有するアルミ製のシャシフレーム構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
トラック、バス、ミキサー車、タンク搭載車等の車両は、略梯子型に形成されたシャシフレームを前後に配設して、その上部にキャブ、荷箱、ボティー、タンク等の構造体側を取付けて支持し、その下部にサスペンションを介し車軸側を取付けている。
【0003】
略梯子型のシャシフレームは、車両の幅方向に配置された左右一対のサイドレールを複数のクロスメンバで一体結合されて構成されている。一般にシャシフレームは、サイドレールやクロスメンバにスチール材が用いられているものが多い。しかし、近年これらサイドレールやクロスメンバにアルミ材を用いて軽量化を図ったシャシフレームが特許文献1,2で提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−191434号
【特許文献2】
特開平6−183369号
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
シャシフレームの構造において、サイドレールやクロスメンバの双方にアルミ材を用いれば、スチール材を用いる場合よりも重量軽減を図れる反面、スチール材に比べて剛性確保が必要となる。そこで、アルミ製のサイドレールとクロスメンバとを結合する場合、両者を溶接することで剛性アップを図れるが、シャーシに対して高負荷がかかると溶接部に応力が集中しまうという問題点がある。すなわち、シャシフレームには、同フレームに搭載する構造体側の種類によってシャーシにかかる負荷発生場所が異なるので、このような負荷発生場所にクロスメンバを剛結配置すると、応力を逃がすことができず、溶接部に応力が集中してしまい、溶接部にクラックが入ることがある。このため、アルミ製のサイドレールとクロスメンバとを備えたシャシフレームにおいて、高剛性を図りつつ負荷分散を如何に行うかが重要な技術課題とされている。
【0006】
本発明は、高剛性でありながらシャシフレームにかかる負荷を効率よく分散することができる、サイドレールとクロスメンバの双方がアルミ製のシャシフレーム構造を提案することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明者は、シャシフレームにかかる負荷に配置されたクロスメンバの形態に着目し、次のような構造を提案する。すなわち、請求項1では、車両の幅方向に配置され、それぞれが車両の前後方向に延びた一対のサイドレールと、一対のサイドレールの間で車両幅方向に配置され、その両端をサイドレールに結合された複数のクロスメンバとを有するシャシフレーム構造において、複数のクロスメンバのうち、シャシフレームにかかる負荷発生部位に配置されたクロスメンバをチャンネルガセット型とし、このチャンネルガセット型のクロスメンバの近傍に、中空多角形のクロスメンバを配置するとともに少なくともサイドレール、チャンネルガセット型のクロスメンバ及び中空多角形のクロスメンバにアルミ材を用いたシャシフレーム構造を提案している。
【0008】
請求項2では、請求項1記載のシャシフレーム構造において、中空多角形のクロスメンバはチャンネルガセット型のクロスメンバよりも車両方向側に配置され、チャンネルガセット型のクロスメンバと中空多角形のクロスメンバとの基準間隔が543mm±100mmの範囲内であるシャシフレーム構造を提案している。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1において、符号20は、車両の一形態であるタンク車を示す。このタンク車は、平面視において略梯子型に形成されたシャシフレーム1の備えている。シャシフレーム1は、矢印Wで示す車両幅方向に配置され、それぞれが矢印Yで示す車両の前後方向に延びた一対のサイドレール5,6と、一対のサイドレール5,6の間で車両幅方向Wに配置され、その両端をサイドレール5,6に結合された複数のクロスメンバ7〜15とを備えている。シャシフレーム1の前方上部には、キャブ2が搭載され、その後方に位置するシャシフレーム1上には台座3を介してタンク4が取付けて支持されている。このような形態の車両20において、車両旋回時などにシャシフレーム1にかかる負荷発生部は、主にクロスメンバ8,9の近傍とされている。
【0010】
サイドレール5,6は、車両20の前方向から見た断面がそれぞれコ字状断面を成し、各断面の開口側が車両中央に向けられている。このサイドレール5,6はアルミ材で押し出し成形されたものである。サイドレール5,6の先端をつなぐフロントクロスメンバ7は、車両20の側向から見た断面がコ字状断面を成し、断面の開口側が車両中央に向けられている。フロントクロスメンバ7は、図2に示すように、サイドレール5,6に対してブラケット16,17を介してボルト締結により結合されている。フロントクロスメンバ7と、その次のクロスメンバ8との間に位置するサイドレール5,6の内側には、アルミ材から成る補強部材18,19が溶接固定されて配置されている。
