JP2004139750A - 電磁継電器 - Google Patents
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Abstract
【課題】可動接点と固定接点とが板ばね材に担持される電磁継電器において、両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大させる。
【解決手段】電磁継電器10は、メーク接点閉成時に、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから往復移動範囲の限界に到達するまでの超過移動を行なう間、可動接点42と操作部材18との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造として、操作部材18に設けられる支持要素50を備える。支持要素50は、操作部材18の超過移動中に継続して、可動接点ばね部材46に担持された可動接点42をその裏側から支持する。それにより、メーク接点閉成時に、可動接点ばね部材46の特に可動接点42と操作部材連結部位との間に延びる一領域に生じ得る設計外の無用な撓みが効果的に排除され、接点接触部位の変位量が十分に確保されて、接点部16の接点寿命が増大する。
【選択図】 図1
【解決手段】電磁継電器10は、メーク接点閉成時に、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから往復移動範囲の限界に到達するまでの超過移動を行なう間、可動接点42と操作部材18との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造として、操作部材18に設けられる支持要素50を備える。支持要素50は、操作部材18の超過移動中に継続して、可動接点ばね部材46に担持された可動接点42をその裏側から支持する。それにより、メーク接点閉成時に、可動接点ばね部材46の特に可動接点42と操作部材連結部位との間に延びる一領域に生じ得る設計外の無用な撓みが効果的に排除され、接点接触部位の変位量が十分に確保されて、接点部16の接点寿命が増大する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁石装置と、電磁石装置の作動に伴って開閉動作する接点部とを、共通の基部に組み込んでなる電磁継電器において、接点部のメーク接点閉成時に、電磁石装置の作動によって移動する可動接点を、所定の間隙を介して対向する固定接点に接触させた後に、それら接点同士の接触部位を接触界面上で徐々に変位させる(ずらす)ように構成されたものは知られている(例えば特許文献1参照)。メーク接点閉成時に接点接触部位を変位させるこの構成は、接点閉成の確実性を向上させるとともに接点寿命を増加させる効果を奏する。
【特許文献1】
米国特許第5719541号明細書(第3欄〜第6欄)
【0003】
この種の電磁継電器では一般に、可動接点は、ばね性を有する導電性薄板部材(以下、可動接点ばね部材と称する)に担持され、この可動接点ばね部材が、電磁石装置と接点部との間に配置される操作部材に連結される。操作部材は、電磁石装置の作用により所定の移動範囲で直線状に往復移動して、可動接点ばね部材を弾性変形させながら接点部を開閉動作させる。メーク接点閉成時には、操作部材は可動接点ばね部材に対し十分な押圧力を発揮して、可動接点と固定接点との接触部位を両者の接触面間で徐々に変位させながら移動限界に到達する。
【0004】
従来、このような接点部構成においては、固定接点が可動接点とは異なり、高い剛性を有する導電性薄板部材に担持されるものと、固定接点が可動接点と同様に、ばね性を有する導電性薄板部材(以下、固定接点ばね部材と称する)に担持されるものとが、適宜選択して採用されている。後者の接点部構成では、メーク接点閉成時に固定接点ばね部材が、固定接点を可動接点に接触させた状態で、操作部材から受ける押圧力により可動接点ばね部材と共に弾性変形する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
可動接点と固定接点との双方が導電性の板ばね部材に担持される上記接点部構成を有する従来の電磁継電器においては、継電器組立工程中に、両接点の位置決め精度及び相互間隙寸法精度を確保することに加えて、メーク接点閉成時に固定接点ばね部材と共に弾性変形する可動接点ばね部材の撓み量、すなわち操作部材が可動接点と固定接点とを接触させてから移動限界に到達するまでの操作部材の超過移動量を正確に設定することが、電磁継電器の動作を長期間に渡って安定化させる観点で肝要である。しかし従来の電磁継電器では、可動接点ばね部材は、電磁石装置の作用下で円滑な接点開閉動作を遂行できるように固定接点ばね部材よりも薄い厚みを有するので、メーク接点閉成時に、操作部材から受ける押圧力と固定接点ばね部材から受ける反力(弾性復元力)との相互作用により、特に可動接点と操作部材連結部位との間に延びる可動接点ばね部材の一領域に、設計外の無用な撓みを生じる傾向があった。
【0006】
可動接点ばね部材のこのような無用な撓みは、それ自体、メーク接点閉成時の可動接点と固定接点との接触界面における接触部位の変位量(ずれ量)を低減させるものである。また、このような設計外の無用な撓みを正確に予測することは困難であるから、組み立てが完了した多数の電磁継電器の間でメーク接点閉成時の接点接触部位の変位量にばらつきが生じ、結果として電磁継電器の歩留りが悪化することが懸念された。しかも可動接点ばね部材は、そのような無用な撓みを生じている状態で通電による発熱を生じることから、長時間に渡る使用により撓み領域が塑性変形してしまう危惧もあった。可動接点ばね部材に塑性変形が生じると、可動接点と固定接点との間隙寸法が増加するとともに、操作部材の超過移動量が減少し、結果としてメーク接点閉成時の接点接触部位の変位量が著しく低減して接点寿命が短縮されることが懸念される。
【0007】
また、従来の電磁継電器では、継電器組立工程中に可動接点と固定接点との位置決め精度及び相互間隙寸法精度を容易に確保できるようにする目的で、可動接点ばね部材及び固定接点ばね部材の双方が、直線的に延びる弾性腕部分の先端領域にそれぞれ可動接点及び固定接点を担持する構成を有していた。しかしこの構成では、可動接点は、弾性腕部分の片持ち梁式揺動動作に伴い円弧軌道に沿って移動するから、固定接点に対しその表面の中心から外縁方向へ偏った位置で接触することになる。その結果、両接点において、接点開閉動作の繰り返しによる接点材料の損耗が接点表面の全体に拡がり難くなり、特に可動接点に局所的な材料消失が生じる傾向があった。このような接点材料の局所的消失も、接点間の間隙を拡大して操作部材の超過移動量を減少させる要因となり、結果として接点寿命を短縮する懸念がある。
【0008】
本発明の目的は、可動接点と固定接点との双方が導電性の板ばね部材に担持される接点部構成を有する電磁継電器において、メーク接点閉成時に可動接点ばね部材に生じ得る無用な撓みを効果的に排除でき、それにより両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大でき、以って高い構造信頼性及び安定した動作特性を有する電磁継電器を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、可動接点と固定接点との双方が導電性の板ばね部材に担持される接点部構成を有する電磁継電器において、メーク接点閉成中に生じる発熱下での無用な撓みが塑性変形に至ることを確実に防止でき、それにより両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大でき、以って高い構造信頼性及び安定した動作特性を有する電磁継電器を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、可動接点と固定接点との双方が導電性の板ばね部材に担持される接点部構成を有する電磁継電器において、メーク接点閉成時に可動接点に生じ得る接点材料の局所的消失を確実に回避でき、それにより両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大でき、以って高い構造信頼性及び安定した動作特性を有する電磁継電器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基部と、基部に組み込まれる電磁石装置と、電磁石装置から絶縁されて基部に組み込まれる接点部と、電磁石装置と接点部との間に配置され、電磁石装置の作用により移動して接点部を開閉動作させる操作部材とを具備し、接点部は、操作部材に連動する可動接点と、可動接点に対向配置される固定接点とを備え、操作部材は接点部の閉成時に、電磁石装置の作用により押圧力を発揮して、可動接点と固定接点とを相互接触させるとともに、それら接点同士の接触部位を徐々に変位させながら移動限界に到達するように構成される電磁継電器において、操作部材が可動接点と固定接点とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの間、可動接点と操作部材との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造を具備することを特徴とする電磁継電器を提供する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁継電器において、接点部は、可動接点を担持するとともに操作部材に連結される可動接点ばね部材を備え、相対移動防止構造は、操作部材に設けられる支持要素であって、押圧力下で可動接点と固定接点とを相互接触させる間に、可動接点ばね部材に担持された可動接点を裏側から支持する支持要素を有する電磁継電器を提供する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電磁継電器において、接点部は、可動接点を担持するとともに操作部材に連結される可動接点ばね部材を備え、相対移動防止構造は、操作部材に設けられる支持要素であって、可動接点と操作部材連結部位との間に延びる可動接点ばね部材の一領域を支持して、押圧力によるこの領域の変形を防止する支持要素を有する電磁継電器を提供する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電磁継電器において、相対移動防止構造は、可動接点を操作部材に直接に設けることにより構成される電磁継電器を提供する。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の電磁継電器において、接点部は、可動接点を担持するとともに操作部材に連結される可動接点ばね部材を備え、相対移動防止構造は、可動接点ばね部材に設けられる補強要素であって、可動接点と操作部材連結部位との間に延びる可動接点ばね部材の一領域の、押圧力による変形を防止する補強要素を有する電磁継電器を提供する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、基部と、基部に組み込まれる電磁石装置と、電磁石装置から絶縁されて基部に組み込まれる接点部と、電磁石装置と接点部との間に配置され、電磁石装置の作用により移動して接点部を開閉動作させる操作部材とを具備し、接点部は、操作部材に連動する可動接点と、可動接点に対向配置される固定接点とを備え、操作部材は接点部の閉成時に、電磁石装置の作用により押圧力を発揮して、可動接点と固定接点とを相互接触させるとともに、それら接点同士の接触部位を徐々に変位させながら移動限界に到達するように構成される電磁継電器において、接点部は、可動接点を担持する可動接点ばね部材と、固定接点を担持する固定接点ばね部材と、可動接点ばね部材と固定接点ばね部材との少なくとも一方に設けられ、閉成中の接点部の温度上昇を軽減する放熱構造とを具備することを特徴とする電磁継電器を提供する。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電磁継電器において、放熱構造は、可動接点ばね部材と固定接点ばね部材との少なくとも一方に、その表面積を増加するように形成される表面要素を有する電磁継電器を提供する。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の電磁継電器において、放熱構造は、可動接点ばね部材と固定接点ばね部材との少なくとも一方に、可動接点又は固定接点に隣接して取り付けられる放熱板を有する電磁継電器を提供する。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁継電器において、接点部は、可動接点を担持する可動接点ばね部材と、固定接点を担持する固定接点ばね部材とを備え、可動接点ばね部材と固定接点ばね部材との各々は、基部に取り付けられる取付部分と、取付部分と可動接点又は固定接点との間に延びる弾性腕部分とを有し、可動接点ばね部材と固定接点ばね部材との少なくとも一方が、弾性腕部分に、閉成時に可動接点と固定接点とを互いの略中心で相互接触させるための予め定めた折曲形状を有する電磁継電器を提供する。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の電磁継電器において、折曲形状を有する弾性腕部分が可動接点ばね部材に設けられ、この折曲形状は、電磁石装置の作用下での操作部材の移動形態を直線移動に近似させる形状である電磁継電器を提供する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1〜図4は、本発明の第1実施形態による電磁継電器10を示す。電磁継電器10は、基部12と、基部12に組み込まれる電磁石装置14と、電磁石装置14から絶縁されて基部12に組み込まれる接点部16と、電磁石装置14と接点部16との間に配置され、電磁石装置14の作用により移動して接点部16を開閉動作させる操作部材18とを備えて構成される。
【0022】
基部12は、電気絶縁性の樹脂成形品からなり、電磁石装置14を設置する第1部分20と、接点部16を設置する第2部分22とを一体に備える。第1部分20は、電磁石装置14を部分的に包囲する筒状壁24を有する。また第2部分22は、接点部16の後述する複数の接点ばね部材を個別に受容する複数の受容溝26を有する。第1部分20の筒状壁24は、電磁石装置14と接点部16との間に介在して両者間の電気的絶縁を確保する。
【0023】
