JP2004143703A - 法面緑化工法 - Google Patents

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増 岡 臣 一
Yasuhiro Mogi
茂 木 康 弘
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Abstract

【課題】緑化基材内の繊維同士が絡まりあうことを防止し、以って、緑化基材の流動性を保証し、また、緑化基材内に補強材である繊維が均一に分布し得るような法面緑化工法の提供。
【解決手段】植物(例えば、伐採材等の樹木や草)(W0)を破砕する1次破砕工程と、1次破砕工程で破砕された植物(W1)をさらに破砕して短尺(例えば50mm以下)のチップ(W2)を生成する2次破砕工程と、該2次破砕工程で生成したチップ(W2)と現地発生土(E0)とを含む緑化基材(B1)を生成する工程、とを有している。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物を生育させることにより傾斜面(法面)を安定させる法面緑化工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
法面を緑化して安定させる従来の工法では、外来植物の種子を使用し、その種子に適する土壌表土で法面を造成する方法が採られてきた。そのために、現地で伐採された樹木(伐採材)は焼却され、掘削された表土は廃棄処分されていた。しかし昨今は、法面での帰化生物による環境破壊を防ぎできるだけ施工現場の基材を再利用すると共に、自然環境を再現して周辺環境に適合するような要請が強くなってきている。これに対して、例えば、特許179986号では現地発生土を植物生育用の緑化基材として再利用して使用している。
【0003】
緑化基材にはバーク堆肥、ピートモス、チップ材が混入されて使用されるが、チップに使用される針葉樹はその腐食し難い繊維が絡み合って補強材として作用している。しかしながら、従来のチップは、14〜15cmくらいが主材であって、緑化基材としてはやや問題がある。例えば、緑化基材を法面に吹き付けるに際して、緑化基材内の繊維同士が絡まり合い、緑化基材の搬送流動性を阻害することがある。また、繊維同士が絡まり合うと、緑化基材に繊維が均一に分散せず、補強材として十分に機能しない可能性がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、緑化基材内の繊維同士が絡まりあうことを防止し、以って、緑化基材の流動性を保証し、また、緑化基材内に補強材である繊維が均一に分布し得るような法面緑化工法の提供を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の法面緑化工法は、植物(例えば、伐採材等の樹木や草)(W0)を破砕する1次破砕工程と、1次破砕工程で破砕された植物(W1)をさらに破砕して短尺(例えば50mm以下)のチップ(W2)を生成する2次破砕工程と、該2次破砕工程で生成したチップ(W2)と現地発生土(E0)とを含む緑化基材(B1)を生成する工程、とを有している(請求項1)。
【0006】
係る構成を具備する本発明によれば、伐採材等をチップとするのに、従来のように1度のみ破砕する(1次破砕工程のみ行う)訳ではなく、2次破砕工程をも行うことにより、全てのチップが、例えば50mm以下の短尺チップとなる。
【0007】
そして、全てのチップが例えば50mm以下の比較的短い寸法となるため、緑化基材を法面に吹き付けるに際して、緑化基材内の繊維同士が絡まり合うことが防止され、緑化基材の流動性が阻害されることは無い。
また、繊維同士が絡まり合うことが防止されるので、緑化基材に繊維が均一に分散し、その結果、繊維が補強材として十分に機能する。
さらに、繊維自体が短いため、繊維が腐食し易いというメリットもある。
【0008】
