JP2004143845A - 橋梁の伸縮装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】施工時間を大幅に短縮でき、耐久性に優れ、且つ、安全性が非常に高い伸縮装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る伸縮装置1は、所定の間隔をおいて対向するように設置される一対のフェースプレート2を有する伸縮装置であって、フェースプレート2の裏側には、孔あきジベル5が一体に設けられており、孔あきジベル5が床版端部(又は下部工のパラペット部)のコンクリート10に埋設されることによって、前記フェースプレート2が床版端部(又は下部工のパラペット部)に固定されるようになっている。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明に係る伸縮装置1は、所定の間隔をおいて対向するように設置される一対のフェースプレート2を有する伸縮装置であって、フェースプレート2の裏側には、孔あきジベル5が一体に設けられており、孔あきジベル5が床版端部(又は下部工のパラペット部)のコンクリート10に埋設されることによって、前記フェースプレート2が床版端部(又は下部工のパラペット部)に固定されるようになっている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路橋をはじめとする橋梁の床版端部又は下部工のパラペット部に設置される伸縮装置に関し、特に、フェースプレートと一体成形された埋設部(孔あきジベル)を有し、コンクリート床版に対し強固に固定できるように構成された伸縮装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路橋の床版の継ぎ目間には、従来より、車輌等の荷重による撓みや温度変化等によって生じる床版の伸縮に対応し、通行車輌の走行性等を確保して、騒音・振動の発生を抑制することができるよう、伸縮装置が設置されている。
【0003】
図3は、このような従来の伸縮装置21の断面斜視図、図4は、伸縮装置21の要部断面図である。図示されているように、この伸縮装置21は、基本的には、フェースプレート22(22a,22b)と、止水材24と、アンカー部材25とから構成されている。尚、これらの図において、40は床版端部に打設されるコンクリートを示している。
【0004】
フェースプレート22は、通行する車輌の荷重に耐えることができるような鋼鉄製の材料によって構成されており、その下側には、止水材24を支持するための支持部23(23a,23b)が設けられている。
【0005】
フェースプレート22a,22bには、図示されているように、それぞれ櫛歯状の凹凸が設けられており、一方側のフェースプレート22aと、これに対向するフェースプレート22bとが相互に咬み合うような構造となっている。フェースプレート22は、このような構造によって、通行する車輌の走行性を確保しつつ、床版の伸縮に対応することができるようになっている。
【0006】
また、支持部23a,23bにも、フェースプレート22a,22bと同様に、それぞれ櫛歯状の凹凸が設けられており、一方側の支持部23aと、これに対向する支持部23bとが相互に咬み合うような構造となっている。このため、支持部23も床版の伸縮に対応することができ、床版が伸縮しても、問題なく止水材24を支持することができるようになっている。
【0007】
止水材24は、弾性を有するゴム材によって構成されており、支持部23a,23bとフェースプレート22とに挟まれるように配設されている。尚、止水材24は、橋長方向(図3においては、矢印Dの方向)に圧縮された状態で配設されており、弾性力及び復元力によって、床版の伸縮に追従して、橋梁下へと流れ落ちる水を好適に防止することができるようになっている。
【0008】
アンカー部材25は、鋼棒27、シース28、支圧板29、ナット30、及び、座金31から構成されている。鋼棒27は、下端に支圧板29が取り付けられるとともに、フェースプレート22に設けられた段付き孔32の中に挿通され、その上端にはナット30が取り付けられている。尚、ナット30と段付き孔32の段部との間には、座金31が間挿されている。また、段付き孔32及びナット30は、鋼棒27の上端部及びナット30が、通行する車輌の走行性に悪影響を与えないように、フェースプレート22の上面から突出しないような寸法に設定されている。
【0009】
支圧板29は、図示されているような円盤形状をしており、床版端部のコンクリート40の中に埋設されることによって、アンカーとして機能するようになっている。また、シース28は、伸縮可能な可撓性の材料によって構成されており、鋼棒27の一部(コンクリート40中に埋設される部分)を被覆し、この部分がコンクリートと接触することを防いでいる。
