JP2004142320A - 外観の優れた易識別性金属材料及びその製造方法 - Google Patents
外観の優れた易識別性金属材料及びその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】金属材料表面に形成された被覆層の上に、バインダー成分の含有量が5質量%以下で、特定刺激での易視認性成分を含む組成物を塗布または印刷されてなることを特徴とする外観の優れた易識別性金属材料であり、特に、その組成物が金属材料の表面に吸収浸透されるようにすることで、高い効果が得られる。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家電用、建材用、自動車用などに用いられる、金属材料製品に関するものであり、その金属材料の内容を簡便な手段で識別でき、かつその外観に優れる金属材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
さまざまな金属材料製品が工業的に用いられている。また、金属材料上に、さらに金属層、金属合金層、金属酸化物層、有機物層等の被覆層を単層で、あるいは、複合的に形成した製品が、家電、建材、自動車用等として幅広く製造され、使用されている。
【0003】
鋼板を例にとっても、熱延鋼板、冷延鋼板、ステンレス鋼板や、さらに、鋼板へ亜鉛系、亜鉛合金系、アルミ系、アルミ合金系、ニッケル系、すず系、クロム系、銅系等をめっきした被覆鋼板が、溶融めっき法、電気めっき法等で製造されており、また、鋼板の上に、あるいは、前述の各種めっき層の上に、さらに、有機被覆を塗装、あるいは、ラミネートした有機被覆鋼板も製造されている。
【0004】
有機被覆層の中にも、耐指紋性鋼板、潤滑鋼板、耐傷付性鋼板や、最近では、従来のクロメート使用製品に替わるクロメートフリーの製品も加わり、その数は年々増加している。
【0005】
これらの金属材料、金属板、めっき層で被覆された金属板や、有機被覆金属板等は、その外観から内容(その種類や製造会社等)を確認することが難しく、これらの製品を使用する側から見ると、製品の内容を容易に識別できないため、これらの金属材料を使用する製造工程で間違った材料を使用してしまったり、間違った材料を使用しても、それをチェックすることが難しいという問題があった。
【0006】
また、例えば、家電メーカーが、使用すべき金属材料の内容を図面等で指定していても、それを他の会社に外注して製造委託している場合等に、製品が図面で指定された通りの金属材料で製造されているかどうか、チェックすることも簡単には行えなかった。
【0007】
これらの金属製品には、製造メーカーから出荷される際に、製品の内容を示す紙等が製品の梱包や製品自体に添付され、その内容が容易にわかるように工夫されてはいるが、いったんこの梱包がとかれたり、製品を使用するために加工される段階になると、これらの情報は見られなくなり、加工されたり、組み立てられたりした後に、材料の内容を確認することはできなかった。
【0008】
また、一部の金属材料製品、例えば、建材向けの溶融亜鉛めっき鋼板等には、製造会社名等が印刷してあるケースがあったが、これらの製品は、その見栄えの問題から、人目に触れる場所や、外観が重視される場所には使用できなかった。
【0009】
これまで製造された製品の内容や情報を確認するための方法が、いろいろ提案されてきた。例えば、製品の外面に形成された透明塗膜にレーザー光によって刻印されたマークを付与する方法(特許文献1、参照)が、また、レーザー光によって変色層を設ける方法(特許文献2、参照)が開示されているが、これらの方法では、塗膜層が熱によって部分的であるにしても劣化しており、皮膜層が1μm程度と薄い場合等には、性能上問題となるケースがあった。
【0010】
また、蛍光物質を潤滑剤に混合することで潤滑剤の塗布の均一性を確認する方法(特許文献3、参照)が開示されているが、このように蛍光物質を混合する方法では、高価な蛍光材料の使用量が多くなり、経済的でなく、また、金属材料上の皮膜中に混合するような場合には、その性能が変わってしまい、本来の機能を果たせなくなる恐れがあった。
【0011】
さらに、紫外線照射によって識別できる蛍光剤を含有するマーキング用インキで印刷したラベル(特許文献4、参照)が提案されており、このラベルを貼り付けることによって通常は見えずに紫外線を照射したときにのみ内容が識別できる技術が開示されているが、わざわざラベルを別に印刷してから貼り付ける手間がかかり、経済的でない。
【0012】
また、紫外線照射によって識別できる蛍光剤等を含有するマーキング用インキで直接、製品の表面に印刷を施すことも考えられるが、従来のインキで種々の基材の表面に印刷を施すと、紫外線を照射しない状態でもインキ層が識別できるケースが散発し、製品によってインキの種類を変更する必要が生じた。
