JP2004145166A - アレイ型導波路格子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光信号の波長領域において波長依存性が無く、光信号のパワーを2等分にする光分岐器2と、光分岐器2と入力スラブ導波路5とを接続する2本の入力導波路3、4とを備え、光分岐器2により2等分され、2本の入力導波路3、4を介して入力スラブ導波路5に入射された光信号による干渉縞の間隔が、入力スラブ導波路5とアレイ導波路6の境界5bにおけるアレイ導波路6の間隔に等しく、かつ、干渉縞の強めあう位置がアレイ導波路6の位置であるように、2本の入力導波路3、4を入力スラブ導波路5へ配置したアレイ型導波路格子。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アレイ型導波路格子に関し、波長分割多重通信において使用される波長合分波器に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
光通信技術の急速な発達により、各種光部品が研究開発されている。中でも平面基板上の光導波路を基本とした導波路型光部品が最も重要な位置を占めている。これは、導波路型光部品がフォトリソグラフィ技術及び微細加工技術により、光波長以下の精度で再現性良く量産可能という特徴を有するからである。特に、アレイ型光導波路格子は、波長分割多重(以下、WDM)通信において、波長の合分波を効率的に行うために欠くことのできない導波路型光部品である。
【0003】
しかしながら、アレイ型導波路格子は光伝搬の性質上、比較的大きな損失を有する部品である。すなわち、アレイ型導波路格子においては、アレイ型導波路格子を構成するアレイ導波路とその入出力端となるスラブ導波路との光学的伝搬モードの不整合により原理的に損失を生じる。この問題を解決するため、従来とられてきた方法が、図9に示すものである。
【0004】
図9は、従来のアレイ型導波路格子の低損失化の方法を示す概略図であり、アレイ導波路とスラブ導波路の境界を示す図である(非特許文献1参照)。
【0005】
図9に示すように、従来の方法では、スラブ導波路21とアレイ導波路22の境界領域において、スラブ導波路21からアレイ導波路22の方向(境界23bから先端23aへの方向)に徐々にその厚さが薄くなるテーパ領域23を設けることで、断熱的にモードを変換して、その不整合により生じる放射損失を低減していた。例えば、比屈折率差0.75%の石英系光導波路により作製されたチャネル間隔100GHz、波長数16のアレイ型導波路格子においては、スラブ導波路21の厚みが4.5μmであるときに、テーパ領域23のテーパ長Lはおよそ500μmである。ここで、“断熱的”とは、熱力学で用いられる“断熱変化”を意味するものではなく、光伝搬の解析において用いられる“adiabatic”を意味する。
【0006】
図10は、図9の構成により作製されたアレイ型導波路格子の中心波長におけるスペクトルである。図10に示すように、低損失化を施さない場合に比較して、従来の方法の低損失化を適用した場合は、損失が5.2dBから3.9dBに低減される。
