JP2004147564A - 散水体、散水体の製造方法、灌水用チューブ、灌水用チューブの製造方法及び細霧冷房方法 - Google Patents

散水体、散水体の製造方法、灌水用チューブ、灌水用チューブの製造方法及び細霧冷房方法 Download PDF

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Abstract

【課題】より広い領域への均一な散水を可能とし、かつ低い散水高さで灌水用チューブの近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブ及び灌水用チューブの製造方法を提供する。
【解決手段】散水体1は、散水孔10を複数備えており、散水孔10は、隣り合う散水孔10A・10Bにより構成されており、隣り合う散水孔10A・10Bは、水圧Pにより水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、散水のためにノズルとして使用されたり、軟弱野菜等の栽培や水稲等の育苗栽培における灌水作業や細霧冷房等に使用されたりする散水体、散水体の製造方法、灌水用チューブ、灌水用チューブの製造方法、及び細霧冷房方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
農業の施設園芸の分野では、いわゆるビニールハウスにおいて軟弱野菜等の栽培、水稲等の育苗栽培が行われている。上記の軟弱野菜の栽培及び水稲育苗には、毎日の灌水作業が欠かせない。
【0003】
ところで、灌水作業は、ホースの先端にシャワー状の散水が得られる散水具等を取り付け、ハウス内を移動しながら灌水を行う方法が一般的であった。このような灌水作業は、一般的には気温が高くなる3月頃から開始され、特に、夏場7月〜9月末頃の高温期に最も必要とされる。夏場、ハウス内の温度は40度以上となり、農作業の中でも負担の大きい作業の1つであった。
【0004】
近年、このような作業の省力化を目的とした灌水用チューブ(例えば、住化農業資材株式会社製の商品名「スミサンスイRハウス」)が開発されている。この灌水用チューブ170は、図21に示すように、ビニールハウス171の例えば中央部に設置され、これによって、以前のように散水具をもってビニールハウス171内を移動することなく、短時間に必要な灌水が行われるようになっている。
【0005】
上記の灌水用チューブ170では、灌水の均一性を高めるために、散水孔の孔径と散水孔の仰角との組み合わせを工夫する手法が取り入れられている。
【0006】
ここで、従来の灌水用チューブ170において、散水孔を穿設するときには、偏平状の原料シートに対して鉛直方向からポンチ、穿孔用針又はレーザ光の照射等により、散水孔を穿設する方法が取られてきた。以下、この穿孔方法を垂直穿孔という。
【0007】
このように穿設された散水孔では、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面に垂直面が形成されたものとなっており、水は水圧によって管状の灌水用チューブ170における管内面接線に垂直な方向、つまり管状チューブでは半径方向に飛翔する。
【0008】
このような散水孔の散水流は、散水孔から噴射された後しばらくは、棒状の散水流が維持されるが、空気抵抗により徐々に微細な液滴が分離し始め、ある時点から急激に液滴の分散が開始される。
【0009】
しかしながら、上記従来の灌水用チューブでは、以下の散水高さの問題と灌水強度ピークの問題とを有している。
【0010】
すなわち、散水高さの問題として、従来の技術では、特に灌水用チューブ近傍への散水には、仰角の高い位置に散水孔を設けて、一旦、例えば3m程の高さに散水を吹き上げた後、灌水用チューブ近傍へ液滴を落下させる方法が用いられることが多い。これは、従来の灌水用チューブに用いられている散水孔から噴射される散水流は、上述したように、噴射された後しばらくは、棒状の散水流が維持され、その後徐々に空気抵抗により微細な液滴が分離し始め、ある時点から分散が開始される性質を持つため、棒状水流が分散されるまでの間、吹き上げる必要があるためである。
【0011】
この手法を用いることによって、灌水用チューブ近傍への散水が可能となるが、図22(a)・(b)に示すように、ビニールハウス171の天井までの高さが十分でない場合や、図23に示すように、ビニールハウス171内部の気温抑制のため寒冷紗72つまり黒色系の薄布を設置した場合等には、散水を必要な高さまで吹き上げることができないため、灌水用チューブ近傍への十分な灌水ができないという問題点があった。
【0012】
この点に関して、ホース近傍への散水孔を他の散水孔よりも小さく設定することにより、流量を減少させ、灌水強度のピークを抑える方法が示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0013】
また、例えば、水圧による水の飛翔方向を一部遮蔽して変化させる傾斜面31がシート開孔壁面に形成された、図25に示す散水孔30がある(例えば、特許文献2参照。)。
【0014】
【特許文献1】
実公平3−26376号公報
【0015】
【特許文献2】
特開2000−176319号公報(2000年6月27日公開)
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来、散水高さが低く、かつ、灌水用チューブ近傍への散水可能な散水孔が求められていた。一方、従来の散水用チューブについての、もう一つの問題は、灌水強度のピーク、つまり散水分布の均一化に関するものである。
【0017】
図21に示す前記従来の手法に従えば、高仰角散水孔による灌水用チューブ近傍への散水では、散水の分布が狭い範囲に集中し、灌水強度(mm/hr)が他の散水領域と比較して強くなる傾向が見られる。この点に関する対策として、前記特許文献1に方法が示されているが、高仰角の散水では、散水孔が小さくなればなるほど散水範囲が狭くなる傾向がみられる。このため、灌水用チューブ近傍への散水の均一性を確保するためにはより多くの散水孔が必要となる。このように灌水用チューブに多くの散水孔を形成すると、散水ホースの上流側と下流側とで均一な水圧を加えることが困難になるから、散水ホースの長さを長くすることができないという問題、すなわち長尺性の問題が生じる。
【0018】
また、前記特許文献2に記載の散水孔30(図25参照)を用いることにより、各散水孔でより広い領域に散水することが可能となるが、近年、さらに低い散水高さで均一な散水を行うことが求められている。具体的には、高さ約60cm程度のトンネル被覆を行った状態で散水をする場合などでは、非常に低い散水高さで均一に散水することができる散水孔が求められる。このように散水高さについての制限が厳しい場合は、散水孔30の形成された灌水用チューブによって、均一な散水を行うことは困難であり、特に灌水用チューブ近傍への均一な散水が困難であるという問題点がある。
【0019】
そこで、本発明は、上記の問題点を解消するために、より広い領域への均一な散水を可能とし、かつ低い散水高さで散水体又は灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する散水体、散水体の製造方法、灌水用チューブ、灌水用チューブの製造方法、及び細霧冷房方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の散水体は、上記の課題を解決するために、複数の散水孔を備えてなる散水体であって、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように形成されている、隣り合う散水孔を有することを特徴としている。
【0021】
上記の発明によれば、隣り合う散水孔から水圧により飛翔された飛翔水は、散水体から吐出された後、衝突して互いの水流を分散・飛翔させることとなる。この衝突によって、飛翔水の流れすなわち飛翔水流の水撃圧を弱くするとともに、水滴を微粒化して霧状微細水滴とすることができる。
【0022】
すなわち、従来の散水用のノズルや灌水用チューブ等の散水体は、一般に、シートにおける散水孔の開孔壁面がシート断面に対して垂直、表面に向かって末広がりとなる円錐台、または表面に向かって先細りとなる円錐台となった散水孔、つまり通常はシートに対して垂直円筒状、表面に対して末広がり又は先細りとなる円錐台状の散水孔を有している。そして、隣り合う散水孔から飛翔された水は衝突することなく、半径方向の延長線上へ棒状に飛翔するから、水圧に応じて水は遠距離に散水される。
【0023】
このため、遠方には散水できるものの、散水体の近傍に散水するためには、一度上方に飛翔させることが必要であり、散水高さを高くする必要がある。また、上方に飛翔させたとしても、散水体の近傍における広い領域に散水することができない。
【0024】
これに対して、本発明の散水体は、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように形成されている、隣り合う散水孔を有している。このため、水圧がかかることによって散水体から飛翔した飛翔水流の方向は、隣り合う散水孔からの飛翔水流との衝突によって変化する。また、この衝突よって、飛翔水流の勢いが抑制されるから、散水距離および散水高さが低減される。
【0025】
また、この衝突によって、棒状に飛翔しようとする水が乱されて飛翔するので、飛翔水の水滴が微粒化されて霧状微細水滴となり、灌水用チューブの近傍における散水領域が広がる。このため、従来の灌水用チューブのように、一度上方に飛翔させることが不要となり、散水高さを低くすることができる。
【0026】
この結果、散水高さを高くすることなく、散水体の近傍位置において、より広い領域への均一な散水を可能とする散水体を提供することができる。
【0027】