【0013】
また、このような蛍光剤は光に弱く、長期間室内に放置すると蛍光作用がなくなったり、溶剤や脱脂剤等の影響で蛍光剤が劣化して蛍光作用がなくなったりするため、信頼性に欠けていた。
【0014】
【特許文献1】
特開2001−63730号公報
【特許文献2】
特開平2−41785号公報
【特許文献3】
特開平11−125605号公報
【特許文献4】
特開2002−169469号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、金属材料製品の内容が容易に識別でき、かつ、その製品の外観を損なわない方法を提供すること、特に、金属薄板のように、出荷された製品が、客先でアルカリ脱脂剤や溶剤等で脱脂されたり、客先で組み立ての際にしばらく放置されたりした後でも、その識別が可能であり続ける耐久性を要求される場合に有効な金属材料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解決するために、金属材料の内容を簡単な設備で容易に識別できる方法を提供する。
【0017】
(1) 金属材料表面に形成された被覆層の上に、バインダー成分の含有量が5質量%以下で、特定刺激での易視認性成分を含む組成物が塗布または印刷されてなることを特徴とする外観の優れた易識別性金属材料。
【0018】
(2) 前記特定刺激での易識別性成分の少なくとも一部が、前記被覆層中に浸透してなる(1)に記載の外観の優れた易識別性金属材料。
【0019】
(3) 前記特定刺激での易視認性成分が、蛍光増白剤である(1)又は(2)に記載の外観の優れた易識別性金属材料。
【0020】
(4) 前記被覆層の吸水率が10%以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の外観の優れた易識別性金属材料。
【0021】
(5) 前記特定刺激が、ブラックライトの照射である(1)〜(4)のいずれかに記載の外観の優れた易識別性金属材料。
【0022】
(6) 金属材料表面に被覆層を形成した後に、バインダー成分の含有量が5質量%以下で、特定刺激での易視認性成分を含む組成物を塗布または印刷することを特徴とする外観の優れた易識別性金属材料の製造方法。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明において金属材料とは、金属を種々の公知の方法で加工して作られた材料であって、金属板、金属管、金属筐体、金属線、金属鋳物、等が例示される。ここで、金属板とは、金属を板状にした金属板、金属板の表面に、さらに、同じ、あるいは別の種類の被覆を施した金属板のことである。金属板の例としては、鋼板、銅板、アルミ板、ニッケル板、チタン板等、あるいは、これらの金属を含む合金板等が挙げられる。
【0024】
さらに、これらの金属の上に、何らかの被覆を公知の方法で施した被覆金属板も含まれる。被覆層の例としては、金属、金属合金、金属酸化物、無機化合物、有機化合物、これらの混合物、複合物等が挙げられ、被覆の方法としては、溶融めっき、電気めっき、無電解めっき、溶射、塗装、ラミネート等が挙げられ、公知の方法で行える。
【0025】
鋼板を例にとると、冷延鋼板、熱延鋼板、ステンレス鋼板等、また、これらに亜鉛めっき、亜鉛−ニッケル合金めっき、ニッケルめっき、亜鉛−鉄合金めっき、合金化溶融亜鉛めっき、アルミめっき、亜鉛−アルミ合金めっき、すずめっき、クロムめっき、銅めっき、鉛−ずす合金めっき、すず−亜鉛合金めっき、亜鉛−マグネシム合金めっき、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき、あるいは、これらを組み合わせためっき等を施しためっき鋼板、上述の各種鋼板にクロメート処理、りん酸亜鉛処理、非クロメート処理等を施した鋼板、上述の各種鋼板に塗装を施した塗装鋼板(塗装前処理層を含んでも良い)、上述の鋼板にフィルムや紙等をラミネートしたラミネート鋼板(塗装前処理層や接着剤層を含んでも良い)、あるいは、塗装とラミネートを複合した鋼板等、非常に多くの種類がある。
【0026】
本発明は、耐指紋性鋼板、潤滑鋼板等のような薄いクリアー被覆(若干の着色はされていても良い)を施した鋼板、クロメート処理、りん酸亜鉛処理、非クロメート防錆処理等を施した鋼板(化成処理鋼板、後処理鋼板等と呼ばれている)に特に有効である。これらの鋼板は、各社から多くの種類の製品が販売されており、特に製品の識別が難しいからである。
【0027】
「特定刺激での易視認性成分を含む組成物」とは、例えば、通常の光の下では目立ちにくいが、紫外線を多く含む光(例えばブラックライト)を照射すると目視可能な光を発して目で容易に見えるようになるインキを含む組成物、熱を加えると特定の色を発色する顔料を含む組成物、pHをアルカリ性、あるいは、酸性側に変化させると特定の色に変色する試薬を含む組成物、通常の光の下では目立ちにくいが、複写機で複写すると複写された紙には感光(あるいはトナーを付着)させられるインキを含む組成物等が挙げられる。
