JP2004142665A - プッシャー・バージ一体型船体 - Google Patents
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Abstract
【課題】プッシャー単独航行時における復原性の改善と速力制限の解除、およびプッシャーとバージを連結した状態での推進性能の改善により大幅な省エネを図ることのできるプッシャー・バージ一体型船体を提供する。
【解決手段】プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成し、前記プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12としてバトックフロー型とし、前記バージ20の船首部を除く部分から前記プッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2とし、前記プッシャー10の船尾に、1軸、2軸または多軸の推進装置13を設ける。
【選択図】 図3
【解決手段】プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成し、前記プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12としてバトックフロー型とし、前記バージ20の船首部を除く部分から前記プッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2とし、前記プッシャー10の船尾に、1軸、2軸または多軸の推進装置13を設ける。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プッシャーとバージを着脱自在に一体化した船体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図1および図2を参照して説明する。従来のプッシャー31とバージ32を着脱自在に一体化したいわゆるプッシャー・バージ一体型船体30は、バージ32の船尾に凹入部33を設け、その凹入部33に単胴型プッシャー31の船首部に形成した凸入部34を挿入させて両者を連結させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来の一体型船体30においては、プッシャー31に凸入部34を形成しているので、その幅には自ずと制約がある。そのため、プッシャー31単独で航行する場合には、その復原性がきわめて悪く、せいぜい、それが持つ1/2程度の出力しか出すことができない。さらに、旋回や方向転換時には、復原性が悪いために傾斜角度が大きく、乗船者に極度な不安感を与え、また、転覆の危険性もあるため、許容最大舵角度も5度程度(通常の船舶では35度が標準)が限度である。
【0004】
また、プッシャー31とバージ32を連結した状態で連結部分の船体形状が複雑で、かつ狭小なため、両者の間に段差が生じる等して推進性能を阻害することが頻繁に発生する。従って、所要の速力を得るために過大な推進機関の装備が必要になり、きわめて不経済である。
【0005】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、プッシャー単独航行時における復原性の改善と速力制限の解除、およびプッシャーとバージを連結した状態での推進性能の改善により大幅な省エネを図ることのできるプッシャー・バージ一体型船体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】図3乃至図7を参照して説明する。第一の発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成してなるものである。
【0007】
第二の発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成し、前記プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12としてバトックフロー型としてなるものである。
【0008】
第三の発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成し、前記プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12としてバトックフロー型とし、前記バージ20の船首部を除く部分から前記プッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2としてなるものである。
【0009】
第四の発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成し、前記プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12としてバトックフロー型とし、前記バージ20の船首部を除く部分から前記プッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2とし、前記プッシャー10の船尾に、1軸、2軸または多軸の推進装置13を設けてなるものである。
【0010】