電磁石装置14は、電磁石28と、電磁石28によって駆動される接極子30とを備える。電磁石28は、巻枠32と、巻枠32に巻き付けて支持されるコイル34と、コイル34の中心軸線34aに沿って巻枠32に取り付けられる鉄心36とを備える。巻枠32は、電気絶縁性の樹脂成形品であり、所定長さを有する図示しない中空の胴部と、胴部の長手方向両端に連結される一対の環状の鍔部32a、32bとを一体的に有する。
【0024】
コイル34は、巻枠32の胴部に導線の所要長さ部分を密に巻着して形成され、巻枠32の両鍔部32a、32bの間に固定的に保持される。鉄心36は、例えば磁性鋼から形成される柱状部材であり、その略円柱状の主部分が、コイル34の中心軸線34aに同心配置されて巻枠32の胴部内に固定的に受容される。鉄心36の軸線方向一端には、コイル中心軸線34aに略直交する平坦な端面を有する頭部36aが一体的に設けられ、この頭部36aが巻枠32の鍔部32aの外面上に露出して配置される。
【0025】
電磁石28の鉄心36には、頭部36aの反対側の軸線方向他端に、コイル34の周辺に磁路を形成する継鉄38が、例えばかしめにより固定的に連結される。継鉄38は、例えば磁性鋼から形成されるL字板状部材であり、その短尺部分が巻枠32の軸線方向他端側の鍔部32bに沿って延設されるとともに、長尺部分がコイル34の側方に離間してコイル中心軸線34aに略平行に延設される。継鉄38の長尺部分の末端部38aは、鉄心36の頭部36aと略同一位置に配置され、この末端部38aに隣接して、接極子30が揺動自在に継鉄38に連結される。
【0026】
接極子30は、例えば磁性鋼から形成される平板状部材であり、板ばね40を介して継鉄38に弾性的相対移動可能に連結されるとともに、鉄心36の頭部36aに対向して配置される。板ばね40は、継鉄38と接極子30との間で弾性ヒンジとして機能し、それ自体のばね作用により、接極子30を鉄心36の頭部36aから離れる方向へ付勢する。電磁石28の非作動時には、接極子30は、その下端部を継鉄末端部38aに隣接させつつ、板ばね40のばね力下で鉄心36の頭部36aから所定距離だけ離れた復旧位置に静止保持される。電磁石28が作動すると、磁気吸引力により接極子30は、継鉄末端部38aに隣接する下端部を中心に、板ばね40のばね力に抗して鉄心頭部36aに近する方向へ揺動する。
【0027】
接点部16は、電磁石装置14に対し接極子30の反対側で、電磁石28のコイル中心軸線34aに沿って互いに所定間隙を空けて配置される可動接点42及び固定接点44を備える。可動接点42は、可動接点ばね部材46に担持され、固定接点44は、可動接点ばね部材46から独立した固定接点ばね部材48に担持される。可動接点ばね部材46は、基部12の筒状壁24の端壁面に対向配置され、固定接点ばね部材48は、筒状壁24とは反対側で、可動接点ばね部材46に対向配置される。可動接点42は、基部12の第2部分22の上方で、後述するように接極子30の揺動動作に対応して揺動変位して、その揺動方向に対向する固定接点44に対しメーク接点閉成できる位置に配置される。このように、図示実施形態による電磁継電器10は、接点部16にブレーク接点を有しない構成となっている。
【0028】
可動接点ばね部材46は、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて形成される導電性薄板部材からなり、基部第2部分22の上方で可動接点42を担持する長手方向一端の自由端領域46aと、基部第2部分22から下方へ突出する長手方向他端の端子領域46bとを一体に有する。可動接点42は、所望の接点材料から形成されて、可動接点ばね部材46の自由端領域46aに、その一表面上に膨出するように、例えばかしめにより固定される。可動接点ばね部材46は、自由端領域46aと端子領域46bとの間の取付領域を、基部第2部分22に設けた対応の受容溝26に横方向へ嵌入することにより、基部12に固定的に取り付けられる。
【0029】
固定接点ばね部材48は、可動接点ばね部材46と同様に、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて形成される導電性薄板部材からなり、基部第2部分22の上方で固定接点44を担持する長手方向一端の自由端領域48aと、基部第2部分22から下方へ突出する長手方向他端の端子領域48bとを一体に有する。固定接点44は、所望の接点材料から形成されて、固定接点ばね部材48の自由端領域48aに、その一表面上に膨出するように、例えばかしめにより固定される。固定接点ばね部材48は、自由端領域48aと端子領域48bとの間の取付領域を、基部第2部分22に設けた対応の受容溝26に横方向へ嵌入することにより、基部12に固定的に取り付けられる。なお、可動接点ばね部材46は、電磁石装置14の作用下で円滑な接点開閉動作を遂行できるように、固定接点ばね部材48よりも薄い厚みを有する。
【0030】
接点部16の可動接点ばね部材46は、電気絶縁性の操作部材18を介して、電磁石装置14の接極子30に機械的に連結される。操作部材18は、例えば樹脂材料から一体成形される枠状部材であり、その長手方向第1端18aで、継鉄38から離れた側の接極子30の自由端(図で上端)30aに連結される。操作部材18の長手方向第2端には、長手方向へ互いに略平行に延びる一対の突子18bが設けられ、それら突子18bが、可動接点ばね部材46の自由端領域46aに形成した一対の連結穴46cにそれぞれ嵌入される。操作部材18は、電磁石28の励磁/非励磁に伴う接極子30の揺動動作に連動して、コイル中心軸線34aに実質的平行な方向へ往復動作し、それにより接極子30の揺動動作を、下記のように可動接点ばね部材46に伝達する。なお、可動接点ばね部材46の一対の連結穴46cは、自由端領域46a内で可動接点42を挟んだ略対称位置に配置され、操作部材18から受ける力が継電器横断方向に見て可動接点42に均等に伝達されるようになっている。
【0031】
図示の復旧位置においては、前述したように、接極子30は板ばね40のばね力下で鉄心36の頭部36aから所定距離だけ離れた状態にある。このとき操作部材18は、その往復移動範囲の第1の限界に置かれ、それにより、その一対の突子18bに自由端領域46aで連結された可動接点ばね部材46上の可動接点42が、固定接点ばね部材48上の固定接点44から所定距離だけ離れた位置に置かれる。この復旧位置から、電磁石28が作動すると、磁気吸引力により接極子30は、その下端部を中心に、板ばね40のばね力に抗して鉄心頭部36aに接近する方向へ揺動する。それに伴い操作部材18は、可動接点ばね部材46に対し押圧力を発揮しながら、往復移動範囲の第2の限界に向けて移動して、可動接点ばね部材46を固定接点ばね部材48に接近するように弾性的に撓曲する。接極子30が鉄心頭部36aに完全吸着された時点で、操作部材18は往復移動範囲の第2の限界に達し、可動接点42が固定接点44に導通接触して、メーク接点が閉成される。
【0032】
メーク接点閉成時には、操作部材18は、電磁石装置14の作用により可動接点ばね部材46に対し押圧力を発揮して、上記のように可動接点42を固定接点44に接触させるとともに、その状態で可動接点ばね部材46と固定接点ばね部材48とを同時に弾性変形させる。このとき、操作部材18が、可動接点42と固定接点44との接触部位を両者の接触面間で徐々に変位させながら、往復移動範囲の第2の限界に到達するように、接極子30及び操作部材18の移動範囲、並びに可動接点42と固定接点44との間隙寸法が設定される。このような構成は、接点部16のメーク接点閉成動作の確実性を向上させるとともに、接点開閉動作を繰り返す間に生じ得る接触面の接触抵抗の増加を抑制して接点寿命を増加させる効果を奏する。
【0033】
上記構成を有する電磁継電器10では、継電器組立工程中に、両接点42、44の位置決め精度及び相互間隙寸法精度を確保することに加えて、メーク接点閉成時に固定接点ばね部材48と共に弾性変形する可動接点ばね部材46の撓み量、すなわち操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの操作部材18の超過移動量を正確に設定することが、電磁継電器10の動作を長期間に渡って安定化させる観点で肝要である。ここで電磁継電器10は、可動接点ばね部材46に接点閉成中の発熱下で塑性変形を引き起こすような、設計外の無用な撓みの発生を効果的に防止するための、下記の特徴的構成を採用している。
【0034】
すなわち、電磁継電器10は、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから往復移動範囲の上記した第2の限界に到達するまでの間、可動接点42と操作部材18との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造を備える。この相対移動防止構造は、メーク接点閉成時に、固定接点ばね部材48よりも薄い厚みを有する可動接点ばね部材46の、特に可動接点42と操作部材連結部位(一対の連結穴46c)との間に延びる一領域に生じ得る設計外の無用な撓みを、効果的に排除するように作用する。
【0035】
図示実施形態では、相対移動防止構造は、操作部材18に設けられる支持要素50から構成される。支持要素50は、一対の突子18bを有する操作部材18の長手方向第2端に一体的に形成され、それら突子18bの間で両突子18bに略平行に長手方向へ延設される。支持要素50の先端は、両突子18bの基端を含む仮想平面上に実質的に配置される。操作部材18を前述したように電磁石装置14と接点部16とに所定位置関係で組み付けると、支持要素50はコイル中心軸線34aに沿って配置され、支持要素50の先端面は、電磁石28が復旧位置にある間の可動接点ばね部材46の、変形を生じていない平坦な自由端領域46aの裏面の略中央部位(可動接点42の反対側)に当接される(又は僅かな隙間を介して対向配置される)。
【0036】
このような配置構成を有する支持要素50は、メーク接点閉成時に、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの前述した超過移動を行なう間、可動接点ばね部材46に担持された可動接点42をその裏側から支持するように作用する。したがって、メーク接点閉成時に操作部材18から可動接点ばね部材46に加わる押圧力が、相互接触する可動接点42及び固定接点44を介して無駄なく固定接点ばね部材48に伝達され、両ばね部材46、48が操作部材18の超過移動量に対応して特定される所定量の弾性撓みを生じる。その結果、メーク接点閉成時の可動接点42と固定接点44との接触部位の変位量が、設計通りに十分に確保されることになる。なお、この構成では、メーク接点閉成中に支持要素50が可動接点42に継続して当接されるから、操作部材18をセラミックス等の耐熱性に優れた材料から作製することが有利である。
【0037】
このように、上記構成を有する電磁継電器10では、接点部16の相対移動防止構造として操作部材18に設けた支持要素50が、メーク接点閉成時に操作部材18と共に一体的に移動し、可動接点ばね部材46の可動接点42を、固定接点ばね部材48から受ける弾性復元力に抗して裏側から継続的に支持する。その結果、電磁継電器10によれば、メーク接点閉成時に可動接点ばね部材46に生じ得る前述した設計外の無用な撓みが効果的に排除され、それにより接点接触部位の変位量が十分に確保されて、接点部16の接点寿命が増大する。そしてこのときの接点接触部位の変異量は、設計時に設定した通りの量となるから、電磁継電器10の歩留りが向上する。しかも、可動接点ばね部材46に接点閉成中の発熱下で塑性変形を引き起こすような、設計外の無用な撓みを排除したことにより、メーク接点閉成時の接点接触部位の変位量を長期間に渡って正確かつ安定的に維持することができる。したがって電磁継電器10は、長寿命の接点部構成により高い構造信頼性及び安定した動作特性を有するものとなる。
【0038】
図5〜図7は、上記した相対移動防止構造とは異なる構成の相対移動防止構造を備えた本発明の第2実施形態による電磁継電器60を示す。電磁継電器60は、相対移動防止構造の構成以外は、前述した第一実施形態の電磁継電器10と実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。すなわち、電磁継電器60は、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから往復移動範囲の前述した第2の限界に到達するまでの間、可動接点42と操作部材18との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造として、操作部材18に設けられる支持要素62を備える。
【0039】
支持要素62は、前述した一対の突子18bに代えて操作部材18の長手方向第2端に一体的に設けられ、互いに略平行に長手方向へ延設される一対の延長部分62aと、それら延長部分62aに連結されて横断方向へ延設される横梁部分62bとを有する。両延長部分62aと横梁部分62bとには、直線状に連続して延びる1本の受容溝64が形成される。操作部材18を前述したように電磁石装置14と接点部16とに所定位置関係で組み付けると、支持要素62の一対の延長部分62aがコイル中心軸線34aに関して対称位置に配置されるとともに、横梁部分62bがコイル中心軸線34aに略直交して配置される。また、支持要素62の受容溝64は、可動接点ばね部材46に対向して配置され、電磁石28が復旧位置にある間の可動接点ばね部材46の、変形を生じていない平坦な自由端領域46aの上端縁部分を実質的にがたつき無く受容する。
【0040】
このような配置構成を有する支持要素62は、メーク接点閉成時に、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの前述した超過移動を行なう間、可動接点42と操作部材連結部位(自由端領域46aの上端縁部分)との間に延びる可動接点ばね部材46の一領域を支持して、操作部材18から受ける押圧力による当該領域の変形(設計外の無用な撓み)を防止するように作用する。したがって、メーク接点閉成時に操作部材18から可動接点ばね部材46に加わる押圧力が、相互接触する可動接点42及び固定接点44を介して無駄なく固定接点ばね部材48に伝達され、両ばね部材46、48が操作部材18の超過移動量に対応して特定される所定量の弾性撓みを生じる。その結果、メーク接点閉成時の可動接点42と固定接点44との接触部位の変位量が、設計通りに十分に確保されることになる。
【0041】
上記した相対移動防止構造を有する電磁継電器60においても、前述した電磁継電器10と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。特に第2実施形態の構成では、メーク接点閉成中に支持要素62が可動接点42に直接には当接されないので、操作部材18を安価な一般的樹脂材料から作製できる利点がある。
