JPH0837953A

JPH0837953A - 液体散布装置の散液頭部

Info

Publication number: JPH0837953A
Application number: JP17907994A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Ota; 宏太田; Toshiharu Matsumura; 俊治松村
Original assignee: Sumitomo Chemical Co Ltd
Current assignee: Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date: 1994-07-29
Filing date: 1994-07-29
Publication date: 1996-02-13

Abstract

(57)【要約】【構成】散水頭部１は、半球部１ａが上に凸な略半球
状に形成されると共に、複数の孔２…を有している。上
記孔２…は、半球部１ａの表面をその頂部３側から見た
平面図において、該頂部３を通る第一仮想直線８と略直
交し、かつ、互いに略平行な２本の第二仮想直線９・９
によって挟まれる領域５内に穿設されている。また、孔
２…は、その総開口面積が、再分割領域５ｂよりも再分
割領域５ａの方が大きくなるように配される一方、再分
割領域５ｃよりも再分割領域５ｄの方が小さくなるよう
に配されている。斜面に散水する場合には、散水頭部１
を、再分割領域５ａが該斜面の下側（谷側）に向くよう
に設置する。【効果】斜面にほぼ均一に隈無く散水することができ
る。また、斜面の上側においても、水滴を地表に叩きつ
けることなく、穏やかに散水することができる。従っ
て、散水頭部は、斜面に散水する際に好適に利用するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、液体を散布する液体散
布装置の散液頭部に関するものである。さらに詳しく
は、斜面に液体を散布する際に好適に用いられる液体散
布装置の散液頭部に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば、各種野菜や草花等を露地
栽培する畑や蔬菜園、ビニルハウス、果樹園、芝生や草
花等が植えられた公園や庭園等の灌水、或いは道路等の
散水等に用いられる散水装置としてスプリンクラーが知
られている。

【０００３】一般に、スプリンクラーは、散水を所望す
る散水領域の中心部に立設され、回転自在に設けられた
スプリンクラー頭部（以下、ヘッドと称する）に形成さ
れたノズル（孔）から水を噴射すると共に、上記ヘッド
に取り付けられた羽根にノズルから噴射された水を当
て、その衝撃力で該ヘッドを一定方向に回転させながら
同心円状に広範囲に散水するようになっている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の散水装置であるスプリンクラーのヘッドでは、散水
領域がスプリンクラーを中心とした同心円状（ドーナツ
型）になる。従って、例えば散水を所望する散水領域が
水平ではない場合、つまり、斜面に散水する場合には、
斜面の下側（谷側）と上側（山側）とで散水される水滴
の飛距離が異なるため、該斜面に均一に散水することが
できない。また、斜面の上側においては、ヘッドと地表
との距離が近いため、ノズルから噴射される水滴が地表
に叩きつけられることとなる。このため、散水により、
例えば播種した種が流出したり、或いは葉や茎が損傷し
たり、根が露出したりして植物の生育が阻害されるとい
う問題点を有している。さらに、スプリンクラーは、広
範囲に散水可能ではあるが、スプリンクラー近傍に散水
できない。

【０００５】従って、水平ではない散布領域、つまり、
斜面にほぼ均一に隈無く液体を散布することができるヘ
ッド、即ち、液体散布装置の散液頭部が求められてい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明の液
体散布装置の散液頭部は、上記の課題を解決するため
に、液体散布装置の立ち上がり管に設けられた散液頭部
であって、上記散液頭部は、上に凸な略半球状に形成さ
れると共に、液体を散布領域に散布可能な複数の孔を有
しており、上記孔は、略半球面をその頂部側から見た平
面図において、該頂部を通る仮想直線によって２分割さ
れる該半球面のうち、一方の分割領域においては上記頂
部から離れるに従いその分布が密となるように穿設さ
れ、他方の分割領域においては上記頂部から離れるに従
いその分布が疎となるように穿設されていることを特徴
としている。