第五の発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成し、プッシャー10の連結凹入部11の一番奥の鉛直壁11aに、油圧シリンダー18と押出ピストン19からなる押出装置17をプッシャー船体中心線M−M上に設けると共に、押出ピストン18に対応するテーパー状組付凹部22をバージ20に設けたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1の実施形態を、図3乃至図7に示す。これは、プッシャー10とバージ20を連結および離脱自在に一体化した船体であり、プッシャー10の船首側の中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、バージ20の船尾側に連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成している。
【0012】
また、プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12として、いわゆるバトックフロー型としている。さらに、バージ20の船首部を除く略全体部分から前記プッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2,2としている。またさらに、プッシャー10の船尾に、2軸の竪型推進装置13および舵14を設けている。
【0013】
このプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10を3胴型とし、その船首部に連結凹入部11を形成すると共に、バージ20の船尾部に、当該連結凹入部11に挿入して組付ける連結凸入部21を形成しているので、プッシャー10の幅をバージ20の幅と一致させて従来より大きく設定することができる。これにより、プッシャー10の単独航行時における復原性を大幅に改善することができ、推進出力の制限も必要なく、全出力での航行を可能とすることができる。
【0014】
また、プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12としてバトックフロー型とし、バージ20の船首部を除く部分からプッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2,2としているので、流速変化による船尾部の造波を制御して、プッシャー10とバージ20を連結した状態での船尾部の推進抵抗を減少させることができる。すなわち、これにより、水流Fがほぼ均一な流れとなり、船尾付近の引き波Wを発生することのない船型とすることができ、船体1の前後左右の浮力配分(船体安定性)および推進効率の優れた形状とすることができる。その結果、従来の一体型船体30に比べて大幅な省エネが可能となる。
【0015】
なお、推進抵抗の減少は、本発明者らが水槽試験によって確認した。そのときの水流Fと波Wの状況を図6に示す。また、従来例に係る一体型船体30を使用して行った水槽実験の結果を図2に示す。この二つの図から明らかなように、本発明に係る一体型船体1における水流Fは、従来例の場合と比較して円滑に流れていることがわかる。また、波Wについても、本発明の場合が、従来例の場合と比較して穏やかである。これにより、本発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1の方が推進抵抗が小さく、大幅な省エネに繋がることが分かる。
【0016】
さらに、この一体型船体1は、プッシャー10の船尾に、2軸の推進装置13を設けているので、推進力を必要に応じて自由に増減させることができ、これによっても省エネが可能となる。また、十分な速力を得ることもできる。なお、推進装置13は、船体1の大きさや用途等によって、1軸あるいは3軸以上の多軸とすることができる。
【0017】
本実施形態におけるプッシャー・バージ一体型船体1の作用を具体的に述べる。この一体型船体1は、上記した構成としているので、プッシャー10の単独航行時における復原性は、従来のものに比べて約3倍強のメタセンタ高さ(GM)を得ることができる。従って、推進機関の出力制限は全く不要となる。また、旋回あるいは方向転換時における舵角度の制限も必要がなく、通常の船舶同様に自由な操船を安全に行うことができる。
【0018】
また、プッシャー10をバトックフロー型とすると共に、船体1の両側面(バージ20の船首部を除く)を相互に平行な直線面2,2としているので推進性能を大幅に改善することができ、これにより、従来の一体型船体30と比較して約30%の省エネ効果を得ることができる。また、省エネにより大気汚染物質の排出量も抑制できるので環境保全にも寄与することができる。
【0019】
なお、プッシャー10は3胴型として有効面積を大きく採っているので、竪型推進装置13や舵14の他に、原動機や煙突等を効率良く配置することができる。また、船体1の中心には、バージ20からプッシャー10に連続するようにスケグ3を配置し、航行時の保針性が十分に保持できるようにしている。
【0020】
さらに、プッシャー10とバージ20との連結を強固にするために、プッシャー10の前面には複数の組付凸部15を設け、バージ20の後面にはそれらが嵌入する組付凹部22を形成している。また、プッシャー10の左右両側の下端前面には傾斜状の傾斜ガイド面16を形成し、また、バージ20の左右両側の下端後面にその傾斜ガイド部16に合体する傾斜合体面23を形成している。これにより、両者の連結および離脱を容易に行えるようにしている。
【0021】
なお、プッシャー10とバージ20の連結部分には、複数の締結具4および横揺れ防止具5を介在させ、両者の連結を強固で安定したものとしている。
【0022】