【0010】
そして、このような構成をしたアンカー部材25が埋設されることにより、フェースプレート22a,22bは、床版端部に固定されるようになっている。尚、コンクリートが硬化した後、ナット30を締め付けることによって、フェースプレート22a,22bを、コンクリート床版40へと、より強固に固定することが可能となっている。
【0011】
以上に説明したような構成によって、道路橋の床版間に設置された伸縮装置21は、床版の伸縮に対応し、通行車輌の走行性を確保して、騒音・振動の発生を抑制することができるようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上に説明したような従来の伸縮装置は、フェースプレートが、ナットを使用したアンカー部材によって床版端部に固定されるようになっているため、施工時に、多数のナットを締め付ける作業が必要となり、施工に時間がかかってしまうという問題を有していた。
【0013】
また、このような伸縮装置は、フェースプレートとアンカー部材とが分離可能な構成となっているため、どうしても、フェースプレートとアンカー部材との結合部付近(段付き孔32の周辺部)において損壊を生じやすい構造となっており、耐久性の点において問題を有していた。
【0014】
更に、アンカー部材を固定するナットが緩んでしまうと、ナットや鋼棒がフェースプレートの上面から突出する恐れもあり、通行する車輌の安全性を損ねてしまう可能性があることも懸念されていた。
【0015】
尚、道路橋の伸縮装置については、通常、定期的にメンテナンスが行われるため、このような事態はまず起こり得ないが、想定外の原因によってナットが緩んでしまう可能性も完全には否定できないため、不安な要素を可能な限り排除し、より高い安全性を目指すユーザーにおいて、ナット等を使用しない伸縮装置の実用化が望まれていた。
【0016】
本発明は、このような従来の伸縮装置における問題を解決すべくなされたものであって、施工時間を大幅に短縮でき、耐久性に優れ、且つ、安全性が非常に高い伸縮装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る伸縮装置は、フェースプレートの本体と埋設部とが、一体成形されてなることを特徴としている。
【0018】
尚、前記埋設部は、板状に成形され、前記フェースプレート本体の後端部を基準として、少なくともその一部が後方へ突出するとともに、下方向へ延出するような位置及び向きにて配置されていることが好ましい。
【0019】
また、前記埋設部に、コンクリート中における抵抗力を増加させる手段を設けた場合には、より強固に、前記フェースプレートを床版端部又は下部工のパラペット部に固定することができる。尚、この抵抗力を増加させるための手段として、貫通孔を設けることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る伸縮装置の好適な実施形態につき、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る伸縮装置1の断面斜視図であり、図示されているように、この伸縮装置1は、一対のフェースプレート2,2と、止水材4とから構成されている。尚、10は、床版の端部に打設されるコンクリートを示している。
【0021】
フェースプレート2は、櫛歯状に形成された多数の凸部2pを有するフェースプレート本体2aと、その下面側に設けられた、止水材4の支持部3と、孔あきジベル5(埋設部)とによって構成されている。尚、各フェースプレート2は、アルミ合金により、フェースプレート本体2aと、支持部3と、孔あきジベル5とを一体的に成形してなるものである。
【0022】
フェースプレート2の構成要素のうち、孔あきジベル5は、それぞれが所定の間隔を置いて、橋梁の横断方向(図1において矢印Fの方向)に並列配置されている。そして、各孔あきジベル5は、板状に成形され、図2(フェースプレート2の断面図)に示すフェースプレート本体2aの後端部2bを基準として、少なくとも一部が後方へ突出するとともに、下方向に延出するような位置及び向きにて配置される構造となっている。尚、ここに言う「後方」とは、フェースプレート本体2aにおいて、櫛歯状の凸部2pが形成されている方向とは反対の方向(図2において矢印Eの方向)を意味する。
【0023】
以上のように構成されることによって、本実施形態に係る伸縮装置1は、橋梁の床版端部又は下部工のパラペット部にしっかりと固定することができ、通行車輌等の荷重に対し十分な剛性と耐久性を得ることができる。以下この点について、より詳細に説明する。
