JP2004142072A - 工作機械の工具固定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】工具交換後短時間で加工を開始することができるとともに構造が簡単であり、しかも工具を固定するのに用いられる部品を交換する際のコストが安い工作機械の工具固定装置を提供する。
【解決手段】主軸2の先端部に、工具ホルダ5を主軸2とともに回転するように取り付ける。工具ホルダ5に、その先端から主軸2軸線方向に伸びる工具装着穴9を主軸2と同軸上に形成する。工具ホルダ5における工具装着穴9の周囲の部分に、リング状締め付け部材11をはめ被せて焼きばめにより固定する。工具Tを工具装着穴9内に挿入するとともに工具ホルダ5を締め付け部材11により締め付けることによって工具装着穴9内周面と工具T外周面との間に摩擦力を生じさせ、この摩擦力によって工具Tを工具固定部5に固定する。
【選択図】 図1
【解決手段】主軸2の先端部に、工具ホルダ5を主軸2とともに回転するように取り付ける。工具ホルダ5に、その先端から主軸2軸線方向に伸びる工具装着穴9を主軸2と同軸上に形成する。工具ホルダ5における工具装着穴9の周囲の部分に、リング状締め付け部材11をはめ被せて焼きばめにより固定する。工具Tを工具装着穴9内に挿入するとともに工具ホルダ5を締め付け部材11により締め付けることによって工具装着穴9内周面と工具T外周面との間に摩擦力を生じさせ、この摩擦力によって工具Tを工具固定部5に固定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえばマシニングセンタなどの工作機械において、主軸の先端部に工具を固定する工具固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工作機械の主軸への工具固定装置として、主軸の先端面に工具装着穴が形成されるとともに、主軸の工具装着穴の周囲を加熱、冷却する加熱・冷却手段が設けられ、加熱・冷却手段により主軸を加熱して熱膨張させるとともに、工具を工具装着穴内にはめ入れた後主軸を冷却して熱収縮させることによって工具を主軸に焼きばめし、これにより主軸の先端に工具が取り付けられるようになされたものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、工作機械の主軸への工具固定装置として、主軸の先端に設けられたホルダに凸状部が形成され、工具の支持軸に一体に設けられたホルダに凸状部と嵌合する凹状部が形成され、主軸頭の先端部に電熱コイルを組み込んだ高速加熱装置が設けられ、高速加熱装置により凹状部を加熱して熱膨張させるとともに、凸状部を凹状部内にはめ入れた後凹状部を冷却して熱収縮させることによって、凸状部と凹状部とを焼きばめし、これより主軸の先端に工具が取り付けられるようになされたものがある(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−343306号公報(請求項1)
【0005】
【特許文献2】
特許第2912401号公報(第4欄21行〜第5欄31行)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1記載の装置においては、工具交換の際に、主軸における工具装着穴の周囲の部分を加熱膨張させるには、主軸を高温に加熱する必要がある。ところが、熱は主軸全体に伝わるので、主軸における工具装着穴の周囲の部分だけを熱膨張させようとしても、必要以上の熱を加えなければならない。したがって、加熱効率が悪く、工具の交換に比較的長時間を要するという問題がある。また、工具を主軸から取り外す際には、加熱の際に工具にも熱が伝わるので、工具の熱膨張量を主軸の熱膨張量よりも少なくする必要がある。そのため、たとえば超硬合金などの熱膨張量の少ない材料からなる工具を用いる必要があり、コストが高くなる。また、工具による加工精度を向上させるには、主軸が十分に冷却されて完全に熱収縮した後に加工を開始する必要があるが、そのためには工具交換後加工開始までに比較的長時間を要するという問題がある。この問題を防止するために、特許文献1記載の装置においては、主軸の周囲に冷却装置が設けられているが、この場合、構造が複雑になるとともにコストが高くなるという問題がある。さらに、工具交換の度毎に加熱を繰り返すので、主軸を構成する金属に熱疲労が生じて金属の特性を劣化させる。具体的にいえば、主軸の許容応力が低下することにより、主軸が冷却された後にも工具を把持するために必要な把持力が得られず、その結果加工精度が低下するという問題がある。しかも、加工精度の低下を防止するためには、比較的短いサイクルで主軸を交換する必要があり、そのコストも高くなる。
【0007】
