JP2004144971A - 加熱装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】金属製スリーブを用いた加熱部材を有するオンデマンド加熱装置において、薄肉の金属製スリーブの端部の破損を防止し、十分な加熱性および搬送性を確保し、かつ高速化対応可能な高寿命の加熱装置システムを構築すること。
【解決手段】薄肉で可撓性のある金属製スリーブ13を加熱体である加熱ヒータ11により内面から加熱するオンデマンド加熱装置であり、金属製スリーブ13と加圧部材20の間に記録材を搬送することで記録材の加熱を行う。金属製スリーブ13と加圧部材20の圧接により提供される加熱ニップ部Nより長手方向において金属製スリーブ13を所定長さL以上長く突出させ、金属製スリーブ13の剛性によりスリーブ最端面13aを加熱ヒータ11より離間させ、金属製スリーブ13の最端面13aの加熱ニップ相当部の回転軌道を加熱ヒータ11面と略平行あるいは曲率半径が金属製スリーブ11の内面となるように回転させる。
【選択図】図4
【解決手段】薄肉で可撓性のある金属製スリーブ13を加熱体である加熱ヒータ11により内面から加熱するオンデマンド加熱装置であり、金属製スリーブ13と加圧部材20の間に記録材を搬送することで記録材の加熱を行う。金属製スリーブ13と加圧部材20の圧接により提供される加熱ニップ部Nより長手方向において金属製スリーブ13を所定長さL以上長く突出させ、金属製スリーブ13の剛性によりスリーブ最端面13aを加熱ヒータ11より離間させ、金属製スリーブ13の最端面13aの加熱ニップ相当部の回転軌道を加熱ヒータ11面と略平行あるいは曲率半径が金属製スリーブ11の内面となるように回転させる。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱部材と加圧部材の圧接部である加熱ニップ部に被加熱材を通紙して挟持搬送させて被加熱材を加熱する加熱装置、及び該加熱装置を画像の加熱定着装置として備えた画像形成装置に関する。
【0002】
より詳しくは、加熱部材が20μm〜100μmの厚みで形成される可撓性を有する金属製スリーブを基材として形成されており、加圧力により該金属製スリーブが変形した際、内側に伝熱により該金属製スリーブを介して加熱ニップ部を加熱する加熱用部材を長手方向に渡って内接している構成の加熱装置、及び該加熱装置を画像の加熱定着装置として備えた画像形成装置に関する。
【0003】
ここで、被加熱材の加熱とは、具体的には、例えば、記録材上に転写方式或いは直接方式で形成担持させた未定着画像の加熱定着処理、仮定着する像加熱処理、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱処理、記録材に限らずシート状の被加熱材の加熱乾燥処理、加熱ラミネート処理、しわ取り等のための熱プレス処理等である。
【0004】
【従来の技術】
例えば、電子写真方式・静電記録方式等の作像プロセスを採用した画像形成装置において、作像プロセス部で記録材(転写材・印字用紙・感光紙・静電記録紙等)に転写方式あるいは直接方式で形成担持させた目的の画像情報の未定着トナー像を固着像として熱定着処理する加熱定着装置としては、未定着トナー像を担持した記録材を、互いに圧接して回転する、加熱部材としての熱ローラ(定着ローラ)と加圧部材としての加圧ローラとで形成されるニップ部を通過させることにより記録材上に永久画像として定着させる、いわゆるローラ加熱方式の加熱装置が広く用いられている。
【0005】
近年では、クイックスタートや省エネルギの観点からフィルム加熱方式の加熱装置が実用化されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0006】
即ち、加熱体としての例えばセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に加熱部材としての耐熱性樹脂フィルム(以下、定着フィルムと記す)を挟ませて圧接ニップ部(以下、定着ニップ部と記す)を形成させ、該定着ニップ部の定着フィルムと加圧ローラとの間に未定着トナー画像を形成担持させた記録材を導入して定着フィルムと一緒に挟持搬送させることで、定着フィルムを介してセラミックヒータの熱を与えながら定着ニップ部の加圧力で未定着トナー画像を記録材面に定着させるものである。
【0007】
このフィルム加熱方式の加熱装置は、スタンバイ中のヒータへの通電を必要とせず、画像形成装置がプリント信号を受信してから、ヒータへの通電を行っても記録材が加熱装置に到達するまでに加熱可能な状態にすることが可能である。よって省エネの観点からフィルム加熱方式の加熱装置はエネルギを無駄にしない優れた加熱定着装置となる。
【0008】
このフィルム加熱方式の加熱装置において、加熱部材として樹脂製定着フィルムよりも高熱伝導の金属を基層として形成される金属製の薄肉スリーブを用いた場合、定着性能の向上が図られ、画像形成装置の高速化にも十分に対応することが可能となる。
【特許文献1】
特開昭63−313182号公報
【特許文献2】
特開平2−157878号公報
【特許文献3】
特開平4−44075号公報
【特許文献4】
特開平4−204980号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フィルム加熱方式の加熱装置において、加熱部材として樹脂製定着フィルムよりも高熱伝導の金属を基層として形成される金属製のスリーブ(薄肉金属製定着フィルム)を用いた場合、該金属製スリーブのスラスト方向への寄り移動を規制するために該金属製スリーブの端面を従来のフィルム加熱方式の加熱装置のように端部フランジの規制部材により受け止めさせる構成にした場合には、金属製スリーブは平坦なヒータ面に密着されながら回転するため屈曲を繰り返しながら端面に寄った状態で回転することになり、端面から亀裂が生じる。
【0010】
すなわち、金属製スリーブとヒータ面の接触を良好なものとし、ヒータから発する熱を効率良く定着ニップ部へ供給する為に薄肉の金属製スリーブにより構成する場合、金属製スリーブ端部において屈曲しながら、端面規制用フランジに当接された状態となり、ヒータ面との密着状態前後(上下流)においては、金属製スリーブは平坦面と円形の繰り返しによる屈曲負荷を絶えず受けている状態となっている。
【0011】
さらに端部規制用フランジとの摺擦により、金属製スリーブの端部はスラスト方向の負荷を絶えず受けている状態になるため、端部より亀裂が生じやすくなってしまう。
【0012】
また、金属製スリーブ内面とヒータ面との接触面において、良好な摺動性を得るために潤滑剤として、耐熱グリースを用いた場合、長手方向端部まで金属製スリーブとヒータ面が接触した加熱定着装置では、高温によりグリースの粘性が下がった状態で放置されると、グリースのオイル分が金属製スリーブとヒータ面の接触界面より金属製スリーブ外面まで回り込み、金属製スリーブ外面と加圧部材より形成される定着ニップ部にグリースが介在した状態となってしまう。このような状態で記録材を加熱定着装置に搬送した場合、グリースの潤滑性により記録材と金属製スリーブあるいは記録材と加圧部材との間で十分な搬送力が得られず、スリップ状態となってしまい加熱定着装置内に被加熱材が滞留した状態となってしまう。
【0013】
また、金属製スリーブをあまり厚く形成してしまうと、室温状態からプリント動作を開始した場合には、加熱定着可能な温度までヒータ温度を加熱昇温させるまでに要する時間が長くなり、画像形成装置が高速化すると、記録材が搬送開始されてから加熱定着装置まで達する時間が短くなるため、金属製スリーブの熱容量が大きい場合には、ヒータが所定温度まで上昇するまでに時間がかかり、画像形成装置がプリント信号を受信してから記録材が加熱定着装置に達するまである程度の時間をおいて、ヒータ温度が所定温度に達するまで待たなくてはならなくなる。よってプリント信号を受信してからプリント動作が終了するまでの時間(ファーストプリントタイム)を短くすることが困難になってしまう。
【0014】
また、金属製スリーブの厚みが厚くなると、剛性が増加し、ヒータ面に金属製スリーブを密着させるための弾性変形が難しくなり、ヒータからの熱が効率良く金属製スリーブに伝わらなくなってしまう。
【0015】
さらに比較的厚肉の金属製スリーブの場合、ヒータ面への密着を確保するために高い加圧力で加圧しなくてはならず、金属製スリーブを無理に屈曲させる事になるため、疲労破壊を起こす等、耐久に耐えうることが非常に困難になってくる。
【0016】
よって、従来方式で薄肉の金属製スリーブを熱的、機械強度的に満足させる構成は今までのところ見つかっていない。
【0017】
これを解決する方法として、金属製スリーブの端部補強部材を設ける方法も考えられるが、金属製スリーブは加圧により変形し、平坦なヒータ面に倣う必要があり、端部補強部材が金属製スリーブ端面に接着等の方法により固定されている場合には、金属製スリーブの変形に追随する必要があり、さらに熱膨張差等の影響により耐久を通じて補強部材を維持することは困難であった。さらに端部のこのような変形に対して補強部材がヒータ面に干渉することなく、形成することは困難であった。すなわち、端部補強部材が金属製スリーブ端面に接着等の方法により固定されている場合には、金属製スリーブの変形に追随する必要があり、ヒータ面と長手方向に渡って接触する従来方式のフィルム加熱方式の加熱定着装置では、金属製スリーブ端部内面に該補強部材の一部があると、ヒータ面に当たり干渉してしまう。この結果、ヒータ面との摺擦によって該補強部材が摩耗したり、ヒータ面を傷つけることになってしまう。
【0018】
これを防ぐために金属製スリーブの該端部補強部材装着部に相当するヒータ面を金属製スリーブ内面から離間する方式も考えられるが、ヒータ、とりわけ低熱容量の薄肉セラミックヒータのそのような加工は非常に困難であり、かつ高コストとなり、実用的ではない。また、基板上に形成されている発熱体等の導電部に同一平面内ではない箇所を形成することは、導通の信頼性の観点から考えても非常に難しい。
【0019】
以上、金属製スリーブを用いた加熱定着装置において、十分な定着性および搬送性を確保し、かつ高寿命のシステムを構築することは困難であり、現在までのところ達成する手段が提供されていない。
【0020】
本発明は上記に鑑みて提案されたもので、加熱部材として薄肉の金属製スリーブを用いた加熱装置について、金属製スリーブ端部の破損を防止し、十分な加熱性(定着性)および搬送性を確保し、かつ高速化対応可能な高寿命の加熱装置システムを構築することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被加熱材を加熱部材と加圧部材との圧接部である加熱ニップ部を通過させることにより加熱する加熱装置において、加熱部材が可撓性を有する金属製スリーブを基材として形成されており、加圧力により該金属製スリーブが変形した際、内側に伝熱により該金属製スリーブを介して加熱ニップ部を加熱する加熱用部材を長手方向に渡って内接し、長手方向において金属製スリーブと加圧部材により形成される加熱ニップ部より金属製スリーブを所定値以上、具体的には1.5mm以上長く形成して構成することで、金属製スリーブ最端部が加熱用部材から離間して回転し、金属製スリーブ最端部が加熱用部材平面と略平行あるいは常に曲率半径中心を金属製スリーブ内側として軌道回転していることを特徴とする加熱装置、である。
【0022】
〈作 用〉
被加熱材を加熱部材と加圧部材の間で所定の温度に維持された加熱ニップ部を通過させることにより加熱する加熱装置において、上記加熱部材を厚み20μm〜100μm程度の可撓性を有する金属製スリーブ(金属製フィルム)にし、該金属製スリーブ内面に接触状態の加熱用部材(ヒータ)で加熱ニップ部を加熱する加熱装置とする。
【0023】
これにより、熱伝導性が良好な金属スリーブ内面から加熱用部材により接触加熱することで、高い熱効率をもって被加熱材の加熱ができる。画像の加熱装置においては画像形成装置の高速化に対応した加熱定着を高い熱効率で実施できる。よって、画像形成装置がプリント信号を受信していない状態のスタンバイ中に加熱用部材への通電をシャットダウンしておくことができ、省エネルギの加熱定着が実現できる。
