JP2004144543A - 物体検知方法および物体検知装置 - Google Patents
物体検知方法および物体検知装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】簡易かつ安価な構成で、方向誤検知が少なく方位分解能の高い物体検知を可能とする技術を提供する。
【解決手段】アンテナのメインローブ照射方向を段階的に切り替えて3方向にビームを照射し、各照射方向においてメインローブまたはサイドローブで得られる検知対象物からのエコーを受信する。受信したエコーから照射方向毎の反射電力強度を求め、各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターン(電力強度パターン)を生成する。一方、検知領域を方位c〜iの7方位に分割し、各方位に物標が存在する場合の電力強度パターンを方位毎の参照パターンとしてあらかじめ記憶しておく。そして、受信したエコーから得られた電力強度パターンを方位毎の参照パターンと比較することによって、検知対象物が存在する方位を特定する。
【選択図】 図3
【解決手段】アンテナのメインローブ照射方向を段階的に切り替えて3方向にビームを照射し、各照射方向においてメインローブまたはサイドローブで得られる検知対象物からのエコーを受信する。受信したエコーから照射方向毎の反射電力強度を求め、各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターン(電力強度パターン)を生成する。一方、検知領域を方位c〜iの7方位に分割し、各方位に物標が存在する場合の電力強度パターンを方位毎の参照パターンとしてあらかじめ記憶しておく。そして、受信したエコーから得られた電力強度パターンを方位毎の参照パターンと比較することによって、検知対象物が存在する方位を特定する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スキャニングアンテナを利用した物体検知装置に用いられて有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャニングアンテナで所定の領域内にビームを走査し、その検知領域内に存在する物標で反射されたエコーを解析することにより物体検知を行う技術が知られている。このような電波を利用したリモートセンシング技術は、たとえば、防犯用の侵入者検知装置や車載用の車輌検知装置などの電波センサに応用されている。
【0003】
スキャニングアンテナを利用した電波センサの場合、検知対象物を他物標と識別し、かつ、検知対象物の正確な方位を特定する必要から、一般にアンテナ特性として鋭い指向性が要求される。また、方位分解能向上のために、ビームの照射方向を微細に可変できることが望ましい。
【0004】
ところが、メインローブの狭角化ならびに高利得化を狙いアンテナの指向性を強めると、それに反してサイドローブのレベルが高くなる(サイドローブの抑圧性能が悪化する)。そうすると、サイドローブによって意図しない方位に存在する物標を検知してしまい、検知対象物の方位を見誤る(方向誤検知)可能性が高くなるという問題が生ずる。
【0005】
特に、電子的に指向性を可変する電子式スキャニングアンテナの場合は、機械的な走査機構のアンテナに比べてより大きなサイドローブの発生を伴うため、サイドローブに起因する方向誤検知の問題が深刻となる。
【0006】
かかる問題を解決すべく、これまで、サイドローブの影響を低減する種々の試みがなされてきた。たとえば、特許文献1では、ビート周波数別レベル分布からサイドローブパターンを除去する方法が提案されている。また、特許文献2では、送信アンテナと受信アンテナの構成を工夫することにより、サイドローブを抑圧する方法が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−116832号公報
【特許文献2】
特開2001−174539号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの方法においても、物体検知に寄与するのはメインローブの部分のみであるため、方位分解能を向上させるには、結局、アンテナの指向性を高めるとともに、メインローブ照射方向の可変量を細かく制御しなければならない。
【0009】
したがって、電子式スキャン方式のフェーズドアレイアンテナの場合には、アンテナ素子数の増加や移相器の高性能化を余儀なくされ、構成の複雑化・大型化やコストの増大を招き、民生レベルでの実用化が困難であった。また、機械式スキャン方式のアンテナの場合も、エコーのサンプリング回数の増加に伴う信号処理速度の高速化や、アンテナ角度の高精度制御を強いられるため、やはりコスト的に実用化が難しかった。
【0010】
また、アンテナの指向性を高めたり、サイドローブの抑圧性能を向上させるためには、アンテナやその電気回路の線路長の設計および製造がシビアとなり、これもコスト増大の原因となる。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、簡易かつ安価な構成で、方向誤検知が少なく方位分解能の高い物体検知を可能とする技術を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、サイドローブ抑圧性能の低いアンテナであっても、方向誤検知の少ない物体検知を可能とする技術を提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の第3の目的は、メインローブ照射方向の可変量を変えることなく方位分解能を向上させる技術を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術が有する上述の課題を解決すべく、鋭意検討を行った。以下にその概要を説明する。
【0015】
従来は、方向誤検知の防止策として、サイドローブ抑圧性能の向上またはサイドローブ信号の除去等を目的とした研究開発が主流であった。しかし、これらのアプローチでは、構成の簡易化,設計コストおよび製造コストの低減,方位分解能の向上等を実現する上で限界がある。
【0016】
そこで、本発明者らは、サイドローブをノイズとして除去するのではなく、逆に、サイドローブで得られるエコーをも物体検知に利用することができないか、との着想を得た。
【0017】
しかし、ある一方向の反射電力強度のみを解析しても、それがメインローブで得られたものかサイドローブで得られたものかを判別するのは容易ではない。反射電力強度は、照射したビームの強度のみならず、物標の大きさや物標までの距離によっても変化するからである。
【0018】
そこで次に、本発明者らは、アンテナの指向性がもつ規則性に着目した。アンテナの指向性は、通常、利得(放射性能の良さ)が最大となるメインローブと、このメインローブの両側に繰り返し現れる複数のサイドローブとから構成される。また、メインローブとサイドローブの間、および、隣接する2つのサイドローブの間には、利得が極端に落ち込むヌルポイントが存在する。
【0019】
つまり、検知対象物の存在する方位によって、観測される反射電力強度は次のように変化する。検知対象物がメインローブのピーク方向に存在するとき反射電力強度は最大となる。この状態からずれるに従い反射電力強度は小さくなり、検知対象物の方位が第1ヌルポイントと一致したときに反射電力強度は極小となる。さらに検知対象物の方位がずれていくと、第1サイドローブの位置で反射電力強度が再び極大を迎える。それ以後、第2ヌルポイントの位置で極小、第2サイドローブの位置で極大、…という変化を繰り返す。
【0020】