【0028】
これらの組成物によって、その金属製品の表面に、例えば、その内容や製造会社に関する情報を含む記号や文字を形成しておくことによって、製品が出荷された後、あるいは、顧客での製造工程を経た後でも、その特定刺激を加えることによって、金属製品の内容を容易に特定できる。
【0029】
記号や文字は、特に限定されず、絵や会社のロゴのようなでも良いし、文字の言語も特定のものである必要はない。特定刺激での易視認性成分を含む組成物によって形成された記号や文字は、通常の光、温度、環境の中では、視認しにくいことが望まれる。
【0030】
つまり、通常は、それらの記号や文字は目に触れにくく、その製品を使用した場合に外観を損ねることが無く、必要なときに、特定の刺激をあたえることによってその記号や文字を視認し、金属材料の内容を識別できるのがよい。これらの記号や文字を通常の環境中で視認しにくくするために、組成物の色調を調整したり、金属材料の色調を調整してもよい。
【0031】
また、「特定刺激での易視認性成分を含む組成物」によって形成する被覆層は、必ずしも記号や文字である必要はなく、単なるベタ塗り(連続的に被覆する)でもよい。この場合も、特定の刺激を与えることによって該被覆層の発色が認識でき、その製品の識別に役に立つ。
【0032】
上述の記号や文字の大きさや形成の密度は、必要に応じて調整すればよい。例えば、顧客での製造工程を経た後で確認したい場合には、顧客の製品に使用される金属板の大きさから、その大きさの中に最低1箇所で、記号や文字が認識できるように調整すればよい。金属板のブランク後に、確認したい場合には、そのブランクのサイズの中に最低1箇所で、記号や文字が確認できるように、その数や位置を調整すればよい。
【0033】
記号や文字の形成方法は、公知の方法によることができる。例えば、塗布、印刷等であって、必要に応じて、その後の乾燥、硬化工程を加えることができる。また、塗布、印刷の前に、塗布、印刷を容易にし、形成された記号や文字の密着性を確保するための前処理を施してもよい。
【0034】
また、記号や文字を保護するための保護層を、設けてもよい。保護層を設けると、印刷された記号や文字が削れたりして、認識ができなくなるおそれが少なくなり、また、印刷された記号や文字の劣化も防ぐことができるので、より望ましい。
【0035】
塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、インクジェット印刷、レーザー印刷、ゴム印によるスタンプ、彫刻ロールによる塗布、等が挙げられる。乾燥、硬化方法としては、熱風、誘導加熱、紫外線や電子線等のエネルギー線、赤外線等が挙げられる。前処理方法としては、湯洗、水洗、アルカリ脱脂、クロメート処理、りん酸亜鉛処理、非クロメート前処理等の前処理液を使用する方法等が挙げられる。
【0036】
記号や文字は、金属材料の片面のみに形成してもよいし、両面に形成してもよい。記号や文字の形成を、金属材料の製造ライン中で連続して行えば、平板状の金属表面に記号や文字を形成できるため、記号や文字の密度や位置を容易に制御可能であり、かつ、多くの記号や文字を効率的に形成することが可能である。
【0037】
特定刺激での易視認性成分を含む組成物には、特定の刺激を与えることによって視認が容易になる成分の他に、印刷層の皮膜を形成するための樹脂等のバインダー成分、印刷や塗布を容易にするための水や溶剤など、下地との密着性を向上させるための成分(例えば、樹脂、シランカップリング剤、等)、色や光沢を調整するための顔料成分、粘性を調整するための添加物、その他各種添加剤等を含むことができる。
【0038】
特定刺激での易視認性成分を含む組成物が、特別の刺激を与えることによって視認が容易になる成分のほかに、印刷層の保持や密着性確保の観点から、樹脂や無機質、あるいは、これらの混合物、複合物であるバインダー成分を含む場合には、その含有量が5質量%以下であることが必要である。
【0039】
バインダー成分とは、乾燥・硬化して特定刺激での易視認性成分を保持したり、金属表面にあらかじめ形成してある被覆層との密着性を確保するものである。
【0040】
通常、文字や記号、着色層等を形成するための組成物の代表例であるインキや塗布薬剤等は、目的を達成するために含有させる成分を固定するためのバインダー成分、すなわち、有機樹脂、有機−無機のハイブリッド樹脂、無機成分、塗布・印刷後の乾燥工程でインキや塗布薬剤等を硬化させるための成分を含有させるが、本発明においては、これらのバインダー成分が無いほうが効果が高くなる。
【0041】
