JP2004143052A - 経皮吸収型貼付製剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】経皮吸収薬物を含有する粘着剤層の片面に支持体が積層されてなる経皮吸収型貼付製剤であって、支持体と粘着剤層との間にポリビニルピロリドン及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物からなる下塗り層を有することを特徴とする。当該下塗り層の存在により、製剤使用時の離型フィルムへの粘着剤の移行が十分に抑制され、かつ、被着体から製剤を除去する際の被着体への糊残りが極めて少ない、良好な治療効果の得られる経皮吸収型貼付製剤を得ることができる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は経皮吸収型貼付製剤に関し、詳しくは、被着体及び離型フィルムへの糊残りが少ない経皮吸収型貼付製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薬物を含有する粘着剤層を設け、該粘着剤層を被着体(生体の皮膚や粘膜)に貼付することで、薬物を皮膚や粘膜を通して生体内に連続的に投与する経皮吸収型貼付製剤が種々開発されている。ところで、このような経皮吸収型貼付製剤では、薬物を生体の外皮面に放出させ、しかも、生体内に吸収させるには、通常、粘着剤層中の薬物濃度を高める必要がある。また、粘着剤層中に薬物とともに経皮吸収促進剤を添加して、薬物濃度を特に高めることなく、薬物の吸収性を向上させる方法(特許文献1〜3、非特許文献1)も提案されている。
【0003】
しかし、粘着剤層中の薬物濃度を高める場合、粘着剤層中で薬物が過飽和状態あるいは結晶状態となって、膏体の結合力、即ち、粘着剤層における粘着剤の凝集力が低下することとなる。また、経皮吸収促進剤を添加する場合においても、経皮吸収促進剤は通常その促進作用が十分に発現するように粘着剤と相溶性のよいものが選択されるので、その可塑化作用によって粘着剤の凝集力が低下してしまう。このような膏体の結合力(粘着剤層における粘着剤の凝集力)が低い場合、製剤の使用時、離型フィルムを製剤から取り除く際に、膏体(粘着剤)が離型フィルムへ移行(残存)し、製剤中の薬物量が減少して治療効果が低下するといった問題を生じてしまう。また、製剤使用後、製剤を被着体(皮膚や粘膜)から除去する際に粘着剤が被着体に残ってしまうという問題がある。
【0004】
上記の被着体や離型フィルムに粘着剤が残存(移行)する、所謂、糊残りの問題を解決する方法としては、一般に、膏体(粘着剤層)中に架橋剤を添加して膏体中の粘着剤(ポリマー成分)を架橋したり(特許文献4)、充填剤を添加して粘着剤の凝集力を高める方法(特許文献5)がある。しかしながら、ポリマー成分を架橋する方法では、添加する薬物や経皮吸収促進剤によって架橋阻害を起こして、架橋ができない場合があり、また、充填剤を添加する方法はその効果が十分でない場合がある。
【0005】
なお、一般に、織布、不織布等の布帛や、不織布とプラスチックフィルムとを貼り合わせた複合フィルム等は、風合いの良さや柔軟性の点で貼付製剤用の支持体として多用されているが、このような布帛や複合フィルム等の柔軟性の高い支持体を用いた場合に、上記の糊残りの問題は特に生じやすい。
【0006】
【特許文献1】
米国特許第3551554号明細書
【特許文献2】
米国特許第3472931号明細書
【特許文献3】
米国特許第4017641号明細書
【特許文献4】
特許第3014188号公報
【特許文献5】
特開平6−65066号公報
【非特許文献1】
DRUGS AND THE PHARMACEUTICAL SCIENCES vol,31 「Transdermal Controlled Systemic Medications」 p.67−75 (1987)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記事情に鑑み、本発明は、粘着剤層における粘着剤の凝集力が高くなくとも、糊残りを十分に少なくできる経皮吸収型貼付製剤、特に、布帛又は布帛とプラスチックフィルムとの複合体を支持体に使用した場合にも、糊残りを十分に少なくできる、経皮吸収型貼付製剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、支持体上にポリビニルピロリドンとメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物からなる下塗り層を設け、その上に薬物を含有する粘着剤層を形成することにより、糊残りが極めて少なくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)経皮吸収薬物を含有する粘着剤層の片面に支持体が積層されてなる経皮吸収型貼付製剤であって、支持体と粘着剤層との間にポリビニルピロリドン及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物からなる下塗り層を有することを特徴とする貼付製剤、
(2)支持体が布帛であることを特徴とする上記(1)記載の貼付製剤、
(3)薬物が局所麻酔剤であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の貼付製剤、
(4)粘着剤層における粘着剤がアクリル系粘着剤であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の貼付製剤、
