JP2004148208A - 膜分離方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体混合物中の一組成を効率よく分離する。
【解決手段】液体混合物bを、分離膜8の一次側8aに供給する一方、分離膜8の二次側8bを負圧にして液体混合物bの一組成を分離膜8の二次側8bに透過させ、分離膜8の一次側8aの液体混合物bの濃度を高めるようにした膜分離方法である。この分離膜8を直接加熱する。
【選択図】 図1
【解決手段】液体混合物bを、分離膜8の一次側8aに供給する一方、分離膜8の二次側8bを負圧にして液体混合物bの一組成を分離膜8の二次側8bに透過させ、分離膜8の一次側8aの液体混合物bの濃度を高めるようにした膜分離方法である。この分離膜8を直接加熱する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜分離方法及びその装置、より詳しくは、液体混合物中の一組成を効率よく分離する膜分離方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体混合物、特に、共沸組成の液体混合物から一組成を分離する場合、膜分離法を用いることが知られている。この膜分離方法としては、例えば、アルコール中に含まれる水分を分離除去してアルコールを濃縮しようとする場合、芳香族ポリイミド膜やゼオライト膜などの分離膜を用い、その一次側に液体混合物を供給し、二次側を真空に近い負圧とすることによって水分が分離膜を透過し、結果的に一次側を流れる液体混合物のアルコール濃度が高くなるというものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−156167号公報(第3−4頁、図1及び図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、分離膜、特に、ゼオライト膜では、化学的なエネルギを駆動源として分離・透過が行われるため、分離対象のプロセス溶剤温度に分離・透過性能が大きな影響を受ける。また、浸透気化法においては、透過物質が供給液側では液相であるのに対し、透過側では気相であるため、透過に際して蒸発潜熱を必要とする。
【0005】
このため、分離膜モジュール内の溶剤(液体混合物)が十分に攪拌されないような条件の場合は、透過が起こる膜近傍の溶剤温度が蒸発潜熱の影響で下がり、温度分布を生じることがある。
【0006】
上記のように、ゼオライト膜の分離・透過性能は、溶剤温度に大きく影響を受けるため、溶剤温度が下がると、膜分離モジュールの効率が大きく低下してしまう。
【0007】
このことから、蒸気潜熱による膜近傍の溶剤温度の低下を補うため、溶剤全体を加熱する手法があるが、分離膜モジュールの外側より加熱する場合、熱伝達による効率の低さが問題になる。また、このような手法は、プロセスの温度をあまり上げたくないような場合には、適さない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、液体混合物中の一組成を効率よく分離する膜分離方法及びその装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の膜分離方法は、液体混合物を、分離膜の一次側に供給する一方、分離膜の二次側を負圧にして液体混合物の一組成を分離膜の二次側に透過させ、分離膜の一次側の液体混合物の濃度を高めるようにした膜分離方法において、前記分離膜を、直接加熱するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の膜分離方法は、セラミックス製の分離膜を用いるとともに、マイクロ波を照射して分離膜自体を発熱させることを特徴とするものである。
【0011】
一方、本発明の膜分離装置は、液体混合物を、分離膜モジュール内に内蔵されている分離膜の一次側に供給する一方、分離膜の二次側を負圧にして液体混合物の一組成を分離膜の二次側に透過させ、分離膜の一次側の液体混合物の濃度を高めるようにした膜分離装置において、前記分離膜モジュールをオーブン内に設置するとともに、該オーブンに、マイクロ波発信装置と、該マイクロ波発信装置から照射されたマイクロ波をオーブン内に伝送するマイクロ波伝送管と、該マイクロ波伝送管により伝送されたマイクロ波をオーブン内に攪拌させるマイクロ波攪拌機を設けことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明に係る膜分離方法を実施する膜分離装置の概略構造図、図2は分離膜モジュールの拡大断面図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の膜分離装置1は、主として、オーブン2と、分離膜モジュール3と、マイクロ波伝送管4と、マイクロ波攪拌機5と、マイクロ波発信装置6から構成されている。