【０００７】請求項２記載の発明の液体散布装置の散液
頭部は、上記の課題を解決するために、液体散布装置の
立ち上がり管に設けられた散液頭部であって、上記散液
頭部は、上に凸な略半球状に形成されると共に、液体を
散布領域に散布可能な複数の孔を有しており、上記孔
は、略半球面をその頂部側から見た平面図において、該
頂部を通る第一仮想直線と略直交し、かつ、互いに略平
行な２本の第二仮想直線によって挟まれる領域内に穿設
され、該領域は、上記第一仮想直線によって２分割され
ると共に、それぞれの分割領域が該第一仮想直線と第二
仮想直線との２交点間の線分を長軸とする仮想楕円によ
ってさらに２分割され、上記孔は、その総開口面積が、
一方の分割領域においては仮想楕円内の再分割領域より
も仮想楕円外の再分割領域の方が大きくなるように配さ
れ、他方の分割領域においては仮想楕円内の再分割領域
よりも仮想楕円外の再分割領域の方が小さくなるように
配されていることを特徴としている。

【０００８】

【作用】請求項１記載の構成によれば、散液頭部が有す
る複数の孔は、略半球面をその頂部側から見た平面図に
おいて、該頂部を通る仮想直線によって２分割される該
半球面のうち、一方の分割領域においては上記頂部から
離れるに従いその分布が密となるように穿設され、他方
の分割領域においては上記頂部から離れるに従いその分
布が疎となるように穿設されている。

【０００９】このため、水平ではない散布領域、つま
り、斜面に液体を散布する場合には、頂部から離れるに
従いその分布が密となるように孔が穿設されている分割
領域が該斜面の下側（谷側）に向くようにして、散液頭
部を立ち上がり管に設ければよい。これにより、斜面の
下側に向けて散布される液量を、斜面の上側（山側）に
向けて散布される液量よりも多くすることができる。ま
た、上記のように孔を穿設することにより、液体の飛距
離を半球面上における該孔の穿設位置で自在に設定する
ことができる。それゆえ、散布を所望する上記斜面にほ
ぼ均一に隈無く液体を散布することができる。

【００１０】また、孔の直径を適宜設定し、散布される
液滴を小さくすることによって地表が受ける衝撃を小さ
くすることができるので、斜面の上側においても、液滴
を地表に叩きつけることなく、つまり、液滴の跳ね返り
等を生じることなく、液体を穏やかに散布することがで
きる。これにより、例えば播種した種が流出したり、或
いは葉や茎が損傷したり、根が露出したりして植物の生
育が阻害されるおそれはない。従って、斜面に液体を散
布する際に好適に利用することができる。

【００１１】請求項２記載の構成によれば、散液頭部が
有する複数の孔は、略半球面をその頂部側から見た平面
図において、該頂部を通る第一仮想直線と略直交し、か
つ、互いに略平行な２本の第二仮想直線によって挟まれ
る領域内に穿設されている。また、上記孔は、その総開
口面積が、上記第一仮想直線によって２分割された一方
の分割領域においては仮想楕円内の再分割領域よりも仮
想楕円外の再分割領域の方が大きくなるように配され、
他方の分割領域においては仮想楕円内の再分割領域より
も仮想楕円外の再分割領域の方が小さくなるように配さ
れている。

【００１２】このため、水平ではない散布領域、つま
り、斜面に液体を散布する場合には、仮想楕円内の再分
割領域よりも仮想楕円外の再分割領域の方が総開口面積
が大きくなるように孔が配されている分割領域が該斜面
の下側（谷側）に向くようにして、散液頭部を立ち上が
り管に設ければよい。これにより、斜面の下側に向けて
散布される液量を、斜面の上側（山側）に向けて散布さ
れる液量よりも多くすることができる。また、上記のよ
うに孔を穿設することにより、液体の飛距離を半球面上
における該孔の穿設位置で自在に設定することができ
る。それゆえ、散布を所望する上記斜面により一層均一
に隈無く液体を散布することができる。

【００１３】また、孔の直径を適宜設定し、散布される
液滴を小さくすることによって地表が受ける衝撃を小さ
くすることができるので、斜面の上側においても、液滴
を地表に叩きつけることなく、つまり、液滴の跳ね返り
等を生じることなく、液体を穏やかに散布することがで
きる。これにより、例えば播種した種が流出したり、或
いは葉や茎が損傷したり、根が露出したりして植物の生
育が阻害されるおそれはない。従って、斜面に液体を散
布する際に好適に利用することができる。

