JP2004144046A - ロータリ式シリンダ装置 - Google Patents

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Fumito Komatsu
小松 文人
Kenji Muramatsu
村松 健次
Tadashi Arii
有井 正
Katsuhiko Hayashi
林 勝彦
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Sankyo Seiki Manufacturing Co Ltd
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Abstract

【課題】装置全体がコンパクトであると共に圧縮機や吸引機として使用可能にする。
【解決手段】円形形状の回転シリンダ部材2とピストン保持部材5とを支持部材77に回転自在に支持すると共に、ピストン保持部材5の回転中心位置から偏心した自転中心位置には、その位置を中心として回動可能にピストンが保持され、回転シリンダ部材2とピストン保持部材5との相対回動によりピストン自体が自転中心位置を中心として回動しながら一対のシリンダ室の双方に出入りするロータリ式シリンダ部1と、このロータリ式シリンダ部1を駆動するモータ71と、モータ71の出力軸72に取り付けられて該モータ71を冷却するファン73と、ロータリ式シリンダ部1内を循環し潤滑およびシールする循環液を循環させる循環手段74と、ロータリ式シリンダ部1の吐出口75から吐出された液体および気体の混合流体を冷却する冷却手段76とを一体的に備える。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロータリ式シリンダ装置に関する。更に詳述すると本発明は、圧縮機や吸引機として使用可能なロータリ式シリンダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のロータリ式シリンダ装置201としては、図20及び図21に示すように、円形形状の回転シリンダ部材202と、180度離れた2つの偏心した自転中心位置x1,x2にそれぞれピストン203,204を回動可能に保持しかつ回転シリンダ部材202の回転軸心oから偏心した位置を回転中心位置Xとして回転するピストン保持部材(ロータ)205と、回転シリンダ部材202及びピストン保持部材205の両回転部材をそれぞれ回転自在に支持するケーシング206とを有するものが開発されている(特開2001−3701)。
【0003】
回転シリンダ部材202は、支軸221および軸受け部材207a,207bにより回転可能に支持されている。回転シリンダ部材202のピストン保持部材205との対向面には、4つの扇状の台部225を利用して形成された十字状の空間が設置されている。この十字状の空間は、空洞部222と4つのシリンダ室223a,223b,223c,223dとから成る。これらのシリンダ室223a〜223d内にはピストン203,204が嵌まり込む。また、シリンダ室223a〜223dの長手方向の両端は、回転シリンダ部材202の外周面202aに開放されている。そのため、各シリンダ室223a〜223dは、ケーシング206に形成された吸込口261及び吐出口262に連通可能となっている。
【0004】
2つのシリンダ室223a,223bは、空洞部222を中心に180度反対側に位置する。このため、ピストン保持部材205の回転により、回転シリンダ部材202とピストン保持部材205とが相対回動すると、ピストン203が空洞部222を経てシリンダ室223a,223b間をシリンダ室223a,223bに対して往復直線運動する。また、残りの2つのシリンダ室223c,223dもまた空洞部222を中心に180度反対側に位置する。このため、回転シリンダ部材202とピストン保持部材205とが相対回転すると、ピストン204が空洞部222を経てシリンダ室223c,223d間をシリンダ室223c,223dに対して往復直線運動する。
【0005】
ピストン保持部材205は、支軸251および軸受け部材208a,208bにより回転可能に支持されている。支軸251のケーシング206からの突出部分に、モータ等の駆動源の出力軸(図示省略)を連結させることにより、モータ等の駆動源の駆動力によって支軸251を中心としてピストン保持部材205が、回転シリンダ部材202の偏心位置で回転駆動される。
【0006】
ピストン保持部材205の回転シリンダ部材202との対向面には、ピストン203を自転可能に保持する保持軸252と、ピストン204を自転可能に保持する保持軸253とが立設固定されている。そして、保持軸252には、ピストン203がシリンダ室223a,223bを含む直線状の溝に嵌まり込んだ状態で遊嵌されている。一方、保持軸253には、ピストン204がシリンダ室223c,223dを含む直線状の溝に嵌まり込んだ状態で遊嵌されている。
【0007】
ケーシング206は、ピストン保持部材5を回転自在に支持する上ケース263と、回転シリンダ部材2を回転自在に支持する下ケース264とから構成されている。
【0008】
吸込口261は、約80度のスリット261aと、このスリット261aとケーシング206の外部とを連通させる連通孔261bと、この連通孔261bのケーシング206の外面側に接続される吸気管261cとから構成されている。そして、スリット261aは、回転シリンダ部材202が回転すると、各シリンダ室223a〜223dとそれぞれ連なるようになっている。
【0009】
吐出口262は、吸込口261のスリット261aから約10度離れた位置から始まり約80度に渡って形成されたスリット262aと、このスリット262aとケーシング206の外部とを連通させる連通孔262bと、この連通孔262bのケーシング206の外面側に接続される排気管262cとから構成されている。そして、スリット262aは、回転シリンダ部材202が回転すると、各シリンダ室223a〜223dとそれぞれ連なるようになっている。
【0010】
このように構成されたロータリ式シリンダ装置201は、ピストン保持部材205がモータ駆動等により回転運動を行うと、ピストン203,204が周回動作をし、この動作に伴って回転シリンダ部材202もピストン保持部材205の1/2の角速度で回転運動を行う。この動作によってポンプ動作、すなわち気体の圧縮あるいは吸引を行う。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したロータリ式シリンダ装置201は外部からの動力を利用して気体の圧縮あるいは吸引を行うだけの装置なので、独立した圧縮機や吸引機として使用するにはロータリ式シリンダ装置201の他にモータや液体供給タンク、フィルタ、サイレンサなどを設けなければならない。ここで、市販されている一般的なモータなどを使用すると、圧縮機や吸引機としては非常に大型化してしまうと共に各装置が別々であるので使い勝手が悪い。