ここで、前記2次破砕工程は、法面緑化工法の施工現場(緑化基材の吹き付け作業現場)で行われても良く(請求項3)、或いは、施工現場以外の場所で行われて、施工現場(緑化基材の吹き付け作業現場)には、2次破砕工程で加工された短尺(例えば50mm以下)のチップ(W2)が搬送されるようにしても良い(請求項4)。
【0009】
本発明において、現地発生土(E0)の含水率を所定値(例えば70%)以下となる様に調整する現地発生土含水率調整工程を有し、前記緑化基材(B1)を生成する工程では、含水率を所定値以下となる様に調整された現地発生土(E1)が前記2次破砕工程で生成したチップ(W2)と混合されるのが好ましい(請求項2)。
【0010】
現地発生土の含水率が所定値、例えば70%よりも高いと粘性が増加して、土壌とチップ等の添加材料とを均一に混合することが出来なくなり、緑化基材としての組成も均一ではなくなってしまう。
上述した様に、緑化基材の生成に先立って、現地発生土の含水率を調整しておけば、粘性が高い現地発生土の混合に伴う各種不都合を防止することが出来るのである。
【0011】
ここで、現地発生土含水率調整工程で実行される具体的な手法としては、たとえば、
(1) 現地発生土を貯蔵している領域へ降雨後に、貯蔵されている現地発生土が一通り乾くまで、現地発生土を緑化基材として混合しない、
(2) 貯蔵されている現地発生土に、遮水性を有するシート状部材(例えば、防水シート等)を被せて、雨水が侵入しない様にするか、或いは、水分の発散を防止する処理を行う、
(3) 現地発生土の一部を取り出して、完全に乾燥させた状態の重量と、乾燥させない状態の重量とを計測し、含水率を演算する、
等がある。
【0012】
本発明の法面緑化工法で用いられる緑化基材は、現地発生土と短尺のチップだけでも良い。この場合の植物種子は、現地発生土に含まれる現地在来の種子によって充足される。
【0013】
しかし、腐食し易い広葉樹から生成されるバーク堆肥に対して、腐食し難い針葉樹から生成されるチップは、殺菌作用(原料である針葉樹が有している)を持っているため、堆肥にあるべき腐食雑菌が繁殖し難い。
従って、現地発生土とチップだけで緑化基材を構成した場合、腐食雑菌の繁殖を抑制するので、これを補う組成分を別途添加することが好ましい。
ここで、チップ材を再生利用した緑化基材を利用する場合は、窒素が消費されてしまうので、窒素肥料分として作用する分が無くなってしまう傾向がある。そのため、植物の成長期における窒素肥料分に対する要求に応えることが出来なくなる可能性が存在する。
これに対して本発明では、予め窒素肥料分を添加することにより、植物の成長期における窒素肥料分に対する要求に応えることが出来る様に構成し、上述の問題に応えることができる。
【0014】
本発明によれば、2次破砕を行うことにより緑化基材内の繊維の長さを短くしているので、通常の吹き付け機械を使って緑化機材を施工面に対して吹き付けることが可能である。従来のチップを混入するタイプの緑化基材は、通常の吹き付け機械を使用することが出来ず、チップを混入するタイプの緑化基材専用の吹き付け装置を用いる必要がある。それに対して、本発明によれば、通常の吹き付け装置を使用可能である。
また、従来の専用の吹き付け装置を用いて吹き付けを行う場合、吹き付けられた(従来の)緑化基材の層の厚さは、最低でも7cm以上必要とされていた。これに対して、本発明において、通常の吹き付け装置を用いて吹き付けを行えば、吹き付けられた緑化基材の層の厚さを5cm程度まで減少することが可能である。
【0015】
緑化基材を法面に吹き付けるに際して、緑化基材を法面に吹き付ける際に使用される吹き付け機械としては、例えば、特開平11−42446号公報で示すものや、特願2002−57401号で出願人が開示したものが好適である。
例えば、特願2002−57401号で開示されている吹き付け機械は、所謂バックホウ車両の爪に代えて、緑化基材を噴射吹き付けする吹き付け装置を装着させたアームを搭載させてクローラ駆動車両の態様に構成している。
