JP4347514B2 - 橋梁の防音装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋梁の防音装置に係り、さらに詳しくは、橋梁に設置された伸縮装置から発生する騒音を防止するための橋梁の防音装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば橋梁には、一般に、温度変化、コンクリートのクリープ及び乾燥収縮、荷重等による橋梁の変位に対して、車輌等が支障なく走行できるようにするために、その桁遊間に伸縮継手装置(以下、伸縮装置という)が設けられている。
この伸縮装置が設けられた橋梁において、車輌等が伸縮装置上を通過するとその際の衝撃によって騒音が発生し、その騒音は桁遊間を通って外部に伝播するため、このような騒音を防止するための防音装置が種々提案されている。
【0003】
図6は従来の橋梁の防音装置の一例を示すもので、31は橋梁の桁32a,32b間に形成された桁遊間33上において、橋梁の橋軸と直交する方向に設けられた伸縮装置、34は伸縮装置31の下方において桁遊間33に設置された防音装置である。
【0004】
この防音装置34はウレタンフォームの周囲を特殊ウレタンフォームで囲繞し、さらにその外周を合織帆布で被覆したもので、弾性を有し、所定長さで一辺が桁遊間31の間隔よりも長い断面四角形に形成したものである。
そして、この防音装置34を圧縮した状態で桁遊嵌33に挿入し、その復元力により桁遊間33に装着し保持させるようにしたものである(従来技術1)。
【0005】
図7は橋梁の防音装置の他の例を示すもので、伸縮装置31の間に、止水を行う弾性シール材35と、弾性シール材35の伸縮時の体積変化を吸収する弾性バックアップ材36とを設置し、その下端部に止水ゴムパッキン37を設けたもので、弾性シール材35と弾性バックアップ材36とにより防音装置を兼ねたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術1は、狭い空間である桁遊間33に防音装置34を圧縮した状態で挿入しなければならないため、作業性が悪く、その上施工後の経年劣化により防音装置34の弾性力が低下して、落下するおそれがある。
また、従来技術2は、桁遊間の間隔が大きい場合には、経年劣化などにより弾性バックアップ材36が弾性を喪失して、弾性シール材35と弾性バックアップ材36との間にすき間が生じ、バックアップ機能や防音効下が低下することがある。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、橋梁に設けた伸縮装置から発生する騒音が外部に伝播するのを防止し、かつ長期の使用によっても落下したりするおそれのない橋梁の消音装置を提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明に係る橋梁の防音装置は、桁間に形成された桁遊間上に伸縮装置が設けられ、該伸縮装置又は前記桁遊間に防音装置が設置された橋梁において、前記防音装置を、防音材と、該防音材と一体に設けられ一方の側に蝶番を有する鋼板とからなる一対の防音ユニットを有し、これら防音ユニットの他方の側を弾性を有する連結部材で連続して構成し、前記防音ユニットの蝶番を対向する桁又は伸縮装置にそれぞれ固定したものである。
【0009】
(2) また、本発明に係る橋梁の防音装置は、桁間に形成された桁遊間上に伸縮装置が設けられ、該伸縮装置又は前記桁遊間に防音装置が設置された橋梁において、前記防音装置は、防音材と、該防音材と一体に設けられ一方の側に取付片を有する鋼板とからなる一対の防音ユニットによって構成し、これら防音ユニットの他方の側を上下方向にオーバーラップさせて前記鋼板の取付片を対向する桁又は伸縮装置にそれぞれ固定したものである。
【0010】
(3) さらに、本発明に係る橋梁の防音装置は、桁間に形成された桁遊間上に伸縮装置が設けられた橋梁において、前記桁遊間の橋軸と直交する開口部の両又は一方の側の上下方向に前記開口部を閉塞する防音装置を設けてなり、該防音装置を、防音材と、該防音材と一体に設けられた鋼板とによって構成し、該消音装置の防音材を対向する桁の側壁面に当接させて前記鋼板の一端を一方の桁に固定したものである。
【0011】
(4) また、本発明に係る橋梁の防音装置は、上記(1)又は(2)の防音装置を有する橋梁に、上記(3)の防音装置を設けたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図1は本発明の実施の形態1に係る橋梁の防音装置の説明図である。
