JP2004142981A - 回転式液膜反応器 - Google Patents
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Abstract
【課題】液体の含水素化合物を原料として脱水素反応により水素を生成する反応器であって、反応面積が大きく、しかも触媒が移動しないように固定したコンパクトで反応率の高い回転式液膜反応器を提供すること。
【解決手段】内周部に、含水素化合物から脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層4として固定し、周壁部に、前記含水素化合物の脱水素反応生成物及び未反応の前記含水素化合物をその内部から外部に排出する複数の貫通孔2a,2a…を設け、その両端面の中心部を回転自在に支持して駆動手段(モータ10)により回転させる円筒状の回転体2と、前記回転体2内の中心部に設けられ、前記触媒層4に向って前記含水素化合物を供給する原料供給手段(原料供給配管3)とを具備した回転式液膜反応器1を解決手段とする。
【選択図】 図2
【解決手段】内周部に、含水素化合物から脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層4として固定し、周壁部に、前記含水素化合物の脱水素反応生成物及び未反応の前記含水素化合物をその内部から外部に排出する複数の貫通孔2a,2a…を設け、その両端面の中心部を回転自在に支持して駆動手段(モータ10)により回転させる円筒状の回転体2と、前記回転体2内の中心部に設けられ、前記触媒層4に向って前記含水素化合物を供給する原料供給手段(原料供給配管3)とを具備した回転式液膜反応器1を解決手段とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転式液膜反応器に関し、更に詳しくは、回転する回転体の内周部に設けられた脱水素触媒の触媒層に含水素化合物を供給し、触媒表面上に形成された前記含水素化合物の液膜中で水素化反応及び脱水素反応生成物を生成させる回転式液膜反応器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気自動車の動力源として固体高分子型の燃料電池が注目されている。
固体高分子型の燃料電池は、常温でも発電することが可能であり、様々な用途に実用化されつつある。
【0003】
この燃料電池は、水素を含有する燃料ガスを燃料電池のアノード極(燃料ガス極)に供給すると共に、酸素を含有する酸化剤ガスを燃料電池のカソード極(酸化剤ガス極)に供給して発電を行う。例えば前記酸化剤ガスとして空気を供給した場合は、以下の反応式で表される化学エネルギーを電気エネルギーとして取り出して外部の負荷に供給する。
アノード極;2H2→4H++4e−
カソード極;O2+4H++4e−→2H2O
全体;2H2+O2→2H2O
このとき、アノード極の反応で生成したプロトンは、固体高分子膜(電解質膜)中を通ってカソード極側に水と一緒に運ばれる。また、生成した電子は外部回路を通ってカソード極に運ばれる。カソード極に運ばれたプロトン及び電子は空気中の酸素と反応して水を生成する。
また、固体高分子型の燃料電池(PEFC)は、固体高分子膜(電解質膜)のプロトン導電性を維持するためには常に膜が湿っていることが必要となるため、燃料電池には加湿した燃料ガス及び加湿した空気が供給されている。
【0004】
このような燃料電池を搭載した燃料電池自動車が燃料となる水素を車両側で確保する方法としては、
(1)液体水素、或は高圧水素等の純水素を用いて、液体水素タンク、高圧タンク、或は水素吸蔵合金などの水素貯蔵材を収納した水素吸蔵タンクへ水素補給を行い水素供給源として確保する方法(純水素式)、
(2)炭化水素、例えば、メタノール水溶液から水蒸気改質法等により水素を生成して水素供給源とする改質式や含水素化合物、例えばアルコール類(2‐プロパノール等)や水素芳香族化合物(シクロヘキサンやデカリン等)から脱水素反応により水素を取り出して水素供給源として確保する方法、
等が挙げられる。
【0005】
これら燃料電池自動車の燃料となる水素を車両側で確保する方法のうち、含水素化合物、例えばイソプロパノールから脱水素反応により水素を取り出す反応器としては、例えば特開2001−17855号公報に開示されたものがある(特許文献1参照)。
この反応器100は、図5に示すように、液体の供給物質である2‐プロパノール(以下、IPAという)を容器101内に導く供給口101aと、上記IPAを反応させる触媒層102と、反応により生成した反応生成物であるアセトン及び水素を容器101外に排出する排出口101b,101cとを有する反応器100であり、上記容器101内で、上記触媒層102を水平に載置する載置手段103と、上記触媒層102を上記容器101内で移動させるための移動手段とを有する反応器100である。
尚、前記移動手段は、熱媒体により回転する回転子105と前記回転子105の回転を動力として前記載置手段103に伝達する動力発生装置104とから形成される。
【0006】
このように構成される反応器100は、まずIPAが、供給口101aから反応器100内に供給される。
反応器100内に供給されたIPA(液体)は、触媒層102で下記の反応式(脱水素反応)によりアセトン(気体)と水素(気体)とに分解される。
(CH3)2CHOH⇔(CH3)2CO +H2−−−−−−−−−(1)
尚、式(1)に示したIPAの脱水素反応は、吸熱反応であり、反応に必要な熱は、熱媒体流路106内を流れる熱媒体と触媒層102間で熱交換器を介して熱交換することで供給される。
式(1)で示したIPAの脱水素反応によって触媒層102で生成されたアセトン(気体)と水素(気体)は、その後容器101の排出口101b,101cから系外に排出される。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−17855号公報(第1頁〜5頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこのような反応器100は、以下のような問題があった。
(1)触媒を平面(基底面)に配置したため、反応面積が比較的小さく、IPAの脱水素反応のように反応律速の系には不向きである。
(2)反応率をあげるために触媒の移動手段(触媒層102を回転運動させるための機構)を設けているが、触媒が容器101の遠心方向に常に移動してしまうため、常に新触媒を供給する必要があり、現実的でない。
(3)反応面積が小さいこと、触媒が移動すること、これらの条件下で十分な反応率を確保するためには容器101が大きくなる。
(4)回収した水素とアセトンの分離手段の記載がなく、信憑性に欠ける。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、第一の目的は液体の含水素化合物を原料として脱水素反応により水素を生成する反応器であって、反応面積が大きく、しかも触媒が移動しないように固定したコンパクトで反応率の高い回転式液膜反応器を提供することを目的とする。
