JP2004142984A - 焼成治具およびセラミック成形材料 - Google Patents
焼成治具およびセラミック成形材料 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004142984A JP2004142984A JP2002308503A JP2002308503A JP2004142984A JP 2004142984 A JP2004142984 A JP 2004142984A JP 2002308503 A JP2002308503 A JP 2002308503A JP 2002308503 A JP2002308503 A JP 2002308503A JP 2004142984 A JP2004142984 A JP 2004142984A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- firing
- silicon carbide
- ceramic molding
- molding material
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Furnace Charging Or Discharging (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明の焼成治具は、以下の条件をいずれも満たすセラミック材料:
(1).炭化珪素を5〜25質量%含有する;
(2).その炭化珪素のうち20質量%以上は粒子径0.5mm以上の粗粒炭化珪素である;
(3).粒子径0.7mm以上の粗粒ムライトおよび/または粒子径0.7mm以上の粗粒アルミナを合計で10〜50質量%含有する;
を焼成してなる。
また、本発明の焼成治具製造用セラミック成形材料は上記(1).〜(3).の条件をいずれも満たす。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、腐食性雰囲気下で使用された場合の耐用寿命が改善された焼成治具に関する。また、かかる焼成治具を製造するためのセラミック成形材料に関する。
【0002】
【従来の技術】都市ごみ等の廃棄物を焼却して生成した焼却灰(以下、一般焼却灰ともいう。)を高温で焼成し、この焼成物を粉砕した粉砕物を路盤材、ブロック用骨材等として利用する廃棄物のリサイクルが知られている。上記一般焼却灰の焼成は、例えば、この焼却灰に成形助剤を加えて任意の形状に成形し、焼成炉内に配されたセッターにこの成形品(被焼成物)を載置して1200℃程度の焼成温度で実施される。
【0003】
上記セッターとしては、中膨張率を有するムライト、アンダルサイトおよびアルミナ等を主体とする無機粉末を焼結してなる耐火物が広く使用されている。かかるシリカ−アルミナ系耐火物は、耐熱衝撃性が良好であり、原料コストが低いことから経済性にも優れている。
しかし、上述のような一般焼却灰には通常、塩素、ナトリウム、カリウム等の元素またはその化合物が含まれている。このような焼却灰を焼成すると塩素ガス、ナトリウム蒸気、カリウム蒸気等の腐蝕性気体が発生する。かかる腐食性気体に曝されるとセッターの劣化が促進される。このため、従来の一般焼却灰焼成用セッターの耐用寿命は、例えば30時間/回の焼成スケジュールにおいて三ヶ月程度あるいはそれ以下という短かいものであった。
【0004】
また、上記一般焼却灰の焼成工程の他、アルカリ成分が蒸発・拡散する雰囲気下で行われる焼成工程の例として、チタン酸カリウムの製造工程(焼成工程)、ローソーダアルミナの製造工程(焼成工程)、K2OやNa2O等のアルカリ成分を多く含むガラス質粉末等を用いた低温焼成用セラミックグリーンシートの焼成工程、あるいはこれらアルカリ成分を含む釉薬を用いた被焼成物を焼成する工程等がある。これらの場合にも同様に、アルカリ金属蒸気によりセッターの劣化(浸蝕)が促進される現象がみられる。さらに、これらの焼成工程においてアルカリ金属蒸気(アルカリ金属雰囲気)に曝されるセッター以外の焼成治具、例えば焼成時に用いられる型類(成形型、中子等)、匣鉢等においても、同様にアルカリ金属蒸気による寿命短縮の問題が存在する。
【0005】
本発明に関連する先行技術文献として以下のものがある。特許文献1は、耐スラグ侵食性に優れた耐火物に関する。この特許文献1には、耐スラグ性を向上させるために、超微粉末であるとともにスラグに均一に分散しやすい炭化珪素を用いることが開示されている。炭化珪素を含む焼結体は特許文献2〜4にも記載されているが、これらの特許文献は焼結体の耐蝕性向上に関するものではない。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−171636号公報