なお、本発明の散水体はシート状のものとして構成することができる。ここで、シートとは0.1mm〜4mm程度の厚みを有するものをいい、好ましくは、0.2mm〜1mmの厚みのものである。また、シートの材質は、樹脂に限らず金属やゴムであっても良い。また、シートは必ずしも広いものとする場合に限らず、噴霧器の先端等に使用されるノズルとしての小さいものであってもよい。
【0028】
また、その中心線が交わるように形成されている、隣り合う散水孔の数は複数であればよく、特に限定されないが、2つとすることが好ましい。隣り合う散水孔を3つ以上とすると、これらの中心線を一点で交わらせるために散水孔を形成する際に非常に高い精度が要求されることとなるが、2つとする場合、同一平面上に位置させることにより、中心線を1点で容易に交わらせることが可能である。
【0029】
また、本発明の散水体の製造方法は、複数の散水孔を有する散水体の製造方法であって、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように、隣り合う散水孔を穿設することを特徴としている。
【0030】
上記の発明によれば、上記散水体は、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように、隣り合う散水孔を穿設することにより製造される。
【0031】
これにより、散水体の近傍位置において、より広い領域への均一な散水を可能とする散水体の製造方法を提供することができる。
【0032】
本発明の灌水用チューブは、上記の課題を解決するために、複数の散水孔を有する灌水用チューブであって、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように形成されている、隣り合う散水孔を有することを特徴としている。
【0033】
すなわち、従来のように、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく表面に向かって形成された散水孔では、隣り合う散水孔から飛翔された水は衝突することなく、半径方向の延長線上へ棒状に飛翔する。したがって、水圧に応じて水は遠距離に散水される。
【0034】
このため、遠方には散水できるものの、灌水用チューブの近傍に散水するためには、一度上方に飛翔させることが必要であり、散水高さを高くする必要がある。
また、上方に飛翔させたとしても、散水体の近傍における広い領域に散水することができない。
【0035】
これに対して、本発明の灌水用チューブは、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように形成されている、隣り合う散水孔を有している。このため、水圧がかかって、飛翔させる側に飛翔した水は、隣り合う散水孔から飛翔した水と衝突して方向が変化される。すなわち、隣り合う散水孔から飛翔された飛翔水の飛翔水流が灌水用チューブの近傍で衝突することなり、この衝突によって、水の勢いが抑制される。したがって、この抑制によって、飛翔水の散水距離および散水高さが低減される。
【0036】
さらに、この衝突による抑制によって、棒状に飛翔しようとする飛翔水が乱されて、霧状微細水滴となって飛翔するので、飛翔水が分散し、散水領域が広がる。これにより、灌水用チューブの近辺の広い領域に、均一に散水することができる。
【0037】
この結果、より広い領域への均一な散水を可能とし、かつ低い散水高さで灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブを提供することができる。
【0038】
本発明の灌水用チューブは、上記の課題を解決するために、複数の散水孔を有する灌水用チューブであって、0.2MPaの水圧で水を飛翔させた場合に、水圧により灌水用チューブから水を飛翔させる側において、飛翔された水が衝突するように形成されている、隣り合う散水孔を有することを特徴としている。
【0039】
上記の発明によれば、施設栽培での灌水作業の際に通常用いられている0.2MPa程度の給水圧力により、隣り合う散水孔から飛翔された水の飛翔水流を灌水用チューブの近傍で衝突させることができる。
【0040】
このため、散水孔から水を飛翔させるために、高い水圧を得るための動力を備えた特別の装置等を用いることなく、一般の水道により得られる程度の水圧よって、隣り合う散水孔から飛翔された水の飛翔水流を灌水用チューブの近傍で、確実に衝突させることができる。
【0041】
この結果、より広い領域への均一な散水を可能とし、かつ低い散水高さで灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブを提供することができる。
【0042】
また、施設栽培での灌水作業には、0.2MPaよりも小さな供給圧力、具体的には0.05MPa〜0.2MPaの範囲内の供給圧力が用いられる場合もある。このため、上記隣り合う散水孔は、0.05MPaの水圧で水を飛翔させた場合に、水圧により灌水用チューブから水を飛翔させる側において、飛翔された水が衝突するように形成されているものであることがより好ましい。
【0043】
上記隣り合う散水孔は、いずれも、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成されているものであることが好ましい。
【0044】
上記の構成により、水圧がかかって水が灌水用チューブから飛翔しようとするときに、水の方向がこの傾斜面によって一部遮蔽されて変化する。また、このとき、水の勢いがこの傾斜面で抑制される。したがって、この抑制によって、散水距離ならびに散水高さがさらに低減される。
【0045】
また、この傾斜面による抑制によって、棒状に飛翔しようとする水が乱されて飛翔するので、水が分散し、散水領域が広がる。
【0046】
この結果、散水体の近傍位置において、より広い領域への均一な散水を、より低い散水高さで可能とする散水体を提供することができる。
【0047】
上記隣り合う散水孔は、平面状態でのチューブ断面におけるチューブの厚さをLとし、散水側とは反対側のチューブの面から上記隣り合う散水孔の中心線の交点までの高さをHとすると、
0.5×L<H<L+50mm…(1)
の関係を満たしているものであることが好ましい。
【0048】
上記の構成により、隣り合う散水孔から飛翔された水を、確実に灌水用チューブの近傍で衝突させることができ、散水体の近傍位置において、広い領域への均一な散水を可能とする散水体を提供することができる。
【0049】
本発明の灌水用チューブは、上記隣り合う散水孔と、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が他の散水孔の中心線とは交わらないように形成されている散水孔と、を組み合わせて有するものであってもよい。
【0050】
これにより、上記隣り合う散水孔により灌水用チューブの近傍に散水し、その中心線が他の散水孔の中心線とは交わらないように形成されている、従来の散水孔によって灌水用チューブから離れた位置に散水することができる。このため、従来に比べて少ない個数の散水孔を穿設することにより、広い散水領域を確保することが可能となる。
【0051】
なお、上記従来の散水孔としては、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成されているものや、水を水圧により半径方向に飛翔させるべく開孔壁面に垂直または表面に向かって末広がりとなる錘台面が形成されているものなどが挙げられる。
【0052】
本発明の灌水用チューブの製造方法は、上記の課題を解決するために、複数の散水孔を有する灌水用チューブの製造方法であって、灌水用チューブにおける平面状態でのチューブに対して、斜め方向から散水孔を穿設することにより、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように隣り合う散水孔を形成することを特徴としている。
【0053】
上記の発明によれば、灌水用チューブに散水孔を形成するに際して、灌水用チューブにおける平面状態でのチューブに対して、斜め方向から筒状開口を穿設する。なお、筒状開口としては、円筒状が一般的であるが、必ずしもこれに限らず、例えば多角筒状であっても良い。
【0054】
これによって、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように形成されている、隣り合う散水孔を容易に形成することができる。
【0055】
この結果、より広い領域への均一な散水を可能とし、かつ低い散水高さで灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブの製造方法を提供することができる。
【0056】
上記灌水用チューブの製造方法においては、上記散水孔はレーザ光を照射することにより穿設されるものであることが好ましい。
【0057】
これによって、精度良く、確実に、かつ容易に所望の散水孔を容易に形成することができる。
【0058】
本発明灌水用チューブを用いて細霧冷房を行うことも可能である。本発明の灌水用チューブは、従来の動力噴霧器を備えた細霧冷房装置と比べて、非常に構造が簡単であるため安価である。したがって、従来非常に高コストであった細霧冷房を、非常に安い費用により実現することができる。
【0059】
本発明の灌水用チューブは、灌水用チューブを栽培培地表面に接するように敷設して散水する灌水方法に用いることが可能であり、この場合、例えば上記隣り合う散水孔から飛翔される水の方向が、水平方向よりも下向きになるように散水することが好ましい。
【0060】
これにより、特に散水高さや散水幅に関して、非常に厳しい制限のある条件においても、所望する範囲に均一且つ十分な散水をすることができる。
【0061】
すなわち、上記散水孔から飛翔される飛翔水の方向が水平方向よりも下向きであるから、飛翔水の方向が水平方向よりも上向きであるものと比較して、飛翔された水の散水高さ、散水幅のいずれをも抑制することができる。また、散水チューブを栽培培地表面に接するように敷設して散水するから、飛翔された水が作物体に付着することを防ぐことが可能となる。したがって、花などのように空気中に浮遊する微細水滴を嫌う作物体への灌水方法として、非常に好適である。