図において、1は橋梁の桁7a,7bの間に形成された桁遊間8上に、橋軸と直交して設けられた伸縮装置で、桁7a,7b上に設置されたボックス2a,2bと、ボックス2a,2b上に橋絡されたサポートビーム4、このサポートビーム4上に橋軸と直交して配設された複数のビーム5及び隣接するビーム5をそれぞれ連結するシールゴム6からなり、ボックス2a,2b間を橋絡する伸縮部3とによって構成されている。9は橋梁の路面である。
【0013】
10は防音装置で、その一例を図2に示す。図2において(a)は分解底面図、(b)は組立状態を示す側面図である。12は例えば発泡ウレタンの如く、遮音性、吸音性を有する材料からなる板状の防音材(実施例では、長さ990mm、幅400mm、板厚50mmの長方形に形成した)である。13は平面形状が防音材10の平面形状とほぼ等しい形状の鋼板(実施例では、板厚3.2mm)で、接着剤その他の手段により防音材10の一方の面が接合されている。14は鋼板13の面(防音材12が接合されていない面)に、溶接、ねじ止め等によって接合された蝶番である。そして、これらにより防音ユニット11a,11b(以下、単に、11と記すことあり)が形成されている。
【0014】
15はゴムの如き弾性材からなり、一対の防音ユニット11a,11bの端部(蝶番14が取付けられていない側)を連結する連結部材である。なお、この場合、両蝶番14間の距離は、桁遊間8の間隔より長く形成されている。
【0015】
次に、上記のように構成した防音装置10の桁7a,7bへの取付け手順の一例について説明する。先ず、桁遊間8内に防音材12を上にして防音装置10を挿入し、一方の防音ユニット11aの蝶番14の片をボルト等により一方の桁7aに固定し、他方の防音ユニット11bの蝶番14の片をボルト等により他方の桁7bに固定する。これにより、防音装置10は桁遊間8内にほぼV字状に取付られる。このようにして、桁遊間8内の橋軸と直交する方向に、複数の防音装置10を連続して取付ければ、取付け作業が完了する。
上記の説明では、防音装置10を桁7a,7b間において桁遊間8に取付けた場合を示したが、桁遊嵌8の上方において伸縮装置1のボックス2a,2bの間に取付けてもよい。
【0016】
上記のように構成した本実施の形態において、橋梁が温度の上昇などによって橋軸方向に伸張すると、桁遊間8の間隔が狭くなり、これに伴って伸縮装置1のビーム5の間隔が狭くなるが、これに対応してシールゴム6が変形し、橋梁の伸びを吸収する。また、防音装置10は、蝶番14の屈曲作用及び連結部材15の弾性によって、連結部材15を中心に、両防音ユニット11a,11bのなす角度が狭くなるように機能し、橋梁の伸びに追従する。
【0017】
また、温度の下降などによって橋梁が橋軸方向に収縮すると、桁遊間8の間隔が広くなり、これに伴って伸縮装置5の間隔が広くなるが、これに対応してシールゴム6が変形して橋梁の収縮を吸収する。同様に防音装置10も連結部材15を中心に両防音ユニット11a,11bのなす角度が広くなるように機能し、橋梁の収縮に追従する。なお、橋梁の橋軸と直交する方向への移動に対しては、伸縮装置1のシールゴム6及び防音装置10の連結部材15の弾性作用によりこれに対応することができる。
【0018】
本実施の形態によれば、桁遊間8の橋軸と直交する方向の全長にわたって防音装置10を取付けたので、車輌等が伸縮装置1上を通過する際に生じる騒音は、防音装置10に吸音され、遮断されて外部に伝播するのを防止することができる。
また、防音装置10は、蝶番14を介して桁7a,7b又は伸縮装置1に固定されているので、長期に亘って使用しても落下するおそれがなく、防音機能を発揮することができる。
さらに、本実施の形態に係る防音装置10は、既設の橋梁にも簡単に取付けることができる。
【0019】
実施の形態2
図3は本発明の実施の形態2に係る橋梁の防音装置の説明図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
10は桁7a,7b間に形成された桁遊間8の上方において、伸縮装置1に取付けられた防音装置で、その一例を図4に示す。12は実施の形態1の防音材12とほぼ同様の防音材、16は防音材12とほぼ同じ平面形状で、一端が下方にほぼ直角に折り曲げられて取付片17が形成された鋼板で、一方の面には防音材12が接着剤等により接合されており、それぞれ防音ユニット11a,11bを構成している。なお、これら一対の防音ユニット11a,11bの幅は、伸縮装置10のボックス2a,2b間の間隔の2分の1より広く形成されている。