【0024】
また、室温状態から画像形成装置の電源をONした場合でも、即座にプリント信号受信可能になるため、作業者を待たせることがない。よって画像形成装置が高速化した場合でも、クイックスタート性に優れ、ファーストプリントタイムも速い加熱装置を提供することが可能となる。
【0025】
また、該金属製スリーブの長手方向において、金属製スリーブと加圧部材の間で形成される加熱ニップ部に対して、金属製スリーブ最端部を所定長さ以上突出させることにより、金属製スリーブの適度な剛性により金属製スリーブ最端部を加熱用部材から離間させる。これにより金属製スリーブ端部の繰り返しによる屈曲負荷を軽減し、端部規制部材との摺擦部での金属製スリーブ端部の屈曲を小さくする。さらに加熱用部材と金属製スリーブ内面の間に介在するグリースのオイル分の染み出しを軽減させる。
【0026】
以上により金属製スリーブ端部に対する負荷を軽減し、端部からの破損を防止し、金属製スリーブ外面と加圧部材との圧接により形成される記録材搬送性能を維持させる。
【0027】
また、弾性部材より形成される回転体形状の加圧部材の外径、弾性硬度を長手方向中央部に比べて端部の方が小さくなるように形成することで、金属製スリーブと加圧部材の圧接力において、長手方向中央部に比べ端部が小さくなるように構成する。これにより、金属製スリーブ端部は加熱用部材から離間し易くなり、金属製スリーブのスラスト方向長さを抑えた状態で上記耐久性、搬送性の向上を図ることが可能となる。
【0028】
あるいは、金属製スリーブ端部が加熱用部材から離間する上記構成において、円形軌道に近くなった金属製スリーブ端部に補強部材として、弾性部材を具備させる。これにより、金属製スリーブ端部に具備した弾性樹脂部材が金属製スリーブ端部の軌道に追随し易くなり、金属製スリーブ端面が直接スラスト方向規制部材に当接されることがなくなるため、端部からの破壊に対して十分な耐久性が得られる。
【0029】
以上により、加熱ニップ部へ導入された被加熱材への伝熱が効率良く達成され、かつ金属製スリーブ端部からの破損等が長い期間を通じて発生しない高寿命の加熱(定着)システムおよび該加熱システムを搭載した画像形成層値を提供することが可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
〈第1の実施例〉
(1)画像形成装置例
図1は画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザビームプリンタである。
【0031】
1は像担持体としての感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成されている。
【0032】
感光ドラム1は矢印の時計方向に所定の周速度をもって回転駆動され、まず、その表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって所定の極性・電位に一様帯電される。
【0033】
次に、その一様帯電処理面に対して、レーザスキャナ3により、画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビームによる走査露光3aが施され、静電潜像が形成される。
【0034】
この静電潜像は、現像装置4でトナー像として現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0035】
可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ5により、所定のタイミングで搬送された記録材P上に感光ドラム1上より転写される。
【0036】
ここで、感光ドラム1上のトナー像の画像形成位置と記録材Pの先端の書き出し位置が合致するようにセンサ8にて記録材Pの先端を検知し、タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録材Pは感光ドラム1と転写ローラ5に一定の加圧力で挟持搬送される。
【0037】
このトナー像が転写された記録材Pは加熱定着装置6へと搬送され、永久画像として加熱定着される。
【0038】
一方、感光ドラム1上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置7により感光ドラム1表面より除去される。
【0039】
(2)加熱定着装置6
図2は加熱定着装置6の横断面模型図、図3は途中部分省略・一部切り欠き正面模型図である。
【0040】
10は加熱部材としての定着部材(加熱アセンブリ)、20は加圧部材としての弾性加圧ローラであり、この定着部材10と加圧ローラ20との圧接により加熱ニップ部としての定着ニップ部Nを形成させている。
【0041】
定着部材10は、加熱用部材としてのヒータ11、断熱ステイホルダー12、金属製スリーブ(定着スリーブ)13、保護キャップ15等からなる。
【0042】
ヒータ11は断熱ステイホルダー12の下面に固定して配設してあり、金属製スリーブ13は断熱ステイホルダー12に対してルーズに外嵌させてある。保護キャップ15は断熱ステイホルダー12の長手方向両端部側に装着されて金属製スリーブ13の両端部を規制する役目をする。即ち金属製スリーブ13の長手方向への移動を規制する規制部材である。
【0043】
加圧部材としての弾性加圧ローラ20は、芯金21と、芯金21の外側にシリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコンゴムを発泡して形成された弾性層22からなり、この上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層23を形成してあってもよい。
【0044】
30は定着装置の手前側と奥側の筐体であり、この筐体間に加圧ローラ20や定着部材10を装着して保持させている。即ち筐体30に設けた幅Lbの嵌合用溝31(図6・図7)の底部にPEEK、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂よりなる軸受け32、あるいはベアリングが装着され、該軸受け32の溝に加圧ローラ20の芯金21の端部を嵌合させことで、加圧ローラ20を筐体30・30間に回転自在に軸受保持させて装着させてある。
【0045】
定着部材10は保護キャップ15に具備させた保持筐体嵌合部15cを筐体30の嵌合用溝31に係合させて加圧ローラ20の上側において筐体30・30間に配設してある。
【0046】
そして定着部材10の両端部において保護キャップ15の加圧部15dと不動のバネ受け部材40との間に加圧バネ17を縮設することで定着部材10を所定の加圧力をもって加圧ローラ20の上面に対して金属製スリーブ13の弾性と加圧ローラ20の弾性に抗して押圧させて所定幅の定着ニップ部Nを形成させている。定着ニップ部Nにおいては定着部材10の加圧ローラ20に対する加圧により金属製スリーブ13がヒータ11と弾性加圧ローラ20との間に挟まれてヒータ11の下面の扁平面に倣って撓み、金属製スリーブ13の内面がヒータ11の下面の扁平面に密着した状態になる。
【0047】
Gは加圧ローラ20の芯金21の一端部に固着して配設した駆動ギアである。この駆動ギアGに駆動部Mから回転力が伝達されて、加圧ローラ20が図2において矢印の反時計方向に所定の回転速度にて回転駆動される。この加圧ローラ20の回転駆動に伴って定着ニップ部Nにおける該加圧ローラ20と定着部材10側の金属スリーブ13との摩擦力で金属スリーブ13に回転力が作用して、該金属スリーブ13がその内面がヒータ11の下面に密着して摺動しながら断熱ステイホルダー12の外回りを図2において時計方向に加圧ローラ20の回転に従動して回転状態になる(加圧ローラ駆動式)。
【0048】
金属製スリーブ13は内部のヒータ11および断熱ステイホルダー12に摺擦しながら回転するため、ヒータ11および断熱ステイホルダー12と定着フィルム13の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。このためヒータ11および断熱ステイホルダー12の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を少量介在させてある。
【0049】
耐熱性グリースは、パーフルオロポリエーテル、パーフルオルポリオキセタン等のフッ素系基油にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂系増ちょう剤を添加したものである。これにより金属製スリーブ13はスムーズに回転することが可能となる。
【0050】
ヒータ11は、記録材P上のトナー像Tを溶融、定着させる定着ニップ部Nの加熱を行う。
【0051】
加圧ローラ20の回転による金属製スリーブ13の回転がなされ、ヒータ11に対する通電がなされて該ヒータの温度が所定の温度に立ち上がって温調された状態において、未定着トナー像Tを担持した記録材Pが耐熱性の定着入口ガイド24に沿って定着ニップ部Nの金属製スリーブ13と加圧ローラ20との間に搬送され、定着ニップ部Nを挟持搬送されることで、未定着トナー像Tが金属製スリーブ13を介してヒータ11の熱で加熱されて熱定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは金属製スリーブ13の外面から分離して不図示の耐熱性の定着排紙ガイドに案内されて不図示の排出トレイ上に排出される。
【0052】
a)金属製スリーブ13
金属製スリーブ13は熱容量の小さなスリーブであり、クイックスタートを可能にするために総厚100μm以下の厚みで耐熱性、高熱伝導性を有するSUS、Al、Ni、Cu、Zn等の金属部材を単独あるいは合金部材を基層としたスリーブである。また、長寿命の加熱定着装置を構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れた金属製スリーブとして、総厚20μm以上の厚みが必要である。よって金属製スリーブ13の総厚みとしては20μm以上100μm以下が最適である。
【0053】
さらに、オフセット防止や記録材の分離性を確保するために表層にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、FEP(テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体)、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆したものである。
【0054】
被覆の方法としては、金属製スリーブ基材の外面をエッチング処理した後に上記離型性層をディッピング、粉体スプレー等の塗布によるものや、あるいはチューブ状に形成されたものを金属製スリーブの表面に被せる方式のものであっても良い。または、金属製スリーブ基材の外面をブラスト処理した後に、接着剤であるプライマ層を塗布し、上記離型性層を被覆する方法であっても良い。
【0055】
また、ヒータ11と接触する金属製スリーブ内面に潤滑性の高いフッ素樹脂層、ポリイミド層、ポリアミドイミド層等を形成してあっても良い。
【0056】
b)ヒータ11
記録材P上のトナー像Tを溶融、定着させる定着ニップ部Nの加熱を行うヒータ11は、例えば、アルミナ、AlN(チッ化アルミ)等の高絶縁性のセラミックス基板やポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板の表面に長手方向に沿って、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成した通電加熱用部材である。
【0057】
あるいは、金属製基板上の定着ニップ部反対側に絶縁層、通電発熱抵抗層を順次積層してなる金属製加熱用ヒータであっても良い。
【0058】