【0014】
オーブン2は、中空の箱体で構成され、開口部(図示せず)の密閉後は、マイクロ波が外部に漏れない構造になっている。また、その内面は、マイクロ波を反射する構造、つまり、鏡面仕上げになっている。
【0015】
分離膜モジュール3は、オーブン2の中に設置されている。この分離膜モジュール3は、図2に示すように、ガラスや合成樹脂などの非金属材料で形成された容器7と、この容器7に挿入された有底筒形の分離膜8から構成され、分離膜8の開口端は、管板9に取り付けられている。
【0016】
分離膜8は、多孔質材料からなる有底筒形の支持体10と、この支持体10の外表面に種結晶を利用して析出させたA型ゼライト膜11により構成されている。
【0017】
支持体としては、ムライトなどのAl2 O3 −SiO2 系セラミックスが好適である。その他、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チッ化ケイ素、炭化ケイ素などのセラミックスや、アルミニウム、銀、ステンレスなどの金属よりなる多孔質材料も用いることができる。多孔質支持体としては、その平均気孔径が0.05〜10μmで、気孔率が10〜60%程度のもの、特に、平均気孔径が0.1〜2μmで、気孔率が30〜50%程度のものが好適である。
【0018】
A型ゼライトを析出させる方法としては、シリカ源としてのケイ酸ナトリウム、シリカゲルやゾル、シリカ粉末など、アルミナ源としてのアルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウムなどを出発原料として、水熱合成法や気相法などの合成法で析出させる方法が挙げられる。
【0019】
なお、水熱合成法によりA型ゼライトの製膜を行う場合、その好ましい合成温度条件は、60〜150℃、とりわけ、80〜100℃であり、このような温度にて、1〜24時間、特に、2〜5時間、とりわけ、3〜4時間の反応を1回行うことにより、高分離特性の膜を製膜できる。
【0020】
多孔質支持体がAl2 O3 含有量30〜80wt%のAl2 O3 −SiO2 系セラミックスである場合には、90〜100℃で2時間以上、好ましくは、2〜4時間の処理条件とすることにより、1回の操作で分離性能に優れたA型ゼライトの製膜が可能である。
【0021】
原料の仕込み組成比(モル比。以下、組成比は、モル比で示す。)は、H2 O/Na2 O=20〜300、Na2 O/SiO2 =0.3〜2、SiO2 /Al2 O3 =2〜6、特に、H2 O/Na2 O=60、Na2 O/SiO2 =1、SiO2 /Al2 O3 =2となるように調整するのが好ましい。
【0022】
このようにして、多孔質支持体の表面に種結晶を担持させた後、A型ゼライトの膜厚が10〜50μmであり、支持体を含む分離膜の全膜厚が0.5〜2mm程度となるように析出させることにより、上記分離膜8を得ることができる。
【0023】
マイクロ波攪拌機5は、図示しないモータによって回転される複数の攪拌羽根12を放射状に備えている。これらの攪拌羽根12は、その捩じり角度が種々の角度に調整されており、マイクロ波伝送管4から照射されるマイクロ波をオーブン2内に均一に分散させるようになっている。
【0024】
マイクロ波伝送管4は、筒体からなり、攪拌羽根12の回転面に対向するように、オーブン2の側面に複数本取り付けられている。
【0025】
マイクロ波発信装置6は、オーブン2の外に別置され、発信させたマイクロ波aをマイクロ波伝送管4を通ってオーブン2内に照射するようになっている。
【0026】
分離膜モジュールの容器7は、その頭部13に配管14を接続し、底部15に配管16を接続し、胴部17に配管18を接続している。その上、頭部13の配管14は、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0027】
次に、この膜分離装置の作動について説明する。
【0028】
今、図示しない真空ポンプを作動させると、容器7の頭部13内、換言すれば、分離膜8の二次側8bが真空あるいは減圧状態に保持される。
【0029】
一方、マイクロ波発信装置6を始動させると、マイクロ波発信装置6から発したマイクロ波aは、マイクロ波伝送管4を通ってオーブン2内に照射される。この時、マイクロ波攪拌機5が駆動されていると、マイクロ波伝送管4から照射されたマイクロ波aがマイクロ波攪拌機5の攪拌羽根12によってオーブン2内に均一に分散される。
【0030】
そして、分離膜モジュールの非金属製の容器7を透過したマイクロ波は、分離膜8に達する。この分離膜8は、上記のように、A型ゼライト膜11及びAl2 O3 −SlO2 系セラミックス製の支持体10によって構成されているから、マイクロ波aが照射されることにより発熱する。
