JP2004139981A - 表示素子およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第一電極2と、発光層3と、第二電極4と、透明基材1とにより構成されてなる表示素子であって、前記第一電極が、金属層2aと、耐腐食性電荷注入促進層2bとにより構成されてなり、前記耐腐食性電荷注入促進層が、前記金属層の表面層を、酸素原子を含んでなる気体を用いたプラズマ処理により形成されてなるものである表示素子により達成される。
【選択図】 図1
Description
第一電極と、発光層と、第二電極と、透明基材とにより構成されてなるものであって、
前記第一電極が、金属層と、耐腐食性電荷注入促進層とにより構成されてなり、
前記耐腐食性電荷注入促進層が、前記金属層の表面層を、酸素原子を含んでなる気体を用いたプラズマ処理により形成されてなるものである。
基材上に金属層を形成し、
前記金属層にパターニングを行い、
前記金属層の表面を、酸素原子を含んでなる気体を用いたプラズマ処理をし、耐腐食性電荷注入促進層とし、
前記耐腐食性電荷注入促進層上に発光層を形成し、
前記発光層の上に第二電極を形成することを含んでなるものである。
本発明の表示素子およびその製造方法について図1を用いて説明する。図1は、本発明の一実施態様である表示素子の概略断面図を示したものである。図1に示す表示素子は、基材1と、第1電極2と、発光層3bを含む発光部3と、第二電極4とにより構成されている。本発明の別の態様によれば、第2電極と発光層3bとの間に電子注入層3cを設けた表示素子も提案できる。また、本発明のさらに別の態様によれば、第二電極4が保護層4bと透明電極層4aとで構成されていてもよい。
本発明における基材は、第一電極の下面として使用されるものであり、それ自体が透明性を有する必要性はない。基材の具体例としては、石英、ガラス、シリコンウェハ、TFT(薄膜トランジスタ)が形成されたガラス、またはポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の高分子基材が挙げられる。特に、石英、ガラス、シリコンウェハ、またはポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の高分子基材が好ましくは挙げられる。これらの基材は、200℃以上の耐熱性を有していることから、製造段階で高温度処理が可能となる。
a)金属層
金属層を構成する金属は、導電性を有するものであれば特に限定はされず、例えばクロム、ニッケル、タングステン、マンガン、インジウム、スズ、亜鉛、アルミニウム、金、銀、タンタル、白金、パラジウム、モリブデン、バナジウム、チタン、タンタル、ニオブ、これらの二種以上の組合せ、これらを主成分とする合金、またはこれらの組合せを挙げることができる。好ましくは、クロム、ニッケル、タングステン、マンガン、インジウム、スズ、および亜鉛から群から選択されるものが好ましい。
たは合金との積層体により構成されてなるものが好ましい。合金は、特に耐熱性、耐食性に優れたものが好ましく、このような例としては、Cr系(Cr−Al−Mn−Si、Cr−Mn−C−Si等)、Ni−Cr系(Cr−Ni−C−Mn、Cr−Ni−Mn−Si、Cr−Ni−Mo−Mn、Cr−Ni−Ti−Mn、Cr−Ni−Ta−Mn、Cr−Ni−Cu−C等)が挙げられる。また、ニッケル、チタン、タンタル、ジルコニウムを含む合金としては、Ti系(Ti−Al−Sn、Ti−Mn、Ti−Al−V等)、Zr−Ni系(Zr−Sn−Fe、Zr−Sn−Fe−Cr、Ni−Cr−Fe−Ti、Ni−Cr−Mo−Fe、Ni−Cu−Fe、Ni−Cr−Fe、Ni−Mn−Al−Si等)が挙げられる。さらに、アモルファス金属合金も好ましくは利用することができ、その具体例としては、金属-半金属(金属:Fe、Co、Ni、Nb等、半金属はP、B、Si等)型、金属−金属(Fe−Zr、La−Cu、U−Co、Ca−Al等)型の非晶質が挙げられる。
耐腐食性電荷注入促進は、電荷注入層としての機能を有し、かつ、第一電極の金属層の腐食を抑制する機能をも有することから、金属層を構成する金属の種類に関わらず、発光層への電荷注入を促進させ、第一電極の耐久性を向上させ、またダークスポットの発生を抑制し、発光効率の高い表示素子を実現することができる。
O2、O3が挙げられる)、酸素原子を構成元素として含む気体(例えば、H2O、CO、CO2等が挙げられる。本発明によるプラズマ処理は、例えば、アルゴン
(Ar)と酸素(O2)との混合ガスを、Ar:O2=1:1〜100:1の分圧でプラズマガスとし、成膜雰囲気内のガス圧力を0.5〜0.01Pa程度とし、RF出力を50W〜1000Wに設定して行うことができる。
第二電極側から入射した光に対して、前記第一電極の光反射率が、可視領域内(380〜780nmの範囲内)において70%以下、好ましくは、60%以下であることが好ましい。光反射率がこの値の範囲にあることにより、外部光が第一電極に入射した場合の第一電極における反射光を有効に抑制することができ、かつ、円偏向フィルムを用いることなく表示装置の鏡面化を防ぐことができるので、製造コストを抑制した高コントラスト表示の表示素子が実現できる。