【0062】
このように、本発明の灌水用チューブを用いた灌水方法によれば、散水高さや、散水幅についての制限が厳しい条件においても、所望の領域に均一に散水することができる。
【0063】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1および図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0064】
図1は、本発明における散水体の実施の一形態を示すものであり、散水孔から飛翔された飛翔水が衝突することによって、水圧による水滴の微細化を促進し、かつ飛翔水の流れすなわち飛翔水流の水撃圧を弱める原理を示す断面図である。同図に示すように、本実施の形態の散水体1は、一群の隣り合う散水孔10A・10Bを備えており、この散水孔10A・10Bそれぞれの穿孔中心線LAとLBとは、水圧Pにより水を飛翔させる側の交点Cにおいて交わっている。
【0065】
このため、この散水孔10A・10Bのそれぞれから飛翔された水は、散水体1の水圧Pにより水を飛翔させる側の交点C付近で衝突し、この衝突により、散水孔10A・10Bから飛翔された水の微細化を促進するとともに、飛翔水流の水撃圧を弱めることができる。
【0066】
つまり、散水孔10A・10Bから飛翔された飛翔水が、散水体1の近傍で衝突することにより、図1に破線を用いて示したように、散水体1を構成するシートの近傍において、非常に広い範囲に散水することができる。
【0067】
さらに、飛翔水が広範囲に広がることにより、飛翔水の水撃圧を弱めることができる。このため、水撃圧の影響によって、散水領域の一部に窪みができたり、水路ができたりすることを防止することができる。なお、散水孔10A・10Bを区別せずに、まとまった一群の散水孔として取扱う場合には、以下、単に散水孔10と記すこととする。
【0068】
また、散水孔10A・10Bの開孔壁面11A・11Bには、それぞれ、水圧Pによる水の飛翔方向を変化させる傾斜面12A・12Bが形成されている。このため、水圧Pにより水が飛翔しようとするときに、水の方向がこの傾斜面12A・12Bによって一部遮蔽されて変化し、水の勢いが抑制されることとなる。上記交点Cにおいて飛翔水が衝突する前に、この傾斜面12A・12Bによる遮蔽がなされることより、さらなる散水距離の抑制ならびに水滴の微細化を実現することができる。このため、散水体1を構成するシートの近傍において、非常に広い範囲に散水することをより確実にすることができる。
【0069】
図2は、図1の散水体において、隣り合う散水孔の中心線が交わる位置、および種々の方向から見た散水孔の形状を説明する断面図である。先ず、図2に基づいて散水孔10の形状を説明する。同図に示すように、本実施の形態の散水体1の散水孔10A・10Bは、同じ形状をしており、穿孔方向が異なるのみである。より具体的には、上方および下方から見た場合にはその外周円が楕円形となっており、穿孔方向から見た場合にはその外周円が円形となっている。このため、本実施の形態の散水孔10A・10Bの中心線(穿孔中心線)L・Lとは、穿孔方向から見た場合の外周円の中心を結んだ直線のことをいう。
【0070】
また、図2に示すように、散水孔10A・10Bを、散水体1の散水側またはその反対側から見た場合の外周円の楕円形は、いずれも焦点がほぼ一直線上に位置している。すなわち、上記楕円は、長軸がほぼ一直線上に位置する形状となっている。このため、散水孔10A・10Bからの飛翔水を、散水体1の表面近傍で効率よく衝突させることができる。
【0071】
続いて、図2に基づいて、散水体1から、散水孔10Aと10Bの中心線の交点Cまでの距離について説明する。同図に示すように、散水体1から交点Cまでの距離は、散水体1を構成するシートの散水側表面ではなく、その反対側表面からの距離H(mm)により特定する。この距離Hが、散水孔10A・10Bは、平面状態での散水体1断面におけるシートの厚さをL(mm)とすると、下記の式(1)
0.5×L(mm)<H(mm)<L(mm)+50(mm) …(1)
の関係を満たすことが好ましい。
【0072】
これにより、散水孔10A・10Bからの飛翔水を、散水体1の表面近傍において衝突させて、その水撃圧を弱くすること並びに広範囲に散水することを確実に行うことができる。
【0073】
なお、上記の式(1)に示すように、Hは、シートの厚さLの半分よりも大きければよく、散水体1のシート内部の散水孔10において散水孔10A・10Bからの飛翔水が衝突するものであってもよい。
【0074】
また、散水体1から交点Cまでの距離Hは、下記の式(2)を満足することがより好ましく、式(3)を満足することがさらに好ましい。
1.0×L(mm)<H(mm)<L(mm)+20(mm) …(2)
1.5×L(mm)<H(mm)<L(mm)+10(mm) …(3)
散水孔10A・10Bの孔径を、図2に示すように、反穿孔方向から見た散水孔10A・10Bの穿孔外周円、すなわちシートの散水側とは反対側の穿孔方向の穿孔外周円、すなわちその大きさが小さい方の穿孔外周円の直径Rを用いて表すこととする。散水孔10A・10Bの直径Rは、Rは0.05mm以上2.0mm以下の範囲内とされることが好ましいが、これに限定されるものではなく、シートの厚みや給水圧力などに応じて調整される。
【0075】
散水孔10Aと散水孔10Bとの距離を、図2に示すように、シートの散水側の面と交わる位置における、その中心線LAと中心線LBとの距離Dを用いて表すこととする。散水孔10Aと散水孔10Bとの距離Dは、0mm以上20mm以下の範囲内とされることが好ましいが、これに限定されるものではなく、シートの厚みや給水圧力などに応じて調整すれば良い。
【0076】
散水孔10Aおよび散水孔10Bの穿孔方向を、その中心線LAおよび中心線LBとシートの散水側の面とのなす角度Xを用いて表すこととすると、Xは20°以上であることが好ましく、30°以上であることがより好ましい。また、Xは、80°以下であることが好ましく、60°以下であることがより好ましい。
【0077】
上記H、D、R、Xについて、上記の条件を満足するように、散水孔10A・10Bを形成することにより、より確実に、散水孔10A・10Bからの飛翔水を、散水体1の表面近傍において衝突させて、その水撃圧を弱くすること並びに広範囲に散水することができる。
【0078】
上記本実施の形態の複数の散水孔を有する散水体1は、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように、隣り合う散水孔を穿設することにより製造することができる。なお、本発明の詳細な説明においては、上記のように、水圧により水を飛翔させる側において2つの散水孔の中心線が交わるように穿孔する方法をX穿孔という。
【0079】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の一形態について、図3から図11を用いて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施の形態においては、散水体としての灌水用チューブについて説明するが、散水体は必ずしもこれに限らず、例えば、噴霧器における散水用のノズル等に用いられるものであっても良い。また、説明の便宜上、前記の実施の形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0080】
本実施の形態では、本発明の散水体を灌水用チューブとして実施した場合について説明する。図3は、平面状態におけるチューブに、その中心線が散水側で交わるようにして、散水孔10が形成された状態を示している。散水孔10すなわち一群(一対)の隣り合う散水孔10A・10Bをチューブに形成する方法は、特に限定されないが、例えばレーザ光を用いる方法が挙げられる。
【0081】
続いて、本実施の形態の散水体としての灌水用チューブの隣り合う散水孔の配置の例について、図4(a)・(b)および図5(a)・(b)に基づいて説明する。
【0082】
図4(a)に示す本実施の形態の灌水用チューブ2は、いずれも、例えば、薄肉のポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂フィルムからなるシートを2枚重ね合わせ、これら重ね合わされたシートの互いの幅方向の周縁部をヒートシール等することにより、密着状態とし、一対の耳状部23・23を有するチューブ状に形成されてなるものである。
【0083】
このシートの厚さは、例えば0.5mm程度あるが、必ずしもこれに限らず、例えば0.1mm〜3.0mm程度の厚さに対しても適用可能である。
【0084】
これにより、灌水用チューブ2は、灌水時つまり通水時には水圧にて膨らんで例えば直径30mm〜40mm程度の管状となる一方、非通水時には偏平となる。なお、本実施の形態の灌水用チューブ2は必ずしも耳状部23・23を有する必要はない。また、灌水用チューブ2の直径は、特に限定されるものではなく、灌水用チューブ2に供給される水量や水圧等に応じて、適宜設定することが可能である。
【0085】
また、図4(a)に示すように、散水孔10は、チューブ長手方向に略平行となるように、隣り合う散水孔10Aと散水孔10Bとが配置されてなるものである。また、散水孔10もチューブ長手方向に略等間隔に配置されている。このように、散水孔10は、散水孔10Aと散水孔10Bとを一つの単位として穿設することにより形成してなるものである。
【0086】
上記の灌水用チューブ2は、繰り返し耐圧疲労強度が優れると共に、耐膨潤性、耐熱性、耐寒性、耐引裂性及び耐衝撃性を備えている。また、灌水用チューブ2には、図示しないが、その表面に、長さ方向に沿って延びる複数のリブが形成されていてもよい。これによって、通水時に灌水用チューブ2が容易に捩じれないようにすることができる。
【0087】