これは、バインダー成分の含有によって、特定の刺激を与えていないときに、通常の光のもとで記号や文字の形跡が視認されやすくなることによる。つまり、通常の状態では記号や文字等が見えないことで製品の外観を損なわず、記号や文字を見たいときにのみ、特定の刺激を与えることによって記号や文字を視認可能とすることが理想であり、そのために、バインダー成分が無いことが望ましいことを見出した。
【0042】
バインダー成分の量が組成物固形分中に5質量%以下であれば、実質的に記号や文字の形跡は視認しにくくなる。この点で、本発明は従来のインキを単に印刷する方法とは異なるものである。
【0043】
バインダー成分が無い場合には、特定刺激での易視認性成分を溶剤や水又は両者の混合物に溶解することで、文字や記号を形成する。バインダー成分が含まれなくても、特定刺激での易視認性成分を含む組成物によって金属材料の表面にあらかじめ形成した被覆層の上に被覆を形成すれば本発明の効果が得られる。
【0044】
特に、前記被覆層中に、前記組成物の少なくとも一部が浸透する場合には、特に耐久性が向上する。すなわち、成形加工、アルカリや溶剤による脱脂、洗浄、光の当たる場所に放置されることによる劣化が少なくなり、諸条件のもとで視認性が保たれやすく、望ましい。
【0045】
特定刺激での易視認性成分を含む組成物によって形成される記号や文字等は、金属材料上に直接形成されてもよいし、金属材料上に何らかの被覆層を形成してから、その上に形成してもよい。また、特定刺激での易視認性成分を含む組成物によって形成された記号や文字の上層に、記号や文字が特別の刺激を与えたときに視認できる範囲で、さらに、別の層を設けることができる。
【0046】
本発明の効果をさらに顕著なものとするためには、特定刺激での易視認性成分を含む組成物が、金属材料表面に予め形成されている被覆層中に、0.05〜10g/m2吸収されることが特に望ましい。
【0047】
0.05g/m2未満しか吸収しない場合には、特定の刺激を与えることによって視認が容易になる成分が光によって分解しやすく、光の当たる環境に置かれると短時間で、視認性が失われる恐れが高くなる。また、脱脂、洗浄、薬剤への暴露等の特定刺激での易視認性成分が分解しやすい工程を経ると、容易に視認性が失われる危険性がある。
【0048】
このように、金属材料表面に予め形成されている被覆層中に前記組成物が浸透していることによって、特定刺激での易視認性成分の分解や劣化、あるいは、環境中への流出が押さえられ、効果が持続するので、特に望ましい。もちろん、金属材料表面に予め形成されている被覆層の環境に対する耐久性が高いほど、この効果は高くなる。
【0049】
一方、10g/m2を超えて浸透すると、形成した文字や記号の形がくずれ、視認はできるものの、内容を確認するための情報が失われる可能性が高くなる。また、過剰な浸透によって金属材料の腐食を促進したり、記号や文字を形成する工程で金属材料上に形成されている被覆層に損傷を与える危険性があり、また、その被覆層の性能を損なう恐れが高くなる。
【0050】
特に、この溶剤や水の種類を、予め被覆層を形成した金属板を浸漬したときに、該被覆層が、特定刺激での易視認性成分を含む組成物中の溶剤や水又は両者の混合物を0.05〜10g/m2吸収するように選択することが望ましい。
【0051】
これらによって、通常の状態では記号や文字が視認されにくく、特別の刺激を与えたときにのみ視認可能となり、また、光の照射、脱脂、洗浄、等の特別の刺激を与えることによって視認が容易になる成分の分解劣化や、脱落を防止でき、長期間にわたって効果を持続させることが可能となる。
【0052】
組成物が溶剤や水等の揮発成分を含む場合には、組成物中の有効成分の質量比が異なるが、実験によれば、組成物の吸収量がこの範囲にある場合には、特に視認性がよいことを確認できた。
【0053】
さらに、発明者らは、金属材料の表面にあらかじめ形成されている被覆層について、その吸水率が10質量%以下であるときに、視認可能となさしめる成分の耐久性が著しく向上することを見出した。
【0054】
この理由は定かではないが、吸水率が高い場合には視認可能となさしめる成分の劣化の原因となる水等の因子が被覆層に浸透しやすくなり、視認可能となさしめる成分の劣化がやはり進みやすいことが原因だと考えられる。
【0055】
吸水率は、金属板上に該被覆層が形成された状態で20℃の蒸留水に10分間浸漬し、浸漬前後の質量変化から求めることができる。
【0056】
また、特定刺激での易視認性成分による記号や文字を形成した後に、さらに、上層に被膜層を設ける場合にも、特定刺激での易視認性成分層がバインダー成分を含まないことによって、記号や文字の層と上層との密着性が損なわれる懸念が少ない。
【0057】
特定の刺激としては、市販されているブラックライトを用いることが、特に、簡便であり、高い視認性が得られる。特定刺激での易視認性成分として、紫外線を多量に含む光を発するブラックライトを照射したときに発光する蛍光顔料、蛍光染料、蛍光増白剤などが例示される。