特許文献2記載の装置においては、工具交換の際に、工具の支持軸に一体に設けられたホルダの凹状部を加熱膨張させるには、工具の支持軸に一体に設けられた凹状部を高温に加熱する必要がある。ところが、熱は工具の支持軸全体に伝わるので、凹状部だけを熱膨張させようとしても、必要以上の熱を加えなければならない。したがって、加熱効率が悪く、工具の交換に比較的長時間を要するという問題がある。また、工具を主軸から取り外す際には、加熱の際に主軸側ホルダの凸状部にも熱が伝わるので、主軸側ホルダの熱膨張量を工具側ホルダの熱膨張量よりも少なくする必要がある。そのため、たとえば超硬合金などの熱膨張量の少ない材料からなる主軸側ホルダを用いる必要があり、コストが高くなる。また、工具による加工精度を向上させるには、凹状部が十分に冷却されて完全に熱収縮した後に加工を開始する必要があるが、そのためには工具交換後加工開始までに比較的長時間を要するという問題がある。この問題を防止するために、特許文献2記載の装置においても、主軸側ホルダの周囲に冷却装置が設けられているが、この場合も構造が複雑になるとともにコストが高くなるという問題がある。さらに、工具交換の度毎に加熱を繰り返すので、支持軸を構成する金属に熱疲労が生じて金属の特性を劣化させる。具体的にいえば、支持軸の許容応力が低下することにより、支持軸の凹状部が冷却された後にも主軸側ホルダの凸状部を把持するために必要な把持力が得られず、その結果加工精度が低下するという問題がある。しかも、加工精度の低下を防止するためには、比較的短いサイクルで工具側ホルダが一体に設けられた支持軸を交換する必要があり、そのコストも高くなる。
【0008】
この発明の目的は、上記問題を解決し、工具交換後短時間で加工を開始することができるとともに構造が簡単であり、しかも工具を固定するのに用いられる部品を交換する際のコストが安い工作機械の工具固定装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
この発明による工作機械の工具固定装置は、主軸の先端部に、工具固定部が主軸とともに回転するように設けられ、工具固定部に、その先端から主軸軸線方向に伸びる工具装着穴が主軸と同軸上に形成され、工具固定部における工具装着穴の周囲の部分に、リング状締め付け部材がはめ被せられて焼きばめにより固定され、工具が工具装着穴内に挿入されるとともに工具固定部が締め付け部材により締め付けられることによって工具装着穴内周面と工具外周面との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によって工具が工具固定部に固定されるようになされているものである。
【0010】
この発明の工作機械の工具固定装置において、工具固定部は、主軸に一体に形成されることがあり、また主軸とは別体でありかつ主軸に着脱自在に取り付けられる、たとえば工具ホルダからなることがある。
【0011】
この発明の工具固定装置によれば、工具の交換は次のようにして行われる。工具が工具固定部に固定されている状態において、リング状締め付け部材を加熱することにより締め付け部材を熱膨張させた後、締め付け部材を工具固定部から抜く。すると、締め付け部材による締め付け力が解放されるので、工具を工具装着穴から抜き、新たな工具を工具装着穴内に挿入する。この間には、締め付け部材は熱膨張した状態に保持しておくことがよい。ついで、熱膨張した締め付け部材を工具固定部における工具装着穴の周囲の部分にはめ被せる。その後、締め付け部材の加熱を停止すると、締め付け部材が冷却されて熱収縮し、工具固定部における工具装着穴の周囲の部分に締め代を持つように固定され、工具固定部が締め付け部材により締め付けられる。その結果、工具装着穴内周面と工具外周面との間に摩擦力が発生し、この摩擦力により工具が工具固定部に固定される。こうして、工具の交換が行われる。
【0012】
そして、締め付け部材がリング状であるので、その熱容量は少なく、これを熱膨張させるための加熱時間が、従来の主軸やホルダを加熱する場合に比べて短くなる。しかも、冷却に要する時間も、従来の主軸やホルダを加熱する場合に比べて短くなる。したがって、工具の交換に要する時間が短縮される。また、締め付け部材を冷却する装置が不要になり、構造が簡単になるとともにコストが安くなる。
【0013】
また、リング状締め付け部材の寸法を適宜設定することにより、安定した力で工具を固定することが可能になる。
【0014】
さらに、繰り返し高温に加熱されるのはリング状締め付け部材だけであるから、金属疲労が発生した場合にも締め付け部材だけを交換すればよく、主軸やホルダを交換する従来の場合に比べて、交換に要するコストも安くなる。
【0015】
この発明の工作機械の工具固定装置において、締め付け部材の内周面に、その全体を覆うように断熱層が設けられていることがある。この場合、締め付け部材だけを効率良く加熱することができるので、加熱時間を短縮することができる。また、締め付け部材の加熱の際に工具固定部に熱が伝わらないので、工具固定部の寸法変化はなく、工具交換後の加工を精度よく行うことができる。さらに、工具を主軸から取り外す際にも工具に熱が伝わらないので、主軸と同等の熱膨張量を有する材料、たとえば工具鋼などを使用することができ、コストが安くなる。
【0016】
この発明による工具固定装置を備えた工作機械において、主軸に対して主軸軸線方向に移動自在であり、かつ締め付け部材の工具固定部への脱着を行う焼きばめ装置を有しており、焼きばめ装置が、締め付け部材の外周面に接触する第1位置と同じく外周面から離隔する第2位置との間で締め付け部材の径方向に移動しうる複数の発熱体、および各発熱体を第1位置と第2位置との間で移動させるアクチュエータを備えていることがある。
【0017】