本発明における有機層は、発光層を必須成分として含んでなるものであり、これ以外に後記する任意の層との複数層として形成されていてもよい。
発光層を構成する材料は、無機系発光材料、有機系発光材料が挙げられ、例えば、色素系発光材料、金属錯体系発光材料、または高分子系発光材料等が挙げられる。
nは5,000以上100万以下であり、好ましくは下限が1万以上であり、上限が80万以下である)
で表される、ポリ(ジオクチルジビニレンフルオレン−co−アントラセン)が利用できる。
本発明における有機層は、発光層以外に、正孔注入層、正孔輸送層、正孔輸送注入層、電子輸送層、電子注入層等を積層した複数層として形成することが可能である。
本発明の好ましい態様によれば、正孔注入層を、特に第一電極側に形成することが好ましい。正孔注入層を構成する材料は、陽極から有機発光層への正孔の注入を安定化させることが可能な材料であれば特に限定されない。その具体的としては、ドープされたポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン等の導電性高分子、またはフェニレンジアミン部位を含む有機材料等の電子供与性化合物と、テトラシアノキノジメタン、テトラシアノエチレン等の電子受容性化合物から成る電荷移動錯体を形成する有機材料等を挙げることができる。
本発明の部の態様によれば、正孔輸送層を、特に第一電極側に形成してもよい。正孔輸送層を構成する材料は、陽極から有機発光層への正孔の輸送を安定化させることが可能な材料であれば特に限定されない。その具体的としては、N−(1−ナフチル)−N−フェニルべジジン(α−NPD)、トリフェニルジアミン(TPD)などが挙げられる。正孔輸送層は、陰極から注入された電子が、この正孔輸送によってブロックされることが好ましい。
本発明の別の態様によれば、上記した正孔輸送層と正孔注入層とを兼ね備えた正孔注入輸送層を耐腐食性電荷注入促進層と発光層との間に形成してもよい。
左化合物のnは5,000以上100万以下であり、好ましくは下限が1万以上であり、上限が80万以下であり、
右化合物のnは1,000以上100万以下であり、好ましくは下限が3,000以上であり、上限が50万以下である)
で表される、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT:左化合物)とポリスチレンスルホン酸(PSS:右化合物)との混合物である、ポリエチレンジオキシチオフォン(PEDOT/PSS)が利用される。PEDOTとPSSとの混合比率は自由に定めることができる。
電子輸送層は、第二電極からの電子を発光層内へ輸送しうるものであり、第二電極と有機層との間、または保護層と有機層との間に形成される。電子輸送層を構成する材料はその機能を発揮するものであれば特に限定されない。具体的には、アルミニウムキノリノール錯体(Alq3)、バソキュプロン(BCP)、バソフェナントロリン(Bphen)などの有機材料を挙げられ、好ましくはバソキュプロン(BCP)、バソフェナントロリン(Bphen)が挙げられる。
電子注入層は、第二電極からの電子を発光層へ注入するものであり、第二電極と有機層の間、保護層と有機層との間、電子輸入層と保護層との間に形成される。仕事関数が大きい保護層を設けた場合、電子注入層は、保護層から発光層へ電子を直接注入することを可能とする。
有機層を形成する(各)層を形成する方法は、各層を構成する材料を、例えば、蒸着法、印刷法、インクジェット法等によるパターン状に形成する方法、各層を構成する材料を塗工液として塗布する方法、例えば、スピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法、スプレーコート法、自己組織化法(交互吸着法、自己組織化単分子膜法)等の塗布方法が挙げられる。一般的に、低分子材料は蒸着法を、高分子材料はそれ以外の方法、特に塗布法を利用する。
第二電極は(透明)電極層と必要に応じて保護層とにより構成される。
(透明)電極層は導電性を有するものであれば特に限定はされないが、好ましくは透明性を有するものとして構成されるものが好ましい。この様な金属の例としては、導電性を有する無機材料が挙げられる。そのような具体例としては、
In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O、In−O、Sn−O、Zn−O、Cd−O、Cd−In−O、Cd−Sn−O、Mg−In−O、Ca−Ga−O系またはTiO2、TiN、ZrN、HfN、LaB6等が挙げられ、好ましくは、インジウムを含む無機酸化物(より好ましくはITOまたはIZO)、TiNが挙げられる。ITOやIZOは、導電性および光の透過率が高く、抵抗率が低いことから、光の取り出し効率を向上させると共に、EL素子の駆動電圧を低電圧化することを可能とする。TiNは導電性および光の透過率が高く、抵抗率が低いことから、光の取り出し効率を向上させると共に、スパッタリング成膜工程において酸素を導入する必要がなく、有機層および電子注入層の酸化を有効に抑制する。