【0058】
この中でも、蛍光増白剤が視認性や経済性を考慮すると望ましい。蛍光増白剤としては公知のものを用いることができ、例えば、ジアミノスチルベンジスルホン酸誘導体、トリアジニルアミノスチルベン誘導体、ビススチルビフェニル誘導体など、2−(メタンスルホニル)エタノール、2,5−ビス(5−ターシャリー−ブチル−2−ベンゾキサゾイル)チオフェン(Bis(5−tert−butyl−2−benzoxazolyl)thiophne)等、あるいは、例えば、クラリアントジャパン株式会社等の繊維処理剤メーカーが市販している各種繊維用の蛍光増白剤(例えば、クラリアントジャパン株式会社のホームページに記載されているリューコファーBSBリキッド、ホスタルクスERC、ホルスルックスNR等)を用いることができる。
【0059】
蛍光増白剤としては、固形のものを、溶剤や水に溶解、及び/又は分散して用いることが特に望ましい。もともと液状のものは、環境中に流出しやすく、視認性の持続性に劣るからである。
【0060】
特定刺激での易視認性成分を含む組成物中に、予め被覆層を形成した金属板を浸漬したときに、該被覆層が、特定刺激での易視認性成分を含む組成物をどの程度吸収するかは、次のように測定する。
【0061】
前記組成物中にバインダー成分が含まれない場合には、被覆層を形成した金属の質量を予め測定しておき、次いで、その金属材料を特定刺激での易視認性成分を含む組成物中に10秒浸漬した後に取り出す。ただちに、前記組成物中の溶剤成分(視認を容易にするための成分を含まない)で表面を5秒間洗浄後、付着している液をガーゼで拭き取る。取り出してから20秒経過後(溶剤洗浄後15秒後)に金属材料の質量を測定し、液への浸漬前後の質量差と、金属材料の表面積とから、単位面積当たりの液の吸収量を算出する。
【0062】
前記組成物が溶剤や水を含まない場合には、該組成物中の特定刺激での易視認性成分を溶解することのできる溶剤や水、及び、これらの混合物を用いて洗浄を行う。
【0063】
前記組成物中にバインダー成分を含む場合には、該組成物中のバインダー成分を溶解するための溶剤(溶剤、水やこれらの混合物)を予め用意しておき、金属材料を液から引き上げた後、金属材料の表面に、ただちにこの溶剤を吹きかけて10秒間洗浄し、表面のバインダー成分を洗い流してから手早く表面に付着している液をガーゼで拭き取り、液から引き上げてから20秒後経過後に、金属材料の質量を測定する。
【0064】
単位面積当たりの液吸収量の計算は、前記組成物がバインダー成分を含まない場合と同様に行う。金属材料の表面積が不明の場合には、金属材料に被覆する材料を、別の板状の面に形成して、その被覆材を用いて同様の測定を行えばよい。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって説明する。
【0066】
特定刺激での易視認性成分を含む組成物として、通常の光下では視認しにくく、ブラックライトを照射することによって光を放ち、容易に視認できるインキ組成物を用いた。
【0067】
インキ組成物中の、特定の刺激をあたえることによって視認できる成分として、蛍光増白剤の2,5−ビス(5−ターシャリー−ブチル−2−ベンゾキサゾイル)チオフェンを用いた。
【0068】
本発明例としては、組成物としてこの成分をイソプロピルアルコールとブチルセロソルブを質量比で1/4にした溶剤に質量濃度0.5%となるように溶解・分散したものを用いた。この組成物は「組成物1」と称する。
【0069】
なお、比較例として、2,5−ビス(5−ターシャリー−ブチル−2−ベンゾキサゾイル)チオフェン3部をロジン変性フェノール樹脂100部に混合分散したもの(溶剤を含み不揮発分5%)を用いた。この組成物を「組成物2」と称する。
【0070】
金属材料として、表1に示すものを用い、上述の組成物1と比較組成物とを用いて金属材料の表面に、表1に示す9個の数字と文字とをコンピューター制御によって印刷した。
【0071】
数字のサイズは、24ポイントで、金属板の横20cm、縦15cmの面積当たりに1セットの数字が印刷されるように制御した。文字のNSCは、Nippon Steel Corporationの頭文字で、新日本製鐵株式会社の製品であることがわかるように設定した。
【0072】
数字は、左から順に、めっき種類と付着量(1:付着量20g/m2の電気亜鉛めっき、2:付着量20g/m2の電気亜鉛ニッケル合金めっき、3:付着量50g/m2の溶融亜鉛めっき)、前処理種類(1:電解クロム酸処理、2:前処理層なし、3:塗布型クロメート処理、4:塗布型ノンクロメート処理)、皮膜種類(01:耐指紋性有機被膜、02:潤滑性有機被膜、03:水ガラス系無機被膜、04:親水性樹脂被膜、10:耐指紋性有機被膜に顔料を入れてグレーに着色した被膜、20:非クロメート型有機被膜、30:プレコート鋼板用の2コート2ベーク用皮膜、40:接着剤付きの紙をラミネートしたもの)、膜厚(数字がそのままμmであらわした膜厚)とした。