これを逆に考えると、アンテナのメインローブ照射方向を段階的に切り替えて複数の方向の反射電力強度を得れば、それらの相対的な変化はアンテナの指向性の規則性に従ったある特徴的なパターンを示すことになる。そして、このパターンと検知対象物の存在する方位とが一対一に対応するようにアンテナの指向性等を設定すれば、観測されたパターンに基づき検知対象物の存在する方位を逆算することが可能となる。
【0021】
以上の検討に基づき、本発明はたとえば次のように構成される。すなわち、アンテナのメインローブ照射方向を段階的に切り替えて複数の方向にビームを照射し、各照射方向においてメインローブまたはサイドローブで得られる検知対象物からのエコーを受信する。そして、受信したエコーから照射方向毎の反射電力強度を求め、各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターンに基づいて検知対象物が存在する方位を特定するのである。
【0022】
この構成では、サイドローブを除去する必要がないばかりか、サイドローブで得られるエコーをも方位特定に活用する。具体的には、メインローブで得られたエコーかサイドローブで得られたエコーかを区別することなく、受信したエコーから反射電力強度を求めればよい。これにより、アンテナおよび信号処理部の構成が簡易かつ安価となる。また、サイドローブの抑圧性能の粗悪なアンテナを用いても方向誤検知のない物体検知を行うことが可能となる。
【0023】
また、反射電力強度の絶対値ではなく相対的な変化のパターンに基づいて方位特定を行うので、検知対象物の大きさや検知対象物までの距離によらず、検知対象物の有無やその方位を高い精度で検知することができる。
【0024】
さらに、上記構成では、各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターンに基づいて方位特定を行うので、方位分解能が照射方向の可変量に依存せず、アンテナの指向性の設定しだいで容易に方位分解能の向上を図ることができる。たとえば、メインローブのピークと第1サイドローブのピークの間の角度が、第1サイドローブのピークと第2サイドローブのピークの間の角度の略2倍となるようにアンテナの指向性を設定するとよい。また、次照射方向のメインローブのピーク角度が前照射方向の第1ヌルポイントの角度になるようにメインローブ照射方向を切り替えるとよい。このように設定することにより、照射方向の可変量を変えることなく約2倍に方位分解能を向上することができる。
【0025】
また上記構成において、検知領域を複数の方位に分割し、各方位に物標が存在する場合の各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターンを方位毎の参照パターンとしてあらかじめ記憶しておき、受信したエコーから得られたパターンを方位毎の参照パターンと比較することによって検知対象物が存在する方位を特定することも好ましい。これにより処理の簡単化・高速化を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。本発明の物体検知方法および物体検知装置は、侵入者や侵入物を検知する防犯用センサ、前方車輌や障害物等を検知する車載用センサ、駐車場等に設置される車輌センサ等など種々の物体検知に好適に用いることができる。
【0027】
なお、以下の実施の形態に記載されている構成部品の寸法、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る物体検知装置の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
同図に示すように、物体検知装置1は、概略、電波を利用したリモートセンシングを行うレーダユニット2と、レーダユニット2で得られたデータを処理する信号処理ユニット3とを備えて構成される。また、必要に応じて、信号処理ユニット3で処理されたデータを出力する出力部や、信号処理ユニット3に対して指示・設定を行ったり、パラメータを入力したりする入力部を備えてもよい。なお、レーダユニット2,信号処理ユニット3,出力部および入力部は一体構成の装置に組み込まれていてもよいし、それぞれ又はその一部を別体で構成することもできる。
【0030】
レーダユニット2は、スキャニングアンテナ部20とスキャン制御部21とセンサヘッド部22とを備えている。レーダ方式には、アンテナから照射する電波にパルス波を用いるパルスレーダ方式と周波数変調波を用いる連続波レーダ方式とがあるが、いずれの方式も適用可能である。連続波レーダ方式の具体例としては、FM−CW方式等がある。また、使用する電波の周波数帯も特に限定されることはない。
【0031】
スキャニングアンテナ部20は、メインローブ照射方向を段階的に切り替えて複数の照射方向にビームを照射可能な機能を有するアンテナである。走査方式には、大別して、機械的可動部分を持たず電気的に指向性を可変する電子式スキャン方式と、機械的にアンテナの向きを可変する機械式スキャン方式とがあるが、ここではいずれの方式も適用可能である。
【0032】
電子式スキャン方式としては、移相器によって給電移相を可変することにより複数のアンテナ素子によって形成されるアンテナ全体の指向性を可変する方式のフェーズドアレイアンテナや、給電点を切り替えて誘電体レンズを通して形成される指向性を可変する給電点切り替え型のアンテナや、予め設置角度にオフセットを持たせた複数のアンテナを切り替え、個々のアンテナから照射されるメインローブの違いを利用するアンテナ切替型のアンテナなどがある。また、機械式スキャン方式では、モータによって単一のアンテナの向きを物理的に変えてメインローブの照射方向を可変する。
【0033】
スキャン制御部21は、スキャニングアンテナ部20の指向性を可変する制御を行う部分である。スキャン制御部21は、一定の時間間隔でアンテナの指向性を可変し、メインローブ照射方向を段階的に切り替える。なお、メインローブ照射方向を連続的に切り替えてもよいが、コストや処理速度等の観点から段階的に切り替えるほうが好ましい。また、スキャン制御部21は、メインローブ照射方向を表す方位情報を信号処理ユニット3に出力する機能も有する。
【0034】
センサヘッド部22は、アンテナより照射する信号を生成する機能、および、受信したエコー(検知対象物で反射し跳ね返った信号)から反射電力強度を求める機能を有する。センサヘッド部22で算出された反射電力強度は信号処理ユニット3に出力される。
【0035】
信号処理ユニット3は、概略、信号処理部30と記憶部31とを備える。
【0036】
信号処理部30は、CPU(中央演算処理装置),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等を基本ハードウエアとして備えるコンピュータにより構成される。装置稼動時には、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれ実行されることで、後述する物体検知処理に係る諸機能が実現される。
【0037】
記憶部31は、書き換え可能なメモリあるいは磁気ディスク装置などにより構成される記憶手段であり、信号処理部30によってデータの読み書きがなされるものである。記憶部31には、レーダユニット2から入力される反射電力強度情報や、スキャン制御部21から入力される方位情報などが、随時、記録・更新・蓄積されていく。また、記憶部31には方位毎の参照パターンなどの情報があらかじめ記憶されており、物体検知処理における方位特定の際に参照される。
【0038】