この灌水用チューブ2は、散水時においては、図示しないポンプに接続されており、このポンプにより例えば0.2MPa程度の水圧が加えられる。そして、灌水用チューブ2の、上記隣り合う散水孔10A・10Bからの飛翔が、中心線LA・LBの交点Cの近傍において衝突するようになっている。
【0088】
上記の灌水用チューブ2が管状になったときには、散水孔10…が長さ方向に沿って所定間隔を置いて複数穿設されている。なお、これら散水孔10…は、図4においては、管状断面の第1象限において灌水用チューブ1の長手方向に所定間隔を置いて一条(一列)に穿設したものとなっているが、必ずしもこれに限らず、断面円の第1象限において灌水用チューブ1の長手方向に所定間隔を置いて複数条(複数列)に穿設したものでも良い。
【0089】
さらに、管状断面の第1象限だけでなく、第2象限にも散水孔10…を一条又は複数条に形成することも可能である。また、散水孔10…の間隔は、植物栽培の植苗の間隔等を考慮して所定間隔に設定するものとなっている。
【0090】
また、本実施の形態の灌水用チューブ2における散水孔10の散水孔10A・10Bは、灌水用チューブ2の製造時において、平面状の原料としてのシート、つまり耳状部23・23をヒートシールしない段階において、鉛直方向ではなく穿孔角度X(図2参照)の角度にて穿設される。この穿孔角度Xについては、20〜80度が適用可能とすることができるが、望ましくは30〜60度が良い。これによって、水の散水距離や散水範囲が変わってくる。
【0091】
この散水孔10A・10Bの穿設は、本実施の形態では、例えばレーザ光の照射にて行われている。ただし、必ずしもこれに限らず、例えばポンチや穿孔用針等により、穿設することも可能である。
【0092】
また、この散水孔10A・10Bでは、図2に示すように、シートの表面からレーザ光が入射され、かつシートの裏面側に貫通されて穿設されると共に、その開孔壁面11A・11Bにはシートの表面からシートの裏面側にかけて徐々に孔径が小さくなる傾斜面12A・12B及び対向面を有している。
【0093】
すなわち、散水孔10は、灌水用チューブ2における平面状態でのチューブに対して、チューブ表面からチューブ裏面に向かって先細りとなる例えば円錐台状開口を斜め方向から穿設することにより、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面12A・12Bが開孔壁面11A・11Bに形成されたものとなっている。
【0094】
詳細には、散水孔10A・10Bは、図示しない凸レンズを通した断面円形のレーザ光が、シートの表面側から穿孔角度Xにて斜めに入射されることによって、シートを貫通する。このため、図2に示すように、シートの表面側においては、裏面側によりも、孔径が大きくなっている。
【0095】
なお、このようにチューブ表面からチューブ裏面に向かって先細りとなる円錐台状開口を斜め方向から穿設できるのは、凸レンズを通すことにも因るが、主としてレーザ光のエネルギーが次第に減衰していくことに因っている。
【0096】
したがって、図2からも明らかなように、鉛直線側の傾斜面12A・12Bは、穿孔角度Xよりも大きい傾斜角度を有する一方、これに対向するテーパー面は、穿孔角度Xよりも小さい傾斜角度を備えている。
【0097】
また、これによって、シートにおける上方から鉛直方向に散水孔10A・10Bを臨んだときには、シートの裏側の裏面散水孔の一部は、傾斜面12A・12Bによって一部マスクつまり遮孔されている。
【0098】
なお、上記の灌水用チューブ2においては、レーザ光を、先細り状態でシートに対して貫通させているが、必ずしもこれに限らず、レーザ光が断面円形の平行線であっても良い。すなわち、灌水用チューブ2における平面状態でのチューブに対して、斜め方向から例えば筒状開口を穿設することにより、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面12A・12Bが開孔壁面11A・12Bに形成された散水孔を形成することも可能である。このように穿孔するためには、例えば、レーザ光のエネルギーを大きくすることにより行うことができる。
【0099】
図4(b)は、図4(a)の灌水用チューブ2の通水時における散水孔の状態を示すA−A’矢視断面図である。同図に示すように、灌水用チューブ2の通水時においては、散水孔10A・10Bのそれぞれから、チューブ長手方向と略平行に飛翔された飛翔水が、散水孔10A・10Bの中心線LAとLBとの交点C付近で、水が衝突する。
【0100】
本実施の形態の灌水用チューブ2の散水孔10を構成する、一群の隣り合う散水孔10A・10Bの数は偶数であることが好ましく、特に2つであることが好ましい。仮に散水孔10を一群の隣り合う奇数個の散水孔により構成したとすると、穿設された全孔の穿孔中心線が1点に完全に集中する必要がある。そうしなければ、隣り合う奇数個の散水孔の飛翔水の流れが1点に集中せずに、衝突のバランスを崩すこととなる。このため、設計された散水形状とは異なったものとなる。
【0101】
また、散水孔10を3つ以上の奇数個の隣り合う散水孔により構成した場合、加えてもう一つの困難な点がある。それは、隣り合う散水孔からの飛翔水流(吐出水流)を1点に集中させるためには、各散水孔の穿孔中心線の交点の集中だけでなく、孔径、孔形状、隣り合う各散水孔に加わる水圧などを同一にする必要があるが、これらの条件を全て満足することは非常に困難である。
【0102】
したがって、本実施の形態の灌水用チューブ2のように、その中心線が交わるように形成されている散水孔10は、2つの散水孔10A・10Bにより構成されているものであることが好ましい。
【0103】
ここで、図4(b)に示すような、X穿孔により形成された散水孔10を例として、上記の孔径、孔形状、各散水孔に加わる水圧などの条件について説明する。散水孔10は、孔径および孔形状が同一である散水孔10A・10Bにより構成されているから、灌水用チューブ2内部に水の流れがないと仮定した場合の静水圧は、散水孔10Aと散水孔10Bとは同一である。
【0104】
しかしながら、チューブ内部の水の流れの上流側から下流側に向かって、チューブの内側から外側へと孔が穿設されている散水孔10Bは、下流側から上流側に向かって、チューブの内側から外側へと孔が穿設されている散水孔10Aに比べて、水の流れの影響により飛翔される水の圧力が大きくなる。すなわち、散水孔10Aと散水孔10Bとは、灌水用チューブ2内部の水の流れと平行に並んでいるから、この結果、散水孔10Aと散水孔10Bは水を飛翔させる際の圧力が異なることとなる。
【0105】
すなわち、灌水用チューブ2の内部の水の流れによって生じる運動エネルギーの影響は、散水孔10Aと散水孔10Bとで異なる。つまり、散水孔10Aからの飛翔水の飛翔方向は、灌水用チューブ2内の水の流れとは逆向きであるから、水の流れによって生じる運動エネルギーの影響はないと考えられる。一方、散水孔10Bからの飛翔水の飛翔方向は、灌水用チューブ2内の水の流れと同じ向きであるから、水の流れによって生じる運動エネルギーが、プラスとしてすなわち水圧を増大させるように働く。
【0106】
ここで、上記水の比重を1、水の速度をV(m/s)、重力加速度をkg(m/s)とすると、上記水の流れによって生じる運動エネルギーはV/2g(kg・m)として表される。
【0107】
したがって、散水孔10A・10Bのそれぞれに働く全水圧は、散水孔10Aよりも散水孔10Bのほうが大きくなる。このことは、散水孔散水孔10A・10Bからの吐出された水を交点C付近の1点で交わらせることの阻害要因となる。
【0108】
一方、本実施の形態の灌水用チューブ2は、対をなす2つの散水孔10A・10Bの穿孔中心線LA・LBが同一平面上に位置しており、最小単位である一対の飛翔水流の交差は確保されている。また、対をなす散水孔10A・10Bは、その孔径、形状が同一であり対称関係にあるから、バランスも良好である。
【0109】
本実施の形態の灌水用チューブ2は偶数個(2個)の散水孔10A・10Bが形成されているものであり、その中心線LA・LBの交点Cは灌水用チューブ2の表面の近傍に位置している。すなわち散水孔10Aの中心線LAと散水孔10Bの中心線LBとは同一平面上に位置しており、灌水用チューブの表面の近傍で交わるものである。このため、上記灌水用チューブ2内部の水の流れにより、散水孔10A・10Bにより飛翔水への水圧が多少異なることは、飛翔水を灌水用チューブ2の近傍で衝突させて、水撃圧を弱めかつ水を広範囲に分散させることに対して、大きな影響を与えるという程ではない。
【0110】
このため、散水孔を偶数個の散水孔により構成した偶数配列のものは、対をなす散水孔の中心線を同一平面上に配置すればよく、奇数個の散水孔により形成した奇数配列のもののように、散水孔を構成する散水孔の全ての穿孔中心線を1点に集中させることは必ずしも必要ではない。
【0111】
また、散水孔10近傍の飛翔水流(吐出水流)について説明する図1に示されているように、穿孔中心線の交点Cと、同図中に破線の矢印で示されている飛翔水流の衝突点とは必ずしも一致しない。これは、灌水用チューブ2のように、あまり厚くないシート(厚さが0.2mm〜1.0mm程度であるシート)に、斜め穿孔して散水孔10を形成する場合、飛翔水流の方向を穿孔中心線と完全に一致させるに足る穿孔長(傾斜面12A・12Bの長さ)を十分に確保することができないからである。
【0112】
このように、上述したシート等のような平板状のものに単純に斜め穿孔したのみでは、シートや板の厚さが相当(数mm以上)でない場合、飛翔水流の方向を正確に制御することが困難であると考えられる。したがって、散水体を農業用の灌水用チューブ用の用途に用いる場合、穿孔精度、製造の困難さ、および必要とされるシートや板の厚さを考慮すると、隣り合う散水孔を奇数配列とするよりも偶数配列とするほうが好ましい。
【0113】
図5(a)・(b)は、散水孔10A・10Bを、チューブ断面方向に対して平行となるように並べて配置したものについて示すものである。図5(a)に示すように、散水孔10A・10Bを配置したものをまとめて、散水孔20と記すこととする。なお、図5(a)に示す灌水用チューブ3は、散水孔10の代わりに散水孔20が形成されている以外は、上記説明した灌水用チューブ2と同じであるから、共通する事項については説明を省略することとする。