第二の目的は反応して生成した水素及び脱水素反応生成物(含水素化合物を含む)の混合液を分離する分離手段を備えた回転式液膜反応器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためになされた請求項1に記載された回転式液膜反応器は、内周部に、含水素化合物から脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層として固定し、周壁部に、前記含水素化合物の脱水素反応生成物及び未反応の前記含水素化合物をその内部から外部に排出する複数の貫通孔を設け、その両端面の中心部を回転自在に支持して駆動手段により回転させる円筒状の回転体と、前記回転体内の中心部に設けられ、前記触媒層に向って前記含水素化合物を供給する原料供給手段とを具備したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項1に記載された発明によると、
(1)円筒状の回転体の内周部に、含水素化合物から脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層として固定したことにより、
a.触媒を平面(基底面)に載置しないので触媒の反応面積を大きくできる。
b.従来のように触媒が移動するために常に新触媒を供給する必要がなくなり、しかも充分な反応率を得るために反応器を大きくする必要がなくなるので反応器のコンパクト化が可能になる。
(2)円筒状の回転体の周壁部に、含水素化合物の脱水素反応生成物及び未反応の前記含水素化合物をその内部から外部に排出する複数の貫通孔を設けたことにより、触媒層を通過した未反応の含水素化合物と反応により生成した脱水素反応生成物との混合液を遠心力により短時間で外部に排出することができる。従って、触媒の表面に脱水素反応に適した液膜を形成することができる。
尚、ここで言う脱水素反応に適した液膜とは、触媒の表面に形成される含水素化合物の液膜であって、前記含水素化合物が触媒の表面で反応して生成される脱水素反応生成物及び水素が前記液膜内から前記液膜外へ抜けやすい厚みの液膜を意味し、反応速度を阻害する脱水素反応生成物を短時間で触媒表面から離脱させることができるので反応速度が大きくなる。
(3)円筒状の回転体を反応器としたことで遠心効果を変えることで容易に液膜の厚みを制御することができる。
(4)前記回転体内の中心部に設けられ、前記触媒層に向って含水素化合物を供給する原料供給手段を具備したことで、触媒層の表面全体に渡って前記含水素化合物を供給することができる。
【0012】
請求項2に記載された回転式液膜反応器は、前記回転体の外周に、前記回転体の長手方向に摺動させることで前記複数の貫通孔の開閉を行う孔の開閉機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の回転式液膜反応器である。
【0013】
請求項2に記載された発明によると、前記回転体の外周に、前記回転体の長手方向に摺動させることで前記複数の貫通孔の開閉を行う孔の開閉機構を設けたことにより、含水素化合物及び脱水素反応生成物の触媒層からの排出速度を開閉機構の開閉時間、開口部の大きさを変えることで調整することができる。すなわち、脱水素反応は反応律速の系であるので、孔の開閉機構を閉とすれば脱水素反応生成物が触媒層と接触している時間が長くなる。その結果、脱水素反応生成物が反応活性点に強く吸着されるので脱水素反応に有効な反応活性点が減少し反応速度が遅くなる。反対に孔の開閉機構を開とすれば脱水素反応生成物が触媒層から短時間で抜け出てしまうので反応阻害が低減できるため反応速度が速くなる。
【0014】
請求項3に記載された回転式液膜反応器は、前記回転体内から系外へ水素を抜き出すための負圧吸引手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の回転式液膜反応器である。
【0015】
請求項3に記載された発明によると、前記回転体内から系外へ水素を抜き出すための負圧吸引手段を設けたことにより、回転体内で生成した水素を触媒表面に形成された含水素化合物の液膜内から液膜外へすばやく離脱させることができるので、常に回転体内から系外に連続して水素を取り出すことができる(反応が常に生成物側に進行する非平衡操作となるため)。
【0016】
請求項4に記載された回転式液膜反応器は、前記原料供給手段により供給される前記含水素化合物を前記回転体内で加熱するための加熱手段を、前記原料供給手段に沿わせて設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちの何れか1項に記載の回転式液膜反応器である。
【0017】
請求項4に記載された発明によると、前記原料供給手段により供給される前記含水素化合物を前記回転体内で加熱するための加熱手段を、前記原料供給手段に沿わせて設けたことにより、伝熱面積が大きくとれるため加熱手段から原料供給手段への熱の供給が好適に行えるようになる。また、回転体の内部で含水素化合物を加熱するので、回転体の外部で前記含水素化合物を加熱して供給する場合と比較して、省エネルギー化・省スペース化が図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る回転式液膜反応器の一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。尚、図1は、本発明に係る回転式液膜反応器全体の構成を示す外形斜視図、図2は、本発明に係る回転式液膜反応器全体の横断面図である。
また、図3(a)は、本発明に係る回転体と原料供給手段、加熱手段、及び負圧吸引手段との配管の取り合いを示す図2のI部拡大図、図3(b)は、駆動手段と密閉ケーシングの配管の取り合いを示す図2のII部拡大図、図4(a)は、本発明に係る孔の開閉機構の作用を説明するための簡略図、図4(b)は、図4(a)の孔の開閉機構を取り除いた他の実施形態の回転体の周壁部を示す簡略図である。
【0019】
最初に、本発明に係る一実施形態の回転式液膜反応器について図1及び図2を参照して説明する。尚、本実施形態では、2−プロパノール(以下、IPAという)から脱水素反応により水素を取り出す反応に本発明の回転式液膜反応器を適用した場合について説明する。
本発明に係る回転式液膜反応器1は、図1及び図2に示すように、
内周部に、含水素化合物であるIPAから脱水素反応により水素を生成する触媒を基材5の上に触媒層4として固定し、周壁部に、IPAの脱水素反応生成物であるアセトン及び未反応のIPAをその内部から外部に排出する複数の貫通孔2a,2a…を設け、その両端面の中心部を回転自在に支持して駆動手段であるモータ10により回転させる円筒状の回転体2と、
前記回転体2の外周に設けられ、前記回転体2の長手方向に摺動させることで前記複数の貫通孔2aの開閉を行う孔の開閉機構6と、
前記回転体2内の中心部軸方向に設けられ、前記触媒層4に向って前記含水素化合物を供給する原料供給手段である原料供給配管3と、
前記回転体2内から系外へ水素を抜き出すための負圧吸引手段である減圧配管9と、
前記回転体2の外側に設けられ、前記貫通孔2aから排出される前記含水素化合物の脱水素反応生成物を受け止めて系外へ抜き出すための密閉ケーシング7と、
から主要部が構成される。
【0020】
円筒状の回転体2は、図2及び図3に示すように、回転自在となるように、他端部を玉軸受2bに、一端部を回転体2に固設した軸2dを介して密閉ケーシング7に設けられた玉軸受2cに支持されている。
回転体2を回転させるための動力源としては、モータ10が使用され、動力は図示しない変速機を介してモータ軸から回転体2へと伝達される。変速機としては通常無段変速機が使用される。尚、モータ10の軸と回転体2の軸2dは直結している。
回転体2の回転数は50min‐1〜1000min‐1(遠心効果0.5G〜200G)で回転し、IPAが原料供給管3から回転体2内へ供給されると遠心力により触媒の表面に脱水素反応に適した厚みの液膜を形成することができる。