【0020】
上記のような防音装置10を伸縮装置1に取付けるには、例えば、一方の防音ユニット11aを防音材12を上にしてボックス2a,2bの間に挿入し、その取付部17をボルト等によりボックス2aに固定する。ついで、他方の防音ユニット11bを防音ユニット11aの下に挿入し、その取付片17をボルト等によりボックス2bに固定する。このようにして、伸縮装置1のボックス2a,2bの間の橋軸と直交する方向に、防音装置10を連続して取付ける。
このとき、両防音ユニット11a,11bの自由端はオーバーラップし、かつ防音ユニット11bの上面は防音ユニット11aの下面に当接するか、僅かなすき間を隔てて対向する。
【0021】
上記のように構成した本実施の形態において、伸縮装置1の作用は実施の形態1の場合と同様である。一方、防音装置10は、橋梁の橋軸方向への伸縮に対しては、上下の防音ユニット11a,11bが互いに摺接又は近接した状態で橋軸方向に移動して伸縮に追従し、また、橋軸と直交する方向への移動に対しても上下の防音ユニット11a,11bが互いに摺接又は近接した状態で橋軸と直交する方向に移動して追従することにより、容易かつ確実に対応することができる。
上記の説明では、本実施の形態に係る防音装置10を伸縮装置1に取付けた場合を示したが、桁7a,7b間において桁遊間8内に設置してもよい。
本実施の形態によれば、実施の形態1の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0022】
実施の形態3
図5は本発明の実施の形態3の説明図及びそのA−A断面図である。なお、実施の形態1,2と同じ部分にはこれと同じ符号と付し、説明を省略する。
本実施の形態は、桁7a,7b間に形成された桁遊間8の両側又は一方の側の開口部を、防音装置10で閉塞したものである。
両図において、12は実施の形態1の防音材12と同様の防音材であるが、その幅は桁遊間8の幅より広く形成されている。
【0023】
18は鋼板で、防音材12の平面形状とほぼ同じ形状の平坦部19を有し、その一方の側は斜め外側に向って折り曲げたのち、平坦部19とほぼ平行に外方に延設されて取付部20が形成され、この取付部20にはボルト穴21が設けられている。なお、平坦部19の他方の側は斜め外方に折り曲げられている。
そして、平坦部19に接着剤等により防音材12を接合することにより防音装置10が形成される。なお、このとき、鋼板18の取付部20と防音材12の自由端面とはほぼ同一平面となっている。
【0024】
上記のような防音装置10は、その防音材12を桁7a,7bの外壁面に当接して桁遊間8の開口部を覆い、取付部20を一方の桁(例えば7a)にボルト穴21に挿入したボルト等により固定する。このとき、防音材12の他方の側の自由面は他方の桁7bの外壁面に当接している。そして、防音装置10を桁遊間8の開口部の上下方向に連続して取付けて、開口部を閉塞する。
【0025】
上記のように構成した本実施の形態において、伸縮装置1の作用は、実施の形態1の場合と同様である。一方、防音装置10は、橋梁の橋軸方向への伸縮に対しては、防音装置10はこれが固定された桁7aと共に移動し、他方の桁7bに対しては防音材12が摺接して移動することにより、伸縮に追従する。
また、橋軸と直交する方向への移動に対しては、防音材12が弾性変形して吸収することにより、これに対応することができる。
【0026】
本実施の形態によれば、実施の形態1,2の効果に併せて、桁7a,7bの桁遊間8の開口部を防音装置10で閉塞したので、車輌等が伸縮装置1上を通過する際に発生する騒音の外部への伝播を確実に防止することができ、さらに、桁遊間8内への雨雪等の侵入を防止することができる。
なお、本実施の形態によれば、防音装置10により桁遊間8の開口部を閉塞するだけで防音効果を発揮できるが、さらに、実施の形態1,2のように、桁遊間8又は伸縮装置1に防音装置10を取付けた橋梁において、その桁遊間8の開口部に防音装置10を設けてもよく、これにより、より防音効果をさらに向上させることができる。
【0027】