そのアーム構成は、車体上の旋回台座に垂直方向に傾斜自在に取付けられた第1のアームの先端部に、第2のアームがピン結合されて垂直方向に傾斜自在に取付けられて、第2のアームの先端が上下、前後に移動するようになっている。そして第2のアームの先端部に取付けられた垂直方向に回動自在な垂直回動ピンに、水平方向に回動自在な水平回動ピンが取付けられ、その水平回動自在なピンに吹き付けノズルが装着されている。
【0016】
吹き付けノズルは、上記の垂直及び水平回動ピンによって、上下、左右に首振りして噴射流の到達範囲の法面に吹き付け、台座の垂直軸回りの回動によって左右の吹き付け範囲をふやし、車両の移動によってさらに左右の吹き付け範囲をふやすようになっている。
【0017】
また、吹き付けノズルの近傍に取付けられた複数の距離センサによって、ノズルと吹き付け面との距離と吹き付け角度を適正に保持するよう構成されている。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1を参照しつつ本発明の第1実施形態を説明する。
本発明の法面緑化工法を施工する法面緑化装置1は、地山Gの法面Gnに緑化基材B2を吹き付けする吹き付け装置のノズル10と、ノズル10に添加材31を配合した緑化基材B2を供給する緑化基材供給装置50と、緑化基材生成装置2とで、概略構成されている。
【0019】
吹き付け装置のノズル10は、添加材を配合した緑化基材B2を噴射して法面Gnに吹き付ける公知の装置で構成されている。
【0020】
緑化基材供給装置50は、モルタル吹き付け装置62と、コンベア52、54と、給水機60と、エア圧送機58と、発電機56と、で構成され、緑化基材生成装置2で生成され添加材を配合された緑化基材B2をモルタル吹き付け装置62で攪拌し、流動化させて吹き付け装置10に圧送するよう構成されている。
【0021】
緑化基材生成装置2は、本発明の工法を実現するための基幹をなす構成要素であって、現地発生土E0と現地伐採材である植物W0を配合して基盤材B1にし、その基盤材B1に所定の種子、肥料、接合剤を添加する添加材供給手段31によって緑化基材B2を生成するよう構成されている。
【0022】
緑化基材生成装置2の1部を構成する現地発生土含水率調整手段2aは、例えば法面表土を掘削して廃土となった現地発生土E0を所定の含水率に調整する含水率調整手段の含水率調整手段20と、コンベア22と、ホッパー26と、生育基盤材発生装置30、とで生育基盤材B1の1部を生成するよう構成されている。
【0023】
含水率調整手段20は、公知、市販の装置を用いることが出来る。そして、含水率を例えば70%に調整する機能を有して構成されている。或いは、特段の設備や装置を使用せずに、現地発生土E0に防水シートを被せたり、屋根付きの貯蔵場所に貯蔵して現地発生土E0が雨水等を吸収して含水率が所定値より上昇するのを防止するのみでも良い。
【0024】
或いは、含水率を正確に把握するために含水率を計測する手段(公知・市販の機器:図示せず)を設けても良い。
【0025】
或いは、図示しない演算手段(例えば、パソコンなど)と、現地発生土E0を乾燥させる乾燥手段(図示せず)を設け、乾燥手段で乾燥させた後の現地発生土E0の重量(乾燥重量)と乾燥させない状態の重量とから、含水率を計算しても良い。
ここで、現地発生土含有率調整手段2aに加えてモルタル吹き付け装置62で水を供給することも可能である。チップの乾燥の程度に応じて、緑化基盤材の調湿を行なうためである。
【0026】
ホッパー26は、含水率を調整された現地発生土即ち調湿土E1を計測して、所定重量を基盤材発生装置30に供給するよう構成されている。
【0027】
緑化基材生成装置2の他の1部を構成する現地植物チップ化手段2bは、枝葉、幹、根が単独または混入された植物W0をホッパHを介して導入し、例えば長さ50〜150mmの1次チップW1にする1次破砕用機器14と、その1次チップW1を長さ50mm以下の2次チップW2に破砕する2次破砕用機器18と、前記生育基盤材発生装置30とで構成されている。なお、2次破砕用機器18は現地で設置、稼動せずに、現地外の適所に設置されていて、2次チップW2を現地に搬送するよう構成されていてもよい。