通電発熱抵抗層に対する給電は不図示の給電部から不図示のコネクターを介してなされる。ヒータ基板の背面には通電発熱抵抗層の発熱に応じて昇温した加熱用ヒータの温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知素子14が配設されている。この温度検知素子14の信号に応じて、長手方向端部にある不図示の電極部から通電発熱抵抗層に印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御することで、定着ニップ部N内での温調温度を略一定に保ち、記録材P上のトナー像Tを定着するのに必要な加熱を行う。温度検知素子14から不図示の温度制御部へのDC通電は不図示のDC通電部およびDC電極部を介して不図示のコネクターにより達成している。
【0059】
また、ヒータ11の通電発熱抵抗層の表面には、金属製フィルムとの摺擦に耐えることが可能な薄層のガラスコート、ポリイミド樹脂層等の保護層を設けている。
【0060】
あるいは上記基板として耐摩耗性に優れ、熱伝導性の良好なAlN等を用いた場合には通電発熱抵抗層を上記基板に対して定着ニップと反対側に形成してあっても良い。
【0061】
c)断熱ステイホルダー12
断熱ステイホルダー12は、ヒータ11を支持する役目、金属製スリーブ13の回転案内部材の役目、加圧部材の役目、定着ニップ部Nと反対方向への放熱を防ぐための断熱部材の役目等をしている、剛性・耐熱性・断熱性の部材であり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されている。
【0062】
d)保護キャップ15
規制部材としての保護キャップ15は金属製スリーブ13の端部を規制すると共に、金属製スリーブ端部に内側への応力を付与する手段を有し金属製スリーブ13の端部補強手段として機能する。
【0063】
本実施例における保護キャップ15は固定タイプであり、図8において、(a)は保護キャップ15の外面図、(b)は内面図、(c)は側面図、(d)は平面図、(e)は断面図である。
【0064】
(e)に示すように外径Lfを有する金属製スリーブ13の端部外周面には保護キャップ15の内周面と接触する部位(幅D)を有する。
【0065】
保護キャップ15はPPS、液晶ポリマー、フェノール樹脂等の耐熱樹脂より形成されており、金属製スリーブ13の端部外周面Dが挿入可能な、金属製スリーブの外径Lfより若干大きい内径Lcを有する挿入部15aを有する。すなわち、金属製スリーブ13のD部は保護キャップ15の内径Lcを有する挿入部15aに挿入され、金属製スリーブ13の端面は保護キャップ15の突き当て部15bに突き当たる。
【0066】
突き当て部15bは金属製スリーブ13側から外側に徐々に内径が小さくなるようにテーパー状あるいはR状に形成されており、突き当て部15bの最小内径Lsは金属製スリーブ13の外径Lfより十分に小さい径に形成されている。
【0067】
保護キャップ15は定着ニップ部側が切り欠いてあるキャップであり、Lc>Lsとなるように少なくともそれぞれ2つの内径を有する。
【0068】
保護キャップ15は保護キャップ部15aと第二の規制部15eの間に幅がLaである保持筐体嵌合部15cが形成されており、また加圧部15dの一部にバネ規制部15fが形成されており、定着部材10と加圧ローラ20の間に所定の加圧力を付与するために配置される加圧バネ17の位置を規制している。
【0069】
また、固定保護キャップ15の定着ニップ部相当部は切り欠いてあり、長手端部において該切り欠き部分にヒータ11、断熱ステイホルダー12と一体のヒータ保持ステイ12a(図3)が配置されることで固定保護キャップ15がヒータ11に干渉することはない。
【0070】
図7のように、定着部材10は端部に配置した固定保護キャップ15の保持筐体嵌合部15cを保持筐体30の嵌合溝31に挿入する。
【0071】
以上により定着部材10を保持筐体30に装着するが、保持筐体30の嵌合溝の幅Lbは保持筐体嵌合部15cの幅La(図8の(d))と同等か若干大きめの幅となっている。これにより固定保護キャップ15は保持筐体30にスムーズに挿入され、保持筐体30に対してスラスト方向への移動を規制される。
【0072】
これにより、固定保護キャップ15で金属製スリーブ13のスラスト方向への移動を規制している。
【0073】
以上により、金属製スリーブ13と加圧ローラ20のスラスト方向の位置関係が決定するが、ここで本実施例における特徴である金属製スリーブ13と加圧ローラ20の位置関係に関して以下に説明する。
【0074】
図4は加熱部材10と加圧部材20のスラスト方向端部における位置関係を示す断面図であり、金属製スリーブ13は加圧ローラ20と圧接されて形成される加熱ニップ部より端部に突出して形成されている。
【0075】
すなわち加圧ローラ20の金属製スリーブ13外面との接触範囲よりLだけ長く形成されている。
【0076】
これにより金属製スリーブ13の最端部13aは金属製スリーブ13の剛性により円形軌道するようにヒータ11から離間して回転する。
【0077】
金属製スリーブ13の回転軌道を図5(a)および(b)を用いて説明する。図5(a)は図4におけるA−A’面の断面図であり、加圧ローラ20と金属製スリーブ13が加圧圧接されている部分である。この部分では、金属製スリーブ13のヒータ下面接触部は曲率半径中心を金属製スリーブ13外面として回転しており、図面上に凸の形状で回転している。それに対し図5(b)は金属製スリーブ13の最端部におけるB−B’面の断面図であり、加圧ローラ20が金属製スリーブ13に当接されていない部位である。この部分では、金属製スリーブ13のヒータ下面対応部は、ヒータ平面に略平行あるいは、曲率半径中心を金属製スリーブ13内側として軌道回転している。
【0078】
図5(a)および(b)よりわかるように加圧ローラ20によって圧接される部位は金属製スリーブ13がヒータ11の下面の扁平面に倣って撓み、金属製スリーブ13の内面がヒータ11の下面の扁平面に密着した状態になる。
【0079】
一方、加熱ニップ部より突出した金属製スリーブ13の最端面13aは金属製スリーブ13の剛性によって円形に復元しようとするため、ヒータ11の下面からギャップSだけ離間して円形軌道しようとする。
【0080】
特に加熱ニップ部からの金属製スリーブ13の突出量L(図4)および金属製スリーブ13の厚みによってヒータ11下面と金属製スリーブ最端面13aの離間の状態がどのように変化するかを実験により確認した。確認に使用した加熱定着装置の構成を以下に示す。
【0081】
ヒータ11は幅13mmのAlN基板にAg/Pdを通電発熱抵抗層として厚み10μm、幅3mmでスクリーン印刷したものに保護層としてポリイミド層をスクリーン印刷後焼成したものを用いた。
【0082】
また、金属製スリーブ13はSUS304材を引き抜き加工によって外径30mmとし、厚みを15μmから100μmまで振り、外表面には離型性層としてPFA/PTFEのフッ素樹脂を厚み12μmで塗布した。
【0083】
また、加圧ローラ20はアルミ芯金23mmにシリコン弾性ゴムを厚み3.5mmで形成し、PFAチューブを被せて外径30mmとした。
【0084】
実験では、加圧ローラ20の弾性ゴム部22の長さを変えて金属製スリーブ端部の加圧ローラ20からの突出長さLを変えて金属製スリーブ最端面の軌道を観察した。
【0085】
実験結果を図9のグラフに示す。図9の横軸は金属製スリーブの厚み、縦軸は金属製スリーブがヒータ下面から離間した時の長さLを示す。図より、薄い場合には、長さLが小さい場合には金属製スリーブ最端面の復元力が弱く、金属製スリーブ最端面がヒータ面から離間せずに回転しており、Lの値を大きくすることで、金属製スリーブ最端面がヒータ下面から離間して回転されることがわかる。
【0086】
また、金属製スリーブの厚みが厚くなると、剛性が高くなり加圧ローラと圧接されている部位の金属製スリーブの変形に引きずられて金属製スリーブ最端面がヒータ下面から離間しづらくなる。
【0087】
よって金属製スリーブ最端面をヒータ下面から離間させるためには、ある程度の長さLが必要となる。
【0088】
実験では、厚み40μm程度が金属製スリーブ最端面がヒータ下面から離間するのに必要な長さLが小さく抑えられることがわかった。
【0089】
なお、金属製スリーブ最端面とヒータ下面の離間は、金属製スリーブの外径や材料にも影響されることは言うまでもないが、加熱定着装置の小型化、金属製スリーブの耐久性、熱効率の観点から外径20mm〜40mm、厚み25μm〜60μm、金属製スリーブの突出量Lは1.8mm以上が好ましい。
【0090】
また、上記結果より、外径30mmの金属製スリーブ(SUS304)で厚みが30μmのものを用いて加熱ニップ部からの金属製スリーブの突出部長さLを1.5mmにした場合(金属製スリーブ最端面とヒータ下面は密着状態)とLを4mmにした場合(金属製スリーブ最端面とヒータ下面は離間状態)で耐久性、グリースの染み出し量の確認を行った。確認結果を表1に示す。
【0091】
なお、耐久性の評価は加熱定着装置のヒータが200℃になるように通電発熱抵抗層へ通電、温調し、空回転させた場合の金属製スリーブ端部破壊までの時間を、グリースの染み出しに関しては金属製スリーブ内面とヒータ下面の間に500mg介在させ、加熱定着装置を100℃環境に1ヶ月放置した場合のグリース染み出し量の割合を確認した。
【0092】
【表1】
【0093】
以上の結果より、金属製スリーブ最端面を加熱ニップより所定量突出させ、金属製スリーブ内面とヒータ下面を離間することで、金属製スリーブ端部において屈曲した状態でスラスト方向規制部材に摺動させた場合よりも耐久性能が向上していることがわかる。
【0094】
これは、金属製スリーブ端部の回転軌道がより円形に近くなり、ヒータ平面と略平行、あるいは回転軌道の曲率半径中心を金属製スリーブ内側として回転することで、金属製スリーブ端部がスラスト方向規制部材に摺動する際に受ける負荷が軽減されるためであると考えられる。
【0095】
また、金属製スリーブ内面とヒータ面に介在させた耐熱性グリースの染み出しに関しても金属製スリーブ最端面がヒータ面から離間することで、グリース染み出し量を軽減できていることが確認された。
【0096】
なお、上記染み出し試験後に画像形成装置で記録材は搬送定着させたところ、金属製スリーブ最端面がヒータ面から離間している本実施例では記録材が問題なく搬送されたのに対して、金属製スリーブ最端面とヒータ面が密着状態の加熱定着装置では加熱ニップ部までグリースが周り込み、最初の搬送でスリップを引き起こしてしまった。
【0097】
以上のことからも金属製スリーブ最端面はヒータ面から離間して回転されている方が望ましいことがわかる。
【0098】
〈第2の実施例〉
本実施例は金属製スリーブ最端面がヒータ下面から離間し易い構成を提供するものであり、加圧部材としての弾性加圧ローラと金属製スリーブのスラスト方向の圧接力に分布を持たせるものである。
【0099】
本実施例の画像形成装置、および加熱定着装置の構成は前記第1の実施例で示した図1および図2と同様であり、前述第1の実施例の加熱定着装置6と同じ構成部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0100】
本実施例における加圧部材としては、例えば金属製円筒芯金上にシリコンゴム等の弾性部材を形成し、さらにPFA等のフッ素樹脂チューブを被せた加圧ローラであり、詳しくは図10(a)および(b)に示す。すなわち図10(a)において、金属製スリーブとの間に所定の圧接力により加熱ニップ部を形成する加圧ローラ20の端部の弾性層22およびフッ素樹脂チューブ23の外径をスラスト方向中央部付近に比べて小さくなるように成型し、形成する。
【0101】
より具体的には、加圧ローラ20は、鉄、アルミ等の芯金21をブラスト等の表面粗し処理を行った後、洗浄を行い、次いで芯金21を筒型に挿入し、液状のシリコーンゴムを型内に注入し加熱硬化させる。この時、加圧ローラ表面層に離型性層としてPFAチューブ等の樹脂チューブ層23を形成するために、型内に予め内面にプライマを塗布したチューブを挿入しておくことにより、ゴムの加熱硬化と同時にチューブ23とゴム層22の接着を行う。
【0102】