【0031】
しかして、配管16を通って容器7内、つまり、分離膜8の一次側8aに液体混合物、例えば、低濃度のアルコールbを供給すると、アルコール中の水は分離膜8を透過して分離膜8の二次側8b、つまり、容器7の頭部13側に達する。この時、上記の如く、分離膜8は、それ自体が発熱しているから、浸透気化潜熱に起因する分離膜表面の温度低下を防ぐことができる。
【0032】
一方、低濃度のアルコールbは、分離膜8に沿って移行する間にアルコール度が増し、高濃度のアルコールb’となって配管18から分離膜モジュール3外に排出される。また、容器7の頭部13から出た蒸気cは、図示しない凝縮器により凝縮される。
【0033】
【実施例】
(実施例)
次に、実施例により更に詳しく説明する。
【0034】
実験条件
(1) 液体混合物及びその混合割合:IPA/水=95wt%/5wt%
(2) 液体混合物の温度:95℃
(3) 液体混合物の流量:30L/h
(4) 分離膜モジュール:容器内に分離膜を内蔵させた構造(図2参照)
・容器の材質及び寸法:ポリプロピレン製、全長(850mm(膜部))×直径(14.0mm)
・分離膜の構造及び寸法:Al2 O3 −SiO2 系セラミックス製支持体の外表面にA型ゼライト膜を担持させた構造、全長(800mm)×直径(12.0mm)
(5) マイクロ波発信装置の出力:1.5kW
(6) マイクロ波攪拌機の個数:2個
・攪拌羽根の直径及び回転数:350mm、80〜90rpm
上記の条件で試験を行ったところ、マイクロ波を用いずに行った実験では、分離膜モジュールの透過流量が2730g/m2 ・hであり、マイクロ波を用いた場合の透過流量は、3010g/m2 ・hであった。
【0035】
従って、マイクロ波を用いると、分離膜モジュールの透過流量が約10%向上することが分かった。
【0036】
なお、分離膜モジュール出口で計測した濃縮液の平均液温は、マイクロ波を用いなかった場合では、92.7℃であり、マイクロ波を使用した場合は、94.4℃であった。
【0037】
【発明の効果】
上記のように、本発明の膜分離方法は、液体混合物を、分離膜の一次側に供給する一方、分離膜の二次側を負圧にして液体混合物の一組成を分離膜の二次側に透過させ、分離膜の一次側の液体混合物の濃度を高めるようにした膜分離方法において、前記分離膜を、直接加熱するようにしたので、浸透気化潜熱に起因する分離膜表面の温度低下を防ぐことが可能になった。その結果、液体混合物中の一組成を効率よく分離することが可能になった。
【0038】
一方、本発明の膜分離装置は、液体混合物を、分離膜モジュール内に内蔵されている分離膜の一次側に供給する一方、分離膜の二次側を負圧にして液体混合物の一組成を分離膜の二次側に透過させ、分離膜の一次側の液体混合物の濃度を高めるようにした膜分離装置において、前記分離膜モジュールをオーブン内に設置するとともに、該オーブンに、マイクロ波発信装置と、該マイクロ波発信装置から照射されたマイクロ波をオーブン内に伝送するマイクロ波伝送管と、該マイクロ波伝送管により伝送されたマイクロ波をオーブン内に攪拌させるマイクロ波攪拌機を設けたので、従来の膜分離装置を大幅に改造することなく、浸透気化潜熱に起因する分離膜表面の温度低下を防ぐことが可能になった。その結果、液体混合物中の一組成を効率よく分離することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る膜分離方法を実施する膜分離装置の概略構造図である。
【図2】分離膜モジュールの拡大断面図である。
【符号の説明】
b 液体混合物
8 分離膜
8a 分離膜の一次側
8b 分離膜の二次側
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜分離方法及びその装置、より詳しくは、液体混合物中の一組成を効率よく分離する膜分離方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液体混合物、特に、共沸組成の液体混合物から一組成を分離する場合、膜分離法を用いることが知られている。この膜分離方法としては、例えば、アルコール中に含まれる水分を分離除去してアルコールを濃縮しようとする場合、芳香族ポリイミド膜やゼオライト膜などの分離膜を用い、その一次側に液体混合物を供給し、二次側を真空に近い負圧とすることによって水分が分離膜を透過し、結果的に一次側を流れる液体混合物のアルコール濃度が高くなるというものである(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−156167号公報(第3−4頁、図1及び図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、分離膜、特に、ゼオライト膜では、化学的なエネルギを駆動源として分離・透過が行われるため、分離対象のプロセス溶剤温度に分離・透過性能が大きな影響を受ける。また、浸透気化法においては、透過物質が供給液側では液相であるのに対し、透過側では気相であるため、透過に際して蒸発潜熱を必要とする。