【0028】
基盤材発生装置30は、2次破砕用機器18で例えば50mm以下の短尺2次チップW2と、例えば含水率70%に調整された調湿土E1とを所定の配合比で配合して緑化基材供給装置50に供給するよう構成されている。これに加えて腐食菌37は添加しても良い。
【0029】
添加材供給手段31は、所定の種子32と、化成肥料を含む肥料34と、高分子系樹脂または普通ポルトランドセメントによる接合剤36、とを所定の割合で配合して基盤材発生装置30から供給された基盤材B1に添加するよう構成されている。
【0030】
上記構成による法面緑化装置1による法面緑化工法を以下に説明する。
現地発生土含水率調整手段2bにおいて、現地発生土E0が、貯蔵場所から投入手段Cpによって含水率調整手段20に投入される。
【0031】
含水率調整手段20では、投入された現地発生土E0を例えば所定の含水率70%に調整して(現地発生土含水率調整工程)調湿土E1として、コンベア22を介してホッパー26に供給する。
【0032】
ここで、現地発生土含水率調整工程で実行される具体的な手法としては、たとえば、
(1) 現地発生土E0を貯蔵している領域へ降雨後に、貯蔵されている現地発生土E0が一通り乾くまで、現地発生土E0を緑化基材として混合しない、
(2) 貯蔵されている現地発生土E0に、遮水性を有するシート状部材(例えば、防水シート等)を被せて、雨水が侵入しない様にする、
(3) 現地発生土E0の一部を取り出して、完全に乾燥させた状態の重量と、乾燥させない状態の重量とを計測し、含水率を演算する、
等がある。
【0033】
ホッパー26では、所定重量の調湿土E1を計量して基盤材発生装置30に供給する。
【0034】
一方、現地植物チップ化手段2bにおいて、現地伐採材である植物W0が、貯蔵場所から投入手段のホッパーHを介して1次破砕用機器14に投入され、ここで植物W0の枝葉、幹、根が例えば5〜15cm長さの1次チップW1に破砕される(1次破砕工程)。
【0035】
ついで1次チップW1は2次破砕用機器18に投入され、例えば50mm以下の短尺の2次チップW2に破砕される(2次破砕工程)。
上記の2次破砕工程は、施工現場で行われてもよいし、或いは施工現場以外の場所で行いその2次チップW2を施工現場に搬送してもよい。設備配置条件あるいは設備の稼働率等を検討のうえ選択することが好ましい。
【0036】
ついで、2次チップW2は、生育基盤材発生装置30に供給され、前記調湿土E1と混合されて基盤材B1が生成される(緑化基材を生成する工程)。
【0037】
前記緑化基材を生成する工程で生成された基盤材B1は、緑化基材供給装置50のベルトコンベア52に供給される。
【0038】
そのコンベア52に、所定量の添加材31が計量器40を介して供給され、コンベア54を介してモルタル吹き付け機62に投入される。この際、添加する種子32は、現地発生土E0中に現地種子が充分に含有されていれば、添加不要にしてもよい。
【0039】
モルタル吹き付け機62において、添加材31と基盤材B1とが、必要に応じて給水機60からの水と、エア圧送機58からの圧縮エアとを供給され、攪拌混合された緑化基材の混合流動体となって、圧送ホース64を介して吹き付けノズル10に供給される。
【0040】
圧送ホース64内を流動する混合流動体は2次チップW2が適度に短尺であって、絡み合うことがなく圧送ホース64内で流動不調となることなく、また、混合流動体内及び法面Gn上の生育基盤に均一に分散して繊維補強材としての機能を果たすことができる。
【0041】
図2を参照して第2実施形態を説明する。本発明は、前記吹き付け工法に使用する緑化基材を、添加材なしのチップと現地発生土、とのみで構成する基盤材の配合割合を規定するものである。
【0042】
図2は、材料名D1に示す現地発生材W0から採取する長さ50mm以下の2次チップW2と、材料名D2に示す現地発生土即ち造成地で掘削した例えば砂質系の5mm以下に篩い分けた土砂の調湿土E2の配合割合で、全量が1立方メ−トルの場合のそれぞれの割合を表示した数値表図面である。