【0114】
図5(b)は、図5(a)の灌水用チューブ3の通水時における散水孔20の状態を示すB−B’矢視断面図である。同図に示すように、灌水用チューブ3の通水時においては、散水孔10A・10Bのそれぞれから、チューブ長手方向と略平行に飛翔されて、散水孔10A・10Bの中心線LAとLBとの交点C付近で、飛翔水が衝突する。
【0115】
なお、同図に示すように、散水孔10A・10Bをチューブの断面方向に対して平行に配置した場合には、散水孔10A・10Bの向きが、いずれも、灌水用チューブ3の内部の水の流れの方向に対してほぼ垂直となる。したがって、散水孔10A・10Bのそれぞれから飛翔される水の圧力が、灌水用チューブ3内部の水の流れにより影響されることがない。
【0116】
なお、上記説明においては、散水孔10Aと散水孔10Bとの配置について、チューブの長手方向に対して平行とした灌水用チューブ2と、チューブの断面方向に対して平行(チューブの長手方向に対して垂直)とした灌水用チューブ3とについて説明した。しかしながら、隣り合う散水孔としての散水孔10Aと散水孔10Bとの配置については、これらに限られるものではなく、灌水用チューブ2と灌水用チューブ3との中間の配置、すなわち、チューブの長手方向に対して斜めに位置する配置とすることもできる。
【0117】
続いて、図6〜図11に基づいて、本発明の散水体の実施の一形態である灌水用チューブと従来の灌水用チューブとを比較する。図6は、本実施の形態の灌水用チューブおよび従来の灌水用チューブの構成の概略を示す断面図であり、(a)、(b)、(c)の順に、上記散水孔20が形成されている灌水用チューブ3、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成されている散水孔30を有する従来の灌水用チューブ4、その中心線が、水圧による水の半径方向への飛翔方向と略一致する散水孔50を有する従来の灌水用チューブ5を示している。
【0118】
図7は、図6(b)に示す従来の灌水用チューブ4の散水孔30の近傍の飛翔水の分散状態を示す斜視図である。同図に示すように、散水孔30の近傍においては、長さ約数cmの偏平水流域を経て霧状に分散するようになる。
【0119】
図8は、図6(a)に示す本実施の形態の灌水用チューブ3の散水孔20の近傍の飛翔水の分散状態を示す斜視図である。上記説明したように、散水孔20は、その中心線LA・LBが灌水用チューブ3の散水側表面の極近傍の交点Cにおいて交じり合うように形成されている、隣り合う2つの散水孔10A・10Bにより構成されているものである。これにより、同図に示すように、散水孔20からの2つの飛翔水は、灌水用チューブ3の散水側表面の極近傍の交点C付近において激しく衝突することとなる。したがって、飛翔水は、長さ約数cmの偏平水流域を経ることなく、灌水用チューブ3の極近傍から直ちに霧状に分散し霧状微細水滴となる。
【0120】
これにより、図8に示したように、灌水用チューブ3は、その極近傍における分散水流域を極めて広くすることができるから、図7に示した従来の灌水用チューブ4よりも、特に灌水用チューブの近傍において広範囲の領域に散水することができる。
【0121】
図9(a)〜(c)は、図6(a)〜(c)に示した各灌水用チューブの散水パターンを示す図である。図9(a)に示すように、本実施の形態の灌水用チューブ3は、X穿孔により形成されている散水孔20を有するものである。このため、分散始点が灌水チューブ3の極近部に位置し、吐出された直後から飛翔水の分散が始まる。また、飛翔水の吐出直後に衝突して、飛翔水流の運動エネルギーの大部分が飛翔水の分散に用いられるから、水撃圧の非常に小さい霧状微細水滴として、散水チューブの極近傍に広い散水幅で散布することができる。
【0122】
さらに、散水高さおよび散水距離を非常に小さくすることができるから、制限された空間内において、均一な散水をするために非常に適している。散水孔20からの散水高さおよび散水距離を、いずれも、散水孔50の1/3以下に抑えることができる。したがって、灌水用チューブ3を使用することによって、散水高さを大幅に低く設定することができ、例えば、散水高さを約60cm、散水距離を約80cm程度に抑えることが可能となる。
【0123】
一方、図9(b)に示す、斜め穿孔により散水孔を形成した散水孔30を有する灌水用チューブ4は、散水孔30において、水圧による水の半径方向への飛翔方向が変化することにより、飛翔水の分散を促進するものである。
【0124】
しかしながら、散水孔30から吐出された飛翔水は、散水孔20から吐出された飛翔水とは異なり複数の飛翔水流の衝突により分散されるものではない。このため、同図に示すように、灌水用チューブから分散始点までの距離が、X穿孔された散水孔20を備える灌水用チューブ3よりも遠くなるから、灌水用チューブ4の極近傍に散水することは困難である。また、散水距離、散水高さのいずれも、灌水用チューブ3よりも大きくなる。なお、灌水用チューブ4の散水水滴は、本実施の形態の灌水用チューブ3による散水水滴に比べて粗いものであり、また飛翔水の水撃圧も大きいものとなる。
【0125】
図9(c)は、垂直直穿孔された散水孔50を有する、従来の灌水用チューブ5を示している。従来の灌水用チューブ5における垂直穿孔された散水孔50の散水パターンは、同図に示すように、散水孔50から噴射された後、しばらくは、棒状の散水流が維持されるが、空気抵抗により徐々に微細な液滴が分離し始め、ある時点から急激に液滴の分散が開始される。
【0126】
このように、灌水用チューブ5から、垂直穿孔された散水孔50から吐出された飛翔水流の分散始点までの距離は、図9(a)の灌水用チューブ3と比較して非常に長くなる。したがって、灌水用チューブ5の近傍に散水することは非常に困難である。また、灌水用チューブ5の散水水滴は、本実施の形態の灌水用チューブ3による散水水滴に比べて非常に粗いものであり、飛翔水の水撃圧も非常に大きいものである。
【0127】
また、図10(b)・(c)に示すように、植物等への散水量として必要とされる量の一応の目安となる5(mm/hr)以上の灌水強度が見られるのは、従来形式の散水孔30による散水においては灌水用チューブ4の位置から約0.6m〜約1.8mの範囲であり、従来形式の散水孔50による散水においては灌水用チューブ5の位置から約1.8m〜約3.2mの範囲である。このように、従来の灌水チューブでは、特にその近傍において十分な量の散水を行うことは不可能である。
【0128】
これに対し、本実施の形態の灌水用チューブ3の散水分布を示す図10(a)では、灌水用チューブ3の位置から0m〜約0.8mの範囲に5(mm/hr)以上の灌水強度が見られる。このように、本実施の形態の灌水用チューブ3を用いることにより、特に従来困難であった、散水チューブの近傍への均一な散水を行うことが可能となる。
【0129】
なお、この灌水強度(mm/hr)は、1時間当たりにどのぐらいの量の水が散水されるかについて高さで示したものであり、いわゆる雨量と同じ算出方法をとっており、単位も同じである。
【0130】
また、灌水用チューブ3・4・5における散水分布を平面的に示すとそれぞれ図11(a)・(b)・(c)のように示される。なお、これらの散水は、散水孔20・30・50についていずれも同一散水仰角及び同一散水孔径で散水させたものであり、詳細には、散水仰角は35度であり、散水孔径は0.3mmΦである。また、給水圧力は共に0.2MPaである。なお、ここで上記の散水孔径0.3mmΦとは、図2に示すように、反穿孔方向から見た散水孔10A・10Bの穿孔外周円、すなわちシートの散水側とは反対側の穿孔方向の穿孔外周円、すなわちその大きさが小さい方の穿孔外周円の直径Rのことをいう。なお、上記の例では、給水圧力は約0.2MPaとしているが、給水圧力は、散水孔の内径、数などに応じて適宜設定することができる。
【0131】
図11(a)〜(c)に示されている散水分布により、散水孔20は散水孔30・50よりも近距離領域への散水が可能であり、また、それぞれに散水可能な領域は異なることが分かる。このように、散水孔20は、従来の散水孔30・50によっては均一に散水できなかった、灌水用チューブから約0.5m以内の近距離領域へ散水することができる。また、本実施の形態の散水孔20と、従来の散水孔30・50を組み合わせることにより、任意の広い範囲に均一な散水を行うことが可能となる。
【0132】
以上のように、本実施の形態の灌水用チューブは少数の散水孔でも、散水分布が均一となるので、従来のように、均一な散水分布を得るために多数の散水孔を穿設するという必要がなくなる。これにより、多数の散水孔を穿設した場合に問題となる、ポンプに接続されている側に形成されている散水孔と、ポンプが接続されていない側に形成されている散水孔との水圧が不均一となることを防止できる。
【0133】
すなわち、本実施の形態の灌水用チューブは、従来のものに比べて少ない数の散水孔により、灌水用チューブの近傍に均一に散水することができる。このため、上記水圧の不均一が生じることを防止して、灌水用チューブの長さを長くすること、すなわち、灌水用チューブの長尺性を向上させることができる。
【0134】
また、散水水滴の小粒子化により飛翔慣性エネルギーが減少されるので、つまり霧状の微粒子水滴による散水によって微粒子水滴の落下速度が小さくなるので、作物に優しいマイルドな灌水を行うことができる。また、飛翔慣性エネルギーが減少されるので、散水距離及び散水高さが小さくなる。
【0135】
(灌水用チューブの製造方法)
本実施の形態の複数の散水孔を有する灌水用チューブは、灌水用チューブにおける平面状態でのチューブに対して、斜め方向から散水孔を穿設することにより、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように隣り合う散水孔を形成することにより、すなわちX穿孔により製造することができる。