【0073】
この文字、数字は限定されるものではなく、ここではこのような数字や文字を使用したという例示である。
【0074】
【表1】
【0075】
各組成物が表1の金属材料の皮膜中に吸収される量を、前述の方法によって測定した。結果を表2に示している。
【0076】
印刷後の金属材料について、以下の試験を行った。
【0077】
まず、視認性を確認するために、ブラックライト(富士通製のSF342)を金属板表面に照射し、印刷した文字・数字の視認性を目視で確認した。印刷の視認性は○:容易に視認可能、△:若干見えにくいが視認可能、×:視認不可とした。
【0078】
また、ブラックライトを照射しない状態で、いろいろな方向から印刷部分を目視で観察し、印刷文字・数字が視認できるかどうかを目視で観察した。ブラックライト未照射時の視認性は、○:視認できない、△:見る方向によっては極わずかに視認できる、×:容易に視認できる、と評点をつけた。
【0079】
次いで、エタノールを含ませたガーゼで文字・数字の印刷部分を10往復ラビングした後に、ブラックライトを照射し、印刷が残っているかどうかを目視で確認した。印刷の残り具合は○:容易に視認可能、△:若干見えにくいが視認可能、×:視認不可と評価した。
【0080】
日本パーカライジング社製のファインクリーナーFCL−4460(20g/L液に助剤12g/Lを加えたもの)を60℃に加熱し、印刷済みの金属板を2分間浸漬してアルカリ脱脂した後に、ブラックライトを照射し、印刷文字・数字の残り具合を目視で評価した。印刷の残り具合は○:容易に視認可能、△:若干見えにくいが視認可能、×:視認不可と評価した。
【0081】
印刷済みの金属板を、49℃相対湿度95%以上の槽中に48時間入れた後に、ブラックライトを照射し、印刷が残っているかどうかを目視で確認した。印刷の残り具合は○:容易に視認可能、△:若干見えにくいが視認可能、×:視認不可と評価した。
【0082】
印刷済みの金属板を、屋内の窓際に水平にした状態で3ヶ月放置した後に、ブラックライトを照射し、印刷が残っているかどうかを目視で確認した。印刷の残り具合は○:容易に視認可能、△:若干見えにくいが視認可能、×:視認不可と評価した。
【0083】
(実施例1)
インラインコーター設備を持つ電気亜鉛めっき鋼板製造ラインの、塗装焼き付け設備の後ろに、コンピューター制御のスタンプ型印刷機を設置し、上述の組成物1を用い、表1のNo.1〜9の金属板表面にこの組成物を印刷した。印刷機の後ろに熱風ブロアーを設置し、板温を35℃まで上げて組成物を乾燥した。
【0084】
評価した結果を表2に示した。ブラックライト照射時の視認性は、表2のNo.1〜9の場合、非常に良好であった。また、いずれもブラックライトを未照射時には、視認しにくく、外観に優れていた。
【0085】
また、顧客の工場にこれらの鋼板を出荷し、必要なサイズに切断した後に、ブラックライトを照射すると、先に印刷した文字が同様に現れ、鋼板の内容が容易に識別できた。曲げ加工、浅い絞り加工後の鋼板についても、同様に文字の認識が可能であった。
【0086】
エタノールラビング後にブラックライトを照射した場合の視認性は、No.1〜7ではいずれも良好であったが、クロメート処理の場合(No.8)にやや低下した。これはクロメート処理皮膜中への組成物の浸透量が少なく、また、クロメート皮膜が他の皮膜に比べてポーラスなため、エタノールが皮膜中に浸透して視認性を発現する成分を溶解したためと思われる。
【0087】
No.9では、エタノールラビングによってブラックライト照射時にもほとんど視認性できなくなった。鋼板上に形成されている被膜がめっき層(金属層)であり、被膜層中への組成物1の浸透がないために、耐久性には劣るものと考えられる。
【0088】
アルカリ脱脂後にブラックライトを照射した場合の視認性は、No.1〜8ではいずれも△か○であり、視認可能であった。アルカリによって溶解しやすいクロメート処理皮膜(No.8)の場合に、視認性がやや低下しており、金属板表面の被膜層自身の耐アルカリ性が良好なほうが、印刷がアルカリによって落ちにくく、視認性が保持されやすいものと思われる。
【0089】
また、No.9では、ブラックライト照射時にもほとんど視認できなくなった。鋼板上に形成されている被膜がめっき層(金属層)であり、被膜層中への組成物1の浸透がないために、耐久性には劣っていた。
【0090】
また、被膜の吸水率の高いNo.4の場合も脱脂後の視認性は、脱脂前に比べてやや低下した。吸水率が高いため、脱脂時のアルカリ成分が被膜中に浸透しやすいため、視認可能となる成分の劣化が進むためと考えられる。
【0091】