【0012】
特にこの種のロータリ式シリンダ装置ではシールや潤滑を図るために液体を利用することが多いが、その場合に配管が複雑で圧縮機や吸引機としては大型化してしまうと共にコストが非常に高くなってしまう。
【0013】
さらに、ロータリ式シリンダ装置201は冷却手段を有していないので、運転による発熱でポンプ性能が低下してしまうおそれがある。
【0014】
そこで本発明は、装置全体がコンパクトであると共に圧縮機や吸引機として使用可能なロータリ式シリンダ装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、請求項1記載のロータリ式シリンダ装置は、回転軸心を中心として形成された空洞部に連通し、該空洞部を挟んで対向する少なくとも一対のシリンダ室を有する円形形状の回転シリンダ部材と、回転シリンダ部材の回転軸心から偏心した回転中心位置を中心として回転するピストン保持部材とを、支持部材にそれぞれ回転自在に支持すると共に、ピストン保持部材の回転中心位置から偏心した自転中心位置には、その位置を中心として回動可能にピストンが保持され、回転シリンダ部材とピストン保持部材との相対回動によりピストン自体が自転中心位置を中心として回動しながらかつ回転中心位置を中心として回転することによって一対のシリンダ室の双方に出入りすると共に、支持部材に、シリンダ室に連なる吸込口及び吐出口を備えたロータリ式シリンダ部と、このロータリ式シリンダ部を駆動するモータと、モータの出力軸に取り付けられて該モータを冷却するファンと、ロータリ式シリンダ部内を循環し潤滑およびシールする循環液を循環させる循環手段と、ロータリ式シリンダ部の吐出口から吐出された液体および気体の混合流体を冷却する冷却手段とを一体的に備えるようにしている。
【0016】
したがって、ロータリ式シリンダ部の他に、モータとファンと循環手段と冷却手段とを一体的に備えているので、装置全体をコンパクトにできると共にそのままで圧縮機や吸引機として使用することができ圧縮機や吸引機としての使い勝手を良くすることができる。しかも、冷却手段により混合流体を冷却するので、装置の高温化を防止して、シールする液体が加熱されて粘性が低下してポンプ性能が落ちることを防止できる。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のロータリ式シリンダ装置において、循環液を貯える供給用タンクと、モータとロータリ式シリンダ部との間に設けられたメカニカルシールとを備えるようにしている。したがって、配管を簡素化して装置全体をコンパクトにできると共にコストを下げることができる。しかも、ロータリ式シリンダ部から漏れ出た循環液がモータに入り込むことを防止できる。
【0018】
そして、請求項3記載の発明は、請求項2記載のロータリ式シリンダ装置において、供給用タンクは、ロータリ式シリンダ部の近傍に配置されると共に気液分離する循環路を形成するようにしている。したがって、供給用タンクからロータリ式シリンダ部までの配管を最短にして装置全体をコンパクトにできる。
【0019】
また、請求項4記載の発明は、請求項1から3までのいずれか記載のロータリ式シリンダ装置において、冷却手段とファンとモータの両軸とロータリ式シリンダ部とは直列的に配置されるようにしている。したがって、モータを中心にして冷却手段およびファンとロータリ式シリンダ部とが両側に配置されるので、冷却手段およびファンとロータリ式シリンダ部との間の配管を長くして放熱を促進することができる。よって装置の大きさを抑えながら効率良く放熱することができる。
【0020】
さらに、請求項5記載の発明は、請求項1から4までのいずれか記載のロータリ式シリンダ装置において、ロータリ式シリンダ部への循環路は回転シリンダ部材の中央部に配置するようにしている。したがって、循環液の液量を必要最低限に抑えることができるので、効率を上げることができる。また、連続的にシール材を送り込め安全運転ができより静粛性が増す。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0022】
図1〜図16に、本発明を適用したロータリ式シリンダ装置70の実施形態の一例を示す。このロータリ式シリンダ装置70は、ロータリ式シリンダ部1と、ロータリ式シリンダ部1を駆動するモータ71と、モータ71の出力軸72に取り付けられて該モータ71を冷却するファン73と、ロータリ式シリンダ部1内を循環し潤滑およびシールする循環液を循環させる循環手段74と、ロータリ式シリンダ部1の吐出口75から吐出された液体および気体の混合流体を冷却する冷却手段76とを一体的に備えるようにしている。このため、ロータリ式シリンダ部1の他に、モータ71とファン73と循環手段74と冷却手段76とを一体的に備えているので、装置全体を小型化できると共にそのままで圧縮機や吸引機として使用でき圧縮機や吸引機としての使い勝手を良くすることができる。
【0023】
また、冷却手段76とファン73とモータ71の両軸72とロータリ式シリンダ部1とは直列的に配置されるようにしている。このため、モータ71を中心にして冷却手段76およびファン73とロータリ式シリンダ部1とが両側に配置されるので、冷却手段76およびファン73とロータリ式シリンダ部1との間を結ぶ配管である連結パイプ118を長くして放熱を促進することができる。よって装置70の大きさを抑えながら効率良く放熱することができる。
【0024】
ロータリ式シリンダ部1は、図2〜図4に示すように回転軸心oを中心として形成された空洞部22に連通し、該空洞部22を挟んで対向する少なくとも一対のシリンダ室23a,23b,23c,23dを有する円形形状の回転シリンダ部材2と、回転シリンダ部材2の回転軸心oから偏心した回転中心位置Xを中心として回転するピストン保持部材5とを備えている。これら回転シリンダ部材2とピストン保持部材5とは支持部材77にそれぞれ回転自在に支持される。ピストン保持部材5の回転中心位置から偏心した自転中心位置x1,x2には、その位置を中心として回動可能にピストン3,4が保持され、回転シリンダ部材2とピストン保持部材5との相対回動によりピストン3,4自体が自転中心位置x1,x2を中心として回動しながらかつ回転中心位置を中心として回転することによって一対のシリンダ室23a,23b,23c,23dの双方に出入りする。さらに、支持部材77に、シリンダ室シリンダ室23a,23b,23c,23dに連なる吸込口78及び吐出口75を備えている。
【0025】
支持部材77は、ピストン保持部材5を回転自在に支持する蓋79と、回転シリンダ部材2を回転自在に支持するケース80とから構成されている。蓋79及びケース80は、互いの嵌め合わせ用突部同士をインローで嵌め合わせた状態でねじ等により固定されている。