また、加圧ローラ20の端部の弾性層22および離型性層23にR形状、あるいはテーパー形状を施すために、筒型の端部は内径が絞られた形状で形成されており、この筒型の形状に沿って加圧ローラ20の弾性層22および離型性層23の端部がR形状あるいはテーパー形状で成型される。
【0103】
これにより、図2および図3に示す金属製スリーブ13と加圧ローラ20の圧接により加熱ニップ部を形成するが、加圧ローラ20の端部は外径が徐々に細くなるようにR形状あるいはテーパー形状で形成されているため、加圧ローラ20の弾性層22端部相当部の圧接力はスラスト方向中央部に比べて小さくなるように構成されている。このため、金属製スリーブ13の最端面13aは金属製スリーブの剛性により円形に復元し易くなり、この結果図4に示したように金属製スリーブ最端面13aはヒータ下面から離間し、円形軌道に近づいた回転となる。
【0104】
また、前記記載の第1の実施例で示したように金属製スリーブ13の最端面13aを加熱ニップ部より所定量突出させることで、金属製スリーブ最端面13aをヒータ下面から離間させているが、本実施例では、加熱ニップ部の両端部における圧接力が他に比べ小さくおさえられているため、金属製スリーブ13端部の加熱ニップ部からの突出長さL(図4)を短く設定しても金属製スリーブの剛性により最端面が円形に復元し易くなるため、加熱定着装置の長手方向の寸法を抑えることが可能になる。よって金属製スリーブの耐久性を損なうことなく、画像形成装置の小型化を達成できる。
【0105】
また、本実施例で示した加圧ローラ弾性部材端部の外径以外にも同様の効果が得られる方法がある。すなわち図10(b)に示すように加圧ローラ芯金21に長手方向に外径分布を持たせ、加圧ローラ両端部の弾性層厚みを中央部付近に比べて厚く形成する。これにより、加圧ローラ両端部の弾性層が厚い部分の弾性硬度は、中央部付近に比べて小さくなる。よって金属製スリーブ13との圧接力において、硬度の高い加圧ローラ中央部付近に比べて両端部の方が小さい圧力分布となる。このように加圧ローラの長手方向において硬度分布を持たせる方法でも上記目的が達成される。
【0106】
また、その他金属製スリーブと加圧部材との圧接力分布を持たせ、長手方向中央部付近に比べて両端部の圧接力を低くするどのような方法であっても同様の効果が得られる。
【0107】
以上の効果を確認するため、加圧ローラ端部の弾性層および離型性層にR形状を施して金属製スリーブがヒータ下面から離間する場合の加熱ニップ部からの金属製スリーブの突出量を確認した。なお、端部のR形状は半径R=2mmとした。
【0108】
確認結果を図11に示す。なお確認方法は、前記記載の第1の実施例と同様であるため説明を省く。図11に示すように、加圧ローラ端部の弾性層および離型性層にR形状を設け、端部の外径を長手方向中央部付近に比べ徐々に小さくなるように形成することで、金属製スリーブとヒータ下面の離間に要する加熱ニップ部からの金属製スリーブ最端面の突出量Lは小さく抑えられることがわかる。
【0109】
本実施例によれば、金属製スリーブ最端面の加熱ニップ部からの長手方向突出量は1.5mm以上が必要であることがわかる。
【0110】
金属製スリーブ最端面の加熱ニップ部からの長手方向突出量に関して、金属製スリーブの厚みにより、剛性が異なるため、円形状に戻ろうとする力が異なる。それぞれの厚みに応じて定着ニップ部からスリーブ最端部を長く形成する必要がある。よってスリーブの厚みによって金属製スリーブ最端面の加熱ニップ部からの長手方向突出量の所定値は異なる。ただ一般的には1.5mm以上の設定にすればよい。所定値よりも小さい突出量ではヒータ面とスリーブが密着状態となり、スリーブ最端部での繰り返し屈曲が強くなり、破損しやすくなる。また、グリースの染み出しも発生しやすくなる。
【0111】
以上、本実施例では金属製スリーブと加圧部材との加熱ニップ部において、長手方向中央部に比べ、最端部の圧接力を小さく抑えることで、長手寸法を大きくすることなく、金属製スリーブ最端面をヒータ面から離間させることが可能になり、金属製スリーブ端部の耐久性向上、グリースの染み出しによる記録材搬送不良の防止を達成できる。
【0112】
〈第3の実施例〉
本実施例では、金属製スリーブ端部に保護部材を具備させていることを特徴とする。すなわち、金属製スリーブ最端面がヒータ下面から離間する状態で回転する前記記載の第1および第2の実施例で示した構成の場合、金属製スリーブ最端面はヒータ下面と干渉せず、離間状態にあり、さらに円形軌道に近づいた軌跡で回転されるため、金属製スリーブ最端面に保護部材として、弾性変形可能な部材を具備させることが可能になる。
【0113】
本実施例の金属製スリーブ最端面への保護部材配置の様子を図12(a)および(b)で示す。図12(a)および(b)に示すように金属製スリーブ13の最端面13aは保護部材16を被せることにより端面13aが直接スラスト方向規制部材15(図3)に当接されない構成とする。
【0114】
保護部材16としては、シリコンゴム、フッ素ゴム等のゴム部材やPEEK、ポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂より形成され、金属製スリーブ13の変形に応じて弾性変形可能な部材であり、金属製スリーブ13の最端面13aを含む端部Cの位置に配置される。
【0115】
金属製スリーブ13の挿入部Cは保護部材16の端部規制部16bに突き当て、保護部材16の内面16aに密着された状態で挿入される。
【0116】
保護部材16は金属製スリーブ13の挿入部Cの外面に接着状態であっても、密着状態であっても良い。また、保護部材16は金属製スリーブ13の端部内面まで一部がはみ出して形成されていても良い。これは、本実施例では、前記記載の第1の実施例および第2の実施例で示したように金属製スリーブ13の最端面13aがヒータ下面から離間した状態で回転するためであり、金属製スリーブ13の回転により、ヒータ面、断熱ステイホルダー部に干渉しない範囲であれば、保護部材16の一部を金属製スリーブ内面へはみ出して形成することができるからである。
【0117】
これにより、金属製スリーブ13の最端面13aがスラスト方向規制部材に摺動することがなくなるため、端部裂け等の耐久による不具合を解消できる。
本実施例によれば、前記記載の第1の実施例および第2の実施例で示したように金属製スリーブ13の最端面13aがヒータ下面から離間した状態で回転するため、金属製スリーブ13の端部に保護部材を配置することが可能であり、また、金属製スリーブ13の最端面13aは金属製スリーブ13の剛性により、ヒータ下面と離間した部分では円形形状に復元する方向で回転軌跡を描くので、保護部材16が無理に屈曲されてはずれたり、金属製スリーブの回転に追随できなくなることが無くなる。
【0118】
〈その他〉
1)金属製スリーブ13の端部の加熱ニップ部からの突出量Lを抑えるために、金属製スリーブ13端部のみヒータ下面から離間しやすい厚みに形成した金属製スリーブ13を採用することもできる。すなわち、長手方向に金属製スリーブ13の厚み分布を持たせ、端部の厚みをヒータ下面から離間し易い適度な剛性とすることで、長手寸法を抑え、かつ金属製スリーブ13端部の耐久性能を向上することも可能である。
【0119】
2)ヒータ11は励磁コイルアセンブリの発生磁場の作用で電磁誘導発熱する鉄板片などの電磁誘導発熱性部材にすることもできる。
【0120】
3)本発明の加熱装置は画像加熱定着装置としてばかりではなく、その他、例えば、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着処理する像加熱装置、シート状物を給送して乾燥処理・ラミネート処理・しわ取り熱プレス処理する等の加熱装置、インクジェットプリンタ等に用いられる乾燥用の加熱装置等として広く使用出来ることは勿論である。
【0121】
本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0122】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0123】
〔実施態様1〕被加熱材を加熱部材と加圧部材との圧接部である加熱ニップ部を通過させることにより加熱する加熱装置において、加熱部材が可撓性を有する金属製スリーブを基材として形成されており、加圧力により該金属製スリーブが変形した際、内側に伝熱により該金属製スリーブを介して加熱ニップ部を加熱する加熱用部材を長手方向に渡って内接し、長手方向において金属製スリーブと加圧部材により形成される加熱ニップ部より金属製スリーブを1.5mm以上長く形成して構成することで、金属製スリーブ最端部が加熱用部材から離間して回転し、金属製スリーブ最端部が加熱用部材平面と略平行あるいは常に曲率半径中心を金属製スリーブ内側として軌道回転していることを特徴とする加熱装置。
【0124】
〔実施態様2〕加熱部材と加圧部材の圧接力において、長手方向中央部に比べ加圧部材最端部の圧接力が小さいことを特徴とする実施態様1に記載の加熱装置。
【0125】
〔実施態様3〕加圧部材が弾性部材より形成された回転体より構成されており、加圧部材長手方向において回転体である加圧部材の外径が中央部に比べ加圧部材最端部の方が小さく形成されていることを特徴とする実施態様1または2記載の加熱装置。
【0126】
〔実施態様4〕加圧部材が弾性部材より形成された回転体より構成されており、加圧部材長手方向において加圧部材の弾性硬度が中央部に比べ加圧部材最端部の方が小さく形成されていることを特徴とする実施態様1から3の何れか1つに記載の加熱装置。
【0127】
〔実施態様5〕金属製スリーブ端部にスラスト方向規制部材と接触、摺動する弾性部材より形成された補強部材を具備していることを特徴とする実施態様1から4の何れか1つに記載の加熱装置。
【0128】
〔実施態様6〕記録材上に未定着画像を形成担持させる画像形成手段部と、記録材上の未定着画像を永久画像として定着させる加熱定着装置を有する画像形成装置において、前記加熱定着装置が実施態様1から5の何れか1つに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、加熱部材として金属製スリーブを用いた加熱装置について、金属製スリーブ端部の破損を防止し、十分な加熱性(定着性)を確保し、金属製スリーブとヒータ面に介在させたグリースの染み出しを抑制し、記録材の搬送性能を確保し、かつ高速化対応可能な高寿命の加熱装置システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の構成略図
【図2】加熱装置の横断面模型図
【図3】同じく途中部分省略・一部切り欠き正面模型図
【図4】金属製スリーブと加圧部材の長手方向端部位置関係断面図
【図5】金属製スリーブの回転軌跡説明図
【図6】軸受けと筐体側の嵌合用溝部分の斜視図
【図7】筐体に対する定着部材の装着要領の説明図
【図8】保護キャップの構造図
【図9】金属製スリーブの厚みとヒータ下面が離間する位置関係説明グラフ
【図10】第2の実施例における加圧ローラ構成断面図
【図11】金属製スリーブの厚みとヒータ下面が離間する位置関係説明グラフ
【図12】第3の実施例における金属製スリーブ端部の保護部材説明図
【符号の説明】
11・・加熱用ヒータ 12・・断熱ステイホルダー 13・・金属製スリーブ 15・・保護キャップ 20・・加圧ローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱部材と加圧部材の圧接部である加熱ニップ部に被加熱材を通紙して挟持搬送させて被加熱材を加熱する加熱装置、及び該加熱装置を画像の加熱定着装置として備えた画像形成装置に関する。
【0002】
より詳しくは、加熱部材が20μm〜100μmの厚みで形成される可撓性を有する金属製スリーブを基材として形成されており、加圧力により該金属製スリーブが変形した際、内側に伝熱により該金属製スリーブを介して加熱ニップ部を加熱する加熱用部材を長手方向に渡って内接している構成の加熱装置、及び該加熱装置を画像の加熱定着装置として備えた画像形成装置に関する。
【0003】