【0007】
【非特許文献1】
A. Sugita et al、 IEEE、 Photon. Technol. Lett. Vol. 12、 No.9、 ppl180−2、 2000.
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のアレイ型導波路格子では、図9に示すようなテーパ領域23が、導波路作製時のプロセス条件を工夫することにより作製されていた。これは、プロセス条件に対する作製時の誤差に依存して、テーパ領域23のテーパ長Lが変動することを意味する。すなわち、テーパ長Lの変動はアレイ型導波路格子の損失の変動につながる。
【0009】
しかも、テーパ領域23を作製するためのプロセス条件は、非常に狭い範囲にあり、テーパ長Lが作製環境の変化に敏感に影響されていた。すなわち、テーパ長Lは、環境温度や湿度等の変動による作製時期の違いによりばらつきを生じ、結果として、アレイ型導波路格子の伝搬損失にも、作製バッチごとにばらつきを生じるという問題を生じていた。
【0010】
又、アレイ型導波路格子は、波長多重の光信号を波長に応じて分波できるフィルタ機能を有しており、出力側のスラブ導波路に接続されている出力導波路の開口部に、波長に応じた光を到達させる必要が有る。しかしながら、上記テーパ領域23を作製するためのプロセスは変動しやすく、その作製誤差の影響により、光分波特性が微妙にずれ、出力導波路の中央に求める波長が一致しない現象(センタ波長ズレ)も生じていた。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、作製工程に影響されることなく低損失化を可能とするとともにセンタ波長のずれを防止するアレイ型導波路格子を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1に係るアレイ型導波路格子は、光信号を回折する入力スラブ導波路及び出力スラブ導波路と、前記入力スラブ導波路と前記出力スラブ導波路とを接続し、長さの異なる複数の導波路からなるアレイ導波路とを有し、更に、前記光信号の波長領域において波長依存性が無く、前記光信号のパワーを2等分にする光分岐器と、前記光分岐器と前記入力スラブ導波路とを接続する2本の入力導波路とを備え、前記光分岐器により2等分され、前記2本の入力導波路を介して前記入力スラブ導波路に入射された前記光信号による干渉縞の間隔が、前記入力スラブ導波路と前記アレイ導波路の境界における前記アレイ導波路の間隔に等しく、かつ、前記干渉縞の強めあう位置が前記アレイ導波路の位置であるように、前記2本の入力導波路を前記入力スラブ導波路へ配置したことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する本発明の請求項2に係るアレイ型導波路格子は、前記2本の入力導波路が当該アレイ型導波路格子の同一波長における隣り合う回折次数位置に配置されたことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する本発明の請求項3に係るアレイ型導波路格子は、前記入力スラブ導波路と前記アレイ導波路の境界における前記アレイ導波路の間隔をd、前記入力スラブ導波路の等価屈折率をns、当該アレイ型導波路格子の中心波長をλとしたとき、前記入力スラブ導波路の境界における前記アレイ導波路の中心の導波路との接点と、前記入力スラブ導波路の境界における前記2本の入力導波路との2つの接点の中心位置とを結ぶ線分に対して、前記2本の入力導波路の前記入力スラブ導波路への接続位置を、θ=arcsin(λ/2nsd)[rad]の角度に配置するとともに、前記入力スラブ導波路の境界における前記2本の入力導波路との2つの接点及び前記入力スラブ導波路の境界における前記アレイ導波路の中心の導波路との接点に外接する円上に、前記アレイ導波路の前記入力スラブ導波路への接続位置を配置したことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する本発明の請求項4に係るアレイ型導波路格子は、前記出力スラブ導波路に接続された複数の出力光導波路と、前記光信号の波長領域において波長依