【発明の効果】請求項1に記載の発明は、プッシャー10の船首部に連結凹入部11を形成して3胴型とすると共に、バージ20の船尾部に当該連結凹入部11に挿入して組付ける連結凸入部21を形成しているので、プッシャー10の幅をバージ20の幅と一致させて従来より大きく設定することができる。これにより、プッシャー10の単独航行時における復原性を大幅に改善することができ、推進出力の制限も必要なく、全出力での航行を可能にすることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明は、それに加えて、プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げて傾斜部12としたバトックフロー型としているので、プッシャー10とバージ20を連結した状態での船尾部の推進抵抗を減少させることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、それに加えて、バージ20の船首部を除く部分からプッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2としているので、プッシャー10とバージ20を連結した状態での船尾部の推進抵抗を、さらに減少させることができ、大幅な省エネを図ることができる。
【0025】
請求項4に記載の発明は、それに加えて、プッシャー10の船尾に、1軸、2軸または多軸の推進装置13を設けているので、推進力を必要に応じて自由に増減させることができ、さらなる省エネを図ることができる。同時に、十分な速力を得ることができる。
【0026】
請求項5の発明に係るプッシャー・バージ体型船体は、連結又は離脱に際して両者の喫水が自由浮遊になったときに略同一になるように予めバラスト等により調整しておくが、喫水調整が不可能な場合(例えばバージに貨物を積載した状態でプッシャーを離脱させる場合)は両者の喫水差から生じた浮力により両者は組み付け凸部15と組み付け凹部22が上下方向に密着され離脱が不可能になることが懸念される。このような場合にも離脱が可能とするためプッシャーに(図7)に示すように圧力式押出し装置(油圧シリンダー18と押出しピストン19から成り立つもの17を設け、この押出し装置17の押出しピストン19をプッシャー10の連結凹入部11の組付凹部15の船体中心線M−M上に装備し、プッシャー10とバージ20の締結具4及び横揺れ防止具5を全て解放した後に油圧式押出し装置17を作動させプッシャー10をバージ20から離脱させるので、作動が確実である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例に係るプッシャー・バージ一体型船体の概略を示すもので、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図2】従来例に係る一体型船体の船尾部にける水流と波の状況を示すもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
【図3】本発明に係るプッシャー・バージ一体型船体の一実施形態を示すもので、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図4】図3の実施形態に係る一体型船体のプッシャーを示すもので、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図5】図3の実施形態に係る一体型船体のバージを示すもので、(a)は側面図、(b)は左正面図(背面図)、(c)は平面図である。
【図6】図3の実施形態による一体型船体の船尾部における水流と波の状況を示すもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
【図7】本発明に係るプッシャー・バージー体型船体の他の実施形態を示すもので、(a)は(b)のM−M側面図、(b)は(a)のN−Nの平面図である。
【符号の説明】
1 プッシャー・バージ一体型船体
2 直線面
3 スケグ
4 締結具
5 横揺れ防止具
10 プッシャー
11 連結凹入部
11a 鉛直壁
12 傾斜部
13 推進装置
14 舵
15 組付凸部
16 傾斜ガイド面
17 押出し装置
18 シリンダー
19 ピストン
20 バージ
21 連結凸入部
22 組付凹部
23 傾斜合体面
30 プッシャー・バージ一体型船体
31 プッシャー
32 バージ
33 凹入部
34 凸入部
F 水流
W 波
【発明の属する技術分野】本発明は、プッシャーとバージを着脱自在に一体化した船体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図1および図2を参照して説明する。従来のプッシャー31とバージ32を着脱自在に一体化したいわゆるプッシャー・バージ一体型船体30は、バージ32の船尾に凹入部33を設け、その凹入部33に単胴型プッシャー31の船首部に形成した凸入部34を挿入させて両者を連結させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この従来の一体型船体30においては、プッシャー31に凸入部34を形成しているので、その幅には自ずと制約がある。そのため、プッシャー31単独で航行する場合には、その復原性がきわめて悪く、せいぜい、それが持つ1/2程度の出力しか出すことができない。さらに、旋回や方向転換時には、復原性が悪いために傾斜角度が大きく、乗船者に極度な不安感を与え、また、転覆の危険性もあるため、許容最大舵角度も5度程度(通常の船舶では35度が標準)が限度である。
【0004】
また、プッシャー31とバージ32を連結した状態で連結部分の船体形状が複雑で、かつ狭小なため、両者の間に段差が生じる等して推進性能を阻害することが頻繁に発生する。従って、所要の速力を得るために過大な推進機関の装備が必要になり、きわめて不経済である。