この場合、工具の交換は次のようにして行われる。すなわち、まず焼きばめ装置の全ての発熱体をアクチュエータにより第2位置に移動させておく。ついで、焼きばめ装置を主軸に接近するように移動させ、発熱体を締め付け部材の径方向外方に位置させる。ついで、全ての発熱体をアクチュエータにより第1位置に移動させて締め付け部材の外周面に接触させる。ついで、発熱体を発熱させて締め付け部材を加熱し、これにより締め付け部材を熱膨張させる。このとき、アクチュエータから発熱体に作用する第1位置へ移動させる力を、締め付け部材が熱膨張により径方向外側へ拡がろうとする力よりも小さくしておく。締め付け部材が熱膨張して拡径すると、発熱体が締め付け部材に押され、アクチュエータから作用する力に抗して径方向外側に移動する。このとき、締め付け部材は発熱体により保持される。ついで、焼きばめ装置を主軸から離隔する方向に移動させて、締め付け部材を工具固定部から抜く。すると、締め付け部材による締め付け力が解放されるので、工具を工具装着穴から抜き、新たな工具を工具装着穴内に挿入する。この間には、締め付け部材を発熱体により加熱して熱膨張状態に保持しておく。ついで、焼きばめ装置を主軸に対して接近させ、締め付け部材が工具固定部における工具装着穴の周囲の部分に被さるまで移動させる。その後、発熱体による締め付け部材の加熱を停止する。すると、締め付け部材は冷却されて熱収縮し、工具固定部における工具装着穴の周囲の部分に締め代を持つように固定され、工具固定部が締め付け部材により締め付けられる。なお、発熱体にはアクチュエータにより第1位置側に移動させる力が付与されたままであるから、締め付け部材が熱収縮して工具固定部の周囲に固定されるまでの間中、締め付け部材は発熱体により保持されている。そして、工具固定部が締め付け部材により締め付けられる結果、工具装着穴内周面と工具外周面との間に摩擦力が発生し、この摩擦力により工具が工具固定部に固定される。こうして、工具の交換が行われる。
【0018】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、主軸の工具が取り付けられる側、すなわち図1および図5の下側を前、これと反対側を後というものとする。
【0019】
図1はこの発明による工具固定装置を備えた工作機械の主軸装置の前部を示し、図2および図3は工具固定部としての工具ホルダの前端部および焼きばめ装置を示し、図4は工具の交換方法を示す。
【0020】
図1において、工作機械の主軸装置は、図示しない主軸頭に固定状に設けられた固定ハウジング(1)と、固定ハウジング(1)内に配された鉛直状態の中空状主軸(2)とを備えている。
【0021】
主軸(2)の前部は複数の主軸軸受(3)により固定ハウジング(1)に回転自在に支持されている。主軸軸受(3)としては、ラジアル荷重と少なくとも1方向のスラスト荷重を受けることができる軸受、たとえばアンギュラ玉軸受、深溝玉軸受、円すいころ軸受などが用いられる。
【0022】
主軸(2)の前端面にはテーパ穴(4)が形成されており、このテーパ穴(4)内に、工具固定部としての工具ホルダ(5)のテーパシャンク(5a)が挿入されている。工具ホルダ(5)のテーパシャンク(5a)後端のプルスタッド(5b)は、主軸(2)内に主軸(2)軸線方向に移動しうるように配置されたドローバー(6)の前端部に設けられた把持装置(7)により把持され、これにより工具ホルダ(5)が主軸(2)前端に着脱自在に取り付けられている。
【0023】
工具ホルダ(5)の前部には所定長さの円柱部(8)が設けられている。また、工具ホルダ(5)には、その前端面から後方に伸びる有底円筒状の工具装着穴(9)が主軸(2)と同軸上に形成されている。工具装着穴(9)の後端は円柱部(8)の後端よりも後方まで伸びている。円柱部(8)における工具装着穴(9)の周囲の部分に、前端から後方に伸びる2つのスリット(10)が1直径上に位置するように入れられている(図3参照)。
【0024】
工具ホルダ(5)の円柱部(8)の周囲に、リング状締め付け部材(11)がはめ被せられて焼きばめにより固定されている。そして、工具(T)が工具ホルダ(5)の工具装着穴(9)内に挿入され、円柱部(8)が締め付け部材(11)により締め付けられることによって工具装着穴(9)内周面と工具(T)外周面との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によって工具(T)が工具ホルダ(5)の円柱部(8)に固定されるようになっている。締め付け部材(11)の内周面に、その全体を覆うように断熱層(12)が設けられている。
【0025】
図2および図3に示すように、工作機械は、主軸(2)に対して主軸(2)軸線方向に移動自在であり、かつ締め付け部材(11)の円柱部(8)への脱着を行う焼きばめ装置(20)を備えている。焼きばめ装置(20)は、ベース(21)と、ベース(21)上に、締め付け部材(11)の径方向に移動自在に設けられた2つの半円筒状支持部材(22)と、各支持部材(22)の内周面の上端部に取り付けられた半円筒状発熱体(23)と、各支持部材(22)を移動させる2つのアクチュエータ(24)と、両アクチュエータ(24)を駆動するアクチュエータ駆動装置(25)と、発熱体(23)を発熱させる加熱装置(26)とを備えている。
【0026】