図2は、スキャニングアンテナ部20の指向性の一例を示すアンテナパターンである。アンテナの指向性は、通常、利得(放射性能の良さ)が最大となるメインローブと、その両側に繰り返し現れる複数のサイドローブとから構成される。また、メインローブとサイドローブの間、および、隣接する2つのサイドローブの間には、利得が極端に落ち込む点(ヌルポイント)が存在する。同図の例では、メインローブの左右に第1〜第4サイドローブが対称に現れている。
【0039】
本実施形態では、メインローブのピークと第1サイドローブのピークの間の角度が、第1サイドローブと第2サイドローブのピークの間の角度の略2倍となるようにアンテナの指向性を設定する。そして、このアンテナを用いて、次照射方向のメインローブのピーク角度が前照射方向の第1ヌルポイントの角度になるようにメインローブ照射方向を3方位に切り替える。このようすを示したものが図3である。
【0040】
同図では、照射方向(1)のアンテナパターンを実線、照射方向(2)のアンテナパターンを破線、照射方向(3)のアンテナパターンを一点鎖線で示している。横軸は方位であり、図中左から右へアンテナのスキャンが行われる。縦軸はアンテナ利得であるが、ここでは説明の便宜上、1〜4のレベルで表している。
【0041】
たとえば、方位aの位置に検知対象物が存在する場合は、照射方向(1)のときに第1サイドローブで、照射方向(2)のときに第2サイドローブで、照射方向(3)のときに第3サイドローブで、それぞれエコーが観測される。いずれのサイドローブもレベル2であるため、各照射方向毎の反射電力強度の相対的な変化は、2−2−2というパターンとして得られる。以下、このようにして得られる各照射方向毎の反射電力強度の相対的な変化のパターンを「電力強度パターン」と称す。
【0042】
方位bの位置に検知対象物が存在する場合は、いずれの照射方向においてもちょうどヌルポイントに重なるため、エコーはほとんど観測されず、電力強度パターンは1−1−1となる。
【0043】
方位cの位置に検知対象物が存在する場合は、照射方向(1)のときにメインローブの中途部で、照射方向(2)のときに第1サイドローブで、照射方向(3)のときに第2サイドローブで、それぞれエコーが観測される。このときの電力強度パターンは、3−2−2となる。
【0044】
方位dの位置に検知対象物が存在する場合は、照射方向(1)のときにメインローブのピークでエコーが観測されるが、照射方向(2),(3)のときにはヌルポイントと重なるためエコーは観測されない。したがって電力強度パターンは、4−1−1となる。
【0045】
方位e〜kについても同様にして、電力強度パターンを得ることができる。このようにして得られる各方位毎の電力強度パターンは、図3上部に示す表のようになる。
【0046】
この表からわかるように、上記指向性を有するアンテナを用いた場合、方位c〜iの7方位に関しては、電力強度パターンと検知対象物の存在する方位とが一対一に対応する。したがって、あらかじめ検知領域を複数の方位c〜iに分割し、各方位に物標が存在する場合の電力強度パターンを求め、それらを方位毎の参照パターンとして記憶部31に記憶しておけば(図中、太枠で囲った表の部分が参照パターンに相当する。)、受信したエコーから得られる電力強度パターンを方位毎の参照パターンと比較することによって、検知対象物の存在する方位を一意に特定することが可能となる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、照射方向(1)〜(3)の3方位の反射電力強度に基づき、7方位の方位分解能を実現することができる。すなわち、アンテナの取り得る照射方向をn方位とすると、(2n+1)方位に方位分解能の向上が得られたことになる。
【0048】
なお、アンテナの指向性を変えたり、照射方向を増やすことで、さらに方位分解能の向上を図ることができる。また、ここでは1〜4の4段階のレベルで反射電力強度の相対的な変化を捉えたが、このレベル数を増やすことによっても、方位分解能の向上を図ることが可能である。
【0049】
では次に、物体検知処理の動作フローについて詳しく説明する。
【0050】
物体検知処理は、図4のフローチャートに従って行われる。図中、左側のフローはレーダユニット2におけるアンテナスキャン動作を示し、真中のフローは信号処理部30における信号処理動作を示し、右側のデータは記憶部31に保持する情報を示している。本実施形態では、アンテナスキャン動作が主で、その動作タイミングに合わせ、信号処理動作が従として実行される。
【0051】
レーダユニット2が稼動すると、まずステップS10において、スキャン制御部21がスキャニングアンテナ部20の指向性を照射方向(1)に設定する。スキャニングアンテナ部20は、センサヘッド部22で生成された信号に基づくビームを照射するとともに、メインローブまたはサイドローブで得られる検知対象物からのエコーを受信する。センサヘッド部22は受信したエコーから反射電力強度を求め、信号処理部30へ出力する。このとき、スキャン制御部21は方位情報を信号処理部30へ出力する。
【0052】
ステップS20において、信号処理部30は、照射方向(1)に関する反射電力強度と方位情報を記憶部31に記憶させる。
【0053】
つづいて、ステップS11において、スキャン制御部21はスキャニングアンテナ部20の指向性を照射方向(2)に切り替え、上記と同様の処理を行い、照射方向(2)に関する反射電力強度と方位情報を得る。さらに、ステップS12において、指向性を照射方向(3)に切り替えて、上記と同様の処理を行い、照射方向(3)に関する反射電力強度と方位情報を得る。
【0054】
このようにして、(1)〜(3)の全照射方向の反射電力強度情報を取得すると、信号処理部30はそれらを記憶部31から読み込み、電力強度パターンを生成する(ステップS23)。
【0055】
次に、記憶部31から各方位毎の参照パターンを読み込み、上記電力強度パターンをこれらの参照パターンと比較照合する(ステップS24)。信号処理部30では、電力強度パターンとの類似度が最も高い参照パターンを選び出すことによって、検知対象物の方位を特定する(ステップS25)。
【0056】
このようにして得られた検知対象物の情報は、必要に応じて外部に出力される(ステップS26)。なお、以上の処理は、ユーザからの停止命令があるまで、繰り返し実行されることとなる(ステップS13,S27)。
【0057】
以上述べたように、本実施形態の構成および方法によれば、アンテナのサイドローブを除去する必要がないばかりか、サイドローブで得られるエコーをも方位特定に活用することができる。これにより、アンテナおよび信号処理部分の構成を簡易かつ安価なものとすることができるとともに、サイドローブの抑圧性能の粗悪なアンテナを用いても方向誤検知のない信頼性の高い物体検知を行うことが可能となる。
【0058】
また、反射電力強度の絶対値ではなく相対的な変化のパターンに基づいて方位特定を行うので、検知対象物の大きさや検知対象物までの距離によらず、検知対象物の有無やその方位を高い精度で検知することができる。
【0059】
さらに、本実施形態によれば、メインローブ照射方向の可変量を変えることなく、方位分解能を約2倍に向上させることができる。
【0060】
加えて、方位毎の参照パターンをあらかじめ記憶部31に用意し、観測して得られた電力強度パターンをこれらの参照パターンと比較することによって方位を特定するようにしたので、処理の簡単化・高速化を図ることができる。
【0061】
以上述べた作用効果を、以下の実施例により実証する。
【0062】
【実施例】
(実験概要)
サイドローブ抑圧性能の異なる2種類のアンテナを用い、物体検知処理を行う。このとき、従来の方法による物体検知処理と、本発明の方法による物体検知処理を行い、それぞれの方向検知精度および方位分解能について比較検証を行った。
