JP2004138200A - リードバルブ - Google Patents

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Abstract

【課題】リード板と閉弁する弁受座の耐久能力を向上すると共に、リード板の破損を防止することにある。
【解決手段】弁受座6の受座面6Aに溝部7を有し、溝部7はリード板3の自由端部3Bが受座面6Aに接したとき覆われる位置に配置されているリードバルブである。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リードバルブに関する。特に、流体を圧縮する圧縮室の吐出部叉は吸込部の通路に設けられて弁の開閉に於ける耐久能力を向上したリードバルブに関する。
【従来の技術】
【0002】
本発明に係わる関連技術には、実公昭54−45223号公報が存在する。
図7は、この公報に記載されているリードバルブの断面図である。このリードバルブ100はエンジンの吸気通路叉は排気通路に設けられているものである。この弁体101には、弁孔103が形成されている。弁体101の一方側面113側の弁孔103の周囲には段部111が設けられており、この段部111には断面4角形のリング状をしたゴム材製の弁受座105が設けられている。この弁受座105の表面には樹脂材製の外面層109が一方側面113と同一面に成るように接着されている。
【0003】
この弁体101の弁孔103の一方側面113には、弁孔103を塞ぐように平面に配置されて一端の基部113Aがボルト115により固定されたリード板107が設けられている。このリード板107は薄板から形成されて流体の圧力によりリード板107が弁孔103を開閉できるように構成にされている。
叉、リード板107が一方側面113から開弁しすぎて破損しないようにするためにストッパー106がリード板107の基部113Aと積層状態に保持されている。このために、ストッパー106は、自由端側が一方側面113から外方へ湾曲に曲げられている。
【0004】
このように形成されたリードバルブ100は、弁受座105の表面に外面層109が設けられているために、リード板107が弁受座105にくっつく現象が防止できる効果は期待できるが、リード板107と弁受座105が開閉弁時に繰り返し当接するので、外面相109とリード板107に損傷が惹起する。この為リードバルブの耐久能力が問題となっている。
【0005】
更に、同公報には、図7と類似構成のリードバルブ100が開示されている。このリードバルブ100において、図7と相違する点は、弁受座105が断面四角形に形成されて段部111に配置されている。この弁受座105は、外面層109が表面に接着されてなく、ゴム材製のみから形成されている。
このゴム材製の弁受座105にすれば、リード板107の耐久能力を向上させることができる。しかし、弁受座105の耐久能力は急速に低下する。その弁受座105の能力低下は、リード板107と弁受座105とが繰り返し当接するので、弁受座105に局部的な応力が生じ、割れ等の損傷が惹起する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述のような問題点に鑑み成されたものであって、その発明が解決しようとする課題は、弁受座の割れ等の損傷を防止することにある。
更に、リード板の変形を防止して耐久能力を向上させることにある。
叉、リード板と弁受座との接着を防止してリード板が流体圧力により開弁するときの応答性を良好にさせることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述のような技術的課題を解決するために成されたものであって、その技術的解決手段は以下のように構成されている。
【0008】
この請求項1に係わる本発明のリードバルブは、流体が通過可能な弁孔と弁孔を囲んで一体に形成されたゴム状弾性材製の弁受座とを有する弁体及び弁体に基部が取り付けられて自由端部側が弁受座の受座面と離接して弁孔を開閉するリード板を具備し、弁受座の受座面に溝部を有すると共に溝部はリード板の自由端部が受座面の接面する位置に配置されているものである。
【0009】
この請求項1に係わる本発明のリードバルブでは、リード板の自由端側開閉面が閉弁時に接合する弁受座の受座面にリード板が接合したときに塞がれるような形状の溝部が設けられているから、リード板が溝部により空力弾性的に応力が緩和されるので、局部的な衝撃を受けるのが防止される。この為に、リード板が曲げられたり、割れたりするのを防止する。更に、弁受座がリード板と当接しても溝部により局部的な応力の発生を防止し、弁受座に破損が惹起するのを効果的に防止する。
【0010】
請求項2に係わる本発明のリードバルブは、溝部がリード板の自由端側の受座面の周面に沿って長溝に形成されているものである。
【0011】
この請求項2に係わる本発明のリードバルブでは、溝部がリード板の自由端側の受座面の周面に沿って長溝に形成されているから、リード板が当接したときに最も強く受ける部分を溝部により弾性的に支持するので、リード板の損傷を効果的に防止する。更に、弁受座も溝部によりリード板を空力弾性的に支持して割れ等の損傷が防止される。
【0012】
請求項3に係わる本発明のリードバルブは、溝部に油が介在しているものである。
【0013】
この請求項3の本発明のリードバルブでは、溝部に油、例えば作動油等が介在すると溝部と油との協働作用によってリード板の曲げを防止すると共に亀裂等の損傷を防止し、耐久能力を向上させる。叉、弁受座も油との協働作用により弁受座に亀裂が発生するのを防止と共に、損傷を防止して飛躍的に耐久能力が向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる好ましい実施の形態のリードバルブを、その図面に基づいて詳述する。尚、以下に説明する各図面は、実験データを基にした寸法関係が正確な設計図である。
【0015】
図1は、図2に示すリードバルブ1の2−2矢視の断面図である。図2は、リードバルブ1のストッパー5側から見た正面図である。叉、図3は、図1の底面図である。叉、図4は、図1の弁体の3角形状先端側の拡大図である。更に、図5は図4の溝部7を示す拡大図である。
図1及び図2に於いて、2は弁体である。弁体2は側面から見て全体が3角形状に形成されている。更に、図3に示すように底面2Cがエンジン等の本体に接合して取り付けられるように平面に形成されている。そして、底面2には流体が流入可能な6個の吸気通路2Dが形成されている。この流通路2Dは、弁体2の内部に設けられた弁室を介して弁孔2Aと連通している。
【0016】
弁体2の3角形状の2つの交差する傾斜面の両弁体面2B、2Bには、並列に配置された各3個の長方形状の弁孔2Aが貫通状態に設けられている。この弁体面2Bには、弁孔2Aを囲むように全周が長方形をした環状体の弁受座6が突出した形状に一体に接着されている。そして、弁受座6の環状体を成す断面の両側は傾斜して薄肉部に弁体面2Bに接着している。この両弁体面2Bの各3個の弁受座6は、各薄肉部を介して接続し、弁体面2Bに接着力を高めている。この各3個の弁受座6は3個に限定されるものではなく、エンジン等の設計に応じて1個叉は複数個になる。更に、弁体2の形状もエンジン等の設計に応じて変更される。尚、このリードバルブ1は、エンジンに設けられるとは限らない。
この弁受座6はゴム材製である。このゴム材としては、ニトリルゴム、ヒドリンゴム、クロロプレンゴム、シリコンゴム、プロロシリコンゴム、ポリアクリレートゴム等を利用することができる。
この弁受座6は、断面が薄肉の台形状に形成されて弁体面2Bに接着しているが、後述するように弁体2に弁孔2Aを囲む段部を設け、その段部に断面方形の弁受座6を一体に接着することも可能である。弁受座6は、この2つの例から明らかなように弁体2に対して種々の取付方法が可能である。例えば、図4に示すように、リード板3の自由端部3B側の弁受座6の厚さを厚肉にするとよい。そして、弁受座6の接着力を向上させるために、図4に示すように、弁体2の先端側と弁孔2A側の1部を囲んで一体に接着しても良い。又、弁受座6の弁体2に於ける底面2C側は断面が弁孔2AをU形状に囲んで接着すると良い。
【0017】
この弁受座6には、長方形を成す環状体の一辺に溝部7が形成されている。この溝部7は両端が弁受座6Aに沿って少し内側に曲げられている。尚、この溝部7は、複数に断続させても良い。更には、溝部7は穴状に形成すると共に、平面が四角、楕円、円形状等にして多数点在させることも可能である。
この弁受座6の弁体面2Bより突出した形状は、設計に応じて断面が凸部状に形成することができる。更に、凸部状の断面両端がなめらかに傾斜させることもできる。更には、断面が半楕円形、台形等の形状に形成することができる。
【0018】
弁体2には、図2に示すように、長方形状を成す弁孔2Aの中心線に対して溝部7と反対側にボルト用のねじ孔8が、両面合計で6箇所に設けられている。
