JP2004142628A - ウエザストリップ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】自動車には幌2が開閉可能に設けられており、フロントピラー及びフロントガラスルーフ部に沿ってウエザストリップ13が取付けられている。ウエザストリップ13のうち、コーナー部に対応する型成形部において、中空状のシール部34の上部内壁側にはソリッドゴムよりなる補強手段51が設けられている。補強部材51は、薄肉長尺板状をなしているとともに、フロントピラーの長手方向に沿って接着固定されている。幌2が閉じられるとき、ウエザストリップ13の型成形部のほぼ上端縁部にあっては、幌2からの押圧力が長手方向に加えられるが、補強手段51の存在により、押圧力による座屈を抑制することができる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長手方向に沿った押圧力を受けるウエザストリップに係り、例えば、コンバーチブル車等に代表される天井部において幌が開閉可能に設けられた自動車のフロントピラー及びフロントガラスルーフ部に沿って取付けられるウエザストリップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コンバーチブル車等のように、天井部に幌が開閉可能に設けられた自動車にあっては、フロントピラー及びフロントガラスルーフ部に沿ってウエザストリップが取付けられる。かかるウエザストリップは、フロントピラーとフロントガラスルーフ部との境界部分に対応する部位がコーナー部となり、該コーナー部は型成形部によって構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、従来、ウエザストリップのうちフロントピラーに対応する部位(ピラー部位)は、中空状のシール部を有しており、該シール部にドアガラス上端縁が当接することで、シール部が変形し、もってドアガラスとフロントピラーとの間がシールされるようになっている。さらに、ウエザストリップのうちフロントガラスルーフ部に対応する部位(ルーフ部位)も、中空状のシール部を有しており、該シール部に幌の前端縁が当接することで、シール部が変形し、フロントガラスルーフ部と幌との間がシールされるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3321634号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような構成の下、幌が閉じられる際には、フロントピラー部位は、その上端縁部分(すなわち、コーナー部)において、幌からの押圧力を受けることとなる。そして、かかる押圧力により、フロントピラー部位の上端縁部分は、長手方向に圧縮され、座屈変形を起こしてしまうおそれがある。このため、前記座屈変形によって外観品質が悪化してしまったり、ドアガラスの閉時には、ドアガラスとのシール性が損なわれてしまったりするおそれがある。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、長手方向に押圧力を受けたとしても、座屈を抑制でき、ひいてはシール性や外観品質に悪影響が及ぶのを防止することのできるウエザストリップを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0008】
手段1.長手方向に沿ったシール部を有し、かつ、端部又はコーナー部において、長手方向に沿った押圧力を受けるウエザストリップであって、
前記端部又はコーナー部に、前記シール部を構成する素材よりも剛性の強い補強手段を長手方向に沿って設けたことを特徴とするウエザストリップ。
【0009】
手段1によれば、端部又はコーナー部において、長手方向に沿った押圧力を受けた時、端部又はコーナー部には、長手方向に沿って補強手段が設けられていることから、前記押圧力による座屈を抑制することができる。その結果、座屈に起因する外観品質の低下や、シール部におけるシール性の低下等の不具合を防止することができる。
【0010】
手段2.天井部において幌が開閉可能に設けられた自動車のフロントピラー及びフロントガラスルーフ部に沿って取付けられ、長手方向に沿ったシール部を有してなるウエザストリップであって、
前記フロントピラーのほぼ上端縁に対応する部位に、前記幌閉時に該幌からの押圧力が加わる方向に沿って、前記シール部を構成する素材よりも剛性の強い補強手段を設けたことを特徴とするウエザストリップ。
【0011】
手段2によれば、ウエザストリップのうち、フロントピラーのほぼ上端縁に対応する部位にあっては、幌閉時において該幌からの押圧力が加わる。前記部位には、押圧力が加わる方向に沿って補強手段が設けられていることから、前記押圧力による座屈を抑制することができる。その結果、座屈に起因する外観品質の低下や、シール部におけるシール性の低下等の不具合を防止することができる。
【0012】