【0005】
このため、分離膜モジュール内の溶剤(液体混合物)が十分に攪拌されないような条件の場合は、透過が起こる膜近傍の溶剤温度が蒸発潜熱の影響で下がり、温度分布を生じることがある。
【0006】
上記のように、ゼオライト膜の分離・透過性能は、溶剤温度に大きく影響を受けるため、溶剤温度が下がると、膜分離モジュールの効率が大きく低下してしまう。
【0007】
このことから、蒸気潜熱による膜近傍の溶剤温度の低下を補うため、溶剤全体を加熱する手法があるが、分離膜モジュールの外側より加熱する場合、熱伝達による効率の低さが問題になる。また、このような手法は、プロセスの温度をあまり上げたくないような場合には、適さない。
【0008】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、液体混合物中の一組成を効率よく分離する膜分離方法及びその装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の膜分離方法は、液体混合物を、分離膜の一次側に供給する一方、分離膜の二次側を負圧にして液体混合物の一組成を分離膜の二次側に透過させ、分離膜の一次側の液体混合物の濃度を高めるようにした膜分離方法において、前記分離膜を、直接加熱するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の膜分離方法は、セラミックス製の分離膜を用いるとともに、マイクロ波を照射して分離膜自体を発熱させることを特徴とするものである。
【0011】
一方、本発明の膜分離装置は、液体混合物を、分離膜モジュール内に内蔵されている分離膜の一次側に供給する一方、分離膜の二次側を負圧にして液体混合物の一組成を分離膜の二次側に透過させ、分離膜の一次側の液体混合物の濃度を高めるようにした膜分離装置において、前記分離膜モジュールをオーブン内に設置するとともに、該オーブンに、マイクロ波発信装置と、該マイクロ波発信装置から照射されたマイクロ波をオーブン内に伝送するマイクロ波伝送管と、該マイクロ波伝送管により伝送されたマイクロ波をオーブン内に攪拌させるマイクロ波攪拌機を設けことを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明に係る膜分離方法を実施する膜分離装置の概略構造図、図2は分離膜モジュールの拡大断面図である。
【0013】
図1に示すように、本発明の膜分離装置1は、主として、オーブン2と、分離膜モジュール3と、マイクロ波伝送管4と、マイクロ波攪拌機5と、マイクロ波発信装置6から構成されている。
【0014】
オーブン2は、中空の箱体で構成され、開口部(図示せず)の密閉後は、マイクロ波が外部に漏れない構造になっている。また、その内面は、マイクロ波を反射する構造、つまり、鏡面仕上げになっている。
【0015】
分離膜モジュール3は、オーブン2の中に設置されている。この分離膜モジュール3は、図2に示すように、ガラスや合成樹脂などの非金属材料で形成された容器7と、この容器7に挿入された有底筒形の分離膜8から構成され、分離膜8の開口端は、管板9に取り付けられている。
【0016】
分離膜8は、多孔質材料からなる有底筒形の支持体10と、この支持体10の外表面に種結晶を利用して析出させたA型ゼライト膜11により構成されている。
【0017】
支持体としては、ムライトなどのAl2 O3 −SiO2 系セラミックスが好適である。その他、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チッ化ケイ素、炭化ケイ素などのセラミックスや、アルミニウム、銀、ステンレスなどの金属よりなる多孔質材料も用いることができる。多孔質支持体としては、その平均気孔径が0.05〜10μmで、気孔率が10〜60%程度のもの、特に、平均気孔径が0.1〜2μmで、気孔率が30〜50%程度のものが好適である。
【0018】
A型ゼライトを析出させる方法としては、シリカ源としてのケイ酸ナトリウム、シリカゲルやゾル、シリカ粉末など、アルミナ源としてのアルミン酸ナトリウム、水酸化アルミニウムなどを出発原料として、水熱合成法や気相法などの合成法で析出させる方法が挙げられる。
【0019】
なお、水熱合成法によりA型ゼライトの製膜を行う場合、その好ましい合成温度条件は、60〜150℃、とりわけ、80〜100℃であり、このような温度にて、1〜24時間、特に、2〜5時間、とりわけ、3〜4時間の反応を1回行うことにより、高分離特性の膜を製膜できる。