【0136】
例えば、本実施の形態の灌水用チューブ2・3の製造方法では、灌水用チューブ2・3に散水孔10・20を形成するに際して、灌水用チューブ2・3における平面状態でのチューブに対して、チューブ表面からチューブ裏面に向かって先細りとなる円錐台状開口を斜め方向から穿設する。なお、散水孔10・20の形状は必ずしもこれに限らず、例えば多角錐台状であっても良い。
【0137】
これによって、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように、隣り合う散水孔10A・10Bを容易に形成することができる。
【0138】
この結果、確実に、より広い領域への均一な散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ2・3近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔10・20を有する灌水用チューブ2・3の製造方法を提供することができる。
【0139】
ここで、本実施の形態の灌水用チューブ2・3の製造方法では、灌水用チューブ2・3に散水孔を形成するに際して、灌水用チューブ2・3における平面状態でのチューブに対して、斜め方向から筒状開口を穿設することも可能である。なお、筒状開口としては、円筒状が一般的であるが、必ずしもこれに限らず、例えば多角筒状であっても良い。
【0140】
これによっても、隣り合う散水孔10A・10Bからの飛翔水流の衝突により、より広い領域への均一な散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ2・3近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔10・20を有する灌水用チューブ2・3の製造方法を提供することができる。
【0141】
また、本実施の形態の灌水用チューブ2・3の製造方法では、散水孔10・20を形成する際には、レーザ光を照射して穿設する。これにより、精度良く、確実に、かつ容易に所望の傾斜面12を形成することができる。
【0142】
また、上記実施の形態では、灌水用チューブ2・3は、薄肉のポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂フィルムからなるシートを2枚重ね合わせ、重ね合わされた互いの幅方向の周縁部をヒートシールしたものからなっている。
【0143】
しかし、必ずしもこれに限らず、例えば、厚肉のパイプ又はホースからなる灌水用チューブとすることが可能である。この灌水用チューブは、例えば、厚さ0.2mm〜4.0mmのパイプ又はホースからなっており、材質としては例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、天然ゴム、合成ゴム、又はエラストマー等を挙げることができる。これら材料は、適宜単独で又は組み合わせて選択される。なお、必要に応じてこれら材料には、紫外線防止剤、抗酸化剤、着色剤、その他の添加剤を含有させることができる。これによっても、上記灌水用チューブ2・3と同様の散水状況を得ることができるものとなる。
【0144】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図12〜図16に基づいて以下に説明すれば以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0145】
まず、灌水用チューブに形成されている散水孔の位置について説明する。図12は、通水時において灌水用チューブをチューブ断面方向に切断した断面図である。同図に示すように、灌水用チューブの中心Oを原点とするX軸およびY軸のうち、第1象限のX軸を起点として散水孔20を構成する2つの隣り合う散水孔の中心軸の交点Cまでの角度を半時計回りにカウントした角度を散水孔20の位置を特定する角度として定義する。また、この角度は、上記原点Oと上記交点Cとを通る直線とX軸とのなす角度を、第1象限のX軸を起点としてカウントしたものと言い換えることもできる。なお、上記交点Cを有さない、一つの孔よりなる散水孔の場合は、交点Cではなく散水孔の散水側の中心までの角度によって散水孔の位置を特定する。
【0146】
図13は、X穿孔された散水孔と、斜め穿孔された散水孔とを組み合わせて配してなる本実施の形態の灌水用チューブを示す図であり、(a)は斜視図を示し、(b)はC−C’線矢視断面図を示している。同図に示すように、本実施の形態の灌水用チューブ6は、前記実施の形態で述べた散水孔20と散水孔30とを組み合わせてなるものである。
【0147】
なお、本実施の形態の実験においては、散水孔20と散水孔30とを組み合わせた灌水用チューブ6として、図13(a)・(b)に示すように、散水孔20をチューブ上の略20度の位置および略160度の位置にそれぞれ一直線上に配置し、散水孔30を略35度の位置および略145度の位置にそれぞれ一直線上に配置したものを使用した。
【0148】
また、図13(a)および表1に示すように、散水孔20、散水孔30のいずれも孔径0.3mmΦとし、1つの散水孔20に対して散水孔30を2つ配することとした。なお、給水圧力は約0.2MPaとした。
【0149】
【表1】
Figure 2004147564
【0150】
このように組み合わせた灌水用チューブ6における散水孔20・30から飛翔された水の散水分布は、それぞれ図14(a)・(b)に示すようになった。
【0151】
また、灌水用チューブ6の全体から散水された飛翔水の分布を図14(c)に示す。同図に示すように、灌水用チューブ6の近傍位置から遠くの位置まで比較的均一に散水強度確保することができた。
【0152】
図15は、灌水用チューブ6の各散水孔の散水分布を示す平面状態の分布図である。散水孔20による個別の散水分布を示す図15(a)と、散水孔30による個別の散水分布を示す図15(b)との斜線領域を足し合わせた領域が、灌水用チューブ6により散水される領域である。このことから、灌水用チューブ6は特にその近傍の広い領域に散水することが可能なものであることが分かる。
【0153】
また、上記灌水用チューブ6におけるビニールハウス100内での散水状況は、図16に示すようになり、散水孔20が灌水用チューブ6の近傍位置、散水孔30が灌水用チューブ6からやや遠方位置を担うことができる。
【0154】
ここで、散水孔20は水滴の微細化と水撃圧の低下により、飛翔水の飛翔距離を極度に抑制するから、灌水用チューブ6の近傍位置へ非常に低い散水高さで散水することができる。このため、図16に示すように、例えば高さ約60cm程度のトンネル被覆を行った場合であっても、飛翔水がトンネル被覆を行うシート部材等に接触することなく、灌水用チューブ6の近傍位置に散水することが可能である。
【0155】
このように、本実施の形態の灌水用チューブ6は、散水高さに関する制限が極めて厳しい条件下においても、従来の散水孔では散水することが非常に困難な近傍に容易に灌水を行うことができる。さらに、灌水用チューブ6は、作物への病害虫防除や、土壌消毒などを目的とした制限空間内での薬剤散布にも好適に用いることが可能である。
【0156】
なお、散水孔の組み合わせは上記の組み合わせに限らず、散水孔10・20・と、散水孔30・50(図4〜図6参照)およびその他従来方式の散水孔との組み合わせであっても良い。
【0157】
以上のように、灌水用チューブ6の近傍位置への散水は、傾斜面11が形成された散水孔20にて行い、灌水用チューブ6から離れた位置への散水は、散水30にて行うことによって、灌水用チューブ6の近傍から遠方までの幅広い領域に均一に散水することができる。
【0158】
したがって、確実に、より広い領域への均一な散水を可能とし、かつ低い散水高さで灌水用チューブ6近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔20を有する灌水用チューブ6を提供することができる。
【0159】
また、従来の散水孔30・50のみによって、灌水用チューブの近傍の領域に、ある程度の散水領域を確保しようとすると、灌水用チューブに孔径の異なる多数の散水孔30・50…を穿設する必要があるが、本実施の形態の灌水用チューブ6ように、散水孔20との組み合わせにおいては、従来に比べて少ない個数の散水孔20を穿設するだけでよい。これにより、灌水用チューブ6を長くした場合における、その内部の水圧の均一性が向上するから。その長尺性を向上させることができる。
【0160】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図17および図18に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施の形態においては、上記実施の形態において説明した灌水用チューブ2を用いてビニールハウスを細霧冷房する方法について説明する。
【0161】
(試験方法)
本実施の形態の灌水用チューブを用いた細霧冷房試験は以下のようにして行った。
【0162】
(灌水用チューブ)
散水孔径:0.3mmφ
散水孔の位置:略10度および略170度(孔の位置の特定方法については、実施の形態3参照)
(試験ビニールハウス)
7.2m間口パイプハウス
栽培作物:きゅうり
栽培畝数:4畝
(灌水用チューブ設置方法)
地上2mの高さに2本設置
(散水処理の方法)
1時間ごとに1分間散水(11時、12時、13時に散水)
給水圧力:0.2MPa
図17は本実施の形態において用いられる、内側に水を通した状態の灌水用チューブ2の構成の概略を示しており、(a)は斜視図であり、(b)は(a)のD−D’線矢視断面図である。
【0163】
実験においては、散水孔10が形成された灌水用チューブ2として、図17(a)・(b)に示すように、散水孔10をチューブ上の略10度の位置および略170度の位置にそれぞれ一直線上に配置したものを使用した。
【0164】