【0063】
一方のアンテナは、図5に示す指向性を有するものであり、サイドローブ抑圧比(メインローブに対するサイドローブのレベル差)が6dBと粗悪なものである。他方のアンテナは、図6に示す指向性を有するものであり、サイドローブ抑圧比が12dBと良好なものである。
【0064】
これらのアンテナのメインローブ照射方向を、左10度方向,正面方向(0度方向),右10度方向の3方向に段階的に切り替えて、右5度の方位に設置したターゲット(検知対象物)の検知を行った。
【0065】
ターゲットとしては、人体相当ターゲットと乗用車相当ターゲットの2種類を用いた。人体相当ターゲットのレーダ反射断面積(RCS;Rader Cross Section)は0dBsm、乗用車相当ターゲットのRCSは10dBsmであった。
【0066】
アンテナ正面方向(0度方向)にある人体相当ターゲットの反射電力強度を0dBmとする。アンテナは送受同一アンテナを用いることとしたので、アンテナゲインが−5dB低下した方位では、−5dB×2=−10dBだけ電力強度が低下することとなり、検出される電力強度は、0dBm−10dB=−10dBmとなる。
【0067】
なお、反射電力強度はアンテナからターゲットまでの距離の4乗に反比例するが、ここでは、電力補正があらかじめなされているものとし、同一のターゲットは検知領域内では同じ反射電力で検知できるものとする。
【0068】
サイドローブ抑圧比6dBのアンテナで得られた照射方向毎の反射電力強度を図7に示す。また、サイドローブ抑圧比12dBのアンテナで得られた照射方向毎の反射電力強度を図8に示す。図中、白色の棒グラフは人体相当ターゲットの反射電力強度を示し、黒色の棒グラフは乗用車相当ターゲットの反射電力強度を示している。
【0069】
(比較例)
従来技術を適用した比較例では、単一方向の反射電力強度の絶対値に基づいてターゲットの方位特定を行う。具体的には、反射電力強度が所定の閾値を超えた場合に、ターゲットが存在すると判断する。ここでは、人体相当ターゲットの検知を想定し、メインローブ内(半値角)のアンテナゲイン変化量3dB×2(送受アンテナ分)とマージン4dBを考慮して、閾値を−10dBmと設定した。
【0070】
ターゲットが人体相当ターゲットの場合には、サイドローブ抑圧比6dB,12dBの両アンテナとも、左10度方向の反射電力強度が閾値を下回る。したがって、いずれのアンテナでも、右10度方向および正面方向(0度方向)にターゲットが存在すると検知される。ターゲットが右5度方向に設置してあることからすれば、これは適正な検知結果といえる。
【0071】
一方、RCSの大きい乗用車相当ターゲットの場合、サイドローブ抑圧比6dBのアンテナでは、全ての方向で反射電力強度が閾値を超えるため、全方位にターゲットが存在すると検知してしまう。つまり、左10度方向で誤検知を生ずるのである。この誤検知は、アンテナのサイドローブ抑圧比を12dB程度まで改善すれば、回避可能であることが図8からわかる。
【0072】
このように、従来技術にあっては、方向誤検知を抑制するために、サイドローブ抑圧性能の良好なアンテナを用いる必要があった。また、方位分解能はアンテナの可変量によって定まり、ここでは10度ごと3方位の方位分解能しか得られない。
【0073】
(実施例)
本発明を適用した実施例では、電力強度パターンに基づいてターゲットの方位特定を行う。
【0074】
本実施例では、まず、照射方向毎の反射電力強度の相対的な変化をパターン化し、電力強度パターンを生成する。図9は、図7の測定データから得られた電力強度パターンである。図中下側のグラフは人体相当ターゲットの電力強度パターンを示し、上側のグラフは乗用車相当ターゲットの電力強度パターンを示している。
【0075】
電力強度パターンは、反射電力強度の相対的な変化を表すものであるので、人体相当であろうと乗用車相当であろうと、ターゲットのRCS(大きさ)にかかわらず、同じ特徴を有することがわかる。
【0076】
図10は、記憶部にあらかじめ記憶されている参照パターンである。左15度方向から右15度方向にかけて、5度単位7方位の参照パターンが用意されている。それぞれの参照パターンは互いに明確に区別可能な特徴を有していることがわかる。
【0077】
測定データから生成した電力強度パターン(図9)と、それぞれの参照パターン(図10)とを相対値で比較照合し、最も類似度の高い参照パターンを選び出す。選出された参照パターンに係る方位を、ターゲットが存在する方位と推定する。
【0078】
この例では、人体相当ターゲットの場合も乗用車相当ターゲットの場合も、その電力強度パターンは右5度の参照パターンと最も類似しているので、共にターゲット存在方位は「右5度」と推定される。
【0079】
このように、本実施例によれば、ターゲットの大きさによらず、精度の高い物体検知を行うことができる。
【0080】
また、サイドローブ抑圧性能の粗悪なアンテナを用いても、方向誤検知を生ずることがない。
【0081】
さらに、アンテナの照射方向の可変量(10度)の約2倍の方位分解能を実現することができる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、サイドローブを除去する必要がないばかりか、サイドローブで得られるエコーをも方位特定に活用する。これにより、アンテナおよび信号処理部分の構成が簡易かつ安価となる。また、サイドローブの抑圧性能の粗悪なアンテナを用いても方向誤検知のない物体検知を行うことが可能となる。
【0083】
また、反射電力強度の相対的な変化のパターンに基づいて方位特定を行うので、検知対象物の大きさや検知対象物までの距離によらず、検知対象物の有無やその方位を高い精度で検知することができる。
【0084】
さらに、方位分解能が照射方向の可変量に依存せず、アンテナの指向性の設定しだいで容易に方位分解能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る物体検知装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】アンテナの指向性の一例を示すアンテナパターンである。
【図3】メインローブ照射方向を3方位に切り替えた場合に観測される電力強度パターンを説明する図である。
【図4】物体検知処理の動作フローを示すフローチャートである。
【図5】サイドローブ抑圧比6dBのアンテナの指向性を示すアンテナパターンである。
【図6】サイドローブ抑圧比12dBのアンテナの指向性を示すアンテナパターンである。
【図7】サイドローブ抑圧比6dBのアンテナで得られた照射方向毎の反射電力強度を示す図である。
【図8】サイドローブ抑圧比12dBのアンテナで得られた照射方向毎の反射電力強度を示す図である。
【図9】図7の測定データから得られた電力強度パターンを示す図である。
【図10】参照パターンを示す図である。
【符号の説明】
1 物体検知装置
2 レーダユニット
20 スキャニングアンテナ部(アンテナ)
21 スキャン制御部
22 センサヘッド部
3 信号処理ユニット
30 信号処理部
31 記憶部(記憶手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、スキャニングアンテナを利用した物体検知装置に用いられて有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
スキャニングアンテナで所定の領域内にビームを走査し、その検知領域内に存在する物標で反射されたエコーを解析することにより物体検知を行う技術が知られている。このような電波を利用したリモートセンシング技術は、たとえば、防犯用の侵入者検知装置や車載用の車輌検知装置などの電波センサに応用されている。