【0042】
図8〜図10は、上記したいずれの相対移動防止構造とも異なる構成の相対移動防止構造を備えた本発明の第3実施形態による電磁継電器70を示す。電磁継電器70は、接点部及び相対移動防止構造の構成以外は、前述した第1実施形態の電磁継電器10と実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。すなわち、電磁継電器70では、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから往復移動範囲の前述した第2の限界に到達するまでの間、可動接点42と操作部材18との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造が、可動接点42を操作部材18に直接に設けることにより構成されている。
【0043】
電磁継電器70の接点部72は、一対の突子18bを有する操作部材18の長手方向第2端に固定的に設置される可動接点42と、基部12の第2部分22に取り付けられる固定接点ばね部材48に担持された固定接点44とから構成される。操作部材18の長手方向第2端には、一対の突子18bの間で両突子18bに略平行に、接点取付要素74が長手方向へ一体的に延設される。接点取付要素74の先端は、両突子18bの基端を含む仮想平面上に実質的に配置され、その先端面に、所望の接点材料からなる可動接点42が例えばかしめにより固定される。
【0044】
基部12の第2部分22には、可動接点ばね部材46に代えて、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて形成される可動ばね部材76が設置される。可動ばね部材76は、接点を担持しないものの、メーク接点閉成時に操作部材18に対して所要のばね作用を発揮するための部材であり、基部第2部分22の上方にU字状に延びる長手方向一端の自由端領域76aと、基部第2部分22から下方へ突出する長手方向他端の端子領域76bとを一体に有する。可動ばね部材76は、可動接点ばね部材46と同様に、自由端領域76aと端子領域76bとの間の取付領域を、基部第2部分22に設けた対応の受容溝26(図1)に横方向へ嵌入することにより、基部12に固定的に取り付けられる。また、可動ばね部材76の自由端領域76aには、操作部材18の一対の突子18bをそれぞれに嵌入する一対の連結穴76cが形成される。
【0045】
操作部材18を前述したように電磁石装置14と可動ばね部材76とに所定位置関係で組み付けると、接点取付要素74はコイル中心軸線34aに沿って配置され、可動接点42は、固定接点ばね部材48に担持された固定接点44に対向して配置される。操作部材18は、前述した電磁石装置14の作用により、可動接点42と共に一体に、コイル中心軸線34aに実質的平行な方向へ直線的に往復動作する。すなわち、図示の復旧位置においては、操作部材18はその往復移動範囲の第1の限界に置かれ、それにより可動接点42が、固定接点ばね部材48上の固定接点44から所定距離だけ離れた位置に置かれる。この復旧位置から、電磁石装置14が作動すると、操作部材18は可動接点42と共に、可動ばね部材76を弾性変形させながら往復移動範囲の第2の限界に向けて移動し、所定位置で可動接点42を固定接点44に導通接触させてメーク接点を閉成する。なお、可動接点42は、電線78を介して可動ばね部材76の端子領域76bに接続される。
【0046】
上記構成においては、可動接点ばね部材46を省略して可動接点42を操作部材18に直接に設けたから、メーク接点閉成時に、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの前述した超過移動を行なう間、操作部材18からの押圧力が、相互接触する可動接点42及び固定接点44を介して無駄なく固定接点ばね部材48に伝達され、固定接点ばね部材48が操作部材18の超過移動量に対応して特定される所定量の弾性撓みを生じる。その結果、メーク接点閉成時の可動接点42と固定接点44との接触部位の変位量が、設計通りに十分に確保されることになる。
【0047】
上記した相対移動防止構造を有する電磁継電器70においても、前述した電磁継電器10と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。特に第3実施形態の構成では、可動接点42を操作部材18に直接に担持させたから、継電器組立工程中に、両接点42、44の位置決め精度及び相互間隙寸法精度を容易に確保できるとともに、メーク接点閉成時の操作部材18の超過移動量を容易に正確に設定できる利点がある。なお、この構成では、可動接点42を直接に担持する操作部材18を、セラミックス等の耐熱性に優れた材料から作製することが有利である。
【0048】
図11は、さらに異なる構成の相対移動防止構造を備えた本発明の第4実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材80を示す。可動接点ばね部材80は、それ自体に相対移動防止構造を有するものであり、前述した第1実施形態の電磁継電器10の可動接点ばね部材46に代えて接点部16に組み込むことにより、本発明の第4実施形態による電磁継電器を構成できる。すなわち、この電磁継電器では、操作部材18(図1)が可動接点42と固定接点44(図1)とを相互接触させてから往復移動範囲の前述した第2の限界に到達するまでの間、可動接点42と操作部材18との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造として、可動接点ばね部材80に補強要素82が設けられている。
【0049】
可動接点ばね部材80は、可動接点42を担持する長手方向一端の自由端領域80aと、長手方向他端の端子領域80bと、自由端領域80aと端子領域80bとの間に設けられ、基部12の第2部分22(図1)に取り付けられる取付領域80cとを一体に有する(図11(a))。補強要素82は、可動接点ばね部材80の自由端領域80aの上端縁部分を、図示のように一方の部材表面上へ180°折曲することにより形成される(図11(b))。
【0050】
このような構成を有する補強要素82は、メーク接点閉成時に、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの前述した超過移動を行なう間、可動接点42と操作部材連結部位(一対の連結穴80d)との間に延びる可動接点ばね部材80の一領域を支持して、操作部材18から受ける押圧力による当該領域の変形(設計外の無用な撓み)を防止するように作用する。したがって、メーク接点閉成時に操作部材18から可動接点ばね部材80に加わる押圧力が、相互接触する可動接点42及び固定接点44を介して無駄なく固定接点ばね部材48(図1)に伝達され、両ばね部材80、48が操作部材18の超過移動量に対応して特定される所定量の弾性撓みを生じる。その結果、メーク接点閉成時の可動接点42と固定接点44との接触部位の変位量が、設計通りに十分に確保されることになる。
【0051】
上記した相対移動防止構造を有する可動接点ばね部材80を装備した電磁継電器においても、前述した電磁継電器10と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。特にこの構成では、可動接点ばね部材80に補強要素82を折曲形成するだけで、特別な材料を用いることなく極めて容易に相対移動防止構造を作製できる利点がある。なお、補強要素82は、図示のように可動接点ばね部材80の自由端領域80aの上端縁部分を180°折曲する構成に限定されず、90°や他の適当な角度に折曲することによっても形成できる。一般に、自由端領域80aの上端縁部分の折曲角度が小さいほど、補強要素82の形成が容易になり、折曲部分での材料破断の危惧も低減する。
【0052】
図12は、図11の相対移動防止構造の変形例を示す。この変形例では、可動接点ばね部材80の自由端領域80aに、可動接点42を取り囲むようにして、相対移動防止構造を構成する3個の補強要素84が形成されている(図12(a)。各補強要素84は、可動接点ばね部材80の材料をプレスして一方の部材表面上へリブ状に隆出させることにより形成される(図12(b))。このような構成の補強要素84によっても、上記した折曲縁からなる補強要素82と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。
【0053】
図13は、前述した相対移動防止構造とは異なる構造によって接点寿命の低下を抑制する本発明の第5実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材90を示す。可動接点ばね部材90は、それ自体に放熱構造を備えるものであり、前述した第1実施形態の電磁継電器10の可動接点ばね部材46に代えて接点部16に組み込むことにより、第5実施形態による電磁継電器を構成できる。すなわち、この電磁継電器では、メーク接点閉成中に生じる発熱下での無用な撓みが塑性変形に至ることを防止するための放熱構造として、可動接点ばね部材90に複数の表面要素92が設けられている。
【0054】
可動接点ばね部材90は、可動接点42を担持する長手方向一端の自由端領域90aと、長手方向他端の端子領域90bと、自由端領域90aと端子領域90bとの間に設けられ、基部12の第2部分22(図1)に取り付けられる取付領域90cとを一体に有する(図13(a))。複数の表面要素92は、可動接点ばね部材90の自由端領域90aに、可動接点42を取り囲むように分散配置される。各表面要素92は、可動接点ばね部材90の材料をプレスして一方の部材表面上へ半球状に突出させることにより形成される(図13(b)、(c))。
【0055】
このような構成を有する表面要素92は、可動接点ばね部材90の表面積を増加させることにより、メーク接点閉成中に発生するジュール熱を効率良く放熱して、閉成中の接点部16の温度上昇を効果的に軽減するように作用する。その結果、特に操作部材18(図1)が前述した超過移動を行なう間に可動接点42と操作部材連結部位(一対の連結穴90d)との間に延びる可動接点ばね部材90の一領域に、操作部材18からの押圧力に起因した塑性変形が生じることを未然に防止できる。
【0056】
上記した放熱構造を接点部16に装備した電磁継電器は、長時間に渡る使用後にも、可動接点42と固定接点44(図1)との間隙寸法及び操作部材18の超過移動量を設計値に維持でき、それにより接点接触部位の変位量を長期間に渡って正確かつ安定的に維持して、接点部16の接点寿命を増大させることができる。そしてこのときの接点接触部位の変異量は、設計時に設定した通りの量となるから、電磁継電器の歩留りが向上する。したがってこの電磁継電器は、長寿命の接点部構成により高い構造信頼性及び安定した動作特性を有するものとなる。なお、上記した表面要素92は、可動接点ばね部材90に加えて、又はその代わりに、固定接点ばね部材48(図1)に設けることもできる。
【0057】
図14は、図13の放熱構造の変形例を示す。この変形例では、可動接点ばね部材90の自由端領域90aで一対の連結穴90dの下方位置に、取付領域90cに向かう方向へ延長される一対の平板状の表面要素94が一体的に設けられている。各表面要素94は、可動接点42の近傍に設置される放熱板の構成を有し、可動接点ばね部材90の表面積を増加させてメーク接点閉成中に発生するジュール熱の放熱性を向上させ、以って閉成中の接点部16の温度上昇を効果的に軽減するように作用する。このような構成の表面要素94によっても、上記した突起状の表面要素92と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。
【0058】
図15は、図13の放熱構造の他の変形例を示す。この変形例では、可動接点ばね部材90の全面に渡って、微小凹凸からなる多数の表面要素96が一体的に設けられている。これら表面要素96は、可動接点ばね部材90にエッチング、ドライホーニング、ブラスト加工等の表面処理を施すことにより形成され、可動接点ばね部材90の表面積を増加させてメーク接点閉成中に発生するジュール熱の放熱性を向上させ、以って閉成中の接点部16の温度上昇を効果的に軽減するように作用する。このような構成の表面要素96によっても、上記した突起状の表面要素92と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。
【0059】
図16は、異なる構成の放熱構造を備えた本発明の第6実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材100を示す。可動接点ばね部材100は、放熱構造の構成以外は、上記した可動接点ばね部材90と実質的同一の構成を有するものであり、前述した第1実施形態の電磁継電器10の可動接点ばね部材46に代えて接点部16に組み込むことにより、第6実施形態による電磁継電器を構成できる。すなわち、この電磁継電器では、メーク接点閉成中に生じる発熱下での無用な撓みが塑性変形に至ることを防止するための放熱構造として、可動接点ばね部材100に複数の貫通孔102が設けられている。
【0060】
複数の貫通孔102は、可動接点ばね部材100の自由端領域100aで可動接点42の上半分を取り囲むように配設される。それら貫通孔102は、可動接点ばね部材100の両面間での空気の流通を促進してメーク接点閉成中に発生するジュール熱の放熱性を向上させ、以って閉成中の接点部16の温度上昇を効果的に軽減するように作用する。このような貫通孔102からなる放熱構造によっても、上記した表面要素92、94、96からなる放熱構造と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。なお、複数の貫通孔102は、可動接点ばね部材100内で可動接点42と端子領域100bとの間に流れる電流に影響を及ぼさない位置に形成することが有利である。
【0061】
図17は、さらに異なる構成の放熱構造を備えた本発明の第7実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材110を示す。可動接点ばね部材110は、放熱構造の構成以外は、上記した可動接点ばね部材90と実質的同一の構成を有するものであり、前述した第1実施形態の電磁継電器10の可動接点ばね部材46に代えて接点部16に組み込むことにより、第7実施形態による電磁継電器を構成できる。すなわち、この電磁継電器では、メーク接点閉成中に生じる発熱下での無用な撓みが塑性変形に至ることを防止するための放熱構造として、可動接点ばね部材110に、可動接点42に隣接して薄板状の放熱板112が取り付けられている。