このように回転体2を反応器としたことで、回転体2の遠心効果を変えることで容易に触媒表面上の液膜の厚さを制御することができる。
【0021】
尚、触媒層4と基材5から形成される内周部(反応部)に熱を供給する方法としては、密閉ケーシング7の外部にジャケット式熱交換器を設け、このジャケット式熱交換器に熱媒体を供給することで内周部(反応部)を加熱してもよいし、回転体2の内部に熱交換器を設け、触媒層4の表面側から反応部を加熱するようにしてもよい。
尚、IPAの脱水素反応の場合、触媒活性金属としてルテニウム(例えば20wt%)、担体としてカーボンブラックを用いた触媒の触媒層4で反応を行うときは、液膜における反応温度は70〜140℃程度がよい。
【0022】
また、回転体2の周壁部には、複数個の貫通孔2a,2a…が設けられている。貫通孔2a,2a…の形状は、細孔でも円孔でも貫通していれば形状には特に拘らない。本実施形態では円孔を設けている。
このように円筒状の回転体2の周壁部に、IPAの脱水素反応生成物であるアセトン及び未反応のIPAをその内部から外部に排出する複数の貫通孔2a,2a…を設けたことにより、反応により生成したアセトン及び未反応のIPAを遠心力により短時間で外部に排出することができる。従って、触媒の表面に吸着して反応を阻害するアセトンを短時間で排出できるため反応速度が向上する。従って、コンパクトで反応率の高い回転式液膜反応器を提供できる。
【0023】
回転体2の内部には、触媒層4が設けられている。触媒層4は10マイクロメートル〜120マイクロメートルの厚さを有している。触媒層4を支持する基材5としては、例えばカーボンペーパー(60〜270g/m2程度のもの)が使用される。すなわち、回転体2の内周面の上に基材5が設けられ、基材5の上にさらに触媒層4が積層して設けられている。
尚、基材5の上に触媒層4を積層して設けた理由として、回転体2の内周面に直接触媒層4を設けると触媒層4からの液抜けが悪くなり、反応率が向上しないためである。
このように円筒状の回転体2の内周部に、IPAから脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層4として固定したことにより、
a.触媒を平面(基底面)に載置しないので触媒の反応面積を大きくできる。
b.従来のように触媒が移動するために常に新触媒を供給する必要がなくなり、しかも充分な反応率を得るために反応器を大きくする必要がなくなるので反応器のコンパクト化が可能になる。
【0024】
次に、孔の開閉機構6について図2及び図4を参照して説明する。
孔の開閉機構6は、図4(a)に示すように、回転体2の外周に摺動自在に設けられ、前記回転体2の複数の貫通孔2a,2a…の開閉を行う円筒状の回転体カバー6bと、密閉ケーシング7の外側から前記回転体カバー6bを磁力で吸い付けて前記回転体2の長手方向に摺動させるマグネット6aとから主要部が形成される。
回転体カバー6bには回転体2の周壁部と同様な複数の貫通孔6cが設けられている。
このように回転体2の外周に、回転体2の長手方向に摺動させることで複数の貫通孔2a,2a…の開閉を行う孔の開閉機構6を設けたことにより、IPA及びアセトンの触媒層4からの排出速度を孔の開閉機構6の開閉時間、開口部の大きさを変えることで調整することができる。すなわち、脱水素反応は反応律速の系であるので、孔の開閉機構6を閉とすればアセトンが触媒層4と接触している時間が長くなる。その結果、アセトンが反応活性点に強く吸着されるので脱水素反応に有効な反応活性点が減少し反応速度が遅くなる。反対に孔の開閉機構6を開とすればアセトンが触媒層4から短時間で抜け出てしまうので反応阻害が低減できるため反応速度が速くなる。
尚、回転体カバー6bを摺動させる方向は、回転体2の長手方向ではなく周方向であっても良い。
【0025】
尚、孔の開閉機構6を構成するマグネット6aは電磁石であっても、サマリウム−コバルト磁石のような強磁性の永久磁石であってもよい。
また、本実施形態で使用されている回転体カバー6bの材質としては、フェライト系のステンレス、例えばSUS430が、また、回転体2の材質としては、上記したカーボンペーパー(60〜270g/m2程度のもの)が用いられている。
尚、IPAの脱水素反応生成物であるアセトンが、触媒の表面に形成された液膜内から液膜外へ脱離する脱離速度が速い場合には孔の開口面積を調整する必要がなくなるので、図4(b)に示すように、孔の開閉機構6を構成する回転体カバー6bは不要となり、回転体2の周壁部の貫通孔2a,2a…から直接密閉ケーシング7内にアセトン及び未反応のIPAの混合液を排出することもできる。
【0026】
原料供給配管3は、回転体2の内部へ含水素化合物としてのIPAを供給するための配管である。回転体2内で原料供給配管3内を通流するIPAを加熱する加熱手段としてその内部に加熱したサーモオイルが流れる熱媒配管8が沿わせて設けられている。
このように原料供給配管3から回転体2内に供給されるIPAを加熱するための熱媒配管8を、前記原料供給配管3に沿わせて設けることで、伝熱面積が大きくとれるため前記熱媒配管8から前記原料供給配管3への熱の供給が好適に行えるようになる。また、回転体2の内部でIPAを加熱するので、回転体2の外部でIPAを加熱して供給する場合と比較して、省エネルギー化・省スペース化が図れる。
【0027】
また、前記原料供給配管3は、前記回転体2内の中心部の軸方向に固定されて設けられている。すなわち原料供給配管3は、熱媒配管8と一緒に回転体2の他端面の中心部で玉軸受2bの内側に固定され支持されている。一方、玉軸受2bの外側は回転体2と一緒に回転するようになっている。また、IPAは、適宜間隔で設けられた原料供給配管3の複数の孔3a,3a…から回転体2内上方の触媒層4に向って噴霧・供給される。
尚、孔同士の間隔は、一端側に行くに従って徐々に狭くなるように設けられている。このように孔同士の間隔を設けることで、原料供給配管3の上流側の孔と下流側の孔の配管内圧損による供給流量の変化を調整することができる。
このように回転体2内の中心部軸方向に設けられ、触媒層4に向って孔3aからIPAを供給する原料供給配管3を具備したことで、触媒層4全体に渡ってIPAを供給することができる。
【0028】
減圧配管9は、図3(a)に示すように、その他端部を負圧発生手段、例えば真空ポンプと連結した配管であり、一端部は回転体2内で開口している蛇管である。
このような構成とすることにより、回転体2内で生成した水素を触媒表面に形成されたIPAの液膜内から液膜外へすばやく離脱させることができるので、常に回転体2内から系外に連続して水素を取り出すことができる(反応が常に生成物側に進行する非平衡操作となるため)。
【0029】
密閉ケーシング7は、回転式液膜反応器1内でIPAの脱水素反応により生成され貫通孔2a,2a…から排出されるアセトンと未反応のIPAとの混合液を、一度受け止めて排出口7aから系外へ排出するために設けられた回転体2全体を外側から覆う密閉カバーである。
また、回転体2内で生成する水素の発生量が多くなれば、回転体2内の水素圧が高くなり、減圧配管9内の圧力を減圧すれば好適に水素を系外へ排出することができる。
尚、密閉ケーシング7の両端面の中心部は、グランドパッキン7b,7cでシールされている。
【0030】