【特許文献2】
特開平8−283073号公報
【特許文献3】
特開昭62−119160号公報
【特許文献4】
特開平3−103367号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、一般焼却灰の焼成のように腐食性気体に曝される条件(腐食性雰囲気)の下で用いられた場合の耐用寿命(耐久性)が改善されたセッター、型類、匣鉢その他の焼成治具を提供することである。本発明の他の目的は、かかる腐食性雰囲気に対する耐久性が改善された焼成治具を製造するための方法および材料を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、特許文献1による示唆とは逆に、セラミック成形材料の構成成分として粒子径の大きな炭化珪素を用いることによって、意外にも腐食性雰囲気に対する耐久性に優れた焼成治具が得られることを見出した。
【0009】
本発明により提供される焼成治具は、以下の条件をいずれも満たすセラミック成形材料:
(1).炭化珪素を材料全体の5〜25質量%となる量含有する;
(2).その炭化珪素のうち20質量%以上は粒子径0.5mm以上の粗粒炭化珪素である;
(3).粒子径0.7mm以上の粗粒ムライトおよび/または粒子径0.7mm以上の粗粒アルミナを合計で材料全体の10〜50質量%となる量含有する;
を焼成してなる。
この焼成治具は、所定の割合で炭化珪素を含有するセラミック成形材料から製造されるとともに、その炭化珪素の少なくとも一部が上記粗粒炭化珪素であることにより、腐食性雰囲気に対する耐久性が改善されている。また、上記セラミック成形材料は、所定の割合で上記粗粒ムライトおよび/または上記粗粒アルミナを含有することから、成形性(典型的には、セラミック成形材料を成形助剤および水等の溶媒と混合して調製された調合原料の成形性)が良好である。したがって良質な成形品を作製しやすく、その成形品を焼成することにより欠陥の少ない焼成治具が得られやすい。このことによって焼成治具の耐用寿命をさらに向上させ得る。
【0010】
本発明の好ましい態様では、前記セラミック成形材料が粒子径0.3mm以下の炭化珪素を実質的に含有しない。これにより焼成治具の耐久性を一層向上させることができる。
【0011】
本発明の他の好ましい態様では、前記セラミック成形材料に含まれる前記粗粒ムライト、前記粗粒アルミナおよび前記粗粒炭化珪素の合計割合が15〜60質量%である。かかる組成のセラミック成形材料は成形性に優れることから、欠陥の少ない焼成治具が得られやすい。これにより焼成治具の耐久性がさらに向上し得る。
【0012】
本発明の他の好ましい態様では、前記セラミック成形材料が粒子径100μm以下の細粒アルミナを材料全体の20〜40質量%となる量含有する。このように粒子径の小さいアルミナは焼結反応性に優れる。したがって、かかる組成のセラミック成形材料を用いると強度の高い焼成治具が得られやすい。このことによって焼成治具の耐久性がさらに向上し得る。
【0013】
また、本発明によると、焼成治具製造用セラミック成形材料であって、以下の条件:
(1).炭化珪素を、材料全体の5〜25質量%となる量含有する;
(2).その炭化珪素のうち20質量%以上は粒子径0.5mm以上の粗粒炭化珪素である;
(3).粒子径0.7mm以上の粗粒ムライトおよび/または粒子径0.7mm以上の粗粒アルミナを合計で材料全体の10〜50質量%となる量含有する;
を満たす焼成治具製造用セラミック成形材料が提供される。
このようなセラミック成形材料は、上述した本発明のいずれかの焼成治具を製造するための原料として特に適している。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0015】
本発明の焼成治具の製造原料として用いられるセラミック成形材料は、炭化珪素を凡そ5〜25質量%の割合で含有することが好ましい。より好ましい含有割合は凡そ10〜20質量%である。炭化珪素の含有割合が多すぎると焼成治具の強度が低下しがちである。