支持部材(22)および発熱体(23)の内周面の曲率は、それぞれ締め付け部材(11)の外周面の曲率と等しく、発熱体(23)は、その内周面が支持部材(22)の内周面と面一となるように、支持部材(22)の内周面に形成された大径部(22a)内にはめ止められている。発熱体(23)は、支持部材(22)が移動することにより、締め付け部材(11)の外周面に接触する第1位置と、同じく外周面から離隔する第2位置との間で締め付け部材(11)の径方向に移動するようになっている。通常、焼きばめ装置(20)は主軸(2)から主軸(2)軸線方向に離隔した位置にあり、かつ発熱体(23)は第2位置にある。
【0027】
次に、工具(T)の交換方法について説明する。
【0028】
まず、主軸(2)から主軸(2)軸線方向に離隔した位置にある焼きばめ装置(20)の発熱体(23)を、アクチュエータ(24)により支持部材(22)を介して第2位置に移動させておく。ついで、焼きばめ装置(20)を主軸(2)に接近するように移動させ、発熱体(23)を締め付け部材(11)の径方向外方に位置させる(図2および図3参照)。ついで、アクチュエータ駆動装置(25)によりアクチュエータ(24)を作動させることによって、支持部材(22)を径方向内方に移動させ、両発熱体(23)を第1位置に移動させて締め付け部材(11)の外周面に接触させる(図4(a)参照)。このとき、アクチュエータ(24)から支持部材(22)および発熱体(23)に作用する発熱体(23)を第1位置へ移動させる力を、締め付け部材(11)が熱膨張により径方向外側へ拡がろうとする力よりも小さくしておく。なお、アクチュエータ(24)が支持部材(22)を介して発熱体(23)を第1位置に移動させる力は、以後継続的に作用させておく。ついで、加熱装置(26)により発熱体(23)を発熱させて締め付け部材(11)を加熱し、これにより締め付け部材(11)を熱膨張させる。このとき、断熱層(12)の働きにより、円柱部(8)および工具(T)への伝熱が防止されるとともに、締め付け部材(11)だけが効率良く加熱される。
【0029】
締め付け部材(11)が加熱されることにより熱膨張して拡径すると、発熱体(23)および支持部材(22)が締め付け部材(11)に押され、アクチュエータ(24)から作用する力に抗して径方向外側に移動する。このとき、締め付け部材(11)は発熱体(23)により保持される(図4(b)参照)。ついで、焼きばめ装置(20)を主軸(2)から離隔する方向に移動させて、締め付け部材(11)を工具ホルダ(5)の円柱部(8)から抜く。すると、締め付け部材(11)による締め付け力が解放されるので、工具(T)を工具装着穴(9)から抜き、新たな工具(T)を工具装着穴(9)内に挿入する。この間には、締め付け部材(11)を発熱体(23)により加熱して熱膨張状態に保持しておく。ついで、焼きばめ装置(20)を主軸(2)に対して接近させ、締め付け部材(11)が円柱部(8)における工具装着穴(9)の周囲の部分に被さるまで移動させる。その後、発熱体(23)による締め付け部材(11)の加熱を停止する。すると、締め付け部材(11)は冷却されて熱収縮し、円柱部(8)における工具装着穴(9)の周囲の部分に締め代を持つように固定され、円柱部(8)が締め付け部材(11)により締め付けられる。なお、発熱体(23)には、支持部材(22)を介してアクチュエータ(24)により第1位置に移動させる力が付与されたままであるから、締め付け部材(11)が熱収縮して円柱部(8)の周囲に固定されるまでの間中、締め付け部材(11)は発熱体(23)により保持されている。そして、円柱部(8)が締め付け部材(11)により締め付けられる結果、工具装着穴(9)内周面と工具(T)外周面との間に摩擦力が発生し、この摩擦力によって工具(T)が工具ホルダ(5)に固定される。こうして、工具(T)の交換が行われる。
【0030】
上記実施形態は、工具ホルダ(5)が主軸(2)に取り付けられた状態で工具(T)を交換する場合を示すが、これに限るものではなく、工具ホルダ(5)を主軸(2)から取り外して適当な固定部に固定した状態で工具(T)を交換するようにしてもよい。
【0031】
図5はこの発明の他の実施形態を示す。なお、図5において、図1に示すものと同一物には同一符号を付す。
【0032】
図5において、主軸(2)の前端部に工具固定部(30)が一体に形成されている。工具固定部(30)の前部に所定長さの円柱部(8)が形成されている。また、工具固定部(30)には、その前端面から後方に伸びる有底円筒状の工具装着穴(9)が主軸(2)と同軸上に形成されている。工具装着穴(9)の後端は円柱部(8)の後端よりも後方まで伸びている。円柱部(8)における工具装着穴(9)の周囲の部分に、前端から後方に伸びる2つのスリット(10)が1直径上に位置するように入れられている。その他の構成は図1〜図4に示す実施形態のものと同様であり、図2〜図4に示すのと同様な方法で工具(T)の交換が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による工具固定装置を備えた工作機械の主軸装置の前部を示す垂直断面図である。
【図2】工具固定部としての工具ホルダの前端部および焼きばめ装置を示す垂直断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】工具の交換方法を示す図である。
【図5】この発明による他の実施形態の工具固定装置を備えた工作機械の主軸装置の前部を示す垂直断面図である。
【符号の説明】
(2):主軸
(5):工具ホルダ(工具固定部)
(9):工具装着穴
(11):締め付け部材
(12):断熱層
(30):工具固定部
(T):工具