(5)粘着剤層の支持体が積層された片面とは反対側の片面に、離型フィルムを有する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の貼付製剤、及び
(6)粘膜への貼付用である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の貼付製剤に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳しく説明する。
本発明の経皮吸収型貼付製剤は、支持体と粘着剤層との間にポリビニルピロリドン及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物からなる下塗り層を有することが特徴である。
【0011】
即ち、支持体の片面に形成したポリビニルピロリドン及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物からなる下塗り層の上に粘着剤層を設けたことにより、粘着剤層における粘着剤の凝集力が高くなくとも、製剤使用時に剥離する離型フィルムに残存する粘着剤(糊残り)を極めて少なくでき、また、貼付した製剤を被着体(皮膚、粘膜等)から除去する際の被着体への糊残りも十分に少なくできるものである。
【0012】
本発明の貼付製剤で使用する支持体は、特に限定されず、紙;プラスチックフィルム;編布、織布、不織布等の布帛等、この種の貼付製剤おいて支持体として使用されている公知の材料を適用できる。その中でも、取り扱い性がよく、また、柔軟性に富み、適用部位への追従性、密着性等が良好である点から、柔軟性の高い支持体が好ましく、特に好ましくは布帛又は布帛にプラスチックフィルムをラミネート加工した複合体であり、とりわけ好ましくは布帛である。
なお、本明細書中における「布帛」とは、繊維の種類に関係なく(即ち、天然繊維であるか、合成繊維であるかに関わらず)、繊維を編む、織る、絡合する等して形成されるシート状繊維集合物の総称として使用するものである。
【0013】
布帛を構成する繊維としては、特に限定されないが、例えば、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ジアセテート、トリアセテート、ナイロン、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアルキレンパラオキシベンゾエート、及びポリクラール(塩化ビニルとポリビニルアルコールとの1:1混合物)等の合成繊維;綿、羊毛、絹、麻等の天然繊維等が挙げられる。また、異なる2種以上の繊維成分からなる分割繊維も好適に使用できる。ここで、「分割繊維」とは、異なる2種以上の繊維成分を口金で複合して紡糸した複合繊維(例えば、ポリプロピレンとポリエステルを口金で複合して紡糸した複合繊維等)を分割して得られる繊維であり、特に一方の成分を抽出すること、あるいは強い衝撃を与えることにより、みかんを輪切りにした時に房が分かれるごとくに分割してより細かい繊維に分割した分割繊維とすることができる。
【0014】
布帛を構成する繊維は1種又は2種以上を使用できる。また、繊維は疎水性のものが好ましく、上記の例示した繊維の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、ポリオレフィン(好ましくはポリプロピレン)とポリエステル(好ましくはポリエチレンテレフタレート)の分割繊維等が特に好ましい。また、ポリオレフィンとポリエステルの分割繊維にあっては、ポリオレフィンとポリエステルの含有比率(ポリオレフィン/ポリエステル)は、30〜70/70〜30(重量%)が好ましく、特に好ましくは40〜60/60〜40(重量%)である。
【0015】
布帛の形態は、特に限定されず、編布、織布、不織布等が挙げられるが、経済性、汎用性、加工性等の点から不織布が好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維の不織布、ポリプロピレンとポリエステルの分割繊維の不織布が特に好ましいものである。
【0016】
また、布帛にプラスチックフィルムをラミネート加工した複合体は、布帛単体に比べて、取り扱い性が向上し、また、粘着剤層(膏体層)の裏抜けを防止できる点で好ましいものである。この場合のプラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリブタジエン、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、アイオノマー樹脂等から選ばれる1種又は2種以上の樹脂からなる単層または多層のフィルムが挙げられる。これらの中でも、薬物不透過性、加工性、経済性の点から、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルムから選ばれる1種または2種以上を構成要素とするフィルム(単層フィルム、積層フィルム)が好ましく、特に好ましくは、経済性、加工性の点から、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートからなる単層フィルムである。
当該プラスチックフィルムの厚み(単層フィルムの場合はその厚み、多層フィルムの場合は複数層のトータル厚み)は1〜50μm程度が好ましく、特に好ましくは5〜15μm程度である。
【0017】
不織布において、その製法は特に限定されず、メディカル製品で用いられる乾式バインダー法、サーマルボンド法、スパンボンド法、スパンレース法、エアレイポロセス法、ニードルパンチ法、TFC法、ベンリーゼ法、湿式法、メルトブローン法等の種々の製法で製造された不織布を使用できるが、なかでも、絡合の度合い(即ち、絡合の度合いが大きく、しなやかで強度があること)、安全性等の点からスパンレース法で製造されたものが好ましく用いられる。
【0018】
本発明において、布帛は、JIS−L1085に規定する質量が20g/m2〜150g/m2の範囲にあるものが好ましく、より好ましくは当該質量が50g/m2〜120g/m2の範囲にあるものである。質量がこの範囲よりも小さい場合、柔らかくなりすぎるために、製剤の取り扱い性が低下したり、薬物を含有する粘着剤が布帛の繊維間を通り抜けて裏側に抜け出る危険性があり、好ましくない。また、質量がこの範囲よりも大きい場合、布帛が全体的に硬くなり、柔軟性が損なわれて貼付部位への良好な密着性が得られにくくなる虞がある。また、布帛は、その厚みが厚すぎると、柔軟性が損なわれて貼付部位への良好な密着性が得られにくくなり、薄すぎると、柔らかくなりすぎて、製剤の取り扱い性の低下や粘着剤の布帛繊維間の通り抜け等を起こす危険性があり、よって、JIS−L1085に規定する厚みが0.1mm〜1.0mmの範囲にあるものが好ましく、0.2mm〜0.8mmの範囲にあるものがより好ましい。また、布帛はJIS−L1085に規定する剛軟度(45°カンチレバー法による)が10mm〜80mmの範囲にあるものが好ましく、30mm〜70mmの範囲にあるものがより好ましい。布帛の剛軟度がかかる範囲にあることにより、製剤貼付時の取り扱い性や貼付部位への密着性がより良好となる。
【0019】
本発明の貼付製剤は、上記の支持体の少なくとも片面(粘着剤層を形成する側の片面)に、ポリビニルピロリドン及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物からなる下塗り層を設ける。メタケイ酸アルミン酸マグネシウムは、市販品がそのまま使用できる。一方、ポリビニルピロリドンは、式:
【0020】
【化1】
【0021】
で表される単位を主たる繰り返し単位とするポリマーであり、通常、当該式の繰り返し単位からなるホモポリマーが使用されるが、ポリマー全体に対する30重量%を超えない範囲で、N−ビニル−2−ピロリドン以外のビニル単量体が共重合されていてもよい。このような共重合体も本発明における「ポリビニルピロリドン」に包含される。
【0022】
本発明において、ポリビニルピロリドンは、塗工性、塗工液の調製のし易さ、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムとの相溶性(分散性)の点から、その浸透圧法における数平均分子量が10000以上のものが好ましく、100000以上のものが特に好ましい。また、分子量の上限は、特に限定はされないが、溶剤にて希釈でき、かつ、下塗り層用塗工液の調製(後述のポリビニルピロリドン及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを溶媒に分散乃至溶解させた塗工液の調製)時に、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの均一分散を阻害しないような分子量であるのが好ましく、かかる観点から浸透圧法による数平均分子量が500万以下が好ましく、特に好ましくは300万以下である。
【0023】
本発明において、ポリビニルピロリドン及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物からなる下塗り層を支持体の片面に形成する方法は特に限定されず、種々の方法を適用できる。例えば、支持体の片面にグラビア印刷などの手段によって、ポリビニルピロリドン及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムを適当な溶媒に分散又は溶解させた混合物液を塗布、乾燥することで下塗り層を形成することができる。該混合物液における溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。また、塗液の乾燥は40〜80℃程度で行うのがよい。温度が80℃を超えると、塗膜が発泡して下塗り層が不均一となる虞があり、温度が40℃未満では、無視することができない程度の溶媒が残存する虞があるためである。
【0024】
本発明において、下塗り層におけるポリビニルピロリドンとメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合比率(ポリビニルピロリドン/メタケイ酸アルミン酸マグネシウム)は、下塗り層の投錨性(支持体との結合性)、下塗り層形成時の混合物液(塗液)の塗布のしやすさ等の点から、5〜90/95〜10(重量%)が好ましく、特に好ましくは20〜70/80〜30(重量%)である。かかる範囲を超えてポリビニルピロリドンの割合が少ないと(メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの割合が多いと)、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムによって支持体との結合力が低下し、十分な量の下塗り層が形成されににくくなり、逆に、ポリビニルピロリドンの割合が多いと(メタケイ酸アルミン酸マグネシウムの割合が少ないと)硬いフィルム状の下塗り層となって、支持体との結合力が低下するようになり、好ましくない。
【0025】
本発明において下塗り層は、支持体の片面に当該混合物が固形分換算で0.01g/m2〜5g/m2程度、好ましくは0.05g/m2〜3g/m2程度の存在量となるように形成するのがよい。当該混合物の塗布量が0.01g/m2に満たない場合、ポットライフが約1か月間程度と短くなり、また、本発明が目的とする糊残りを十分に少なくすることが困難になる虞がある。一方、塗布量が5g/m2を超える場合には、その上に形成する粘着剤層の粘着特性が変化したり、粘着剤層中に含有する経皮吸収薬物の放出性に悪影響を与える虞がある。
【0026】
本発明の貼付製剤において、上記の下塗り層を有することで、糊残りを十分に少なくできる理由は明らかではないが、本発明者等は以下のように考えている。即ち、ポリビニルピロリドンは比較的極性の低いポリマーから極性の高いポリマーに対しても親和性が高いので、多くの支持体との結合性が良好であるとともに、ポリビニルピロリドンに分散したメタケイ酸アルミン酸マグネシウムと粘着剤層とがイオン性の擬似架橋を形成するのではないかと推定される。
【0027】
本発明において、下塗り層の上に形成する粘着剤層中に含有させる経皮吸収性の薬物は、特に限定されない。例えば、全身性薬物としては、コルチコステロイド類、鎮痛消炎剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、全身麻酔剤、抗菌剤、抗真菌剤、ビタミン剤、冠血管拡張剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、性ホルモン、抗鬱剤、脳循環改善剤、制吐剤、抗腫瘍剤、酵素剤、生体医薬等が挙げられる。また、局所性薬物としては、例えば、リドカイン等の局所麻酔剤、塩酸テトラサイクリン等の歯科用抗生物質、塩化セチルピリジニウム等の殺菌消毒剤、塩酸クロルヘキシジン等の感染予防治療剤、ジメチルイソプロピルアズレン等の消炎剤、酢酸ヒドロコルチゾン等の副腎皮質ホルモン等が挙げられる。好ましくは、コカイン、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、リドカイン、メピバカイン、プリロカイン、プピバカイン、ジブカイン、プロポキシカイン、エチドカイン、ジクロニン、オキシブプロカイン、テーカイン、アメトカイン、プロピトカイン、ピペロカイン、カタカイン、ブタニカイン、へキソチオカイン、メプリルカイン、エピロカイン、アミロカイン、イソブカイン、トリカイン、パレトキシカイン、ピロカイン、ヘキシルカイン、メタブトキシカイン、キシロカイン、メタブテタミン、オキセサゼイン、ピリドキシン、ブロモキシン、ジメチソキン、アミノ安息香酸エチル、ピベリジノアセチルアミノ安息香酸エチル、ベンジルアルコール、クロロブタノール及びこれらの薬理学的に許容される塩からなる群より選択される少なくとも1種の局所麻酔剤であり、より好ましくは、リドカイン、塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸メピバカイン、塩酸ジブカイン、塩酸プピバカイン、塩酸プロピトカイン、塩酸テトラカイン、塩酸トリカイン、オキセサゼインである。
【0028】
粘着剤層中の薬物の含有量は、薬物の種類、投与目的等により適宜増減できるが、通常、粘着剤層全体当たり1〜80重量%、好ましくは2〜70重量%程度である。含有量が1重量%未満の場合、治療や予防に有効な量の薬物の放出が期待できず、また、80重量%を超えると、粘着剤層の接着性が低下して治療や予防効果に限界が生じると共に経済的にも不利である。なお、薬物は、その薬効に応じて、粘着剤中に溶解状態、過飽和結晶析出状態もしくは分散状態にて含有させることができ、これにより、各種疾患の治療及び/または予防効果を目的とした経皮吸収製剤とすることができる。
【0029】
本発明において、粘着剤層に使用する粘着剤は、特に限定されず、この種の貼付製剤で使用されている粘着剤を制限なく使用できる。例えば、アクリル系重合体からなるアクリル系粘着剤;スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のゴム系粘着剤;シリコーンゴム、ジメチルシロキサンベース、ジフェニルシロキサンベース等のシリコーン系粘着剤;ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル系粘着剤;酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル系粘着剤;ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、ジメチルフタレート等のカルボン酸成分とエチレングリコール等の多価アルコール成分からなるポリエステル系粘着剤等が挙げられる。なかでも、支持体(特に布帛)との投錨性、貼着性、薬物溶解性、薬物安定性等の点からアクリル系粘着剤が好ましい。
【0030】
また、アクリル系粘着剤(アクリル系重合体)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに官能性単量体を共重合して得られたものが好ましい。すなわち、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを60〜99重量%(好ましくは65〜95重量%)含有し、残りが官能性単量体からなる共重合体が好ましい。
【0031】
アクリル系粘着剤(アクリル系重合体)における(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、主成分単量体ともいう)は、通常、アルキル基が炭素数4〜13の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル等)からなるものであり、これらは1種又は2種以上が使用される。なお、離型フィルムや被着体への粘着剤の残存を生じない範囲であれば、当該アルキル基の炭素数が4〜13の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、アルキル基が炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基等)からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたは/及びアルキル基が炭素数14以上のアルキル基(例えば、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基等)からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルを併用することもできる。なお、この場合、アルキル基が炭素数1〜3のアルキル基からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルまたは/及びアルキル基が炭素数14以上のアルキル基からなる(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用量は、アルキル基が炭素数4〜13の(メタ)アクリル酸アルキルエステルに対して20重量%以下である。
【0032】
官能性単量体は、共重合反応に関与する不飽和二重結合を分子内に少なくとも一個有するとともに、官能基を側鎖に有するものであり、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル等のヒドロキシル基含有単量体、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパン酸等のスルホキシル基含有単量体、(メタ)アクリル酸アミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸tert−ブチルアミノエチルエステル等のアミノ基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド等のアミド基含有単量体、(メタ)アクリル酸メトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸メトキシポリプレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリルエステル等のアルコキシル基含有単量体が挙げられる。当該官能性単量体は1種または2種以上を使用でき、これらの中でも、粘着剤の感圧粘着性、凝集性、粘着剤層中に含有する薬物の放出性等の点から、カルボキシル基含有単量体が好ましく、特に好ましくは(メタ)アクリル酸である。
【0033】
なお、本発明においては、アクリル系粘着剤として、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(主成分単量体)と官能性単量体との共重合体に、さらに他の単量体を共重合したものを使用することもできる。当該他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニル−2−ピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を使用できる。また、当該他の単量体の使用量は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(主成分単量体)と官能性単量体の合計重量に対して、通常、0〜40重量%程度であり、好ましくは10〜30重量%程度である。
【0034】
本発明におけるアクリル系粘着剤(アクリル系重合体)の好適な具体例として、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル65〜99重量%と(メタ)アクリル酸1〜35重量%とからなる共重合体、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル60〜99重量%とN−ビニル−2−ピロリドン1〜40重量%とからなる共重合体等が挙げられる。
【0035】
本発明において、粘着剤には、必要に応じて、種々の添加剤を配合してもよく、該添加剤としては、例えば、可塑剤、経皮吸収促進剤、酸化防止剤等を挙げることができる。
【0036】
可塑剤の添加によって粘着剤は可塑化され、貼付部位に対する粘着剤層の貼着力を調整することができる。可塑剤としては、例えば、ジイソプロピルアジペート、ジアセチルセパゲート等を挙げることができる。可塑剤は1種若しくは2種以上を用いることができ、その使用量は粘着剤100重量部に対して50〜200重量部程度が好ましい。
【0037】