【0024】
フェースプレート2は、図2に示されているように、床版端部のコンクリート10の端面10aから櫛歯状の凸部2pが突出するような状態で取り付けられるため、このフェースプレート2の上を車輌が通行すると、その車輌の荷重によって、櫛歯状凸部2pには下方向(図2において矢印Aの方向)へ力が加えられることになる。
【0025】
この下方向(矢印Aの方向)への力により、孔あきジベル5には、コンクリート10のうち、フェースプレート本体2aと支持部3に接する部分(コンクリート10の端面10aと支持部3の裏面とが接するコンクリートの顎部10cから、フェースプレート本体2aの後端部2bに至るまでの部分)のいずれかを支点として上方向(図2において矢印Bの方向)への力が作用することになる。
【0026】
このように、施工後におけるフェースプレート2には、コンクリート10とフェースプレート本体2a等との接触部分を中心として、所定方向(図2において時計回り方向)へと回転する力が作用することになるため、床版端部において伸縮装置1を確実に固定するためには、伸縮装置1の回転方向に対し、孔あきジベル5が十分な剛性を有している必要がある。但し、孔あきジベル5の剛性のみを重視して設計を行うと、いきおい伸縮装置1の体積及び重量が増加し、材料費が嵩むほか、施工時のハンドリングが悪化してしまうため、孔あきジベル5の体積を最小限に抑えつつ、伸縮装置1の回転方向に対して十分な剛性が得られるように設計する必要がある。
【0027】
本実施形態における伸縮装置1は、前述の通り、孔あきジベル5が板状に形成され、フェースプレート本体2aの後端部2bから、少なくとも一部が後方へ突出するとともに、下方向に延出するような位置及び向きにて配置される構造となっており、横幅寸法W(図1参照)よりも、下方向(即ち、伸縮装置1の回転方向へ対抗する方向)へ延出する寸法H(図2参照)が大きくなるように構成されているので、各孔あきジベル5の体積を大きくすることなく、回転方向に対する十分な剛性が得られるようになっている。
【0028】
また、いくら孔あきジベル5そのものの剛性が十分であっても、フェースプレート本体2aとの接続が弱ければ、凸部2pにおいて下向き(図2において矢印Aの方向)の力が加えられた場合に、接続部分に亀裂が生じ、伸縮装置1が損壊してしまう可能性があるが、本実施形態における伸縮装置1においては、フェースプレート本体2a(及び支持部3)と、孔あきジベル5との接続面積が、伸縮装置1の回転の中心となる線(仮想軸線)と直交する方向へ大きくなるように、フェースプレート本体2a及び支持部3下側の、コンクリート10と接する範囲(支持部3下側の、顎部10cと接する部分から、フェースプレート本体2aの後端部2bに至る範囲)の全域(少なくとも、その70%以上であることが好ましい。)に亘って、フェースプレート本体2a等と孔あきジベル5との接続部分が延在しているため、接続部分における十分な剛性、耐久性を確保し、亀裂の発生、乃至は伸縮装置1の損壊等の可能性を極めて小さくすることができる。
【0029】
尚、図1及び図2に示されているように、各孔あきジベル5には、二つの貫通孔6,6が設けられているが、これらは、孔あきジベル5のコンクリート床版10中における抵抗力を増加させるための手段として機能するものである。より具体的には、この貫通孔6の中に、打設したコンクリート10が入り込み、施工後において伸縮装置1に作用する回転方向への力に対抗し、また、伸縮装置1の橋長方向(図2において矢印Dの方向)への移動を抑制し、床版からの伸縮装置1の脱落を防止できるようになっている。
【0030】
尚、本実施形態においては、コンクリート10中における孔あきジベル5(埋設部)の抵抗力を増加させる手段として、上述の通り貫通孔6が設けられているが、必ずしもこのような形状や構造のもには限定されず、コンクリート10中における孔あきジベル5の抵抗力を増加させるように構成されたものであればどのようなものでもよい。例えば、数については、一つでも、また、三つ以上であっても良い。
【0031】
また、前述の通り、本実施形態においては、各孔あきジベル5は「板状」に成形されているが、ここに言う「板状」とは、断面が矩形状のものに限定されるものではなく、波板状のものや、表面に凹凸が設けられているもの、湾曲したもの、断面が楕円状になっているものなどのほか、上下方向への延出寸法H(図2参照)が、横幅寸法W(図1参照)よりも大きくなるような形状のものを広く含むものである。
【0032】
更に、施工の際に、これらの貫通孔6に鉄筋を通して、コンクリート10を打設するようにすれば、不測の事態によって孔あきジベル5周囲のコンクリートが損壊しても、フェースプレート2の脱落を防止することができる。