【0062】
放熱板112は、アルミニウム等の放熱性に優れた材料から形成され、可動接点ばね部材110の自由端領域110aと可動接点42との間に挟み込まれるように配設される(図17(a))。放熱板112は、可動接点42においてメーク接点閉成中に発生するジュール熱の放熱性を向上させ、以って閉成中の接点部16の温度上昇を効果的に軽減するように作用する。このような放熱板112からなる放熱構造によっても、上記した表面要素92、94、96からなる放熱構造と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。なお、図17(b)に示すように、電磁継電器がブレーク接点を有する構成の場合、可動接点ばね部材110の可動接点42の裏側にブレーク用の可動接点114が設けられるが、この場合には裏側の可動接点114に対しても放熱板112を配設することが有利である。また、放熱板112は、適当な剛性を有する材料から所望寸法に形成することにより、前述した相対移動防止構造として機能することも理解されよう。
【0063】
図18は、前述した相対移動防止構造や放熱構造とは異なる構造によって接点寿命の低下を抑制する本発明の第8実施形態による電磁継電器に装備される接点部120の構成を概略で示す。接点部120は、前述した第1実施形態の電磁継電器10の接点部16に代えて基部12に組み込むことにより、第8実施形態による電磁継電器を構成できる。この電磁継電器では、接点部120は、可動接点42を担持する可動接点ばね部材122と、固定接点44を担持する固定接点ばね部材124とを備え、可動接点ばね部材122と固定接点ばね部材124との各々が、基部12(図1)に取り付けられる取付部分(図示せず)と、取付部分と可動接点42又は固定接点44との間に延びる弾性腕部分122a、124aとを有して構成される(図18(a))。
【0064】
接点部120の可動接点ばね部材122は、電磁継電器10の接点部16に装備した可動接点ばね部材46と実質的同一の構成を有する。また、固定接点ばね部材124は、下記の点を除いて、電磁継電器10の接点部16に装備した固定接点ばね部材48と実質的同一の構成を有する。すなわち、固定接点ばね部材124の弾性腕部分124aは、固定接点ばね部材48における直線的に延びる形状ではなく、所定位置で折曲線126に沿って鈍角に折曲された所定の折曲形状を有する。弾性腕部分124aの図示の折曲形状は、メーク接点閉成時に可動接点42と固定接点44とを互いの略中心Cで相互接触させるための形状である(図18(b))。
【0065】
上記構成を有する接点部120においては、メーク接点閉成時に、操作部材18の移動に伴い可動接点ばね部材122が弾性腕部分122aで片持ち梁式に揺動して可動接点42が円弧軌道上を移動する構成であるにも関わらず、可動接点42と固定接点44とをそれらの表面の略中心で相互接触させることができる。その結果、両接点42、44において、接点開閉動作の繰り返しによる接点材料の損耗が接点表面の全体に一様に拡がることになり、特に可動接点42における局所的な材料消失を確実に回避できることから、両接点表面上での接触部位Cの変位量を十分に確保して接点寿命を増大することができる。したがって、この接点部120を装備した電磁継電器は、長寿命の接点部構成により高い構造信頼性及び安定した動作特性を有するものとなる。
【0066】
図19は、図18の接点部120の変形例を示す。この変形例は、接点部120がブレーク接点を有する場合のものであって、可動接点ばね部材122を挟んで固定接点ばね部材124の反対側に、ブレーク用の第2固定接点ばね部材128が設置されている。第2固定接点ばね部材128は、固定接点ばね部材124と同様に、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて形成される導電性薄板部材からなり、長手方向一端の自由端領域128aの可動接点ばね部材122に対向する側に、第2固定接点130を担持している。第2固定接点130は、所望の接点材料から形成されて、第2固定接点ばね部材128の自由端領域128aに、その一表面上に膨出するように、例えばかしめにより固定される。さらに、可動接点ばね部材122の可動接点42の裏側に、ブレーク用の第2可動接点132が設けられる。第2可動接点132は、所望の接点材料から形成されて、可動接点42の裏側に膨出するように、例えばかしめにより固定される。
【0067】
この変形例による接点部120においては、ブレーク接点閉成時には、可動接点ばね部材122の直線的に延びる弾性腕部分122aと第2固定接点ばね部材128の僅かに屈曲して実質的直線状に延びる弾性腕部分128bとの、それぞれの先端領域に担持された第2可動接点132と第2固定接点130とが、互いの略中心C′で相互接触する(図19(a))。さらに、メーク接点閉成時には、前述したように可動接点42と固定接点44とがそれらの表面の略中心Cで相互接触する(図19(b))。したがって、特に電磁継電器が、ブレーク接点閉成時にも信号伝達ではなく電力伝達を行なう構成を有する場合に、メーク接点側の接点寿命を上記したように増大できるだけでなく、第2可動接点132及び第2固定接点130の局所的な材料消失を確実に回避して接点寿命を増大することができる。
【0068】
図20は、上記接点部120とは異なる構成の接点部を装備した本発明の第9実施形態による電磁継電器140を示す。電磁継電器140は、接点部の構成以外は、第一実施形態による電磁継電器10と実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0069】
電磁継電器140の接点部142は、図20及び図21に示すように、可動接点42及び第2可動接点132を担持する可動接点ばね部材144と、固定接点44を担持する固定接点ばね部材146と、第2固定接点130を担持する第2固定接点ばね部材148とを備える。これら接点ばね部材144、146、148の各々は、基部12に取り付けられる取付部分(図示せず)と、取付部分と各接点42(132)、44、130との間に延びる弾性腕部分144a、146a、148aとを有して構成される(図21(a))。
【0070】
接点部142の固定接点ばね部材146は、電磁継電器10の接点部16に装備した固定接点ばね部材48と実質的同一の構成を有する。他方、可動接点ばね部材144は、下記の点を除いて、電磁継電器10の接点部16に装備した可動接点ばね部材46と実質的同一の構成を有する。すなわち、可動接点ばね部材144の弾性腕部分144aは、可動接点ばね部材46における直線的に延びる形状ではなく、所定位置で折曲線150に沿って鈍角に折曲された所定の折曲形状を有する。弾性腕部分144aの図示の折曲形状は、メーク接点閉成時に可動接点42と固定接点44とを互いの略中心Cで相互接触させるための形状である(図21(b))。さらに、可動接点ばね部材144の弾性腕部分144aに付与される折曲形状は、電磁継電器140における電磁石装置14の作用下での操作部材18の移動形態を直線移動に近似させる形状でもある。
【0071】
また、第2固定接点ばね部材148は、下記の点を除いて、図19に示す第2固定接点ばね部材128と実質的同一の構成を有する。すなわち、第2固定接点ばね部材148の弾性腕部分148aは、第2固定接点ばね部材128における直線的に延びる形状ではなく、所定位置で折曲線152に沿って鈍角に折曲された所定の折曲形状を有する。弾性腕部分148aの図示の折曲形状は、可動接点ばね部材144の弾性腕部分144aに折曲形状を付与したことに関連して、ブレーク接点閉成時に第2可動接点132と第2固定接点130とを互いの略中心C′で相互接触させるための形状である(図21(a))。
【0072】
上記構成を有する接点部142によっても、図19に示す接点部120と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。特にこの実施形態では、接点開閉動作中の操作部材18の移動形態を直線移動に近似させることができるので、継電器組立工程中に、各接点42、44、130、132の位置決め精度及び相互間隙寸法精度を容易に確保できるとともに、メーク接点閉成時の操作部材18の超過移動量を容易かつ正確に設定できる利点がある。
【0073】
図22は、図20の接点部142の変形例を示す。この変形例では、第2固定接点ばね部材148の弾性腕部分148aが、前述した折曲形状の代わりに、図19に示す第2固定接点ばね部材128と同様の実質的直線形状を有している。したがって、この変形例においては、ブレーク接点閉成時には、可動接点ばね部材144の折曲形状の弾性腕部分144aの先端領域に担持された第2可動接点132が、第2固定接点ばね部材148の第2固定接点130に対し、表面中心から外縁方向へ偏った位置で接触する(図22(a))。他方、メーク接点閉成時には、前述したように可動接点42と固定接点44とがそれらの表面の略中心Cで相互接触する(図22(b))。したがって、特に電磁継電器140が、ブレーク接点閉成時に信号伝達のみを行なう構成を有する場合に、第2可動接点132及び第2固定接点130の材料消失が実質的な問題にならないので、この変形例を有利に適用できる。
【0074】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、可動接点と固定接点との双方が導電性の板ばね部材に担持される接点部構成を有する電磁継電器において、メーク接点閉成時に可動接点ばね部材に生じ得る無用な撓みを効果的に排除して、両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大することが可能になる。また、メーク接点閉成中に生じる発熱下での無用な撓みが塑性変形に至ることを確実に防止して、両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大することが可能になる。さらに、メーク接点閉成時に可動接点に生じ得る接点材料の局所的消失を確実に回避して、両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大することが可能になる。したがって本発明によれば、長寿命の接点部構成により高い構造信頼性及び安定した動作特性を確保できる電磁継電器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による電磁継電器の平面図である。
【図2】図1の電磁継電器の正面図である。
【図3】図1の電磁継電器を図2の矢印IIIから示す端面図である。
【図4】図1の電磁継電器を図2の矢印IVから示す端面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による電磁継電器の平面図である。
【図6】図5の電磁継電器の正面図である。
【図7】図5の電磁継電器を図6の矢印VIIから示す端面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による電磁継電器の平面図である。
【図9】図8の電磁継電器の正面図である。
【図10】図8の電磁継電器を、固定接点ばね部材を省略した状態で、図9の矢印Xから示す端面図である。
【図11】本発明の第4実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材の(a)正面図、及び(b)側面図である。
【図12】変形例による可動接点ばね部材の(a)正面図、及び(b)側面図である。
【図13】本発明の第5実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材の(a)正面図、(b)側面図、及び(c)円XIIIで囲った部分の拡大断面図である。
【図14】変形例による可動接点ばね部材の正面図である。
【図15】他の変形例による可動接点ばね部材の正面図である。
【図16】本発明の第6実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材の正面図である。
【図17】本発明の第7実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材の(a)正面図、及び(b)側面図である。
【図18】本発明の第8実施形態による電磁継電器に装備される接点部の概略図で、(a)接点開成時の状態、及び(b)接点閉成時の状態を示す。
【図19】変形例による接点部の概略図で、(a)接点開成時の状態、及び(b)接点閉成時の状態を示す。
【図20】本発明の第9実施形態による電磁継電器の正面図である。
【図21】図20の電磁継電器に装備される接点部の概略図で、(a)接点開成時の状態、及び(b)接点閉成時の状態を示す。
【図22】変形例による接点部の概略図で、(a)接点開成時の状態、及び(b)接点閉成時の状態を示す。
【符号の説明】
10、60、70、140…電磁継電器
12…基部
14…電磁石装置
16、72、120、142…接点部
18…操作部材
28…電磁石
30…接極子
42…可動接点
44…固定接点
46、80、90、100、110、122、144…可動接点ばね部材
48、124、146…固定接点ばね部材
50、62…支持要素
74…接点取付要素
82、84…補強要素
92、94、96…表面要素
102…貫通孔
112…放熱板
124a、144a、148a…弾性腕部分
126、150、152…折曲線
128、148…第2固定接点ばね部材
130…第2固定接点
132…第2可動接点
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁継電器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電磁石装置と、電磁石装置の作動に伴って開閉動作する接点部とを、共通の基部に組み込んでなる電磁継電器において、接点部のメーク接点閉成時に、電磁石装置の作動によって移動する可動接点を、所定の間隙を介して対向する固定接点に接触させた後に、それら接点同士の接触部位を接触界面上で徐々に変位させる(ずらす)ように構成されたものは知られている(例えば特許文献1参照)。メーク接点閉成時に接点接触部位を変位させるこの構成は、接点閉成の確実性を向上させるとともに接点寿命を増加させる効果を奏する。
【特許文献1】
米国特許第5719541号明細書(第3欄〜第6欄)
【0003】