配合割合は、2次チップW2は容積率で10〜80%、現地発生土の調湿土E1は容積率で10〜90%に規定している。
【0043】
上記緑化基材の材料とその効果は、チップは全ての種類の樹木における枝葉、幹、根の全ての部分を破砕したチップW2で、その繊維分が、適度に絡み合い緑化基材の補強材として作用する。チップが多過ぎると(例えば、容積比で80%を超えると)、肥料分が少なくなり、植物等の生育に悪影響を与え、一方、チップが少な過ぎると(例えば、容積比で10%よりも少ないと)、補強材として作用する繊維の量が少なくなり過ぎるため、緑化地盤が雨水等で法面から流出して法面保護の機能を果たさなくなる。
【0044】
また、現地発生の調湿土E1は、多過ぎると(例えば、容積比で90%を超えると)、単粒(単一の塊)となり易い。単一の塊の用土では、根の成長などに問題があり、植生に悪影響を与えてしまう。一方、少な過ぎると(例えば、容積比で10%よりも少ないと)、栄養分が少なくなり過ぎてしまうので、やはり植生に悪影響を及ぼす。その結果、周囲の植物環境に馴染まなくなる。
【0045】
なお、現地発生土とチップのみで基盤材を生成する本実施形態では、特にチップが針葉樹から生成する場合は、針葉樹のもつ殺菌力が堆肥にあるべき必要な雑菌の繁殖を抑制するので、これを補う組成分を別途添加することが好ましい。
【0046】
図3を参照して第3実施形態を説明する。本発明は、前記吹き付け工法に使用する緑化基材をモルタル吹き付け機62で攪拌混合する添加材を含む配合材の配合割合を規定するものである。
【0047】
図3は、現地発生材W0から採取する2次チップW2とその他の配合材との配合割合を、全量が1立方メ−トルの場合のそれぞれの配合材の割合を表示した数値表図面である。
【0048】
図3として表示されている表中の列項Caは材料名C1〜C6を示し、行項Raは仕様R1、単位R2、配合標準値R3、許容範囲R4、適用R5をそれぞれ示している。
例えば、生育基盤材C3として伐採材即ち2次チップW2を1000リットルとしその許容範囲を10〜80%のときに、生育基盤材C2の現地発生土即ち調湿土E2は300リットルでその許容範囲は10〜90%であり、生育基盤材C1の緑化材を700リットルでその許容範囲R4は10〜70%である。
上記の生育基盤材C1の緑化材の組成は、バーク堆肥、ピートモス、パーライト(保水性)である。
【0049】
配合材料名としては、上記生育基盤材C1〜C3のほかに、状況によって選択可能な高分子系、セメント系、アスファルト系による接合剤C4、化成肥料C5及び緩効性肥料C5があって、表図面3に示す配合がよい。なお、表図面3中に記載しないが木本類、草本類の種子を必要に応じて適宜配合する。また、別途、保水材を添加することで、保水性を自由にコントロールできる。
この配合で得た緑化基材を施工時には、吹き付け厚さが5cm以上となるようにする。
【0050】
上記配合材の個々の効果は、生育基盤材C3の伐採材即チップW2は、多すぎると(例えば容積率で80%を超えると)肥料分が少なくなり植物等の生育に悪影響を与え、少な過ぎると(例えば容積率で10%よりも少ないと)補強材として作用する繊維の量が少なくて緑化地盤が雨水等で法面Gnから流出する。
【0051】
生育基盤材C2の現地発生土即調湿土E1は、多すぎると(例えば容積率で90%を超えると)空気の入りにくい単粒(単一の塊)となり根の成長などの植生に悪影響を与え、少なすぎると(例えば容積率で10%より少ないと)密度が粗となり、基盤材として不安定になってしまい、栄養不足で、緑化が不充分となり、しかも、周辺在来種の移入に時間が掛かってしまう。
【0052】
生育基盤材C1の緑化材は、多すぎると(例えば容積率で70%よりも多いと)コスト高となり、少ないと(例えば容積率で10%より少ないと)養分が少なく初期の植生に悪影響を与える。
【0053】