このねじ孔8にボルト9を螺合して弁体面2Bに接触した状態に配置したリード板3と、リード板3の上面に積層状態に配置されストッパー5とを固定するものである。
【0019】
このリード板3は、弾性を有する長方形状の薄板から構成されている。更に、リード板3の基部3Aには、ボルト9を取り付ける孔が設けられている。この基部3Aを固定することにより、弾性片持ち梁のように、自由端部3B側が弾性変形可能に構成される。そして、リード板3の開閉面3Dが弁受座6の受座面6Aに接合して弁孔2Aを閉弁すると共に、自由端部3B側の開閉面3Dが溝部7を覆う様に接面する。
リード板3は、弁体2の底面2C側の流通路2Dを通って弁孔2Aに流れる圧力流体の圧力の押圧を受けて弓なりに弾性変形し、弁受座6から開弁する。このリード板3は作動流体の圧力に応じてサイクルごとに繰り返し開閉するので、リード板3と弁受座6とは繰り返し当接する。
このリード板3は、一方側が3枚の場合には、基部3Aを1枚にして自由端部3B側を3分割にすることもできる。このようにすると基部3Aの取付状態が安定する。これらの形状は設計に応じて適宜に成し得ることである。
【0020】
ストッパー5は、取付部5B側にリード板3と同じ取付孔5Cが形成されている。この取付部5Bは、全体が1枚に形成されており、自由端5A側が3分割されている。又、各ストッパー5は、自由端5A側が弓なりに変形している。そして、このストッパー5によりリード板3が開弁しすぎるのを抑えるものである。この為に、ストッパー5はリード板3よりも厚肉で変形しないように形成されている。
【0021】
図4は、図1に示すリードバルブ1の先端部の拡大した断面を示すものである。叉、図5は図4の側面の正面図である。弁受座6の受座面6Aは、略平面状態に形成されている。叉は、受座面6Aは、緩やかな曲面に形成することもできる。その受座面6Aの両側は傾斜して薄肉に形成された接着部に形成されている。このリード板3の自由端部3Bの開閉面3Dと当接する受座面6Aには、斜線で示すような溝部7が形成されている。この溝部7は、断面が三角形状に形成されている。叉、断面を半球状に形成することもできる。更には、断面U形状に形成することも可能である。この溝部7には、作動油を介在すると更に弁受座6の耐久能力を向上させることが認められる。同時に、作動油の介在は、リード板3の耐久能力を向上させる効果が期待できる。
【0022】
図6は、本発明に係わる第2実施の形態を示すリードバルブ1の断面図である。
このリードバルブ1は、板状の弁体2にリード板3とストッパー5を配置してボルト9により弁体2に締結したものである。このリードバルブ1は、例えば、各種の圧縮機などの用いられる。
弁体2には弁孔2Aが設けられており、この弁孔2Aはリード板3により開閉弁される。このリード板3の開閉は、弁孔2Aを流れる流体圧力に応動して開閉弁する。このリード板3の閉弁はリード板3の弾性力で復元する。
【0023】
この弁受座6は、断面方形状で弁体2の弁孔2Aの廻りに形成された段部4に接着して一体化されている。この弁受座6の受座面6Aの形状は、緩やかに円弧状に弁体面2Bより突出している。又、平面で僅かに突出しても良い。この弁受座6の突出高さは、リードバルブ1の大きさや、リード板3の開閉弁状態によれ種々の厚さに設計される。
この弁受座6の材質は、図1に示す弁受座6(第1実施の形態と同じ)と略同一材質である。そして、リード板3と当接する受座面6Aには、断面円弧状の溝部7が形成されている。この溝部7は、断面四角形状、断面三角形状、或いは断面W形状に形成することもできる。
【0024】
この弁体2は、上述の実施態様の他に種々の形状がある。又、リード板3は1枚の場合もあれば、複数枚の場合もある。いずれにせよ、リード板3の枚数に関係なく、弁受座6に溝部7を最適に設けることにある。更に、この溝部7の形状によって更なる効果も生起する。そして、溝部7に作動油を介在させることにより飛躍的に弁受座6の耐久能力を向上させることが可能になる。
【0025】
本発明のリードバルブ1と比較例のリードバルブ100との実験データは以下の通りである。尚、この実験の条件は、2サイクルエンジンにリードバルブを取り付けてリード板3に空気圧のみ及び燃料油混合気を含む空気圧の正負圧を作用させ、85Hzでリード板を開閉弁させた。
【0026】
その実験結果は、下記の通りである。
A)本発明のリードバルブ1
1)本発明の第1実施の態様のリードバルブ1では、第1実験した結果は、平均27時間で弁受座6に亀裂の発生による破損が認められる。