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえばマシニングセンタなどの工作機械において、主軸の先端部に工具を固定する工具固定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工作機械の主軸への工具固定装置として、主軸の先端面に工具装着穴が形成されるとともに、主軸の工具装着穴の周囲を加熱、冷却する加熱・冷却手段が設けられ、加熱・冷却手段により主軸を加熱して熱膨張させるとともに、工具を工具装着穴内にはめ入れた後主軸を冷却して熱収縮させることによって工具を主軸に焼きばめし、これにより主軸の先端に工具が取り付けられるようになされたものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、工作機械の主軸への工具固定装置として、主軸の先端に設けられたホルダに凸状部が形成され、工具の支持軸に一体に設けられたホルダに凸状部と嵌合する凹状部が形成され、主軸頭の先端部に電熱コイルを組み込んだ高速加熱装置が設けられ、高速加熱装置により凹状部を加熱して熱膨張させるとともに、凸状部を凹状部内にはめ入れた後凹状部を冷却して熱収縮させることによって、凸状部と凹状部とを焼きばめし、これより主軸の先端に工具が取り付けられるようになされたものがある(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−343306号公報(請求項1)
【0005】
【特許文献2】
特許第2912401号公報(第4欄21行〜第5欄31行)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1記載の装置においては、工具交換の際に、主軸における工具装着穴の周囲の部分を加熱膨張させるには、主軸を高温に加熱する必要がある。ところが、熱は主軸全体に伝わるので、主軸における工具装着穴の周囲の部分だけを熱膨張させようとしても、必要以上の熱を加えなければならない。したがって、加熱効率が悪く、工具の交換に比較的長時間を要するという問題がある。また、工具を主軸から取り外す際には、加熱の際に工具にも熱が伝わるので、工具の熱膨張量を主軸の熱膨張量よりも少なくする必要がある。そのため、たとえば超硬合金などの熱膨張量の少ない材料からなる工具を用いる必要があり、コストが高くなる。また、工具による加工精度を向上させるには、主軸が十分に冷却されて完全に熱収縮した後に加工を開始する必要があるが、そのためには工具交換後加工開始までに比較的長時間を要するという問題がある。この問題を防止するために、特許文献1記載の装置においては、主軸の周囲に冷却装置が設けられているが、この場合、構造が複雑になるとともにコストが高くなるという問題がある。さらに、工具交換の度毎に加熱を繰り返すので、主軸を構成する金属に熱疲労が生じて金属の特性を劣化させる。具体的にいえば、主軸の許容応力が低下することにより、主軸が冷却された後にも工具を把持するために必要な把持力が得られず、その結果加工精度が低下するという問題がある。しかも、加工精度の低下を防止するためには、比較的短いサイクルで主軸を交換する必要があり、そのコストも高くなる。
【0007】
特許文献2記載の装置においては、工具交換の際に、工具の支持軸に一体に設けられたホルダの凹状部を加熱膨張させるには、工具の支持軸に一体に設けられた凹状部を高温に加熱する必要がある。ところが、熱は工具の支持軸全体に伝わるので、凹状部だけを熱膨張させようとしても、必要以上の熱を加えなければならない。したがって、加熱効率が悪く、工具の交換に比較的長時間を要するという問題がある。また、工具を主軸から取り外す際には、加熱の際に主軸側ホルダの凸状部にも熱が伝わるので、主軸側ホルダの熱膨張量を工具側ホルダの熱膨張量よりも少なくする必要がある。そのため、たとえば超硬合金などの熱膨張量の少ない材料からなる主軸側ホルダを用いる必要があり、コストが高くなる。また、工具による加工精度を向上させるには、凹状部が十分に冷却されて完全に熱収縮した後に加工を開始する必要があるが、そのためには工具交換後加工開始までに比較的長時間を要するという問題がある。この問題を防止するために、特許文献2記載の装置においても、主軸側ホルダの周囲に冷却装置が設けられているが、この場合も構造が複雑になるとともにコストが高くなるという問題がある。さらに、工具交換の度毎に加熱を繰り返すので、支持軸を構成する金属に熱疲労が生じて金属の特性を劣化させる。具体的にいえば、支持軸の許容応力が低下することにより、支持軸の凹状部が冷却された後にも主軸側ホルダの凸状部を把持するために必要な把持力が得られず、その結果加工精度が低下するという問題がある。しかも、加工精度の低下を防止するためには、比較的短いサイクルで工具側ホルダが一体に設けられた支持軸を交換する必要があり、そのコストも高くなる。
【0008】
この発明の目的は、上記問題を解決し、工具交換後短時間で加工を開始することができるとともに構造が簡単であり、しかも工具を固定するのに用いられる部品を交換する際のコストが安い工作機械の工具固定装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段と発明の効果】