【0011】
クロスメンバ9〜15は、アルミ材を押し出し成形された断面四角形の中空状の部材であって、図5に示すようにサイドレール5,6にそれぞれ形成された複数の取付穴21にそれぞれ挿通されてTIG溶接によってサイドレール5,6に溶接されて剛結されている。図5(a)、図5(b)は、サイドレール6側のみ示す。図5において符号Pは溶接部を示す。
【0012】
図2,図3に示すように、クロスメンバ8はアルミ材で形成されていて、クロスメンバ9よりも車両前方側に配置されている。クロスメンバ8は、図4にも示すように、サイドレール5,6のウェブ面5a,6aの上部と接合されるブラケット81,82と、ウェブ面5a,6aの下部と結合されるブラケット83,84とを連結バー85で結合した所謂チャンネルガセット型とされている。ブラケット81,82,83,84と、車両前方向から見た断面がそれぞれL状断面を成す連結部材85は、車両側方から見た断面がコ字状断面のチャンネル部材である。各ブラケットと連結部材85はボルトとナットからなる複数の締結部材86で締結されてチャンネルガセット型のクロスメンバ8として一体化される。クロスメンバ8は、各ブラケットをサイドレール5,6のウェブ面5a,6aにボルトとナットからなる複数の締結部材87によって締結されることで、サイドレール5,6に結合される。図4(a)、図4(b)は、サイドレール6側のみ示す。すなわち、クロスメンバ9は、チャンネルガセット型のクロスメンバ8よりも車両後方側に近接配置されている。
【0013】
図6は、クロスメンバ9の形状と材質の違いによる剛性の特性を示す図である。図6(a)において、縦軸はスチール製のクロスメンバの横曲げ剛性を、横軸は質量をそれぞれ示す。図6(b)において、アルミ製の縦軸はクロスメンバの捩り剛性を、横軸は質量をそれぞれ示す。図中、△はアリゲータ型のクロスメンバ、▲はチャンネルガセット型のクロスメンバ、○は本形態で用いているチャンネルガセット型と同形状のクロスメンバ、●は本形態で用いている中空角パイプ型のクロスメンバを示す。▲で示すチャンネルガセット型と○で示すチャンネルガセット型とは、ブラケットの形状が一体であるか上下に分割されているかの相違がある。
【0014】
図6から、●で示す中空角パイプ型のクロスメンバは材質を問わず、同一材質の中ではその重量は低く、かつ曲げ剛性及び捩り剛性とも最も高い事がわかる。また、軽量で曲げ剛性や捩り剛性が低いものは○で示すチャンネルガセット型となる。このような結果から、本形態では、軽量化のため、アルミ材であり、かつ、剛性の最も高い●で示す中空角パイプ型のクロスメンバと剛性の低い○で示すチャンネルガセット型とを選択し、両者を近接配置することで、剛性の高いクロスメンバ9にかかる負荷を、剛性の低いチャンネルガセット型のクロスメンバ8に逃がすようにしている。これにより、クロスメンバ9にかかる負荷が分散されて溶接部Pへの応力集中を軽減することができ、溶接部Pのクラックを極めて少なくでき、軽量・高剛性を図りつつ負荷分散をできて耐久性のあるシャシフレーム1となる。
【0015】
図7,図8は、タンク4をシャシフレーム1に搭載した際の応力分布を示す解析モデルを示す。図中線の密度の高い部位は応力の高い部分を示す。図7,図8を見ると、タンク4を受ける台座3の前部に応力が多くかかっていることがわかる。本形態では、このような応力のかかる台座3の前部の下方に位置するシャシフレーム1に機能の異なるクロスメンバ8,9を近接配置した。ここでいう機能の違いとは、応力を逃がす機能と応力を受ける機能である。
【0016】
図9はタンク4を搭載した状態でクロスメンバ9が有る場合と無い場合の応力特性を示すものである。図中、NO2クロスとはクロスメンバ8を、NO3クロスとはクロスメンバ9を、NO4クロスとはクロスメンバ10をそれぞれ示す。図9において、縦軸は応力を横軸は測定場所をそれぞれ示す。図9(a)は上下荷重を、図9(b)は最小旋回時の特性を、図9(c)は捩り特性をそれぞれ示す。図中白抜けのバーはクロスメンバ9がないの場合を、黒いバーはクロスメンバが有る場合を示す。
【0017】
図9によると、シャシフレーム1への上下荷重特性はクロスメンバ9の有無に関わらず変化がなく、この点に関してはクロスメンバ9の寄与度は低い。最小旋回時の応力に関しては、クロスメンバ9のある方が応力の発生が少なく、特にクロスメンバ8やその取付部においては、クロスメンバ9の有無により応力の発生が数パーセント違ってくる。また、捩り剛性に関してもクロスメンバ9のある方が応力の発生が少なく、クロスメンバ8やその取付部、架装前部においては数パーセント、クロスメンバ10の取付部においては10数パーセントの応力低減があれ、クロスメンバ9の寄与度が高いことがわかる。