本実施の形態の灌水用チューブ2には、図17(a)に示すように、散水孔10が2列形成されており、各条の散水孔10はいずれも略等間隔に形成されている。また、同図に示されているように、2列のうちの一方の散水孔10から、他方の列の散水孔10を結ぶ線分に垂線を下ろした場合に、線分の略中心で交わる位置に散水孔10が形成されている。すなわち、本実施の形態で用いられる灌水用チューブ2は、図17(b)に示すように、断面図の第1象限と第2象限とに交互に散水孔10が形成されてなるものである。
【0165】
図18は本発明の灌水用チューブを用いて、ビニールハウスの細霧冷房を行う方法を説明する概略図である。同図に示すように、上方に配置されている灌水用チューブ2の散水孔10からの散水される飛翔水の霧状微細水滴が、栽培作物である作物体110に噴霧・散水される。これにより、飛翔水の気化熱によりビニールハウス100内の温度を低下させることができる。
【0166】
上記の細霧冷房試験により、灌水用チューブ2を用いた噴霧散水がビニールハウス100内の室温および湿度に与える影響に関して得られた結果を表2に示す。
【0167】
【表2】
Figure 2004147564
【0168】
表2に示すように、灌水用チューブ2により1時間毎に1分間の間断散水をすることにより、ビニールハウス100内の温度は、散水の約8分後に4℃〜5℃程度下がった。そして、この冷房効果は散水後約15分間持続し、約30分経過後には散水前の温度に戻った。なお、ビニールハウス100内の相対湿度は、散水による温度低下とともに散水前に比べて10%〜15%高くなったが、この程度の相対湿度の増加であれば、特に目立ったものではないといえる。
【0169】
なお、本実施の形態では、ビニールハウス100内の4本の畝に対し、2本の灌水用チューブ2を配置して1時間ごとに散水することにより細霧冷房を行ったが、灌水用チューブの数および散水間隔はこれに限られず、必要とされる冷却効果に応じて設定することができる。
【0170】
以上のように、灌水用チューブの散水孔より散水される飛翔水が、X穿孔の効果により微細化されて霧状微細水滴となることにより気化が促進され、この気化熱によりビニールハウスの室内温度を約5℃低下させることができる。
【0171】
ここで、ビニールハウス内の細霧冷房には、従来、霧を発生させるための動力噴霧器と、その霧を噴出するノズルと、ハウス内においてノズルを移動させるための手段とを備える高価な装置が用いられてきた。しかしながら、この装置は非常に高価であるという問題があった。
【0172】
これに対し、本実施の形態のX穿孔された散水孔を備えてなる灌水用チューブを用いて細霧冷房を行うことにより、非常に安価(上記従来の装置の約1/10以下)に細霧冷房を実現することができる。
【0173】
また、本実施の形態の灌水用チューブはビニールハウスの細霧冷房のみに限られず、畜舎の細霧冷房、消毒、洗浄などにも利用することが可能である。
【0174】
〔実施の形態5〕
本発明のさらに他の実施の形態について、図19および図20に基づいて説明すれば以下の通りである。本実施の形態においては、前記の実施の形態において説明した灌水用チューブ3を用いて、作物体110の下方(作物体110栽培培地側)に敷設して、栽培培地120に局所灌水する方法について説明する。なお、灌水用チューブ3の代わりに灌水用チューブ2を用いても良い。また、説明の便宜上、前記の実施の形態の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略することする。
【0175】
図19は、本発明の灌水チューブ3により局所灌水する、本実施の形態の方法を説明する図であり、(a)は栽培培地120に灌水用チューブ3が敷設された状態の正面図を示し、(b)は栽培培地120に灌水用チューブ3が敷設された状態の側面図を示している。なお、図19(a)に示すように、栽培培地120の1畝に作物体110が2列栽培される場合をについて説明する。
【0176】
灌水用チューブ2は、図19(a)に示すように、2列の作物体110の略中央に栽培培地120表面に接するように敷設されており、その状態で両側の作物体110に飛翔水を散布するために、2列の散水孔20が、同図(b)に示すように略等間隔に形成されている。散水孔20の各列は、同図に示すように、飛翔水の飛翔方向が水平方向よりも下方になるように、耳状部23よりも下側に形成されていることが好ましい。これにより、散水高さを極めて低く抑制することができるから、例えば、花のように飛翔水がかからないことが好ましいものの栽培などに特に好適に用いることができる。
【0177】
ここで、散水孔20の各列が耳状部23よりも下側に形成されているとは、図12を用いて説明した散水孔20の位置の定義に従えば、180度以上270度未満の範囲の位置、および/または、270度以上360度未満の範囲の位置とに、直線状に散水孔20が形成されていると表すことができる。
【0178】
つづいて、図20(a)・(b)を用いて、点滴孔210からの点滴水により灌水を行う灌水チューブ200を用いた、従来の局所灌水の方法について説明する。図20(a)は、灌水チューブ200を作物体110の列の略中央に、栽培培地120に接するように敷設した状態を示している。同図に示すように、点滴水による灌水では、点滴孔210から水を吐出する際に、その直下のみに点滴水を滴下することにより、局所灌水を行うものである。
【0179】
したがって、従来の点滴水による灌水では、点滴水が浸透する範囲は、栽培培地中で点滴水が横浸透する範囲に限られるから、図20(a)のように、作物体110の中央にのみ敷設したのみでは、十分な範囲に灌水することができない。このため、少なくとも、作物体110の各列のそれぞれに灌水チューブ200を敷設する必要がある。
【0180】
また、特に作物体が栽培培地中の広い範囲に根を張るよりも前の栽培初期においては、栽培培地中の広範囲に水が浸透しないと、水の浸透していない範囲に位置している作物体に対して人手により灌水する必要が生じ、これは非常に面倒である。
【0181】
さらに、点滴水による灌水では、栽培培地の同じ領域に繰り返して点滴水が滴下されるため、その滴下される位置に窪みが生じて特定の水の通り道が形成される。この結果、栽培培地中の水の浸透がさらに不均一になるという問題がある。このため、従来の点滴水による滴下によっては、栽培培地の広い範囲に均一に散水することが非常に困難であった。
【0182】
これに対して、図19(a)・(b)に示している、本実施の形態の灌水方法は、前記実施の形態において図8〜図11を用いて説明した、その近傍において均一に散水することができる散水孔20を有する灌水用チューブ2を用いる方法である。
【0183】
このため、同図(a)に示すように、作物体110の列の中心に1つの灌水用チューブ2を敷設することにより、両方の作物体110に対して、十分な散水を均一に行うことができる。また、同図(b)に示すように、各列の作物体110のそれぞれに対しても十分な散水を均一に行うことができる。したがって、広い範囲に根を張る前の栽培初期の作物体110への灌水方法として用た場合であっても、手作業による灌水は不要である。
【0184】
さらに、散水孔20からの飛翔水(噴霧水)は、散水孔20の極近傍で衝突し霧状微細水滴となるから、点滴水に比べて栽培培地120に対する水撃圧が非常に弱くなる。したがって、散水が繰り返し行われることによって、栽培培地120の特定の領域に窪みが形成されて水の通り道が生じ、培地に対する飛翔水の浸透に不均一が生じるという点滴水による灌水方法の問題を解消することができる。
【0185】
以上のように、本実施の形態の灌水用チューブを用いた局所灌水方法は、低い散水高さで灌水チューブの近傍の広い領域に均一に散水することが可能である。このため、例えば、労働力の削減を目的として、近年盛んに行われている、例えば、30cm程度の幅において作物体を栽培する方法のような、非常に狭い範囲での作物体の栽培に非常に好適に用いることができる。
【0186】
また、空気中に浮遊する微細水滴を嫌う作物体や、散水幅が限定された作物体に対しては、飛翔水流の方向を水平面よりも下向きにして灌水する方法を、従来の散水孔や点滴孔を用いて行った場合、水撃圧によって培地が穿掘されるという問題があるが、本実施の形態のようにX穿孔された散水孔を用いることにより、培地は殆ど穿掘されなくなるため、上記問題を解消することができる。
【0187】
なお、本発明は、上記の各々の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0188】
【発明の効果】
以上のように、本発明の散水体は、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように形成されている、隣り合う散水孔を有するものである。
【0189】
それゆえ、飛翔水の水滴を微粒化して霧状微細水滴とし、散水高さを高くすることなく、散水体の近傍位置において、より広い領域への均一な散水を可能とする散水体を提供することができるという効果を奏する。
【0190】
本発明の灌水用チューブは、水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように形成されている、隣り合う散水孔を有するものである。
【0191】
それゆえ、飛翔水の水滴を微粒化して霧状微細水滴とし、散水高さを高くすることなく、散水体の近傍位置において、より広い領域への均一な散水を可能とする散水チューブを提供することができるという効果を奏する。
【0192】
本発明の灌水用チューブは、0.2MPaの水圧で水を飛翔させた場合に、水圧により灌水用チューブから水を飛翔させる側において、飛翔された水が衝突するように形成されている、隣り合う散水孔を有するものである。
【0193】
これにより、施設栽培での灌水作業に用いられている程度の水圧を用いることにより、散水体の近傍位置において、広い領域への均一な散水を、低い散水高さで可能とする散水体を提供できるという効果を奏する。
【0194】