その炭化珪素のうち凡そ20質量%以上は、粒子径が凡そ0.5mm以上(典型的には0.5〜5mm、好ましくは0.8〜3mm、より好ましくは1〜2mm)の粗粒炭化珪素であることが好ましい。腐食性雰囲気に対する耐久性向上の観点から、セラミック成形材料に含まれる炭化珪素のうち粗粒炭化珪素の占める割合は高いほうが好ましい。炭化珪素のうち粗粒炭化珪素の占める割合が凡そ50〜100質量%であることが好ましく、凡そ70〜100質量%であることがより好ましい。セラミック成形材料に含まれる炭化珪素の実質的に全部が粗粒炭化珪素であることが特に好ましい。また、セラミック成形材料全体に占める粗粒炭化珪素の割合は5〜25質量%とすることができ、10〜20質量%とすることがより好ましい。
なお、上記「粒子径が凡そ0.5mm以上にある炭化珪素」としては、例えば、炭化珪素粉末を目開き約0.5mmの篩により篩い分けして篩上に残った粉末を使用することができる。また、粒子径が凡そ0.5〜5mmの炭化珪素としては、例えば、目開き約5mmの篩により篩い分けして篩を通過した粉末であって、かつ目開き約0.5mmの篩により篩い分けして篩上に残った粉末を使用することができる。
【0016】
このセラミック成形材料に含まれる粒子径0.3mm以下(より好ましくは0.5mm以下)の炭化珪素の割合は、15質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、かかる粒子径の炭化珪素を実質的に含有しないことがさらに好ましい。このように粒子径の小さい炭化珪素は、焼成治具としての使用時に酸化されてシリカ(SiO2)を生じやすい。このため炭化珪素としての添加効果(耐久性を向上させる効果)が持続しにくい。また、SiO2を生じる際に体積膨張を起こすことから、焼成治具の強度(使用開始後の強度;耐久強度)を低下させる場合がある。上述のように粒子径の小さい炭化珪素の含有割合が低いセラミック成形材料を用いることにより、かかる事態の発生を回避して焼成治具の耐久性を向上させることができる。
【0017】
このセラミック成形材料は、粒子径0.7mm以上(典型的には0.7〜5mm)の粗粒ムライトおよび/または粒子径0.7mm以上(典型的には0.7〜5mm)の粗粒アルミナを含有する。セラミック成形材料全体に対するこれら粗粒ムライト/粗粒アルミナの好ましい合計含有割合は10〜50質量%であり、より好ましくは20〜45質量%である。この割合が低すぎると成形性が低下しやすくなる。一方、この割合が高すぎると焼成治具の強度が低下傾向となることがある。粒子径1mm以上(典型的には1〜3mm)の粗粒ムライトおよび/または粒子径1mm以上(典型的には1〜3mm)の粗粒アルミナを含有し、その合計含有割合が上記範囲にあるセラミック成形材料がより好ましい。また、上記合計含有割合の実質的に全部が粗粒ムライトで占められている(換言すれば、粗粒アルミナを実質的に含まない)セラミック成形材料が好ましい。粗粒アルミナに比べて粗粒ムライトは焼結反応性が高いためである。
【0018】
また、セラミック成形材料に含有される粗粒炭化珪素(粒子径0.5mm以上、好ましくは1mm以上)も上記成形性に寄与し得る。かかる観点から、セラミック成形材料に含有される粗粒ムライト、粗粒アルミナおよび粗粒炭化珪素の合計含有割合(以下、この合計含有割合を単に「粗粒の割合」ともいう。)は15〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは25〜55質量%、さらに好ましくは30〜50質量%である。
【0019】
このセラミック成形材料は、粒子径100μm以下(典型的には5〜100μm、より好ましくは5〜60μm)の細粒アルミナを20〜40質量%含有することが好ましい。より好ましい含有割合は25〜35質量%である。細粒アルミナの含有割合が少なすぎると焼成治具の強度が低下しがちとなることがある。一方、細粒アルミナの含有割合が多すぎると成形性が低下しやすくなる。
なお、これらセラミック成形材料を構成する無機粉末の形状は特に限定されず、球状、板状、棒状等のものを用いることができる。このうち、球状に近い形状を有する粉末の割合が高いことが好ましい。
【0020】
本発明の焼成治具を構成する炭化珪素以外の成分は、普遍的な耐火物原料であるムライトとアルミナとを主体とするセラミック成形材料の焼結体であることが好ましい。この焼成治具を製造するにあたっては、ジルコニア粉末等のような耐アルカリ性の高い高価な原料を、比較的多量(例えば無機粉末全体の20質量%以上)には使用しないことが好ましい。本発明においては、このような高価な原料を使用しないか、あるいはその使用量が比較的少ない場合にも十分な耐久寿命を実現することができる。
【0021】