【0026】
回転シリンダ部材2は、一端面に放射状に配置されたシリンダ室23a,23b,23c,23dを、他端面にボス部を設けた所定の厚みを有する円盤形状を成し、ケース80の内部空間に回転自在に配置されている。この回転シリンダ部材2の中央には、シリンダ軸21を貫通させる孔が設けられており、シリンダ室23a〜23d間を移動するピストン3,4と接触しない程度の突出量のシリンダ軸21が挿入されるように設けられている。このシリンダ軸21は、その一端がケース80の取付孔に圧入されて固定されている。また、回転シリンダ部材2のボス部が軸受け部材7によって回転自在に支承されている。そのため、回転シリンダ部材2は、軸受け部材7によって支持されシリンダ軸21の周りに回転するようにケース80内に収容される。軸受け部材7としては玉軸受けを使用しているが、これには限られずニードルや針状ベアリングを使用しても良い。また、シリンダ軸21には長手方向に沿って貫通した連通穴が形成されている。
【0027】
回転シリンダ部材2のピストン保持部材5に対向する側面には、4つの扇状の台部25を利用して形成された十字状の空間(溝)が形成されている。この十字状の空間は、空洞部22と該空洞部22を中心に放射状に配置された4つのシリンダ室23a,23b,23c,23dとから構成されている。すなわち、回転シリンダ部材2の当該側面には、回転軸心oを中心として所定の広さを備えかつ底面を有する空洞部22が形成されている。そして、この空洞部22内の回転軸心oを中心として放射状に、4つの断面矩形のシリンダ室23a,23b,23c,23dが設けられている。すなわち、シリンダ室23a,23b,23c,23dは、ピストン保持部材5側が開放され、他の三方の面が全て平面で形成されており、長手方向の片端は空洞部22に連通し、他端は開放されている。
【0028】
これらのシリンダ室23a〜23d内には、ピストン保持部材5に保持されたピストン3,4が嵌まり込むようになっており、各シリンダ室23a〜23dの三方の各平面部分が、四方の外面を平面で形成されたピストン3,4の三方の各平面部分との接触面となっている。すなわち、シリンダ室23a〜23dのピストン3,4との対向面及びこれに対するピストン3,4側の対向面は、互いに平面で形成され、これらの平面同士が接触面となっている。このように各ピストン3,4と各シリンダ室23a〜23dとの接触面が平面同士で形成されるため、接触面積が大きく、その接触部位における流体の流動抵抗は大きいものとなっている。そのため、各ピストン3,4が各シリンダ室23a〜23d内に嵌まり込むことによって形成している各空間から、接触面を伝って他の空間へ流体が漏れ出すことを、より確実に防止することができる。
【0029】
シリンダ室23a〜23dの外端は、回転シリンダ部材2の外周面2aに開放されている。そのため、各シリンダ室23a〜23dは、ケース80に形成された2つの連通路81,82に連通可能となっている。
【0030】
各シリンダ室のうちの2つのシリンダ室23a,23bは、空洞部22を挟んで対向する一対の部材となっている。そして、ピストン保持部材5の回転により回転シリンダ部材2とピストン保持部材5とが相対回動すると、ピストン3が空洞部22を経てシリンダ室23a,23b間を見た目上の往復直線運動し、シリンダ室23a,23b内の双方に出入りする。
【0031】
残りの2つのシリンダ室23cと23dも、空洞部22を挟んで対向する一対の部材となっている。そして、回転シリンダ部材2とピストン保持部材5とが相対回転すると、ピストン4が空洞部22を経てシリンダ室23c,23d間を見た目上の往復直線運動し、シリンダ室23c,23d内の双方に出入りする。
【0032】
空洞部22及び十字に配置された直線状のシリンダ室23a〜23dによって形成された十字状の空間に連通するように、細い十字溝が回転シリンダ部材2に形成されている。この細い十字溝は、ピストン3を一対のシリンダ室23a,23b間において見た目上の往復直線運動させるための直線状のガイド溝24aと、ピストン4を一対のシリンダ室23c,23d間において往復直線運動をより安定的にするための直線状のガイド溝24bとが十字状に交差することによって形成されている。
【0033】
一方、ピストン保持部材5は、回転シリンダ部材2の外径よりも小さい外径を有する円形形状で形成されている。このピストン保持部材5は軸受け部材8により回転可能に支持されると共に、モータ71の出力軸72に取り付けられている。ピストン保持部材5および出力軸72の回転中心位置をXとしている。軸受け部材8としては玉軸受けを使用しているが、これには限られずニードルや針状ベアリングを使用しても良い。
【0034】
ピストン保持部材5と出力軸72との取り付けは、図5に示すように出力軸72に形成されたキー溝84と、ピストン保持部材5に形成されたキー溝85と、これらのキー溝84,85に嵌合されたキー86とにより成される。よって、出力軸72とピストン保持部材5とは一体的に回転される。ピストン保持部材5の回転中心位置Xは、回転シリンダ部材2の回転軸心oから偏心した位置に設けられている。
【0035】
図2〜図4に示すように、ピストン保持部材5の回転シリンダ部材2に対向する面には、ピストン3を自転可能に保持する保持軸52と、ピストン4を自転可能に保持する保持軸53とが立設固定されている。そして、保持軸52には、ピストン3がシリンダ室23a,23bを含む直線状の溝、すなわちガイド溝24a内の所定の部位に嵌まり込んだ状態で遊嵌されている。
【0036】
ピストン3は、往復直線運動時における前後の面31,31が若干丸みを有するように形成されているが、他の四面、すなわちシリンダ室23a,23b内に嵌まり込んだ状態におけるピストン保持部材5側の面32と、回転シリンダ部材2側の面33と、両側面34,34とが平面に形成されている。すなわち、ピストン3は、略長方体のブロック形状を有している。そして、平面に形成された各面のうちの回転シリンダ部材2側の面33と両側面34,34は、ピストン3がシリンダ室23a,23b内に嵌まり込んだ際のシリンダ室23a,23bとの接触面となる。また、ピストン3の中心部分には、保持軸52に遊嵌されるための孔3aが設けられている。さらに、ピストン3の底部分には、上述したガイド用溝24aに嵌まり込む凸片3bが設けられている。
【0037】