【0005】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、プッシャー単独航行時における復原性の改善と速力制限の解除、およびプッシャーとバージを連結した状態での推進性能の改善により大幅な省エネを図ることのできるプッシャー・バージ一体型船体を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】図3乃至図7を参照して説明する。第一の発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成してなるものである。
【0007】
第二の発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成し、前記プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12としてバトックフロー型としてなるものである。
【0008】
第三の発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成し、前記プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12としてバトックフロー型とし、前記バージ20の船首部を除く部分から前記プッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2としてなるものである。
【0009】
第四の発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成し、前記プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12としてバトックフロー型とし、前記バージ20の船首部を除く部分から前記プッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2とし、前記プッシャー10の船尾に、1軸、2軸または多軸の推進装置13を設けてなるものである。
【0010】
第五の発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10とバージ20を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャー10の船首側中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、前記バージ20の船尾側に、前記連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成し、プッシャー10の連結凹入部11の一番奥の鉛直壁11aに、油圧シリンダー18と押出ピストン19からなる押出装置17をプッシャー船体中心線M−M上に設けると共に、押出ピストン18に対応するテーパー状組付凹部22をバージ20に設けたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1の実施形態を、図3乃至図7に示す。これは、プッシャー10とバージ20を連結および離脱自在に一体化した船体であり、プッシャー10の船首側の中心部に連結凹入部11を形成して3胴型とし、バージ20の船尾側に連結凹入部11に挿入して組付く連結凸入部21を形成している。
【0012】
また、プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12として、いわゆるバトックフロー型としている。さらに、バージ20の船首部を除く略全体部分から前記プッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2,2としている。またさらに、プッシャー10の船尾に、2軸の竪型推進装置13および舵14を設けている。
【0013】
このプッシャー・バージ一体型船体1は、プッシャー10を3胴型とし、その船首部に連結凹入部11を形成すると共に、バージ20の船尾部に、当該連結凹入部11に挿入して組付ける連結凸入部21を形成しているので、プッシャー10の幅をバージ20の幅と一致させて従来より大きく設定することができる。これにより、プッシャー10の単独航行時における復原性を大幅に改善することができ、推進出力の制限も必要なく、全出力での航行を可能とすることができる。
【0014】
また、プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部12としてバトックフロー型とし、バージ20の船首部を除く部分からプッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2,2としているので、流速変化による船尾部の造波を制御して、プッシャー10とバージ20を連結した状態での船尾部の推進抵抗を減少させることができる。すなわち、これにより、水流Fがほぼ均一な流れとなり、船尾付近の引き波Wを発生することのない船型とすることができ、船体1の前後左右の浮力配分(船体安定性)および推進効率の優れた形状とすることができる。その結果、従来の一体型船体30に比べて大幅な省エネが可能となる。
【0015】
なお、推進抵抗の減少は、本発明者らが水槽試験によって確認した。そのときの水流Fと波Wの状況を図6に示す。また、従来例に係る一体型船体30を使用して行った水槽実験の結果を図2に示す。この二つの図から明らかなように、本発明に係る一体型船体1における水流Fは、従来例の場合と比較して円滑に流れていることがわかる。また、波Wについても、本発明の場合が、従来例の場合と比較して穏やかである。これにより、本発明に係るプッシャー・バージ一体型船体1の方が推進抵抗が小さく、大幅な省エネに繋がることが分かる。