この発明による工作機械の工具固定装置は、主軸の先端部に、工具固定部が主軸とともに回転するように設けられ、工具固定部に、その先端から主軸軸線方向に伸びる工具装着穴が主軸と同軸上に形成され、工具固定部における工具装着穴の周囲の部分に、リング状締め付け部材がはめ被せられて焼きばめにより固定され、工具が工具装着穴内に挿入されるとともに工具固定部が締め付け部材により締め付けられることによって工具装着穴内周面と工具外周面との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によって工具が工具固定部に固定されるようになされているものである。
【0010】
この発明の工作機械の工具固定装置において、工具固定部は、主軸に一体に形成されることがあり、また主軸とは別体でありかつ主軸に着脱自在に取り付けられる、たとえば工具ホルダからなることがある。
【0011】
この発明の工具固定装置によれば、工具の交換は次のようにして行われる。工具が工具固定部に固定されている状態において、リング状締め付け部材を加熱することにより締め付け部材を熱膨張させた後、締め付け部材を工具固定部から抜く。すると、締め付け部材による締め付け力が解放されるので、工具を工具装着穴から抜き、新たな工具を工具装着穴内に挿入する。この間には、締め付け部材は熱膨張した状態に保持しておくことがよい。ついで、熱膨張した締め付け部材を工具固定部における工具装着穴の周囲の部分にはめ被せる。その後、締め付け部材の加熱を停止すると、締め付け部材が冷却されて熱収縮し、工具固定部における工具装着穴の周囲の部分に締め代を持つように固定され、工具固定部が締め付け部材により締め付けられる。その結果、工具装着穴内周面と工具外周面との間に摩擦力が発生し、この摩擦力により工具が工具固定部に固定される。こうして、工具の交換が行われる。
【0012】
そして、締め付け部材がリング状であるので、その熱容量は少なく、これを熱膨張させるための加熱時間が、従来の主軸やホルダを加熱する場合に比べて短くなる。しかも、冷却に要する時間も、従来の主軸やホルダを加熱する場合に比べて短くなる。したがって、工具の交換に要する時間が短縮される。また、締め付け部材を冷却する装置が不要になり、構造が簡単になるとともにコストが安くなる。
【0013】
また、リング状締め付け部材の寸法を適宜設定することにより、安定した力で工具を固定することが可能になる。
【0014】
さらに、繰り返し高温に加熱されるのはリング状締め付け部材だけであるから、金属疲労が発生した場合にも締め付け部材だけを交換すればよく、主軸やホルダを交換する従来の場合に比べて、交換に要するコストも安くなる。
【0015】
この発明の工作機械の工具固定装置において、締め付け部材の内周面に、その全体を覆うように断熱層が設けられていることがある。この場合、締め付け部材だけを効率良く加熱することができるので、加熱時間を短縮することができる。また、締め付け部材の加熱の際に工具固定部に熱が伝わらないので、工具固定部の寸法変化はなく、工具交換後の加工を精度よく行うことができる。さらに、工具を主軸から取り外す際にも工具に熱が伝わらないので、主軸と同等の熱膨張量を有する材料、たとえば工具鋼などを使用することができ、コストが安くなる。
【0016】
この発明による工具固定装置を備えた工作機械において、主軸に対して主軸軸線方向に移動自在であり、かつ締め付け部材の工具固定部への脱着を行う焼きばめ装置を有しており、焼きばめ装置が、締め付け部材の外周面に接触する第1位置と同じく外周面から離隔する第2位置との間で締め付け部材の径方向に移動しうる複数の発熱体、および各発熱体を第1位置と第2位置との間で移動させるアクチュエータを備えていることがある。
【0017】
この場合、工具の交換は次のようにして行われる。すなわち、まず焼きばめ装置の全ての発熱体をアクチュエータにより第2位置に移動させておく。ついで、焼きばめ装置を主軸に接近するように移動させ、発熱体を締め付け部材の径方向外方に位置させる。ついで、全ての発熱体をアクチュエータにより第1位置に移動させて締め付け部材の外周面に接触させる。ついで、発熱体を発熱させて締め付け部材を加熱し、これにより締め付け部材を熱膨張させる。このとき、アクチュエータから発熱体に作用する第1位置へ移動させる力を、締め付け部材が熱膨張により径方向外側へ拡がろうとする力よりも小さくしておく。締め付け部材が熱膨張して拡径すると、発熱体が締め付け部材に押され、アクチュエータから作用する力に抗して径方向外側に移動する。このとき、締め付け部材は発熱体により保持される。ついで、焼きばめ装置を主軸から離隔する方向に移動させて、締め付け部材を工具固定部から抜く。すると、締め付け部材による締め付け力が解放されるので、工具を工具装着穴から抜き、新たな工具を工具装着穴内に挿入する。この間には、締め付け部材を発熱体により加熱して熱膨張状態に保持しておく。ついで、焼きばめ装置を主軸に対して接近させ、締め付け部材が工具固定部における工具装着穴の周囲の部分に被さるまで移動させる。その後、発熱体による締め付け部材の加熱を停止する。すると、締め付け部材は冷却されて熱収縮し、工具固定部における工具装着穴の周囲の部分に締め代を持つように固定され、工具固定部が締め付け部材により締め付けられる。なお、発熱体にはアクチュエータにより第1位置側に移動させる力が付与されたままであるから、締め付け部材が熱収縮して工具固定部の周囲に固定されるまでの間中、締め付け部材は発熱体により保持されている。そして、工具固定部が締め付け部材により締め付けられる結果、工具装着穴内周面と工具外周面との間に摩擦力が発生し、この摩擦力により工具が工具固定部に固定される。こうして、工具の交換が行われる。