【0003】
スキャニングアンテナを利用した電波センサの場合、検知対象物を他物標と識別し、かつ、検知対象物の正確な方位を特定する必要から、一般にアンテナ特性として鋭い指向性が要求される。また、方位分解能向上のために、ビームの照射方向を微細に可変できることが望ましい。
【0004】
ところが、メインローブの狭角化ならびに高利得化を狙いアンテナの指向性を強めると、それに反してサイドローブのレベルが高くなる(サイドローブの抑圧性能が悪化する)。そうすると、サイドローブによって意図しない方位に存在する物標を検知してしまい、検知対象物の方位を見誤る(方向誤検知)可能性が高くなるという問題が生ずる。
【0005】
特に、電子的に指向性を可変する電子式スキャニングアンテナの場合は、機械的な走査機構のアンテナに比べてより大きなサイドローブの発生を伴うため、サイドローブに起因する方向誤検知の問題が深刻となる。
【0006】
かかる問題を解決すべく、これまで、サイドローブの影響を低減する種々の試みがなされてきた。たとえば、特許文献1では、ビート周波数別レベル分布からサイドローブパターンを除去する方法が提案されている。また、特許文献2では、送信アンテナと受信アンテナの構成を工夫することにより、サイドローブを抑圧する方法が提案されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−116832号公報
【特許文献2】
特開2001−174539号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれの方法においても、物体検知に寄与するのはメインローブの部分のみであるため、方位分解能を向上させるには、結局、アンテナの指向性を高めるとともに、メインローブ照射方向の可変量を細かく制御しなければならない。
【0009】
したがって、電子式スキャン方式のフェーズドアレイアンテナの場合には、アンテナ素子数の増加や移相器の高性能化を余儀なくされ、構成の複雑化・大型化やコストの増大を招き、民生レベルでの実用化が困難であった。また、機械式スキャン方式のアンテナの場合も、エコーのサンプリング回数の増加に伴う信号処理速度の高速化や、アンテナ角度の高精度制御を強いられるため、やはりコスト的に実用化が難しかった。
【0010】
また、アンテナの指向性を高めたり、サイドローブの抑圧性能を向上させるためには、アンテナやその電気回路の線路長の設計および製造がシビアとなり、これもコスト増大の原因となる。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、簡易かつ安価な構成で、方向誤検知が少なく方位分解能の高い物体検知を可能とする技術を提供することにある。
【0012】
また、本発明の第2の目的は、サイドローブ抑圧性能の低いアンテナであっても、方向誤検知の少ない物体検知を可能とする技術を提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の第3の目的は、メインローブ照射方向の可変量を変えることなく方位分解能を向上させる技術を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術が有する上述の課題を解決すべく、鋭意検討を行った。以下にその概要を説明する。
【0015】
従来は、方向誤検知の防止策として、サイドローブ抑圧性能の向上またはサイドローブ信号の除去等を目的とした研究開発が主流であった。しかし、これらのアプローチでは、構成の簡易化,設計コストおよび製造コストの低減,方位分解能の向上等を実現する上で限界がある。
【0016】
そこで、本発明者らは、サイドローブをノイズとして除去するのではなく、逆に、サイドローブで得られるエコーをも物体検知に利用することができないか、との着想を得た。
【0017】
しかし、ある一方向の反射電力強度のみを解析しても、それがメインローブで得られたものかサイドローブで得られたものかを判別するのは容易ではない。反射電力強度は、照射したビームの強度のみならず、物標の大きさや物標までの距離によっても変化するからである。
【0018】
そこで次に、本発明者らは、アンテナの指向性がもつ規則性に着目した。アンテナの指向性は、通常、利得(放射性能の良さ)が最大となるメインローブと、このメインローブの両側に繰り返し現れる複数のサイドローブとから構成される。また、メインローブとサイドローブの間、および、隣接する2つのサイドローブの間には、利得が極端に落ち込むヌルポイントが存在する。
【0019】
つまり、検知対象物の存在する方位によって、観測される反射電力強度は次のように変化する。検知対象物がメインローブのピーク方向に存在するとき反射電力強度は最大となる。この状態からずれるに従い反射電力強度は小さくなり、検知対象物の方位が第1ヌルポイントと一致したときに反射電力強度は極小となる。さらに検知対象物の方位がずれていくと、第1サイドローブの位置で反射電力強度が再び極大を迎える。それ以後、第2ヌルポイントの位置で極小、第2サイドローブの位置で極大、…という変化を繰り返す。
【0020】
これを逆に考えると、アンテナのメインローブ照射方向を段階的に切り替えて複数の方向の反射電力強度を得れば、それらの相対的な変化はアンテナの指向性の規則性に従ったある特徴的なパターンを示すことになる。そして、このパターンと検知対象物の存在する方位とが一対一に対応するようにアンテナの指向性等を設定すれば、観測されたパターンに基づき検知対象物の存在する方位を逆算することが可能となる。
【0021】
以上の検討に基づき、本発明はたとえば次のように構成される。すなわち、アンテナのメインローブ照射方向を段階的に切り替えて複数の方向にビームを照射し、各照射方向においてメインローブまたはサイドローブで得られる検知対象物からのエコーを受信する。そして、受信したエコーから照射方向毎の反射電力強度を求め、各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターンに基づいて検知対象物が存在する方位を特定するのである。
【0022】
この構成では、サイドローブを除去する必要がないばかりか、サイドローブで得られるエコーをも方位特定に活用する。具体的には、メインローブで得られたエコーかサイドローブで得られたエコーかを区別することなく、受信したエコーから反射電力強度を求めればよい。これにより、アンテナおよび信号処理部の構成が簡易かつ安価となる。また、サイドローブの抑圧性能の粗悪なアンテナを用いても方向誤検知のない物体検知を行うことが可能となる。
【0023】
また、反射電力強度の絶対値ではなく相対的な変化のパターンに基づいて方位特定を行うので、検知対象物の大きさや検知対象物までの距離によらず、検知対象物の有無やその方位を高い精度で検知することができる。
【0024】
さらに、上記構成では、各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターンに基づいて方位特定を行うので、方位分解能が照射方向の可変量に依存せず、アンテナの指向性の設定しだいで容易に方位分解能の向上を図ることができる。たとえば、メインローブのピークと第1サイドローブのピークの間の角度が、第1サイドローブのピークと第2サイドローブのピークの間の角度の略2倍となるようにアンテナの指向性を設定するとよい。また、次照射方向のメインローブのピーク角度が前照射方向の第1ヌルポイントの角度になるようにメインローブ照射方向を切り替えるとよい。このように設定することにより、照射方向の可変量を変えることなく約2倍に方位分解能を向上することができる。
【0025】