ここで、被加熱材の加熱とは、具体的には、例えば、記録材上に転写方式或いは直接方式で形成担持させた未定着画像の加熱定着処理、仮定着する像加熱処理、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱処理、記録材に限らずシート状の被加熱材の加熱乾燥処理、加熱ラミネート処理、しわ取り等のための熱プレス処理等である。
【0004】
【従来の技術】
例えば、電子写真方式・静電記録方式等の作像プロセスを採用した画像形成装置において、作像プロセス部で記録材(転写材・印字用紙・感光紙・静電記録紙等)に転写方式あるいは直接方式で形成担持させた目的の画像情報の未定着トナー像を固着像として熱定着処理する加熱定着装置としては、未定着トナー像を担持した記録材を、互いに圧接して回転する、加熱部材としての熱ローラ(定着ローラ)と加圧部材としての加圧ローラとで形成されるニップ部を通過させることにより記録材上に永久画像として定着させる、いわゆるローラ加熱方式の加熱装置が広く用いられている。
【0005】
近年では、クイックスタートや省エネルギの観点からフィルム加熱方式の加熱装置が実用化されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0006】
即ち、加熱体としての例えばセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に加熱部材としての耐熱性樹脂フィルム(以下、定着フィルムと記す)を挟ませて圧接ニップ部(以下、定着ニップ部と記す)を形成させ、該定着ニップ部の定着フィルムと加圧ローラとの間に未定着トナー画像を形成担持させた記録材を導入して定着フィルムと一緒に挟持搬送させることで、定着フィルムを介してセラミックヒータの熱を与えながら定着ニップ部の加圧力で未定着トナー画像を記録材面に定着させるものである。
【0007】
このフィルム加熱方式の加熱装置は、スタンバイ中のヒータへの通電を必要とせず、画像形成装置がプリント信号を受信してから、ヒータへの通電を行っても記録材が加熱装置に到達するまでに加熱可能な状態にすることが可能である。よって省エネの観点からフィルム加熱方式の加熱装置はエネルギを無駄にしない優れた加熱定着装置となる。
【0008】
このフィルム加熱方式の加熱装置において、加熱部材として樹脂製定着フィルムよりも高熱伝導の金属を基層として形成される金属製の薄肉スリーブを用いた場合、定着性能の向上が図られ、画像形成装置の高速化にも十分に対応することが可能となる。
【特許文献1】
特開昭63−313182号公報
【特許文献2】
特開平2−157878号公報
【特許文献3】
特開平4−44075号公報
【特許文献4】
特開平4−204980号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フィルム加熱方式の加熱装置において、加熱部材として樹脂製定着フィルムよりも高熱伝導の金属を基層として形成される金属製のスリーブ(薄肉金属製定着フィルム)を用いた場合、該金属製スリーブのスラスト方向への寄り移動を規制するために該金属製スリーブの端面を従来のフィルム加熱方式の加熱装置のように端部フランジの規制部材により受け止めさせる構成にした場合には、金属製スリーブは平坦なヒータ面に密着されながら回転するため屈曲を繰り返しながら端面に寄った状態で回転することになり、端面から亀裂が生じる。
【0010】
すなわち、金属製スリーブとヒータ面の接触を良好なものとし、ヒータから発する熱を効率良く定着ニップ部へ供給する為に薄肉の金属製スリーブにより構成する場合、金属製スリーブ端部において屈曲しながら、端面規制用フランジに当接された状態となり、ヒータ面との密着状態前後(上下流)においては、金属製スリーブは平坦面と円形の繰り返しによる屈曲負荷を絶えず受けている状態となっている。
【0011】
さらに端部規制用フランジとの摺擦により、金属製スリーブの端部はスラスト方向の負荷を絶えず受けている状態になるため、端部より亀裂が生じやすくなってしまう。
【0012】
また、金属製スリーブ内面とヒータ面との接触面において、良好な摺動性を得るために潤滑剤として、耐熱グリースを用いた場合、長手方向端部まで金属製スリーブとヒータ面が接触した加熱定着装置では、高温によりグリースの粘性が下がった状態で放置されると、グリースのオイル分が金属製スリーブとヒータ面の接触界面より金属製スリーブ外面まで回り込み、金属製スリーブ外面と加圧部材より形成される定着ニップ部にグリースが介在した状態となってしまう。このような状態で記録材を加熱定着装置に搬送した場合、グリースの潤滑性により記録材と金属製スリーブあるいは記録材と加圧部材との間で十分な搬送力が得られず、スリップ状態となってしまい加熱定着装置内に被加熱材が滞留した状態となってしまう。
【0013】
また、金属製スリーブをあまり厚く形成してしまうと、室温状態からプリント動作を開始した場合には、加熱定着可能な温度までヒータ温度を加熱昇温させるまでに要する時間が長くなり、画像形成装置が高速化すると、記録材が搬送開始されてから加熱定着装置まで達する時間が短くなるため、金属製スリーブの熱容量が大きい場合には、ヒータが所定温度まで上昇するまでに時間がかかり、画像形成装置がプリント信号を受信してから記録材が加熱定着装置に達するまである程度の時間をおいて、ヒータ温度が所定温度に達するまで待たなくてはならなくなる。よってプリント信号を受信してからプリント動作が終了するまでの時間(ファーストプリントタイム)を短くすることが困難になってしまう。
【0014】
また、金属製スリーブの厚みが厚くなると、剛性が増加し、ヒータ面に金属製スリーブを密着させるための弾性変形が難しくなり、ヒータからの熱が効率良く金属製スリーブに伝わらなくなってしまう。
【0015】
さらに比較的厚肉の金属製スリーブの場合、ヒータ面への密着を確保するために高い加圧力で加圧しなくてはならず、金属製スリーブを無理に屈曲させる事になるため、疲労破壊を起こす等、耐久に耐えうることが非常に困難になってくる。
【0016】
よって、従来方式で薄肉の金属製スリーブを熱的、機械強度的に満足させる構成は今までのところ見つかっていない。
【0017】
これを解決する方法として、金属製スリーブの端部補強部材を設ける方法も考えられるが、金属製スリーブは加圧により変形し、平坦なヒータ面に倣う必要があり、端部補強部材が金属製スリーブ端面に接着等の方法により固定されている場合には、金属製スリーブの変形に追随する必要があり、さらに熱膨張差等の影響により耐久を通じて補強部材を維持することは困難であった。さらに端部のこのような変形に対して補強部材がヒータ面に干渉することなく、形成することは困難であった。すなわち、端部補強部材が金属製スリーブ端面に接着等の方法により固定されている場合には、金属製スリーブの変形に追随する必要があり、ヒータ面と長手方向に渡って接触する従来方式のフィルム加熱方式の加熱定着装置では、金属製スリーブ端部内面に該補強部材の一部があると、ヒータ面に当たり干渉してしまう。この結果、ヒータ面との摺擦によって該補強部材が摩耗したり、ヒータ面を傷つけることになってしまう。
【0018】
これを防ぐために金属製スリーブの該端部補強部材装着部に相当するヒータ面を金属製スリーブ内面から離間する方式も考えられるが、ヒータ、とりわけ低熱容量の薄肉セラミックヒータのそのような加工は非常に困難であり、かつ高コストとなり、実用的ではない。また、基板上に形成されている発熱体等の導電部に同一平面内ではない箇所を形成することは、導通の信頼性の観点から考えても非常に難しい。
【0019】
以上、金属製スリーブを用いた加熱定着装置において、十分な定着性および搬送性を確保し、かつ高寿命のシステムを構築することは困難であり、現在までのところ達成する手段が提供されていない。
【0020】
本発明は上記に鑑みて提案されたもので、加熱部材として薄肉の金属製スリーブを用いた加熱装置について、金属製スリーブ端部の破損を防止し、十分な加熱性(定着性)および搬送性を確保し、かつ高速化対応可能な高寿命の加熱装置システムを構築することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、被加熱材を加熱部材と加圧部材との圧接部である加熱ニップ部を通過させることにより加熱する加熱装置において、加熱部材が可撓性を有する金属製スリーブを基材として形成されており、加圧力により該金属製スリーブが変形した際、内側に伝熱により該金属製スリーブを介して加熱ニップ部を加熱する加熱用部材を長手方向に渡って内接し、長手方向において金属製スリーブと加圧部材により形成される加熱ニップ部より金属製スリーブを所定値以上、具体的には1.5mm以上長く形成して構成することで、金属製スリーブ最端部が加熱用部材から離間して回転し、金属製スリーブ最端部が加熱用部材平面と略平行あるいは常に曲率半径中心を金属製スリーブ内側として軌道回転していることを特徴とする加熱装置、である。
【0022】
〈作 用〉
被加熱材を加熱部材と加圧部材の間で所定の温度に維持された加熱ニップ部を通過させることにより加熱する加熱装置において、上記加熱部材を厚み20μm〜100μm程度の可撓性を有する金属製スリーブ(金属製フィルム)にし、該金属製スリーブ内面に接触状態の加熱用部材(ヒータ)で加熱ニップ部を加熱する加熱装置とする。
【0023】
これにより、熱伝導性が良好な金属スリーブ内面から加熱用部材により接触加熱することで、高い熱効率をもって被加熱材の加熱ができる。画像の加熱装置においては画像形成装置の高速化に対応した加熱定着を高い熱効率で実施できる。よって、画像形成装置がプリント信号を受信していない状態のスタンバイ中に加熱用部材への通電をシャットダウンしておくことができ、省エネルギの加熱定着が実現できる。
【0024】
また、室温状態から画像形成装置の電源をONした場合でも、即座にプリント信号受信可能になるため、作業者を待たせることがない。よって画像形成装置が高速化した場合でも、クイックスタート性に優れ、ファーストプリントタイムも速い加熱装置を提供することが可能となる。
【0025】
また、該金属製スリーブの長手方向において、金属製スリーブと加圧部材の間で形成される加熱ニップ部に対して、金属製スリーブ最端部を所定長さ以上突出させることにより、金属製スリーブの適度な剛性により金属製スリーブ最端部を加熱用部材から離間させる。これにより金属製スリーブ端部の繰り返しによる屈曲負荷を軽減し、端部規制部材との摺擦部での金属製スリーブ端部の屈曲を小さくする。さらに加熱用部材と金属製スリーブ内面の間に介在するグリースのオイル分の染み出しを軽減させる。
【0026】
以上により金属製スリーブ端部に対する負荷を軽減し、端部からの破損を防止し、金属製スリーブ外面と加圧部材との圧接により形成される記録材搬送性能を維持させる。
【0027】
また、弾性部材より形成される回転体形状の加圧部材の外径、弾性硬度を長手方向中央部に比べて端部の方が小さくなるように形成することで、金属製スリーブと加圧部材の圧接力において、長手方向中央部に比べ端部が小さくなるように構成する。これにより、金属製スリーブ端部は加熱用部材から離間し易くなり、金属製スリーブのスラスト方向長さを抑えた状態で上記耐久性、搬送性の向上を図ることが可能となる。
【0028】
あるいは、金属製スリーブ端部が加熱用部材から離間する上記構成において、円形軌道に近くなった金属製スリーブ端部に補強部材として、弾性部材を具備させる。これにより、金属製スリーブ端部に具備した弾性樹脂部材が金属製スリーブ端部の軌道に追随し易くなり、金属製スリーブ端面が直接スラスト方向規制部材に当接されることがなくなるため、端部からの破壊に対して十分な耐久性が得られる。
【0029】
以上により、加熱ニップ部へ導入された被加熱材への伝熱が効率良く達成され、かつ金属製スリーブ端部からの破損等が長い期間を通じて発生しない高寿命の加熱(定着)システムおよび該加熱システムを搭載した画像形成層値を提供することが可能になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
〈第1の実施例〉
(1)画像形成装置例
図1は画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザビームプリンタである。