存性が無く、一波長につき2本となる前記出力導波路の前記光信号を、各々の波長ごとに合波する複数の光合波器とを有することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する本発明の請求項5に係るアレイ型導波路格子は、前記アレイ導波路と前記出力スラブ導波路との境界における前記アレイ導波路から前記出力スラブ導波路へ出射する前記光信号の位相が、当該アレイ型導波路格子の中心波長において等位相となるように、前記アレイ導波路の光路長差が設定されたことを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明に係るアレイ型導波路格子は、入力スラブ導波路における光の干渉を利用し、入力スラブ導波路における入出力導波路の配置を適切に設定することにより、光信号の損失を低減させるとともに光分波特性の微妙なずれ(センタ波長ズレ)を校正するものである。具体的には、入力スラブ導波路の入力導波路側に、1:1(2等分)の分岐比を持つカプラ部(光分岐器)と、カプラ部に接続する2本の入力導波路を設け、1:1に分岐させた光信号を入力スラブ導波路内で干渉させて、入力スラブ導波路の入力導波路の接続位置と、入力スラブ導波路の出力側、つまり、光信号のアレイ導波路部への入力側となる出力導波路の接続位置とを適切に配置することで、微妙なセンタ波長ズレを制御し、低損失化を図るものである。
【0018】
このような効果を有する本発明に係るアレイ型導波路格子の実施形態の具体例を以下に示し、図面を用いて詳細に説明する。又、全図面において、同一の機能を有するものは同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0019】
(実施例1)
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示すアレイ型導波路格子の概略図である。
【0020】
図1に示すように、本発明に係るアレイ型導波路格子は、光信号を回折する入力スラブ導波路5及び出力スラブ導波路7と、入力スラブ導波路5と出力スラブ導波路7との間を接続し、長さの異なる複数の導波路からなるアレイ導波路6とを有している。更に、入力スラブ導波路5の入力側には、光信号の入力側となる光導波路1と、光信号の波長領域において波長依存性が無く、光導波路1からの光信号のパワーを2等分に分岐する光分岐器2と、光分岐器2と入力スラブ導波路5との間を接続する2本の入力導波路3、4とを有しており、出力スラブ導波路7の出力側には、出力スラブ導波路7に接続された複数の出力導波路8、9と、光信号の波長領域において波長依存性が無く、光信号の一波長につき2本となる出力導波路8、9の光信号を、各々の波長ごとに合波する光合波器10と、合波された光信号を出力する光導波路11とを有している。
【0021】
上記構成のアレイ型導波路格子は、Si等の平面基板上に、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術等の微細加工技術を用いて、石英等の光導波路を形成することで、容易に作製することができる。光導波路としては、石英に限らず、半導体やポリマーなどの材料が適用可能である。
【0022】
次に、上記構成のアレイ型導波路格子における作用、効果を説明する。波長多重された光信号(以下、波長多重信号)は光導波路1を経由して、波長依存性のない光分岐器2により1:1の等パワーに2分岐される。等パワーに2分岐された波長多重信号は入力導波路3、4を介して、入力スラブ導波路5へと伝搬する。ここで、2本の入力導波路3、4は、入力スラブ導波路5に対して、本アレイ型導波路格子の自由スペクトルレンジ(FSR:Free spectral range)に等しい位置に配置される。つまり、2本の入力導波路3、4が、アレイ型導波路格子の同一波長における隣り合う回折次数位置に配置されたことを意味する。
【0023】
