JP3996715B2 - 灌水用チューブ及び灌水用チューブの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、散水のためにノズルとして使用されたり、軟弱野菜等の栽培や水稲等の育苗栽培における灌水作業に使用される灌水用チューブ及び灌水用チューブの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
農業の施設園芸の分野では、いわゆるビニールハウスにおいて軟弱野菜等の栽培、水稲等の育苗栽培が行われている。
【0003】
上記の軟弱野菜の栽培及び水稲育苗には、毎日の灌水作業が欠かせない。
【0004】
ところで、灌水作業は、ホースの先端にシャワー状の散水が得られる散水具等を取り付け、ハウス内を移動しながら灌水を行う方法が一般的であった。
【0005】
このような灌水作業は、一般的には気温が高くなる3月頃から開始され、特に、夏場7月〜9月末頃の高温期に最も必要とされる。夏場、ハウス内の温度は40度以上となり、農作業の中でも負担の大きい作業の1つであった。
【0006】
近年、このような作業の省力化を目的とした灌水用チューブ(例えば、住化農業資材株式会社製の商品名「スミサンスイRハウス」)が開発されている。この灌水用チューブ70は、図26に示すように、ビニールハウス71の例えば中央部に設置され、これによって、以前のように散水具をもってビニールハウス71内を移動することなく、短時間に必要な灌水が行われるようになっている。
【0007】
上記の灌水用チューブ70では、灌水の均一性を高めるために、散水孔の孔径と散水孔の仰角との組み合わせを工夫する手法が取り入れられている。例えば、実公平3−26376号公報等に開示されているものでは、ホース頂部より離れるに伴って、散水孔の孔径を徐々に大きくすることにより、ホース近傍及び離れた領域への散水分布の改善を図っている。
【0008】
ここで、従来の灌水用チューブ70において、散水孔80を穿設するときには、図27(a)に示すように、偏平状の原料シートに対して鉛直方向からポンチ、穿孔用針又はレーザー光の照射等により、散水孔80を穿設する方法が取られてきた。
【0009】
このように穿設された散水孔80では、図27(b)に示すように、灌水用チューブ70の中心に対する仰角にしたがった噴射角度で散水が行われる。すなわち、散水孔80では、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面に垂直面が形成されたものとなっており、水は水圧によって管状の灌水用チューブ70における管内面接線Lに垂直、つまり管状チューブでは半径方向に飛翔する。
【0010】
上記散水孔80の散水流は、散水孔80から噴射された後しばらくは、棒状の散水流が維持されるが、空気抵抗により徐々に微細な液滴が分離し始め、ある時点から急激に液滴の分散が開始される。
【0011】
なお、このような散水流は、必ずしも散水孔80における開孔壁面に垂直面を有している必要はなく、例えば、図28(a)(b)に示すように、垂直穿孔することにより、開孔壁面に表面に対して末広がりとなる円錐台面(同図においては台形)が形成されていてもよい。これによって、水圧により水を半径方向の延長線上へ飛翔させる際に、その飛翔方向を妨げるものがないので、水が棒状に飛翔するものとなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の灌水用チューブでは、以下の散水高さの問題と灌水強度ピークの問題とを有している。
【0013】
すなわち、散水高さの問題として、従来の技術では、特に灌水用チューブ近傍への散水には、仰角の高い位置に散水孔を設けて、一旦、例えば3m程の高さに散水を吹き上げた後、灌水用チューブ近傍へ液滴を落下させる方法が用いられることが多い。これは、従来の灌水用チューブに用いられている散水孔から噴射される散水流は、上述したように、噴射された後しばらくは、棒状の散水流が維持され、その後徐々に空気抵抗により微細な液滴が分離し始め、ある時点から分散が開始される性質を持つため、棒状水流が分散されるまでの間、吹き上げる必要があるためである。
【0014】
この手法を用いることによって、灌水用チューブ近傍への散水が可能となるが、図29(a)(b)に示すように、ビニールハウス71の天井までの高さが十分でない場合や、図30に示すように、ビニールハウス71内部の気温抑制のため寒冷紗72つまり黒色系の薄布を設置した場合等には、散水を必要な高さまで吹き上げることができないため、灌水用チューブ近傍への十分な灌水ができないという問題点があった。
【0015】
このため、散水高さが低く、かつ、灌水用チューブ近傍への散水可能な散水孔が求められていた。
【0016】
一方、もう一つの問題は、灌水強度のピーク、つまり散水分布の均一化に関するものである。
【0017】
上記手法に従えば、高仰角散水孔による灌水用チューブ近傍への散水では、散水の分布が狭い範囲に集中し、灌水強度(mm/hr)が他の散水領域と比較して強くなる傾向が見られる。この点に関して、前記実公平3−26376号公報では、ホース近傍への散水孔を他の散水孔よりも小さく設定することにより、流量を減少させ、灌水強度のピークを抑える方法が示されている。
【0018】
しかし、高仰角の散水では、散水孔が小さくなればなるほど散水範囲が狭くなる傾向がみられる。したがって、灌水用チューブ近傍への散水の均一性を確保するためにはより多くの散水孔が必要となる。
【0019】
このようなことから、従来から、各散水孔でより広い領域に散水可能な散水孔が求められていた。
【0020】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに散水体又は灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する散水体、散水体の製造方法、灌水用チューブ及び灌水用チューブの製造方法を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明の灌水用チューブは、上記課題を解決するために、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成された散水孔を有し、上記散水孔における傾斜面の対向面は、当該散水孔の断面において傾斜面の傾斜角度よりもチューブ表面に向かって開いた角度を有して形成され、前記散水孔における傾斜面の平面状態でのチューブ断面における傾斜角度は、平面状態でのチューブ断面におけるチューブ裏面開口長さbに対するチューブ表面遮孔長さmの比を遮孔率S(%)とすると、10<遮孔率S(=m/b×100)<200の関係を有することを特徴としている。
【0022】
すなわち、従来のように、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成された散水孔では、水は半径方向の延長線上へ棒状に飛翔する。したがって、水圧に応じて水は遠距離に散水される。
【0023】
しかし、本発明によれば、灌水用チューブは、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成された散水孔を有しているので、水圧がかかって水が灌水用チューブの半径方向へ飛翔しようとするときに水の方向が傾斜面によって変化される。また、このとき、水の勢いがこの傾斜面で抑制される。したがって、この抑制によって、散水距離が低減されると共に、散水高さも低減する。さらに、この傾斜面による抑制によって、棒状に飛翔しようとする水が乱されて飛翔するので、水が分散し、散水領域が広がる。
【0024】
さらに、水の勢いが傾斜面で抑制される際に、散水孔における傾斜面の対向面が、上記散水孔の断面において傾斜面の傾斜角度よりもチューブ表面に向かって閉じた角度に設定されていると、分散及び拡散して飛翔しようとする水が、対向面によってその分散及び拡散が防止され再び整流されることになる。
【0025】
しかし、本発明では、散水孔における傾斜面の対向面は、上記散水孔の断面において傾斜面の傾斜角度よりもチューブ表面に向かって開いた角度を有している。
【0026】
このため、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面の作用が遮られることがないので、水が自由に分散及び拡散できる。また、対向面の開き角度によって、水の分散及び拡散度合いを調整することも可能となる。