【００１４】

【実施例】本発明の一実施例について図１ないし図５に
基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、以下の説
明においては、液体散布装置によって散布される液体が
水である場合、即ち、液体散布装置を散水装置として使
用する場合を例に挙げることとする。

【００１５】本実施例にかかる液体散布装置としての散
水装置は、斜面に散水する際に用いられる。上記の散水
装置は、図３に示すように、通水管１０より導水される
立ち上がり管１１を備えている。上記の立ち上がり管１
１は、散水を所望する斜面（散布領域）の任意の位置に
立設されている。立ち上がり管１１の上端部には、取り
付け治具１２を介して散水頭部（散液頭部）１が着脱自
在に取り付けられている。尚、取り付け治具１２は、散
水頭部１のネジ部１ｂ（後述する）に対応する図示しな
いネジ部（雌ネジ）を有している。

【００１６】図１および図２に示すように、散水頭部１
は、上に凸な略半球状に形成された半球部１ａと、取り
付け治具１２に取り付けるためのネジ部（雄ネジ）１ｂ
と、これら半球部１ａおよびネジ部１ｂを連設する連設
部１ｃとからなっている。尚、本発明において略半球状
とは、半球部１ａの縦断面（図１において紙面に垂直な
方向の切断面）の形状が、略半円弧状若しくは略半楕円
の弧状であることを示すものとする。

【００１７】連設部１ｃは、散水頭部１本体を取り付け
治具１２に着脱し易いように、散水頭部１を上方から見
たとき（図１）の形状が例えば正八角形となるように形
成されている。半球部１ａには、斜面に散水可能な複数
の孔２…が形成されている。尚、孔２…の個数は、特に
限定されるものではない。また、散水頭部１の大きさ
は、特に限定されるものではない。

【００１８】上記の孔２…は、半球部１ａの表面（略半
球面）をその頂部３側から見た平面図（つまり、図１）
において、該頂部３を通る第一仮想直線（仮想直線）８
（図中、便宜上、この仮想直線を二点鎖線で記す）によ
って２分割される該表面のうち、一方の分割領域、即
ち、図１において第一仮想直線８よりも上の分割領域に
おいては、上記頂部３から離れるに従いその分布が密と
なるように穿設され、他方の分割領域、即ち、図１にお
いて第一仮想直線８よりも下の分割領域においては、頂
部３から離れるに従いその分布が疎となるように穿設さ
れている。

【００１９】即ち、上記の孔２…は、該第一仮想直線８
と略直交し、かつ、互いに略平行な２本の第二仮想直線
９・９（図中、便宜上、これら仮想直線を二点鎖線で記
す）によって挟まれる領域５内に穿設されている。上記
の領域５は、上記第一仮想直線８によって２分割される
と共に、それぞれの分割領域が、該第一仮想直線８と第
二仮想直線９・９との２交点間の線分を長軸とする仮想
楕円６（図中、便宜上、この仮想楕円を二点鎖線で記
す）によってさらに２分割されている。つまり、領域５
は、４つの再分割領域５ａ・５ｂ・５ｃ・５ｄに分割さ
れている。そして、孔２…は、その総開口面積が、一方
の分割領域、即ち、図１において第一仮想直線８よりも
上の分割領域においては、仮想楕円６内の再分割領域５
ｂよりも仮想楕円６外の再分割領域５ａの方が大きくな
るように配され、他方の分割領域、即ち、図１において
第一仮想直線８よりも下の分割領域においては、仮想楕
円６内の再分割領域５ｃよりも仮想楕円６外の再分割領
域５ｄの方が小さくなるように配されている。

【００２０】尚、再分割領域５ｂ内の孔２…の総開口面
積と、再分割領域５ｃ内の孔２…の総開口面積との大小
関係は、特に規定されるものではない。また、第二仮想
直線９・９の設定位置や、仮想楕円６の長軸と短軸との
比は、特に限定されるものではない。さらに、領域５
は、頂部３を含んでいなくてもよい。