【0020】
多孔質支持体がAl2 O3 含有量30〜80wt%のAl2 O3 −SiO2 系セラミックスである場合には、90〜100℃で2時間以上、好ましくは、2〜4時間の処理条件とすることにより、1回の操作で分離性能に優れたA型ゼライトの製膜が可能である。
【0021】
原料の仕込み組成比(モル比。以下、組成比は、モル比で示す。)は、H2 O/Na2 O=20〜300、Na2 O/SiO2 =0.3〜2、SiO2 /Al2 O3 =2〜6、特に、H2 O/Na2 O=60、Na2 O/SiO2 =1、SiO2 /Al2 O3 =2となるように調整するのが好ましい。
【0022】
このようにして、多孔質支持体の表面に種結晶を担持させた後、A型ゼライトの膜厚が10〜50μmであり、支持体を含む分離膜の全膜厚が0.5〜2mm程度となるように析出させることにより、上記分離膜8を得ることができる。
【0023】
マイクロ波攪拌機5は、図示しないモータによって回転される複数の攪拌羽根12を放射状に備えている。これらの攪拌羽根12は、その捩じり角度が種々の角度に調整されており、マイクロ波伝送管4から照射されるマイクロ波をオーブン2内に均一に分散させるようになっている。
【0024】
マイクロ波伝送管4は、筒体からなり、攪拌羽根12の回転面に対向するように、オーブン2の側面に複数本取り付けられている。
【0025】
マイクロ波発信装置6は、オーブン2の外に別置され、発信させたマイクロ波aをマイクロ波伝送管4を通ってオーブン2内に照射するようになっている。
【0026】
分離膜モジュールの容器7は、その頭部13に配管14を接続し、底部15に配管16を接続し、胴部17に配管18を接続している。その上、頭部13の配管14は、真空ポンプ(図示せず)に接続されている。
【0027】
次に、この膜分離装置の作動について説明する。
【0028】
今、図示しない真空ポンプを作動させると、容器7の頭部13内、換言すれば、分離膜8の二次側8bが真空あるいは減圧状態に保持される。
【0029】
一方、マイクロ波発信装置6を始動させると、マイクロ波発信装置6から発したマイクロ波aは、マイクロ波伝送管4を通ってオーブン2内に照射される。この時、マイクロ波攪拌機5が駆動されていると、マイクロ波伝送管4から照射されたマイクロ波aがマイクロ波攪拌機5の攪拌羽根12によってオーブン2内に均一に分散される。
【0030】
そして、分離膜モジュールの非金属製の容器7を透過したマイクロ波は、分離膜8に達する。この分離膜8は、上記のように、A型ゼライト膜11及びAl2 O3 −SlO2 系セラミックス製の支持体10によって構成されているから、マイクロ波aが照射されることにより発熱する。
【0031】
しかして、配管16を通って容器7内、つまり、分離膜8の一次側8aに液体混合物、例えば、低濃度のアルコールbを供給すると、アルコール中の水は分離膜8を透過して分離膜8の二次側8b、つまり、容器7の頭部13側に達する。この時、上記の如く、分離膜8は、それ自体が発熱しているから、浸透気化潜熱に起因する分離膜表面の温度低下を防ぐことができる。
【0032】
一方、低濃度のアルコールbは、分離膜8に沿って移行する間にアルコール度が増し、高濃度のアルコールb’となって配管18から分離膜モジュール3外に排出される。また、容器7の頭部13から出た蒸気cは、図示しない凝縮器により凝縮される。
【0033】
【実施例】
(実施例)
次に、実施例により更に詳しく説明する。
【0034】
実験条件
(1) 液体混合物及びその混合割合:IPA/水=95wt%/5wt%
(2) 液体混合物の温度:95℃
(3) 液体混合物の流量:30L/h
(4) 分離膜モジュール:容器内に分離膜を内蔵させた構造(図2参照)
・容器の材質及び寸法:ポリプロピレン製、全長(850mm(膜部))×直径(14.0mm)
・分離膜の構造及び寸法:Al2 O3 −SiO2 系セラミックス製支持体の外表面にA型ゼライト膜を担持させた構造、全長(800mm)×直径(12.0mm)
(5) マイクロ波発信装置の出力:1.5kW
(6) マイクロ波攪拌機の個数:2個
・攪拌羽根の直径及び回転数:350mm、80〜90rpm
上記の条件で試験を行ったところ、マイクロ波を用いずに行った実験では、分離膜モジュールの透過流量が2730g/m2 ・hであり、マイクロ波を用いた場合の透過流量は、3010g/m2 ・hであった。
【0035】
従って、マイクロ波を用いると、分離膜モジュールの透過流量が約10%向上することが分かった。
【0036】
なお、分離膜モジュール出口で計測した濃縮液の平均液温は、マイクロ波を用いなかった場合では、92.7℃であり、マイクロ波を使用した場合は、94.4℃であった。