2)更に、同一のリードバルブ1の溝部7に作動油を付けて第2実験した結果は、60.6時間で亀裂による破損が認められた。
【0027】
B)比較例のリードバルブ100
1)本発明と同一条件で第1実験した結果は、18時間で亀裂による破損が認められる。
2)同一のリードバルブ100の弁受座6に作動油を塗布して第2実験した結果は、23時間で弁受座6に亀裂による破損が認められた
【0028】
このように構成されたリードバルブ1は、2サイクルエンジンに取り付けられてピストンの上死点と下死点のサイクルごとに発生する正圧と負圧によりリードバルブ1のリード板3が開閉弁を繰り返す。
このリード板3が開弁するときには、図示省略のエンジン外部の空気がスロットルボディの吸気通路に吸入されると共に、この空気に対して燃料噴射弁から燃料が噴射されるので、この混合気が吸気通路2Dから弁孔2Aに至りリード板3を開弁してピストン側へ流入する。
この混合気に含まれる油が弁受座6の溝部7に介在すると共に、潤滑作用をする。この為に、ピストンのサイクルごとにリード板3が開閉弁して弁受座6に当接しても、弁受座6の損傷が防止される。同時に、リード板3の損傷や曲げ変形が効果的に防止される。
又、弁受座6の溝部7へ潤滑油を供給する装置を設けても良い。
更に、本発明のリードバルブ1を圧縮機に取り付けた結果も略同様な耐久能力の結果が得られた。
【0029】
【発明の効果】
請求項1に係わる本発明のリードバルブによれば、リード板の自由端側開閉面が閉弁時に接合する弁受座の受座面にリード板が接合したときに開口と接面する形状の溝部が設けられているから、リード板が溝部により空力弾性的に応力が緩和されるので、局部的な衝撃を受けるのが防止され、弁受座に破損が惹起するのを効果的に防止する。
更に、リード板が曲げられたり、割れたりするのが防止される効果を奏する。更に、弁受座がリード板と当接しても溝部により局部的な応力の発生が防止され、リード板の耐久能力が向上する効果を奏する。
【0030】
請求項2に係わる本発明のリードバルブによれば、溝部がリード板の自由端側の受座面の周面に沿って長溝に形成されているから、リード板が当接したときに最も強く受ける部分を溝部により弾性的に支持するので、弁受座も溝部によりリード板を空力弾性的に支持して割れ等の損傷が防止される効果を奏する。更に、リード板の損傷を効果的に防止する効果を奏する。
【0031】
請求項3に係わる本発明のリードバルブによれば、溝部に油、例えば作動油等が介在すると溝部と油との協動作用により、弁受座の損傷を防止して耐久能力を向上させる効果を奏する。
叉、リード板も油との協動作用により、損傷が防止されて飛躍的に耐久能力が向上する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる図2のリードバルブの2−2矢視断面図である
【図2】本発明に係わるリードバルブの正面図である。
【図3】図1に示すリードバルブの底面図である。
【図4】図1に示す弁体の先端部の拡大断面図である。
【図5】図4の正面図である。
【図6】本発明に係わるリードバルブの第2実施の形態を示す断面図である。
【図7】従来のリードバルブの断面図である。
【符号の説明】
1 リードバルブ
2 弁体
2A 弁孔
2B 弁体面
2C 底面
2D 吸気通路
3 リード板
3A 基部
3B 自由端部
3C ボルト孔
3D 開閉面
4 段部
5 ストッパー
5A 自由端
5B 取付部
5C 取付孔
6 弁受座
6A 受座面
7 溝部
8 ねじ孔
9 ボルト

Claims (3)

  1. 流体が通過可能な弁孔と前記弁孔を囲んで一体に形成されたゴム状弾性材製の弁受座とを有する弁体及び前記弁体に基部が取り付けられて自由端部側が弁受座の受座面と離接して前記弁孔を開閉するリード板を具備し、前記弁受座の受座面に溝部を有すると共に前記溝部は前記リード板の自由端部が接面する面に配置されていることを特徴とするリードバルブ。
  2. 前記溝部が前記リード板の自由端部側の前記受座面の周面に沿って長溝に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のリードバルブ。
  3. 前記溝部に油が介在していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリードバルブ。
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