本発明の焼成治具は、例えば、上述したいずれかのセラミック成形材料を成形主剤(焼成体構成要素)とする調合原料を調製する工程と、その調合原料を成形する工程と、その成形物を焼成する工程とを包含する方法により好適に製造することができる。
調合原料の調整にあたっては、上記成形主剤の他、従来公知の水溶性樹脂等の成形助剤(バインダ)を添加することができる。かかる水溶性樹脂の例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸塩、多糖類等が挙げられる。ここで「多糖類」とは、単糖類(単糖およびその誘導体)がポリグリコシル化した高分子化合物(通常は重合度10以上)を指す。このような多糖類のうちホモ多糖、ヘテロ多糖のいずれも使用可能である。具体的には、寒天、デキストリン、アガロース、カラギーナン、キサンタンガム、カードランおよびコンニャク粉等を用いることができる。懸濁液または溶液を加熱した際に容易にゲル化するもの(ゲル化剤)が好ましく、寒天粉末およびデキストリンが特に好ましい。これらの材料から選択される一種または二種以上を成形助剤として用いることができる。その配合量は、セラミック成形材料100質量部に対して合計で0.01〜5質量部の範囲が適当であり、より好ましくは0.05〜3質量部である。
【0022】
本発明の焼成治具を製造する好適例につき、図1を用いて説明する。
まず、セラミック成形材料を含有する調合原料を調製する。この調製処理では、典型的には秤量工程10と混合工程20とを行う。秤量工程10において、セラミック成形材料の各々と成形助剤、必要に応じてさらに他の添加剤等をそれぞれ秤量しておく。次に、混合工程20において、工程10で秤量した材料をニーダー、フレットミル等の混合機を用いて例えば8分程度混合する。このとき、適当なタイミングで所定量の水(セラミック成形材料100質量部に対して例えば5〜15質量部)を添加するとよい。
【0023】
続いて、上記で調製された調合原料を成形・焼成する。この成形・焼成処理では、典型的には成形工程30と、乾燥工程40と、焼成工程50とを行う。成形工程30では、工程20で得られた調合原料から、例えば成形圧力450kgf/cm2(4413N/cm2)程度(好ましくは4000〜4500N/cm2)のフリクションプレス、あるいはロクロ成形等の手段により、所定形状の成形体を作製する。次に、乾燥工程40において、この成形体を例えば常温で15時間程度乾燥させた後、さらに50℃程度(好ましくは40〜70℃)の温度で24時間程度乾燥させる。その後、焼成工程50において、工程40で乾燥された成形体をトンネルキルン等の焼成炉により例えば1450℃(好ましくは1350〜1600℃)で3時間程度焼成することにより焼成治具が得られる。
【0024】
本発明の焼成治具は、腐食性雰囲気下での焼成工程に対して良好な耐久性を有する。したがってこの焼成治具は、腐食性気体(アルカリ金属蒸気等)に曝される雰囲気で繰り返し焼成される部材として好適である。このような焼成治具が好ましく用いられる焼成工程としては、アルカリ金属を含む一般焼却灰の焼成工程、チタン酸カリウムの焼成工程、ローソーダアルミナの焼成工程、K2OやNa2O等のアルカリ成分を多く含むガラス質粉末等を用いたセラミックグリーンシートの焼成工程、アルカリ成分を含む釉薬を用いた被焼成物の焼成工程等が挙げられる。本発明の焼成治具は、このような焼成工程に用いられて、例えば約1350〜1500℃で30時間/回の焼成スケジュールにおいて5ヶ月以上、より好ましい条件では6ヶ月以上の耐用寿命を示すことができる。
【0025】
【実施例】以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
なお、実施例および比較例で用いた無機粉末の略称とその性状は以下のとおりである。
炭化珪素[1.4mm]:粒子径分布のピークがほぼ1.4mmの炭化珪素(市販の#14炭化珪素粉末)。炭化珪素[1.2mm]:粒子径分布のピークがほぼ1.2mmの炭化珪素(市販の#16炭化珪素粉末)。炭化珪素[0.6mm]:粒子径分布のピークがほぼ0.6mmの炭化珪素(市販の#30炭化珪素粉末)。炭化珪素[0.18mm]:粒子径分布のピークがほぼ0.18mmの炭化珪素(市販の#80炭化珪素粉末)。炭化珪素[0.125mm]:粒子径分布のピークがほぼ0.125mmの炭化珪素(市販の#120炭化珪素粉末)。
ムライト[2mm]:粒子径分布のピークがほぼ2mmのムライト(市販の#10ムライト粉末)。ムライト[1mm]:粒子径分布のピークがほぼ1mmのムライト(市販の#18ムライト粉末)。ムライト[0.5mm]:粒子径分布のピークがほぼ0.5mmのムライト(市販の#35ムライト粉末)。ムライト[0.18mm]:粒子径分布のピークがほぼ0.18mmのムライト(市販の#80ムライト粉末)。