【0016】
さらに、この一体型船体1は、プッシャー10の船尾に、2軸の推進装置13を設けているので、推進力を必要に応じて自由に増減させることができ、これによっても省エネが可能となる。また、十分な速力を得ることもできる。なお、推進装置13は、船体1の大きさや用途等によって、1軸あるいは3軸以上の多軸とすることができる。
【0017】
本実施形態におけるプッシャー・バージ一体型船体1の作用を具体的に述べる。この一体型船体1は、上記した構成としているので、プッシャー10の単独航行時における復原性は、従来のものに比べて約3倍強のメタセンタ高さ(GM)を得ることができる。従って、推進機関の出力制限は全く不要となる。また、旋回あるいは方向転換時における舵角度の制限も必要がなく、通常の船舶同様に自由な操船を安全に行うことができる。
【0018】
また、プッシャー10をバトックフロー型とすると共に、船体1の両側面(バージ20の船首部を除く)を相互に平行な直線面2,2としているので推進性能を大幅に改善することができ、これにより、従来の一体型船体30と比較して約30%の省エネ効果を得ることができる。また、省エネにより大気汚染物質の排出量も抑制できるので環境保全にも寄与することができる。
【0019】
なお、プッシャー10は3胴型として有効面積を大きく採っているので、竪型推進装置13や舵14の他に、原動機や煙突等を効率良く配置することができる。また、船体1の中心には、バージ20からプッシャー10に連続するようにスケグ3を配置し、航行時の保針性が十分に保持できるようにしている。
【0020】
さらに、プッシャー10とバージ20との連結を強固にするために、プッシャー10の前面には複数の組付凸部15を設け、バージ20の後面にはそれらが嵌入する組付凹部22を形成している。また、プッシャー10の左右両側の下端前面には傾斜状の傾斜ガイド面16を形成し、また、バージ20の左右両側の下端後面にその傾斜ガイド部16に合体する傾斜合体面23を形成している。これにより、両者の連結および離脱を容易に行えるようにしている。
【0021】
なお、プッシャー10とバージ20の連結部分には、複数の締結具4および横揺れ防止具5を介在させ、両者の連結を強固で安定したものとしている。
【0022】
【発明の効果】請求項1に記載の発明は、プッシャー10の船首部に連結凹入部11を形成して3胴型とすると共に、バージ20の船尾部に当該連結凹入部11に挿入して組付ける連結凸入部21を形成しているので、プッシャー10の幅をバージ20の幅と一致させて従来より大きく設定することができる。これにより、プッシャー10の単独航行時における復原性を大幅に改善することができ、推進出力の制限も必要なく、全出力での航行を可能にすることができる。
【0023】
請求項2に記載の発明は、それに加えて、プッシャー10の船底を、船尾側に向かって斜め上方に切り上げて傾斜部12としたバトックフロー型としているので、プッシャー10とバージ20を連結した状態での船尾部の推進抵抗を減少させることができる。
【0024】
請求項3に記載の発明は、それに加えて、バージ20の船首部を除く部分からプッシャー10の全体にわたって、その両側面を相互に平行な直線面2としているので、プッシャー10とバージ20を連結した状態での船尾部の推進抵抗を、さらに減少させることができ、大幅な省エネを図ることができる。
【0025】
請求項4に記載の発明は、それに加えて、プッシャー10の船尾に、1軸、2軸または多軸の推進装置13を設けているので、推進力を必要に応じて自由に増減させることができ、さらなる省エネを図ることができる。同時に、十分な速力を得ることができる。
【0026】
請求項5の発明に係るプッシャー・バージ体型船体は、連結又は離脱に際して両者の喫水が自由浮遊になったときに略同一になるように予めバラスト等により調整しておくが、喫水調整が不可能な場合(例えばバージに貨物を積載した状態でプッシャーを離脱させる場合)は両者の喫水差から生じた浮力により両者は組み付け凸部15と組み付け凹部22が上下方向に密着され離脱が不可能になることが懸念される。このような場合にも離脱が可能とするためプッシャーに(図7)に示すように圧力式押出し装置(油圧シリンダー18と押出しピストン19から成り立つもの17を設け、この押出し装置17の押出しピストン19をプッシャー10の連結凹入部11の組付凹部15の船体中心線M−M上に装備し、プッシャー10とバージ20の締結具4及び横揺れ防止具5を全て解放した後に油圧式押出し装置17を作動させプッシャー10をバージ20から離脱させるので、作動が確実である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例に係るプッシャー・バージ一体型船体の概略を示すもので、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図2】従来例に係る一体型船体の船尾部にける水流と波の状況を示すもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
【図3】本発明に係るプッシャー・バージ一体型船体の一実施形態を示すもので、(a)は側面図、(b)は平面図である。
【図4】図3の実施形態に係る一体型船体のプッシャーを示すもので、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【図5】図3の実施形態に係る一体型船体のバージを示すもので、(a)は側面図、(b)は左正面図(背面図)、(c)は平面図である。