触媒層4は、10マイクロメートル〜200マイクロメートル程度の厚さを持ち、回転体2の内周面に沿って設けられた基材5の上に積層して設けられている。触媒に使用される活性金属としては、ルテニウムをカーボンブラック担体に担持した担持触媒(Ru20wt%)である。このとき触媒の表面上に形成されるIPAの液膜の反応温度は、70〜140℃程度が望ましい。
尚、触媒層4の基材5としてカーボンペーパーを使用した場合には、カーボンペーパーに剛性があるので基材5を回転体2の一部材として代用することができる。
【0031】
このような構成を有する本発明に係る一実施形態の回転式液膜反応器の作用について図2を参照して説明する。
(1)図示しないポンプから原料供給配管3を介してモーター10により遠心効果100Gで回転している回転体2の中にIPAが供給される。このとき原料供給配管3に沿って熱媒配管8が設けられているので、IPAは例えば80℃以上に昇温されて回転体2内の触媒層4に向って噴霧・供給される。
尚、供給されるIPAは、回転体2内の上方に向って原料供給配管3の上面に適宜間隔で設けられている複数の孔3a,3a…から触媒層4に噴霧される。
(2)触媒層4に供給されたIPAは、遠心効果に見合った液膜を触媒表面上に形成し、脱水素反応により、水素と脱水素反応生成物としてアセトンを生成する。
(3)生成した水素とアセトン(反応阻害物質)は液膜を直ちに抜け、比重の軽い水素は回転体2の中心に集められ減圧配管9に吸引されて系外へ、一方アセトンは未反応のIPAと一緒に貫通孔2aを通過して密閉ケーシング7内に一度排出され、密閉ケーシング7の排出口7aから系外に排出される。
(4)減圧配管9により系外へ抜き出された水素は、水素精製手段、例えば水素透過膜を通して精製され、水素消費設備へと供給される。このとき水素分離膜で分離されたアセトンとIPAの混合液は、後記する系外に排出された未反応のIPAとアセトンの混合液と一緒に液−液分離膜(例えば無機系のシリカ膜)で処理される。
(5)密閉ケーシング7から系外に排出されたIPAとアセトンの混合液は、液−液分離膜により分離され、分離されたIPAは再び原料供給配管3から回転体2内へと供給される。一方、アセトンは化学原料や水素で還元して再びIPAとし再利用される。
【0032】
このような構成と作用を有する一実施形態の回転式液膜反応器によれば、
1.反応面積の大きい、しかも触媒が移動しないコンパクトで反応率の高い回転式液膜反応器を提供できる。
2.IPAの脱水素反応により生成した水素及びアセトンと未反応のIPAの混合液を分離することができる分離手段を備えた回転式液膜反応器を提供できる。
【0033】
以上、一実施形態の回転式液膜反応器について説明したが、本発明に係る回転式液膜反応器はこれに限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施可能である。
例えば、本実施形態では回転体2のシール構造は玉軸受2b、2cを使用しているが、水素ガスに対するシール性を向上させるためメカニカルシールやラビリンスシールを適用することも可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上の構成と作用からなる本発明によれば、以下の効果を奏する。
1.請求項1に記載された発明によれば、
(1)円筒状の回転体の内周部に、含水素化合物から脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層として固定したことにより、
a.触媒を平面(基底面)に載置しないので触媒の反応面積を大きくできる。
b.従来のように触媒が移動するために常に新触媒を供給する必要がなくなり、しかも充分な反応率を得るために反応器を大きくする必要がなくなるので反応器のコンパクト化が可能になる。
(2)円筒状の回転体の周壁部に、含水素化合物の脱水素反応生成物及び未反応の前記含水素化合物をその内部から外部に排出する複数の貫通孔を設けたことにより、触媒層を通過した未反応の含水素化合物と反応により生成した脱水素反応生成物との混合液を遠心力により短時間で外部に排出することができる。従って、触媒の表面に脱水素反応に適した液膜を形成することができる。
(3)円筒状の回転体を反応器としたことで遠心効果を変えることで容易に液膜の厚みを制御することができる。
(4)前記回転体内の中心部に設けられ、前記触媒層に向って含水素化合物を供給する原料供給手段を具備したことで、触媒層の表面全体に渡って前記含水素化合物を供給することができる。
2.請求項2に記載された発明によれば、
前記回転体の外周に、前記回転体の長手方向に摺動させることで前記複数の貫通孔の開閉を行う孔の開閉機構を設けたことにより、含水素化合物及び脱水素反応生成物の触媒層からの排出速度を開閉機構の開閉時間、開口部の大きさを変えることで調整することができる。すなわち、脱水素反応は反応律速の系であるので、孔の開閉機構を閉とすれば脱水素反応生成物が触媒層と接触している時間が長くなる。その結果、脱水素反応生成物が反応活性点に強く吸着されるので脱水素反応に有効な反応活性点が減少し反応速度が遅くなる。反対に孔の開閉機構を開とすれば脱水素反応生成物が触媒層から短時間で抜け出てしまうので反応阻害が低減できるため反応速度が速くなる。
3.請求項3に記載された発明によれば、前記回転体内から系外へ水素を抜き出すための負圧吸引手段を設けたことにより、回転体内で生成した水素を触媒表面に形成された含水素化合物の液膜内から液膜外へすばやく離脱させることができるので、常に回転体内から系外に連続して水素を取り出すことができる(反応が常に生成物側に進行する非平衡操作となるため)。
4.請求項4に記載された発明によれば、前記原料供給手段により供給される前記含水素化合物を前記回転体内で加熱するための加熱手段を、前記原料供給手段に沿わせて設けたことにより、伝熱面積が大きくとれるため加熱手段から原料供給手段への熱の供給が好適に行えるようになる。また、回転体の内部で含水素化合物を加熱するので、回転体の外部で前記含水素化合物を加熱して供給する場合と比較して、省エネルギー化・省スペース化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転式液膜反応器全体の構成を示す外形斜視図である。
【図2】本発明に係る回転式液膜反応器全体の横断面図である。
【図3】(a)本発明に係る回転体と原料供給手段、加熱手段、及び負圧吸引手段との配管の取り合いを示す図2のI部拡大図である。
(b)駆動手段と密閉ケーシングの配管の取り合いを示す図2のII部拡大図である。
【図4】(a)本発明に係る孔の開閉機構の作用を説明するための簡略図である。
(b)図4(a)の孔の開閉機構を取り除いた他の実施形態の回転体の周壁部を示す簡略図である。
【図5】従来の回転式液膜反応器の断面図である。
【符号の説明】
1 回転式液膜反応器
2 回転体
2a 貫通孔
2b,2c 玉軸受
3 原料供給配管(原料供給手段)
4 触媒層
5 基材
6 孔の開閉機構
6a マグネット
6b 回転体カバー
6c 貫通孔
7 密閉ケーシング
7a 排出口
7b,7c グランドパッキン
8 熱媒配管(加熱手段)
9 減圧配管(負圧吸引手段)
10 モータ(駆動手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転式液膜反応器に関し、更に詳しくは、回転する回転体の内周部に設けられた脱水素触媒の触媒層に含水素化合物を供給し、触媒表面上に形成された前記含水素化合物の液膜中で水素化反応及び脱水素反応生成物を生成させる回転式液膜反応器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気自動車の動力源として固体高分子型の燃料電池が注目されている。
固体高分子型の燃料電池は、常温でも発電することが可能であり、様々な用途に実用化されつつある。
【0003】
この燃料電池は、水素を含有する燃料ガスを燃料電池のアノード極(燃料ガス極)に供給すると共に、酸素を含有する酸化剤ガスを燃料電池のカソード極(酸化剤ガス極)に供給して発電を行う。例えば前記酸化剤ガスとして空気を供給した場合は、以下の反応式で表される化学エネルギーを電気エネルギーとして取り出して外部の負荷に供給する。
アノード極;2H2→4H++4e−
カソード極;O2+4H++4e−→2H2O
全体;2H2+O2→2H2O
このとき、アノード極の反応で生成したプロトンは、固体高分子膜(電解質膜)中を通ってカソード極側に水と一緒に運ばれる。また、生成した電子は外部回路を通ってカソード極に運ばれる。カソード極に運ばれたプロトン及び電子は空気中の酸素と反応して水を生成する。
また、固体高分子型の燃料電池(PEFC)は、固体高分子膜(電解質膜)のプロトン導電性を維持するためには常に膜が湿っていることが必要となるため、燃料電池には加湿した燃料ガス及び加湿した空気が供給されている。
【0004】
このような燃料電池を搭載した燃料電池自動車が燃料となる水素を車両側で確保する方法としては、
(1)液体水素、或は高圧水素等の純水素を用いて、液体水素タンク、高圧タンク、或は水素吸蔵合金などの水素貯蔵材を収納した水素吸蔵タンクへ水素補給を行い水素供給源として確保する方法(純水素式)、
(2)炭化水素、例えば、メタノール水溶液から水蒸気改質法等により水素を生成して水素供給源とする改質式や含水素化合物、例えばアルコール類(2‐プロパノール等)や水素芳香族化合物(シクロヘキサンやデカリン等)から脱水素反応により水素を取り出して水素供給源として確保する方法、
等が挙げられる。
【0005】
これら燃料電池自動車の燃料となる水素を車両側で確保する方法のうち、含水素化合物、例えばイソプロパノールから脱水素反応により水素を取り出す反応器としては、例えば特開2001−17855号公報に開示されたものがある(特許文献1参照)。
この反応器100は、図5に示すように、液体の供給物質である2‐プロパノール(以下、IPAという)を容器101内に導く供給口101aと、上記IPAを反応させる触媒層102と、反応により生成した反応生成物であるアセトン及び水素を容器101外に排出する排出口101b,101cとを有する反応器100であり、上記容器101内で、上記触媒層102を水平に載置する載置手段103と、上記触媒層102を上記容器101内で移動させるための移動手段とを有する反応器100である。
尚、前記移動手段は、熱媒体により回転する回転子105と前記回転子105の回転を動力として前記載置手段103に伝達する動力発生装置104とから形成される。
【0006】
このように構成される反応器100は、まずIPAが、供給口101aから反応器100内に供給される。
反応器100内に供給されたIPA(液体)は、触媒層102で下記の反応式(脱水素反応)によりアセトン(気体)と水素(気体)とに分解される。
(CH3)2CHOH⇔(CH3)2CO +H2−−−−−−−−−(1)
尚、式(1)に示したIPAの脱水素反応は、吸熱反応であり、反応に必要な熱は、熱媒体流路106内を流れる熱媒体と触媒層102間で熱交換器を介して熱交換することで供給される。
式(1)で示したIPAの脱水素反応によって触媒層102で生成されたアセトン(気体)と水素(気体)は、その後容器101の排出口101b,101cから系外に排出される。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−17855号公報(第1頁〜5頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこのような反応器100は、以下のような問題があった。
(1)触媒を平面(基底面)に配置したため、反応面積が比較的小さく、IPAの脱水素反応のように反応律速の系には不向きである。
(2)反応率をあげるために触媒の移動手段(触媒層102を回転運動させるための機構)を設けているが、触媒が容器101の遠心方向に常に移動してしまうため、常に新触媒を供給する必要があり、現実的でない。
(3)反応面積が小さいこと、触媒が移動すること、これらの条件下で十分な反応率を確保するためには容器101が大きくなる。
(4)回収した水素とアセトンの分離手段の記載がなく、信憑性に欠ける。
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであって、第一の目的は液体の含水素化合物を原料として脱水素反応により水素を生成する反応器であって、反応面積が大きく、しかも触媒が移動しないように固定したコンパクトで反応率の高い回転式液膜反応器を提供することを目的とする。
第二の目的は反応して生成した水素及び脱水素反応生成物(含水素化合物を含む)の混合液を分離する分離手段を備えた回転式液膜反応器を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するためになされた請求項1に記載された回転式液膜反応器は、内周部に、含水素化合物から脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層として固定し、周壁部に、前記含水素化合物の脱水素反応生成物及び未反応の前記含水素化合物をその内部から外部に排出する複数の貫通孔を設け、その両端面の中心部を回転自在に支持して駆動手段により回転させる円筒状の回転体と、前記回転体内の中心部に設けられ、前記触媒層に向って前記含水素化合物を供給する原料供給手段とを具備したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項1に記載された発明によると、
(1)円筒状の回転体の内周部に、含水素化合物から脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層として固定したことにより、
a.触媒を平面(基底面)に載置しないので触媒の反応面積を大きくできる。
b.従来のように触媒が移動するために常に新触媒を供給する必要がなくなり、しかも充分な反応率を得るために反応器を大きくする必要がなくなるので反応器のコンパクト化が可能になる。
(2)円筒状の回転体の周壁部に、含水素化合物の脱水素反応生成物及び未反応の前記含水素化合物をその内部から外部に排出する複数の貫通孔を設けたことにより、触媒層を通過した未反応の含水素化合物と反応により生成した脱水素反応生成物との混合液を遠心力により短時間で外部に排出することができる。従って、触媒の表面に脱水素反応に適した液膜を形成することができる。
尚、ここで言う脱水素反応に適した液膜とは、触媒の表面に形成される含水素化合物の液膜であって、前記含水素化合物が触媒の表面で反応して生成される脱水素反応生成物及び水素が前記液膜内から前記液膜外へ抜けやすい厚みの液膜を意味し、反応速度を阻害する脱水素反応生成物を短時間で触媒表面から離脱させることができるので反応速度が大きくなる。
(3)円筒状の回転体を反応器としたことで遠心効果を変えることで容易に液膜の厚みを制御することができる。
(4)前記回転体内の中心部に設けられ、前記触媒層に向って含水素化合物を供給する原料供給手段を具備したことで、触媒層の表面全体に渡って前記含水素化合物を供給することができる。
【0012】
請求項2に記載された回転式液膜反応器は、前記回転体の外周に、前記回転体の長手方向に摺動させることで前記複数の貫通孔の開閉を行う孔の開閉機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の回転式液膜反応器である。
【0013】
請求項2に記載された発明によると、前記回転体の外周に、前記回転体の長手方向に摺動させることで前記複数の貫通孔の開閉を行う孔の開閉機構を設けたことにより、含水素化合物及び脱水素反応生成物の触媒層からの排出速度を開閉機構の開閉時間、開口部の大きさを変えることで調整することができる。すなわち、脱水素反応は反応律速の系であるので、孔の開閉機構を閉とすれば脱水素反応生成物が触媒層と接触している時間が長くなる。その結果、脱水素反応生成物が反応活性点に強く吸着されるので脱水素反応に有効な反応活性点が減少し反応速度が遅くなる。反対に孔の開閉機構を開とすれば脱水素反応生成物が触媒層から短時間で抜け出てしまうので反応阻害が低減できるため反応速度が速くなる。
【0014】
請求項3に記載された回転式液膜反応器は、前記回転体内から系外へ水素を抜き出すための負圧吸引手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項に記載の回転式液膜反応器である。
【0015】
請求項3に記載された発明によると、前記回転体内から系外へ水素を抜き出すための負圧吸引手段を設けたことにより、回転体内で生成した水素を触媒表面に形成された含水素化合物の液膜内から液膜外へすばやく離脱させることができるので、常に回転体内から系外に連続して水素を取り出すことができる(反応が常に生成物側に進行する非平衡操作となるため)。
【0016】
請求項4に記載された回転式液膜反応器は、前記原料供給手段により供給される前記含水素化合物を前記回転体内で加熱するための加熱手段を、前記原料供給手段に沿わせて設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちの何れか1項に記載の回転式液膜反応器である。
【0017】
請求項4に記載された発明によると、前記原料供給手段により供給される前記含水素化合物を前記回転体内で加熱するための加熱手段を、前記原料供給手段に沿わせて設けたことにより、伝熱面積が大きくとれるため加熱手段から原料供給手段への熱の供給が好適に行えるようになる。また、回転体の内部で含水素化合物を加熱するので、回転体の外部で前記含水素化合物を加熱して供給する場合と比較して、省エネルギー化・省スペース化が図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る回転式液膜反応器の一実施形態について図1〜図4を参照して説明する。尚、図1は、本発明に係る回転式液膜反応器全体の構成を示す外形斜視図、図2は、本発明に係る回転式液膜反応器全体の横断面図である。
また、図3(a)は、本発明に係る回転体と原料供給手段、加熱手段、及び負圧吸引手段との配管の取り合いを示す図2のI部拡大図、図3(b)は、駆動手段と密閉ケーシングの配管の取り合いを示す図2のII部拡大図、図4(a)は、本発明に係る孔の開閉機構の作用を説明するための簡略図、図4(b)は、図4(a)の孔の開閉機構を取り除いた他の実施形態の回転体の周壁部を示す簡略図である。
【0019】
最初に、本発明に係る一実施形態の回転式液膜反応器について図1及び図2を参照して説明する。尚、本実施形態では、2−プロパノール(以下、IPAという)から脱水素反応により水素を取り出す反応に本発明の回転式液膜反応器を適用した場合について説明する。
本発明に係る回転式液膜反応器1は、図1及び図2に示すように、
内周部に、含水素化合物であるIPAから脱水素反応により水素を生成する触媒を基材5の上に触媒層4として固定し、周壁部に、IPAの脱水素反応生成物であるアセトン及び未反応のIPAをその内部から外部に排出する複数の貫通孔2a,2a…を設け、その両端面の中心部を回転自在に支持して駆動手段であるモータ10により回転させる円筒状の回転体2と、
前記回転体2の外周に設けられ、前記回転体2の長手方向に摺動させることで前記複数の貫通孔2aの開閉を行う孔の開閉機構6と、
前記回転体2内の中心部軸方向に設けられ、前記触媒層4に向って前記含水素化合物を供給する原料供給手段である原料供給配管3と、
前記回転体2内から系外へ水素を抜き出すための負圧吸引手段である減圧配管9と、
前記回転体2の外側に設けられ、前記貫通孔2aから排出される前記含水素化合物の脱水素反応生成物を受け止めて系外へ抜き出すための密閉ケーシング7と、
から主要部が構成される。
【0020】
円筒状の回転体2は、図2及び図3に示すように、回転自在となるように、他端部を玉軸受2bに、一端部を回転体2に固設した軸2dを介して密閉ケーシング7に設けられた玉軸受2cに支持されている。
回転体2を回転させるための動力源としては、モータ10が使用され、動力は図示しない変速機を介してモータ軸から回転体2へと伝達される。変速機としては通常無段変速機が使用される。尚、モータ10の軸と回転体2の軸2dは直結している。
回転体2の回転数は50min‐1〜1000min‐1(遠心効果0.5G〜200G)で回転し、IPAが原料供給管3から回転体2内へ供給されると遠心力により触媒の表面に脱水素反応に適した厚みの液膜を形成することができる。
このように回転体2を反応器としたことで、回転体2の遠心効果を変えることで容易に触媒表面上の液膜の厚さを制御することができる。
【0021】
尚、触媒層4と基材5から形成される内周部(反応部)に熱を供給する方法としては、密閉ケーシング7の外部にジャケット式熱交換器を設け、このジャケット式熱交換器に熱媒体を供給することで内周部(反応部)を加熱してもよいし、回転体2の内部に熱交換器を設け、触媒層4の表面側から反応部を加熱するようにしてもよい。
尚、IPAの脱水素反応の場合、触媒活性金属としてルテニウム(例えば20wt%)、担体としてカーボンブラックを用いた触媒の触媒層4で反応を行うときは、液膜における反応温度は70〜140℃程度がよい。
【0022】
また、回転体2の周壁部には、複数個の貫通孔2a,2a…が設けられている。貫通孔2a,2a…の形状は、細孔でも円孔でも貫通していれば形状には特に拘らない。本実施形態では円孔を設けている。
このように円筒状の回転体2の周壁部に、IPAの脱水素反応生成物であるアセトン及び未反応のIPAをその内部から外部に排出する複数の貫通孔2a,2a…を設けたことにより、反応により生成したアセトン及び未反応のIPAを遠心力により短時間で外部に排出することができる。従って、触媒の表面に吸着して反応を阻害するアセトンを短時間で排出できるため反応速度が向上する。従って、コンパクトで反応率の高い回転式液膜反応器を提供できる。
【0023】
回転体2の内部には、触媒層4が設けられている。触媒層4は10マイクロメートル〜120マイクロメートルの厚さを有している。触媒層4を支持する基材5としては、例えばカーボンペーパー(60〜270g/m2程度のもの)が使用される。すなわち、回転体2の内周面の上に基材5が設けられ、基材5の上にさらに触媒層4が積層して設けられている。
尚、基材5の上に触媒層4を積層して設けた理由として、回転体2の内周面に直接触媒層4を設けると触媒層4からの液抜けが悪くなり、反応率が向上しないためである。
このように円筒状の回転体2の内周部に、IPAから脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層4として固定したことにより、
a.触媒を平面(基底面)に載置しないので触媒の反応面積を大きくできる。
b.従来のように触媒が移動するために常に新触媒を供給する必要がなくなり、しかも充分な反応率を得るために反応器を大きくする必要がなくなるので反応器のコンパクト化が可能になる。
【0024】
次に、孔の開閉機構6について図2及び図4を参照して説明する。
孔の開閉機構6は、図4(a)に示すように、回転体2の外周に摺動自在に設けられ、前記回転体2の複数の貫通孔2a,2a…の開閉を行う円筒状の回転体カバー6bと、密閉ケーシング7の外側から前記回転体カバー6bを磁力で吸い付けて前記回転体2の長手方向に摺動させるマグネット6aとから主要部が形成される。
回転体カバー6bには回転体2の周壁部と同様な複数の貫通孔6cが設けられている。
このように回転体2の外周に、回転体2の長手方向に摺動させることで複数の貫通孔2a,2a…の開閉を行う孔の開閉機構6を設けたことにより、IPA及びアセトンの触媒層4からの排出速度を孔の開閉機構6の開閉時間、開口部の大きさを変えることで調整することができる。すなわち、脱水素反応は反応律速の系であるので、孔の開閉機構6を閉とすればアセトンが触媒層4と接触している時間が長くなる。その結果、アセトンが反応活性点に強く吸着されるので脱水素反応に有効な反応活性点が減少し反応速度が遅くなる。反対に孔の開閉機構6を開とすればアセトンが触媒層4から短時間で抜け出てしまうので反応阻害が低減できるため反応速度が速くなる。
尚、回転体カバー6bを摺動させる方向は、回転体2の長手方向ではなく周方向であっても良い。
【0025】
尚、孔の開閉機構6を構成するマグネット6aは電磁石であっても、サマリウム−コバルト磁石のような強磁性の永久磁石であってもよい。
また、本実施形態で使用されている回転体カバー6bの材質としては、フェライト系のステンレス、例えばSUS430が、また、回転体2の材質としては、上記したカーボンペーパー(60〜270g/m2程度のもの)が用いられている。
尚、IPAの脱水素反応生成物であるアセトンが、触媒の表面に形成された液膜内から液膜外へ脱離する脱離速度が速い場合には孔の開口面積を調整する必要がなくなるので、図4(b)に示すように、孔の開閉機構6を構成する回転体カバー6bは不要となり、回転体2の周壁部の貫通孔2a,2a…から直接密閉ケーシング7内にアセトン及び未反応のIPAの混合液を排出することもできる。
【0026】
原料供給配管3は、回転体2の内部へ含水素化合物としてのIPAを供給するための配管である。回転体2内で原料供給配管3内を通流するIPAを加熱する加熱手段としてその内部に加熱したサーモオイルが流れる熱媒配管8が沿わせて設けられている。
このように原料供給配管3から回転体2内に供給されるIPAを加熱するための熱媒配管8を、前記原料供給配管3に沿わせて設けることで、伝熱面積が大きくとれるため前記熱媒配管8から前記原料供給配管3への熱の供給が好適に行えるようになる。また、回転体2の内部でIPAを加熱するので、回転体2の外部でIPAを加熱して供給する場合と比較して、省エネルギー化・省スペース化が図れる。
【0027】
また、前記原料供給配管3は、前記回転体2内の中心部の軸方向に固定されて設けられている。すなわち原料供給配管3は、熱媒配管8と一緒に回転体2の他端面の中心部で玉軸受2bの内側に固定され支持されている。一方、玉軸受2bの外側は回転体2と一緒に回転するようになっている。また、IPAは、適宜間隔で設けられた原料供給配管3の複数の孔3a,3a…から回転体2内上方の触媒層4に向って噴霧・供給される。
尚、孔同士の間隔は、一端側に行くに従って徐々に狭くなるように設けられている。このように孔同士の間隔を設けることで、原料供給配管3の上流側の孔と下流側の孔の配管内圧損による供給流量の変化を調整することができる。
このように回転体2内の中心部軸方向に設けられ、触媒層4に向って孔3aからIPAを供給する原料供給配管3を具備したことで、触媒層4全体に渡ってIPAを供給することができる。
【0028】
減圧配管9は、図3(a)に示すように、その他端部を負圧発生手段、例えば真空ポンプと連結した配管であり、一端部は回転体2内で開口している蛇管である。
このような構成とすることにより、回転体2内で生成した水素を触媒表面に形成されたIPAの液膜内から液膜外へすばやく離脱させることができるので、常に回転体2内から系外に連続して水素を取り出すことができる(反応が常に生成物側に進行する非平衡操作となるため)。
【0029】
密閉ケーシング7は、回転式液膜反応器1内でIPAの脱水素反応により生成され貫通孔2a,2a…から排出されるアセトンと未反応のIPAとの混合液を、一度受け止めて排出口7aから系外へ排出するために設けられた回転体2全体を外側から覆う密閉カバーである。
また、回転体2内で生成する水素の発生量が多くなれば、回転体2内の水素圧が高くなり、減圧配管9内の圧力を減圧すれば好適に水素を系外へ排出することができる。
尚、密閉ケーシング7の両端面の中心部は、グランドパッキン7b,7cでシールされている。
【0030】
触媒層4は、10マイクロメートル〜200マイクロメートル程度の厚さを持ち、回転体2の内周面に沿って設けられた基材5の上に積層して設けられている。触媒に使用される活性金属としては、ルテニウムをカーボンブラック担体に担持した担持触媒(Ru20wt%)である。このとき触媒の表面上に形成されるIPAの液膜の反応温度は、70〜140℃程度が望ましい。
尚、触媒層4の基材5としてカーボンペーパーを使用した場合には、カーボンペーパーに剛性があるので基材5を回転体2の一部材として代用することができる。
【0031】
このような構成を有する本発明に係る一実施形態の回転式液膜反応器の作用について図2を参照して説明する。
(1)図示しないポンプから原料供給配管3を介してモーター10により遠心効果100Gで回転している回転体2の中にIPAが供給される。このとき原料供給配管3に沿って熱媒配管8が設けられているので、IPAは例えば80℃以上に昇温されて回転体2内の触媒層4に向って噴霧・供給される。
尚、供給されるIPAは、回転体2内の上方に向って原料供給配管3の上面に適宜間隔で設けられている複数の孔3a,3a…から触媒層4に噴霧される。
(2)触媒層4に供給されたIPAは、遠心効果に見合った液膜を触媒表面上に形成し、脱水素反応により、水素と脱水素反応生成物としてアセトンを生成する。
(3)生成した水素とアセトン(反応阻害物質)は液膜を直ちに抜け、比重の軽い水素は回転体2の中心に集められ減圧配管9に吸引されて系外へ、一方アセトンは未反応のIPAと一緒に貫通孔2aを通過して密閉ケーシング7内に一度排出され、密閉ケーシング7の排出口7aから系外に排出される。
(4)減圧配管9により系外へ抜き出された水素は、水素精製手段、例えば水素透過膜を通して精製され、水素消費設備へと供給される。このとき水素分離膜で分離されたアセトンとIPAの混合液は、後記する系外に排出された未反応のIPAとアセトンの混合液と一緒に液−液分離膜(例えば無機系のシリカ膜)で処理される。
(5)密閉ケーシング7から系外に排出されたIPAとアセトンの混合液は、液−液分離膜により分離され、分離されたIPAは再び原料供給配管3から回転体2内へと供給される。一方、アセトンは化学原料や水素で還元して再びIPAとし再利用される。
【0032】
このような構成と作用を有する一実施形態の回転式液膜反応器によれば、
1.反応面積の大きい、しかも触媒が移動しないコンパクトで反応率の高い回転式液膜反応器を提供できる。