【0031】
1は像担持体としての感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成されている。
【0032】
感光ドラム1は矢印の時計方向に所定の周速度をもって回転駆動され、まず、その表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって所定の極性・電位に一様帯電される。
【0033】
次に、その一様帯電処理面に対して、レーザスキャナ3により、画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビームによる走査露光3aが施され、静電潜像が形成される。
【0034】
この静電潜像は、現像装置4でトナー像として現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0035】
可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ5により、所定のタイミングで搬送された記録材P上に感光ドラム1上より転写される。
【0036】
ここで、感光ドラム1上のトナー像の画像形成位置と記録材Pの先端の書き出し位置が合致するようにセンサ8にて記録材Pの先端を検知し、タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録材Pは感光ドラム1と転写ローラ5に一定の加圧力で挟持搬送される。
【0037】
このトナー像が転写された記録材Pは加熱定着装置6へと搬送され、永久画像として加熱定着される。
【0038】
一方、感光ドラム1上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置7により感光ドラム1表面より除去される。
【0039】
(2)加熱定着装置6
図2は加熱定着装置6の横断面模型図、図3は途中部分省略・一部切り欠き正面模型図である。
【0040】
10は加熱部材としての定着部材(加熱アセンブリ)、20は加圧部材としての弾性加圧ローラであり、この定着部材10と加圧ローラ20との圧接により加熱ニップ部としての定着ニップ部Nを形成させている。
【0041】
定着部材10は、加熱用部材としてのヒータ11、断熱ステイホルダー12、金属製スリーブ(定着スリーブ)13、保護キャップ15等からなる。
【0042】
ヒータ11は断熱ステイホルダー12の下面に固定して配設してあり、金属製スリーブ13は断熱ステイホルダー12に対してルーズに外嵌させてある。保護キャップ15は断熱ステイホルダー12の長手方向両端部側に装着されて金属製スリーブ13の両端部を規制する役目をする。即ち金属製スリーブ13の長手方向への移動を規制する規制部材である。
【0043】
加圧部材としての弾性加圧ローラ20は、芯金21と、芯金21の外側にシリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコンゴムを発泡して形成された弾性層22からなり、この上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層23を形成してあってもよい。
【0044】
30は定着装置の手前側と奥側の筐体であり、この筐体間に加圧ローラ20や定着部材10を装着して保持させている。即ち筐体30に設けた幅Lbの嵌合用溝31(図6・図7)の底部にPEEK、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂よりなる軸受け32、あるいはベアリングが装着され、該軸受け32の溝に加圧ローラ20の芯金21の端部を嵌合させことで、加圧ローラ20を筐体30・30間に回転自在に軸受保持させて装着させてある。
【0045】
定着部材10は保護キャップ15に具備させた保持筐体嵌合部15cを筐体30の嵌合用溝31に係合させて加圧ローラ20の上側において筐体30・30間に配設してある。
【0046】
そして定着部材10の両端部において保護キャップ15の加圧部15dと不動のバネ受け部材40との間に加圧バネ17を縮設することで定着部材10を所定の加圧力をもって加圧ローラ20の上面に対して金属製スリーブ13の弾性と加圧ローラ20の弾性に抗して押圧させて所定幅の定着ニップ部Nを形成させている。定着ニップ部Nにおいては定着部材10の加圧ローラ20に対する加圧により金属製スリーブ13がヒータ11と弾性加圧ローラ20との間に挟まれてヒータ11の下面の扁平面に倣って撓み、金属製スリーブ13の内面がヒータ11の下面の扁平面に密着した状態になる。
【0047】
Gは加圧ローラ20の芯金21の一端部に固着して配設した駆動ギアである。この駆動ギアGに駆動部Mから回転力が伝達されて、加圧ローラ20が図2において矢印の反時計方向に所定の回転速度にて回転駆動される。この加圧ローラ20の回転駆動に伴って定着ニップ部Nにおける該加圧ローラ20と定着部材10側の金属スリーブ13との摩擦力で金属スリーブ13に回転力が作用して、該金属スリーブ13がその内面がヒータ11の下面に密着して摺動しながら断熱ステイホルダー12の外回りを図2において時計方向に加圧ローラ20の回転に従動して回転状態になる(加圧ローラ駆動式)。
【0048】
金属製スリーブ13は内部のヒータ11および断熱ステイホルダー12に摺擦しながら回転するため、ヒータ11および断熱ステイホルダー12と定着フィルム13の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。このためヒータ11および断熱ステイホルダー12の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を少量介在させてある。
【0049】
耐熱性グリースは、パーフルオロポリエーテル、パーフルオルポリオキセタン等のフッ素系基油にポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の樹脂系増ちょう剤を添加したものである。これにより金属製スリーブ13はスムーズに回転することが可能となる。
【0050】
ヒータ11は、記録材P上のトナー像Tを溶融、定着させる定着ニップ部Nの加熱を行う。
【0051】
加圧ローラ20の回転による金属製スリーブ13の回転がなされ、ヒータ11に対する通電がなされて該ヒータの温度が所定の温度に立ち上がって温調された状態において、未定着トナー像Tを担持した記録材Pが耐熱性の定着入口ガイド24に沿って定着ニップ部Nの金属製スリーブ13と加圧ローラ20との間に搬送され、定着ニップ部Nを挟持搬送されることで、未定着トナー像Tが金属製スリーブ13を介してヒータ11の熱で加熱されて熱定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは金属製スリーブ13の外面から分離して不図示の耐熱性の定着排紙ガイドに案内されて不図示の排出トレイ上に排出される。
【0052】
a)金属製スリーブ13
金属製スリーブ13は熱容量の小さなスリーブであり、クイックスタートを可能にするために総厚100μm以下の厚みで耐熱性、高熱伝導性を有するSUS、Al、Ni、Cu、Zn等の金属部材を単独あるいは合金部材を基層としたスリーブである。また、長寿命の加熱定着装置を構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れた金属製スリーブとして、総厚20μm以上の厚みが必要である。よって金属製スリーブ13の総厚みとしては20μm以上100μm以下が最適である。
【0053】
さらに、オフセット防止や記録材の分離性を確保するために表層にはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、FEP(テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体)、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体)、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等のフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合ないし単独で被覆したものである。
【0054】
被覆の方法としては、金属製スリーブ基材の外面をエッチング処理した後に上記離型性層をディッピング、粉体スプレー等の塗布によるものや、あるいはチューブ状に形成されたものを金属製スリーブの表面に被せる方式のものであっても良い。または、金属製スリーブ基材の外面をブラスト処理した後に、接着剤であるプライマ層を塗布し、上記離型性層を被覆する方法であっても良い。
【0055】
また、ヒータ11と接触する金属製スリーブ内面に潤滑性の高いフッ素樹脂層、ポリイミド層、ポリアミドイミド層等を形成してあっても良い。
【0056】
b)ヒータ11
記録材P上のトナー像Tを溶融、定着させる定着ニップ部Nの加熱を行うヒータ11は、例えば、アルミナ、AlN(チッ化アルミ)等の高絶縁性のセラミックス基板やポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板の表面に長手方向に沿って、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成した通電加熱用部材である。
【0057】
あるいは、金属製基板上の定着ニップ部反対側に絶縁層、通電発熱抵抗層を順次積層してなる金属製加熱用ヒータであっても良い。
【0058】
通電発熱抵抗層に対する給電は不図示の給電部から不図示のコネクターを介してなされる。ヒータ基板の背面には通電発熱抵抗層の発熱に応じて昇温した加熱用ヒータの温度を検知するためのサーミスタ等の温度検知素子14が配設されている。この温度検知素子14の信号に応じて、長手方向端部にある不図示の電極部から通電発熱抵抗層に印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御することで、定着ニップ部N内での温調温度を略一定に保ち、記録材P上のトナー像Tを定着するのに必要な加熱を行う。温度検知素子14から不図示の温度制御部へのDC通電は不図示のDC通電部およびDC電極部を介して不図示のコネクターにより達成している。
【0059】
また、ヒータ11の通電発熱抵抗層の表面には、金属製フィルムとの摺擦に耐えることが可能な薄層のガラスコート、ポリイミド樹脂層等の保護層を設けている。
【0060】
あるいは上記基板として耐摩耗性に優れ、熱伝導性の良好なAlN等を用いた場合には通電発熱抵抗層を上記基板に対して定着ニップと反対側に形成してあっても良い。
【0061】
c)断熱ステイホルダー12
断熱ステイホルダー12は、ヒータ11を支持する役目、金属製スリーブ13の回転案内部材の役目、加圧部材の役目、定着ニップ部Nと反対方向への放熱を防ぐための断熱部材の役目等をしている、剛性・耐熱性・断熱性の部材であり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されている。
【0062】
d)保護キャップ15
規制部材としての保護キャップ15は金属製スリーブ13の端部を規制すると共に、金属製スリーブ端部に内側への応力を付与する手段を有し金属製スリーブ13の端部補強手段として機能する。
【0063】
本実施例における保護キャップ15は固定タイプであり、図8において、(a)は保護キャップ15の外面図、(b)は内面図、(c)は側面図、(d)は平面図、(e)は断面図である。
【0064】
(e)に示すように外径Lfを有する金属製スリーブ13の端部外周面には保護キャップ15の内周面と接触する部位(幅D)を有する。
【0065】
保護キャップ15はPPS、液晶ポリマー、フェノール樹脂等の耐熱樹脂より形成されており、金属製スリーブ13の端部外周面Dが挿入可能な、金属製スリーブの外径Lfより若干大きい内径Lcを有する挿入部15aを有する。すなわち、金属製スリーブ13のD部は保護キャップ15の内径Lcを有する挿入部15aに挿入され、金属製スリーブ13の端面は保護キャップ15の突き当て部15bに突き当たる。