経皮吸収促進剤は、粘着剤層内での薬物の溶解性や拡散性を向上させ得る機能を有する化合物であり、例えば、主に薬物溶解性を高める化合物として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、主に薬物拡散性を高める化合物として、オリーブ油、ヒマシ油、スクアラン、ラノリン等の油脂類等が挙げられる。また、その他の(経皮)吸収促進剤として、流動パラフィンのような炭化水素類;各種界面活性剤;エトキシ化ステアリルアルコール、オレイン酸モノグリセリド、カプリル酸モノグリセリド、ラウリル酸モノグリセリドのようなグリセリンモノエステル類;グリセリンジエステル、グリセリントリエステルまたはそれらの混合物等のグリセリン多価エステル類;ラウリル酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸エチル、アジピン酸ジイソプロピルのような高級脂肪酸エステル;オレイン酸、カプリル酸のような高級脂肪酸;N−メチルピロリドン;1,3−ブタンジオール等を挙げることができる。これらは、薬物の溶解性及び拡散性のうちの少なくとも一方を向上させ得るものである。本発明において、経皮吸収促進剤は1種若しくは2種以上を用いることができ、その使用量は粘着剤100重量部当たり5〜200重量部程度が好ましい。
【0038】
経皮吸収促進剤は粘着剤との相溶性のよいものが選択されるので、可塑剤と同様に粘着剤を可塑化するものであり、可塑剤、経皮吸収促進剤等の添加により粘着剤の凝集力は低下する。しかし、本発明の貼付製剤においては、下塗り層の存在により、このような低凝集力の粘着剤からなる粘着剤層を設けても、糊残りを十分に少なくできる。
【0039】
本発明の経皮吸収型製剤の製造方法は、特に限定されず、例えば、薬物、粘着剤及び必要に応じて配合されるその他の添加剤を溶媒に溶解または分散させ、得られた溶液または分散液を支持体の下塗り層が形成された片面上に塗布、乾燥して粘着剤層を形成する方法が挙げられる。また、上記の溶液または分散液を保護用の離型フィルム上に塗布、乾燥して離型フィルム上に粘着剤層を形成し、その後、下塗り層を形成した支持体の当該下塗り層を粘着剤層に接着させることによっても製造できる。
【0040】
本発明において、粘着剤層の厚み(乾燥後厚み)は、通常、10〜200μm程度、好ましくは15〜150μm程度である。粘着剤の支持体の片面当たりの付着量(固形分換算量)で示す場合、通常、10〜200g/m2程度、好ましくは15〜150g/m2程度である。
【0041】
本発明の貼付製剤には、その製造時、運搬時、保存時等における粘着剤層の器具や容器等の物体(物品)へ不要な接着(接触)の防止や製剤の劣化防止のために、被着体(皮膚、粘膜等)への貼付直前までは粘着剤層の露出面を離型フィルムにて被覆、保護するのが望ましい。使用時は、離型フィルムを剥がして、粘着剤層の面を露出させ、粘着剤層の露出面を被着体(皮膚、粘膜等)の貼付部位に貼付して、薬物の投与を行う。
【0042】
離型フィルムの材質としては、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、各種アクリル系及びメタクリル系ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、酢酸セルロース(アセテート)、再生セルロース(セロファン)、セルロイド等のプラスチックフィルム;上質紙、グラシン紙等の紙;上質紙またはグラシン紙等とポリオレフィンとのラミネートフィルム等が挙げられる。これらの中でも、安全性、経済性、薬物移行性等の点からポリエステルフィルムが好ましい。ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、芳香族二塩基酸成分とジオール成分とからなる結晶性の線状飽和ポリエステルが好適であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等が挙げられる。こられの中でも、特に経済性の点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが好ましい。ポリエステルフィルムは、従来公知の方法で製造されたものであり、例えば、二軸延伸ポリエステルフィルム(押出し機で溶融後、T型ダイスやI型ダイスから回転ドラム上に押し出し、急冷却して未延伸フィルムとし、次にこの未延伸フィルムを二軸方向に延伸し、必要に応じて熱固定して得られたフィルム)は本発明においても好適に使用できる。本発明において、離型フィルムの厚みは、取り扱い性等の点から、通常10〜200μm、好ましくは50〜100μmである。
【0043】
離型フィルムの粘着剤層に重なる側の面に形成する離型処理層としては、通常、硬化性シリコーン樹脂が使用される。硬化性シリコーン樹脂には、溶剤付加型、溶剤縮合型、溶剤紫外線硬化型、無溶剤付加型、無溶剤縮合型、無溶剤紫外線硬化型、無溶剤電子線硬化型等の各種タイプがあり、本発明では、いずれのタイプも使用できる。硬化性シリコーン樹脂の具体例としては、信越化学工業(株)製のKS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、KNS−305、KNS−3000、X−62−1256(いずれも商品名)、ダウコーニング・アジア(株)製のDKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210(いずれも商品名)、東芝シリコーン(株)製のYSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0044】