【0033】
尚、本実施形態においては、埋設部として孔あきジベル5を採用しているが、本発明に係る埋設部は、このような孔あきジベルに限定されるものではなく、貫通孔のないもの、単なる凹穴を設けたもの、凹溝を設けたもの、或いは、所定方向に延出するフィン等を設けたものであっても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明に係る伸縮装置は、埋設部(孔あきジベル)がフェースプレート本体と一体成形され、この埋設部(孔あきジベル)によって、コンクリート床版へと固定されるようになっているため、施工時において、多数のナットを締め付ける作業が不要で、施工時間を大幅に短縮することができる。
【0035】
また、本発明に係る伸縮装置は、フェースプレートを床版端部に固定するための埋設部(孔あきジベル)が、フェースプレートと一体成形されているので、フェースプレートに加わる通行車輌の荷重を一点において受けることが無く、フェースプレートに対し、埋設部(孔あきジベル)を溶接によって取り付けたものと比べて損壊が生じにくく、耐久性に優れている。更に、一体成形されるため、組み立てや溶接といった作業を必要とせず、少ない行程で製造することができる。
【0036】
また、本発明に係る伸縮装置は、ナットや鋼棒を使用していないため、これらがフェースプレートの上面から突出する恐れが無く、通行する車輌の安全性を損ねてしまう可能性もない。
【0037】
尚、本発明に係る伸縮装置は、自動車道路用の橋梁に使用されるものには限定されず、鉄道の橋梁、歩道橋、モノレールの軌道、建築構造物等に使用される伸縮装置にも、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る伸縮装置1の断面斜視図。
【図2】図1に示した伸縮装置1のフェースプレート2の断面図。
【図3】従来の伸縮装置21の断面斜視図。
【図4】従来の伸縮装置21の要部断面図。
【符号の説明】
1:伸縮装置、
2:フェースプレート、
2a:フェースプレート本体、
2b:後端部、
2p:凸部、
3:支持部、
4:止水材、
5:孔あきジベル、
6:貫通孔、
10:コンクリート、
10a:端面、
10c:顎部、
21:伸縮装置、
22,22a,22b:フェースプレート、
23,23a,23b:支持部材、
24:止水材、
25:アンカー部材、
27:鋼棒、
28:シース、
29:支圧板、
30:ナット、
31:座金、
32:段付き孔、
40:コンクリート、
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路橋をはじめとする橋梁の床版端部又は下部工のパラペット部に設置される伸縮装置に関し、特に、フェースプレートと一体成形された埋設部(孔あきジベル)を有し、コンクリート床版に対し強固に固定できるように構成された伸縮装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路橋の床版の継ぎ目間には、従来より、車輌等の荷重による撓みや温度変化等によって生じる床版の伸縮に対応し、通行車輌の走行性等を確保して、騒音・振動の発生を抑制することができるよう、伸縮装置が設置されている。
【0003】
図3は、このような従来の伸縮装置21の断面斜視図、図4は、伸縮装置21の要部断面図である。図示されているように、この伸縮装置21は、基本的には、フェースプレート22(22a,22b)と、止水材24と、アンカー部材25とから構成されている。尚、これらの図において、40は床版端部に打設されるコンクリートを示している。
【0004】
フェースプレート22は、通行する車輌の荷重に耐えることができるような鋼鉄製の材料によって構成されており、その下側には、止水材24を支持するための支持部23(23a,23b)が設けられている。
【0005】
フェースプレート22a,22bには、図示されているように、それぞれ櫛歯状の凹凸が設けられており、一方側のフェースプレート22aと、これに対向するフェースプレート22bとが相互に咬み合うような構造となっている。フェースプレート22は、このような構造によって、通行する車輌の走行性を確保しつつ、床版の伸縮に対応することができるようになっている。
【0006】
また、支持部23a,23bにも、フェースプレート22a,22bと同様に、それぞれ櫛歯状の凹凸が設けられており、一方側の支持部23aと、これに対向する支持部23bとが相互に咬み合うような構造となっている。このため、支持部23も床版の伸縮に対応することができ、床版が伸縮しても、問題なく止水材24を支持することができるようになっている。
【0007】