保持軸53には、ピストン4がシリンダ室23c,23dを含む直線状の溝、すなわちガイド溝24b内の所定の位置に嵌まり込んだ状態で遊嵌されている。ピストン4もピストン3と同様、往復直線運動時における前後の面41,41が若干丸みを有するように形成されているが、他の四面、すなわちシリンダ室23c,23d内に嵌まり込んだ状態におけるピストン保持部材5側の面42と、回転シリンダ部材2側の面43と、両側面44,44とが平面に形成されている。すなわち、ピストン4も、ピストン3と同様、略長方体のブロック形状を有している。そして、平面に形成された各面のうちの回転シリンダ部材2側の面43と両側面44,44は、ピストン4がシリンダ室23c,23d内に嵌まり込んだ際のシリンダ室23c,23dとの接触面となる。また、ピストン4の中心部分には、保持軸53に遊嵌されるための有底の孔4aが設けられている。さらに、ピストン4の底部分には、ガイド用溝24bに嵌まり込む凸片4bが設けられている。
【0038】
図5に示すように、回転シリンダ部材2を配置した状態で、回転シリンダ部材2の外周面2aに対向する位置、すなわちケース80のシリンダ収容室87の内壁には、外部の流体をシリンダ収容室87内に吸い込む吸込口78に連通する連通路81と、シリンダ収容室87内に吸い込んだ流体を外部へ吐出する吐出口75に連通する連通路82とが形成されている。
【0039】
シリンダ収容室87の内壁には約80度の吸気側スリット88が形成されている。この吸気側スリット88には、吸込口78に連通する吸気側連通路81が開口している。吸気側スリット88は、回転シリンダ部材2が回転すると、各シリンダ室23a〜23dとそれぞれ連なる。
【0040】
吸気側スリット88から約10度離れた位置から始まり約80度に渡って吐出側スリット89が形成されている。この吐出側スリット89には、吐出口75に連通する吐出側連通路82が開口している。吐出側スリット89は、回転シリンダ部材2が回転すると、各シリンダ室23a〜23dとそれぞれ連なる。
【0041】
このロータリ式シリンダ部1は、ピストン保持部材5がモータ駆動等により等角速度の回転運動を行うと、ピストン3,4が周回動作をし、この動作に伴って回転シリンダ部材2も等角速度運動を行う。この動作によって、ポンプ動作を行う。
【0042】
循環手段74は、循環液が貯液される供給用タンク91と、供給用タンク91に貯液された循環液を吸引する吸引路92と、吸引路92からの循環液をロータリ式シリンダ部1の中央部に送り込むシリンダ軸21の連通穴102と、ロータリ式シリンダ部1の循環液と圧縮空気との混合流体を供給用タンク91に輸送する連結パイプ118とを備えている。本実施形態ではシリンダ軸21の連通穴102を循環液の循環路にしているので、ロータリ式シリンダ部1への循環路は回転シリンダ部材2の中央部に配置される。このため、循環液の液量を必要最低限に抑えることができるので、効率を上げることができる。また、連続的にシール材を送り込め安全運転ができより静粛性が増す。
【0043】
本実施形態のロータリ式シリンダ装置70では、メカニカルシール90と供給用タンク91とを備えている。これにより、配管を簡素化して装置全体をコンパクトにできると共に配管コストを下げることができる。図1に示すように、循環液が貯液される供給用タンク91はケース80及び蓋79の下部、すなわちロータリ式シリンダ部1の下方の近傍に形成されている。
【0044】
ケース80は、図1および図6に示すように供給用タンク91および吸引路92の他に、上部に形成された吸込口78と、吸込口78からシリンダ収容室87の吸気側スリット88に連通する吸気側連通路81と、吸引路92からの循環液を濾過するフィルタ部93と、供給用タンク91に循環液を補給するための液体流入口155と、供給用タンク91の上方に形成された吐出口156とを備えている。吐出側連通路82はケース80の蓋79側の側面に開口している。液体流入口155には液体流入口蓋157がねじ込み固定されてシールされている。
【0045】
シリンダ収容室87の中央には、フィルタ部93と連通すると共にシリンダ軸21を固定する透孔94が形成されている。また、ケース80の供給用タンク91の外壁部には、透孔から成る液位窓95と、該液位窓95を塞ぐ透明のガラス96とが設けられている。よって、供給用タンク91の液面高さを外部から監視することができる。さらに、吸引路92の下方には液体抜き穴が形成されている。これにより、供給用タンク91の液体交換時に内部の液体を廃棄することができる。
【0046】
一方、フィルタ部93は、内フィルタホルダ97と、フィルタ98と、透明樹脂から成る外フィルタホルダ99と、Oリング100と、ガラス96と、ガラス押さえカバー101とを備えている。内フィルタホルダ97とフィルタ98と外フィルタホルダ99とは、重ねられると共に内フィルタホルダ97を最も蓋79側にして設けられている。また、フィルタ部93は、ガラス押さえカバー101がケース80にねじ止めされることにより固定される。
【0047】
内フィルタホルダ97および外フィルタホルダ99は多数の細かい貫通穴を備えている。このため、循環液を抵抗無く容易にフィルタ98に通すことができる。ここで、供給用タンク91の下部に溜まった循環液は、吸引路92から吸い上げられて外フィルタホルダ99とガラス96との間の空間に入る。そして、循環液は外フィルタホルダ99を通過してフィルタ98を透過する。さらに、フィルタ98を透過した循環液は、内フィルタホルダ97を通過してシリンダ軸21の連通穴102に案内されてロータリ式シリンダ部1の中央部に送り込まれる。
【0048】
図8に示すように、ガラス押さえカバー101にはフィルタ窓103と液位窓95とが形成されている。フィルタ窓103は、フィルタ98に向き合った部位に形成されている。このフィルタ窓103からは、ガラス96および外フィルタホルダ99を透過してフィルタ98を目視することができる。また、液位窓95は供給用タンク91の液位窓95に重なる位置に形成されている。この液位窓95からはガラス96を通過して循環液の液位を目視することができる。
【0049】
蓋79は、供給用タンク91の他に、図9に示すように吐出側連通路82が開放される吐出室158と、ピストン保持部材5を収容するロータ室159とを備えている。
【0050】
メカニカルシール90は、図5に示すようにロータリ式シリンダ部1側のモータ出力軸72に設けられている。このメカニカルシール90は、モータ71の側板105にねじ止めされる大プレート106と、大Oリング107と、カーボン製のスライダ108と、小Oリング109と、小プレート110とを順に重ねてEリング111により出力軸72に固着されている。大プレート106とスライダ108とは互いの接触面が鏡面仕上げにされている。これにより、ロータリ式シリンダ部1の循環液がモータ71内に入り込むことを防止できる。また、スライダ108と、小Oリング109と、小プレート110と、Eリング111とは出力軸72と共に回転する。
【0051】
本実施形態では図5に示すようにモータ71の側板105と蓋79とは別部材であるが、これには限られず図1に示すように蓋79によりモータ71の側板を兼用するようにしても良い。
【0052】