この種の電磁継電器では一般に、可動接点は、ばね性を有する導電性薄板部材(以下、可動接点ばね部材と称する)に担持され、この可動接点ばね部材が、電磁石装置と接点部との間に配置される操作部材に連結される。操作部材は、電磁石装置の作用により所定の移動範囲で直線状に往復移動して、可動接点ばね部材を弾性変形させながら接点部を開閉動作させる。メーク接点閉成時には、操作部材は可動接点ばね部材に対し十分な押圧力を発揮して、可動接点と固定接点との接触部位を両者の接触面間で徐々に変位させながら移動限界に到達する。
【0004】
従来、このような接点部構成においては、固定接点が可動接点とは異なり、高い剛性を有する導電性薄板部材に担持されるものと、固定接点が可動接点と同様に、ばね性を有する導電性薄板部材(以下、固定接点ばね部材と称する)に担持されるものとが、適宜選択して採用されている。後者の接点部構成では、メーク接点閉成時に固定接点ばね部材が、固定接点を可動接点に接触させた状態で、操作部材から受ける押圧力により可動接点ばね部材と共に弾性変形する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
可動接点と固定接点との双方が導電性の板ばね部材に担持される上記接点部構成を有する従来の電磁継電器においては、継電器組立工程中に、両接点の位置決め精度及び相互間隙寸法精度を確保することに加えて、メーク接点閉成時に固定接点ばね部材と共に弾性変形する可動接点ばね部材の撓み量、すなわち操作部材が可動接点と固定接点とを接触させてから移動限界に到達するまでの操作部材の超過移動量を正確に設定することが、電磁継電器の動作を長期間に渡って安定化させる観点で肝要である。しかし従来の電磁継電器では、可動接点ばね部材は、電磁石装置の作用下で円滑な接点開閉動作を遂行できるように固定接点ばね部材よりも薄い厚みを有するので、メーク接点閉成時に、操作部材から受ける押圧力と固定接点ばね部材から受ける反力(弾性復元力)との相互作用により、特に可動接点と操作部材連結部位との間に延びる可動接点ばね部材の一領域に、設計外の無用な撓みを生じる傾向があった。
【0006】
可動接点ばね部材のこのような無用な撓みは、それ自体、メーク接点閉成時の可動接点と固定接点との接触界面における接触部位の変位量(ずれ量)を低減させるものである。また、このような設計外の無用な撓みを正確に予測することは困難であるから、組み立てが完了した多数の電磁継電器の間でメーク接点閉成時の接点接触部位の変位量にばらつきが生じ、結果として電磁継電器の歩留りが悪化することが懸念された。しかも可動接点ばね部材は、そのような無用な撓みを生じている状態で通電による発熱を生じることから、長時間に渡る使用により撓み領域が塑性変形してしまう危惧もあった。可動接点ばね部材に塑性変形が生じると、可動接点と固定接点との間隙寸法が増加するとともに、操作部材の超過移動量が減少し、結果としてメーク接点閉成時の接点接触部位の変位量が著しく低減して接点寿命が短縮されることが懸念される。
【0007】
また、従来の電磁継電器では、継電器組立工程中に可動接点と固定接点との位置決め精度及び相互間隙寸法精度を容易に確保できるようにする目的で、可動接点ばね部材及び固定接点ばね部材の双方が、直線的に延びる弾性腕部分の先端領域にそれぞれ可動接点及び固定接点を担持する構成を有していた。しかしこの構成では、可動接点は、弾性腕部分の片持ち梁式揺動動作に伴い円弧軌道に沿って移動するから、固定接点に対しその表面の中心から外縁方向へ偏った位置で接触することになる。その結果、両接点において、接点開閉動作の繰り返しによる接点材料の損耗が接点表面の全体に拡がり難くなり、特に可動接点に局所的な材料消失が生じる傾向があった。このような接点材料の局所的消失も、接点間の間隙を拡大して操作部材の超過移動量を減少させる要因となり、結果として接点寿命を短縮する懸念がある。
【0008】
本発明の目的は、可動接点と固定接点との双方が導電性の板ばね部材に担持される接点部構成を有する電磁継電器において、メーク接点閉成時に可動接点ばね部材に生じ得る無用な撓みを効果的に排除でき、それにより両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大でき、以って高い構造信頼性及び安定した動作特性を有する電磁継電器を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、可動接点と固定接点との双方が導電性の板ばね部材に担持される接点部構成を有する電磁継電器において、メーク接点閉成中に生じる発熱下での無用な撓みが塑性変形に至ることを確実に防止でき、それにより両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大でき、以って高い構造信頼性及び安定した動作特性を有する電磁継電器を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、可動接点と固定接点との双方が導電性の板ばね部材に担持される接点部構成を有する電磁継電器において、メーク接点閉成時に可動接点に生じ得る接点材料の局所的消失を確実に回避でき、それにより両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大でき、以って高い構造信頼性及び安定した動作特性を有する電磁継電器を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基部と、基部に組み込まれる電磁石装置と、電磁石装置から絶縁されて基部に組み込まれる接点部と、電磁石装置と接点部との間に配置され、電磁石装置の作用により移動して接点部を開閉動作させる操作部材とを具備し、接点部は、操作部材に連動する可動接点と、可動接点に対向配置される固定接点とを備え、操作部材は接点部の閉成時に、電磁石装置の作用により押圧力を発揮して、可動接点と固定接点とを相互接触させるとともに、それら接点同士の接触部位を徐々に変位させながら移動限界に到達するように構成される電磁継電器において、操作部材が可動接点と固定接点とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの間、可動接点と操作部材との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造を具備することを特徴とする電磁継電器を提供する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁継電器において、接点部は、可動接点を担持するとともに操作部材に連結される可動接点ばね部材を備え、相対移動防止構造は、操作部材に設けられる支持要素であって、押圧力下で可動接点と固定接点とを相互接触させる間に、可動接点ばね部材に担持された可動接点を裏側から支持する支持要素を有する電磁継電器を提供する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電磁継電器において、接点部は、可動接点を担持するとともに操作部材に連結される可動接点ばね部材を備え、相対移動防止構造は、操作部材に設けられる支持要素であって、可動接点と操作部材連結部位との間に延びる可動接点ばね部材の一領域を支持して、押圧力によるこの領域の変形を防止する支持要素を有する電磁継電器を提供する。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の電磁継電器において、相対移動防止構造は、可動接点を操作部材に直接に設けることにより構成される電磁継電器を提供する。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の電磁継電器において、接点部は、可動接点を担持するとともに操作部材に連結される可動接点ばね部材を備え、相対移動防止構造は、可動接点ばね部材に設けられる補強要素であって、可動接点と操作部材連結部位との間に延びる可動接点ばね部材の一領域の、押圧力による変形を防止する補強要素を有する電磁継電器を提供する。
【0016】
請求項6に記載の発明は、基部と、基部に組み込まれる電磁石装置と、電磁石装置から絶縁されて基部に組み込まれる接点部と、電磁石装置と接点部との間に配置され、電磁石装置の作用により移動して接点部を開閉動作させる操作部材とを具備し、接点部は、操作部材に連動する可動接点と、可動接点に対向配置される固定接点とを備え、操作部材は接点部の閉成時に、電磁石装置の作用により押圧力を発揮して、可動接点と固定接点とを相互接触させるとともに、それら接点同士の接触部位を徐々に変位させながら移動限界に到達するように構成される電磁継電器において、接点部は、可動接点を担持する可動接点ばね部材と、固定接点を担持する固定接点ばね部材と、可動接点ばね部材と固定接点ばね部材との少なくとも一方に設けられ、閉成中の接点部の温度上昇を軽減する放熱構造とを具備することを特徴とする電磁継電器を提供する。
【0017】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の電磁継電器において、放熱構造は、可動接点ばね部材と固定接点ばね部材との少なくとも一方に、その表面積を増加するように形成される表面要素を有する電磁継電器を提供する。
【0018】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載の電磁継電器において、放熱構造は、可動接点ばね部材と固定接点ばね部材との少なくとも一方に、可動接点又は固定接点に隣接して取り付けられる放熱板を有する電磁継電器を提供する。
【0019】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁継電器において、接点部は、可動接点を担持する可動接点ばね部材と、固定接点を担持する固定接点ばね部材とを備え、可動接点ばね部材と固定接点ばね部材との各々は、基部に取り付けられる取付部分と、取付部分と可動接点又は固定接点との間に延びる弾性腕部分とを有し、可動接点ばね部材と固定接点ばね部材との少なくとも一方が、弾性腕部分に、閉成時に可動接点と固定接点とを互いの略中心で相互接触させるための予め定めた折曲形状を有する電磁継電器を提供する。
【0020】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の電磁継電器において、折曲形状を有する弾性腕部分が可動接点ばね部材に設けられ、この折曲形状は、電磁石装置の作用下での操作部材の移動形態を直線移動に近似させる形状である電磁継電器を提供する。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。全図面に渡り、対応する構成要素には共通の参照符号を付す。
図面を参照すると、図1〜図4は、本発明の第1実施形態による電磁継電器10を示す。電磁継電器10は、基部12と、基部12に組み込まれる電磁石装置14と、電磁石装置14から絶縁されて基部12に組み込まれる接点部16と、電磁石装置14と接点部16との間に配置され、電磁石装置14の作用により移動して接点部16を開閉動作させる操作部材18とを備えて構成される。
【0022】
基部12は、電気絶縁性の樹脂成形品からなり、電磁石装置14を設置する第1部分20と、接点部16を設置する第2部分22とを一体に備える。第1部分20は、電磁石装置14を部分的に包囲する筒状壁24を有する。また第2部分22は、接点部16の後述する複数の接点ばね部材を個別に受容する複数の受容溝26を有する。第1部分20の筒状壁24は、電磁石装置14と接点部16との間に介在して両者間の電気的絶縁を確保する。
【0023】
電磁石装置14は、電磁石28と、電磁石28によって駆動される接極子30とを備える。電磁石28は、巻枠32と、巻枠32に巻き付けて支持されるコイル34と、コイル34の中心軸線34aに沿って巻枠32に取り付けられる鉄心36とを備える。巻枠32は、電気絶縁性の樹脂成形品であり、所定長さを有する図示しない中空の胴部と、胴部の長手方向両端に連結される一対の環状の鍔部32a、32bとを一体的に有する。
【0024】
コイル34は、巻枠32の胴部に導線の所要長さ部分を密に巻着して形成され、巻枠32の両鍔部32a、32bの間に固定的に保持される。鉄心36は、例えば磁性鋼から形成される柱状部材であり、その略円柱状の主部分が、コイル34の中心軸線34aに同心配置されて巻枠32の胴部内に固定的に受容される。鉄心36の軸線方向一端には、コイル中心軸線34aに略直交する平坦な端面を有する頭部36aが一体的に設けられ、この頭部36aが巻枠32の鍔部32aの外面上に露出して配置される。
【0025】
電磁石28の鉄心36には、頭部36aの反対側の軸線方向他端に、コイル34の周辺に磁路を形成する継鉄38が、例えばかしめにより固定的に連結される。継鉄38は、例えば磁性鋼から形成されるL字板状部材であり、その短尺部分が巻枠32の軸線方向他端側の鍔部32bに沿って延設されるとともに、長尺部分がコイル34の側方に離間してコイル中心軸線34aに略平行に延設される。継鉄38の長尺部分の末端部38aは、鉄心36の頭部36aと略同一位置に配置され、この末端部38aに隣接して、接極子30が揺動自在に継鉄38に連結される。
【0026】
接極子30は、例えば磁性鋼から形成される平板状部材であり、板ばね40を介して継鉄38に弾性的相対移動可能に連結されるとともに、鉄心36の頭部36aに対向して配置される。板ばね40は、継鉄38と接極子30との間で弾性ヒンジとして機能し、それ自体のばね作用により、接極子30を鉄心36の頭部36aから離れる方向へ付勢する。電磁石28の非作動時には、接極子30は、その下端部を継鉄末端部38aに隣接させつつ、板ばね40のばね力下で鉄心36の頭部36aから所定距離だけ離れた復旧位置に静止保持される。電磁石28が作動すると、磁気吸引力により接極子30は、継鉄末端部38aに隣接する下端部を中心に、板ばね40のばね力に抗して鉄心頭部36aに近する方向へ揺動する。
【0027】
接点部16は、電磁石装置14に対し接極子30の反対側で、電磁石28のコイル中心軸線34aに沿って互いに所定間隙を空けて配置される可動接点42及び固定接点44を備える。可動接点42は、可動接点ばね部材46に担持され、固定接点44は、可動接点ばね部材46から独立した固定接点ばね部材48に担持される。可動接点ばね部材46は、基部12の筒状壁24の端壁面に対向配置され、固定接点ばね部材48は、筒状壁24とは反対側で、可動接点ばね部材46に対向配置される。可動接点42は、基部12の第2部分22の上方で、後述するように接極子30の揺動動作に対応して揺動変位して、その揺動方向に対向する固定接点44に対しメーク接点閉成できる位置に配置される。このように、図示実施形態による電磁継電器10は、接点部16にブレーク接点を有しない構成となっている。