上記隣り合う散水孔は、いずれも、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成されているものであることが好ましい。
【0195】
これにより、散水体の近傍位置において、より広い領域への均一な散水を、より低い散水高さで可能とする散水体を提供することができるという効果を奏する。
【0196】
上記隣り合う散水孔は、平面状態でのチューブ断面におけるチューブの厚さをLとし、散水側とは反対側のチューブの面から上記隣り合う散水孔の中心線の交点までの高さをHとすると、0.5×L<H<L+50mm…(1)
の関係を満たしているものであることが好ましい。
【0197】
これにより、散水体の近傍位置において、広い領域への均一な散水をより確実に行うことができる。
【0198】
本発明の灌水用チューブは、上記隣り合う散水孔と、他の散水孔と、を組み合わせて有するものであってもよい。
【0199】
これにより、従来に比べて少ない個数の散水孔を穿設することにより、広い散水領域を確保することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の散水体について、散水体における散水孔から飛翔された水が衝突することによって、水圧による水滴の微細化を促進し、かつ飛翔水流の水撃圧を弱める原理を示す断面図である。
【図2】図1の散水体において、隣り合う散水孔の中心線が交わる位置、および種々の方向から見た散水孔の形状を説明する断面図である。
【図3】平面状態におけるチューブに、その中心線が散水側で交わるように、散水孔10A・10Bが形成された、本発明の実施の形態2の灌水用チューブの構成の概略を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2の灌水用チューブの構成の概略を示すものであり、(a)は、灌水用チューブの長手方向に対して平行となるように、隣り合う散水孔が形成されている灌水用チューブの、通水時における概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)の灌水用チューブの通水時における散水孔の状態を示すA−A’線矢視断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2の灌水用チューブの構成の概略を示すものであり、(a)は、灌水用チューブのチューブ断面方向に対して平行となるように、隣り合う散水孔が形成されている灌水用チューブの、通水時における概略構成を示す斜視図であり、(b)は、(a)の灌水用チューブに通水時における散水孔の状態を示すB−B’線矢視断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2の灌水用チューブ、および従来の灌水用チューブの構成の概略を示す断面図であり、(a)はX穿孔された散水孔を有する本発明の実施の一形態である灌水用チューブを示すもの、(b)は斜め穿孔された散水孔を有する従来の灌水用チューブを示すもの、(c)は垂直穿孔された散水孔を有する従来の灌水用チューブを示すものである。
【図7】図6(b)に示す従来の灌水用チューブの散水孔近傍における飛翔水の分散状態を示す斜視図である。
【図8】図6(a)に示す本発明の実施形態2の灌水用チューブの散水孔近傍における飛翔水の分散状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態2の灌水用チューブ、および従来の灌水用チューブの散水パターンの相違を示す図であり、(a)は、図6(a)のX穿孔された散水孔の灌水強度と散水距離との関係を示すもの、(b)は図6(b)の斜め穿孔された散水孔の灌水強度と散水距離との関係を示すもの、(c)は図6(c)の垂直穿孔された散水孔の灌水強度と散水距離との関係を示すものである。
【図10】本発明の実施の形態2の灌水用チューブ、および従来の灌水用チューブの散水分布の相違を示すグラフであり、(a)は図6(a)のX穿孔された散水孔の灌水強度と散水距離との関係を示すもの、(b)は図6(b)の斜め穿孔された散水孔の灌水強度と散水距離との関係を示すもの、(c)は図6(c)の垂直穿孔された散水孔の灌水強度と散水距離との関係を示すものである。
【図11】本発明の実施の形態2の灌水用チューブ、および従来の灌水用チューブの散水分布の相違を示す平面状態の分布図であり、(a)は、図6(a)のX穿孔された散水孔の飛翔水の散水領域を示すもの、(b)は図6(b)の斜め穿孔された散水孔の散水領域を示すもの、(c)は図6(c)の垂直穿孔された散水孔の飛翔水の散水領域を示すものである。
【図12】散水孔の位置を説明するための、灌水用チューブの断面図である。
【図13】X穿孔された散水孔と、斜め穿孔された散水孔とを組み合わせて配してなる、実施の形態3の灌水用チューブを示す図であり、(a)は斜視図を示すもの、(b)はC−C’線矢視断面図を示すものである。
【図14】図13に示す灌水用チューブの散水分布を示すグラフであり、(a)はX穿孔された散水孔による個別の散水分布を示すもの、(b)は斜め穿孔された散水孔による個別の散水分布を示すもの、(c)は各散水孔による個別の散水分布を合成した灌水用チューブとしての散水分布を示すものである。
【図15】図13に示す灌水用チューブの各散水孔の散水分布を示す平面状態の分布図であり、(a)はX穿孔された散水孔による個別の散水分布を示すもの、(b)は斜め穿孔された散水孔による個別の散水分布を示すものである。
【図16】図13に示す灌水用チューブのビニールハウス内での散水状態を説明する概略図である。
【図17】実施の形態4において用いられる、内側に水を通した状態の灌水用チューブの構成の概略を示しており、(a)は斜視図であり、(b)は(a)のD−D’線矢視断面図である。
【図18】本発明の灌水用チューブを用いて、ビニールハウスの細霧冷房を行う方法を説明する概略図である。
【図19】本発明の灌水チューブにより局所灌水する実施の形態4の方法を説明する図であり、(a)は栽培培地に灌水用チューブが敷設された状態の正面図を示し、(b)は栽培培地に灌水用チューブが敷設された状態の側面図を示している。
【図20】点滴水により局所灌水する従来の方法を説明する図であり、(a)は栽培培地に灌水用チューブが敷設された状態の正面図を示し、(b)は栽培培地に灌水用チューブが敷設された状態の側面図を示している。
【図21】従来の灌水用チューブにおけるビニールハウスでの散水状態を示す概略図である。
【図22】垂直穿孔された従来の散水孔におけるビニールハウスでの散水状態を示す概略図であり、(a)は灌水用チューブ近傍に灌水を十分に行うためには、散水がビニールハウスの天井に接触する状態を示すもの、(b)はビニールハウスの天井に接触しないように散水したときには未散水領域が生じる状態を示すものである。
【図23】寒冷紗が設けられたビニールハウス内で散水する状態を示す概略図である。
【図24】垂直穿孔された従来の散水孔を有する灌水用チューブをビニールハウスの壁面に取り付けて散水する状態を示す概略図である。
【図25】灌水用チューブにおける散水孔の傾斜面によって、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる、従来の灌水用チューブの断面図である。
【符号の説明】
1 散水体
2、3、4、5、6 灌水用チューブ
10、20 散水孔
10A、10B 散水孔(隣り合う散水孔)
11A、11B 開孔壁面
12A、12B 傾斜面
C 交点(中心線が交わる点)
LA、LB 中心線
L シート厚
H 散水チューブから散水孔の中心線の交点までの高さ

Claims (9)

  1. 複数の散水孔を備えてなる散水体であって、
    水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように形成されている、隣り合う散水孔を有することを特徴とする散水体。
  2. 複数の散水孔を有する散水体の製造方法であって、
    水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように、隣り合う散水孔を穿設することを特徴とする散水体の製造方法。
  3. 複数の散水孔を有する灌水用チューブであって、
    水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように形成されている、隣り合う散水孔を有することを特徴とする灌水用チューブ。
  4. 複数の散水孔を有する灌水用チューブであって、
    0.2MPaの水圧で水を飛翔させた場合に、水圧により灌水用チューブから水を飛翔させる側において、飛翔された水が衝突するように形成されている、隣り合う散水孔を有することを特徴とする灌水用チューブ。
  5. 上記隣り合う散水孔は、いずれも、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成されていることを特徴とする請求項3または4に記載の灌水用チューブ。
  6. 上記隣り合う散水孔は、平面状態でのチューブ断面におけるチューブの厚さをLとし、散水側とは反対側のチューブの面から上記隣り合う散水孔の中心線の交点までの高さをHとすると、
    0.5×L<H<L+50mm …(1)
    の関係を満たしていることを特徴とする請求項3、4または5に記載の灌水用チューブ。
  7. 複数の散水孔を有する灌水用チューブの製造方法であって、
    灌水用チューブにおける平面状態でのチューブに対して、斜め方向から散水孔を穿設することにより、
    水圧により水を飛翔させる側において、その中心線が交わるように隣り合う散水孔を形成することを特徴とする灌水用チューブの製造方法。
  8. 上記散水孔はレーザ光を照射することにより穿設されることを特徴とする請求項7に記載の灌水用チューブの製造方法。
  9. 請求項3乃至6のいずれか1項に記載の灌水用チューブを用いて行うことを特徴とする細霧冷房方法。
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