アルミナ[0.044mm]:粒子径分布のピークがほぼ0.044mmのアルミナ(市販の#325アルミナ粉末)。
【0026】
<実施例1>
本実施例では、炭化珪素[1.4mm]を7.5質量%、炭化珪素[1.2mm]を7.5質量%、ムライト[2mm]を約10質量%、ムライト[1mm]を約15質量%、ムライト[0.5mm]を約15質量%、ムライト[0.18mm]を約15質量%、アルミナ[0.044mm]を約30質量%の割合で含有するセラミック成形材料を用いた。このセラミック成形材料に占める粗粒の割合は約40質量%である。
【0027】
このセラミック成形材料100質量部と、成形助剤としてのデキストリンの33%水溶液約3質量部および商標「ビオポリー(R)」(武田薬品工業株式会社製、多糖類カードラン)の1.5%水溶液約1質量部と、水約5.8質量部とを、ニーダーにより所定時間(ここでは約8分)混合した。この調合原料から、成形圧力450kgf/cm2(約4413N/cm2)のフリクションプレスにより、セッター(焼成後の目標寸法:366mm×341mm×15mm厚)および匣鉢(焼成後の目標寸法:366mm×341mm×125mm×10〜15mm厚)用の成形体を作製した。また、ロクロ成形によってロクロ匣鉢(焼成後の目標寸法:φ350mm×10〜15mm厚)用の成形体を作製した。これらの成形体を、常温で約15時間乾燥させた後、さらに50℃程度の温度で約24時間乾燥させた。その後、トンネルキルンにより約1380℃約3時間焼成して各種形状の焼成治具(セッター、匣鉢およびロクロ匣鉢)を得た。また、焼成温度を約1450℃とした点は上記と同様にして各種形状の焼成治具を得た。
【0028】
<実施例2>
炭化珪素[1.4mm]の含有割合が約15質量%であり、炭化珪素[1.2mm]を含有しない点を除いては実施例1と同様の組成のセラミック成形材料(粗粒の割合:約40質量%)を使用した。このセラミック成形材料から、実施例1と同様にして各種形状の焼成治具を作製した。
【0029】
<実施例3>
炭化珪素[1.4mm]および炭化珪素[1.2mm]に代えて炭化珪素[0.6mm]を約15質量%含有する点を除いては実施例1と同様の組成のセラミック成形材料(粗粒の割合:約40質量%)を使用した。このセラミック成形材料から、実施例1と同様にして各種形状の焼成治具を作製した。
【0030】
<実施例4>
本実施例では、炭化珪素[1.4mm]を約5質量%、炭化珪素[0.18mm]を約10質量%、ムライト[2mm]を約25質量%、ムライト[1mm]を約15質量%、ムライト[0.18mm]を約15質量%、アルミナ[0.044mm]を約30質量%の割合で含有するセラミック成形材料(粗粒の割合:約45質量%)を用いた。このセラミック成形材料から、実施例1と同様にして各種形状の焼成治具を作製した。
【0031】
<比較例1>
本比較例では、炭化珪素[0.125mm]を約15質量%、ムライト[2mm]を約25質量%、ムライト[1mm]を約15質量%、ムライト[0.18mm]を約15質量%、アルミナ[0.044mm]を約30質量%の割合で含有するセラミック成形材料(粗粒の割合:約40質量%)を用いた。このセラミック成形材料から、実施例1と同様にして各種形状の焼成治具を作製した。
【0032】
<比較例2>
本比較例では、炭化珪素[1.4mm]を約30質量%、ムライト[1mm]を約10質量%、ムライト[0.5mm]を約15質量%、ムライト[0.18mm]を約15質量%、アルミナ[0.044mm]を約30質量%の割合で含有するセラミック成形材料(粗粒の割合:約40質量%)を用いた。このセラミック成形材料から、実施例1と同様にして各種形状の焼成治具を作製した。
【0033】
<比較例3>
ムライト[1mm]の含有割合が約25質量%であり、ムライト[0.5mm]を含有しない点を除いては実施例1と同様の組成のセラミック成形材料(粗粒の割合:約55質量%)を使用した。このセラミック成形材料から、実施例1と同様にして各種形状の焼成治具を作製した。
【0034】
<比較例4>
本比較例では、炭化珪素[0.6mm]を約30質量%、ムライト[2mm]を約25質量%、ムライト[0.18mm]を約15質量%、アルミナ[0.044mm]を約30質量%の割合で含有するセラミック成形材料(粗粒の割合:約55質量%)を用いた。このセラミック成形材料から、実施例1と同様にして各種形状の焼成治具を作製した。