モータ71は、図1に示すようにロータリ式シリンダ部1の反対側にも出力軸72を有している。この出力軸72にはファン73が設けられている。ファン73は冷却手段76に対向して設けられている。ファン73の外周側には円筒形状のガイド112が冷却手段76によって保持されている。このガイド112はファン73の通風流路を形成している。ここで、装置70のカバー(図示せず)とサイレンサ113とモータ71との間には隙間が設けられている。このため、ファン73が回転することにより、冷却手段76側から空気を吸い込んでモータ71の上下左右を通過してモータ71を冷却することができる。
【0053】
冷却手段76はラジエタ76である。このラジエタ76は、図10に示すように気液吐出流体の流入室上部114と、流入室上部114から下方に向けて設けられた複数のパイプ115と、各パイプ115に直交するよう設けられると共に放熱を行うフィン116と、パイプ115を通過した気液吐出流体を集める流入室下部117とを備えている。ファン73が回転することにより、空気が流れて主にフィン116により熱交換を行う。
【0054】
流入室上部114および流入室下部117には、図11に示すように連結パイプ118が入り込む凹部119および孔120が設けられている。連結パイプ118の両端には小径部121が形成されている。この小径部121にワッシャ122とOリング123とが取り付けられて、凹部119および孔120に挿入されている。Oリング123により小径部121と孔120との間からの気液の漏れを防止している。さらに、ロータリ式シリンダ部1とラジエタ76とがカバーで連結されていることにより連結パイプ118の抜け落ちが防止されている。ここで、連結パイプ118は蓋79の吐出口75とラジエタ76の流入室上部114の流入口124とを連通するものと、ラジエタ76の流入室下部117の流出口125と蓋79の流入口126とを連通する。各連結パイプ118としては同一部材を使用している。
【0055】
また、流入室上部114の圧力計取付孔128には圧力計127が取り付けられている。これにより、流入室上部114の圧力を読み取ることができる。さらに、流入室上部114には安全弁129が設けられている。この安全弁129は流入室上部114の気液が規定圧力以上になったときに自動的に開放されて装置70の安全を確保する。
【0056】
安全弁129は、図13に示すように流入室上部114の上部に形成された透孔130に圧入された筒体131と、該筒体131の下端に固定された押さえ132と、押さえ132により外縁部を支持されると共に中央部に透孔を有するパッキン133と、パッキン133に密着可能であると共にパッキン133の透孔134に嵌合可能な突起135を有するバルブ板136と、該バルブ板136をパッキン133に押圧する付勢ばね137と、該付勢ばね137をバルブ板136に押し付けている調整ねじ138とを備えている。圧力が正常作動の範囲内であれば付勢ばね137が気液の圧力に打ち勝って突起135が透孔134に嵌合したままバルブ板136は開かない。しかし、圧力が正常作動の範囲より大きければ、気液の圧力は付勢ばね137に打ち勝って突起135を押し上げバルブ板136を開き、気液がパッキン133の透孔134を通過して調整ねじ138の開放孔139から外部に放出される。
【0057】
調整ねじ138をねじ込むことにより、ばね圧が大きくなって安全弁129の作動圧が高くなるので、装置70の吐出圧力が高まる。逆に調整ねじ138を緩めることにより、ばね圧が小さくなって安全弁129の作動圧が低くなるので、吐出圧力が低くなる。
【0058】
サイレンサ113は、モータ71の上方に配置されると共に、図14に示すようにサイレンサケース140とサイレンサ蓋141とを組み合わせて成る箱型形状とされている。サイレンサケース140は、吸込口142と、第1室143と、第1流路144と、第2室145と、第2流路146と、第3室147と、第3流路148と、第4室149と出口150とを備えている。各流路144、146,148は各室143,145,147,149に比べて断面積が狭くされている。このように、気体が吸い込まれるのに従って流通路の容積が大きく変化するので、拡張室型消音器として作用して吸気音を小さくすることができる。
【0059】
サイレンサケース140の間仕切りとサイレンサ蓋141との間には、各室143,145,147,149や流路144、146,148の連通を防止するシール151が挟まれている。また流通路の途中、例えば第4室149に逆止弁152が設けられている。そして、サイレンサ蓋141をサイレンサケース140にボルト153で固定して接続パイプ154を使用してケース80の吸込口78に連結する。
【0060】
上述したロータリ式シリンダ装置70の動作を以下に説明する。
【0061】
モータ71が回転すると、ロータリ式シリンダ部1が作動して吸込口78から空気を吸引する。このとき、空気は吸込口78から吸引される前にサイレンサ113を通過する。このため、吸気音が小さくなる。空気はサイレンサ113の逆止弁152を通過し吸込口78から入って、ケース80に形成された流路を通ってロータリ式シリンダ部1に入る。空気は圧縮されて吐出口75から吐出される。
【0062】
その一方、供給用タンク91の下部に溜まった循環液は、図1に示すようにケース80の吸引路92により吸い上げられて外フィルタホルダ99とガラス96との間の空間に入り、外フィルタホルダ99を通過してフィルタ98に入る。フィルタ98で濾過された循環液は、内フィルタホルダ97を通過してシリンダ軸21の連通穴102を通過して回転シリンダ部材2の中央に送り込まれる。循環液はロータリ式シリンダ部1の各部品同士の隙間に入り込んでシールおよび潤滑を行う。このとき、循環液は圧縮された空気に混ざって混合流体になり、図1及び図6に示すように圧縮空気と共に蓋79の内部を通過して吐出口75から吐出される。
【0063】
吐出された気液混合流体は上側の連結パイプ118を通り、流入室上部114からパイプ115を通過しながら冷却され、流入室下部117に入って下側の連結パイプ118を通って供給用タンク91に入る。供給用タンク91内部では気液分離され、液体は下部に貯まると共に気体は吐出口156から吐出される。これにより、供給用タンク91は、ロータリ式シリンダ部1の近傍に配置されると共に気液分離する循環路を形成しているので、供給用タンク91からロータリ式シリンダ部1までの配管を最短にして装置70全体をコンパクトにできる。
【0064】
ロータリ式シリンダ部1の動作について、図15(A),(B)及び図16(A),(B)を用いて説明する。
【0065】