【0027】
この結果、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブを提供することができる。
【0031】
本発明の灌水用チューブは、上記課題を解決するために、上記記載の灌水用チューブにおいて、前記散水孔は、管状状態でのチューブ断面における第1象限及び第2象限のうちのいずれか一方、又はその両方に設けられていることを特徴としている。
【0032】
上記の発明によれば、散水孔は、管状状態でのチューブ断面における第1象限及び第2象限のうちのいずれか一方、又はその両方に設けられている。
【0033】
すなわち、散水孔の傾斜面は、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させるように傾斜しているので、必ずしも、管状状態でのチューブ断面における第1象限に設けられる必要はなく、第2象限に設けることも可能である。
【0034】
これによって、灌水用チューブのより近傍位置に散水することが可能となる。
【0035】
また、第1象限と第2象限との両方に設けることも可能である。
【0036】
本発明の灌水用チューブは、上記課題を解決するために、上記記載の灌水用チューブにおいて、前記傾斜面が形成された散水孔と、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる錐台面が形成された散水孔とを組み合わせて有することを特徴としている。
【0037】
上記の発明によれば、灌水用チューブには、傾斜面が形成された散水孔と、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる錐台面が形成された散水孔つまり従来方式の散水孔とが組み合わせて設けられている。なお、従来方式の散水孔と傾斜面が形成された散水孔との組み合わせは、必ずしも1種類の傾斜面が形成された散水孔との組み合わせに限らず、複数種類の傾斜面が形成された散水孔と従来方式の散水孔との組み合わせであっても良い。
【0038】
この結果、灌水用チューブの近傍位置への散水は、傾斜面が形成された散水孔にて行い、灌水用チューブから離れた位置への散水は、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる錐台面が形成された散水孔にて行うことによって、灌水用チューブの近傍から遠方までの幅広い領域に散水することができる。
【0039】
したがって、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブを提供することができる。
【0040】
また、従来の垂直面又は表面に向かって末広がりとなる錐台面が形成された散水孔のみによって、ある程度の散水領域を確保しようとすると、灌水用チューブに孔径の異なる多数の散水孔を穿設する必要があったが、本発明のように、傾斜面が形成された散水孔との組み合わせにおいては、従来に比べて少ない個数の散水孔を穿設するだけでよい。
【0041】
本発明の灌水用チューブの製造方法は、上記課題を解決するために、上記記載の灌水用チューブの製造方法であって、灌水用チューブにおける平面状態でのチューブに対して、チューブ表面からチューブ裏面に向かって先細りとなる錐台状開口を斜め方向からレーザー光を照射して穿設することにより、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成された散水孔を形成することを特徴としている。
【0042】
上記の発明によれば、灌水用チューブに散水孔を形成するに際して、灌水用チューブにおける平面状態でのチューブに対して、チューブ表面からチューブ裏面に向かって先細りとなる錐台状開口を斜め方向から穿設する。なお、錐台状開口としては、円錐台状が一般的であるが、必ずしもこれに限らず、例えば多角錐台状であっても良い。
【0043】
これによって、散水孔の開孔壁面に、水圧による水の半径方向への飛翔方向を確実に変化させる傾斜面を容易に形成することができる。
【0044】
この結果、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブの製造方法を提供することができる。
【0045】
また、本発明では、散水孔の開孔壁面に、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面を形成する際には、レーザー光を照射して穿設する。
【0046】
これにより、精度良く、確実に、かつ容易に所望の傾斜面を形成することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1ないし図12に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態においては、散水体としての灌水用チューブについて説明するが、散水体は必ずしもこれに限らず、例えば、噴霧器における散水用のノズル等に用いられるものであっても良い。
【0048】
本実施の形態の灌水用チューブ1は、図2に示すように、例えば、薄肉のポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂フィルムからなるシート2・2を2枚重ね合わせ、これら重ね合わされたシート2・2の互いの幅方向の周縁部をヒートシール等することにより、密着状態とし、一対の耳状部3・3を有するチューブ状に形成されている。このシート2の厚さは、例えば0.5mm程度あるが、必ずしもこれに限らず、例えば0.1mm〜3.0mm程度の厚さに対しても適用可能である。
【0049】
これにより、灌水用チューブ1は、灌水時つまり通水時には水圧にて膨らんで例えば直径30mm〜40mm程度の管状となる一方、非通水時には偏平となる。なお、本実施の形態の灌水用チューブ1は必ずしも耳状部3・3を有する必要はない。また、灌水用チューブ1の直径は、特に限定されるものではなく、灌水用チューブ1に供給される水量や水圧等に応じて、適宜設定することが可能である。
【0050】
上記の灌水用チューブ1は、繰り返し耐圧疲労強度が優れると共に、耐膨潤性、耐熱性、耐寒性、耐引裂性及び耐衝撃性を備えている。また、灌水用チューブ1には、その表面に、長さ方向に沿って延びる複数のリブ4…が形成されており、これによって、通水時に灌水用チューブ1が容易に捩じれないようになっている。
【0051】
この灌水用チューブ1は、図示しないポンプに接続されており、通水時にはこのポンプにより例えば2kg/cm 2 程度の水圧がかかるようになっている。
【0052】
上記の灌水用チューブ1が管状になったときの上部には、散水孔10…が長さ方向に沿って所定間隔を置いて複数穿設されている。なお、これら散水孔10…は、同図においては、管状断面の第1象限において灌水用チューブ1の長手方向に所定間隔を置いて一条に穿設したものとなっているが、必ずしもこれに限らず、断面円の第1象限において灌水用チューブ1の長手方向に所定間隔を置いて複数条に穿設したものでも良く、さらに、後述するように、管状断面の第1象限だけでなく、第2象限にも散水孔10…を一条又は複数条に形成することが可能である。また、散水孔10…の間隔は、植物栽培の植苗の間隔等を考慮して所定間隔に設定するものとなっている。さらに、同図においては、個々の散水孔10…が略等間隔をおいて穿設されているが、必ずしもこれに限らず、散水孔10…を例えば2〜4個の群単位に穿設し、これらを略等間隔に形成することも可能である。
【0053】
また、本実施の形態の灌水用チューブ1における散水孔10は、図3(a)に示すように、灌水用チューブ1の製造時において、平面状の原料としてのシート2、つまり耳状部3・3をヒートシールしない段階において、鉛直方向ではなく穿孔角度γの角度にて穿設される。この穿孔角度γについては、20〜80度が適用可能とすることができるが、望ましくは30〜60度が良い。これによって、水の散水距離や散水範囲が変わってくる。
【0054】
このように穿設した散水孔10を有する灌水用チューブ1に水を通すと、図3(b)に示すように、灌水用チューブ1は管状になる。
【0055】
この散水孔10の穿設は、本実施の形態では、例えばレーザー光の照射にて行われている。ただし、必ずしもこれに限らず、例えばポンチや穿孔用針等により、穿設することも可能である。
【0056】