【0028】
可動接点ばね部材46は、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて形成される導電性薄板部材からなり、基部第2部分22の上方で可動接点42を担持する長手方向一端の自由端領域46aと、基部第2部分22から下方へ突出する長手方向他端の端子領域46bとを一体に有する。可動接点42は、所望の接点材料から形成されて、可動接点ばね部材46の自由端領域46aに、その一表面上に膨出するように、例えばかしめにより固定される。可動接点ばね部材46は、自由端領域46aと端子領域46bとの間の取付領域を、基部第2部分22に設けた対応の受容溝26に横方向へ嵌入することにより、基部12に固定的に取り付けられる。
【0029】
固定接点ばね部材48は、可動接点ばね部材46と同様に、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて形成される導電性薄板部材からなり、基部第2部分22の上方で固定接点44を担持する長手方向一端の自由端領域48aと、基部第2部分22から下方へ突出する長手方向他端の端子領域48bとを一体に有する。固定接点44は、所望の接点材料から形成されて、固定接点ばね部材48の自由端領域48aに、その一表面上に膨出するように、例えばかしめにより固定される。固定接点ばね部材48は、自由端領域48aと端子領域48bとの間の取付領域を、基部第2部分22に設けた対応の受容溝26に横方向へ嵌入することにより、基部12に固定的に取り付けられる。なお、可動接点ばね部材46は、電磁石装置14の作用下で円滑な接点開閉動作を遂行できるように、固定接点ばね部材48よりも薄い厚みを有する。
【0030】
接点部16の可動接点ばね部材46は、電気絶縁性の操作部材18を介して、電磁石装置14の接極子30に機械的に連結される。操作部材18は、例えば樹脂材料から一体成形される枠状部材であり、その長手方向第1端18aで、継鉄38から離れた側の接極子30の自由端(図で上端)30aに連結される。操作部材18の長手方向第2端には、長手方向へ互いに略平行に延びる一対の突子18bが設けられ、それら突子18bが、可動接点ばね部材46の自由端領域46aに形成した一対の連結穴46cにそれぞれ嵌入される。操作部材18は、電磁石28の励磁/非励磁に伴う接極子30の揺動動作に連動して、コイル中心軸線34aに実質的平行な方向へ往復動作し、それにより接極子30の揺動動作を、下記のように可動接点ばね部材46に伝達する。なお、可動接点ばね部材46の一対の連結穴46cは、自由端領域46a内で可動接点42を挟んだ略対称位置に配置され、操作部材18から受ける力が継電器横断方向に見て可動接点42に均等に伝達されるようになっている。
【0031】
図示の復旧位置においては、前述したように、接極子30は板ばね40のばね力下で鉄心36の頭部36aから所定距離だけ離れた状態にある。このとき操作部材18は、その往復移動範囲の第1の限界に置かれ、それにより、その一対の突子18bに自由端領域46aで連結された可動接点ばね部材46上の可動接点42が、固定接点ばね部材48上の固定接点44から所定距離だけ離れた位置に置かれる。この復旧位置から、電磁石28が作動すると、磁気吸引力により接極子30は、その下端部を中心に、板ばね40のばね力に抗して鉄心頭部36aに接近する方向へ揺動する。それに伴い操作部材18は、可動接点ばね部材46に対し押圧力を発揮しながら、往復移動範囲の第2の限界に向けて移動して、可動接点ばね部材46を固定接点ばね部材48に接近するように弾性的に撓曲する。接極子30が鉄心頭部36aに完全吸着された時点で、操作部材18は往復移動範囲の第2の限界に達し、可動接点42が固定接点44に導通接触して、メーク接点が閉成される。
【0032】
メーク接点閉成時には、操作部材18は、電磁石装置14の作用により可動接点ばね部材46に対し押圧力を発揮して、上記のように可動接点42を固定接点44に接触させるとともに、その状態で可動接点ばね部材46と固定接点ばね部材48とを同時に弾性変形させる。このとき、操作部材18が、可動接点42と固定接点44との接触部位を両者の接触面間で徐々に変位させながら、往復移動範囲の第2の限界に到達するように、接極子30及び操作部材18の移動範囲、並びに可動接点42と固定接点44との間隙寸法が設定される。このような構成は、接点部16のメーク接点閉成動作の確実性を向上させるとともに、接点開閉動作を繰り返す間に生じ得る接触面の接触抵抗の増加を抑制して接点寿命を増加させる効果を奏する。
【0033】
上記構成を有する電磁継電器10では、継電器組立工程中に、両接点42、44の位置決め精度及び相互間隙寸法精度を確保することに加えて、メーク接点閉成時に固定接点ばね部材48と共に弾性変形する可動接点ばね部材46の撓み量、すなわち操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの操作部材18の超過移動量を正確に設定することが、電磁継電器10の動作を長期間に渡って安定化させる観点で肝要である。ここで電磁継電器10は、可動接点ばね部材46に接点閉成中の発熱下で塑性変形を引き起こすような、設計外の無用な撓みの発生を効果的に防止するための、下記の特徴的構成を採用している。
【0034】
すなわち、電磁継電器10は、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから往復移動範囲の上記した第2の限界に到達するまでの間、可動接点42と操作部材18との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造を備える。この相対移動防止構造は、メーク接点閉成時に、固定接点ばね部材48よりも薄い厚みを有する可動接点ばね部材46の、特に可動接点42と操作部材連結部位(一対の連結穴46c)との間に延びる一領域に生じ得る設計外の無用な撓みを、効果的に排除するように作用する。
【0035】
図示実施形態では、相対移動防止構造は、操作部材18に設けられる支持要素50から構成される。支持要素50は、一対の突子18bを有する操作部材18の長手方向第2端に一体的に形成され、それら突子18bの間で両突子18bに略平行に長手方向へ延設される。支持要素50の先端は、両突子18bの基端を含む仮想平面上に実質的に配置される。操作部材18を前述したように電磁石装置14と接点部16とに所定位置関係で組み付けると、支持要素50はコイル中心軸線34aに沿って配置され、支持要素50の先端面は、電磁石28が復旧位置にある間の可動接点ばね部材46の、変形を生じていない平坦な自由端領域46aの裏面の略中央部位(可動接点42の反対側)に当接される(又は僅かな隙間を介して対向配置される)。
【0036】
このような配置構成を有する支持要素50は、メーク接点閉成時に、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの前述した超過移動を行なう間、可動接点ばね部材46に担持された可動接点42をその裏側から支持するように作用する。したがって、メーク接点閉成時に操作部材18から可動接点ばね部材46に加わる押圧力が、相互接触する可動接点42及び固定接点44を介して無駄なく固定接点ばね部材48に伝達され、両ばね部材46、48が操作部材18の超過移動量に対応して特定される所定量の弾性撓みを生じる。その結果、メーク接点閉成時の可動接点42と固定接点44との接触部位の変位量が、設計通りに十分に確保されることになる。なお、この構成では、メーク接点閉成中に支持要素50が可動接点42に継続して当接されるから、操作部材18をセラミックス等の耐熱性に優れた材料から作製することが有利である。
【0037】
このように、上記構成を有する電磁継電器10では、接点部16の相対移動防止構造として操作部材18に設けた支持要素50が、メーク接点閉成時に操作部材18と共に一体的に移動し、可動接点ばね部材46の可動接点42を、固定接点ばね部材48から受ける弾性復元力に抗して裏側から継続的に支持する。その結果、電磁継電器10によれば、メーク接点閉成時に可動接点ばね部材46に生じ得る前述した設計外の無用な撓みが効果的に排除され、それにより接点接触部位の変位量が十分に確保されて、接点部16の接点寿命が増大する。そしてこのときの接点接触部位の変異量は、設計時に設定した通りの量となるから、電磁継電器10の歩留りが向上する。しかも、可動接点ばね部材46に接点閉成中の発熱下で塑性変形を引き起こすような、設計外の無用な撓みを排除したことにより、メーク接点閉成時の接点接触部位の変位量を長期間に渡って正確かつ安定的に維持することができる。したがって電磁継電器10は、長寿命の接点部構成により高い構造信頼性及び安定した動作特性を有するものとなる。
【0038】
図5〜図7は、上記した相対移動防止構造とは異なる構成の相対移動防止構造を備えた本発明の第2実施形態による電磁継電器60を示す。電磁継電器60は、相対移動防止構造の構成以外は、前述した第一実施形態の電磁継電器10と実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。すなわち、電磁継電器60は、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから往復移動範囲の前述した第2の限界に到達するまでの間、可動接点42と操作部材18との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造として、操作部材18に設けられる支持要素62を備える。
【0039】
支持要素62は、前述した一対の突子18bに代えて操作部材18の長手方向第2端に一体的に設けられ、互いに略平行に長手方向へ延設される一対の延長部分62aと、それら延長部分62aに連結されて横断方向へ延設される横梁部分62bとを有する。両延長部分62aと横梁部分62bとには、直線状に連続して延びる1本の受容溝64が形成される。操作部材18を前述したように電磁石装置14と接点部16とに所定位置関係で組み付けると、支持要素62の一対の延長部分62aがコイル中心軸線34aに関して対称位置に配置されるとともに、横梁部分62bがコイル中心軸線34aに略直交して配置される。また、支持要素62の受容溝64は、可動接点ばね部材46に対向して配置され、電磁石28が復旧位置にある間の可動接点ばね部材46の、変形を生じていない平坦な自由端領域46aの上端縁部分を実質的にがたつき無く受容する。
【0040】
このような配置構成を有する支持要素62は、メーク接点閉成時に、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの前述した超過移動を行なう間、可動接点42と操作部材連結部位(自由端領域46aの上端縁部分)との間に延びる可動接点ばね部材46の一領域を支持して、操作部材18から受ける押圧力による当該領域の変形(設計外の無用な撓み)を防止するように作用する。したがって、メーク接点閉成時に操作部材18から可動接点ばね部材46に加わる押圧力が、相互接触する可動接点42及び固定接点44を介して無駄なく固定接点ばね部材48に伝達され、両ばね部材46、48が操作部材18の超過移動量に対応して特定される所定量の弾性撓みを生じる。その結果、メーク接点閉成時の可動接点42と固定接点44との接触部位の変位量が、設計通りに十分に確保されることになる。
【0041】
上記した相対移動防止構造を有する電磁継電器60においても、前述した電磁継電器10と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。特に第2実施形態の構成では、メーク接点閉成中に支持要素62が可動接点42に直接には当接されないので、操作部材18を安価な一般的樹脂材料から作製できる利点がある。
【0042】
図8〜図10は、上記したいずれの相対移動防止構造とも異なる構成の相対移動防止構造を備えた本発明の第3実施形態による電磁継電器70を示す。電磁継電器70は、接点部及び相対移動防止構造の構成以外は、前述した第1実施形態の電磁継電器10と実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。すなわち、電磁継電器70では、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから往復移動範囲の前述した第2の限界に到達するまでの間、可動接点42と操作部材18との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造が、可動接点42を操作部材18に直接に設けることにより構成されている。
【0043】
電磁継電器70の接点部72は、一対の突子18bを有する操作部材18の長手方向第2端に固定的に設置される可動接点42と、基部12の第2部分22に取り付けられる固定接点ばね部材48に担持された固定接点44とから構成される。操作部材18の長手方向第2端には、一対の突子18bの間で両突子18bに略平行に、接点取付要素74が長手方向へ一体的に延設される。接点取付要素74の先端は、両突子18bの基端を含む仮想平面上に実質的に配置され、その先端面に、所望の接点材料からなる可動接点42が例えばかしめにより固定される。
【0044】
基部12の第2部分22には、可動接点ばね部材46に代えて、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて形成される可動ばね部材76が設置される。可動ばね部材76は、接点を担持しないものの、メーク接点閉成時に操作部材18に対して所要のばね作用を発揮するための部材であり、基部第2部分22の上方にU字状に延びる長手方向一端の自由端領域76aと、基部第2部分22から下方へ突出する長手方向他端の端子領域76bとを一体に有する。可動ばね部材76は、可動接点ばね部材46と同様に、自由端領域76aと端子領域76bとの間の取付領域を、基部第2部分22に設けた対応の受容溝26(図1)に横方向へ嵌入することにより、基部12に固定的に取り付けられる。また、可動ばね部材76の自由端領域76aには、操作部材18の一対の突子18bをそれぞれに嵌入する一対の連結穴76cが形成される。
【0045】