入力スラブ導波路5とアレイ導波路6の境界5bにおいては、2本の入力導波路3、4からの波長多重信号の干渉縞が励起される。又、境界5bにおけるアレイ導波路6の間隔(図2における間隔d参照)は、2本の入力導波路3、4の配置位置により決定され、2本の入力導波路3、4がFSRに等しい位置に配置されているため、干渉縞の間隔はアレイ導波路6の間隔に一致することとなる。更に、干渉縞の強めあう位置をアレイ導波路の位置になるように、アレイ導波路の配置位置を決定したので、干渉された波長多重信号の位置をアレイ導波路に対して最適に配置することとなる。したがって、アレイ導波路6は干渉縞により効率良く励振され、従来のアレイ型導波路格子において観察される、境界5bでの光の放射は低減される。すなわち、本発明に係るアレイ型導波路格子の低損失化が図られることとなる。
【0024】
さらに、アレイ導波路6を伝搬した波長多重信号は、アレイ導波路6が有する光路長差ΔLにより、各々の波長において異なる位相遅延を受けるため、出力スラブ導波路7とアレイ導波路6の境界7aから出力スラブ導波路7へと伝搬した波長多重信号は、出力スラブ導波路7と出力導波路8、9との境界7bにおいて、波長ごとに干渉縞を励起する。ここで、境界面7bにおいて励起される干渉縞は、光の相反性の原理より、入力スラブ導波路5と入力導波路3、4との境界5aと同様の位置関係を保つ干渉縞が、波長ごとに2箇所に生じたものである。このうち同一波長の一方の干渉縞が出力導波路8に、他方の干渉縞が出力導波路9に入射するように、出力導波路8、9を波長ごとに配置する。波長ごとに励起された干渉縞は、波長ごとに分割された光信号(以下、波長分割信号)として出力導波路8、9により受光された後、波長依存性のない光合波器10により合波され、光導波路11を経由して出力される。
【0025】
図2は、図1に示したアレイ型導波路格子における入力導波路、入力スラブ導波路及びアレイ導波路の位置関係を示す概略図である。
【0026】
図2に示す入力導波路3、4、入力スラブ導波路5及びアレイ導波路6の位置関係は、光分岐器2により2等分され、2本の入力導波路3、4を介して入力スラブ導波路5に入射された波長多重信号による干渉縞の間隔が、入力スラブ導波路5とアレイ導波路6の境界5bにおけるアレイ導波路6の間隔dに等しく、かつ、干渉縞の強めあう位置がアレイ導波路6の位置であるように、入力スラブ導波路5における2本の入力導波路3、4及びアレイ導波路6を配置したものである。ここで、アレイ導波路の中心導波路を中心アレイ導波路6cとし、アレイ導波路6の間隔をd、入力スラブ導波路5の焦点距離をf、入力導波路3、4が中心アレイ導波路6cの入力スラブ導波路5方向への延長線となす角度をθとした。角度θは、FSRを与える角度に相当する。
【0027】
比屈折率差0.75%の石英系光波回路を用いて、100GHz間隔、16CHの本実施例のアレイ型導波路格子を作製した。比屈折率差0.75%の石英系光波回路において、スラブ導波路の等価屈折率は1.4529である。アレイ導波路6の間隔dを15μm、中心波長を1.5525μmとした場合、焦点距離fは4517.7mm、アレイ導波路6の各導波路間の光路長差ΔL=126.3μmである。又、1600GHzのFSRに相当する角度2θは4.06°である。なお、本実施例では、光分岐器2及び光合波器10としては、50%合分波多モード干渉カプラを用いた。
【0028】
図3は、実施例1のアレイ型導波路格子と低損失化処理を施していないアレイ型導波路格子の中心チャネルにおけるスペクトルを示す図である。
低損失化を施していないアレイ型導波路格子に比べ、実施例1のアレイ型導波路格子の損失は、5.2dBから3.4dBに低減されたことがわかる。
【0029】
(実施例2)
図4、図5は、本発明に係る実施形態の他の一例を示すアレイ型導波路格子の概略図である。図4はアレイ型導波路格子の全体図を示し、図5はアレイ導波路、入力導波路及びスラブ導波路の位置関係を示す図である。
【0030】
本実施例のアレイ型導波路格子は、入出力スラブ導波路15、17の構成を除き、その基本的な構成は実施例1において示したアレイ型導波路格子と同等である。従って、本実施例に特徴的な部分を中心に説明する。
【0031】
図4に示すアレイ型導波路格子においても、波長多重信号は、光導波路1を経由して、光分岐器2により1:1の等パワーに2分岐される。等パワーに2分岐された波長多重信号は入力導波路3及び4を介して、入力スラブ導波路15へと伝搬する。