図15(A)において、シリンダ室23a,23b内を見かけ上往復動するピストン3は、回転シリンダ部材2の空洞部22を横切り、一端側はシリンダ室23aの入り口に、他端側はシリンダ室23bの入り口にそれぞれ若干進入した状態となっている。すなわち、ピストン3は、往復動する溝内の中間位置にある状態となっており、平面に形成された両側面34,34及び底面33は、同様に平面で形成されたシリンダ室23a,23bの両内壁と底面及び空洞部22の底面に同時に当接した状態となっている。この実施形態では、このように中間位置においては、ピストン3は、空洞部22を挟む両側のシリンダ室23a,23bに同時に係合した状態となっている。このとき、シリンダ室23a,23b内は、共に連通路81および吸気側スリット88から取り込んだ流体が充満した状態となっている。
【0066】
図15(A)に示す状態時では、シリンダ室23aの最外周端部は、吐出側スリット89にわずかに連通し始めた状態となっており、シリンダ室23aは、吐出側スリット89を介して連通管82と連通した状態となっている。また、シリンダ室23bの最外周端部は、吸気側スリット88との連通状態が終了する直前の状態となっており、シリンダ室23bは、吸気側スリット88を介して連通路81と連通した状態となっている。なお、上述したようにピストン3が空洞部22に差し掛かっている状態であるため、このピストン3によって各シリンダ室23a〜23dはそれぞれ分断された状態となっている。
【0067】
一方、シリンダ室23c,23d内を見かけ上往復動するピストン4は、回転シリンダ部材2のシリンダ室23d内の最外周端部まで進出した状態となっている。すなわち、ピストン4は往復動する溝内の一方の端部にある状態となっており、平面に形成された両側面44,44及び底面43は、同様に平面で形成されたシリンダ室23c,23dの両内壁及び底面に同時に係合した状態となっている。
【0068】
そして、シリンダ室23dのピストン4とピストン3と囲まれた空間には、流体が充満した状態となっている。また、シリンダ室23cは、ピストン3によって他のシリンダ室23a,23b,23dと隔離された状態となっているが、このシリンダ室23c内にも流体が充満した状態となっている。このとき、シリンダ室23dの最外周端部は、吸気側スリット88と吐出側スリット89の間の位置に対向した状態となっている。
【0069】
上述した図15(A)の状態から、モータ71の駆動によりピストン保持部材5を時計方向(矢示A方向)に回転駆動すると、ピストン3,4が保持軸52,53と共に矢示A方向へ移動する。このときのピストン3,4の動作によって、回転シリンダ部材2には矢示B方向(時計方向)への回転力が与えられ、回転シリンダ2は矢示B方向に回転する。このようなピストン3,4及び回転シリンダ部材2の相対回動によって、各ピストン3,4は、各シリンダ室23a〜23d内を出入りする。
【0070】
このときのピストン3,4の周回回転運動、すなわち、回転中心位置Xを中心としたピストン保持部材5の回転運動は、回転シリンダ部材2の回転軸心oを中心とする等角速度回転運動の2倍の回転数の等角速度運動となる。これは、ピストン3,4の回転半径が回転シリンダ部材2の回転半径の1/2となっており、ピストン3,4の回転運動は回転シリンダ部材2の回転運動に対して円サイクロイド運動となっているためである。なお、ピストン3,4の自転、すなわち保持軸52,53を各々回転中心とする回転も、回転シリンダ部材2と同じ回転数の等角速度運動となる。
【0071】
この回転動作により、シリンダ室23a〜23d内に嵌まり込んでいるピストン3,4が、回転シリンダ部材2に対して回転力を与えながら、ピストン3は一対のシリンダ室23a,23b間を見かけ上往復直線運動し、ピストン4は一対のシリンダ室23c,23d間を見かけ上往復直線運動する。なお、ピストン3は、回転シリンダ部材2が1回転する間にシリンダ室23a,23b間を1往復するようになっており、ピストン3の往復動作数と回転シリンダ部材2の回転数とが1:1の関係になっている。また、ピストン4も同様に、回転シリンダ部材2が1回転する間にシリンダ室23c,23d間を1往復するようになっており、ピストン4の往復動作数と回転シリンダ部材2の回転数とが1:1の関係になっている。
【0072】
図15(A)の状態からピストン保持部材5が60度回転し、これによってシリンダ部材4が30度回転した状態を示したのが図15(B)である。
【0073】
すなわち、図15(A)から(B)への動作により、ピストン3は、空洞部22を横切った状態からシリンダ室23aの内部方向へ約1/2程度進入する。この移動の際、ピストン3とシリンダ室23aとは、平面同士で面対向しているため、接触面同士からの流体の漏れはほとんどないものとなる。この動作により、シリンダ室23a内の流体が、吐出側スリット89を介して連通路82に効率よく吐出される。なお、シリンダ室23aの長手方向の距離は、ピストン3の全長の2倍より短いものとなっているため、約1/2程度進出しているが、ピストン3の後端部分がまだ空洞部22内に残っている状態となっている。
【0074】
一方、ピストン3のシリンダ室23a内方向への動作により、ピストン3により封止されていたシリンダ室23b,23c及びシリンダ室23dの一部が一連の空間となる。この一連の空間内には、各シリンダ室23b,23c,23d内に連通路81から流入した流体が充満した状態となっている。
【0075】
また、この間の動作により、ピストン4はシリンダ室23d内の最奥部から空洞部22側へ約1/9程度移動する。この移動の際、ピストン4とシリンダ室23dとは、平面同士で当接しているため、接触面同士からの流体の漏れはほとんどないものとなる。この動作により、外部の流体が、連通路81を介して吸気側スリット88からシリンダ室23d内部へ効率的に流入する。なお、この時点では、ピストン4が、シリンダ室23dの内部に完全に入り込んだ状態となっている。
【0076】
図15(B)の状態からピストン保持部材5がさらに60度回転し、これによってシリンダ部材4がさらに30度回転した状態を示したのが図16(A)である。
【0077】
すなわち、図15(B)から図16(A)への動作により、ピストン3は、シリンダ室23aの内部へ約1/2程度進入した位置からさらに奥側、具体的には約8/9程度進入した位置まで移動する。この動作により、シリンダ室23a内に残っていた流体が、さらに吐出側スリット89を介して連通路82に効率よく吐出される。
【0078】
また、この間の動作により、ピストン4はシリンダ室23d内を空洞部22側へさらに移動する。この動作により、外部の流体が、連通路81を介して吸気側スリット88からシリンダ室23d内部へさらに流入する。なお、この時点では、ピストン4の前方端部分が、空洞部22内に進出した状態となっている。
【0079】
一方、この動作の間、シリンダ室23b,23cとシリンダ室23aの一部は、空洞部22を介して一連の空間となっており、この一連の空間内には各シリンダ室23b,23c内に連通路81から流入した流体が充満した状態となっている。
【0080】
