JP2004148133A - 化粧面の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の骨材含有塗材によって形成される化粧面では、個々の骨材粒子の表面が樹脂によって被覆されてしまうため、骨材が濡れ色を帯びた外観になりやすい。また、形成される化粧面が人工的な外観になってしまうおそれがある。
本発明では、仕上外観が濡れ色となるのを抑制し、天然の土のような自然な風合を表出することができる化粧方法を提供する。
【解決手段】(1)基材に対し、水性樹脂及び骨材を含む塗材を塗付して化粧層を形成する工程、
(2)化粧層の乾燥前に、吸液材を具備した吸液具を化粧層表面に着脱することによって、化粧層表面の水性樹脂を吸収する工程、
(3)化粧層を乾燥させる工程、
によって化粧面を形成する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物内外壁等の表面に適用可能な化粧面の形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物内外壁面等の表面化粧を行うために、合成樹脂エマルション等の水性樹脂に天然骨材や人工骨材が配合された塗材を使用する方法が種々提案されている。
例えば、特開2000−15999号公報には、10〜1000μmの範囲内において粒径の均一さを備えた2種類以上の色彩の着色粗粒が混合分散した塗材を塗付することが記載されている。また、特開2001−240807号公報には、ビヒクル中に互いに色の異なる小粒径(0.5〜10μm)の着色粒子と大粒径(10〜150μm)の着色粒子とが分散された塗材を塗付することが記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−15999号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2001−240807号公報(特許請求の範囲)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの方法によって形成される化粧面では、個々の骨材粒子の表面が樹脂によって被覆されてしまうため、骨材が濡れ色を帯びた外観になりやすい。また、上記従来技術は、いずれも色彩の鮮明さを求めたものであるため、形成される化粧面が人工的な外観になってしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、仕上外観が濡れ色となるのを抑制し、天然の土のような自然な風合を表出することができる化粧方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
これらの課題を解決するため本発明者は鋭意検討を行い、塗材が未乾燥状態のうちに、吸液材を具備した吸液具をその表面に着脱して、塗材に含まれる水性樹脂を吸収することが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.(1)基材に対し、水性樹脂及び骨材を含む塗材を塗付して化粧層を形成する工程、
(2)化粧層の乾燥前に、吸液材を具備した吸液具を化粧層表面に着脱することによって、化粧層表面の水性樹脂を吸収する工程、
(3)化粧層を乾燥させる工程、
を有することを特徴とする化粧面の形成方法。
2.(1)基材に対し、水性樹脂及び骨材を含む塗材を塗付して化粧層を形成する工程、
(2)化粧層の乾燥前に、吸液材を具備したローラーを化粧層表面に接触転動させることによって、化粧層表面の水性樹脂を吸収する工程、
(3)化粧層を乾燥させる工程、
を有することを特徴とする化粧面の形成方法。
3.吸液材が繊維質材またはスポンジ質材からなることを特徴とする1.または2.に記載の化粧面の形成方法。
4.化粧層を形成する塗材が、水性樹脂及び骨材を含み、該骨材として平均長径1〜10mm、平均厚み0.01〜0.5mmの鱗片状骨材を含有するものであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の化粧面の形成方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態とともに詳細に説明する。
【0008】
本発明は、建築物内外壁等の表面に対して適用することができる。具体的にその基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、磁器タイル、繊維混入セメント板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、石綿セメント板、ALC板、サイディング板、石膏ボード、合板、押出成形板、鋼板、プラスチック板等が挙げられる。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたものや壁紙が貼り付けられたものであってもよい。
【0009】
本発明の工程(1)で使用する塗材は、水性樹脂及び骨材を含有する塗材である。
水性樹脂としては、水溶性樹脂及び/または水分散性樹脂が好適に用いられる。使用可能な樹脂の種類としては、例えば、セルロース、ポリビニルアルコール、エチレン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等、あるいはこれらの複合系等を挙げることができる。このうち、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、あるいはこれらの複合系を使用すると、塗膜の耐候性を高めることができる点で好適である。