【0018】
クロスメンバ8,9の基準間隔Aをずらして図9に示す各部応力を測定したところ基準間隔Aに対して±100mmの範囲においては、概ね同様な特性を得られた。本形態において、基準間隔Aとは、図2に示すように、クロスメンバ8の背面となる連結部材85の背面85Aからクロスメンバ9の中心までの間隔を指す。図12は基準間隔Aの変位とクロスメンバ8の応力の関係を示す図である。基準間隔Aとしては、本形態の場合、クロスメンバ8への応力が低くなる543mmが好ましい。
【0019】
図10は、クロスメンバ9の形状や配置の形態を示し、図11は、図10の形態に対応するクロスメンバ9での応力特性を示す。図10において、オリジナルとは、クロスメンバ9に断面四角の中空角パイプを用い、サイドレール5,6に対して縦長になるように配置した場合である。改良1とは、断面四角の中空角パイプの四隅の角を落として断面8角形としたものである。改良2とは、オリジナルの向きに対して90度その向きを変えて横長配置としたものであり、改良3とは、改良2に対して15mm、その位置を下げてサイドレール5,6の略中央に配置した場合である。
【0020】
図11において、縦軸は応力、横軸はサイドレールの部位をそれぞれ示す。図11から見てクロスメンバ9は、相対的に横長に配置するほうが応力の低減が大きくなるので、クロスメンバ9は断面四角の中空角パイプを横長に配置するのが好ましいといえる。無論中空材ではなく、中実材でも良いが重量やコストの事を考慮すると中空材のほうが好ましいといえる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、サイドレールとクロスメンバで構成されたシャシフレームにかかる負荷発生部位に、チャンネルガセット型とクロスメンバと、このチャンネルガセット型のクロスメンバに近傍して中空多角形のクロスメンバを配置し、少なくともサイドレールとクロスメンバの双方にアルミ材を用いることで、中空多角形のクロスメンバにかかる負荷をチャンネルガセット型のクロスメンバとも分散することができ、高剛性でありながらシャシフレームにかかる負荷を効率よく分散することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一形態を示すシャシフレーム構造を備えた車両の平面図である。
【図2】シャシフレーム構造の特徴部分を示すの部分拡大図平面図である。
【図3】シャシフレーム構造の特徴部分を示すの部分拡大図側面図である。
【図4】チャンネルガセット型のクロスメンバの構成と取付状態を示す部分拡大図である。
【図5】中空多角形のクロスメンバ構成と取付状態を示す部分拡大図である。
【図6】クロスメンバの材質と形状の違いによる剛性の特性を示す図である。
【図7】タンクをシャシフレームに搭載した際の応力分布を示す解析モデルを示す斜視図である。
【図8】タンクをシャシフレームに搭載した際の応力分布を示す解析モデルを示す側面図である。
【図9】中空多角形のクロスメンバの有無による応力の特性の違いを示す図である。
【図10】中空多角形のクロスメンバの形状と配置の形態を示す図である。
【図11】中空多角形のクロスメンバの形状と配置の相違による応力特性を示す図である。
【図12】基準間隔の変位とクロスメンバへ加わる応力の関係を示す図である。
【符号の説明】
5,6 一対のサイドレール
7〜15 クロスメンバ
8 チャンネルガセット型のクロスメンバ
9 中空多角形のクロスメンバ
20 車両
A 基準間隔
W 幅方向
Y 前後方向
Claims (2)
- 車両の幅方向に配置され、それぞれが車両の前後方向に延びた一対のサイドレールと、前記一対のサイドレールの間で車両幅方向に配置され、その両端をサイドレールに結合された複数のクロスメンバとを有するシャシフレーム構造において、
複数のクロスメンバのうち、前記シャシフレームにかかる負荷発生部位に配置されたクロスメンバをチャンネルガセット型とし、このチャンネルガセット型のクロスメンバの近傍に、中空多角形のクロスメンバを配置するとともに、前記少なくとも前記サイドレール、チャンネルガセット型のクロスメンバ及び中空多角形のクロスメンバにアルミ材を用いたことを特徴とするシャシフレーム構造。 - 請求項1記載のシャシフレーム構造において、
前記中空多角形のクロスメンバは、前記チャンネルガセット型のクロスメンバよりも車両後方側に配置され、前記チャンネルガセット型のクロスメンバと前記中空多角形のクロスメンバとの基準間隔が543mm±100mmの範囲内であることを特徴とするシャシフレーム構造。
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