接合材C4の高分子系、セメント系、アスファルト系は、多いと(例えば重量が8Kgより多いと)固くなりすぎて単粒になり植物の呼吸が困難になり、少ないと(例えば重量が3Kgより少ないと)流出する。
【0054】
肥料C5の化成肥料は、多すぎると(例えば10Kgより多いと)肥料焼けになる。しかし、肥料C5の化成肥料が少なくても、例えば図3の配合での許容値である0Kgでも、緑化材に含まれる肥料分(養分)が存在するので問題は無い。
【0055】
緩効性肥料は、多過ぎても(例えば10Kgより多いと)、肥料効果が著しく現れない。
一方、少な過ぎても、肥料としての効果をもたらすことが出来ないので不都合である。例えば、例えば図3の配合での許容値:0Kg、でも緑化材に含まれるバーク堆肥により必要効果を補填する様に調整しなければならない。換言すれば、図3で示す配合において、C5の化成肥料とC6の緩効性肥料とが、共に含有量が0Kgと言うことは無い。一方の肥料が少ない場合には、他方の肥料をその分増やさなければならないのである。
【0056】
表図面3の配合は、上記の効果を確認の上で決定したものである。
【0057】
図4〜6において本発明の第4実施形態を説明する。本実施形態は、例えば第2、第3実施形態で示した配合緑化基材を法面Gnその他に吹き付けする工法に使用する吹き付け機械の構成を示すものである。
【0058】
図4は、吹き付けノズルNがほぼ水平状態での中程度の高さの吹き付け面Gnへの施工時での吹き付け機械の状態を示し、図5は、吹き付けノズルNがほぼ上向き状態での高所施工時での吹き付け機械の状態を示したものであって、機械の構成は同じである。
【0059】
図4及び図5において、全体を符号10Aで示す吹き付け機械は、所謂バックホウ車両方式の車両Vの上部の台座Bsに、運転席と、先端部に吹き付けノズルNを取付けた操作アームAとが、車両の垂直軸SVを旋回中心として旋回自在に設けられて構成されている。
【0060】
そのアームAは、台座Bsに第1のピンC1によって垂直方向に回動自在に枢着された第1のアームA1と、第1のアームA1の先端部に第2のピンC2によって第1のアームA1と同じ垂直面を回動自在に枢着された第2のアームA2とで構成されている。
【0061】
第1のアームA1に一端が台座Bs枢着されたに第1の位置調整機構X1のシリンダ1が回動自在に枢着され、シリンダ1の伸縮によって第1のアームA1が上、下に傾斜し、矢印R1の方向に回動するよう構成されている。
【0062】
第2のアームA2に一端が第1のアームA1に枢着された第2の位置調整機構X2のシリンダ2が回動自在に枢着され、シリンダ2の伸縮によって第2のアームA2が上、下に傾斜し、矢印R2の相対角が増減するよう構成されている。
【0063】
第2のアームA2の先端部に、第3のピンC3が取付けられ、第3のピンC3を介してアームAの旋回垂直面と同じ面を回動自材に、吹き付け装置10が取り付けられている。その吹き付け装置10の先端部に、吹き付けノズルNが装着されている。
【0064】
吹き付け装置10は、第3のピンC3の軸心と直交する第4のピンC4の回りに回動自在に取付けられている。
【0065】
吹き付け装置10は、油圧モータ或いは電動モータを備えた第3の位置調整機構X3によってアームAの旋回垂直面を回動して吹き付けノズルNを上下に傾斜させ、また油圧モータ或いは電動モータを備えた第4の位置調整機構X4によって第4のピンC4の回りに回動させ、図4においては紙面に垂直な方向の左右に首振りするよう構成されている。
【0066】
吹き付けノズルNは、吹き付け装置10に取付けられたシリンダを備えた第5の位置調整機構X5によって吹き付け装置10の軸方向に前、後動自在に取付けられている。
【0067】
吹き付け機械10Aの上記構成によって、地山Gの吹き付け面Gsに対して、第1の位置調整機構X1で第1のアームA1を傾斜させ、第2の位置調整機構X2で第2のアームA2を傾斜させ、第3の位置調整機構X3で吹き付け装置10を傾斜させて、吹き付け装置10を紙面に平行な旋回垂直面上の任意の位置に移動させる。
【0068】