【0018】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、主軸の工具が取り付けられる側、すなわち図1および図5の下側を前、これと反対側を後というものとする。
【0019】
図1はこの発明による工具固定装置を備えた工作機械の主軸装置の前部を示し、図2および図3は工具固定部としての工具ホルダの前端部および焼きばめ装置を示し、図4は工具の交換方法を示す。
【0020】
図1において、工作機械の主軸装置は、図示しない主軸頭に固定状に設けられた固定ハウジング(1)と、固定ハウジング(1)内に配された鉛直状態の中空状主軸(2)とを備えている。
【0021】
主軸(2)の前部は複数の主軸軸受(3)により固定ハウジング(1)に回転自在に支持されている。主軸軸受(3)としては、ラジアル荷重と少なくとも1方向のスラスト荷重を受けることができる軸受、たとえばアンギュラ玉軸受、深溝玉軸受、円すいころ軸受などが用いられる。
【0022】
主軸(2)の前端面にはテーパ穴(4)が形成されており、このテーパ穴(4)内に、工具固定部としての工具ホルダ(5)のテーパシャンク(5a)が挿入されている。工具ホルダ(5)のテーパシャンク(5a)後端のプルスタッド(5b)は、主軸(2)内に主軸(2)軸線方向に移動しうるように配置されたドローバー(6)の前端部に設けられた把持装置(7)により把持され、これにより工具ホルダ(5)が主軸(2)前端に着脱自在に取り付けられている。
【0023】
工具ホルダ(5)の前部には所定長さの円柱部(8)が設けられている。また、工具ホルダ(5)には、その前端面から後方に伸びる有底円筒状の工具装着穴(9)が主軸(2)と同軸上に形成されている。工具装着穴(9)の後端は円柱部(8)の後端よりも後方まで伸びている。円柱部(8)における工具装着穴(9)の周囲の部分に、前端から後方に伸びる2つのスリット(10)が1直径上に位置するように入れられている(図3参照)。
【0024】
工具ホルダ(5)の円柱部(8)の周囲に、リング状締め付け部材(11)がはめ被せられて焼きばめにより固定されている。そして、工具(T)が工具ホルダ(5)の工具装着穴(9)内に挿入され、円柱部(8)が締め付け部材(11)により締め付けられることによって工具装着穴(9)内周面と工具(T)外周面との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によって工具(T)が工具ホルダ(5)の円柱部(8)に固定されるようになっている。締め付け部材(11)の内周面に、その全体を覆うように断熱層(12)が設けられている。
【0025】
図2および図3に示すように、工作機械は、主軸(2)に対して主軸(2)軸線方向に移動自在であり、かつ締め付け部材(11)の円柱部(8)への脱着を行う焼きばめ装置(20)を備えている。焼きばめ装置(20)は、ベース(21)と、ベース(21)上に、締め付け部材(11)の径方向に移動自在に設けられた2つの半円筒状支持部材(22)と、各支持部材(22)の内周面の上端部に取り付けられた半円筒状発熱体(23)と、各支持部材(22)を移動させる2つのアクチュエータ(24)と、両アクチュエータ(24)を駆動するアクチュエータ駆動装置(25)と、発熱体(23)を発熱させる加熱装置(26)とを備えている。
【0026】
支持部材(22)および発熱体(23)の内周面の曲率は、それぞれ締め付け部材(11)の外周面の曲率と等しく、発熱体(23)は、その内周面が支持部材(22)の内周面と面一となるように、支持部材(22)の内周面に形成された大径部(22a)内にはめ止められている。発熱体(23)は、支持部材(22)が移動することにより、締め付け部材(11)の外周面に接触する第1位置と、同じく外周面から離隔する第2位置との間で締め付け部材(11)の径方向に移動するようになっている。通常、焼きばめ装置(20)は主軸(2)から主軸(2)軸線方向に離隔した位置にあり、かつ発熱体(23)は第2位置にある。
【0027】
次に、工具(T)の交換方法について説明する。
【0028】
まず、主軸(2)から主軸(2)軸線方向に離隔した位置にある焼きばめ装置(20)の発熱体(23)を、アクチュエータ(24)により支持部材(22)を介して第2位置に移動させておく。ついで、焼きばめ装置(20)を主軸(2)に接近するように移動させ、発熱体(23)を締め付け部材(11)の径方向外方に位置させる(図2および図3参照)。ついで、アクチュエータ駆動装置(25)によりアクチュエータ(24)を作動させることによって、支持部材(22)を径方向内方に移動させ、両発熱体(23)を第1位置に移動させて締め付け部材(11)の外周面に接触させる(図4(a)参照)。このとき、アクチュエータ(24)から支持部材(22)および発熱体(23)に作用する発熱体(23)を第1位置へ移動させる力を、締め付け部材(11)が熱膨張により径方向外側へ拡がろうとする力よりも小さくしておく。なお、アクチュエータ(24)が支持部材(22)を介して発熱体(23)を第1位置に移動させる力は、以後継続的に作用させておく。ついで、加熱装置(26)により発熱体(23)を発熱させて締め付け部材(11)を加熱し、これにより締め付け部材(11)を熱膨張させる。このとき、断熱層(12)の働きにより、円柱部(8)および工具(T)への伝熱が防止されるとともに、締め付け部材(11)だけが効率良く加熱される。