【0010】
骨材としては、自然石、自然石の粉砕物等の天然骨材、及び着色骨材等の人工骨材から選ばれる少なくとも一種以上が使用可能である。具体的には、例えば、大理石、御影石、蛇紋岩、花崗岩、蛍石、寒水石、長石、珪石、珪砂、雲母及びこれらの粉砕物、陶磁器粉砕物、セラミック粉砕物、ガラス粉砕物、ガラスビーズ、樹脂粉砕物、樹脂ビーズ、樹脂片、ゴム片、貝殻粉砕物、金属粒、金属片等や、それらの表面を着色コーティングしたもの等が挙げられる。骨材の粒径は、通常0.01mm〜10mmである。
これら骨材は、水性樹脂の固形分100重量部に対し、通常30〜1300重量部、好ましくは100〜1000重量部の比率で混合する。骨材の混合量が少なすぎる場合は、濡れ色を抑制することが困難となる。骨材の混合量が多すぎる場合は、塗装作業性が低下する傾向となる。
【0011】
本発明では、上記骨材として平均長径1〜10mm、平均厚み0.01〜0.5mmの鱗片状骨材を含有することが望ましい。このような鱗片状骨材を含むことにより、工程(2)において、化粧層内部の水性樹脂が過度に吸収されるのを効果的に防止することができる。このため、化粧層の強度等を低下させることなく、化粧層表面における濡れ色発生を抑制することが可能となる。
鱗片状骨材の材質は特に限定されないが、ゴム片、樹脂片、金属片、雲母片から選ばれる1種以上が好適である。
鱗片状骨材の混合比率は、全骨材中に対し通常1〜80重量%、好ましくは2〜40重量%である。
【0012】
本発明で使用する塗材においては、上述の成分の他に、通常塗材に使用可能な成分を含むこともできる。このような成分としては、例えば、着色顔料、体質顔料、繊維、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、分散剤、消泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、水等が使用可能である。
【0013】
本発明の工程(1)では、上記塗材を基材に塗付することにより化粧層を形成させる。
この工程(1)では、同一または異種の塗材を塗り重ねることもできる。塗り重ねを行う場合は、例えば、基層塗りを行った後、吹付塗装で玉状に模様塗りを行う方法等によって化粧層に凹凸を形成させることも可能である。
工程(1)で使用する塗材の粘度(BH型粘度計で回転数を2rpmとして測定したときの値。以下同様。)は、通常50〜2000Pa・s、好ましくは100〜1000Pa・sとする。粘度が高すぎる場合は、塗装作業性が低下する傾向となる。粘度が低すぎる場合は、工程(2)において水性樹脂が過度に吸収されやすくなり、化粧層の強度等に悪影響を及ぼすおそれがある。
塗材を塗付する際の塗装器具としては、例えばリシンガン、タイルガン、万能ガン、鏝、ローラー、刷毛等を用いることができる。
塗付量は、特に限定されないが、概ね下地を隠蔽する程度で十分である。具体的には、通常0.5〜5kg/m程度である。
【0014】
工程(2)では、上記化粧層の乾燥前に、吸液材を具備した吸液具を化粧層表面に着脱することによって、化粧層表面の水性樹脂を吸液具に吸収させる。本発明では、この工程を行うことにより、仕上外観における濡れ色発生が抑制され、天然の土のような自然な風合を表出することが可能となる。
【0015】
本発明の工程(2)において使用する吸液具としては、未乾燥状態の化粧層表面に着脱した際に、塗材中の水性樹脂を吸収できるものが使用可能である。
このような性能を有するものであれば、その形態は特に限定されず、例えばスタンプタイプ、ローラータイプ等を使用することができる。このうち、ローラータイプのものを使用すると、簡便かつ迅速に作業を行うことができる点、及び化粧層が凹凸を有する場合に化粧層表面を平坦化できる点で好適である。ローラーとしては、例えば図1に示すような、表面に吸液材を有する円筒状の芯材と、芯材を回転可能な状態で支持する軸と、軸に連結された把手を具備するものを使用することができる。
吸液具としてローラーを使用する場合は、ローラーを化粧層表面に接触転動させればよい。作業中に吸液材が飽和状態となった場合は、一旦洗浄して水をきるなどすれば、続けて作業を行うことができる。
吸液材としては、繊維質材またはスポンジ質材からなるものが好適である。このような吸液材を使用すれば、骨材の吸収が十分に抑制され、効率良く水性樹脂を吸収することができる。吸液材には、主に水性樹脂が吸収されるが、本発明の効果を阻害しない限り、水性樹脂とともにその他の成分が吸収されても差し支えはない。
【0016】
工程(3)では、化粧層を乾燥させる。乾燥温度は通常常温で行えばよいが、必要に応じ加熱することも可能である。乾燥時間は、化粧層の厚み、乾燥温度等によって異なるが、通常は24時間以上とすればよい。
【0017】
本発明では、目地棒等を用いて模様面を形成することも可能である。この場合は、例えば、目地色となる塗料等を塗装した下地面に対し、所望の目地模様に応じて目地棒を貼り付けた後に、工程(1)〜(2)を行い、目地棒を除去して乾燥させる方法、等を採用すればよい。目地棒としては、表面に剥離紙を有する目地棒等を用いればよい。
【0018】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより明確にする。
【0019】
(実施例1)