【0066】
突き当て部15bは金属製スリーブ13側から外側に徐々に内径が小さくなるようにテーパー状あるいはR状に形成されており、突き当て部15bの最小内径Lsは金属製スリーブ13の外径Lfより十分に小さい径に形成されている。
【0067】
保護キャップ15は定着ニップ部側が切り欠いてあるキャップであり、Lc>Lsとなるように少なくともそれぞれ2つの内径を有する。
【0068】
保護キャップ15は保護キャップ部15aと第二の規制部15eの間に幅がLaである保持筐体嵌合部15cが形成されており、また加圧部15dの一部にバネ規制部15fが形成されており、定着部材10と加圧ローラ20の間に所定の加圧力を付与するために配置される加圧バネ17の位置を規制している。
【0069】
また、固定保護キャップ15の定着ニップ部相当部は切り欠いてあり、長手端部において該切り欠き部分にヒータ11、断熱ステイホルダー12と一体のヒータ保持ステイ12a(図3)が配置されることで固定保護キャップ15がヒータ11に干渉することはない。
【0070】
図7のように、定着部材10は端部に配置した固定保護キャップ15の保持筐体嵌合部15cを保持筐体30の嵌合溝31に挿入する。
【0071】
以上により定着部材10を保持筐体30に装着するが、保持筐体30の嵌合溝の幅Lbは保持筐体嵌合部15cの幅La(図8の(d))と同等か若干大きめの幅となっている。これにより固定保護キャップ15は保持筐体30にスムーズに挿入され、保持筐体30に対してスラスト方向への移動を規制される。
【0072】
これにより、固定保護キャップ15で金属製スリーブ13のスラスト方向への移動を規制している。
【0073】
以上により、金属製スリーブ13と加圧ローラ20のスラスト方向の位置関係が決定するが、ここで本実施例における特徴である金属製スリーブ13と加圧ローラ20の位置関係に関して以下に説明する。
【0074】
図4は加熱部材10と加圧部材20のスラスト方向端部における位置関係を示す断面図であり、金属製スリーブ13は加圧ローラ20と圧接されて形成される加熱ニップ部より端部に突出して形成されている。
【0075】
すなわち加圧ローラ20の金属製スリーブ13外面との接触範囲よりLだけ長く形成されている。
【0076】
これにより金属製スリーブ13の最端部13aは金属製スリーブ13の剛性により円形軌道するようにヒータ11から離間して回転する。
【0077】
金属製スリーブ13の回転軌道を図5(a)および(b)を用いて説明する。図5(a)は図4におけるA−A’面の断面図であり、加圧ローラ20と金属製スリーブ13が加圧圧接されている部分である。この部分では、金属製スリーブ13のヒータ下面接触部は曲率半径中心を金属製スリーブ13外面として回転しており、図面上に凸の形状で回転している。それに対し図5(b)は金属製スリーブ13の最端部におけるB−B’面の断面図であり、加圧ローラ20が金属製スリーブ13に当接されていない部位である。この部分では、金属製スリーブ13のヒータ下面対応部は、ヒータ平面に略平行あるいは、曲率半径中心を金属製スリーブ13内側として軌道回転している。
【0078】
図5(a)および(b)よりわかるように加圧ローラ20によって圧接される部位は金属製スリーブ13がヒータ11の下面の扁平面に倣って撓み、金属製スリーブ13の内面がヒータ11の下面の扁平面に密着した状態になる。
【0079】
一方、加熱ニップ部より突出した金属製スリーブ13の最端面13aは金属製スリーブ13の剛性によって円形に復元しようとするため、ヒータ11の下面からギャップSだけ離間して円形軌道しようとする。
【0080】
特に加熱ニップ部からの金属製スリーブ13の突出量L(図4)および金属製スリーブ13の厚みによってヒータ11下面と金属製スリーブ最端面13aの離間の状態がどのように変化するかを実験により確認した。確認に使用した加熱定着装置の構成を以下に示す。
【0081】
ヒータ11は幅13mmのAlN基板にAg/Pdを通電発熱抵抗層として厚み10μm、幅3mmでスクリーン印刷したものに保護層としてポリイミド層をスクリーン印刷後焼成したものを用いた。
【0082】
また、金属製スリーブ13はSUS304材を引き抜き加工によって外径30mmとし、厚みを15μmから100μmまで振り、外表面には離型性層としてPFA/PTFEのフッ素樹脂を厚み12μmで塗布した。
【0083】
また、加圧ローラ20はアルミ芯金23mmにシリコン弾性ゴムを厚み3.5mmで形成し、PFAチューブを被せて外径30mmとした。
【0084】
実験では、加圧ローラ20の弾性ゴム部22の長さを変えて金属製スリーブ端部の加圧ローラ20からの突出長さLを変えて金属製スリーブ最端面の軌道を観察した。
【0085】
実験結果を図9のグラフに示す。図9の横軸は金属製スリーブの厚み、縦軸は金属製スリーブがヒータ下面から離間した時の長さLを示す。図より、薄い場合には、長さLが小さい場合には金属製スリーブ最端面の復元力が弱く、金属製スリーブ最端面がヒータ面から離間せずに回転しており、Lの値を大きくすることで、金属製スリーブ最端面がヒータ下面から離間して回転されることがわかる。
【0086】
また、金属製スリーブの厚みが厚くなると、剛性が高くなり加圧ローラと圧接されている部位の金属製スリーブの変形に引きずられて金属製スリーブ最端面がヒータ下面から離間しづらくなる。
【0087】
よって金属製スリーブ最端面をヒータ下面から離間させるためには、ある程度の長さLが必要となる。
【0088】
実験では、厚み40μm程度が金属製スリーブ最端面がヒータ下面から離間するのに必要な長さLが小さく抑えられることがわかった。
【0089】
なお、金属製スリーブ最端面とヒータ下面の離間は、金属製スリーブの外径や材料にも影響されることは言うまでもないが、加熱定着装置の小型化、金属製スリーブの耐久性、熱効率の観点から外径20mm〜40mm、厚み25μm〜60μm、金属製スリーブの突出量Lは1.8mm以上が好ましい。
【0090】
また、上記結果より、外径30mmの金属製スリーブ(SUS304)で厚みが30μmのものを用いて加熱ニップ部からの金属製スリーブの突出部長さLを1.5mmにした場合(金属製スリーブ最端面とヒータ下面は密着状態)とLを4mmにした場合(金属製スリーブ最端面とヒータ下面は離間状態)で耐久性、グリースの染み出し量の確認を行った。確認結果を表1に示す。
【0091】
なお、耐久性の評価は加熱定着装置のヒータが200℃になるように通電発熱抵抗層へ通電、温調し、空回転させた場合の金属製スリーブ端部破壊までの時間を、グリースの染み出しに関しては金属製スリーブ内面とヒータ下面の間に500mg介在させ、加熱定着装置を100℃環境に1ヶ月放置した場合のグリース染み出し量の割合を確認した。
【0092】
【表1】
【0093】
以上の結果より、金属製スリーブ最端面を加熱ニップより所定量突出させ、金属製スリーブ内面とヒータ下面を離間することで、金属製スリーブ端部において屈曲した状態でスラスト方向規制部材に摺動させた場合よりも耐久性能が向上していることがわかる。
【0094】
これは、金属製スリーブ端部の回転軌道がより円形に近くなり、ヒータ平面と略平行、あるいは回転軌道の曲率半径中心を金属製スリーブ内側として回転することで、金属製スリーブ端部がスラスト方向規制部材に摺動する際に受ける負荷が軽減されるためであると考えられる。
【0095】
また、金属製スリーブ内面とヒータ面に介在させた耐熱性グリースの染み出しに関しても金属製スリーブ最端面がヒータ面から離間することで、グリース染み出し量を軽減できていることが確認された。
【0096】
なお、上記染み出し試験後に画像形成装置で記録材は搬送定着させたところ、金属製スリーブ最端面がヒータ面から離間している本実施例では記録材が問題なく搬送されたのに対して、金属製スリーブ最端面とヒータ面が密着状態の加熱定着装置では加熱ニップ部までグリースが周り込み、最初の搬送でスリップを引き起こしてしまった。
【0097】
以上のことからも金属製スリーブ最端面はヒータ面から離間して回転されている方が望ましいことがわかる。
【0098】
〈第2の実施例〉
本実施例は金属製スリーブ最端面がヒータ下面から離間し易い構成を提供するものであり、加圧部材としての弾性加圧ローラと金属製スリーブのスラスト方向の圧接力に分布を持たせるものである。
【0099】
本実施例の画像形成装置、および加熱定着装置の構成は前記第1の実施例で示した図1および図2と同様であり、前述第1の実施例の加熱定着装置6と同じ構成部材・部分には同一の符号を付して再度の説明を省略する。
【0100】
本実施例における加圧部材としては、例えば金属製円筒芯金上にシリコンゴム等の弾性部材を形成し、さらにPFA等のフッ素樹脂チューブを被せた加圧ローラであり、詳しくは図10(a)および(b)に示す。すなわち図10(a)において、金属製スリーブとの間に所定の圧接力により加熱ニップ部を形成する加圧ローラ20の端部の弾性層22およびフッ素樹脂チューブ23の外径をスラスト方向中央部付近に比べて小さくなるように成型し、形成する。
【0101】
より具体的には、加圧ローラ20は、鉄、アルミ等の芯金21をブラスト等の表面粗し処理を行った後、洗浄を行い、次いで芯金21を筒型に挿入し、液状のシリコーンゴムを型内に注入し加熱硬化させる。この時、加圧ローラ表面層に離型性層としてPFAチューブ等の樹脂チューブ層23を形成するために、型内に予め内面にプライマを塗布したチューブを挿入しておくことにより、ゴムの加熱硬化と同時にチューブ23とゴム層22の接着を行う。
【0102】
また、加圧ローラ20の端部の弾性層22および離型性層23にR形状、あるいはテーパー形状を施すために、筒型の端部は内径が絞られた形状で形成されており、この筒型の形状に沿って加圧ローラ20の弾性層22および離型性層23の端部がR形状あるいはテーパー形状で成型される。
【0103】
これにより、図2および図3に示す金属製スリーブ13と加圧ローラ20の圧接により加熱ニップ部を形成するが、加圧ローラ20の端部は外径が徐々に細くなるようにR形状あるいはテーパー形状で形成されているため、加圧ローラ20の弾性層22端部相当部の圧接力はスラスト方向中央部に比べて小さくなるように構成されている。このため、金属製スリーブ13の最端面13aは金属製スリーブの剛性により円形に復元し易くなり、この結果図4に示したように金属製スリーブ最端面13aはヒータ下面から離間し、円形軌道に近づいた回転となる。
【0104】
また、前記記載の第1の実施例で示したように金属製スリーブ13の最端面13aを加熱ニップ部より所定量突出させることで、金属製スリーブ最端面13aをヒータ下面から離間させているが、本実施例では、加熱ニップ部の両端部における圧接力が他に比べ小さくおさえられているため、金属製スリーブ13端部の加熱ニップ部からの突出長さL(図4)を短く設定しても金属製スリーブの剛性により最端面が円形に復元し易くなるため、加熱定着装置の長手方向の寸法を抑えることが可能になる。よって金属製スリーブの耐久性を損なうことなく、画像形成装置の小型化を達成できる。
【0105】
また、本実施例で示した加圧ローラ弾性部材端部の外径以外にも同様の効果が得られる方法がある。すなわち図10(b)に示すように加圧ローラ芯金21に長手方向に外径分布を持たせ、加圧ローラ両端部の弾性層厚みを中央部付近に比べて厚く形成する。これにより、加圧ローラ両端部の弾性層が厚い部分の弾性硬度は、中央部付近に比べて小さくなる。よって金属製スリーブ13との圧接力において、硬度の高い加圧ローラ中央部付近に比べて両端部の方が小さい圧力分布となる。このように加圧ローラの長手方向において硬度分布を持たせる方法でも上記目的が達成される。
【0106】
また、その他金属製スリーブと加圧部材との圧接力分布を持たせ、長手方向中央部付近に比べて両端部の圧接力を低くするどのような方法であっても同様の効果が得られる。
【0107】
以上の効果を確認するため、加圧ローラ端部の弾性層および離型性層にR形状を施して金属製スリーブがヒータ下面から離間する場合の加熱ニップ部からの金属製スリーブの突出量を確認した。なお、端部のR形状は半径R=2mmとした。