耐湿性試験後にブラックライトを照射した場合の視認性は、No.1〜8では、いずれも、△か○であり、視認可能であった。耐湿試験によって皮膜が溶解しやすいクロメート処理皮膜(No.8)の場合に、ブラックライト照射時の視認性がやや低下しており、金属板表面の被膜層自身が高湿下で溶解又は劣化しにくいほうが、印刷が落ちにくく、視認性が保持されやすいものと思われる。
【0092】
No.9は、鋼板上に形成されている被膜がめっき層(金属層)であり、湿潤試験によってめっき層の腐食が起こり、ブラックライト照射時に視認できなくなった。被膜層中への組成物1の浸透がないために、少しの腐食でも視認性が低下し、耐久性には劣るものと考えられる。
【0093】
皮膜の吸水率の高いNo.4についても、耐湿試験後の視認性はやや低下している。吸水率が高いため、脱脂時のアルカリ成分が被膜中に浸透しやすいため、視認可能となる成分の劣化が進むためと考えられる。
【0094】
耐光性試験後にブラックライトを照射した場合の視認性は、No.1〜8ではいずれも良好であったが、クロメート処理(No.8)の場合にはやや視認性が低下していた。これはクロメート処理皮膜中への組成物の浸透量が少ないためと思われる。
【0095】
同じ理由で、No.9の場合にも視認性が低下した。また、被膜の吸水率の高いNo.4の場合にも、試験後の視認性は試験前に比べて低下した。これは、通常の環境下に長期間おかれた間に、吸水率が高い影響で湿度が高いときの水分の影響を受けやすく、視認性を発現する成分の劣化が、吸水率が低い場合に比べて促進された結果であると考えられる。
【0096】
なお、各試験後の印刷部分のブラックライト未照射時の視認性は、いずれも、試験前と変わらず、経時で未照射時に印刷が視認しやすくなることはなかった。
【0097】
【表2】
【0098】
(比較例1)
実施例1と同様にして、組成物2について、同様に、No.1〜7及びNo.8の鋼板表面に印刷を施した。いずれの場合にも、ブラックライトを照射しない状態でも印刷文字が視認でき、外観上問題があった。
【0099】
組成物2はバインダー成分を多く含んでおり、そのために、印刷層の屈折率が下層の被膜層と異なるため、あるいは、下層の被膜層と色相の差があるため、通常の状態でも視認でき、外観に劣ったものと考えられる。
【0100】
(実施例2)
インラインコーター設備を持つ電気亜鉛めっき鋼板製造ラインの、塗装前処理設備の後ろにコンピューター制御のスタンプ型印刷機を設置し、組成物1を用いて、電気亜鉛めっきされた板に塗布型クロメート処理を施した金属板表面に、この組成物を印刷した。
【0101】
印刷時の板温が40℃程度なので、特に乾燥は必要なかった。この後、この印刷層の上に、表1のNo.1の皮膜を塗布、乾燥した。
【0102】
室内の光の中で、鋼板表面を観察したが、印刷された数字は認識できなかった。ブラックライトを照射すると、印刷された文字が容易に認識でき、その鋼板の内容が容易に識別できた。
【0103】
また、顧客の工場にこれらの鋼板を出荷し、必要なサイズに切断した後に、ブラックライトを照射すると、先に印刷した文字が同様に現れ、鋼板の内容が容易に識別できた。印刷文字の上に、有機被膜の保護層が形成された形となっており、絞り加工後(絞り比1.8の円筒絞り)の板にブラックライトを照射しても、文字は容易に視認でき、鋼板の内容の識別は極めて容易であった。
【0104】
また、エタノールラビング後、アルカリ脱脂後、耐湿性試験後、耐光性試験後にブラックライトを照射して視認性を評価したところ、いずれも○で、視認性は試験前と変わらなかった。
【0105】
なお、各試験後の印刷部分のブラックライト未照射時の視認性は、いずれも、試験前と変わらず、経時で未照射時に印刷が視認しやすくなることはなかった。
【0106】
(比較例2)
実施例2と同じ要領で、組成物2を用いて印刷を行った。室内の光の中で鋼板表面を観察したところ、印刷した文字が認識でき、外観に劣っていた。
【0107】
(実施例3)
プレコート鋼板とラミネート鋼板の両者を製造できるラインで、プレコート鋼板を製造し、上塗り塗料焼き付け炉の後ろにスタンプ型の印刷機を設置し、組成物1を用いて、上塗り塗膜の上に文字・数字を印刷した。印刷後は、余熱で自然に乾燥した。
【0108】
鋼板の仕様、印刷した文字・数字は表1のNo.10の通りである。評価した結果を表2のNo.10に示した。実施例1、2と同様、視認性、印刷部の耐久性は良好であった。
【0109】
なお、各試験後の印刷部分のブラックライト未照射時の視認性は、いずれも、試験前と変わらず、経時で未照射時に印刷が視認しやすくなることはなかった。
【0110】
(比較例3)
実施例3と同じ要領で、組成物2を用いて印刷を行った。室内の光の中で鋼板表面を観察したところ、印刷した文字が認識でき、外観に劣っていた。
【0111】
(実施例4)