また、第4の位置調整機構X4で吹き付けノズルNを紙面に垂直な旋回平面に傾斜させ、第5の位置調整機構X5で吹き付けノズルNを地山Gの吹き付け面Gsとの距離を調整させる。
【0069】
上記第1〜第5の位置調整機構X1〜X5によってアームAと吹き付け装置10の作動範囲で地山Gの吹き付け面Gsをカバーし、台座Bsの旋回によって地山Gの吹き付け面Gsを移動して拡大させる。さらに、車両Vを走行し移動させて吹き付け面Gsを一層拡大させる。
【0070】
図6は、吹き付けノズルNと地山Gの吹き付け面Gsとの距離を制御するための手段をブロック構成で示している。
【0071】
前記図4に示した吹き付け装置10の吹き付けノズルNの近傍で吹き付け装置10の軸心に直角な平面に、図6に示す吹き付け面との距離を計測する距離センサSR1、SR2、SR3、SR4が取付けられ、図6に示す制御手段20のインターフェースB1にラインLi1、Li2、Li3、Li4によって連通されている。
【0072】
図6において、制御手段20は、インターフェースB1と、各センサの出力信号の比較及び差分を演算する比較手段B2と、センサ出力の差異が許容値以下か否かを判断する判断手段B3と、吹き付け面の傾斜の程度を演算する傾斜演算手段B4と、傾斜の有無判断と傾斜の程度に関する制御信号を出力する信号出力手段B5と、許容値や距離データ等を記憶した記憶手段B6と、各センサからの情報に基づき距離の平均値を演算する平均値演算手段B7と、地山とノズルまでの距離を演算する距離演算手段B8と、演算した距離情報を出力する距離信号出力手段B9と、によって構成されている。
【0073】
前記インターフェースB1と、比較手段B2と、判断手段B3と、傾斜演算手段B4と傾斜信号出力手段B5と、は信号ラインL1によって連通されている。
【0074】
前記データベースB6は、前記判断手段B3と、前記傾斜演算手段B4と、前記距離演算手段B8と、それぞれ信号ラインLd1、Ld2、Ld3とによって連通されている。
【0075】
前記比較手段B2と傾斜演算手段B4とは信号ラインL2によって連通されており、前記判断手段B3と傾斜信号出力手段B5とは信号ラインL3によって連通されている。また、前記インターフェースB1と前記平均値演算手段B7と前記距離演算手段B8と、前記距離信号出力手段B9とは信号ラインL4によって連通されている。
【0076】
前記傾斜信号出力手段B5は信号ラインL5によって、また、距離信号出力手段B9はそれぞれ車両Vに搭載されたモニタ30に接続されており、図示しないオペレータが常に距離と傾斜を監視できるように構成されている。
【0077】
図7によって、図6に示す手段を使用して傾斜を求める際の制御方法について説明する。
【0078】
ステップS1で計測開始の要否を判断し、計測不要(NO)であればステップS1を繰り返し、必要(YES)であれば各センサS1〜S4の出力信号を受信し(ステップS2)、その出力信号の差異を比較手段B2によってもとめる(ステップS3)。
【0079】
ステップS4において、制御手段20の判断手段B3によって出力差が許容値以下であって吹き付け面までの距離が一様な平坦であるかを判断する。出力差が許容値以下(YES)であればステップS1に戻り、許容値以上(NO)で傾斜あるいは凹凸の存在があればステップS5に進む。
【0080】
ステップS5では、傾斜演算手段B4によって出力差の情報に基づき傾斜演算手段B4によって傾斜を演算し、ステップS6でその結果を信号出力手段B5及び信号ラインL5を介してモニタ30に表示する。
【0081】
ステップS7で傾斜計測の終了を確認し、未了(NO)であればステップS1にもどり、終了(YES)であれば制御作業を終了する。
【0082】
上記の傾斜をもとめる際の制御方法とほぼ同様にして、センサS1〜S4からの信号を距離に換算し、ノズルNと吹き付け面との平均距離をもとめ、モニタ30に表示する共にノズルNを最適位置に配置させることができる。
【0083】
これによって、吹き付け面に対して直角な方向からの吹き付けができ、また跳ね返りのないかつ、吹き付け未達のない適正距離(例えば1m)を保持させることができる。