手段3.天井部において幌が開閉可能に設けられた自動車のフロントピラー及びフロントガラスルーフ部に沿って取付けられ、長手方向に沿ったシール部を有してなるウエザストリップであって、
前記フロントピラーのほぼ上端縁に対応する部位に、前記幌閉時に該幌からの押圧力が加わった場合に、前記ほぼ上端縁に対応する部位の座屈を規制するための補強手段を設けたことを特徴とするウエザストリップ。
【0013】
手段3によれば、ウエザストリップのうち、フロントピラーのほぼ上端縁に対応する部位にあっては、幌閉時において該幌からの押圧力が加わる。ウエザストリップには補強手段が設けられており、これにより、前記ほぼ上端縁に対応する部位の座屈が規制される。その結果、座屈に起因する外観品質の低下や、シール部におけるシール性の低下等の不具合を防止することができる。
【0014】
手段4.前記シール部は、中空状又は略中空状をなし、前記補強手段は、前記シール部の中空の内壁側に設けられていることを特徴とする手段2又は3に記載のウエザストリップ。
【0015】
手段4によれば、補強手段が、中空状又は略中空状をなすシール部の内壁側に設けられているため、補強手段が外部から視認されることによる外観品質の低下を抑制することができる。なお、「前記補強手段は、前記シール部の相手部材とは離間した位置に設けられていること」としてもよい。このように構成することにより、補強手段の存在によって相手部材とのシール性が阻害されてしまうといった事態を抑制することができる。
【0016】
手段5.少なくとも前記シール部は、スポンジゴムよりなり、前記補強手段は、前記ゴムと同種のソリッドゴムよりなることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0017】
手段5によれば、補強手段は、シール部を構成するゴムと同種のソリッドゴムよりなる。このため、補強手段がシール部又はその近傍に設けられたとしても、シール部におけるシール性が損なわれにくい。また、補強手段がシール部に設けられる場合には、補強手段とシール部とがなじみやすく、設置状態の安定化を図りやすい。
【0018】
手段6.前記フロントピラーに対応するシール部は、昇降可能なドアガラスと前記フロントピラーとの間をシールするものであり、当該シールが阻害されないように前記補強手段がドアガラスとの当接位置から離れて形成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0019】
手段6によれば、フロントピラーに対応するシール部により、昇降可能なドアガラスとフロントピラーとの間がシールされる。また、補強手段がドアガラスとの当接位置から離れて形成されており、シール部におけるシールが阻害されない。結果として、補強手段によって、座屈等を規制できる一方で、補強手段の存在によってドアガラスに加わる反力が増してしまうことによってシール性が損なわれてしまうといった事態をも回避できる。
【0020】
手段7.前記補強手段は、型成形部に設けられていることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のウエザストリップ。
【0021】
一般に、型成形部においては、押出成形部とは異なり、シール部を補強等するためのブリッジ部等を設けにくく、長手方向に押圧力が加えられると座屈等を起こしやすい。この点、型成形部に補強手段が設けられることで、ブリッジ部等を設けなくても座屈等の変形を規制することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0023】
図1,2に示すように、本実施の形態における自動車(コンバーチブル車)1には、その天井に対応する部位において幌2が開閉可能に設けられている。より詳しくは、幌2は、少なくともその両側縁部において、前後方向に複数に分断されたフレーム(図示略)を有しているとともに、各フレームに対応して前側から順に、前ルーフ部ウエザストリップアッセンブリ3、後ルーフ部ウエザストリップアッセンブリ4、リアクォータ部ウエザストリップ5及び両リアクォータ部ウエザストリップ5の両後端に当接されるリア部ウエザストリップ6が装着されている。幌2は、図示しないリンク機構及び駆動機構によって、各フレームの分断部分に沿って折り畳み可能に構成されている。自動車1の後部においては、前記幌2を収容するための図示しない収容スペースが設けられており、該収容スペース内に、折り畳まれた幌2が収容可能となっている。
【0024】
かかる自動車1にあって、フロントピラー11及びフロントガラスルーフ部12に沿ってフロントウエザストリップ(以下、単に「ウエザストリップ」と称する)13が取付けられている。当該ウエザストリップ13の本体部は、EPDMスポンジゴムよりなり、正面視において全体として略コ字状をなしている。そして、図中散点模様を付した部分、すなわち、フロントピラー11とフロントガラスルーフ部12との境界部分に対応する2つのコーナー部、及び、両前端部が型成形部となっており、それ以外の部分が押出成形部となっている。