止水材24は、弾性を有するゴム材によって構成されており、支持部23a,23bとフェースプレート22とに挟まれるように配設されている。尚、止水材24は、橋長方向(図3においては、矢印Dの方向)に圧縮された状態で配設されており、弾性力及び復元力によって、床版の伸縮に追従して、橋梁下へと流れ落ちる水を好適に防止することができるようになっている。
【0008】
アンカー部材25は、鋼棒27、シース28、支圧板29、ナット30、及び、座金31から構成されている。鋼棒27は、下端に支圧板29が取り付けられるとともに、フェースプレート22に設けられた段付き孔32の中に挿通され、その上端にはナット30が取り付けられている。尚、ナット30と段付き孔32の段部との間には、座金31が間挿されている。また、段付き孔32及びナット30は、鋼棒27の上端部及びナット30が、通行する車輌の走行性に悪影響を与えないように、フェースプレート22の上面から突出しないような寸法に設定されている。
【0009】
支圧板29は、図示されているような円盤形状をしており、床版端部のコンクリート40の中に埋設されることによって、アンカーとして機能するようになっている。また、シース28は、伸縮可能な可撓性の材料によって構成されており、鋼棒27の一部(コンクリート40中に埋設される部分)を被覆し、この部分がコンクリートと接触することを防いでいる。
【0010】
そして、このような構成をしたアンカー部材25が埋設されることにより、フェースプレート22a,22bは、床版端部に固定されるようになっている。尚、コンクリートが硬化した後、ナット30を締め付けることによって、フェースプレート22a,22bを、コンクリート床版40へと、より強固に固定することが可能となっている。
【0011】
以上に説明したような構成によって、道路橋の床版間に設置された伸縮装置21は、床版の伸縮に対応し、通行車輌の走行性を確保して、騒音・振動の発生を抑制することができるようになっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上に説明したような従来の伸縮装置は、フェースプレートが、ナットを使用したアンカー部材によって床版端部に固定されるようになっているため、施工時に、多数のナットを締め付ける作業が必要となり、施工に時間がかかってしまうという問題を有していた。
【0013】
また、このような伸縮装置は、フェースプレートとアンカー部材とが分離可能な構成となっているため、どうしても、フェースプレートとアンカー部材との結合部付近(段付き孔32の周辺部)において損壊を生じやすい構造となっており、耐久性の点において問題を有していた。
【0014】
更に、アンカー部材を固定するナットが緩んでしまうと、ナットや鋼棒がフェースプレートの上面から突出する恐れもあり、通行する車輌の安全性を損ねてしまう可能性があることも懸念されていた。
【0015】
尚、道路橋の伸縮装置については、通常、定期的にメンテナンスが行われるため、このような事態はまず起こり得ないが、想定外の原因によってナットが緩んでしまう可能性も完全には否定できないため、不安な要素を可能な限り排除し、より高い安全性を目指すユーザーにおいて、ナット等を使用しない伸縮装置の実用化が望まれていた。
【0016】
本発明は、このような従来の伸縮装置における問題を解決すべくなされたものであって、施工時間を大幅に短縮でき、耐久性に優れ、且つ、安全性が非常に高い伸縮装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る伸縮装置は、フェースプレートの本体と埋設部とが、一体成形されてなることを特徴としている。
【0018】
尚、前記埋設部は、板状に成形され、前記フェースプレート本体の後端部を基準として、少なくともその一部が後方へ突出するとともに、下方向へ延出するような位置及び向きにて配置されていることが好ましい。
【0019】
また、前記埋設部に、コンクリート中における抵抗力を増加させる手段を設けた場合には、より強固に、前記フェースプレートを床版端部又は下部工のパラペット部に固定することができる。尚、この抵抗力を増加させるための手段として、貫通孔を設けることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明に係る伸縮装置の好適な実施形態につき、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る伸縮装置1の断面斜視図であり、図示されているように、この伸縮装置1は、一対のフェースプレート2,2と、止水材4とから構成されている。尚、10は、床版の端部に打設されるコンクリートを示している。