また、この散水孔10では、図4(a)(b)に示すように、シート2の表面からレーザー光が入射され、かつシート2の裏面側に貫通されて穿設されると共に、その開孔壁面(シート開口壁面)15にはシート2の表面からシート2の裏面側にかけて徐々に孔径が小さくなる傾斜面11及び対向面としてのテーパー面12を有している。
【0057】
すなわち、散水孔10は、灌水用チューブ1における平面状態でのチューブに対して、チューブ表面からチューブ裏面に向かって先細りとなる例えば円錐台状開口を斜め方向から穿設することにより、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面11が開孔壁面15に形成されたものとなっている。
【0058】
詳細には、散水孔10は、図示しない凸レンズを通した断面円形のレーザー光が、シート2の表面側から穿孔角度γにて斜めに入射されることによって、シート2を貫通する。このため、図4(a)に示すように、シート2の表面側においては、円に近い楕円13となっている一方、シート2の裏面側においては、孔径が小さくかつ長楕円形状14となっている。
【0059】
なお、このようにチューブ表面からチューブ裏面に向かって先細りとなる円錐台状開口を斜め方向から穿設できるのは、凸レンズを通すことにも因るが、主としてレーザー光のエネルギーが次第に減衰していくことに因っている。
【0060】
したがって、同図(a)(b)からも明らかなように、鉛直線側の傾斜面11は、穿孔角度γよりも大きい傾斜角度αを有する一方、これに対向するテーパー面12は、穿孔角度γよりも小さい傾斜角度βを備えている。
【0061】
また、これによって、シート2における上方から鉛直方向に散水孔10を臨んだときには、シート2の裏側の裏面散水孔14の一部は、傾斜面11によって一部マスクつまり遮孔されている。
【0062】
なお、上記の灌水用チューブ1においては、レーザー光を、先細り状態でシート2に対して貫通させているが、必ずしもこれに限らず、レーザー光が断面円形の平行線であっても良い。すなわち、灌水用チューブ1における平面状態でのチューブに対して、斜め方向から例えば筒状開口を穿設することにより、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面11が開孔壁面15に形成された散水孔を形成することも可能である。このように穿孔するためには、例えば、レーザー光のエネルギーを大きくすることにより行うことができる。
【0063】
このような筒状開口よっても、灌水用チューブ1の近傍で微細水滴となる散水を行うことが可能である。
【0064】
ここで、本実施の形態では、この遮孔の割合、つまり遮孔率Sを以下のように定義する。
【0065】
遮孔率S(%)=チューブ表面遮孔長さm÷チューブ裏面開口長さb×100
すなわち、遮孔率Sは、穿孔面に対して垂直方向から見たときの遮孔径比を表すものである。
【0066】
遮孔率Sを上述したように定義したとき、散水孔10における傾斜面11の平面状態でのチューブ断面における傾斜角度αは、
10<遮孔率S(=m/b×100)<200
となっているのが好ましい。さらに、望ましくは30〜80%が良い。
【0067】
これによって、所望の散水を得ることができる。
【0068】
すなわち、上述の関係を有するように散水孔10を穿設することによって、灌水用チューブ1から放出される水流の方向は、図1に示すように、穿孔角度γに対して散水仰角σが、
散水仰角σ>穿孔角度γ
の関係となる。また、この散水仰角σは、水圧による水の半径方向への飛翔方向よりも小さい傾斜角度を有するものとなっている。
【0069】
このような散水仰角σとなるのは、灌水用チューブ1が、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面11が開孔壁面15に形成された散水孔10を有しているためであり、水圧がかかって水が灌水用チューブ1の半径方向へ飛翔しようとするときに一部の水の方向が傾斜面11によって遮蔽されて変化し、水の勢いがこの傾斜面で抑制されるためである。
【0070】
このとき、灌水用チューブ1による散水は、図5に示すように、散水孔10の極近傍においては、長さ約数cmの偏平水流域を経て直ちに霧状に分散するようになる。
【0071】
すなわち、灌水用チューブ1の散水は、灌水用チューブ1の中心に対する散水仰角σに応じた噴射角度で散水が行われる。ここで、従来の灌水用チューブにおける垂直穿孔又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面に穿孔した散水孔80の散水パターンは、図6(a)に示すように、散水孔80から噴射された後、しばらくは、棒状の散水流が維持されるが、空気抵抗により徐々に微細な液滴が分離し始め、ある時点から急激に液滴の分散が開始される。
【0072】
これに対して、本実施の形態の散水孔10を穿設した灌水用チューブ1における散水パターンは、図6(b)に示すように、棒状の散水流の期間が非常に短く、散水孔10から噴射された散水は、直ぐに分散始点となり、その後、微細水滴領域及び細水滴領域が形成される。そして、散水距離は、図6(a)に示す従来方式の垂直穿孔又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面に穿孔された散水孔80の散水領域よりも極めて近くで散水幅が形成される。また、散水孔80の散水水滴は、本実施の形態の灌水用チューブ1による散水水滴に比べて粗いものである。
【0073】
さらに、本実施の形態の灌水用チューブ1では、散水高さも従来方式に比べて、例えば約1/2以下に抑えることができる。したがって、灌水用チューブ1を使用することによって、散水高さを大幅に低く設定することができる。例えば、遮孔率Sの選定により、高角度散水においても、散水高さを例えば約1m程度に抑えることが可能となる。
【0074】
また、大孔径、低角度散水でも比較的灌水用チューブ1の近傍位置に散水することができる。
【0075】
ここで、上記の霧状の散水は、図4(a)(b)に示すように、傾斜面11の一部がひさし状に突き出しているため、散水孔10の一部がマスク(遮孔)されていることから生じるものとすることもできる。マスクの範囲としては、上述したように、遮孔率S(%)の値が10〜200%の範囲内であれば上記の散水を得ることができる。すなわち、穿孔角度γ及び遮孔率S(%)の組み合わせで散水距離を制御できることができる。
【0076】
上記灌水用チューブ1における散水分布は、図7(a)に示すように、従来形式の散水孔80による散水においては灌水用チューブ1の位置から約2.2m〜約4.8mの範囲に灌水強度(mm/hr)が見られるのに対し、図7(b)に示すように、散水孔10においては灌水用チューブ1の位置から約0.2m〜約3.8mの近距離範囲に灌水強度(mm/hr)が見られる。なお、この灌水強度(mm/hr)は、1時間当たりにどのぐらいの量の水が散水されるかについて高さで示したものであり、いわゆる雨量と同じ算出方法をとっており、単位も同じである。
【0077】
また、灌水用チューブ1における散水分布を平面的に示すとそれぞれ図8(a)(b)のように示される。なお、これらの散水は、散水孔10及び散水孔80についていずれも同一散水仰角σ及び同一散水孔径で散水させたものであり、詳細には、散水仰角σ=50度であり、散水孔径は例えば0.4mmΦである。また、給水圧力は共に2.0kg/cm 2 である。
【0078】
なお、ここで上記の散水孔径0.4mmΦとは、前記図4(a)に示すように、孔径が小さくかつ長楕円形状14について長軸b及び短軸aとの関係から求めた真円相当径をいう。
【0079】
上記の散水の特徴を詳述すると、散水仰角σ=50度の散水では、散水孔10は散水孔80よりも近距離領域への散水が可能であることが分かる。
【0080】
また、散水孔10では、散水孔80に比べて散水範囲が広くなっていることが分かる。
【0081】
上記散水孔80の散水では、散水距離2.5mを超えると棒状であった散水が徐々に分散が始まり、2.5mから4.0m付近にかけて灌水強度5mm/hr以上の灌水強度を示す。散水孔80での散水は棒状の散水であるため、散水範囲は縦長に広がっている。一方、散水孔10の散水は、霧状散水となるため、散水距離はあまり伸びないが灌水強度5mm/hr以上の領域が散水孔80と比較して広くなっている。このため、灌水強度は緩やかに変化する。
【0082】
このように、少数の散水孔10でも、散水分布が均一となるので、従来のように、均一な散水分布を得るために多数の散水孔80を穿設するという必要がなくなる。