【図6】図3の実施形態による一体型船体の船尾部における水流と波の状況を示すもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。
【図7】本発明に係るプッシャー・バージー体型船体の他の実施形態を示すもので、(a)は(b)のM−M側面図、(b)は(a)のN−Nの平面図である。
【符号の説明】
1 プッシャー・バージ一体型船体
2 直線面
3 スケグ
4 締結具
5 横揺れ防止具
10 プッシャー
11 連結凹入部
11a 鉛直壁
12 傾斜部
13 推進装置
14 舵
15 組付凸部
16 傾斜ガイド面
17 押出し装置
18 シリンダー
19 ピストン
20 バージ
21 連結凸入部
22 組付凹部
23 傾斜合体面
30 プッシャー・バージ一体型船体
31 プッシャー
32 バージ
33 凹入部
34 凸入部
F 水流
W 波
Claims (5)
- プッシャー(10)とバージ(20)を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャーの船首側中心部に連結凹入部(11)を形成して3胴型とし,前記バージの船尾側に,前記連結凹入部に挿入して組付く連結凸入部(21)を形成してなるプッシャー・バージ一体型船体。
- プッシャー(10)とバージ(20)を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャーの船首側中心部に連結凹入部(11)を形成して3胴型とし,前記バージの船尾側に,前記連結凹入部に挿入して組付く連結凸入部(21)を形成し、前記プッシャーの船底を,船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部(12)としてバトックフロー型としてなるプッシャー・バージ一体型船体。
- プッシャー(10)とバージ(20)を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャーの船首側中心部に連結凹入部(11)を形成して3胴型とし,前記バージの船尾側に,前記連結凹入部に挿入して組付く連結凸入部(21)を形成し、前記プッシャーの船底を,船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部(12)としてバトックフロー型とし、前記バージの船首部を除く部分から前記プッシャーの全体にわたって,その両側面を相互に平行な直線面(2)としてなるプッシャー・バージ一体型船体。
- プッシャー(10)とバージ(20)を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャーの船首側中心部に連結凹入部(11)を形成して3胴型とし,前記バージの船尾側に,前記連結凹入部に挿入して組付く連結凸入部(21)を形成し、前記プッシャーの船底を,船尾側に向かって斜め上方に切り上げた傾斜部(12)としてバトックフロー型とし、前記バージの船首部を除く部分から前記プッシャーの全体にわたって,その両側面を相互に平行な直線面(2)とし、前記プッシャーの船尾に,1軸,2軸または多軸の推進装置(13)を設けてなるプッシャー・バージ一体型船体。
- プッシャー(10)とバージ(20)を着脱自在に一体化した船体であって、前記プッシャーの船首側中心部に連結凹入部(11)を形成して3胴型とし,前記バージの船尾側に,前記連結凹入部に挿入して組付く連結凸入部(21)を形成し、プッシャー(10)の連結凹入部(11)の一番奥の鉛直壁(11a)に、油圧シリンダー(18)と押出ピストン(19)からなる押出装置(17)をプッシャー船体中心線(M−M)上に設けると共に、押出ピストン(18)に対応するテーパー状組付凹部(22)をばバージ(20)に設けたプッシャー・バージー体型船体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002311539A JP2004142665A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | プッシャー・バージ一体型船体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002311539A JP2004142665A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | プッシャー・バージ一体型船体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004142665A true JP2004142665A (ja) | 2004-05-20 |
Family
ID=32456731
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002311539A Pending JP2004142665A (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | プッシャー・バージ一体型船体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004142665A (ja) |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002311539A patent/JP2004142665A/ja active Pending
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