【0037】
【発明の効果】
上記のように、本発明の膜分離方法は、液体混合物を、分離膜の一次側に供給する一方、分離膜の二次側を負圧にして液体混合物の一組成を分離膜の二次側に透過させ、分離膜の一次側の液体混合物の濃度を高めるようにした膜分離方法において、前記分離膜を、直接加熱するようにしたので、浸透気化潜熱に起因する分離膜表面の温度低下を防ぐことが可能になった。その結果、液体混合物中の一組成を効率よく分離することが可能になった。
【0038】
一方、本発明の膜分離装置は、液体混合物を、分離膜モジュール内に内蔵されている分離膜の一次側に供給する一方、分離膜の二次側を負圧にして液体混合物の一組成を分離膜の二次側に透過させ、分離膜の一次側の液体混合物の濃度を高めるようにした膜分離装置において、前記分離膜モジュールをオーブン内に設置するとともに、該オーブンに、マイクロ波発信装置と、該マイクロ波発信装置から照射されたマイクロ波をオーブン内に伝送するマイクロ波伝送管と、該マイクロ波伝送管により伝送されたマイクロ波をオーブン内に攪拌させるマイクロ波攪拌機を設けたので、従来の膜分離装置を大幅に改造することなく、浸透気化潜熱に起因する分離膜表面の温度低下を防ぐことが可能になった。その結果、液体混合物中の一組成を効率よく分離することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る膜分離方法を実施する膜分離装置の概略構造図である。
【図2】分離膜モジュールの拡大断面図である。
【符号の説明】
b 液体混合物
8 分離膜
8a 分離膜の一次側
8b 分離膜の二次側
Claims (3)
- 液体混合物を、分離膜の一次側に供給する一方、分離膜の二次側を負圧にして液体混合物の一組成を分離膜の二次側に透過させ、分離膜の一次側の液体混合物の濃度を高めるようにした膜分離方法において、前記分離膜を、直接加熱するようにしたことを特徴とする膜分離方法。
- セラミックス製の分離膜を用いるとともに、マイクロ波を照射して分離膜自体を発熱させることを特徴とする請求項1記載の膜分離方法。
- 液体混合物を、分離膜モジュール内に内蔵されている分離膜の一次側に供給する一方、分離膜の二次側を負圧にして液体混合物の一組成を分離膜の二次側に透過させ、分離膜の一次側の液体混合物の濃度を高めるようにした膜分離装置において、前記分離膜モジュールをオーブン内に設置するとともに、該オーブンに、マイクロ波発信装置と、該マイクロ波発信装置から照射されたマイクロ波をオーブン内に伝送するマイクロ波伝送管と、該マイクロ波伝送管により伝送されたマイクロ波をオーブン内に攪拌させるマイクロ波攪拌機を設けことを特徴とする膜分離装置。
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JP2002316423A JP2004148208A (ja) | 2002-10-30 | 2002-10-30 | 膜分離方法及びその装置 |
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JP2002316423A Withdrawn JP2004148208A (ja) | 2002-10-30 | 2002-10-30 | 膜分離方法及びその装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2010095422A (ja) * | 2008-10-19 | 2010-04-30 | National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology | 水素製造装置 |
JP2013503913A (ja) * | 2009-09-09 | 2013-02-04 | サイペム・ソシエタ・ペル・アチオニ | 水溶液からアンモニア及び二酸化炭素を分離する方法 |
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2002
- 2002-10-30 JP JP2002316423A patent/JP2004148208A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2475617B1 (en) * | 2009-09-09 | 2018-12-26 | Saipem S.p.A. | Method for the separation of ammonia and carbon dioxide from aqueous solutions |
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