上記の各実施の形態においては、ボックス2a,2b、サポートビーム4、ビーム5及びシールゴム6等からなる伸縮装置1を備えた橋梁に防音装置10を設置した場合を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、他の構造又は方式の伸縮装置を備えた橋梁にも実施することができる。
【0028】
【発明の効果】
(1) 本発明に係る橋梁の防音装置は、防音材と、この防音材と一体に設けられ一方の側に蝶番を有する鋼板とからなる一対の防音ユニットを有し、これら防音ユニットの他方の側を弾性を有する連結部材で連結して構成し、防音ユニットの蝶番を対向する桁又は伸縮装置にそれぞれ固定したので、橋梁の橋軸方向又はこれと直角方向の移動に対して確実に追従することができ、また、伸縮装置で発生した騒音の外部への伝播を防止することができる。さらに、長期間使用しても落下するおそれがなく、その上既設の橋梁にも簡単に設置することができる。
【0029】
(2) また、本発明に係る橋梁の防音装置は、防音材と、この防音材と一体に設けられ一方の側に取付片を有する鋼板とからなる一対の防音ユニットによって構成し、これらの防音ユニットの他方の側を上下方向にオーバーラップさせて鋼板の取付片を対向する桁又は伸縮装置にそれぞれ固定したので、上記(1)とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0030】
(3) さらに、本発明に係る橋梁の防音装置は、桁間に形成された桁遊間の橋軸と直交する開口部の両又は一方の側の上下方向に前記開口部を閉塞する防音装置を設け、この防音装置を、防音材と、この防音材と一体に設けられた鋼板とによって構成し、防音装置の防音材を対向する桁の側壁面に当接させて鋼板の一端を一方の桁に固定したので、上記(1)の効果をより高めることができ、その上桁遊間内に雨雪等が侵入するのを防止することができる。
【0031】
(4) また、上記(1)又は(2)の橋梁に、上記(3)防音装置を設けたので、上記(1)〜(3)の効果をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1に係る橋梁の防音装置の説明図である。
【図2】 図1の防音装置を構成する防音ユニットの底面図及び防音装置の側面図である。
【図3】 本発明の実施の形態2に係る橋梁の防音装置の説明図である。
【図4】 図3の防音装置を構成する防音ユニットの底面図及び側面図である。
【図5】 本発明の実施の形態に3に係る橋梁の防音装置の説明図及びそのA−A断面図である。
【図6】 従来の橋梁の防音装置の一例の説明図である。
【図7】 従来の橋梁の防音装置の他の例の説明図である。
【符号の説明】
1 伸縮装置
2a,2b ボックス
7a,7b 桁
8 桁遊間
10 防音装置
11a,11b 防音ユニット
12 防音材
13,16,18 鋼板
14 蝶番
15 連結部材

Claims (4)

  1. 桁間に形成された桁遊間上に伸縮装置が設けられ、該伸縮装置又は前記桁遊間に防音装置が設置された橋梁において、
    前記防音装置を、防音材と、該防音材と一体に設けられ一方の側に蝶番を有する鋼板とからなる一対の防音ユニットを有し、これら防音ユニットの他方の側を弾性を有する連結部材で連結して構成し、前記防音ユニットの蝶番を対向する桁又は伸縮装置にそれぞれ固定したことを特徴とする橋梁の防音装置。
  2. 桁間に形成された桁遊間上に伸縮装置が設けられ、該伸縮装置又は前記桁遊間に防音装置が設置された橋梁において、
    前記防音装置は、防音材と、該防音材と一体に設けられ一方の側に取付片を有する鋼板とからなる一対の防音ユニットによって構成し、これら防音ユニットの他方の側を上下方向にオーバーラップさせて前記鋼板の取付片を対向する桁又は伸縮装置にそれぞれ固定したことを特徴とする橋梁の防音装置。
  3. 桁間に形成された桁遊間上に伸縮装置が設けられた橋梁において、
    前記桁遊間の橋軸と直交する開口部の両又は一方の側の上下方向に前記開口部を閉塞する防音装置を設けてなり、該防音装置を、防音材と、該防音材と一体に設けられた鋼板とによって構成し、該消音装置の防音材を対向する桁の側壁面に当接させて前記鋼板の一端を一方の桁に固定したことを特徴とする橋梁の防音装置。
  4. 請求項3の防音装置を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の橋梁の防音装置。
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