【００２１】上記の領域５内に形成される孔２…は、上
記頂部３から離れるに従いその直径が大きくなるように
穿設されている。但し、これら孔２…は、頂部３から離
れるに従いその直径が順次大きくなるように穿設されて
いてもよく、また、幾つかの隣接する孔２…同士の直径
が互いに等しくなるように穿設されていてもよい。

【００２２】尚、図１に示す散水頭部１における孔２…
の穿設パターンは、散水を所望する斜面の形状が正方形
である場合の一例を示している。従って、孔２…の穿設
パターンは、図１に例示したパターンにのみ限定される
ものではなく、上述した総開口面積の大小関係を満足し
ていればよい。孔２…の穿設パターンは、具体的には、
例えば、散水を所望する斜面の傾斜角度やその広さ、孔
２…の直径等に応じて適宜設定すればよい。また、孔２
…の直径を上記のように設定する理由については後述す
る。

【００２３】散水頭部１の材質は、特に限定されるもの
ではないが、耐候性や耐衝撃性、耐薬品性等に優れた材
質が好ましく、例えば、金属や合成樹脂、合成ゴムが好
適である。金属としては、例えば、ステンレスが挙げら
れる。合成樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレ
ン、中低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化
ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフ
ィン、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン樹脂（Ａ
ＢＳ樹脂）等、或いは、エンジニアリングプラスチッ
ク、各種強化プラスチック等が挙げられる。これら材質
は、例えば、散水頭部１、即ち、散水装置の用途等に応
じて適宜選択される。

【００２４】散水頭部１の製造方法は、特に限定される
ものではないが、安価で量産性に優れた方法が好まし
く、例えば、材質が金属の場合にはプレス加工法が好適
であり、また、材質が合成樹脂や合成ゴムの場合には射
出成形法が好適である。

【００２５】上記孔２…の穿設方法は、特に限定される
ものではないが、安価で量産性に優れた方法が好まし
く、例えば、いわゆるレーザ穿孔やドリル穿孔が好適で
ある。

【００２６】上記の立ち上がり管１１は斜面の任意の位
置に固定可能であるが、上記孔２…の半球部１ａにおけ
る穿設位置や、孔２…の穿設パターンが容易となるよう
に、斜面の中央部若しくは隅部等に固定することが好ま
しい。

【００２７】一般に、水滴は、速度の二乗に比例する抗
力を受けて空気中を飛ぶことが判っており、従って、孔
２から散水される水滴は、水圧および孔２の直径が一定
の場合、孔２の仰角を凡そ30°に設定したときに最も遠
くまで飛ぶ。また、水滴は、飛距離が大きくなるに従い
拡散するので、その散水面積が広がる。即ち、水圧およ
び孔２の直径が一定の場合、孔２の仰角が大きくなるに
従い散水面積が狭くなるので、単位面積当たりの散水量
が多くなる。従って、単位面積当たりの散水量を散水領
域全体でほぼ一定とするためには、例えば頂部３から離
れた位置に穿設される孔２、即ち、仰角の小さな孔２の
直径を、頂部３に近づいた位置に穿設される孔２、即
ち、仰角の大きな孔２の直径よりも大きくする必要があ
る。

【００２８】上記孔２…の直径は、特に限定されるもの
ではないが、例えば 0.1mm以上、２mm以下に形成するこ
とが好ましい。孔２…の直径を上記の大きさに形成する
ことにより、孔２…から散水される水滴が小さくなると
共に、上記水滴によって地表が受ける衝撃がより小さく
なる。従って、水滴の跳ね返り等を生じることなく、よ
り穏やかに散水することが可能となる。孔２…の直径が
0.1mmよりも小さいと、孔２…から散水される水滴が小
さくなるため、霧状となる割合が大きくなるのであまり
遠くに飛ばなくなる。また、単位面積あたりの散水量が
小さくなるため、斜面により充分に散水することができ
なくなる。一方、孔２…の直径が２mmよりも大きいと、
水滴が大きくなるため、上記水滴によって地表が受ける
衝撃がより大きくなると共に、水滴の跳ね返り等が生
じ、より穏やかに散水することが難しくなる。

【００２９】本実施例における孔２…の直径は、例え
ば、 0.4mm〜 1.3mmに設定されている。勿論、孔２…の
穿設パターンや、各々の孔２…の直径は、上記例示の穿
設パターンや直径に限定されるものではない。

【００３０】尚、散水頭部１、即ち、孔２…にかかる水
圧は、特に限定されるものではない。例えば、通水管１
０を一般の水道管に直結した場合には、上記水圧は凡そ
１kg/cm²〜２kg/cm²程度になる。また、水圧を所定範囲
内、例えば１kg/cm²〜５kg/cm²、好ましくは１kg/cm²〜
２kg/cm²の範囲内で任意に変更させることが可能なポン
プ、減圧弁、止水栓等を用いることにより、孔２…にか
かる水圧を適宜調節してもよい。

【００３１】以上のように、本実施例にかかる散水装置
の散水頭部１は、半球部１ａが上に凸な略半球状に形成
されると共に、複数の孔２…を有しており、上記孔２…
は、半球部１ａの表面をその頂部３側から見た平面図に
おいて、該頂部３を通る第一仮想直線８と略直交し、か
つ、互いに略平行な２本の第二仮想直線９・９によって
挟まれる領域５内に穿設されている。また、孔２…は、
その総開口面積が、再分割領域５ｂよりも再分割領域５
ａの方が大きくなるように配される一方、再分割領域５
ｃよりも再分割領域５ｄの方が小さくなるように配され
ている。

【００３２】このため、水平ではない散水領域、つま
り、斜面に散水する場合には、再分割領域５ａが該斜面
の下側（谷側）に向くようにして、散水頭部１を立ち上
がり管１１に設ければよい。これにより、斜面の下側に
向けて散水される水量を、斜面の上側（山側）に向けて
散水される水量よりも多くすることができる。また、上
記のように孔２…を穿設することにより、水滴の飛距離
を孔２…の穿設位置で自在に設定することができる。そ
れゆえ、散水を所望する上記斜面により一層均一に隈無
く散水することができる。

【００３３】また、孔２…の直径を適宜設定し、水滴を
小さくすることによって地表が受ける衝撃を小さくする
ことができるので、斜面の上側においても、水滴を地表
に叩きつけることなく、つまり、水滴の跳ね返り等を生
じることなく、穏やかに散水することができる。これに
より、例えば播種した種が流出したり、或いは葉や茎が
損傷したり、根が露出したりして植物の生育が阻害され
るおそれはない。従って、本実施例にかかる散水頭部１
は、斜面に散水する際に好適に利用することができる。

【００３４】次に、本実施例にかかる散水頭部１の散水
量について、具体例を挙げて説明する。尚、図４（ａ）
に示すように、散水を所望する斜面１５を所定面積の正
方形とし、この斜面１５のほぼ中心部に立ち上がり管１
１を立設して該斜面１５に隈無く散水する場合を想定し
た。従って、領域５の形成パターン、つまり、孔２…の
穿設パターンおよび直径を、上記例示の穿設パターンお
よび直径（図１）に設定した。そして、散水頭部１の半
球部１ａの直径を５cm、水量を約17Ｌ／min.、孔２…に
かかる水圧を約２kg/cm²とした。

【００３５】散水量は、斜面１５に升形状の測定箱１６
…を並べ、散水頭部１から一時間散水した後、上記の各
測定箱１６…に溜まった水の量を測定した。上記の条件
にて測定した散水量を、図４（ｂ）および図５に示すよ
うに、横軸を立ち上がり管１１からの距離、縦軸を散水
量としてグラフに示した。散水頭部１の散水量は、曲線
ａとなった。また、斜面１５の上側と下側とで単位面積
当たりの散水量に差は生じなかった。

【００３６】一方、従来の散水装置であるスプリンクラ
ーについても散水量を測定した。上記スプリンクラーの
スプリンクラー頭部（以下、ヘッドと称する）にかかる
水圧や、水量等は、散水頭部１と同一の条件とした。ま
た、ヘッドのノズルの開口面積は、散水頭部１の孔２…
の総開口面積と等しくなるように設定した。ヘッドの散
水量は、曲線（群）ｂとなった。また、斜面１５の上側
と下側とで単位面積当たりの散水量に差が生じた。つま
り、斜面１５の上側の散水量は、斜面１５の下側の散水
量よりも多くなった。尚、スプリンクラーの散水量は、
ヘッドの角度を３段階に調節して測定した（３回測定し
た）。従って、曲線（群）ｂの各曲線は、これらヘッド
の角度に各々対応している。

【００３７】上記のグラフから明らかなように、散水頭
部１は、斜面１５の全面にわたってほぼ均一に隈無く散
水可能であることがわかる。これに対し、ヘッドは、均
一な散水が不可能であることがわかる。

【００３８】尚、本実施例においては、正方形の斜面に
隈無く散水することが可能な散水頭部１を例に挙げた
が、散水頭部１によって散水可能な散水領域、つまり、
斜面の形状は、勿論、上記例示の正方形に限定されるも
のではなく、例えば、長方形やその他の多角形、円形、
楕円形等、任意の形状とすることができる。また、散水
可能な斜面の広さも任意の広さとすることができる。孔
２…の穿設パターンと直径との組み合わせは、散水を所
望する斜面の傾斜角度やその広さ、散水量等に応じて適
宜変更すればよい。

【００３９】上記構成の散水頭部１を備えた散水装置
は、例えば各種野菜や草花等を露地栽培する畑や蔬菜
園、ビニルハウス、果樹園、芝生や草花等が植えられた
公園や庭園等の灌水、或いは道路等の散水等に好適に用
いられる。

【００４０】尚、上記の実施例においては、液体散布装
置を散水装置として使用する場合を例に挙げて説明した
が、本発明にかかる液体散布装置により散布される液体
は、勿論、上記の水に限定されるものではない。例え
ば、液体散布装置を農業や施設園芸等に供することによ
り、殺虫剤や殺菌剤等の農薬、液体肥料等を好適に散布
することができる。また、散水することにより液体散布
装置を、塩害の防除設備や、茶園等の凍霜害の防除設備
としても使用可能である。

【００４１】

【発明の効果】本発明の請求項１記載の液体散布装置の
散液頭部は、以上のように、液体散布装置の立ち上がり
管に設けられた散液頭部であって、上記散液頭部は、上
に凸な略半球状に形成されると共に、液体を散布領域に
散布可能な複数の孔を有しており、上記孔は、略半球面
をその頂部側から見た平面図において、該頂部を通る仮
想直線によって２分割される該半球面のうち、一方の分
割領域においては上記頂部から離れるに従いその分布が
密となるように穿設され、他方の分割領域においては上
記頂部から離れるに従いその分布が疎となるように穿設
されている構成である。

【００４２】このため、水平ではない散布領域、つま
り、斜面に液体を散布する場合には、頂部から離れるに
従いその分布が密となるように孔が穿設されている分割
領域が該斜面の下側（谷側）に向くようにして、散液頭
部を立ち上がり管に設ければよい。これにより、斜面の
下側に向けて散布される液量を、斜面の上側（山側）に
向けて散布される液量よりも多くすることができる。ま
た、上記のように孔を穿設することにより、液体の飛距
離を半球面上における該孔の穿設位置で自在に設定する
ことができる。それゆえ、散布を所望する上記斜面にほ
ぼ均一に隈無く液体を散布することができる。

【００４３】また、孔の直径を適宜設定し、散布される
液滴を小さくすることによって地表が受ける衝撃を小さ
くすることができるので、斜面の上側においても、液滴
を地表に叩きつけることなく、つまり、液滴の跳ね返り
等を生じることなく、液体を穏やかに散布することがで
きる。これにより、例えば播種した種が流出したり、或
いは葉や茎が損傷したり、根が露出したりして植物の生
育が阻害されるおそれはない。従って、斜面に液体を散
布する際に好適に利用することができるという効果を奏
する。

【００４４】本発明の請求項２記載の液体散布装置の散
液頭部は、以上のように、液体散布装置の立ち上がり管
に設けられた散液頭部であって、上記散液頭部は、上に
凸な略半球状に形成されると共に、液体を散布領域に散
布可能な複数の孔を有しており、上記孔は、略半球面を
その頂部側から見た平面図において、該頂部を通る第一
仮想直線と略直交し、かつ、互いに略平行な２本の第二
仮想直線によって挟まれる領域内に穿設され、該領域
は、上記第一仮想直線によって２分割されると共に、そ
れぞれの分割領域が該第一仮想直線と第二仮想直線との
２交点間の線分を長軸とする仮想楕円によってさらに２
分割され、上記孔は、その総開口面積が、一方の分割領
域においては仮想楕円内の再分割領域よりも仮想楕円外
の再分割領域の方が大きくなるように配され、他方の分
割領域においては仮想楕円内の再分割領域よりも仮想楕
円外の再分割領域の方が小さくなるように配されている
構成である。

【００４５】このため、水平ではない散布領域、つま
り、斜面に液体を散布する場合には、仮想楕円内の再分
割領域よりも仮想楕円外の再分割領域の方が総開口面積
が大きくなるように孔が配されている分割領域が該斜面
の下側（谷側）に向くようにして、散液頭部を立ち上が
り管に設ければよい。これにより、斜面の下側に向けて
散布される液量を、斜面の上側（山側）に向けて散布さ
れる液量よりも多くすることができる。また、上記のよ
うに孔を穿設することにより、液体の飛距離を半球面上
における該孔の穿設位置で自在に設定することができ
る。それゆえ、散布を所望する上記斜面により一層均一
に隈無く液体を散布することができる。

【００４６】また、孔の直径を適宜設定し、散布される
液滴を小さくすることによって地表が受ける衝撃を小さ
くすることができるので、斜面の上側においても、液滴
を地表に叩きつけることなく、つまり、液滴の跳ね返り
等を生じることなく、液体を穏やかに散布することがで
きる。これにより、例えば播種した種が流出したり、或
いは葉や茎が損傷したり、根が露出したりして植物の生
育が阻害されるおそれはない。従って、斜面に液体を散
布する際に好適に利用することができるという効果を奏
する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例における散液頭部としての散
水頭部の平面図である。

【図２】上記散水頭部の正面図である。

【図３】上記散水頭部を備えた液体散布装置としての散
水装置の概略の正面図である。

【図４】（ａ）は、上記散水装置により斜面に散水する
様子を示す概略の正面図であり、（ｂ）は、上記散水頭
部の散水量を示すグラフである。

【図５】上記散水頭部の散水量を示すグラフである。

【符号の説明】

１散水頭部（散液頭部）１ａ半球部２孔３頂部５領域５ａ・５ｂ・５ｃ・５ｄ再分割領域６仮想楕円８第一仮想直線（仮想直線）９第二仮想直線１１立ち上がり管１２取り付け治具１５斜面（散布領域）

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】液体散布装置の立ち上がり管に設けられた
散液頭部であって、上記散液頭部は、上に凸な略半球状に形成されると共
に、液体を散布領域に散布可能な複数の孔を有してお
り、上記孔は、略半球面をその頂部側から見た平面図におい
て、該頂部を通る仮想直線によって２分割される該半球
面のうち、一方の分割領域においては上記頂部から離れ
るに従いその分布が密となるように穿設され、他方の分
割領域においては上記頂部から離れるに従いその分布が
疎となるように穿設されていることを特徴とする液体散
布装置の散液頭部。
【請求項２】液体散布装置の立ち上がり管に設けられた
散液頭部であって、上記散液頭部は、上に凸な略半球状に形成されると共
に、液体を散布領域に散布可能な複数の孔を有してお
り、上記孔は、略半球面をその頂部側から見た平面図におい
て、該頂部を通る第一仮想直線と略直交し、かつ、互い
に略平行な２本の第二仮想直線によって挟まれる領域内
に穿設され、該領域は、上記第一仮想直線によって２分割されると共
に、それぞれの分割領域が該第一仮想直線と第二仮想直
線との２交点間の線分を長軸とする仮想楕円によってさ
らに２分割され、上記孔は、その総開口面積が、一方の分割領域において
は仮想楕円内の再分割領域よりも仮想楕円外の再分割領
域の方が大きくなるように配され、他方の分割領域にお
いては仮想楕円内の再分割領域よりも仮想楕円外の再分
割領域の方が小さくなるように配されていることを特徴
とする液体散布装置の散液頭部。