アクリル樹脂エマルション200重量部(固形分50重量%)、着色珪砂(白色:黄色:赤色:淡黄色:茶色=18:25:25:18:14の混合物、粒径0.01〜0.5mm)410重量部、増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース)2重量部、造膜助剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)20重量部、シリコーン系消泡剤3重量部を常法によって均一に撹拌混合することにより塗材Aを製造した。この塗材Aの23℃における粘度は、300Pa・sであった。
予めシーラーを塗装した60×60cmのスレート板に対し、リシンガンを用いて塗材Aを3kg/mの塗付量にてほぼ均一に塗付することにより、化粧層を形成させた。
化粧層を形成させた直後、化粧層全面に対し、繊維質吸液材(ポリエステル繊維(毛丈13mm)、幅180mm)を具備したローラーを接触転動させた。その後、24時間乾燥させた。
乾燥後の化粧層では、濡れ色発生が抑えられ、天然土のような自然な風合が表出された。
【0020】
(実施例2)
アクリル樹脂エマルション200重量部(固形分50重量%)、着色珪砂(白色:黄色:赤色:淡黄色:茶色=36:20:20:14:10の混合物、粒径0.01〜0.5mm)410重量部、増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース)2重量部、造膜助剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)20重量部、シリコーン系消泡剤3重量部を常法によって均一に撹拌混合することにより塗材Bを製造した。この塗材Bの23℃における粘度は、300Pa・sであった。
予めシーラーを塗装した60×60cmのスレート板に対し、リシンガンを用いて塗材Aを3kg/mの塗付量でほぼ均一に塗装した後、タイルガンを用いて塗材Bを1kg/mの塗付量で玉状に塗装することにより、凹凸を有する化粧層を形成させた。
化粧層を形成させた直後、化粧層全面に対し、繊維質吸液材(ポリエステル繊維(毛丈13mm)、幅180mm)を具備したローラーを接触転動させた。その後、24時間乾燥させた。
乾燥後の化粧層では、濡れ色発生が抑えられ、その上、2色の境界がよくなじみ、赤茶色の濃淡が微妙に変化する自然な風合が表出された。
【0021】
(実施例3)
アクリル樹脂エマルション200重量部(固形分50重量%)、着色珪砂(白色:黄色:赤色:淡黄色:茶色=18:25:25:18:14の混合物、粒径0.01〜0.5mm)410重量部、鱗片状骨材(平均長径5mm、平均厚み0.1mmの黒色雲母片)30重量部、増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース)2重量部、造膜助剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)20重量部、シリコーン系消泡剤3重量部を常法によって均一に撹拌混合することにより塗材Cを製造した。この塗材Cの23℃における粘度は、320Pa・sであった。
予めシーラーを塗装した60×60cmのスレート板に対し、リシンガンを用いて塗材Cを3kg/mの塗付量にてほぼ均一に塗付することにより、化粧層を形成させた。
化粧層を形成させた直後、化粧層全面に対し、繊維質吸液材(ポリエステル繊維(毛丈13mm)、幅180mm)を具備したローラーを接触転動させた。その後、24時間乾燥させた。
乾燥後の化粧層では、濡れ色発生が抑えられ、天然土のような自然な風合が表出された。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、仕上外観が濡れ色となるのを抑制することができ、天然の土のような自然な風合を表出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するローラーの一例を示す図である。
【符号の説明】
1:吸液材
2:芯材
3:軸
4:把手

Claims (4)

  1. (1)基材に対し、水性樹脂及び骨材を含む塗材を塗付して化粧層を形成する工程、
    (2)化粧層の乾燥前に、吸液材を具備した吸液具を化粧層表面に着脱することによって、化粧層表面の水性樹脂を吸収する工程、
    (3)化粧層を乾燥させる工程、
    を有することを特徴とする化粧面の形成方法。
  2. (1)基材に対し、水性樹脂及び骨材を含む塗材を塗付して化粧層を形成する工程、
    (2)化粧層の乾燥前に、吸液材を具備したローラーを化粧層表面に接触転動させることによって、化粧層表面の水性樹脂を吸収する工程、
    (3)化粧層を乾燥させる工程、
    を有することを特徴とする化粧面の形成方法。
  3. 吸液材が繊維質材またはスポンジ質材からなることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧面の形成方法。
  4. 化粧層を形成する塗材が、水性樹脂及び骨材を含み、該骨材として平均長径1〜10mm、平均厚み0.01〜0.5mmの鱗片状骨材を含有するものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化粧面の形成方法。
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