【0084】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、例えばチップサイズの決定等を含め本発明の技術範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【0085】
【発明の効果】
本発明の効果を以下に列挙する。
(1) 本発明によって、現地発生土が所定の含水率に調湿され、また現地伐採植物が短尺チップに破砕され、繊維が絡み合うことが無い状態にて調湿土と混合されて緑化基材となるので、吹き付け流動性が保証され、繊維が均一に分布して吹き付け面の補強材として良好に機能する。
(2) 現地発生土と現地伐採材によるチップのみによる緑化基材を使用する場合は、本発明の配合割合によって、用土の単粒を防いで空気を保持するため植生によく、補強材としての繊維が好適に含まれるため補強材としての機能を果たすと共に、肥料分も適宜に供給される。
(3) 現地発生土と現地伐採材によるチップに加えてバーク堆肥、ピートモス、パーライトからなる緑化材と、高分子系等の接合材と、化成肥料と、緩効生肥料とを本発明による配合割合で配合させれば、最適な緑化基材が生成できる。
(4) 本発明の吹き付け機械によれば人手でノズル保持および吹き付けをすることなく、しかも吹き付け面形状にかかわりなく、安全且つ迅速に、しかも広範囲に吹き付けができる。
(5) 本発明のノズル位置センサによってノズルと吹き付け面との距離と角度を適正に保持して精度の良い吹き付けができる。
(6) 専用の吹き付け装置を用いる必要が無く、通常の吹き付け機械を使って緑化機材を施工面に対して吹き付けることが可能である。
(7) 吹き付けられた緑化基材の層の厚さを薄くすることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態における装置構成を示すブロック図。
【図2】本発明の第2実施形態における緑化基材の現地発生土と現地伐採材によるチップとの配合を示す表図。
【図3】本発明の第3実施形態における緑化基材の配合を示す表図。
【図4】本発明の工法に使用する緑化基材の吹き付け機械を示す側面図。
【図5】本発明の工法に使用する緑化基材の吹き付け機械を示す別の作動の側面図。
【図6】図4及び図5に示す吹き付け機械の制御手段の構成を示すブロック図。
【図7】図6の制御手段により吹き付け面の傾斜を求める際の制御フローチャート。
【符号の説明】
B1・・基盤材
E0・・現地発生土
E1・・所定の含水率に調整された現地発生土(調湿土)
G・・・地山
W0・・植物
W1・・1次チップ
W2・・2次チップ
2・・・緑化基材生成装置
2a・・現地発生土含水率調整手段
2b・・現地植物チップ化手段
10・・・吹き付け装置
14・・1次破砕用機器
18・・1次破砕用機器
20・・含有率調整手段
30・・基盤材発生装置
32・・種子
34・・肥料
36・・接合材
50・・緑化基材供給装置

Claims (4)

  1. 植物を破砕する1次破砕工程と、1次破砕工程で破砕された植物をさらに破砕して短尺のチップを生成する2次破砕工程と、該2次破砕工程で生成したチップと現地発生土とを含む緑化基材を生成する工程、とを有していることを特徴とする法面緑化工法。
  2. 現地発生土の含水率を所定値以下となる様に調整する現地発生土含水率調整工程を有し、前記緑化基材を生成する工程では、含水率を所定値以下となる様に調整された現地発生土が前記2次破砕工程で生成したチップと混合される請求項1の法面緑化工法。
  3. 前記2次破砕工程は施工現場で行われる請求項1、2の何れかの法面緑化工法。
  4. 前記2次破砕工程は施工現場以外で行われ、施工現場には2次破砕工程で加工された短尺のチップが搬送されるように構成されている請求項1、2の何れかの法面緑化工法。
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