【0032】
入力スラブ導波路15に入射した波長多重信号は、後述(図5参照)の干渉現象を境界15bにおいて経験し、アレイ導波路6を経て出力スラブ導波路17へと伝搬する。アレイ導波路6においては、従来のアレイ型導波路格子と同様に各導波路に波長ごとに位相差を与える光路長差ΔLが設定されており、出力スラブ導波路17と出力導波路8、9の境界面17bにおいて波長ごとに干渉縞が誘起される。ここで、光の相反性の原理より、境界面17bにおいては、入力スラブ導波路15と入力導波路3、4との境界15aと同様の位置関係を保つ干渉縞が波長ごとに2本生じる。このうち同一波長の一方の干渉縞が出力導波路8に、他方の干渉縞が出力導波路9に入射するように、出力導波路8、9を波長ごとに配置する。出力導波路8及び出力導波路9へと導かれた波長分割信号は、光合波器10により合波され、光導波路11を経由して出力される。
【0033】
図5は、入力導波路、入力スラブ導波路及びアレイ導波路の位置関係を示す図である。
【0034】
図5に示すように、本実施例における入力スラブ導波路15では、境界15bにおける中心アレイ導波路6cと入力スラブ導波路15との接続点Dと、境界15aにおける入力導波路3、4と入力スラブ導波路15との接続点A、Bの中間位置、中点Oとを結ぶ線分ODに対して、入力導波路3、4を以下の式を満たす角度に配置する。
θ=arcsin(λ/2nsd)[rad] ・・・ (1)
【0035】
又、アレイ導波路6を、接続点A、B及び接続点Dに外接する円C上において、言い換えれば、線分OD上のDからf/(2cosθ)の位置C0を中心とし、半径f/(2cosθ)の円C上において入力スラブ導波路15と接続するように配置する。すなわち、入力スラブ導波路15は、入力導波路3、4との境界15a(入射側)においては、Dを中心とし半径fの円弧を有し、アレイ導波路6との境界15bにおいては、C0を中心とし半径f/(2cosθ)の円弧を有する。ここで、アレイ型導波路格子の中心波長をλ、境界15bにおけるアレイ導波路6の導波路間隔をd、入力スラブ導波路15の焦点距離をf、入力スラブ導波路の等価屈折率をnsとする。
【0036】
このように設定することで、入力スラブ導波路15とアレイ導波路6の境界15bで生じる干渉縞の間隔はアレイ導波路6の間隔dと等しくなり、かつ、干渉縞の強めあう位置がアレイ導波路6の位置になるので、各アレイ導波路6での励振効率が改善される。すなわち、従来のアレイ型導波路格子ではアレイ導波路6と入力スラブ導波路15の境界15bでは、光強度は空間的に一様に広がるのに対し、本発明におけるアレイ型導波路格子では、干渉現象を利用することによりアレイ導波路6の各々の導波路の位置に光強度が局在するので、入力スラブ導波路15からアレイ導波路6へ結合する光強度は、従来と比較して増加する。したがって、アレイ型導波路格子の低損失化が図られることとなる。
【0037】
比屈折率差0.75%の石英系光波回路を用いて、100GHz間隔、16CHの本実施例のアレイ型導波路格子を作製した。比屈折率差0.75%の石英系光波回路において、スラブ導波路の等価屈折率は1.4529であり、アレイ導波路間隔dを15μm、中心波長を1.5525μmとした場合、焦点距離fは4517.7mm、ΔL=126.3μmである。したがって、入力導波路3、4と線分ODのなす角θは式(1)より0.017813radである。なお、本実施例では、光分岐器2及び光合波器10として3dB方向性結合器を用いた。
【0038】
図6は、実施例2のアレイ型導波路格子と低損失化処理を施していないアレイ型導波路格子の中心チャネルにおけるスペクトルを示す図である。
低損失化を施していないアレイ型導波路格子に比べ、実施例2のアレイ型導波路格子の損失は、5.2dBから3.6dBに低減されたことがわかる。
【0039】
(実施例3)
図7、図8は、本発明に係る実施形態の更なる他の一例を示すアレイ型導波路格子の概略図である。図7はアレイ型導波路格子の全体図を示し、図8はアレイ導波路の概略図である。
【0040】