プレコート鋼板とラミネート鋼板の両者を製造できるラインで、紙を鋼板にラミネートしたラミネート鋼板を製造し、ラミネート設備の後ろにスタンプ型の印刷機を設置し、組成物1を用いてラミネートされた紙の上に文字・数字を印刷した。印刷後は、余熱で自然に乾燥した。
【0112】
鋼板の仕様、印刷した文字・数字は、表1のNo.11の通りである。評価した結果を表2のNo.11に示した。他の実施例と比べて、被膜層への吸収量が多いため、やや文字がにじみ、ブラックライト照射時の視認性が若干劣っていたが、十分視認できるレベルであった。
【0113】
エタノールラビング、アルカリ脱脂、耐湿性試験、耐光試験後の視認性は、やや劣っていた。これは、被膜層の吸水率が高いためである。厳しい耐久性試験による耐久性には劣っていたが、実用上は十分可能な性能であった。
【0114】
なお、各試験後の印刷部分のブラックライト未照射時の視認性は、いずれも、試験前と変わらず、経時で未照射時に印刷が視認しやすくなることはなかった。
【0115】
(実施例5)
日本ペイント株式会社製ポリエステル塗料「フレキコート3510クリアー」に、ポリエチレン系のワックスを5質量%加えた新しい製品を作ることになった。この製品と、ポリエチレン系ワックスを含まない製品は、外観上区別できなかった。
【0116】
そこで、ワックスを含む塗料を、インラインコーター設備を持つ電気亜鉛めっき鋼板製造ラインのロールコーターで、塗装前処理済みの電気亜鉛めっき鋼板の上に乾燥膜厚で3μmとなるように塗装したあと、組成物1を用いてワックス入り塗膜の表面の全面にベタ印刷を施した。
【0117】
室内の光の中で、鋼板表面を観察したが、ワックス入りの製品とワックスなしの製品の区別はつかなかった。ブラックライトを照射すると、ワックス入りの被膜を持つ製品では被膜層が青紫色に発色し、その鋼板がワックス入りの被膜を形成した製品であることが容易に識別できた。
【0118】
また、エタノールラビング後、アルカリ脱脂後、耐湿性試験後、耐光性試験後にブラックライトを照射して視認性を評価したところ、いずれも○で、視認性は試験前と変わらなかった。また、この製品をファンヒーターのカートリッジタンク用に出荷したところ、プレス成形は問題なくでき、性能の劣化は認められなかった。
【0119】
なお、各試験後の印刷部分のブラックライト未照射時の視認性は、いずれも、試験前と変わらず、経時で未照射時に印刷が視認しやすくなることはなかった。
【0120】
(比較例4)
日本ペイント株式会社製ポリエステル塗料「フレキコート3510クリアー」に、ポリエチレン系のワックスを5質量%加えた塗料に、2,5−ビス(5−ターシャリー−ブチル−2−ベンゾキサゾイル)チオフェンを0.05%(固形分質量%)分散した塗料を作り、実施例4と同じ要領で塗装した製品を製造した。印刷は施さなかった。
【0121】
室内の蛍光灯の下で鋼板表面を観察すると、わずかに蛍光色が見えた。また、この製品をファンヒーターのカートリッジタンク用に出荷したところ、プレス成形時にカス発生が多発し、問題となった。
【0122】
塗膜中に2,5−ビス(5−ターシャリー−ブチル−2−ベンゾキサゾイル)チオフェンを添加したことによって、塗膜の性能が劣化したためと思われる。
【0123】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、金属材料の内容に関する情報を、金属材料製品の外観を損ねることなく、簡便な操作で識別できるため、客先での材料確認が容易となり、材料の誤使用を防止でき、客先の製品の品質安定化やコストダウンが図れるとともに、製造会社側も客先から指定された自社製品が確実に購入・使用されているかどうかを確認することで、利益の逸失を防止できる。
Claims (6)
- 金属材料表面に形成された被覆層の上に、バインダー成分の含有量が5質量%以下で、特定刺激での易視認性成分を含む組成物が塗布または印刷されてなることを特徴とする外観の優れた易識別性金属材料。
- 前記特定刺激での易識別性成分の少なくとも一部が、前記被覆層中に浸透してなる請求項1に記載の外観の優れた易識別性金属材料。
- 前記特定刺激での易視認性成分が、蛍光増白剤である請求項1又は2に記載の外観の優れた易識別性金属材料。
- 前記被覆層の吸水率が10%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の外観の優れた易識別性金属材料。
- 前記特定刺激が、ブラックライトの照射である請求項1〜4のいずれか1項に記載の外観の優れた易識別性金属材料。
- 金属材料表面に被覆層を形成した後に、バインダー成分の含有量が5質量%以下で、特定刺激での易視認性成分を含む組成物を塗布または印刷することを特徴とする外観の優れた易識別性金属材料の製造方法。
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