【0025】
図3に示すように、ウエザストリップ13のうち、フロントピラー11に対応する部位(以下、「ピラー部位」と称する)の押出成形部は、取付基部21と、該取付基部21に一体形成された車内側側壁部22及び車外側側壁部23と、両側壁部22,23を連結する中空状のシール部24とを有している。また、車内側側壁部22からは係止突部25及びシールリップ26が延出形成されている。さらに、中空状内には中空を横切ってシール部24及び取付基部21を連結するようにブリッジ部27が一体形成されている。なお、これら係止突部25、シールリップ26及びブリッジ部27の少なくとも1つを省略することとしてもよい。
【0026】
また、図6に示すように、コーナー部に対応する型成形部にあっても、上記押出成形部と同様にして取付基部31、車内側側壁部32、車外側側壁部33及びシール部34等を備えている。さらに、コーナー部及びその近傍においては、前記シール部34から延びるようにして、水はけ性を向上させるための樋状のリップ部35が一体形成されている。
【0027】
本実施の形態では、図3,6に示すように、フロントピラー11を構成するボディパネル11aには、断面略T字状をなす樹脂モール41がフロントピラー11の長手方向に沿って固定されている。つまり、樹脂モール41は、ボディパネル31に取付けられる脚部42と、脚部42の先端に連結された外板部43とを有している。かかる樹脂モール41(特に外板部43)の存在により、車外側からみたときのフロントピラー11の外観品質の向上が図られている。
【0028】
前記取付基部21,31は、該樹脂モール41の脚部42に対し、両面接着テープ44(ただし、取付基部31の上端縁部分を除く)を介して取付けられている。なお、脚部42には、先端が拡幅された金属製の係止部材45が装着されており、該係止部材45に対し前記押出成形部の係止突部25が係止されることで、取付安定性の向上が図られている。
【0029】
このように構成されていることで、ドア閉時にあって、かつ、ドアガラスGが最上部に位置した場合、同図2点鎖線で示すように、シール部24,34にドアガラスG上端縁が当接することで、シール部24,34が変形し、もってドアガラスG及びフロントピラー11間がシールされるようになっている。
【0030】
一方、ここでは詳細な説明を省略するが、ウエザストリップ13のうち、フロントガラスルーフ部12に対応する部位(ルーフ部位)は、前記フロントガラスルーフ部12の図示しない取付部材(例えばリテーナ)に対し、嵌合等により取付けられている。該ルーフ部位も、図示はしないが中空状のシール部を有している。そして、該中空状のシール部に前記幌2の前端縁が当接することで、シール部が変形し、もってフロントガラスルーフ部12及び幌2間がシールされるようになっている。
【0031】
さて、図4,5,7に示すように、本実施の形態において、前記コーナー部に対応する型成形部において、中空状のシール部34の上部内壁側には、EPDMソリッドゴムよりなる補強手段51が設けられている。補強部材51は、比較的薄肉に形成され長尺板状をなしているとともに(例えば厚さ2mm程度、幅7mm程度、長さ70mm程度)、フロントピラー11の長手方向に沿って接着剤によって取着固定されている。さらに、補強部材51は、中空状のシール部34の内壁側において、ドアガラスGの最上部よりも上方に設けられている。
【0032】
次に、上記のように構成されてなる本実施の形態の作用効果について説明する。
【0033】
本実施の形態にあっては、幌2が閉じられるとき、ウエザストリップ13のうち、ピラー部位のほぼ上端縁部にあっては、幌2(具体的には、前ルーフ部ウエザストリップアッセンブリ3)からの押圧力が長手方向に加えられることとなる。当該上端縁部は、型成形部よりなり、押出成形部のようなブリッジ部等が設けられていない。しかしながら、本実施の形態では、当該上端縁部には、押圧力が加わる方向に沿って補強手段51が設けられていることから、前記押圧力による座屈を抑制することができる。その結果、座屈に起因する外観品質の低下や、シール部34におけるシール性の低下等の不具合を防止することができる。
【0034】
また、補強手段51は、略中空状をなすシール部34の内壁側に設けられているため、補強手段51が外部から視認されることによる外観品質の低下をも抑制することができる。しかも、補強手段51は、ドアガラスGよりも上方位置、つまり、ドアガラスGとは離間した位置に設けられている。このため、補強手段51が存在することによって、シール部34の撓みが規制されてしまうこと、ひいてはドアガラスGとのシール性が阻害されてしまうといった事態を抑制することができる。
【0035】
さらに、補強手段51は、ウエザストリップ13の本体部と同種のソリッドゴムよりなるため、シール性の阻害をより確実に抑制できる。しかも、補強手段51とシール部34とがなじみやすく、接着状態の安定化を図ることができる。
【0036】