本実施例のアレイ型導波路格子は、アレイ導波路16及び出力スラブ導波路17の出力側の構成を除き、その基本的な構成は実施例2において示したアレイ型導波路格子と同等である。従って、本実施例に特徴的な部分を中心に説明する。
【0041】
本実施例では、実施例2おいて示した構成の光導波路1、光分岐器2、入力導波路3、4、入力スラブ導波路15及び出力スラブ導波路17を用いる。実施例2と同様に、入力スラブ導波路15と位相差付きアレイ導波路16との境界15bには、位相差付きアレイ導波路16のアレイ導波路の間隔dに一致した周期の干渉縞が励起される。したがって、波長多重信号は入力スラブ導波路15から位相差付きアレイ導波路16へ効率良く伝搬する。図8に示すように、位相差付きアレイ導波路16は、隣り合うアレイ導波路ごとに位相差π[rad]が設定される。したがって、位相差付きアレイ導波路16と出力スラブ導波路17との境界17aにおいて、位相差付きアレイ導波路16からの伝搬光は、アレイ型導波路格子の中心波長λですべて等位相となる。
【0042】
実施例2においては、アレイ導波路6と入力スラブ導波路15の境界15bに励起される干渉縞は、隣り合うアレイ導波路ごとに0、π、0、π、・・・との位相差をもつため、アレイ導波路6と出力スラブ導波路17の境界17aにおいても、この0、π、0、π、・・・なる位相関係が維持される。したがって、出力導波路8、9と出力スラブ導波路17の境界17bでは、2箇所に結像する。
【0043】
しかし、本実施例においては、上述のように位相差付きアレイ導波路16に、導波路ごとに0、π、0、π、・・・なる位相差が設定されるため、境界17bでは結像は1箇所で生じる。さらに、中心波長以外の波長では、位相差付きアレイ導波路16に設定された光路長差ΔLにより波面は傾くので、境界17bにおいて波長分波が可能となる。境界17bで波長ごとに分波された光信号は、波長ごとにそれぞれ1つの出力導波路12へと結合する。つまり、アレイ型導波路格子の中心波長において、位相差つきアレイ導波路16と出力スラブ導波路17の境界17aでの各アレイ導波路16を伝搬した光信号の位相差が等位相となるように、アレイ導波路16の各導波路に0、π、0、π、・・・なる位相差を付与するため、この位相差により、出力スラブ導波路17と出力側の光導波路12の境界17bには、波長ごとに一つの干渉縞が励起され、波長ごとに異なる光導波路12へ導かれ、波長分離が可能となる。
【0044】
従って、本実施例のように、アレイ導波路16の隣り合う導波路に、各々位相差を設定することで、実施例1、2に示したような光合波器を出力側に配置することなく、各波長を独立に取り出すことができる。
【0045】
なお、上記実施例では、100GHz、16chのアレイ型導波路格子について、具体的な数値例を挙げて説明したが、本発明を用いれば、合分波波長などの仕様に関係なく、低損失かつ光学特性のよい任意の設計値のアレイ型導波路格子とすることができる。又、上記実施例では、波長分波器としての動作を説明したが、光の相反性の原理から、逆方向に光信号を入射して合波器として動作させても同様の効果を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、入力導波路、入力スラブ導波路及びアレイ導波路を適切に配置することで、従来生じていたスラブ導波路とアレイ導波路間のモードの不整合を解消することができ、結果としてアレイ型導波路格子全体の損失を低減することができる。又、作製プロセスにおいても、特別の条件設定が不要であるため、歩留まり良く低損失なアレイ型導波路格子を作製することができる。更に、従来用いていたスラブ導波路とアレイ導波路間のテーパ構造が不要となるため、光学特性が向上し、センタ波長のずれを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の一例を示すアレイ型導波路格子の概略図である。
【図2】図1に示したアレイ型導波路格子における入力導波路、入力スラブ導波路及びアレイ導波路の位置関係を示す概略図である。
【図3】実施例1のアレイ型導波路格子と低損失化処理を施していないアレイ型導波路格子の中心チャネルにおけるスペクトルを示す図である。
【図4】本発明に係る実施形態の他の一例を示すアレイ型導波路格子の概略図である。