【0021】
フェースプレート2は、櫛歯状に形成された多数の凸部2pを有するフェースプレート本体2aと、その下面側に設けられた、止水材4の支持部3と、孔あきジベル5(埋設部)とによって構成されている。尚、各フェースプレート2は、アルミ合金により、フェースプレート本体2aと、支持部3と、孔あきジベル5とを一体的に成形してなるものである。
【0022】
フェースプレート2の構成要素のうち、孔あきジベル5は、それぞれが所定の間隔を置いて、橋梁の横断方向(図1において矢印Fの方向)に並列配置されている。そして、各孔あきジベル5は、板状に成形され、図2(フェースプレート2の断面図)に示すフェースプレート本体2aの後端部2bを基準として、少なくとも一部が後方へ突出するとともに、下方向に延出するような位置及び向きにて配置される構造となっている。尚、ここに言う「後方」とは、フェースプレート本体2aにおいて、櫛歯状の凸部2pが形成されている方向とは反対の方向(図2において矢印Eの方向)を意味する。
【0023】
以上のように構成されることによって、本実施形態に係る伸縮装置1は、橋梁の床版端部又は下部工のパラペット部にしっかりと固定することができ、通行車輌等の荷重に対し十分な剛性と耐久性を得ることができる。以下この点について、より詳細に説明する。
【0024】
フェースプレート2は、図2に示されているように、床版端部のコンクリート10の端面10aから櫛歯状の凸部2pが突出するような状態で取り付けられるため、このフェースプレート2の上を車輌が通行すると、その車輌の荷重によって、櫛歯状凸部2pには下方向(図2において矢印Aの方向)へ力が加えられることになる。
【0025】
この下方向(矢印Aの方向)への力により、孔あきジベル5には、コンクリート10のうち、フェースプレート本体2aと支持部3に接する部分(コンクリート10の端面10aと支持部3の裏面とが接するコンクリートの顎部10cから、フェースプレート本体2aの後端部2bに至るまでの部分)のいずれかを支点として上方向(図2において矢印Bの方向)への力が作用することになる。
【0026】
このように、施工後におけるフェースプレート2には、コンクリート10とフェースプレート本体2a等との接触部分を中心として、所定方向(図2において時計回り方向)へと回転する力が作用することになるため、床版端部において伸縮装置1を確実に固定するためには、伸縮装置1の回転方向に対し、孔あきジベル5が十分な剛性を有している必要がある。但し、孔あきジベル5の剛性のみを重視して設計を行うと、いきおい伸縮装置1の体積及び重量が増加し、材料費が嵩むほか、施工時のハンドリングが悪化してしまうため、孔あきジベル5の体積を最小限に抑えつつ、伸縮装置1の回転方向に対して十分な剛性が得られるように設計する必要がある。
【0027】
本実施形態における伸縮装置1は、前述の通り、孔あきジベル5が板状に形成され、フェースプレート本体2aの後端部2bから、少なくとも一部が後方へ突出するとともに、下方向に延出するような位置及び向きにて配置される構造となっており、横幅寸法W(図1参照)よりも、下方向(即ち、伸縮装置1の回転方向へ対抗する方向)へ延出する寸法H(図2参照)が大きくなるように構成されているので、各孔あきジベル5の体積を大きくすることなく、回転方向に対する十分な剛性が得られるようになっている。
【0028】
また、いくら孔あきジベル5そのものの剛性が十分であっても、フェースプレート本体2aとの接続が弱ければ、凸部2pにおいて下向き(図2において矢印Aの方向)の力が加えられた場合に、接続部分に亀裂が生じ、伸縮装置1が損壊してしまう可能性があるが、本実施形態における伸縮装置1においては、フェースプレート本体2a(及び支持部3)と、孔あきジベル5との接続面積が、伸縮装置1の回転の中心となる線(仮想軸線)と直交する方向へ大きくなるように、フェースプレート本体2a及び支持部3下側の、コンクリート10と接する範囲(支持部3下側の、顎部10cと接する部分から、フェースプレート本体2aの後端部2bに至る範囲)の全域(少なくとも、その70%以上であることが好ましい。)に亘って、フェースプレート本体2a等と孔あきジベル5との接続部分が延在しているため、接続部分における十分な剛性、耐久性を確保し、亀裂の発生、乃至は伸縮装置1の損壊等の可能性を極めて小さくすることができる。
【0029】
尚、図1及び図2に示されているように、各孔あきジベル5には、二つの貫通孔6,6が設けられているが、これらは、孔あきジベル5のコンクリート床版10中における抵抗力を増加させるための手段として機能するものである。より具体的には、この貫通孔6の中に、打設したコンクリート10が入り込み、施工後において伸縮装置1に作用する回転方向への力に対抗し、また、伸縮装置1の橋長方向(図2において矢印Dの方向)への移動を抑制し、床版からの伸縮装置1の脱落を防止できるようになっている。