操作部材18を前述したように電磁石装置14と可動ばね部材76とに所定位置関係で組み付けると、接点取付要素74はコイル中心軸線34aに沿って配置され、可動接点42は、固定接点ばね部材48に担持された固定接点44に対向して配置される。操作部材18は、前述した電磁石装置14の作用により、可動接点42と共に一体に、コイル中心軸線34aに実質的平行な方向へ直線的に往復動作する。すなわち、図示の復旧位置においては、操作部材18はその往復移動範囲の第1の限界に置かれ、それにより可動接点42が、固定接点ばね部材48上の固定接点44から所定距離だけ離れた位置に置かれる。この復旧位置から、電磁石装置14が作動すると、操作部材18は可動接点42と共に、可動ばね部材76を弾性変形させながら往復移動範囲の第2の限界に向けて移動し、所定位置で可動接点42を固定接点44に導通接触させてメーク接点を閉成する。なお、可動接点42は、電線78を介して可動ばね部材76の端子領域76bに接続される。
【0046】
上記構成においては、可動接点ばね部材46を省略して可動接点42を操作部材18に直接に設けたから、メーク接点閉成時に、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの前述した超過移動を行なう間、操作部材18からの押圧力が、相互接触する可動接点42及び固定接点44を介して無駄なく固定接点ばね部材48に伝達され、固定接点ばね部材48が操作部材18の超過移動量に対応して特定される所定量の弾性撓みを生じる。その結果、メーク接点閉成時の可動接点42と固定接点44との接触部位の変位量が、設計通りに十分に確保されることになる。
【0047】
上記した相対移動防止構造を有する電磁継電器70においても、前述した電磁継電器10と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。特に第3実施形態の構成では、可動接点42を操作部材18に直接に担持させたから、継電器組立工程中に、両接点42、44の位置決め精度及び相互間隙寸法精度を容易に確保できるとともに、メーク接点閉成時の操作部材18の超過移動量を容易に正確に設定できる利点がある。なお、この構成では、可動接点42を直接に担持する操作部材18を、セラミックス等の耐熱性に優れた材料から作製することが有利である。
【0048】
図11は、さらに異なる構成の相対移動防止構造を備えた本発明の第4実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材80を示す。可動接点ばね部材80は、それ自体に相対移動防止構造を有するものであり、前述した第1実施形態の電磁継電器10の可動接点ばね部材46に代えて接点部16に組み込むことにより、本発明の第4実施形態による電磁継電器を構成できる。すなわち、この電磁継電器では、操作部材18(図1)が可動接点42と固定接点44(図1)とを相互接触させてから往復移動範囲の前述した第2の限界に到達するまでの間、可動接点42と操作部材18との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造として、可動接点ばね部材80に補強要素82が設けられている。
【0049】
可動接点ばね部材80は、可動接点42を担持する長手方向一端の自由端領域80aと、長手方向他端の端子領域80bと、自由端領域80aと端子領域80bとの間に設けられ、基部12の第2部分22(図1)に取り付けられる取付領域80cとを一体に有する(図11(a))。補強要素82は、可動接点ばね部材80の自由端領域80aの上端縁部分を、図示のように一方の部材表面上へ180°折曲することにより形成される(図11(b))。
【0050】
このような構成を有する補強要素82は、メーク接点閉成時に、操作部材18が可動接点42と固定接点44とを相互接触させてから移動限界に到達するまでの前述した超過移動を行なう間、可動接点42と操作部材連結部位(一対の連結穴80d)との間に延びる可動接点ばね部材80の一領域を支持して、操作部材18から受ける押圧力による当該領域の変形(設計外の無用な撓み)を防止するように作用する。したがって、メーク接点閉成時に操作部材18から可動接点ばね部材80に加わる押圧力が、相互接触する可動接点42及び固定接点44を介して無駄なく固定接点ばね部材48(図1)に伝達され、両ばね部材80、48が操作部材18の超過移動量に対応して特定される所定量の弾性撓みを生じる。その結果、メーク接点閉成時の可動接点42と固定接点44との接触部位の変位量が、設計通りに十分に確保されることになる。
【0051】
上記した相対移動防止構造を有する可動接点ばね部材80を装備した電磁継電器においても、前述した電磁継電器10と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。特にこの構成では、可動接点ばね部材80に補強要素82を折曲形成するだけで、特別な材料を用いることなく極めて容易に相対移動防止構造を作製できる利点がある。なお、補強要素82は、図示のように可動接点ばね部材80の自由端領域80aの上端縁部分を180°折曲する構成に限定されず、90°や他の適当な角度に折曲することによっても形成できる。一般に、自由端領域80aの上端縁部分の折曲角度が小さいほど、補強要素82の形成が容易になり、折曲部分での材料破断の危惧も低減する。
【0052】
図12は、図11の相対移動防止構造の変形例を示す。この変形例では、可動接点ばね部材80の自由端領域80aに、可動接点42を取り囲むようにして、相対移動防止構造を構成する3個の補強要素84が形成されている(図12(a)。各補強要素84は、可動接点ばね部材80の材料をプレスして一方の部材表面上へリブ状に隆出させることにより形成される(図12(b))。このような構成の補強要素84によっても、上記した折曲縁からなる補強要素82と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。
【0053】
図13は、前述した相対移動防止構造とは異なる構造によって接点寿命の低下を抑制する本発明の第5実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材90を示す。可動接点ばね部材90は、それ自体に放熱構造を備えるものであり、前述した第1実施形態の電磁継電器10の可動接点ばね部材46に代えて接点部16に組み込むことにより、第5実施形態による電磁継電器を構成できる。すなわち、この電磁継電器では、メーク接点閉成中に生じる発熱下での無用な撓みが塑性変形に至ることを防止するための放熱構造として、可動接点ばね部材90に複数の表面要素92が設けられている。
【0054】
可動接点ばね部材90は、可動接点42を担持する長手方向一端の自由端領域90aと、長手方向他端の端子領域90bと、自由端領域90aと端子領域90bとの間に設けられ、基部12の第2部分22(図1)に取り付けられる取付領域90cとを一体に有する(図13(a))。複数の表面要素92は、可動接点ばね部材90の自由端領域90aに、可動接点42を取り囲むように分散配置される。各表面要素92は、可動接点ばね部材90の材料をプレスして一方の部材表面上へ半球状に突出させることにより形成される(図13(b)、(c))。
【0055】
このような構成を有する表面要素92は、可動接点ばね部材90の表面積を増加させることにより、メーク接点閉成中に発生するジュール熱を効率良く放熱して、閉成中の接点部16の温度上昇を効果的に軽減するように作用する。その結果、特に操作部材18(図1)が前述した超過移動を行なう間に可動接点42と操作部材連結部位(一対の連結穴90d)との間に延びる可動接点ばね部材90の一領域に、操作部材18からの押圧力に起因した塑性変形が生じることを未然に防止できる。
【0056】
上記した放熱構造を接点部16に装備した電磁継電器は、長時間に渡る使用後にも、可動接点42と固定接点44(図1)との間隙寸法及び操作部材18の超過移動量を設計値に維持でき、それにより接点接触部位の変位量を長期間に渡って正確かつ安定的に維持して、接点部16の接点寿命を増大させることができる。そしてこのときの接点接触部位の変異量は、設計時に設定した通りの量となるから、電磁継電器の歩留りが向上する。したがってこの電磁継電器は、長寿命の接点部構成により高い構造信頼性及び安定した動作特性を有するものとなる。なお、上記した表面要素92は、可動接点ばね部材90に加えて、又はその代わりに、固定接点ばね部材48(図1)に設けることもできる。
【0057】
図14は、図13の放熱構造の変形例を示す。この変形例では、可動接点ばね部材90の自由端領域90aで一対の連結穴90dの下方位置に、取付領域90cに向かう方向へ延長される一対の平板状の表面要素94が一体的に設けられている。各表面要素94は、可動接点42の近傍に設置される放熱板の構成を有し、可動接点ばね部材90の表面積を増加させてメーク接点閉成中に発生するジュール熱の放熱性を向上させ、以って閉成中の接点部16の温度上昇を効果的に軽減するように作用する。このような構成の表面要素94によっても、上記した突起状の表面要素92と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。
【0058】
図15は、図13の放熱構造の他の変形例を示す。この変形例では、可動接点ばね部材90の全面に渡って、微小凹凸からなる多数の表面要素96が一体的に設けられている。これら表面要素96は、可動接点ばね部材90にエッチング、ドライホーニング、ブラスト加工等の表面処理を施すことにより形成され、可動接点ばね部材90の表面積を増加させてメーク接点閉成中に発生するジュール熱の放熱性を向上させ、以って閉成中の接点部16の温度上昇を効果的に軽減するように作用する。このような構成の表面要素96によっても、上記した突起状の表面要素92と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。
【0059】
図16は、異なる構成の放熱構造を備えた本発明の第6実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材100を示す。可動接点ばね部材100は、放熱構造の構成以外は、上記した可動接点ばね部材90と実質的同一の構成を有するものであり、前述した第1実施形態の電磁継電器10の可動接点ばね部材46に代えて接点部16に組み込むことにより、第6実施形態による電磁継電器を構成できる。すなわち、この電磁継電器では、メーク接点閉成中に生じる発熱下での無用な撓みが塑性変形に至ることを防止するための放熱構造として、可動接点ばね部材100に複数の貫通孔102が設けられている。
【0060】
複数の貫通孔102は、可動接点ばね部材100の自由端領域100aで可動接点42の上半分を取り囲むように配設される。それら貫通孔102は、可動接点ばね部材100の両面間での空気の流通を促進してメーク接点閉成中に発生するジュール熱の放熱性を向上させ、以って閉成中の接点部16の温度上昇を効果的に軽減するように作用する。このような貫通孔102からなる放熱構造によっても、上記した表面要素92、94、96からなる放熱構造と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。なお、複数の貫通孔102は、可動接点ばね部材100内で可動接点42と端子領域100bとの間に流れる電流に影響を及ぼさない位置に形成することが有利である。
【0061】
図17は、さらに異なる構成の放熱構造を備えた本発明の第7実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材110を示す。可動接点ばね部材110は、放熱構造の構成以外は、上記した可動接点ばね部材90と実質的同一の構成を有するものであり、前述した第1実施形態の電磁継電器10の可動接点ばね部材46に代えて接点部16に組み込むことにより、第7実施形態による電磁継電器を構成できる。すなわち、この電磁継電器では、メーク接点閉成中に生じる発熱下での無用な撓みが塑性変形に至ることを防止するための放熱構造として、可動接点ばね部材110に、可動接点42に隣接して薄板状の放熱板112が取り付けられている。
【0062】
放熱板112は、アルミニウム等の放熱性に優れた材料から形成され、可動接点ばね部材110の自由端領域110aと可動接点42との間に挟み込まれるように配設される(図17(a))。放熱板112は、可動接点42においてメーク接点閉成中に発生するジュール熱の放熱性を向上させ、以って閉成中の接点部16の温度上昇を効果的に軽減するように作用する。このような放熱板112からなる放熱構造によっても、上記した表面要素92、94、96からなる放熱構造と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。なお、図17(b)に示すように、電磁継電器がブレーク接点を有する構成の場合、可動接点ばね部材110の可動接点42の裏側にブレーク用の可動接点114が設けられるが、この場合には裏側の可動接点114に対しても放熱板112を配設することが有利である。また、放熱板112は、適当な剛性を有する材料から所望寸法に形成することにより、前述した相対移動防止構造として機能することも理解されよう。
【0063】
図18は、前述した相対移動防止構造や放熱構造とは異なる構造によって接点寿命の低下を抑制する本発明の第8実施形態による電磁継電器に装備される接点部120の構成を概略で示す。接点部120は、前述した第1実施形態の電磁継電器10の接点部16に代えて基部12に組み込むことにより、第8実施形態による電磁継電器を構成できる。この電磁継電器では、接点部120は、可動接点42を担持する可動接点ばね部材122と、固定接点44を担持する固定接点ばね部材124とを備え、可動接点ばね部材122と固定接点ばね部材124との各々が、基部12(図1)に取り付けられる取付部分(図示せず)と、取付部分と可動接点42又は固定接点44との間に延びる弾性腕部分122a、124aとを有して構成される(図18(a))。
【0064】
接点部120の可動接点ばね部材122は、電磁継電器10の接点部16に装備した可動接点ばね部材46と実質的同一の構成を有する。また、固定接点ばね部材124は、下記の点を除いて、電磁継電器10の接点部16に装備した固定接点ばね部材48と実質的同一の構成を有する。すなわち、固定接点ばね部材124の弾性腕部分124aは、固定接点ばね部材48における直線的に延びる形状ではなく、所定位置で折曲線126に沿って鈍角に折曲された所定の折曲形状を有する。弾性腕部分124aの図示の折曲形状は、メーク接点閉成時に可動接点42と固定接点44とを互いの略中心Cで相互接触させるための形状である(図18(b))。
【0065】