【0035】
<比較例5>
ムライト[2mm]の含有割合が約10質量%であり、ムライト[0.5mm]を約15質量%含有する点を除いては実施例1と同様の組成のセラミック成形材料(粗粒の割合:約40質量%)を使用した。このセラミック成形材料から、実施例1と同様にして各種形状の焼成治具を作製した。
【0036】
<比較例6>
本比較例では、炭化珪素[0.18mm]を約30質量%、ムライト[1mm]を約80質量%、ムライト[1mm]を約8質量%、ムライト[0.5mm]を約17質量%、ムライト[0.18mm]を約15質量%、アルミナ[0.044mm]を約30質量%の割合で含有するセラミック成形材料(粗粒の割合:約8質量%)を用いた。このセラミック成形材料から、実施例1と同様にして各種形状の焼成治具を作製することを試みたが、成形性に難があり、良質な成形体を得ることができなかった。
【0037】
<得られた焼成治具の評価>
以上、各実施例および比較例で用いたセラミック成形材料の組成を表1および表2に示す。なお、上記実施例1〜4および比較例1〜5では、いずれの成形方法を用いた場合にも成形、乾燥および焼成工程におけるキレ(クラック)の発生がほとんどなく、工程全体における歩留まりは99%以上と良好であった。
【0038】
次に、上記実施例1〜4および比較例1〜5により製造された焼成治具のうちセッターを用いて、その気孔率、嵩比重、常温曲げ強度および熱膨張率を以下のように試験・測定した。これら特性評価試験の結果は、使用した焼成治具ごとに表1および表2の各々対応する欄に示している。
[気孔率]
JIS Z2205に準拠して見かけ気孔率を測定した。
[嵩比重]
JIS Z2205に準拠して測定した。
[常温曲げ強度]
JIS R1604に準拠して常温における3点曲げ強度を測定した。
[熱膨張率]
常温から1000℃までの間の伸びを、常温における長さに対する百分率で表した。
【0039】
さらに、上記各実施例および比較例により製造された焼成治具のうちセッターを用いて、アルカリ金属蒸気存在下での焼成工程(ここでは、一般焼却灰の焼成工程)に対する耐用寿命を以下のように試験・測定した。その結果は、使用した焼成治具毎に表1および表2の各々対応する欄に示している。
[耐用寿命]
ナトリウム酸化物(Na2O)を1〜4質量%、カリウム酸化物(K2O)を0.8〜3質量%の割合で含有する一般焼却灰をセッターに載せて、以下のサイクル:
(a).常温から1180℃まで昇温する;
(b).1180℃に二時間保持する;
(c).1180℃から常温まで冷却する;
を30時間のスケジュールで繰り返して行った。なお、一般焼却灰は一サイクル毎に交換した。セッターが焼成工程時においてワレ等により使用不可能となった時点をこの焼成治具の耐用寿命とした。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
表1と表2との比較から判るように、セラミック成形材料を構成する無機粉末の組成および性状(粒子径)が本発明範囲から外れる比較例1〜5の焼成治具はアルカリ金属蒸気に対する耐蝕性が低かった。その耐用寿命は、1380℃で焼成して得られた焼成治具では3ヶ月以下、1450℃で焼成して得られた焼成治具では4ヶ月と短かった。
【0043】
一方、セラミック成形材料を構成する無機粉末の組成および性状(粒径)が本発明の範囲にある実施例1〜4では、1380℃で焼成して得られた焼成治具では6ヶ月以上、1450℃で焼成して得られた焼成治具では7ヶ月以上の耐久寿命を達成することができた。特に、粒子径約1〜2mmの炭化珪素を10〜20質量%(ここでは15質量%)の割合で含有する実施例1および2は、1380℃で焼成して得られた焼成治具では耐久寿命10ヶ月以上、1450℃で焼成して得られた焼成治具では耐久寿命12ヶ月以上という優れた耐久性を示した。また、実施例1〜4の焼成治具は、常温曲げ強度の点でも、比較例1〜5の焼成治具に比べて明らかに高い傾向にあった。例えば、1380℃で焼成して得られた焼成治具では100N/cm2以上(より好ましい条件では120N/cm2以上)、1450℃で焼成して得られた焼成治具では130N/cm2以上(より好ましい条件では150N/cm2以上)の常温曲げ強度を示すものとすることができた。
【0044】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の焼成治具の製造工程を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10:秤量工程