図16(A)の状態からピストン保持部材5がさらに60度回転し、これによってシリンダ部材4がさらに30度回転した状態を示したのが図16(B)である。
【0081】
すなわち、上述の図16(A)から図16(B)への動作により、ピストン3は、シリンダ室23aの内部へ約8/9程度進入した位置からさらに奥側、具体的にはシリンダ室23aの最外周端部まで移動する。この動作により、シリンダ室23a内に残っていた流体が、さらに吐出側スリット89を介して連通路82に効率よく吐出される。なお、この時点、すなわち図15(A)に示した最初の状態から回転シリンダ部材2が矢示B方向に90度回転した状態では、シリンダ室23aの最外周端部は、吸気側スリット88と吐出側スリット89の間の位置に対向した状態となっており、吐出動作を既に終了した状態となっている。
【0082】
一方、この間の動作により、ピストン4はシリンダ室23dの最奥部側から空洞部22を横切り、先端部分がシリンダ室23c内に進入する位置までさらに移動する。このピストン4の動作により、ピストン4の一端側はシリンダ室23dの入り口に、他端側はシリンダ室23cの入り口に同時に若干進入した状態となる。すなわち、ピストン4は、往復動する溝内の中間位置にある状態となっており、平面に形成された両側面44,44及び底面43は、同様に平面で形成されたシリンダ室23c,23dの両内壁と底面及び空洞部22の底面に同時に当接した状態となっている。
【0083】
このとき、シリンダ室23cの最外周端部は、吐出側スリット89にわずかに連通し始めた状態となっており、シリンダ室23cは、吐出側スリット89を介して連通路82と連通した状態となっている。また、シリンダ室23dの最外周端部は、吸気側スリット88との連通状態が終了する直前の状態となっており、シリンダ室23bは、ほぼ流体の吸引動作が終了した状態となっている。なお、上述したように、ピストン4が空洞部22に差し掛かっている状態であるため、このピストン4によって各シリンダ室23a〜23dは、この時点では再びそれぞれ分断された状態となる。
【0084】
このときのピストン3,4は、上述した図15(A)の状態時における互いの位置を入れ換えた状態となっている。すなわち、ピストン3,4は、ピストン保持部材5が180度回転し、同時に回転シリンダ部材2が90度回転することにより、シリンダ室23a〜23dのうちの1つの室内に入り込むかまたは出ていくかの動作をし、互いの位置を入れ換える。そして、本実施形態のロータリ式シリンダ装置70は、この動作を繰り返すことによりポンプ動作を行うようになっている。すなわち、ピストン3,4は、ピストン保持部材5がさらに180度、すなわち最初の時点から360度回転すると、図15(A)に示した最初の位置に戻る。一方、回転シリンダ部材2は、この間に180度回転する。
【0085】
このため、ピストン保持部材5が2回転、720度の回転を行うと、この間に回転シリンダ部材2は1回転、360度の回転を行う。これにより、ピストン3,4は、対になっている2つのシリンダ室23a〜23dを見かけ上の往復直線運動する。すなわち、ピストン保持部材5が2回転することにより、ピストン3,4は一連の往復動作を1回完遂することとなる。
【0086】
なお、このような動作中、各ピストン3,4は、各シリンダ室23a〜23dと接触面積の大きい平面同士で面対向することとなる。そのため、対向している面同士、実際にはほぼ接触している面同士の隙間から流体が漏れないような構造となっている。そのため、各空間同士での流体の漏れが防止され、効率の良いポンプとすることが可能となる。
【0087】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態ではロータリ式シリンダ部1への循環路は回転シリンダ部材2の中央部に配置されているが、これには限られず中央部以外に配置しても良い。例えば図17および図18に示すように、フィルタ部93から蓋79まで連通すると共にケース80のシリンダ収容室87から外れた位置に設けられた連通路160と、この連通路160から蓋79のロータ室159の裏側まで連通する流入路161とを設けるようにしても良い。この場合は、シリンダ軸21には図1等に示すような連通穴102を設けないようにする。このような循環路によってもピストン保持部材5などに循環液を送り込むことができる。
【0088】
また、上述した実施形態では冷却手段76により液体および気体の混合流体を冷却するようにしているが、これには限られず気体のみを冷却するようにしても良い。この場合、例えば吐出された気液混合流体を供給用タンク91で気液分離し、その吐出空気を冷却手段76により冷却して、これを更に気液分離して気体を吐出するようにする。例えば図17および図18に示すように、ケース80および蓋79のいずれもロータリ式シリンダ部1の外側は間仕切ることなく全て供給用タンク91と同じ空間とする。そして、図17に示すように、ロータリ式シリンダ部1の吐出口162は供給用タンク91に開放されている。また、このケース80および蓋79では、供給用タンク91から圧縮流体が吐出されるのは連結パイプ118に連結された吐出口75のみとしている。また、図19に示すように、ラジエタ76の流入室上部114は、連結パイプ118に連結された流入口124と、外部への吐出口163と、これらを仕切る分離壁164とを備えるものとしている。分離壁164により仕切られた各空間には少なくとも1本のパイプ115があるようにする。ここでは、1本のパイプ115を外部への吐出口163のある空間に、残りのパイプ115を流入口124のある空間に設けている。
【0089】
このロータリ式シリンダ装置70では、ロータリ式シリンダ部1の作動により吐出口162から圧力気液混合流体が吐出される。この流体は供給用タンク91に噴き出されるので、気液分離される。液体は供給用タンク91に貯まると共に、気体は蓋79の吐出口75から連結パイプ118に送り込まれる。そして気体はラジエタ76の流入室上部114に流入し、パイプ115内を下りながら冷却される。冷却された気体のうち液体になったものは流入室下部117で回収されて流出口125から供給用タンク91に送られる。冷却された気体は外部への吐出口163のある空間に連通するパイプ115に送られて吐出口163から吐出される。
【0090】
また、上述した各実施形態ではロータリ式シリンダ装置70を気体の圧縮機として使用しているが、これには限られず真空ポンプとして使用しても良い。
【0091】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載のロータリ式シリンダ装置によれば、ロータリ式シリンダ部の他に、モータとファンと循環手段と冷却手段とを一体的に備えているので、装置全体をコンパクトにできると共にそのままで圧縮機や吸引機として使用することができる。このため、例えば移動させ易くなったり、必要な場所で必要なだけの圧縮気体や真空を得られるようになり、圧縮機や吸引機としての使い勝手を良くすることができる。また、省エネルギ、省スペース、省配管、小投資になって、環境保全に寄与することができる。