上記構成を有する接点部120においては、メーク接点閉成時に、操作部材18の移動に伴い可動接点ばね部材122が弾性腕部分122aで片持ち梁式に揺動して可動接点42が円弧軌道上を移動する構成であるにも関わらず、可動接点42と固定接点44とをそれらの表面の略中心で相互接触させることができる。その結果、両接点42、44において、接点開閉動作の繰り返しによる接点材料の損耗が接点表面の全体に一様に拡がることになり、特に可動接点42における局所的な材料消失を確実に回避できることから、両接点表面上での接触部位Cの変位量を十分に確保して接点寿命を増大することができる。したがって、この接点部120を装備した電磁継電器は、長寿命の接点部構成により高い構造信頼性及び安定した動作特性を有するものとなる。
【0066】
図19は、図18の接点部120の変形例を示す。この変形例は、接点部120がブレーク接点を有する場合のものであって、可動接点ばね部材122を挟んで固定接点ばね部材124の反対側に、ブレーク用の第2固定接点ばね部材128が設置されている。第2固定接点ばね部材128は、固定接点ばね部材124と同様に、例えばばね用燐青銅の薄板から所定形状に打ち抜いて形成される導電性薄板部材からなり、長手方向一端の自由端領域128aの可動接点ばね部材122に対向する側に、第2固定接点130を担持している。第2固定接点130は、所望の接点材料から形成されて、第2固定接点ばね部材128の自由端領域128aに、その一表面上に膨出するように、例えばかしめにより固定される。さらに、可動接点ばね部材122の可動接点42の裏側に、ブレーク用の第2可動接点132が設けられる。第2可動接点132は、所望の接点材料から形成されて、可動接点42の裏側に膨出するように、例えばかしめにより固定される。
【0067】
この変形例による接点部120においては、ブレーク接点閉成時には、可動接点ばね部材122の直線的に延びる弾性腕部分122aと第2固定接点ばね部材128の僅かに屈曲して実質的直線状に延びる弾性腕部分128bとの、それぞれの先端領域に担持された第2可動接点132と第2固定接点130とが、互いの略中心C′で相互接触する(図19(a))。さらに、メーク接点閉成時には、前述したように可動接点42と固定接点44とがそれらの表面の略中心Cで相互接触する(図19(b))。したがって、特に電磁継電器が、ブレーク接点閉成時にも信号伝達ではなく電力伝達を行なう構成を有する場合に、メーク接点側の接点寿命を上記したように増大できるだけでなく、第2可動接点132及び第2固定接点130の局所的な材料消失を確実に回避して接点寿命を増大することができる。
【0068】
図20は、上記接点部120とは異なる構成の接点部を装備した本発明の第9実施形態による電磁継電器140を示す。電磁継電器140は、接点部の構成以外は、第一実施形態による電磁継電器10と実質的同一の構成を有するので、対応する構成要素には共通の参照符号を付してその説明を省略する。
【0069】
電磁継電器140の接点部142は、図20及び図21に示すように、可動接点42及び第2可動接点132を担持する可動接点ばね部材144と、固定接点44を担持する固定接点ばね部材146と、第2固定接点130を担持する第2固定接点ばね部材148とを備える。これら接点ばね部材144、146、148の各々は、基部12に取り付けられる取付部分(図示せず)と、取付部分と各接点42(132)、44、130との間に延びる弾性腕部分144a、146a、148aとを有して構成される(図21(a))。
【0070】
接点部142の固定接点ばね部材146は、電磁継電器10の接点部16に装備した固定接点ばね部材48と実質的同一の構成を有する。他方、可動接点ばね部材144は、下記の点を除いて、電磁継電器10の接点部16に装備した可動接点ばね部材46と実質的同一の構成を有する。すなわち、可動接点ばね部材144の弾性腕部分144aは、可動接点ばね部材46における直線的に延びる形状ではなく、所定位置で折曲線150に沿って鈍角に折曲された所定の折曲形状を有する。弾性腕部分144aの図示の折曲形状は、メーク接点閉成時に可動接点42と固定接点44とを互いの略中心Cで相互接触させるための形状である(図21(b))。さらに、可動接点ばね部材144の弾性腕部分144aに付与される折曲形状は、電磁継電器140における電磁石装置14の作用下での操作部材18の移動形態を直線移動に近似させる形状でもある。
【0071】
また、第2固定接点ばね部材148は、下記の点を除いて、図19に示す第2固定接点ばね部材128と実質的同一の構成を有する。すなわち、第2固定接点ばね部材148の弾性腕部分148aは、第2固定接点ばね部材128における直線的に延びる形状ではなく、所定位置で折曲線152に沿って鈍角に折曲された所定の折曲形状を有する。弾性腕部分148aの図示の折曲形状は、可動接点ばね部材144の弾性腕部分144aに折曲形状を付与したことに関連して、ブレーク接点閉成時に第2可動接点132と第2固定接点130とを互いの略中心C′で相互接触させるための形状である(図21(a))。
【0072】
上記構成を有する接点部142によっても、図19に示す接点部120と同等の作用効果が奏されることは理解されよう。特にこの実施形態では、接点開閉動作中の操作部材18の移動形態を直線移動に近似させることができるので、継電器組立工程中に、各接点42、44、130、132の位置決め精度及び相互間隙寸法精度を容易に確保できるとともに、メーク接点閉成時の操作部材18の超過移動量を容易かつ正確に設定できる利点がある。
【0073】
図22は、図20の接点部142の変形例を示す。この変形例では、第2固定接点ばね部材148の弾性腕部分148aが、前述した折曲形状の代わりに、図19に示す第2固定接点ばね部材128と同様の実質的直線形状を有している。したがって、この変形例においては、ブレーク接点閉成時には、可動接点ばね部材144の折曲形状の弾性腕部分144aの先端領域に担持された第2可動接点132が、第2固定接点ばね部材148の第2固定接点130に対し、表面中心から外縁方向へ偏った位置で接触する(図22(a))。他方、メーク接点閉成時には、前述したように可動接点42と固定接点44とがそれらの表面の略中心Cで相互接触する(図22(b))。したがって、特に電磁継電器140が、ブレーク接点閉成時に信号伝達のみを行なう構成を有する場合に、第2可動接点132及び第2固定接点130の材料消失が実質的な問題にならないので、この変形例を有利に適用できる。
【0074】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、可動接点と固定接点との双方が導電性の板ばね部材に担持される接点部構成を有する電磁継電器において、メーク接点閉成時に可動接点ばね部材に生じ得る無用な撓みを効果的に排除して、両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大することが可能になる。また、メーク接点閉成中に生じる発熱下での無用な撓みが塑性変形に至ることを確実に防止して、両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大することが可能になる。さらに、メーク接点閉成時に可動接点に生じ得る接点材料の局所的消失を確実に回避して、両接点表面上での接触部位の変位量を十分に確保して接点寿命を増大することが可能になる。したがって本発明によれば、長寿命の接点部構成により高い構造信頼性及び安定した動作特性を確保できる電磁継電器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による電磁継電器の平面図である。
【図2】図1の電磁継電器の正面図である。
【図3】図1の電磁継電器を図2の矢印IIIから示す端面図である。
【図4】図1の電磁継電器を図2の矢印IVから示す端面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による電磁継電器の平面図である。
【図6】図5の電磁継電器の正面図である。
【図7】図5の電磁継電器を図6の矢印VIIから示す端面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による電磁継電器の平面図である。
【図9】図8の電磁継電器の正面図である。
【図10】図8の電磁継電器を、固定接点ばね部材を省略した状態で、図9の矢印Xから示す端面図である。
【図11】本発明の第4実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材の(a)正面図、及び(b)側面図である。
【図12】変形例による可動接点ばね部材の(a)正面図、及び(b)側面図である。
【図13】本発明の第5実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材の(a)正面図、(b)側面図、及び(c)円XIIIで囲った部分の拡大断面図である。
【図14】変形例による可動接点ばね部材の正面図である。
【図15】他の変形例による可動接点ばね部材の正面図である。
【図16】本発明の第6実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材の正面図である。
【図17】本発明の第7実施形態による電磁継電器に装備される可動接点ばね部材の(a)正面図、及び(b)側面図である。
【図18】本発明の第8実施形態による電磁継電器に装備される接点部の概略図で、(a)接点開成時の状態、及び(b)接点閉成時の状態を示す。
【図19】変形例による接点部の概略図で、(a)接点開成時の状態、及び(b)接点閉成時の状態を示す。
【図20】本発明の第9実施形態による電磁継電器の正面図である。
【図21】図20の電磁継電器に装備される接点部の概略図で、(a)接点開成時の状態、及び(b)接点閉成時の状態を示す。
【図22】変形例による接点部の概略図で、(a)接点開成時の状態、及び(b)接点閉成時の状態を示す。
【符号の説明】
10、60、70、140…電磁継電器
12…基部
14…電磁石装置
16、72、120、142…接点部
18…操作部材
28…電磁石
30…接極子
42…可動接点
44…固定接点
46、80、90、100、110、122、144…可動接点ばね部材
48、124、146…固定接点ばね部材
50、62…支持要素
74…接点取付要素
82、84…補強要素
92、94、96…表面要素
102…貫通孔
112…放熱板
124a、144a、148a…弾性腕部分
126、150、152…折曲線
128、148…第2固定接点ばね部材
130…第2固定接点
132…第2可動接点
Claims (10)
- 基部と、該基部に組み込まれる電磁石装置と、該電磁石装置から絶縁されて該基部に組み込まれる接点部と、該電磁石装置と該接点部との間に配置され、該電磁石装置の作用により移動して該接点部を開閉動作させる操作部材とを具備し、該接点部は、該操作部材に連動する可動接点と、該可動接点に対向配置される固定接点とを備え、該操作部材は該接点部の閉成時に、該電磁石装置の作用により押圧力を発揮して、該可動接点と該固定接点とを相互接触させるとともに、それら接点同士の接触部位を徐々に変位させながら移動限界に到達するように構成される電磁継電器において、
前記操作部材が前記可動接点と前記固定接点とを相互接触させてから前記移動限界に到達するまでの間、該可動接点と該操作部材との相対移動を実質的に防止する相対移動防止構造を具備することを特徴とする電磁継電器。 - 前記接点部は、前記可動接点を担持するとともに前記操作部材に連結される可動接点ばね部材を備え、前記相対移動防止構造は、該操作部材に設けられる支持要素であって、前記押圧力下で該可動接点と前記固定接点とを相互接触させる間に、該可動接点ばね部材に担持された該可動接点を裏側から支持する支持要素を有する請求項1に記載の電磁継電器。
- 前記接点部は、前記可動接点を担持するとともに前記操作部材に連結される可動接点ばね部材を備え、前記相対移動防止構造は、該操作部材に設けられる支持要素であって、該可動接点と操作部材連結部位との間に延びる該可動接点ばね部材の一領域を支持して、前記押圧力による該領域の変形を防止する支持要素を有する請求項1に記載の電磁継電器。
- 前記相対移動防止構造は、前記可動接点を前記操作部材に直接に設けることにより構成される請求項1に記載の電磁継電器。
- 前記接点部は、前記可動接点を担持するとともに前記操作部材に連結される可動接点ばね部材を備え、前記相対移動防止構造は、該可動接点ばね部材に設けられる補強要素であって、該可動接点と操作部材連結部位との間に延びる該可動接点ばね部材の一領域の、前記押圧力による変形を防止する補強要素を有する請求項1に記載の電磁継電器。
- 基部と、該基部に組み込まれる電磁石装置と、該電磁石装置から絶縁されて該基部に組み込まれる接点部と、該電磁石装置と該接点部との間に配置され、該電磁石装置の作用により移動して該接点部を開閉動作させる操作部材とを具備し、該接点部は、該操作部材に連動する可動接点と、該可動接点に対向配置される固定接点とを備え、該操作部材は該接点部の閉成時に、該電磁石装置の作用により押圧力を発揮して、該可動接点と該固定接点とを相互接触させるとともに、それら接点同士の接触部位を徐々に変位させながら移動限界に到達するように構成される電磁継電器において、
前記接点部は、前記可動接点を担持する可動接点ばね部材と、前記固定接点を担持する固定接点ばね部材と、該可動接点ばね部材と該固定接点ばね部材との少なくとも一方に設けられ、閉成中の該接点部の温度上昇を軽減する放熱構造とを具備することを特徴とする電磁継電器。 - 前記放熱構造は、前記可動接点ばね部材と前記固定接点ばね部材との少なくとも一方に、その表面積を増加するように形成される表面要素を有する請求項6に記載の電磁継電器。
- 前記放熱構造は、前記可動接点ばね部材と前記固定接点ばね部材との少なくとも一方に、前記可動接点又は前記固定接点に隣接して取り付けられる放熱板を有する請求項6又は7に記載の電磁継電器。
- 前記接点部は、前記可動接点を担持する可動接点ばね部材と、前記固定接点を担持する固定接点ばね部材とを備え、該可動接点ばね部材と該固定接点ばね部材との各々は、前記基部に取り付けられる取付部分と、該取付部分と該可動接点又は該固定接点との間に延びる弾性腕部分とを有し、該可動接点ばね部材と該固定接点ばね部材との少なくとも一方が、該弾性腕部分に、前記閉成時に該可動接点と該固定接点とを互いの略中心で相互接触させるための予め定めた折曲形状を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の電磁継電器。
- 前記折曲形状を有する前記弾性腕部分が前記可動接点ばね部材に設けられ、該折曲形状は、前記電磁石装置の作用下での前記操作部材の移動形態を直線移動に近似させる形状である請求項9に記載の電磁継電器。
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