剥離処理層の形成方法としては、バーコート、リバースロールコート、グラビアコート、ロッドコート、エアドクターコート、ドクターブレードコート等従来より公知の塗布方法が用いられる。
【0045】
本発明において、離型処理層の厚みは、0.01μm〜5μmが好ましく、特に好ましくは0.1μm〜3μmである。離型処理層が0.01μm未満の場合、塗布ムラが生じて塗膜の均一性が得られなくなるために好ましくなく、5μmを超えると、粘着剤層からの薬物の移行量が増大したり、剥離性が低下する傾向となるために好ましくない。
【0046】
本発明の経皮吸収型貼付製剤は、通常の皮膚及び口腔粘膜等の粘膜に適用でき、架橋処理や充填剤の添加等を行わない低凝集力の粘着剤(層)であっても、粘着剤(層)は被着体(皮膚、粘膜)からの良好な剥離性を示す。即ち、粘着剤に薬物や添加剤(経皮吸収促進剤、可塑剤等)を添加することで、粘着剤全体の凝集力が低下しても、架橋処理や充填剤の添加等の余分な処埋をすることなく、粘着剤(層)は良好な剥離性を示す。従って、離型フィルムを剥がす際に離型フィルムに粘着剤が多量に残存することがないので、製剤中の薬物含量が大きく低下せず、設計通りの良好な治療効果を得ることできる。また、被着体(皮膚、粘膜)から製剤を除去する際に、粘着剤が被着体(皮膚、粘膜)に多量に残留することもない。また、口腔粘膜等の生体における粘膜部は、凹凸の顕著な面状であったり、狭小な空間内に存在することが多く、そのために特に粘膜部への貼付を意図する製剤である場合、製剤の支持体には柔軟性の高い布帛又は布帛にプラスチックフィルムをラミネート加工した複合体を使用することが多いが、かかる布帛や複合体を支持体に使用した場合にも、本発明の製剤は糊残りを十分に少なくできるため、粘膜への貼付用として、治療効果に優れた、有用な製剤を得ることができる。
【0047】
本発明書中の、「粘着剤の凝集力が高くない」、「低凝集力の粘着剤」とは、下記の実施例に記載の方法で測定される凝集力が、概ね10N/cm以下である場合を意味している。
【0048】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下に示す実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載において、部は重量部を意味する。
【0049】
〔粘着剤溶液Aの調製〕
不活性ガス雰囲気下で、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル95部とアクリル酸5部とを酢酸エチル中で共重合させて、粘着剤溶液Aを調製した。
【0050】
〔実施例1〕
粘着剤溶液A(固形分:40部)にリドカイン60部を加えて混合溶解し、得られた溶液を、片面に硬化性シリコーン処理を施したポリエステル製(PET製)の厚み75μmの離型フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、MRN75)の処理層上に乾燥後の厚みが約20μmとなるように塗布、乾燥して薬物含有粘着剤層を作製した。
一方、片面に硬化性シリコーン樹脂による剥離処理層を形成した厚み12μmのポリエステルフィルムを用い、この剥離処理面に、数平均分子量が120万ののポリビニルピロリドンK−90(五協産業社製)50部と、ノイシリン(富士化学工業社製(商品名)のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム)50部とを含む固形分濃度が10%のイソプロピルアルコール混合分散液を固形分付着量が2g/m2となるように塗布、乾燥して下塗り層を形成した。このようにして得られた下塗り層を、ポリプロピレン含量55重量%、ポリエステル含量45重量%の複合繊維をスパンレース法により分割、絡合させて作製した分割繊維製不織布(厚み:0.42mm、質量:90g/m2、剛軟度(45°カンチレバー法による):55mm)に転写し、下塗り層を有する支持体を作製した。
次いで、上記粘着剤層を上記支持体の下塗り層に貼り合わせて本発明の貼付製剤を作製した。
【0051】
〔実施例2〕
剥離処理したポリエステルフィルムの剥離処理面に、ポリビニルピロリドンK−90(五協産業社製)40部と、ノイシリン(富士化学工業社製(商品名)のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム)60部を含む固形分濃度が10%のエチルアルコール混合分散液を固形分付着量が0.5g/m2となるように塗布、乾燥して下塗り層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして本発明の貼付製剤を作製した。
【0052】
〔実施例3〕
離型処理したポリエステルフィルムの離型処理面に、数平均分子量が4万のポリビニルピロリドンK−30(五協産業社製)70部と、ノイシリン(富士化学工業社製(商品名)のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム)30部とを含む固形分濃度が5%のイソプロピルアルコール混合分散液を固形分付着量が3g/m2となるように塗布、乾燥して下塗り層を形成したこと以外は実施例1と同様にして本発明の貼付製剤を作製した。
【0053】
〔比較例1〕