また上記構成において、検知領域を複数の方位に分割し、各方位に物標が存在する場合の各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターンを方位毎の参照パターンとしてあらかじめ記憶しておき、受信したエコーから得られたパターンを方位毎の参照パターンと比較することによって検知対象物が存在する方位を特定することも好ましい。これにより処理の簡単化・高速化を図ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。本発明の物体検知方法および物体検知装置は、侵入者や侵入物を検知する防犯用センサ、前方車輌や障害物等を検知する車載用センサ、駐車場等に設置される車輌センサ等など種々の物体検知に好適に用いることができる。
【0027】
なお、以下の実施の形態に記載されている構成部品の寸法、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る物体検知装置の概略構成を示すブロック図である。
【0029】
同図に示すように、物体検知装置1は、概略、電波を利用したリモートセンシングを行うレーダユニット2と、レーダユニット2で得られたデータを処理する信号処理ユニット3とを備えて構成される。また、必要に応じて、信号処理ユニット3で処理されたデータを出力する出力部や、信号処理ユニット3に対して指示・設定を行ったり、パラメータを入力したりする入力部を備えてもよい。なお、レーダユニット2,信号処理ユニット3,出力部および入力部は一体構成の装置に組み込まれていてもよいし、それぞれ又はその一部を別体で構成することもできる。
【0030】
レーダユニット2は、スキャニングアンテナ部20とスキャン制御部21とセンサヘッド部22とを備えている。レーダ方式には、アンテナから照射する電波にパルス波を用いるパルスレーダ方式と周波数変調波を用いる連続波レーダ方式とがあるが、いずれの方式も適用可能である。連続波レーダ方式の具体例としては、FM−CW方式等がある。また、使用する電波の周波数帯も特に限定されることはない。
【0031】
スキャニングアンテナ部20は、メインローブ照射方向を段階的に切り替えて複数の照射方向にビームを照射可能な機能を有するアンテナである。走査方式には、大別して、機械的可動部分を持たず電気的に指向性を可変する電子式スキャン方式と、機械的にアンテナの向きを可変する機械式スキャン方式とがあるが、ここではいずれの方式も適用可能である。
【0032】
電子式スキャン方式としては、移相器によって給電移相を可変することにより複数のアンテナ素子によって形成されるアンテナ全体の指向性を可変する方式のフェーズドアレイアンテナや、給電点を切り替えて誘電体レンズを通して形成される指向性を可変する給電点切り替え型のアンテナや、予め設置角度にオフセットを持たせた複数のアンテナを切り替え、個々のアンテナから照射されるメインローブの違いを利用するアンテナ切替型のアンテナなどがある。また、機械式スキャン方式では、モータによって単一のアンテナの向きを物理的に変えてメインローブの照射方向を可変する。
【0033】
スキャン制御部21は、スキャニングアンテナ部20の指向性を可変する制御を行う部分である。スキャン制御部21は、一定の時間間隔でアンテナの指向性を可変し、メインローブ照射方向を段階的に切り替える。なお、メインローブ照射方向を連続的に切り替えてもよいが、コストや処理速度等の観点から段階的に切り替えるほうが好ましい。また、スキャン制御部21は、メインローブ照射方向を表す方位情報を信号処理ユニット3に出力する機能も有する。
【0034】
センサヘッド部22は、アンテナより照射する信号を生成する機能、および、受信したエコー(検知対象物で反射し跳ね返った信号)から反射電力強度を求める機能を有する。センサヘッド部22で算出された反射電力強度は信号処理ユニット3に出力される。
【0035】
信号処理ユニット3は、概略、信号処理部30と記憶部31とを備える。
【0036】
信号処理部30は、CPU(中央演算処理装置),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)等を基本ハードウエアとして備えるコンピュータにより構成される。装置稼動時には、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれ実行されることで、後述する物体検知処理に係る諸機能が実現される。
【0037】
記憶部31は、書き換え可能なメモリあるいは磁気ディスク装置などにより構成される記憶手段であり、信号処理部30によってデータの読み書きがなされるものである。記憶部31には、レーダユニット2から入力される反射電力強度情報や、スキャン制御部21から入力される方位情報などが、随時、記録・更新・蓄積されていく。また、記憶部31には方位毎の参照パターンなどの情報があらかじめ記憶されており、物体検知処理における方位特定の際に参照される。
【0038】
図2は、スキャニングアンテナ部20の指向性の一例を示すアンテナパターンである。アンテナの指向性は、通常、利得(放射性能の良さ)が最大となるメインローブと、その両側に繰り返し現れる複数のサイドローブとから構成される。また、メインローブとサイドローブの間、および、隣接する2つのサイドローブの間には、利得が極端に落ち込む点(ヌルポイント)が存在する。同図の例では、メインローブの左右に第1〜第4サイドローブが対称に現れている。
【0039】
本実施形態では、メインローブのピークと第1サイドローブのピークの間の角度が、第1サイドローブと第2サイドローブのピークの間の角度の略2倍となるようにアンテナの指向性を設定する。そして、このアンテナを用いて、次照射方向のメインローブのピーク角度が前照射方向の第1ヌルポイントの角度になるようにメインローブ照射方向を3方位に切り替える。このようすを示したものが図3である。
【0040】
同図では、照射方向(1)のアンテナパターンを実線、照射方向(2)のアンテナパターンを破線、照射方向(3)のアンテナパターンを一点鎖線で示している。横軸は方位であり、図中左から右へアンテナのスキャンが行われる。縦軸はアンテナ利得であるが、ここでは説明の便宜上、1〜4のレベルで表している。
【0041】
たとえば、方位aの位置に検知対象物が存在する場合は、照射方向(1)のときに第1サイドローブで、照射方向(2)のときに第2サイドローブで、照射方向(3)のときに第3サイドローブで、それぞれエコーが観測される。いずれのサイドローブもレベル2であるため、各照射方向毎の反射電力強度の相対的な変化は、2−2−2というパターンとして得られる。以下、このようにして得られる各照射方向毎の反射電力強度の相対的な変化のパターンを「電力強度パターン」と称す。
【0042】
方位bの位置に検知対象物が存在する場合は、いずれの照射方向においてもちょうどヌルポイントに重なるため、エコーはほとんど観測されず、電力強度パターンは1−1−1となる。
【0043】
方位cの位置に検知対象物が存在する場合は、照射方向(1)のときにメインローブの中途部で、照射方向(2)のときに第1サイドローブで、照射方向(3)のときに第2サイドローブで、それぞれエコーが観測される。このときの電力強度パターンは、3−2−2となる。
【0044】
方位dの位置に検知対象物が存在する場合は、照射方向(1)のときにメインローブのピークでエコーが観測されるが、照射方向(2),(3)のときにはヌルポイントと重なるためエコーは観測されない。したがって電力強度パターンは、4−1−1となる。
【0045】
方位e〜kについても同様にして、電力強度パターンを得ることができる。このようにして得られる各方位毎の電力強度パターンは、図3上部に示す表のようになる。