本発明の好ましい態様によれば、第二電極は、(透明)電極層と保護層とを設けてなるものが好ましい。この保護層は、有機層(とりわけ、発光層、電子輸送層または電子注入層)の保護を主とし、必要に応じて透明電極層から電子を輸送する電子輸送層としての機能を有するものである。
本発明による当該表示素子の製造方法を下記に概説する。
本発明による表示素子は、電界発光型表示素子、とりわけ、エレクトロルミネッセンス素子として利用される。
本明細書中における「反射率」、「透過率」は、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、UV−2200A)を用いて、室温、大気中下で測定した値を示す。
以下の実施例により、本発明をさらに説明するが、本発明はこらら実施例の内容に限定して解釈されるものではない。
実施例1
実施例2
実施例3
(表1)
スパッタガス組成 プラズマ処理時間 仕事関数(eV)
実施例 3−1 Ar/O2 20秒 5.65
実施例 3−2 Ar/O2 1分 5.84
実施例 3−3 Ar/O2 2分 5.86
実施例 3−4 Ar/O2 3分 5.86
実施例 3−5 Ar/O2 5分 5.83
実施例 3−6 Ar/O 2 10分 5.78
実施例4〜9
実施例10
酸素プラズマ処理時間を5分とし、第一電極をITOとした以外は、実施例4と同様にして有機EL素子を作製した。
酸素を導入せず3分間プラズマ処理を行った以外は、実施例4と同様にして有機EL素子を作製した。
酸素を導入せず3分間プラズマ処理を行った以外は、実施例10と同様にして有機EL素子を作製した。
実施例1〜11と比較例1〜2による表示素子に、8Vまたは6Vの印可電圧を掛け時の電流密度を測定した。その結果は下記表2に記載した通りであった。
(表2)
スパッタガス組成 プラズマ処理時間 電流密度(mA/cm 2 )
(印可電圧)
8V 6V
実施例 1 Ar/O2 1分 210
実施例 2 Ar/O2 1分 210
実施例 4 Ar/O2 20秒 4.1
実施例 5 Ar/O2 1分 9.8
実施例 6 Ar/O2 2分 3.8
実施例 7 Ar/O2 3分 1.3
実施例 8 Ar/O2 5分 1.1
実施例 9 Ar/O2 10分 0.7
実施例 10 Ar/O2 1分 13
比較例 1 Ar/O2 5分 2.6
比較例 2 Ar 3分 0.9
比較例 3 Ar 3分 11
2 第一電極
2a 金属層
2b 耐腐食性電荷注入促進層
3 発光部
3a 正孔注入輸送層
3b 発光層
3c 電子注入層
4 第二電極
4a 透明電極層
4b 保護層
Claims (12)
- 第一電極と、発光層と、第二電極と、透明基材とにより構成されてなる表示素子であって、
前記第一電極が、金属層と、耐腐食性電荷注入促進層とにより構成されてなり、
前記耐腐食性電荷注入促進層が、前記金属層の表面層を、酸素原子を含んでなる気体を用いたプラズマ処理により形成されてなるものである、表示素子。 - 前記金属層を構成する金属が、クロム、ニッケル、タングステン、マンガン、インジウム、スズ、亜鉛、モリブデン、バナジウム、チタン、タンタル、ニオブ、およびこれらの混合物からなる群より選択されるものである、請求項1に記載の表示素子。
- 前記金属層が、一種以上の合金と、一種以上の金属との積層体により構成されてなるものである、請求項1に記載の表示素子。
- 前記第二電極側から入射した光に対して、前記第一電極の光反射率が、可視領域内おいて70%以下である、請求項1に記載の表示素子。
- 前記耐腐食性電荷注入促進層の固有抵抗値が、発光層の固有抵抗値より低いものである、請求項1に記載の表示素子。
- 電界発光素子として使用される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示素子。
- 基材上に金属層を形成し、
前記金属層上にパターニングを行い、
前記金属層の表面を、酸素原子を含んでなる気体を用いたプラズマ処理をし、耐腐食性電荷注入促進層とし、
前記耐腐食性電荷注入促進層上に発光層を形成し、
前記発光層の上に第二電極を形成することを含んでなる、表示素子の製造方法。 - 前記耐腐食性電荷注入促進層を形成した後に、基板を洗浄することなく、耐腐食性電荷注入促進層上に前記発光層を形成するものである、請求項7に記載の製造方法。
- 前期耐腐食性電荷注入促進層上に前記発光層を形成することが、1×10−2Pa以下の真空度の下で行われるものである、請求項7に記載の製造方法。
- 前記耐腐食性電荷注入促進層を形成した後に、無機酸若しくは有機酸によりドーピングされた導電性高分子からなる液体組成物または前記導電性高分子を含んでなる液体組成物を前記耐腐食性電荷注入促進層上に塗布することをさらに含んでなる、請求項7に記載の製造方法。
- 前記耐腐食性電荷注入促進層を形成する際に、前記プラズマ処理を調整し前記耐腐食性電荷注入促進層の厚さを調整するものである、請求項7項に記載の方法。
- 請求項7に記載の方法により製造された、請求項1〜6のいずれか一項に記載の表示素子。
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