【0030】
尚、本実施形態においては、コンクリート10中における孔あきジベル5(埋設部)の抵抗力を増加させる手段として、上述の通り貫通孔6が設けられているが、必ずしもこのような形状や構造のもには限定されず、コンクリート10中における孔あきジベル5の抵抗力を増加させるように構成されたものであればどのようなものでもよい。例えば、数については、一つでも、また、三つ以上であっても良い。
【0031】
また、前述の通り、本実施形態においては、各孔あきジベル5は「板状」に成形されているが、ここに言う「板状」とは、断面が矩形状のものに限定されるものではなく、波板状のものや、表面に凹凸が設けられているもの、湾曲したもの、断面が楕円状になっているものなどのほか、上下方向への延出寸法H(図2参照)が、横幅寸法W(図1参照)よりも大きくなるような形状のものを広く含むものである。
【0032】
更に、施工の際に、これらの貫通孔6に鉄筋を通して、コンクリート10を打設するようにすれば、不測の事態によって孔あきジベル5周囲のコンクリートが損壊しても、フェースプレート2の脱落を防止することができる。
【0033】
尚、本実施形態においては、埋設部として孔あきジベル5を採用しているが、本発明に係る埋設部は、このような孔あきジベルに限定されるものではなく、貫通孔のないもの、単なる凹穴を設けたもの、凹溝を設けたもの、或いは、所定方向に延出するフィン等を設けたものであっても良い。
【0034】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明に係る伸縮装置は、埋設部(孔あきジベル)がフェースプレート本体と一体成形され、この埋設部(孔あきジベル)によって、コンクリート床版へと固定されるようになっているため、施工時において、多数のナットを締め付ける作業が不要で、施工時間を大幅に短縮することができる。
【0035】
また、本発明に係る伸縮装置は、フェースプレートを床版端部に固定するための埋設部(孔あきジベル)が、フェースプレートと一体成形されているので、フェースプレートに加わる通行車輌の荷重を一点において受けることが無く、フェースプレートに対し、埋設部(孔あきジベル)を溶接によって取り付けたものと比べて損壊が生じにくく、耐久性に優れている。更に、一体成形されるため、組み立てや溶接といった作業を必要とせず、少ない行程で製造することができる。
【0036】
また、本発明に係る伸縮装置は、ナットや鋼棒を使用していないため、これらがフェースプレートの上面から突出する恐れが無く、通行する車輌の安全性を損ねてしまう可能性もない。
【0037】
尚、本発明に係る伸縮装置は、自動車道路用の橋梁に使用されるものには限定されず、鉄道の橋梁、歩道橋、モノレールの軌道、建築構造物等に使用される伸縮装置にも、適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る伸縮装置1の断面斜視図。
【図2】図1に示した伸縮装置1のフェースプレート2の断面図。
【図3】従来の伸縮装置21の断面斜視図。
【図4】従来の伸縮装置21の要部断面図。
【符号の説明】
1:伸縮装置、
2:フェースプレート、
2a:フェースプレート本体、
2b:後端部、
2p:凸部、
3:支持部、
4:止水材、
5:孔あきジベル、
6:貫通孔、
10:コンクリート、
10a:端面、
10c:顎部、
21:伸縮装置、
22,22a,22b:フェースプレート、
23,23a,23b:支持部材、
24:止水材、
25:アンカー部材、
27:鋼棒、
28:シース、
29:支圧板、
30:ナット、
31:座金、
32:段付き孔、
40:コンクリート、
Claims (4)
- フェースプレートの本体と、埋設部とが一体成形されてなることを特徴とする伸縮装置。
- 前記埋設部は、板状に成形され、前記フェースプレート本体の後端部を基準として、少なくとも一部が後方へ突出するとともに、下方向へ延出するような位置及び向きにて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の伸縮装置。
- 前記埋設部に、コンクリート中における抵抗力を増加させる手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の伸縮装置。
- 前記抵抗力を増加させるための手段が、貫通孔であることを特徴とする請求項3に記載の伸縮装置。
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