【0108】
確認結果を図11に示す。なお確認方法は、前記記載の第1の実施例と同様であるため説明を省く。図11に示すように、加圧ローラ端部の弾性層および離型性層にR形状を設け、端部の外径を長手方向中央部付近に比べ徐々に小さくなるように形成することで、金属製スリーブとヒータ下面の離間に要する加熱ニップ部からの金属製スリーブ最端面の突出量Lは小さく抑えられることがわかる。
【0109】
本実施例によれば、金属製スリーブ最端面の加熱ニップ部からの長手方向突出量は1.5mm以上が必要であることがわかる。
【0110】
金属製スリーブ最端面の加熱ニップ部からの長手方向突出量に関して、金属製スリーブの厚みにより、剛性が異なるため、円形状に戻ろうとする力が異なる。それぞれの厚みに応じて定着ニップ部からスリーブ最端部を長く形成する必要がある。よってスリーブの厚みによって金属製スリーブ最端面の加熱ニップ部からの長手方向突出量の所定値は異なる。ただ一般的には1.5mm以上の設定にすればよい。所定値よりも小さい突出量ではヒータ面とスリーブが密着状態となり、スリーブ最端部での繰り返し屈曲が強くなり、破損しやすくなる。また、グリースの染み出しも発生しやすくなる。
【0111】
以上、本実施例では金属製スリーブと加圧部材との加熱ニップ部において、長手方向中央部に比べ、最端部の圧接力を小さく抑えることで、長手寸法を大きくすることなく、金属製スリーブ最端面をヒータ面から離間させることが可能になり、金属製スリーブ端部の耐久性向上、グリースの染み出しによる記録材搬送不良の防止を達成できる。
【0112】
〈第3の実施例〉
本実施例では、金属製スリーブ端部に保護部材を具備させていることを特徴とする。すなわち、金属製スリーブ最端面がヒータ下面から離間する状態で回転する前記記載の第1および第2の実施例で示した構成の場合、金属製スリーブ最端面はヒータ下面と干渉せず、離間状態にあり、さらに円形軌道に近づいた軌跡で回転されるため、金属製スリーブ最端面に保護部材として、弾性変形可能な部材を具備させることが可能になる。
【0113】
本実施例の金属製スリーブ最端面への保護部材配置の様子を図12(a)および(b)で示す。図12(a)および(b)に示すように金属製スリーブ13の最端面13aは保護部材16を被せることにより端面13aが直接スラスト方向規制部材15(図3)に当接されない構成とする。
【0114】
保護部材16としては、シリコンゴム、フッ素ゴム等のゴム部材やPEEK、ポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂より形成され、金属製スリーブ13の変形に応じて弾性変形可能な部材であり、金属製スリーブ13の最端面13aを含む端部Cの位置に配置される。
【0115】
金属製スリーブ13の挿入部Cは保護部材16の端部規制部16bに突き当て、保護部材16の内面16aに密着された状態で挿入される。
【0116】
保護部材16は金属製スリーブ13の挿入部Cの外面に接着状態であっても、密着状態であっても良い。また、保護部材16は金属製スリーブ13の端部内面まで一部がはみ出して形成されていても良い。これは、本実施例では、前記記載の第1の実施例および第2の実施例で示したように金属製スリーブ13の最端面13aがヒータ下面から離間した状態で回転するためであり、金属製スリーブ13の回転により、ヒータ面、断熱ステイホルダー部に干渉しない範囲であれば、保護部材16の一部を金属製スリーブ内面へはみ出して形成することができるからである。
【0117】
これにより、金属製スリーブ13の最端面13aがスラスト方向規制部材に摺動することがなくなるため、端部裂け等の耐久による不具合を解消できる。
本実施例によれば、前記記載の第1の実施例および第2の実施例で示したように金属製スリーブ13の最端面13aがヒータ下面から離間した状態で回転するため、金属製スリーブ13の端部に保護部材を配置することが可能であり、また、金属製スリーブ13の最端面13aは金属製スリーブ13の剛性により、ヒータ下面と離間した部分では円形形状に復元する方向で回転軌跡を描くので、保護部材16が無理に屈曲されてはずれたり、金属製スリーブの回転に追随できなくなることが無くなる。
【0118】
〈その他〉
1)金属製スリーブ13の端部の加熱ニップ部からの突出量Lを抑えるために、金属製スリーブ13端部のみヒータ下面から離間しやすい厚みに形成した金属製スリーブ13を採用することもできる。すなわち、長手方向に金属製スリーブ13の厚み分布を持たせ、端部の厚みをヒータ下面から離間し易い適度な剛性とすることで、長手寸法を抑え、かつ金属製スリーブ13端部の耐久性能を向上することも可能である。
【0119】
2)ヒータ11は励磁コイルアセンブリの発生磁場の作用で電磁誘導発熱する鉄板片などの電磁誘導発熱性部材にすることもできる。
【0120】
3)本発明の加熱装置は画像加熱定着装置としてばかりではなく、その他、例えば、画像を担持した記録材を加熱してつや等の表面性を改質する像加熱装置、仮定着処理する像加熱装置、シート状物を給送して乾燥処理・ラミネート処理・しわ取り熱プレス処理する等の加熱装置、インクジェットプリンタ等に用いられる乾燥用の加熱装置等として広く使用出来ることは勿論である。
【0121】
本発明の様々な例と実施例が示され説明されたが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は本明細書内の特定の説明と図に限定されるのではなく、本願特許請求の範囲に全て述べられた様々の修正と変更に及ぶことが理解されるであろう。
【0122】
本発明の実施態様の例を以下に列挙する。
【0123】
〔実施態様1〕被加熱材を加熱部材と加圧部材との圧接部である加熱ニップ部を通過させることにより加熱する加熱装置において、加熱部材が可撓性を有する金属製スリーブを基材として形成されており、加圧力により該金属製スリーブが変形した際、内側に伝熱により該金属製スリーブを介して加熱ニップ部を加熱する加熱用部材を長手方向に渡って内接し、長手方向において金属製スリーブと加圧部材により形成される加熱ニップ部より金属製スリーブを1.5mm以上長く形成して構成することで、金属製スリーブ最端部が加熱用部材から離間して回転し、金属製スリーブ最端部が加熱用部材平面と略平行あるいは常に曲率半径中心を金属製スリーブ内側として軌道回転していることを特徴とする加熱装置。
【0124】
〔実施態様2〕加熱部材と加圧部材の圧接力において、長手方向中央部に比べ加圧部材最端部の圧接力が小さいことを特徴とする実施態様1に記載の加熱装置。
【0125】
〔実施態様3〕加圧部材が弾性部材より形成された回転体より構成されており、加圧部材長手方向において回転体である加圧部材の外径が中央部に比べ加圧部材最端部の方が小さく形成されていることを特徴とする実施態様1または2記載の加熱装置。
【0126】
〔実施態様4〕加圧部材が弾性部材より形成された回転体より構成されており、加圧部材長手方向において加圧部材の弾性硬度が中央部に比べ加圧部材最端部の方が小さく形成されていることを特徴とする実施態様1から3の何れか1つに記載の加熱装置。
【0127】
〔実施態様5〕金属製スリーブ端部にスラスト方向規制部材と接触、摺動する弾性部材より形成された補強部材を具備していることを特徴とする実施態様1から4の何れか1つに記載の加熱装置。
【0128】
〔実施態様6〕記録材上に未定着画像を形成担持させる画像形成手段部と、記録材上の未定着画像を永久画像として定着させる加熱定着装置を有する画像形成装置において、前記加熱定着装置が実施態様1から5の何れか1つに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、加熱部材として金属製スリーブを用いた加熱装置について、金属製スリーブ端部の破損を防止し、十分な加熱性(定着性)を確保し、金属製スリーブとヒータ面に介在させたグリースの染み出しを抑制し、記録材の搬送性能を確保し、かつ高速化対応可能な高寿命の加熱装置システムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の構成略図
【図2】加熱装置の横断面模型図
【図3】同じく途中部分省略・一部切り欠き正面模型図
【図4】金属製スリーブと加圧部材の長手方向端部位置関係断面図
【図5】金属製スリーブの回転軌跡説明図
【図6】軸受けと筐体側の嵌合用溝部分の斜視図
【図7】筐体に対する定着部材の装着要領の説明図
【図8】保護キャップの構造図
【図9】金属製スリーブの厚みとヒータ下面が離間する位置関係説明グラフ
【図10】第2の実施例における加圧ローラ構成断面図
【図11】金属製スリーブの厚みとヒータ下面が離間する位置関係説明グラフ
【図12】第3の実施例における金属製スリーブ端部の保護部材説明図
【符号の説明】
11・・加熱用ヒータ 12・・断熱ステイホルダー 13・・金属製スリーブ 15・・保護キャップ 20・・加圧ローラ
Claims (1)
- 被加熱材を加熱部材と加圧部材との圧接部である加熱ニップ部を通過させることにより加熱する加熱装置において、
加熱部材が可撓性を有する金属製スリーブを基材として形成されており、加圧力により該金属製スリーブが変形した際、内側に伝熱により該金属製スリーブを介して加熱ニップ部を加熱する加熱用部材を長手方向に渡って内接し、長手方向において金属製スリーブと加圧部材により形成される加熱ニップ部より金属製スリーブを所定値以上長く形成して構成することで、金属製スリーブ最端部が加熱用部材から離間して回転し、金属製スリーブ最端部が加熱用部材平面と略平行あるいは常に曲率半径中心を金属製スリーブ内側として軌道回転していることを特徴とする加熱装置。
Priority Applications (1)
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JP2002309374A JP2004144971A (ja) | 2002-10-24 | 2002-10-24 | 加熱装置 |
Publications (1)
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004144971A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2104003A2 (en) | 2008-03-12 | 2009-09-23 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Fixing device, image forming apparatus, heat fixing member for fixing device, cylindrical rotating member and medium transporting device |
JP2010197638A (ja) * | 2009-02-25 | 2010-09-09 | Kyocera Mita Corp | 定着装置および画像形成装置 |
JP2014109654A (ja) * | 2012-11-30 | 2014-06-12 | Nok Corp | 回転検知用部材及び定着装置 |
-
2002
- 2002-10-24 JP JP2002309374A patent/JP2004144971A/ja active Pending
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US8224219B2 (en) | 2008-03-12 | 2012-07-17 | Fuji Xerox Co., Ltd. | Fixing device, image forming apparatus, heat fixing member for fixing device, cylindrical rotating member and medium transporting device |
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