20:混合工程
30:成形工程
40:乾燥工程
50:焼成工程
Claims (5)
- 以下の条件をいずれも満たすセラミック成形材料:
(1).炭化珪素を材料全体の5〜25質量%となる量含有する;
(2).その炭化珪素のうち20質量%以上は粒子径0.5mm以上の粗粒炭化珪素である;
(3).粒子径0.7mm以上の粗粒ムライトおよび/または粒子径0.7mm以上の粗粒アルミナを合計で材料全体の10〜50質量%となる量含有する;
を焼成してなる焼成治具。 - 前記セラミック成形材料は、粒子径0.3mm以下の炭化珪素を実質的に含有しない請求項1に記載の焼成治具。
- 前記セラミック成形材料に含まれる前記粗粒ムライト、前記粗粒アルミナおよび前記粗粒炭化珪素の合計割合が15〜60質量%である請求項1または2に記載の焼成治具。
- 前記セラミック成形材料は、粒子径100μm以下の細粒アルミナを材料全体の20〜40質量%となる量含有する請求項1,2または3に記載の焼成治具。
- 焼成治具製造用セラミック成形材料であって、以下の条件:
(1).炭化珪素を、材料全体の5〜25質量%となる量含有する;
(2).その炭化珪素のうち20質量%以上は粒子径0.5mm以上の粗粒炭化珪素である;
(3).粒子径0.7mm以上の粗粒ムライトおよび/または粒子径0.7mm以上の粗粒アルミナを合計で材料全体の10〜50質量%となる量含有する;
を満たす焼成治具製造用セラミック成形材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002308503A JP4127783B2 (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 焼成治具およびセラミック成形材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002308503A JP4127783B2 (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 焼成治具およびセラミック成形材料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004142984A true JP2004142984A (ja) | 2004-05-20 |
JP4127783B2 JP4127783B2 (ja) | 2008-07-30 |
Family
ID=32454626
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002308503A Expired - Fee Related JP4127783B2 (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 焼成治具およびセラミック成形材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4127783B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014228239A (ja) * | 2013-05-24 | 2014-12-08 | 東京窯業株式会社 | 熱処理容器 |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002308503A patent/JP4127783B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014228239A (ja) * | 2013-05-24 | 2014-12-08 | 東京窯業株式会社 | 熱処理容器 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4127783B2 (ja) | 2008-07-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2021502941A (ja) | 多孔質焼結マグネシアを製造する方法、焼結マグネシアからなる造粒物(Koernung)を有する粗セラミックの(grobkeramisch)耐火性生産物を製造するためのバッチ、このような生産物、および生産物を製造する方法、工業炉の裏張り(Zustellung)、ならびに工業炉 | |
JP2010501463A (ja) | 焼成耐火セラミック製品 | |