【図5】図4に示したアレイ型導波路格子における入力導波路、入力スラブ導波路及びアレイ導波路の位置関係を示す概略図である。
【図6】実施例2のアレイ型導波路格子と低損失化処理を施していないアレイ型導波路格子の中心チャネルにおけるスペクトルを示す図である。
【図7】本発明に係る実施形態の更なる他の一例を示すアレイ型導波路格子の概略図である。
【図8】図7に示したアレイ型導波路格子におけるアレイ導波路の概略図である。
【図9】従来のアレイ型導波路格子のアレイ導波路とスラブ導波路の境界を示す概略図である。
【図10】低損失化処理の施された従来のアレイ型導波路格子及び低損失化処理の施されていないアレイ型導波路格子の中心波長におけるスペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 光導波路
2 光分岐器
3、4 入力導波路
5 入力スラブ導波路
5a、5b 境界
6 アレイ導波路
6c 中心アレイ導波路
7 出力スラブ導波路
7a、7b 境界
8、9 出力導波路
10 光合波器
11、12 光導波路
15 入力スラブ導波路
15a、15b 境界
16 位相差付きアレイ導波路
17 出力スラブ導波路
17a、17b 境界
Claims (5)
- 光信号を回折する入力スラブ導波路及び出力スラブ導波路と、前記入力スラブ導波路と前記出力スラブ導波路とを接続し、長さの異なる複数の導波路からなるアレイ導波路とを有するアレイ型導波路格子において、
前記光信号の波長領域において波長依存性が無く、前記光信号のパワーを2等分にする光分岐器と、前記光分岐器と前記入力スラブ導波路とを接続する2本の入力導波路とを備え、
前記光分岐器により2等分され、前記2本の入力導波路を介して前記入力スラブ導波路に入射された前記光信号による干渉縞の間隔が、前記入力スラブ導波路と前記アレイ導波路の境界における前記アレイ導波路の間隔に等しく、かつ、前記干渉縞の強めあう位置が前記アレイ導波路の位置であるように、前記2本の入力導波路を前記入力スラブ導波路へ配置したことを特徴とするアレイ型導波路格子。 - 請求項1記載のアレイ型導波路格子において、
前記2本の入力導波路が当該アレイ型導波路格子の同一波長における隣り合う回折次数位置に配置されたことを特徴とするアレイ型導波路格子。 - 請求項1記載のアレイ型導波路格子において、
前記入力スラブ導波路と前記アレイ導波路の境界における前記アレイ導波路の間隔をd、前記入力スラブ導波路の等価屈折率をns、当該アレイ型導波路格子の中心波長をλとしたとき、
前記入力スラブ導波路の境界における前記アレイ導波路の中心の導波路との接点と、前記入力スラブ導波路の境界における前記2本の入力導波路との2つの接点の中心位置とを結ぶ線分に対して、前記2本の入力導波路の前記入力スラブ導波路への接続位置を、θ=arcsin(λ/2nsd)[rad]の角度に配置するとともに、
前記入力スラブ導波路の境界における前記2本の入力導波路との2つの接点及び前記入力スラブ導波路の境界における前記アレイ導波路の中心の導波路との接点に外接する円上に、前記アレイ導波路の前記入力スラブ導波路への接続位置を配置したことを特徴とするアレイ型導波路格子。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のアレイ型導波路格子において、
前記出力スラブ導波路に接続された複数の出力光導波路と、前記光信号の波長領域において波長依存性が無く、一波長につき2本となる前記出力導波路の前記光信号を、各々の波長ごとに合波する複数の光合波器とを有することを特徴とするアレイ型導波路格子。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のアレイ型導波路格子において、
前記アレイ導波路と前記出力スラブ導波路との境界における前記アレイ導波路から前記出力スラブ導波路へ出射する前記光信号の位相が、当該アレイ型導波路格子の中心波長において等位相となるように、前記アレイ導波路の光路長差が設定されたことを特徴とするアレイ型導波路格子。
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