併せて、補強手段51がドアガラスGとの当接位置から離れて形成されており、ドアガラスGからの押圧力が加わる方向には比較的撓みやすい。結果として、シール部34におけるシール性が一層阻害されにくい。すなわち、補強手段51によって、長手方向の押圧力による座屈等を規制できる一方で、補強手段51の存在によってドアガラスGに加わる反力が増してしまうことによってシール性が損なわれてしまうといった事態を回避することもできる。
【0037】
尚、上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0038】
(a)上記実施の形態では、補強手段51を構成する素材として、EPDMソリッドゴムを採用しているが、シール部34(本体部)よりも剛性の強い素材であれば、他の素材(例えば、樹脂材料、金属等)を採用してもよい。
【0039】
(b)上記実施の形態では、補強手段51を接着剤で取着することとしているが、両面テープやクリップ等、別の固定手段で設置することとしてもよいし、型成形部の成形に際し、同時に成形(例えば、インサート成形或いは2色成形)することとしてもよい。
【0040】
(c)補強手段51の形状(サイズ)は、上記実施の形態ものに限られるものではない。従って、例えば、芯状或いは棒状のものであってもよい。
【0041】
(d)上記実施の形態では、コンバーチブル車に具体化しているが、所謂タルガトップ車にも具体化できる。
【0042】
(e)上記実施の形態ではウエザストリップ13を構成する素材としてEPDMスポンジゴムを例示しているが、IR(イソブレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)等の他のゴム材料を用いてもよい。また、オレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、或いは軟質のポリ塩化ビニル等のゴム状弾性を有する他の弾性材料により構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態において自動車を模式的に示す斜視図である。
【図2】ウエザストリップを模式的に示す平面図である。
【図3】図2のJ−J線断面図である。
【図4】ウエザストリップの取付状態を模式的に示す斜視図である。
【図5】ウエザストリップの型成形部を示す斜視図である。
【図6】図4のK−K線断面図である。
【図7】図4のL−L線断面図である。
【符号の説明】
1…自動車、2…幌、11…フロントピラー、12…フロントガラスルーフ部、13…ウエザストリップ、34…シール部、51…補強手段、G…ドアガラス。
Claims (7)
- 長手方向に沿ったシール部を有し、かつ、端部又はコーナー部において、長手方向に沿った押圧力を受けるウエザストリップであって、
前記端部又はコーナー部に、前記シール部を構成する素材よりも剛性の強い補強手段を長手方向に沿って設けたことを特徴とするウエザストリップ。 - 天井部において幌が開閉可能に設けられた自動車のフロントピラー及びフロントガラスルーフ部に沿って取付けられ、長手方向に沿ったシール部を有してなるウエザストリップであって、
前記フロントピラーのほぼ上端縁に対応する部位に、前記幌閉時に該幌からの押圧力が加わる方向に沿って、前記シール部を構成する素材よりも剛性の強い補強手段を設けたことを特徴とするウエザストリップ。 - 天井部において幌が開閉可能に設けられた自動車のフロントピラー及びフロントガラスルーフ部に沿って取付けられ、長手方向に沿ったシール部を有してなるウエザストリップであって、
前記フロントピラーのほぼ上端縁に対応する部位に、前記幌閉時に該幌からの押圧力が加わった場合に、前記ほぼ上端縁に対応する部位の座屈を規制するための補強手段を設けたことを特徴とするウエザストリップ。 - 前記シール部は、中空状又は略中空状をなし、前記補強手段は、前記シール部の中空の内壁側に設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のウエザストリップ。
- 少なくとも前記シール部は、スポンジゴムよりなり、前記補強手段は、前記ゴムと同種のソリッドゴムよりなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のウエザストリップ。
- 前記フロントピラーに対応するシール部は、昇降可能なドアガラスと前記フロントピラーとの間をシールするものであり、当該シールが阻害されないように前記補強手段がドアガラスとの当接位置から離れて形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のウエザストリップ。
- 前記補強手段は、型成形部に設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のウエザストリップ。
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