【0046】
この表からわかるように、上記指向性を有するアンテナを用いた場合、方位c〜iの7方位に関しては、電力強度パターンと検知対象物の存在する方位とが一対一に対応する。したがって、あらかじめ検知領域を複数の方位c〜iに分割し、各方位に物標が存在する場合の電力強度パターンを求め、それらを方位毎の参照パターンとして記憶部31に記憶しておけば(図中、太枠で囲った表の部分が参照パターンに相当する。)、受信したエコーから得られる電力強度パターンを方位毎の参照パターンと比較することによって、検知対象物の存在する方位を一意に特定することが可能となる。
【0047】
このように、本実施形態によれば、照射方向(1)〜(3)の3方位の反射電力強度に基づき、7方位の方位分解能を実現することができる。すなわち、アンテナの取り得る照射方向をn方位とすると、(2n+1)方位に方位分解能の向上が得られたことになる。
【0048】
なお、アンテナの指向性を変えたり、照射方向を増やすことで、さらに方位分解能の向上を図ることができる。また、ここでは1〜4の4段階のレベルで反射電力強度の相対的な変化を捉えたが、このレベル数を増やすことによっても、方位分解能の向上を図ることが可能である。
【0049】
では次に、物体検知処理の動作フローについて詳しく説明する。
【0050】
物体検知処理は、図4のフローチャートに従って行われる。図中、左側のフローはレーダユニット2におけるアンテナスキャン動作を示し、真中のフローは信号処理部30における信号処理動作を示し、右側のデータは記憶部31に保持する情報を示している。本実施形態では、アンテナスキャン動作が主で、その動作タイミングに合わせ、信号処理動作が従として実行される。
【0051】
レーダユニット2が稼動すると、まずステップS10において、スキャン制御部21がスキャニングアンテナ部20の指向性を照射方向(1)に設定する。スキャニングアンテナ部20は、センサヘッド部22で生成された信号に基づくビームを照射するとともに、メインローブまたはサイドローブで得られる検知対象物からのエコーを受信する。センサヘッド部22は受信したエコーから反射電力強度を求め、信号処理部30へ出力する。このとき、スキャン制御部21は方位情報を信号処理部30へ出力する。
【0052】
ステップS20において、信号処理部30は、照射方向(1)に関する反射電力強度と方位情報を記憶部31に記憶させる。
【0053】
つづいて、ステップS11において、スキャン制御部21はスキャニングアンテナ部20の指向性を照射方向(2)に切り替え、上記と同様の処理を行い、照射方向(2)に関する反射電力強度と方位情報を得る。さらに、ステップS12において、指向性を照射方向(3)に切り替えて、上記と同様の処理を行い、照射方向(3)に関する反射電力強度と方位情報を得る。
【0054】
このようにして、(1)〜(3)の全照射方向の反射電力強度情報を取得すると、信号処理部30はそれらを記憶部31から読み込み、電力強度パターンを生成する(ステップS23)。
【0055】
次に、記憶部31から各方位毎の参照パターンを読み込み、上記電力強度パターンをこれらの参照パターンと比較照合する(ステップS24)。信号処理部30では、電力強度パターンとの類似度が最も高い参照パターンを選び出すことによって、検知対象物の方位を特定する(ステップS25)。
【0056】
このようにして得られた検知対象物の情報は、必要に応じて外部に出力される(ステップS26)。なお、以上の処理は、ユーザからの停止命令があるまで、繰り返し実行されることとなる(ステップS13,S27)。
【0057】
以上述べたように、本実施形態の構成および方法によれば、アンテナのサイドローブを除去する必要がないばかりか、サイドローブで得られるエコーをも方位特定に活用することができる。これにより、アンテナおよび信号処理部分の構成を簡易かつ安価なものとすることができるとともに、サイドローブの抑圧性能の粗悪なアンテナを用いても方向誤検知のない信頼性の高い物体検知を行うことが可能となる。
【0058】
また、反射電力強度の絶対値ではなく相対的な変化のパターンに基づいて方位特定を行うので、検知対象物の大きさや検知対象物までの距離によらず、検知対象物の有無やその方位を高い精度で検知することができる。
【0059】
さらに、本実施形態によれば、メインローブ照射方向の可変量を変えることなく、方位分解能を約2倍に向上させることができる。
【0060】
加えて、方位毎の参照パターンをあらかじめ記憶部31に用意し、観測して得られた電力強度パターンをこれらの参照パターンと比較することによって方位を特定するようにしたので、処理の簡単化・高速化を図ることができる。
【0061】
以上述べた作用効果を、以下の実施例により実証する。
【0062】
【実施例】
(実験概要)
サイドローブ抑圧性能の異なる2種類のアンテナを用い、物体検知処理を行う。このとき、従来の方法による物体検知処理と、本発明の方法による物体検知処理を行い、それぞれの方向検知精度および方位分解能について比較検証を行った。
【0063】
一方のアンテナは、図5に示す指向性を有するものであり、サイドローブ抑圧比(メインローブに対するサイドローブのレベル差)が6dBと粗悪なものである。他方のアンテナは、図6に示す指向性を有するものであり、サイドローブ抑圧比が12dBと良好なものである。
【0064】
これらのアンテナのメインローブ照射方向を、左10度方向,正面方向(0度方向),右10度方向の3方向に段階的に切り替えて、右5度の方位に設置したターゲット(検知対象物)の検知を行った。
【0065】
ターゲットとしては、人体相当ターゲットと乗用車相当ターゲットの2種類を用いた。人体相当ターゲットのレーダ反射断面積(RCS;Rader Cross Section)は0dBsm、乗用車相当ターゲットのRCSは10dBsmであった。
【0066】
アンテナ正面方向(0度方向)にある人体相当ターゲットの反射電力強度を0dBmとする。アンテナは送受同一アンテナを用いることとしたので、アンテナゲインが−5dB低下した方位では、−5dB×2=−10dBだけ電力強度が低下することとなり、検出される電力強度は、0dBm−10dB=−10dBmとなる。
【0067】
なお、反射電力強度はアンテナからターゲットまでの距離の4乗に反比例するが、ここでは、電力補正があらかじめなされているものとし、同一のターゲットは検知領域内では同じ反射電力で検知できるものとする。
【0068】
サイドローブ抑圧比6dBのアンテナで得られた照射方向毎の反射電力強度を図7に示す。また、サイドローブ抑圧比12dBのアンテナで得られた照射方向毎の反射電力強度を図8に示す。図中、白色の棒グラフは人体相当ターゲットの反射電力強度を示し、黒色の棒グラフは乗用車相当ターゲットの反射電力強度を示している。
【0069】
(比較例)
従来技術を適用した比較例では、単一方向の反射電力強度の絶対値に基づいてターゲットの方位特定を行う。具体的には、反射電力強度が所定の閾値を超えた場合に、ターゲットが存在すると判断する。ここでは、人体相当ターゲットの検知を想定し、メインローブ内(半値角)のアンテナゲイン変化量3dB×2(送受アンテナ分)とマージン4dBを考慮して、閾値を−10dBmと設定した。
【0070】
ターゲットが人体相当ターゲットの場合には、サイドローブ抑圧比6dB,12dBの両アンテナとも、左10度方向の反射電力強度が閾値を下回る。したがって、いずれのアンテナでも、右10度方向および正面方向(0度方向)にターゲットが存在すると検知される。ターゲットが右5度方向に設置してあることからすれば、これは適正な検知結果といえる。
【0071】