JPH08283073A (ja) | 窯道具 | |
JP4127783B2 (ja) | 焼成治具およびセラミック成形材料 | |
JP2008069045A (ja) | マグネシア−カーボン煉瓦 | |
JP4494667B2 (ja) | 耐火物およびその製造方法 | |
JP3610523B2 (ja) | 耐溶融スラグ耐火材原料組成物及び耐溶融スラグ耐火材 | |
WO2019049992A1 (ja) | 不定形耐火物 | |
JP2002241173A (ja) | 定形耐火物 | |
JP2003040688A (ja) | 軽量セラミック焼結体 | |
CN100413804C (zh) | 片状微晶增韧MgAlON复合刚玉材料制备方法 | |
JPH08259311A (ja) | マグネシア−カーボン質耐火れんがの製造方法 | |
RU2267469C1 (ru) | Сырьевая смесь для изготовления огнеупорных изделий | |
WO2010023813A1 (ja) | 窒化珪素結合SiC耐火物の製造方法 | |
JP3949408B2 (ja) | 熱間補修用珪石れんが及びその製造方法 | |
JP2001220260A (ja) | アルミナ系多孔質シート状耐火物及びその製造方法 | |
WO2011064815A1 (ja) | セメント混和剤用籾殻灰 | |
JP7513380B2 (ja) | 鋼の造塊用湯道煉瓦 | |
JPS59213669A (ja) | ジルコン−ジルコニア耐火物の製造方法 | |
JP3088096B2 (ja) | 高耐食性アルミナ−クロム系耐火物 | |
JP2004210600A (ja) | 焼結耐火材 | |
JP2005335966A (ja) | 黒鉛含有キャスタブル耐火物 | |
JP2003342080A (ja) | クロミア質キャスタブル耐火物およびそれを用いたプレキャストブロック。 | |
JP2003212643A (ja) | 不焼成アルミナ−クロム質れんが | |
JPH1072269A (ja) | 高温用高アルミナ質断熱耐火物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20041203 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20050707 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20050714 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20050826 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070918 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070927 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20071122 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080214 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080407 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20080508 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20080512 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110523 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110523 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120523 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130523 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140523 Year of fee payment: 6 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |