JP2004137893A - 排水性弾性舗装用舗装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車輪の沈み込みが小さく、かつ降雨時等に内部にしみ込んだ水の排水性に優れた排水性弾性舗装用舗装材を提供する。
【解決手段】 舗装材10は、厚さ20〜50mmの平板であり、ゴムチップ骨材に、ウレタン系バインダを混合し、圧縮成形し、加熱処理することにより硬化形成される。舗装材のばね定数は、30〜120kgf/mmであればよいが、より好ましくは40〜100kgf/mmである。そのため、舗装材への車両の車輪の沈み込みを少なくできると共に、良好な騒音吸収性及び排水性が得られる。
【選択図】 図2
【解決手段】 舗装材10は、厚さ20〜50mmの平板であり、ゴムチップ骨材に、ウレタン系バインダを混合し、圧縮成形し、加熱処理することにより硬化形成される。舗装材のばね定数は、30〜120kgf/mmであればよいが、より好ましくは40〜100kgf/mmである。そのため、舗装材への車両の車輪の沈み込みを少なくできると共に、良好な騒音吸収性及び排水性が得られる。
【選択図】 図2
Description
本発明は、一般道路等に用いられる排水性弾性舗装用舗装材に関する。
従来、この種の排水性弾性舗装用の舗装材としては、例えば特許文献1に示すように、自動車の廃棄タイヤ等のゴム製品を粉砕したゴムチップ等の弾性骨材に、ウレタン、エポキシ等のバインダを混ぜて成形したものが知られている。この舗装材は、ゴム材を用いていることにより、通常のアスファルト舗装に比べて弾性があると共に柔らかく、また、成形時に、数10%の空隙率とすることにより、高い透水性が得られると共に、かかる空隙により車両から伝播する特定の周波数の音を吸収でき、交通騒音の大幅な低減が可能になる、といった優れた特性を備えている。
特開昭63−315708号公報
しかし、上記舗装材は、空隙率を数10%と高くすることにより、その剛性が低下し、そのために走行車両の車輪の舗装材への沈み込みが大きくなり、その結果、車両の操縦安定性が損なわれるという問題がある。そのため、空隙率ではない他の特性により、車両の舗装材への沈み込みの問題を考慮する必要がある。
また、舗装材を一般道路用として使用する場合、路盤との接着力が高いことが必要であるが、従来の舗装材については、接着力が不十分であった。さらに、降雨時等に、舗装材内部の水が完全に排水されないため、車両の走行時の荷重により弾性舗装路面がたわみ、車輪の周りに水が浮き出てきて、制動時の路面の摩擦係数を低下させるといった問題もある。これに対し、舗装材の排水性能を向上させるためには、舗装材の上記空隙率を上げる必要があるが、空隙率を上げることにより、上記のように舗装材自体の強度が低下すると共に、剛性も低下することになる。そのために、排水性弾性舗装が、広く一般自動車道や高速道路の舗装に採用されるには至っていない。
本発明は、上記した問題を解決しようとするもので、車両から伝播する特定の周波数の音を吸収しつつ、車輪の沈み込みが小さく、かつ降雨時等に内部にしみ込んだ水の排水性に優れた排水性弾性舗装用舗装材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、上記請求項1に係る発明の構成上の特徴は、弾性骨材とバインダとが混合されかつ板状に成形されてなり、道路の路盤に接着されて排水性弾性舗装を形成する舗装材であって、ばね定数が30〜120kgf/mmであることにある。なお、弾性骨材としては、ゴムチップや、ゴムチップに木片等を含ませたものが用いられる。また、ばね定数は、40〜100kgf/mmであることがさらに好ましい。
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、ばね定数が30kgf/mm以上であれば、舗装材への車両の車輪の沈み込みを少なくでき、かつ良好な騒音吸収性及び排水性が得られる。また、ばね定数が120kgf/mm以下であれば、騒音吸収性及び排水性も確保できる。
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
図1及び図2は、実施例1である自動車走行用の道路の路盤に接着される排水性弾性舗装用舗装材(以下、舗装材と記す)を斜視図及び断面図により示したものである。舗装材10は、厚さ20〜50mmの平板であり、ゴムチップ骨材(紡錘状タイプ、メッシュタイプ、ザラメタイプ、布入りタイプ等がある)に、ウレタン系バインダを混合し、圧縮成形し、例えば150℃、10分加熱処理することにより硬化形成される。そして、舗装材10のばね定数は、30〜120kgf/mmであればよいが、より好ましくは40〜100kgf/mmである。バインダ量や空隙率は特に規定されるものではないが、ゴムチップ骨材100重量部に対してバインダ量は5重量部以上であることが好ましく、また空隙率は20〜40%の範囲であることが好ましい。例えば、ゴムチップ100重量部としたときに、バインダ量5〜20重量部、空隙率20〜40%の範囲にあるサンプルを用いてばね定数を測定した結果を図3に示す。
なお、ばね定数Eの測定については、100mmφ×30mmの測定用サンプル(面積S=78.5cm2 )を作成し、これに荷重Pを加えて、そのときの変形量(車輪の沈み込み量に相当)tを測定することにより下記数1より算出することができる。
(数1) t=P/[T×(E/S)]
例えば、10トントラック(タイヤ10本、タイヤ接地面積T=400cm2 )を想定すると、荷重P=10トン/10=1トン=1000kgとなり、E=50kgf/mmの場合、t=3.9mmとなる。E=30kgf/mmの場合、t=6.5mmとなり、E=120kgf/mmの場合、t=1.6mmとなる。なお、ばね定数Eについては道路の目的、通過車両の種類等に応じて適正な値が選択される必要がある。
上記舗装材10には、表面10a側から裏面である接触面10bにかけて貫通した10mmφの断面円形の排水孔11が多数設けられている。なお、排水孔11の断面形状としては、円形の他に楕円形、三角形,四角形等の多角形、星形等の異形形状にすることができる。排水孔11の面積については、車両のタイヤトレッド面のタイヤパターンより小さくすることにより、走行時の車両の振動を低減することができる。
以上のように形成された舗装材10は、図4に示すように、地面14上に敷設されたコンクリートあるいはアスファルトの路盤13に、エポキシ系接着剤あるいはウレタン系接着剤12を用いて接着することにより固定され、排水性弾性舗装構造が形成される。
上記のように構成した舗装材10は、ばね定数が30〜120kgf/mmの範囲内の適正値にされているため、舗装材10への例えば10トントラックの車輪の沈み込みを1.6〜6.5mm程度に小さくでき、車両の操縦安定性を良好に維持できる。また、空隙率も20〜40%の範囲に収められているので、良好な騒音吸収性が得られる。
そして、舗装材10は、その表面10a側から路盤13との接触面10b側まで貫通する排水孔11を設けたことにより、降雨時等に、表面10aに水が溜っても、排水孔11に吸収されるので、空隙率を上げることなく排水性能を向上させることができる。そのため、舗装材10の強度を維持しつつ排水性能を高めることができるので、車両の制動時の摩擦係数の低下を防止でき、ハイドロプレーニング現象を抑えることができる。
さらに、舗装材10と路盤13との接着に用いる接着剤12が、図4に示すように、排水孔11内にも進入して溜るため、舗装材10と路盤13との接着強度が高められる。特に、排水孔11の断面形状を星形等の異形形状にすることにより、排水孔11内にも進入して固まった接着剤12と排水孔11との接触面積が広げられるので、舗装材10と路盤13との接着強度が一層高められる。また、舗装材10表面においての排水孔と車両のタイヤトレッド部との接触が緊密に行われ、車両制動時の摩擦抵抗を大きくすることができる。
つぎに、実施例2について説明する。本実施例においては、舗装材20は、図5に示すように、排水孔21の断面積が、表面20a側の方が路盤13との接触面20b側より大きくなる円錐状に形成されている。これにより、実施例1に示した効果に加えて、排水孔21内に進入して固まった接着剤が排水孔21に強固に係合するので、舗装材20と路盤13との接着強度が一層高められる。
なお、変形例として図6−1,2に示すように、排水孔22,23の断面については、円錐形ではなく、実質的に接触面20b側の断面積の方が表面20a側の断面積より小さくなるようになっていればよく、図6−1,2に示したものに限るものでもない。
なお、変形例として図6−1,2に示すように、排水孔22,23の断面については、円錐形ではなく、実質的に接触面20b側の断面積の方が表面20a側の断面積より小さくなるようになっていればよく、図6−1,2に示したものに限るものでもない。
つぎに、実施例3について説明する。本実施例においては、舗装材30は、図7に示すように、表面30a側から裏面である接触面30bにかけて貫通した排水孔31が複数個設けられると共に、路盤13との接触面30b側に排水路32が設けられ、排水路32には少なくとも2個以上の排水孔31がつなげられている。
上記のように構成した実施例3においては、排水路32を道路路肩の排水側へ接続させることにより、舗装材30の表面側に溜った水の排水効率を著しく高めることができる。また、車輪により押された排水孔31の水が、排水路32を通して他の排水孔31に押し出されるため、車輪付近に浮き出る水を減らすことができ、舗装材表面の摩擦抵抗の低減を防止できる。
つぎに、実施例4について説明する。本実施例においては、図8に示すように、路盤13の表面に排水溝15を設けたものであり、路盤13に接着した舗装材40にその表面40a側から裏面である接触面40bにかけて貫通して設けた排水孔41を設け、少なくとも2個以上の排水孔41、排水溝15につなげたものである。
上記のように構成した実施例4においても、実施例3に示したと同様に、排水溝15を道路路肩の排水側へ導くことにより、舗装材40の表面側に溜った水の排水効率を著しく高めることができる。また、車輪により押された排水孔41の水が、排水溝15を通して他の排水孔41に押し出されるため、車輪付近に浮き出る水を減らすことができ、舗装材表面の摩擦抵抗の低減を防止できる。
なお、上記各実施例において、排水孔の配置密度を場所によって変更することができる。例えば、排水孔を交差点やカーブ等の制動を要する場所に多数設けることにより、制動効果を高めることができ、制動の必要性が少ない場所では排水孔の配置密度を低くして舗装材の強度の低下を抑制でき、場所毎に舗装材の適正な機能を発揮させることができる。また、雨量の多い地域では排水孔の配置密度を高くし、雨量の少ない地域では配置密度を低くする等の調節も可能である。
なお、上記各実施例において、弾性骨材については、ゴムチップ単体に限らず木片等を含んだものであってもよい。バインダについてもウレタン系に限らずエポキシ系等であってもよい。排水性弾性舗装構造の外形、寸法については、上記実施例に示したものに限らない。また、舗装材の用途については、道路用のみに限らず、遊歩道や競技場のフイールド等にも使用される。
本発明の排水性弾性舗装用舗装材は、ばね定数が30〜120kgf/mmであることにより、舗装材への車両の車輪の沈み込みを少なくでき、かつ良好な騒音吸収性及び排水性が得られるので、有用である。
10…舗装材、11…排水孔、12…接着剤、13…路盤、14…地面、15…排水溝、20…舗装材、21,22,23…排水孔、30…舗装材、31…排水孔、32…排水路、40…舗装材、41…排水孔。
Claims (1)
- 弾性骨材とバインダとが混合されかつ板状に成形されてなり、道路の路盤に接着されて排水性弾性舗装を形成する舗装材であって、ばね定数が30〜120kgf/mmであることを特徴とする排水性弾性舗装用舗装材。
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