一方、RCSの大きい乗用車相当ターゲットの場合、サイドローブ抑圧比6dBのアンテナでは、全ての方向で反射電力強度が閾値を超えるため、全方位にターゲットが存在すると検知してしまう。つまり、左10度方向で誤検知を生ずるのである。この誤検知は、アンテナのサイドローブ抑圧比を12dB程度まで改善すれば、回避可能であることが図8からわかる。
【0072】
このように、従来技術にあっては、方向誤検知を抑制するために、サイドローブ抑圧性能の良好なアンテナを用いる必要があった。また、方位分解能はアンテナの可変量によって定まり、ここでは10度ごと3方位の方位分解能しか得られない。
【0073】
(実施例)
本発明を適用した実施例では、電力強度パターンに基づいてターゲットの方位特定を行う。
【0074】
本実施例では、まず、照射方向毎の反射電力強度の相対的な変化をパターン化し、電力強度パターンを生成する。図9は、図7の測定データから得られた電力強度パターンである。図中下側のグラフは人体相当ターゲットの電力強度パターンを示し、上側のグラフは乗用車相当ターゲットの電力強度パターンを示している。
【0075】
電力強度パターンは、反射電力強度の相対的な変化を表すものであるので、人体相当であろうと乗用車相当であろうと、ターゲットのRCS(大きさ)にかかわらず、同じ特徴を有することがわかる。
【0076】
図10は、記憶部にあらかじめ記憶されている参照パターンである。左15度方向から右15度方向にかけて、5度単位7方位の参照パターンが用意されている。それぞれの参照パターンは互いに明確に区別可能な特徴を有していることがわかる。
【0077】
測定データから生成した電力強度パターン(図9)と、それぞれの参照パターン(図10)とを相対値で比較照合し、最も類似度の高い参照パターンを選び出す。選出された参照パターンに係る方位を、ターゲットが存在する方位と推定する。
【0078】
この例では、人体相当ターゲットの場合も乗用車相当ターゲットの場合も、その電力強度パターンは右5度の参照パターンと最も類似しているので、共にターゲット存在方位は「右5度」と推定される。
【0079】
このように、本実施例によれば、ターゲットの大きさによらず、精度の高い物体検知を行うことができる。
【0080】
また、サイドローブ抑圧性能の粗悪なアンテナを用いても、方向誤検知を生ずることがない。
【0081】
さらに、アンテナの照射方向の可変量(10度)の約2倍の方位分解能を実現することができる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、サイドローブを除去する必要がないばかりか、サイドローブで得られるエコーをも方位特定に活用する。これにより、アンテナおよび信号処理部分の構成が簡易かつ安価となる。また、サイドローブの抑圧性能の粗悪なアンテナを用いても方向誤検知のない物体検知を行うことが可能となる。
【0083】
また、反射電力強度の相対的な変化のパターンに基づいて方位特定を行うので、検知対象物の大きさや検知対象物までの距離によらず、検知対象物の有無やその方位を高い精度で検知することができる。
【0084】
さらに、方位分解能が照射方向の可変量に依存せず、アンテナの指向性の設定しだいで容易に方位分解能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る物体検知装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】アンテナの指向性の一例を示すアンテナパターンである。
【図3】メインローブ照射方向を3方位に切り替えた場合に観測される電力強度パターンを説明する図である。
【図4】物体検知処理の動作フローを示すフローチャートである。
【図5】サイドローブ抑圧比6dBのアンテナの指向性を示すアンテナパターンである。
【図6】サイドローブ抑圧比12dBのアンテナの指向性を示すアンテナパターンである。
【図7】サイドローブ抑圧比6dBのアンテナで得られた照射方向毎の反射電力強度を示す図である。
【図8】サイドローブ抑圧比12dBのアンテナで得られた照射方向毎の反射電力強度を示す図である。
【図9】図7の測定データから得られた電力強度パターンを示す図である。
【図10】参照パターンを示す図である。
【符号の説明】
1 物体検知装置
2 レーダユニット
20 スキャニングアンテナ部(アンテナ)
21 スキャン制御部
22 センサヘッド部
3 信号処理ユニット
30 信号処理部
31 記憶部(記憶手段)
Claims (10)
- アンテナのメインローブ照射方向を段階的に切り替えて複数の方向にビームを照射し、
各照射方向においてメインローブまたはサイドローブで得られる検知対象物からのエコーを受信し、
受信したエコーから照射方向毎の反射電力強度を求め、
各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターンに基づいて前記検知対象物が存在する方位を特定する
物体検知方法。 - メインローブで得られたエコーかサイドローブで得られたエコーかを区別することなく、受信したエコーから反射電力強度を求める請求項1記載の物体検知方法。
- メインローブのピークと第1サイドローブのピークの間の角度が、第1サイドローブのピークと第2サイドローブのピークの間の角度の略2倍となるように前記アンテナの指向性を設定する請求項1または2記載の物体検知方法。
- 次照射方向のメインローブのピーク角度が前照射方向の第1ヌルポイントの角度になるようにメインローブ照射方向を切り替える請求項1,2または3記載の物体検知方法。
- 検知領域を複数の方位に分割し、各方位に物標が存在する場合の各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターンを方位毎の参照パターンとしてあらかじめ記憶しておき、
前記受信したエコーから得られた前記パターンを前記方位毎の参照パターンと比較することによって検知対象物が存在する方位を特定する請求項1〜4のうちいずれか1項記載の物体検知方法。 - メインローブ照射方向を段階的に切り替えて複数の照射方向にビームを照射するとともに、各照射方向においてメインローブまたはサイドローブで得られる検知対象物からのエコーを受信するアンテナと、
受信したエコーから照射方向毎の反射電力強度を求める手段と、
各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターンに基づいて前記検知対象物が存在する方位を特定する手段と、
を備える物体検知装置。 - メインローブで得られたエコーかサイドローブで得られたエコーかを区別することなく、受信したエコーから反射電力強度を求める請求項6記載の物体検知装置。
- 前記アンテナの指向性は、メインローブのピークと第1サイドローブのピークの間の角度が、第1サイドローブのピークと第2サイドローブのピークの間の角度の略2倍となるように設定されている請求項6または7記載の物体検知装置。
- 次照射方向のメインローブのピーク角度が前照射方向の第1ヌルポイントの角度になるようにメインローブ照射方向を切り替える請求項6,7または8記載の物体検知装置。
- 検知領域を複数の方位に分割し、各方位に物標が存在する場合の各照射方向の反射電力強度の相対的な変化のパターンを方位毎の参照パターンとしてあらかじめ記憶する記憶手段を備え、
前記受信したエコーから得られた前記パターンを前記方位毎の参照パターンと比較することによって検知対象物が存在する方位を特定する請求項6〜9のうちいずれか1項記載の物体検知装置。
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