実施例1において、支持体の片面に下塗り層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。
【0054】
〔比較例2〕
実施例2において、支持体の片面に下塗り層を形成しなかった以外は、実施例2と同様にして貼付剤を作製した。
【0055】
〔比較例3〕
実施例3において、支持体の片面に下塗り層を形成しなかった以外は、実施例3と同様にして貼付剤を作成した。
【0056】
〔比較例4〕
実施例1において、支持体の片面にポリビニルピロリドンK−90(五協産業社製)単独で下塗り層(固形分付着量:2g/m2)を形成した以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作成した。
【0057】
〔比較例5〕
実施例1において、支持体にノイシリン(富士化学工業社製(商品名)のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム)単独で下塗り層(固形分付着量:2g/m2)を形成した以外は、実施例1と同様にして貼付剤を作製した。
【0058】
上記実施例及び比較例で得られた貼付製剤について、下記(1)〜(3)の性能評価を行い、その結果を表1に示した。
【0059】
(1)凝集力の測定
製剤2枚を10×20mmの形状に切断後、各製剤の離型フィルムを取り除き、2枚の製剤の粘着面同士を貼り合せ、2000gのゴムローラーを1分間に300mmの速さで製剤の上を2回通過させ、室温で30分間放置した。なお、調整したサンプルには、引張試験機のチャックでつかんで引き剥がしやすいように、必要に応じて補助紙を取り付けた。
次に、引張試験機を用いて1分間に120mmの速度で2枚の製剤をT型に180°方向に引き剥がし、そのときの荷重を測定して、これを粘着剤(層)の凝集力とした。なお、この際、2枚の製剤の粘着剤層同士が十分に一体化して、引き剥がすときの状態が糸引き状態であることを確認し、2枚の製剤が糸引きせず、貼りあわせた界面できれいに剥がれるときは、その時の荷重を凝集力としなかった。
【0060】
(2)剥離力の測定
製剤1枚を10×30mmの大きさに切断してサンプルとし、1分間に120mmの速度で製剤を離型フィルムからT型に180°方向に引き剥がす時の荷重を引張試験機にて測定して、これを剥離力とした。なお、サンプルを引張試験機のチャックでつかみ易いように、サンプルには、必要に応じて補助紙を取り付けた。
【0061】
(3)薬物の離型フィルムへの移行率の測定
実施例及び比較例で得られた貼付製剤を包装袋で密封し、50℃条件で3ヶ月間保存後、離型フィルムを剥がして、製剤(粘着剤層)中のリドカイン含量と離型剥ィルムに付着した薬物量をメタノールにてすべて抽出し、高速液体クロマトグラフ法にてリドカイン量を測定した。そして、離型フィルムへの薬物の移行率を次式にて算出した。
【0062】
(離型フィルムへの移行率%)=A÷(A+B)×100
A:離型フィルムに付着したリドカイン量
B:製剤中のリドカイン量
【0063】
表1は試験結果である。
【0064】
【表1】
【0065】
表1に示すように、実施例1〜3で得られた貼付製剤は離型フィルムへの粘着剤の付着がほとんど無く、離型フィルムへの薬物の移行が高いレベルで抑制される、安定性に優れた製剤であった。
一方、比較例1〜3の下塗り層を形成しなかった貼付製剤では、剥離力は実施例と変わらないが、離型フィルムへ粘着剤が付着が多いために、離型フィルムへの薬物が多量に移行し、製剤の薬物含有量が低下して、安定な製剤が得られなかった。
また、比較例4、5のポリビニルピロリドンまたはノイシリンからなる下塗り層を形成した製剤では、離型フィルムへの粘着剤の付着を十分に抑制できず、離型フィルムへの薬物の移行量は、下塗り層を設けない場合に比べて、却って、多くなった。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明によれば、低凝集力の粘着剤層であっても、糊残りが十分に少ない経皮吸収型貼付製剤を提供できる。すなわち、粘着剤に薬物や添加剤を添加することで、粘着剤層の凝集力が低下しても、架橋処理や充填剤の添加等の凝集力を高めるための処埋を行う必要なく、製剤使用時の離型フィルムへの粘着剤の移行が十分に抑制され、また、被着体から製剤を除去する際の被着体への糊残りも極めて少ない、良好な治療効果を有し、かつ、使用後の不快感も軽微な、極めて有用な、経皮吸収型貼付製剤を得ることができる。
Claims (6)
- 経皮吸収薬物を含有する粘着剤層の片面に支持体が積層されてなる経皮吸収型貼付製剤であって、支持体と粘着剤層との間にポリビニルピロリドン及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムの混合物からなる下塗り層を有することを特徴とする貼付製剤。
- 支持体が布帛であることを特徴とする請求項1記載の貼付製剤。
- 薬物が局所麻酔剤であることを特徴とする請求項1又は2記載の貼付製剤。
- 粘着剤層における粘着剤がアクリル系粘着剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の貼付製剤。
- 粘着剤層の支持体が積層された片面とは反対側の片面に、離型フィルムを有する、請求項1〜4のいずれかに記載の貼付製剤。
- 粘膜への貼付用である、請求項1〜5のいずれかに記載の貼付製剤。
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