2.IPAの脱水素反応により生成した水素及びアセトンと未反応のIPAの混合液を分離することができる分離手段を備えた回転式液膜反応器を提供できる。
【0033】
以上、一実施形態の回転式液膜反応器について説明したが、本発明に係る回転式液膜反応器はこれに限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施可能である。
例えば、本実施形態では回転体2のシール構造は玉軸受2b、2cを使用しているが、水素ガスに対するシール性を向上させるためメカニカルシールやラビリンスシールを適用することも可能である。
【0034】
【発明の効果】
以上の構成と作用からなる本発明によれば、以下の効果を奏する。
1.請求項1に記載された発明によれば、
(1)円筒状の回転体の内周部に、含水素化合物から脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層として固定したことにより、
a.触媒を平面(基底面)に載置しないので触媒の反応面積を大きくできる。
b.従来のように触媒が移動するために常に新触媒を供給する必要がなくなり、しかも充分な反応率を得るために反応器を大きくする必要がなくなるので反応器のコンパクト化が可能になる。
(2)円筒状の回転体の周壁部に、含水素化合物の脱水素反応生成物及び未反応の前記含水素化合物をその内部から外部に排出する複数の貫通孔を設けたことにより、触媒層を通過した未反応の含水素化合物と反応により生成した脱水素反応生成物との混合液を遠心力により短時間で外部に排出することができる。従って、触媒の表面に脱水素反応に適した液膜を形成することができる。
(3)円筒状の回転体を反応器としたことで遠心効果を変えることで容易に液膜の厚みを制御することができる。
(4)前記回転体内の中心部に設けられ、前記触媒層に向って含水素化合物を供給する原料供給手段を具備したことで、触媒層の表面全体に渡って前記含水素化合物を供給することができる。
2.請求項2に記載された発明によれば、
前記回転体の外周に、前記回転体の長手方向に摺動させることで前記複数の貫通孔の開閉を行う孔の開閉機構を設けたことにより、含水素化合物及び脱水素反応生成物の触媒層からの排出速度を開閉機構の開閉時間、開口部の大きさを変えることで調整することができる。すなわち、脱水素反応は反応律速の系であるので、孔の開閉機構を閉とすれば脱水素反応生成物が触媒層と接触している時間が長くなる。その結果、脱水素反応生成物が反応活性点に強く吸着されるので脱水素反応に有効な反応活性点が減少し反応速度が遅くなる。反対に孔の開閉機構を開とすれば脱水素反応生成物が触媒層から短時間で抜け出てしまうので反応阻害が低減できるため反応速度が速くなる。
3.請求項3に記載された発明によれば、前記回転体内から系外へ水素を抜き出すための負圧吸引手段を設けたことにより、回転体内で生成した水素を触媒表面に形成された含水素化合物の液膜内から液膜外へすばやく離脱させることができるので、常に回転体内から系外に連続して水素を取り出すことができる(反応が常に生成物側に進行する非平衡操作となるため)。
4.請求項4に記載された発明によれば、前記原料供給手段により供給される前記含水素化合物を前記回転体内で加熱するための加熱手段を、前記原料供給手段に沿わせて設けたことにより、伝熱面積が大きくとれるため加熱手段から原料供給手段への熱の供給が好適に行えるようになる。また、回転体の内部で含水素化合物を加熱するので、回転体の外部で前記含水素化合物を加熱して供給する場合と比較して、省エネルギー化・省スペース化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回転式液膜反応器全体の構成を示す外形斜視図である。
【図2】本発明に係る回転式液膜反応器全体の横断面図である。
【図3】(a)本発明に係る回転体と原料供給手段、加熱手段、及び負圧吸引手段との配管の取り合いを示す図2のI部拡大図である。
(b)駆動手段と密閉ケーシングの配管の取り合いを示す図2のII部拡大図である。
【図4】(a)本発明に係る孔の開閉機構の作用を説明するための簡略図である。
(b)図4(a)の孔の開閉機構を取り除いた他の実施形態の回転体の周壁部を示す簡略図である。
【図5】従来の回転式液膜反応器の断面図である。
【符号の説明】
1 回転式液膜反応器
2 回転体
2a 貫通孔
2b,2c 玉軸受
3 原料供給配管(原料供給手段)
4 触媒層
5 基材
6 孔の開閉機構
6a マグネット
6b 回転体カバー
6c 貫通孔
7 密閉ケーシング
7a 排出口
7b,7c グランドパッキン
8 熱媒配管(加熱手段)
9 減圧配管(負圧吸引手段)
10 モータ(駆動手段)
Claims (4)
- 内周部に、含水素化合物から脱水素反応により水素を生成する触媒を触媒層として固定し、周壁部に、前記含水素化合物の脱水素反応生成物及び未反応の前記含水素化合物をその内部から外部に排出する複数の貫通孔を設け、その両端面の中心部を回転自在に支持して駆動手段により回転させる円筒状の回転体と、
前記回転体内の中心部に設けられ、前記触媒層に向って前記含水素化合物を供給する原料供給手段と、
を具備したことを特徴とする回転式液膜反応器。 - 前記回転体の外周面に摺動させることで前記複数の貫通孔の開閉を行う孔の開閉機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の回転式液膜反応器。
- 前記回転体内から系外へ水素を抜き出すための負圧吸引手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転式液膜反応器。
- 前記原料供給手段により供給される前記含水素化合物を前記回転体内で加熱するための加熱手段を、前記原料供給手段に沿わせて設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のうちの何れか1項に記載の回転式液膜反応器。
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---|---|---|---|
JP2002308198A JP2004142981A (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 回転式液膜反応器 |
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ID=32454399
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005342675A (ja) * | 2004-06-07 | 2005-12-15 | Kao Corp | アルデヒドの製造方法 |
JP2012518528A (ja) * | 2009-02-20 | 2012-08-16 | エイチ アール ディー コーポレーション | ガス反応システム及び方法 |
CN108905905A (zh) * | 2018-07-25 | 2018-11-30 | 北京国能中林科技开发有限公司 | 一种适用于液态氢源材料的脱氢反应的刮膜式降膜反应器 |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002308198A patent/JP2004142981A/ja not_active Withdrawn
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