【0083】
また、散水水滴の小粒子化により飛翔慣性エネルギーが減少されるので、つまり霧状の微粒子水滴による散水によって微粒子水滴の落下速度が小さくなるので、作物に優しいマイルドな灌水を行うことができる。また、飛翔慣性エネルギーが減少されるので、散水距離及び散水高さが小さくなるものでもある。さらに、水滴の大きさも微細粒子から細粒子まで幅の広いものとすることができる。
【0084】
なお、上記の例では、給水圧力は約2.0kg/cm 2 であるが、例えば0.1〜0.5kg/cm 2 程度の低圧では、水の分散効果は小さくなるが、水流の変角作用は大きくなることがわかっている。
【0085】
ここで、上記散水孔10のレーザー光の入射角度つまり穿孔角度γは、図3(a)及び図4に示したような、0度<穿孔角度γ<90度の範囲に限らない。例えば、図9(a)に示すように、90度<穿孔角度γ<180度に設定した散水孔20とすることも可能である。
【0086】
これによっても、図9(b)に示すように、テーパー面22が水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面としての機能を果たすので、前記レーザー光の穿孔角度γが0度<穿孔角度γ<90度の場合と同様の散水状況を得ることが可能である。したがって、散水範囲又はチューブの仕様に応じて散水孔20を選択しても良い。
【0087】
また、図1に示したように、灌水用チューブ1の頂部に散水孔20を穿設しても散水流が鉛直方向に進まない性質を利用して、図10(a)(b)に示すように、散水領域反対側における灌水用チューブ1の表面、つまり灌水用チューブ1の断面において第2象限の位置に散水孔30を穿設し、反散水面側からチューブ中心線を超えて散水面側に至る散水を行うことにより、散水面側の灌水用チューブ1近傍への散水を行うことも可能である。
【0088】
このように、本実施の形態の散水体としての灌水用チューブ1は、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面11が開孔壁面15に形成された散水孔10を有している。
【0089】
また、散水体としての灌水用チューブ1は、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面11が開孔壁面15に形成される散水孔10を穿設することによって製造される。
【0090】
すなわち、従来のように、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面15に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成された散水孔80では、水は半径方向の延長線上へ棒状に飛翔する。したがって、水圧に応じて水は遠距離に散水される。
【0091】
しかし、本実施の形態によれば、灌水用チューブ1は、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面11が開孔壁面15に形成された散水孔10を有しているので、水圧がかかって水が灌水用チューブ1の半径方向へ飛翔しようとするときに水の方向が傾斜面11によって変化される。また、このとき、水の勢いがこの傾斜面11で抑制される。したがって、この抑制によって、散水距離が低減されると共に、散水高さも低減する。さらに、この傾斜面11による抑制によって、棒状に飛翔しようとする水が乱されて飛翔するので、水が分散し、散水領域が広がる。
【0092】
この結果、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ1近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔10を有する散水体としての灌水用チューブ1を提供することができると共に、散水体の製造方法を提供することができる。
【0093】
ところで、水の勢いが傾斜面11で抑制される際に、散水孔10における傾斜面11の対向面であるテーパー面12が、散水孔10の断面において傾斜面11の傾斜角度αよりもチューブ表面に向かって閉じた角度に設定されていると、分散及び拡散して飛翔しようとする水が、テーパー面12によってその分散及び拡散が防止され再び整流されることになる。
【0094】
しかし、本実施の形態では、散水孔10における傾斜面11の対向面であるテーパー面12は、散水孔10の断面において傾斜面11の傾斜角度αと平行又は傾斜面11の傾斜角度αよりもチューブ表面に向かって開いた角度である傾斜角度βを有している。
【0095】
このため、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面11の作用が遮られることがないので、水が自由に分散及び拡散できる。また、テーパー面12の傾斜角度βによって、水の分散及び拡散度合いを調整することも可能となる。
【0096】
この結果、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ1近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔10を有する灌水用チューブ1を提供することができる。
【0097】
また、本実施の形態の灌水用チューブ1では、散水孔10における傾斜面11の平面状態でのチューブ断面における傾斜角度αは、平面状態でのチューブ断面におけるチューブ裏面開口長さbに対するチューブ表面遮孔長さmの比を遮孔率S(%)とすると、10<遮孔率S(=m/b×100)<200の関係を有している。
【0098】
したがって、これによって、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ1近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔10を有する灌水用チューブ1を提供することができる。
【0099】
また、傾斜面11の傾斜角度αを遮孔率Sにて評価できるので、製造に際して利便性の向上を図ることができる。
【0100】
一方、散水孔10の傾斜面11は、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させるように傾斜しているので、必ずしも、管状状態でのチューブ断面における第1象限に設ける必要はなく、散水孔30のように、第2象限に設けることも可能である。
【0101】
これによって、灌水用チューブ1のより近傍位置に散水することが可能となる。
【0102】
また、同様にして、散水孔10の傾斜面11は、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させるように傾斜しているので、穿孔角度γとして90度<穿孔角度γ<180度に設定した散水孔20とすることも可能である。
【0103】
これによっても、散水孔20を第1象限に設けて、灌水用チューブ1のより近傍位置に散水することが可能となる。
【0104】
さらに、本実施の形態の灌水用チューブ1の製造方法では、灌水用チューブ1に散水孔10を形成するに際して、灌水用チューブ1における平面状態でのチューブに対して、チューブ表面からチューブ裏面に向かって先細りとなる円錐台状開口を斜め方向から穿設する。なお、必ずしもこれに限らず、例えば多角錐台状であっても良い。
【0105】
これによって、散水孔10の開孔壁面15に、水圧による水の半径方向への飛翔方向を確実に変化させる傾斜面11を容易に形成することができる。
【0106】
この結果、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ1近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔10を有する灌水用チューブ1の製造方法を提供することができる。
【0107】
ここで、本実施の形態の灌水用チューブ1の製造方法では、灌水用チューブ1に散水孔を形成するに際して、灌水用チューブ1における平面状態でのチューブに対して、斜め方向から筒状開口を穿設することも可能である。なお、筒状開口としては、円筒状が一般的であるが、必ずしもこれに限らず、例えば多角筒状であっても良い。
【0108】
これによっても、散水孔の開孔壁面15に、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面11を容易に形成することができる。
【0109】
この結果、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ1近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブ1の製造方法を提供することができる。
【0110】
また、本実施の形態の灌水用チューブ1の製造方法では、散水孔10の開孔壁面15に、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面11を形成する際には、レーザー光を照射して穿設する。
【0111】
これにより、精度良く、確実に、かつ容易に所望の傾斜面11を形成することができる。
【0112】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、灌水用チューブ1の散水孔10における傾斜面11は、図3(a)(b)に示すように、周回りに傾くようになっている。
【0113】
しかし、必ずしもこれに限らず、例えば、図11(a)(b)に示すように、灌水用チューブ1の長手方向から穿孔角度τで穿設し、これによって灌水用チューブ1の長手方向に傾く傾斜面11を有する散水孔10であってもよい。
【0114】
これによっても、同様の散水効果を得ることができるものとなる。
【0115】
また、上記実施の形態では、灌水用チューブ1は、薄肉のポリエチレン等の熱可塑性合成樹脂フィルムからなるシート2・2を2枚重ね合わせ、重ね合わされた互いの幅方向の周縁部をヒートシールしたものからなっている。
【0116】
しかし、必ずしもこれに限らず、例えば、図12に示すように、厚肉のパイプ又はホースからなる灌水用チューブ1aとすることが可能である。
【0117】
この灌水用チューブ1aは、例えば、厚さ2.0mm〜4.0mmのパイプ又はホースからなっており、材質としては例えばポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、天然ゴム、合成ゴム、又はエラストマー等を挙げることができる。これら材料は、適宜単独で又は組み合わせて選択される。なお、必要に応じてこれら材料には、紫外線防止剤、抗酸化剤、着色剤、その他の添加剤を含有させることができる。
【0118】
これによっても、灌水用チューブ1と同様の散水状況を得ることができるものとなる。
【0119】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図13ないし図16に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0120】
本実施の形態では、図13に示すように、前記実施の形態1で述べた散水孔10、散水孔20、散水孔80を組み合わせた灌水用チューブ1bとなっている。
【0121】
なお、散水孔80は、表面に対して末広がりとなる円錐台面を穿設したものを使用している。これによっても、前述したように、水圧により水が半径方向の延長線上へ飛翔する際に、この飛翔方向を妨げるものがないので、水が棒状に飛翔するものである。ただし、表面に対して垂直面を有する散水孔80でも良いことはいうまでもない。
【0122】
ここで、これら散水孔10、散水孔20、散水孔80を組み合わせた灌水用チューブ1bを用いたときの散水状態を把握すべく、実験を行った。
【0123】
なお、実験においては、散水孔10、散水孔20、散水孔80を組み合わせた灌水用チューブ1bとして、図14に示すように、これら散水孔10、散水孔20、散水孔80をチューブ上の第1象限における略35度の位置に一直線上に配したものを使用した。
【0124】
また、各散水孔径は、表1に示すように、散水孔80について散水孔径0.4mmΦ、散水孔10について散水孔径0.5mmΦ、散水孔20について散水孔径0.3mmΦとした。
【0125】
【表1】
【0126】
このように組み合わせた灌水用チューブ1bにおける各散水孔20・10・80の散水分布は、図15(a)に示すようになる。また、これを合成することによって、図15(b)を得る。なお、このときの給水圧力は約2.0kg/cm 2 であり、測定時間は20分である。
【0127】
これによって、灌水用チューブ1bの近傍位置から遠くの位置まで比較的均一に散水強度確保することができる。
【0128】
また、上記灌水用チューブ1bにおけるビニールハウス5内での散水状況は、図16に示すようになり、散水孔20が灌水用チューブ1bの近傍位置、散水孔10が灌水用チューブ1bからやや遠方位置、散水孔80が灌水用チューブ1bから遠方位置を担うことができる。なお、図16に示す灌水用チューブ1bにおいては、第2象限にも第1象限と対称になるように各散水孔80・10・20を穿設したものについての散水状態を示している。
【0129】
また、散水孔20・10による散水高さについても、ビニールハウス5に対して十分余裕のある散水高さにて散水し得るものとなっている。
【0130】
このように、本実施の形態の灌水用チューブ1bには、傾斜面11が形成された散水孔10と、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面15に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成された従来方式の散水孔80とが組み合わせて設けられている。
【0131】
なお、従来方式の散水孔80と傾斜面11が形成された散水孔10との組み合わせは、必ずしも1種類の傾斜面11が形成された散水孔10との組み合わせに限らず、複数種類の傾斜面11が形成された散水孔10・20と従来方式の散水孔80との組み合わせであっても良い。
【0132】
この結果、灌水用チューブ1bの近傍位置への散水は、傾斜面11が形成された散水孔10・20にて行い、灌水用チューブ1bから離れた位置への散水は、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面15に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成された散水孔80にて行うことによって、灌水用チューブ1bの近傍から遠方までの幅広い領域に散水することができる。
【0133】
したがって、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ1b近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔10・20を有する灌水用チューブ1bを提供することができる。
【0134】
また、従来の垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成された散水孔80のみによって、ある程度の散水領域を確保しようとすると、灌水用チューブ1bに孔径の異なる多数の散水孔80…を穿設する必要があったが、本実施の形態のように、傾斜面11が形成された散水孔10・20との組み合わせにおいては、従来に比べて少ない個数の散水孔10・20・80を穿設するだけでよい。
【0135】
〔実施の形態3〕
本発明のさらに他の実施の形態について図17ないし図20に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1及び実施の形態2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0136】
本実施の形態では、図17に示すように、前記実施の形態1で述べた散水孔10、散水孔30及び散水孔80を組み合わせた灌水用チューブ1cとなっている。
【0137】
なお、ここでも、散水孔80は、表面に対して末広がりとなる円錐台面を穿設したものを使用している。ただし、表面に対して垂直面を有する散水孔80でも良いことはいうまでもない。
【0138】
ここで、これら散水孔10、散水孔30、散水孔80を組み合わせた灌水用チューブ1bを用いたときの散水状態を把握すべく、実験を行った。
【0139】
なお、実験においては、散水孔10、散水孔20、散水孔80を組み合わせた灌水用チューブ1cとして、図18に示すように、これら散水孔10、散水孔80をチューブ上の第1象限における略35度の位置に一直線上に配すると共に、散水孔30については略100度の位置、つまりチューブ上の第2象限に穿設したものを使用した。
【0140】
各散水孔径は、表2に示すように、散水孔80について散水孔径0.4mmΦ、散水孔10について散水孔径0.5mmΦ、散水孔30について散水孔径0.3mmΦとした。
【0141】
【表2】
【0142】
このように組み合わせた灌水用チューブ1cにおける各散水孔30・10・80の散水分布は、図19(a)に示すようになる。また、これを合成することによって、図19(b)を得る。なお、このときの給水圧力は約2.0kg/cm 2 であり、測定時間は20分である。
【0143】
これによって、灌水用チューブ1cの近傍位置から遠くの位置まで比較的均一に散水強度を確保することができる。
【0144】
また、上記灌水用チューブ1cにおけるビニールハウス5内での散水状況は、図20に示すようになり、散水孔30が灌水用チューブ1cの近傍位置、散水孔10が灌水用チューブ1cからやや遠方位置、散水孔80が灌水用チューブ1cから遠方位置を担うことができる。なお、図20に示す灌水用チューブ1cにおいては、第2象限にも第1象限と対称になるように各散水孔80・10・30を穿設したものについての散水状態を示している。
【0145】
また、散水孔30・10による散水高さについても、ビニールハウス5に対して十分余裕のある散水高さにて散水し得るものとなっている。
【0146】
このように、本実施の形態の灌水用チューブ1cには、傾斜面11が形成された散水孔10・30と、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面15に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成された従来方式の散水孔80散水孔とが組み合わせて設けられている。
【0147】
この結果、灌水用チューブ1cの近傍位置への散水は、傾斜面11が形成された散水孔10・30にて行い、灌水用チューブ1cから離れた位置への散水は、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面15に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成された散水孔80にて行うことによって、灌水用チューブ1cの近傍から遠方までの幅広い領域に散水することができる。
【0148】
したがって、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ1c近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔10・20を有する灌水用チューブ1cを提供することができる。
【0149】
また、従来の垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成された散水孔80のみによって、ある程度の散水領域を確保しようとすると、灌水用チューブ1cに孔径の異なる多数の散水孔80…を穿設する必要があったが、本実施の形態のように、傾斜面11が形成された散水孔10・30との組み合わせにおいては、従来に比べて少ない個数の散水孔10・30・80を穿設するだけでよい。
【0150】
〔実施の形態4〕
本発明のさらに他の実施の形態について図21ないし図25に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜実施の形態3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0151】
本実施の形態では、灌水用チューブ1cの取り付け位置について説明する。
【0152】
すなわち、上記の灌水用チューブ1cのビニールハウス5の取り付け位置は、必ずしも、前記実施の形態1〜3に示したように、地面における畝の近傍とすることはなく、他の位置に取り付けることが可能である。
【0153】
例えば、図21に示すように、ビニールハウス5の両壁面に取り付けることが可能である。これによって、各畝6…への散水を、図22(a)(b)に示すように、均一に行うことができる。
【0154】
すなわち、従来においては、図31に示すように、灌水用チューブ70をビニールハウス71の両壁面に取り付けた場合には、前記開孔壁面15に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成された散水孔80では、独自の灌水用チューブ70の近傍へは散水ができないために、互いに対向壁面近傍の畝への散水を行うものであった。このため、散水孔径の大きい散水孔80が必要となると共に、灌水用チューブ70の単位長さ当たりの流量が増大し、70m程度の長さまでしか灌水用チューブ70の均一散水性を得ることができなかった。また、灌水用チューブ70への流量が大きいので、必然的に大きなポンプが必要となり、灌漑施設の設置コストが大きくなるという問題を有していた。
【0155】
しかし、本実施の形態の灌水用チューブ1cでは、散水孔80と共に散水孔30及び散水孔10を使用するので、大きな散水孔径の散水孔80・30・10を必要とすることがなくなる。
【0156】
この結果、灌水用チューブ1cの単位m当たりの流量を減少することができると共に、灌水用チューブ1cの均一散水性も確保することが可能となった。
【0157】
一方、灌水用チューブ1cの取り付け位置は、ビニールハウス5におけるさらに他の場所にも行うことができる。
【0158】
すなわち、図23に示すように、ビニールハウス5の天井に1個の灌水用チューブ1cを取り付けた頭上灌水を行うことができる一方、図24に示すように、ビニールハウス5の天井に2個の灌水用チューブ1c・1cを取り付けた頭上灌水を行うことが可能となる。
【0159】
また、頭上灌水においては、図25に示すように、灌水用チューブ1cを用いる際に、散水孔80・30・10における各散水孔径を小さくすることにより、細霧状の散水を行うことができる。これによって、気化熱によるビニールハウス5内の気温を下げる細霧冷房として利用することが可能となる。
【0160】
このように、本実施の形態の灌水用チューブ1cは、取り扱い性の向上及び機能性の向上を図ることも可能となる。
【0161】
本発明の散水体は、水圧による水の飛翔方向を一部遮蔽して変化させる傾斜面がシート開孔壁面に形成された散水孔を有する。なお、ここで、シートとは、0.1mm〜4mm程度の厚みを有するものとする。好ましくは、0.2mm〜1mmである。また、シートの材質は、樹脂に限らず金属やゴムであっても良い。また、シートは必ずしも広いものとする場合に限らず、噴霧器の先端等に使用されるノズルとして小さいものであってもよい。
【0162】
このように、本発明の散水体は、水圧による水の飛翔方向を一部遮蔽して変化させる傾斜面がシート開孔壁面に形成された散水孔を有する。なお、ここで、シートとは、0.1mm〜4mm程度の厚みを有するものとする。好ましくは、0.2mm〜1mmである。また、シートの材質は、樹脂に限らず金属やゴムであっても良い。また、シートは必ずしも広いものとする場合に限らず、噴霧器の先端等に使用されるノズルとして小さいものであってもよい。
【0163】
すなわち、従来の散水用のノズルや灌水用チューブ等の散水体は、一般に、シートにおける散水孔の開孔壁面がシート断面に対して垂直又は表面に向かって末広がりとなる円錐台となった散水孔、つまり通常はシートに対して垂直円筒状、又は表面に対して末広がりとなる円錐台状の散水孔を有している。そして、この散水孔から水圧によって飛翔される水は、半径方向の延長線上へその飛翔方向が妨げられることなく飛翔されるので、その放出された水は棒状に散水されるものとなっていた。このため、遠方には散水できるものの、散水体の近傍における広い領域に散水することができなかった。
【0164】
しかし、本発明では、散水体は、水圧による水の飛翔方向を一部遮蔽して変化させる傾斜面がシート開孔壁面に形成された散水孔を有している。
【0165】
このため、水圧がかかって水が散水体から飛翔しようとするときに水の方向がこの傾斜面によって一部遮蔽されて変化する。また、このとき、水の勢いがこの傾斜面で抑制される。したがって、この抑制によって、散水距離が低減される。
【0166】
また、この傾斜面による抑制によって、棒状に飛翔しようとする水が乱されて飛翔するので、水が分散し、散水領域が広がる。
【0167】
この結果、散水体の近傍位置において、より広い領域への散水を可能とする散水体を提供することができる。
【0168】
また、本発明の散水体の製造方法は、水圧による水の飛翔方向を一部遮蔽して変化させる傾斜面がシート開孔壁面に形成される散水孔を穿設する。
【0169】
上記の発明によれば、散水体は、水圧による水の飛翔方向を一部遮蔽して変化させる傾斜面がシート開孔壁面に形成される散水孔を穿設することにより、製造される。
【0170】
この結果、散水体の近傍位置において、より広い領域への散水を可能とする散水体の製造方法を提供することができる。
【0171】
また、本発明の灌水用チューブは、チューブ径が直径30〜40mmであり、前記散水孔は、穿孔角度τが20〜80度である第1の散水孔と、穿孔角度τが90度<穿孔角度τ<180度である第2の散水孔と、開孔壁面に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成される第3の散水孔とからなり、前記第1の散水孔における傾斜面の対向面は、上記第1の散水孔の断面において傾斜面の傾斜角度よりもチューブ表面に向かって開いた角度を有して形成されており、前記第2の散水孔における傾斜面の対向面は、上記第2の散水孔の断面において傾斜面の傾斜角度よりもチューブ表面に向かって開いた角度を有して形成されており、前記第1ないし第3の散水孔は、チューブ管状断面の第1象限における略35度の位置に、一直線上に配置されることが可能である。
【0172】
また、本発明の灌水用チューブは、チューブ径が直径30〜40mmであり、前記散水孔は、穿孔角度τが20〜80度である第1の散水孔と、管状断面の第2象限に配置される第2の散水孔と、開孔壁面に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる円錐台面が形成される第3の散水孔とからなり、前記第1の散水孔における傾斜面の対向面は、上記第1の散水孔の断面において傾斜面の傾斜角度よりもチューブ表面に向かって開いた角度を有して形成されており、前記第2の散水孔における傾斜面の対向面は、上記第2の散水孔の断面において傾斜面の傾斜角度よりもチューブ表面に向かって開いた角度を有して形成されており、前記第1の散水孔と第3の散水孔とが、チューブ管状断面の第1象限における略35度の位置に、一直線上に配置されると共に、前記第2の散水孔が、チューブ管状断面の第2象限における略100度の位置に配置されることが可能である。
【0173】
【発明の効果】
本発明の灌水用チューブは、以上のように、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成された散水孔を有し、上記散水孔における傾斜面の対向面は、当該散水孔の断面において傾斜面の傾斜角度よりもチューブ表面に向かって開いた角度を有して形成されているものである。
【0174】
それゆえ、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面の作用が遮られることがないので、水が自由に分散及び拡散できる。また、対向面の開き角度によって、水の分散及び拡散度合いを調整することも可能となる。
【0175】
この結果、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブを提供することができるという効果を奏する。
【0176】
また、本発明の灌水用チューブは、以上のように、上記記載の灌水用チューブにおいて、前記散水孔における傾斜面の平面状態でのチューブ断面における傾斜角度は、平面状態でのチューブ断面におけるチューブ裏面開口長さbに対するチューブ表面遮孔長さmの比を遮孔率S(%)とすると、10<遮孔率S(=m/b×100)<200の関係を有するものである。
【0177】
それゆえ、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブを提供することができる。
【0178】
また、傾斜面の傾斜角度を遮孔率Sにて評価できるので、製造に際して利便性の向上を図ることができるという効果を奏する。
【0179】
また、本発明の灌水用チューブは、以上のように、上記記載の灌水用チューブにおいて、前記散水孔は、管状状態でのチューブ断面における第2象限に設けられているものである。
【0180】
それゆえ、灌水用チューブのより近傍位置に散水することが可能となる。
【0181】
また、第1象限と第2象限との両方に設けることも可能である。
また、本発明の灌水用チューブは、以上のように、上記記載の灌水用チューブにおいて、前記傾斜面が形成された散水孔と、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる錐台面が形成された散水孔とを組み合わせて有するものである。
【0182】
それゆえ、灌水用チューブの近傍位置への散水は、傾斜面が形成された散水孔にて行い、灌水用チューブから離れた位置への散水は、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる錐台面が形成された散水孔にて行うことによって、灌水用チューブの近傍から遠方までの幅広い領域に散水することができる。
【0183】
したがって、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブを提供することができるという効果を奏する。
【0184】
また、従来に比べて少ない個数の散水孔を穿設するだけでよいという効果を奏する。
【0185】
また、本発明の灌水用チューブの製造方法は、以上のように、上記記載の灌水用チューブの製造方法であって、灌水用チューブにおける平面状態でのチューブに対して、チューブ表面からチューブ裏面に向かって先細りとなる錐台状開口を斜め方向からレーザー光を照射して穿設することにより、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成された散水孔を形成する方法である。
【0186】
それゆえ、散水孔の開孔壁面に、水圧による水の半径方向への飛翔方向を確実に変化させる傾斜面を容易に形成することができる。
【0187】
この結果、確実に、より広い領域への散水を可能とし、かつ散水高さを余り必要とせずに灌水用チューブ近傍位置に適正な灌水強度を確保し得る散水孔を有する灌水用チューブの製造方法を提供することができるという効果を奏する。
【0188】
また、特に、散水孔の開孔壁面に、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面を形成する際には、レーザー光を照射して穿設する。
【0189】
それゆえ、精度良く、確実に、かつ容易に所望の傾斜面を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明における灌水用チューブの実施の一形態を示すものであり、灌水用チューブにおける散水孔の傾斜面によって、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる原理を示す断面図である。
【図2】 上記灌水用チューブを示す斜視図である。
【図3】 (a)は平面状態におけるチューブに対して、レーザー光を0°<穿孔角度γ<90°にて照射して散水孔を穿孔した状態を示す断面図であり、(b)は(a)の方法で穿孔した散水孔を備えた灌水用チューブの通水時における状態を示す断面図である。
【図4】 (a)は灌水用チューブにおける散水孔の平面状態における平面図、(b)は灌水用チューブにおける散水孔の平面状態における断面図である。
【図5】 上記灌水用チューブにおける斜め穿孔された散水孔から放出される水流の分散状態を示す斜視図である。
【図6】 上記灌水用チューブにおける斜め穿孔された散水孔と垂直穿孔された散水孔との散水パターンの相違を示す説明図であり、(a)は垂直穿孔された散水孔の散水パターンを示すもの、(b)は斜め穿孔された散水孔の散水パターンを示すものである。
【図7】 上記灌水用チューブにおける斜め穿孔された散水孔と垂直穿孔された散水孔との散水分布の相違を示すグラフであり、(a)は垂直穿孔された散水孔の灌水強度と散水距離との関係を示すもの、(b)は斜め穿孔された散水孔の灌水強度と散水距離との関係を示すものである。
【図8】 上記灌水用チューブにおける斜め穿孔された散水孔と垂直穿孔された散水孔との散水分布の相違を示す平面状態の分布図であり、(a)は垂直穿孔された散水孔による散水領域を示すもの、(b)は斜め穿孔された散水孔による散水領域を示すものである。
【図9】 (a)は平面状態におけるチューブに対して、レーザー光を90°<穿孔角度γ<180°にて照射して散水孔を穿孔した状態を示す断面図であり、(b)は(a)の方法で穿孔した散水孔を備えた灌水用チューブの通水時における状態を示す断面図である。
【図10】 (a)は平面状態におけるチューブに対して、反散水面側へレーザー光を0°<穿孔角度γ<90°にて照射して散水孔を穿孔した状態を示す断面図であり、(b)は(a)の方法で穿孔した散水孔を備えた灌水用チューブの通水時における状態を示す断面図である。
【図11】 灌水用チューブの長手方向から斜めに散水孔を穿設した状態を示すものであり、(a)は斜視図、(b)は(a)におけるB−B線断面図である。
【図12】 材質として厚肉のパイプ又はホースを用いた灌水用チューブを示す斜視図である。
【図13】 本発明における灌水用チューブの他の実施の形態を示すものであり、2種の斜め穿孔された散水孔と垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブを示す断面図である。
【図14】 上記2種の斜め穿孔された散水孔と垂直穿孔された散水孔とを組み合わせて一直線上に配してなる灌水用チューブを示す斜視図である。
【図15】 上記2種の斜め穿孔された散水孔と垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブの散水分布を示すグラフであり、(a)は各散水孔による個別の散水分布を示すもの、(b)は(a)の各散水孔による個別の散水分布を合成した散水分布を示すものである。
【図16】 上記2種の斜め穿孔された散水孔と垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブのビニールハウス内での散水状態を示す説明図である。
【図17】 本発明における灌水用チューブのさらに他の実施の形態を示すものであり、反散水面側にも斜め穿孔された散水孔を穿設したものと散水面側に斜め穿孔された散水孔を穿設したものと垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブを示す断面図である。
【図18】 上記反散水面側にも斜め穿孔された散水孔を穿設したものと散水面側に斜め穿孔された散水孔を穿設したものと垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブを示す斜視図である。
【図19】 上記反散水面側にも斜め穿孔された散水孔を穿設したものと散水面側に斜め穿孔された散水孔を穿設したものと垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブの散水分布を示すグラフであり、(a)は各散水孔による個別の散水分布を示すものであり、(b)は(a)の各散水孔による個別の散水分布を合成した散水分布を示すものである。
【図20】 上記反散水面側にも斜め穿孔された散水孔を穿設したものと散水面側に斜め穿孔された散水孔を穿設したものと垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブのビニールハウス内での散水状態を示す説明図である。
【図21】 本発明における灌水用チューブのさらに他の実施の形態を示すものであり、反散水面側にも斜め穿孔された散水孔を穿設したものと散水面側に斜め穿孔された散水孔を穿設したものと垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブをビニールハウスの壁面に取り付けて散布した状態を示す説明図である。
【図22】 上記反散水面側にも斜め穿孔された散水孔を穿設したものと散水面側に斜め穿孔された散水孔を穿設したものと垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブをビニールハウスの壁面に取り付けて散布したときの散水分布を示すグラフであり、(a)は各散水孔による個別の散水分布を示すものであり、(b)は(a)の各散水孔による個別の散水分布を合成した散水分布を示すものである。
【図23】 上記反散水面側にも斜め穿孔された散水孔を穿設したものと散水面側に斜め穿孔された散水孔を穿設したものと垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブをビニールハウス内で頭上灌水として用いた状態を示す説明図である。
【図24】 上記反散水面側にも斜め穿孔された散水孔を穿設したものと散水面側に斜め穿孔された散水孔を穿設したものと垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブをビニールハウス内で2個取り付けて頭上灌水として用いた状態を示す説明図である。
【図25】 各散水孔の穿設孔径を小さくして上記反散水面側にも斜め穿孔された散水孔を穿設したものと散水面側に斜め穿孔された散水孔を穿設したものと垂直穿孔された散水孔とを組み合わせてなる灌水用チューブをビニールハウス内で取り付けて細霧冷房として用いた状態を示す説明図である。
【図26】 従来の灌水用チューブにおけるビニールハウスでの散水状態を示す説明図である。
【図27】 (a)は平面状態におけるチューブに対して、レーザー光を垂直に照射して筒状散水孔を穿孔した状態を示す断面図であり、(b)は(a)の方法で穿孔した散水孔を備えた灌水用チューブの通水時における状態を示す断面図である。
【図28】 (a)は平面状態におけるチューブに対して、レーザー光を垂直に照射して円錐台状散水孔を穿孔した状態を示す断面図であり、(b)は(a)の方法で穿孔した散水孔を備えた灌水用チューブの通水時における状態を示す断面図である。
【図29】 上記垂直穿孔された散水孔におけるビニールハウスでの散水状態を示す説明図であり、(a)は灌水用チューブ近傍に灌水を十分に行うためには、散水がビニールハウスの天井に接触する状態を示すもの、(b)はビニールハウスの天井に
接触しないように散水したときには未散水領域が生じる状態を示すものである。
【図30】 寒冷紗が設けられたビニールハウス内で散水する状態を示す説明図である。
【図31】 上記垂直穿孔された散水孔を有する灌水用チューブをビニールハウスの壁面に取り付けて散水する状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 灌水用チューブ(散水体)
1a 灌水用チューブ(散水体)
1b 灌水用チューブ(散水体)
1c 灌水用チューブ(散水体)
2 シート
10 散水孔
11 傾斜面
12 テーパー面(対向面)
15 開孔壁面(シート開口壁面)
20 灌水用チューブ(散水体)
30 灌水用チューブ(散水体)
80 灌水用チューブ(散水体)
b チューブ裏面開口長さ
m チューブ表面遮孔長さ
S 遮孔率
α 傾斜面の傾斜角度
β テーパー面の傾斜角度
γ 穿孔角度
σ 散水仰角
Claims (4)
- 水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成された散水孔を有し、
上記散水孔における傾斜面の対向面は、当該散水孔の断面において傾斜面の傾斜角度よりもチューブ表面に向かって開いた角度を有して形成され、
前記散水孔における傾斜面の平面状態でのチューブ断面における傾斜角度は、平面状態でのチューブ断面におけるチューブ裏面開口長さbに対するチューブ表面遮孔長さmの比を遮孔率S(%)とすると、
10<遮孔率S(=m/b×100)<200
の関係を有することを特徴とする灌水用チューブ。 - 前記散水孔は、管状状態でのチューブ断面における第1象限及び第2象限のうちのいずれか一方、又はその両方に設けられていることを特徴とする請求項1記載の灌水用チューブ。
- 前記傾斜面が形成された散水孔と、水を水圧により半径方向へ飛翔させるべく開孔壁面に垂直面又は表面に向かって末広がりとなる錐台面が形成された散水孔とを組み合わせて有することを特徴とする請求項1又は2に記載の灌水用チューブ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の灌水用チューブの製造方法であって、
灌水用チューブにおける平面状態でのチューブに対して、チューブ表面からチューブ裏面に向かって先細りとなる錐台状開口を斜め方向からレーザー光を照射して穿設することにより、水圧による水の半径方向への飛翔方向を変化させる傾斜面が開孔壁面に形成された散水孔を形成することを特徴とする灌水用チューブの製造方法。
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