【0092】
しかも、冷却手段により混合流体を冷却するので、装置の高温化を防止して、シールする液体が加熱されて粘性が低下してポンプ性能が落ちることを防止できる。また、高温化を防止することにより環境への悪影響を抑えることができる。
【0093】
そして、請求項2記載のロータリ式シリンダ装置によれば、配管を簡素化して装置全体をコンパクトにできると共にコストを下げることができる。しかも、ロータリ式シリンダ部から漏れ出た循環液がモータに入り込むことを防止できるので、装置の長寿命化を図ることができる。
【0094】
また、請求項3記載のロータリ式シリンダ装置によれば、供給用タンクからロータリ式シリンダ部までの配管を最短にして装置全体をコンパクトにできる。
【0095】
さらに、請求項4記載のロータリ式シリンダ装置によれば、モータを中心にして冷却手段およびファンとロータリ式シリンダ部とが両側に配置されるので、冷却手段およびファンとロータリ式シリンダ部との間の配管を長くして放熱を促進することができる。よって装置の大きさを抑えながら効率良く放熱してポンプ性能を高めることができる。
【0096】
そして、請求項5記載のロータリ式シリンダ装置によれば、循環液の液量を必要最低限に抑えることができるので、効率を上げることができる。また、連続的にシール材を送り込め安全運転ができより静粛性が増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロータリ式シリンダ装置の実施形態の一例を示す側面図である。
【図2】ロータリ式シリンダ部の主要部を示す側面図である。
【図3】ロータリ式シリンダ部の主要部を示す正面図である。
【図4】ロータリ式シリンダ部の主要部を示す分解斜視図である。
【図5】モータとピストン保持部材との連結部分を示す分解側面図である。
【図6】ケースを示す縦断面正面図である。
【図7】ケースを示す背面図である。
【図8】ケースを示す正面図である。
【図9】蓋を示す正面図である。
【図10】冷却手段を切断した状態を示すロータリ式シリンダ装置の背面図である。
【図11】連結パイプの接続部分を示す縦断面側面図である。
【図12】ロータリ式シリンダ装置を示す平面図である。
【図13】安全弁を示す縦断面正面図である。
【図14】サイレンサを示す分解斜視図である。
【図15】ロータリ式シリンダ部の作動原理を説明する図で、(A)は一方のピストンが空洞部を横切り、他方のピストンがシリンダ室の最奥部にまで進入した状態を示す図、(B)は(A)の状態から回転シリンダ部材の回転角で30度回転した状態を示す図である。
【図16】ロータリ式シリンダ部の作動原理を説明する図で、(A)は図15(B)の状態から回転シリンダ部材の回転角で更に30度回転した状態を示す図、(B)は(A)の状態から回転シリンダ部材の回転角で更に30度回転した状態を示す図である。
【図17】ロータリ式シリンダ装置の他の実施形態でのケースを示す背面図である。
【図18】ロータリ式シリンダ装置の他の実施形態での蓋を示す正面図である。
【図19】ロータリ式シリンダ装置の他の実施形態での冷却手段を示すロータリ式シリンダ装置の背面図である。
【図20】従来のロータリ式シリンダ装置を示す縦断面側面図である。
【図21】従来のロータリ式シリンダ装置を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ロータリ式シリンダ部
2 回転シリンダ部材
3,4 ピストン
5 ピストン保持部材
22 空洞部
23a,23b,23c,23d シリンダ室
71 モータ
72 出力軸
73 ファン
74 循環手段
75 吐出口
76 ラジエタ(冷却手段)
77 支持部材
78 吸込口
90 メカニカルシール
91 供給用タンク
o 回転軸心
X 回転中心位置
x1,x2 自転中心位置

Claims (5)

  1. 回転軸心を中心として形成された空洞部に連通し、該空洞部を挟んで対向する少なくとも一対のシリンダ室を有する円形形状の回転シリンダ部材と、前記回転シリンダ部材の回転軸心から偏心した回転中心位置を中心として回転するピストン保持部材とを、支持部材にそれぞれ回転自在に支持すると共に、前記ピストン保持部材の前記回転中心位置から偏心した自転中心位置には、その位置を中心として回動可能にピストンが保持され、前記回転シリンダ部材と前記ピストン保持部材との相対回動により前記ピストン自体が前記自転中心位置を中心として回動しながらかつ前記回転中心位置を中心として回転することによって前記一対のシリンダ室の双方に出入りすると共に、前記支持部材に、前記シリンダ室に連なる吸込口及び吐出口を備えたロータリ式シリンダ部と、このロータリ式シリンダ部を駆動するモータと、前記モータの出力軸に取り付けられて該モータを冷却するファンと、前記ロータリ式シリンダ部内を循環し潤滑およびシールする循環液を循環させる循環手段と、前記ロータリ式シリンダ部の前記吐出口から吐出された液体および気体の混合流体を冷却する冷却手段とを一体的に備えたことを特徴とするロータリ式シリンダ装置。
  2. 前記循環液を貯える供給用タンクと、前記モータと前記ロータリ式シリンダ部との間に設けられたメカニカルシールとを備えたことを特徴とする請求項1記載のロータリ式シリンダ装置。
  3. 前記供給用タンクは、前記ロータリ式シリンダ部の近傍に配置されると共に気液分離する循環路を形成することを特徴とする請求項2記載のロータリ式シリンダ装置。
  4. 前記冷却手段と前記ファンと前記モータの両軸と前記ロータリ式シリンダ部とは直列的に配置されていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか記載のロータリ式シリンダ装置。
  5. 前記ロータリ式シリンダ部への前記循環路は前記回転シリンダ部材の中央部に配置したことを特徴とする請求項1から4までのいずれか記載のロータリ式シリンダ装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006065940A (ja) * 2004-08-26 2006-03-09 Ricoh Co Ltd 電装冷却装置、画像形成装置
CN108731372A (zh) * 2018-03-09 2018-11-02 惠安集睿信息科技有限公司 一种基于联动技术的中药快速冷却装置
JP2021008833A (ja) * 2019-06-28 2021-01-28 株式会社アルバック 真空ポンプ

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