【0029】
締め付け部材(11)が加熱されることにより熱膨張して拡径すると、発熱体(23)および支持部材(22)が締め付け部材(11)に押され、アクチュエータ(24)から作用する力に抗して径方向外側に移動する。このとき、締め付け部材(11)は発熱体(23)により保持される(図4(b)参照)。ついで、焼きばめ装置(20)を主軸(2)から離隔する方向に移動させて、締め付け部材(11)を工具ホルダ(5)の円柱部(8)から抜く。すると、締め付け部材(11)による締め付け力が解放されるので、工具(T)を工具装着穴(9)から抜き、新たな工具(T)を工具装着穴(9)内に挿入する。この間には、締め付け部材(11)を発熱体(23)により加熱して熱膨張状態に保持しておく。ついで、焼きばめ装置(20)を主軸(2)に対して接近させ、締め付け部材(11)が円柱部(8)における工具装着穴(9)の周囲の部分に被さるまで移動させる。その後、発熱体(23)による締め付け部材(11)の加熱を停止する。すると、締め付け部材(11)は冷却されて熱収縮し、円柱部(8)における工具装着穴(9)の周囲の部分に締め代を持つように固定され、円柱部(8)が締め付け部材(11)により締め付けられる。なお、発熱体(23)には、支持部材(22)を介してアクチュエータ(24)により第1位置に移動させる力が付与されたままであるから、締め付け部材(11)が熱収縮して円柱部(8)の周囲に固定されるまでの間中、締め付け部材(11)は発熱体(23)により保持されている。そして、円柱部(8)が締め付け部材(11)により締め付けられる結果、工具装着穴(9)内周面と工具(T)外周面との間に摩擦力が発生し、この摩擦力によって工具(T)が工具ホルダ(5)に固定される。こうして、工具(T)の交換が行われる。
【0030】
上記実施形態は、工具ホルダ(5)が主軸(2)に取り付けられた状態で工具(T)を交換する場合を示すが、これに限るものではなく、工具ホルダ(5)を主軸(2)から取り外して適当な固定部に固定した状態で工具(T)を交換するようにしてもよい。
【0031】
図5はこの発明の他の実施形態を示す。なお、図5において、図1に示すものと同一物には同一符号を付す。
【0032】
図5において、主軸(2)の前端部に工具固定部(30)が一体に形成されている。工具固定部(30)の前部に所定長さの円柱部(8)が形成されている。また、工具固定部(30)には、その前端面から後方に伸びる有底円筒状の工具装着穴(9)が主軸(2)と同軸上に形成されている。工具装着穴(9)の後端は円柱部(8)の後端よりも後方まで伸びている。円柱部(8)における工具装着穴(9)の周囲の部分に、前端から後方に伸びる2つのスリット(10)が1直径上に位置するように入れられている。その他の構成は図1〜図4に示す実施形態のものと同様であり、図2〜図4に示すのと同様な方法で工具(T)の交換が行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による工具固定装置を備えた工作機械の主軸装置の前部を示す垂直断面図である。
【図2】工具固定部としての工具ホルダの前端部および焼きばめ装置を示す垂直断面図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】工具の交換方法を示す図である。
【図5】この発明による他の実施形態の工具固定装置を備えた工作機械の主軸装置の前部を示す垂直断面図である。
【符号の説明】
(2):主軸
(5):工具ホルダ(工具固定部)
(9):工具装着穴
(11):締め付け部材
(12):断熱層
(30):工具固定部
(T):工具
Claims (2)
- 主軸の先端部に、工具固定部が主軸とともに回転するように設けられ、工具固定部に、その先端から主軸軸線方向に伸びる工具装着穴が主軸と同軸上に形成され、工具固定部における工具装着穴の周囲の部分に、リング状締め付け部材がはめ被せられて焼きばめにより固定され、工具が工具装着穴内に挿入されるとともに工具固定部が締め付け部材により締め付けられることによって工具装着穴内周面と工具外周面との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によって工具が工具固定部に固定されるようになされている工作機械の工具固定装置。
- 締め付け部材の内周面に、その全体を覆うように断熱層が設けられている請求項1記載の工作機械の工具固定装置。
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JP2002312073A JP2004142072A (ja) | 2002-10-28 | 2002-10-28 | 工作機械の工具固定装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2002
- 2002-10-28 JP JP2002312073A patent/JP2004142072A/ja not_active Withdrawn
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